説明

可変ノズルターボ過給機の制御装置

【課題】排気タービンに供給されるタービン入口エネルギーを正確に推定し、このタービン入口エネルギーに基づいて可変ノズルの開度目標値を精度良く設定できる過給機を提供する。
【解決手段】排気タービンの入口側開口部に設けられ、ターボ過給機の容量を調整する可変ノズルと、開度目標値に応じて可変ノズルを駆動するアクチュエータと、を備える。排気流量EQH_EXHと、排気タービンの上流側のタービン入口温度ETTINと、排気タービンの上流側のタービン入口圧力RPTINと、等に基づいてタービン入口エネルギーEN_TINを算出し、このタービン入口エネルギーEN_TINとEGR率とに基づいて、可変ノズルの開度目標値を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変ノズルを備えた容量可変型の可変ノズルターボ過給機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの排気エネルギーにより駆動されて吸気の過給を行うターボ過給機として、可変ノズルを備えた容量可変型のものが知られている。特許文献1には、排気流量を表す吸入空気量と燃料噴射量とから排気エネルギーを求め、この排気エネルギーに基づいて過渡時の可変ノズルの目標開度を設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−299828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際に排気タービンが受けることとなる排気タービンの上流側の排気エネルギー、すなわちタービン入口エネルギーは、同じ排気流量であってもエンジン運転状態に応じて変化する。例えば、加速時や減速時のように機関負荷が変化する過渡時と機関負荷が変化しない定常時とでは、排気タービンの上流側の温度や圧力が異なるために、同じ排気流量であってもタービン入口エネルギーは異なるものとなる。従って、排気流量のみから排気タービンに供給される排気エネルギーを正確に予測することはできず、この排気エネルギーから可変ノズルの目標開度を設定しても、その設定精度が低いものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明に係る可変ノズルターボ過給機は、エンジンの排気通路に設けられた排気タービンと、この排気タービンの入口側開口部に設けられ、ターボ過給機の容量を調整する可変ノズルと、開度目標値に応じて上記可変ノズルを駆動するアクチュエータと、を備えている。そして、本発明の制御装置は、排気流量と、上記排気タービンの上流側のタービン入口温度と、上記排気タービンの上流側のタービン入口圧力と、に基づいてタービン入口エネルギーを算出し、このタービン入口エネルギーに基づいて、上記開度目標値を設定することを特徴としている。
【0006】
排気流量(質量流量)は、例えばエアフローメーターにより検出される吸気流量(質量流量)と燃料噴射量とを加算することにより求められる。タービン入口温度は、例えば排気タービンの上流側に設けられるタービン入口温度センサのセンサ出力値を利用し、好ましくは、この温度センサの応答遅れを補償するように、燃料噴射量の変化を考慮して求められる。タービン入口圧力は、例えば排気タービンの上流側に設けられるタービン入口圧力センサにより検出される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排気流量の他、排気タービンの上流側のタービン入口温度とタービン入口圧力とを考慮して、排気タービンに供給されるタービン入口エネルギーを正確に推定することができ、このタービン入口エネルギーに基づいて可変ノズルの開度目標値を精度良く設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例に係る可変ノズルターボ過給機の制御装置が適用されたディーゼルエンジンの全体的構成を示す構成説明図。す構成図。
【図2】ノズル開度目標値の制御マップを示す特性図。
【図3】タービン入口エネルギーの演算処理を示す演算ブロック図。
【図4】タービン入口温度の補正演算処理を示す演算ブロック図。
【図5】温度補正基本値の制御マップを示す特性図。
【図6】本実施例及び比較例のブースト圧の変化を示す説明図。
