説明

基板処理装置、基板処理方法、制御プログラムおよび記録媒体

【課題】基板に形成する膜の厚さの均一性を制御することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的としている。
【解決手段】基板を処理するアウタチューブと、前記アウタチューブ内に収容された基板を基板の外周側から光加熱する加熱装置と、前記加熱装置が光加熱する基板の外周近傍に流体を流すことにより、基板の外周側を冷却する冷却装置と、前記アウタチューブ内の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部が検出する温度に基づいて、前記加熱装置により前記基板を光加熱すると共に前記冷却装置により前記基板の外周側を冷却することで前記基板の中心側の温度を所定温度に維持しつつ該基板の中心側と前記基板の外周側とに温度差を設けるように前記加熱装置および前記冷却装置を制御する制御部と、を有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の基板を処理する基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、基板の加熱温度を所定時間内に変化させたときに発生する基板端部の温度と中心部の温度との偏差と、基板端部の温度と中心部の温度との定常偏差とを用いて、所望の平均温度偏差Mを実現するための変化温度量Nを求め、基板に対する加熱温度を制御して、基板に形成される膜厚を均一にする基板処理装置を開示する。
しかしながら、所望の平均温度偏差Mを実現しても、基板に形成される膜厚の均一性に限度があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/008755号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、基板に形成する膜の厚さの均一性を制御することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を解決するために、本発明に係る基板処理装置は、基板を処理する処理室と、前記処理室内に収容された基板を基板の外周側から光加熱する加熱装置と、前記加熱装置が光加熱する基板の外周近傍に流体を流すことにより、基板の外周側を冷却する冷却装置と、前記処理室内の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部が検出する温度に基づいて、前記基板の中心部の温度を所定温度に維持しつつ該中心部と前記基板の端部とに温度差を設けるように前記加熱装置および前記冷却装置を制御する加熱制御部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明が適応されうる半導体処理装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示したボートおよびウエハを収容した状態の処理室を例示する図である。
【図3】図1,図2に示した処理室の周辺の構成部分、および、処理室に対する制御を行う第1の制御プログラムの構成を示す図である。
【図4】図1に示した制御部の構成を示す図である。
【図5】半導体処理装置における処理の対象となるウエハの形状を例示する図である。
【図6】ボートおよびを収容した処理室に対し、Lタイプ温度センサ(LタイプTC)を設けた状態を例示する図である。
【図7】冷却ガスが冷却ガス流路を通過することによって変化する内部温度センサの温度測定値を基板面内位置ごとに補正する方法を示すフローチャートである。
【図8】半導体処理装置がウエハなどの基板に膜を形成する場合に設定する温度と膜厚との関係の実施例を示すグラフであって、(A)は基板面内位置に対する設定温度の実施例を示すグラフであり、(B)は(A)に示した設定温度に応じて形成される膜厚を示すグラフである。
【図9】半導体処理装置がウエハなどの基板に膜を形成する場合に設定する温度と膜厚との関係の比較例を示すグラフであって、(A)は基板面内位置に対する設定温度の比較例を示すグラフであり、(B)は(A)に示した設定温度に応じて形成される膜厚を示すグラフである。
【図10】処理室の第1の変形例を示す図である。
【図11】処理室の第2の変形例を示す図である。
【図12】処理室の第3の変形例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[本発明の背景]
本発明の理解を助けるために、実施形態の説明に先立って、まず、本発明がなされるに至った背景を説明する。
【0008】
[半導体処理装置1]
図1は、本発明が適応されうる半導体処理装置1の全体構成を示す図である。
