説明

均一なガスクッションによるウエハ支持体

加工物は、処理中、加工物への機械的ストレスを減じるためにガスクッションによって支持される。加工物を受け入れる加工物支持フランジを有するプレナムは、ガス供給源に接続されている。ガスがプレナム内に流れて、加工物を持ち上げるのに十分な圧力が増加すると、加工物は、持ち上げられ、そして、支持フランジと加工物エッジとの間のプレナムからガスが流れる。その結果、加工物は、処理中、ガスによって支持フランジ上方で支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、半導体ウエハ処理の分野に関し、特に、処理ユニット内にウエハを位置決めるためのガスクッションによるウエハ支持アセンブリを含むバーチカル急速温度処理ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
温度処理システムは、半導体製造の種々の段階で広く用いられる。基本的な温度処理の用途には、化学蒸着、拡散、酸化、アニーリング、シリカ処理(silicidation)、窒化、ハンダリフロー処理等を含む。バーチカル急速温度処理(RTP)システムは、抵抗型加熱エレメントまたは高い光強度の光源列等の加熱源によって加熱される垂直処理室を有する。上昇管は、ウエハ支持体上のウエハを処理室内に垂直に移動するために制御される。いくつかのRTPシステムは、加熱源が処理室内に温度勾配を作り出す。そして、処理されるウエハの温度の上昇速度及び下降速度が処理室内のウエハの垂直位置によって制御される。
【0003】
それゆえ、半導体ウエハの温度処理を最適化するために処理室内のウエハ位置を正確に制御することが重要である。
【0004】
図1に示すような従来のウエハ支持体は、温度処理中、ウエハを支持するためにピン、リング、または他の硬い表面を用いる。従来のシステムは、局所的な接触によるストレス及び曲げストレスを生じる。シリコンウエハは、温度に対応して屈曲強さが減少する。この屈曲強さが曲げストレスに達すると、シリコンクリスタル構造内に、マイクロクラックを生じる。これは、ウエハが機械的に支持体に接触する時点において有害である。処理温度が増加すると、変形に対するポテンシャルが益々重要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、均一なガスクッションによるウエハ支持体およびそのための支持方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ガスクッションは、処理される加工物に対して均一な支持を与える。ガスクッションを維持するために、プレナムの特徴を有する加工物支持フランジがガス供給源に接続される。加工物がこの支持フランジ上に配置され、プレナムに供給されると、支持フランジの内縁は、加工物のエッジと相互作用し、ガスの流れ径路を形成し、この径路を通って、加工物が支持フランジから持ち上げられるとき、供給されたガスが流れる。エッジリングが加工物のエッジに接触子、支持フランジと関連してガス流れ径路を形作る。載置構造は、プレナムと関連して、加工物をプレナムから分離し、プレナムから加工物を載置するまたは取り出す。この載置構造は、プレナムを突き出るピンを特徴としており、プレナムが載置位置または非載置位置にある時、加工物を押し上げる方向に持ち上げるために処理室に接触する。
【0007】
本発明は、薄くて平らな加工物を支持するための装置であって、
ガス供給源に流体連通し、加工物の外縁よりも僅かに小さい内縁を有する加工物支持フランジを有するプレナムと、前記加工物が前記支持フランジ上に載置されかつガスが前記プレナムに供給されるとき、前記支持フランジの内縁が前記加工物のエッジとが共同して、前記加工物が前記支持フランジから持ち上げられる際に、供給されたガスが流れるガス流れ通路を形成することを特徴とする。
【0008】
さらに本発明は、他の形態によれば、前記支持フランジに対する加工物の位置を維持する前記支持フランジの周縁部の回りに配置される位置決め構造と、前記加工物の外縁よりも僅かに小さい内縁を含む前記加工物支持フランジ上に配置されるウエハエッジリングと、
を備えている。
【0009】
本発明のこれらの特徴と他の特徴、および利点は、添付する図面とともに本発明における以下の記載からより十分に理解できるであろう。特許請求の範囲は、ここに列挙されたものによって定められるが、本発明の記載によって設定された特定の特徴及び利点だけに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図2は、半導体ウエハを温度処理するために円筒状のホット壁面システムを用いる急速温度処理システム10を示す。ウエハ12は、ガスクッション式のウエハ支持体13上に配置され(図3から図5に詳細に示す)、そして、破線で示されるように室壁の背後にある加熱要素によって作り出される温度勾配を有する処理室を介して垂直方向に動かされる。ウエハ支持体12は、処理室の床に設けたオリフィスを介して突き出た上昇管アセンブリ18に接続される。この上昇管は、移動可能なキャリッジ25に接続され、一組のレール26を横断するキャリッジは、処理室内の垂直可動域に沿って上昇管18及びウエハ支持体12を移動させる。上昇管の外縁とオリフィスとの間のギャップ内にガスカーテンが作り出され、処理室内への周囲空気の流れを防止する。
