説明

地図データ管理装置、及び地図データ管理方法

【課題】記憶装置に記憶された地図データを更新する地図データ管理装置において、記憶装置の限られたリソースの中で地図データを更新するとともにその更新中に地図データの利用が制限されてしまうことを極力防止する。
【解決手段】HDD3aに記憶された古い地図データ(旧地図データ)を新しい地図データ(新地図データ)に更新する場合、旧地図データのうち、利用に関する重要性、必要性の低い低優先データを削除し(b)、空いた領域に、新地図データのうち優先度の高い高優先データを更新記憶させる(c)。その後、旧地図データのうち高優先データを削除し(d)、空いた領域に、新地図データのうち低優先データを記憶させる(e)。更新途中でも、HDD3aに、利用に関する重要性、必要性の高い高優先データが新旧問わず残るようにすることで、地図データの利用に関する制限を極力回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データの更新を管理する地図データ管理装置、及び地図データ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるナビゲーション装置は、例えば地図データが記憶された記憶装置から読み込んだその地図データと、GPS(Global Positioning System)により取得した車両の現在位置情報とに基づき、液晶ディスプレイ等の表示装置に地図を及び車両の現在位置を表示して、車両の運転手に目的地までの経路案内等を行う。
【0003】
従来、この種のナビゲーション装置としては、例えばCD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体の情報を読み込む読込装置を備え、そのCD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体に記憶された地図データをその読込装置により読み込んで利用するタイプのものや、ハードディスク(以下、HDDと記載する)を備え、そのHDDに記憶された地図データを読み込んで利用するタイプのものなどがある。
【0004】
ところで、経路案内等を的確に行うには、地図データを最新のものに更新する必要がある。この点、前者のタイプの場合は、記憶媒体を最新のものに交換すれば良い。つまり、最新の地図データが記憶された記憶媒体を利用するようにすれば良い。
【0005】
一方、後者のタイプの場合、HDDに記憶された地図データを最新の地図データに更新する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−95657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えばHDDに記憶された古い地図データを新しい地図データに更新しようとする場合、更新に時間がかかってしまう場合がある。
なぜなら、一般に、ナビゲーション装置に用いられる地図データは、道路の接続状況を示すデータ(道路ネットワークデータ)、位置検出精度向上のためのマップマッチング用データ、施設に関するデータ、音声案内のための音声データ等、種々のデータを含み、このため、データ量が大きくなってしまうためである。
【0007】
しかも、地図データの更新中は、ナビゲーション装置の機能が制限される(使用できなくなる)場合がある。例えば、古い地図データを全て消去し、その消去後の空いた記憶領域に新しい地図データを記憶させるような方法では、新しい地図データの記憶が完了するまでは地図データの利用ができなくなる。
【0008】
これに対し、古い地図データを残しつつ新しい地図データを記憶させ(つまり、古い地図データと新しい地図データとを併存させ)、その新しい地図データの記憶が完了した時点で古い地図データを削除するような方法も考えられるが、この場合、古い地図データと新しい地図データとを両方記憶させておくためにより大きな記憶領域を確保する必要がある。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、記憶装置に記憶された地図データを更新する地図データ管理装置及び地図データ管理方法において、記憶装置の限られたリソースの中で地図データを更新するとともにその更新中に地図データの利用が制限されてしまうことを極力防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の地図データ管理装置は、地図データを記憶する記憶手段と、所望の地図データ(以下、第1の地図データと言う)を取得する地図データ取得手段と、地図データ取得手段により取得された第1の地図データを、記憶手段に記憶された地図データ(以下、第2の地図データと言う)に代えて、その記憶手段に更新記憶させる更新手段と、を備え、更新手段は、第1の地図データのうち優先度の高いデータを、第2の地図データのうち優先度の低いデータに代えて記憶手段に更新記憶させ、その後、第1の地図データのうち優先度の低いデータを、第2の地図データのうち優先度の高いデータに代えて記憶手段に更新記憶させるようになっている。
【0011】
データの優先度の高低は、言い換えれば地図データの利用に際しての重要性・必要性の高低である。
請求項1のような地図データ管理装置は、例えば車両におけるナビゲーション装置への適用が想定される。例えばナビゲーション装置においては、優先度の高いデータ(地図データ)はナビゲーション装置にとって重要性・必要性の高いデータ(例えば、仮にそのデータが無いとすればナビゲーション装置の機能が活かされなくなるようなデータ)と言い換えることができる。逆に、優先度の低いデータ(地図データ)は、ナビゲーション装置にとって重要性・必要性がさほど高くないデータ(例えば、仮にそのデータが無いとしてもナビゲーション装置の機能を最低限活かすことができるようなデータ)と言い換えることができる。
【0012】
尚、以下の説明において、第1の地図データのうち優先度の高いデータを高優先第1データと称し、優先度の低いデータを低優先第1データと称す。また、第2の地図データのうち優先度の高いデータを高優先第2データと称し、優先度の低いデータを低優先第2データと称す。
【0013】
請求項1の地図データ管理装置では、記憶手段に記憶された地図データ(第2の地図データ)を所望の地図データ(第1の地図データ)に更新する際、まず、高優先第1データを、低優先第2データに代えて記憶手段に更新記憶させるため、記憶手段には、高優先第1データ及び高優先第2データが併存する。
【0014】
このような地図データ管理装置がナビゲーション装置に適用された場合、ナビゲーション装置は、地図データの更新中でも、そのナビゲーション装置の機能を維持すべく、まず、高優先第2データを利用することができ、高優先第1データの更新記憶が完了した時点で、その更新記憶された高優先第1データを利用することができる。このため、地図データの更新中でも、ナビゲーション装置の機能を最低限維持することができる。言い換えると、地図データの利用が制限されることでナビゲーション装置の機能を維持できなくなってしまう、ということを回避できる。
