説明

圧電デバイス

【課題】発振周波数が変動せず、圧電振動素子の破損を防止することができる圧電デバイスの提供。
【解決手段】基板部110aとこの基板部110aの一方の主面に枠部110bが設けられて凹部空間111が形成された容器体110と、凹部空間内に露出した基板部110aの一方の主面に設けられた2個一対の圧電振動素子搭載パッド113a、113bに搭載され、励振用電極122が設けられている圧電振動素子120と、凹部空間111を気密封止する蓋体130と、各圧電振動素子搭載パッド113a、113bから、基板部110aの中心点の方向に向かって離間された位置に設けられている2個一対の第1の支持バンプP2と、第1の支持バンプP2の一端から容器体110の枠部側に沿って長辺方向に延出されている2個一対の第2の支持バンプP3と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図14は、従来の圧電デバイスを示す断面図である。以下、圧電デバイスの例の1つである圧電振動子について説明する。
図14に示すように、従来の圧電振動子500は、その例として容器体501、圧電振動素子507、蓋体508とから主に構成されている。
容器体501は、基板部501aと枠部501bで構成されている。
この容器体501は、基板部501aの一方の主面に枠部501bが設けられて凹部空間502が形成される。
その凹部空間502内に露出する基板部501aの一方の主面には、2個一対の圧電振動素子搭載パッド503が設けられている。
また、基板部501aは、積層構造となっており、基板部501aの内層には、配線パターン(図示せず)等が設けられている。
これら圧電振動素子搭載パッド503上には、導電性接着剤506を介して電気的に接続される一対の励振用電極507aを表裏主面に有した圧電振動素子507が搭載されている。この圧電振動素子507を囲繞する容器体501の枠部501bの頂面には金属製の蓋体508が被せられ、接合されている。これにより、凹部空間502が気密封止されている。
【0003】
また、このような圧電振動素子507は、表裏主面にそれぞれ設けられた励振用電極507aから一辺に延設された引き出し電極を圧電振動素子搭載パッド503に導電性接着剤506で固着することで片持ち固定されている。このときの引き出し電極が設けられた一辺とは反対側の自由端となる端辺を圧電振動素子507の先端部507bとする。
この先端部507bが容器体501の凹部空間502内底面に接触すると、周波数が変動してしまうため、従来の圧電デバイスでは、前記容器体501の凹部空間502内底面の圧電振動素子搭載パッド503に支持バンプ509が形成されている構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この支持バンプ509によって、圧電振動素子507を支持すると共に梃子の原理が働き、圧電振動素子507の先端部507bが凹部空間502内底面に接触せずに浮かすことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−102891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の圧電デバイス500においては、圧電振動素子507を搭載する際に、圧電振動素子507の先端部507aが容器体501の凹部空間502内に露出した基板部501aに接触した場合、振動が阻害されるため、圧電デバイス500の発振周波数が変動してしまうといった課題があった。
【0006】
また、従来の圧電デバイス500においては、圧電振動素子507の先端部507bを浮かすために、支持バンプ509が形成されている。しかしながら、圧電振動素子搭載パッド503に設けられている支持バンプ509だと長さが短すぎるため、圧電振動素子507が支持バンプ509と接触している箇所に応力が集中してかかり、圧電振動素子507が破損してしまうといった課題もあった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、発振周波数が変動せず、圧電振動素子の破損を防止することができる圧電デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の圧電デバイスは、基板部とこの基板部の一方の主面に枠部が設けられて凹部空間が形成された容器体と、凹部空間内に露出した基板部の一方の主面に設けられた2個一対の圧電振動素子搭載パッドに搭載され、励振用電極が設けられている圧電振動素子と、凹部空間を気密封止する蓋体と、各圧電振動素子搭載パッドから、基板部の中心点の方向に向かって離間された位置に設けられている2個一対の第1の支持バンプと、第1の支持バンプの一端から容器体の枠部側に沿って長辺方向に延出されている2個一対の第2の支持バンプと、を備えていること特徴するものである。
【0009】