【図7】本実施例及び比較例のタービン入口圧力の変化を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の一実施例が適用されるディーゼルエンジン1の全体的構成を示している。排気を吸気通路3へ供給するように排気通路2と吸気通路3のコレクタ部3aとを結ぶEGR通路4に、図外の圧力制御弁からの制御圧力に応動するダイヤフラム式のEGR弁6を備えている。上記EGR弁6は、上記圧力制御弁を介してコントロールユニット5によって制御され、運転条件に応じた所定のEGR率(排気還流量/(吸入空気量+排気還流量))を得るようになっている。たとえば、低速低負荷域ではEGR率が最大となり、回転速度、負荷が高くなるに従い、EGR率が減少していく。上記吸気通路3の吸気ポート近傍には、吸入空気量(新気量)を調整する電制のスロットルバルブ9が設けられ、このスロットルバルブ9の開度はコントロールユニット5により制御される。
【0010】
また、このディーゼルエンジン1は、コモンレール式の燃料噴射装置10を備えている。このコモンレール式の燃料噴射装置10においては、サプライポンプ11により加圧された燃料が高圧燃料供給通路12を介して蓄圧室(コモンレール)13にいったん蓄えられたあと、この蓄圧室13から各気筒の燃料噴射ノズル14に分配され、各燃料噴射ノズル14の開閉に応じてそれぞれ噴射される。上記蓄圧室13内の燃料圧力は、図示せぬプレッシャレギュレータによって可変的に調整されるようになっており、蓄圧室13には、燃料圧力を検出するために燃料圧力センサ15が設けられている。
【0011】
更に、このディーゼルエンジン1は、排気タービン22とコンプレッサ23とを同軸上に備えた可変ノズルターボ過給機21を有している。上記排気タービン22は、排気通路2のEGR通路4の分岐点つまり排気取入口4Aよりも下流側に位置し、かつこの排気タービン22の入口側開口部つまりスクロール入口に、ターボ過給機の容量を調整する可変ノズル24を備えた容量可変型の構成となっている。すなわち、可変ノズル24の開度を小さくした状態では、低速域のような排気流量の少ない条件に適した小容量の特性となり、可変ノズル24の開度を大きくした状態では、高速域のような排気流量の多い条件に適した大容量の特性となる。上記可変ノズル24は、制御圧力(制御負圧)に応動するダイヤフラム式のアクチュエータ25によって駆動され、かつ上記制御圧力は、デューティ制御される圧力制御弁26を介して生成される。
【0012】
排気タービン22の下流側の排気通路2には、排気ガスを浄化する触媒として、上流側より順に、酸化触媒27と、排気中のNOxを吸着及び脱離・浄化するNOx浄化触媒28と、排気中の排気微粒子(PM)をトラップし、堆積したPMを燃焼などの方法により定期的に除去すなわち再生する排気後処理装置としての微粒子捕捉フィルタすなわちDPF29と、が設けられている。
【0013】
また、吸気通路3に介装された上記コンプレッサ23の上流側には、吸入空気量つまり新気量を検出するエアフローメーター31が配設され、さらにその上流に、エアクリーナ32が位置している。上記コンプレッサ23とコレクタ部3aとの間には、過給された高温の空気を冷却するインタークーラ33が設けられている。
【0014】
上記の圧力制御弁26などを制御するコントロールユニット5には、上述のエアフローメーター31の検出信号のほかに、過給圧を検出する過給圧センサ41、冷却水温を検出する水温センサ42、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセル開度センサ43、吸気温度を検出する吸気温度センサ44、エンジン回転速度を検出する回転速度センサ45、排気通路2における排気タービン22の上流側に設けられ、タービン上流圧力RPTINを検出するタービン入口圧力センサ46、排気通路2における排気タービン22の上流側に設けられ、タービン上流温度に対応するセンサ出力値RTTINを出力するタービン入口温度センサ52、排気通路2における酸化触媒27の上流側の酸素濃度を検出する第1酸素センサ47、排気通路2におけるNOx浄化触媒28とDPF29との間の酸素温度を検出する第2酸素センサ48、DPF29の入口温度を検出する入口温度センサ49、DPF29の出口温度を検出する出口温度センサ50、DPF29の前後の差圧を検出するDPF差圧センサ51などのセンサ類の検出信号が入力されている。
【0015】
