説明

基板上のフィルム領域を処理して、こうした領域内及びその端部領域をほぼ均一にするレーザ結晶化プロセス及びシステム、及びこうしたフィルム領域の構造

【課題】薄膜フィルム試料を処理するシステム、並びに薄膜フィルム構造を提供する。
【解決手段】フィルム試料170の一区画の特定部分の第1部分を融解させるべく照射ビームパルスの第1パルスの第1小ビームで照射して、この第1部分が少なくとも部分的に融解して自ずと再凝固して結晶化し、それぞれの隣接する第1部分どうしの間に第1未照射部分が残る。特定部分の第1小ビームによる照射の後に、この特定部分を、この特定部分の第2部分を融解させるべく照射ビームパルスの第2パルスの第2小ビームで再び照射して、この第2部分が少なくとも部分的に融解して自ずと再凝固して結晶化し、それぞれの隣接する第2部分どうしの間に第2未照射部分が残る。再凝固して結晶化した第1部分及び前記第2部分は、フィルム試料の領域内で互いに間に入り合う。これに加えて、第1部分が第1画素に対応し、第2部分が第2画素に対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2002年8月19日出願の米国特許仮出願第60/405083号に基づいて優先権を主張し、この特許出願は本明細書に含める。
【0002】
(政府権利の告示)
米国政府は、米国防衛省高等研究計画局の裁定番号N660001-98-1-8913の項目に従って、本発明における特定の権利を有する。
【0003】
本発明は、フィルムを処理する技術に関するものであり、特に、半導体フィルムを処理して、こうした薄膜フィルムの多数の照射領域を空間的に互いに間に入り合わせて、これにより、薄膜フィルム内に存在する薄膜フィルムトランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)デバイスのような電子デバイスのほぼ均一な性能を獲得することに関するものである。
【背景技術】
【0004】
シリコンフィルムあるいは半導体フィルムのようなフィルムは、液晶表示デバイスに画素を設けるために用いるものとして知られている。こうしたフィルムは以前には、エキシマレーザ・アニール(ELA:Excimer Laser Annealing)法によって処理されていた(即ち、エキシマレーザによって照射し、そして結晶化させていた)。逐次的横方向結晶化(SLS:Sequential Lateral Solidification)技術を用いて、液晶ディスプレイ及び有機発光ダイオードに使用する半導体薄膜フィルムを処理して、大粒子の単結晶または多結晶のシリコン薄膜フィルムを製造する、他のより進んだ方法が、文献に記載されている。例えば、Imに特許付与された米国特許第6322625号明細書(特許文献1)、及び米国特許出願第09/390537号明細書(特許文献2)には、こうしたSLSシステム及びプロセスが記載され、これらの特許出願は本願の共同出願人に特許付与され、その全文を参考文献として本明細書に含める。これらの特許文献は、半導体薄膜フィルムの多数の領域を例えば逐次的に照射する。
【0005】
従来のシステム及びプロセスを用いて処理した半導体フィルムは、こうした薄膜フィルムの1つの照射領域から次の照射領域にかけて、エネルギー密度が変化するという問題がしばしば存在する。このことは主に、レーザビームのフリューエンス(流束量)が、1回の発射(ショット)から次の発射にかけて少なくとも微妙に変化する、ということによる。例えば、薄膜フィルムの隣接領域の逐次的な照射中には、第1領域を第1エネルギー・フリューエンスを有する第1ビームパルス(パルス組)によって照射して、第2領域を、第1ビームパルスのフリューエンスと少なくとも微妙に異なる第2フリューエンスを有する第2ビームパルス(パルス組)によって照射して、第3領域を、第2ビームパルスのフリューエンスと少なくとも微妙に異なる第3フリューエンスを有する第3ビームパルス(パルス組)によって照射する、等である。これらの領域を照射すると、これらの領域は(例えば少なくとも部分的な融解によって)結晶化することができる。照射されて結晶化した半導体薄膜フィルムの第1、第2、及び第3領域の結果的なエネルギー密度はすべて、隣接領域を照射する逐次的なビームパルスのフリューエンスの変化によって、少なくともある程度互いに異なる。
【0006】
半導体薄膜フィルムのこうした製造後に、即ち、照射されて結晶化して異なるエネルギー密度を有するこうした領域内に薄膜フィルムトランジスタ(”TFT”)デバイスを配置する際に、問題が生じ得る。特に、フィルムの結晶化領域内に存在するこうしたTFTデバイスの性能は、領域のエネルギー密度の相違によって、1つのデバイスと他のデバイスとで変動し得る。例えば、各結晶化領域(その内部では均一であり得る)内に配置されたTFTデバイスは一般に、均一な特性を有し、そしてこうした領域内ではほぼ同様に動作するが、これらのTFTデバイスは、1つの結晶化領域内と他の結晶化領域内とでは均一に動作しない。このことは、ディスプレイの隣接画素上に設けた同一色が互いに異なって見える、ということとして現われる。
【0007】
半導体薄膜フィルムの隣接領域を、各々が微妙に異なるフリューエンスを有するパルスで照射することの意図しない結果による他の問題は、これらの領域の一方から次に連続する領域への遷移が目につくことがある、ということである。このことは、隣接する2つの領域におけるエネルギー密度が互いに異なるためであり、そしてこれらの領域の境界において、領域間の遷移が、こうしたエネルギー密度の相違による一方から他方へのコントラストを有するからである。このため、最初の領域と次の領域との間の遷移は、意図したよりも急峻になり得る。
【0008】
従って、後に結晶化する半導体薄膜フィルムの隣接領域を照射する連続的なビームパルスのフリューエンスが異なることの影響を低減する半導体フィルムを具えた基板を作製することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6322625号明細書
【特許文献2】米国特許出願第09/390537号明細書
【特許文献3】米国特許出願第09/526585号明細書
【特許文献4】国際公開第2002/086954号パンフレット
【特許文献5】米国特許出願第09/390535号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、連続する2つのパルス(あるいはパルス組)による結晶化領域を基板フィルム上に配置して、こうした結晶化領域内にTFTデバイスを設けることができ、これにより、薄膜フィルム試料の隣接領域が、これらの部分内に設けたTFTデバイスにほぼ同一の性能を持たせることができる、改善されたプロセス及びシステムを提供することにある。本発明の他の目的は、連続する2つのビームパルス(あるいはパルス組)によって結晶化した領域を、試料の隣接領域間の境界領域部分内に入れて、これにより、これらの隣接領域間の境界が目に見える知覚度を低減して、隣接する2つの領域間のコントラストを低減することにある。
【0011】
これらの目的の少なくとも一部、並びに以下の記載を参照して明らかになる他の目的によれば、(各々が異なるフリューエンスを有する)2つ以上の異なるパルスの複数部分による半導体薄膜フィルム内の1つ以上の領域の照射を、空間的に分散させることによることが定まる。半導体薄膜フィルムの隣接する2つの領域間の境界領域部分内に、連続する2つのビームパルスの複数部分を分散させることが、画素間の境界の知覚度を低減することも確かめられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの好適例では、半導体薄膜フィルムを処理するプロセス及びシステムが提供される。特に、ビーム発生器を制御して、逐次的な照射ビームパルスを所定の反復度で放出する。各照射ビームパルスをマスクして、複数の第1小ビーム及び複数の第2小ビームを規定することができる。各照射パルスの第1及び第2小ビームは、フィルム試料に当てるべく供給し、そして、フィルム試料の一区画の照射部分を少なくとも部分的に融解させるのに十分な強度を有する。フィルム試料の一区画の特定領域を、この特定領域内の複数の第1部分を融解させるべく照射ビームパルスの第1パルスの第1小ビームで照射して、これらの第1部分は少なくとも部分的に融解して、それぞれの隣接する第1部分どうしの間に複数の第1未照射部分が残り、そしてこれらの第1部分は自ずと再凝固して結晶化する。前記特定領域を第1小ビームで照射した後に、この特定領域を、この特定領域内の複数の第2部分を融解させるべく照射ビームパルスの第2パルスの第2小ビームで再び照射して、これらの第2部分は少なくとも部分的に融解して、それぞれの隣接する各第2部分どうしの間に複数の第2未照射部分が残り、そしてこれらの第2部分は自ずと再凝固して結晶化する。照射されて再凝固した第1部分及び照射されて再凝固した第2部分は、フィルム試料の区画内で互いに間に入り合う。これに加えて、前記第1部分は第1画素に対応し、前記第2部分は第2画素に対応する。
【0013】
本発明の他の好適例では、それぞれの前記第1画素の位置が、それぞれの前記第2画素の位置と異なる。また、照射された前記第2部分の少なくとも1つの位置は前記第1未照射部分の少なくとも1つの位置と同じである。前記第1未照射部分は前記第2部分とほぼ同じ位置にあり、前記第2未照射部分が前記第1部分とほぼ同じ位置にある。照射された前記第1及び第2部分、及び前記第1及び第2未照射部分が、フィルム試料の一区画の横断面全体を形成する。前記第1及び第2部分の位置は不均一にすることができ、そして照射されて再凝固した前記第2部分の端は、照射されて再凝固した前記第1部分から少し離して設ける。
【0014】
本発明の更に他の好適例では、前記第1小ビームが第1エネルギー密度を有し、前記第2小ビームが第2エネルギー密度を有し、前記第1エネルギー密度は前記第2エネルギー密度と異なる。マスクされた照射ビームパルスは更に、複数の第3小ビームを含むことができ、これらの小ビームはフィルム試料に当てるべく供給する。これに加えて、前記特定領域を前記第2小ビームで照射した後に、この特定領域を第3小ビームで照射して、この特定領域内の複数の第3部分を融解させる。これらの第3部分は厚さ全体にわたって融解して、隣接する各第3部分どうしの間に複数の第3未照射部分が残り、そして前記第3部分は自ずと再凝固して結晶化する。前記第3部分は第3画素に対応させることができ、それぞれの第1及び第2画素の位置は、それぞれの第3画素の位置と異なる。前記第1及び第2部分の少なくとも1つの位置は、前記第3未照射部分の少なくとも1つの位置とほぼ同じである(あるいは異なる)。また、前記第1及び第2未照射部分の少なくとも1つは前記第3部分とほぼ同じ位置にあり、前記第3未照射部分は前記第1及び第2部分の少なくとも1つとほぼ同じ位置にある。再凝固した前記第1、第2、及び第3部分が、フィルム試料の一区画の横断面全体を形成することができる。
【0015】
本発明の更に他の好適例では、再凝固した前記第1及び第2部分を、再凝固した前記第3部分から少し離して設ける。これに加えて、前記第1小ビームが第1エネルギー密度を有し、前記第2小ビームが第2エネルギー密度を有し、前記第3小ビームが第3エネルギー密度を有し、前記第3エネルギー密度が、前記第1エネルギー密度及び前記第2エネルギー密度の少なくとも一方と異なることができる。前記第2ビームパルスは前記第1ビームパルスの直後に後続させることができ、フィルム試料を照射ビームパルスに対する第1位置に設けた際に、前記第1部分を前記第1小ビームで照射することができる。フィルム試料を照射ビームパルスに対する第2位置に設けた際に、前記第2部分を前記第2小ビームで照射することができ、前記第2位置は前記第1位置よりも、フィルム試料の区画の中心により近い。更に、フィルム試料を照射ビームパルスに対して平行移動して、これにより、前記第1小ビームがフィルム試料に当たる位置を、前記第1位置から前記第2位置に移動させることができる。
【0016】
本発明の更に他の好適例では、前記第1部分を厚さ全体にわたって完全に融解させて、前記第2部分を厚さ全体にわたって完全に融解させる。また、フィルム試料の更なる部分が前記第1及び第2小ビームによる照射を受けるように、フィルム試料を平行移動して、この更なる部分は、フィルム試料の前記特定領域にほぼ隣接する。前記第1及び第2部分の照射を反復して、半導体薄膜フィルム試料の全体を処理する。フィルム試料の前記更なる部分の第1端部を、フィルム試料の前記特定領域の第2端部にオーバラップ(重複)させて、前記更なる部分の前記第1端部内の照射されて再凝固した複数部分は、前記特定領域内の再凝固した複数部分と互いに間に入り合って、これらの部分どうしはオーバラップさせない。
【0017】
添付した図面は、本発明の好適な実施例を示し、本発明の原理を説明する役割をする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明による照射システムの好適な実施例のブロック図であり、(異なるフリューエンスを有する)逐次的なビームパルスの複数部分が、試料上に設けた半導体薄膜フィルムの複数領域を照射して、これらの部分がこれらの領域と互いに間に入ることを可能にする。
【図1B】半導体薄膜フィルムを含む試料の拡大した側断面図である。
【図2】概念的に分割され、上面に半導体薄膜フィルムを有する試料の好適な具体例の開放上面分解図であり、この半導体薄膜フィルムの表面領域全体に対して、図1Aの好適なシステムを用いて本発明によるプロセスを実行する。
【図3】本発明によるマスクの第1の好適な実施例の上面図であり、このマスクは2つの部分に分割され、第1部分及び第2部分によってパターン化されたそれぞれの小ビーム組が、薄膜フィルムの同一領域を照射することができ、各小ビーム組によって照射される前記領域内の部分は、当該領域全体にわたって分散している。
