説明

基板上のフィルム領域をレーザ結晶化処理してほぼ均一にするプロセス及びシステム、及びこのフィルム領域の構造

【課題】基板上に均一な領域を作製して、この領域内にTFTデバイスを設けることを可能にするプロセス及びシステムを提供する。
【解決手段】薄膜フィルム試料(例えば半導体薄膜フィルム)を処理するプロセス及びシステム、並びに薄膜フィルム構造を提供する。特に、ビーム発生器を制御して、少なくとも1本のビームパルスを放出することができる。このビームパルスで、フィルム試料の少なくとも一部分を十分な強度で照射して、試料のこうした部分を厚さ全体にわたって完全に融解させて、このビームパルスは所定形状を有する。フィルム試料のこの部分が再凝固して、再凝固した部分の少なくとも一部が、第1領域及び第2領域から成る。再凝固時に、第1領域は大粒子を含み、第2領域は核化によって形成された領域を有する。第1領域は第2領域を包囲し、第2領域の粒子構造とは異なる粒子構造を有する。第2領域は、この領域上に電子デバイスの活性領域を設けるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国特許暫定出願番号60/405,084、2002年8月19日出願にもとづいて優先権を主張し、この特許文献は参考文献として本明細書に含める。
【0002】
(政府権利の通知)
米国政府は、米国防総省高等研究計画局(DARPA:Defense Advanced Research Project Agency)の裁定番号N66001-98-1-8913の関係にもとづいて、本発明における特定の権利を有する。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、フィルムを処理する技法に関するものであり、特に、フィルムを処理して、薄膜フィルムトランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)の少なくとも活性領域を内部に配置するための、ほぼ均一な粒子領域を得ることに関するものである。
【0004】
(発明の背景)
シリコンフィルムのような半導体フィルムは、液晶表示デバイスに画素を提供するために用いることが知られている。こうしたフィルムは以前には、エキシマレーザ・アニール(ELA:Excimer Laser Annealing)法によって処理され(即ち、エキシマレーザによって照射されて結晶化され)ていた。しかし、こうした既知のELA法を用いて処理した半導体フィルムにはしばしば、微小構造的な不均一性の問題があり、この問題が、こうしたフィルム上に製造した薄膜フィルムトランジスタ(TFT)デバイスの不均一な性能として現われていた。この不均一性は一般に、半導体フィルムを照射するエキシマレーザのパルス間の出力エネルギーの変動によって生じる。上述した不均一性は、例えば、ディスプレイの1つの領域内の画素の輝度レベルを他の領域内の画素の輝度レベルと比較した際の、目に付く差としてとして現われる。
【0005】
【特許文献1】米国特許5,766,989 こうした不均一性を低減あるいは解消するための、「従来の」ELA(ラインビームELAとしても知られている)プロセスの改良には、多大な労力が注がれてきた。例えば、Maegawa他に付与された米国特許出願番号5,766,989は、多結晶薄膜フィルムを形成するためのELA法、及び薄膜フィルムトランジスタの製造方法を記載し、その開示全体を参考文献として本明細書に含める。この文献は、基板全体にわたる特性の不均一性の問題に応えようとするものであり、そして、こうした不均一性を明らかに抑制するためのいくつかの選択肢を提供する。
【0006】
しかし、従来のELA法で用いるビーム整形法の詳細事項は、半導体フィルムにおける不均一性を低減することを極めて困難にする。このことは特に、上述したエネルギーのフリューエンス(流束量)がビームパルス毎に異なり、このため、照射、凝固、及び結晶化時に、半導体薄膜フィルムのいくつかの部分に不均一性がもたらされることに起因する。
【0007】
【特許文献2】米国特許6,322,625
【特許文献3】米国特許出願 09/390,537 逐次的横方向結晶化(SLS:Sequential Lateral Solidification)を用いて大粒子の単結晶あるいは多結晶シリコン薄膜フィルムを製造する技法は、現在技術において既知である。例えば、Imに付与された米国特許番号6,322,625、及び米国特許出願番号09/390,537には、エネルギーを制御可能なレーザパルス及びシリコン試料の小規模な平行移動を用いて、多結晶または単結晶のシリコン構造を成長させて、逐次横方向結晶化を実現する特に有利な装置及び方法が記載され、これらの特許文献は本願の共同譲受人に譲渡され、参考文献として本明細書に含める。これらの特許文献には、基板上の半導体フィルムの少なくとも一部分を、適切な放射パルスで照射して、フィルムのこれらの部分を厚さ全体にわたって完全に融解させることが、非常に詳細に説明されている。このようにして、融解した半導体材料が凝固する際に、結晶構造が、半導体フィルムの完全に融解されていない選択領域から凝固中の部分内に成長する。この文献は、核化が生じ得る領域内で小粒子の成長が生じ得ることを述べている。現在技術では既知のように、こうした核化は、核化の領域内に小粒子材料を生成する。
【0008】
断面積の大きいビームパルスを用いた特定領域の照射を利用する、米国特許番号6,322,625に記載の逐次横方向結晶化(SLS)技術の通常の知識を有する者にとって以前から既知であるように、こうした特定領域内で横方向の結晶成長が達成される前に、こうした特定領域内に核化が生じることがあり得る。このことは一般に不所望であると考えられ、このため、これらの領域内にTFTデバイスを配置することは避けられてきた。
【0009】
特定のTFTデバイスは高い性能レベルを必要としないが、特定用途では良好な均一性が必要になる。従って、半導体薄膜フィルム上の同一領域を多数回照射する必要なしに、均一な小粒子材料を内部に生成することが可能な半導体フィルムを含む基板を作製することが好ましい。
【0010】
(発明の概要)
本発明の1つの目的は、基板上に概ね均一な領域を作製して、こうした領域内にTFTデバイスが存在することを可能にする、改善されたプロセス及びシステムを提供することにある。本発明の他の目的は、こうした領域が(ビームパルスのしきい値挙動にもとづいて)核化し、そして凝固して、再凝固時に、核化した領域が均一な小粒子材料を有する領域になることを可能にすることにある。本発明の更に他の目的は、液晶ディスプレイあるいは有機発光ダイオード・ディスプレイに使用する半導体フィルムを処理する速度を向上させることにある。本発明の更に他の目的は、半導体薄膜フィルムのほとんどの部分を再照射する必要なしに、半導体薄膜フィルムの各照射領域を1回だけ照射して、なおも均一性の良好な材料を内部に提供できるようにすることにある。
【0011】
これらの目的の少なくとも一部、並びに以下の説明を参照すれば明らかになる他の目的によれば、前記核化した小粒子材料が極めて良好な均一性を有するべきである、ということがわかる。こうした核化領域を融解中のビームパルスのエネルギー密度が変動していても、こうした核化領域内の粒径が大幅には変動すべきでない、ということもわかる。例えば、約0.1μmの厚さを有する半導体フィルムの場合には、各ビームパルスのエネルギー密度が50mJ/cm2以上であるべきである。更に、ビームの最小強度が上述したしきい値以上である限り、薄膜フィルムにおける均一性は、半導体フィルム上に入射するビームの空間的な不均一性に対して不感応であることも判明している。
【0012】
本発明の好適例では、半導体薄膜フィルム試料を処理するプロセス及びシステムが提供される。特に、ビーム発生器を制御して、少なくとも1本のビームを放出することができる。このビームパルスで、試料の少なくとも一部分を十分な強度で照射して、試料のこうした部分を厚さ全体にわたって完全に融解させる。こうしたビームパルスは所定の形状を有することができる。フィルム試料のこの部分は再凝固可能であり、再凝固した部分は、第1領域及び第2領域から成る。これらの領域が再凝固すると、前記第1領域は大粒子を含み、前記第2領域は核化によって形成された小粒子の領域を有する。前記第1領域は前記第2領域を包囲し、そして前記第2領域の粒子構造とは異なる粒子構造を有する。前記第2領域は、この領域上に薄膜フィルムトランジスタ(TFT)の活性領域を設けるように構成される。
【0013】
本発明の他の好適例では、前記第1領域が、第1境界、及びこの第1境界とは反対側に、第1境界と平行に設けた第2境界を有する。また、前記第2領域は、第3境界、及びこの第3境界とは反対側に、第3境界と平行に設けた第4境界を有する。前記第1境界と前記第2境界との距離は、前記第3境界と前記第4境界との距離より小さい。前記第2領域は、少なくとも1つの画素に対応する。これに加えて、前記第2領域は、TFTのすべての部分を断面上に設けるための断面を有することができる。前記第1領域の一部分は、この領域上にTFTの小部分を含むこともできる。前記第1領域の前記第2領域に対する大きさ及び位置は、前記第1領域によるTFTの性能に対する影響をなくすか、あるいは無視できる程度にするように設定することができる。
【0014】
本発明の更に他の好適例によれば、薄膜フィルム試料を所定距離だけ平行移動することができる。更なるビームパルスで、フィルム試料の更なる部分を照射することができる。この更なる部分は、前記所定距離にほぼ相当する部分から少し離して設ける。フィルム試料のこの更なる部分は再凝固することができ、再凝固した部分は前記第3領域及び前記第4領域から成る。これに加えて、前記第3領域が前記第4領域を包囲して、前記第3領域の少なくとも一部分が前記第1領域の少なくとも一部分に、少なくとも部分的にオーバラップ(重複)することができる。更に、前記第3領域の再凝固時に、前記第3領域が横方向に成長した粒子を有し、前記第4領域が核化した領域を有する。前記第4領域は、前記第2領域の端部から離れた所に設けた端部を具えることもできる。更に、前記第4領域が、前記第2領域の境界端に近接した端部を具えることができ、前記第4領域の端部は必ずしも、前記第1領域のいずれかの部分内に延びていなくてもよい。前記ビームパルスは、前記更なるビームパルスのフリューエンスとほぼ同じフリューエンスを有することができる。
【0015】
本発明の更に他の好適例では、薄膜フィルム試料を所定距離だけ平行移動することができる。そして、このフィルム試料の更なる部分を、ビームパルスを用いて照射することができる。この更なる部分は、前記所定距離にほぼ相当する部分から少し離して設ける。このフィルム試料は、予めパターン化したシリコン薄膜フィルム試料とするか、あるいは、連続したシリコン薄膜フィルムとすることができる。これに加えて、前記薄膜フィルム試料を所定距離だけ平行移動して、このフィルム試料の更なる部分を、少なくとも1本のビームパルスを用いて照射することができる。前記更なる部分は、前記所定距離に相当する部分から少し離して設けることが好ましい。これに加えて、前記フィルム試料を、前記フィルム試料の照射すべき前記更なる部分に対する事前計算した第1相対位置に移動することができる。こうした移動の後に、このフィルム試料を、前記所定距離とは異なる距離にある事前計算した第2相対位置に設けることができる。
