説明

半田付け部位外観検査装置及び半田付け部位外観検査方法

【課題】半田の厚さに関係なくツノ不良及びブリッジ不良の判定を簡便かつ精度良く行う。
【解決手段】画像入力手段12が、カメラ1の撮像したプリント基板の半田付け部位のRGBカラー画像を取得し、画像変換手段13がHSV色空間画像に変換する。半田領域抽出手段14はRGBカラー画像をHSV色空間画像と比較して半田領域を抽出し、ランド領域抽出手段15はパターンマッチング用モデルデータ作成手段11の作成したモデルデータでRGBカラー画像をパターンマッチングしてランド領域を特定する。不良判定手段16は、半田領域とランド領域の差領域に基づいて良否判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像画像を用いた画像処理により、半田付け部位の良否を判定する半田付け部位外観検査装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板上の半田付け部位の良否検査方法として、例えば特許文献1のように、ライン光源を用いた光切断法により半田フィレットの厚さを求めて良否判定する方法がある。この方法では、先ず、線状のスリット光を半田付け部位に投光して撮像し、画像処理により、半田付け部位表面にスリット光で描かれた光切断像を検出し、半田付け部位をスリット光に沿って切断した断面形状を推定する。続いて、推定した半田付け部位の断面形状特徴(フィレット厚み等)を計数し、予め設定した判定閾値と比較して、形状の良否判定を行うようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭63−9602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半田付け部位外観検査方法は以上のように構成されているので、微小なツノ不良及びブリッジ不良では半田付け部位の厚みが薄い場合があり、この場合は光切断法を用いて良否判定を行っても、厚みが計測できず正確に良否を判定することができないという課題があった。
また、微小なツノ不良を検出するためには、ライン光源又はプリント基板を細かく移動させて複数の断面形状を推定する必要があるため、検査に時間と手間がかかってしまうという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、半田の厚さに関係なくツノ不良及びブリッジ不良の判定を簡便かつ精度良く行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1に係る半田付け部位外観検査装置は、検査対象となる半田付け部位を含むプリント基板同士が撮像されたRGBカラー画像を用いて、当該RGBカラー画像をHSV色空間画像に変換する画像変換手段と、RGBカラー画像をHSV色空間画像と比較して、画像中から半田付け部位を抽出して半田領域に設定する半田領域抽出手段と、予め作成された、各プリント基板のランド部の位置情報に基づいて、画像中からランド部を特定してランド領域に設定するランド領域抽出手段と、半田領域抽出手段が設定した半田領域とランド領域抽出手段が設定したランド領域の差領域を算出し、当該差領域の特徴量に応じて良否を判定する不良判定手段とを備えるものである。
【0007】
この発明の請求項2に係る半田付け部位外観検査装置は、不良判定手段が、差領域の特徴量として当該差領域に外接する矩形領域の幅を算出し、当該矩形領域の幅が判定用閾値より大きい場合に不良と判定するものである。
【0008】
この発明の請求項3に係る半田付け部位外観検査装置は、不良判定手段が、不良と判定した差領域について、さらに特徴量に応じてブリッジ不良とツノ不良を判別するものである。
【0009】
この発明の請求項4に係る半田付け部位外観検査装置は、不良判定手段が、差領域の特徴量として当該差領域に外接する矩形領域の幅を算出し、不良と判定した差領域について、矩形領域の幅が判別用閾値以上の場合にブリッジ不良、未満の場合にツノ不良と判別するものである。
【0010】
この発明の請求項5に係る半田付け部位外観検査装置は、検査対象となる半田付け部位の略L字形状の一辺と他辺との交点を始点として、当該各辺と等角度をなす二等分線上に配置され、プリント基板同士の突き当て部に向かって光を照射する照明装置と、二等分線上に配置され、照明装置から光を照射した状態で半田付け部位を撮像するカメラと、カメラのレンズに取り付けられて、各プリント基板の板表面で反射される光を遮断する偏光フィルタとを備え、画像変換手段は、カメラが撮像したRGBカラー画像を用いるものである。
