説明

圧電振動片、圧電振動片の製造方法、圧電振動子、及び圧電発振器

【課題】主振動の伝播を抑制するための溝の外側には、電極膜などが無く、水晶面が露出しているため、露出した水晶面同士の加工中での接触、或いは、加工装置への接触等、露出した水晶面、特に水晶面と水晶片の端面とのコーナー部に、欠け(チッピング)や微小な割れ(クラック)などが発生するのを防ぎ、圧電振動片の耐衝撃性向上を図る。
【解決手段】厚みすべり振動を主振動とする圧電基板11と、前記圧電基板11の表裏の面に形成され、前記圧電基板11を励振させる励振電極16と、前記励振電極16の外縁に沿って周状に形成された溝部14と、前記溝部14の外縁から前記圧電基板11の外周端までの領域に形成され、前記励振電極16と電気的に絶縁された浮き電極19と、を有する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片の外周部へ厚みすべり振動が伝播することを防止するための溝を
有する圧電振動片の、励振電極等の薄膜の形成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ATカット水晶振動子の主振動である厚みすべり振動は、振動片の中央部が振動する如
く励振電極の配置などが決められているが、中央部で振動する厚みすべり振動は、振動片
の外周部へ伝播する。
振動片は、振動片の外周部をセラミック等から形成される収納器に固着されて保持され
る。この固着された部位から、伝播した振動が収容器に漏洩する。前述の、伝播した振動
の漏洩が主振動である厚みすべり振動に影響して、クリスタルインピーダンス(以下、「
CI値」という。)が低下したり、他の振動モードを誘発し発振周波数の安定性を低下さ
せたりする。
【0003】
前述の厚みすべり振動の振動片外周部への伝播を抑制するために、図12に示すように
、振動片200の圧電基板の一例としての水晶片100の主面101上に設けられた励振
電極102をほぼ囲み、励振電極102と図示しない収容器などに固着される振動片20
0の外周部104との間に、溝105を設けて振動を減衰させることによって、振動片外
周部への厚みすべり振動の伝播を抑制する方法が開示されている(特許文献1、特許文献
2)。
【0004】
前述の従来からの振動片の製造方法について、図13に示す工程フロー図に沿って説明
する。
【0005】
先ず、図13(a)に示す圧電基板100(本例では、一例として水晶片で説明し、以
下「水晶片」という。)を用意する。
【0006】
次に、図13(b)に示すように、水晶片100の表裏の主面に溝形成用マスク110
を重ねられる。溝形成用マスク110は、溝113に該当する部分を残した穴開け形状と
なっており、このマスク110に向かって耐蝕層形成用の金属材料が蒸着されるとマスク
110の穴開け部に対応する水晶面には金属材料が付着する。
【0007】
次に、図13(c)に示すように、水晶片100から溝形成用マスク110を除去する
と金属材料からなる耐蝕層111が形成されており、溝113を形成すべき部分112に
は耐蝕層111が存在せず、水晶面が露出している。
【0008】
次に、図13(d)の水晶片100をエッチングすることにより、水晶片の露出してい
る部分112が所定量エッチングされて、水晶片100に所望の溝113が形成される。
さらに、耐蝕層111を除去し、図13(e)に示すように溝を有した水晶片100aが
露出する。
【0009】
次に、図13(f)に示すように、水晶片100aの表裏に電極形成用マスク114を
重ね、蒸着、或いはスパッタリングなどによって、電極材料が供給され、電極マスク11
4の電極に該当する部分に空いた穴部分の水晶面に、電極材料を固着する。
続いて、電極マスク114を除去することにより、図13(g)に示すように、表裏の
面に、振動の伝播を抑制するための溝113と水晶片を励振するための励振電極などの電
極115を有する水晶片100bを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−257558号公報
【特許文献2】特開平9−93076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述の背景技術に示した方法によれば、振動片の溝の外側には、電極膜
などが無く、水晶面が露出している。水晶は、脆性材料であり衝撃、振動などに弱いため
、露出した水晶面同士が加工中に接触する、或いは、加工装置に接触する、等により露出
した水晶面、特に水晶面と水晶片の端面とのコーナー部に、欠け(チッピング)や微小な
割れ(クラック)などを発生させることがある。前述の、コーナー部の、欠け(チッピン
グ)や微小な割れ(クラック)は、外部からの振動、衝撃などが加わった時に応力集中を
起こし振動片の破壊を発生させ、換言すれば、耐衝撃性が劣化するという課題を有してい
た。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる問題を解決するために、厚みすべり振動を主振動とする圧電基板と、前記圧電基