【0016】
本発明の別な好適例によれば、前記薄膜フィルム試料を再び所定距離だけ平行移動することができる。そして、このフィルム試料の平行移動を停止して、このフィルム試料の振動は静止させることができる。その後に、この薄膜フィルムの更なる部分を、少なくとも1本のビームパルスを用いて照射して、この更なる部分は、前記所定距離にほぼ相当する部分から少し離して設ける。そして、前記フィルム試料のこの部分を更なるビームパルスで照射して、この部分は再凝固することができる。前記ビームパルスのフリューエンスは、この更なるビームパルスのフリューエンスとは異なる(例えば、前記ビームパルスのフリューエンス未満である)。
【0017】
本発明の更に他の好適例によれば、前記第1領域の位置を、この領域上にTFTの活性領域が来ることを避けるように定める。前記ビームパルスが複数の小ビームを含み、そして前記第1及び第2領域をこれらの小ビームによって照射することが好ましい。前記半導体薄膜フィルム試料は、シリコン薄膜フィルム試料とすることができ、そしてできれば、シリコン、ゲルマニウム、あるいはこれらの合金で組成する。前記半導体薄膜フィルムは、およそ100Å〜10,000Åの厚さを有することができる。前記ビームパルスの一部をマスクして、少なくとも1本のマスクされたビームパルスを生成して、このマスクされたビームパルスを用いて、前記フィルム試料の前記部分を照射することができる。前記第1領域内に設けた大きな粒子は横方向に成長した粒子とすることができ、そして、前記第1領域の横方向に成長した粒子は等軸の粒子とすることができる。
【0018】
本発明の更に他の好適例によれば、第1領域及び第2領域を有する半導体薄膜フィルム試料が提供される。この第1領域は、内部に大きい粒子を有することが好ましい。前記第2領域は、前記第1領域によって包囲され、前記半導体薄膜フィルムの少なくとも一部分であり、内部に前記第2領域が存在する部分の核化によって形成した領域を含む。前記第1領域の粒子の構造は、前記第2領域の粒子の構造とは異なる。前記第2領域は、この領域上に薄膜フィルムトランジスタ(TFT)の活性領域を設けるように構成することが好ましい。
【0019】
本願の添付図面は、本願の開示に含まれその一部を構成し、本発明の好適な実施例を示し、そして本発明の原理を説明する役割をする。
【0020】
(実施例の詳細な説明)
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
なお、本発明による種々のシステムを利用して、半導体(例えばシリコン)フィルム上の、内部に均一な材料を有する1つ以上の領域を生成、核化、凝固、及び結晶化して、これにより、薄膜フィルムトランジスタ(TFT)の少なくとも活性領域をこうした領域内に設けることができる。こうした領域を達成するためのシステム及びプロセスの好適な実施例、並びに結晶化した半導体薄膜フィルムを生成する好適な実施例について、以下に更に詳細に説明する。しかし本発明は、以下に説明するシステム、プロセス、及び半導体薄膜フィルムに決して限定されるものではないことは明らかである。
【0021】
【特許文献4】米国特許出願 09/526,585 SLSの連続的な動きを提供する特定のシステムは、米国特許出願番号09/526,585(以下”585出願”と称する)に記載されており、その開示全体を参考文献として本明細書に含める。本発明の好適な実施例によるほぼ同様のシステムを採用して、上述した半導体フィルムの、核化して、凝固して、結晶化した部分を生成することができ、この部分上に、TFTデバイスの活性領域を設けることができる。特に、本発明によるシステムを試料170に対して使用し、試料170はアモルファス・シリコン薄膜フィルムを有し、このアモルファス・シリコン薄膜フィルムを照射ビームパルスによって照射して、この半導体薄膜フィルムの特定領域の核化、これに続く凝固、及び結晶化を促進する。好適なシステムは、照射ビーム(例えばレーザビーム)を放出するビーム源110(例えば、Lambda Phisik(登録商標)の型式LPX-315I XeClパルス・エキシマレーザ)、前記レーザビームのエネルギー密度を変更するための制御可能なビーム・エネルギー密度変調器120、MicroLas(登録商標)の2板可変減衰器(アッテネータ)130、ビーム・ステアリング(操舵)鏡140、143、147、160及び162、ビーム拡大(エキスパンダー)及びコリメート(視準)レンズ141及び142、ビーム・ホモジナイザ(均質化器)144、コンデンサー(集光)レンズ145、フィールド(視野)レンズ148、平行移動ステージ(図示せず)に装着可能な投射マスク150、4×〜6×(倍)のアイピース(接眼レンズ)161、制御可能なシャッタ152、放射ビームパルス164を、試料平行移動ステージ180上に装着した処理すべき半導体薄膜フィルムを有する試料170上に集束(合焦)させるための多素子の対物レンズ163、振動絶縁兼自己水準器システム191、192、193及び194上に支持されたグラナイト・ブロック光学ベンチ190、及びビーム源110、ビーム・エネルギー密度変調器120、可変減衰器130、シャッタ152、及び試料平行移動ステージ180に結合された演算装置100(例えば、本発明によるプログラムを実行する汎用コンピュータ、あるいは特定目的のコンピュータ)を具えている。
【0022】
試料平行移動ステージ180を演算装置100によって制御して、試料170の平面内のX−Y方向、並びにZ方向の平行移動を行うことが好ましい。このようにして、演算装置100は、試料170の照射ビームパルス164に対する相対位置を制御する。照射ビームパルスの反復度及びエネルギー密度も、コンピュータ100によって制御する。ビーム源110(例えばパルス・エキシマレーザ)の代わりに、試料170の半導体(例えばシリコン)薄膜フィルムの選択領域を、以下に説明する方法で厚さ全体にわたって完全に融解させるのに適した他の既知の短いエネルギーパルスの発生源によって、照射ビームパルスを発生させることができることは、当業者にとって明らかである。こうした既知の発生源は、パルス固体レーザ、チョップ連続波レーザ、パルス電子ビーム、パルス・イオンビーム、等とすることができる。一般に、ビーム源110によって発生した放射ビームパルスは、10mJ/cm2〜1J/cm2の範囲のビーム強度、10〜103nsの範囲のパルス持続時間、及び10Hz〜104Hz範囲のパルス反復度を提供する。
【0023】
図1Aに示すシステムの好適な実施例では、演算装置100が、試料ステージ180による試料170の平行移動を制御して、本発明による試料170の半導体薄膜フィルムの処理を実行するが、適切なマスク/レーザビーム平行移動ステージ(図を簡単にするために図示せず)に装着したマスク150及び/またはビーム源110を制御すべく演算装置100を適応させて、照射ビームパルス164の強度パターンを、試料170の半導体薄膜フィルムに対して、制御されたビーム径路に沿って移動(シフト)することができる。照射ビームパルスの強度パターンを移動する他の可能な方法は、コンピュータ100にステアリング鏡を制御させることである。図1の好適なシステムは、試料170のシリコン薄膜フィルムの処理を、以下に更に詳細に説明する方法で実行するために用いることができる。マスク150は、本発明の好適なシステムによって、結果的なマスクされたビームパルス164のプロファイル(外形、形状)を良好に規定するために、及び、半導体薄膜フィルムの各部分がこうしたマスクされたビームパルス164によって照射され、そして結晶化する際に、これらの部分の端部(エッジ)領域を減らすために用いられるべきである。
【0024】
図1Bに示すように、試料170の半導体薄膜フィルム175は、例えばガラス基板172上に直接配置することができ、そして、1つ以上の中間層177を間に挟んだ上に設けることもできる。半導体薄膜フィルム175は、少なくともその必要な特定領域が厚さ全体にわたって完全に融解可能である限りは、100Å〜10,000Å(1μm)の厚さを有することができる。本発明の好適な実施例によれば、半導体薄膜フィルム175は、シリコン、ゲルマニウム、ゲルマニウム化シリコン(SiGe)で組成することができ、これらのすべてが低レベルの不純物を有することが好ましい。半導体薄膜フィルム175用に、他の元素または半導体材料を利用することもできる。半導体薄膜フィルム175の直下に位置する中間層177は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si34)、及び/または酸化物、窒化物、あるいは試料170の半導体薄膜フィルム175の指定領域内の核化及び小粒子の成長を促進するのに適した他の材料で組成することができる。ガラス基板172の温度は、室温〜800℃にすることができる。ガラス基板172のより高い温度は、基板172を予熱することによって達成することができ、ガラス基板が半導体薄膜フィルム175に近接しているため、この予熱は、試料170の半導体薄膜フィルム175の核化して再凝固し、そして結晶化した領域内に大きな粒子が効果的に成長することを可能にする。
【0025】
図2に、試料170の半導体薄膜フィルム175(例えばアモルファス・シリコン薄膜フィルム)の好適な実施例の拡大図、及びビームパルス164の、試料170の位置に対する相対的な平行移動径路を示す。好適な試料170は、Y方向40cm×X方向30cmの好適な寸法を有する。試料170は、概念的に多数の列(例えば、1番目の概念的な列205、2番目の概念的な列206、3番目の概念的な列207、等)に分割することができる。概念的な各列の位置/大きさを演算装置100の記憶装置に記憶して、演算装置100が後にこれらの位置/大きさを利用して、試料170の平行移動を制御し、かつ/あるいはビーム源110によって半導体薄膜フィルム175のこれらの位置上、あるいは記憶している位置にもとづく他の位置上にビームを発射することができる。列205、206、207等の各々は、例えばY方向1/2cm×X方向30cmの寸法にすることができる。従って、試料170をY方向40cmにすれば、資料170は概念的に80列に分割することができる。資料170は、他の寸法(例えば1cm×30cmの列、2cm×30cmの列、3cm×30cmの列、等)を有する列に分割することもできる。実際に、ビームパルス164がこうした列内の半導体薄膜フィルム175の特定領域を照射して完全に融解して、これにより、核化、凝固、及びこうした領域内の小粒子の成長を促進して、フィルム試料175上に均一な領域を形成して、前記特定領域の不均一性に関心を払うことなしにTFTデバイスの少なくとも活性領域を完全に前記特定領域内に置くことができる限りは、試料170の概念的な列の寸法に対する制約は全くない。各列の位置/寸法は、演算装置100の記憶装置に記憶されて、こうした演算装置100によって、平行移動ステージ180のビームパルス164に対する平行移動を制御するため、及び/またはビーム源110によってビーム111を発射するために利用される。
