説明

印刷装置

【課題】受信した印刷データが,モノクロ印刷すべきデータ(カラー印刷を行う必要がないデータ)であった場合には、カラートナーがなくてもエラーを表示しない印刷装置を、提供する。
【解決手段】印刷装置10を、印刷データ中の各印字データがカラー印刷が必要なものであるか否かを中間コードレベルで判定する装置であると共に、カラー印刷が必要な印字データが見出されない限り、カラートナー残量のチェックを行わない装置として構成しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー印刷とモノクロ印刷とが可能な印刷装置に、関する。
【背景技術】
【0002】
近年、市販されているカラー印刷装置の中には、カラー印刷中に,いずれかのカラートナー(C,M,Yトナー)が無くなった場合、印刷が未完了の各ページをモノクロ印刷させることが出来るカラー印刷装置が存在しているが、このカラー印刷装置(以下、従来装置と表記する)は、図8に模式的に示してあるように、いずれかのカラートナーが無くなっても(いずれかのカラートナーが無くなった旨のエラーの表示後にも)、印刷データからのCMYK圧縮ページデータの生成を続け、印刷が未完了の各ページをモノクロ印刷することがユーザによって指示された場合には、印刷が未完了の各ページの印刷に必要なK圧縮ページデータを、事後変換処理(CMYK圧縮ページデータに対して、伸張処理と,CMYK→K色変換処理と,圧縮処理とを施す処理)により生成する装置となっている。
【0003】
そして、従来装置は、コストパフォーマンスの観点から、事後変換処理をCPUが行うように構成されているため、従来装置の,上記した場合におけるモノクロ印刷の速度は、通常のモノクロ印刷(印刷データからK圧縮ページデータが生成される印刷)の速度よりも遅いものとなっている。
【0004】
また、先頭ページから上記のような内容の処理が行われるようにしておくと、全ページが事後変換処理により印刷されることがあり得ることになる。このため、従来装置は、印刷データ(モノクロ印刷を行うべきことが明示的に示されていないもの)を受信した場合、まず、各カラートナーの残量をチェックし、いずれかのカラートナーがなかった場合には、必ず(受信した印刷データが,モノクロ印刷が可能なデータや、印刷が不必要なフォーム登録用の印刷データであっても)、その印刷データに関する実際の処理を開始することなく,エラー表示を行うように構成された装置となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の第1の課題は、受信した印刷データが,モノクロ印刷すべきデータ(カラー印刷を行う必要がないデータ)であった場合には、カラートナーがなくてもエラーを表示しない印刷装置を、提供することにある。
【0006】
また、本発明の第2の課題は、印刷が未完了の各ページのモノクロ印刷がより高速に行える印刷装置を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の課題を解決するために、本発明の印刷装置は、CMYKページデータに基づくカラー印刷とKページデータに基づくモノクロ印刷とを実行可能な印刷実行手段と、1ページ分の印刷内容をページ記述言語で定義した1つ以上の印字データを含む印刷データを受信し、受信した印刷データに基づき、CMYKページデータ或いはKページデータを生成するページデータ生成手段と、ページデータ生成手段が生成した各ページデータを,順次,印刷実行手段へ供給するページデータ供給手段とを備えた構成であって、ページデータ生成手段が、印刷データを受信した場合、1ページ分の印字データを、その印字データがカラー印刷を行うべきカラーデータであるかモノクロ印刷を行うべきモノクロデータであるかを判定するための処理を行いながら中間コードに変換し、印字データがカラーデータであった場合には、印刷実行手段の各カラートナーの残量をチェックし、全てのカラートナーが残っていた場合には、中間コードからCMYKページデータを生成し、印字データがモノクロデータであった場合には、中間コードからKページデータを生成する処理を,印刷データ中の各1ページ分の印字データに対して繰り返す第1動作モードでの動作を開始する手段であると共に、第1動作モードにて、一旦、CMYKページデータを生成した後には、1ページ分の印字データを中間コードに変換して当該中間コードからCMYKページデータを生成するCMYKページデータ生成処理を,印刷データ中の各1ページ分の印字データに対して繰り返す第2動作モードでの動作を開始する手段である構成を、有する。