また、本発明の圧電デバイスは、基板部とこの基板部の一方の主面に枠部が設けられて凹部空間が形成された容器体と、凹部空間内に露出した基板部の一方の主面に設けられた2個一対の圧電振動素子搭載パッドに搭載され、励振用電極が設けられている圧電振動素子と、凹部空間を気密封止する蓋体と、2個一対の圧電振動素子搭載パッドから基板部の中心点の方向に向かって離間された位置に設けられた第1の支持バンプと、第1の支持バンプの両端から、容器体の枠部側に沿って長辺方向に延出されている第2の支持バンプと、を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の圧電デバイスは、基板部とこの基板部の一方の主面に枠部が設けられて凹部空間が形成された容器体と、凹部空間内に露出した基板部の一方の主面に設けられた2個一対の圧電振動素子搭載パッドに搭載され、励振用電極が設けられている圧電振動素子と、凹部空間を気密封止する蓋体と、圧電振動素子搭載パッドから容器体の枠部側に沿って基板部の中心点の方向に向かって延出されている支持バンプ用パッドと、圧電振動素子搭載パッドの主面の短辺方向に沿って設けられている2個一対の第1の支持バンプと、支持バンプ用パッドの主面に設けられている2個一対の第2の支持バンプと、を備えていることを特徴するものである。
【0011】
また、容器体に少なくとも発振回路を備えた集積回路素子を備え、集積回路素子と圧電振動素子とが電気的に接続された状態となっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の圧電デバイスによれば、圧電振動素子搭載パッドから、基板部の中心点の方向に向かって、離間された位置に設けられている2個一対の第1の支持バンプと、第1の支持バンプの一端から、容器体の枠部側に沿って長辺方向にも延出されている2個一対の第2の支持バンプと、を備えているので、圧電振動素子が第1の支持バンプ及び第2の支持バンプで支えられる。よって、圧電振動素子の先端部が容器体の凹部空間内に露出する基板部に接触することがないため、発振周波数の変動を防止することができる。
また、圧電振動素子搭載パッドから離間された位置に設けられ、容器体の短辺方向に延出されている第1の支持バンプと、前記第1の支持バンプの一端から、容器体の枠部側に沿って長辺方向にも延出されている第2の支持バンプによって、圧電振動素子が第1の支持バンプ及び第2の支持バンプと接触している面積を大きくする。よって、圧電振動素子にかかる応力を分散し、圧電振動素子が破損してしまうことを防止することできる。
【0013】
本発明の圧電デバイスによれば、圧電振動素子搭載パッドから、基板部の中心点の方向に向かって、離間された位置に設けられた第1の支持バンプと、第1の支持バンプの両端から、容器体の枠部側に沿って長辺方向に延出されている第2の支持バンプを備えているので、圧電振動素子が第1の支持バンプ及び第2の支持バンプで支えられる。よって、圧電振動素子の先端部が容器体の凹部空間内に露出する基板部に接触することがないため、発振周波数の変動を防止することができる。
また、圧電振動素子搭載パッドから離間された位置に設けられ、容器体の短辺方向に延出されている第1の支持バンプと、前記第1の支持バンプの両端から容器体の枠部側に沿って長辺方向に延出されている第2の支持バンプによって、圧電振動素子が第1の支持バンプ及び第2の支持バンプと接触している面積を大きくすることができる。よって、圧電振動素子にかかる応力を分散し、圧電振動素子が破損してしまうことを防止することできる。
【0014】
本発明の圧電デバイスによれば、前記圧電振動素子搭載パッドから、前記容器体の枠部側に沿って、前記基板部の中心点の方向に向かって延出されている支持バンプ用パッドと、圧電振動素子搭載パッドの主面の短辺方向に沿って設けられている第1の支持バンプと、支持バンプ用パッドの主面に設けられている第2の支持バンプとを備えているので、圧電振動素子が第1の支持バンプ及び第2の支持バンプで支えられる。よって、圧電振動素子の先端部が容器体の凹部空間内に露出する基板部に接触することがないため、発振周波数の変動を防止することができる。
また、第1の支持バンプと第2の支持バンプによって、圧電振動素子が第1の支持バンプと第2の支持バンプと接触している面積を大きくする。よって、圧電振動素子にかかる応力を分散し、圧電振動素子が破損してしまうことを防止することできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、圧電振動素子に水晶を用いた場合について説明する。
また、説明を明りょうにするために、図の一部を誇張して図示している。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスを構成する容器体の一方の主面を示す平面図である。図4は、図3のB部分拡大図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの蓋体を外した状態を示す平面図である。
【0017】
第1の実施形態は、圧電デバイスの例の1つである圧電振動子について説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る圧電振動子100は、容器体110と圧電振動素子120と蓋体130で主に構成されている。この圧電振動子100は、前記容器体110に形成されている第1の凹部空間111内に圧電振動素子120が搭載されている。その第1の凹部空間111が蓋体130により気密封止された構造となっている。