なお、タービン入口圧力センサ46やタービン入口温度センサ52は、EGR通路4の排気取出口4Aの近傍に配置されており、これらのセンサ信号は、後述するタービン入口エネルギーの演算の他、実際のEGR率の検出・推定にも用いられる。
【0016】
そして本実施例では、排気タービン22に供給される排気エネルギーである、排気タービン22の上流側のタービン入口エネルギーEN_TINを算出し、このタービン入口エネルギーEN_TINとEGR率とに基づいて、可変ノズル24の開度目標値を設定している。この開度目標値となるノズル開度が得られるように、可変ノズル24のアクチュエータ25が駆動される。図2に示すように、ノズル開度目標値は、基本的にはタービン入口エネルギーが高くなるほど開き側とされ、EGR率が大きくなるほど閉じ側とされる。なお、実際にアクチュエータ25へ出力される信号は、制御圧力(負圧)を生成する圧力制御弁26を駆動するパルス信号のONデューティ比の形で与えられ、これに対応した圧力信号つまり制御圧力がアクチュエータ25へ出力されることになる。
【0017】
ここで、タービン入口エネルギーEN_TINは、下式(1)で表される。
EN_TIN=CP×EQH_EXH×ETTIN+1/2u2×EQH_EXH…(1)
『CP』は定圧比熱、『ETTIN』はタービン入口温度、『u』は排気タービン22の上流側の流速である。『EQH_EXH』は排気流量(質量流量)であり、エアフローメーター31により検出される吸気流量(質量流量)と燃料噴射量とを加算して求められる。
【0018】
排気タービン22の上流側に設けられる温度センサ52と圧力センサ46のうち、一般的に、温度センサは過渡時の応答性が低く、その検出精度が低いのに対し、圧力センサ46は過渡時の応答性に優れ、検出精度が高い。そこで、タービン入口エネルギーEN_TINの推定精度を向上させるために、上記の式(1)を下式(2)に変形し、圧力センサ46により検出される排気圧力ETTINを敢えて用いるものとした。また、排気タービン22の入口部分の流速は遅いので、上記『1/2u2』は非常に小さな値となり、推定精度への影響は小さいので省略している。
【0019】
EN_TIN=CV×EQH_EXH×ETTIN+RPTIN×V …(2)
『CV』は定容比熱であり、エンジン固有の固定値である。『V』はシリンダの体積流量であり、シリンダ体積KVCEとエンジン回転速度NEとを乗算することで求められる。右辺の『CV×EQH_EXH×ETTIN』が温度エネルギーに相当し、『RPTIN×V』が圧力エネルギーに相当する。
【0020】
図3は、このようなタービン入口エネルギーEN_TINの具体的な演算内容を示す演算ブロック図である。同図に示すように、実際には、ブロックB1において排気温度ETTINを絶対温度に換算した上で、ブロックB2において単位換算係数KCONJを用いて温度エネルギーの単位を換算し、また、ブロックB3において単位換算係数KCONMを用いて圧力エネルギーのエンジン回転速度の単位を換算している。
【0021】
図4は、タービン入口温度センサ52の応答遅れを補償する演算処理を示す演算ブロック図である。加速時や減速時等の過渡時には、主として機関負荷の変化に伴う燃料噴射量の変化により実際のタービン入口温度が変動する。このような温度変動に対する温度センサ52の応答遅れを補償するように、タービン入口温度センサ52のセンサ出力値RTTINを補正してタービン入口温度ETTINを求めている。
【0022】
具体的には、先ず噴射時期の異なるメイン噴射とアフター噴射とポスト噴射の3つに分けて、それぞれ温度補正基本値を算出する。これは、個々の噴射によって、燃料噴射量のうちでトルクに寄与する割合(すなわち、筒内で燃焼して機関出力トルクとして取り出される割合)と、トルクに寄与しない割合とが異なり、また、トルクに寄与しない燃料噴射量のうちで、排気タービン22の上流側または排気タービン22内で燃焼することでタービン入口エネルギー、つまりタービン入口温度の上昇に寄与する割合も異なるためである。
【0023】
出力を得るためのメイン噴射よりも後に噴射されるアフター噴射は、筒内に残存する燃え残りの燃料を燃やし、未燃燃料の排出を抑制するためのものであり、メイン噴射よりもトルクに寄与する燃料の割合は小さく、タービン入口温度の上昇に寄与する割合が相対的に高くなる。このアフター噴射よりも後に噴射されるポスト噴射は、筒内で燃やすことが目的ではなく、燃料を排気通路へ送り、主として触媒でのすすの燃焼や触媒昇温を目的とするものであり、アフター噴射よりも更にトルクに寄与する燃料の割合は小さく、タービン入口温度の上昇に寄与する割合が高くなる。