【0008】
すなわち、本発明の印刷装置は、印刷データ中の各印字データがカラー印刷が必要なものであるか否かを中間コードレベルで判定する装置であると共に、カラー印刷が必要なページ(印字データ)が現れない限り、カラートナー残量のチェックを行わない装置となっている。従って、この印刷装置は、いずれかのカラートナーがない状態で、カラー印刷を行う必要がない印刷データ等を受信した場合、エラーメッセージを表示してしてしまう従来装置(既存のカラー印刷装置)よりも、ユーザにとって使い勝手の良い装置となっていると言うことが出来る。
【0009】
なお、本発明の印刷装置を実現する際には、ページデータ生成手段を、非圧縮データタイプのページデータを生成する手段としておくことも、圧縮データタイプのページデータを生成する手段としておくことも(印刷実行手段を、非圧縮データタイプのページデータを必要とする手段としておくことも、圧縮データタイプのページデータを必要とする手段としておくことも)、出来る。
【0010】
また、本発明の印刷装置を実現する際には、ページデータ生成手段の第1動作モードが、いずれかのカラートナーが残っていなかった場合、モノクロ印刷を行うか,カラートナーの補充を行うかをユーザに問い合わせ、モノクロ印刷を行うことがユーザによって指示された場合には、中間コードからKページデータを生成した後、第2動作モードに移行する動作モードとなり、ページデータ生成手段の第2動作モードが、モノクロ印刷を行うことがユーザによって指示された結果としてモード移行がなされた場合には、1ページ分の印字データを中間コードに変換して当該中間コードからKページデータを生成するKページデータ生成処理を,印刷データ中の各1ページ分の印字データに対して繰り返す動作モードとなるようにしておくことが出来る。
【0011】
また、ページデータ供給手段が、CMYKページデータを印刷実行手段へ供給する前に印刷実行手段の各カラートナーの残量をチェックし、いずれかのカラートナーが残っていなかった場合には、モノクロ印刷を行うかカラートナーの補充を行うかをユーザに問い合わせ、モノクロ印刷を行うことを指示された場合には、ページ生成手段によって既に生成されている各CMYKページデータをKページデータに変換して印刷実行手段へ供給する手段となり、ページデータ生成手段の第2動作モードが、ページデータ供給手段による問い合わせが行われている間は、CMYKページデータ生成処理を開始しない動作モードであると共に、ユーザがページデータ供給手段に対してモノクロ印刷を行うことを指示した後には、各1ページ分の印字データについてKページデータ生成処理を行う状態となる動作モードとなるようにしておけば、上記した第2の課題も解決できる印刷装置を実現(製造)できることになる。
【0012】
また、ページデータ供給手段として、受信した印刷データに、所定のコマンドが含まれていた場合、カラートナー残量のチェックを行うことなく、当該印刷データを中間コード化したデータを生成し,生成したデータを保存する手段を採用しておけば、受信した印刷データが,モノクロ印刷が可能なデータや、印刷を行う必要がない印刷データ(フォーム登録用の印刷データ、後で印刷を行うために保存しておく印刷データ)であった場合には、カラートナーがなくてもエラーを表示しない印刷装置を実現できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1に示してあるように、本発明の一実施形態に係る印刷装置10は、操作パネル11と制御部12と印刷エンジン13とを備えた装置である。また、印刷装置10は、プリンタドライバ40がインストールされている何台か(図では、1台)のPCと接続されて使用される装置となっている。
【0015】
本印刷装置10が備える操作パネル11は、ユーザとの間のインタフェース手段として、印刷装置10の筐体に設けられているユニットである。この操作パネル11は、LCDや複数の押しボタンスイッチ等で構成されたユニットとなっている。
【0016】