【図4A】本発明の好適な実施例による、図3のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図4B】本発明の好適な実施例による、図3のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図4C】本発明の好適な実施例による、図3のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図4D】本発明の好適な実施例による、図3のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図4E】本発明の好適な実施例による、図3のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図4F】本発明の好適な実施例による、図3のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図4G】本発明の好適な実施例による、図3のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図4H】本発明の好適な実施例による、図3のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図5A】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図4A〜4Hに示す試料の移動に対応し、)図3のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図5B】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図4A〜4Hに示す試料の移動に対応し、)図3のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図5C】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図4A〜4Hに示す試料の移動に対応し、)図3のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図5D】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図4A〜4Hに示す試料の移動に対応し、)図3のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図5E】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図4A〜4Hに示す試料の移動に対応し、)図3のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図5F】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図4A〜4Hに示す試料の移動に対応し、)図3のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図5G】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図4A〜4Hに示す試料の移動に対応し、)図3のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図5H】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図4A〜4Hに示す試料の移動に対応し、)図3のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図6】A及びBは、図5G及び図5Hの結晶化した部分に対応する、照射され、再凝固して結晶化した2つの特定部分を示す図であり、TFTデバイス全体が結晶化部分内に位置する。図5G及び図5Hの結晶化した部分に対応する、照射され、再凝固して結晶化した2つの特定部分を示す図であり、TFTデバイスの活性領域が結晶化部分内に位置し、TFTデバイスの他の領域は結晶化部分間の境界領域部分上に設けられる。
【図7】本発明によるマスクの第2の好適な実施例の上面図であり、このマスクは3つの部分に分割され、第1、第2、及び第3部分によってパターン化されたそれぞれの小ビーム組が薄膜フィルムの同一領域を照射可能であり、各小ビーム組によって照射された領域内の部分は、当該領域全体にわたって分散している。
【図8A】本発明の好適な実施例による、図7のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図8B】本発明の好適な実施例による、図7のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図8C】本発明の好適な実施例による、図7のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図8D】本発明の好適な実施例による、図7のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図8E】本発明の好適な実施例による、図7のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図8F】本発明の好適な実施例による、図7のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図8G】本発明の好適な実施例による、図7のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図8H】本発明の好適な実施例による、図7のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図である。
【図9A】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図8A〜8Hに示す試料の移動に対応し、)図7のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図9B】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図8A〜8Hに示す試料の移動に対応し、)図7のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図9C】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図8A〜8Hに示す試料の移動に対応し、)図7のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図9D】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図8A〜8Hに示す試料の移動に対応し、)図7のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図9E】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図8A〜8Hに示す試料の移動に対応し、)図7のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図9F】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図8A〜8Hに示す試料の移動に対応し、)図7のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図9G】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図8A〜8Hに示す試料の移動に対応し、)図7のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図9H】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図8A〜8Hに示す試料の移動に対応し、)図7のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図10】本発明によるマスクの第3の好適な実施例の上面図であり、このマスクは4つの部分に分割され、第1及び第2部分によってパターン化したそれぞれの小ビーム組を用いて、照射領域内の第1部分中で粒子を横方向に成長させて、第3及び第4部分によってパターン化したそれぞれの小ビーム組を用いて、照射領域の第2部分中で粒子を横方向に成長させて、薄膜フィルムの同一領域を照射可能であり、小ビームによって照射された領域の前記第1及び第2部分は、当該領域全体にわたって分散している。
【図11A】本発明の好適な実施例による、図10のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図であり、これにより、半導体薄膜フィルムの同一領域内の複数特定領域内の逐次的横方向結晶化(SLS)を促進する。
【図11B】本発明の好適な実施例による、図10のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図であり、これにより、半導体薄膜フィルムの同一領域内の複数特定領域内の逐次的横方向結晶化(SLS)を促進する。
【図11C】本発明の好適な実施例による、図10のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図であり、これにより、半導体薄膜フィルムの同一領域内の複数特定領域内の逐次的横方向結晶化(SLS)を促進する。
【図11D】本発明の好適な実施例による、図10のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図であり、これにより、半導体薄膜フィルムの同一領域内の複数特定領域内の逐次的横方向結晶化(SLS)を促進する。
【図11E】本発明の好適な実施例による、図10のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図であり、これにより、半導体薄膜フィルムの同一領域内の複数特定領域内の逐次的横方向結晶化(SLS)を促進する。
【図11F】本発明の好適な実施例による、図10のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図であり、これにより、半導体薄膜フィルムの同一領域内の複数特定領域内の逐次的横方向結晶化(SLS)を促進する。
【図11G】本発明の好適な実施例による、図10のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図であり、これにより、半導体薄膜フィルムの同一領域内の複数特定領域内の逐次的横方向結晶化(SLS)を促進する。
【図11H】本発明の好適な実施例による、図10のマスクによるビームパルスのパターン化に伴う、試料の半導体薄膜フィルムのビームパルスに対する逐次的な移動を示す図であり、これにより、半導体薄膜フィルムの同一領域内の複数特定領域内の逐次的横方向結晶化(SLS)を促進する。
【図12A】SLSの原理にもとづく本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図11A〜11Hに示す試料の移動に対応し、)図10のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図12B】SLSの原理にもとづく本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図11A〜11Hに示す試料の移動に対応し、)図10のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図12C】SLSの原理にもとづく本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図11A〜11Hに示す試料の移動に対応し、)図10のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図12D】SLSの原理にもとづく本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図11A〜11Hに示す試料の移動に対応し、)図10のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図12E】SLSの原理にもとづく本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図11A〜11Hに示す試料の移動に対応し、)図10のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図12F】SLSの原理にもとづく本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、(図11A〜11Hに示す試料の移動に対応し、)図10のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図13】本発明によるマスクの第4の好適な実施例の上面図であり、このマスクは中心領域部分と境界領域部分とに分割され、境界領域部分によってパターン化されたそれぞれの小ビーム組が領域内の部分を照射して、これらの部分が、隣接領域を照射する次の逐次的なビームパルスによってパターン化された小ビームによって照射される領域内の部分間に入って、隣接する領域どうしの境界領域内の、後のビームパルスの小ビームによって照射される部分は、この境界領域部分全体にわたって分散する。
【図14A】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、図13のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図14B】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、図13のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図14C】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、図13のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図14D】本発明のプロセスによる処理の逐次的な段階の代表的なものを示す図であり、図13のマスクによってマスクされた照射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの再凝固及び結晶化を示す。