【0011】
図2において、ガスクッション式のウエハ支持体13の一例が詳細に図示されている。ガスクッションのプレナム30は、中空の石英管18の頂部に取り付けられ、石英管を通ってプレナムにガスを供給するためのオリフィスを有する。3つのウエハ載置ピン45が摺動可能にプレナム30の底部を貫通して突き出ている。各ピン45の頂部上に配置されたウエハのクッション操作プラグ43は、プレナムをシールする。支持体は、ピンとウエハ(図4参照)との間にクッションインターフェースを備えると共に、処理室内を移動する。プレナム30の底部が処理室の底部に極めて密接すると、ピンは、図5に示すように加工物に対して押圧され、ロボットアーム(図示略)によって、アンロードのためプレナム上にウエハを持ち上げる。ガスクッションが動作しないとき、ウエハは、ウエハの外縁よりも僅かに大きい外縁を有する支持フランジ34によって支持され、また、位置決め壁32によって支持フランジ上に配置される。
【0012】
図3及び図4は、支持フランジ34上に存在するエッジリング39を含むガスクッション式のウエハ支持体13を図示する。エッジリングは、ウエハ12よりも質量がかなり少なく、かつウエハよりも僅かに大きい外縁を有する。エッジリング39は、環状オリフィスを通って流れるガスの対流冷却作用を減衰させる。エッジリング39は、加熱源からの放射熱の作用を減衰させる。これらの両方の作用による減衰は、ウエハ表面を横切って均一な温度を維持する。
【0013】
図5は、ウエハが支持体13上に最初に載置される時、位置決められるウエハを示している。ロボットアームは、載置用ピン45上にウエハを配置する。石英管18は、処理室内において、上方向への運動を開始する。支持体13が処理室の床から離れる方向に移動すると、ピン45はプレナム30の底部を介して下がり、ウエハは、支持フランジ34(図4参照)上に配置されるエッジリング39上に残る。ウエハ12がプレナム内に降下すると、石英管を介してプレナムのガスの流れが開始され、ウエハが浮動するまで、プレナム内におけるガス圧力が増加する。処理室内のガスは、連続して、石英管の内側19とプレナム30内に流れ続ける。プレナム30がガスで十分加圧されると、その圧力でウエハ12を持ち上げる。また、エッジリングを用いる場合には、エッジリングも持ち上げる。そして、ガスは、ウエハエッジ(またはエッジリング)と支持フランジとの間のギャップ37を介してプレナム内に逃げる。供給ガスの流れが十分である限り、この圧力は、あるレベルで等しくなり、ウエハは、ガスのクッションで浮動する。
【0014】
上述から明らかなように、ガスウエハ支持体は、処理中、ウエハを支持するために均一なガスのクッションを与える。本発明は、特定のものについて記載してきたが、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神及び技術的範囲内に入る開示された構造に対してあらゆる修正例及び変更例を含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来例のウエハ支持システムの斜視図である。
【図2】本発明の適当な実施形態を示す急速温度処理ユニットの断面図である。
【図3】種々の特徴を説明するために一部を取り除いたガスクッション式ウエハ支持体の斜視図である。
【図4】ガスクッション支持体の変更例を示す断面図である。
【図5】ウエハ載置位置における図3のガスクッション式ウエハ支持体の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄くて平らな加工物を支持するための装置であって、
ガス供給源に流体連通し、加工物の外縁よりも僅かに小さい内縁を有する加工物支持フランジを有するプレナムと、
前記加工物が前記支持フランジ上に載置されかつガスが前記プレナムに供給されるとき、前記支持フランジの内縁が前記加工物のエッジとが共同して、前記加工物が前記支持フランジから持ち上げられる際に、供給されたガスが流れるガス流れ通路を形成することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記支持フランジ上に載置されかつ加工物の外縁に接触するエッジリングを含み、このエッジリングは、加工物の外縁よりも僅かに小さい内縁を有し、かつ前記加工物の外縁よりも僅かに大きい外縁を有し、
