固浸レンズ移動装置、及びこれを備えた顕微鏡
固浸レンズ3を支持する固浸レンズホルダ5が連結された第一腕部材71と、この第一腕部材71を、観察対象物に対して略平行を成すX−Y平面内で回動させる第一腕部材回動源72と、この第一腕部材回動源72を保持する第二腕部材73と、第一腕部材回動源72の回動軸と非同軸の位置を回動軸として、第二腕部材73をX−Y平面内で回動させる第二腕部材回動源74と、を具備する構成とする。そして、二個の腕部材71,73を回動することで、固浸レンズ3をX−Y平面内の所望の位置に移動可能とし、直交するX方向、Y方向に構成部品を長尺とする必要を無くし、占有領域を小とすると共に簡易な構成とする。これにより、低コスト化を図りつつ、装置の小型化を図ることが可能な固浸レンズ移動装置、及びこれを備えた顕微鏡が実現される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固浸レンズを移動させる固浸レンズ移動装置及びこれを備えた顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
観察対象物の画像を拡大するレンズとして固浸レンズ(SIL:Solid Immersion Lens)が知られている。この固浸レンズは、半球形状又はワイエルストラス球と呼ばれる超半球形状のレンズで、その大きさが1mm〜5mm程度の小型のレンズである。そして、この固浸レンズを用いると、開口数NA及び倍率が共に拡大されるため、高い空間分解能での観察が可能となる。
【0003】
この固浸レンズを用いて観察を行う場合に、当該固浸レンズを、観察対象物の観察位置に移動させる固浸レンズ移動装置として、固浸レンズを保持する保持箱をX−YアクチュエータによりX−Y移動させる装置が知られている(例えば、文献1:US2003/0098692A1参照)。また、固浸レンズを保持するカンチレバーをピエゾ素子によりX−Y−Z移動させる装置が知られている(例えば、文献2:特開2001−189359号公報参照)。
【特許文献1】US2003/0098692A1
【特許文献2】特開2001−189359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、X−Yアクチュエータにより保持箱をX−Y移動させる前者にあっては、X−Yアクチュエータの場合に一般的に指摘されることであるが、直交するX方向、Y方向に構成部品を長尺とすることが必要とされ、占有領域が大とされることから、小型化が図れないという問題がある。また、ピエゾ素子によりカンチレバーをX−Y−Z移動させる後者にあっては、大きなストロークがとれないため、観察対象物側にX−Y−Zステージを別途設けていて、コストが高い。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、低コスト化を図りつつ、小型化が図られる固浸レンズ移動装置、及びこれを備えた顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による固浸レンズ移動装置は、固浸レンズを、観察対象物に対して略平行を成すX−Y平面内で移動させる固浸レンズ移動装置であって、固浸レンズを支持する固浸レンズホルダが連結された第一腕部材と、この第一腕部材をX−Y平面内で回動させる第一腕部材回動源と、この第一腕部材回動源を保持する第二腕部材と、第一腕部材回動源の回動軸と非同軸の位置を回動軸として、第二腕部材をX−Y平面内で回動させる第二腕部材回動源と、を具備したことを特徴としている。
【0007】
このような固浸レンズ移動装置によれば、第二腕部材回動源により、第二腕部材及び第二腕部材に保持されている第一腕部材回動源が、観察対象物に対して略平行を成すX−Y平面内で回動される。また、その回動軸が第二腕部材回動源の回動軸と非同軸に位置する第一腕部材回動源により、固浸レンズを支持する固浸レンズホルダが連結された第一腕部材がX−Y平面内で回動される。このように固浸レンズは、二個の腕部材が回動されることでX−Y平面内の所望の位置に移動されるため、直交するX方向、Y方向に構成部品を長尺とする必要が無く占有領域が小とされると共に簡易な構成とされる。
【0008】
ここで、第二腕部材回動源を、X−Y平面に直行するZ方向に移動させるZ方向移動源を備えていることが好ましい。この場合、当該固浸レンズ移動装置により、固浸レンズが三次元方向の所望の位置へ自在に移動される。
【0009】
また、固浸レンズを観察対象物に光学的に結合させるための光結合材料を供給する光結合材料供給手段を備えていることが好ましい。この場合、開口数(NA)の高い光束を通すことができる。これにより、固浸レンズ本来の分解能を得ることができる。
【0010】
また、光結合材料を乾燥させるための気体を供給する乾燥気体供給手段を備えていることが好ましい。この場合、光結合材料の乾燥が促進され、観察を直ちに実行することが可能とされる。
【0011】
また、固浸レンズホルダは外方へ延びる腕部を備え、この腕部が第一腕部材に着脱可能に連結されている構成としても良い。この場合、レンズ交換の際に腕部ごとの交換が可能とされ、微小な固浸レンズを取り扱うことなくレンズ交換が容易とされる。あるいは、第一腕部材が、第一腕部材回動源に着脱可能に連結されている構成としても良い。
【0012】
また、第二腕部材は、湾曲状に構成されていることが好ましい。この場合、当該第二腕部材が、観察対象物の視野から容易に遠ざけられる。
【0013】
また、固浸レンズホルダは、その内径が固浸レンズの外径に比して大とされる筒状に構成され、この固浸レンズホルダの内周内に固浸レンズが位置すると共に、当該固浸レンズの底面が固浸レンズホルダの底面の開口から突出した状態とされている構成としても良い。この場合、固浸レンズは、X−Y平面内を移動する固浸レンズホルダの内周面に引っ掛けられた状態で観察対象物上を滑るように移動し所望の観察位置に移動する。また、当該固浸レンズホルダ又は観察対象物をZ方向に移動し、さらに固浸レンズホルダをX−Y平面内で移動して固浸レンズから遠ざけることで、構成部品を全て観察対象物の視野から遠ざけた観察が可能とされる。
【0014】
また、固浸レンズを通して観察対象物を観察する顕微鏡を備え、この顕微鏡に、上記固浸レンズ移動装置が着脱可能に装着されていることが好ましい。この場合、当該固浸レンズ移動装置を外して観察する場合や、他のレンズ移動装置を装着して観察する場合等に便利である。
【0015】
また、本発明による固浸レンズ移動装置を備えた顕微鏡は、試料の観察を行って、その内部情報を得るための顕微鏡であって、観察対象物となる試料からの光が入射する対物レンズを含み、試料の画像を導く光学系と、上記固浸レンズ移動装置と、を具備し、固浸レンズ移動装置は、試料から対物レンズへの光軸を含む挿入位置と、光軸を外れた待機位置との間で固浸レンズを移動させることを特徴としている。
【0016】
このような固浸レンズ移動装置を備えた顕微鏡によれば、固浸レンズ移動装置により、試料から対物レンズへの光軸を含む挿入位置と、光軸を外れた待機位置との間で固浸レンズが移動される。そして、試料と対物レンズとの間に固浸レンズが無い通常の状態での観察画像、及び、固浸レンズを挿入した状態での拡大観察画像の両者が取得される。このように固浸レンズ移動装置を用いることで、観察画像及び拡大観察画像の両者が必要とされる場合にこれらの画像が容易に取得されると共に、拡大観察画像により高分解能の観察が可能とされる。
【0017】
なお、本発明にいう「内部情報」としては、例えば電子デバイスを試料とした場合、電子デバイスの回路パターンや電子デバイスからの微弱発光が含まれる。この微弱発光としては、電子デバイスの欠陥に基づく異常個所に起因するものや、電子デバイス中のトランジスタのスイッチング動作に伴うトランジェント発光などが挙げられる。さらには、電子デバイスの欠陥に基づく発熱も含まれる。
【0018】
また、顕微鏡は、観察対象物となる試料の画像を取得する画像取得手段を備える構成としても良い。この場合、光学系は、試料の画像を画像取得手段へと導くように構成される。
【0019】
上記した顕微鏡は、電子デバイス検査装置として好適に用いることができる。この場合、電子デバイス検査装置は、電子デバイスの画像を取得して、その内部情報を検査する電子デバイス検査装置であって、観察対象物となる電子デバイスの画像を取得する画像取得手段と、電子デバイスからの光が入射する対物レンズを含み、電子デバイスの画像を画像取得手段へと導く光学系と、上記固浸レンズ移動装置と、を具備し、固浸レンズ移動装置は、電子デバイスから対物レンズへの光軸を含む挿入位置と光軸を外れた待機位置との間で固浸レンズを移動させることが好ましい。
【0020】
このような固浸レンズ移動装置を備えた電子デバイス検査装置によれば、固浸レンズ移動装置により、電子デバイスから対物レンズへの光軸を含む挿入位置と光軸を外れた待機位置との間で固浸レンズが移動される。そして、電子デバイスと対物レンズとの間に固浸レンズが無い通常の状態での観察画像、及び、固浸レンズを挿入した状態での拡大観察画像の両者が取得される。このように固浸レンズ移動装置を用いることで、観察画像及び拡大観察画像の両者が必要とされる場合にこれらの画像が容易に取得されると共に、拡大観察画像により高分解能の観察が可能とされる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明による固浸レンズ移動装置によれば、二個の腕部材を回動することで固浸レンズをX−Y平面内の所望の位置に移動し、直交するX方向、Y方向に構成部品を長尺とする必要を無くし占有領域を小とすると共に簡易な構成としているため、低コスト化を図りつつ、装置の小型化を図ることが可能となる。また、この固浸レンズ移動装置を備えた顕微鏡(例えば電子デバイス検査装置)によれば、当該固浸レンズ移動装置の効果に加えて、観察画像及び拡大観察画像の両者が必要とされる場合にこれらの画像が容易に取得されると共に、拡大観察画像により高分解能の観察が可能とされるため、電子デバイス検査等の試料観察を容易且つ高精度に実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る固浸レンズ移動装置を備えた電子デバイス検査装置を示す構成図である。
【図2】図2は、固浸レンズ移動装置及び対物レンズを上方から見た斜視図である。
【図3】図3は、固浸レンズ移動装置及び対物レンズを下方から見た斜視図である。
【図4】図4は、固浸レンズ移動装置及び対物レンズの下部を図3とは相違する下方から見た斜視図である。
【図5】図5は、固浸レンズが待機位置に位置している状態の固浸レンズ移動装置及び対物レンズを示す下面図である。
【図6】図6は、固浸レンズが挿入位置、密着位置に位置している状態の固浸レンズ移動装置及び対物レンズを示す下面図である。
【図7】図7は、固浸レンズが交換位置に位置している状態の固浸レンズ移動装置及び対物レンズを示す下面図である。
【図8】図8は、固浸レンズホルダを示す斜視図である。
【図9】図9は、固浸レンズホルダのレンズ待機位置の状態を示す縦断面図である。
【図10】図10は、固浸レンズホルダのレンズ密着位置の状態を示す縦断面図である。
【図11】図11は、固浸レンズホルダの腕部と固浸レンズ移動装置の第一腕部材との連結部を示す斜視図である。
【図12】図12は、固浸レンズホルダの腕部と固浸レンズ移動装置の第一腕部材との連結前の状態を前方から見た斜視図である。
【図13】図13は、固浸レンズホルダの腕部と固浸レンズ移動装置の第一腕部材との連結前の状態を後方から見た斜視図である。
【図14】図14は、固浸レンズ移動装置及び対物レンズと共に光結合材料供給手段及び乾燥気体供給手段を示す構成図である。
【図15】図15は、光結合材料供給手段を具体的に示す構成図である。
【図16】図16は、乾燥気体供給手段を具体的に示す構成図である。
【図17】図17は、本発明の他の実施形態に用いられる固浸レンズホルダを示す斜視図である。
【図18】図18は、固浸レンズホルダのレンズ密着位置の状態を示す縦断面図である。
【図19】図19は、固浸レンズホルダと固浸レンズ移動装置との連結部を示す斜視図である。
【図20】図20は、他の固浸レンズホルダを示す斜視図である。
【図21】図21は、他の固浸レンズホルダのレンズ密着位置の状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1…電子デバイス検査装置、2…光学系、3…固浸レンズ、4…顕微鏡、5,64…固浸レンズホルダ、7…固浸レンズホルダ腕部、10,12…画像取得手段、20…対物レンズ、30…固浸レンズマニピュレータ(固浸レンズ移動装置)、71…第一腕部材、72…第一腕部材回動源、72a…第一腕部材回動源の回動軸、73…第二腕部材、74…第二腕部材回動源、74a…第二腕部材回動源の回動軸、75…Z方向移動源、80…光結合材料供給手段、90…乾燥気体供給手段、99…連結部、S…半導体デバイス(観察対象物)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明による固浸レンズ移動装置、及び顕微鏡の好適な実施形態について図1〜図21を参照しながら説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る固浸レンズ移動装置を備えた電子デバイス検査装置を示す構成図、図2〜図4は、固浸レンズ移動装置及び対物レンズを示す各斜視図、図5〜図7は、固浸レンズ移動装置の移動動作を示す各状態図、図8〜図10は、固浸レンズホルダを示す各図、図11〜図13は、固浸レンズホルダと固浸レンズ移動装置との連結部を示す各斜視図、図14〜図16は、光結合材料供給手段、乾燥気体供給手段を示す各図、図17〜図19は、本発明の他の実施形態に用いられる固浸レンズホルダを示す各図、図20及び図21は、他の固浸レンズホルダを示す各図である。なお、各図において、同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、本発明による固浸レンズ移動装置、及び顕微鏡は、固浸レンズを用いた試料観察に対して一般に適用可能である。ただし、以下においては、主にその電子デバイス検査(半導体検査)への適用例について説明する。