【0011】
この発明の請求項6に係る半田付け部位外観検査方法は、検査対象となる半田付け部位を含むプリント基板同士が撮像されたRGBカラー画像を用いて、当該RGBカラー画像をHSV色空間画像に変換する画像変換ステップと、RGBカラー画像をHSV色空間画像と比較して、画像中から半田付け部位を抽出して半田領域に設定する半田領域抽出ステップと、予め作成された、各プリント基板のランド部の位置情報に基づいて、画像中からランド部を特定してランド領域に設定するランド領域抽出ステップと、半田領域抽出ステップで設定した半田領域とランド領域抽出ステップで設定したランド領域の差領域を算出し、当該差領域の特徴量に応じて良否を判定する不良判定ステップとを備えるものである。
【0012】
この発明の請求項7に係る半田付け部位外観検査方法は、不良判定ステップでは、差領域の特徴量として当該差領域に外接する矩形領域の幅を算出し、当該矩形領域の幅が判定用閾値より大きい場合に不良と判定するものである。
【0013】
この発明の請求項8に係る半田付け部位外観検査方法は、不良判定ステップで不良と判定した差領域について、さらに特徴量に応じてブリッジ不良とツノ不良を判別するツノ・ブリッジ不良判別ステップを備えるものである。
【0014】
この発明の請求項9に係る半田付け部位外観検査方法は、ツノ・ブリッジ不良判別ステップでは、差領域の特徴量として当該差領域に外接する矩形領域の幅を算出し、不良判定ステップで不良と判定した差領域について、矩形領域の幅が判別用閾値以上の場合にブリッジ不良、未満の場合にツノ不良と判別するものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明の請求項1,2,5,6,7によれば、RGBカラー画像をHSV色空間画像と比較して画像中から半田付け部位を抽出して半田領域に設定し、各プリント基板のランド部の位置情報に基づいて画像中からランド部を特定してランド領域に設定し、半田領域とランド領域の差領域の特徴量に応じて良否を判定するようにしたので、L字形状の半田付け部位の検査を行う際に半田の厚さに関係なく不良部分を抽出して良否を判定することができるため、半田付け部位の不良判定を簡便かつ精度良く行うことができる。
【0016】
この発明の請求項3,4,8,9によれば、不良と判定された差領域について、さらに特徴量に応じてブリッジ不良とツノ不良を判別するようにしたので、不良の要因を精度良く判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態1に係る半田付け部位外観検査装置の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す半田付け部位外観検査装置において撮像したRGBカラー画像であり、図2(a)は偏光フィルタ3を使用しない場合、図2(b)は偏光フィルタ3を使用した場合を示す。
【図3】図1に示す画像処理装置5の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1のパターンマッチング用モデルデータ作成手段11の動作を説明するフローチャートである。
【図5】パターンマッチング用モデルデータ作成手段11がモデルデータ作成に用いる未半田プリント基板6a,7aのRGBカラー画像を示す。
【図6】実施の形態1の画像処理装置5の動作を説明するフローチャートである。
【図7】画像処理装置5の検出対象となるRGBカラー画像の一例である。
【図8】半田領域抽出手段14が抽出した半田領域の一例を示すRGBカラー画像である。
【図9】半田領域抽出手段14が決定した配線パターン141とランド領域142の位置関係を示すRGBカラー画像である。
【図10】不良判定手段16が算出した差領域151,152の一例を示すRGBカラー画像である。
【図11】不良判定手段16が不良領域をツノ不良かブリッジ不良か判別する方法を説明するRGBカラー画像である。
【図12】プリント基板6,7が横方向にずれた状態に接合された例を示すRGBカラー画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る半田付け部位外観検査装置の構成を示す概略図である。この半田付け部位外観検査装置は、カメラ1、レンズ2、偏光フィルタ3、照明装置4及び画像処理装置5を備え、プリント基板6,7を突き当てた突き当て部にあるランド部を引き半田により半田接合した断面L字形状の半田付け部位のツノ及びブリッジ不良を検出するものである。なお、半田は鉛フリー半田でもよい。また、以下の説明では、プリント基板6,7の基板の色は緑とする。