【0026】
半導体薄膜フィルム175はビームパルス164によって照射することができ、ビームパルス164は、図3に示す本発明の第1の好適な実施例によるマスク150を用いてパターン化される。第1の好適なマスク150は、その断面積がビームパルス164の断面積よりも大きくなるような大きさにする。このようにして、マスク150がビームパルスを、マスク150の開口あるいは透明領域によって指向された形状及びプロファイルを有するようにパターン化することができる。この好適な実施例では、マスク150が、ビームブロック(阻止)部分155及び開口または透明部分157を具えている。ビームブロック155は、この部分155に当たるビームパルスの領域が、この部分を通って照射されることを防止して、これにより、図1Aに示す本発明の好適なシステムの光学系に更に入って、試料170上に設けた半導体薄膜フィルムの対応する領域を照射することを防止する。これとは対照的に、開口または透明部分157は、ビームパルス164の、断面が部分157に対応する部分が、本発明によるシステムの光学系に入って、半導体薄膜フィルム175の対応する領域を照射することを可能にする。このようにして、マスク150はビーム164を、試料170の半導体薄膜フィルム175の所定部分に当たるようにパターン化することができ、これについては以下で更に詳細に説明する。
【0027】
ここで、本発明によるプロセスの好適な実施例について、図4A〜図4Fに示す試料170の半導体薄膜フィルム175の照射を参照しながら説明する。本発明のこの好適なプロセスでは、ビーム111を図3の好適なマスク150によって整形して、図2に、試料170の半導体薄膜フィルム175の好適な照射及び/または投射を示す。例えば、マスク150または試料平行移動ステージ180のいずれかを移動することによって、試料170をビーム164に対して平行移動して、試料170の半導体薄膜フィルム175の選択領域を照射することができる。以上の目的のために、レーザビーム149の長さ及び幅を、X方向1cm×Y方向1/2cm(例えば矩形)にして、図3のマスク150によって整形可能にする。しかし、レーザビームパルス149はこうした形状及び大きさに限定されないことは明らかである。実際に、レーザビーム149の他の形状及び/または大きさ(例えば正方形、三角形、円形、等)ももちろん達成可能であることは、当該技術の通常の知識を有する者にとって明らかである。
【0028】
試料170を概念的に列205、206、207等に分割した後に、(演算装置100を用いてビーム源110を作動させるか、あるいはシャッタ130を開放することによって)レーザビームパルス111を活性化して、半導体薄膜フィルム175から離れた第1位置220に当たるレーザパルスの小ビーム164を生成する。そして、演算装置100の制御下で、試料170をX方向に向けて加速して平行移動して、第1ビーム径路225の固定位置のビームに対して所定速度に到達させる。
【0029】
本発明のプロセスの1つの好適な変形例では、好適には試料170のレーザビームパルス149に対する移動速度が所定速度に達した際に、小ビームパルス164が試料170の第1端210’に到達することができる。そして、試料170を連続的に(即ち停止させずに)所定速度でX方向に平行移動して、これにより、第2ビーム径路230の全長にわたって、小ビームパルス164が試料170の連続的な部分を照射し続けるようにする。
【0030】
第1端210’を通過した後に、ビームパルス164は半導体薄膜フィルム175の第1領域310に当たってこの領域を照射して、図4Aに示すように、この照射は、この領域を厚さ全体にわたって融解させるのに十分な強度で行うことが好ましい。そして、図4Bに示すように、この第1領域310は凝固して結晶化することができ、これにより、この領域内に2つの小領域、即ち、第1の小粒子領域315及び第1の横方向成長領域318が形成される。第1の小粒子領域315は、第1領域310内の大部分の核化の後に形成される。この領域315の寸法は、第1領域310を照射するビームパルス164の寸法よりも少し小さく、第1の小粒子領域315は第1の横方向成長領域318によって包囲される(このことの詳細は以下に説明する)。
【0031】
第1の横方向成長領域318は、半導体薄膜フィルム175の未融解領域と第1融解領域310との境界から粒子を横方向に成長させることによって形成する。第1の横方向成長領域318内の粒子は、これらの境界から第1融解領域310の中心に向かって所定距離だけ成長して、第1の小粒子領域315に到達して、この領域との境界を形成する。この所定距離は、第1融解領域310の再凝固の速度によって制御することができる。例えば、この所定距離を1μm〜5μmにすることができる。従って、第1の横方向成長領域318は、この領域によって包囲される第1の小粒子領域315よりもずっと小さい。一般に、領域315の粒子は領域318の粒子よりも小さい。第1の小粒子領域315内の小粒子材料は、このような小粒子領域内での、TFTデバイス、少なくともその活性領域の配置の良好な均一性をもたらす。しかし、本発明の目的のためには、TFTデバイスの活性領域をこうした小粒子領域上に配置することは不所望である。
【0032】
その後に、図4Cに示すように、ビームパルス164が半導体薄膜フィルム175の第2領域320を照射して(厚さ全体にわたって)完全に融解させるように、試料170の平行移動を継続する(あるいはマスク150をそのように調整されるように構成する)。この第2領域320は、+X方向に沿った概念的な第1列205内の第1領域310に直接後続する領域となり得る。第1領域310と同様に、第2領域320は再凝固し結晶化して、第2の小粒子領域325及び第2の横方向成長領域328になって、これらの領域の特性及び寸法はそれぞれ、第1の小粒子領域315及び第1の横方向成長領域318の特性及び寸法に相当する。第2領域320の照射中に、ビームパルス164が第1の横方向成長領域に少し重なれば、再凝固時に、この領域318内の粒子が、完全に融解した領域320における、第1の横方向成長領域318に直接隣接する部分を出発点にして横方向に成長する。このようにして、第1の横方向成長領域が第2の横方向成長領域328の隣接部分を出発点にして、ここから粒子を横方向に成長させる。結果的な結晶化した第2領域320を図4Dに示す。第2領域320を結晶化した第1領域310から少し離して設けることも、本発明の範囲内である。従って、第2の横方向成長領域328の、結晶化した第1の横方向成長領域318の最も近くに位置する部分は、第1領域310と第2領域320との間の未照射部分からの粒子の出発点となる。
【0033】
図4Eに示すように、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205の平行移動及び照射は、パルスビーム164が試料170の第2端210”に到達するまで、概念的な第1列内のすべての領域310、320、...、380.390(及びこれらの領域のそれぞれの小粒子領域315、325、...、385、395、及び横方向成長領域318、328、...、388、398)に対して継続する。概念的な第1列205に沿った領域310、320、...、380、390の結晶化は、ほとんど反復的な方法で実行する。ビームパルス164が第2端210”を通過すると、(第3径路235内で)試料170のビームパルス164に対する平行移動を遅くして、第2位置240(図2)に到達する。なお、ビームパルス164が試料170の第2端210”を横切った後に、パルスビーム111の発生を停止する必要はない、というのは、ビーム111はもはや試料170を照射していないからである。
【0034】
ビームパルス164が試料170及び第2端210”から離れている間に、試料170を、第4ビーム径路274に沿って−Y方向に第3位置247まで平行移動して、半導体フィルム175の概念的な第2列206に沿った部分を照射可能にする。そして、試料170をこの位置247で静止させて、試料170を平行移動した際に生じ得る試料170のあらゆる振動を止める。実際には、試料170を概念的な第2列206に到達させるためには、試料170を、(−Y方向に)1/2cmの幅を有する列の分だけ約1/2cmだけ平行移動する。そして試料170を、第4ビーム径路250上で−X方向に所定速度まで加速して、ビームパルス164の照射が第2端210”を通過して、半導体薄膜フィルム175に達するようにする。
【0035】
その後に、試料170を第5ビーム径路255に沿って平行移動し、そして、第1列205の照射に関して上述した好適なプロセスを、第2列206に対して反復して、試料170を+X方向に平行移動する間に、更なる領域410、420、及びこれらの領域のそれぞれの小粒子領域415、425、及び横方向成長領域418、428を照射する。このようにして、試料170のすべての概念的な列を適正に照射することができる。ここでも、ビームパルス164が第1端210’に到達すると、試料170の平行移動を第6ビーム径路260に沿って減速させて、第4位置265に到達する。この点において、ビームパルス164が試料170の周辺より外に存在するように、試料170を第7ビーム径路270に沿って−Y方向に平行移動して、第5位置272に到達させて、試料170の平行移動を停止して、試料170のあらゆる振動をなくす。その後に、試料170を第8ビーム径路275に沿って−X方向に加速して、ビームパルス164を試料170の第1端210’に到達させて第1端210’を通過させて、ビームパルス164が概念的な第3列207の特定領域を照射して完全に融解させて、これらの特定領域が、概念的な第1列205の領域310、320、...、380、390、及び概念的な第2列206の領域410、420、...について上述したのとほぼ同様に結晶化できるようにする。
【0036】
この手順は、半導体薄膜フィルム175のすべての概念的な列に対して反復することができ、あるいは、半導体薄膜フィルム175必ずしも列に分割されていないの特定部分で選択した列に対して反復することができる。これに加えて、演算装置100は、ビーム源110によるビーム111の発射を、(例えば、所定のパルス持続時間を設定することによって半導体薄膜フィルム175を照射する代わりに、)演算装置100の記憶装置に記憶している予め規定した位置もとづいて制御することができる。例えば、演算装置100がビーム源110を制御してビーム111を発生させて、半導体薄膜フィルム175の特定領域の所定位置のみを、対応するビームパルス164で照射して、これらの位置を記憶して、演算装置100がこれらの位置を利用してビーム111の発射を開始して、これにより、試料170が平行移動されて、ビームパルス164の径路内にちょうど入る領域に位置する際のみに、ビームパルス164による照射が行われるようにすることができる。ビーム源110は、演算装置100によって、X方向の位置の座標にもとづいて発射を行うことができる