板の表裏の面に形成され、前記圧電基板を励振させる励振電極と、前記励振電極の外縁に
沿って周状に形成された溝部と、前記溝部の外縁から前記圧電基板の外周端までの領域に
形成され、前記励振電極と電気的に絶縁された浮き電極と、を有することを特徴とする。
本発明の圧電振動片によれば、励振電極、及び溝部を除く領域に浮き電極が形成されて
いるため、表裏の面における圧電基板面の露出する部分が皆無となり、圧電基板面同士が
直接接触する、或いは、圧電基板面が加工装置に直接接触することを防止できるため、圧
電基板の欠け、割れ等を防止でき、圧電振動片の耐衝撃性を向上することができる。
【0013】
また、さらに、前記励振電極と接続され、前記圧電振動片を支持するための支持電極と
、前記溝部と接続され、前記支持電極を囲む凹部と、を有することとしてもよい。
【0014】
また、前記励振電極の厚みが、前記浮き電極の厚みより厚いことが望ましい。
このようにすれば、励振電極を重ねて形成することにより、励振電極を形成している部
分における励振電極を含む圧電振動片の厚みが、他の薄膜層を形成している部分における
薄膜層を含む圧電振動片の厚みより厚くなる。厚みすべり振動の伝播は、共振周波数の高
い方(圧電基板の薄い)から低い方(圧電基板の厚い)へ伝播するが、低い方から高い方
へは伝播しにくいことから、振動の伝播を抑制することができる。
【0015】
また、前記励振電極は、複数の電極層で形成されることとしてもよい。
【0016】
また、前記励振電極と接続され、前記圧電基板を支持する支持電極を有し、前記圧電基
板は、前記励振電極、及び前記浮き電極が形成される第一の面と、前記支持電極が形成さ
れる第二の面とを有し、前記第一の面を形成する部分の前記圧電基板の厚みが、前記第二
の面を形成する部分の前記圧電基板の厚みより厚いことが望ましい。
このようにすれば、励振電極が形成されている部分の圧電基板の厚みが、支持電極が形
成されている部分の圧電基板の厚みより厚くなる。厚みすべり振動の伝播は、共振周波数
の高い方(圧電基板の薄い)から低い方(圧電基板の厚い)へ伝播するが、低い方から高
い方へは伝播しにくいことから、振動の伝播を抑制することができる。即ち、支持電極の
部分で圧電基板を固着することによる厚みすべり振動の特性への影響の発生を防止するこ
とが可能となる。
【0017】
また、前記第二の面は、前記圧電振動片を支持する方向の前記溝部の外縁から前記圧電
振動片の外周端までの領域に形成されていることとしてもよい。
【0018】
また、前記第二の面は、前記溝部と接続し、前記第一の面から、前記溝部の深さとほぼ
等しい深さの段差を有することが望ましい。
このようにすれば、溝部と第二の面とを同時に形成することが可能となり、製造工程が
減少して圧電基板の製造単価を下げることができる。
【0019】
また、前記励振電極、及び浮き電極は、同じ材料で形成されていることが望ましい。
このようにすれば、励振電極の形成と浮き電極の形成とを同時に行うことが可能となり
、加工工程の短縮を図ることができる。
【0020】
また、前記励振電極、及び前記浮き電極は、金で形成されていることとしてもよい。
【0021】
また、前記励振電極と前記浮き電極とは異なる材料で形成されており、前記励振電極を
形成する材料の密度が前記浮き電極を形成する材料の密度より高いことが望ましい。
このようにすれば、密度の高い材料で形成された励振電極の部分の共振周波数が、密度
の低い材料で形成された浮き電極の部分の共振周波数より低くなる。厚みすべり振動の伝
播は、共振周波数の高い方(圧電基板の薄い)から低い方(圧電基板の厚い)へ伝播する
が、低い方から高い方へは伝播しにくいことから、振動の伝播を抑制することができる。
【0022】
また、前記溝部は、複数の溝を有することが望ましい。
このようにすれば、振動片のすべての方向に対して厚みすべり振動を主面の中心部から
外周部に向かって段階的に減衰させることができることから、急激な振動の減衰による主
振動の電気的特性の影響を防止することができる。
【0023】
本発明に係る圧電振動片の製造方法は、厚みすべり振動を主振動とする圧電基板の表裏
の面に、前記厚みすべり振動の前記圧電基板の中心部から外周部への伝播を抑制するため
の溝部を有する圧電振動片の製造方法であって、前記圧電基板の表裏の面に、少なくとも
前記圧電基板を励振させるための励振電極、及び、前記励振電極と不接続な浮き電極に対
応する窓開け部を有する第一のマスクを設け、前記第一のマスク上から金属層を形成する
第1の工程と、前記第一のマスクを除去し、前記金属層のうち前記第一のマスクの窓開き
部に形成された、前記励振電極、及び、前記浮き電極を露出させる第2の工程と、前記励
振電極、及び、前記浮き電極を第二のマスクとして、前記励振電極の外縁に沿って周状に
形成され、前記厚みすべり振動の前記圧電基板の中心部から外周部への伝播を抑制するた
めの溝部を、前記圧電基板に形成する第3の工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、圧電基板上に形成された励振電極、及び、浮き電極を第二のマスクと