【0025】
先ず、第一実施形態の固浸レンズ移動装置を備える電子デバイス検査装置について説明する。図1に示すように、電子デバイス検査装置1は、例えば半導体基板上にトランジスタや配線等の回路パターンが形成された半導体デバイスSを観察対象物の試料とし、この半導体デバイスSの画像を取得しその内部情報を検査する検査装置である。なお、本発明にいう「内部情報」としては、半導体デバイスの回路パターンや半導体デバイスからの微弱発光が含まれる。この微弱発光としては、半導体デバイスの欠陥に基づく異常個所に起因するものや、半導体デバイス中のトランジスタのスイッチング動作に伴うトランジェント発光などが挙げられる。さらには、半導体デバイスの欠陥に基づく発熱も含まれる。
【0026】
この電子デバイス検査装置1は、半導体デバイスSの観察を行う観察部Aと、観察部Aの各部の動作を制御する制御部Bと、半導体デバイスSの検査に必要な処理や指示等を行う解析部Cと、を備えている。半導体デバイスSは、観察部Aに設けられたステージ18上にその裏面が上を向くように載置され、検査装置1は、本実施形態にあっては、半導体デバイスSの図示下面(半導体デバイスSの半導体基板表面に形成された集積回路等)を検査する。
【0027】
観察部Aは、半導体デバイスSからの画像を取得する画像取得手段としての高感度カメラ10及びレーザスキャン光学系(LSM:Laser Scanning Microscope)ユニット12と、高感度カメラ10及びLSMユニット12と半導体デバイスSとの間に配置される顕微鏡4の対物レンズ20を含む光学系2と、半導体デバイスSの拡大観察画像を得るための固浸レンズ3と、この固浸レンズ3を三次元方向に移動させる固浸レンズ移動装置としての固浸レンズマニピュレータ30と、これらを直交するX−Y−Z方向に各々移動させるX−Y−Zステージ15と、を具備している。
【0028】
光学系2は、上記対物レンズ20に加えて、カメラ用光学系22と、LSMユニット用光学系24と、を備えている。対物レンズ20は、倍率が異なるものが複数設けられ、切り換え可能とされている。カメラ用光学系22は、対物レンズ20を通した半導体デバイスSからの光を高感度カメラ10に導き、高感度カメラ10は半導体デバイスSの回路パターン等の画像を取得する。一方、LSMユニット用光学系24は、LSMユニット12からの赤外レーザ光をビームスプリッタ(不図示)で対物レンズ20側に反射し半導体デバイスSに導くと共に、対物レンズ20を通し高感度カメラ10に向かう半導体デバイスSからの反射光の一部をビームスプリッタで分岐してLSMユニット12に導く。
【0029】
このLSMユニット12は、赤外レーザ光をX−Y方向に走査し半導体デバイスS側に出射する一方で、半導体デバイスSからの反射光を光検出器(不図示)で検出する。この検出光の強度は、半導体デバイスSの回路パターンを反映した強度となっている。従って、LSMユニット12は、赤外レーザ光が半導体デバイスSをX−Y走査することで、半導体デバイスSの回路パターン等の画像を取得する。
【0030】
X−Y−Zステージ15は、高感度カメラ10、LSMユニット12及び光学系2、さらに、固浸レンズ3及び固浸レンズマニピュレータ30等を、X−Y方向(水平方向;観察対象物である半導体デバイスSに対して平行を成す方向)及びこれに直交するZ方向(垂直方向)の各々に、必要に応じて移動するためのものである。
【0031】
固浸レンズ3は、半球形状(図9参照)又はワイエルストラス球と呼ばれる1〜5mm程度の超半球形状を有する微小レンズであり、半導体デバイスSを観察するための観察位置(図示上面)にその底面が密着することで、裏側となる半導体デバイスSの表面(図示下面)の拡大観察画像を得る。
【0032】
具体的には、半導体検査装置において使用される固浸レンズは、半導体デバイスの基板材料と実質的に同一またはその屈折率に近い、高屈折率材料からなる。その代表的な例としては、Si、GaP、GaAsなどが挙げられる。
【0033】
このような微小な光学素子を半導体デバイスの基板表面に光学密着させることにより、半導体基板自身を固浸レンズの一部として利用することができる。固浸レンズを利用した半導体デバイスの裏面解析によれば、対物レンズの焦点を半導体基板表面に形成された集積回路に合わせた際に、固浸レンズの効果により、収束角を大きくしたり媒質の屈折率を増加させる効果がある。これにより、基板中にNAの高い光束を通すことが可能となり、短波長化による高分解能化が期待できる。
【0034】
このような固浸レンズ3のレンズ形状は、収差がなくなる条件によって決まるものである。半球形状を有する固浸レンズでは、その球心が焦点となる。このとき、開口数NAおよび倍率はともにn倍となる。一方、超半球形状を有する固浸レンズでは、球心からR/nだけ下方にずれた位置が焦点となる。このとき、開口数NAおよび倍率はともにn2倍となる。あるいは、球心と、球心からR/nだけ下方にずれた位置との間の位置を焦点とするなど、半導体デバイスSに対する具体的な観察条件等に応じて、上記以外の条件で固浸レンズ3を用いてもよい。
【0035】
固浸レンズホルダ5(図8〜図10参照)は、固浸レンズ3を好適に支持するものである。また、この固浸レンズホルダ5を三次元方向に移動する固浸レンズマニピュレータ30(図2〜図7参照)は、固浸レンズホルダ5に支持される固浸レンズ3を、半導体デバイスSと対物レンズ20との間の位置で半導体デバイスSから対物レンズ20への光軸を含む挿入位置、半導体デバイスSの観察位置に当該固浸レンズ3の底面が密着する密着位置、上記光軸を外れた待機位置、固浸レンズ3を交換するための交換位置等の各所定位置に移動するためのものである。これらの固浸レンズホルダ5及び固浸レンズマニピュレータ30については詳しくは後述する。
【0036】
制御部Bは、カメラコントローラ51aと、レーザスキャン(LSM)コントローラ51bと、ステージコントローラ52と、マニピュレータコントローラ53と、を備えている。カメラコントローラ51a及びLSMコントローラ51bは、高感度カメラ10及びLSMユニット12の動作を各々制御することで、観察部Aで行われる半導体デバイスSの観察の実行(画像の取得)や観察条件の設定等を制御する。
【0037】
ステージコントローラ52は、X−Y−Zステージ15の動作を制御することで、半導体デバイスSの観察位置に対応する位置への高感度カメラ10、LSMユニット12及び光学系2等の移動、位置合わせ、焦点合わせ等を制御する。また、マニピュレータコントローラ53は、固浸レンズマニピュレータ30の動作を制御することで、上記所定位置への固浸レンズ3の移動、及び、固浸レンズ3の密着位置の微調整等を制御する(詳しくは後述)。
【0038】
解析部Cは、画像解析部61と指示部62とを備え、コンピュータにより構成されている。画像解析部61は、カメラコントローラ51a及びレーザスキャンコントローラ51bからの画像情報に対して必要な解析処理等を実施する。また、指示部62は、操作者からの入力内容や画像解析部61による解析内容等を参照し、制御部Bを介して、観察部Aにおける半導体デバイスSの検査の実行に関する必要な指示を行う。また、解析部Cにより取得又は解析された画像、データ等は、必要に応じて解析部Cに接続された表示装置63に表示される。
【0039】
次に、特に本実施形態の特徴を成す固浸レンズホルダ5及び固浸レンズマニピュレータ30について詳説する。
【0040】
固浸レンズホルダ5は、図8及び図9に示すように、略円筒状に構成され固浸レンズ3を支持するホルダ6と、このホルダ6を保持する腕部7と、を備えている。この固浸レンズホルダ5は、後述の光学密着液と接触することがあるため、耐腐食性の高い例えばステンレス、アルミ等の金属の他、固浸レンズ形状に合わせて成形加工しやすい樹脂として例えばアクリルやPET、ポリエチレン、ポリカーボネート等で成形されている。
【0041】
ホルダ6は、図9に示すように、固浸レンズ3を保持する第一ホルダ8と、この第一ホルダ8を支持する第二ホルダ9と、を備えている。これらの第一ホルダ8及び第二ホルダ9は、半導体デバイスSに対する光路を妨げないように略円筒状に構成されている。
【0042】
第一ホルダ8は、その上部の外周面に、外方に突出する環状鍔部8aを備えると共に、その底面に、内側に向かう環状鍔部8bを備え、この環状鍔部8bの内周に形成されている開口を通して、固浸レンズ3の底面が下方に突出した状態で、当該固浸レンズ3が第一ホルダ8に例えば接着剤等で固着され保持されている。
【0043】
第二ホルダ9は、その底面に、内側に向かう環状鍔部9aを備え、この環状鍔部9aの内周に形成されている開口9bを通して、第一ホルダ8の下部が下方に突出した状態で、第一ホルダ8の環状鍔部8aが第二ホルダ9の環状鍔部9aに載置され、当該第一ホルダ8及び固浸レンズ3が当該第二ホルダ9に自重方向に支えられている。
【0044】
ここで、第一ホルダ8の下部の外径をA、第一ホルダ8の環状鍔部8aの外径をB、第二ホルダ9の開口9bの内径をCとすると、A<C<Bの関係に設定されている。このため、第一ホルダ8は第二ホルダ9に対して自由とされると共に第二ホルダ9から下方への第一ホルダ8の離脱が防止されている。
【0045】
また、第二ホルダ9は、その上部の開口9cに、例えば嵌合や螺合等により装着される固浸レンズの抜け止めのためのキャップ11を備えている。このキャップ11は、第一ホルダ8及び第二ホルダ9と同様に略円筒状に構成され、キャップ11の内径をDとすると、D<Bの関係に設定されている。従って、当該キャップ11により、半導体デバイスSに対する光路を妨げること無く、当該固浸レンズ3を保持した第一ホルダ8が第二ホルダ9の上部の開口9cを通して例えば飛び出す等の離脱が防止され固浸レンズの紛失が防止されている。
【0046】
また、腕部7は、丸棒を略L字状に曲げたもので、第二ホルダ9から外方に延び、その一端が上方に向かうと共にその他端が第二ホルダ9の側部に固定されている。この腕部7の一端には、図8及び図9に示すように、パイプの側面の一部を平坦面とした回り止め部7aが、腕部7及びホルダ6の回り止めとして例えば嵌合等で固着されている。なお、腕部7は、略L字状を成しその一端が上方に延びる構成とされているが、X−Y平面内に延びる構成であっても良い。
【0047】
この固浸レンズホルダ5を構成する腕部7は、図11に示すように、固浸レンズマニピュレータ30の第一腕部材71の一端に着脱可能に連結されている。この第一腕部材71と固浸レンズホルダ5とを連結する連結部99は、図12及び図13に示すように、第一腕部材71に、腕部7の回り止め部7aを上下方向に挿通可能とする貫通孔71aと、先端面が平坦面にされると共に螺合による進退(前進/後進)により貫通孔71aを狭める/広げる締め付け部71bと、を備える。
【0048】
このような構成において、貫通孔71aに挿通された回り止め部7aは、締め付け部71bを締め付け方向に回し前進させることで、第一腕部材71に固定される。この状態で、腕部7の回り止め部7aの平坦面と締め付け部71bの先端の平坦面とが当接して密着し、当該腕部7及び固浸レンズホルダ5の回り止めが構成されている。また、このように第一腕部材71に固定された腕部7は、例えば固浸レンズ3の交換等の際に、締め付け部71bを逆方向に回し後退させることで、第一腕部材71から解放され抜脱される。
【0049】
この連結部99により固浸レンズホルダ5を保持した固浸レンズマニピュレータ30は、図1〜図7に示すように、固浸レンズホルダ5の固浸レンズ3を、三次元方向の前述した各所定位置(挿入位置、密着位置、待機位置、交換位置)に自在に移動するものである。この固浸レンズマニピュレータ30は、図2〜図7に示すように、固浸レンズホルダ5を装着した上記第一腕部材71と、この第一腕部材71をX−Y平面内で回動させる第一腕部材回動源72と、この第一腕部材回動源72を保持する第二腕部材73と、この第二腕部材73をX−Y平面内で回動させる第二腕部材回動源74と、この第二腕部材回動源74を、X−Y平面に直行するZ方向に移動させるZ方向移動源75と、を備え、このZ方向移動源75が基端側とされ、移動する第一腕部材71が終端側とされている。
【0050】
具体的には、Z方向移動源75は、例えば送り螺子等により移動軸75aがZ方向に移動するZ軸モータ等で構成され、支持部76を介して装置本体側としての顕微鏡4に装着されている。この支持部76は、顕微鏡4に例えば螺子留め等で着脱可能に装着され、例えば、固浸レンズマニピュレータ30を外して顕微鏡観察する場合や、他のレンズ移動装置を装着して顕微鏡観察する場合等の利便性が図られている。
【0051】
Z方向移動源75の移動軸75aには、支持部77を介して第二腕部材回動源74が連結されている。この第二腕部材回動源74は、例えば出力軸が正逆方向に回動する(所定範囲内で回動すれば良い)回動軸74aとされるモータ等で構成され、Z方向移動源75の駆動により、Z方向に移動される。
【0052】
この第二腕部材回動源74の回動軸74aには、第二腕部材73の一端が連結されている。この第二腕部材73は、詳しくは後述するが、図6に示すように、当該第二腕部材73が半導体デバイスSの観察位置の視野(対物レンズ20の視野)から容易に遠ざかるように湾曲状に構成されている。
【0053】
この第二腕部材73の他端には、図2〜図7に示すように、第一腕部材回動源72が固定されている。この第一腕部材回動源72は、例えば出力軸が正逆方向に回動する(所定範囲内で回動すれば良い)回動軸72aとされるモータ等で構成されている。このように、第一腕部材回動源72の回動軸72aと第二腕部材回動源74の回動軸74aとは非同軸に位置している。そして、第一腕部材回動源72は、第二腕部材回動源74の駆動により、第二腕部材回動源74の回動軸74aを支点として第二腕部材73と共にX−Y平面内を回動される。
【0054】
第一腕部材回動源72の回動軸72aには、前述した第一腕部材71の他端が連結されている。この第一腕部材71は、第一腕部材回動源72の駆動により、第一腕部材回動源72の回動軸72aを支点としてX−Y平面内を回動される。
【0055】