【図15】図13のマスクによってパターン化したビームパルスによって照射される領域が受ける照射の回数を示す図である。
【図16】本発明の第1の好適な処理手順を表わすフロー図であり、少なくとも部分的に図1Aの演算装置の制御下で、図4A〜4H、図5A〜5H、図8A〜8H、図9A〜9H、図11A〜11H、及び図12A〜12Fに示す本発明の好適な技法を用いて実行する。
【図17】本発明の第2の好適な処理手順を表わすフロー図であり、少なくとも部分的に図1Aの演算装置の制御下で、図14A〜14Dに示す本発明の好適な技法を用いて実行する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例の詳細な説明)
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
なお、本発明による種々のシステムは、半導体(例えばシリコン)薄膜フィルム上の以前に結晶化した領域間に入れることが可能な1つ以上の領域を、この半導体薄膜フィルム上に生成し、凝固させ結晶化させるために利用することができる。こうした領域を達成するためのシステム及びプロセス、並びに結果的な結晶化した半導体薄膜フィルムの好適な実施例について、以下に更に詳細に説明する。しかし、本発明は、本明細書に記載したシステム、プロセス、及び半導体薄膜フィルムの好適な実施例に何ら限定されるものではない。
【0020】
連続動作のSLSを提供する特定のシステムは、米国特許出願第09/526585号明細書(特許文献3、以下’585出願と称する)に記載され、その全文を参考文献として本明細書に含める。本発明の好適な実施例によるほぼ同様のシステムは、上述した半導体フィルムの照射され、凝固して結晶化した部分を作製するために採用することができ、このシステムを用いて、新たな照射され、凝固して結晶化した領域を以前に結晶化した部分と共に分散させることができる。特に、本発明によるシステムは、照射ビームパルスによって照射されるアモルファス・シリコン薄膜フィルムを有する試料170に対して用いられ、この半導体薄膜フィルムの特定領域の照射、その後の凝固及び結晶化を促進する。この好適なシステムは、照射ビーム(例えばレーザビーム)を放出するビーム源110(例えばLambda Physik(登録商標)社の型式LPX-315IのXeClパルス・エキシマレーザ)、前記レーザビームのエネルギー密度を修正するための可制御のビーム・エネルギー密度変調器120、MicroLas(登録商標)社の二枚板可変アッテネータ(減衰器)130、ビーム・ステアリング(操舵)鏡140、143、147、160及び162、ビーム拡大(エキスパンダー)及びコリメート(視準)レンズ141及び142、ビーム・ホモジナイザ(均質化器)144、コンデンサー(集光)レンズ145、フィールド(視野)レンズ148、平行移動ステージ(図示せず)に搭載可能な投射マスク150、4×−6×(4倍〜6倍)のアイピース(接眼レンズ)161、可制御のシャッタ152、処理すべき半導体薄膜フィルムを有して試料平行移動ステージ180上に搭載された試料170上に照射ビームパルス164を焦点合わせするための多素子の対物レンズ163、振動絶縁兼自己水準器システム191、192、193及び194上に支持されたグラナイト・ブロック光学ベンチ190、及びビーム源110、ビーム・エネルギー密度変調器120、可変アッテネータ130、シャッタ152、及び試料平行移動ステージ180に結合されてこれらを制御する演算装置100(例えば、本発明によるプログラムを実行する汎用コンピュータ、あるいは特定目的のコンピュータ)を具えている。
【0021】
試料平行移動ステージ180を演算装置100によって制御して、試料170の平面内のX−Y方向の平行移動、並びにZ方向の平行移動を行うことが好ましい。このようにして、演算装置100は、試料40の照射ビーム164に対する相対位置を制御する。照射ビーム164の反復度及びエネルギー密度もコンピュータ100によって制御する。なお、ビーム源110(例えばパルス・エキシマレーザ)の代わりに、試料170の半導体(例えばシリコン)薄膜フィルムの選択領域を本明細書に記載の方法で少なくとも部分的に(できれば厚さ全体を通して)融解させるのに適した他の既知のショット・エネルギーパルス源によって、照射ビームパルスを発生することができることは当業者にとって明らかである。こうした既知のパルス源は、パルス固体レーザ、チョップ連続波レーザ、パルス電子ビーム、及びパルス・イオンビームレーザ、等とすることができる。一般に、ビーム源110によって発生した照射ビームパルスは、10mJ/cm2〜1J/cm2の範囲のビーム強度、10〜103nsの範囲のパルス持続時間(FWHM:Full Width at Half Maximum(半値全幅))、及び10Hz〜104Hzの範囲のパルス反復度を提供する。
【0022】
図1Aに示すシステムの好適な実施例では、演算装置100が試料平行移動ステージ180によって試料170の平行移動を制御して、本発明による試料170の半導体薄膜フィルムの処理を行っているが、適切なマスク/レーザビーム平行移動ステージ(簡単のため図示せず)に搭載したマスク150及び/またはレーザビーム源110を制御して、照射ビームパルス164の強度パターンを、試料170の半導体薄膜フィルムに対して、制御されるビーム径路に沿って移動(シフト)させるべく、演算装置100を適応させることもできる。照射ビームパルス164の強度パターンを移動させる他の可能な方法は、コンピュータ100にビーム・ステアリング鏡を制御させることである。図1Aの好適なシステムは、試料170のシリコン薄膜フィルムを、以下に詳細に説明する方法で処理するために使用することができる。本発明の好適なシステムは、マスク150を使用して、結果的なマスクされたビームパルス164のプロファイル(外形、形状)を良好に規定し、そして半導体薄膜フィルムの複数部分がこうしたマスクされたビームパルス164によって照射されて結晶化する際に、これらの部分の互いに隣接する領域及び端部(エッジ)領域の不均一性を低減すべきである。
【0023】
図1Bに示すように、試料170の半導体薄膜フィルム175は、例えばガラス基板172上に直接配置することができ、そして、1つ以上の中間層177を間に入れた上に設けることもできる。半導体薄膜フィルム175は、少なくともその必要な特定領域が厚さ全体にわたって完全に融解可能である限りは、100Å〜10,000Å(1μm)の厚さを有することができる。本発明の好適な実施例によれば、半導体薄膜フィルム175は、シリコン、ゲルマニウム、ゲルマニウム化シリコン(SiGe)で組成することができ、これらのすべてが低レベルの不純物を有することが好ましい。半導体薄膜フィルム175用に、他の元素または半導体材料を利用することもできる。半導体薄膜フィルム175の直下に位置する中間層177は、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si34)、及び/または酸化物、窒化物、あるいは試料170の半導体薄膜フィルム175の指定領域内の粒子成長を促進するのに適した他の材料で組成することができる。ガラス基板172の温度は、室温〜800℃にすることができる。ガラス基板172のより高い温度は、基板172を予熱することによって達成することができ、この予熱は、ガラス基板が半導体薄膜フィルム175に近接していることにより、試料170の半導体薄膜フィルム175の照射されて再凝固して結晶化した領域内に大きな粒子が効果的に成長することを可能にする。
【0024】
図2に、試料170の半導体薄膜フィルム175(例えばアモルファス・シリコン薄膜フィルム)の好適な実施例の拡大図、及び試料170の位置に対するビームパルス164の相対的な平行移動径路を示す。好適な試料170は、Y方向40cm×X方向30cmの好適な寸法を有する。試料170は、概念的に多数の列(例えば、1番目の概念的な列205、2番目の概念的な列206、3番目の概念的な列207、等)に分割することができる。概念的な各列の位置/大きさを演算装置100の記憶装置に記憶して、演算装置100が後にこれらの位置/大きさを利用して、試料170の平行移動を制御し、かつ/あるいはビーム源110によって、半導体薄膜フィルム175のこれらの位置上、あるいは記憶している位置にもとづく他の位置上にビームを発射することができる。列205、206、207等の各々は、例えばY方向1/2cm×X方向30cmの寸法にすることができる。従って、試料170をY方向40cmにすれば、試料170は概念的に80列に分割することができる。試料170は、他の寸法(例えば1cm×30cmの列、2cm×30cmの列、3cm×30cmの列、等)を有する列に分割することもできる。実際に、ビームパルス164がこうした列内の半導体薄膜フィルム175の特定領域を照射して完全に融解させて、これにより、こうした領域内の小粒子の成長を促進して、フィルム試料175上に均一な領域を形成して、一般に互いに異なるフリューエンスを有する2つの異なる(例えば逐次的な)ビームパルスによって照射した領域を、半導体薄膜フィルムの同一領域内で互いに間に入れることが可能な限りは、試料170の概念的な列の寸法に対する制約は全くない。各列の位置/寸法は、演算装置100の記憶装置に記憶されて、こうした演算装置100によって、平行移動ステージ180のビームパルス164に対する平行移動を制御するため、及び/またはビーム源110によってビーム111を発射するために利用される。
【0025】
半導体薄膜フィルム175はビームパルス164によって照射することができ、ビームパルス164は、図3に示す本発明の第1の好適な実施例によるマスク150を用いてパターン化される。第1の好適なマスク150は、その断面積がビームパルス164の断面積よりも大きくなるような大きさにする。このようにして、マスク150がビームパルスを、マスク150の開口あるいは透明領域によって指向された形状及びプロファイルを有するようにパターン化することができる。マスク150は、第1部分A300及び第2部分B350に分割される。第1部分A300は、多数の開口または透明領域310を有し、これらの領域はビーム・ブロック(阻止)領域320によって互いに分離されている。第2部分B350は、多数の開口または透明領域360を有し、これらの領域はビーム・ブロック領域370によって互いに分離されている。マスク150の第1及び第2部分300、350のそれぞれの開口または透明領域310、360は、「スリット」と称することができる。これらのスリットは、小さいビームパルス(または小ビーム)がこれらのスリットを通過して、半導体薄膜フィルム175のこれらの小ビームが当たった領域を照射して完全に融解させることを可能にする。スリット310、360の寸法は、0.1μm×0.5μm、0.5μm×0.5μm、等とすることができる。これらのスリットの他の寸法も可能であり、本発明の範囲内であることは明白である。これらのスリットは例えば、矩形、円形、三角形、V字形、ダイヤモンド形、等にすることができる。このようにして、マスク150はビームパルス164を、試料170の半導体薄膜フィルム175の所定部分に当たるようにパターン化することができ、これについては以下で更に説明する。
【0026】
以下、本発明によるプロセスの第1の好適な実施例について、図4A〜4H及び5A〜5Hに示して、図3のマスク150によってパターン化されたビームパルス164が半導体薄膜フィルム175に当たる部分に対する試料170の相対移動を参照して説明する。以下では、試料170の好適な平行移動を、マスクされたビームパルス164の方向に関係して、図2も参照して説明する。マスク150を移動するか、あるいは試料平行移動ステージ180を移動するかのいずれかによって、試料170を相対移動して、試料170の半導体薄膜フィルム175の選択領域を照射することができる。以上の目的のために、マスクされたビームパルスの長さ及び幅は0.1cm×0.5cmにすることができる。しかし、マスクされたビームパルス164はこうした形状及び大きさに限定されないことは明らかである。実際に、マスク150によってパターン化して寸法決めされる、ビームパルス164の他の形状及び/または大きさも可能である。
【0027】
試料170を概念的に列205、206、207、等に分割した後に、(演算装置100を用いてビーム源110を作動させることによって、あるいはシャッタ130を開放することによって、)レーザビームパルス111を活性化して、レーザビームパルス164を発生して、レーザビームパルス164は、半導体薄膜フィルム175から離れた第1位置220に当たる。そして、演算装置100の制御下で、試料170をX方向に向けて加速して平行移動して、第1ビーム径路225の固定位置の小ビームに対して所定速度に到達させる。
【0028】
本発明のプロセスの1つの好適な変形例では、好適には試料170のレーザビームパルス149に対する移動速度が所定速度に達した際に、小ビームパルス164が試料170の第1端210’に達することができる。そして、試料170を連続的に(例えば停止させずに)所定速度でX方向に平行移動して、これにより、第2ビーム径路230の全長にわたって、小ビームパルス164が試料170の連続的な部分を照射し続けるようにする。
【0029】
ビームパルス164が第1端210’を通過すると、ビームパルス149はマスク150の第1部分A300及び第2部分B350を通過して、マスク150はビームパルス149をパターン化して、マスクされたビームパルス164にする。図5Aに示すように、マスク150の第1部分A300によってパターン化されたビームパルス164は、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205上の第1領域410に当たり、マスク150の第2部分B350によってパターン化されたビームパルス164は、半導体薄膜フィルム175の端210’から離れた領域を照射する。従って、図4A及び図5Aに示すように、半導体薄膜フィルム175の第1領域は、マスク150の第1部分A300によってマスクされたビームパルス164のみによって照射される。図5Aに示すように、照射される第1領域410どうしは互いに少し離して設けた複数の照射された第1部分415を具え、これらの第1部分415は、マスク150の第1部分A300のスリット310の位置及び向きにほぼ一致する。特に、照射された第1部分415どうしの間にある部分が他のビームパルス(例えば後続のマスクされたビームパルス)で照射可能なように、第1部分415を設ける。本発明の好適な実施例では、照射された第1部分415どうしの間の部分が十分大きく、その中にある、第1部分415とおよそ同じ大きさの新たな部分全体を、(例えば、いずれの第1部分415ともオーバラップすることなしに)他のビームパルスによって照射することができる。マスクされたビームパルス164が、照射中の第1部分415を厚さ全体にわたって完全に融解させるのに十分なフリューエンスまたは強度を有することが可能である。これに加えて、これらの部分415は、マスクされたビームパルス164によって部分的に融解させることができる。