【0018】
圧電振動素子120は、図1及び図2に示すように、水晶素板121に励振用電極122を被着形成したものであり、外部からの交番電圧が励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
水晶素板121は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し外形加工を施された概略平板状で平面形状が例えば四角形となっている。
励振用電極122は、前記水晶素板121の表裏両主面に金属を所定のパターンで被着・形成したものである。
このような圧電振動素子120は、その両主面に被着されている励振用電極122から延出する引き出し電極と第1の凹部空間111内底面に形成されている圧電振動素子搭載パッド113とを、導電性接着剤150を介して電気的且つ機械的に接続することによって第1の凹部空間111に搭載される。このときの引き出し電極が設けられた一辺とは反対側の自由端となる端辺を圧電振動素子120の先端部123とする。
【0019】
図1〜図3に示すように、容器体110は、基板部110aと、枠部110bとで主に構成されている。
この容器体110は、基板部110aの一方の主面に枠部110bが設けられて、第1の凹部空間111が形成されている。
尚、この容器体110を構成する基板部110aは、例えばアルミナセラミックス、ガラス−セラミック等のセラミック材料を複数積層することよって形成されている。また、基板部110aは、セラミック材が積層した構造となっている。
枠部110bは、例えば、シールリングを用いている。この場合、枠部110bは、42アロイやコバール等の金属から成り、中心が打ち抜かれた枠状になっている。
また、枠部110bは、基板部110aの一方の主面の外周を囲繞するように設けられた封止用導体膜112上にロウ付けなどにより接続される。
第1の凹部空間111内で露出した基板部110aの一方の主面には、2個一対の圧電振動素子搭載パッド113(113a、113b)が設けられている。
また、第1の凹部空間111内で露出した基板部110の一方の主面には、2個一対の圧電振動素子搭載パッド113a、113bから離間して、2個一対の第1の支持バンプP2(P2a、P2b)が設けられている。
また、第1の支持バンプP2a、P2bと一端から、前記容器体110の枠部110b側に沿って長辺方向に延出されている2個一対の第2の支持バンプP3(P3a、P3b)が設けられている。
容器体110の基板部110aの他方の主面の4隅には、外部接続用電極端子119が設けられている。
基板部110aの内層には、配線パターン(図示せず)等が設けられている。
【0020】
図3〜図5に示すように、第1の支持バンプP2a、P2bは、圧電振動素子搭載パッド113a、113bから、前記基板部110aの中心点Tの方向に向かって離間された位置に、容器体110の短辺方向に沿って、延出されるように設けられている。つまり、第1の支持バンプP2a、P2bは、圧電振動素子搭載パッド113a、113bの基板部110aの中心点T側の辺と平行となるように所定の間隔を空けて四角形状に形成されている。尚、楕円状でも良い。
第2の支持バンプP3a、P3bは、第1の支持バンプP2a、P2bの一端から、容器体110の枠部110a側に沿って長辺方向に延出されている。
図3及び図4に示すように、第1の支持バンプP2a、P2bと第2の支持バンプP3a、P3bは、一体的に形成されている。つまり、第1の支持バンプP2a、P2bと第2の支持バンプP3a、P3bでL字形状をなしている。
第1の支持バンプP2a、P2b及び第2の支持バンプP3a、P3bは、例えば、タングステン(W)等のメタライズ及び、アルミナコート等の絶縁膜を施すことにより設けられている。
【0021】
ここで容器体110の縦寸法が、2.5mmであり、横寸法が2.0mmである場合を例にして、圧電振動素子搭載パッド113a、113b、第1の支持バンプP2、第2の支持バンプP3の大きさを説明する。
前記容器体110の短辺方向になる圧電振動素子搭載パッド113a、113bの長さW1は、例えば、200〜500μmであり、前記容器体110の長辺方向になる圧電振動素子搭載パッド113a、113bの長さL1は、例えば、200〜500μmである。
前記容器体110の短辺方向になる第1の支持バンプP2a、P2bの長さW2は、例えば、125〜275μmであり、第2の支持バンプP3a、P3bの長さW3は、例えば、85μm〜215μmである。
第1の支持バンプP2a、P2bの長さL3は、例えば、85μm〜215μmである。
前記容器体110の短辺方向になる第1の支持バンプP2a、P2bの長さL3が、85μmより小さい場合は、圧電振動素子120の先端部123を持ち上げられなくなる。
【0022】