【0015】
次に、請求項1の地図データ管理装置は、低優先第1データを、高優先度第2データに代えて記憶手段に更新記憶させるが、この時点で、高優先第2データは不要であるため(これは、高優先第1データが既に更新記憶されているという理由からである)、地図データの利用が制限されることはない(地図データを引き続き利用できる)。ナビゲーション装置の例にあてはめれば、ナビゲーション装置の機能を維持することができるようになる。
【0016】
次に、請求項2の地図データ管理装置は、請求項1の地図データ管理装置において、優先度は多段階に定められ、更新手段は、第1の地図データのうち優先度の最も高いデータを、第2の地図データのうち優先度の最も高いデータ(以下、高優先第2データと言う)以外の何れかのデータに代えて記憶手段に更新記憶させ、その後、第1の地図データの残りのデータのうち優先度の高いデータから順に、第2の地図データのうち高優先第2データ以外の何れかのデータに代えて記憶手段に更新記憶させ、最後に、第1の地図データのうち優先度の最も低いデータを、高優先第2データに代えて記憶手段に更新記憶させるようになっている。
【0017】
このような請求項2の地図データ管理装置においても、記憶手段には、古い新しいにかかわらず、優先度の高いデータが常に記憶されていることになるため、請求項1のような理由から、地図データの更新中に地図データの利用が制限されることを極力抑制することができる。言い換えると、地図データの更新中でも、優先度の高いデータを利用できるようになって、ナビゲーション装置の機能を最低限維持することができる。
【0018】
次に、請求項1,2の地図データ管理装置では、優先度は、請求項3のようにして定めることができる。
請求項3の地図データ管理装置は、請求項1,2の地図データ管理装置において、第1の地図データ及び第2の地図データのうち、情報を表示する表示装置に地図を表示するためのデータの優先度は高く定められるようになっている。
【0019】
先に説明したように、本発明(請求項1,2)の地図データ管理装置では、優先度の高いデータは、地図データの更新中でも、古い新しいにかかわらず記憶手段に常に記憶されるため、請求項3の発明のように、地図データのうち、表示装置に地図を表示するためのデータの優先度が高く定められれば、地図データの更新中に表示装置に地図を表示できなくなる、ということを回避することができる。
【0020】
次に、請求項2,3の地図データ管理装置においては、請求項4のように構成しても良い。
請求項4の地図データ管理装置は、車両に搭載されるものであり、地図データは、車両に搭載されるナビゲーションシステムに用いられる経路案内用のデータである。その地図データは、経路案内の基本機能を実現する基本機能データと、地域単位で分割され、地域内の案内及び検索を実現するための案内検索データと、経路案内の付加機能を実現する付加機能データと、から構成される。
【0021】
そして、基本機能データの優先度が最も高く定められ、案内検索データの優先度が次に高く定められ、前記付加機能データの優先度が最も低く定められるように構成されている。
【0022】
尚、基本機能データとしては、例えば、地図を描画するための主要地図データ(道路データ、背景データ、文字データ)、目的地までの経路を計算するための経路計算データ、目的地まで運転手を案内(誘導)するための経路誘導データ(各種画像データ、音声案内のための音声データ)、などが挙げられる。
【0023】
また、案内検索データとしては、例えば、地域内におけるPOI:Point Of Interest(施設)や地点を検索するためのデータや、地域内における目的地を設定するためのデータなどが挙げられる。
【0024】
また、付加機能データとしては、例えば、3Dマップ(立体マップ)を描画するための標高データ、音声認識を実現するための音声認識データ、音声入力された住所の認識に用いられる住所録データなどが挙げられる。
【0025】
そして、請求項4の地図データ管理装置では、基本機能データ、案内検索データ、付加機能データの順で優先度が高い(基本機能データの優先度が最も高い)ため、基本機能データがより優先して更新されるようになる。つまり、ナビゲーションシステムにおける基本機能がより優先して更新されるようになり、使用者にとって利便性が向上する。また、前述のように、地図データの更新中でも、基本機能データは古い新しいにかかわらず記憶手段に常に記憶されることとなり、このため、使用者は、地図データの更新中でも常にナビゲーションシステムにおける基本機能を使用し得るようになる。
【0026】
このような請求項4の地図データ管理装置においては、請求項5のように構成すると良い。
請求項5の地図データ管理装置は、請求項4の地図データ管理装置において、案内検索データのうち、車両の現在位置に近い地域の案内検索データほど優先度が高く定められていることを特徴としている。このため、案内検索データのうち、車両の現在位置に近い地域の案内検索データほどより優先して更新されるようになる。したがって、使用者は、車両の現在位置が含まれる地域について、新しい案内検索データをより速やかに使用し得るようになり、使用者にとって利便性が向上する。
【0027】
次に、請求項6の地図データ管理装置は、請求項1〜5の地図データ管理装置において、優先度の高低は、第1の地図データを構成する個々のデータ、及び第2の地図データを構成する個々のデータそれぞれについて、その個々のデータのデータサイズに応じて定まるようになっている。これによれば、例えば優先度の高いデータのデータサイズは大きくなりがちである、というような場合に、データサイズの大きいデータの優先度が自動的に高くなるようになり、便利である。尚、例えばデータサイズの小さいデータの優先度が高くなるような構成でも良い。
【0028】
次に、請求項7の発明は、地図データを記憶する記憶手段と、所望の地図データ(以下、第1の地図データと言う)を取得する地図データ取得手段と、を備えた地図データ管理装置に用いられ、地図データ取得手段により取得された第1の地図データを、記憶手段に記憶された地図データ(以下、第2の地図データと言う)に代えて、その記憶手段に更新記憶させる地図データ管理方法であって、第1の地図データのうち優先度の高いデータを、第2の地図データのうち優先度の低いデータに代えて記憶手段に更新記憶させ、その後、第1の地図データのうち優先度の低いデータを、第2の地図データのうち優先度の高いデータに代えて記憶手段に更新記憶させることを特徴とする地図データ管理方法である。
【0029】
これによれば、請求項1について述べた効果と同じ効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明が適用されたナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0031】