【0019】
図1に示す半田付け部位外観検査装置では、不図示の保持部材により、半田接合したプリント基板6,7を保持し、これら2枚のプリント基板6,7と等角度をなす2等分線上に照明装置4及びカメラ1を配置する。照明装置4には、拡散板付きのリング照明(白色光源)を用いることとし、プリント基板6,7の検査範囲を照らす。さらに、プリント基板6,7の基板表面で反射した光が撮像画像に映り込まないように偏光フィルタ3の偏光方向を調整してレンズ2前に設置し、カメラ1でプリント基板6,7を撮像する。カメラ1には、カラーカメラを用いることとし、RGBカラー画像(赤色、緑色、青色成分)を出力する。
【0020】
図2(a)に偏光フィルタ3を使用せずに撮像したRGBカラー画像を示し、図2(b)に偏光フィルタ3を使用して撮像したRGBカラー画像を示す。図面は白黒画像であるが、実際のRGBカラー画像上では基板の色は緑である。ただし、図2(a)のプリント基板6,7の半田付け部位101と図2(b)のプリント基板6,7の半田付け部位103とで形状が異なるのは、偏光フィルタ3の有無ではなく、異なるプリント基板を撮像したRGBカラー画像だからである。
フラックスが塗布された半田をプリント基板のランド部に半田付けすると、半田のフラックスが基板表面に残るので、そのフラックスに照明装置4の光が反射して撮像画像に映り込んでしまう場合がある。図2(a)に示す映り込み102は、後述の半田領域抽出手段14による画像処理でノイズとなるため、撮像時に偏光フィルタ3の偏光方向を調整して映り込む光を遮断しておき、S/Nを向上させる。
【0021】
図3は、図1に示す画像処理装置5の内部構成を示すブロック図である。この画像処理装置5は、後述のパターンマッチングに用いるモデルデータ(位置情報)を事前作成するパターンマッチング用モデルデータ作成手段11と、カメラ1が撮像したRGBカラー画像を取得する画像入力手段12と、RGBカラー画像をHSV色空間画像(色相、彩度、明度成分)に変換する画像変換手段13と、RGBカラー画像とHSV色空間画像を比較してプリント基板6,7の半田付け部位を画像上の半田領域として抽出する半田領域抽出手段14と、パターンマッチング用モデルデータを用いてプリント基板6,7のランド部をRGBカラー画像上で特定し、ランド領域に設定するランド領域抽出手段15と、半田領域及びランド領域からツノ及びブリッジ不良を検出する不良判定手段16とを備える。
【0022】
次に、図4に示すフローチャートを用いて、パターンマッチング用モデルデータ作成手段11によるパターンマッチング用モデルデータの作成方法を説明する。図5は、半田付けがされていないプリント基板6,7(以下、未半田プリント基板6a,7a)を、図1に示す半田付け部位外観検査装置のカメラ1で撮像したRGBカラー画像である。
パターンマッチング用モデルデータ作成手段11は、図5のRGBカラー画像に対して、プリント基板6上のランド部の位置を特定するためのテンプレートを設定する(ステップST1)。図5の例では、ランド部の近傍にある配線パターンをテンプレート111に設定する。続いてパターンマッチング用モデルデータ作成手段11は、未半田プリント基板6aの複数のランド部をランド領域112に設定し(ステップST2)、さらに、テンプレート111とランド領域112の位置関係を設定する(ステップST3)。
【0023】
パターンマッチング用モデルデータ作成手段11は、上記同様、未半田プリント基板7aのRGBカラー画像に対しても、プリント基板7上のランド部の位置を特定するためのテンプレートを設定し(ステップST4)、未半田プリント基板7aのランド部をランド領域に設定し(ステップST5)、さらに、テンプレートとランド領域の位置関係を設定する(ステップST6)。
パターンマッチング用モデルデータ作成手段11は、プリント基板6a,7aに対して設定したテンプレートとランド領域の設定情報からモデルデータを生成し、保存する(ステップST7)。
【0024】
次に、図6に示すフローチャートを用いて、画像処理装置5によるツノ及びブリッジ不良の検出方法を説明する。
先ず、画像入力手段12が、カメラ1が撮像したプリント基板6,7のRGBカラー画像を取得する(ステップST11)。続いて、画像変換手段13が、画像入力手段12が取得したRGBカラー画像をHSV色空間画像に変換する(ステップST12、画像変換ステップ)。