図2は、図1に示したボート14およびウエハ12を収容した状態の処理室3を例示する図である。
図3は、図1,図2に示した処理室3の周辺の構成部分、および、処理室3に対する制御を行う第1の制御プログラム40の構成を示す図である。
【0009】
半導体処理装置1は、例えば半導体などの基板を処理するいわゆる減圧CVD装置である。
図1に示すように、半導体処理装置1は、カセット授受ユニット100、カセット授受ユニット100の背面側に設けられたカセットストッカ102、カセットストッカ102の上方に設けられたバッファカセットストッカ104、カセットストッカ102の背面側に設けられたウエハ移動機106、ウエハ移動機106の背面側に設けられ、ウエハ12がセットされたボート14を搬送するボートエレベータ108、ウエハ移動機106の上方に設けられた処理室3、および、制御部2から構成される。
【0010】
[処理室3]
図2に示すように、図1に示した処理室3は、中空のヒータ32、外管(アウタチューブ)360、内管(インナチューブ)362、ガス導入ノズル340、炉口蓋344、排気管346、回転軸348、例えばステンレスからなるマニホールド350、Oリング351、冷却ガス流路352、排気路354、排気部355および処理ガス流量制御装置などその他の構成部分(図3を参照して後述)から構成され、側部が断熱材300−1により覆われ、上部が断熱材300−2により覆われている。
また、ボート14の下部には、複数の断熱板140が設けられている。
【0011】
アウタチューブ360は、光を透過させる例えば石英からなり、下部に開口を有する円筒状の形態に形成されている。
インナチューブ362は、光を透過させる例えば石英からなり、円筒状の形態に形成され、アウタチューブ360の内側に、これの同心円上に配設される。
従って、アウタチューブ360とインナチューブ362との間には円筒状の空間が形成される。
【0012】
ヒータ32は、それぞれに対する温度の設定および調節が可能な4つの温度調節部分(U,CU,CL,L)320−1〜320−4とアウタチューブ360との間に配設される熱電対などの外部温度センサ322−1〜322−4、および、温度調整部分320−1〜320−4に対応してアウタチューブ360内に配設される熱電対などの内部温度センサ(炉内TC)324−1〜324−4を含む。
内部温度センサ324−1〜324−4は、インナチューブ362の内側に設けられてもよいし、インナチューブ362とアウタチューブ360との間に設けられてもよいし、温度調整部分320−1〜320−4ごとにそれぞれ折り曲げられて、ウエハ12とウエハ12との間のウエハ中心部の温度を検出するように設けられてもよい。
【0013】
ヒータ32の温度調整部分320−1〜320−4それぞれは、例えばウエハ12を光加熱するための光をアウタチューブ360の周囲から放射し、アウタチューブ360を透過してウエハ12に吸収される光によってウエハ12を昇温(加熱)する。
【0014】
冷却ガス流路352は、冷却ガスなどの流体を通過させるように断熱材300−1とアウタチューブ360との間に形成されており、断熱材300−1の下端部に設けられた吸気孔353から供給される冷却ガスをアウタチューブ360の上方に向けて通過させる。
冷却ガスは、例えば空気または窒素(N2)などである。
【0015】
また、冷却ガス流路352は、温度調整部分320−1〜320−4それぞれの間からアウタチューブ360に向けて冷却ガスが吹き出すようにされている。
冷却ガスはアウタチューブ360を冷却し、冷却されたアウタチューブ360はボート14にセットされたウエハ12を周方向(外周側)から冷却する。
つまり、冷却ガス流路352を通過する冷却ガスにより、アウタチューブ360、およびボート14にセットされたウエハ12が周方向(外周側)から冷却されるようになっている。
【0016】
冷却ガス流路352の上方には排気路354が設けられている。排気路354は、吸気孔353から供給されて冷却ガス流路352を上方に向けて通過した冷却ガスを断熱材300−2の外側へ導く。
【0017】
また、排気路354には、冷却ガスを排気する排気部355が設けられている。
排気部355は、ブロワなどの冷却ガス排気装置356およびラジエタ357を有し、排気路354により断熱材300−2の外側に導かれた冷却ガスを排気孔358から排気する。
ラジエタ357は、処理室3内でアウタチューブ360およびウエハ12などを冷却することにより昇温した冷却ガスを冷却水などにより冷却する。
【0018】
なお、吸気孔353およびラジエタ357の近傍には、それぞれシャッタ359が設けられており、図示しないシャッタ制御部によって冷却ガス流路352および排気路354の開閉が制御されている。
【0019】