このナビゲーション装置100は、車両の現在位置を検出する位置検出器1と、メディア(例えばDVD−ROM/RAM、CD−ROM/RAM等)の情報を読み書きするメディアドライブ2と、種々のデータを記憶するデータ記憶部3と、利用者からの各種指示を入力するための操作スイッチ群4と、外部の機器と通信を行うための送受信機5と、地図や各種情報の表示を行うための表示装置8と、音声の入出力を制御する音声コントローラ9と、音声コントローラ9と接続されて音声を外部に出力するスピーカ10と、集音するマイク12と、マイク12から入力された音声を認識する音声認識装置11と、ナビゲーション装置100とは別体となったリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)14からの信号を入力するリモコンセンサ13と、制御装置6とを備えている。尚、ナビゲーション装置100は、車両に搭載されるバッテリ(図示省略)からイグニションスイッチ(図示省略)を介して電力が供給されるように構成されている。
【0032】
位置検出器1は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナ1aを介して受信し、車両の位置,方位,速度等を検出する。
【0033】
メディアドライブ2は、地図データが記憶されたメディアからその地図データを読み込むためのものである。尚、地図データを記憶するメディアとしては、前述のようにDVD−ROM/RAM、CD−ROM/RAM等が一般的であるが、メモリカード等の記憶媒体が用いられても良い。
【0034】
データ記憶部3は、例えば地図データを記憶するハードディスクから構成される。ハードディスクにおける地図データは、使用者の操作により適宜更新される。
操作スイッチ群4としては、表示装置8と一体に構成され、表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置8の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。尚、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、そのいずれを用いてもよい。
【0035】
送受信機5は、アンテナ5aを介して図示しないセンタ(例えばVICSセンタ)から交通情報や地図情報を受信する。この受信した交通情報や地図情報は制御装置6へ送られて案内経路を算出する際等に利用される。
【0036】
表示装置8は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,CRTなどがあるが、そのいずれを用いてもよい。表示装置8の表示画面には、位置検出器1にて検出した車両の現在位置とメディアドライブ2を介して読み込まれた地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイド等も表示できる。
【0037】
音声コントローラ9は、例えば地図データに含まれる施設のガイドや各種案内の音声を、スピーカ10を介して出力する機能を有する。尚、送受信機5を介して受信した例えば交通情報の読み上げ音声をスピーカ10を介して出力することもできる。
【0038】
また、音声コントローラ9は、音声認識装置11により認識された音声が表す情報を、制御装置6に出力する機能を有する。このような機能により、音声にてナビゲーション装置100を制御することができるようになっている。
【0039】
制御装置6は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて、位置検出器1からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、現在位置付近の地図等をメディアやデータ記憶部3から読み込んで表示装置8に表示する地図表示処理や、操作スイッチ群4やリモコン14等の操作に従って目的地を算出し、現在位置からその目的地までの最適な経路を自動的に求める経路計算を行って経路案内を行う経路案内処理等を行う。
【0040】
図2は、本実施形態のナビゲーション装置100の使用態様を表す図面である。具体的に、地図データを更新する際の態様を、使用者の操作態様を含めて表すものである。図2において、DVDドライブ2aは図1のメディアドライブ2に相当し、HDD3aは図1のデータ記憶部3に相当する。
【0041】
使用者は、新しい(例えば最新の)地図データが記憶されたDVDディスク(例えばDVD−ROM)20を、ナビゲーション装置100が備えるDVDドライブ2aに挿入する。DVDドライブ2aは、DVDディスク20に記憶された情報を読み取ることのできる装置である。
【0042】
DVDドライブ2aにより、DVDディスク20から読み込まれた新しい地図データは、HDD3aに記憶されている地図データに代えて、そのHDD3aに更新記憶される。
このような流れにより、HDD3aに記憶されている古い地図データが、新しい地図データに更新される。
【0043】
ここで、地図データについて説明する。地図データは、データの種類に応じて(例えばデータを使用するアプリケーション機能に応じて)細分化された複数の個別データからなる。個別データとしては、例えば、道路を表す情報を含む道路データ、建物や背景(道路及び文字を除いたもの)の情報を含む背景データ、建物名称/所定の地点の名称/道路・交差点の名称等の情報を含む名称データ、音声認識のための音声認識用データ、音声案内のための音声案内データ、POI(Point Of Interest、例えば商店・役所等を示すアイコン)の種別等を示すPOI種別データ、などがある。これらの個別データは、所定の名称が付された電子ファイルの形式で、DVDディスク20、或いはHDD3aに記憶される。また、地図データには、個別データを利用するための各種プログラムも含まれる。
【0044】
尚、以下の説明において、HDD3aにおける記憶領域のうち、地図データを記憶する領域を地図データ領域と記載する。
また、HDD3aに記憶されている削除対象の古い地図データを旧地図データと記載し、DVDディスク20に記憶されている新しい地図データ(HDD3aに更新記憶させたい地図データ)を新地図データと記載する。さらに、旧地図データのうち、優先度の高い個別データを高優先旧データとも記載し、優先度の低い個別データを低優先旧データとも記載し、新地図データのうち、優先度の高い個別データを高優先新データとも記載し、優先度の低い個別データを低優先新データとも記載する。
【0045】
ここで、個別データの優先度の高低について説明する。本実施形態では、地図データのうち、地図を表示するための個別データについては、優先度が高いと認識される。例えば、道路、建物、地名などの一般的な地図を表示するための道路データ、背景データ、名称データ等については、優先度が高くなる。尚、その例示した個別データを利用するためのプログラムについても同様に、優先度は高くなる。優先度の高いプログラムは、優先度の高い個別データと同じタイミングで更新記憶される。
【0046】
