圧電振動子および圧電デバイス
【課題】回路素子を信頼性高く実装することができる電極パッドを有する圧電振動子を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる圧電振動子100は、平坦な外側底面10sを有するケース体10と、ケース体10を封止する蓋体20と、ケース体10および蓋体20によって形成されるキャビティ18内に備えられた振動片30と、第1の厚みを有し、外側底面10sに形成された複数の第1電極パッド40と、第2の厚みを有し、外側底面10sに形成された複数の第2電極パッド50と、を有し、第1の厚みは、第2の厚みよりも小さい。
【解決手段】本発明にかかる圧電振動子100は、平坦な外側底面10sを有するケース体10と、ケース体10を封止する蓋体20と、ケース体10および蓋体20によって形成されるキャビティ18内に備えられた振動片30と、第1の厚みを有し、外側底面10sに形成された複数の第1電極パッド40と、第2の厚みを有し、外側底面10sに形成された複数の第2電極パッド50と、を有し、第1の厚みは、第2の厚みよりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子および圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装型の圧電デバイスは、一般に、圧電振動子と、該圧電振動子を駆動制御する回路素子から構成され、その一例として、発信信号を出力する圧電デバイスが挙げられる。圧電デバイス等の圧電デバイスが実装される機器は、もとより小型化が要求され、水晶発振器等の圧電デバイスにおいても一層の小型化が要求されている。このような要求に対して、たとえば以下のような提案が為されている。
【0003】
特開2003−046251号公報(特許文献1)には、振動子および回路素子が多層基板によって一体的に搭載された電子部品(水晶発振器)が提案されている。また、特開2004−147221号公報(特許文献2)には、振動子のセラミックパッケージの下面に直接的に回路素子が表面実装された圧電デバイスが提案されている。
【0004】
これらの圧電デバイスは、いずれも、厚み方向に圧電振動子および回路素子が積層された構成を採るため、表面実装密度を高めることができるといった記載がある。また、特許文献2に記載の圧電デバイスは、さらに、配線基板を有さないから、低背化が可能であるとの記載がある。
【0005】
一方、一般に圧電振動子は、内部にキャビティが形成されたパッケージの形態が採られることが多い。このような形態の圧電振動子は、キャビティ内に圧電振動片が収納されている。圧電振動子のパッケージとしては、たとえば、上面に開口を有するケース体と、その上面を封止するリッドと称する蓋体とを接合して構成されたものがある。
【0006】
圧電振動子のパッケージに回路素子を実装させた圧電デバイスの製造は、たとえば、いわゆるフリップチップ工法を応用して行われることが一般的である。具体的には、まず、ケース体の外側底面を上側にして、回路素子等に接続するための電極パッドを形成し、次に、ケース体を裏返してケース体の内部に圧電振動片を納めた後、ケース体の上に蓋体を接合してパッケージを形成し、再び該パッケージを裏返して、裏面(ケース体の外側底面)に回路素子を実装するといった方法が採られる。
【特許文献1】特開2003−046251号公報
【特許文献2】特開2004−147221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
圧電デバイスの小型化の要請から、圧電デバイスに搭載される回路素子も極めて小さくなってきており、圧電デバイスをフリップチップ工法によって製造する場合においても、回路素子をパッケージへ実装する際、圧電振動子の回路素子接続用の電極パッドのバンプ機能が不十分となる不具合が生じるようになってきた。
【0008】
本発明者は、回路素子接続用の電極パッドが形成されたケース体やパッケージが、該電極パッドが形成された面を、下側すなわち搬送用トレイに対向して載置された状態で、搬送された場合や、他の工程が行われたときに、該電極パッドが搬送用トレイに接触して損傷することが、不具合の一因となっていることを見出した。
【0009】
また、本発明者は、圧電振動子が小型化することにより、圧電振動子の検査における検査用プローブが、回路素子接続用の電極パッドに接触して該電極パッドを損傷しやすくなってきたことが、不具合の他の一因となっていることを見出した。
【0010】
本発明にかかるいくつかの態様の目的の1つは、回路素子を信頼性高く実装することができる電極パッドを有する圧電振動子を提供することにある。
【0011】
本発明にかかるいくつかの態様の目的の1つは、圧電振動子および回路素子の電気的接続の信頼性の高い圧電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0013】
[適用例1]
平坦な外側底面を有するケース体と、
前記ケース体を封止する蓋体と、
前記ケース体および前記蓋体によって形成されるキャビティ内に備えられた振動片と、
第1の厚みを有し、前記外側底面に形成された複数の第1電極パッドと、
第2の厚みを有し、前記外側底面に形成された複数の第2電極パッドと、
を有し、
前記第1の厚みは、前記第2の厚みよりも小さい、圧電振動子。
【0014】
このような圧電振動子は、回路素子を信頼性高く実装することができる電極パッドを有する。
【0015】
[適用例2]
適用例1において、
前記第2電極パッドは、前記外側底面を平面的にみたとき、前記第1電極パッドよりも外周側に設けられた、圧電振動子。
【0016】
このような圧電振動子は、圧電振動子をケース体の外側底面が下になるように載置面に載置したときに、第1電極パッドが載置面に接触しにくくなり、第1電極パッドの保護効果を高めることができる。
【0017】
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記ケース体の前記外側底面の輪郭は、平面視において矩形であり、
前記第2電極パッドは、前記ケース体の前記外側底面の平面視における前記輪郭の4隅に設けられた、圧電振動子。
【0018】
このような圧電振動子は、圧電振動子をケース体の外側底面が下になるように載置面に載置したときに、第1電極パッドが載置面に接触しにくくなり、第1電極パッドの保護効果を高めることができる。
【0019】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一項において、
前記ケース体の前記外側底面が平坦な載置面と対向するように前記圧電振動子が前記載置面に載置されたとき、前記第2電極パッドが前記載置面に接し、前記第1電極パッドと前記載置面との間に間隙が形成される、圧電振動子。
【0020】
このような圧電振動子は、第1電極パッドと載置面との間に間隙が形成されるため、第1電極パッドの保護効果を高めることができる。
【0021】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一項において、
前記第1電極パッドは、回路素子接続用パッドである、圧電振動子。
【0022】
このような圧電振動子は、回路素子を第1電極パッドに接続する場合の電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0023】
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一項において、
前記第2電極パッドは、検査用パッド、外部接続用パッド、およびダミーパッドの少なくとも一種を含む、圧電振動子。
【0024】
このような圧電振動子は、ケース体の外側底面に形成されるパッドのうち、回路素子を接続しないパッドを第2電極パッドとすることにより、第1電極パッドの保護効果を高めることができる。
【0025】
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか一項に記載の圧電振動子と、
前記第1電極パッドに接続された回路素子と、
を有する、圧電デバイス。
【0026】
このような圧電デバイスは、圧電振動子および回路素子の電気的接続の信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例を説明するものである。
【0028】
1.圧電振動子
図1は、本実施形態にかかる圧電振動子100を模式的に示す断面図である。図2は、圧電振動子100を模式的に示す下面図である。図1は、図2のA−A線断面図に相当する。図3および図4は、圧電振動子100の変形例を模式的に示す下面図である。図2ないし図4の下面図では、各電極パッドの表面層を省略して描いてある。
【0029】