して、圧電基板に溝部を形成するため、溝部形成のためのマスクを新たに用意することが
不要となり、マスクコストの削減が図られ、さらには工程数も削減できることから、振動
片のコストの低減を図ることができる。
【0024】
また、前記溝部を形成した前記圧電基板の表裏の面に、少なくとも前記励振電極を覆う
重ね電極に対応する第三のマスクを設け、前記第三のマスク上から第二の金属層を形成す
る第4の工程と、前記第三のマスクを除去し、前記第二の金属層のうち前記励振電極を覆
う重ね電極を露出させる第5の工程と、を有することとしてもよい。
このようにすれば、励振電極の厚みが、浮き電極の厚みより厚い構成の圧電振動片を製
造することができる。従って、励振電極が形成された部分の圧電振動片の厚みが、浮き電
極を形成した圧電振動片の部分の厚みより厚くなる。即ち、励振電極が形成された部分の
共振周波数が、浮き電極を形成した部分の共振周波数より低くなる。厚みすべり振動の伝
播は、共振周波数の高い方(圧電基板の薄い)から低い方(圧電基板の厚い)へ伝播する
が、低い方から高い方へは伝播しにくいことから、振動の伝播を抑制することができる。
【0025】
また、前記第三のマスクは、前記重ね電極と前記重ね電極と接続する支持電極とに対応
する窓開け部を有し、前記第5の工程は、前記重ね電極と前記支持電極とを形成すること
としてもよい。
【0026】
また、上述の本発明に係る圧電振動片と、前記圧電振動片を固着して接続を行う保持部
と、を有することを特徴とする圧電振動子を提供することも可能となる。
【0027】
また、上述の本発明に係る圧電振動片と、前記圧電振動片を駆動するための回路部と、
前記圧電振動片及び前記回路部を固着して接続を行う固着部を有する保持部と、を有する
ことを特徴とする圧電発振器を提供することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1の水晶振動片を説明するための概略図。
【図2】本発明の実施例2における水晶振動片の製造方法を示す工程フロー図。
【図3】本発明の実施例3における水晶振動片を説明するための概略図。
【図4】本発明の実施例4における二重構造の励振電極を有する水晶振動片の製造方法を示す工程フロー図。
【図5】本発明の水晶振動片の溝形状の変形例を示す概略図。
【図6】本発明の水晶振動片の溝形状の変形例を示す概略図。
【図7】本発明の水晶振動片の溝形状の変形例を示す概略図。
【図8】本発明の水晶振動片の溝形状の変形例を示す概略図。
【図9】本発明の水晶振動片の溝形状の変形例を示す概略図。
【図10】本発明の実施例5における圧電振動子を示す概略図。
【図11】本発明の実施例6における圧電発振器を示す概略図。
【図12】従来の圧電振動片を示す概略図。
【図13】従来の水晶振動片の製造方法を示す工程フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る圧電振動片の最良の形態について、以下に図面を用いて説明する。なお、
本発明は、後述の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0030】
本発明の圧電振動片の一実施例としての、励振電極の外縁に沿った溝の外側に浮き電極
を形成した水晶片を図1を用いて説明する。図1は、実施例1を説明するための水晶振動
片の概略図であり、図1(a)は、水晶振動片の斜視図、図1(b)は、水晶振動片の平
面図、図1(c)は、水晶振動片の図1(b)に示すA−A´断面図である。
【0031】
圧電基板の一例として、共振周波数27MHz、X辺比33、Z´辺比21の水晶振動
片(以下、「振動片」という。)10を用いて説明する。本例の振動片10のY´及びZ
´軸は、IEC基準に従った結晶軸の定義におけるX軸回りに+X方向に向かって時計回
りに35.25度回転してなる新座標軸に対応している。振動片10は、Y´軸方向に厚
み2bを有し、Z´軸に直交するX軸方向を振動片10の長手寸法2a(本例では、振動
片10の支持方向)、及びX軸に直交するZ´軸方向を振動片10の幅寸法2cとする主
面32を表裏に有する矩形平板状の水晶基板11(以下、「水晶片11」という。)であ
る。
【0032】
水晶片11の表裏に設けられた主面12には、主面12の中心部13を囲み、水晶片1
1の外形形状にほぼ沿った周状の、内側の溝14(溝幅w1)及び外側の溝15(溝幅w
2)の2つの溝が設けられている。内側の溝14及び外側の溝15は、それぞれ溝の幅を
50μm、深さを3μmに形成している。
なお、溝14、及び溝15の深さを同じにすることにより、溝の加工をエッチングなど
により、二つの溝を同時に形成することが可能となる。
【0033】
溝14の内側には、励振電極16が形成され、励振電極16と引き出し電極17によっ
て接続される支持電極18、21が形成されている。水晶片11は、表裏が対称構成にな
っており、本例において、支持電極18は、表の主面に形成された励振電極16aと接続