【0037】
これに加えて、ビームパルス164の照射の径路が、半導体薄膜フィルム175上の融解させて結晶化させるべき領域に向いている際には、必ずしも連続的でない方法で試料170を平行移動することができる。従って、試料170の平行移動を試料170の中央で停止させて、中央の領域を照射して、完全に融解させ、そして結晶化させることができる。その後に、半導体薄膜フィルム175の他の部分がビームパルス164の径路内に来るように試料170を移動して、試料170の平行移動を再び停止させて、以上で詳細に説明したプロセスの好適な実施例、並びに以下に説明するプロセスの実施例に従って特定領域を照射して完全に融解させる。
【0038】
本発明によれば、本明細書で説明し図示するあらゆるマスク、及び’585出願で説明され図示されたマスクを、本発明によるプロセス及びシステムに用いることができる。例えば、半導体薄膜フィルム175を投光(フラッド)照射することを可能にする図3に示すマスクを用いる代わりに、図5Aに示す第2の好適な実施例のマスク150’を利用することができる。単一の開口または透明領域157を有する図3のマスク150とは対照的に、マスク150’は多数の開口または透明領域450を有し、これらの領域450はビーム阻止(ブロック)領域455によって互いに分離されている。マスク150’の開口または透明領域450は「スリット」とも称する。これらのスリットは、小さいビームパルス(または小ビーム)がスリットを通って照射されて、半導体薄膜フィルム175上のこれらの小ビームが当たる領域を完全に融解させることを可能にする。図5Bに、スリット450の1つの拡大図を示し、この図は、スリット450の寸法を0.5μm×0.5μmにできることを示す。スリットの他の寸法も可能であり、本発明の範囲内であることは明らかである。例えば、スリットを矩形、円形、三角形、V字形、ダイヤモンド形、等にすることができる。
【0039】
図6A〜図6Dに、本発明によるプロセスの第2実施例の好適な進行を示し、ここでは、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205に沿って連続する複数の領域を、図5Aのマスク150’によって整形された(複数の小ビームから成る)ビームパルス164によって照射する。試料170の、ビームパルス164が当たる位置に対する平行移動は、図4A〜図4Fを参照して上述した平行移動とほぼ同様である。領域310、320、...、380、390、410、420の、図3のマスク150によって整形したビームパルス164による照射と、領域460、470の、マスク150’によって整形したビームパルス164による照射との相違は、領域310、320、...、380、390、410、420はほぼ全体が照射されて完全に融解するのに対し、領域460、470は特定の小領域462のみが照射されて、厚さ全体にわたって完全に融解する、ということにある。
【0040】
図4Aの領域310と同様に、領域460の部分462は図6Aに示すように、照射されて完全に融解する。その後に、図6Bに示すように、部分462が再凝固して、(核化によって)小粒子領域465が形成されて、横方向成長領域468が形成される。第1の小粒子領域315と同様に、それぞれの部分462の小粒子領域465はその内部に小粒子の均一な材料を有し、そして、TFTデバイスの少なくとも活性領域(できればTFTデバイス全体)がこうした領域465内に入るような大きさにする。領域465の小粒子の均一な材料は、この領域の核化及び再凝固によって形成される。図6Cに示すように、試料170の−X方向への平行移動時に、領域470の部分472を、部分462とほぼ同じ方法で照射して完全に融解させる。こうした方法で、領域470の小粒子領域475及び横方向成長領域478が形成される。
【0041】
これに加えて、図7に示す本発明の第3実施例の、細長い開口または透明領域490を有するマスク150”を利用して、ビーム149をパターン化及び整形してビームパルス164にする。例えば、領域490の長さを0.5cmにして、その幅を0.1mmにすることができる。このようにして、図2に示す試料170の概念的な各列を、このマスク150”によって整形したビームパルス164によって照射することができる。これに加えて、領域490の長さを30cmにすることもできる。従って、半導体薄膜フィルム175を多数の概念的な列に分割して、各列を別個に照射する代わりに、試料170を−Y方向に、試料170の一方の端から反対側の端まで平行移動することによって、半導体薄膜フィルム175の選択した部分を照射して完全に融解させることができる。小粒子の均一な領域をこうした処理技法を用いて形成して、それぞれのTFTデバイスの活性領域が上記小粒子の均一な領域上に位置するようにすることが重要である。
【0042】
図8Aに、照射されて、再凝固して結晶化した第1及び第2の領域510及び520を示し、これらの領域は図4Dの第1及び第2領域310、320、及び/または図6Dの領域460の部分462に対応する。特に、図8Aは、TFTデバイス610、620の全体が、領域510、520のそれぞれの均一な小粒子領域515、525内に存在し得る。領域510の小粒子領域515内に存在する第1TFTデバイス610は、ゲート612、ドレイン614、ソース616、及び活性領域618を具え、これらのすべてを横方向成長領域518から離して設ける。同様に、第2TFTデバイス620についても、そのゲート622、ドレイン624、ソース626、及び特に活性領域628を、領域520のそれぞれの横方向成長領域528に重ならないように設ける。
【0043】
図8Bに、照射され、再凝固して結晶化した第1及び第2領域510及び520を示し、これらも図6Dの領域460の隣接する部分462に対応し、これらの領域上にそれぞれのTFTデバイス610’及び620’を設ける。この好適な実施例では、領域510、520のそれぞれの活性領域618’、628’のみを、領域510、520のそれぞれの均一な小粒子領域515、525内に設けて、TFTデバイス610’、620’の他の部分は、領域510、520のそれぞれの横方向成長領域518、528上に位置する。特に、第1TFTデバイス610’は活性領域618’を具えて、活性領域618’の全体が領域510の小粒子領域515内に存在し、このTFTデバイス610’のゲート612’、ドレイン614’、及びソース616’は、横方向成長領域518に重なる。また、第2TFTデバイス620’については、その活性領域628’の全体が領域520のそれぞれの小粒子領域525内に存在し、TFTデバイス620’のゲート622’、ドレイン624’、及びソース626’は、領域520のそれぞれの横方向成長領域528上に直接設ける。また、ゲート622’を、領域510の小粒子領域515と領域520の小粒子領域525との境界領域500上に設ける。なお、ゲート612、612’、622、622’、ドレイン614、614’、624、624’、及びソース616、616’、626、626’のいずれも、横方向成長領域518、528、及び境界領域500上に設けることができる。これに加えて、本発明の更に他の実施例によれば、TFTデバイス610’、620’のそれぞれの活性領域618’、628’の小部分を、境界領域500上あるいは横方向成長領域518、528上に配置して、これらの活性領域618’、628’の残りの大部分を、小粒子領域515、525内に設けることができる。
【0044】
図9に、本発明の第1の好適な処理手順を表現するフロー図を示し、この処理手順は少なくとも部分的に、図1Aの演算装置100の制御下で実行し、図4A〜図4F及び図6A〜図6Dの本発明の技法を用いる。ステップ1000では、まず、図1Aのシステムのハードウエア構成要素、例えばビーム減110、エネルギービーム変調器120、及びビーム減衰器兼シャッタ130を、少なくとも部分的に演算装置100によって初期化する。ステップ1005では、試料170を試料平行移動ステージ180上に装荷する。なお、こうした装荷は、手動で行うことも、あるいは既知の試料装荷装置を用いて演算装置100の制御下で自動的に実行することもできる。次に、ステップ1010では、試料平行移動ステージを、好適には演算装置100の制御下で初期位置に移動する。ステップ1015では、必要に応じて、システムの他の種々の光学素子を、手動あるいは演算装置100の制御下のいずれかで、調整及び/または位置合わせして、適正な焦点及び位置関係にする。ステップ1020では、照射/レーザビーム111を所定のパルス・エネルギーレベル、パルス持続時間、及び反復度に安定化させる。ステップ1024で、各ビームパルス164が、半導体薄膜フィルム175の照射部分を、過度に融解させずに完全に融解させるのに十分なエネルギーを有するか否かを判定することが好ましい。ビームパルス164が十分なエネルギーを有しなければ、ステップ1025において、ビーム111の減衰を、演算装置100の制御下でビーム源110によって調整して、ステップ1024を再び実行して、半導体薄膜フィルム175の上記部分を融解させるのに十分なエネルギーが存在するか否かを判定する。
【0045】
ステップ1027では、半導体薄膜フィルム175の第1列にビームパルス164が当たる位置に、試料170を位置決めする。そして、ステップ1030では、マスクされた強度パターンの、あるいは整形したビームパルス164を用いて(例えば、マスク150か、あるいは)、半導体薄膜フィルム175の一部分を厚さ全体にわたって完全に融解させる。その後に、半導体薄膜フィルム175の照射部分が凝固し結晶化して、凝固部分の特定領域が核化して内部に均一な材料を含み、これにより、TFTデバイスの少なくとも活性領域を完全にこの領域内に置くことができる。ステップ1035では、現在の概念的な列に対するビームパルスによる照射が完了したか否かを判定する。完了していなければ、ステップ1040において、次のビームパルス164による試料170の照射を継続する。しかし、ステップ1035で、現在の概念的な列の照射及び結晶化が完了したものと判定した場合には、ステップ1045において、処理すべき試料170の概念的な列が更に存在するか否かを判定する。更に存在すれば、プロセスはステップ1050に進んで、ステップ1050では、試料170を平行移動して、本発明によって処理すべき次の概念的な列にビームパルス164を当てる。さもなければ、試料170についての処理を完了しており、ステップ1055において、図1Aに示すシステムのハードウエア構成要素及びビーム111を遮断することができ、プロセスを終了する。
【0046】