圧電振動子100は、少なくとも、ケース体10、蓋体20、振動片30、第1電極パッド40、および第2電極パッド50を有する。
【0030】
1.1.ケース体
ケース体10は、振動片30を収容することができる容器状の形状を有する。ケース体10の外側底面10sは、平坦な形状を有する。ケース体10の平面的な形状は、本実施形態では、矩形の形状を有しているが、これに限定されず円形等でもよい。また、本実施形態では、図1に例示するように、ケース体10は、容器の底を形成する底材12および容器の側壁を形成する壁材14が接合された構成となっている。ケース体10は、底材12と壁材14とが一体化した部材となっていてもよい。ケース体10の上部は、振動子30をケース体10の内部に入れることができる程度の開口を有している。ケース体10の開口は、蓋体20によって気密封止されることができる。底材12は、スルーホール16aを有することができる。スルーホール16aは、導電材によって埋められ、ケース体10の内部の導電部材と外部の導電部材とを電気的に接続するビアホール16となることができる。ビアホール16に使用される導電材としては、たとえば、タングステン、モリブデンなどが挙げられる。ビアホール16は、気密性を有することができる。ケース体10の材質は、セラミック、ガラス等の無機材料であることができる。
【0031】
1.2.蓋体
蓋体20は、ケース体10の上部の開口を封止する平板形状を有する。蓋体10の平面形状は、ケース体10の開口を封止できるかぎり任意である。蓋体10の材質としては、セラミック、ガラス、金属等が挙げられる。ケース体10と蓋体10との接着は、たとえば、プラズマ溶接、シーム溶接、超音波接合、または接着剤等を用いて行われることができる。ケース体10および蓋体20によって形成されるキャビティ18は、振動片30が動作するための空間となる。また、キャビティ18は、密閉されることができるため、振動片30を減圧空間や不活性ガス雰囲気に設置することができる。
【0032】
1.3.振動片
振動片30は、ケース体10および蓋体20によって形成されるキャビティ18内に備えられ
る。振動片30は、どのような態様の振動片であってもよい。振動片30の態様としては、AT振動片、音叉型振動片、SAW振動片、ウォーク型振動片などを例示することができる。また、振動片30は、それ自体が水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料で形成されてもよいし、圧電性を有さない材料で形成されてもよい。振動片30が圧電性を有さない材料で形成された場合は、たとえば、さらに圧電素子を振動片30の構成に含んでもよい。
【0033】
本実施形態では、振動片30が水晶で形成された音叉型振動片である場合を例示する。振動片30は、キャビティ18内の壁面(図示の例では、底材12の上面)に、たとえば、接着剤、ペースト、ロウ材等によって固定されることができる。図示の例では、振動片30は、底材12の上面に、接着剤層38によって固定されている。本実施形態の振動片30は、2本の振動碗32を有し、片持ち梁状に基部34によって支持されている。基部34から延出する振動碗32は、キャビティ18内で屈曲振動することができる。振動碗32および基部34には、少なくとも振動碗32を屈曲振動させるための複数の電極36を設けることができる。
【0034】
1.4.電極パッド
第1電極パッド40は、ケース体10の外側底面10sに複数形成される。第1電極パッド40は、第1の厚みを有する。第1電極パッド40は、圧電振動子100に回路素子が実装される際の端子としての機能を有することができる(図5参照)。また、複数の第1電極パッド40のすべてが、回路素子接続用端子であってもよい。第1電極パッド40は、図2に示すように、複数行複数列に配列されることができる。第1電極パッド40は、ビアホール16に接続されていてもよい。第1電極パッド40は、図1に示すように、たとえば、下地層42および表面層44から構成することができる。下地層42の厚みは、たとえば、5〜15μmである。表面層44の厚みは、たとえば、1〜5μmである。表面層44の機能の一つとしては、下地層42の材料の酸化を防ぐことが挙げられる。下地層42の材質としては、タングステンまたはモリブデンを例示することができる。表面層44の材質としては、金、ニッケル等が挙げられ、表面層44は、ニッケルおよび金の単層または多層構造とすることができる。
【0035】
第2電極パッド50は、ケース体10の外側底面10sに複数形成される。第2電極パッド50は、第2の厚みを有する。第2電極パッド50は、検査用パッド、外部接続用パッド、またはダミーパッドであることができる。図2に示す例のように、第2電極パッド50は、圧電振動子100を外部の基板等に実装する際の端子の機能を有することができる(図18参照)。また、図3の変形例のように、第2電極パッド50は、外部接続に用いない検査用のパッドであることができる。さらに、図4の変形例のように、第2電極パッド50は、他の導電部材と電気的に接続しないダミーパッドとすることもできる。図示しないが、第2電極パッド50をダミーパッドとする際は、他の導電部材と電気的に接続していてもよい。第2電極パッド50は、第1電極パッド40に実装される回路素子等に干渉しないように設けられることが好ましい。
【0036】
第2電極パッド50は、第1電極パッド40と同様に下地層および表面層の積層構造とすることができる。下地層を単層とする場合は、下地層は、第1電極パッド40の下地層42よりも厚く形成される。また、第2電極パッド50は、図1に示すように、たとえば、第1下地層52、第2下地層54および表面層56を積層して構成することができる。この場合は、第2電極パッド50は、第1下地層52および第2下地層54を有するため、第1下地層52を第1電極パッド40の下地層42と共通とした場合、第1電極パッド40よりも第2下地層54の厚さの分だけ厚く形成される。第1下地層52および第2下地層54の厚みは、それぞれ、たとえば、5〜10μmである。表面層56は、第1電極パッド40の表面層44と同様である。第1下地層52および第2下地層54の材質としては、それぞれタングステンまたはモリブデンを例示することができる。
【0037】
第1電極パッド40の厚み(第1の厚み)は、第2電極パッド50の厚み(第2の厚み)よりも小さい。そのため、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように平坦な載置面に載置したときに、第2電極パッド50のみが該載置面に接触する。換言すると、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように平坦な載置面に載置したときに、第1電極パッド40は該載置面に接触せず、第1電極パッド40と載置面との間に間隙が形成される。これにより、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるようにトレイ等に載置したときに、第1電極パッド40が損傷することを抑制することができる。したがって、第1電極パッド40に回路素子等を実装するときの信頼性を向上することができる。また、本実施形態の圧電振動子100の第1電極パッド40に回路素子が実装された圧電デバイスは、回路素子の実装の信頼性が高いものとなる。
【0038】
本実施形態では、第2電極パッド50の厚みは、第2下地層54を設けることにより第1電極パッド40の厚みよりも大きくなっている。第2電極パッド50の厚みを大きくする方法は、任意であるが、本実施形態のようにすれば、第2下地層54を積層するだけで第2電極パッド50の厚みを増加させることができる。そして、本実施形態の場合、第2電極パッド50の厚みは、下地層の形成回数を増やすことによって任意に大きくすることができる。
【0039】
第2電極パッド50の厚みおよび第1電極パッド40の厚みの差(第2の厚みおよび第1の厚みの差)は、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。第2の厚みおよび第1の厚みの差が5μmよりも小さいと、第1電極パッド40を保護する効果が得られなくなる場合がある。
【0040】
複数の第2電極パッド50は、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように平坦な載置面に載置したときに、圧電振動子100が、がたつかないように配置される。すなわち、第2電極パッド50は、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように載置面に載置したときに、外側底面10sと載置面とが平行に維持されるように配置される。複数の第2電極パッド50の個数および形状は、たとえば、図3に示したように、第2電極パッド50が2つである場合、長方形の形状とすることにより、圧電振動子100が、がたつかないように配置することができる。また、第2電極パッド50の個数を増せば、上記の効果は一層高くなる。