され、さらに導通電極22aによって裏面に設けられた支持電極(図示せず)に接続され
ている。なお、支持電極21は、表面と同様に裏面の励振電極16bから接続する導通電
極22bによって表面に接続されている。
【0034】
外側の溝15の周囲には、浮き電極20が形成されている。なお、浮き電極20は、外
側の溝15の周囲から、水晶片11の支持電極の形成される方向以外の外周端に達する領
域に形成される。
【0035】
内側の溝14は、励振電極16から接続される引き出し電極17の両側、及び支持電極
18、21の周囲の浮き電極20のない部分24にも形成されて凹部を構成している。
【0036】
本例によれば、励振電極16、及び溝部14,15を除く領域に浮き電極20が形成さ
れているため、圧電基板面の表裏の面が露出する部分が皆無となり、圧電基板面同士が直
接接触する、或いは、圧電基板面が加工装置に直接接触することを防止できるため、圧電
基板の欠け、割れ等を防止でき、圧電振動片の耐衝撃性を向上することができる。
さらに、励振電極16を囲む概周状に複数の溝14、15を設けることにより、振動片
のすべての方向に対して厚みすべり振動を主面の中心部から主面の外周部に向かって段階
的に減衰させることが可能となる。従って、主振動に近い部分の急激な振動の減衰を起こ
すことなく、振動片の外周部を固定しても主振動である厚みすべり振動に影響のない値ま
で振動を減衰することが可能となる。
【0037】
なお、前述の実施例1では、励振電極と引き出し電極によって接続する支持電極を有す
る構成で説明したが、引き出し電極、支持電極を設けず、励振電極の外縁に沿って溝を周
状に形成し、溝の外周から振動片の外周端までの領域に浮き電極を形成する構成としても
よく、前述と同様な効果を有する。
【実施例2】
【0038】
上述の実施例1の圧電振動片の製造方法について、図2を用いて説明する。図2は、実
施例2の製造方法を示す工程フロー図である。
【0039】
図2(a)に示す水晶片11を用意し、図2(b)に示すように、水晶片11の表裏の
面に、電極形成用金属マスク23(以下「金属マスク23」という。)を密着させる。続
いて、金属マスク23が密着された水晶片11の表裏の面に、電極材料の一例としての、
金(Au)を真空蒸着24によって固着する。金属マスク23の、水晶片の励振電極、引
き出し電極、支持電極、及び、浮き電極に相当する部分には、貫通孔、所謂窓開け部が形
成されており、真空蒸着された金は、水晶片11に直接固着される。
【0040】
続いて、水晶片11からマスク23を除去すると、図2(c)に示すように、前述の工
程で直接水晶片に金が固着した部分が露出し、励振電極25、浮き電極26、引き出し電
極(図示せず)、支持電極(図示せず)を形成する。
【0041】
続いて、励振電極25、浮き電極26、引き出し電極(図示せず)、支持電極(図示せ
ず)を溝形成用マスクとして、水晶片31にエッチング加工を行い、図2(d)に示すよ
うに、溝部27を形成する。
【0042】
本例によれば、溝形成用マスクにそれぞれの電極を用いるため、従来例のような、溝形
成用マスクを別に用意してのエッチング加工を行うことが不要となる。従って、マスク作
成費用の削減、加工工程の短縮などにより振動片の加工コストを下げることが可能となり
、安価な水晶片を提供することができる。
【0043】
また、前述の実施例2では、励振電極を初めとする諸電極の形成に、金属マスクを用い
る方法を説明したが、金属マスクに限らず、フォトレジスト等を用いての、所謂、フォト
リソ加工を行って形成したマスクを用いてもよく同様な効果を有する。
【実施例3】
【0044】
本発明の圧電振動片の一実施例としての二重構造の励振電極を有する水晶片を、図3に
沿って説明する。図3は、実施例3を説明するための水晶振動片の概略図であり、図3(
a)は、水晶振動片の斜視図、図3(b)は、水晶振動片の平面図、図3(c)は、水晶
振動片の図3(b)に示すA−A´断面図である。
【0045】
圧電基板の一例として、共振周波数27MHz、X辺比33、Z´辺比21の振動片1
0を用いて説明する。本例の振動片10のY´及びZ´軸は、IEC基準に従った結晶軸
の定義におけるX軸回りに+X方向に向かって時計回りに35.25度回転してなる新座
標軸に対応している。振動片10は、Y´軸方向に厚み2bを有し、Z´軸に直交するX
軸方向を振動片10の長手寸法2a(本例では、振動片10の支持方向)、及びX軸に直
交するZ´軸方向を振動片10の幅寸法2cとする主面32を表裏に有する矩形平板状の
水晶基板31(以下、「水晶片」31という。)である。
【0046】
水晶片31の表裏に設けられた主面32には、主面32の中心部33を囲み、水晶片3
1の外形形状にほぼ沿った周状の、内側の溝34及び外側の溝35の2つの溝が設けられ
ている。内側の溝34及び外側の溝35は、それぞれ溝の幅を50μm、深さを3μmに
形成している。
【0047】
溝34の内側には、励振電極39が形成されている。ここで、励振電極39は2層の金