印刷エンジン13は、制御部12からのCMYK圧縮ページデータ(各色のイメージデータの圧縮データの集合)が示している内容のカラー印刷を行う機能と、制御部12からのK圧縮ページデータ(Kイメージデータの圧縮データ)が示している内容のモノクロ印刷を行う機能とを有する可能なユニットである。この印刷エンジン13は、各トナーの残量があるか無いかを検出するためのエンプティセンサを備えたユニットとなっている。
【0017】
制御部12は、CPU,RAM,ROM(フラッシュROM),メモリ制御ASIC15,IO制御ASIC,各種PCインタフェース回路(ネットワークインタフェース回路等の,PC/プリンタドライバ40と通信を行うための回路)等で構成された、印刷装置10をフォームオーバレイ印刷が可能なプリンタとして動作させるためのユニットである。
【0018】
この制御部12は、ハードウェア的には、既存の制御部と同じものとなっている。このため、制御部12の各構成要素の詳細説明は省略するが、制御部12に用いられているメモリ制御ASIC15は、RAM上の1ページ分の中間コードのバンド展開結果(一種のRGBイメージデータ)から,RAM上にCMYK圧縮ページデータ或いはK圧縮ページデータを生成する処理(CPUが指定した種類の圧縮ページデータをRAM上に生成する処理)を高速に行える画像処理回路18を内蔵したASICとなっている。
【0019】
プリンタドライバ40は、1ページ分の印刷内容がページ記述言語で定義されたデータ(以下、印字データと表記する)を1つ以上(ページ毎に)含む印刷データを生成して印刷装置10へ送信するプログラムである。このプリンタドライバ40が生成・送信する印刷データは、所定内容のジョブ開始コマンドの後に、何組かの印字データ及び改ページコマンド,ジョブエンドコマンドが続くといったフォーマットのデータとなっている。
【0020】
また、プリンタドライバ40は、所定の設定(フォーム登録を指示する設定)がなされている場合には、フォーム登録コマンドを含めた印刷データ(印字データを1つしか含まないもの)を生成して印刷装置10に送信するプログラムとなっている。
【0021】
次に、本実施形態に係る印刷装置10の動作を説明する。なお、本印刷装置10用のプリンタドライバ40は、モノクロ印刷を指示するコマンドを含めた印刷データを送信することも可能なものなのであるが、以下では、当該コマンドを含まない印刷データに対する印刷装置10の動作のみを説明することにする。
【0022】
本実施形態に係る印刷装置10内の制御部12は、ジョブ監視コマンドを受信した場合には、図2〜図5に示した手順のページデータ生成処理を開始し、このページデータ生成処理により印刷要求が発行された場合には、図6に示した手順のページデータ供給処理を開始するように構成された(プログラムされた)ユニットである。
【0023】
すなわち、制御部12は、ジョブ開始コマンドを受信した場合、以下のように動作するユニットとなっている。
【0024】
この場合、制御部12は、まず、各種変数(F_FIRST, F_CONVERT, F_FORM_REG, F_AFTER, F_IR_AFTER, F_WAIT)に初期値を設定する処理(ステップS101)を行う。なお、このステップS101の処理で“0”が設定されているF_WAIT及びF_IR_AFTERは、このページデータ生成処理ではなく、後述するページデータ供給処理(図6)によって値の書き換えられる変数である。
【0025】
ステップS101の処理を終えた制御部12は、F_RGB,F_DATAにそれぞれ“0”を設定する処理(ステップS102)を行う。
【0026】
その後、制御部12は、F_WAITの値が“1”であるか否かを判断(ステップS103)し、F_WAITの値が“1”でなかった場合(ステップS103;NO)には、F_AFTERの値が“1”であるか否かを判断する(ステップS104)。また、制御部12は、F_WAITの値が“1”であった場合(ステップS103;YES)には、F_WAITの値が“1”ではない値(“0”)となる(ステップS103;NO)のを待機してから、ステップS104の判断を行う。
【0027】
F_AFTERの値が“1”であった場合(ステップS104;YES)、制御部12は、図3の処理を開始する。
【0028】