【0041】
複数の第2電極パッド50の配置としては、たとえば、ケース体10の外側底面10sを平面的にみたときに、外側底面10sの中心に対して対称になるように配置されることができる。第2電極パッド50をこのように配置すれば、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように平坦な載置面に載置したときに、外側底面10sと載置面とが平行に維持されやすくなる。また、たとえば、第2電極パッド50は、ケース体10の外側底面10sを平面的にみたときに、第1電極パッド40よりも外周側に設けられることができる。第2電極パッド50をこのように配置すれば、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように平坦な載置面に載置したときに、第1電極パッド40が水平面に、より接触しにくくなり、第1電極パッド40の保護効果を一層高めることができる。また、たとえば、第2電極パッド50は、ケース体10の外側底面10sを平面的に見たときに、第1電極パッド40を挟む位置に設けられることができる。第2電極パッド50をこのように配置すれば、第1電極パッド40を挟むように配置された少なくとも一対の第2電極パッド50が載置面に接触する。よって、第1電極パッド40が載置面に、より接触しにくくなり、第1電極パッド40の保護効果を一層高めるもとができる。
【0042】
さらに、図2および図4の例では、ケース体10の外側底面10sの輪郭が平面視において矩形であって、かつ、第2電極パッド50が、ケース体10の外側底面10sの平面視における輪郭の4隅に設けられている。第2電極パッド50をこのように配置すれば、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように平坦な載置面に載置したときに、外側底面10sと水平面との平行を維持する効果、および第1電極パッド40が水平面に接触させない効果をなおさらに高めることができる。
【0043】
1.5.その他の構成
以下に、圧電振動子100に含みうる構成のうちのいくつかについて述べる。圧電振動子100は、さらにその他の構成を含むこともできる。
【0044】
ケース体10の内側の面には、振動片30の電極36と電気的に接続するための配線60を設けることができる。配線60は、必要に応じて複数設けることができる。配線60は、任意の形状を有することができる。配線60は、ケース体10の内側の結線として機能してもよいし、ビアホール16に接続されてケース体10の外側への電気的接続にとして機能してもよい。配線60の材質は、導電性を有するかぎり任意である。配線60は、圧電振動子100の製造工程を簡略するために、第1電極パッド40と同様の構成を有することができる。配線60は、図1に示すように、たとえば、下地層62および表面層64から構成することができる。表面層64および下地層62は、第1電極パッド40で述べたと同様とすることができる。
【0045】
また、ケース体10の外側底面10sには、各電極パッドを電気的に接続するための配線70を設けることができる。配線70は、必要に応じて複数設けることができる。配線70は、圧電振動子100の製造工程を簡略するために、第1電極パッド40と同様の構成を有するようにすることができる。配線70は、図1に示すように、たとえば、下地層72および表面層74から構成することができる。表面層74および下地層72は、第1電極パッド40で述べたと同様とすることができる。配線70の厚みを第1の厚みにすれば、配線70は、第2電極パッド50よりも薄くなるため、損傷を受けにくくすることができる。また、配線70は、第1電極パッド40に実装される回路素子と干渉しない限り、第2電極パッド50と同じ厚みにすることができる。この場合は、配線70は、第2電極パッド50と同様の機能を有することができる。
【0046】
本実施形態にかかる圧電振動子100は、第2電極パッド50よりも薄い第1電極パッド40を有する。そのため、製造工程等において、第1電極パッド40の損傷が低減されることができる。これにより、第1電極パッド40には、回路素子を信頼性高く実装することができる。
【0047】
2.圧電デバイス
本実施形態にかかる圧電デバイス300は、「1.圧電振動子」の項で述べた圧電振動子100と、回路素子200と、を有する。図5は、本実施形態の圧電デバイス300を模式的に示す断面図である。
【0048】
図5に示すように、回路素子200は、圧電振動子100の第1電極パッド40に接続される。回路素子200は、たとえば、振動片30の制御回路を含むことができる。回路素子200の大きさは、任意であるが、平面的に見て、圧電振動子100の第2電極パッド50と重ならない形状を有する。回路素子200は、たとえば、フェイスダウン方式のフリップチップ工法により第1電極パッド40に接続されることができる。図示の例では、第1電極パッド40および回路素子200は、ハンダボール202によって接合されている。
【0049】
本実施形態にかかる圧電デバイス300は、第2電極パッド50よりも薄い第1電極パッド40を有する圧電振動子100を有している。そのため、製造工程等において、第1電極パッド40の損傷が低減されている。したがって、本実施形態にかかる圧電デバイス300は、圧電振動子100と回路素子200との電気的接続の信頼性が高い。
【0050】
2.圧電振動子および圧電デバイスの製造方法
本実施形態にかかる圧電振動子100の製造方法の一例について説明する。図6〜図15は、本実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を示す模式図である。
【0051】
以下の説明は、圧電振動子100のケース体10および蓋体20がセラミックである場合について述べる。
【0052】
先ず、セラミックグリーンシートの状態の底材基板12aを準備する。次に、図6に示すように、底材基板12aの所定の位置に、スルーホール16aを形成し、スルーホール16aの内部に導電材を埋設し、ビアホール16を形成する。スルーホール16aの形成は、たとえば、機械的な切削や、マスクを用いたエッチングにより行うことができる。導電材の埋設は、たとえばタングステンをCVD法によって成膜することにより行うことができる。
【0053】
次に、図7に示すように、底材基板12aの両面に各下地層を形成する。本実施形態では、本工程によって、パッケージ内部に形成される配線60の下地層62、外側底面10sに形成される第1電極パッド40の下地層42、第2電極パッド50の第1下地層52、および配線70の下地層72を形成する。本工程は、たとえば、タングステン、モリブデンの金属粉末をビヒクル中に分散させてなる導体ペーストをインクとして、スクリーン印刷、インクジェット方式などの印刷法を用いて塗布し、焼成することにより行うことができる(金属メタライズ)。また、本工程は、一般的な成膜およびパターニングによって行ってもよい。下地層にタングステン、モリブデン等の高融点金属を用いることにより、後のセラミックグリーンシートに焼成等の工程における下地層の融解を抑えることができる。
【0054】
次いで、図8に示すように、第2電極パッド50を形成する所定の部位に、第2下地層54を形成する。本工程は、上述の下地層を形成する工程と同様に行うことができる。第2下地層54は、第1下地層52に積層して形成されるため、本工程によって第2下地層54が形成された部位は、下地層全体の厚みが大きくなる。この工程は所望の厚さの下地層が形成されるまで、繰り返し行うことができる。
【0055】
次いで、図9に示すように、キャビティ18となる孔が形成された壁材基板14aを底材基板12aに積層する。壁材基板14aは、セラミックグリーンシートの状態のものを用いる。底材基板12aおよび壁材基板14aを積層した後、焼成することによって、図10に示すように、一体化したセラミックのケース体基板10aを形成することができる。
【0056】
次に、図11に示すように、下地層(62,42,52,54,72)の露出面に表面層(64,44,56,74)を形成する。表面層は、たとえば、金の電解メッキによって行うことができる。表面層を多層構造とする場合は、表面層の形成は、たとえば、ニッケルの電解メッキによって下地層の表面にニッケル層を形成した後、続いて金の電解メッキによってニッケル層の表面に金に層を形成することにより行うことができる。その後、必要に応じて、図12に示すように、蓋体20を接合するためのシームリング22を形成する。なお、図示の例ではシームリング22を設けているが、金属ろう材層を設けてもよい。また、プラズマ溶接や超音波接合によって蓋体20を接合する場合は、シームリング22の形成は省略できる。
【0057】