【0030】
その後に、図4B及び図5Bに示すように、試料170をマスクされたビームパルス164に対して−X方向に平行移動し続けて、ビームパルスをマスク150の第1部分A300及び第2部分B350によってマスクして、第1部分A300によってパターン化された最初の半分のビームパルス164が、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205上の第2領域を照射して、第2部分B350によってパターン化された残りの半分のビームパルス164が第1領域410を照射するようにする。従って、第2領域420内の第1照射領域425は、第1領域410内の第1部分415とほぼ同様の位置にあり、ほぼ同様に照射される。なお、第2部分B350によってパターン化された残りの半分のビームパルス164が第1照射領域410を照射するより先に、前のビームパルスによって照射された第1部分415(図5A参照)は自ずと凝固して結晶化している。これに加えて、マスク150の第2部分B350によってマスクされた残りの半分のビームパルス164によって照射された第1領域410の第2部分418は、結晶化した第1部分415の間に入る。なお、前記最初の半分のビームパルス164が第1部分415を照射するために用いるフリューエンスは、前記残りの半分のビームパルス164が第2部分418を照射するために用いるフリューエンスと異なる。第1部分415と第2部分418とが互いに間に入っているということにより、こうした結晶化領域415、418上に配置したTFTデバイスの性能は好適なことに、第1領域410全体を通して均一である。
【0031】
次に、図4C及び図5Cに示すように、試料170をマスクされたビームパルス164に対して−X方向に平行移動し続けて、ビームパルス149をマスク150の第1部分A300及び第2部分B350によって再びマスクして、第1部分A300によってパターン化された最初の半分のビームパルス164が、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205上の第3領域430を照射して、第2部分B350によってパターン化された残りの半分のビームパルス164が、(前に部分的に照射された)第2領域420を照射する。第3領域430の第1部分435は、第1領域410内の第1部分415及び第2領域420内の第1部分425とほぼ同様の位置にあり、ほぼ同様に照射される。第1領域410の照射された第1部分415の結晶化に関する以上の説明と同様に、(図5Bに示すように)前のビームパルスによって照射された第1部分425は、自ずと凝固して結晶化している。更に、マスク150の第2部分B350によってマスクされた残りの半分のビームパルス164によって照射された第2部分428は、結晶化した第1部分425の間に入る。これに加えて、第1領域410の第1部分415及び第2部分428(特に全領域)が結晶化している。
【0032】
図4D及び5Dに、マスクされたビームパルス164に対して−X方向に平行移動中の試料170を示し、ビームパルス149はマスク150の第1部分A300及び第2部分B350によって再びマスクされて、第1部分A300によってパターン化された最初の半分のビームパルス164が、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205上の更なる領域430を照射して、第2部分B350によってパターン化された残りの半分のビームパルス164が、(前に部分的に照射された)第3領域430を照射する。従って、前記最初の半分のマスクされたビームパルス164によって照射された第3領域430の第2照射部分438は、結晶化した第1照射部分435の間に入る。
【0033】
前記平行移動は、すべての領域410、420、430、...、490が完成して、概念的な第1列205内の各領域内のすべての前記第1部分及び前記第2部分が結晶化するまで、即ち、図4E及び5Eに示すように、小ビームパルス164が試料170の第2端210”に到達するまで継続する。ビームパルス164が第2端210”を通過すると、(第3ビーム径路235中の)試料170のビームパルス164に対する平行移動を減速して、第2位置240に到達させる(図2参照)。なお、ビームパルス164が試料170の第2端210”を横断した後にビームパルス111の発生を停止する必要はない、というのは、ビームパルス164はもはや試料170を照射していないからである。
【0034】
ビームパルス164が試料170の第2端210”から離れている間には、試料170を第4ビーム径路245経由で第3位置247まで−Y方向に平行移動し続けて、半導体薄膜フィルム175の概念的な第2列206に沿った各部分を照射できるようにする。そして、試料170を位置247に静止させて、試料170を第3位置247まで平行移動し続けた際に生じたすべての振動は自ずと止まる。実際には、試料170が概念的な第2列206に到達するために、試料170を、(−Y方向の)幅1/2cmを有する列の分だけ、約1/2cm平行移動し続ける。そして、試料170を第4ビーム径路経由で−X方向に所定速度まで加速して、これによりビーム164の照射が半導体薄膜フィルム175に到達し、そして第2端210”を通過する。
【0035】
その後に、試料170を第5ビーム径路255に沿って平行移動し続け、そして、第1列205の照射に関して上述した好適なプロセスを概念的な第2列に対して繰り返して、試料170を+X方向に平行移動しながら、更なる領域510、520、及びそれぞれの領域内の小粒子領域(第1部分)515、525、及び横方向成長領域(第2部分)518、528を照射する。しかし、半導体薄膜フィルム175の概念的な第2列206の第1領域510をまず照射するために、第1部分A300を用いて前記最初の半分のビームパルス164を供給する代わりに、マスク150の第2部分B350を用いてビームパルスをパターン化して、概念的な第2列206の第1領域510を照射する。
【0036】
特に、図4F及び5Fに示すように、マスク150の第2部分B350によってパターン化されたビームパルスが、試料170の概念的な第2列206上の第1領域510に当たる間に、マスク150の第1部分A300によってパターン化されたビームパルス164が、半導体薄膜フィルム175から離れた領域を照射する。従って、半導体薄膜フィルム175の第1領域510は、マスク150の第2部分B350によってマスクされたビームパルス164のみによって照射される。図5Fに示すように、概念的な第2列206の照射される第1領域510は複数の照射された第1部分515を具え、これらの部分515どうしは互いに少し離して設けられ、そしてマスク150の第2部分B350のスリット360の位置及び向きにほぼ一致する。図4G、4H、5G、5Hに示すように、半導体薄膜フィルム175の概念的な第2列206の複数領域が、マスク150によってパターン化されたビームパルス164によって照射されて、この照射は、第2部分B350によってマスクされた前記残りの半分のビームパルス164が、第1部分A300によってマスクされた前記最初の半分のビームパルス164より先に、半導体薄膜フィルム175の概念的な第2列206のすべての領域を照射する。
【0037】
このようにして、試料170のすべての概念的な列を適切に照射することができる。特に、ビームパルス164が第1端210’に達すると、試料170の平行移動を第6ビーム径路260に沿って減速して、第4位置265に到達させる。この時点では、試料170を第7ビーム径路270に沿って−Y方向に平行移動し続けて、ビームパルス164を試料170付近より外に出して、第5位置272に到達させて、試料170の平行移動を停止して、試料170のあらゆる振動を自然に除去する。その後に、試料170を第8径路275に沿って−X方向に加速して、これによりビームパルス164が試料170の第1端201’に到達してこの端を通過してビームパルス164が、概念的な第3列207の特定領域を照射して少なくとも部分的に融解させて、これらの領域は、概念的な第1列205の領域410、420、430、...、490について上述し、そして図5A〜5Eに示すのとほぼ同様に結晶化する。
【0038】
この手順は、半導体薄膜フィルムのすべての概念的な列に対して、あるいは、必ずしも概念的に列に分割されていない薄膜フィルム175の特定区画の選択した列に対して反復することができる。本発明によるこの好適な手順によって、半導体薄膜フィルム175のすべての領域の結晶化した前記第1部分と前記第2部分とが互いに間に入っているので、こうした結晶化領域上に配置したTFTデバイスの性能は、こうした結晶化領域上に配置したTFTデバイス全体を通してほぼ均一になる。
【0039】
これに加えて、演算装置100が、(所定パルス持続時間を設定することによって照射する代わりに、)演算装置100の記憶装置に記憶している所定位置にもとづいて、ビーム源110によるビーム111の発射を制御することができる。例えば、演算装置100がビーム源110を制御してビーム111を発生して、対応するビームパルス164によって薄膜フィルム175の特定領域内の所定位置のみを照射して、演算装置100がこれらの位置を記憶し利用して、ビーム111の発射を開始して、これにより、試料170を平行移動し続ける際のみにビームパルス164を照射して、これらの領域をビームパルス164の径路内に直接もっていくことができる。ビーム源110は、演算装置100によって、X方向の位置の座標にもとづいて発射することができる。
【0040】
これに加えて、ビームパルス164の照射の径路が、半導体フィルム175上の融解して結晶化すべき領域に当たる際には、試料170を必ずしも連続的でない方法で平行移動することができる。従って、試料170の中間で試料170の平行移動を停止して、この中間の領域を照射して、少なくとも部分的に融解させ、そして再凝固させて結晶化することができる。その後に、試料170を移動して、半導体薄膜フィルム175の他の部分をビームパルス164の径路内におき、そして試料170の平行移動を再び停止して、以上で詳細に説明したプロセスの好適な実施例、並びに以下に説明するプロセスの実施例によって、前記特定区画を照射して、少なくとも部分的に融解させる。
【0041】
図5C〜5Hに示す第1領域410の、照射されて再凝固して結晶化した第1部分415及び第2部分418を、図6Aに示す。特に図6Aに示すように、TFTデバイス610及び620は、第1領域410のそれぞれ第1部分415及び第2部分418内に配置することができる。第1領域410の第1部分415内に配置された第1TFTデバイス610は、ゲート612、ドレイン614、ソース616、及び活性領域618を具え、これらのすべてが第1部分415の境界領域部分から離して設けられる。同様に、第2TFTデバイス620、そのゲート622、ドレイン624、ソース626、及び特に活性領域628も、第1領域410の第2部分418の境界領域部分にオーバラップしないように配置される。
【0042】
図5C〜5Hに示す第1領域410の、照射されて再凝固して結晶化した第1部分415及び第2部分418を、図6Bに示し、これらの部分上にそれぞれTFTデバイス610’、620’が設けられている。この好適な実施例では、TFTデバイス610’、620’のそれぞれの活性領域618’、628’のみが、それぞれ結晶化した第1部分415及び第2部分418内に設けられTFTデバイス610’及び620’の他の部分は、これらの部分415及び418の境界上に位置する。特に、第1TFTデバイス610’は、第1領域410の第1部分415内に全体が配置された活性領域618’を具え、TFTデバイス610’のゲート612’、ドレイン614’、及びソース616’は第1部分415の境界にオーバラップする。また、第2TFTデバイス620’については、その活性領域628’の全体が第1領域410の第2部分418内に配置され、第2TFTデバイス620’のゲート622’、ドレイン624’、及びソース626’は、こうした第2部分418の境界上に直接設けられる。なお、ゲート612、612’、622、622’、ドレイン614、614’、624、624’、及びソース616、616’、626、626’のいずれも、第1及び第2部分415及び418上、及びその境界領域部分上に設けることができる。これに加えて、本発明の更に他の実施例では、TFTデバイス610’、620’のそれぞれの活性領域618’、628’の小部分を、第1部分415及び/または第2部分418の境界領域部分上に配置して、これらの活性領域618’、628’の残りの大部分を、こうした第1及び第2部分415、418内に配置することができる。
【0043】
図7は、本発明によるマスク150’の第2の好適な実施例の上面図であり、このマスク150’は第1部分A’710、第2部分B’720、及び第3部分C’730に分割され、第1、第2、及び第3部分710、720、730によってパターン化されたそれぞれの小ビーム組が、薄膜フィルム175の同一領域を照射することができ、そして各小ビーム組によって照射された領域内の複数部分は、領域全体にわたって分散する。図3に示す第1の好適なマスク150と同様に、第1、第2、及び第3部分710、720、730はそれぞれ、多数の開口または透明領域715、725、735を有し、これらの領域はビーム・ブロック領域によって互いに分離され、これらの領域はスリットと称することができる。これらのスリットは、これらのスリットを通して小さいビームパルス(または小ビーム)を照射して、半導体薄膜フィルム175のこれらの小ビームが当たった領域を少なくとも部分的に融解させることを可能にする。
【0044】