属層で構成されており、第一の励振電極36aが水晶片31の表面に形成され、第一の励
振電極36aを覆い形成される第二の励振電極36bから構成される。第二の励振電極3
6bには、引き出し電極40によって接続される支持電極41、42が接続されている。
水晶片31の表裏は、X軸に平行で水晶片31の中心を通る軸に関して回転対称構成にな
っており、本例において、支持電極41は、表の主面に形成された励振電極39と接続さ
れ、さらに導通電極43によって裏面に設けられた支持電極41bに接続されている。他
の支持電極42は、導通電極44により、図示しない裏面の支持電極、及び接続電極と接
続し、さらに、裏面の励振電極39(表面と同じように、第一の励振電極36aを覆い形
成される第二の励振電極36bから構成される)に接続されている。
【0048】
内側の溝34と外側の溝35との間と、両端を含む外側の溝35の外周側の辺から水晶
片31外周までの領域には、第一の励振電極36aの形成と同時に形成された浮き電極3
7,38が形成されている。
【0049】
また、内側の溝34は、励振電極39から接続される引き出し電極40の両側から、支
持電極を設ける振動片の支持部分45に形成される凹部とつながっている。
【0050】
本例によれば、実施例1の効果に加え、さらに励振電極39を2つの金属層(第一の励
振電極36a、第二の励振電極36b)で形成するため、一つの金属層から形成される浮
き電極37、38より励振電極39の方が厚みを大きくすることができる。換言すれば、
励振電極39の形成された部分の水晶振動片の方が、浮き電極37、38の形成された部
分の振動片より厚みが大きくなる。厚みすべり振動の伝播は、共振周波数の高い方(圧電
基板の薄い)から低い方(圧電基板の厚い)へ伝播することから、本例の構成では、水晶
振動片の中心部から外周部への振動の伝播を抑制することができる。
【0051】
なお、前述では、二重構造の励振電極を用いて説明したが、これに限らず、励振電極は
、特性に影響が出ない範囲であれば、さらに多層構造で構成してもよい。
【実施例4】
【0052】
実施例4では、上述の実施例3に示す、二重構造の励振電極を持った圧電振動片の製造
方法について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の製造方法を示す工程フロー図で
ある。
【0053】
図4(a)に示す水晶片31を用意し、図4(b)に示すように、水晶片31の表裏の
面に、電極形成用金属マスク50を密着させる。続いて、電極形成用金属マスク50が密
着された水晶片31の表裏の面に、電極材料の一例として金(Au)を真空蒸着52によ
って固着する。電極形成用金属マスク50の、水晶片の第一の励振電極、及び、浮き電極
に相当する部分には、貫通孔、所謂窓開け部が形成されており、真空蒸着された金は、水
晶片31に直接固着される。
【0054】
続いて、水晶片31から電極形成用マスク50を除去すると、図4(c)に示すように
、前述の工程で直接水晶片に金が固着した部分が露出し、第一の励振電極53、浮き電極
54,55を形成する。
【0055】
続いて、第一の励振電極53、及び浮き電極54,55を溝形成用マスクとして、水晶
片にエッチング加工を行い、図4(d)に示すように、溝部56a及び溝部56aと接続
する凹部56bを形成する。
【0056】
続いて、図4(e)に示すように、再び、水晶片31の表裏の面に、第二の励振電極、
接続電極、導通電極、及び支持電極の形成用金属マスク57(以下、「第二の電極層形成
用マスク」という。)を密着させる。続いて、第二の電極層形成用マスク57が密着され
た水晶片31の表裏の面に、電極材料の一例として金(Au)を真空蒸着58によって固
着する。第二の電極層形成用マスク57には、第二の励振電極、接続電極、導通電極、及
び支持電極に相当する部分には、貫通孔、所謂窓開け部が形成されており、真空蒸着され
た金は、水晶片31及び第一の励振電極53に直接固着される。
【0057】
続いて、水晶片31から第二の電極層形成用マスク57を除去すると、図4(f)に示
すように、前述の工程で水晶片、及び、第一の励振電極に金が固着した部分が露出し、第
一の励振電極53、に重ねて形成された第二の励振電極59、第二の励振電極59に接続
する接続電極60、接続電極と接続する支持電極61、及び図示しない導通電極を形成す
る。
上述の製造方法を取ることにより、励振電極の部分のみ二重構造の電極となり、他の電
極の部分より厚い電極構造が得られる。
【0058】
なお、前述の実施例4では、接続電極、支持電極及び導通電極の形成を、第二の励振電
極の形成と同時に行うことで説明したが、これに限らず、接続電極、支持電極及び導通電
極の形成を、第一の励振電極の形成と同時に行うことも可能である。この場合、第二の励
振電極の形成の際は、他の電極の形成は行わず、第二の励振電極のみの形成となる。
【0059】
本例によれば、励振電極の厚みを、浮き電極等他の電極の厚みより厚くした圧電振動片
を製造することができる。厚みすべり振動の伝播は、共振周波数の高い方(圧電基板の薄