一方、一般的な地図を表示するために利用されない個別データについては、優先度は低いと認識される。例えば、音声認識用データ、音声案内データ、POI種別データ等については、優先度は低くなる。尚、その例示した個別データを利用するためのプログラムについても同様に、優先度は低くなる。優先度の低いプログラムは、優先度の低い個別データと同じタイミングで更新記憶される。
【0047】
次に、図3,4は、制御装置6において実行される地図データ更新処理を表すフローチャートである。具体的に、制御装置6のCPU(図示省略)が実行する。尚、基本的には、図3の地図データ更新処理が実行されるが、例えば図3の地図データ更新処理が中断したような場合のその後においては、図4の地図データ更新処理が実行される。制御装置6では、地図データ更新処理が完了したか否かを表すフラグが記憶されるように構成されており、このフラグを参照することにより、地図データ更新処理が完了したか否か、言い換えると地図データ更新処理が中断したか否かが分かるようになっている。
【0048】
まず、図3の地図データ更新処理について説明する。図3の地図データ更新処理は、使用者によりDVDドライブ2aにDVDディスク20が挿入されるとともに所定の操作(例えば地図データの更新を指示する操作)がなされると開始される。
【0049】
この地図データ更新処理では、まず、S110で、HDD3aにおける地図データ領域に現在記憶されている旧地図データのうち、優先度の低い個別データ(低優先旧データ)をその地図データ領域から削除する。
【0050】
S110の後はS120に進み、DVDドライブ2aに挿入されたDVDディスク20に記憶されている新地図データのうち、優先度の高い個別データ(高優先新データ)を、HDD3aにおける地図データ領域にコピーする。具体的に、S110で低優先旧データを削除したことにより空いた領域にコピーする。この際、高優先新データのデータ名を別名に変換し、HDD3aの地図データ領域に記憶されている高優先旧データと区別する。例えば、高優先新データのファイル名に「new」という文字列を付加する。
【0051】
次に、S130に進み、HDD3aにおける地図データ領域に記憶されている旧地図データのうち、優先度の高い個別データ(高優先旧データ)をその地図データ領域から削除する。
【0052】
次に、S140に進み、地図データ領域の高優先新データのファイル名を、元のファイル名に戻す。例えば、先に「new」という文字列を付加した場合には、その付加した文字列を削除する。
【0053】
次に、S150に進み、DVDディスク20に記憶されている新地図データのうち、優先度の低い個別データ(低優先新データ)を、HDD3aにおける地図データ領域にコピーする。具体的に、S130で高優先旧データを削除したことにより空いた領域にコピーする。そしてその後、当該処理を終了する。
【0054】
次に、図4の地図データ更新処理について説明する。
尚、図4の処理において、図3の処理と同じステップについては同じ符号を付している。
【0055】
この図4の地図データ更新処理は、例えば制御装置6が起動した際(ナビゲーション装置100が起動した際)、制御装置6において前述のフラグが参照されて地図データ更新処理が中断したと判断された場合に実行される。
【0056】
そして、この地図データ更新処理のS210〜S240の一連の判定処理は、図3の地図データ更新処理がS110〜S150の何れで中断したのかを判定するものである。
まず、S210の判定処理では、HDD3aにおける地図データ領域に、高優先新データが記憶されており、かつ低優先新データが記憶されていないかを判定する。図3のS150の処理が完了したか、或いは中断したかを判定する趣旨である。
【0057】
つまり、S210で、高優先新データが記憶されているものの低優先新データが記憶されていないと肯定判定すると(S210:YES)、図3のS150の処理が完了していない(中断した)と判断して、S150に移行する。S150の処理については前述の通りである。
【0058】
一方、S210で、HDD3aにおける地図データ領域に、高優先新データが記憶されていないと否定判定すると(S210:NO)、S220の判定処理に移行する。
S220判定処理では、HDD3aにおける地図データ領域に、高優先旧データが記憶されておらず、かつ、高優先新データのファイル名称が別名であるか否かを判定する。図3のS130,S140の処理が完了したか、或いは中断したかを判定する趣旨である。
【0059】
低優先新データ及び高優先新データが記憶されている前提で(S210:NO)、S220で高優先新データのファイル名称が別名であると肯定判定すると(S220:YES)、図3のS140の処理が完了していない(中断した)と判断して、S140に移行する。S140の処理については前述の通りである。
【0060】
低優先新データ及び高優先新データが記憶されている前提で(S210:NO)、S220で高優先新データのファイル名称が別名でないと否定判定すると(S220::NO)、図3のS140の処理が完了したと判断して、図S230に移行する。
【0061】
低優先新データ、及び高優先新データが記憶されている場合(S210:NO)、或いは高優先新データが記憶されていない場合(S210:NO)で、S220で、HDD3aにおける地図データ領域に高優先旧データが記憶されていると否定判定すると(S220:NO)、図3のS130の処理が完了していない(中断した)と判断して、S230に移行する。
【0062】
S230では、HDD3aにおける地図データ領域に、高優先新データが記憶されているか否かを判定する。図3のS120の処理が完了したか、或いは中断したかを判定する趣旨である。
【0063】
S230で、高優先新データが記憶されていると肯定判定すると(S230:YES)、図3のS120の処理が完了したと判断して、S130に移行する。S130の処理については前述の通りである。
【0064】
S230で、HDD3aにおける地図データ領域に、高優先新データが記憶されていないと否定判定すると(S230::NO)、図3のS120の処理が完了していない(中断した)と判断して、S240に移行する。
【0065】
S240では、低優先旧データが記憶されていないかを判定する。図3のS110の処理が完了したか、或いは中断したかを判定する趣旨である。
S240で、低優先旧データが記憶されていないと肯定判定すると(S240:YES)、図3のS110の処理が完了したと判断して、S120に移行する。S120の処理については前述の通りである。
【0066】
一方、S240で、低優先旧データが記憶されていると否定判定すると(S240:NO)、図3のS110の処理が完了していない(中断した)と判断して、S110に移行する。S110の処理については前述の通りである。
【0067】
次に、図5は、本実施形態の作用を表す図である。
図5(a)〜(e)の図は、HDD3aにおける地図データ領域の地図データの更新の流れを表す図である。
【0068】