一方、F_AFTERの値が“1”でなかった場合(ステップS104;NO)、制御部12は、F_IR_AFTERの値が“1”であった場合に限り,F_AFTER, F_FIRST, F_CONVERTに,それぞれ,“1”を設定する処理(ステップS105,S106)を行ってから、図3の処理を開始する。
【0029】
図3の処理を開始した制御部12は、まず、今回,処理すべき情報が,コマンドであるか印字データであるかを判断する(ステップS111)。そして、制御部12は、今回,処理すべき情報が,印字データであった場合(ステップS111;YES)には、図4の処理を開始して、まず、印字データが、カラー印刷を行うべきデータであるか,モノクロ印刷を行うべきデータであるかを判定するための処理を行いながら、印字データを中間コード化してRAM上に記憶する処理(ステップS121)を、行う。
【0030】
その後、制御部12は、ステップS121の処理によって、印字データがカラー印刷を行うべきデータであると判定されていた場合に限り、F_RGBに“1”を設定する処理(ステップS122及びS123)と、F_DATAに“1”を設定する処理(ステップS124)とを行う。なお、図への表記は省略してあるが、このステップS124の処理は、印字データが、カラー印刷を行うべきデータ,モノクロ印刷を行うべきデータのいずれかであった場合にのみ,F_DATAに“1”を設定する処理となっている。
【0031】
そして、ステップS124の処理を終えた制御部12は、ステップS111(図3)以降の処理を再び開始する。
【0032】
また、制御部12は、今回,処理すべき情報が,コマンドであった場合(図3;ステップS111)には、そのコマンドが、フォーム登録コマンド,改ページコマンド,ジョブエンドコマンドのいずれであるかを判断する(ステップS112)。
【0033】
今回,処理すべきコマンドがフォーム登録コマンドであった場合(ステップS112;フォーム登録)、制御部12は、F_FORM_REG,F_AFTERに、それぞれ、“1”を設定する処理(ステップS113)を行ってから,ステップS111以降の処理を再び開始する。
【0034】
また、制御部12は、今回,処理すべきコマンドがジョブエンドコマンドであった場合(ステップS112;ジョブエンド)には、特に処理を行うことなく、今回、受信した印刷データに対するページデータ生成処理(図2〜図5の処理)を終了する。
【0035】
また、制御部12は、今回,処理すべきコマンドが改ページコマンドであった場合(ステップS112;改ページ)には、F_FORM_REGの値が“1”であるか否かを判断(ステップS114)し、F_FORM_REGの値が“1”であった場合(ステップS114;YES)には、RAM上の印字データ(ステップS121の処理にて記憶されたデータ)を、フォームデータとして、ROM上に記憶するフォーム登録処理(ステップS115)を行う。そして、制御部12は、今回、受信した印刷データに対するページデータ生成処理を終了する。
【0036】
一方、F_FORM_REGの値が“1”でなかった場合(ステップS114;NO)、制御部12は、F_DATAの値(図4のステップS124参照)が“1”であるか否かを判断する(ステップS116)。そして、制御部12は、F_DATAの値が“1”ではなかった場合(ステップS116;NO)には、ステップS111以降の処理を開始し、F_DATAの値が“1”であった場合(ステップS116;YES)には、F_RGBの値が“1”であるか否かを判断する(図5;ステップS141)。
【0037】
F_RGBの値が“1”ではなかった場合(ステップS141;NO)、制御部12は、RAM上の中間コードをバンド展開し、その展開結果からRAM上にK圧縮ページデータを生成する処理(ステップS149)と、今回、生成したK圧縮ページデータの印刷要求(詳細は後述)を発行する処理(ステップS151)とを行ってから、ステップS104(図2)以降の処理を開始する。
【0038】
また、制御部12は、F_RGBの値が“1”であった場合(ステップS141;YES)には、F_FIRSTの値が“0”であるか否かを判断する(ステップS142)。そして、制御部12は、F_FIRSTの値が“0”ではなかった場合(ステップS142;NO)には、RAM上の中間コードをバンド展開し、その展開結果からRAM上にCMYK圧縮ページデータを生成する処理(ステップS150)を行う。そして、制御部12は、生成したCMYK圧縮ページデータの印刷要求を発行する処理(ステップS151)を行ってから、ステップS104(図2)以降の処理を開始する。