図10に、本発明の第2の好適な処理手順を表わすフロー図を示し、この処理手順は、少なくとも部分的に図1Aの演算装置の制御下で、図4A〜図4F、及び図6A〜図6Dに示す本発明の技法を用いて実行し、ここでは、試料170を、半導体薄膜フィルム175上の予め割り当てた位置にもとづいて照射する。この好適な手順のステップ1100〜1120及び1127は、図9の手順のステップ1000〜1020及び1027とほぼ同様であり、従ってここでは更に詳細に説明しない。しかし、ステップ1124では、各ビーム111が、半導体薄膜フィルム175の少なくとも一部分を照射して、照射部分を結晶化させるのに十分なエネルギーを有するか否かを判定する。十分なエネルギーを有しなければ、ステップ1125において、ビームパルス111の減衰を調整して、ビームパルス111のエネルギー・フリューエンスを再確認する。ビームパルス111のエネルギー・フリューエンスを確認すると、試料170を移動して、試料170の第1列にビームパルス11を当てる。
【0047】
そしてステップ1130では、結果的なビーム149をマスク159に通過させてビームパルスを整形して、結果的なパルスの端部が整形される。そしてステップ1135では、試料170を、試料170を現在の列に沿って連続的に平行移動する。ステップ1140では、試料170の平行移動中に、例えばマスクされた強度パターンのビームパルスを用いて、半導体薄膜フィルム175の一部分を照射して、厚さ全体にわたって完全に融解させて、照射部分を結晶化させる。半導体薄膜フィルム175の一部分のこうした照射は、ビームパルス164が試料170上の特定位置に達した際に行うことができ、これらの特定位置は、演算装置100によって事前に割り当てて、演算装置100の記憶装置に記憶しておく。従って、試料170がビームパルス164に対してこれらの位置に達した際に、ビーム源110にビームを発射させることができる。その後に、半導体薄膜フィルム175の照射部分が凝固し結晶化して、凝固部分の特定領域が核化して、内部に均一な材料を含んで、これにより、TFTデバイスの活性領域をこの特定領域上に置くことができる。こうした処理は、半導体薄膜フィルム175上の現在の概念的な列の終端(例えば試料170の端)に達するまで継続する。ステップ1145では、処理すべき試料170の概念的な列が更に存在するか否かを判定する。存在すれば、プロセスはステップ1150に進んで、ステップ1150では、試料170を平行移動して、本発明によって処理すべき概念的な列にビームパルス164が当たるようにする。処理すべき更なる列が存在しなければ、図9のステップ1055とほぼ同様のステップ1155を実行する。
【0048】
以上の説明は単に、本発明の原理を示したものである。説明した実施例に対する種々の修正及び代替は、本明細書の教示に鑑みて、当業者にとって明らかである。例えば、上述した実施例は、半導体薄膜フィルムの少なくとも部分的な横方向の凝固及び結晶化に関して説明しているが、マイクロマシニング、フォトアブレーション(光線による瞬間的除去)、及びマイクロパターニング(パターン化)技術のような他の材料処理技術にも適用でき、これらは国際特許出願番号PCT/US01/12799、及び米国特許出願番号09/390,535、09/390,537、及び09/526,585に記載されたものを含み、これらの特許出願の全文は参考文献として本明細書に含める。上記特許出願に記載された種々のマスクパターン及びビーム強度パターンも、本発明のプロセス及びシステムで利用することができる。上述したシステム及びプロセスは、例えば半導体薄膜フィルムの処理用に指向したものであるが、これらの技法及びシステムは、金属薄膜フィルム等を含めた他のフィルムを処理するために用いることができることは明らかである。
【0049】
従って当業者は、本明細書には明示的に図示及び説明していない多様なシステム及び方法を考案することができ、これらは本発明の範囲内であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】試料の半導体薄膜フィルムの特定領域を照射して、これらの特定境域を核化させ凝固させて均一な小粒子領域を生成する、本発明による照射システムの好適な実施例のブロック図である。
【図1B】半導体薄膜フィルムを含む試料の拡大側断面図である。
【図2】概念的に分割した、上部に半導体薄膜フィルムを有する試料の好適な具体例の上面の分解図であり、この半導体薄膜フィルム上に、図1Aの好適なシステムを用いて本発明による処理を施し、この処理は半導体薄膜フィルムの表面領域全体に対して行う。
【図3】本発明によるマスクの第1の好適な実施例の上面図であり、このマスクは、1つの開口または透明領域を包囲するビームブロック領域を有し、図1Aの好適なシステムと共に用いて、レーザビーム源が発生するビームパルスをマスクすることができ、これにより、このマスクされたビームパルスが前記半導体フィルム上の特定領域を照射する。
【図4A−4D】図4A〜図4Dは、本発明のプロセスによる好適な実施例の連続的な種々の段階における、図3のマスクによってマスクされた放射ビームパルスによる照射、及び試料上に設けた半導体フィルムの特定部分の再凝固及び結晶化を、試料の概念的な第1列について示す図である。
【図4E−4F】図4E〜図4Fは、本発明のプロセスによる処理の代表的な2段階における、図3のマスクによってマスクされた放射ビームパルスによる照射、及び試料上に設けた半導体フィルムの特定部分の再凝固及び結晶化を、試料の概念的な第2列について示す図である。
【図5A】本発明によるマスクの第2の好適な実施例の上面図であり、このマスクは、多数小さい開口または透明領域、あるいはスリットを包囲するビームブロック領域を有し、図1Aの好適なシステムと共に用いて、レーザビーム源が発生するビームパルスをマスクすることができ、これにより、このマスクされたビームパルスが前記半導体フィルム上の特定領域を照射する。
【図5B】図5Aに示すマスクの第2実施例における小ビームの拡大図である。
【図6】図6A〜図6Dは、本発明のプロセスによる好適な実施例の第1具体例の連続的な種々の段階における、図5Aのマスクによってマスクされた放射ビームパルスの強度パターンによる照射、及び試料上に設けた半導体フィルムの特定部分の再凝固及び結晶化を示す図である。
【図7】試料上に設けた半導体薄膜フィルムを、ビームパルスによって照射する様子を示す図であり、このビームパルスは、1つの細長い開口または透明領域を包囲するビームブロック領域を有するマスクによってパターン化した断面を有し、前記半導体薄膜フィルムは、図1Aのシステムと共に使用可能である。
【図8A】2つの特定の照射領域、及び図4D及び図6Dに相当する最凝固して結晶化した領域を示す図であり、ここでは、TFTデバイス全体が、核化によって形成した小さい均一な粒状化領域内に位置する。
【図8B】2つの特定の照射領域、及び図4D及び図6Dに相当する最凝固して結晶化した領域を示す図であり、ここでは、TFTデバイスの活性領域の断面全体のみが、核化によって形成した小さい均一な粒状化領域内に位置し、他の領域は、結晶化領域間の境界領域上に設けられている。
【図9】本発明の好適な処理手順を表わすフロー図であり、図4A〜図4F、及び図6A〜図6Fに示す本発明の好適な技法を用いて、少なくとも部分的に図1Aの演算装置の制御下で実行する。
【図10】本発明の他の好適な処理手順を表わすフロー図であり、図4A〜図4F、及び図6A〜図6Fに示す本発明の好適な技法を用いて、少なくとも部分的に図1Aの演算装置の制御下で実行し、ここでは、図1Aのビームを、このビームに対する前記半導体フィルムの位置にもとづいてトリガする。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜フィルム試料を処理する方法が、
(a) ビーム発生器を制御して、少なくとも1本のビームパルスを放出するステップと;
(b) 前記少なくとも1本のビームパルスによって、前記フィルム試料の少なくとも一部分を厚さ全体にわたって完全に融解させるのに十分な強度で照射するステップと;
(c) 前記フィルム試料の前記少なくとも一部分を再凝固させるステップであって、再凝固した前記少なくとも一部分が第1領域及び第2領域から成り、前記第1領域及び前記第2領域の再凝固時に、前記第1領域が大粒子を含み、前記第2領域が核化によって形成された小粒子領域を有するステップとを具えて、
前記第1領域が前記第2領域を包囲して、前記第1領域が前記第2領域の粒子構造とは異なる粒子構造を有し、前記第2領域が、この領域上に電子デバイスの活性領域を設けるように構成されることを特徴とする薄膜フィルム試料の処理方法。
【請求項2】
前記第1領域が第1境界及び第2境界を有し、前記第2境界が、前記第1境界の反対側に前記第1境界と平行に設けられ、
前記第2領域が第3境界及び第4境界を有し、前記第4境界が、前記第3境界の反対側に前記第1境界と平行に設けられ、
前記第1境界と前記第2境界との間の距離が、前記第3境界と前記第4境界との間の距離より小さいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2領域が少なくとも1つの画素に対応することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2領域が、前記電子デバイスのすべての部分を断面上に設けるための断面を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1領域が、前記電子デバイスの性能に影響を与えないか、あるいは無視できる程度の影響を与えるように、前記第1領域の、前記第2領域に対する大きさ及び位置を設定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
更に、
(d) 前記薄膜フィルム試料を所定距離だけ平行移動するステップと;
(e) 前記フィルム試料の更なる部分を更なるビームパルスで照射するステップであって、前記更なる部分を、前記少なくとも一部分から前記所定距離にほぼ相当する距離だけ離れた所に設けるステップと;
(f) 前記フィルム試料の前記更なる部分を再凝固させるステップであって、再凝固した前記更なる部分が第3領域及び第4領域から成るステップとを具えて、
前記第3領域が前記第4領域を包囲して、前記第3領域の少なくとも一部分が前記第1領域の少なくとも一部分に、少なくとも部分的にオーバラップして、
前記第3領域及び前記第4領域の再凝固時に、前記第3領域が横方向に成長した粒子を有し、前記第4領域が核化した領域を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第4領域が、前記第2領域の端から離れた所にある端を具えていることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第4領域が、前記第2領域の端にほぼ接する端を具えて、前記第4領域の端が、前記第1領域のいずれの部分中にも入らないことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1本のビームパルスが、前記更なるビームパルスのフリューエンスとほぼ同じフリューエンスを有することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1本のビームパルスが、前記更なるビームパルスのフリューエンスとは異なるフリューエンスを有することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
