型締装置
【課題】キャビティ内樹脂圧による型開力の偏りが発生しても、金型の分割面からの成形材料の吹き出しを抑制し、かつ、金型の寿命を延ばすことができる型締装置を提供する。
【解決手段】型内圧力が型盤中心に対し対称でない成形に対して、型内圧力による型開力を推定し、推定された型開力に対応するように、各タイバーに負荷する型締油圧値をそれぞれ決定し、この決定した各型締油圧値になるように各タイバーへの供給油圧を分配する制御装置を備える型締装置。
【解決手段】型内圧力が型盤中心に対し対称でない成形に対して、型内圧力による型開力を推定し、推定された型開力に対応するように、各タイバーに負荷する型締油圧値をそれぞれ決定し、この決定した各型締油圧値になるように各タイバーへの供給油圧を分配する制御装置を備える型締装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機、ダイカストマシン等の成形機に用いられる型締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機、ダイカストマシン等の成形機に用いられる型締装置は、一対の金型の一方(固定金型)を保持する固定ダイプレートと、他方(移動金型)を保持する移動ダイプレートとを備えており、型締めの際には、固定ダイプレートと移動ダイプレートとの間に力を作用させて一対の金型の型締めを行う。この型締めに必要な型締力は、たとえば、固定ダイプレートと移動ダイプレートとの間に設けられた複数のタイバーに張力を発生させることにより与えられる。
通常、複数のタイバーは、金型の分割面に作用する型締力の分布が均一になるように、固定ダイプレートおよび移動ダイプレートの中心部に関して対称な位置に配置され、各タイバーに同じ大きさの荷重(タイバーロード)を分担させる。
【0003】
成形品の重心が型締装置の中心に対して偏心している場合には、固定金型と移動金型とで形成されるキャビティ内に作用する成形材料の圧力によって発生する金型を開こうとする力(固定金型と可動金型を離そうとする力)が、型締装置の中心に対して偏った位置に働くことになる。したがって、成形品の重心が型締装置の中心に対して偏心している場合に均等な型締力を与えると、成形品の重心が偏っている側の固定金型と移動金型との分割面に作用する力が不均一となり、前記分割面に隙間が生じて、バリが発生しやすくなる。
成形サイクル中に成形材料が分割面から吹き出す問題に対して、複数のタイバーの荷重を一律に増加させて型締力を上昇させることが考えられるが、この方法は金型に過剰な負荷を与え、金型の寿命を短縮させる可能性がある。
【0004】
金型の分割面からの成形材料の吹き出しを抑制することができ、かつ、金型の寿命を延ばすことができる型締装置が特許文献1に開示されている。この型締装置は、金型に関する情報に基づいて、複数のタイバーが各々負荷する型締力を決定し、決定した型締力となるように各型締用シリンダのシリンダ室の油の圧力を独立に制御する制御装置を備えている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−324249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された型締装置によれば、複数のタイバーがそれぞれ分担する型締力が、金型の形状情報、取付け位置情報等の金型に関する情報に基づいて独立して調整され、金型の分割面に作用する圧力の分布が均一化され、バリの発生を抑制する。
しかるに、射出成形に用いられる溶融樹脂は粘性の影響で流動圧損が発生し、キャビティ内の樹脂圧は均一にならずに大きな分布が発生する。このため、射出ゲートがキャビティの中心にない場合、または射出ゲートがキャビティの中心にあってもキャビティ厚さが複雑に変化し、流動圧損が大きな薄肉部がある場合などは、キャビティ内圧力(型内圧力)の分布も大きく偏ってしまう。この場合、金型の位置や強度の金型情報を考慮して複数のタイバーによる型締力を決定しても、それ以上のキャビティ内樹脂圧による型開力の偏りが発生してしまうため、樹脂の吹き出しによるバリが発生しやすい。更に言えば、特許文献1に開示された型締装置によれば、同一構成で大量の油を供給可能な油圧回路を各シリンダ毎に備えなければならず、スペース的にもコスト的にも不具合がある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、キャビティ内樹脂圧による型開力の偏りが発生しても、金型の分割面からの成形材料の吹き出しを抑制し、かつ、金型の寿命を延ばすことができる型締装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的のもと、本発明は、成形時の型内圧力の分布に対応するように型締力を決定し、樹脂圧が作用していない状態においては金型の分割面に作用する力が不均一になるだろう状態で型締めをする。つまり型内圧力が高い領域の周辺の金型の分割面に作用する力が大きく、型内圧力が低い領域の周辺の金型の分割面に作用する力が小さくなるように、タイバーによる型締力を制御する。
すなわち本発明の型締装置は、固定金型を保持する固定ダイプレートと、移動金型を保持する移動ダイプレートと、移動ダイプレートを固定ダイプレートに対して進退移動させるダイプレート移動手段と、固定ダイプレートと移動ダイプレートとを結合加圧する型締手段とを備え、型締手段は、固定ダイプレート又は移動ダイプレートのいずれか一方に設けられる複数の型締シリンダと、型締シリンダのラムに一端が接続され、他端に等ピッチの複数のリング溝又はねじ溝を有する複数のタイバーと、固定ダイプレート又は移動ダイプレートの他方に配設され複数のリング溝又はねじ溝に噛合可能なハーフナットと、複数の型締シリンダにそれぞれ連通する油圧配管と、油圧配管に油を供給する油圧ポンプを備える油圧源と、油圧源からの油圧配管への油の供給を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、型内圧力が型盤中心に対し対称でない成形に対して、推定された型内圧力による型開力に対応して決定された、複数の各タイバーによる型締力に基づいて、油の供給を制御することを特徴とする。
【0008】
本発明の型締装置において、各タイバーによる型締力は、予め流動解析を行って、型内圧力を推定すると共に、型内圧力による型開力の重心を求め、この型開力の重心と、複数の各タイバーによる型締力の重心とが一致するようにして決定されることが好ましい。そうすることにより、キャビティ内樹脂圧による型開力の偏りがあっても、金型の分割面からの成形材料の吹き出しを抑制できる。
本発明の型締装置において、流動解析により、型開力の重心を射出工程の進捗に対して予め求めておき、射出工程の進捗により変化する型開力の重心と、複数の各タイバーによる型締力の重心とが一致するように、各タイバーによる型締力を決定することが好ましい。実際の射出成形において、変化する型開力、型開力の重心に対応するためである。この場合、射出工程の進捗に応じた複数の各タイバーによる型締力の切り換えが、射出工程に応じたタイマのタイムアップにより行うことができる。
【0009】
本発明の型締装置において、型内圧力による型開力の推定を、所定の位置の型内圧力の測定値に基づいて行うこともできる。この型内圧力は、生産による射出成形の前に、試しに行う射出成形において測定してもよい。
【0010】
この場合、流動解析により、所定の位置での型内圧力値と、型内圧力による型開力および型開力の重心を、射出工程の進捗に対して求めておき、射出工程の進捗により変化する所定の位置での型内圧力値と、型開力、および当該型開力の重心に対し、型内圧力の測定値が予め求めた所定の位置での型内圧力値に到達した時点で、流動解析により予め求めた型内圧力による型開力および型開力の重心対して複数の各タイバーによりダイプレートに負荷する型締力の重心が一致するように、各タイバーに負荷する型締油圧値をそれぞれ決定し、決定した各型締油圧値になるように各タイバーへの供給油圧を分配することができる。
【0011】
本発明の型締装置において、複数の型締シリンダに対応する複数の油圧源を備え、制御装置は、各型締シリンダに向けて油を供給する際に、昇圧当初は全ての油圧源から吐出された油を共通の配管を通して各型締シリンダに供給し、昇圧過程において、各型締シリンダに対応する所定の各型締油圧値に達した時点で、当該型締シリンダに対しては共通の配管を通しての油圧源からの油の供給を停止するとともに、共通の配管とは独立した油圧源および油圧配管から油の供給を開始することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、型開力の分布に対応してタイバーによる型締力を決定することができるため、流動圧損が大きな薄肉部などが混在するなどの複雑な形状のキャビティによって型内圧力が大きく偏った場合でもバリの発生を抑制できる。また、成形工程の進捗に応じて型締力を切り換えると、必要十分な低型締力だけを金型に負荷すればよいので、金型の負荷を最低限に抑えることができ、金型寿命の延命化が可能となる。なお、本発明は、同一の形状もしくは異なった形状のキャビティを複数備える金型を用いた成形において、各キャビティの位置が各ダイプレートの中心に対し対象でない金型に対し各キャビティに順次充填する成形に対しても適用するのが有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<第1実施形態>
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は本実施の形態における型締装置10の構成を示す部分断面図である。なお、本実施形態では、型締装置10を射出成形機に適用した例について説明する。
図1において、ベースフレーム11の一端側上面には、固定金型14を保持する固定ダイプレート12が固設されている。
ベースフレーム11の他端側上面には、固定ダイプレート12に対向して、移動金型15を保持する移動ダイプレート13が進退移動可能に配設される。ベースフレーム11上には、ガイドレール26が敷設されており、このガイドレール26にガイドされたリニアベアリング27が、台28を介して移動ダイプレート13を支持している。