まず、図5(a)において、地図データ領域に記憶されている地図データは、削除対象の古い地図データ(旧地図データ)である。尚、この旧地図データは所定のプログラム(例えば地図を表示するためのプログラム)において使用されている。
【0069】
そして、本実施形態では、図5(b)に示すように、旧地図データのうち、優先度の高い個別データ(高優先旧データ)を残し、残りの優先度の低い個別データ(低優先旧データ)を地図データ領域から削除する。ナビゲーション装置100において、低優先旧データを用いた機能(例えば音声案内等)は使用できなくなるものの、高優先旧データを用いた機能(例えば地図を表示する機能)は継続して使用できる。つまり、ナビゲーション装置100の最低限の機能は維持できる。
【0070】
次に、地図データ領域のうち低優先旧データを削除して空いた領域に、図5(c)に示すように、DVDディスク20に記憶された新しい地図データ(新地図データ)のうち、優先度の高い個別データ(高優先新データ)を記憶させる。尚、この際、ファイル名を別名に変換(「new」という文字列を付加)し、高優先旧データとの区別を図るようにしている。
【0071】
次に、図5(d)に示すように、地図データ領域から高優先旧データを削除する。この場合、既に記憶されている高優先新データを用い、ナビゲーション装置100では、地図を表示するといったような最低限の機能が維持される。
【0072】
次に、地図データ領域のうち高優先旧データを削除して空いた領域に、図(e)に示すように、新地図データのうち優先度の低い個別データ(低優先新データ)を記憶させる。
本実施形態のナビゲーション装置100においては、以上の流れにより、HDD3aに記憶された地図データが更新されるようになっている。本実施形態では、地図データのうち、地図を表示するために使用される優先度の高い個別データについては、必ずHDD3aに記憶させておくようにするため、優先度の低い個別データを用いた機能(例えば音声案内等)が制限される場合はあるものの、ナビゲーション装置100としての最低限の機能(具体的に、地図を表示する機能)は維持されるようになる。つまり、地図データの更新中でも、ナビゲーション装置100を使用できるようにすることができる。また、地図データが順次更新されるため、地図データを使用できなくなる、ということがない。例えば、ナビゲーション装置100において、地図データの更新途中では、高優先旧データを利用しつつ、高優先新データが更新記憶された時点で、高優先旧データに代えて高優先新データを利用するようにすることができる。そして、高優先新データを利用しつつ、低優先新データが更新記憶された時点で、その低優先新データも利用するようにすることができる。
【0073】
尚、本実施形態において、データ記憶部3(HDD3a)が記憶手段に相当し、メディアドライブ2(DVDドライブ2a)が地図データ取得手段に相当し、新地図データが第1の地図データに相当し、旧地図データが第2の地図データに相当し、図3及び図4の処理が更新手段に相当している。
〈変形例1〉
次に、上記実施形態の変形例1について説明する。
【0074】
上記実施形態では、地図データを構成する個別データの優先度が「高」「低」の2段階に定められる構成であったが、多段階に定められる構成でも良い。ここでは、個別データの優先度が「高」(H:High)、「中」(M:Middle)、「低」(L:Low)の3段階に定められる場合を説明する。
【0075】
図6は、個別データの優先度が3段階に定められた場合の地図データの更新方法を表す図である。図6において、H、M、Lは、順に、旧地図データのうち優先度の高い個別データ(H)、優先度中の個別データ(M)、優先度の低い個別データ(L)を表す。また、H’、M’、L’は、順に、新地図データのうち優先度の高い個別データ(H’)、優先度中の個別データ(M’)、優先度の低い個別データ(L’)を表す。尚、以下では、データH、データM、データL、データH’、データM’、データL’というように記載する。
【0076】
ここでは、(1)最下位の優先度の個別データを削除するパターン、(2)最上位の優先度の個別データを残すパターン、の2つの更新方法を表している。
まず、(1)の更新方法について説明する。
【0077】
この更新方法では、まず、データLを削除する((f)→(g))。そして、その空いた領域に、データH’を更新記憶させる((h))。
次に、データMを削除する((i))。そして、その空いた領域に、データM’を更新記憶させる((j))。
【0078】
次に、データHを削除する((k))。そして、その空いた領域に、データL’を更新記憶させる((l))。
このように、この更新方法では、旧地図データのうち、優先度の低い個別データから順に削除すると共に、新地図データの個別データのうち、優先度の高い個別データから順に更新記憶させる。
【0079】
次に、(2)の更新方法について説明する。
この更新方法では、まず、データM、データLを削除する((m)→(n))。そして、その空いた領域に、データH’、データM’を更新記憶させる((o))。
【0080】
次に、データHを削除する((p))。そして、その空いた領域に、データL’を更新記憶させる((q))。
このように、この更新方法では、旧地図データのうち、優先度の最も高い個別データを残して他の個別データを一度に削除し、最後に、優先度の最も高い個別データを削除する。これに対応し、新地図データのうち、優先度の最も低い個別データ以外の個別データを最初に更新記憶させ、最後に、優先度の最も低い個別データを更新記憶させる。
〈変形例2〉
また、上記実施形態では、地図データのうち、地図を表示するための個別データの優先度は高く定められ、地図を表示するために利用されない個別データについては優先度は低く定められるようになっているが、個別データのデータサイズに応じて優先度の高低が定められるようにしても良い。
【0081】
例えば、データサイズが所定サイズ以上の個別データの優先度は「高」に設定され、データサイズが所定サイズよりも小さい個別データの優先度は「低」に設定される構成でも良い。逆に、データサイズが所定サイズ以上の個別データの優先度は「低」に設定され、データサイズが所定サイズよりも小さい個別データの優先度は「高」に設定される構成でも良い。
〈変形例3〉
図6の変形例1において、優先度が多段階(高、中、低の3段階)に定められた例について説明したが、変形例3として、優先度が多段階に定められた他の例について図7〜9を用いて説明する。
【0082】
まず、図7に示すように、本変形例3では、前提として、地図データを、メインデータ50、マップデータ60、オプションデータ70の3つに分類している。尚、ここで言う地図データは、より具体的に、ナビゲーションの各種機能を実現するためのデータである。
【0083】
メインデータ50は、ナビゲーションの基本機能を実現するためのデータである。例えば、地図を描画するための主要地図データ(道路データ、背景データ、文字データ)、目的地までの経路を計算するための経路計算データ、目的地まで運転手を案内(誘導)するための経路誘導データ(各種画像データ、音声案内のための音声データ)、などがメインデータ50に含まれる。
