説明

可視光通信の受信装置及び可視光ナビゲーションシステム

【課題】可視光を用いてナビゲーションを行うことができる可視光通信の受信装置及び可視光ナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】データ送信/電源部10は、送信するデータを変調し、変調されたデータを照明光である搬送波に乗せて送信し、データ受信装置12は、受信された照明光を復調し、復調されたデータに基づいて、地図データに道案内情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光を利用した可視光通信の受信装置及び可視光ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、可視光を用いた通信技術においては、入力されたデータに基づいて変調された光からなる信号光を発信することが可能なエレクトロルミネッセンス素子を用いた発光装置が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003-115803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の技術では、受信装置が移動した場合について考慮がされていない。
【0004】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、受信装置が移動した場合でも可視光を用いてナビゲーションを行うことができる可視光通信の受信装置及び可視光ナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、データ送信装置およびデータ受信装置とから構成される可視光ナビゲーションシステムであって、前記データ送信装置は、送信するデータを変調する変調手段と、前記変調手段によって変調されたデータを照明光である搬送波に乗せて前記データ受信装置に送信する送信手段とを備え、前記データ受信装置は、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、前記送信手段によって受信された照明光を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された照明光を復調する復調手段と、前記復調手段によって復調されたデータに基づいて、前記地図データ記憶手段から読み出した地図データに道案内情報を表示する表示手段と、を具備することを特徴とする可視光ナビゲーションシステムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、可視光を用いてナビゲーションを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
まず、本発明の実施形態に係る可視光ナビゲーションシステムは、LED照明等の照明装置からの照明光を搬送波としてデータを送信するために、副搬送波を用いてデジタル、あるいはアナログ変調されたデータが照明光を搬送波として出力される(変調されたデータを照明光である搬送波に乗せて出力される)。データが乗った照明光は人間の目では見えることは無く、他の通常の照明と見掛け上は全く変わらない状態でデータが送信される。受信側装置には小型のカメラや光センサーを用いて照明光を受光する。また、照明光により搬送された変調データを抽出し、そのデータを復調することにより、送信されてきたデータ(位置情報、目的地情報)を得ることができる。
【0008】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る可視光ナビゲーションシステムは、可視光通信の送信装置および可視光通信の受信装置12から構成される。送信装置は、データ送信/電源部10およびLED(Light Emitting Diode)照明部11を備える。LED照明部11からは照明光が照射される。受信装置12は、表示部13、受光部14、マイク15、スピーカー部16等を備える。なお、本実施形態では、照明装置としてLEDを用いた例を説明するが、照明装置はLEDに限定されるものではなく、可視光であれば問わない。
【0009】
図2は、本発明の実施形態に係る可視光ナビゲーションシステムを示したブロック図である。
【0010】
当該ブロック図を用いて、本発明の実施形態に係る可視光ナビゲーションシステムについて詳しく説明する。データ送信/電源部10は、データ変調部20、送信データ作成部21、LED駆動部22、電源部23、LED照明部11を備えている。データ送信/電源部10は、LED照明の駆動電源が生成されるとともに、位置情報や目的地情報に基づいて送信データを作成し、これらのデータを送信タイミングで副搬送波を用いてデジタル、あるいはアナログ変調した後、LED駆動部で変調データとともにLED照明に対して出力される。電源部23は、データ送信/電源部10に電源を供給する。送信データ作成部21は、予め設定されている位置情報や目的地情報から送信データを作成する。データ変調部20は、作成されたデータを変調し、LED駆動部22に送信する。また、データを送信のタイミングで副搬送波を用いてデジタル、あるいはアナログ変調する。LED駆動部22は、変調されたデータに基づいてLED照明部11から照明光を出力する制御を行う。
【0011】
受信装置12は、表示部13、受光部14、波形抽出部31、信号復調部32および地図データ記憶部34等を備えている。受光部14は、照明光を受光する光センサまたはカメラである。波形抽出部31は、受光部14により受光した照明光(可視光)を検出する。信号復調部32は、波形抽出部31により検出された照明光から変調されたデータを分離し、復調する。復調されたデータは、データ送信/電源部10が位置する場所の位置情報または、ユーザが向かうべき目的地情報(道案内情報)である。表示部14は、これらの情報と進むべき方向の情報(道案内情報)を地図データ記憶部34から読み出した地図に合わせて表示する。例えば、図4は、病院内でナビゲーションを行う例を示した模式図である。レントゲン室にいるユーザ100は、例えば、位置情報として「レントゲン室」、目的地情報として「内科」というデータをレントゲン室のデータ送信/電源部10から受信する。
【0012】
次に、図3のフローチャートおよび図4を参照して、本発明の実施形態に係る可視光ナビゲーションシステムおよび受信装置の制御方法について説明する。本実施形態では、ユーザ(患者)100が、病院内でレントゲン室から内科へ行く場合に、ユーザ100に病院側から配布された携帯端末(データ受信装置12)を用いてナビゲーションを行う場合について説明する。
【0013】
データ送信/電源部10の送信データ作成部21は、データ送信/電源部10に記憶された位置情報および医師等から入力された目的地情報に基づいて送信データを作成する(ステップS101)。例えば、位置情報は「レントゲン室」、目的地情報は「内科」とする。
【0014】
データ変調部20は、送信データが副搬送波を用いてデジタル、あるいはアナログ変調された後、LED駆動部22で変調データとともにLED照明部11に対して照明光が出力される(ステップS101)。なお、出力するデータ送信/電源部10は、「レントゲン室」のデータ送信/電源部10である。
【0015】
データ受信装置12である携帯端末の表示部13には、病院内の地図が図4に示すように表示される。また、ユーザ100の現在地および目的地110が例えば星印で表示されるものとし、通路には、データ送信/電源部10が複数配置されている。
【0016】
ユーザ100は、「レントゲン室」を出ると、これらのデータ送信/電源部10から携帯端末により位置情報を定期的に受信する。受信した位置情報により、携帯端末の表示部13に表示された地図上のユーザ100位置は更新され、目的地110に向けて例えば矢印120が表示される。
【0017】
このようにして、ユーザ100は、地図上に表示された矢印120に従って移動することにより、目的地110までナビゲーションが行われる(ステップS102)。なお、携帯端末に備えられたマイク15から音声で目的地を入力することにより、音声ナビゲーションを行うことができる。また、タッチパネルや各種のボタンの入力によって目的地情報が入力されるようにしてもよい。また、ナビゲーションは、地図上に表示された矢印120に加え、スピーカー部16から発音される音声ガイダンスによっても行うことができる。
【0018】
以上、本実施形態によれば、可視光の送信装置が複数配置されている場所において、可視光を用いてナビゲーションを行うことができる。また、可視光を用いるため、電波を用いることができない病院等でもデータ通信を行いナビゲーションを利用することができる。
【0019】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る可視光ナビゲーションシステムを示した模式図。
【図2】本発明の実施形態に係る可視光ナビゲーションシステムを示したブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係る受信装置および可視光ナビゲーションシステムの制御を説明したフローチャート。
【図4】本発明の実施形態に係るナビゲーションで用いられる地図表示を示した模式図。
【符号の説明】
【0021】
10…データ送信/電源部、11…LED照明部、12…データ受信装置、13…表示部、14…受光部、20…データ変調部、21…送信データ作成部、22…LED駆動部、23…電源部、31…波形抽出部、32…信号復調部、情報処理部33,地図データ記憶部34