固定ダイプレート12にはストロークが小さくかつ断面積の大きな4基の油圧による型締シリンダ18が、その四隅に設けられている。なお、型締シリンダ18は、移動ダイプレート14に設けることもできる。シリンダ型締シリンダ18の中を摺動するラム16はその一側面にそれぞれタイバー17の一端が接続され、このタイバー17は対向する移動ダイプレート13が型閉のため近づいてきたとき、移動ダイプレート13に開けられた4個の挿通孔を貫通する。
型締シリンダ18には、後述する油圧配管が接続されており、この油圧配管は、型締シリンダ18の型締側室181、型開側室182へ油を供給する。
【0014】
移動ダイプレート13の移動方向に平行に設置され、固定ダイプレート12に保持された軸受箱20とベースフレーム11に保持された軸受箱21とによって回転可能に、軸方向を拘束して支えられ、サーボモータ22により動力伝達ギア23、24を介して駆動されるボールねじ軸25により移動ダイプレート13の移動手段が構成される。ボールねじ軸25は、図示しない制御装置によりサーボモータ22を介して、回転数、回転速度が制御される。
各タイバー17の他端は、それぞれ等ピッチの複数のリング溝(又はねじ溝)が形成されている。移動ダイプレート13の背面には、各タイバー17のリング溝部と噛合するハーフナット29が設けられている。
【0015】
以上の型締装置10は、固定金型14と移動金型15とが開いた状態から、図1に示すように、固定金型14と移動金型15が閉じた状態となるまで、サーボモータ22で駆動されるボールねじ軸25の回転によって移動ダイプレート13が移動する。移動ダイプレート13はこの過程でゆっくり加速し、一定速度で移動した後、減速して固定金型14が移動金型15に接触する寸前に停止するようになっている。
【0016】
この移動ダイプレート13の停止位置でハーフナット29が作動してハーフナット29の内側リング溝がタイバー17の先端部のリング溝と係合してタイバー17とハーフナット29とが結合する。その後、型締シリンダ18の型締側室181を昇圧して圧縮型締めを行う。このようにして型締めを行った後に、射出シリンダ30から固定金型14と移動金型15とで形成されるキャビティ内に溶融樹脂を射出して成形品を成形する。
【0017】
図2は、型締装置10に繋がる油圧配管を示している。
油圧配管は、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)の各々に対応して、4つの油圧源30a、30b、30c、30dが設けられている。また、油圧源30a、30b、30c、30dに対応して、切替弁31a、31b、31c、31dが設けられている。
切替弁31aには、主配管40aと副配管45aとが接続されている。切替弁31aは、主配管40a又は副配管45aと、油圧源30aとを選択的に接続する。また、切替弁31aは、主配管40a及び副配管45aと、油圧源30aとの接続を断つ。油圧源30bと切替弁31bの関係、油圧源30cと切替弁31cの関係、油圧源30dと切替弁31dの関係も同様である。
【0018】
切替弁31aに接続される主配管40a、切替弁31bに接続される主配管40b、切替弁31cに接続される主配管40c、切替弁31dに接続される主配管40dは、主配管40に集合した後に、主配管41、42に分岐する。さらに、主配管41は主配管41a、41bに分岐し、主配管42は主配管42c、42dに分岐する。主配管41a、41b、42c、42dには、各々、開閉弁32a、32b、32c、32dが設けられている。主配管41aは、型締シリンダ18aの型締側室181aに接続され、主配管41bは、型締シリンダ18bの型締側室181bに接続され、主配管42cは、型締シリンダ18cの型締側室181cに接続され、主配管42dは、型締シリンダ18dの型締側室181dに接続される。切替弁31aに接続される副配管45aは主配管41aに合流する。同様に、副配管45bは主配管41bに、副配管45cは主配管42cに、副配管45dは主配管42dに、各々合流する。なお、いずれかの配管上に、圧力制御弁、その他の弁を適宜設けてもよい。
昇圧初期のように、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)に大流量の油が必要なときには、主配管(41a…)および副配管(45a…)を通じて油を供給する。また、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)に、小流量の油が要求される際には、副配管(45a…)を通じて油を供給する。主配管(41a…)は副配管(45a…)よりも流量が大きく、堅強に作られている。
【0019】
図3は、油圧配管の制御系を示している。なお、図3は、油圧源30a、切替弁31aについてのみ示している。
図3に示すように、型締装置10は、油圧源30a及び切替弁31aの動作を制御する制御装置50を備えている。制御装置50は、主制御部51、条件設定部52及びタイマ53を備えている。条件設定部52には、後述する流動解析に基づいて得られた、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)の型締力が設定される。主制御部51は、条件設定部52に設定された型締力に基づいて、油圧源30a、切替弁31aの動作を制御して、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)へ油を供給する。
【0020】
図4は、流動解析により型締力を決定する方法を説明する図であり、固定ダイプレート12、固定金型14の断面を模式的に示している。図4は、成形品M1を成形することを前提としている。
図4において、固定ダイプレート12の四隅に型締シリンダ18a、18b、18c、18dが形成されており、各シリンダ18a、18b、18c、18dによる型締力を、F1、F2、F3及びF4とする。各シリンダ18a、18b、18c、18dに対応するタイバー17a、17b、17c、17dの中心位置の座標を、(X1,Y1)、(X2,Y2)、(X3,Y3)、(X4,Y4)とする。なお、X−Y座標は、図4に矢印で示す通りである。
また、成形品M1を構成する樹脂の圧力により、固定金型14と移動金型15を開こうとする力(型開力)の重心の座標を(Xg,Yg)、任意の点での型開圧力(樹脂圧力)をPi、型開圧力が付与される面積(成形品M1の投影面積)をA、型締力の重心座標を(Xg’,Yg’)とする。
【0021】
そうすると、型開力重心座標(Xg,Yg)は式(1)で、また、型締力重心座標(Xg’,Yg’)は式(2)で与えられる。
【0022】
【数1】
【0023】
【数2】
【0024】
さて、型締力重心と型開力重心とが一致する(Xg=Xg’かつYg=Yg’)ように型締力F1〜F4を決定すれば、キャビティ内樹脂圧による型開力の偏りがあっても、金型の分割面からの成形材料の吹き出しを抑制できる。
そこで、キャビティに射出される樹脂について、予め流動解析を行なって、型開力重心座標(Xg,Yg)を求め、以下の4つのケースについて、型締力F1〜F4を決定する。そして、実際の射出成形時には、この型締力F1〜F4を、タイバー17を介して付与する。
【0025】
(1)Xg=0かつYg=0の場合
F1=F2=F3=F4である、均等型締めとする。なお、固定金型14の中心を、X−Y座標の(0,0)とする。
【0026】
(2)Xg≠0かつYg=0の場合
F1=F2、F3=F4である、左右不均等型締めとする。
その際、F3=α*F1とし、以下の式(3)(連立方程式)からF1とαを導出する。なお、式(3)の左辺は、ΣFi=F1+F2+F3+F4となる。ここでは、F1=F2、F3=F4であるから、ΣFi=F1+F1+αF1+αF1=2(1+α)F1となる。
【0027】
【数3】
【0028】
(3)Xg=0かつYg≠0の場合
F1=F4、F2=F3である、上下不均等型締めとする。
その際、F2=β*F1とし、以下の式(4)(連立方程式)からF1とβを導出する。ここでは、F1=F4、F2=F3であるから、ΣFi=F1+βF1+βF1+F1=2(1+β)F1となる。
【0029】
【数4】
【0030】
(4)Xg≠0かつYg≠0の場合
4隅(タイバー17a〜17d)全て異なる不均等型締めとする。
その際、F2=β*F1、F3=α*β*F1、F4=α*F1とし、以下の式(5)(連立方程式)からF1とαとβを導出する。なお、本ケースは、上記(2)と(3)を重ね合わせたものである。
【0031】
【数5】
【0032】
以上のように4つのケースに分けてF1〜F4を求め、型締装置10の制御装置50に以下のように反映させる。例えば、Xg≠0かつYg=0の場合、流動解析から、式(3)の上側の式の左辺(圧力の総和から求まる圧力重心位置)と下側の式の圧力総和(右辺)を求める。すると、式(3)は、未知数がαとF1の2つ、連立方程式が2つあるため、αとF1が求められる。そのことを、流動解析の時間履歴において、各時間でのαとF1を求める。その結果、例えば、この金型は(2)の制御で行い、射出開始からT=0〜5secは、α=60%、F1=400tonfとし、T=5〜10secは、α=70%、F1=700tonfとする、という具合に制御する。
【0033】
以上の流動解析は、射出開始時から射出完了時までの任意の経過時点毎に求める。つまり、射出開始時(T0sec後)、射出開始からT1sec後、射出開始からT2sec後…というように、経過時点毎に、型開力重心座標(XgT0、YgT0)、(XgT1、YgT1)、(XgT2、YgT2)…を求める。そして、各経過時における型締力重心座標(Xg’T0、Yg’T0)、(Xg’T1、Yg’T1)、(Xg’T2、Yg’T2)…と、型開力重心座標(XgT0、YgT0)、(XgT1、YgT1)、(XgT2、YgT2)…とが一致するように各タイバー17a〜17dによる型締力を決定すればよい。各経過時における型締力は、以下のように示される。これを、図示すると、図5、図6の通りである。
T0:F1T0、F2T0、F3T0、F4T0
T1:F1T1、F2T1、F3T1、F4T1
T2:F1T2、F2T2、F3T2、F4T2
【0034】