従って、第一腕部材71の一端に連結されている固浸レンズホルダ5に支持された固浸レンズ3は、第一腕部材回動源72、第二腕部材回動源74の駆動により、X−Y平面内を、各々の回動を合成した合成方向に移動されると共に、Z方向移動源75の駆動によりZ方向に移動され、その結果、三次元方向の各所定位置に自在に移動される。
【0056】
さらに、本実施形態の固浸レンズマニピュレータ30は、固浸レンズ3による拡大観察画像を得る際に用いられるものであって、図14に示すように、固浸レンズ3を半導体デバイスSの観察位置に光学的に結合させるための光結合材料を供給する光結合材料供給手段80と、この光結合材料を乾燥させるための気体を供給する乾燥気体供給手段90と、を備えている。
【0057】
光結合材料供給手段80は、例えば両親媒性分子を含有する光学密着液(例えば水と界面活性剤とからなる)を、固浸レンズ3を半導体デバイスSの観察位置に密着させる直前に、当該観察位置上に供給するものである。この光結合材料供給手段80では、図14及び図15に示すように、支持部76に固定されている例えば容量1cc程度の専用小型液タンク81内に光学密着液を収容する。そして、この収容されている光学密着液を、例えば圧縮空気等の圧縮気体により加圧状態とし、支持部76に固定されると共に液タンク81の出口に接続されている例えばスプリング入りのソレノイドバルブであるマイクロバルブ82に制御系83からパルス信号を供給することで、このマイクロバルブ82にフレキシブルパイプ84を介して接続されると共に図2〜図7に示すように第一腕部材71に固定されている光結合材料供給パイプ85のその先端の供給口85aから光学密着液を噴射する。
【0058】
なお、両親媒性分子としては、親水基(カルボキシル基、スルホ基、第4アンモニウム基、水酸基など)と疎水基(親油基ともいう。長鎖の炭化水素基など)の両方をもつ分子であればよく、例えば界面活性剤分子(イオン性界面活性剤分子、非イオン性界面活性剤分子)が好適に用いられる。また、その他の両親媒性分子としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなどの湿潤剤や、リン脂質、糖脂質、アミノ脂質などが挙げられる。
【0059】
両親媒性分子を含有する光学密着液は表面張力が低いために、疎水性表面である半導体基板上に広がる。この光学密着液を乾燥させる際に、半導体基板の表面および固浸レンズの底面の濡れ性を保とうとする力が支配的となる。このため、固浸レンズの底面と半導体基板表面との面の間隔が狭められながら、光学密着液の主に水の揮発が進行する。最終的には、固浸レンズと半導体基板とが光学的に結合する。
【0060】
この状態では、半導体基板表面および固浸レンズの底面に物理吸着した両親媒性分子の親水基と水分子との間にファンデルワールス力が働き、水分子が拘束されることで揮発が止まると考えられる。このとき、固浸レンズと半導体基板との距離を、例えば1/20λ(λ:照射波長)以下とすることができ、その結果、固浸レンズと半導体基板とのエバネッセント結合、さらには物理的固着が達成される。なお、本発明でいう「光学密着」とは、エバネッセント結合により光学的な結合が達成されたものをいう。
【0061】
また、上記光学密着液以外の光結合材料としては、例えば特公平7−18806号公報に記載のような、固浸レンズと半導体基板とを屈折率整合させる屈折率整合流体(インデックスマッチング液など)が挙げられる。なお、屈折率整合流体と光学密着液とは異なるものであり、前者は流体の屈折率を介して高NAを実現するが、後者はエバネッセント結合を補助する役割を有するものである。ここでは、光学密着液を用いた実施形態を詳述するが、屈折率整合流体を用いた形態であっても同様の効果が得られる。ただし、その場合、必ずしも流体を乾燥させる必要がないので、乾燥気体供給手段90は省略される形態もある。
【0062】
この光結合材料供給パイプ85は、図2〜図7に示すように、第一腕部材71に固定されていると共に、その先端の供給口85aが固浸レンズホルダ5の近傍に設置されている。このため、固浸レンズ3と共に移動し目標の観察位置に向かって光学密着液を噴射することが可能とされている。この光学密着液は、その噴射量が、パルス信号のオン時間を制御することで制御され、ピコリットル程度の精度で供給口85aから噴射される。この光学密着液の噴射量は、固浸レンズ3の大きさに応じて適宜決められる。また、この光学密着液は、腐敗、濃度変化、液詰まりを防止すべく、適宜交換することが好ましい。
【0063】
なお、マイクロバルブ82に代えてチュービングタイプマイクロディスペンサを用いると共に液タンク81に対する圧縮気体による加圧を無くし、チュービングタイプマイクロディスペンサのチューブを機械的に絞り上げることで、液タンク81内の光学密着液を、フレキシブルパイプ84を介して光結合材料供給パイプ85のその先端の供給口85aから観察位置に向かって滴下する光結合材料供給手段としても良い。この場合には、液タンク81の容量は数十cc程度とされ、滴下量は、固浸レンズ3の大きさに応じて適宜決められる。
【0064】
乾燥気体供給手段90は、半導体デバイスSの観察位置と固浸レンズ3との間の光学密着液を迅速に乾燥させるべく気体を供給するものである。この乾燥気体供給手段90は、図14及び図16に示すように、例えば圧縮乾燥空気や窒素ガス等の気体を、支持部76に固定されている電磁バルブ92に制御系93からオン、オフ信号を供給することで、この電磁バルブ92にフレキシブルパイプ94を介して接続されると共に図2〜図7に示すように第一腕部材71に固定されている気体供給パイプ95のその先端の供給口95aから吹き出す。
【0065】
この気体供給パイプ95は、図2〜図7に示すように、光結合材料供給パイプ85と同様に、第一腕部材71に固定されていると共にその先端の供給口95aが固浸レンズホルダ5の近傍に設置されている。このため、固浸レンズ3と共に移動し、目標位置である半導体デバイスの観察位置と固浸レンズ3との間に向かって気体を吹き出すことが可能とされている。
【0066】
次に、このように構成された電子デバイス検査装置1の作用について説明する。先ず、図5に示す待機位置に固浸レンズ3を位置した状態から説明する。この待機位置では、第一、第二腕部材71,73は畳まれ、固浸レンズ3及び第一、第二腕部材71,73は対物レンズ20の視野外にある。この時、固浸レンズ3を保持した第一ホルダ8は、図9に示すように、その環状鍔部8aが第二ホルダ9の環状鍔部9aに載置され、当該第一ホルダ8及び固浸レンズ3が当該第二ホルダ9に自重方向に支えられている状態にある。そして、この待機状態で、半導体デバイスSの観察位置の通常の観察画像であるパターン画像を取得し、次いで、半導体デバイスSに例えば電圧を印加等して、その際の画像を取得する。
【0067】
この際に半導体デバイスSに異常箇所がある場合には発光画像が得られるため、通常の観察画像と電圧を印加した際の画像とを重ね合わせることで、半導体デバイスSの異常箇所を特定することが可能となる。そして、異常箇所がある場合には、対物レンズ20がその異常箇所と同軸に位置するように、X−Y−Zステージ15により、高感度カメラ10、LSMユニット12、光学系2、固浸レンズホルダ5及び固浸レンズマニピュレータ30等を移動する。
【0068】
次いで、半導体デバイスSの観察位置に対して固浸レンズ3を設置する。この場合には、先ず、固浸レンズマニピュレータ30の第一、第二腕部材回動源72,74を駆動し第一、第二腕部材71,73を回動することで、図3、図4及び図6に示すように、待機位置にある固浸レンズ3を、半導体デバイスSと対物レンズ20との間で半導体デバイスSから対物レンズ20への光軸を含む挿入位置へと移動する。この時、第二腕部材73は湾曲状に構成されているため、図6に示すように、当該第二腕部材73が対物レンズ20の視野を妨げることなく視野から容易に遠ざけられている。
【0069】
このようにして固浸レンズ3を挿入位置に挿入したら、固浸レンズマニピュレータ30のZ方向移動源75を駆動して固浸レンズ3を下げる。そして、固浸レンズ3が観察位置に接近したら、光結合材料供給手段80により、目標位置である観察位置上に光学密着液を供給し、固浸レンズ3を観察位置上に載置して密着位置に位置させる。
【0070】
このようにして固浸レンズ3が半導体デバイスSの観察位置上に載置されると、図10に示すように、第二ホルダ9により自重方向に支えられている固浸レンズ3及び第一ホルダ8が、当該半導体デバイスSにより持ち上げられた状態となる。
【0071】
そうしたら、固浸レンズ3の密着位置の微調整を行う。この微調整は、固浸レンズマニピュレータ30のZ方向移動源75の駆動により固浸レンズホルダ5をZ方向に微移動すると共に、第一腕部材回動源72により第一腕部材71を微揺動し、固浸レンズ3を保持した第一ホルダ8を、第二ホルダ9に対してX−Y−Z方向に隙間を有し接触しないようにして行う。具体的には、固浸レンズ3からの反射光を含む画像を取得し、この画像に含まれる反射光像における固浸レンズ3の各部反射面からの反射光をガイドとして行う。
【0072】
より具体的には、解析部Cの画像解析部61により、得られた画像に対し、自動又は操作者からの指示に基づいて解析を行い、反射光像の重心位置を求める。そして、解析部Cの指示部62により、マニピュレータコントローラ53を介して固浸レンズマニピュレータ30に対し、画像解析部61で得られた反射光像の重心位置が半導体デバイスSでの観察位置に対して一致するように、固浸レンズ3の密着位置の微調整を指示する。これにより、固浸レンズ3の半導体デバイスSの観察位置及び対物レンズ20に対する位置合わせが行われる。
【0073】
このように、固浸レンズ3及び第一ホルダ8は、半導体デバイスSにより持ち上げられた状態で第二ホルダ9に対して自由な状態(フリーな状態)とされているため、半導体デバイスSの観察位置には、固浸レンズ3及び第一ホルダ8の自重のみが作用し、過度の圧力が加わることが無くされていると共に、固浸レンズ3が観察位置に馴染み(倣い)密着されている。
【0074】
次いで、乾燥気体供給手段90により、目標位置である観察位置と固浸レンズ3とが接触する領域に気体を供給し、光学密着液を乾燥させることで、固浸レンズ3を迅速に半導体デバイスSの観察位置に確実に密着させる。このように、光結合材料供給手段80からの光学密着液により固浸レンズ3が半導体デバイスSの観察位置に確実に密着するため、高精度の観察が可能とされると共に、乾燥気体供給手段90からの気体により光学密着液の乾燥が促進されるため、観察を直ちに実行することが可能とされる。
【0075】
このようにして固浸レンズ3の観察位置に対する密着が行われたら、指示部62により、ステージコントローラ52を介してX−Y−Zステージ15に対し、固浸レンズ3が密着して設置されている半導体デバイスSと対物レンズ20との間の距離の調整を指示し、焦点合わせを行う。この時、固浸レンズマニピュレータ30及び固浸レンズ3も対物レンズ20と共にZ方向に移動するため、固浸レンズ3の観察位置に対する密着を維持するように、固浸レンズマニピュレータ30により固浸レンズ3をZ方向の反対方向へ移動する。そして、半導体デバイスSの観察位置上に密着した固浸レンズ3、対物レンズ20を含む光学系2を介して観察位置の拡大観察画像を取得し、高分解能の観察を行う。
【0076】
この観察時にあっては、前述したように、固浸レンズ3及び第一ホルダ8が第二ホルダ9に対して自由な状態とされているため、第二ホルダ9側又は半導体デバイスS側の温度ドリフトが相手側に対して遮断され、温度ドリフトによる影響が無くされている。
【0077】
そして、次の観察位置を観察する場合には、再度、光結合材料供給手段80により光学密着液を供給する。これにより、固浸レンズ3の観察位置に対する密着が解け、以降は前述の手順とは逆の手順で固浸レンズマニピュレータ30により固浸レンズホルダ5を移動し、固浸レンズ3を図5に示す待機位置へと移動する。そして、以降は上記と同様な手順を繰り返す。
【0078】
なお、光学密着液に代えて、その溶媒を用いて光学密着を解除するようにしてもよい。光学密着が光学密着液またはその溶媒で密着部位を濡らすことによって解除されるのは、固浸レンズと半導体基板との境界面に光学密着液またはその溶媒が再浸入し、光学的な結合状態および物理的な固着状態を破壊するからである。この手法によれば、固浸レンズおよび半導体デバイスを過度の力を加えることなく分離することができる。よって、半導体デバイスおよび固浸レンズを傷付けることがないので、固浸レンズを再利用することができる。
【0079】
ここで、固浸レンズ3を交換する必要が生じたら、固浸レンズマニピュレータ30の第一腕部材回動源72を駆動し第一腕部材71を回動することで、連結部99が第二腕部材73の下方近くに位置し取り扱い難い図5に示す待機位置から、固浸レンズ3を図2及び図7に示すレンズ交換位置に移動する。そして、連結部99を第二腕部材73の下方近くから大きく外側に出し、腕部7ごと固浸レンズホルダ5を交換する。このように、レンズ交換の際に連結部99が取り扱い位置にあるため、固浸レンズホルダ5の腕部7の第一腕部材71に対する着脱が容易とされていると共に、腕部7ごと固浸レンズホルダ5が交換されるため、微小な固浸レンズ3を取り扱うことなくレンズ交換が容易とされている。
【0080】
このように、本実施形態の固浸レンズホルダ5によれば、半導体デバイスSの観察位置には固浸レンズ3及び第一ホルダ8の自重のみが作用し、過度の圧力が加わることが無くされている。このため、半導体デバイスSの損傷を防止することが可能とされている。また、固浸レンズ3が観察位置に馴染み(倣い)密着すると共に、第二ホルダ9側又は半導体デバイスS側の温度ドリフトが相手側に対して遮断され温度ドリフトによる影響が無くされている。このため、固浸レンズ3が観察位置から剥離すること無く高精度の観察が可能とされている。
【0081】
また、本実施形態の固浸レンズマニピュレータ30によれば、第一、第二腕部材71,73を回動することで固浸レンズ3がX−Y平面内の所定位置に移動する。このため、直交するX方向、Y方向に構成部品を長尺とする必要が無く、占有領域が小とされると共に簡易な構成とされている。これにより、低コストを図りつつ、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0082】