水晶振動素子120の長辺方向の長さLとした場合、前記容器体110の長辺方向になる第2の支持バンプP3a、P3bの長さL2は、0.3L〜0.7Lとなる。例えば、水晶振動素子120の長辺方向の長さLxが、1.2mmとした場合には、第2の支持バンプP3a、P3bの長さL2は、360μm〜840μmとなる。
第2の支持バンプP3a、P3bの長さL2が、0.3L未満の場合には、圧電振動素子120が第1の支持バンプP2a、P2b及び第2の支持バンプP3a、P3bと接触している箇所に応力が集中してかかり、圧電振動素子120が破損してしまう。また、第2の支持バンプP3a、P3bの長さL2が、0.7Lより大きい場合には、水晶振動素子120が接触している箇所の面積が大きくなる為、厚みすべり振動を阻害することになる。
【0023】
また、第1の支持バンプP2a、P2b及び第2の支持バンプP3a、P3bの厚み方向の長さは、例えば、15〜30μmである。
また、圧電振動素子搭載パッド113a、113bと第1の支持バンプP2a、P2bとの離間している長さW4は、例えば、85μm〜120μmである。
また、図5に示すように、第3の支持バンプP3a、P3bと圧電振動素子120の励振用電極121との間隔は、100μm以上を設けられている。
第2の支持バンプP2a、P2bと圧電振動素子120の励振用電極121との間隔が100μm以下の場合には、第2の支持バンプP3a、P3bに印刷ずれが起こり、その印刷ずれした支持バンプ側に圧電振動素子120がずれた場合には、圧電振動素子120の励振用電極121が第2の支持バンプP3a、P3bに接触してしまう。よって、圧電振動素子120の厚みすべり振動が阻害され、発振周波数が変動することになる。
従って、容器体110の縦寸法が、2.5mmであり、横寸法が2.0mmである場合、圧電振動素子搭載パッド113a、113bの長さL1は、例えば、200〜500μmとし、第1の支持バンプP2a、P2bの長さL3は、例えば、85μm〜215μmとし、第2の支持バンプP3a、P3bの長さL2は、0.3L〜0.7Lとすることで、圧電振動素子120の先端部123が容器体110の凹部空間111内に露出する基板部110aに接触することがないため、発振周波数の変動を防止することができる。
【0024】
蓋体130は、例えば、Fe−Ni合金(42アロイ)やFe−Ni−Co合金(コバール)などからなる。このような蓋体130は、第1の凹部空間111を、窒素ガスや真空などで気密的に封止される。具体的には、蓋体130は、所定雰囲気で、容器体110の枠部110b上に載置され、枠部110bの表面の金属と蓋体130の金属の一部とが溶接されるように所定電流を印加してシーム溶接を行うことにより、枠部110bに接合される。
【0025】
前記導電性接着剤150は、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケル鉄(NiFe)、のうちのいずれかまたはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。
【0026】
尚、前記容器体110は、アルミナセラミックスから成る場合、所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得たセラミックグリーンシートの表面に、封止用導体膜112、圧電振動素子搭載パッド113a、113b、外部接続用電極端子119等となる導体ペーストを、また、セラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内にビア導体となる導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷によって塗布するとともに、これを複数枚積層してプレス成形した後、高温で焼成することにより製作される。
【0027】
本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイス100によれば、
圧電振動素子搭載パッド113a、113bから、基板部110aの中心点Tの方向に向かって、離間された位置に設けられている2個一対の第1の支持バンプPb2と、第1の支持バンプP2a、P2bの一端から、容器体110の枠部110b側に沿って長辺方向にも延出されている2個一対の第2の支持バンプP3a、P3bとを備えているので、圧電振動素子120が第1の支持バンプP2a、P2b及び第2の支持バンプP3a、P3bで支えられる。よって、圧電振動素子120の先端部123が容器体110の凹部空間111内に露出する基板部110aに接触することがないため、発振周波数の変動を防止することができる。 また、圧電振動素子搭載パッド113a、113bから離間された位置に設けられ、容器体110の短辺方向に延出されている第1の支持バンプP2a、P2bと、前記第1の支持バンプP2a、P2bの一端から、容器体110の枠部110b側に沿って長辺方向にも延出されている第2の支持バンプP3a、P3bによって、圧電振動素子120が第1の支持バンプP2a、P2b及び第2の支持バンプP3a、P3bと接触している面積を大きくする。よって、圧電振動素子にかかる応力を分散し、圧電振動素子が破損してしまうことを防止することできる。