そして、ケース体基板10aをダイシング等により切断して個片化する。個片化したケース体10は、図13に示すように、トレイ80の凹部82に載置される。トレイ80は、個片化したケース体10の取り扱いを容易化する機能を有する。図示のように、トレイ80の凹部82には、ケース体10の個片を一つずつ収納することができる。凹部82の底面は、平坦な面となっており、凹部82の外周は、ケース体10の外周よりもやや大きい。
【0058】
ここで、トレイ80に納められたケース体10は、外側底面10sに形成された第2電極パッド50のみがトレイ80の底面に接触する。そのため、トレイ80の凹部82内で、ケース体10が横方向に移動するなどしても、第1電極パッド40は、トレイ80の底面に接触することが抑制される。また、振動片30を載置する工程や、蓋体20を設ける工程において、ケース体10をトレイ80に押さえ付けるような外力が加わっても、第1電極パッド40が、トレイ80の底面に接触しにくい。したがって、少なくとも第1電極パッド40には、傷等のダメージが生じにくいため、後の工程で、回路素子200を実装する際の信頼性を高めることができる。
【0059】
次に、図14に示すように、振動片30をケース体10のキャビティ18内に載置する。この工程は、たとえば、マニピュレータ等により行うことができる。振動片30を固定する方法としては、たとえば、接着剤を用いることができる。そして、振動片30の電極32と、ケース体10の中に形成された配線60との電気的に接続を行う(図示せず)。この工程は、たとえば、ワイヤボンディングにより行うことができる。
【0060】
次に、図15に示すように、蓋体20をケース体10に接合する。本実施形態では、この工程は、シーム接合(溶接)により行う。なお、図示しないが、パッケージ内に形成されるキャビティ18内の真空度を高めるために、ケース体10または蓋体20に排気孔を設け、キャビティ18内を減圧してガスを排出した後に排気孔を封止する方法を採用することもできる。
【0061】
以上説明した製造方法によって、本実施形態の圧電振動子100は、製造されることができる。このあと、圧電振動子100に回路素子200を実装することによって、圧電デバイス300を製造することができる。以下に圧電デバイス300を製造する工程と、圧電デバイス300を他の回路基板400に実装する工程について説明する。
【0062】
図16に示すように、圧電振動子100を、蓋体20を下側にしてトレイ80の凹部82に収納する。この状態で、回路素子200を第1電極パッド40に実装する。回路素子200は、たとえば、ハンダバンプ工法により行うことができる。回路素子200が実装された後、必要に応じて圧電デバイス300の検査を行ってもよい。圧電デバイス300の検査は、第2電極パッド50をあらかじめ検査用として設計し、当該第2電極パッド50に検査プローブを接触させて行うことができる。圧電デバイス300の検査工程においても、第2電極パッド50は、第1電極パッド40や配線70よりも厚みが大きいため、検査プローブが第2電極パッド50に接触したときに、他の導電部材に接触しにくい。そのため、圧電デバイス300に傷等のダメージを生じにくく、信頼性を高く保ったまま圧電デバイス300を検査することができる。
【0063】
圧電デバイス300は、図17に示すように、第2電極パッド50に接するハンダボール302を有することができる。ここで、ハンダボール302の高さは、回路素子200の高さよりも大きくすることができる。そして、図18に示すように、トレイ80から取り出され、あらかじめ表面に接続用電極402が形成された回路基板400に実装されることができる。第2電極パッド50は、上記の工程を経ると、第1電極パッド40よりも表面にダメージを生じている場合がある。しかし、図示のように、ハンダボール302による回路基板400への実装は、回路素子200の第1電極パッド40への実装よりも各部材の寸法や規模が大きいため、信頼性が低下する度合いは十分に小さい。
【0064】
以上のようにして、本実施形態の圧電振動子100および圧電デバイス300を製造することができる。本実施形態の圧電振動子の製造方法によれば、回路素子を信頼性高く実装することができる電極パッドを形成することができる。本実施形態の圧電デバイスの製造方法によれば、圧電振動子および回路素子の電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0065】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施形態にかかる圧電振動子100を模式的に示す断面図。
【図2】実施形態にかかる圧電振動子100を模式的に示す下面図。
【図3】実施形態にかかる圧電振動子100の変形例を模式的に示す下面図。
【図4】実施形態にかかる圧電振動子100の変形例を模式的に示す下面図。
【図5】実施形態にかかる圧電デバイス300を模式的に示す断面図。
【図6】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図8】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図9】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図10】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図11】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図12】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図13】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図14】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図15】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図16】実施形態にかかる圧電デバイス300の製造工程を模式的に示す断面図。
【図17】実施形態にかかる圧電デバイス300の実装工程を模式的に示す断面図。
【図18】実施形態にかかる圧電デバイス300の実装工程を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
【0067】
10…ケース体、10a…ケース体基板、10s…外側底面、12…底材、
12a…底材基板、14…壁材、14a…壁材基板、16…ビアホール、
16a…スルーホール、18…キャビティ、20…蓋体、22…シームリング、
30…振動片、32…振動碗、34…基部、36…電極、38…接着剤層、
40…第1電極パッド、42…下地層、44…表面層、50…第2電極パッド、
52…第1下地層、54…第2下地層、56…表面層、60…配線、62…下地層、
64…表面層、70…配線、72…下地層、74…表面層、80…トレイ、82…凹部、
100…圧電振動子、200…回路素子、202…ハンダボール、
300…圧電デバイス、302…ハンダボール、400…回路基板、402…接続用電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子および圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装型の圧電デバイスは、一般に、圧電振動子と、該圧電振動子を駆動制御する回路素子から構成され、その一例として、発信信号を出力する圧電デバイスが挙げられる。圧電デバイス等の圧電デバイスが実装される機器は、もとより小型化が要求され、水晶発振器等の圧電デバイスにおいても一層の小型化が要求されている。このような要求に対して、たとえば以下のような提案が為されている。
【0003】
特開2003−046251号公報(特許文献1)には、振動子および回路素子が多層基板によって一体的に搭載された電子部品(水晶発振器)が提案されている。また、特開2004−147221号公報(特許文献2)には、振動子のセラミックパッケージの下面に直接的に回路素子が表面実装された圧電デバイスが提案されている。
【0004】
これらの圧電デバイスは、いずれも、厚み方向に圧電振動子および回路素子が積層された構成を採るため、表面実装密度を高めることができるといった記載がある。また、特許文献2に記載の圧電デバイスは、さらに、配線基板を有さないから、低背化が可能であるとの記載がある。
【0005】
一方、一般に圧電振動子は、内部にキャビティが形成されたパッケージの形態が採られることが多い。このような形態の圧電振動子は、キャビティ内に圧電振動片が収納されている。圧電振動子のパッケージとしては、たとえば、上面に開口を有するケース体と、その上面を封止するリッドと称する蓋体とを接合して構成されたものがある。