また、この固浸レンズマニピュレータ30を備えた電子デバイス検査装置1によれば、半導体デバイスSと対物レンズ20との間に固浸レンズ3が無い通常の状態での観察画像、及び、固浸レンズ3を挿入した状態での拡大観察画像の両者が必要とされる場合に、これらの画像が容易に取得される。また、このとき、拡大観察画像により高分解能の観察が行われるため、電子デバイス検査装置1による検査を容易且つ高精度に実施することが可能とされている。
【0083】
図17は、本発明の他の実施形態に用いられる固浸レンズホルダを示す斜視図、図18は、固浸レンズホルダのレンズ密着位置の状態を示す縦断面図である。また、図19は、固浸レンズホルダと固浸レンズ移動装置との連結部を示す斜視図である。固浸レンズホルダ105は、図17及び図18に示すように、略円筒状に構成され固浸レンズ103を支持するホルダ106と、このホルダ106を保持する腕部107と、を備えている。
【0084】
ホルダ106は、図18に示すように、下部ホルダ108と、上部ホルダ109と、を備えている。このうち、上部ホルダ109は、腕部107と一体に形成された環状部で構成されている。固浸レンズ103を支持するための下部ホルダ108は、この上部ホルダ109を介して腕部107によって支持されている。また、これらのホルダ108、109は、半導体デバイスSに対する光路を妨げないように略円筒状に構成されている。
【0085】
固浸レンズ103は、その底面の中央部103aがその周縁部103bに対して下方に凸とされる形状に構成されている。なお、本実施形態においては、凸状の中央部103aの外周面が、下方に向かって外径が小さくなるテーパ状になっている。
【0086】
ホルダ108は、略円筒状に構成されると共に、その底面に、内側に向かう環状鍔部108aを備えている。そして、この環状鍔部108aの内周に形成されている開口108bを通して、固浸レンズ103の凸を成す中央部103aの底面が下方に突出した状態で、固浸レンズの周縁部103bがホルダ108の環状鍔部108aに載置され、当該固浸レンズ103がホルダ108に自重方向に支えられている。
【0087】
また、ホルダ108、109の上方には、キャップ111が設けられている。このキャップ111により、半導体デバイスSに対する光路を妨げること無く、固浸レンズ103のホルダ108、109からの離脱が防止されている。また、本実施形態におけるキャップ111は、円環状であって、かつ、内側へと突出する複数の爪部(図中では3個の爪部)を有する構成となっている。
【0088】
また、腕部107は、上部ホルダ109から外方に延びる板状部材からなり、その一端が斜め上方に向かうと共に、その他端において上記したように上部ホルダ109と一体化されている。この腕部107の一端には、図17及び図18に示すように、鉛直上方に延びると共に側面の一部を平坦面とした回り止め部107aが、腕部107及びホルダ106の回り止めとして固着されている。
【0089】
この固浸レンズホルダ105を構成する腕部107は、図19に示すように、固浸レンズマニピュレータ30の第一腕部材71の一端に連結されている。さらに、本実施形態においては、この固浸レンズマニピュレータ30の第一腕部材71が、第一腕部材回動源72に対して着脱可能に構成されている。図19に示す構成例では、第一腕部材71は、六角穴付ボルト72bにより、第一腕部材回動源72の回動軸72aに対して着脱可能に連結されている。
【0090】
このような固浸レンズホルダ105によれば、固浸レンズ103に加工が必要とされるが、固浸レンズ103の自重のみが半導体デバイスSに対して作用するため、当該半導体デバイスSに過度の圧力が一層加わることが無いという利点がある。
【0091】
また、上記実施形態では、固浸レンズホルダ105が連結された第一腕部材71が、第一腕部材回動源72に対して着脱可能に取り付けられる構成となっている。このように、剛性が比較的高い第一腕部材回動源72を着脱部位とすることにより、第一腕部材71、あるいは固浸レンズホルダ105の腕部107に変形が発生することが防止されると共に、それらの部材の耐久性が向上される。また、固浸レンズ103による試料の観察を行う際に、観察対象物と固浸レンズ103との平行度を好適に維持できる。
【0092】
また、図19に示したように、第一腕部材71を第一腕部材回動源72に対してボルト等で取り付けた構成では、六角レンチなどの工具での着脱作業が可能である。これにより、例えば第一腕部材71、及び固浸レンズホルダ105を含めた固浸レンズ103の交換など、装置の取扱いが容易となる。
【0093】
また、上記実施形態では、ホルダ106の一部を、腕部107と一体の環状部である上部ホルダ109によって構成している。これにより、固浸レンズホルダ105の剛性を向上することができる。また、固浸レンズホルダにおける腕部と環状のホルダ部分との位置合わせ(特に回転方向の位置合わせ)が不要となる。このような構成では、ホルダ106の全部を、腕部107と一体の環状部によって構成しても良い。
【0094】
また、腕部107が、ホルダ106から斜め上方に向かう形状となっている。これにより、固浸レンズ103の側方のスペースを確保できるので、試料の観察を好適に行うことができる。例えば、プラスチックモールド型ICを検査する場合、モールド切除に起因して検査箇所の周辺に段差ができ、固浸レンズホルダの移動可能な範囲が制限される。これに対して、上記のように腕部107を斜めとする構成によれば、観察対象物の段差と、固浸レンズホルダの腕部との干渉を低減でき、固浸レンズを用いた観察対象物の観察を好適に実行することができる。
【0095】
なお、上記構成の固浸レンズホルダ105において、環状鍔部108aを有する下部ホルダ108については、上部ホルダ109及び腕部107と同一、類似の材料であっても良く、あるいは、例えば吸水性セラミックなどの吸水性構造物を加工したものであっても良い。ホルダに吸水性構造物を適用すると、光学密着液を過剰に塗布してしまったような場合に、それを乾燥させて固浸レンズと観察対象物とを光学的に密着させる時間を短縮できるという利点がある。
【0096】
図20は、他の固浸レンズホルダを示す斜視図、図21は、他の固浸レンズホルダのレンズ密着位置の状態を示す縦断面図である。この固浸レンズホルダ64にあっては、固浸レンズホルダ64を構成するホルダ65が、円筒状を成しその内径が固浸レンズ3の外径に比して大とされる構成とされている。そして、このホルダ65の内周内に固浸レンズ3が位置すると共に、当該固浸レンズ3の底面がホルダ65の底面の開口から突出した状態とされている。
【0097】
このような固浸レンズホルダ64によれば、固浸レンズ3は、X−Y平面内を移動する固浸レンズホルダ64のホルダ65の内周面に引っ掛けられた状態で半導体デバイスS上を滑るように移動し所望の観察位置に移動すると共に、当該固浸レンズホルダ64をZ方向に移動しさらに固浸レンズホルダ64をX−Y平面内で移動し、固浸レンズ3を半導体デバイスSの観察位置上に置き去りにすると共に固浸レンズホルダ64を固浸レンズ3から遠ざけることで、構成部品を全て半導体デバイスSの観察位置の視野から遠ざけて観察できるという利点がある。
【0098】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、特に好ましいとして、固浸レンズ3を支えるホルダ9を筒状に構成しているが、開口9bを備える平板であっても良い。
【0099】
また、上記実施形態においては、簡易な構成で固浸レンズ3を三次元方向の所望の位置へ自在に移動し得るとして、固浸レンズマニピュレータ30が固浸レンズ3をZ方向へ移動可能としている。ただし、Z方向移動源75を無くしてX−Y平面内での移動のみとし、X−Y−Zステージ15によりZ方向に移動させたり、又は、半導体デバイスSを載置しているステージ18をZ方向に移動させるようにしても良い。これらの場合には、固浸レンズマニピュレータ30による固浸レンズ3の挿入位置が密着位置とされる。
【0100】
また、上記実施形態においては、観察対象物として半導体基板からなる半導体デバイスを例示しているが、これに限定されるものではなく、例えばガラスやプラスチックを基板とした電子デバイスであってもよい。この場合、固浸レンズの材質として、ガラスやプラスチックを用いるのが好適である。
【0101】
具体的には、上記実施形態では、観察対象の試料を半導体デバイスとしているが、一般に半導体デバイスなどの各種の電子デバイスを試料とする場合には、対象となるデバイスとしては、半導体基板を用いたものに限らず、ポリシリコン薄膜トランジスタなどのように、ガラスやプラスチックなどを基板とする集積回路を観察対象としても良い。例えば液晶デバイスではガラス基板上に、また、有機ELではプラスチック基板上にデバイスが作製される。また、さらに一般的な試料としては、上記した半導体デバイスや液晶デバイスなどの各種のデバイスの他にも、プレパラートを用いたバイオ関連サンプルなどが挙げられる。
【0102】
また、上記実施形態においては、特に効果的であるとして、半導体デバイスSの検査装置1に対する適用を述べているが、これに限定されるものではなく、例えば特開平11−305135号公報に記載のように、観察対象物を光記録媒体として当該光記録媒体の検査を行う光学式観察装置等に対しても適用可能である。
【0103】
また、上記した固浸レンズ移動装置は、一般に、試料の観察を行って、その内部情報を得るための顕微鏡に適用可能である。この場合、顕微鏡は、試料からの光が入射する対物レンズを含み、試料の画像を導く光学系と、固浸レンズ移動装置と、を具備し、固浸レンズ移動装置が、試料から対物レンズへの光軸を含む挿入位置と、光軸を外れた待機位置との間で固浸レンズを移動させるように構成されていれば良い。また、顕微鏡は、上記したように、観察対象物となる試料の画像を取得する画像取得手段を備える構成としても良い。この場合、光学系は、試料の画像を画像取得手段へと導くように構成される。
【0104】
また、上記実施形態においては、観察対象物の下面(半導体デバイスSの表面)の所定位置を観察するとして、観察対象物の下面の所定位置が焦点となるように固浸レンズ3が用いられているが、これに限定されるものではない。例えば特開2001−189359号公報に記載のように、観察対象物の内部又は上面を観察する場合には、観察対象物の内部又は上面が焦点となるようにして固浸レンズが用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、低コスト化を図りつつ、小型化が図られる固浸レンズ移動装置、及びこれを備えた顕微鏡として利用可能である。すなわち、上記したように、本発明による固浸レンズ移動装置によれば、二個の腕部材を回動することで固浸レンズをX−Y平面内の所望の位置に移動し、直交するX方向、Y方向に構成部品を長尺とする必要を無くし占有領域を小とすると共に簡易な構成としているため、低コスト化を図りつつ、装置の小型化を図ることが可能となる。また、この固浸レンズ移動装置を備えた顕微鏡、あるいはそれを用いた電子デバイス検査装置によれば、当該固浸レンズ移動装置の効果に加えて、観察画像及び拡大観察画像の両者が必要とされる場合にこれらの画像が容易に取得されると共に、拡大観察画像により高分解能の観察が可能とされるため、電子デバイス検査などの試料観察を容易且つ高精度に実施することが可能となる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、固浸レンズを移動させる固浸レンズ移動装置及びこれを備えた顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
観察対象物の画像を拡大するレンズとして固浸レンズ(SIL:Solid Immersion Lens)が知られている。この固浸レンズは、半球形状又はワイエルストラス球と呼ばれる超半球形状のレンズで、その大きさが1mm〜5mm程度の小型のレンズである。そして、この固浸レンズを用いると、開口数NA及び倍率が共に拡大されるため、高い空間分解能での観察が可能となる。
【0003】
この固浸レンズを用いて観察を行う場合に、当該固浸レンズを、観察対象物の観察位置に移動させる固浸レンズ移動装置として、固浸レンズを保持する保持箱をX−YアクチュエータによりX−Y移動させる装置が知られている(例えば、文献1:US2003/0098692A1参照)。また、固浸レンズを保持するカンチレバーをピエゾ素子によりX−Y−Z移動させる装置が知られている(例えば、文献2:特開2001−189359号公報参照)。
【特許文献1】US2003/0098692A1
【特許文献2】特開2001−189359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、X−Yアクチュエータにより保持箱をX−Y移動させる前者にあっては、X−Yアクチュエータの場合に一般的に指摘されることであるが、直交するX方向、Y方向に構成部品を長尺とすることが必要とされ、占有領域が大とされることから、小型化が図れないという問題がある。また、ピエゾ素子によりカンチレバーをX−Y−Z移動させる後者にあっては、大きなストロークがとれないため、観察対象物側にX−Y−Zステージを別途設けていて、コストが高い。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、低コスト化を図りつつ、小型化が図られる固浸レンズ移動装置、及びこれを備えた顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による固浸レンズ移動装置は、固浸レンズを、観察対象物に対して略平行を成すX−Y平面内で移動させる固浸レンズ移動装置であって、固浸レンズを支持する固浸レンズホルダが連結された第一腕部材と、この第一腕部材をX−Y平面内で回動させる第一腕部材回動源と、この第一腕部材回動源を保持する第二腕部材と、第一腕部材回動源の回動軸と非同軸の位置を回動軸として、第二腕部材をX−Y平面内で回動させる第二腕部材回動源と、を具備したことを特徴としている。
【0007】