【0028】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスは、第1の支持バンプが圧電振動素子搭載パッドと離間された位置に設けられ、容器体の短辺方向に延出されているとともに、容器体の枠部側に沿って長辺方向にも延出され、短辺方向に延びた接続箇所で接続されている点が第1の実施形態と異なる。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。図7は、図6のC−C断面図である。図8は、本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスを構成する容器体の一方の主面を示す平面図である。尚、説明を明りょうにするために、図示した寸法を一部誇張して示している。
【0029】
図6及び図7に示すように、本発明の第2の実施形態に係る圧電振動子200は、容器体110と圧電振動素子120と蓋体130で主に構成されている。この圧電振動子200は、前記容器体110に形成されている凹部空間111内に圧電振動素子120が搭載され、その凹部空間111が蓋体130により気密封止された構造となっている。
【0030】
図6〜図8に示すように、第1の支持バンプP2は、前記圧電振動素子搭載パッド113(113a、113b)から、前記基板部110aの中心点Tの方向に向かって、離間された位置に設けられている。つまり、第1の支持バンプP2は、2個一対の圧電振動素子搭載パッド113a、113bから対向して設けられている。
第2の支持バンプP3(P3a、P3b)は、前記第1の支持バンプP2の両端から、前記容器体110の枠部110b側に沿って長辺方向に延出されるようにして設けられている。
図8に示すように、第1の支持バンプP2と第2の支持バンプP3a、P3bは、一体的に形成されている。つまり、第1の支持バンプP2と第2の支持バンプP3a、P3bでU字形状をなしている。
【0031】
本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスによれば、圧電振動素子搭載パッド113a、113bから、基板部110aの中心点Tの方向に向かって、離間された位置に設けられた第1の支持バンプP2と、第1の支持バンプP2の両端から、容器体110の枠部110b側に沿って長辺方向に延出されている第2の支持バンプP3a、P3bを備えているので、圧電振動素子120が第1の支持バンプP2及び第2の支持バンプP3a、P3bで支えられる。よって、圧電振動素子120の先端部123が容器体110の凹部空間211内に露出する基板部110aに接触することがないため、発振周波数の変動を防止することができる。
また、圧電振動素子搭載パッド113a、113bから離間された位置に設けられ、容器体110の短辺方向に延出されている第1の支持バンプP2と、前記第1の支持バンプP2の両端から容器体110の枠部111側に沿って長辺方向に延出されている第2の支持バンプP3a、P3bによって、圧電振動素子120が第1の支持バンプP2及び第2の支持バンプP3a、P3bと接触している面積を大きくすることができる。よって、圧電振動素子120にかかる応力を分散し、圧電振動素子120が破損してしまうことを防止することできる。
【0032】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る圧電デバイスは、圧電振動素子搭載パッドから、容器体の枠部側に沿って、基板部の中心点Tの方向に向かって延出されている支持バンプ用パッドと、圧電振動素子搭載パッドの主面の短辺方向に沿って設けられている2個一対の第1の支持バンプと、支持バンプ用パッドの主面に設けられている2個一対の第2の支持バンプとを備えている点で第1の実施形態及び第2の実施形態とは異なる。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。図10は、図9のC−C断面図である。図11は、本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスを構成する容器体の一方の主面を示す平面図である。また、図示した寸法も一部誇張して示している。
【0033】
図9及び図10に示すように、本発明の第3の実施形態に係る圧電振動子300は、容器体110と圧電振動素子120と蓋体130で主に構成されている。この圧電振動子300は、前記容器体110に形成されている凹部空間111内に圧電振動素子120が搭載され、その凹部空間111が蓋体130により気密封止された構造となっている。
【0034】
図9〜図11に示すように、支持バンプ用パッドP1a、P1bは、前記圧電振動素子搭載パッド113a、113bから、前記容器体110の枠部110b側に沿って、前記基板部110aの中心点Tの方向に向かって延出されるように設けられている。
第1の支持バンプP2(P2a、P2b)は、前記圧電振動素子搭載パッド113a、113bの主面の短辺方向に沿って、2個一対で所定の範囲に設けられている。つまり、基板部110aの中心点Tの方向側の圧電振動素子搭載パッド113a、113bの主面に、短辺方向に延出するようにして設けられている。