以上のようにして、流動解析により型締力を求めたならば、制御装置50の条件設定部52に入力、設定する。主制御部51は、条件設定部52に設定された型締力F1〜F4になるように、油圧源30a〜30d、切替弁31a〜31dの動作を制御して、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)へ油を供給する。例えば、F1T1からF1T2への型締力の切替えは、タイマ53によるT1のタイムアップを主制御部51が把握することにより行うことができる。
【0035】
<第2実施形態>
次に、型開力の推定を、型内圧力の測定値に基づいて行なう形態について、図7を参照しつつ説明する。
なお、第2実施形態で用いる型締装置10の基本的な構成は、第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、図7において、図4と同一の構成部分には同一の符号を付している。
【0036】
第2実施形態においては、固定金型14のキャビティ面に圧力センサN1〜N3を設けておき、この圧力センサN1〜N3により、キャビティに射出された成形品M2による型内圧力を測定する。
圧力センサN1〜N3の位置(座標)、型内圧力を以下の通りとする。また、型開力重心座標を(Xg,Yg)とする。
圧力センサN1:座標(x1,y1)、型内圧力P1
圧力センサN2:座標(x2,y2)、型内圧力P2
圧力センサN3:座標(x3,y3)、型内圧力P3
【0037】
図7に示すように、圧力センサN1〜N3、つまり3点で計測する場合、型開力重心の座標(Xg、Yg)は、以下の式(6)により求めることができる。
【0038】
【数6】
【0039】
型開力重心座標(Xg、Yg)が求められたら、第1実施形態と同様に、式(2)で与えられる型締力重心座標(Xg’,Yg’)と型開力重心座標(Xg、Yg)とが一致する(Xg=Xg’かつYg=Yg’)ようにF1〜F4を決定すればよい。
【0040】
以上では、キャビティ内の3点で成形品M2による型内圧力を測定する例を示したが、任意の点数(i点)で圧力を測定することができることは言うまでもない。この場合、型開力重心座標(Xg、Yg)は、以下の式(7)により求めることができる。
【0041】
【数7】
【0042】
圧力センサ(Ni)を用いて型開力重心座標(Xg、Yg)を求める方法は、以上の通りであるが、この型開力重心座標(Xg、Yg)は、第1実施形態と同様に、射出開始時から射出完了時までの任意の経過時点毎に求める。つまり、射出開始時(0sec後)、射出開始からT1sec後、射出開始からT2sec後…というように、経過時点毎に、型開力重心座標(Xg0、Yg0)、(XgT1、YgT1)、(XgT2、YgT2)…を求める。そして、各経過時における型締力重心座標(Xg’0、Yg’0)、(Xg’T1、Yg’T1)、(Xg’T2、Yg’T2)…と、型開力重心座標(Xg0、Yg0)、(XgT1、YgT1)、(XgT2、YgT2)…とが一致するように型締力F1〜F4を決定すればよい。
【0043】
以上のようにして、型締力を求めたならば、制御装置50の条件設定部52に入力、設定する。主制御部51は、条件設定部52に設定された型締力F1〜F4になるように、油圧源30a〜30d、切替弁31a〜31dの動作を制御して、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)へ油を供給する。例えば、F1T1からF1T2への型締力の切替えは、タイマ53によるT1のタイムアップを主制御部51が把握することにより行うことができる。
【0044】
<第3実施形態>
射出開始時(0sec後)、射出開始からT1sec後、射出開始からT2sec後の、型内の射出成形状態が、図8〜図10に示すものとする。
第1実施形態と同様にして、流動解析により、射出開始時(0sec後)、射出開始からT1sec後、射出開始からT2sec後の、型開力の重心座標(Xg,Yg)、任意の点での型開圧力Pi、型締力の重心座標(Xg’,Yg’)を求める。各経過時における型締力は、第1実施形態で示したように、以下となる。
T0:F1T0、F2T0、F3T0、F4T0
T1:F1T1、F2T1、F3T1、F4T1
T2:F1T2、F2T2、F3T2、F4T2
また、射出開始時(0sec後)、射出開始からT1sec後、射出開始からT2sec後の、図8〜図10に●で示すキャビティ内の任意の位置における、圧力は以下の通りである。これを図示すると、図11の実線で示す通りである。
T0:N1、T1:N1、T3:N2
【0045】
一方、図8〜図10に示すように、キャビティ内の任意の位置(●)において、圧力センサN4を設け、成形品を実際に射出成形する際に、圧力センサN4により型内圧力を経時的に測定する。そして、圧力センサN4により測定された圧力がP1に達したならば、射出開始からの時間がT1であるか否かに拘わらず、型開力重心が(Xg1、Yg1)に対応した型締力にする。また、圧力センサN4により測定された圧力がP2に達したならば、射出開始からの時間がT2であるか否かに拘わらず、型開力重心が(Xg2、Yg2)に対応した型締力にする。予め流動解析によって予測した型開力重心となる時間が、実測とずれる可能性もあるため、任意の点N4の圧力を計測し、その数値の変化から、型開力重心位置を推定するのである。
【0046】
ここで、流動解析の圧力時間履歴と計測のそれがずれる可能性があることを前提としている。このずれは、溶融した樹脂の粘性や摩擦において、流動解析で用いた数値と実際の計測の数値に誤差があり、樹脂が金型内を流動する時間に差があることなどによる。ただし、計測だけとしてしまうと、以下の問題が生じる。
実際に計測する場合は、計測点は少ないことが予想され、最低だと1点となることもあるので、計測の圧力分布から圧力重心を求める精度が落ちる。従って、計測のみで圧力重心の推定が困難な場合があり得る。また、精度を上げるため、何十点もセンサを取り付けることは、金型に多くの細工が必要となり、事実上困難なことがある。
そこで、流動解析だけでなく、実際の計測を組み合わせて、圧力を推定しようというものである。例えば、流動解析の結果のみで制御してもよいが、流動解析で求めたある任意の点での圧力の時間履歴が、実際のその点で計測された圧力の時間履歴に差異が生じる可能性があるため、計測結果から動作を制御する。ところが、前述したとおり、計測点が少ない場合には、圧力重心が計測から求めることが困難なため、流動解析で求めた重心をもとに制御する。このように、解析と実測の結果を組み合わせて成形するのである。
【0047】
第1〜3の実施形態では、各型締力F1〜F4を型締力重心座標と型開力重心座標が一致するように計算し、各型締シリンダ設定型締力の値として決定したが、実際の各型締シリンダの型締力値が、油圧制御の精度もしくは油圧のバラツキ・変動などにより、型締力重心座標と型開力重心座標が、本発明の本質を逸脱しない範囲で、厳密に一致する値とならなくても支障ない。
【0048】
<第4実施形態>
図2に示した各型締シリンダ18a〜18dに油を供給する手順の一例を、図11〜図13を参照しながら説明する。なお、この手順の例は、シリンダ18a、18d、18c、18dの順に、油の供給を停止するものである。また、図11〜図13において、油が通っている配管を実線で、油が通っていない配管を点線で示している。さらに、各油圧源30a〜30dは、吐出量の大きな大ポンプと、吐出量の少ない小ポンプとの組合せで構成されているものとする。さらにまた、図12〜14において、油圧源30a〜30dと切替弁31a〜31dの各々の間、副配管45a〜45dには、ボールチェックバルブなどの逆流防止弁が設けられているが、記載を省略している。
【0049】
(昇圧当初)
昇圧当初は、図11(a)に示すように、全ての油圧源30a〜30dから吐出された油は、全ての主配管40a…、副配管45a…を通って、各型締シリンダ18a〜18dに供給される。昇圧当初は、大流量の油を各型締シリンダ18a〜18dに迅速に供給するためである。このとき、各油圧源30a〜30dは、各々大ポンプが運転されている。
(型締シリンダ18aへの供給停止)
タイバー17aによる型締力が所定値、つまり型締シリンダ18aの型締油圧値が所定値に達すると、型締シリンダ18aへの主配管40aを通しての油の供給を停止する。その場合には、図11(b)に示すように、油圧源30aについて、切替弁31aにより、主配管40aを通る油の供給を停止する。同時に、油圧源30aは、大ポンプの運転から小ポンプの運転に切り替える。また、開閉弁32aを閉じる。したがって、型締シリンダ18aには、油圧源30aの小ポンプから吐出される油が、副配管45aのみを通って、油が供給される。型締シリンダ18b〜18dには、従前通り、主配管40b…、副配管45b…を通って、油が供給される。
この状態を所定時間維持した後に、図12(a)に示すように、油圧源30aを停止して、副配管45aを通る型締シリンダ18aへの油の供給を停止する。このように、型締シリンダ18aへの油の供給停止を2段階にするのは、大流量の油の供給停止を精度よく行なうことが容易でないためである。
【0050】
(型締シリンダ18dへの供給停止)
型締シリンダ18dの型締油圧値が所定値に達すると、油圧源30dについて、切替弁31dにより、主配管40dを通る油の供給を停止する。同時に、油圧源30dは、大ポンプの運転から小ポンプの運転に切り替える。また、開閉弁32dを閉じる。したがって、型締シリンダ18dには、油圧源30dの小ポンプから吐出される油が、副配管45dのみを通って供給される。型締シリンダ18b〜18cには、従前通り、主配管40b…、副配管45b…を通って、油が供給される。この状態を所定時間維持した後に、図12(b)に示すように、油圧源30dを停止して、副配管45dを通る型締シリンダ18dへの油の供給を停止する。
【0051】
(型締シリンダ18cへの供給停止)
型締シリンダ18cの型締油圧値が所定値に達すると、油圧源30cについて、切替弁31cにより、主配管40cを通る油の供給を停止する。同時に、油圧源30cは、大ポンプの運転から小ポンプの運転に切り替える。また、開閉弁32cを閉じる。したがって、型締シリンダ18cには、油圧源30cの小ポンプから吐出される油が、副配管45cのみを通って供給される。型締シリンダ18bには、従前通り、主配管40b…、副配管45b…を通って、油が供給される。この状態を所定時間維持した後に、図13(a)に示すように、油圧源30cを停止して、副配管45cを通る型締シリンダ18cへの油の供給を停止する。