【0024】
個々の噴射について同様の処理が行われるが、メイン噴射を例にとって説明すると、ブロックB11では、今回の燃料噴射量QFINと一演算前(例えば10ms前)の燃料噴射量1/Zとの差により燃料噴射量の変化量(変化率・変化速度)D_QFINを求め、この燃料変化量D_QFINとエンジン回転速度NEとに基づいて、予め設定された図5の温度補正基本値の制御マップである過渡時燃料噴射量排温換算マップM_KTIN_DQFをルックアップし、タービン入口温度の変化分に換算した温度補正基本値KTIN_DQFを算出する。図5に示すように、例えば加速時などで燃料変化量D_QFINが高くなると、温度補正基本値KTIN_DQFが大きくなり、タービン入口温度が高温側へ補正されることとなる。
【0025】
アフター噴射やポスト噴射についても同様に、ブロックB12,B13において燃料変化量D_QAFTERED,D_QPOSTEDをそれぞれ求め、これとエンジン回転速度NEとにより過渡時アフター(ポスト)噴射量排温換算マップM_KTIN_DQA,M_KTIN_DQPを参照して温度補正基本値KTIN_DQA,KTIN_DQPを算出する。
【0026】
ここで、上述したように個々の噴射で、燃料噴射量のうちでトルクに寄与せずタービン入口温度の上昇に寄与する割合が異なることから、排温換算マップは個々の噴射毎に予め適合された別々のものとなっている。
【0027】
ブロックB14では、大気圧PATMとタービン入口圧力RPTINとに基づいて排温圧力補正係数K_TBMPPを算出する。ブロックB15では、上記3つの噴射時期での温度補正基本値KTIN_DQF,KTIN_DQA,KTIN_DQPを加算する。ブロックB16では、この加算値と上記の排温圧力補正係数K_TBMPPとを乗算する。つまり、大気圧PATMとタービン入口圧力RPTINとにより温度補正基本値を補正する。ブロックB17では、この乗算値に対し、温度センサ応答時定数KTIN_Tを用いてなまし処理(進み補正処理)を行い、最終的な温度補正値KTINを算出する。ブロックB18では、この温度補正値KTINをタービン入口温度センサの出力値RTTINに加算して、最終的なタービン入口温度ETTINを求める。
【0028】
上記の温度センサ応答時定数KTIN_Tは、温度センサ52の熱容量を考慮して、排気流量EQH_EXH(又は排気温度)とエンジン回転速度NEに基づいて時定数マップM_KTIN_Tから求められる。ブロックB17でのなまし処理では、例えば、前回の温度補正値に対して、温度センサ応答時定数を乗算することで、時間経過と共に温度補正値KTINを小さくする処理が行われる。
【0029】
このように本実施例では、噴射時期の異なるメイン噴射,アフター噴射及びポスト噴射のそれぞれで、噴射した燃料のうちでタービン入口温度の上昇に寄与する割合が異なることから、それぞれの噴射時期に分けて温度補正基本値を個別に算出することで、各燃料噴射によるタービン入口温度への影響を精度良く見積もることができ、補正精度を向上することができる。
【0030】
このように、過渡時における温度センサの応答遅れを補償する形でタービン入口エネルギーを求めているために、定常時や過渡時などの機関運転状態にかかわらず、精度良くタービン入口エネルギーを算出することができる。従って、このタービン入口エネルギーとEGR率とに基づいてノズル開度目標値を設定し、可変ノズル24のノズル開度をフィードフォワード制御することで、燃料噴射量や排気流量などの機関運転状態に応じたノズル開度の補正制御やフィードバック制御を省略することも可能で、補正に対する適合工数などを大幅に削減し、制御ロジックを簡素化することができる。
【0031】
図6及び図7を参照して、特性Aは、タービン入口エネルギーを利用してノズル開度目標値を設定し、ノズル開度の補正制御やフィードバック制御を省略した本実施例の特性を示しており、特性Bは、排気流量に基づいてノズル開度目標値を設定し、かつ、ノズル開度の補正制御やフィードバック制御を行った比較例の特性を示しており、特性Cが目標となる特性を示している。同図に示すように、本実施例では、ノズル開度の補正制御やフィードバック制御を省略しているにもかかわらず、比較例に比してブースト圧やタービン入口圧力(Ptin)が素早く立ち上がり、目標の特性Cに近い特性が得られることが確認された。
【0032】