このような固浸レンズ移動装置によれば、第二腕部材回動源により、第二腕部材及び第二腕部材に保持されている第一腕部材回動源が、観察対象物に対して略平行を成すX−Y平面内で回動される。また、その回動軸が第二腕部材回動源の回動軸と非同軸に位置する第一腕部材回動源により、固浸レンズを支持する固浸レンズホルダが連結された第一腕部材がX−Y平面内で回動される。このように固浸レンズは、二個の腕部材が回動されることでX−Y平面内の所望の位置に移動されるため、直交するX方向、Y方向に構成部品を長尺とする必要が無く占有領域が小とされると共に簡易な構成とされる。
【0008】
ここで、第二腕部材回動源を、X−Y平面に直行するZ方向に移動させるZ方向移動源を備えていることが好ましい。この場合、当該固浸レンズ移動装置により、固浸レンズが三次元方向の所望の位置へ自在に移動される。
【0009】
また、固浸レンズを観察対象物に光学的に結合させるための光結合材料を供給する光結合材料供給手段を備えていることが好ましい。この場合、開口数(NA)の高い光束を通すことができる。これにより、固浸レンズ本来の分解能を得ることができる。
【0010】
また、光結合材料を乾燥させるための気体を供給する乾燥気体供給手段を備えていることが好ましい。この場合、光結合材料の乾燥が促進され、観察を直ちに実行することが可能とされる。
【0011】
また、固浸レンズホルダは外方へ延びる腕部を備え、この腕部が第一腕部材に着脱可能に連結されている構成としても良い。この場合、レンズ交換の際に腕部ごとの交換が可能とされ、微小な固浸レンズを取り扱うことなくレンズ交換が容易とされる。あるいは、第一腕部材が、第一腕部材回動源に着脱可能に連結されている構成としても良い。
【0012】
また、第二腕部材は、湾曲状に構成されていることが好ましい。この場合、当該第二腕部材が、観察対象物の視野から容易に遠ざけられる。
【0013】
また、固浸レンズホルダは、その内径が固浸レンズの外径に比して大とされる筒状に構成され、この固浸レンズホルダの内周内に固浸レンズが位置すると共に、当該固浸レンズの底面が固浸レンズホルダの底面の開口から突出した状態とされている構成としても良い。この場合、固浸レンズは、X−Y平面内を移動する固浸レンズホルダの内周面に引っ掛けられた状態で観察対象物上を滑るように移動し所望の観察位置に移動する。また、当該固浸レンズホルダ又は観察対象物をZ方向に移動し、さらに固浸レンズホルダをX−Y平面内で移動して固浸レンズから遠ざけることで、構成部品を全て観察対象物の視野から遠ざけた観察が可能とされる。
【0014】
また、固浸レンズを通して観察対象物を観察する顕微鏡を備え、この顕微鏡に、上記固浸レンズ移動装置が着脱可能に装着されていることが好ましい。この場合、当該固浸レンズ移動装置を外して観察する場合や、他のレンズ移動装置を装着して観察する場合等に便利である。
【0015】
また、本発明による固浸レンズ移動装置を備えた顕微鏡は、試料の観察を行って、その内部情報を得るための顕微鏡であって、観察対象物となる試料からの光が入射する対物レンズを含み、試料の画像を導く光学系と、上記固浸レンズ移動装置と、を具備し、固浸レンズ移動装置は、試料から対物レンズへの光軸を含む挿入位置と、光軸を外れた待機位置との間で固浸レンズを移動させることを特徴としている。
【0016】
このような固浸レンズ移動装置を備えた顕微鏡によれば、固浸レンズ移動装置により、試料から対物レンズへの光軸を含む挿入位置と、光軸を外れた待機位置との間で固浸レンズが移動される。そして、試料と対物レンズとの間に固浸レンズが無い通常の状態での観察画像、及び、固浸レンズを挿入した状態での拡大観察画像の両者が取得される。このように固浸レンズ移動装置を用いることで、観察画像及び拡大観察画像の両者が必要とされる場合にこれらの画像が容易に取得されると共に、拡大観察画像により高分解能の観察が可能とされる。
【0017】
なお、本発明にいう「内部情報」としては、例えば電子デバイスを試料とした場合、電子デバイスの回路パターンや電子デバイスからの微弱発光が含まれる。この微弱発光としては、電子デバイスの欠陥に基づく異常個所に起因するものや、電子デバイス中のトランジスタのスイッチング動作に伴うトランジェント発光などが挙げられる。さらには、電子デバイスの欠陥に基づく発熱も含まれる。
【0018】
また、顕微鏡は、観察対象物となる試料の画像を取得する画像取得手段を備える構成としても良い。この場合、光学系は、試料の画像を画像取得手段へと導くように構成される。
【0019】
上記した顕微鏡は、電子デバイス検査装置として好適に用いることができる。この場合、電子デバイス検査装置は、電子デバイスの画像を取得して、その内部情報を検査する電子デバイス検査装置であって、観察対象物となる電子デバイスの画像を取得する画像取得手段と、電子デバイスからの光が入射する対物レンズを含み、電子デバイスの画像を画像取得手段へと導く光学系と、上記固浸レンズ移動装置と、を具備し、固浸レンズ移動装置は、電子デバイスから対物レンズへの光軸を含む挿入位置と光軸を外れた待機位置との間で固浸レンズを移動させることが好ましい。
【0020】
このような固浸レンズ移動装置を備えた電子デバイス検査装置によれば、固浸レンズ移動装置により、電子デバイスから対物レンズへの光軸を含む挿入位置と光軸を外れた待機位置との間で固浸レンズが移動される。そして、電子デバイスと対物レンズとの間に固浸レンズが無い通常の状態での観察画像、及び、固浸レンズを挿入した状態での拡大観察画像の両者が取得される。このように固浸レンズ移動装置を用いることで、観察画像及び拡大観察画像の両者が必要とされる場合にこれらの画像が容易に取得されると共に、拡大観察画像により高分解能の観察が可能とされる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明による固浸レンズ移動装置によれば、二個の腕部材を回動することで固浸レンズをX−Y平面内の所望の位置に移動し、直交するX方向、Y方向に構成部品を長尺とする必要を無くし占有領域を小とすると共に簡易な構成としているため、低コスト化を図りつつ、装置の小型化を図ることが可能となる。また、この固浸レンズ移動装置を備えた顕微鏡(例えば電子デバイス検査装置)によれば、当該固浸レンズ移動装置の効果に加えて、観察画像及び拡大観察画像の両者が必要とされる場合にこれらの画像が容易に取得されると共に、拡大観察画像により高分解能の観察が可能とされるため、電子デバイス検査等の試料観察を容易且つ高精度に実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る固浸レンズ移動装置を備えた電子デバイス検査装置を示す構成図である。
【図2】図2は、固浸レンズ移動装置及び対物レンズを上方から見た斜視図である。
【図3】図3は、固浸レンズ移動装置及び対物レンズを下方から見た斜視図である。
【図4】図4は、固浸レンズ移動装置及び対物レンズの下部を図3とは相違する下方から見た斜視図である。
【図5】図5は、固浸レンズが待機位置に位置している状態の固浸レンズ移動装置及び対物レンズを示す下面図である。
【図6】図6は、固浸レンズが挿入位置、密着位置に位置している状態の固浸レンズ移動装置及び対物レンズを示す下面図である。
【図7】図7は、固浸レンズが交換位置に位置している状態の固浸レンズ移動装置及び対物レンズを示す下面図である。
【図8】図8は、固浸レンズホルダを示す斜視図である。
【図9】図9は、固浸レンズホルダのレンズ待機位置の状態を示す縦断面図である。
【図10】図10は、固浸レンズホルダのレンズ密着位置の状態を示す縦断面図である。
【図11】図11は、固浸レンズホルダの腕部と固浸レンズ移動装置の第一腕部材との連結部を示す斜視図である。
【図12】図12は、固浸レンズホルダの腕部と固浸レンズ移動装置の第一腕部材との連結前の状態を前方から見た斜視図である。
【図13】図13は、固浸レンズホルダの腕部と固浸レンズ移動装置の第一腕部材との連結前の状態を後方から見た斜視図である。
【図14】図14は、固浸レンズ移動装置及び対物レンズと共に光結合材料供給手段及び乾燥気体供給手段を示す構成図である。
【図15】図15は、光結合材料供給手段を具体的に示す構成図である。
【図16】図16は、乾燥気体供給手段を具体的に示す構成図である。
【図17】図17は、本発明の他の実施形態に用いられる固浸レンズホルダを示す斜視図である。
【図18】図18は、固浸レンズホルダのレンズ密着位置の状態を示す縦断面図である。
【図19】図19は、固浸レンズホルダと固浸レンズ移動装置との連結部を示す斜視図である。
【図20】図20は、他の固浸レンズホルダを示す斜視図である。
【図21】図21は、他の固浸レンズホルダのレンズ密着位置の状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1…電子デバイス検査装置、2…光学系、3…固浸レンズ、4…顕微鏡、5,64…固浸レンズホルダ、7…固浸レンズホルダ腕部、10,12…画像取得手段、20…対物レンズ、30…固浸レンズマニピュレータ(固浸レンズ移動装置)、71…第一腕部材、72…第一腕部材回動源、72a…第一腕部材回動源の回動軸、73…第二腕部材、74…第二腕部材回動源、74a…第二腕部材回動源の回動軸、75…Z方向移動源、80…光結合材料供給手段、90…乾燥気体供給手段、99…連結部、S…半導体デバイス(観察対象物)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明による固浸レンズ移動装置、及び顕微鏡の好適な実施形態について図1〜図21を参照しながら説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る固浸レンズ移動装置を備えた電子デバイス検査装置を示す構成図、図2〜図4は、固浸レンズ移動装置及び対物レンズを示す各斜視図、図5〜図7は、固浸レンズ移動装置の移動動作を示す各状態図、図8〜図10は、固浸レンズホルダを示す各図、図11〜図13は、固浸レンズホルダと固浸レンズ移動装置との連結部を示す各斜視図、図14〜図16は、光結合材料供給手段、乾燥気体供給手段を示す各図、図17〜図19は、本発明の他の実施形態に用いられる固浸レンズホルダを示す各図、図20及び図21は、他の固浸レンズホルダを示す各図である。なお、各図において、同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、本発明による固浸レンズ移動装置、及び顕微鏡は、固浸レンズを用いた試料観察に対して一般に適用可能である。ただし、以下においては、主にその電子デバイス検査(半導体検査)への適用例について説明する。
【0025】
先ず、第一実施形態の固浸レンズ移動装置を備える電子デバイス検査装置について説明する。図1に示すように、電子デバイス検査装置1は、例えば半導体基板上にトランジスタや配線等の回路パターンが形成された半導体デバイスSを観察対象物の試料とし、この半導体デバイスSの画像を取得しその内部情報を検査する検査装置である。なお、本発明にいう「内部情報」としては、半導体デバイスの回路パターンや半導体デバイスからの微弱発光が含まれる。この微弱発光としては、半導体デバイスの欠陥に基づく異常個所に起因するものや、半導体デバイス中のトランジスタのスイッチング動作に伴うトランジェント発光などが挙げられる。さらには、半導体デバイスの欠陥に基づく発熱も含まれる。
【0026】
この電子デバイス検査装置1は、半導体デバイスSの観察を行う観察部Aと、観察部Aの各部の動作を制御する制御部Bと、半導体デバイスSの検査に必要な処理や指示等を行う解析部Cと、を備えている。半導体デバイスSは、観察部Aに設けられたステージ18上にその裏面が上を向くように載置され、検査装置1は、本実施形態にあっては、半導体デバイスSの図示下面(半導体デバイスSの半導体基板表面に形成された集積回路等)を検査する。
【0027】
観察部Aは、半導体デバイスSからの画像を取得する画像取得手段としての高感度カメラ10及びレーザスキャン光学系(LSM:Laser Scanning Microscope)ユニット12と、高感度カメラ10及びLSMユニット12と半導体デバイスSとの間に配置される顕微鏡4の対物レンズ20を含む光学系2と、半導体デバイスSの拡大観察画像を得るための固浸レンズ3と、この固浸レンズ3を三次元方向に移動させる固浸レンズ移動装置としての固浸レンズマニピュレータ30と、これらを直交するX−Y−Z方向に各々移動させるX−Y−Zステージ15と、を具備している。
【0028】
光学系2は、上記対物レンズ20に加えて、カメラ用光学系22と、LSMユニット用光学系24と、を備えている。対物レンズ20は、倍率が異なるものが複数設けられ、切り換え可能とされている。カメラ用光学系22は、対物レンズ20を通した半導体デバイスSからの光を高感度カメラ10に導き、高感度カメラ10は半導体デバイスSの回路パターン等の画像を取得する。一方、LSMユニット用光学系24は、LSMユニット12からの赤外レーザ光をビームスプリッタ(不図示)で対物レンズ20側に反射し半導体デバイスSに導くと共に、対物レンズ20を通し高感度カメラ10に向かう半導体デバイスSからの反射光の一部をビームスプリッタで分岐してLSMユニット12に導く。
【0029】
このLSMユニット12は、赤外レーザ光をX−Y方向に走査し半導体デバイスS側に出射する一方で、半導体デバイスSからの反射光を光検出器(不図示)で検出する。この検出光の強度は、半導体デバイスSの回路パターンを反映した強度となっている。従って、LSMユニット12は、赤外レーザ光が半導体デバイスSをX−Y走査することで、半導体デバイスSの回路パターン等の画像を取得する。
【0030】
X−Y−Zステージ15は、高感度カメラ10、LSMユニット12及び光学系2、さらに、固浸レンズ3及び固浸レンズマニピュレータ30等を、X−Y方向(水平方向;観察対象物である半導体デバイスSに対して平行を成す方向)及びこれに直交するZ方向(垂直方向)の各々に、必要に応じて移動するためのものである。
【0031】
固浸レンズ3は、半球形状(図9参照)又はワイエルストラス球と呼ばれる1〜5mm程度の超半球形状を有する微小レンズであり、半導体デバイスSを観察するための観察位置(図示上面)にその底面が密着することで、裏側となる半導体デバイスSの表面(図示下面)の拡大観察画像を得る。
【0032】