【0052】
(型締シリンダ18bへの供給停止)
型締シリンダ18bの型締油圧値が所定値に達すると、油圧源30bについて、切替弁31bにより、主配管40bを通る油の供給を停止する。同時に、油圧源30bは、大ポンプの運転から小ポンプの運転に切り替える。また、開閉弁32bを閉じる。したがって、型締シリンダ18bには、油圧源30bの小ポンプから吐出される油が、副配管45bのみを通って供給される。この状態を所定時間維持した後に、図13(b)に示すように、油圧源30bを停止して、副配管45bを通る型締シリンダ18cへの油の供給を停止する。これで、全ての型締シリンダ18a〜18dへの油の供給が停止され、タイバー17a〜17dによる型締力で固定金型14および移動金型15が型締される。
【0053】
第4実施形態では、昇圧当初に主配管と副配管の両方の配管を通して油を供給しているが、これに代えて、昇圧当初は主配管のみを使い、各型締シリンダの型締油圧値が所定値に達した時点で、切替弁31により油の供給配管を主配管から副配管に切り替えて油を供給しても良い。
第4実施形態では、型締シリンダの型締油圧値が所定値に達した後、油圧源の小ポンプから吐出される油が、副配管のみを通って供給される状態を所定の時間維持した後、油圧源を停止しているが、型締シリンダの油圧を所定の型締油圧値に積極的に維持する為に、油圧源を停止せず油の供給を継続しても良い。
【0054】
第4実施形態では、油圧配管の基本設計が、主配管(40等)のみで構成されている場合に、副配管45a等を加えることで、各型締シリンダ18a〜18dに油を独立して供給し、また供給量を制御することができる。これにより配管のレイアウト設計などに大幅な設計変更を必要としない上、昇圧当初の大流量の油を供給する大径の主配管は共有配管とし纏めることが出来、追加する配管は小流量の油を供給する小径配管のみであることから、スペース的にもコスト的にも小さく抑えることが出来る。
以上では、型締シリンダ18a、18d、18c、18bの順に、油の供給を停止する例について説明したが、この順に限るものでない。第1〜第3実施形態に従って、各型締シリンダ18a〜18dに油を供給できることはいうまでもない。また、油圧配管は、昇圧当初に全ての複数の油圧源から油の供給を行うことができ、その後、各油圧源からの油の供給を独立して制御できるものであれば、図2(図12〜図14)に示すものに限らない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施の形態における型締装置の構成を示す部分断面図である。
【図2】図1に示す型締装置に繋がる油圧配管を示す図である。
【図3】図2に示す油圧配管の制御系を示す図である。
【図4】流動解析により型締力を特定する方法を説明する図である。
【図5】射出開始からの経過時間とタイバーによる型締力の関係を示すグラフである。
【図6】射出開始からの経過時間とタイバーによる型締力の関係を示すグラフである。
【図7】型内圧力の測定値に基づいて型開力を推定する方法を説明する図である。
【図8】(a)は射出開始時における、型内の射出状態を模式的に示す図であり、(b)は射出開始からT1sec経過時における、型内の射出状態を模式的に示す図である。
【図9】射出開始からT2sec経過時における、型内の射出状態を模式的に示す図である。
【図10】キャビティ内の任意の位置における圧力と射出開始時からの経過時間との関係を示す図である。
【図11】(a)は全ての油圧源から吐出された油を全ての主配管、副配管を通って、型締シリンダに供給する様子を示す図、(b)は型締シリンダ18aへの油の供給を停止する際の、主配管、副配管における油の通過状況を示す図である。
【図12】(a)は型締シリンダ18dへの油の供給を停止する際の、主配管、副配管における油の通過状況を示す図、(b)は型締シリンダ18cへの油の供給を停止する際の、主配管、副配管における油の通過状況を示す図である。
【図13】(a)は型締シリンダ18bへの油の供給を停止する際の、主配管、副配管における油の通過状況を示す図、(b)は全ての型締シリンダ18への油の供給を停止した際の、主配管、副配管における油の通過状況を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10…型締装置
11…ベースフレーム、12…固定ダイプレート、13…移動ダイプレート、14…固定金型、
15…移動金型、16…ラム、17、17a,17b,17c,17d…タイバー、
18,18a,18b,18c,18d…型締シリンダ、29…ハーフナット
30a,30b,30c,30d…油圧源、31a,31b,31c,31d…切替弁
32a,32b,32c,32d…開閉弁、
40,40a,40b,40c,40d,41,41a,41b,42,42c,42d…主配管
45a,45b,45c,45d…副配管
50…制御装置
51…主制御部、52…条件設定部、53…タイマ
M1、M2…成形品、N1、N2、N3、N4…圧力センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機、ダイカストマシン等の成形機に用いられる型締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機、ダイカストマシン等の成形機に用いられる型締装置は、一対の金型の一方(固定金型)を保持する固定ダイプレートと、他方(移動金型)を保持する移動ダイプレートとを備えており、型締めの際には、固定ダイプレートと移動ダイプレートとの間に力を作用させて一対の金型の型締めを行う。この型締めに必要な型締力は、たとえば、固定ダイプレートと移動ダイプレートとの間に設けられた複数のタイバーに張力を発生させることにより与えられる。
通常、複数のタイバーは、金型の分割面に作用する型締力の分布が均一になるように、固定ダイプレートおよび移動ダイプレートの中心部に関して対称な位置に配置され、各タイバーに同じ大きさの荷重(タイバーロード)を分担させる。
【0003】
成形品の重心が型締装置の中心に対して偏心している場合には、固定金型と移動金型とで形成されるキャビティ内に作用する成形材料の圧力によって発生する金型を開こうとする力(固定金型と可動金型を離そうとする力)が、型締装置の中心に対して偏った位置に働くことになる。したがって、成形品の重心が型締装置の中心に対して偏心している場合に均等な型締力を与えると、成形品の重心が偏っている側の固定金型と移動金型との分割面に作用する力が不均一となり、前記分割面に隙間が生じて、バリが発生しやすくなる。
成形サイクル中に成形材料が分割面から吹き出す問題に対して、複数のタイバーの荷重を一律に増加させて型締力を上昇させることが考えられるが、この方法は金型に過剰な負荷を与え、金型の寿命を短縮させる可能性がある。
【0004】
金型の分割面からの成形材料の吹き出しを抑制することができ、かつ、金型の寿命を延ばすことができる型締装置が特許文献1に開示されている。この型締装置は、金型に関する情報に基づいて、複数のタイバーが各々負荷する型締力を決定し、決定した型締力となるように各型締用シリンダのシリンダ室の油の圧力を独立に制御する制御装置を備えている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−324249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された型締装置によれば、複数のタイバーがそれぞれ分担する型締力が、金型の形状情報、取付け位置情報等の金型に関する情報に基づいて独立して調整され、金型の分割面に作用する圧力の分布が均一化され、バリの発生を抑制する。
しかるに、射出成形に用いられる溶融樹脂は粘性の影響で流動圧損が発生し、キャビティ内の樹脂圧は均一にならずに大きな分布が発生する。このため、射出ゲートがキャビティの中心にない場合、または射出ゲートがキャビティの中心にあってもキャビティ厚さが複雑に変化し、流動圧損が大きな薄肉部がある場合などは、キャビティ内圧力(型内圧力)の分布も大きく偏ってしまう。この場合、金型の位置や強度の金型情報を考慮して複数のタイバーによる型締力を決定しても、それ以上のキャビティ内樹脂圧による型開力の偏りが発生してしまうため、樹脂の吹き出しによるバリが発生しやすい。更に言えば、特許文献1に開示された型締装置によれば、同一構成で大量の油を供給可能な油圧回路を各シリンダ毎に備えなければならず、スペース的にもコスト的にも不具合がある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、キャビティ内樹脂圧による型開力の偏りが発生しても、金型の分割面からの成形材料の吹き出しを抑制し、かつ、金型の寿命を延ばすことができる型締装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的のもと、本発明は、成形時の型内圧力の分布に対応するように型締力を決定し、樹脂圧が作用していない状態においては金型の分割面に作用する力が不均一になるだろう状態で型締めをする。つまり型内圧力が高い領域の周辺の金型の分割面に作用する力が大きく、型内圧力が低い領域の周辺の金型の分割面に作用する力が小さくなるように、タイバーによる型締力を制御する。
すなわち本発明の型締装置は、固定金型を保持する固定ダイプレートと、移動金型を保持する移動ダイプレートと、移動ダイプレートを固定ダイプレートに対して進退移動させるダイプレート移動手段と、固定ダイプレートと移動ダイプレートとを結合加圧する型締手段とを備え、型締手段は、固定ダイプレート又は移動ダイプレートのいずれか一方に設けられる複数の型締シリンダと、型締シリンダのラムに一端が接続され、他端に等ピッチの複数のリング溝又はねじ溝を有する複数のタイバーと、固定ダイプレート又は移動ダイプレートの他方に配設され複数のリング溝又はねじ溝に噛合可能なハーフナットと、複数の型締シリンダにそれぞれ連通する油圧配管と、油圧配管に油を供給する油圧ポンプを備える油圧源と、油圧源からの油圧配管への油の供給を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、型内圧力が型盤中心に対し対称でない成形に対して、推定された型内圧力による型開力に対応して決定された、複数の各タイバーによる型締力に基づいて、油の供給を制御することを特徴とする。