また、図3に示すように、処理室3には、温度制御装置370、温度測定装置372、処理ガス流量制御装置(マスフローコントローラ;MFC)374、ボートエレベータ制御装置(エレベータコントローラ;EC)376、圧力センサ(PS)378、圧力調整装置(APC; Auto Pressure Control (valve))380、処理ガス排気装置(EP)382およびインバータ384が付加される。
【0020】
温度制御装置370は、制御部2からの制御に従って温度調整部分320−1〜320−4それぞれを駆動する。
温度測定装置372は、温度センサ322−1〜322−4,324−1〜324−4それぞれの温度を検出し、温度測定値として制御部2に対して出力する。
【0021】
ボートエレベータ制御装置(EC)376は、制御部2からの制御に従ってボートエレベータ108を駆動する。
圧力調整装置(以下、APC)380としては、例えば、APC、N2バラスト制御器などが用いられる。
また、EP382としては、例えば、真空ポンプなどが用いられる。
インバータ384は、冷却ガス排気装置356のブロアとしての回転数を制御する。
【0022】
[制御部2]
図4は、図1に示した制御部2の構成を示す図である。
図4に示すように、制御部2は、CPU200、メモリ204、表示装置、タッチパネルおよびキーボード・マウスなどを含む表示・入力部22、および、HD・CDなどの記録部24から構成される。
つまり、制御部2は、半導体処理装置1を制御可能な一般的なコンピュータとしての構成部分を含む。
制御部2は、これらの構成部分により、減圧CVD処理用の制御プログラム(例えば、図3に示した制御プログラム40)を実行し、半導体処理装置1の各構成部分を制御して、半導体ウエハ12に対して、以下に述べる減圧CVD処理を実行させる。
【0023】
[第1の制御プログラム40]
再び図3を参照する。
図3に示すように、制御プログラム40は、プロセス制御部400、温度制御部410、処理ガス流量制御部412、駆動制御部414、圧力制御部416、処理ガス排気装置制御部418、温度測定部420、冷却ガス流量制御部422および温度設定値記憶部424から構成される。
制御プログラム40は、例えば、記録媒体240(図4)を介して制御部2に供給され、メモリ204にロードされて実行される。
【0024】
温度設定値記憶部424は、ウエハ12に対する処理レシピの温度設定値を記憶し、プロセス制御部400に対して出力する。
プロセス制御部400は、制御部2の表示・入力部22(図4)に対するユーザの操作、あるいは、記録部24に記録された処理の手順(処理レシピ)などに従って、制御プログラム40の各構成部分を制御し、後述するように、ウエハ12に対する減圧CVD処理を実行する。
【0025】
温度測定部420は、温度測定装置372を介して温度センサ322,324の温度測定値を受け入れ、プロセス制御部400に対して出力する。
温度制御部410は、プロセス制御部400から温度設定値および温度センサ322,324の温度測定値を受け、温度調整部分320に対して供給する電力をフィードバック制御して、アウタチューブ360内部を加熱し、ウエハ12を所望の温度とさせる。
【0026】
処理ガス流量制御部412は、MFC374を制御し、アウタチューブ360内部に供給する処理ガスまたは不活性ガスの流量を調整する。
駆動制御部414は、ボートエレベータ108を制御して、ボート14およびこれに保持されたウエハ12の昇降を行わせる。
また、駆動制御部414は、ボートエレベータ108を制御して、回転軸348を介してボート14およびこれに保持されたウエハ12を回転させる。
【0027】
圧力制御部416は、PS378によるアウタチューブ360内の処理ガスの圧力測定値を受け、APC380に対する制御を行い、アウタチューブ360内部の処理ガスを所望の圧力とする。
処理ガス排気装置制御部418は、EP382を制御し、アウタチューブ360内部の処理ガスまたは不活性ガスを排気させる。
【0028】
冷却ガス流量制御部422は、インバータ384を介して冷却ガス排気装置356が排気する冷却ガスの流量を制御する。
【0029】
なお、以下の説明においては、温度調整部分320−1〜320−4など、複数ある構成部分のいずれかを特定せずに示す場合には、単に、温度調整部分320と略記することがある。
また、以下の説明において、温度調整部分320−1〜320−4など、構成部分の個数を示す場合があるが、構成部分の個数は、説明の具体化・明確化のために例示されたものであって、本発明の技術的範囲を限定することを意図して挙げられたものではない。
【0030】
アウタチューブ360の下端とマニホールド350の上部開口部との間、および炉口蓋344とマニホールド350の下部開口部との間には、Oリング351が配設され、アウタチューブ360とマニホールド350との間は気密にシールされる。