【0084】
マップデータ60は、所定のエリア毎のマップデータ(以下、個別マップデータと記載する)から構成される。例えば、地域内におけるPOI(施設)や地点を検索するためのデータ、地域内における目的地を設定するためのデータなどが、各個別マップデータに含まれる。本例において、マップデータ60は、個別マップデータA,B,Cを有している。
【0085】
オプションデータ70は、ナビゲーションの機能のうちオプション機能を実現するためのデータである。例えば、3Dマップを描画するための標高データ、音声認識を実現するための音声認識データ、音声入力された住所の認識に用いられる住所録データなどがオプションデータ70に含まれる。
【0086】
そして、本変形例3では、メインデータ50、マップデータ60、及びオプションデータ70のうち、メインデータ50の優先度が最も高く、マップデータ60の優先度が次に高く、オプションデータ70の優先度が最も低く設定されている。
【0087】
尚、メインデータ50が基本機能データに相当し、マップデータ60が案内検索データに相当し、オプションデータ70が付加機能データに相当している。
さらに、マップデータ60において、エリア毎の個別マップデータについても優先度が定められる。例えば、車両の現在位置が含まれるエリアの個別マップデータの優先度が最も高く設定され、車両の現在位置から遠いエリアの個別マップデータほど優先度が低く設定される(言い換えれば、車両の現在位置に近いエリアの個別マップデータほど優先度が高く設定される)。尚、本変形例3では、個別マップデータAは、車両の現在位置が含まれるエリアをカバーしており、このため優先度が最も高くなっている。また、個別マップデータBと個別マップデータCとでは、前者のほうが車両の現在位置により近いエリアをカバーしており、優先度が次に高くなっている。そして、個別マップデータCの優先度は最も低くなっている。
【0088】
図8,9に、本変形例3における地図データの更新処理の態様を示す。図8,9に示す更新処理は、使用者によりDVDドライブ2a(図2参照)にDVDディスク20(図2参照)が挿入されるとともに所定の操作(例えば地図データの更新を指示する操作)がなされると開始される。尚、以下において、更新前の古いデータについては「旧」を付加して記載し、更新対象の新しいデータについては「新」を付加して記載する。
【0089】
まず、ステップ1では、HDD3aには更新前の旧データ(旧メインデータ50、旧マップデータ60、及び旧オプションデータ70)が記憶されているものとする。
そして、地図データの更新が開始されると、旧オプションデータ70が削除される(ステップ2)。
【0090】
次に、新メインデータ51がコピーされる(ステップ3)。尚、新メインデータ51のコピーに際し、旧メインデータ50との区別を図るため、新メインデータ51のデータ名(ファイル名)に「new」という文字が付加されてその新メインデータ51がコピーされるようになっている。新しいマップデータ(個別マップデータ)についても同様である。
【0091】
ステップ2,3の状態では、旧オプションデータ70及び新しいオプションデータが存在しないためナビゲーションの機能のうちオプション機能は使用できないものの、旧メインデータ50及び旧マップデータ60が存在するため、旧マップデータ60(旧個別マップデータA,B,C)がカバーするエリアの範囲内にて、旧メインデータ50に基づく基本機能は使用できるようになっている。
【0092】
次に、旧マップデータ60のうち、優先度が最も低い旧個別マップデータCが削除される(ステップ4)。ステップ4の状態では、旧メインデータ50及び旧個別マップデータA,Bが存在するため、旧個別マップデータA,Bがカバーするエリアの範囲内にて、旧メインデータ50に基づく基本機能を使用できるようになっている。
【0093】
次に、新マップデータ61のうち、優先度が最も高い新個別マップデータA’がコピーされる(ステップ5)。ステップ5の状態では、新メインデータ51及び新個別マップデータA’が存在するため、新個別マップデータA’がカバーするエリアの範囲内にて、新メインデータ51に基づく基本機能を使用できるようになっている。或いは、旧メインデータ50及び旧個別マップデータA,Bが存在するため、旧個別マップデータA,Bがカバーするエリアの範囲内にて、旧メインデータ50に基づく基本機能を使用できるようになっている。
【0094】
次に、旧マップデータ60のうち、優先度が中である旧個別マップデータBが削除される(ステップ6)。
次に、図9に説明を移し、新マップデータ61のうち、優先度が中である新個別マップデータB’がコピーされる(ステップ7)。ステップ7の状態では、新メインデータ51に基づく基本機能を使用できる範囲がより広がることとなる。具体的に、新個別マップデータA’がカバーするエリアに加え、新個別マップデータB’がカバーするエリアにても、新メインデータ51に基づく基本機能を使用できるようになる。
【0095】
次に、旧マップデータ60のうち、優先度が最も高い旧個別マップデータAが削除される(ステップ8)。
次に、新マップデータ61のうち、優先度が最も低い個別マップデータC’がコピーされる(ステップ9)。ステップ9の状態では、新メインデータ51に基づく基本機能を使用できる範囲がより広がることとなる。具体的に、新個別マップデータA’,B’がカバーするエリアに加え、新個別マップデータC’がカバーするエリアにても、新メインデータ51に基づく基本機能を使用できるようになる。
【0096】
次に、旧データのうち、旧メインデータ50が削除される(ステップ10)。
次に、新データのうち、新オプションデータ71がコピーされる(ステップ11)。そして、地図データの更新は終了となる。尚、新メインデータ51及び新マップデータ61(新個別マップデータA’,B’,C’)のコピーの際にそれらのデータ名(ファイル名)に付加された「new」という文字は削除される。
【0097】
ステップ11の状態では、新マップデータ61(新個別マップデータA,B,C)がカバーするエリアの範囲内にて、新メインデータ51に基づく基本機能及び新オプションデータ71に基づくオプション機能が使用できるようになる。
【0098】
以上説明したように、本変形例3では、地図データを、メインデータ50、マップデータ60、及びオプションデータ70に分類し、その各データを、優先度に応じた順序で更新するようになっている。
【0099】
基本的な考え方としては、旧メインデータ50、旧マップデータ60、及び旧オプションデータ70を優先度の低い順にHDD3aから削除しつつ、新メインデータ51、新マップデータ61、及び新オプションデータ71を優先度の高い順にHDD3aにコピーすることによって、HDD3aにおいて、旧データを新データに更新するようになっている。また、旧マップデータ60から新マップデータ61への更新に際し、旧個別マップデータA,B,Cを優先度の低い順にHDD3aから削除しつつ、新個別マップデータA’,B’,C’を優先度の高い順にHDD3aにコピーすることによって、HDD3aにおいて、旧マップデータ60を新マップデータ61に更新するようになっている。