【0006】
圧電振動子のパッケージに回路素子を実装させた圧電デバイスの製造は、たとえば、いわゆるフリップチップ工法を応用して行われることが一般的である。具体的には、まず、ケース体の外側底面を上側にして、回路素子等に接続するための電極パッドを形成し、次に、ケース体を裏返してケース体の内部に圧電振動片を納めた後、ケース体の上に蓋体を接合してパッケージを形成し、再び該パッケージを裏返して、裏面(ケース体の外側底面)に回路素子を実装するといった方法が採られる。
【特許文献1】特開2003−046251号公報
【特許文献2】特開2004−147221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
圧電デバイスの小型化の要請から、圧電デバイスに搭載される回路素子も極めて小さくなってきており、圧電デバイスをフリップチップ工法によって製造する場合においても、回路素子をパッケージへ実装する際、圧電振動子の回路素子接続用の電極パッドのバンプ機能が不十分となる不具合が生じるようになってきた。
【0008】
本発明者は、回路素子接続用の電極パッドが形成されたケース体やパッケージが、該電極パッドが形成された面を、下側すなわち搬送用トレイに対向して載置された状態で、搬送された場合や、他の工程が行われたときに、該電極パッドが搬送用トレイに接触して損傷することが、不具合の一因となっていることを見出した。
【0009】
また、本発明者は、圧電振動子が小型化することにより、圧電振動子の検査における検査用プローブが、回路素子接続用の電極パッドに接触して該電極パッドを損傷しやすくなってきたことが、不具合の他の一因となっていることを見出した。
【0010】
本発明にかかるいくつかの態様の目的の1つは、回路素子を信頼性高く実装することができる電極パッドを有する圧電振動子を提供することにある。
【0011】
本発明にかかるいくつかの態様の目的の1つは、圧電振動子および回路素子の電気的接続の信頼性の高い圧電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0013】
[適用例1]
平坦な外側底面を有するケース体と、
前記ケース体を封止する蓋体と、
前記ケース体および前記蓋体によって形成されるキャビティ内に備えられた振動片と、
第1の厚みを有し、前記外側底面に形成された複数の第1電極パッドと、
第2の厚みを有し、前記外側底面に形成された複数の第2電極パッドと、
を有し、
前記第1の厚みは、前記第2の厚みよりも小さい、圧電振動子。
【0014】
このような圧電振動子は、回路素子を信頼性高く実装することができる電極パッドを有する。
【0015】
[適用例2]
適用例1において、
前記第2電極パッドは、前記外側底面を平面的にみたとき、前記第1電極パッドよりも外周側に設けられた、圧電振動子。
【0016】
このような圧電振動子は、圧電振動子をケース体の外側底面が下になるように載置面に載置したときに、第1電極パッドが載置面に接触しにくくなり、第1電極パッドの保護効果を高めることができる。
【0017】
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記ケース体の前記外側底面の輪郭は、平面視において矩形であり、
前記第2電極パッドは、前記ケース体の前記外側底面の平面視における前記輪郭の4隅に設けられた、圧電振動子。
【0018】
このような圧電振動子は、圧電振動子をケース体の外側底面が下になるように載置面に載置したときに、第1電極パッドが載置面に接触しにくくなり、第1電極パッドの保護効果を高めることができる。
【0019】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一項において、
前記ケース体の前記外側底面が平坦な載置面と対向するように前記圧電振動子が前記載置面に載置されたとき、前記第2電極パッドが前記載置面に接し、前記第1電極パッドと前記載置面との間に間隙が形成される、圧電振動子。
【0020】
このような圧電振動子は、第1電極パッドと載置面との間に間隙が形成されるため、第1電極パッドの保護効果を高めることができる。
【0021】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一項において、
前記第1電極パッドは、回路素子接続用パッドである、圧電振動子。
【0022】
このような圧電振動子は、回路素子を第1電極パッドに接続する場合の電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0023】
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一項において、
前記第2電極パッドは、検査用パッド、外部接続用パッド、およびダミーパッドの少なくとも一種を含む、圧電振動子。
【0024】
このような圧電振動子は、ケース体の外側底面に形成されるパッドのうち、回路素子を接続しないパッドを第2電極パッドとすることにより、第1電極パッドの保護効果を高めることができる。
【0025】
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか一項に記載の圧電振動子と、
前記第1電極パッドに接続された回路素子と、
を有する、圧電デバイス。
【0026】
このような圧電デバイスは、圧電振動子および回路素子の電気的接続の信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例を説明するものである。
【0028】
1.圧電振動子
図1は、本実施形態にかかる圧電振動子100を模式的に示す断面図である。図2は、圧電振動子100を模式的に示す下面図である。図1は、図2のA−A線断面図に相当する。図3および図4は、圧電振動子100の変形例を模式的に示す下面図である。図2ないし図4の下面図では、各電極パッドの表面層を省略して描いてある。
【0029】
圧電振動子100は、少なくとも、ケース体10、蓋体20、振動片30、第1電極パッド40、および第2電極パッド50を有する。
【0030】
1.1.ケース体
ケース体10は、振動片30を収容することができる容器状の形状を有する。ケース体10の外側底面10sは、平坦な形状を有する。ケース体10の平面的な形状は、本実施形態では、矩形の形状を有しているが、これに限定されず円形等でもよい。また、本実施形態では、図1に例示するように、ケース体10は、容器の底を形成する底材12および容器の側壁を形成する壁材14が接合された構成となっている。ケース体10は、底材12と壁材14とが一体化した部材となっていてもよい。ケース体10の上部は、振動子30をケース体10の内部に入れることができる程度の開口を有している。ケース体10の開口は、蓋体20によって気密封止されることができる。底材12は、スルーホール16aを有することができる。スルーホール16aは、導電材によって埋められ、ケース体10の内部の導電部材と外部の導電部材とを電気的に接続するビアホール16となることができる。ビアホール16に使用される導電材としては、たとえば、タングステン、モリブデンなどが挙げられる。ビアホール16は、気密性を有することができる。ケース体10の材質は、セラミック、ガラス等の無機材料であることができる。
【0031】
1.2.蓋体
蓋体20は、ケース体10の上部の開口を封止する平板形状を有する。蓋体10の平面形状は、ケース体10の開口を封止できるかぎり任意である。蓋体10の材質としては、セラミック、ガラス、金属等が挙げられる。ケース体10と蓋体10との接着は、たとえば、プラズマ溶接、シーム溶接、超音波接合、または接着剤等を用いて行われることができる。ケース体10および蓋体20によって形成されるキャビティ18は、振動片30が動作するための空間となる。また、キャビティ18は、密閉されることができるため、振動片30を減圧空間や不活性ガス雰囲気に設置することができる。
【0032】
1.3.振動片
振動片30は、ケース体10および蓋体20によって形成されるキャビティ18内に備えられ
る。振動片30は、どのような態様の振動片であってもよい。振動片30の態様としては、AT振動片、音叉型振動片、SAW振動片、ウォーク型振動片などを例示することができる。また、振動片30は、それ自体が水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料で形成されてもよいし、圧電性を有さない材料で形成されてもよい。振動片30が圧電性を有さない材料で形成された場合は、たとえば、さらに圧電素子を振動片30の構成に含んでもよい。
【0033】