以下、本発明によるプロセスの第2の好適な実施例について、図8A〜8H、及び図9A〜9Hを参照しながら説明する。プロセスの第1実施例については、試料170の相対的な平行移動を、ビームパルス164が第1端210’に達するまで加速する。第1端210’の通過時には、ビームパルス149がマスク150’の第1部分A’710、第2部分B’720、及び第3部分C’730を通過して、これらの部分がビームパルス149を、マスク150’のパターンとほぼ同じパターンにパターン化して、マスクされたビームパルス164にする。図8A及び図9Aに示すように、マスク150’の第1部分A’710によってパターン化されたビームパルス164は、半導体薄膜フィルムの試料170の概念的な第1列205上の第1領域810に当たってこの領域を照射して、この間にマスク150’の第2部分B’720及び第3部分C’730によってパターン化されたビームパルス164は半導体薄膜フィルム175の端210’から離れた所を照射する。従って、図8A及び図9Aに示すように、半導体薄膜フィルム175の第1領域810は、マスク150’の第1部分A’710によってマスクされたビームパルス164のみによって照射される。図9Aに示すように、照射された第1領域810は最初は、照射された複数の第1部分815を具え、第1部分815どうしは互いに少し離して設けられ、マスク150’の第1部分A’710のスリット715の位置及び向きにほぼ一致する。図4A〜4H及び図5A〜5Hに示す第1実施例のように、第1領域810の照射された第1部分815は、これらの第1部分815の間にある部分が他のビームパルス(例えば後続するビームパルス)によって照射可能なように設ける。
【0045】
その後に、図8B及び図9Bに示すように、試料170をビームパルス164に対して−X方向に平行移動し続けて、ビームパルス149がマスク150’の第1部分A’710及び第2部分B’720によってマスクされて、1つ目の1/3の(即ち、第1部分A’710によってパターン化された)ビーム164が、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205上の第2領域820を照射して、2つ目の1/3の(即ち、第2部分B’720によってパターン化された)ビーム164が第1領域810を照射する。マスク150’の第3部分C’730によってパターン化された3つ目の1/3のビームパルス164は、半導体薄膜フィルム175から離れた所(即ち、端210’の外側)を照射する。従って、第2領域820の第1部分825は、第1領域810の第1部分815とほぼ同様に照射されて配置される。なお、第2部分B’720によってパターン化された2つ目の1/3のビームパルス164が第1領域810を照射するより先に、前のビームパルス164によって照射された第1部分815(図9A参照)は自ずと凝固して結晶化している。これに加えて、マスク150’の第2部分B’720によってマスクされた2つ目の1/3のビームパルス164によって照射された第1領域810の第2部分817は、結晶化した第1部分815の間に入る。マスク150’の第1、第2、及び第3部分710、720、730の構成にもとづけば、第1及び第2部分815、817が、1つ目の1/3のビームパルス164によってまず照射され、これに続いて2つ目の1/3のビームパルス164によって照射されていても、この時点では第1領域810内に未照射領域が存在する。
【0046】
次に、図8C及び図9Cに示すように、試料170を再び、マスクされたビームパルス164に対して−X方向に平行移動し続けて、マスク150’の第1、第2、及び第3部分710、720、730によってビームパルス149をマスクして、1つ目の1/3の(即ち、第1部分A’710によってパターン化された)ビームパルス164は半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205上の第3領域830を照射して、2つ目の1/3の(即ち、第2部分B’720によってパターン化された)ビームパルス164は第2領域820を照射して、3つ目の1/3の(即ち、第3部分C’730によってパターン化された)ビームパルス164は第1領域810を照射する。従って、第3領域830の第1部分835は、第1及び第2領域810、820のそれぞれの第1部分815、825とほぼ同様に照射されて配置される。また、第2領域820の第2部分827は、第1領域810の第2部分817とほぼ同様に照射されて配置される。第3部分C’730によってパターン化された3つ目の1/3のビームパルス164が第1領域810を照射するより先に、(図9A及び図9Bに示すように)前の2回のビームパルス164によって照射された第1及び第2部分815、817は自ずと凝固して結晶化している。また、第2部分B’720によってパターン化した2つ目の1/3のビームパルス164が第2領域820を照射するより先に、前のビームパルスによって最初に照射された第1部分825(図9A参照)も自ずと凝固して結晶化している。
【0047】
更に、マスク150’の第3部分C’730によってマスクされた3つ目の1/3のビームパルス164によって照射された第1領域810の第3部分818は、結晶化した第1部分815と第2部分817の間に入る。また、マスク150’の第2部分B’720によってマスクされた2つ目の1/3のビームパルス164によって照射された第2領域820の第2部分827は、結晶化した第1部分825の間に入る。マスク150’の第1、第2、及び第3部分710、720、730の構成にもとづけば、3つ目の1/3のビームパルス164による照射後には、第1領域810内にはもはや未照射部分が存在しない。図8D及び図9Dに示すように、試料170を−X方向に平行移動して、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205を逐次的な4番目のビームパルス164によって照射する際には、第1領域810のすべての部分815、817、818は照射されて結晶化している。
【0048】
図4A〜4H及び図5A〜5Hに示す本発明の実施例についての以上の説明と同様に、1つ目の1/3のビームパルス164が第1部分815を照射するために用いるフリューエンスは、2つ目及び3つ目の1/3のビームパルス164の各々がそれぞれ第2及び第3部分817、818を照射するために用いるフリューエンスとは異なる。第1、第2、及び第3部分815、817、818が互いに間に入っているということにより、こうした結晶化領域815、817、818上に配置されたTFTデバイスの性能は、第1領域810の全体を通して均一である。半導体薄膜フィルム175の第1領域810を参照して上述したように、そして図8D、8E、9D、9Eに示すように、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205のすべての領域が照射されて結晶化するまで、列205の全体に対して、こうした手順を同様に繰り返す。
【0049】
次に、概念的な第2列206の処理を開始すると、マスク150’の第3部分C’730によってマスクされた3つ目の1/3のビームパルス164が、半導体薄膜フィルム175の概念的な第2列の第1領域910の第1部分915に当たってこの部分を照射する(図8F及び9F参照)。従って、本発明の第2実施例によれば、図8G、8H、9G、9Hに示すように、半導体薄膜フィルム175の概念的な第2列206の各領域が、マスク150’によってパターン化されたビームパルス164によって照射されて、3つ目の1/3のビームパルス164が2つ目の1/3のビームパルス164より先に、従って1つ目の1/3のビームパルス164より先に、半導体薄膜フィルム175の概念的な第2列206のすべての領域を照射する。
【0050】
このようにして、試料170のすべての概念的な列を、マスク150’によってパターン化したビームパルス164によって適切に照射することができる。概念的な第3列207の平行移動及び照射は、概念的な第1列205の平行移動及び照射とほぼ同様であり、以下では詳細に説明しない。
【0051】
図10に、本発明によるマスク150”の第3の好適な実施例の上面図を示し、マスク150”は4つの部分(即ち、第1上部1000、第1下部1020、第2上部1050、第2下部1070)に分割される。特に、第1上部1000のスリット1010及び第1下部1020のスリット1030によってパターン化されるそれぞれの小ビーム組は、照射領域の照射された第1部分中に粒子を横方向に成長させるために用いる。第1下部1020のスリット1030は、第1上部1000のスリット1010から垂直方向のオフセット1040をおいて設ける。これに加えて、第2上部1050のスリット1060及び第2下部1070のスリット1080は、同じ照射領域の照射された第2部分中に粒子を横方向に成長させるために用いる。第2下部1070のスリット1080は、第2上部1050のスリット1060から垂直方向のオフセット1090をおいて設ける。このように小ビームによって照射されて横方向に成長したこの領域の第1及び第2部分は、領域全体にわたって互いに離れて分散している。なお、この第3の好適なマスク150”を用いた、半導体薄膜フィルム175の結果的な結晶化部分のレイアウト(配置)は、図3に示すマスク150の第1の好適な実施例とほぼ同様である。しかし、図5A〜5Hの半導体薄膜フィルム175内の領域410、420、等の第1部分415、425、等、及び第2部分418、428、等は、以下に図11A〜11H及び図12A〜12Fを参照して説明する、本発明の第3の好適な実施例による半導体薄膜フィルム175の領域内の第1及び第2部分よりも幾分小さい。このことは、本発明によるプロセスの第3の好適な実施例を用いて結晶化した半導体薄膜フィルム175の第1及び第2部分において、以下に更に詳細に説明する横方向の粒子成長が行われるからである。
【0052】
図11A及び12Aに示すように、マスク150”の第1上部X1000によってパターン化されたビームパルス164は、半導体薄膜フィルム試料170の概念的な第1列205の第1領域810に当たってこの領域を照射して、この間にマスク150”の第1下部X’1030、第2上部Y1050、及び第2下部Y’1070は、半導体薄膜フィルム175の第1端210’から離れた領域を照射する。従って、図11A及び12Aに示すように、半導体薄膜フィルム175の第1領域1110は、マスク150”の第1上部X1000によってマスクされたビームパルス164のみによって照射される。図12Aに示すように、照射される第1領域1110は最初は、複数の照射された第1部分1112を具え、第1部分1112どうしは互いに少し離して設けられ、マスク150”の第1上部X1000のスリット1010の位置及び向きにほぼ一致する。図4A〜4H及び図5A〜5Hに示す第1実施例のように、第1領域1110の第1部分1112は、これらの第1部分1112の間にある部分を他のビームパルス164(例えば後に当てるマスクされたビームパルス164)によって照射可能なように設ける。
【0053】
その後に、図11B及び12Bに示すように、試料170をマスクされたビームパルス164に対して−X方向に平行移動し続けて、マスク150”の第1上部X1000及び第1下部X’1020によってビームパルス149をマスクして、1つ目の1/4の(即ち、第1上部X1000によってパターン化された)ビームパルス164が、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205上の第2領域1120を照射して、2つ目の1/4の(即ち、第1下部X’1020によってパターン化された)ビームパルス164が第1領域1110を照射する。マスク150”の第2上部Y1050及び第2下部Y’1070によってパターン化された、それぞれ3つ目の1/4及び4つ目の1/4のマスクされたビームパルス164は、半導体薄膜フィルム175から離れた所(即ち、端210’の外側)を照射する。第2領域1120の第1部分1122は、第1領域1110の第1部分1112とほぼ同様の方法で照射されて配置される。
【0054】
なお、第1下部X’1020によってパターン化された2つ目の1/4のビームパルス164が第1領域1110を照射するより先に、前のビームパルス164によって照射された第1部分1112(図12A参照)は自ずと凝固して結晶化している。2つ目の1/4の(即ち、第1下部X’1020によってパターン化された)ビームパルス164による第1領域1110の照射に関しては、この2つ目の1/4のビームパルス164が第1領域1110内の第2部分1114を照射して、第2部分1114は、領域1110内の結晶化した第1部分1112のある領域にオーバラップする。第2部分1114は、第1領域1110の結晶化した第1部分1112から垂直方向のオフセットをおいて設けることが好ましく、このオフセットは、第1上部X1000のスリット1010と第1下部X’1020のスリット1030との間のオフセット1040にほぼ相当する。このようにして、結晶化した第1部分1112中に設けられる粒子が第2部分1114中に成長しやすくなり、第2部分1114が冷却して結晶化する際に、第2部分1114が第1部分1112にオーバラップする。このようにして、第1部分1112中の粒子の粒径を増加させて、これにより第1部分1112中の粒子が、結晶化した第2部分1114中に成長する。こうした処理は、逐次的横方向結晶化(”SLS”:Sequential Lateral Solidification)技術の原理を利用し、これについては’585特許出願に更に詳細に記載されている。本発明の好適な実施例では、第1領域1110の第1及び第2部分1112、1114を少なくとも部分的に、厚さ全体にわたって融解させるべく、マスクされたビームパルス164の強度を十分高くして、この成長を更に促進する。
【0055】