具体的には、半導体検査装置において使用される固浸レンズは、半導体デバイスの基板材料と実質的に同一またはその屈折率に近い、高屈折率材料からなる。その代表的な例としては、Si、GaP、GaAsなどが挙げられる。
【0033】
このような微小な光学素子を半導体デバイスの基板表面に光学密着させることにより、半導体基板自身を固浸レンズの一部として利用することができる。固浸レンズを利用した半導体デバイスの裏面解析によれば、対物レンズの焦点を半導体基板表面に形成された集積回路に合わせた際に、固浸レンズの効果により、収束角を大きくしたり媒質の屈折率を増加させる効果がある。これにより、基板中にNAの高い光束を通すことが可能となり、短波長化による高分解能化が期待できる。
【0034】
このような固浸レンズ3のレンズ形状は、収差がなくなる条件によって決まるものである。半球形状を有する固浸レンズでは、その球心が焦点となる。このとき、開口数NAおよび倍率はともにn倍となる。一方、超半球形状を有する固浸レンズでは、球心からR/nだけ下方にずれた位置が焦点となる。このとき、開口数NAおよび倍率はともにn2倍となる。あるいは、球心と、球心からR/nだけ下方にずれた位置との間の位置を焦点とするなど、半導体デバイスSに対する具体的な観察条件等に応じて、上記以外の条件で固浸レンズ3を用いてもよい。
【0035】
固浸レンズホルダ5(図8〜図10参照)は、固浸レンズ3を好適に支持するものである。また、この固浸レンズホルダ5を三次元方向に移動する固浸レンズマニピュレータ30(図2〜図7参照)は、固浸レンズホルダ5に支持される固浸レンズ3を、半導体デバイスSと対物レンズ20との間の位置で半導体デバイスSから対物レンズ20への光軸を含む挿入位置、半導体デバイスSの観察位置に当該固浸レンズ3の底面が密着する密着位置、上記光軸を外れた待機位置、固浸レンズ3を交換するための交換位置等の各所定位置に移動するためのものである。これらの固浸レンズホルダ5及び固浸レンズマニピュレータ30については詳しくは後述する。
【0036】
制御部Bは、カメラコントローラ51aと、レーザスキャン(LSM)コントローラ51bと、ステージコントローラ52と、マニピュレータコントローラ53と、を備えている。カメラコントローラ51a及びLSMコントローラ51bは、高感度カメラ10及びLSMユニット12の動作を各々制御することで、観察部Aで行われる半導体デバイスSの観察の実行(画像の取得)や観察条件の設定等を制御する。
【0037】
ステージコントローラ52は、X−Y−Zステージ15の動作を制御することで、半導体デバイスSの観察位置に対応する位置への高感度カメラ10、LSMユニット12及び光学系2等の移動、位置合わせ、焦点合わせ等を制御する。また、マニピュレータコントローラ53は、固浸レンズマニピュレータ30の動作を制御することで、上記所定位置への固浸レンズ3の移動、及び、固浸レンズ3の密着位置の微調整等を制御する(詳しくは後述)。
【0038】
解析部Cは、画像解析部61と指示部62とを備え、コンピュータにより構成されている。画像解析部61は、カメラコントローラ51a及びレーザスキャンコントローラ51bからの画像情報に対して必要な解析処理等を実施する。また、指示部62は、操作者からの入力内容や画像解析部61による解析内容等を参照し、制御部Bを介して、観察部Aにおける半導体デバイスSの検査の実行に関する必要な指示を行う。また、解析部Cにより取得又は解析された画像、データ等は、必要に応じて解析部Cに接続された表示装置63に表示される。
【0039】
次に、特に本実施形態の特徴を成す固浸レンズホルダ5及び固浸レンズマニピュレータ30について詳説する。
【0040】
固浸レンズホルダ5は、図8及び図9に示すように、略円筒状に構成され固浸レンズ3を支持するホルダ6と、このホルダ6を保持する腕部7と、を備えている。この固浸レンズホルダ5は、後述の光学密着液と接触することがあるため、耐腐食性の高い例えばステンレス、アルミ等の金属の他、固浸レンズ形状に合わせて成形加工しやすい樹脂として例えばアクリルやPET、ポリエチレン、ポリカーボネート等で成形されている。
【0041】
ホルダ6は、図9に示すように、固浸レンズ3を保持する第一ホルダ8と、この第一ホルダ8を支持する第二ホルダ9と、を備えている。これらの第一ホルダ8及び第二ホルダ9は、半導体デバイスSに対する光路を妨げないように略円筒状に構成されている。
【0042】
第一ホルダ8は、その上部の外周面に、外方に突出する環状鍔部8aを備えると共に、その底面に、内側に向かう環状鍔部8bを備え、この環状鍔部8bの内周に形成されている開口を通して、固浸レンズ3の底面が下方に突出した状態で、当該固浸レンズ3が第一ホルダ8に例えば接着剤等で固着され保持されている。
【0043】
第二ホルダ9は、その底面に、内側に向かう環状鍔部9aを備え、この環状鍔部9aの内周に形成されている開口9bを通して、第一ホルダ8の下部が下方に突出した状態で、第一ホルダ8の環状鍔部8aが第二ホルダ9の環状鍔部9aに載置され、当該第一ホルダ8及び固浸レンズ3が当該第二ホルダ9に自重方向に支えられている。
【0044】
ここで、第一ホルダ8の下部の外径をA、第一ホルダ8の環状鍔部8aの外径をB、第二ホルダ9の開口9bの内径をCとすると、A<C<Bの関係に設定されている。このため、第一ホルダ8は第二ホルダ9に対して自由とされると共に第二ホルダ9から下方への第一ホルダ8の離脱が防止されている。
【0045】
また、第二ホルダ9は、その上部の開口9cに、例えば嵌合や螺合等により装着される固浸レンズの抜け止めのためのキャップ11を備えている。このキャップ11は、第一ホルダ8及び第二ホルダ9と同様に略円筒状に構成され、キャップ11の内径をDとすると、D<Bの関係に設定されている。従って、当該キャップ11により、半導体デバイスSに対する光路を妨げること無く、当該固浸レンズ3を保持した第一ホルダ8が第二ホルダ9の上部の開口9cを通して例えば飛び出す等の離脱が防止され固浸レンズの紛失が防止されている。
【0046】
また、腕部7は、丸棒を略L字状に曲げたもので、第二ホルダ9から外方に延び、その一端が上方に向かうと共にその他端が第二ホルダ9の側部に固定されている。この腕部7の一端には、図8及び図9に示すように、パイプの側面の一部を平坦面とした回り止め部7aが、腕部7及びホルダ6の回り止めとして例えば嵌合等で固着されている。なお、腕部7は、略L字状を成しその一端が上方に延びる構成とされているが、X−Y平面内に延びる構成であっても良い。
【0047】
この固浸レンズホルダ5を構成する腕部7は、図11に示すように、固浸レンズマニピュレータ30の第一腕部材71の一端に着脱可能に連結されている。この第一腕部材71と固浸レンズホルダ5とを連結する連結部99は、図12及び図13に示すように、第一腕部材71に、腕部7の回り止め部7aを上下方向に挿通可能とする貫通孔71aと、先端面が平坦面にされると共に螺合による進退(前進/後進)により貫通孔71aを狭める/広げる締め付け部71bと、を備える。
【0048】
このような構成において、貫通孔71aに挿通された回り止め部7aは、締め付け部71bを締め付け方向に回し前進させることで、第一腕部材71に固定される。この状態で、腕部7の回り止め部7aの平坦面と締め付け部71bの先端の平坦面とが当接して密着し、当該腕部7及び固浸レンズホルダ5の回り止めが構成されている。また、このように第一腕部材71に固定された腕部7は、例えば固浸レンズ3の交換等の際に、締め付け部71bを逆方向に回し後退させることで、第一腕部材71から解放され抜脱される。
【0049】
この連結部99により固浸レンズホルダ5を保持した固浸レンズマニピュレータ30は、図1〜図7に示すように、固浸レンズホルダ5の固浸レンズ3を、三次元方向の前述した各所定位置(挿入位置、密着位置、待機位置、交換位置)に自在に移動するものである。この固浸レンズマニピュレータ30は、図2〜図7に示すように、固浸レンズホルダ5を装着した上記第一腕部材71と、この第一腕部材71をX−Y平面内で回動させる第一腕部材回動源72と、この第一腕部材回動源72を保持する第二腕部材73と、この第二腕部材73をX−Y平面内で回動させる第二腕部材回動源74と、この第二腕部材回動源74を、X−Y平面に直行するZ方向に移動させるZ方向移動源75と、を備え、このZ方向移動源75が基端側とされ、移動する第一腕部材71が終端側とされている。
【0050】
具体的には、Z方向移動源75は、例えば送り螺子等により移動軸75aがZ方向に移動するZ軸モータ等で構成され、支持部76を介して装置本体側としての顕微鏡4に装着されている。この支持部76は、顕微鏡4に例えば螺子留め等で着脱可能に装着され、例えば、固浸レンズマニピュレータ30を外して顕微鏡観察する場合や、他のレンズ移動装置を装着して顕微鏡観察する場合等の利便性が図られている。
【0051】
Z方向移動源75の移動軸75aには、支持部77を介して第二腕部材回動源74が連結されている。この第二腕部材回動源74は、例えば出力軸が正逆方向に回動する(所定範囲内で回動すれば良い)回動軸74aとされるモータ等で構成され、Z方向移動源75の駆動により、Z方向に移動される。
【0052】
この第二腕部材回動源74の回動軸74aには、第二腕部材73の一端が連結されている。この第二腕部材73は、詳しくは後述するが、図6に示すように、当該第二腕部材73が半導体デバイスSの観察位置の視野(対物レンズ20の視野)から容易に遠ざかるように湾曲状に構成されている。
【0053】
この第二腕部材73の他端には、図2〜図7に示すように、第一腕部材回動源72が固定されている。この第一腕部材回動源72は、例えば出力軸が正逆方向に回動する(所定範囲内で回動すれば良い)回動軸72aとされるモータ等で構成されている。このように、第一腕部材回動源72の回動軸72aと第二腕部材回動源74の回動軸74aとは非同軸に位置している。そして、第一腕部材回動源72は、第二腕部材回動源74の駆動により、第二腕部材回動源74の回動軸74aを支点として第二腕部材73と共にX−Y平面内を回動される。
【0054】
第一腕部材回動源72の回動軸72aには、前述した第一腕部材71の他端が連結されている。この第一腕部材71は、第一腕部材回動源72の駆動により、第一腕部材回動源72の回動軸72aを支点としてX−Y平面内を回動される。
【0055】
従って、第一腕部材71の一端に連結されている固浸レンズホルダ5に支持された固浸レンズ3は、第一腕部材回動源72、第二腕部材回動源74の駆動により、X−Y平面内を、各々の回動を合成した合成方向に移動されると共に、Z方向移動源75の駆動によりZ方向に移動され、その結果、三次元方向の各所定位置に自在に移動される。
【0056】
さらに、本実施形態の固浸レンズマニピュレータ30は、固浸レンズ3による拡大観察画像を得る際に用いられるものであって、図14に示すように、固浸レンズ3を半導体デバイスSの観察位置に光学的に結合させるための光結合材料を供給する光結合材料供給手段80と、この光結合材料を乾燥させるための気体を供給する乾燥気体供給手段90と、を備えている。
【0057】
光結合材料供給手段80は、例えば両親媒性分子を含有する光学密着液(例えば水と界面活性剤とからなる)を、固浸レンズ3を半導体デバイスSの観察位置に密着させる直前に、当該観察位置上に供給するものである。この光結合材料供給手段80では、図14及び図15に示すように、支持部76に固定されている例えば容量1cc程度の専用小型液タンク81内に光学密着液を収容する。そして、この収容されている光学密着液を、例えば圧縮空気等の圧縮気体により加圧状態とし、支持部76に固定されると共に液タンク81の出口に接続されている例えばスプリング入りのソレノイドバルブであるマイクロバルブ82に制御系83からパルス信号を供給することで、このマイクロバルブ82にフレキシブルパイプ84を介して接続されると共に図2〜図7に示すように第一腕部材71に固定されている光結合材料供給パイプ85のその先端の供給口85aから光学密着液を噴射する。
【0058】
なお、両親媒性分子としては、親水基(カルボキシル基、スルホ基、第4アンモニウム基、水酸基など)と疎水基(親油基ともいう。長鎖の炭化水素基など)の両方をもつ分子であればよく、例えば界面活性剤分子(イオン性界面活性剤分子、非イオン性界面活性剤分子)が好適に用いられる。また、その他の両親媒性分子としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなどの湿潤剤や、リン脂質、糖脂質、アミノ脂質などが挙げられる。
【0059】
両親媒性分子を含有する光学密着液は表面張力が低いために、疎水性表面である半導体基板上に広がる。この光学密着液を乾燥させる際に、半導体基板の表面および固浸レンズの底面の濡れ性を保とうとする力が支配的となる。このため、固浸レンズの底面と半導体基板表面との面の間隔が狭められながら、光学密着液の主に水の揮発が進行する。最終的には、固浸レンズと半導体基板とが光学的に結合する。
【0060】
この状態では、半導体基板表面および固浸レンズの底面に物理吸着した両親媒性分子の親水基と水分子との間にファンデルワールス力が働き、水分子が拘束されることで揮発が止まると考えられる。このとき、固浸レンズと半導体基板との距離を、例えば1/20λ(λ:照射波長)以下とすることができ、その結果、固浸レンズと半導体基板とのエバネッセント結合、さらには物理的固着が達成される。なお、本発明でいう「光学密着」とは、エバネッセント結合により光学的な結合が達成されたものをいう。
【0061】
また、上記光学密着液以外の光結合材料としては、例えば特公平7−18806号公報に記載のような、固浸レンズと半導体基板とを屈折率整合させる屈折率整合流体(インデックスマッチング液など)が挙げられる。なお、屈折率整合流体と光学密着液とは異なるものであり、前者は流体の屈折率を介して高NAを実現するが、後者はエバネッセント結合を補助する役割を有するものである。ここでは、光学密着液を用いた実施形態を詳述するが、屈折率整合流体を用いた形態であっても同様の効果が得られる。ただし、その場合、必ずしも流体を乾燥させる必要がないので、乾燥気体供給手段90は省略される形態もある。
【0062】