い)から低い方(圧電基板の厚い)へ伝播することから、本例の構成では、励振電極が形
成された部分の圧電振動片の厚みが、浮き電極を形成した圧電振動片の部分の厚みより大
きいため、振動の伝播が発生しない。即ち、励振電極の形成された部分の主振動が浮き電
極の形成された外周部への伝播を抑制することができる圧電振動片を提供することができ
る。
【0060】
また、前述の実施例4では、電極形成用マスク、及び第二の電極層形成用マスクは金属
マスクを用いる方法を用いて説明したが、電極形成用マスク、及び第二の電極層形成用マ
スクは、金属マスクに限らず、フォトレジスト等を用いての、所謂、フォトリソ加工を行
って形成したマスクを用いてもよい。
<変形例>
【0061】
水晶片に形成する厚みすべり振動の伝播を抑制するための溝部の変形例を、図5、図6
、図7、図8、及び図9を用いて説明する。
図5(a)及び図5(b)に示すように、溝部は、周状に設けられた溝幅w3の複数の
溝の一部に溝を有していない構成でも良い。図5(a)は、4つのコーナー部C1、C2
、C3及びC4に溝がない構成であり、図5(b)は、Z´軸方向の一部に溝がない部分
Fを有する構成である。なお、溝がない部分は、振動の減衰に影響がなければ、位置、個
数は任意に設定することができる。
【0062】
また、溝部は、図5(c)に示すように、周状に設けられた複数の溝の幅は一定でなく
てもよく、部分的に幅の広い部分が有っても良い。図5(c)によれば、外周側の溝Oで
は、Z´軸方向に沿って設けられる溝の幅がX軸に沿って設けられる溝の幅よりも大きい
構成であり、中心部側の溝Iでは、Z´軸方向に沿って設けられる溝の幅がX軸に沿って
設けられる溝の幅よりも小さい構成となっている。
また、溝の幅が辺の途中で部分的に大きくなっている部分Qを有してもよく、さらに図
示しないが、溝の幅が部分的に小さくなっている部分を有してもよい。
【0063】
また、図6に示すように、溝8が振動片10の中心部を囲むように周状に設けられてお
り、急激な減衰を避けなければならない方向(本例では、支持方向)における溝8にほぼ
沿った位置(本例では、溝8の外周側)に、溝幅w4の溝9、及び、溝10を設ける構成
も用いることができる。
【0064】
また、溝部を構成する複数の溝のうちの、最も振動片の外周側にある溝の幅を、振動片
の厚み(Y´方向寸法)よりも大きくすることで、振動の伝播を完全に抑制することが可
能となる。
【0065】
なお、溝9及び溝10は、振動片10の外周に達しておらず、振動片10内にそれぞれ
の溝の端を有することがよい。これにより、振動片外周部の厚みを確保することと、振動
片10の端面に達した溝部に起こる応力集中を防止することによって、外部からの衝撃等
による振動片の破壊(割れ、クラック)を防ぐことができる。
【0066】
また、図7に示すように、振動片10の中心部に近い溝3、振動片10の外周部に近い
溝5、溝3と溝5との中間に位置する溝4の3つの溝を有し、振動片の中心部に近い2つ
の溝、即ち、溝3と溝4の間隔L3が、振動片の外周部に近い2つの溝、即ち、溝4と溝
5の間隔L4より大きく(L3>L4)形成してもよい。
【0067】
同様に、図示しないが、溝が4つ以上設けられた場合は、溝と溝との間隔を、振動片1
0の中心部から外周部に向かって順次小さくなるように形成してもよい。
【0068】
振動の減衰は、溝と溝との間隔を大きくする、即ち、減衰が起こらない領域を大きくす
ることにより、減衰の早さがゆっくりとなる。
本例のように、振動領域に近接する部分での溝と溝との間隔を大きく形成し、外周部に
向かって順次小さくするように形成することにより、振動変位の大きい、即ち、主振動に
近接する領域での振動の減衰はゆっくりとなり、急激な振動の減衰を起こすことなく外周
部に向かって徐々に減衰を行う。したがって、主振動である厚みすべり振動の電気特性に
影響させることなく外周部への振動の伝播を抑制することができる。
【0069】
また、図8に示すように、振動片10の中心部に近い溝6の溝幅S6が、振動片10の
外周に近い溝7の溝幅S7よりも小さく(S6<S7)形成されてもよい。
【0070】
同様に、溝が3個以上の複数設けられる場合は、溝の溝幅が、振動片10の中心部から
外周部に向かって順次大きくなるように形成する。
【0071】
振動の減衰は、溝幅が小さければ小さいほど、当該溝による減衰を小さくすることがで
きるため、主振動領域に近接する溝の幅を最も小さく形成し、外周部に向かって順次大き
くするように形成することにより、振動変位の大きな主振動に近接する部分での減衰を小
さく開始し、順次主振動の影響が小さくなる外周側に近づくにつれて溝幅を大きくして完
全な減衰を図ることができる。したがって、主振動に近接する領域での急激な振動の減衰
を防止することができるため、主振動である厚みすべり振動の電気特性に影響させること
なく外周部への振動の伝播を完全に抑制することができる。
【0072】
また、図9に示すように、溝の幅寸法2wを振動片の厚み寸法2bよりも大きくするこ