本実施形態では、振動片30が水晶で形成された音叉型振動片である場合を例示する。振動片30は、キャビティ18内の壁面(図示の例では、底材12の上面)に、たとえば、接着剤、ペースト、ロウ材等によって固定されることができる。図示の例では、振動片30は、底材12の上面に、接着剤層38によって固定されている。本実施形態の振動片30は、2本の振動碗32を有し、片持ち梁状に基部34によって支持されている。基部34から延出する振動碗32は、キャビティ18内で屈曲振動することができる。振動碗32および基部34には、少なくとも振動碗32を屈曲振動させるための複数の電極36を設けることができる。
【0034】
1.4.電極パッド
第1電極パッド40は、ケース体10の外側底面10sに複数形成される。第1電極パッド40は、第1の厚みを有する。第1電極パッド40は、圧電振動子100に回路素子が実装される際の端子としての機能を有することができる(図5参照)。また、複数の第1電極パッド40のすべてが、回路素子接続用端子であってもよい。第1電極パッド40は、図2に示すように、複数行複数列に配列されることができる。第1電極パッド40は、ビアホール16に接続されていてもよい。第1電極パッド40は、図1に示すように、たとえば、下地層42および表面層44から構成することができる。下地層42の厚みは、たとえば、5〜15μmである。表面層44の厚みは、たとえば、1〜5μmである。表面層44の機能の一つとしては、下地層42の材料の酸化を防ぐことが挙げられる。下地層42の材質としては、タングステンまたはモリブデンを例示することができる。表面層44の材質としては、金、ニッケル等が挙げられ、表面層44は、ニッケルおよび金の単層または多層構造とすることができる。
【0035】
第2電極パッド50は、ケース体10の外側底面10sに複数形成される。第2電極パッド50は、第2の厚みを有する。第2電極パッド50は、検査用パッド、外部接続用パッド、またはダミーパッドであることができる。図2に示す例のように、第2電極パッド50は、圧電振動子100を外部の基板等に実装する際の端子の機能を有することができる(図18参照)。また、図3の変形例のように、第2電極パッド50は、外部接続に用いない検査用のパッドであることができる。さらに、図4の変形例のように、第2電極パッド50は、他の導電部材と電気的に接続しないダミーパッドとすることもできる。図示しないが、第2電極パッド50をダミーパッドとする際は、他の導電部材と電気的に接続していてもよい。第2電極パッド50は、第1電極パッド40に実装される回路素子等に干渉しないように設けられることが好ましい。
【0036】
第2電極パッド50は、第1電極パッド40と同様に下地層および表面層の積層構造とすることができる。下地層を単層とする場合は、下地層は、第1電極パッド40の下地層42よりも厚く形成される。また、第2電極パッド50は、図1に示すように、たとえば、第1下地層52、第2下地層54および表面層56を積層して構成することができる。この場合は、第2電極パッド50は、第1下地層52および第2下地層54を有するため、第1下地層52を第1電極パッド40の下地層42と共通とした場合、第1電極パッド40よりも第2下地層54の厚さの分だけ厚く形成される。第1下地層52および第2下地層54の厚みは、それぞれ、たとえば、5〜10μmである。表面層56は、第1電極パッド40の表面層44と同様である。第1下地層52および第2下地層54の材質としては、それぞれタングステンまたはモリブデンを例示することができる。
【0037】
第1電極パッド40の厚み(第1の厚み)は、第2電極パッド50の厚み(第2の厚み)よりも小さい。そのため、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように平坦な載置面に載置したときに、第2電極パッド50のみが該載置面に接触する。換言すると、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように平坦な載置面に載置したときに、第1電極パッド40は該載置面に接触せず、第1電極パッド40と載置面との間に間隙が形成される。これにより、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるようにトレイ等に載置したときに、第1電極パッド40が損傷することを抑制することができる。したがって、第1電極パッド40に回路素子等を実装するときの信頼性を向上することができる。また、本実施形態の圧電振動子100の第1電極パッド40に回路素子が実装された圧電デバイスは、回路素子の実装の信頼性が高いものとなる。
【0038】
本実施形態では、第2電極パッド50の厚みは、第2下地層54を設けることにより第1電極パッド40の厚みよりも大きくなっている。第2電極パッド50の厚みを大きくする方法は、任意であるが、本実施形態のようにすれば、第2下地層54を積層するだけで第2電極パッド50の厚みを増加させることができる。そして、本実施形態の場合、第2電極パッド50の厚みは、下地層の形成回数を増やすことによって任意に大きくすることができる。
【0039】
第2電極パッド50の厚みおよび第1電極パッド40の厚みの差(第2の厚みおよび第1の厚みの差)は、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。第2の厚みおよび第1の厚みの差が5μmよりも小さいと、第1電極パッド40を保護する効果が得られなくなる場合がある。
【0040】
複数の第2電極パッド50は、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように平坦な載置面に載置したときに、圧電振動子100が、がたつかないように配置される。すなわち、第2電極パッド50は、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように載置面に載置したときに、外側底面10sと載置面とが平行に維持されるように配置される。複数の第2電極パッド50の個数および形状は、たとえば、図3に示したように、第2電極パッド50が2つである場合、長方形の形状とすることにより、圧電振動子100が、がたつかないように配置することができる。また、第2電極パッド50の個数を増せば、上記の効果は一層高くなる。
【0041】
複数の第2電極パッド50の配置としては、たとえば、ケース体10の外側底面10sを平面的にみたときに、外側底面10sの中心に対して対称になるように配置されることができる。第2電極パッド50をこのように配置すれば、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように平坦な載置面に載置したときに、外側底面10sと載置面とが平行に維持されやすくなる。また、たとえば、第2電極パッド50は、ケース体10の外側底面10sを平面的にみたときに、第1電極パッド40よりも外周側に設けられることができる。第2電極パッド50をこのように配置すれば、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように平坦な載置面に載置したときに、第1電極パッド40が水平面に、より接触しにくくなり、第1電極パッド40の保護効果を一層高めることができる。また、たとえば、第2電極パッド50は、ケース体10の外側底面10sを平面的に見たときに、第1電極パッド40を挟む位置に設けられることができる。第2電極パッド50をこのように配置すれば、第1電極パッド40を挟むように配置された少なくとも一対の第2電極パッド50が載置面に接触する。よって、第1電極パッド40が載置面に、より接触しにくくなり、第1電極パッド40の保護効果を一層高めるもとができる。
【0042】
さらに、図2および図4の例では、ケース体10の外側底面10sの輪郭が平面視において矩形であって、かつ、第2電極パッド50が、ケース体10の外側底面10sの平面視における輪郭の4隅に設けられている。第2電極パッド50をこのように配置すれば、圧電振動子100をケース体10の外側底面10sが下になるように平坦な載置面に載置したときに、外側底面10sと水平面との平行を維持する効果、および第1電極パッド40が水平面に接触させない効果をなおさらに高めることができる。
【0043】
1.5.その他の構成
以下に、圧電振動子100に含みうる構成のうちのいくつかについて述べる。圧電振動子100は、さらにその他の構成を含むこともできる。
【0044】
ケース体10の内側の面には、振動片30の電極36と電気的に接続するための配線60を設けることができる。配線60は、必要に応じて複数設けることができる。配線60は、任意の形状を有することができる。配線60は、ケース体10の内側の結線として機能してもよいし、ビアホール16に接続されてケース体10の外側への電気的接続にとして機能してもよい。配線60の材質は、導電性を有するかぎり任意である。配線60は、圧電振動子100の製造工程を簡略するために、第1電極パッド40と同様の構成を有することができる。配線60は、図1に示すように、たとえば、下地層62および表面層64から構成することができる。表面層64および下地層62は、第1電極パッド40で述べたと同様とすることができる。