【0100】
そして、本変形例3では、ユーザは、地図データの更新中において旧メインデータ50及び新メインデータ51の何れかを使用できる。つまり、ユーザは、地図データの更新中であっても、常時ナビゲーションの基本機能を使用できるようになる。
〈変形例4〉
次に、変形例4について図10,11を用いて説明する。
【0101】
本変形例4では、地図データ(メインデータ50,マップデータ60,オプションデータ70)の構成およびデータの優先度のつけ方は上記変形例3と同じである一方、更新態様が上記変形例3と異なっている。
【0102】
まず、図10において、更新前の旧データ(旧メインデータ50、旧マップデータ60、及び旧オプションデータ70)が記憶されているステップ21の状態にて、地図データの更新が開始されると、旧オプションデータ70が削除される(ステップ22)。
【0103】
次に、ステップ23に示すように、新メインデータ51がコピーされる。
次に、ステップ24に示すように、旧マップデータ60のうち、旧個別マップデータB,Cが削除される。
【0104】
次に、ステップ25に示すように、新マップデータ51のうち、新個別マップデータA’がコピーされる。
次に、ステップ26に示すように、旧メインデータ50、及び旧個別マップデータAが削除される。
【0105】
次に、図11に説明を移し、ステップ27〜ステップ29に示すように、順次、新個別マップデータB’、新個別マップデータC’、新オプションデータ71がコピーされる。
以上のように、本変形例4では、ステップ24にて旧個別マップデータB,Cを一括して削除し、また、ステップ26にて旧メインデータ50及び旧個別マップデータAを一括して削除するようにしている。これによれば、地図データの更新に要する時間をより短縮し得る。
【0106】
ところで、オプション機能が不要、かつ基本機能を使用できるエリアが一部のみでも問題ない場合には、ステップ26にて更新を終了するようにしても良い。これによれば、新個別マップデータB’,C’及び新オプションデータ71のコピーに要する時間を省くことができ、地図データの更新を早く終えることができる。
【0107】
ところで、上記変形例2〜4では、地図データの更新がなんらかの理由で途中で中断してしまうことも考えられる。そこで、以下の変形例5のように構成すると良い。尚、変形例5の構成は、前述した図4の処理を実行する構成と同趣旨のものである。
〈変形例5〉
変形例5では、前提として、制御装置6(図1参照)が備えるCPU(図示省略)により、以下のような処理が実行されるように構成されている。
【0108】
まず、地図データの更新に際し、更新対象の新しい地図データが記憶されたメディア((即ち、DVDディスク20)の情報が所定のメモリに記憶される。より具体的に、例えばそのメディアに固有の識別情報が記憶される。
【0109】
また、地図データの更新中において、どのステップまで処理が終了したか(図8,9のステップ1〜11、或いは図10,11のステップ21〜29において、どのステップまで処理が終了したか)を表す情報(以下、中断時情報と記載する)が所定のメモリに記憶される。
【0110】
そして、本変形例5では、上記のような処理が実行されることが前提の下で、図12の処理が実行されるようになっている。
図12の処理は、地図データの更新処理の中断後、DVDドライブ2aに挿入された(或いは挿入されていた)DVDディスク20の情報が読み込まれた際に開始される。
【0111】
図12の処理では、まず、S310において、DVDディスク20が地図更新用のメディアか否かを判定する。具体的に、DVDディスク20が、更新用の新しい地図データが記憶されたメディアか否かを判定する。
【0112】
S310において、DVDディスク20が地図更新用のメディアでないと判定すると(S310:NO)、そのまま当該処理を終了する。
一方、S310において、DVDディスク20が地図更新用のメディアであると判定すると(S310:YES)、S320に移行する。
【0113】
S320では、DVDディスク20が、更新処理の中断前におけるメディアと同じメディアであるか否かを判定し、同じであると判定すると(S320:YES)、S330に移行する。
【0114】
S330では、前述した前提の処理で記憶した中断時情報に基づき、更新処理において中断したステップを認識する。そして、その中断したステップから更新処理を再開する。そしてその後、当該処理を終了する。
【0115】
一方、S320で、DVDディスク20が、更新処理の中断前におけるメディアと同じメディアでないと判定すると(S320:NO)、S340に移行する。
S340では、HDD3aに記憶された地図データをDVDディスク20に記憶された地図データに更新する処理を、最初から実行する。つまり、図8,9における更新処理をステップ1から実行する。或いは、図10,11における更新処理をステップ21から実行する。そしてその後、当該処理を終了する。
【0116】
このような変形例5によれば、地図データの更新処理が途中で中断した場合でも、中断したステップから更新処理が再開され得るようになり、効率が良い。つまり、地図データの更新処理が途中で中断したような場合に、その地図データの更新を最初からやり直す必要がなく、更新に要する時間が大きくなってしまうことを防止することができる。
【0117】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内において種々の形態をとることができる。
例えば、上記実施形態においては、DVDディスク20から、更新対象の新しい地図データを取得するようにしているが、例えば送受信機5を介して、無線通信により外部から新しい地図データを取得するようにしても良い。この場合、例えば送受信機5が地図データ取得手段に相当する。
【0118】
また、上記実施形態において、個別データを利用するためのプログラムについて、古い地図データ用のプログラムでも新しい個別データを利用できるのであれば、新しい地図データ用のプログラムの更新記憶のタイミングはいつでも良い。例えば低優先新データの更新記憶のタイミングと同じタイミングでも良いし、低優先新データの更新記憶のタイミングよりも後のタイミングでも良い。尚、勿論、例えば高優先新データの更新記憶のタイミングと同じタイミングでも良いし、高優先新データの更新記憶のタイミングよりも先のタイミングでも良い。
【0119】
また、変形例1において、旧地図データの削除に際してはデータHが最後に削除され、新地図データの更新記憶に際してはデータH’が最初に更新記憶される態様であれば、その途中の更新順は問わない。例えば、(1)の方法で、最小にデータLが削除されているが、データMが最初に削除されるような構成でも良い。
【0120】