【0039】
一方、F_FIRSTの値が“0”であった場合(ステップS142;YES)、制御部12は、F_FIRSTに“1”を設定(ステップS143)してから、各カラートナー(C,M,Yトナー)の残量(各カラートナーのエンプティセンサの出力)を検出する(ステップS144)。
【0040】
そして、制御部12は、各カラートナーが残っていた場合(ステップS145;NO)には、RAM上の中間コードをバンド展開し、その展開結果からRAM上にCMYK圧縮ページデータを生成する処理(ステップS150)と、生成したCMYK圧縮ページデータの印刷要求を発行する処理(ステップS151)とを行ってから、ステップS104(図2)以降の処理を開始する。
【0041】
また、制御部12は、いずれかのカラートナー残量が“0”であった場合(ステップS145;YES)には、“カラートナーの補充を行って所定のボタンを押下すると、カラー印刷を続行でき、カラートナーを補充せずに所定のボタンを押下すると、モノクロ印刷が開始されることなどを示すメッセージ”を操作パネル11のLCD上に表示した後、操作パネル11の所定のボタンが押下されるのを待機するエラー表示処理(ステップS146)を、開始する。
【0042】
そして、制御部12は、エラー表示処理が完了した場合(所定のボタンが押下された場合)には、カラートナーが補充されたか否かを判断(ステップS147)し、カラートナーが補充されていた場合(ステップS147;YES)には、ステップS150以降の処理を開始する。また、制御部12は、カラートナーが補充されていなかった場合(ステップS147;NO)には、F_CONVERTに“1”を設定(ステップS148)してから、ステップS150以降の処理を開始する。
【0043】
制御部12は、ジョブ開始コマンドを受信した場合、上記のような内容のページデータ生成処理を実行するユニットとなっている。さらに、制御部12は、ページデータ生成処理により印刷要求が発行されると、必要である場合には、印刷エンジン13が所定状態となるのを待ってから、図6に示した手順のページデータ供給処理を開始するユニット(印刷要求のキューイングを行うユニット)となっている。
【0044】
すなわち、ページデータ生成処理によって印刷要求が発行された場合、制御部12は、まず、発行された印刷要求で処理すべきものとして指定されているページデータ(以下、処理対象ページデータと表記する)が、K圧縮ページデータ(図では、Kデータ)であるか否かを判断する(ステップS201)。
【0045】
そして、制御部12は、処理対象ページデータがK圧縮ページデータであった場合(ステップS201;YES)には、処理対象ページデータ(K圧縮ページデータ)を印刷エンジン13に供給する処理(ステップS210)を行ってから、このページデータ供給処理(図6の処理)を終了する。
【0046】
一方、処理対象ページデータがCMYK圧縮ページデータであった場合(ステップS201;NO)、制御部12は、各カラートナー(C,M,Yトナー)の残量(各カラートナーのエンプティセンサの出力)を検出する(ステップS202)。そして、制御部12は、各カラートナーが残っていた場合(ステップS203;NO)には、処理対象ページデータ(この場合、CMYK圧縮ページデータ)を印刷エンジン13に供給する処理(ステップS210)を行ってから、ページデータ供給処理を終了する。また、制御部12は、
【0047】
また、制御部12は、いずれかのカラートナー残量が“0”であった場合(ステップS145;YES)には、F_WAITに“1”を設定(ステップS204)してから、上記したものと同内容のエラー表示処理(ステップS205)を行う。そして、制御部12は、エラー表示処理が完了した場合(所定のボタンが押下された場合)には、F_WAITに“0”を設定(ステップS206)してから、カラートナーが補充されたか否かを判断する(ステップS207)。
【0048】