第2の支持バンプP3(P3a、P3b)は、前記支持バンプ用パッドP1a、P1bの主面に所定の範囲で、2個一対で設けられている。
図11に示すように、第1の支持バンプP2a、P2bと第2の支持バンプP3a、P3bは、一体的に形成されている。つまり、第1の支持バンプP2a、P2bと第2の支持バンプP3a、P3bでL字形状をなしている。
【0035】
本発明の第3の実施形態に係る圧電デバイスによれば、前記圧電振動素子搭載パッド113a、113bから、前記容器体110の枠部110b側に沿って、前記基板部110aの中心点Tの方向に向かって延出されている支持バンプ用パッドP1a、P1bと、圧電振動素子搭載パッド113a、113bの主面の短辺方向に沿って設けられている第1の支持バンプP2a、P2bと、支持バンプ用パッドP1a、P1bの主面に設けられている第2の支持バンプP3a、P3bと、を備えているので、圧電振動素子120が第1の支持バンプP2a、P2b及び第2の支持バンプP3a、P3bで支えられる。よって、圧電振動素子120の先端部323が容器体110の凹部空間311内に露出する基板部110aに接触することがないため、発振周波数の変動を防止することができる。
また、第1の支持バンプP2a、P2bと第2の支持バンプP3a、P3bによって、圧電振動素子120が第1の支持バンプP2a、P2bと第2の支持バンプP3a、P3bと接触している面積を大きくする。よって、圧電振動素子120にかかる応力を分散し、圧電振動素子120が破損してしまうことを防止することできる。
【0036】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、圧電デバイスの一例である圧電発振器で説明する。
本発明の第4の実施形態に係る圧電デバイスは、容器体の基板部と第2の枠部によって設けられた第2の凹部空間内に搭載されている集積回路素子とを備えている点で第1の実施形態と異なる。
図12は、本発明の第4の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。図13は、図12のE−E断面図である。また、図示した寸法も一部誇張して示している。
【0037】
図12及び図13に示すように、本発明の第4の実施形態に係る圧電発振器400は、容器体110と圧電振動素子120と蓋体130と集積回路素子140で主に構成されている。この圧電発振器400は、前記容器体110に形成されている第1の凹部空間111内に圧電振動素子120が搭載され、第2の凹部空間114内には、集積回路素子140が搭載されている。その第1の凹部空間111が蓋体130により気密封止された構造となっている。
【0038】
集積回路素子140は、図12及び図13に示すように、回路形成面に前記圧電振動素子120からの発振出力を生成する発振回路等が設けられており、この発振回路で生成された出力信号は外部接続用電極端子119を介して圧電発振器400の外へ出力され、例えば、クロック信号等の基準信号として利用される。
また、集積回路素子140には、可変容量素子に周囲温度に応じた制御電圧を印加して温度変化による発振回路の発振周波数の変動を補償するため、3次関数発生回路及び記憶素子部により温度補償回路部が設けられており、3次関数発生回路には、温度センサが接続されている。
この温度センサは、検出した温度と、温度センサに印加させる電圧値とに基づいて生成される温度データ信号(電圧値)が3次関数発生回路に出力される構成となっている。
集積回路素子140は、容器体110の第2の凹部空間114内に露出した基板部110aに形成された集積回路素子搭載パッド115に半田等の導電性接合材を介して搭載されている。
【0039】
図12及び図13示すように、容器体110は、基板部110aと、枠部110b、110cとで主に構成されている。
この容器体110は、基板部110aの一方の主面に枠部110bが設けられて、第1の凹部空間111が形成されている。また、容器体110の他方の主面に枠部110cが設けられて、第2の凹部空間114が形成されている。
図12及び図13に示すように、第2の凹部空間114内で露出した基板部110aの他方の主面には、複数の集積回路素子搭載パッド115と2個一対の圧電振動素子測定用パッド(図示せず)が形成されている。
【0040】
本発明の第4の実施形態に係る圧電デバイスによれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0041】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、前記した本実施形態では、圧電振動素子を構成する圧電素材として水晶を用いた場合を説明したが、他の圧電素材として、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたは、圧電セラミックスを圧電素材として用いた圧電振動素子でも構わない。
【0042】
また、前記した本実施形態では、枠部にシールリングを用いた場合を説明したが、基板部100aと同様にセラミック材で形成しても構わない。