【0025】
図7に、画像処理装置5の検出対象となるRGBカラー画像の一例を示す。図7に示すように、プリント基板6,7の突き当て部にある各ランド部には、横方向へ引き半田による半田付けがされて、各半田付け部位121が形成された状態である。
半田付け部位121の表面は、乱反射面と鏡面性反射面とからなる。このうち、乱反射面はRGBカラー画像のR(赤色成分)画像で値が大きく、赤色成分の輝度値が大きい。一方、HSV色空間画像のS(彩度)画像では値が小さく、鮮やかさがない。また、鏡面性反射面においては、RGBカラー画像のR画像においても、HSV色空間画像のS画像においても値が小さい。なお、ツノ及びブリッジは乱反射面が主となる。
他方、プリント基板6,7の基板は緑色なので、緑色と補色関係にある赤色、即ちRGBカラー画像のR画像では値が非常に小さい。これは、緑色に赤色光源を照射すると輝度値が低くなることと等価である。一方、HSV色空間画像のS画像では値が大きく、鮮やかである。
【0026】
以上の特徴を踏まえて、半田領域抽出手段14が、RGBカラー画像のR画像とHSV色空間画像のS画像を比較し、S画像においてR画像よりも暗い領域、即ち半田付け部位の乱反射面の特徴を有する画像領域と、鏡面性反射面の特徴を有する画像領域を抽出し、半田領域に設定する(ステップST13、半田領域抽出ステップ)。図8は、半田領域抽出手段14が抽出した半田領域131の一例を示すRGBカラー画像である。なお、図8では半田領域131を明確にするためにハッチングで示す。
【0027】
以下のステップST14〜ST17はプリント基板6に対する検出処理であり、ステップST18〜ST21はプリント基板7に対する検出処理である。図9は、半田領域抽出手段14が決定した配線パターン141とランド領域142の位置関係を示すRGBカラー画像である。
先ず、プリント基板6に対する検出処理を行う。ランド領域抽出手段15は、事前にパターンマッチング用モデルデータ作成手段11が作成したモデルデータのうち、未半田プリント基板6aについてのテンプレートを用いて、RGBカラー画像とパターンマッチングを行い、プリント基板6の配線パターン141の位置を決定する(ステップST14)。
続いてランド領域抽出手段15は、モデルデータのうち、未半田プリント基板6aについてのテンプレートとランド領域の位置関係を、配線パターン141の位置に当てはめて、プリント基板6のランド領域142の位置を決定する(ステップST15)。
ステップST14,ST15がランド領域抽出ステップである。
【0028】
続いて不良判定手段16が、半田領域抽出手段14が設定したRGBカラー画像の半田領域131から、ランド領域抽出手段15が設定したランド領域142を引いて集合論的差領域(以下、差領域)を求める(ステップST16)。図10は、不良判定手段16が算出した差領域151,152の一例を示すRGBカラー画像である。なお、図10では差領域151,152を明確にするためにハッチングで示す。
続いて不良判定手段16は、差領域151,152にそれぞれ外接する矩形領域を計算し、矩形領域の特徴量(幅、面積等)が判定用閾値より大きければ、ツノ又はブリッジが発生した不良領域と判定する(ステップST17)。
ステップST16,ST17が不良判定ステップである。
【0029】
次に、プリント基板7に対する検出処理を行う。プリント基板6の場合と同様に、ランド領域抽出手段15がモデルデータを用いたパターンマッチングによりプリント基板7のランド領域の位置を決定し(ステップST18,ST19、ランド領域抽出ステップ)、不良判定手段16が半田領域とランド領域の差領域を求めて不良領域か否か判定する(ステップST20,ST21、不良判定ステップ)。
【0030】
最後に、不良判定手段16は、不良領域がツノ不良か、又はブリッジ不良かを判別する(ステップST22、ツノ・ブリッジ不良判別ステップ)。図11は、不良判定手段16が不良領域をツノ不良かブリッジ不良か判別する方法を説明するRGBカラー画像である。予め、隣り合うランド部間の幅を元に判別用閾値を算出して、不良判定手段16に設定しておく。不良判定手段16は、不良領域の引き半田方向の最大幅161,162を算出して、最大幅161,162が閾値以上であればブリッジ不良、閾値未満であればツノ不良と判別する。図11の例では、最大幅161が閾値以上なので、不良領域163がブリッジ不良と判別され、最大幅162は閾値未満なので、不良領域164はツノ不良と判別される。