なお、上記実施例では、タービン入口温度の上昇に寄与する温度補正基本値を、燃料噴射量の変化量とエンジン回転速度から求めているが、これに限らず、タービン入口圧力や排気空燃比等も考慮して算出するようにしても良い。また、温度センサを用いることなく、エンジン回転速度、燃料噴射量、吸気空燃比及び吸気温度などからタービン入口温度を推定するようにしても良い。
【0033】
更に、過給圧に基づく可変ノズルのノズル開度のフィードバック補正制御を併用する場合、上記のタービン入口エネルギーが所定値を超えた場合、フィードバック補正制御を禁止し、タービン入口エネルギーとEGR率とに基づいて設定されたノズル開度目標値へ向けたフィードフォワード制御に切り換えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0034】
1…ディーゼルエンジン
2…排気通路
5…コントロールユニット
21…可変ノズルターボ過給機
22…排気タービン
24…可変ノズル
25…アクチュエータ
26…圧力制御弁
46…タービン入口圧力センサ
52…タービン入口温度センサ(温度検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気通路に設けられた排気タービンと、この排気タービンの入口側開口部に設けられ、ターボ過給機の容量を調整する可変ノズルと、開度目標値に応じて上記可変ノズルを駆動するアクチュエータと、を備えた可変ノズルターボ過給機の制御装置において、
排気流量と、上記排気タービンの上流側のタービン入口温度と、上記排気タービンの上流側のタービン入口圧力と、に基づいてタービン入口エネルギーを算出するタービン入口エネルギー算出手段と、
このタービン入口エネルギーに基づいて、上記開度目標値を設定する開度目標値設定手段と、
を有することを特徴とする可変ノズルターボ過給機の制御装置。
【請求項2】
排気を吸気通路へ還流するEGR通路に、EGR率を調整可能なEGR弁が設けられ、
上記開度目標値設定手段は、上記タービン入口エネルギーとEGR率とに基づいて、上記開度目標値を設定することを特徴とする請求項1に記載の可変ノズルターボ過給機の制御装置。
【請求項3】
上記排気タービンの上流側に設けられたタービン入口温度センサを備え、
かつ、少なくとも燃料噴射量の変化量に基づいて、上記タービン入口温度センサのセンサ出力値を補正して、上記タービン入口温度を算出する温度補正手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の可変ノズルターボ過給機の制御装置。
【請求項4】
上記温度補正手段は、噴射時期の異なる燃料噴射毎に、その燃料噴射量の変化量とエンジン回転速度とに基づいて温度補正基本値を算出し、これらの温度補正基本値に基づいて上記センサ出力値を補正して、上記タービン入口温度を算出することを特徴とする請求項3に記載の可変ノズルターボ過給機の制御装置。
【請求項5】
上記温度補正手段は、所定の応答時定数を用いて、時間経過とともに上記温度補正値が小さくなるようになまし処理を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の可変ノズルターボ過給機の制御装置。
【請求項6】
上記タービン入口エネルギーをEN_TIN、
定容比熱をCV、
上記排気流量をEQH_EXH、
上記タービン入口温度をETTIN、
上記タービン入口圧力をRPTIN、
シリンダの体積流量をVとすると、
上記タービン入口エネルギー算出手段は、
EN_TIN=CV×EQH_EXH×ETTIN+RPTIN×V
上式によりタービン入口エネルギーを算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の可変ノズルターボ過給機の制御装置。
【請求項7】
上記温度補正手段は、メイン噴射量の変化による補正よりもポスト噴射量の変化による補正の方が上記タービン入口温度センサのセンサ出力値を大きく補正することを特徴とする請求項3に記載の可変のノズルターボ過給機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−203303(P2010−203303A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48750(P2009−48750)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】