そして、制御部12は、カラートナーが補充されていた場合(ステップS207;YES)には、処理対象ページデータ(この場合、CMYK圧縮ページデータ)を印刷エンジン13に供給する処理(ステップS210)を行ってから、ページデータ供給処理を終了する。また、制御部12は、カラートナーが補充されていなかった場合(ステップS207;NO)には、F_IR_AFTERに“1”を設定する処理(ステップS208)を行う。その後、制御部12は、RAM上の各CMYK圧縮ページデータ(処理対象ページデータ及び印刷要求が既に発行されている各CMYK圧縮ページデータ)をK圧縮ページデータに変換して印刷エンジン13に供給する処理(CMYK圧縮ページデータ毎に、そのCMYK圧縮ページデータを解凍し,CMYK→K色変換を行い、圧縮し、印刷エンジン13に供給するする処理:ステップS209)を行ってから、このページデータ供給処理を終了する。
【0049】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る印刷装置10は、受信した印刷データが、カラー印刷を行う必要がない印刷データ(F_RGB=0)や、フォーム登録用の印刷データ(F_FORM_REG=1)であった場合には、カラートナー残量のチェック(図5のステップS114,S145,図6のステップS202,S203)をすることなく、印刷を行う装置となっている。従って、この印刷装置10は、いずれかのカラートナーがない状態で、カラー印刷を行う必要がない印刷データや、フォーム登録用の印刷データを受信した場合、エラーメッセージを表示してしてしまう既存のカラー印刷装置よりも、ユーザにとって使い勝手の良い装置となっていると言うことが出来る。
【0050】
また、印刷装置10は、カラー印刷を行うべき印刷データの処理中に,いずれかのカラートナーが無くなった場合(ステップS203;YES)、ページデータ生成処理によるCMYK圧縮ページデータの生成が停止され(ステップS204,ステップS103)、ユーザがモノクロ化による印刷の続行を希望した場合(ステップS207;NO)には、ページデータ生成処理によるK圧縮ページデータの生成が開始される(ステップS208,ステップS105,S106等参照)装置となっている。すなわち、印刷装置10は、カラー印刷を行うべき印刷データの処理中にいずれかのカラートナーが無くなり、ユーザがモノクロ化による印刷の続行を希望した場合、図7に模式的に示してあるように、カラートナーが無くなる前に生成されたCMYK圧縮ページデータについてのみ事後変換処理(CMYK圧縮ページデータを解凍し、CMYK→Kの色変換処理を行い、圧縮する処理)が行われる装置となっている。
【0051】
従って、印刷装置10は、既存のカラー印刷装置(図8)よりも、上記のような場合における印刷が短時間で完了する装置となっていると言うことが出来る。
【0052】
《変形形態》
上記した印刷装置10は、各種の変形を行うことが出来る。例えば、印刷装置10を、印刷データを装置内に保存しておく機能を有する装置であって、自装置内に保存しておくべき印刷データ(いわゆるリザーブジョブデータ)を受信した場合には、その印刷データに対して、ファーム登録用の印刷データと同様の処理を行う装置に変形することも出来る。また、印刷装置10を、非圧縮データタイプのページデータの供給を必要とする印刷エンジン11が用いられたもの(コントローラ12が、非圧縮データタイプのページデータを印刷エンジン11に供給するもの)に変形することも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の構成図。
【図2】実施形態に係る印刷装置内の制御部が実行するページデータ生成処理の流れ図。
【図3】実施形態に係る印刷装置内の制御部が実行するページデータ生成処理の流れ図。
【図4】実施形態に係る印刷装置内の制御部が実行するページデータ生成処理の流れ図。
【図5】実施形態に係る印刷装置内の制御部が実行するページデータ生成処理の流れ図。
【図6】実施形態に係る印刷装置内の制御部が実行するページデータ供給処理の流れ図。
【図7】実施形態に係る印刷装置の印刷動作の説明図。
【図8】従来のカラー印刷装置の印刷動作の説明図。
【符号の説明】
【0054】
10 印刷装置、 11 操作パネル、 12 制御部、 13 印刷エンジン