その後に、図11C及び12Cに示すように、試料170をマスクされたビームパルス164に対して−X方向に平行移動し続けて、マスク150”の第1上部及び下部1000、1020、及び第2上部及び下部1050、1070によってビームパルス149をマスクして、1つ目の1/4の(即ち、第1上部X1000によってパターン化された)ビームパルス164は、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205上の第3領域1130を照射して、2つ目の1/4の(即ち、第1下部X’1020によってパターン化された)ビームパルス164は第2領域1120を照射して、3つ目の1/4の(即ち、第2上部Y1050によってパターン化された)ビームパルス164は第1領域1110を「照射する。マスク150”の第2下部Y’1070によってパターン化された4つ目の1/4のビームパルス164は、半導体薄膜フィルム175から離れた所(即ち、端210’の外側)を照射する。従って、領域1130の第1部分1132は、第2領域1120の第1部分1122とほぼ同様の方法で照射されて配置される。なお、ここでも、第1下部X’1020によってパターン化された2つ目の1/4のビームパルス164が第2領域1120を照射するより先に、前のビームパルス164によって照射された第1部分1122(図12B参照)は、自ずと凝固して結晶化しており、そして第2部分1124は第2領域1120の結晶化した第1部分1122にオーバラップして、第1部分1122から、照射されて結晶化しつつある第2部分1124中への粒子の横方向の成長は、半導体薄膜フィルム175の第1領域1110の第1及び第2部分1112、1114を参照して上述したのとほぼ同様に行われる。
【0056】
これに加えて、マスク150”の第2上部Y1050によってマスクされた3つ目の1/4の照射ビームパルス164によって照射された第1領域1110の第3部分1116は、結晶化して横方向に成長した(第1部分1112から、第1部分1112にオーバラップする第2部分1114中への横方向の成長によって生成された)第1部分1112’の間に入る。第3部分1116は、第1領域1110の横方向に成長した第1部分1112’の間に入る。
【0057】
更に、図11D及び12Dに示すように、試料170をマスクされたビームパルス164に対して−X方向に平行移動し続けて、ビームパルス149はマスク150”のすべての部分1000、1020、1050、1070によってパターン化されて、1つ目の1/4の(即ち、第1上部X1000によってパターン化された)ビームパルス164は、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205上の第4領域1140を照射して、2つ目の1/4の(即ち、第1下部X’1020によってパターン化された)ビームパルス164は第3領域1130を照射して、3つ目の1/4の(即ち、第2上部Y1050によってパターン化された)ビームパルス164は第2領域1120を照射して、4つ目の1/4の(即ち、第2下部Y’1070によってパターン化された)ビームパルス164は第1領域1110を照射する。第4領域1140の第1部分1142は、第3領域1130の第1部分1132とほぼ同様の方法で照射されて配置され、第2領域1120の第3部分1126は第1領域1110の第3部分1116とほぼ同様の方法で照射されて配置される。第1領域1110の結晶化した第1部分1112上への第2部分1114のオーバラップによって促進される横方向の成長の説明と同様に、マスク150”の第2下部Y’1070によってマスクされた4つ目の1/4のビームパルス164は第1領域1110内の第4部分1118を照射して、第4部分1118は第1領域1110の結晶化した第3部分1116のある領域にオーバラップする。第4部分1118は、第1領域1110の結晶化した第3部分1116から垂直方向のオフセットをおいて設けることが好ましく、このオフセットは、第2上部Y1050のスリット1060と第2下部Y’1070のスリット1080との間のオフセット1090にほぼ相当する。このようにして、結晶化した第3部分1116中に配置された粒子が第4部分1118中に成長しやすくなり、第4部分1118は、冷却して結晶化する際に第3部分1116にオーバラップして、横方向に成長した第3部分1116’が形成される。図11E及び12Eに示すように、試料170を−X方向に平行移動して、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205を4つ目の逐次的なビームパルス164によって照射すると、第1領域1110のすべての部分が照射され、横方向に成長して結晶化する。
【0058】
半導体薄膜フィルム175の第1領域810を参照して上述したのと同様に、そして図11F及び12Fに示すように、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205のすべての領域が照射されて結晶化するまで、列205全体に対して、この手順を繰り返す。概念的な列206、207、...は同じ方法で照射して横方向に成長させて結晶化することができ、但し、試料170を+X方向に平行移動際を除き、この際には、1つ目の1/4のビームパルス164がマスク150”の第2下部Y’1070によってマスクされ、これに続いて2つ目の1/4のビームパルス164がマスク150”の第2上部Y1050によってマスクされ、これに続いて3つ目の1/4のビームパルス164がマスク150”の第1下部X’1020によってマスクされ、最後に4つ目の1/4のビームパルス164がマスク150”の第1上部X1000によってマスクされる。
【0059】
なお、本発明によるプロセスの好適な実施例のすべてについて、半導体薄膜フィルム175の同じ領域に対する上述した照射において、照射するパルス数、及び以前に結晶化した領域間に新たに照射した領域を入れる数は5以上とすることができる。これに加えて、横方向の成長は、領域内の以前に結晶化した部分からオフセットした部分、及び結晶化した部分にオーバラップしている部分から成る2つ以上の部分によって促進することができ、これにより、より長い粒子成長を促進することができる。更に、既に結晶化した領域を後のビームパルスの対応する部分で照射することによって、以前に照射した部分を再照射することができる。実際に、本発明によるプロセスは、半導体薄膜フィルム175の領域内の以前に結晶化した部分を再照射して再結晶化することを可能にする。
【0060】
図13は、本発明によるマスク150*の第4の好適な実施例の上面図であり、マスク150*は中心領域部分CR、東端部分E、南端部分S、西端部分W、及び北端部分Nに分割される。これに加えて、マスク150*はそのコーナー(隅)部分に、南東端部分SE、南西端部分SW、北西端部分NW、及び北東端部分NEを具えている。中心領域部分CRはスリット組1210を含み、これらのスリット組は互いに近接させて設けることができる。マスク150*の端部分の各々が、それぞれのスリットを有する。なお、図13に示すマスク150*の端部分は、その内部にスリットを1つしか(あるいは全く)示していないものもあるが、これらの端部分は図13に示すより多数の、あるいは少数のスリットを有し得ることは明らかである。特に、東端部分Eは複数のスリット1250、南東端部分SEは少なくとも1つのスリット1245、南端部分Dは複数のスリット1240、南西端部分SWにはスリットが無いかあるいは少なくとも1つのスリット1235、西端部分Wは複数のスリット1230、北西端部分NWは少なくとも1つのスリット1225、北端部分Nは複数のスリット1220、及び北東端部分NEにはスリットが無いかあるいは少なくとも1つのスリット1225を有する。マスク150*の各端部分は約1mmの幅を有することができ、そして中心領域部分CRの幅及び長さは1cm×1cmにすることができる。従って、東端、南端、西端及び北端の各部分は1cm×1mmの大きさにすることができ、コーナーの端部分は1mm×1mmの大きさにすることができる。
【0061】
マスク150*の境界領域部分は、この部分によってパターン化されるそれぞれの小ビーム組が半導体薄膜フィルム175のある領域の端部を照射するように設け、これらの端部は、同じマスク150*によってマスクされた他の(例えば後続する)ビームパルスの小ビーム組によって照射された端部間に入る。このように以前に照射されて現在結晶化している部分の隣接部分も同様である。このようにして、後のビームパルスの小ビーム組によって照射される隣接領域の境界領域部分が、半導体薄膜フィルム175の隣接領域間にある複数の境界領域部分全体にわたって分散する。こうした位置決め及び照射の詳細は以下に説明する。
【0062】
図14A〜14Dに、本発明のプロセスによる処理の好適な逐次的段階における、図13のマスク150*によってマスクされた放射ビームパルスによる照射、そして試料上に設けた半導体フィルムの特定区画の再凝固及び結晶化を示す。図14に示すように、マスク150*の中心領域部分CRによって、並びに北端及び東端部分N、E(及びその間のコーナーの北東端部分NE)によってパターン化されたビームパルス164が、半導体薄膜フィルム試料170の概念的な第1列205上の第1領域1310に当たって、この領域を照射する。従って、図14Aに示すように、半導体薄膜フィルム175の第1領域1310は、マスク150*の中心領域部分CR及び上記端部分のスリット1210、1220、1250、1255に対応するビームパルス164の小ビームのみによって照射される。マスク150*の南端部分S、西端部分W、南東端部分SE、北西端部分NW、及び南西端部分SWによってパターン化されたビームパルス164は、半導体薄膜フィルム175の端から離れた領域を照射する。図14Aに示すように、照射される半導体薄膜フィルム175の第1領域1310は最初は、照射される第1領域1310’、1320’、1350’、1355’を具え、これらの部分は、マスク150*のスリット1210、1220、1250、1255によって生成される小ビームによって照射されて、好適には完全に(少なくとも部分的に)融解されている。第1領域1310の端部領域1320’、1355’、及び1350’には、照射された部分どうしが互いに少し離して設けられ、これらの部分は、マスク150*のスリット1220、1255及び1250のそれぞれの位置及び向きにほぼ一致する。第1領域1310の端部領域1320’、1355’、1350’内の照射された第1部分は、これらの部分の間にある未照射部分が、他のビームパルス(例えば後に当てられるマスクされたビームパルス)164によって照射可能なように設け、これらの境界領域部分内の、2つの別個のビームパルスによって照射された部分が、こうした境界領域部分全体にわたって分散できるようにする。
【0063】
その後に、図14Bに示すように、試料170をマスクされたビームパルス164に対して−X方向に平行移動し続けて、ビームパルス149は再びマスク150*によってマスクされる。その間に、第1領域1310内の照射された部分は凝固して結晶化する。マスクされたビームパルス164の照射方向に対する試料170のこの相対位置では、マスクされたビームパルス164がフィルム175の概念的な第1列205上の第2領域1320を照射する。第2領域1320の西側境界領域部分は、端部領域部分1350’及び1355’から成る第1領域1310の東側境界領域部分VB1にオーバラップする。特に、ビームパルス164は、マスク150*の西端部分W及び北西端部分NWによってマスクされて、マスク150*のこうした端部分によって生成されるマスクされたビームパルス164の小ビームは、境界領域部分VB1上の未照射部分を照射して、これらの部分は、端部領域1350’、1355’内の、第1領域1310を照射して結晶化するためのマスクされたビームパルス164によって前に照射されて結晶化した部分の間に分散する。第1領域1310の照射と同様に、マスク150*の南端部分S、南西端部分SW、及び南東端部分SEによってパターン化されたビームパルス164の第2領域1320を意図した部分は、半導体薄膜フィルム175の端から離れた領域を照射して、第2領域1320のどの部分も照射しない。
【0064】
その後に、図14Cに示すように、試料170をマスクされたビームパルス164に対して−X方向に平行移動し続けて、半導体薄膜フィルム175の(第2領域1320に隣接した)第3領域1330を照射して、ビームパルス149はマスク150*によってマスクされて、第2領域1320の照射中に生成される小ビームパターンとほぼ同様の小ビームパターンが生成される。第3領域1330を照射する前に、第2領域1320の照射された部分は凝固して結晶化している。その後に、マスクされたビームパルス164が、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205上の第3領域1330を照射する。第1領域1310の境界領域部分VB1の照射を参照して上述したのと同様に、第3領域1330の西側境界領域部分は、第2領域1320の東側境界領域部分VB2にオーバラップする。ここでも、ビームパルス164は、マスク150*の西端部分W及び北西端部分NWによってマスクされて、マスク150*のこうした端部分によって生成されるマスクされたビームパルス164の小ビームが、境界領域部分VB2上の未照射部分を照射して、これらの未照射部分は、境界領域部分VB2内の、第2領域1320を照射して結晶化するためのマスクされたビームパルス164によって前に照射されて結晶化した部分の間に分散している。また、マスク150*の南端部分S、南西端部分SW、及び南東端部分SEによってパターン化されたビームパルス164の第3領域の照射を意図した部分は、半導体薄膜フィルム175の端から離れた領域を照射して、第3領域1330のどの部分も照射しない。
【0065】
概念的な第1列205のすべての領域1310、1320、1330、...、1390が、上述したのとほぼ同様の方法で照射されて結晶化するまで処理を継続し、こうした第1、第2、第3、等の領域1310、1320、1330、...、1390(別個にマスクされたビームパルス164によって照射した結晶化部分を有する)間の境界領域部分は、互いの間に分散する。概念的な列206、207、...は、同様の方法で照射して横方向に成長させて結晶化することができるが、但し例外として、試料を+X方向に平行移動する際には、マスク150*の西端部分Wによって生成された小ビームが、マスク150*の他の部分によってパターン化されたすべての小ビームによる照射より前に、概念的な第2列206の各領域の照射を行う。
【0066】