【0008】
本発明の型締装置において、各タイバーによる型締力は、予め流動解析を行って、型内圧力を推定すると共に、型内圧力による型開力の重心を求め、この型開力の重心と、複数の各タイバーによる型締力の重心とが一致するようにして決定されることが好ましい。そうすることにより、キャビティ内樹脂圧による型開力の偏りがあっても、金型の分割面からの成形材料の吹き出しを抑制できる。
本発明の型締装置において、流動解析により、型開力の重心を射出工程の進捗に対して予め求めておき、射出工程の進捗により変化する型開力の重心と、複数の各タイバーによる型締力の重心とが一致するように、各タイバーによる型締力を決定することが好ましい。実際の射出成形において、変化する型開力、型開力の重心に対応するためである。この場合、射出工程の進捗に応じた複数の各タイバーによる型締力の切り換えが、射出工程に応じたタイマのタイムアップにより行うことができる。
【0009】
本発明の型締装置において、型内圧力による型開力の推定を、所定の位置の型内圧力の測定値に基づいて行うこともできる。この型内圧力は、生産による射出成形の前に、試しに行う射出成形において測定してもよい。
【0010】
この場合、流動解析により、所定の位置での型内圧力値と、型内圧力による型開力および型開力の重心を、射出工程の進捗に対して求めておき、射出工程の進捗により変化する所定の位置での型内圧力値と、型開力、および当該型開力の重心に対し、型内圧力の測定値が予め求めた所定の位置での型内圧力値に到達した時点で、流動解析により予め求めた型内圧力による型開力および型開力の重心対して複数の各タイバーによりダイプレートに負荷する型締力の重心が一致するように、各タイバーに負荷する型締油圧値をそれぞれ決定し、決定した各型締油圧値になるように各タイバーへの供給油圧を分配することができる。
【0011】
本発明の型締装置において、複数の型締シリンダに対応する複数の油圧源を備え、制御装置は、各型締シリンダに向けて油を供給する際に、昇圧当初は全ての油圧源から吐出された油を共通の配管を通して各型締シリンダに供給し、昇圧過程において、各型締シリンダに対応する所定の各型締油圧値に達した時点で、当該型締シリンダに対しては共通の配管を通しての油圧源からの油の供給を停止するとともに、共通の配管とは独立した油圧源および油圧配管から油の供給を開始することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、型開力の分布に対応してタイバーによる型締力を決定することができるため、流動圧損が大きな薄肉部などが混在するなどの複雑な形状のキャビティによって型内圧力が大きく偏った場合でもバリの発生を抑制できる。また、成形工程の進捗に応じて型締力を切り換えると、必要十分な低型締力だけを金型に負荷すればよいので、金型の負荷を最低限に抑えることができ、金型寿命の延命化が可能となる。なお、本発明は、同一の形状もしくは異なった形状のキャビティを複数備える金型を用いた成形において、各キャビティの位置が各ダイプレートの中心に対し対象でない金型に対し各キャビティに順次充填する成形に対しても適用するのが有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<第1実施形態>
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は本実施の形態における型締装置10の構成を示す部分断面図である。なお、本実施形態では、型締装置10を射出成形機に適用した例について説明する。
図1において、ベースフレーム11の一端側上面には、固定金型14を保持する固定ダイプレート12が固設されている。
ベースフレーム11の他端側上面には、固定ダイプレート12に対向して、移動金型15を保持する移動ダイプレート13が進退移動可能に配設される。ベースフレーム11上には、ガイドレール26が敷設されており、このガイドレール26にガイドされたリニアベアリング27が、台28を介して移動ダイプレート13を支持している。
固定ダイプレート12にはストロークが小さくかつ断面積の大きな4基の油圧による型締シリンダ18が、その四隅に設けられている。なお、型締シリンダ18は、移動ダイプレート14に設けることもできる。シリンダ型締シリンダ18の中を摺動するラム16はその一側面にそれぞれタイバー17の一端が接続され、このタイバー17は対向する移動ダイプレート13が型閉のため近づいてきたとき、移動ダイプレート13に開けられた4個の挿通孔を貫通する。
型締シリンダ18には、後述する油圧配管が接続されており、この油圧配管は、型締シリンダ18の型締側室181、型開側室182へ油を供給する。
【0014】
移動ダイプレート13の移動方向に平行に設置され、固定ダイプレート12に保持された軸受箱20とベースフレーム11に保持された軸受箱21とによって回転可能に、軸方向を拘束して支えられ、サーボモータ22により動力伝達ギア23、24を介して駆動されるボールねじ軸25により移動ダイプレート13の移動手段が構成される。ボールねじ軸25は、図示しない制御装置によりサーボモータ22を介して、回転数、回転速度が制御される。
各タイバー17の他端は、それぞれ等ピッチの複数のリング溝(又はねじ溝)が形成されている。移動ダイプレート13の背面には、各タイバー17のリング溝部と噛合するハーフナット29が設けられている。
【0015】
以上の型締装置10は、固定金型14と移動金型15とが開いた状態から、図1に示すように、固定金型14と移動金型15が閉じた状態となるまで、サーボモータ22で駆動されるボールねじ軸25の回転によって移動ダイプレート13が移動する。移動ダイプレート13はこの過程でゆっくり加速し、一定速度で移動した後、減速して固定金型14が移動金型15に接触する寸前に停止するようになっている。
【0016】
この移動ダイプレート13の停止位置でハーフナット29が作動してハーフナット29の内側リング溝がタイバー17の先端部のリング溝と係合してタイバー17とハーフナット29とが結合する。その後、型締シリンダ18の型締側室181を昇圧して圧縮型締めを行う。このようにして型締めを行った後に、射出シリンダ30から固定金型14と移動金型15とで形成されるキャビティ内に溶融樹脂を射出して成形品を成形する。
【0017】
図2は、型締装置10に繋がる油圧配管を示している。
油圧配管は、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)の各々に対応して、4つの油圧源30a、30b、30c、30dが設けられている。また、油圧源30a、30b、30c、30dに対応して、切替弁31a、31b、31c、31dが設けられている。
切替弁31aには、主配管40aと副配管45aとが接続されている。切替弁31aは、主配管40a又は副配管45aと、油圧源30aとを選択的に接続する。また、切替弁31aは、主配管40a及び副配管45aと、油圧源30aとの接続を断つ。油圧源30bと切替弁31bの関係、油圧源30cと切替弁31cの関係、油圧源30dと切替弁31dの関係も同様である。
【0018】
切替弁31aに接続される主配管40a、切替弁31bに接続される主配管40b、切替弁31cに接続される主配管40c、切替弁31dに接続される主配管40dは、主配管40に集合した後に、主配管41、42に分岐する。さらに、主配管41は主配管41a、41bに分岐し、主配管42は主配管42c、42dに分岐する。主配管41a、41b、42c、42dには、各々、開閉弁32a、32b、32c、32dが設けられている。主配管41aは、型締シリンダ18aの型締側室181aに接続され、主配管41bは、型締シリンダ18bの型締側室181bに接続され、主配管42cは、型締シリンダ18cの型締側室181cに接続され、主配管42dは、型締シリンダ18dの型締側室181dに接続される。切替弁31aに接続される副配管45aは主配管41aに合流する。同様に、副配管45bは主配管41bに、副配管45cは主配管42cに、副配管45dは主配管42dに、各々合流する。なお、いずれかの配管上に、圧力制御弁、その他の弁を適宜設けてもよい。
昇圧初期のように、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)に大流量の油が必要なときには、主配管(41a…)および副配管(45a…)を通じて油を供給する。また、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)に、小流量の油が要求される際には、副配管(45a…)を通じて油を供給する。主配管(41a…)は副配管(45a…)よりも流量が大きく、堅強に作られている。
【0019】
図3は、油圧配管の制御系を示している。なお、図3は、油圧源30a、切替弁31aについてのみ示している。
図3に示すように、型締装置10は、油圧源30a及び切替弁31aの動作を制御する制御装置50を備えている。制御装置50は、主制御部51、条件設定部52及びタイマ53を備えている。条件設定部52には、後述する流動解析に基づいて得られた、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)の型締力が設定される。主制御部51は、条件設定部52に設定された型締力に基づいて、油圧源30a、切替弁31aの動作を制御して、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)へ油を供給する。
【0020】
図4は、流動解析により型締力を決定する方法を説明する図であり、固定ダイプレート12、固定金型14の断面を模式的に示している。図4は、成形品M1を成形することを前提としている。
図4において、固定ダイプレート12の四隅に型締シリンダ18a、18b、18c、18dが形成されており、各シリンダ18a、18b、18c、18dによる型締力を、F1、F2、F3及びF4とする。各シリンダ18a、18b、18c、18dに対応するタイバー17a、17b、17c、17dの中心位置の座標を、(X1,Y1)、(X2,Y2)、(X3,Y3)、(X4,Y4)とする。なお、X−Y座標は、図4に矢印で示す通りである。