アウタチューブ360の下方に位置するガス導入ノズル340を介して、不活性ガスあるいは処理ガスがアウタチューブ360内に導入される。
【0031】
マニホールド350の上部には、PS378、APC380およびEP382に連結された排気管346(図2)が取り付けられている。
アウタチューブ360とインナチューブ362との間を流れる処理ガスは、排気管346、APC380およびEP382を介して外部に排出される。
【0032】
APC380は、PS378によるアウタチューブ360内の圧力測定値に基づく制御に従って、アウタチューブ360内部が、予め設定された所望の圧力になるように、圧力制御部416の指示に従って調整する。
つまり、APC380は、アウタチューブ360内を常圧とするよう不活性ガスが導入されるべき時には、アウタチューブ360内が常圧になるように、圧力制御部416の指示に従って調整し、あるいは、アウタチューブ360内を低圧とし、ウエハ12を処理するよう処理ガスが導入されるべき時には、アウタチューブ360内が所望の低い圧力になるように、圧力制御部416の指示に従って調整する。
【0033】
多数の半導体基板(ウエハ)12を保持するボート14は、ボート14の下部回転軸348が連結されている。
さらに、回転軸348は、ボートエレベータ108(図1)に連結され、ボートエレベータ108は、EC376を介した制御に従って、所定のスピードでボート14を昇降させる。
また、ボートエレベータ108は、回転軸348を介して、ウエハ12およびボート14を所定のスピードで回転させる。
【0034】
被処理物のウエハ12は、ウエハカセット490(図1)に装填された状態で搬送され、カセット授受ユニット100に授載される。
カセット授受ユニット100は、このウエハ12を、カセットストッカ102またはバッファカセットストッカ104に移載する。
ウエハ移動機106は、カセットストッカ102からウエハ12を取り出し、ボート14に水平な状態で多段に装填する。
【0035】
ボートエレベータ108は、ウエハ12が装填されたボート14を上昇させて処理室3内に導く。
また、ボートエレベータ108は、処理済みのウエハ12が装填されたボート14を下降させて処理室3内から取り出す。
【0036】
[ウエハ12の温度と膜厚]
図5は、半導体処理装置1(図1)における処理の対象となるウエハ12の形状を例示する図である。
ウエハ12の面(以下、ウエハ12の面を、単にウエハ12とも記す)は、図5に示すような形状をしており、ボート14において、水平に保持される。
また、ウエハ12は、温度調整部分320−1〜320−4が放射してアウタチューブ360を透過した光により、アウタチューブ360の周囲から加熱される。
【0037】
したがって、ウエハ12は、端部が多くの光を吸収し、冷却ガス流路352に冷却ガスが流されない場合には、ウエハ12の面の端部の温度が中心部の温度に比べて高くなる。
つまり、温度調整部分320−1〜320−4によって、ウエハ12の外周に近ければ近いほど温度が高く、中心部に近ければ近いほど温度が低いという、ウエハ12の端部から中心部にかけたすり鉢状の温度偏差がウエハ12に生じることになる。
【0038】
また、反応ガスなどの処理ガスも、ウエハ12の外周側から供給されるので、ウエハ12に形成される膜の種類によっては、ウエハ12の端部と中心部とで反応速度が異なることがある。
例えば、反応ガスなどの処理ガスは、ウエハ12の端部で消費され、その後ウエハ12の中心部に至るため、ウエハ12の中心部では、ウエハ12の端部にくらべて処理ガスの濃度が低くなってしまう。
したがって、仮に、ウエハ12の端部と中心部との間に温度偏差が生じていないとしても、反応ガスのウエハ12の外周側からの供給に起因して、ウエハ12に形成される膜の厚さが、端部と中心部とで不均一になることがある。
【0039】
一方、冷却ガスが冷却ガス流路352を通過すると、上述したように、アウタチューブ360、およびボート14にセットされたウエハ12が周方向(外周側)から冷却される。
つまり、処理室3は、温度調整部分320によってウエハ12の中心部の温度を所定の設定温度(処理温度)まで加熱し、冷却ガス流路352に冷却ガスを通過させてウエハ12の外周側を冷却することにより、ウエハ12の中心部および端部それぞれに対して異なる温度を設定することができる。
【0040】
このように、ウエハ12に、均一な膜を形成するためには、ウエハ12上に膜を形成する反応速度などに応じて、膜厚を調整するための加熱制御(加熱と冷却とを含む制御など)を行う必要がある。
【0041】