特に、図14Dに示すように、概念的な第2列の第1領域1410を照射して、これらの照射部分は、概念的な第1列205の最終領域1390の照射部分とほぼ一致するが、こうした最終領域1390からオフセットをおいて設けられ、このオフセットは、概念的な第1列205と概念的な第2列206との間の距離に等しいか、少し小さい。これに加えて、マスク150*の南端部分S及び南西端部分SWによってパターン化されたビームパルス164の小ビームが、概念的な第1列205の最終領域1390と概念的な第2列206の第1領域1410とが共有する北側水平境界領域部分HB1上の未照射部分を照射する。この境界領域部分内の、マスク150*の南端部分S及び南西端部分SWによって生成された小ビームによって照射される部分は、水平境界領域部分内の、マスク150*の北端部分N及び北西端部分NWによって生成された小ビームによって前に照射された結晶化部分の間に分散する。概念的な第2列206内の領域の処理は、この列206内のすべての部分が照射されて結晶化するまで継続する。概念的な第3列207及び他の概念的な列の処理は、半導体薄膜フィルム175全体(あるいはその選択部分)の処理が完了するまで継続する。
【0067】
図14A〜14Dに示すように、照射された領域間の境界領域部分は、その内部に、異なるフリューエンスを有することが多い別個のビームパルスによって照射された複数の結晶化部分を含む。これらの照射されて結晶化した部分は端部領域全体にわたって分散し、従って、1つのビームパルスによって照射された部分は、他のビームパルスによって照射された部分の間に入る。また、図14Dに戻って説明すれば、概念的な第1列205の最終領域1390の北西側コーナーは4回照射される。その理由は、半導体薄膜フィルム175の概念的な第1列205の最終領域及びその隣接領域1390、1380の各々の照射においてこのコーナーが照射され、そして概念的な第2列206の第1及び第2領域1410、1420の照射においてもこのコーナーが照射されるからである。このことは、この北西コーナー部分が、垂直境界領域部分VB8上かつ水平境界領域部分HB1上に設けられていることによる。
【0068】
このことは図15より明らかであり、図15は、照射領域のほぼすべてのコーナー部分(即ち、マスク150*のそれぞれのコーナー部分によって照射された部分)に、半導体薄膜フィルム175の処理中に少なくとも4回、それぞれの小ビームが当たることを示す。マスク150*の北端、東端、西端、及び南端部分N、E、W、Sによってパターン化された小ビームによって照射される端部領域は2回処理される、というのは、こうした端部領域は、隣接領域間の水平端部領域上または垂直端部領域上のいずれかにあることによる。各領域内の、マスク150*の中心領域部分によって照射される部分は1回照射される、というのは、中心領域の照射及び結晶化は、隣接領域の照射及び結晶化と互いに間に入り合わせる必要がないからである。このことは、本発明の好適な実施例によって達成されることは、境界領域部分において異なるフリューエンスレベルを有する別個のビームパルスによって照射される部分をインターリーブすることによって、これらの境界領域部分間(中心領域部分間ではなく)のコントラストが低減される、ということである。このことは、境界領域部分内(並びに各領域の中心領域部分内)の、このように特別な配置にしてインターリーブした部分内にTFTデバイスを配置して、こうしたTFTデバイスによって生成され得る尖鋭なコントラストを低減することによってなされる。特に、前記境界領域部分上の強度分布が滑らかで連続的に変化して、隣接領域間に急激な変化が存在しないことが好ましい。なお、マスク150*の中心領域部分CRによってマスクされたビームパルス164によって照射される領域内の部分を減らすかなくすかして、これにより、境界領域部分間にあるこうした中心領域部分を考慮に入れることなしに、境界領域部分間の遷移を平滑化することができる。例えば、こうした中心領域部分をなくすと、マスク150*の対応する部分によってパターン化されたビームパルス164によって照射される領域は次のようになる:
【0069】
【表1】

【0070】
図16に、本発明の第1の好適な処理手順を表わすフロー図を示し、この処理手順は、少なくとも部分的に図1Aの演算装置100の制御下で実行し、そして本発明の図4A〜4H、5A〜5H、8A〜8H、11A〜11H、及び12A〜12Fの技法を用いる。ステップ2000では、図1Aのシステムのハードウエア構成要素、例えばビーム源110、エネルギー密度変調器120、及びビーム・アッテネータ兼シャッタ130を、少なくとも部分的に演算装置100によって初期化する。ステップ2005では、試料170を試料平行移動ステージ180上に装荷(搭載)する。なお、こうした装荷は、手動でも、あるいは演算装置100の制御下で既知の試料装荷装置を用いて自動的に行うこともできる。次にステップ2010では、試料平行移動ステージ180を、好適には演算装置100の制御下で、初期位置に移動する。必要ならば、ステップ2015では、システムの他の種々の構成要素を、手動あるいは演算装置100の制御下のいずれかで調整及び/または位置合わせ(アライン)して、適正な焦点及びアライメントにする。ステップ2020では、照射/レーザビーム111を所定のパルス・エネルギーレベル、パルス持続時間、及び反復度に安定化させる。ステップ2024では、各ビームパルス164が、半導体薄膜フィルム175の照射部分を、過剰融解させることなしに完全に融解させるのに十分なエネルギーを有するか否かを好適に判定する。ステップ2025において、十分なエネルギーでなければ、ビーム111の減衰(アッテネーション)を演算装置100の制御下でビーム源110によって調整して、ステップ2024を実行して、半導体薄膜フィルム175の照射部分を融解させるのに十分なエネルギーが存在するか否かを判定する。
【0071】
ステップ2027では、試料170を、ビームパルス164が半導体薄膜フィルム175の第1列に当たるような地点に位置決めする。そしてステップ2030では、半導体薄膜フィルム175の複数部分を、(例えばマスク150、150’、150”を用いて)マスクした強度パターンを用いて照射して、少なくとも部分的に融解させる。その後に、半導体薄膜フィルム175の照射部分は自ずと凝固して結晶化する。ステップ2035では、現在の概念的な列の、パルスビーム164による照射が完了したか否かを判定する。完了していなければ、ステップ2040において、試料170の同じ列内の次の領域を、前の領域を照射するのに用いたビームパターンにほぼ相当する小ビームパターンで照射する。これに加えて、半導体薄膜フィルム175の前に照射されて結晶化した領域を、現在のビームパルス164を用いて照射し、この現在のマスクされたビームパルス164は、前に処理した領域(隣接していてもしていなくてもよい)の未照射部分を照射するようなパターンを有する。前に照射した領域内の新たに照射する部分は、結晶化領域の間に入る。
【0072】
しかし、ステップ2035において、現在の概念的な列の照射及び結晶化が完了していれば、ステップ2045において、更に処理すべき試料170の概念的な列が存在するか否かを判定する。更に処理すべき列が存在すれば、処理はステップ2050に進んで、ここでは、ビームパルス164が本発明により処理すべき次の概念的な列に向かうように、試料170を平行移動する。更に処理すべき列が存在しなければ、ステップ2055において、試料170の好適な処理を完了して、図1Aに示すシステムのハードウエア構成要素及びビーム111を電源遮断して、プロセスを終了することができる。
【0073】
図17に、本発明の第2の好適な処理手順を表わすフロー図を示し、この処理手順は、少なくとも部分的に図1Aの演算装置100の制御下で、本発明の図14A〜14Dの技法を用いて実行し、ここでは隣接する照射領域の境界領域部分内の照射部分が、こうした境界領域部分全体にわたって分散する。この好適な手順のステップ2100〜2135は、図16の手順のステップ2000〜2035とほぼ同様であり、従ってここでは詳細に説明しない。ステップ2140では、試料170の同じ列の次の領域を、前の領域を照射するのに用いたビームパターンにほぼ相当するビームパターンで照射する。これに加えて、前に照射した領域の境界領域部分に、後続するビームパルス164の次の小ビームパターンによる照射をオーバラップさせる。このパターンは、現在のマスクされたビームパルスの小ビームパターンが、前に処理した隣接領域の境界領域部分内の未照射部分を照射するように構成する。前に処理した領域内の新たに照射する部分は、前に処理した領域とその隣接領域との境界領域部分内で、前に照射されて結晶化した部分の間に入る。本発明の好適な実施例によれば、すべての隣接領域の境界に、マスクされたビームパルス164の後続する照射あるいは他の照射がオーバラップする。この第2の好適な実施例のステップ2145〜2155における処理は、図16を参照して上述したステップ2045〜2055の処理とほぼ同様に継続する。
【0074】
更に、半導体薄膜フィルム175の各領域の照射(例えば、プロセッサによって開始する)は、ビームパルス164が試料170上の特定位置に達した際に実行することができる。これらの位置は、演算装置100によって事前に割り当てて、演算装置100の記憶装置に記憶しておくことができる。従って、試料170がビームパルス164に対するこれらの(相対)位置に達した際に、ビーム源110を起動することができる。
【0075】
以上の説明は、単に本発明の原理を例示したものである。上述した実施例に対する種々の変更及び代替は、本明細書の教示に鑑みて、当業者にとって明らかである。例えば、上述した実施例は、半導体薄膜フィルムの少なくとも部分的な横方向の凝固及び結晶化に関して説明しているが、これらの実施例は他の材料処理技術、例えばマイクロマシニング、フォトアブレーション(光学的な瞬間的除去)及びマイクロパターニング(パターン化)技術に適用することができ、これらの技術は、国際公開第2002/086954号パンフレット(PCT/US01/12799、特許文献4)、及び米国特許出願第09/390535号明細書(特許文献5)、特許文献2、及び特許文献3に記載のものを含み、これらの特許出願は参考文献として本明細書に含める。以上で参照した特許出願に記載の種々のマスクパターン及びビーム強度パターンも、本発明のプロセス及びシステムで利用することができる。従って、当業者が、本明細書に明示的に図示または記載されていないが本発明の原理を具体化し、従って本発明の範囲内である種々のシステム及び方法を考案することができることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の薄膜フィルムの少なくとも一区画を処理する方法であって、この方法が、
(a) 照射ビーム発生器を制御して、逐次的な照射ビームパルスを所定の反復度で放出するステップと;
(b) 各々の前記照射ビームをマスクして複数の小ビームを規定するステップであって、各々の前記照射ビームパルスの前記複数の小ビームは、前記フィルム試料に当たるように供給し、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の照射部分を少なくとも部分的に融解させるのに十分な強度を有するステップと;
(c) 前記フィルム試料の前記照射ビームパルスに対する第1位置において、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の第1領域を前記照射ビームパルスの第1パルスの前記小ビームで照射して、前記少なくとも一区画内の第1部分を少なくとも部分的に融解させるステップであって、前記第1領域の少なくとも1つの第1端部上において、それぞれの隣接する前記第1部分どうしの間に第1未照射部分が残り、前記第1部分が自ずと再凝固して結晶化するステップと;
(d) ステップ(c)の後に、前記フィルム試料を、前記照射ビームパルスに対する第1位置から第2位置に平行移動するステップと;
(e) ステップ(d)の後に、前記第2位置において、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の第2領域を前記照射ビームパルスの第2パルスの前記小ビームで照射して、前記少なくとも一区画内の第2部分を少なくとも部分的に融解させるステップであって、前記第2領域の少なくとも1つの第2端部上において、それぞれの隣接する前記第2部分どうしの間に第2未照射部分が残り、前記第2部分が自ずと再凝固して結晶化するステップとを具えて、
前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の前記第2領域の前記少なくとも1つの第2端部が、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の前記第1領域の前記少なくとも1つの第1端部にオーバラップして、再凝固した前記第1部分と再凝固した前記第2部分とが、前記少なくとも1つの第1端部及び前記少なくとも1つの第2端部内で互いに間に入り合うことを特徴とする薄膜フィルム試料の処理方法。
【請求項2】
再凝固した前記第1部分と前記第2部分とが互いに間に入り合うことによって、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の前記第1領域と前記第2領域との境界におけるこれらの部分の空間的な分布が平滑化されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1部分と前記第2部分との境界が平滑化されたことによって、前記フィルム試料の前記一区画内の前記第1領域と前記第2領域との間の可視のコントラストが低減されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1端部と前記少なくとも1つの第2端部とを組み合わせた密度が、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の前記第1領域と前記第2領域との境界における適切な画素密度を提供することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(e)において、前記第2部分が自ずと再凝固して結晶化して、前記第2領域の少なくとも1つの他の端部上において、それぞれの隣接する前記第2部分どうしの間に更なる未照射部分が残り、