また、成形品M1を構成する樹脂の圧力により、固定金型14と移動金型15を開こうとする力(型開力)の重心の座標を(Xg,Yg)、任意の点での型開圧力(樹脂圧力)をPi、型開圧力が付与される面積(成形品M1の投影面積)をA、型締力の重心座標を(Xg’,Yg’)とする。
【0021】
そうすると、型開力重心座標(Xg,Yg)は式(1)で、また、型締力重心座標(Xg’,Yg’)は式(2)で与えられる。
【0022】
【数1】
【0023】
【数2】
【0024】
さて、型締力重心と型開力重心とが一致する(Xg=Xg’かつYg=Yg’)ように型締力F1〜F4を決定すれば、キャビティ内樹脂圧による型開力の偏りがあっても、金型の分割面からの成形材料の吹き出しを抑制できる。
そこで、キャビティに射出される樹脂について、予め流動解析を行なって、型開力重心座標(Xg,Yg)を求め、以下の4つのケースについて、型締力F1〜F4を決定する。そして、実際の射出成形時には、この型締力F1〜F4を、タイバー17を介して付与する。
【0025】
(1)Xg=0かつYg=0の場合
F1=F2=F3=F4である、均等型締めとする。なお、固定金型14の中心を、X−Y座標の(0,0)とする。
【0026】
(2)Xg≠0かつYg=0の場合
F1=F2、F3=F4である、左右不均等型締めとする。
その際、F3=α*F1とし、以下の式(3)(連立方程式)からF1とαを導出する。なお、式(3)の左辺は、ΣFi=F1+F2+F3+F4となる。ここでは、F1=F2、F3=F4であるから、ΣFi=F1+F1+αF1+αF1=2(1+α)F1となる。
【0027】
【数3】
【0028】
(3)Xg=0かつYg≠0の場合
F1=F4、F2=F3である、上下不均等型締めとする。
その際、F2=β*F1とし、以下の式(4)(連立方程式)からF1とβを導出する。ここでは、F1=F4、F2=F3であるから、ΣFi=F1+βF1+βF1+F1=2(1+β)F1となる。
【0029】
【数4】
【0030】
(4)Xg≠0かつYg≠0の場合
4隅(タイバー17a〜17d)全て異なる不均等型締めとする。
その際、F2=β*F1、F3=α*β*F1、F4=α*F1とし、以下の式(5)(連立方程式)からF1とαとβを導出する。なお、本ケースは、上記(2)と(3)を重ね合わせたものである。
【0031】
【数5】
【0032】
以上のように4つのケースに分けてF1〜F4を求め、型締装置10の制御装置50に以下のように反映させる。例えば、Xg≠0かつYg=0の場合、流動解析から、式(3)の上側の式の左辺(圧力の総和から求まる圧力重心位置)と下側の式の圧力総和(右辺)を求める。すると、式(3)は、未知数がαとF1の2つ、連立方程式が2つあるため、αとF1が求められる。そのことを、流動解析の時間履歴において、各時間でのαとF1を求める。その結果、例えば、この金型は(2)の制御で行い、射出開始からT=0〜5secは、α=60%、F1=400tonfとし、T=5〜10secは、α=70%、F1=700tonfとする、という具合に制御する。
【0033】
以上の流動解析は、射出開始時から射出完了時までの任意の経過時点毎に求める。つまり、射出開始時(T0sec後)、射出開始からT1sec後、射出開始からT2sec後…というように、経過時点毎に、型開力重心座標(XgT0、YgT0)、(XgT1、YgT1)、(XgT2、YgT2)…を求める。そして、各経過時における型締力重心座標(Xg’T0、Yg’T0)、(Xg’T1、Yg’T1)、(Xg’T2、Yg’T2)…と、型開力重心座標(XgT0、YgT0)、(XgT1、YgT1)、(XgT2、YgT2)…とが一致するように各タイバー17a〜17dによる型締力を決定すればよい。各経過時における型締力は、以下のように示される。これを、図示すると、図5、図6の通りである。
T0:F1T0、F2T0、F3T0、F4T0
T1:F1T1、F2T1、F3T1、F4T1
T2:F1T2、F2T2、F3T2、F4T2
【0034】
以上のようにして、流動解析により型締力を求めたならば、制御装置50の条件設定部52に入力、設定する。主制御部51は、条件設定部52に設定された型締力F1〜F4になるように、油圧源30a〜30d、切替弁31a〜31dの動作を制御して、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)へ油を供給する。例えば、F1T1からF1T2への型締力の切替えは、タイマ53によるT1のタイムアップを主制御部51が把握することにより行うことができる。
【0035】
<第2実施形態>
次に、型開力の推定を、型内圧力の測定値に基づいて行なう形態について、図7を参照しつつ説明する。
なお、第2実施形態で用いる型締装置10の基本的な構成は、第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、図7において、図4と同一の構成部分には同一の符号を付している。
【0036】
第2実施形態においては、固定金型14のキャビティ面に圧力センサN1〜N3を設けておき、この圧力センサN1〜N3により、キャビティに射出された成形品M2による型内圧力を測定する。
圧力センサN1〜N3の位置(座標)、型内圧力を以下の通りとする。また、型開力重心座標を(Xg,Yg)とする。
圧力センサN1:座標(x1,y1)、型内圧力P1
圧力センサN2:座標(x2,y2)、型内圧力P2
圧力センサN3:座標(x3,y3)、型内圧力P3
【0037】
図7に示すように、圧力センサN1〜N3、つまり3点で計測する場合、型開力重心の座標(Xg、Yg)は、以下の式(6)により求めることができる。
【0038】
【数6】
【0039】
型開力重心座標(Xg、Yg)が求められたら、第1実施形態と同様に、式(2)で与えられる型締力重心座標(Xg’,Yg’)と型開力重心座標(Xg、Yg)とが一致する(Xg=Xg’かつYg=Yg’)ようにF1〜F4を決定すればよい。
【0040】
以上では、キャビティ内の3点で成形品M2による型内圧力を測定する例を示したが、任意の点数(i点)で圧力を測定することができることは言うまでもない。この場合、型開力重心座標(Xg、Yg)は、以下の式(7)により求めることができる。
【0041】
【数7】
【0042】
圧力センサ(Ni)を用いて型開力重心座標(Xg、Yg)を求める方法は、以上の通りであるが、この型開力重心座標(Xg、Yg)は、第1実施形態と同様に、射出開始時から射出完了時までの任意の経過時点毎に求める。つまり、射出開始時(0sec後)、射出開始からT1sec後、射出開始からT2sec後…というように、経過時点毎に、型開力重心座標(Xg0、Yg0)、(XgT1、YgT1)、(XgT2、YgT2)…を求める。そして、各経過時における型締力重心座標(Xg’0、Yg’0)、(Xg’T1、Yg’T1)、(Xg’T2、Yg’T2)…と、型開力重心座標(Xg0、Yg0)、(XgT1、YgT1)、(XgT2、YgT2)…とが一致するように型締力F1〜F4を決定すればよい。
【0043】
以上のようにして、型締力を求めたならば、制御装置50の条件設定部52に入力、設定する。主制御部51は、条件設定部52に設定された型締力F1〜F4になるように、油圧源30a〜30d、切替弁31a〜31dの動作を制御して、型締シリンダ18(18a、18b、18c、18d)へ油を供給する。例えば、F1T1からF1T2への型締力の切替えは、タイマ53によるT1のタイムアップを主制御部51が把握することにより行うことができる。
【0044】
<第3実施形態>
射出開始時(0sec後)、射出開始からT1sec後、射出開始からT2sec後の、型内の射出成形状態が、図8〜図10に示すものとする。
第1実施形態と同様にして、流動解析により、射出開始時(0sec後)、射出開始からT1sec後、射出開始からT2sec後の、型開力の重心座標(Xg,Yg)、任意の点での型開圧力Pi、型締力の重心座標(Xg’,Yg’)を求める。各経過時における型締力は、第1実施形態で示したように、以下となる。
T0:F1T0、F2T0、F3T0、F4T0
T1:F1T1、F2T1、F3T1、F4T1
T2:F1T2、F2T2、F3T2、F4T2
また、射出開始時(0sec後)、射出開始からT1sec後、射出開始からT2sec後の、図8〜図10に●で示すキャビティ内の任意の位置における、圧力は以下の通りである。これを図示すると、図11の実線で示す通りである。
T0:N1、T1:N1、T3:N2
【0045】
一方、図8〜図10に示すように、キャビティ内の任意の位置(●)において、圧力センサN4を設け、成形品を実際に射出成形する際に、圧力センサN4により型内圧力を経時的に測定する。そして、圧力センサN4により測定された圧力がP1に達したならば、射出開始からの時間がT1であるか否かに拘わらず、型開力重心が(Xg1、Yg1)に対応した型締力にする。また、圧力センサN4により測定された圧力がP2に達したならば、射出開始からの時間がT2であるか否かに拘わらず、型開力重心が(Xg2、Yg2)に対応した型締力にする。予め流動解析によって予測した型開力重心となる時間が、実測とずれる可能性もあるため、任意の点N4の圧力を計測し、その数値の変化から、型開力重心位置を推定するのである。
【0046】
ここで、流動解析の圧力時間履歴と計測のそれがずれる可能性があることを前提としている。このずれは、溶融した樹脂の粘性や摩擦において、流動解析で用いた数値と実際の計測の数値に誤差があり、樹脂が金型内を流動する時間に差があることなどによる。ただし、計測だけとしてしまうと、以下の問題が生じる。
実際に計測する場合は、計測点は少ないことが予想され、最低だと1点となることもあるので、計測の圧力分布から圧力重心を求める精度が落ちる。従って、計測のみで圧力重心の推定が困難な場合があり得る。また、精度を上げるため、何十点もセンサを取り付けることは、金型に多くの細工が必要となり、事実上困難なことがある。
そこで、流動解析だけでなく、実際の計測を組み合わせて、圧力を推定しようというものである。例えば、流動解析の結果のみで制御してもよいが、流動解析で求めたある任意の点での圧力の時間履歴が、実際のその点で計測された圧力の時間履歴に差異が生じる可能性があるため、計測結果から動作を制御する。ところが、前述したとおり、計測点が少ない場合には、圧力重心が計測から求めることが困難なため、流動解析で求めた重心をもとに制御する。このように、解析と実測の結果を組み合わせて成形するのである。