更に、
(g) 前記薄膜フィルム試料を所定距離だけ平行移動するステップと;
(h) 前記フィルム試料の更なる部分を、少なくとも1本のビームパルスを用いて照射するステップであって、前記更なる部分を、前記少なくとも一部分から前記所定距離にほぼ相当する距離だけ離れた所に設けるステップとを具えて、
ステップ(d)及びステップ(e)を実行して、前記第1領域の幅を制御することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記フィルム試料が、予めパターン化したシリコン薄膜フィルム試料または連続的なシリコン薄膜フィルム試料の一方であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記電子デバイスが薄膜フィルムトランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
更に、
(i) 前記薄膜フィルム試料を所定距離だけ平行移動するステップと;
(j) 前記フィルム試料の更なる部分を、少なくとも1本のビームパルスを用いて照射するステップであって、前記更なる部分を、前記少なくとも一部分から前記所定距離にほぼ相当する距離だけ離れた所に設けるステップと;
(k) ステップ(j)の完了後に、前記フィルム試料の平行移動を停止させずに、前記フィルム試料の追加的な部分に対してステップ(i)及びステップ(j)を反復するステップと
を具えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(i)において、前記フィルム試料を、前記フィルム試料の照射すべき前記更なる部分の位置である予め計算した第1相対位置に移動して、ステップ(k)の後に、前記フィルム試料を予め計算した第2相対位置に移動して、前記第2相対位置への移動距離が前記所定距離とは異なることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
更に、
(l) 前記薄膜フィルム試料を所定距離だけ平行移動するステップと;
(m) 前記フィルム試料の平行移動を停止して前記フィルム試料の振動を静止させるステップと;
(n) ステップ(m)の後に、前記薄膜フィルムの更なる部分を少なくとも1本のビームパルスを用いて照射するステップであって、前記更なる部分を、前記少なくとも一部分から前記所定距離にほぼ相当する距離だけ離れた所に設けるステップと
を具えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
更に、
(o) ステップ(c)の後に、前記フィルム試料の少なくとも一部分を更なるビームパルスで照射するステップと;
(p) ステップ(o)の後に、前記フィルム試料の前記少なくとも一部分を再凝固させるステップと
を具えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1本のビームパルスのフリューエンスが、前記更なるビームパルスのフリューエンスとは異なることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記更なるビームパルスのフリューエンスが、前記少なくとも1本のビームパルスのフリューエンス未満であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
更に、
(q) ステップ(c)の後に、前記第1領域の位置を測定して、これにより、前記第1領域上に前記電子デバイスの活性領域が設けられることを回避することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1本のビームパルスが複数の小ビームを含み、前記第1領域及び前記第2領域が前記小ビームによって照射されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記フィルム試料が、シリコン薄膜フィルム試料または金属箔膜フィルム試料の一方であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記薄膜フィルム試料が、シリコン、ゲルマニウム、及びシリコンとゲルマニウムの化合物のうちの少なくとも1つで組成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記薄膜フィルムが、約100Å〜約10000Åの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項25】
更に、
(r) ステップ(b)の前に、前記少なくとも1本のビームパルスの複数部分をマスクして、少なくとも1本のマスクされたビームパルスを生成して、ステップ(b)において、前記少なくとも1本のマスクされたビームパルスを用いて、前記フィルム試料の前記少なくとも一部分を照射することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記第1領域内に生成される大粒子が、横方向に成長した粒子であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記第1領域の前記横方向に成長した粒子が、等軸の粒子であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
薄膜フィルム試料を処理する方法が、
(a) ビーム発生器を制御して、少なくとも1本のビームパルスを放出するステップと;
(b) 前記少なくとも1本のビームパルスによって、前記フィルム試料の少なくとも一部分を厚さ全体にわたって融解させるのに十分な強度で前記フィルム試料の前記少なくとも一部分を照射するステップであって、前記少なくとも1本のビームパルスが所定形状を有するステップと;
(c) 前記フィルム試料の前記少なくとも一部分を再凝固させるステップであって、再凝固した前記少なくとも一部分が、第1領域及び第2領域から成り、前記第1領域及び前記第2領域の再凝固時に、前記第1領域が大粒子を有し、前記第2領域が核化によって形成された小粒子領域を有するステップと;
(d) 前記薄膜フィルム試料を所定距離だけ移動するステップと;
(e) 前記薄膜フィルムの更なる部分を更なるビームパルスを用いて照射するステップであって、前記更なる部分を、前記少なくとも一部分から前記所定距離にほぼ相当する距離だけ離れた所に設けるステップとを具えて、
ステップ(b)からステップ(e)までを実行して前記第1領域の幅を制御して、前記第2領域が、電子デバイスの活性領域を断面上に設けることが可能な断面を有することを特徴とする薄膜フィルム試料の処理方法。
【請求項29】
前記第2領域が少なくとも1つの画素に対応することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1領域が第1境界及び第2境界を有し、前記第2境界が、前記第1境界の反対側に前記第1境界と平行に設けられ、
前記第2領域が第3境界及び第4境界を有し、前記第4境界が、前記第3境界の反対側に前記第1境界と平行に設けられ、
前記第1境界と前記第2境界との間の距離が、前記第3境界と前記第4境界との間の距離より小さいことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第2領域が、前記電子デバイスのすべての部分を断面上に設けるための断面を有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記第1領域が、前記電子デバイスの性能に影響を与えないか、あるいは無視できる程度の影響を与えるように、前記第1領域の、前記第2領域に対する大きさ及び位置を設定することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項33】
更に、
(f) ステップ(e)の後に、前記フィルム試料の前記更なる部分を再凝固させるステップであって、前記再凝固した前記更なる部分が第3領域及び第4領域から成るステップを具えて、
前記第3領域が前記第4領域を包囲して、前記第3領域の少なくとも一部分が前記第1領域の少なくとも一部分に、少なくとも部分的にオーバラップして、前記第3領域及び前記第4領域の再凝固時に、前記第3領域が横方向に成長した粒子を有し、前記第4領域が核化した領域を有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記第4領域が、前記第2領域の端から離れた所にある端を具えていることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第4領域が、前記第2領域の端にほぼ接する端を具えて、前記第4領域の端が、前記第1領域のいずれの部分中にも入らないことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1本のビームパルスが、前記更なるビームパルスのフリューエンスとほぼ同じフリューエンスを有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1本のビームパルスが、前記更なるビームパルスのフリューエンスとは異なるフリューエンスを有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記フィルム試料が、予めパターン化したシリコン薄膜フィルム試料または連続的なシリコン薄膜フィルム試料の一方であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記電子デバイスが薄膜フィルムトランジスタであることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項40】
更に、
(g) 前記フィルム試料の平行移動を停止させずに、前記フィルム試料の追加的な部分に対してステップ(d)及びステップ(e)を反復するステップを具えていることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項41】
ステップ(d)において、前記フィルム試料を、前記フィルム試料の照射すべき前記更なる部分の位置である予め計算した第1相対位置に移動して、ステップ(e)の後に、前記フィルム試料を予め計算した第2相対位置に移動して、前記第2相対位置への移動距離が前記所定距離とは異なることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
更に、
(h) ステップ(d)の後に、前記フィルム試料の平行移動を停止して前記フィルム試料の振動を静止させるステップと;
(i) ステップ(h)の後に、前記薄膜フィルムの更なる部分を少なくとも1本のビームパルスを用いて照射するステップであって、前記更なる部分を、前記少なくとも一部分から前記所定距離にほぼ相当する距離だけ離れた所に設けるステップと