15 メモリ制御ASIC、 18 画像処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CMYKページデータに基づくカラー印刷とKページデータに基づくモノクロ印刷とを実行可能な印刷実行手段と、
1ページ分の印刷内容をページ記述言語で定義した1つ以上の印字データを含む印刷データを受信し、受信した印刷データに基づき、CMYKページデータ或いはKページデータを生成するページデータ生成手段と、
前記ページデータ生成手段が生成した各ページデータを,順次,前記印刷実行手段へ供給するページデータ供給手段と
を、備え、
前記ページデータ生成手段が、
前記印刷データを受信した場合、
1ページ分の印字データを、その印字データがカラー印刷を行うべきカラーデータであるかモノクロ印刷を行うべきモノクロデータであるかを判定するための処理を行いながら中間コードに変換し、前記印字データが前記カラーデータであった場合には、前記印刷実行手段の各カラートナーの残量をチェックし、全てのカラートナーが残っていた場合には、前記中間コードからCMYKページデータを生成し、前記印字データが前記モノクロデータであった場合には、前記印刷実行手段の各カラートナーの残量をチェックすることなく、前記中間コードからKページデータを生成する処理を,前記印刷データ中の各1ページ分の印字データに対して繰り返す第1動作モードでの動作を開始する手段であると共に、
前記第1動作モードにて、一旦、CMYKページデータを生成した後には、
1ページ分の印字データを中間コードに変換して当該中間コードからCMYKページデータを生成するCMYKページデータ生成処理を,前記印刷データ中の各1ページ分の印字データに対して繰り返す第2動作モードでの動作を開始する手段である
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記ページデータ生成手段の前記第1動作モードが、
いずれかのカラートナーが残っていなかった場合、モノクロ印刷を行うか,カラートナーの補充を行うかをユーザに問い合わせ、モノクロ印刷を行うことがユーザによって指示された場合には、前記中間コードからKページデータを生成した後、第2動作モードに移行する動作モードであり、
前記ページデータ生成手段の前記第2動作モードが、
モノクロ印刷を行うことがユーザによって指示された結果としてモード移行がなされた場合には、1ページ分の印字データを中間コードに変換して当該中間コードからKページデータを生成するKページデータ生成処理を,前記印刷データ中の各1ページ分の印字データに対して繰り返す動作モードである
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記ページデータ供給手段が、
CMYKページデータを前記印刷実行手段へ供給する前に前記印刷実行手段の各カラートナーの残量をチェックし、いずれかのカラートナーが残っていなかった場合には、モノクロ印刷を行うかカラートナーの補充を行うかをユーザに問い合わせ、モノクロ印刷を行うことを指示された場合には、前記ページ生成手段によって既に生成されている各CMYKページデータをKページデータに変換して前記印刷実行手段へ供給する手段であり、
前記ページデータ生成手段の第2動作モードが、
前記ページデータ供給手段による問い合わせが行われている間は、前記CMYKページデータ生成処理を開始しない動作モードであると共に、ユーザが前記ページデータ供給手段に対してモノクロ印刷を行うことを指示した後には、各1ページ分の印字データについて前記Kページデータ生成処理を行う状態となる動作モードである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記ページデータ供給手段が、
受信した印刷データに、所定のコマンドが含まれていた場合、カラートナー残量のチェックを行うことなく、当該印刷データを中間コード化したデータを生成し,生成したデータを保存する手段である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−213303(P2008−213303A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53912(P2007−53912)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】