【0047】
第1〜3の実施形態では、各型締力F1〜F4を型締力重心座標と型開力重心座標が一致するように計算し、各型締シリンダ設定型締力の値として決定したが、実際の各型締シリンダの型締力値が、油圧制御の精度もしくは油圧のバラツキ・変動などにより、型締力重心座標と型開力重心座標が、本発明の本質を逸脱しない範囲で、厳密に一致する値とならなくても支障ない。
【0048】
<第4実施形態>
図2に示した各型締シリンダ18a〜18dに油を供給する手順の一例を、図11〜図13を参照しながら説明する。なお、この手順の例は、シリンダ18a、18d、18c、18dの順に、油の供給を停止するものである。また、図11〜図13において、油が通っている配管を実線で、油が通っていない配管を点線で示している。さらに、各油圧源30a〜30dは、吐出量の大きな大ポンプと、吐出量の少ない小ポンプとの組合せで構成されているものとする。さらにまた、図12〜14において、油圧源30a〜30dと切替弁31a〜31dの各々の間、副配管45a〜45dには、ボールチェックバルブなどの逆流防止弁が設けられているが、記載を省略している。
【0049】
(昇圧当初)
昇圧当初は、図11(a)に示すように、全ての油圧源30a〜30dから吐出された油は、全ての主配管40a…、副配管45a…を通って、各型締シリンダ18a〜18dに供給される。昇圧当初は、大流量の油を各型締シリンダ18a〜18dに迅速に供給するためである。このとき、各油圧源30a〜30dは、各々大ポンプが運転されている。
(型締シリンダ18aへの供給停止)
タイバー17aによる型締力が所定値、つまり型締シリンダ18aの型締油圧値が所定値に達すると、型締シリンダ18aへの主配管40aを通しての油の供給を停止する。その場合には、図11(b)に示すように、油圧源30aについて、切替弁31aにより、主配管40aを通る油の供給を停止する。同時に、油圧源30aは、大ポンプの運転から小ポンプの運転に切り替える。また、開閉弁32aを閉じる。したがって、型締シリンダ18aには、油圧源30aの小ポンプから吐出される油が、副配管45aのみを通って、油が供給される。型締シリンダ18b〜18dには、従前通り、主配管40b…、副配管45b…を通って、油が供給される。
この状態を所定時間維持した後に、図12(a)に示すように、油圧源30aを停止して、副配管45aを通る型締シリンダ18aへの油の供給を停止する。このように、型締シリンダ18aへの油の供給停止を2段階にするのは、大流量の油の供給停止を精度よく行なうことが容易でないためである。
【0050】
(型締シリンダ18dへの供給停止)
型締シリンダ18dの型締油圧値が所定値に達すると、油圧源30dについて、切替弁31dにより、主配管40dを通る油の供給を停止する。同時に、油圧源30dは、大ポンプの運転から小ポンプの運転に切り替える。また、開閉弁32dを閉じる。したがって、型締シリンダ18dには、油圧源30dの小ポンプから吐出される油が、副配管45dのみを通って供給される。型締シリンダ18b〜18cには、従前通り、主配管40b…、副配管45b…を通って、油が供給される。この状態を所定時間維持した後に、図12(b)に示すように、油圧源30dを停止して、副配管45dを通る型締シリンダ18dへの油の供給を停止する。
【0051】
(型締シリンダ18cへの供給停止)
型締シリンダ18cの型締油圧値が所定値に達すると、油圧源30cについて、切替弁31cにより、主配管40cを通る油の供給を停止する。同時に、油圧源30cは、大ポンプの運転から小ポンプの運転に切り替える。また、開閉弁32cを閉じる。したがって、型締シリンダ18cには、油圧源30cの小ポンプから吐出される油が、副配管45cのみを通って供給される。型締シリンダ18bには、従前通り、主配管40b…、副配管45b…を通って、油が供給される。この状態を所定時間維持した後に、図13(a)に示すように、油圧源30cを停止して、副配管45cを通る型締シリンダ18cへの油の供給を停止する。
【0052】
(型締シリンダ18bへの供給停止)
型締シリンダ18bの型締油圧値が所定値に達すると、油圧源30bについて、切替弁31bにより、主配管40bを通る油の供給を停止する。同時に、油圧源30bは、大ポンプの運転から小ポンプの運転に切り替える。また、開閉弁32bを閉じる。したがって、型締シリンダ18bには、油圧源30bの小ポンプから吐出される油が、副配管45bのみを通って供給される。この状態を所定時間維持した後に、図13(b)に示すように、油圧源30bを停止して、副配管45bを通る型締シリンダ18cへの油の供給を停止する。これで、全ての型締シリンダ18a〜18dへの油の供給が停止され、タイバー17a〜17dによる型締力で固定金型14および移動金型15が型締される。
【0053】
第4実施形態では、昇圧当初に主配管と副配管の両方の配管を通して油を供給しているが、これに代えて、昇圧当初は主配管のみを使い、各型締シリンダの型締油圧値が所定値に達した時点で、切替弁31により油の供給配管を主配管から副配管に切り替えて油を供給しても良い。
第4実施形態では、型締シリンダの型締油圧値が所定値に達した後、油圧源の小ポンプから吐出される油が、副配管のみを通って供給される状態を所定の時間維持した後、油圧源を停止しているが、型締シリンダの油圧を所定の型締油圧値に積極的に維持する為に、油圧源を停止せず油の供給を継続しても良い。
【0054】
第4実施形態では、油圧配管の基本設計が、主配管(40等)のみで構成されている場合に、副配管45a等を加えることで、各型締シリンダ18a〜18dに油を独立して供給し、また供給量を制御することができる。これにより配管のレイアウト設計などに大幅な設計変更を必要としない上、昇圧当初の大流量の油を供給する大径の主配管は共有配管とし纏めることが出来、追加する配管は小流量の油を供給する小径配管のみであることから、スペース的にもコスト的にも小さく抑えることが出来る。
以上では、型締シリンダ18a、18d、18c、18bの順に、油の供給を停止する例について説明したが、この順に限るものでない。第1〜第3実施形態に従って、各型締シリンダ18a〜18dに油を供給できることはいうまでもない。また、油圧配管は、昇圧当初に全ての複数の油圧源から油の供給を行うことができ、その後、各油圧源からの油の供給を独立して制御できるものであれば、図2(図12〜図14)に示すものに限らない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施の形態における型締装置の構成を示す部分断面図である。
【図2】図1に示す型締装置に繋がる油圧配管を示す図である。
【図3】図2に示す油圧配管の制御系を示す図である。
【図4】流動解析により型締力を特定する方法を説明する図である。
【図5】射出開始からの経過時間とタイバーによる型締力の関係を示すグラフである。
【図6】射出開始からの経過時間とタイバーによる型締力の関係を示すグラフである。
【図7】型内圧力の測定値に基づいて型開力を推定する方法を説明する図である。
【図8】(a)は射出開始時における、型内の射出状態を模式的に示す図であり、(b)は射出開始からT1sec経過時における、型内の射出状態を模式的に示す図である。
【図9】射出開始からT2sec経過時における、型内の射出状態を模式的に示す図である。
【図10】キャビティ内の任意の位置における圧力と射出開始時からの経過時間との関係を示す図である。
【図11】(a)は全ての油圧源から吐出された油を全ての主配管、副配管を通って、型締シリンダに供給する様子を示す図、(b)は型締シリンダ18aへの油の供給を停止する際の、主配管、副配管における油の通過状況を示す図である。
【図12】(a)は型締シリンダ18dへの油の供給を停止する際の、主配管、副配管における油の通過状況を示す図、(b)は型締シリンダ18cへの油の供給を停止する際の、主配管、副配管における油の通過状況を示す図である。
【図13】(a)は型締シリンダ18bへの油の供給を停止する際の、主配管、副配管における油の通過状況を示す図、(b)は全ての型締シリンダ18への油の供給を停止した際の、主配管、副配管における油の通過状況を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10…型締装置
11…ベースフレーム、12…固定ダイプレート、13…移動ダイプレート、14…固定金型、
15…移動金型、16…ラム、17、17a,17b,17c,17d…タイバー、
18,18a,18b,18c,18d…型締シリンダ、29…ハーフナット
30a,30b,30c,30d…油圧源、31a,31b,31c,31d…切替弁
32a,32b,32c,32d…開閉弁、
40,40a,40b,40c,40d,41,41a,41b,42,42c,42d…主配管
45a,45b,45c,45d…副配管
50…制御装置
51…主制御部、52…条件設定部、53…タイマ
M1、M2…成形品、N1、N2、N3、N4…圧力センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型を保持する固定ダイプレートと、
移動金型を保持する移動ダイプレートと、
前記移動ダイプレートを前記固定ダイプレートに対して進退移動させるダイプレート移動手段と、
前記固定ダイプレートと前記移動ダイプレートとを結合加圧する型締手段とを備え、
前記型締手段は、
前記固定ダイプレート又は移動ダイプレートのいずれか一方に設けられる複数の型締シリンダと、
前記型締シリンダのラムに一端が接続され、他端に等ピッチの複数のリング溝又はねじ溝を有する複数のタイバーと、
前記固定ダイプレート又は移動ダイプレートの他方に配設され前記複数のリング溝又はねじ溝に噛合可能なハーフナットと、
複数の前記型締シリンダにそれぞれ連通する油圧配管と、
前記油圧配管に油を供給する油圧ポンプを備える油圧源と、
前記油圧源からの油圧配管への油の供給を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
型内圧力が型盤中心に対し対称でない成形に対して、推定された型内圧力による型開力に対応して決定された、複数の前記各タイバーによる型締力に基づいて、前記油の供給を制御することを特徴とする型締装置。