図6は、ボート14およびウエハ12を収容した処理室3に対し、Lタイプ温度センサ(LタイプTC)390を設けた状態を例示する図である。
制御部2は、内部温度センサ324の温度測定値を用いて、例えばウエハ12の端部温度および中心部温度(基板面内位置に対する温度)を算出し、温度調整部分320、および冷却ガス流路352を通過する冷却ガスの流量を制御するようにされてもよい。
【0042】
内部温度センサ324は、ボート14とインナチューブ362との間に設けられている。
なお、内部温度センサ324は、インナチューブ362とアウタチューブ360との間に設けられてもよい。
内部温度センサ324の温度測定値を用いてウエハ12の端部および中心部の温度を算出する場合、例えば実際のウエハ12の端部温度、中心部温度、および冷却ガスが冷却ガス流路352を通過することによる内部温度センサ324の温度測定値の変化を用いて、
冷却ガスが冷却ガス流路352を通過することによる内部温度センサ324の温度測定値の変化を補正する必要がある。
【0043】
Lタイプ温度センサ390は、内部温度センサ324とほぼ同じ高さのウエハ12の中心部近傍の温度を測定するために例えば複数箇所がL字状に形成された熱電対であり、温度測定値を制御部2に対して出力する。
また、Lタイプ温度センサ390は、半導体処理装置1がウエハ12の処理を開始する以前にウエハ12の中心部近傍の温度を複数箇所で測定し、半導体処理装置1がウエハ12の処理を行う場合には取り外されるようになっている。
なお、Lタイプ温度センサ390は、炉口蓋344に継ぎ手を介在して気密にシールされるようになっている。
このLタイプ温度センサ390の検出する温度をウエハ12の中心部の温度とみなし、さらに内部温度センサ324の検出する温度がウエハ12の端部の温度とみなして、温度制御するようにする。
また、Lタイプ温度センサ390の検出する温度と内部温度センサ324の検出する温度との差がウエハ面内温度偏差であるとみなして、温度制御するようにする。
【0044】
図7は、冷却ガスが冷却ガス流路352を通過することによって変化する内部温度センサ324の温度測定値を基板面内位置ごとに補正する方法を示すフローチャート(S10)である。
図7に示すように、ステップ100(S100)において、制御部2は、冷却ガスによる冷却をせずに、Lタイプ温度センサ390の検出する温度が、所定の設定温度(処理温度)に一致するように温度制御する。
そしてLタイプ温度センサ390の検出する温度が所定の設定温度(処理温度)と一致した際の、所定の設定温度(処理温度)に対する内部温度センサ(炉内TC)324の検出結果を取得する。
【0045】
ステップ102(S102)において、制御部2は、冷却ガス流路352を通過する冷却ガス流量(すなわち、冷却ガス排気装置356が排気する冷却ガスの流量)を一定流量としつつ、Lタイプ温度センサ390の検出する温度が、所定の設定温度(処理温度)に一致するように温度制御する。
そしてLタイプ温度センサ390の検出する温度が所定の設定温度(処理温度)と一致した際の、所定の設定温度(処理温度)に対する内部温度センサ(炉内TC)324の検出結果を取得する。
さらに、冷却ガス流路352を通過する冷却ガス流量を変化させ、変化させた流量にて一定流量としつつ、Lタイプ温度センサ390の検出する温度が、所定の設定温度(処理温度)に一致するように温度制御する。
そしてLタイプ温度センサ390の検出する温度が所定の設定温度(処理温度)と一致した際の、所定の設定温度(処理温度)に対する内部温度センサ(炉内TC)324の検出結果を取得する。
制御部2は、ステップ102(S102)を冷却ガス流路352を通過する冷却ガス流量と、所定の設定温度(Lタイプ温度センサ390の検出する温度)と内部温度センサ324の検出する温度との関係が明らかになるよう所定回数くり返す。
【0046】
ステップ104(S104)において、制御部2は、所定の設定温度(Lタイプ温度センサ390の検出する温度)にした時の冷却ガス流量に対する内部温度センサ324の温度補正値(冷却ガスによる温度測定値の変化に対応する値)をそれぞれ算出する。
【0047】
ステップ106(S106)において、制御部2は、S104の処理で算出した温度補正値をそれぞれ冷却ガス流量と対応させて所定の設定温度(処理温度)時の相関関係として、例えば温度設定値記憶部424などに追加情報として記憶する。
【0048】
そして、制御部2は、ウエハ12を処理する場合に、Lタイプ温度センサ390を取り外し、S106の処理で記憶した温度補正値を用いることにより、内部温度センサ324の温度測定値を補正し、その温度補正値に対応する冷却ガス流路352を通過する冷却ガス流量(すなわち、冷却ガス排気装置356が排気する冷却ガスの流量)に設定し、補正後の内部温度センサ324の温度測定値が所望の設定温度(処理温度)と一致するように、温度調整部分320の温度を制御する。