【0045】
また、ケース体10の外側底面10sには、各電極パッドを電気的に接続するための配線70を設けることができる。配線70は、必要に応じて複数設けることができる。配線70は、圧電振動子100の製造工程を簡略するために、第1電極パッド40と同様の構成を有するようにすることができる。配線70は、図1に示すように、たとえば、下地層72および表面層74から構成することができる。表面層74および下地層72は、第1電極パッド40で述べたと同様とすることができる。配線70の厚みを第1の厚みにすれば、配線70は、第2電極パッド50よりも薄くなるため、損傷を受けにくくすることができる。また、配線70は、第1電極パッド40に実装される回路素子と干渉しない限り、第2電極パッド50と同じ厚みにすることができる。この場合は、配線70は、第2電極パッド50と同様の機能を有することができる。
【0046】
本実施形態にかかる圧電振動子100は、第2電極パッド50よりも薄い第1電極パッド40を有する。そのため、製造工程等において、第1電極パッド40の損傷が低減されることができる。これにより、第1電極パッド40には、回路素子を信頼性高く実装することができる。
【0047】
2.圧電デバイス
本実施形態にかかる圧電デバイス300は、「1.圧電振動子」の項で述べた圧電振動子100と、回路素子200と、を有する。図5は、本実施形態の圧電デバイス300を模式的に示す断面図である。
【0048】
図5に示すように、回路素子200は、圧電振動子100の第1電極パッド40に接続される。回路素子200は、たとえば、振動片30の制御回路を含むことができる。回路素子200の大きさは、任意であるが、平面的に見て、圧電振動子100の第2電極パッド50と重ならない形状を有する。回路素子200は、たとえば、フェイスダウン方式のフリップチップ工法により第1電極パッド40に接続されることができる。図示の例では、第1電極パッド40および回路素子200は、ハンダボール202によって接合されている。
【0049】
本実施形態にかかる圧電デバイス300は、第2電極パッド50よりも薄い第1電極パッド40を有する圧電振動子100を有している。そのため、製造工程等において、第1電極パッド40の損傷が低減されている。したがって、本実施形態にかかる圧電デバイス300は、圧電振動子100と回路素子200との電気的接続の信頼性が高い。
【0050】
2.圧電振動子および圧電デバイスの製造方法
本実施形態にかかる圧電振動子100の製造方法の一例について説明する。図6〜図15は、本実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を示す模式図である。
【0051】
以下の説明は、圧電振動子100のケース体10および蓋体20がセラミックである場合について述べる。
【0052】
先ず、セラミックグリーンシートの状態の底材基板12aを準備する。次に、図6に示すように、底材基板12aの所定の位置に、スルーホール16aを形成し、スルーホール16aの内部に導電材を埋設し、ビアホール16を形成する。スルーホール16aの形成は、たとえば、機械的な切削や、マスクを用いたエッチングにより行うことができる。導電材の埋設は、たとえばタングステンをCVD法によって成膜することにより行うことができる。
【0053】
次に、図7に示すように、底材基板12aの両面に各下地層を形成する。本実施形態では、本工程によって、パッケージ内部に形成される配線60の下地層62、外側底面10sに形成される第1電極パッド40の下地層42、第2電極パッド50の第1下地層52、および配線70の下地層72を形成する。本工程は、たとえば、タングステン、モリブデンの金属粉末をビヒクル中に分散させてなる導体ペーストをインクとして、スクリーン印刷、インクジェット方式などの印刷法を用いて塗布し、焼成することにより行うことができる(金属メタライズ)。また、本工程は、一般的な成膜およびパターニングによって行ってもよい。下地層にタングステン、モリブデン等の高融点金属を用いることにより、後のセラミックグリーンシートに焼成等の工程における下地層の融解を抑えることができる。
【0054】
次いで、図8に示すように、第2電極パッド50を形成する所定の部位に、第2下地層54を形成する。本工程は、上述の下地層を形成する工程と同様に行うことができる。第2下地層54は、第1下地層52に積層して形成されるため、本工程によって第2下地層54が形成された部位は、下地層全体の厚みが大きくなる。この工程は所望の厚さの下地層が形成されるまで、繰り返し行うことができる。
【0055】
次いで、図9に示すように、キャビティ18となる孔が形成された壁材基板14aを底材基板12aに積層する。壁材基板14aは、セラミックグリーンシートの状態のものを用いる。底材基板12aおよび壁材基板14aを積層した後、焼成することによって、図10に示すように、一体化したセラミックのケース体基板10aを形成することができる。
【0056】
次に、図11に示すように、下地層(62,42,52,54,72)の露出面に表面層(64,44,56,74)を形成する。表面層は、たとえば、金の電解メッキによって行うことができる。表面層を多層構造とする場合は、表面層の形成は、たとえば、ニッケルの電解メッキによって下地層の表面にニッケル層を形成した後、続いて金の電解メッキによってニッケル層の表面に金に層を形成することにより行うことができる。その後、必要に応じて、図12に示すように、蓋体20を接合するためのシームリング22を形成する。なお、図示の例ではシームリング22を設けているが、金属ろう材層を設けてもよい。また、プラズマ溶接や超音波接合によって蓋体20を接合する場合は、シームリング22の形成は省略できる。
【0057】
そして、ケース体基板10aをダイシング等により切断して個片化する。個片化したケース体10は、図13に示すように、トレイ80の凹部82に載置される。トレイ80は、個片化したケース体10の取り扱いを容易化する機能を有する。図示のように、トレイ80の凹部82には、ケース体10の個片を一つずつ収納することができる。凹部82の底面は、平坦な面となっており、凹部82の外周は、ケース体10の外周よりもやや大きい。
【0058】
ここで、トレイ80に納められたケース体10は、外側底面10sに形成された第2電極パッド50のみがトレイ80の底面に接触する。そのため、トレイ80の凹部82内で、ケース体10が横方向に移動するなどしても、第1電極パッド40は、トレイ80の底面に接触することが抑制される。また、振動片30を載置する工程や、蓋体20を設ける工程において、ケース体10をトレイ80に押さえ付けるような外力が加わっても、第1電極パッド40が、トレイ80の底面に接触しにくい。したがって、少なくとも第1電極パッド40には、傷等のダメージが生じにくいため、後の工程で、回路素子200を実装する際の信頼性を高めることができる。
【0059】
次に、図14に示すように、振動片30をケース体10のキャビティ18内に載置する。この工程は、たとえば、マニピュレータ等により行うことができる。振動片30を固定する方法としては、たとえば、接着剤を用いることができる。そして、振動片30の電極32と、ケース体10の中に形成された配線60との電気的に接続を行う(図示せず)。この工程は、たとえば、ワイヤボンディングにより行うことができる。
【0060】
次に、図15に示すように、蓋体20をケース体10に接合する。本実施形態では、この工程は、シーム接合(溶接)により行う。なお、図示しないが、パッケージ内に形成されるキャビティ18内の真空度を高めるために、ケース体10または蓋体20に排気孔を設け、キャビティ18内を減圧してガスを排出した後に排気孔を封止する方法を採用することもできる。
【0061】
以上説明した製造方法によって、本実施形態の圧電振動子100は、製造されることができる。このあと、圧電振動子100に回路素子200を実装することによって、圧電デバイス300を製造することができる。以下に圧電デバイス300を製造する工程と、圧電デバイス300を他の回路基板400に実装する工程について説明する。
【0062】
図16に示すように、圧電振動子100を、蓋体20を下側にしてトレイ80の凹部82に収納する。この状態で、回路素子200を第1電極パッド40に実装する。回路素子200は、たとえば、ハンダバンプ工法により行うことができる。回路素子200が実装された後、必要に応じて圧電デバイス300の検査を行ってもよい。圧電デバイス300の検査は、第2電極パッド50をあらかじめ検査用として設計し、当該第2電極パッド50に検査プローブを接触させて行うことができる。圧電デバイス300の検査工程においても、第2電極パッド50は、第1電極パッド40や配線70よりも厚みが大きいため、検査プローブが第2電極パッド50に接触したときに、他の導電部材に接触しにくい。そのため、圧電デバイス300に傷等のダメージを生じにくく、信頼性を高く保ったまま圧電デバイス300を検査することができる。