【0031】
2枚のプリント基板6,7を突き当てた突き当て部に半田付け部位がある場合、例えば図12に示すように、プリント基板6のランド部とプリント基板7のランド部が横方向にずれて接合していたとしても、プリント基板6,7それぞれパターンマッチングを行って各ランド部の位置を設定するのでツノ及びブリッジ不良の検出を行うことができる。
【0032】
また、上記説明では、プリント基板6,7を突き当てた突き当て部に半田付け部位があるため、プリント基板6に対してステップST14〜ST17の検出処理を、プリント基板7に対してST18〜ST21の検出処理を行ったが、どちらか一方のプリント基板にしか半田付け部位がない場合には検出処理も一度行えばよいことは言うまでもない。
【0033】
以上より、実施の形態1によれば、プリント基板6,7同士を突き当てた突き当て部に形成され、各プリント基板6,7のランド部を電気的に接続する断面略L字形状の半田付け部位の外観検査を行う半田付け部位外観検査装置は、検査対象となる半田付け部位の略L字形状の一辺と他辺との交点を始点として、当該各辺と等角度をなす二等分線上に配置され、プリント基板6,7の突き当て部に向かって光を照射する照明装置4と、照明装置4からの光を照射した状態で半田付け部位を撮像するカメラ1と、カメラ1のレンズ2に取り付けられて、各プリント基板6,7の基板表面で反射される光を遮断する偏光フィルタ3と、カメラ1が撮像したRGBカラー画像を取得する画像入力手段12と、RGBカラー画像をHSV色空間画像に変換する画像変換手段13と、RGBカラー画像とHSV色空間画像を比較して画像中から半田付け部位を抽出して半田領域に設定する半田領域抽出手段14と、プリント基板6,7の配線パターンとランド部の位置関係を示すパターンマッチング用モデルデータを作成するパターンマッチング用モデルデータ作成手段11と、予め作成されたモデルデータに基づいて、画像中からランド部を特定してランド領域に設定するランド領域抽出手段15と、半田領域とランド領域の差領域を算出し、当該差領域に外接する矩形領域の幅を算出し、矩形領域の幅が判定用閾値より大きい場合に不良と判定する不良判定手段16とを備えるように構成した。
このため、エリア方式のカメラ1で一度に各半田付け部位を撮像することができるため、手間がかからず、かつ、検査時間の短縮を実現することができる。また、撮像時に偏光フィルタ3を用いればノイズ除去を行うこともできる。
また、RGBカラー画像とHSV色空間画像を比較して半田領域を抽出して良否判定するため、半田付け部位の厚さに関係なく、微小なツノ不良及びブリッジ不良を精度良く検出することができる。
【0034】
また、上記実施の形態1によれば、不良判定手段16が、不良と判定した差領域(不良領域)について、矩形領域の幅が判別用閾値以上の場合にブリッジ不良、判別用閾値未満の場合にツノ不良と判別するように構成した。このため、半田付け部位の不良がツノ不良かブリッジ不良か判別することができ、不良の要因を精度良く判別することができる。
【0035】
なお、上記実施の形態1では、プリント基板6,7の突き当て部のL字形状の半田付け部位を良否判定対象としたが、これに限定されるものではなく、1枚のプリント基板上に鉛フリー半田を用いてリード線やコネクタ線を引き半田した半田付け部位のツノ不良及びブリッジ不良を検出することもできる。この場合には、カメラ1の撮像方向と照明装置4の照射方向のなす角度を45度程度になるように、カメラ1と照明装置4をプリント基板上に配置して、偏光フィルタ3で照明の映り込みを除去する必要がある。
【符号の説明】
【0036】
1 カメラ
2 レンズ
3 偏光フィルタ
4 照明装置
5 画像処理装置
6,7 プリント基板
6a,7a 未半田プリント基板
11 パターンマッチング用モデルデータ作成手段
12 画像入力手段
13 画像変換手段
14 半田領域抽出手段
15 ランド領域抽出手段
16 不良判定手段
101,103 半田付け部位
102 映り込み
111 テンプレート
112 ランド領域
121 半田付け部位
131 半田領域
141 配線パターン
142 ランド領域
151,152 差領域
161,162 最大幅
163,164 不良領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板同士を突き当てた突き当て部に形成され、前記各プリント基板のランド部を電気的に接続する断面略L字形状の半田付け部位の外観検査を行う半田付け部位外観検査装置であって、