この光結合材料供給パイプ85は、図2〜図7に示すように、第一腕部材71に固定されていると共に、その先端の供給口85aが固浸レンズホルダ5の近傍に設置されている。このため、固浸レンズ3と共に移動し目標の観察位置に向かって光学密着液を噴射することが可能とされている。この光学密着液は、その噴射量が、パルス信号のオン時間を制御することで制御され、ピコリットル程度の精度で供給口85aから噴射される。この光学密着液の噴射量は、固浸レンズ3の大きさに応じて適宜決められる。また、この光学密着液は、腐敗、濃度変化、液詰まりを防止すべく、適宜交換することが好ましい。
【0063】
なお、マイクロバルブ82に代えてチュービングタイプマイクロディスペンサを用いると共に液タンク81に対する圧縮気体による加圧を無くし、チュービングタイプマイクロディスペンサのチューブを機械的に絞り上げることで、液タンク81内の光学密着液を、フレキシブルパイプ84を介して光結合材料供給パイプ85のその先端の供給口85aから観察位置に向かって滴下する光結合材料供給手段としても良い。この場合には、液タンク81の容量は数十cc程度とされ、滴下量は、固浸レンズ3の大きさに応じて適宜決められる。
【0064】
乾燥気体供給手段90は、半導体デバイスSの観察位置と固浸レンズ3との間の光学密着液を迅速に乾燥させるべく気体を供給するものである。この乾燥気体供給手段90は、図14及び図16に示すように、例えば圧縮乾燥空気や窒素ガス等の気体を、支持部76に固定されている電磁バルブ92に制御系93からオン、オフ信号を供給することで、この電磁バルブ92にフレキシブルパイプ94を介して接続されると共に図2〜図7に示すように第一腕部材71に固定されている気体供給パイプ95のその先端の供給口95aから吹き出す。
【0065】
この気体供給パイプ95は、図2〜図7に示すように、光結合材料供給パイプ85と同様に、第一腕部材71に固定されていると共にその先端の供給口95aが固浸レンズホルダ5の近傍に設置されている。このため、固浸レンズ3と共に移動し、目標位置である半導体デバイスの観察位置と固浸レンズ3との間に向かって気体を吹き出すことが可能とされている。
【0066】
次に、このように構成された電子デバイス検査装置1の作用について説明する。先ず、図5に示す待機位置に固浸レンズ3を位置した状態から説明する。この待機位置では、第一、第二腕部材71,73は畳まれ、固浸レンズ3及び第一、第二腕部材71,73は対物レンズ20の視野外にある。この時、固浸レンズ3を保持した第一ホルダ8は、図9に示すように、その環状鍔部8aが第二ホルダ9の環状鍔部9aに載置され、当該第一ホルダ8及び固浸レンズ3が当該第二ホルダ9に自重方向に支えられている状態にある。そして、この待機状態で、半導体デバイスSの観察位置の通常の観察画像であるパターン画像を取得し、次いで、半導体デバイスSに例えば電圧を印加等して、その際の画像を取得する。
【0067】
この際に半導体デバイスSに異常箇所がある場合には発光画像が得られるため、通常の観察画像と電圧を印加した際の画像とを重ね合わせることで、半導体デバイスSの異常箇所を特定することが可能となる。そして、異常箇所がある場合には、対物レンズ20がその異常箇所と同軸に位置するように、X−Y−Zステージ15により、高感度カメラ10、LSMユニット12、光学系2、固浸レンズホルダ5及び固浸レンズマニピュレータ30等を移動する。
【0068】
次いで、半導体デバイスSの観察位置に対して固浸レンズ3を設置する。この場合には、先ず、固浸レンズマニピュレータ30の第一、第二腕部材回動源72,74を駆動し第一、第二腕部材71,73を回動することで、図3、図4及び図6に示すように、待機位置にある固浸レンズ3を、半導体デバイスSと対物レンズ20との間で半導体デバイスSから対物レンズ20への光軸を含む挿入位置へと移動する。この時、第二腕部材73は湾曲状に構成されているため、図6に示すように、当該第二腕部材73が対物レンズ20の視野を妨げることなく視野から容易に遠ざけられている。
【0069】
このようにして固浸レンズ3を挿入位置に挿入したら、固浸レンズマニピュレータ30のZ方向移動源75を駆動して固浸レンズ3を下げる。そして、固浸レンズ3が観察位置に接近したら、光結合材料供給手段80により、目標位置である観察位置上に光学密着液を供給し、固浸レンズ3を観察位置上に載置して密着位置に位置させる。
【0070】
このようにして固浸レンズ3が半導体デバイスSの観察位置上に載置されると、図10に示すように、第二ホルダ9により自重方向に支えられている固浸レンズ3及び第一ホルダ8が、当該半導体デバイスSにより持ち上げられた状態となる。
【0071】
そうしたら、固浸レンズ3の密着位置の微調整を行う。この微調整は、固浸レンズマニピュレータ30のZ方向移動源75の駆動により固浸レンズホルダ5をZ方向に微移動すると共に、第一腕部材回動源72により第一腕部材71を微揺動し、固浸レンズ3を保持した第一ホルダ8を、第二ホルダ9に対してX−Y−Z方向に隙間を有し接触しないようにして行う。具体的には、固浸レンズ3からの反射光を含む画像を取得し、この画像に含まれる反射光像における固浸レンズ3の各部反射面からの反射光をガイドとして行う。
【0072】
より具体的には、解析部Cの画像解析部61により、得られた画像に対し、自動又は操作者からの指示に基づいて解析を行い、反射光像の重心位置を求める。そして、解析部Cの指示部62により、マニピュレータコントローラ53を介して固浸レンズマニピュレータ30に対し、画像解析部61で得られた反射光像の重心位置が半導体デバイスSでの観察位置に対して一致するように、固浸レンズ3の密着位置の微調整を指示する。これにより、固浸レンズ3の半導体デバイスSの観察位置及び対物レンズ20に対する位置合わせが行われる。
【0073】
このように、固浸レンズ3及び第一ホルダ8は、半導体デバイスSにより持ち上げられた状態で第二ホルダ9に対して自由な状態(フリーな状態)とされているため、半導体デバイスSの観察位置には、固浸レンズ3及び第一ホルダ8の自重のみが作用し、過度の圧力が加わることが無くされていると共に、固浸レンズ3が観察位置に馴染み(倣い)密着されている。
【0074】
次いで、乾燥気体供給手段90により、目標位置である観察位置と固浸レンズ3とが接触する領域に気体を供給し、光学密着液を乾燥させることで、固浸レンズ3を迅速に半導体デバイスSの観察位置に確実に密着させる。このように、光結合材料供給手段80からの光学密着液により固浸レンズ3が半導体デバイスSの観察位置に確実に密着するため、高精度の観察が可能とされると共に、乾燥気体供給手段90からの気体により光学密着液の乾燥が促進されるため、観察を直ちに実行することが可能とされる。
【0075】
このようにして固浸レンズ3の観察位置に対する密着が行われたら、指示部62により、ステージコントローラ52を介してX−Y−Zステージ15に対し、固浸レンズ3が密着して設置されている半導体デバイスSと対物レンズ20との間の距離の調整を指示し、焦点合わせを行う。この時、固浸レンズマニピュレータ30及び固浸レンズ3も対物レンズ20と共にZ方向に移動するため、固浸レンズ3の観察位置に対する密着を維持するように、固浸レンズマニピュレータ30により固浸レンズ3をZ方向の反対方向へ移動する。そして、半導体デバイスSの観察位置上に密着した固浸レンズ3、対物レンズ20を含む光学系2を介して観察位置の拡大観察画像を取得し、高分解能の観察を行う。
【0076】
この観察時にあっては、前述したように、固浸レンズ3及び第一ホルダ8が第二ホルダ9に対して自由な状態とされているため、第二ホルダ9側又は半導体デバイスS側の温度ドリフトが相手側に対して遮断され、温度ドリフトによる影響が無くされている。
【0077】
そして、次の観察位置を観察する場合には、再度、光結合材料供給手段80により光学密着液を供給する。これにより、固浸レンズ3の観察位置に対する密着が解け、以降は前述の手順とは逆の手順で固浸レンズマニピュレータ30により固浸レンズホルダ5を移動し、固浸レンズ3を図5に示す待機位置へと移動する。そして、以降は上記と同様な手順を繰り返す。
【0078】
なお、光学密着液に代えて、その溶媒を用いて光学密着を解除するようにしてもよい。光学密着が光学密着液またはその溶媒で密着部位を濡らすことによって解除されるのは、固浸レンズと半導体基板との境界面に光学密着液またはその溶媒が再浸入し、光学的な結合状態および物理的な固着状態を破壊するからである。この手法によれば、固浸レンズおよび半導体デバイスを過度の力を加えることなく分離することができる。よって、半導体デバイスおよび固浸レンズを傷付けることがないので、固浸レンズを再利用することができる。
【0079】
ここで、固浸レンズ3を交換する必要が生じたら、固浸レンズマニピュレータ30の第一腕部材回動源72を駆動し第一腕部材71を回動することで、連結部99が第二腕部材73の下方近くに位置し取り扱い難い図5に示す待機位置から、固浸レンズ3を図2及び図7に示すレンズ交換位置に移動する。そして、連結部99を第二腕部材73の下方近くから大きく外側に出し、腕部7ごと固浸レンズホルダ5を交換する。このように、レンズ交換の際に連結部99が取り扱い位置にあるため、固浸レンズホルダ5の腕部7の第一腕部材71に対する着脱が容易とされていると共に、腕部7ごと固浸レンズホルダ5が交換されるため、微小な固浸レンズ3を取り扱うことなくレンズ交換が容易とされている。
【0080】
このように、本実施形態の固浸レンズホルダ5によれば、半導体デバイスSの観察位置には固浸レンズ3及び第一ホルダ8の自重のみが作用し、過度の圧力が加わることが無くされている。このため、半導体デバイスSの損傷を防止することが可能とされている。また、固浸レンズ3が観察位置に馴染み(倣い)密着すると共に、第二ホルダ9側又は半導体デバイスS側の温度ドリフトが相手側に対して遮断され温度ドリフトによる影響が無くされている。このため、固浸レンズ3が観察位置から剥離すること無く高精度の観察が可能とされている。
【0081】
また、本実施形態の固浸レンズマニピュレータ30によれば、第一、第二腕部材71,73を回動することで固浸レンズ3がX−Y平面内の所定位置に移動する。このため、直交するX方向、Y方向に構成部品を長尺とする必要が無く、占有領域が小とされると共に簡易な構成とされている。これにより、低コストを図りつつ、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0082】
また、この固浸レンズマニピュレータ30を備えた電子デバイス検査装置1によれば、半導体デバイスSと対物レンズ20との間に固浸レンズ3が無い通常の状態での観察画像、及び、固浸レンズ3を挿入した状態での拡大観察画像の両者が必要とされる場合に、これらの画像が容易に取得される。また、このとき、拡大観察画像により高分解能の観察が行われるため、電子デバイス検査装置1による検査を容易且つ高精度に実施することが可能とされている。
【0083】
図17は、本発明の他の実施形態に用いられる固浸レンズホルダを示す斜視図、図18は、固浸レンズホルダのレンズ密着位置の状態を示す縦断面図である。また、図19は、固浸レンズホルダと固浸レンズ移動装置との連結部を示す斜視図である。固浸レンズホルダ105は、図17及び図18に示すように、略円筒状に構成され固浸レンズ103を支持するホルダ106と、このホルダ106を保持する腕部107と、を備えている。
【0084】
ホルダ106は、図18に示すように、下部ホルダ108と、上部ホルダ109と、を備えている。このうち、上部ホルダ109は、腕部107と一体に形成された環状部で構成されている。固浸レンズ103を支持するための下部ホルダ108は、この上部ホルダ109を介して腕部107によって支持されている。また、これらのホルダ108、109は、半導体デバイスSに対する光路を妨げないように略円筒状に構成されている。
【0085】
固浸レンズ103は、その底面の中央部103aがその周縁部103bに対して下方に凸とされる形状に構成されている。なお、本実施形態においては、凸状の中央部103aの外周面が、下方に向かって外径が小さくなるテーパ状になっている。
【0086】
ホルダ108は、略円筒状に構成されると共に、その底面に、内側に向かう環状鍔部108aを備えている。そして、この環状鍔部108aの内周に形成されている開口108bを通して、固浸レンズ103の凸を成す中央部103aの底面が下方に突出した状態で、固浸レンズの周縁部103bがホルダ108の環状鍔部108aに載置され、当該固浸レンズ103がホルダ108に自重方向に支えられている。
【0087】
また、ホルダ108、109の上方には、キャップ111が設けられている。このキャップ111により、半導体デバイスSに対する光路を妨げること無く、固浸レンズ103のホルダ108、109からの離脱が防止されている。また、本実施形態におけるキャップ111は、円環状であって、かつ、内側へと突出する複数の爪部(図中では3個の爪部)を有する構成となっている。
【0088】
また、腕部107は、上部ホルダ109から外方に延びる板状部材からなり、その一端が斜め上方に向かうと共に、その他端において上記したように上部ホルダ109と一体化されている。この腕部107の一端には、図17及び図18に示すように、鉛直上方に延びると共に側面の一部を平坦面とした回り止め部107aが、腕部107及びホルダ106の回り止めとして固着されている。
【0089】
この固浸レンズホルダ105を構成する腕部107は、図19に示すように、固浸レンズマニピュレータ30の第一腕部材71の一端に連結されている。さらに、本実施形態においては、この固浸レンズマニピュレータ30の第一腕部材71が、第一腕部材回動源72に対して着脱可能に構成されている。図19に示す構成例では、第一腕部材71は、六角穴付ボルト72bにより、第一腕部材回動源72の回動軸72aに対して着脱可能に連結されている。
【0090】
このような固浸レンズホルダ105によれば、固浸レンズ103に加工が必要とされるが、固浸レンズ103の自重のみが半導体デバイスSに対して作用するため、当該半導体デバイスSに過度の圧力が一層加わることが無いという利点がある。
【0091】