【0063】
圧電デバイス300は、図17に示すように、第2電極パッド50に接するハンダボール302を有することができる。ここで、ハンダボール302の高さは、回路素子200の高さよりも大きくすることができる。そして、図18に示すように、トレイ80から取り出され、あらかじめ表面に接続用電極402が形成された回路基板400に実装されることができる。第2電極パッド50は、上記の工程を経ると、第1電極パッド40よりも表面にダメージを生じている場合がある。しかし、図示のように、ハンダボール302による回路基板400への実装は、回路素子200の第1電極パッド40への実装よりも各部材の寸法や規模が大きいため、信頼性が低下する度合いは十分に小さい。
【0064】
以上のようにして、本実施形態の圧電振動子100および圧電デバイス300を製造することができる。本実施形態の圧電振動子の製造方法によれば、回路素子を信頼性高く実装することができる電極パッドを形成することができる。本実施形態の圧電デバイスの製造方法によれば、圧電振動子および回路素子の電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0065】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施形態にかかる圧電振動子100を模式的に示す断面図。
【図2】実施形態にかかる圧電振動子100を模式的に示す下面図。
【図3】実施形態にかかる圧電振動子100の変形例を模式的に示す下面図。
【図4】実施形態にかかる圧電振動子100の変形例を模式的に示す下面図。
【図5】実施形態にかかる圧電デバイス300を模式的に示す断面図。
【図6】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図8】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図9】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図10】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図11】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図12】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図13】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図14】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図15】実施形態にかかる圧電振動子100の製造工程を模式的に示す断面図。
【図16】実施形態にかかる圧電デバイス300の製造工程を模式的に示す断面図。
【図17】実施形態にかかる圧電デバイス300の実装工程を模式的に示す断面図。
【図18】実施形態にかかる圧電デバイス300の実装工程を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
【0067】
10…ケース体、10a…ケース体基板、10s…外側底面、12…底材、
12a…底材基板、14…壁材、14a…壁材基板、16…ビアホール、
16a…スルーホール、18…キャビティ、20…蓋体、22…シームリング、
30…振動片、32…振動碗、34…基部、36…電極、38…接着剤層、
40…第1電極パッド、42…下地層、44…表面層、50…第2電極パッド、
52…第1下地層、54…第2下地層、56…表面層、60…配線、62…下地層、
64…表面層、70…配線、72…下地層、74…表面層、80…トレイ、82…凹部、
100…圧電振動子、200…回路素子、202…ハンダボール、
300…圧電デバイス、302…ハンダボール、400…回路基板、402…接続用電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な外側底面を有するケース体と、
前記ケース体を封止する蓋体と、
前記ケース体および前記蓋体によって形成されるキャビティ内に備えられた振動片と、
第1の厚みを有し、前記外側底面に形成された複数の第1電極パッドと、
第2の厚みを有し、前記外側底面に形成された複数の第2電極パッドと、
を有し、
前記第1の厚みは、前記第2の厚みよりも小さい、圧電振動子。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2電極パッドは、前記外側底面を平面的にみたとき、前記第1電極パッドよりも外周側に設けられた、圧電振動子。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記ケース体の前記外側底面の輪郭は、平面視において矩形であり、
前記第2電極パッドは、前記ケース体の前記外側底面の平面視における前記輪郭の4隅に設けられた、圧電振動子。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記ケース体の前記外側底面が平坦な載置面と対向するように前記圧電振動子が前記載置面に載置されたとき、前記第2電極パッドが前記載置面に接し、前記第1電極パッドと前記載置面との間に間隙が形成される、圧電振動子。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記第1電極パッドは、回路素子接続用パッドである、圧電振動子。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
前記第2電極パッドは、検査用パッド、外部接続用パッド、およびダミーパッドの少なくとも一種を含む、圧電振動子。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の圧電振動子と、
前記第1電極パッドに接続された回路素子と、
を有する、圧電デバイス。
【請求項1】
平坦な外側底面を有するケース体と、
前記ケース体を封止する蓋体と、
前記ケース体および前記蓋体によって形成されるキャビティ内に備えられた振動片と、
第1の厚みを有し、前記外側底面に形成された複数の第1電極パッドと、
第2の厚みを有し、前記外側底面に形成された複数の第2電極パッドと、
を有し、
前記第1の厚みは、前記第2の厚みよりも小さい、圧電振動子。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2電極パッドは、前記外側底面を平面的にみたとき、前記第1電極パッドよりも外周側に設けられた、圧電振動子。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記ケース体の前記外側底面の輪郭は、平面視において矩形であり、
前記第2電極パッドは、前記ケース体の前記外側底面の平面視における前記輪郭の4隅に設けられた、圧電振動子。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記ケース体の前記外側底面が平坦な載置面と対向するように前記圧電振動子が前記載置面に載置されたとき、前記第2電極パッドが前記載置面に接し、前記第1電極パッドと前記載置面との間に間隙が形成される、圧電振動子。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記第1電極パッドは、回路素子接続用パッドである、圧電振動子。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
前記第2電極パッドは、検査用パッド、外部接続用パッド、およびダミーパッドの少なくとも一種を含む、圧電振動子。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の圧電振動子と、
前記第1電極パッドに接続された回路素子と、
を有する、圧電デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−177984(P2010−177984A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17608(P2009−17608)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】
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