前記加工物が前記支持フランジ上に配置されかつガスが前記プレナムに供給されるとき、前記支持フランジの内縁と前記エッジリングの外縁は、前記エッジリングと加工物が前記支持フランジから持ち上げる際に、供給されるガスが流れるガス流れ通路を形成することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記加工物を前記支持フランジ上に位置させるために、前記プレナムの周辺に配置される位置決め構造を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記位置決め構造は、前記支持フランジに関する加工物の位置を維持する前記支持フランジに近接して配置される位置決め壁を含むことを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記加工物支持体が載置位置に移動するとき、前記支持フランジ上方に前記加工物を持ち上げる加工物載置構造を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記加工物載置構造は、前記プレナムの底部表面を貫通する複数のピンを含み、前記プレナムが前記処理室の表面に密接した位置に移動したとき、前記ピンは、前記表面に接触し、さらに、前記加工物支持体が前記ピンに接触している前記表面に向けて移動しながら、前記加工物を前記支持フランジから離れるように持ち上げることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記ピンが前記処理室の表面とに接触していないとき、前記複数のピンは、前記プレナムの底部表面に位置する第1先端部でシールされることを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
薄くて平らな加工物を支持するための装置であって、
ガス供給源に流体連通し、加工物の外縁よりも僅かに小さい内縁を有する加工物支持フランジを有するプレナムと、
前記支持フランジに対する加工物の位置を維持する前記支持フランジの周縁部の回りに配置される位置決め構造と、
前記加工物の外縁よりも僅かに小さい内縁を含む前記加工物支持フランジ上に配置されるウエハエッジリングと、
前記加工物が前記エッジリング状に配置されかつガスが前記プレナムに供給されるとき、前記支持フランジの内縁が前記エッジリングとが共同して、前記加工物が前記支持フランジから持ち上げられる際に、供給されたガスが流れるガス流れ通路を形成することを特徴とする装置。
【請求項9】
前記加工物支持体が載置位置に移動するとき、前記支持フランジ上方に前記加工物を持ち上げる加工物載置構造を含むことを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記加工物載置構造は、前記プレナムの底部表面を貫通する複数のピンを含み、前記プレナムが前記処理室の表面に密接した位置に移動したとき、前記ピンは、前記表面に接触し、さらに、前記加工物支持体が前記ピンに接触している前記表面に向けて移動しながら、前記加工物を前記支持フランジから離れるように持ち上げるように構成され、
前記ピンが前記処理室の表面とに接触していないとき、前記複数のピンは、前記プレナムの底部表面に位置する第1先端部でシールされることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項11】
薄くて平らな加工物を支持するための方法であって、
前記加工物の外縁よりも僅かに小さい内縁を有する加工物支持フランジを有するプレナム上に前記加工物を配置し、
前記加工物が持ち上げられるまで、前記プレナムを加圧し、そして、前記ガスが前記支持フランジの内縁と加工物によって形成される通路を通ってガスが流れるように、前記プレナムにガスの流れを導き、
前記加工物が前記プレナム内のガス圧力によって前記支持フランジ上方の位置に支持されるようにガスの流れを維持する、各工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記支持フランジ上に加工物を配置する工程は、
前記プレナムが載置位置にあるとき、前記支持フランジ上方に加工物を支持する載置構造上に加工物を配置し、
前記プレナムを処理位置に移動することによって前記支持フランジ上に前記加工物を配置するための載置構造を作動させる、各ステップを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記加工物の外縁よりも僅かに大きい外縁を有し、かつ前記加工物の外縁よりも僅かに小さい内縁を有するするエッジリングを設け、
前記ガスが前記プレナムに導かれるとき、前記エッジリングと前記支持フランジの内縁によって定められる通路を通って前記ガスが流れるステップを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−503711(P2007−503711A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524110(P2006−524110)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/027337
【国際公開番号】WO2005/020296
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(500266634)アクセリス テクノロジーズ インコーポレーテッド (101)
【Fターム(参考)】