この場合、枠部の開口側頂面の全周には、環状の封止用導体パターンが形成され、蓋体は、この封止用導体パターン上に配置接合される。
この際の蓋体は、前記容器体の第1の凹部空間を囲繞するように設けられた封止用導体パターンに相対する箇所に封止部材が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスを構成する容器体の基板部の一方の主面を示す平面図である。
【図4】図3のBの部分拡大図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの蓋体を外した状態を示す平面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスを構成する容器体の基板部の一方の主面を示す平面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図10】図9のD−D断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る圧電デバイスを構成する容器体の基板部の一方の主面を示す平面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図13】図12のE−E断面図である。
【図14】従来における圧電デバイスの一例である圧電振動子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
110・・・容器体
110a・・・基板部
110b、110c・・・枠部
111・・・凹部空間
112・・・封止用導体膜
113a、113b・・・圧電振動素子搭載パッド
114・・・第2の凹部空間
115・・・集積回路素子搭載パッド
119・・・外部接続用電極端子
P1(P1a、P1b)・・・支持バンプ用パッド
P2(P2a、P2b)・・・第1の支持バンプ
P3(P3a、P3b)・・・第2の支持バンプ
120・・・圧電振動素子
121・・・水晶素板
122・・・励振用電極
123・・・先端部
130・・・蓋体
140・・・集積回路素子
150・・・導電性接着剤
100、200、300、400・・・圧電デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部とこの基板部の一方の主面に枠部が設けられて凹部空間が形成された容器体と、
前記凹部空間内に露出した基板部の一方の主面に設けられた2個一対の圧電振動素子搭載パッドに搭載され、励振用電極が設けられている圧電振動素子と、
前記凹部空間を気密封止する蓋体と、
前記各圧電振動素子搭載パッドから、前記基板部の中心点の方向に向かって離間された位置に設けられている2個一対の第1の支持バンプと、
前記第1の支持バンプの一端から前記容器体の枠部側に沿って長辺方向に延出されている2個一対の第2の支持バンプと、を備えていること特徴する圧電デバイス。
【請求項2】
基板部とこの基板部の一方の主面に枠部が設けられて凹部空間が形成された容器体と、
前記凹部空間内に露出した基板部の一方の主面に設けられた2個一対の圧電振動素子搭載パッドに搭載され、励振用電極が設けられている圧電振動素子と、
前記凹部空間を気密封止する蓋体と、
前記2個一対の圧電振動素子搭載パッドから前記基板部の中心点の方向に向かって離間された位置に設けられた第1の支持バンプと、
前記第1の支持バンプの両端から、前記容器体の枠部側に沿って長辺方向に延出されている第2の支持バンプと、を備えていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項3】
基板部とこの基板部の一方の主面に枠部が設けられて凹部空間が形成された容器体と、
前記凹部空間内に露出した基板部の一方の主面に設けられた2個一対の圧電振動素子搭載パッドに搭載され、励振用電極が設けられている圧電振動素子と、
前記凹部空間を気密封止する蓋体と、
前記圧電振動素子搭載パッドから前記容器体の枠部側に沿って前記基板部の中心点の方向に向かって延出されている支持バンプ用パッドと、
前記圧電振動素子搭載パッドの主面の短辺方向に沿って設けられている2個一対の第1の支持バンプと、
前記支持バンプ用パッドの主面に設けられている2個一対の第2の支持バンプと、
を備えていることを特徴する圧電デバイス。
【請求項4】
前記容器体に少なくとも発振回路を備えた集積回路素子を備え、前記集積回路素子と前記圧電振動素子とが電気的に接続された状態となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の圧電デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−109879(P2010−109879A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281816(P2008−281816)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】