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ送信装置およびデータ受信装置とから構成される可視光ナビゲーションシステムであって、
前記データ送信装置は、
送信するデータを変調する変調手段と、
前記変調手段によって変調されたデータを照明光である搬送波に乗せて前記データ受信装置に送信する送信手段とを備え、
前記データ受信装置は、
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記送信手段によって送信された照明光を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された照明光を復調する復調手段と、
前記復調手段によって復調されたデータに基づいて、前記地図データ記憶手段から読み出した地図データに道案内情報を表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする可視光ナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の可視光ナビゲーションシステムにおいて、
前記照明光は、LEDから出力されることを特徴とする可視光ナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の可視光ナビゲーションシステムにおいて、
前記復調手段は、前記照明光検出手段によって検出された照明光から前記データを分離し、分離されたデータを復調することを特徴とする可視光ナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の可視光ナビゲーションシステムにおいて、
前記データは、前記データ送信装置が設置されている位置を示す位置情報、または行き先の目的地を示す目的地情報であることを特徴とする可視光ナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の可視光ナビゲーションシステムにおいて、
前記データ受信装置は、携帯端末であることを特徴とする可視光ナビゲーションシステム。
【請求項6】
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
受信された照明光を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された照明光を復調する復調手段と、
前記復調手段によって復調されたデータに基づいて、前記地図データ記憶手段から読み出した地図データに道案内情報を表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする可視光通信の受信装置。
【請求項7】
請求項6に記載の可視光通信の受信装置において、
前記照明光は、LEDから出力されることを特徴とする可視光通信の受信装置。
【請求項8】
請求項6に記載の可視光通信の受信装置において、
前記復調手段は、前記照明光検出手段によって検出された照明光から前記データを分離し、分離されたデータを復調することを特徴とする可視光通信の受信装置。
【請求項9】
請求項6に記載の可視光通信の受信装置において、
前記復調手段は、前記照明光検出手段によって検出された照明光から前記データを分離し、分離されたデータを復調することを特徴とする可視光通信の受信装置。
【請求項10】
請求項6に記載の可視光通信の受信装置において、
前記データ受信装置は、携帯端末であることを特徴とする可視光通信の受信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−224536(P2008−224536A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65520(P2007−65520)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】