【請求項2】
前記各タイバーによる型締力は、
予め流動解析を行って、型内圧力を推定すると共に、前記型内圧力による前記型開力の重心を求め、
前記型開力の重心と、複数の前記各タイバーによる前記型締力の重心とが一致するように決定されることを特徴とする請求項1の型締装置。
【請求項3】
前記流動解析により、
前記型開力の重心を射出工程の進捗に対して予め求めておき、
前記射出工程の進捗により変化する前記型開力の重心と、複数の前記各タイバーによる前記型締力の重心とが一致するように、複数の前記各タイバーによる前記型締力が決定し、前記射出工程の進捗に応じて前記型締力を切り替え制御することを特徴とする請求項2の型締装置。
【請求項4】
前記射出工程の進捗に応じた複数の前記各タイバーによる型締力の切り換えが、前記射出工程に応じたタイマのタイムアップにより行われることを特徴とする請求項3の型締め装置。
【請求項5】
前記型内圧力による型開力の推定を、所定の位置の前記型内圧力の測定値に基づいて行うことを特徴とする請求項1の型締装置。
【請求項6】
流動解析により、所定の位置での型内圧力と、前記型内圧力による型開力の重心を、射出工程の進捗に対して求めておき、射出工程の進捗により変化する前記所定の位置での型内圧力値と、前記型開力、および当該型開力の重心に対し、前記型内圧力の測定値が予め求めた前記所定の位置での型内圧力値に到達した時点で、前記流動解析により予め求めた前記型内圧力による型開力および型開力の重心対して前記複数の各タイバーにより前記ダイプレートに負荷する型締力の重心が一致するように、前記各タイバーに負荷する型締油圧値をそれぞれ決定し、前記決定した各型締油圧値になるように各タイバーへの供給油圧を分配する制御装置を備えたことを特徴とする請求項5の型締装置。
【請求項7】
複数の前記型締シリンダに対応する複数の前記油圧源を備え、
前記制御装置は、
前記各型締シリンダに向けて前記油を供給する際に、
昇圧当初は全ての前記油圧源から吐出された前記油を共通の配管を通して前記各型締シリンダに供給し、
昇圧過程において、各型締シリンダに対応する所定の各型締油圧値に達した時点で、所定の型締油圧値に達した当該型締シリンダに対しては前記共通の配管を通しての前記油圧源からの前記油の供給を停止するとともに、前記共通の配管とは独立した油圧源および油圧配管のみから油の供給を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の型締装置。
【請求項8】
固定金型を保持する固定ダイプレートと、
移動金型を保持する移動ダイプレートと、
前記移動ダイプレートを前記固定ダイプレートに対して進退移動させるダイプレート移動手段と、
前記固定ダイプレートと前記移動ダイプレートとを結合加圧する型締手段とを備え、
前記型締手段は、
前記固定ダイプレート又は移動ダイプレートのいずれか一方に設けられる複数の型締シリンダと、
前記型締シリンダのラムに一端が接続され、他端に等ピッチの複数のリング溝又はねじ溝を有する複数のタイバーと、
前記固定ダイプレート又は移動ダイプレートの他方に配設され前記複数のリング溝又はねじ溝に噛合可能なハーフナットと、
複数の前記型締シリンダにそれぞれ連通する油圧配管と、
前記油圧配管に油を供給する油圧ポンプを備え、複数の前記型締シリンダに対応する油圧源と、
前記油圧源から前記油圧配管への前記油の供給を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記各型締シリンダに向けて前記油を供給する際に、
昇圧当初は全ての前記油圧源から吐出された前記油を共通の配管を通して前記各型締シリンダに供給し、
昇圧過程において、各型締シリンダに対応する所定の各型締油圧値に達した時点で、当該型締シリンダに対しては前記共通の配管を通しての前記油圧源からの前記油の供給を停止するとともに、前記共通の配管とは独立した油圧源および油圧配管のみから油の供給を行うことを特徴とする型締装置。
【請求項1】
固定金型を保持する固定ダイプレートと、
移動金型を保持する移動ダイプレートと、
前記移動ダイプレートを前記固定ダイプレートに対して進退移動させるダイプレート移動手段と、
前記固定ダイプレートと前記移動ダイプレートとを結合加圧する型締手段とを備え、
前記型締手段は、
前記固定ダイプレート又は移動ダイプレートのいずれか一方に設けられる複数の型締シリンダと、
前記型締シリンダのラムに一端が接続され、他端に等ピッチの複数のリング溝又はねじ溝を有する複数のタイバーと、
前記固定ダイプレート又は移動ダイプレートの他方に配設され前記複数のリング溝又はねじ溝に噛合可能なハーフナットと、
複数の前記型締シリンダにそれぞれ連通する油圧配管と、
前記油圧配管に油を供給する油圧ポンプを備える油圧源と、
前記油圧源からの油圧配管への油の供給を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
型内圧力が型盤中心に対し対称でない成形に対して、推定された型内圧力による型開力に対応して決定された、複数の前記各タイバーによる型締力に基づいて、前記油の供給を制御することを特徴とする型締装置。
【請求項2】
前記各タイバーによる型締力は、
予め流動解析を行って、型内圧力を推定すると共に、前記型内圧力による前記型開力の重心を求め、
前記型開力の重心と、複数の前記各タイバーによる前記型締力の重心とが一致するように決定されることを特徴とする請求項1の型締装置。
【請求項3】
前記流動解析により、
前記型開力の重心を射出工程の進捗に対して予め求めておき、
前記射出工程の進捗により変化する前記型開力の重心と、複数の前記各タイバーによる前記型締力の重心とが一致するように、複数の前記各タイバーによる前記型締力が決定し、前記射出工程の進捗に応じて前記型締力を切り替え制御することを特徴とする請求項2の型締装置。
【請求項4】
前記射出工程の進捗に応じた複数の前記各タイバーによる型締力の切り換えが、前記射出工程に応じたタイマのタイムアップにより行われることを特徴とする請求項3の型締め装置。
【請求項5】
前記型内圧力による型開力の推定を、所定の位置の前記型内圧力の測定値に基づいて行うことを特徴とする請求項1の型締装置。
【請求項6】
流動解析により、所定の位置での型内圧力と、前記型内圧力による型開力の重心を、射出工程の進捗に対して求めておき、射出工程の進捗により変化する前記所定の位置での型内圧力値と、前記型開力、および当該型開力の重心に対し、前記型内圧力の測定値が予め求めた前記所定の位置での型内圧力値に到達した時点で、前記流動解析により予め求めた前記型内圧力による型開力および型開力の重心対して前記複数の各タイバーにより前記ダイプレートに負荷する型締力の重心が一致するように、前記各タイバーに負荷する型締油圧値をそれぞれ決定し、前記決定した各型締油圧値になるように各タイバーへの供給油圧を分配する制御装置を備えたことを特徴とする請求項5の型締装置。
【請求項7】
複数の前記型締シリンダに対応する複数の前記油圧源を備え、
前記制御装置は、
前記各型締シリンダに向けて前記油を供給する際に、
昇圧当初は全ての前記油圧源から吐出された前記油を共通の配管を通して前記各型締シリンダに供給し、
昇圧過程において、各型締シリンダに対応する所定の各型締油圧値に達した時点で、所定の型締油圧値に達した当該型締シリンダに対しては前記共通の配管を通しての前記油圧源からの前記油の供給を停止するとともに、前記共通の配管とは独立した油圧源および油圧配管のみから油の供給を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の型締装置。
【請求項8】
固定金型を保持する固定ダイプレートと、
移動金型を保持する移動ダイプレートと、
前記移動ダイプレートを前記固定ダイプレートに対して進退移動させるダイプレート移動手段と、
前記固定ダイプレートと前記移動ダイプレートとを結合加圧する型締手段とを備え、
前記型締手段は、
前記固定ダイプレート又は移動ダイプレートのいずれか一方に設けられる複数の型締シリンダと、
前記型締シリンダのラムに一端が接続され、他端に等ピッチの複数のリング溝又はねじ溝を有する複数のタイバーと、
前記固定ダイプレート又は移動ダイプレートの他方に配設され前記複数のリング溝又はねじ溝に噛合可能なハーフナットと、
複数の前記型締シリンダにそれぞれ連通する油圧配管と、
前記油圧配管に油を供給する油圧ポンプを備え、複数の前記型締シリンダに対応する油圧源と、
前記油圧源から前記油圧配管への前記油の供給を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記各型締シリンダに向けて前記油を供給する際に、
昇圧当初は全ての前記油圧源から吐出された前記油を共通の配管を通して前記各型締シリンダに供給し、
昇圧過程において、各型締シリンダに対応する所定の各型締油圧値に達した時点で、当該型締シリンダに対しては前記共通の配管を通しての前記油圧源からの前記油の供給を停止するとともに、前記共通の配管とは独立した油圧源および油圧配管のみから油の供給を行うことを特徴とする型締装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−110947(P2010−110947A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284142(P2008−284142)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(505139458)三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社 (50)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(505139458)三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社 (50)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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