を具えていることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1本のビームパルスのフリューエンスが、前記更なるビームパルスのフリューエンスとは異なることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項44】
前記更なるビームパルスのフリューエンスが、前記少なくとも1本のビームパルスのフリューエンス未満であることを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1本のビームパルスが複数の小ビームを含み、前記第1領域及び前記第2領域が前記小ビームによって照射されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項46】
前記フィルム試料が、シリコン薄膜フィルム試料または金属箔膜フィルム試料の一方であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項47】
前記薄膜フィルム試料が、シリコン、ゲルマニウム、及びシリコンとゲルマニウムの化合物のうちの少なくとも1つで組成されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項48】
前記薄膜フィルムが、約100Å〜約10000Åの厚さを有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項49】
更に、
ステップ(b)の前に、前記少なくとも1本のビームパルスの複数部分をマスクして、少なくとも1本のマスクされたビームパルスを生成して、ステップ(b)において、前記少なくとも1本のマスクされたビームパルスを用いて、前記フィルム試料の前記少なくとも一部分を照射することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項50】
前記第1領域内に生成される大粒子が、横方向に成長した粒子であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項51】
前記第1領域の前記横方向に成長した粒子が、等軸の粒子であることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
(a) レーザビーム発生器を制御して、フィルム試料の少なくとも一部分を厚さ全体にわたって完全に融解させるのに十分な少なくとも1本のビームパルスを放出して、
(b) 前記フィルム試料の少なくとも一部分を、所定の断面を有する前記少なくとも1本のビームパルスで照射すべく構成した処理装置を具えた、薄膜フィルム試料を処理するシステムであって、
前記フィルム試料の前記少なくとも一部分を再凝固させて、再凝固した前記少なくとも一部分が第1領域及び第2領域から成り、
前記第1領域及び前記第2領域の再凝固時に、前記第1領域が大粒子を有し、前記第2領域が核化によって形成された小粒子領域を有し、
前記第1領域が前記第2領域を包囲して、前記第1領域が前記第2領域の粒子構造とは異なる粒子構造を有し、
前記第2領域が、この領域上に電子デバイスの活性領域を設けるように構成される
ことを特徴とする薄膜フィルム試料の処理システム。
【請求項53】
前記第2領域が少なくとも1つの画素に対応することを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記第1領域が第1境界及び第2境界を有し、前記第2境界が、前記第1境界の反対側に前記第1境界と平行に設けられ、
前記第2領域が第3境界及び第4境界を有し、前記第4境界が、前記第3境界の反対側に前記第1境界と平行に設けられ、
前記第1境界と前記第2境界との間の距離が、前記第3境界と前記第4境界との間の距離より小さいことを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
前記第2領域が、前記電子デバイスのすべての部分を断面上に設けるための断面を有することを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項56】
前記第1領域が、前記電子デバイスの性能に影響を与えないか、あるいは無視できる程度の影響を与えるように、前記第1領域の、前記第2領域に対する大きさ及び位置を設定することを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項57】
前記処理装置が更に、
(c) 前記薄膜フィルム試料を所定距離だけ平行移動すべく平行移動ステージを制御して、
(d) 前記レーザビーム発生器を制御して、前記少なくとも一部分から前記所定距離にほぼ相当する距離だけ離れた所に設けた前記フィルム試料の更なる部分を、更なるビームパルスで照射すべく構成され、
前記フィルム試料の前記更なる部分を再凝固させて、再凝固した前記更なる部分が第3領域及び第4領域から成り、
前記第3領域が前記第4領域を包囲して、前記第3領域の少なくとも一部分が前記第1領域の少なくとも一部分に、少なくとも部分的にオーバラップして、
前記第3領域及び前記第4領域の再凝固時に、前記第3領域が横方向に成長した粒子を有し、前記第4領域が核化した領域を有することを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項58】
前記第4領域が、前記第2領域の端から離れた所にある端を具えていることを特徴とする請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
前記第4領域が、前記第2領域の端にほぼ接する端を具えて、前記第4領域の端が、前記第1領域のいずれの部分中にも入らないことを特徴とする請求項57に記載のシステム。
【請求項60】
前記少なくとも1本のビームパルスが、前記更なるビームパルスのフリューエンスとほぼ同じフリューエンスを有することを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項61】
前記少なくとも1本のビームパルスが、前記更なるビームパルスのフリューエンスとは異なるフリューエンスを有することを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項62】
前記処理装置が更に、
(e) 前記薄膜フィルム試料を所定距離だけ平行移動すべく平行移動ステージを制御して、
(f) 前記レーザビーム発生器を制御して、前記少なくとも一部分から前記所定距離にほぼ相当する距離だけ離れた所に設けた、前記フィルム試料の更なる部分を、少なくとも1本のビームパルスを用いて照射すべく構成され、
前記処理装置が、前記少なくとも一部分を照射して、前記少なくとも一部分を再凝固させて、前記第1領域の幅を制御することを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項63】
前記フィルム試料が、予めパターン化したシリコン薄膜フィルム試料または連続的なシリコン薄膜フィルム試料の一方であることを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項64】
前記電子デバイスが薄膜フィルムトランジスタであることを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項65】
前記処理装置が更に、
(g) 前記薄膜フィルム試料を所定距離だけ平行移動すべく平行移動ステージを制御して、
(h) 前記レーザビーム発生器を制御して、前記少なくとも一部分から前記所定距離にほぼ相当する距離だけ離れた所に設けた、前記フィルム試料の更なる部分を、少なくとも1本のビームパルスを用いて照射すべく構成され、
(i) 前記フィルム試料の追加的な部分に対して手順(g)及び手順(h)を反復して、
反復的な手順(g)及び手順(h)の完了後に、前記フィルム試料の平行移動を停止させないように構成されていることを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項66】
前記処理装置が手順(g)を実行して、前記フィルム試料を、前記フィルム試料の照射すべき前記更なる部分の位置である予め計算した第1相対位置に移動して、前記処理装置が手順(i)を実行した後に、前記フィルム試料を予め計算した第2相対位置に移動して、前記第2相対位置への移動距離が前記所定距離とは異なることを特徴とする請求項65に記載のシステム。
【請求項67】
前記処理装置が更に、
(j) 前記薄膜フィルム試料を所定距離だけ平行移動すべく平行移動ステージを制御して、前記フィルム試料の平行移動を停止して、前記フィルム試料の振動を静止させて、
(k) 手順(j)の後に、前記レーザビーム発生器を制御して、前記少なくとも一部分から前記所定距離にほぼ相当する距離だけ離れた所に設けた、前記薄膜フィルムの更なる部分を少なくとも1本のビームパルスを用いて照射すべく構成されていることを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項68】
前記処理装置が更に、
(l) 手順(b)の後に、前記レーザビーム発生器を制御して、前記フィルム試料の少なくとも一部分を更なるビームパルスで照射して、
(m) 手順(l)の後に、前記フィルム試料の前記少なくとも一部分を再凝固させるべく構成されていることを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項69】
前記少なくとも1本のビームパルスのフリューエンスが、前記更なるビームパルスのフリューエンスとは異なることを特徴とする請求項58に記載のシステム。
【請求項70】
前記更なるビームパルスのフリューエンスが、前記少なくとも1本のビームパルスのフリューエンス未満であることを特徴とする請求項69に記載のシステム。
【請求項71】
前記少なくとも1本のビームパルスが複数の小ビームを含み、前記第1領域及び前記第2領域が前記小ビームによって照射されることを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項72】
前記フィルム試料が、シリコン薄膜フィルム試料または金属箔膜フィルム試料の一方であることを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項73】
前記薄膜フィルム試料が、シリコン、ゲルマニウム、及びシリコンとゲルマニウムの化合物のうちの少なくとも1つで組成されることを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項74】
前記薄膜フィルムが約100Å〜約10000Åの厚さを有することを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項75】
前記処理装置が更に、