検査対象となる前記半田付け部位を含む前記プリント基板同士が撮像されたRGBカラー画像を用いて、当該RGBカラー画像をHSV色空間画像に変換する画像変換手段と、
前記RGBカラー画像を前記HSV色空間画像と比較して、前記画像中から前記半田付け部位を抽出して半田領域に設定する半田領域抽出手段と、
予め作成された、前記各プリント基板のランド部の位置情報に基づいて、前記画像中から前記ランド部を特定してランド領域に設定するランド領域抽出手段と、
前記半田領域抽出手段が設定した半田領域と前記ランド領域抽出手段が設定したランド領域の差領域を算出し、当該差領域の特徴量に応じて良否を判定する不良判定手段とを備えることを特徴とする半田付け部位外観検査装置。
【請求項2】
不良判定手段は、差領域の特徴量として当該差領域に外接する矩形領域の幅を算出し、当該矩形領域の幅が判定用閾値より大きい場合に不良と判定することを特徴とする請求項1記載の半田付け部位外観検査装置。
【請求項3】
不良判定手段は、不良と判定した差領域について、さらに特徴量に応じてブリッジ不良とツノ不良を判別することを特徴とする請求項1記載の半田付け部位外観検査装置。
【請求項4】
不良判定手段は、差領域の特徴量として当該差領域に外接する矩形領域の幅を算出し、不良と判定した前記差領域について、矩形領域の幅が判別用閾値以上の場合にブリッジ不良、未満の場合にツノ不良と判別することを特徴とする請求項3記載の半田付け部位外観検査装置。
【請求項5】
検査対象となる半田付け部位の略L字形状の一辺と他辺との交点を始点として、当該各辺と等角度をなす二等分線上に配置され、プリント基板同士の突き当て部に向かって光を照射する照明装置と、
前記二等分線上に配置され、前記照明装置から光を照射した状態で前記半田付け部位を撮像するカメラと、
前記カメラのレンズに取り付けられて、前記各プリント基板の板表面で反射される光を遮断する偏光フィルタとを備え、
画像変換手段は、前記カメラが撮像したRGBカラー画像を用いることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の半田付け部位外観検査装置。
【請求項6】
プリント基板同士を突き当てた突き当て部に形成され、前記各プリント基板のランド部を電気的に接続する断面略L字形状の半田付け部位の外観検査を行う半田付け部位外観検査方法であって、
検査対象となる前記半田付け部位を含む前記プリント基板同士が撮像されたRGBカラー画像を用いて、当該RGBカラー画像をHSV色空間画像に変換する画像変換ステップと、
前記RGBカラー画像を前記HSV色空間画像と比較して、前記画像中から前記半田付け部位を抽出して半田領域に設定する半田領域抽出ステップと、
予め作成された、前記各プリント基板のランド部の位置情報に基づいて、前記画像中から前記ランド部を特定してランド領域に設定するランド領域抽出ステップと、
前記半田領域抽出ステップで設定した半田領域と前記ランド領域抽出ステップで設定したランド領域の差領域を算出し、当該差領域の特徴量に応じて良否を判定する不良判定ステップとを備えることを特徴とする半田付け部位外観検査方法。
【請求項7】
不良判定ステップでは、差領域の特徴量として当該差領域に外接する矩形領域の幅を算出し、当該矩形領域の幅が判定用閾値より大きい場合に不良と判定することを特徴とする請求項6記載の半田付け部位外観検査方法。
【請求項8】
不良判定ステップで不良と判定した差領域について、さらに特徴量に応じてブリッジ不良とツノ不良を判別するツノ・ブリッジ不良判別ステップを備えることを特徴とする請求項6記載の半田付け部位外観検査方法。
【請求項9】
ツノ・ブリッジ不良判別ステップでは、差領域の特徴量として当該差領域に外接する矩形領域の幅を算出し、前記不良判定ステップで不良と判定した前記差領域について、矩形領域の幅が判別用閾値以上の場合にブリッジ不良、未満の場合にツノ不良と判別することを特徴とする請求項8記載の半田付け部位外観検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−153893(P2011−153893A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15185(P2010−15185)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】