前記少なくとも1つの他の端部が、前記少なくとも1つの第2端部に隣接していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも一区画が前記フィルム試料の第1行であり、前記フィルム試料を前記第1パルス及び前記第2パルスに対して第1方向に平行移動する際に、前記第1行を前記第1パルス及び前記第2パルスの前記小ビームによって照射して、
更に、
(f) 前記フィルム試料の更なる区画を照射すべく、前記フィルム試料を位置決めするステップであって、前記更なる区画が前記フィルム試料の第2行であるステップと;
(g) 前記フィルム試料の前記照射ビームパルスに対する第3位置において、前記フィルム試料の前記更なる区画内の第1領域を前記照射ビームパルスの第3パルスの前記小ビームで照射して、前記更なる区画内の第3部分を少なくとも部分的に融解させるステップであって、前記更なる区画内の前記第3部分が自ずと再凝固し結晶化して、前記第1領域の少なくとも1つの第3端部上において、それぞれの隣接する前記第3部分どうしの間に第3未照射部分が残るステップとを具えて、
前記フィルム試料の前記更なる区画内の前記第2領域の少なくとも1つの第3端部が、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の前記第2領域の前記少なくとも1つの他の端部にオーバラップして、
再凝固した更なる部分と再凝固した前記第3部分とが、前記少なくとも1つの他の端部及び前記少なくとも1つの第3端部において互いに間に入り合う
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(c)において、それぞれの隣接する前記第1部分どうしの間に追加的な未照射部分が存在し、前記追加的な未照射領域が前記少なくとも1つの端部から離れて、
更に、
(h) ステップ(c)の後でステップ(d)の前に、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画の前記第1領域を、前記第1領域の更なる部分を融解させるべく前記照射ビームパルスの前記第1パルスの更なる小ビームで照射するステップであって、前記更なる部分が少なくとも部分的に融解して自ずと再凝固して結晶化して、それぞれの隣接する前記更なる部分どうしの間に更なる未照射部分が残るステップを具えて、
再凝固した前記第1部分と再凝固した前記更なる部分とが、前記フィルム試料の前記第1領域内で互いに間に入り合うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記更なる部分の少なくとも1つの位置が、前記追加的な未照射部分の少なくとも1つの位置と同じであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記追加的な未照射部分が、前記更なる部分と同じ位置を有し、前記更なる未照射部分が前記第1部分と同じ位置を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
再凝固した前記第1部分及び前記更なる部分が、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画の前記第1領域の横断面全体を形成することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1端部と前記少なくとも1つの第2端部とがオーバラップして、オーバラップした表面全体が、結晶化した端部領域を形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
基板上の薄膜フィルム試料の少なくとも一区画を処理するシステムであって、このシステムが処理装置を具えて、該処理装置がコンピュータプログラムを実行する際に、
(a) 照射ビーム発生器を制御して、逐次的な照射ビームパルスを所定の反復度で放出するステップと;
(b) 各々の前記照射ビームをマスクして、複数の小ビームを規定するステップであって、各々の前記照射ビームパルスの前記複数の小ビームは、前記フィルム試料に当たるように供給し、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の照射部分を少なくとも部分的に融解させるのに十分な強度を有するステップと;
(c) 前記フィルム試料の前記照射ビームパルスに対する第1位置において、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の第1領域を前記照射ビームパルスの第1パルスの前記小ビームで照射して、前記少なくとも一区画内の第1部分を少なくとも部分的に融解させるステップであって、前記第1領域の少なくとも1つの第1端部上において、それぞれの隣接する前記第1部分どうしの間に第1未照射部分が残り、前記第1部分が自ずと再凝固して結晶化するステップと;
(d) ステップ(c)の後に、前記フィルム試料を、前記照射ビームパルスに対する第1位置から第2位置に平行移動するステップと;
(e) ステップ(d)の後に、前記第2位置において、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の第2領域を前記照射ビームパルスの第2パルスの前記小ビームで照射して、前記少なくとも一区画内の第2部分を少なくとも部分的に融解させるステップであって、前記第2領域の少なくとも1つの第2端部上において、それぞれの隣接する前記第2部分どうしの間に第2未照射部分が残り、前記第2部分が自ずと再凝固して結晶化するステップとを実行すべく構成され、
前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の前記第2領域の前記少なくとも1つの第2端部が、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の前記第1領域の前記少なくとも1つの第1端部にオーバラップして、再凝固した前記第1部分と再凝固した前記第2部分とが、前記少なくとも1つの第1端部及び前記少なくとも1つの第2端部内で互いに間に入り合うことを特徴とする薄膜フィルム試料の処理システム。
【請求項13】
再凝固した前記第1部分と前記第2部分とが互いに間に入り合うことによって、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の前記第1領域と前記第2領域との境界におけるこれらの部分の空間的な分布が平滑化されることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1部分と前記第2部分との境界が平滑化されたことによって、前記フィルム試料の前記一区画内の前記第1領域と前記第2領域との間の可視のコントラストが低減されることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第1端部と前記少なくとも1つの第2端部とを組み合わせた密度が、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の前記第1領域と前記第2領域との境界における適切な画素密度を提供することを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
ステップ(e)において、前記第2部分が自ずと再凝固し結晶化して、前記第2領域の少なくとも1つの他の端部上において、それぞれの隣接する前記第2部分どうしの間に更なる未照射部分が残り、
前記少なくとも1つの他の端部が、前記少なくとも1つの第2端部に隣接していることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも一区画が前記フィルム試料の第1行であり、前記フィルム試料を前記第1パルス及び前記第2パルスに対して第1方向に平行移動する際に、前記第1行を前記第1パルス及び前記第2パルスの前記小ビームによって照射して、
前記処理装置がコンピュータプログラムを実行する際に、更に、
(f) 前記フィルム試料の更なる区画を照射すべく、前記フィルム試料を位置決めするステップであって、前記更なる区画が前記フィルム試料の第2行であるステップと;
(g) 前記フィルム試料の前記照射ビームパルスに対する第3位置において、前記フィルム試料の前記更なる区画内の第1領域を前記照射ビームパルスの第3パルスの前記小ビームで照射して、前記更なる区画内の第3部分を少なくとも部分的に融解させるステップであって、前記更なる区画内の前記第3部分が自ずと再凝固し結晶化して、前記第1領域の少なくとも1つの第3端部上において、それぞれの隣接する前記第3部分どうしの間に第3未照射部分が残るステップとを実行すべく構成され、
前記フィルム試料の前記更なる区画内の前記第2領域の少なくとも1つの第3端部が、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の前記第2領域の前記少なくとも1つの他の端部にオーバラップして、
再凝固した更なる部分と再凝固した前記第3部分とが、前記少なくとも1つの他の端部及び前記少なくとも1つの第3端部において互いに間に入り合う
ことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
ステップ(c)において、それぞれの隣接する前記第1部分どうしの間に追加的な未照射部分が存在し、前記追加的な未照射領域が前記少なくとも1つの端部から離れて、
前記処理装置がコンピュータプログラムを実行する際に、更に、
(h) ステップ(c)の後でステップ(d)の前に、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画の前記第1領域を、前記第1領域の更なる部分を融解させるべく前記照射ビームパルスの前記第1パルスの更なる小ビームで照射するステップであって、前記更なる部分が少なくとも部分的に融解して自ずと再凝固し結晶化して、それぞれの隣接する前記更なる部分どうしの間に更なる未照射部分が残るステップを実行すべく構成され、
再凝固した前記第1部分と再凝固した前記更なる部分とが、前記フィルム試料の前記第1領域内で互いに間に入り合うことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記更なる部分の少なくとも1つの位置が、前記追加的な未照射部分の少なくとも1つの位置と同じであることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記追加的な未照射部分が前記更なる部分と同じ位置を有し、前記更なる未照射部分が前記第1部分と同じ位置を有することを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
再凝固した前記第1部分及び前記更なる部分が、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画の前記第1領域の横断面全体を形成することを特徴とする請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つの第1端部と前記少なくとも1つの第2端部とがオーバラップして、オーバラップした表面全体が、結晶化した端部領域を形成することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項23】
基板上の薄膜フィルム試料の少なくとも一区画を処理する方法であって、この方法が、
(a) 照射ビーム発生器を制御して、逐次的な照射ビームパルスを所定の反復度で放出するステップと;
(b) 各々の前記照射ビームをマスクして、複数の小ビームを規定するステップであって、各々の前記照射ビームパルスの前記複数の小ビームは、前記フィルム試料に当たるように供給し、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の照射部分を少なくとも部分的に融解させるのに十分な強度を有するステップと;
(c) 前記フィルム試料の前記照射ビームパルスに対する第1位置において、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の第1領域を前記照射ビームパルスの第1パルスの前記小ビームで照射して、前記少なくとも一区画内の第1部分を少なくとも部分的に融解させて結晶化させるステップと;
(d) ステップ(c)の後に、前記フィルム試料を、前記照射ビームパルスに対する第1位置から第2位置に平行移動するステップと;
(e) ステップ(d)の後に、前記第2位置において、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の第2領域を前記照射ビームパルスの第2パルスの前記小ビームで照射して、前記少なくとも一区画内の第2部分を少なくとも部分的に融解させて結晶化させるステップとを具えて、
前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の前記第2領域の少なくとも1つの第2端部が、前記フィルム試料の前記少なくとも一区画内の前記第1領域の少なくとも1つの第1端部にオーバラップして、
前記第1部分のパルス照射履歴が、前記第2部分のパルス照射履歴と異なり、
照射された前記第1部分と照射された前記第2部分とが、前記少なくとも1つの第1端部及び前記少なくとも1つの第2端部内で互いに間に入り合う
ことを特徴とする薄膜フィルム試料の処理方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図11H】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−212889(P2012−212889A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−116899(P2012−116899)
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【分割の表示】特願2004−529143(P2004−529143)の分割
【原出願日】平成15年8月19日(2003.8.19)
【出願人】(500382473)ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニヴァーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (17)
【Fターム(参考)】