とにより、一つの溝の構成においても、厚みすべり振動の外周部への伝播を防止すること
ができる。
【0073】
なお、前述までの説明では、短冊型(矩形形状)の振動片を用いて説明したが、外形形
状が円形の振動片、外形形状が正方形の振動片等他の形状の振動片形状においても同様な
構成を用いることができる。
【0074】
また、溝は主面の表裏に設けることで説明したがこれに限らず、片面に設ける構成でも
同様な効果を有している。
【0075】
また、上述の実施例、及び応用例の説明に用いた図では、周状の溝が、直線で振動片の
外形形状に平行で形成される例で表されているが、これに限らず、曲線形状などの非直線
形状でもよく、さらには、振動片の外形には平行でなくても構わない。
【0076】
また、励振電極の材料を浮き電極の材料より密度の高い材料とすることで、振動の伝播
を抑制することが可能となる。例えば、励振電極の材料に密度19.3の金(Au)を用
い、浮き電極の材料に密度10.5の銀(Ag)を用いる。また、励振電極の材料に密度
10.5の銀(Ag)を用い、浮き電極の材料に密度2.7のアルミ(Al)を用いるこ
ともできる。
【実施例5】
【0077】
本発明の圧電振動片を用いた圧電振動子を、図10に示し説明する。図10は、本発明
の圧電振動子の概略図であり、図10(a)は、圧電振動子の斜視図、図10(b)は、
図10(a)に示す圧電振動子の正面断面図である。
【0078】
本発明の圧電振動子65は、保持部の一例としての、セラミック製のパッケージ(収納
容器)66の内の基台67に、厚みすべり振動を発生させるために任意の形状で形成され
た励振電極68と、励振電極から接続される外部接続のための支持電極69と、厚みすべ
り振動の外周部への伝播を抑制するための励振電極68を囲む概周状の溝71と、溝71
の外周側に設けられた浮き電極75、76とを、主面に形成した圧電振動片70が導電性
接着剤72などにより電気的接続を取りながら固定されている。ここで、パッケージ66
の底部73は、圧電振動片70が固定接続される基台67以外の部分は圧電振動片70に
接しないように窪み構造となっている。さらに、蓋体74がパッケージ66の上面に接合
されて気密性を保持する構成となっている。
【0079】
本発明によれば、振動片の中心部を囲む概周状の溝により振動片のすべての方向の外周
部において、主振動である厚みすべり振動に影響のない値まで振動を減衰することが可能
な圧電振動片を用いることにより、該振動片の外周部をパッケージに固定接続しても、主
振動の特性に影響ない安定した振動を継続できる、或いは、周波数可変を大きく取れるな
ど振動特性のよい圧電振動子を提供することができる。
【実施例6】
【0080】
本発明の圧電振動片を用いた圧電発振器を、図11に示し説明する。図11は、本発明
の圧電振動器の概略図であり、図11(a)は、圧電発振器の斜視図、図11(b)は、
図11(a)に示す圧電発振器の正面断面図である。
【0081】
本発明の圧電発振器80は、保持部の一例としての、セラミック製のパッケージ(収納
容器)81の内の圧電振動片87の固着部である基台82に、厚みすべり振動を発生させ
るために任意の形状で形成された励振電極84と、励振電極84から接続される外部接続
のための支持電極85と、厚みすべり振動の外周部への伝播を抑制するための励振電極8
4を囲む概周状の溝86と、溝86の外周側に設けられた浮き電極92、93とを、表裏
に設けた主面に形成した圧電振動片87が導電性接着剤88などにより電気的接続を取り
ながら固定されている。さらに、該パッケージ81の底部89には、圧電振動片87と電
気的に接続された、少なくとも圧電振動片87を動作させる機能を有する動作回路部90
が固定されている。ここで、パッケージ81の底部89は、圧電振動片が固定接続される
基台82以外の部分は圧電振動片87と動作回路部90が接しないような深さを持った窪
み構造となっている。さらに、パッケージ81の内に固着された圧電振動片87、及び動
作回路部90は、パッケージ81の上面に接合される蓋体91によって気密性を持って収
納される。
【0082】
なお、前述の実施例においては、支持電極を振動片の長手方向(支持方向)の一方の端
付近に設ける例を用いて説明したが、一方の端だけでなく、他の一方端共に、支持電極を
設ける構成でもよい。
【0083】
本例によれば、振動片の中心部を囲む概周状の溝により振動片のすべての方向の外周部
において、主振動である厚みすべり振動に影響のない値まで振動を減衰することが可能な
圧電振動片を用いることにより、該振動片の外周部をパッケージに固定接続しても、主振
動の特性に影響ない安定した振動を継続できる、或いは、周波数可変を大きく取れるなど
振動特性のよい圧電発振器を提供することができる。
【符号の説明】
【0084】
10…水晶振動片、11…水晶基板(水晶片)、12…水晶基板の表裏の主面、13…
主面の中心部、14…内側の溝、15…外側の溝、16…励振電極、16a…表面の励振
電極、16b…裏面の励振電極、17…接続電極、18…支持電極、19…溝と溝間の浮