(l) 手順(b)の期間中に、前記少なくとも1本のビームパルスの複数部分をマスクして、少なくとも1本のマスクされたビームパルスを生成して、手順(b)において、前記少なくとも1本のマスクされたビームパルスを用いて、前記フィルム試料の前記少なくとも一部分を照射すべく構成されていることを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項76】
前記第1領域内に生成される大粒子が、横方向に成長した粒子であることを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項77】
前記第1領域の前記横方向に成長した粒子が、等軸の粒子であることを特徴とする請求項76に記載のシステム。
【請求項78】
(a) レーザビーム発生器を制御して、フィルム試料の少なくとも一部分を厚さ全体にわたって完全に融解させるのに十分な少なくとも1本のビームパルスを放出して、
(b) 前記フィルム試料の前記少なくとも一部分が前記少なくとも1本のビームパルスで照射されるように平行移動ステージを制御して、前記少なくとも1本のビームパルスが所定断面を有し、前記フィルム試料の前記少なくとも一部分を再凝固させて、再凝固した前記少なくとも一部分が第1領域及び第2領域から成り、前記第1領域及び前記第2領域の再凝固時に、前記第1領域が大粒子を有し、前記第2領域が核化によって形成された小粒子領域を有し、
(c) 前記平行移動ステージを制御して、前記薄膜フィルム試料を所定距離だけ平行移動して、
(d) 前記レーザビーム発生器を制御して、前記少なくとも一部分から前記所定距離にほぼ相当する距離だけ離れた所に設けた前記薄膜フィルムの更なる部分を、更なるビームパルスを用いて照射すべく構成された処理装置を具えた、薄膜フィルム試料を処理するシステムであって、
手順(b)から手順(d)までを実行して前記第1領域の幅を制御して、
前記第2領域上に電子デバイスの活性領域を設けられるように、前記第2領域の幅が設定されていることを特徴とする薄膜フィルム試料の処理システム。
【請求項79】
前記第2領域が少なくとも1つの画素に対応することを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項80】
前記第1領域が第1境界及び第2境界を有し、前記第2境界が、前記第1境界の反対側に前記第1境界と平行に設けられ、
前記第2領域が第3境界及び第4境界を有し、前記第4境界が、前記第3境界の反対側に前記第1境界と平行に設けられ、
前記第1境界と前記第2境界との間の距離が、前記第3境界と前記第4境界との間の距離より小さいことを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項81】
前記薄膜フィルムの再凝固時に、前記第2領域内に核化した領域が形成されることを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項82】
前記第2領域が、前記電子デバイスのすべての部分を断面上に設けるための断面を有することを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項83】
前記第1領域が、前記電子デバイスの性能に影響を与えないか、あるいは無視できる程度の影響を与えるように、前記第1領域の、前記第2領域に対する大きさ及び位置を設定することを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項84】
前記フィルム試料の前記更なる部分を再凝固させて、再凝固した前記更なる部分が第3領域及び第4領域から成り、前記第3領域が前記第4領域を包囲して、
前記第3領域の少なくとも一部分が前記第1領域の少なくとも一部分に、少なくとも部分的にオーバラップして、
前記第3領域及び前記第4領域の再凝固時に、前記第3領域が横方向に成長した粒子を有し、前記第4領域が核化した領域を有することを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項85】
前記第4領域が、前記第2領域の端から離れた所にある端を具えていることを特徴とする請求項84に記載のシステム。
【請求項86】
前記第4領域が、前記第2領域の端にほぼ接する端を具えて、前記第4領域の端が、前記第1領域のいずれの部分中にも入らないことを特徴とする請求項84に記載のシステム。
【請求項87】
前記少なくとも1本のビームパルスが、前記更なるビームパルスのフリューエンスとほぼ同じフリューエンスを有することを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項88】
前記少なくとも1本のビームパルスが、前記更なるビームパルスのフリューエンスとは異なるフリューエンスを有することを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項89】
前記フィルム試料が、予めパターン化したシリコン薄膜フィルム試料または連続的なシリコン薄膜フィルム試料の一方であることを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項90】
前記電子デバイスが薄膜フィルムトランジスタであることを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項91】
前記処理装置が更に、
(e) 前記フィルム試料の平行移動を停止させずに、前記フィルム試料の追加的な部分に対して手順(c)及び手順(d)を反復すべく構成されていることを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項92】
手順(c)において、前記フィルム試料を、前記フィルム試料の照射すべき前記更なる部分の位置である予め計算した第1相対位置に移動して、手順(d)の後に、前記フィルム試料を予め計算した第2相対位置に移動して、前記第2相対位置への移動距離が前記所定距離とは異なることを特徴とする請求項89に記載のシステム。
【請求項93】
前記処理装置が更に、
(f) 手順(e)の後に、前記平行移動ステージを制御して前記フィルム試料の平行移動を停止させて、前記フィルム試料の振動を静止させて、
(g) 前記レーザビーム発生器を制御して、前記少なくとも一部分から前記所定距離にほぼ相当する距離だけ離れた所に設けた前記薄膜フィルムの更なる部分を、少なくとも1本のビームパルスを用いて照射すべく構成されていることを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項94】
前記少なくとも1本のビームパルスのフリューエンスが、前記更なるビームパルスのフリューエンスとは異なることを特徴とする請求項93に記載のシステム。
【請求項95】
前記更なるビームパルスのフリューエンスが、前記少なくとも1本のビームパルスのフリューエンス未満であることを特徴とする請求項93に記載のシステム。
【請求項96】
前記少なくとも1本のビームパルスが複数の小ビームを含み、前記第1領域及び前記第2領域が前記小ビームによって照射されることを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項97】
前記フィルム試料が、シリコン薄膜フィルム試料または金属箔膜フィルム試料の一方であることを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項98】
前記薄膜フィルム試料が、シリコン、ゲルマニウム、及びシリコンとゲルマニウムの化合物のうちの少なくとも1つで組成されることを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項99】
前記薄膜フィルムが約100Å〜約10000Åの厚さを有することを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項100】
前記処理装置が更に、
(l) 手順(b)の期間中に、前記少なくとも1本のビームパルスの複数部分をマスクして、少なくとも1本のマスクされたビームパルスを生成して、手順(b)において、前記少なくとも1本のマスクされたビームパルスを用いて、前記フィルム試料の前記少なくとも一部分を照射すべく構成されていることを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項101】
前記第1領域内に生成される大粒子が、横方向に成長した粒子であることを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項102】
前記第1領域の前記横方向に成長した粒子が、等軸の粒子であることを特徴とする請求項101に記載のシステム。
【請求項103】
少なくとも1本のビームパルスによって照射される少なくとも一部分を具えた薄膜フィルム試料であって、前記少なくとも1本のビームパルスが、前記フィルム試料の前記少なくとも一部分を厚さ全体にわたって完全に融解させて、
前記フィルム試料の前記少なくとも一部分が再凝固して、第1領域及び第2領域を含み、
前記少なくとも一部分の再凝固時に、前記第1領域が大粒子を含み、前記第2領域が核化によって形成された領域を含み、
前記第1領域が前記第2領域を包囲して、前記第1領域が、前記第2領域の粒子構造とは異なる粒子構造を有し、
前記第2領域が、この領域上に電子デバイスの活性領域を設けるように構成されていることを特徴とする薄膜フィルム試料。
【請求項104】
大粒子を有する第1領域と;
前記第1領域によって包囲された第2領域とを具えた薄膜フィルム試料であって、前記第2領域が、前記薄膜フィルム試料の少なくとも一部分であって前記第2領域が位置する部分の核化によって形成された領域を含む薄膜フィルム試料において、
前記第1領域が、前記第2領域の粒子構造とは異なる粒子構造を有し、
前記第2領域が、この領域上に電子デバイスの活性領域を設けるように構成されていることを特徴とする薄膜フィルム試料。

【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−511064(P2006−511064A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−529134(P2004−529134)
【出願日】平成15年8月19日(2003.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/025946
【国際公開番号】WO2004/017379
【国際公開日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【出願人】(500382473)ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニヴァーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (17)
【Fターム(参考)】