また、上記変形例3,4において、マップデータ60(61)を構成する個別マップデータA〜C(A’〜C)の優先度はどのように定めても良い。つまり、個別マップデータA〜C(A’〜C’)の更新順はどのような順序でも良い。例えば、個別マップデータA〜C(A’〜C’)のうち、カバーする地域が街の中心部に近いデータほど優先度が高くなるような構成でも良い。また、個別マップデータA〜C(A’〜C’)のうち、使用頻度の高いデータほど優先度が高くなるような構成でも良い。
【0121】
さらに、上記変形例3,4において、個別マップデータA〜C(A’〜C’)の優先度は、ユーザが任意に設定できるようにしても良い。また、メインデータ50(51)、マップデータ60(61)、及びオプションデータ70(71)の優先度もユーザが任意に設定できるようにしても良い。変形例3,4以外の実施形態においても同様に、個別データの優先度はユーザが任意に設定できるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本実施形態のナビゲーション装置100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態のナビゲーション装置100の使用態様を表す図である。
【図3】地図データ更新処理を表すフローチャートである。
【図4】更新が中断した場合に実行される地図データ更新処理を表すフローチャートである。
【図5】本実施形態の作用を表す図である。
【図6】変形例1を説明する図である。
【図7】変形例3における地図データの構成を表す図である。
【図8】変形例3の作用(地図データの更新態様)を表す図である(その1)。
【図9】変形例3の作用(地図データの更新態様)を表す図である(その2)。
【図10】変形例4の作用(地図データの更新態様)を表す図である(その1)。
【図11】変形例4の作用(地図データの更新態様)を表す図である(その2)。
【図12】変形例5において制御装置6のCPUにより実行される処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0123】
1…位置検出器、1a…GPSアンテナ、2…メディアドライブ、2a…DVDドライブ、3…データ記憶部、3a…ハードディスク(HDD)、4…操作スイッチ群、5…送受信機、5a…アンテナ、6…制御装置、8…表示装置、9…音声コントローラ、10…スピーカ、11…音声認識装置、12…マイク、13…リモコンセンサ、20…DVDディスク、100…ナビゲーション装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記憶する記憶手段と、
所望の地図データ(以下、第1の地図データと言う)を取得する地図データ取得手段と、
前記地図データ取得手段により取得された前記第1の地図データを、前記記憶手段に記憶された地図データ(以下、第2の地図データと言う)に代えて、その記憶手段に更新記憶させる更新手段と、
を備えた地図データ管理装置において、
前記更新手段は、
前記第1の地図データのうち優先度の高いデータを、前記第2の地図データのうち優先度の低いデータに代えて前記記憶手段に更新記憶させ、その後、前記第1の地図データのうち優先度の低いデータを、前記第2の地図データのうち優先度の高いデータに代えて前記記憶手段に更新記憶させることを特徴とする地図データ管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図データ管理装置において、
前記優先度は多段階に定められ、
前記更新手段は、
前記第1の地図データのうち優先度の最も高いデータを、前記第2の地図データのうち優先度の最も高いデータ(以下、高優先第2データと言う)以外の何れかのデータに代えて前記記憶手段に更新記憶させ、その後、前記第1の地図データの残りのデータのうち優先度の高いデータから順に、前記第2の地図データのうち前記高優先第2データ以外の何れかのデータに代えて前記記憶手段に更新記憶させ、最後に、前記第1の地図データのうち優先度の最も低いデータを、前記高優先第2データに代えて前記記憶手段に更新記憶させることを特徴とする地図データ管理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の地図データ管理装置において、
前記第1の地図データ及び前記第2の地図データのうち、情報を表示する表示装置に地図を表示するためのデータの優先度は高く定められるようになっていることを特徴とする地図データ管理装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の地図データ管理装置において、
その地図データ管理装置は車両に搭載され、
前記地図データは、前記車両に搭載されるナビゲーションシステムに用いられる経路案内用のデータであり、経路案内の基本機能を実現する基本機能データと、地域単位で分割され、地域内の案内及び検索を実現するための案内検索データと、経路案内の付加機能を実現する付加機能データと、から構成され、
前記基本機能データの優先度が最も高く定められ、前記案内検索データの優先度が次に高く定められ、前記オプションデータの優先度が最も低く定められていることを特徴とする地図データ管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の地図データ管理装置において、
前記案内検索データのうち、前記車両の現在位置に近い地域の案内検索データほど優先度が高く定められていることを特徴とする地図データ管理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の地図データ管理装置において、
前記優先度の高低は、前記第1の地図データを構成する個々のデータ、及び前記第2の地図データを構成する個々のデータそれぞれについて、その個々のデータのデータサイズに応じて定まることを特徴とする地図データ管理装置。
【請求項7】
地図データを記憶する記憶手段と、所望の地図データ(以下、第1の地図データと言う)を取得する地図データ取得手段と、を備えた地図データ管理装置に用いられ、前記地図データ取得手段により取得された前記第1の地図データを、前記記憶手段に記憶された地図データ(以下、第2の地図データと言う)に代えて、その記憶手段に更新記憶させる地図データ管理方法であって、
前記第1の地図データのうち優先度の高いデータを、前記第2の地図データのうち優先度の低いデータに代えて前記記憶手段に更新記憶させ、その後、前記第1の地図データのうち優先度の低いデータを、前記第2の地図データのうち優先度の高いデータに代えて前記記憶手段に更新記憶させることを特徴とする地図データ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−199053(P2009−199053A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235018(P2008−235018)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】