また、上記実施形態では、固浸レンズホルダ105が連結された第一腕部材71が、第一腕部材回動源72に対して着脱可能に取り付けられる構成となっている。このように、剛性が比較的高い第一腕部材回動源72を着脱部位とすることにより、第一腕部材71、あるいは固浸レンズホルダ105の腕部107に変形が発生することが防止されると共に、それらの部材の耐久性が向上される。また、固浸レンズ103による試料の観察を行う際に、観察対象物と固浸レンズ103との平行度を好適に維持できる。
【0092】
また、図19に示したように、第一腕部材71を第一腕部材回動源72に対してボルト等で取り付けた構成では、六角レンチなどの工具での着脱作業が可能である。これにより、例えば第一腕部材71、及び固浸レンズホルダ105を含めた固浸レンズ103の交換など、装置の取扱いが容易となる。
【0093】
また、上記実施形態では、ホルダ106の一部を、腕部107と一体の環状部である上部ホルダ109によって構成している。これにより、固浸レンズホルダ105の剛性を向上することができる。また、固浸レンズホルダにおける腕部と環状のホルダ部分との位置合わせ(特に回転方向の位置合わせ)が不要となる。このような構成では、ホルダ106の全部を、腕部107と一体の環状部によって構成しても良い。
【0094】
また、腕部107が、ホルダ106から斜め上方に向かう形状となっている。これにより、固浸レンズ103の側方のスペースを確保できるので、試料の観察を好適に行うことができる。例えば、プラスチックモールド型ICを検査する場合、モールド切除に起因して検査箇所の周辺に段差ができ、固浸レンズホルダの移動可能な範囲が制限される。これに対して、上記のように腕部107を斜めとする構成によれば、観察対象物の段差と、固浸レンズホルダの腕部との干渉を低減でき、固浸レンズを用いた観察対象物の観察を好適に実行することができる。
【0095】
なお、上記構成の固浸レンズホルダ105において、環状鍔部108aを有する下部ホルダ108については、上部ホルダ109及び腕部107と同一、類似の材料であっても良く、あるいは、例えば吸水性セラミックなどの吸水性構造物を加工したものであっても良い。ホルダに吸水性構造物を適用すると、光学密着液を過剰に塗布してしまったような場合に、それを乾燥させて固浸レンズと観察対象物とを光学的に密着させる時間を短縮できるという利点がある。
【0096】
図20は、他の固浸レンズホルダを示す斜視図、図21は、他の固浸レンズホルダのレンズ密着位置の状態を示す縦断面図である。この固浸レンズホルダ64にあっては、固浸レンズホルダ64を構成するホルダ65が、円筒状を成しその内径が固浸レンズ3の外径に比して大とされる構成とされている。そして、このホルダ65の内周内に固浸レンズ3が位置すると共に、当該固浸レンズ3の底面がホルダ65の底面の開口から突出した状態とされている。
【0097】
このような固浸レンズホルダ64によれば、固浸レンズ3は、X−Y平面内を移動する固浸レンズホルダ64のホルダ65の内周面に引っ掛けられた状態で半導体デバイスS上を滑るように移動し所望の観察位置に移動すると共に、当該固浸レンズホルダ64をZ方向に移動しさらに固浸レンズホルダ64をX−Y平面内で移動し、固浸レンズ3を半導体デバイスSの観察位置上に置き去りにすると共に固浸レンズホルダ64を固浸レンズ3から遠ざけることで、構成部品を全て半導体デバイスSの観察位置の視野から遠ざけて観察できるという利点がある。
【0098】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、特に好ましいとして、固浸レンズ3を支えるホルダ9を筒状に構成しているが、開口9bを備える平板であっても良い。
【0099】
また、上記実施形態においては、簡易な構成で固浸レンズ3を三次元方向の所望の位置へ自在に移動し得るとして、固浸レンズマニピュレータ30が固浸レンズ3をZ方向へ移動可能としている。ただし、Z方向移動源75を無くしてX−Y平面内での移動のみとし、X−Y−Zステージ15によりZ方向に移動させたり、又は、半導体デバイスSを載置しているステージ18をZ方向に移動させるようにしても良い。これらの場合には、固浸レンズマニピュレータ30による固浸レンズ3の挿入位置が密着位置とされる。
【0100】
また、上記実施形態においては、観察対象物として半導体基板からなる半導体デバイスを例示しているが、これに限定されるものではなく、例えばガラスやプラスチックを基板とした電子デバイスであってもよい。この場合、固浸レンズの材質として、ガラスやプラスチックを用いるのが好適である。
【0101】
具体的には、上記実施形態では、観察対象の試料を半導体デバイスとしているが、一般に半導体デバイスなどの各種の電子デバイスを試料とする場合には、対象となるデバイスとしては、半導体基板を用いたものに限らず、ポリシリコン薄膜トランジスタなどのように、ガラスやプラスチックなどを基板とする集積回路を観察対象としても良い。例えば液晶デバイスではガラス基板上に、また、有機ELではプラスチック基板上にデバイスが作製される。また、さらに一般的な試料としては、上記した半導体デバイスや液晶デバイスなどの各種のデバイスの他にも、プレパラートを用いたバイオ関連サンプルなどが挙げられる。
【0102】
また、上記実施形態においては、特に効果的であるとして、半導体デバイスSの検査装置1に対する適用を述べているが、これに限定されるものではなく、例えば特開平11−305135号公報に記載のように、観察対象物を光記録媒体として当該光記録媒体の検査を行う光学式観察装置等に対しても適用可能である。
【0103】
また、上記した固浸レンズ移動装置は、一般に、試料の観察を行って、その内部情報を得るための顕微鏡に適用可能である。この場合、顕微鏡は、試料からの光が入射する対物レンズを含み、試料の画像を導く光学系と、固浸レンズ移動装置と、を具備し、固浸レンズ移動装置が、試料から対物レンズへの光軸を含む挿入位置と、光軸を外れた待機位置との間で固浸レンズを移動させるように構成されていれば良い。また、顕微鏡は、上記したように、観察対象物となる試料の画像を取得する画像取得手段を備える構成としても良い。この場合、光学系は、試料の画像を画像取得手段へと導くように構成される。
【0104】
また、上記実施形態においては、観察対象物の下面(半導体デバイスSの表面)の所定位置を観察するとして、観察対象物の下面の所定位置が焦点となるように固浸レンズ3が用いられているが、これに限定されるものではない。例えば特開2001−189359号公報に記載のように、観察対象物の内部又は上面を観察する場合には、観察対象物の内部又は上面が焦点となるようにして固浸レンズが用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、低コスト化を図りつつ、小型化が図られる固浸レンズ移動装置、及びこれを備えた顕微鏡として利用可能である。すなわち、上記したように、本発明による固浸レンズ移動装置によれば、二個の腕部材を回動することで固浸レンズをX−Y平面内の所望の位置に移動し、直交するX方向、Y方向に構成部品を長尺とする必要を無くし占有領域を小とすると共に簡易な構成としているため、低コスト化を図りつつ、装置の小型化を図ることが可能となる。また、この固浸レンズ移動装置を備えた顕微鏡、あるいはそれを用いた電子デバイス検査装置によれば、当該固浸レンズ移動装置の効果に加えて、観察画像及び拡大観察画像の両者が必要とされる場合にこれらの画像が容易に取得されると共に、拡大観察画像により高分解能の観察が可能とされるため、電子デバイス検査などの試料観察を容易且つ高精度に実施することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固浸レンズを、観察対象物に対して略平行を成すX−Y平面内で移動させる固浸レンズ移動装置であって、
前記固浸レンズを支持する固浸レンズホルダが連結された第一腕部材と、
この第一腕部材を前記X−Y平面内で回動させる第一腕部材回動源と、
この第一腕部材回動源を保持する第二腕部材と、
前記第一腕部材回動源の回動軸と非同軸の位置を回動軸として、前記第二腕部材を前記X−Y平面内で回動させる第二腕部材回動源と、を具備したことを特徴とする固浸レンズ移動装置。
【請求項2】
前記第二腕部材回動源を、前記X−Y平面に直行するZ方向に移動させるZ方向移動源を備えることを特徴とする請求項1記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項3】
前記固浸レンズを前記観察対象物に光学的に結合させるための光結合材料を供給する光結合材料供給手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項4】
前記光結合材料を乾燥させるための気体を供給する乾燥気体供給手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項5】
前記固浸レンズホルダは外方へ延びる腕部を備え、
この腕部が前記第一腕部材に着脱可能に連結されていることを特徴とする請求項1記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項6】
前記第一腕部材は、前記第一腕部材回動源に着脱可能に連結されていることを特徴とする請求項1記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項7】
前記第二腕部材は、湾曲状に構成されていることを特徴とする請求項1記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項8】
前記固浸レンズホルダは、その内径が前記固浸レンズの外径に比して大とされる筒状に構成され、
この固浸レンズホルダの内周内に前記固浸レンズが位置すると共に、当該固浸レンズの底面が前記固浸レンズホルダの底面の開口から突出した状態とされていることを特徴とする請求項1記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項9】
前記固浸レンズを通して前記観察対象物を観察する顕微鏡を備え、
この顕微鏡に、請求項1記載の固浸レンズ移動装置が着脱可能に装着されていることを特徴とする固浸レンズ移動装置。
【請求項10】
試料の観察を行って、その内部情報を得るための顕微鏡であって、
前記試料からの光が入射する対物レンズを含み、前記試料の画像を導く光学系と、
請求項1記載の固浸レンズ移動装置と、を具備し、
前記固浸レンズ移動装置は、前記試料から前記対物レンズへの光軸を含む挿入位置と、前記光軸を外れた待機位置との間で固浸レンズを移動させることを特徴とする顕微鏡。
【請求項1】
固浸レンズを、観察対象物に対して略平行を成すX−Y平面内で移動させる固浸レンズ移動装置であって、
前記固浸レンズを支持する固浸レンズホルダが連結された第一腕部材と、
この第一腕部材を前記X−Y平面内で回動させる第一腕部材回動源と、
この第一腕部材回動源を保持する第二腕部材と、
前記第一腕部材回動源の回動軸と非同軸の位置を回動軸として、前記第二腕部材を前記X−Y平面内で回動させる第二腕部材回動源と、を具備したことを特徴とする固浸レンズ移動装置。
【請求項2】
前記第二腕部材回動源を、前記X−Y平面に直行するZ方向に移動させるZ方向移動源を備えることを特徴とする請求項1記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項3】
前記固浸レンズを前記観察対象物に光学的に結合させるための光結合材料を供給する光結合材料供給手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項4】
前記光結合材料を乾燥させるための気体を供給する乾燥気体供給手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項5】
前記固浸レンズホルダは外方へ延びる腕部を備え、
この腕部が前記第一腕部材に着脱可能に連結されていることを特徴とする請求項1記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項6】
前記第一腕部材は、前記第一腕部材回動源に着脱可能に連結されていることを特徴とする請求項1記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項7】
前記第二腕部材は、湾曲状に構成されていることを特徴とする請求項1記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項8】
前記固浸レンズホルダは、その内径が前記固浸レンズの外径に比して大とされる筒状に構成され、
この固浸レンズホルダの内周内に前記固浸レンズが位置すると共に、当該固浸レンズの底面が前記固浸レンズホルダの底面の開口から突出した状態とされていることを特徴とする請求項1記載の固浸レンズ移動装置。
【請求項9】
前記固浸レンズを通して前記観察対象物を観察する顕微鏡を備え、
この顕微鏡に、請求項1記載の固浸レンズ移動装置が着脱可能に装着されていることを特徴とする固浸レンズ移動装置。
【請求項10】
試料の観察を行って、その内部情報を得るための顕微鏡であって、
前記試料からの光が入射する対物レンズを含み、前記試料の画像を導く光学系と、
請求項1記載の固浸レンズ移動装置と、を具備し、
前記固浸レンズ移動装置は、前記試料から前記対物レンズへの光軸を含む挿入位置と、前記光軸を外れた待機位置との間で固浸レンズを移動させることを特徴とする顕微鏡。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【国際公開番号】WO2005/043214
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515151(P2005−515151)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016031
【国際出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/016031
【国際出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]