き電極、20…外周部の浮き電極、21…支持電極、22a…導通電極、22b…導通電
極、X…結晶軸におけるX軸方向(振動片の支持方向)、Y´…X軸回りに所定量回転し
たY軸方向(振動片の厚み方向)、Z´…X軸回りに所定量回転したZ軸方向(振動片の
幅方向)、2a…X軸方向における振動片の外形寸法(振動片支持方向寸法)、2b…Y
軸方向における振動片の厚み寸法、2c…Z軸方向における振動片の外形寸法(振動片の
幅寸法)、w1…内側の溝の幅、w2…外側の溝の幅、65…圧電振動子、80…圧電発
振器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みすべり振動を主振動とする圧電基板と、
前記圧電基板の表裏の面に形成され、前記圧電基板を励振させる励振電極と、
前記励振電極の外縁に沿って周状に形成された溝部と、
前記溝部の外縁から前記圧電基板の外周端までの領域に形成され、前記励振電極と電気
的に絶縁された浮き電極と、
を有することを特徴とする圧電振動片。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電振動片であって、
前記励振電極と接続され、前記圧電振動片を支持するための支持電極と、
前記溝部と接続され、前記支持電極を囲む凹部と、
を有することを特徴とする圧電振動片。
【請求項3】
請求項1に記載の圧電振動片であって、
前記励振電極と接続され、前記圧電基板を支持する支持電極を有し、
前記圧電基板は、前記励振電極、及び前記浮き電極が形成される第一の面と、前記支持
電極が形成される第二の面とを有し、
前記第一の面を形成する部分の前記圧電基板の厚みが、前記第二の面を形成する部分の
前記圧電基板の厚みより厚いことを特徴とする圧電振動片。
【請求項4】
請求項3に記載の圧電振動片であって、
前記第二の面は、前記圧電振動片を支持する方向の前記溝部の外縁から前記圧電振動片
の外周端までの領域に形成されていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項5】
請求項4に記載の圧電振動片であって、
前記第二の面は、前記溝部と接続し、前記第一の面から、前記溝部の深さとほぼ等しい
深さの段差を有することを特徴とする圧電振動片。
【請求項6】
請求項1又は請求項3のいずれかに記載の圧電振動片であって、
前記励振電極、及び前記浮き電極は、同じ材料で形成されていることを特徴とする圧電
振動片。
【請求項7】
請求項6に記載の圧電振動片であって、
前記励振電極、及び前記浮き電極は、金で形成されていることを特徴とする圧電振動片

【請求項8】
請求項1又は請求項3のいずれかに記載の圧電振動片であって、
前記励振電極と前記浮き電極とは異なる材料で形成されており、前記励振電極を形成す
る材料の密度が前記浮き電極を形成する材料の密度より高いことを特徴とする圧電振動片

【請求項9】
請求項1又は請求項3のいずれかに記載の圧電振動片であって、
前記溝部は、複数の溝を有することを特徴とする圧電振動片。
【請求項10】
厚みすべり振動を主振動とする圧電基板の表裏の面に溝部を有する圧電振動片の製造方
法であって、
前記圧電基板の表裏の面に、少なくとも前記圧電基板を励振させる励振電極、及び、前
記励振電極と不接続な浮き電極に対応する窓開け部を有する第一のマスクを設け、前記第
一のマスク上から金属層を形成する第1の工程と、
前記第一のマスクを除去し、前記金属層のうち前記第一のマスクの窓開き部に形成され
た、前記励振電極、及び、前記浮き電極を露出させる第2の工程と、
前記励振電極、及び、前記浮き電極を第二のマスクとして、前記励振電極の外縁に沿っ
て周状に形成される溝部を、前記圧電基板に形成する第3の工程と、
を有することを特徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の圧電振動片と、
前記圧電振動片を固着して接続を行う保持部と、
を有することを特徴とする圧電振動子。
【請求項12】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の圧電振動片と、
前記圧電振動片を駆動するための回路部と、
前記圧電振動片及び前記回路部を固着して接続を行う固着部を有する保持部と、
を有することを特徴とする圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−93837(P2010−93837A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275256(P2009−275256)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【分割の表示】特願2004−36752(P2004−36752)の分割
【原出願日】平成16年2月13日(2004.2.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】