なお、Lタイプ温度センサ390は、ウエハ12の中心部近傍の温度を複数箇所で測定可能なように、複数箇所がL字形状に形成された熱電対として説明したが、例えば、ウエハ12の中心部近傍の温度を1箇所で測定可能なように1箇所がL字形状に形成された熱電対とし、内部温度センサ324の温度補正値と冷却ガス流量との関係を求めてもよい。
また、Lタイプ温度センサ390の設置個数は、内部温度センサ324と異なる個数としてもよい。
さらに、Lタイプ温度センサ390の替わりにウエハ中心部に熱電対を埋め込んだタイプの温度センサを用いてもよい。
【0049】
[半導体処理装置1による減圧CVD処理の概要]
半導体処理装置1は、制御部2(図1,図4)上で実行される制御プログラム40(図3)の制御により、処理室3内に所定の間隔で並べられた半導体ウエハ12に対して、CVDにより、Si3N4膜、SiO2膜およびポリシリコン(Poly−Si)膜などの形成を行う。
【0050】
処理室3を用いた膜形成をさらに説明する。
まず、ボートエレベータ108は、ボート14を下降させる。
下降したボート14には、処理の対象となるウエハ12が、所望の枚数がセットされ、ボート14は、セットされたウエハ12を保持する。
【0051】
次に、ヒータ32の4つの温度調節部分320−1〜320−4それぞれは、設定に従って、アウタチューブ360の内部を加熱し、ウエハ12の中心部が予め設定された一定の温度になるように加熱する。
一方、冷却ガス流路352には、設定に従って冷却ガスが流され、アウタチューブ360、およびボート14にセットされたウエハ12が周方向(外周側)から冷却される。
【0052】
次に、ガス導入ノズル340(図2)を介して、MFC374は、導入するガスの流量を調節して、アウタチューブ360内に不活性ガスを導入し、充填する。
ボートエレベータ108は、ボート14を上昇させ、所望の処理温度の不活性ガスが充填された状態のアウタチューブ360内に移動させる。
【0053】
次に、アウタチューブ360内の不活性ガスはEP382により排気され、アウタチューブ360内部は真空状態とされ、ボート14およびこれに保持されているウエハ12は、回転軸348を介して回転させられる。
この状態で、ガス導入ノズル340を介して処理ガスがアウタチューブ360内に導入されると、導入された処理ガスは、アウタチューブ360内を上昇し、ウエハ12に対して均等に供給される。
【0054】
EP382は、減圧CVD処理中のアウタチューブ360内から、排気管346を介して処理ガスを排気し、APC380は、アウタチューブ360内の処理ガスを、所望の圧力とする。
以上のように、ウエハ12に対して、減圧CVD処理が所定時間、実行される。
【0055】
減圧CVD処理が終了すると、次のウエハ12に対する処理に移るべく、アウタチューブ360の内部の処理ガスが不活性ガスにより置換され、さらに常圧とされる。
さらに、冷却ガス流路352に冷却ガスが流されて、アウタチューブ360内が所定の温度まで冷却される。
この状態で、ボート14およびこれに保持された処理済みのウエハ12は、ボートエレベータ108により下降させられ、アウタチューブ360から取り出される。
ボートエレベータ108は、次に減圧CVD処理の対象となるウエハ12が保持されたボート14を上昇させ、アウタチューブ360内にセットする。
このようにセットされたウエハ12に対して、次の減圧CVD処理が実行される。
【0056】
なお、冷却ガスは、ウエハ12の処理前から処理終了までの間に流されれば、膜厚を制御することができるが、ウエハ12をセットしたボート14をアウタチューブ360内に移動させる場合、およびアウタチューブ360内からボート14を取り出す場合にも、流されることが好ましい。
これにより、処理室3の熱容量により、処理室3内に熱がこもって温度が変動してしまうことを防止することができるとともに、スループットを向上させることができる。
【0057】
[膜厚の均一性の制御例]
図8は、半導体処理装置1がウエハ12などの基板に膜を形成する場合に設定する温度と膜厚との関係の実施例を示すグラフであって、(A)は基板面内位置に対する設定温度の実施例を示すグラフであり、(B)は(A)に示した設定温度に応じて形成される膜厚を示すグラフである。
図9は、半導体処理装置1がウエハ12などの基板に膜を形成する場合に設定する温度と膜厚との関係の比較例を示すグラフであって、(A)は基板面内位置に対する設定温度の比較例を示すグラフであり、(B)は(A)に示した設定温度に応じて形成される膜厚を示すグラフである。
【0058】
図8(A)に示すように、基板の中心部が所定の設定温度(処理温度)になり、基板の端部が処理温度よりも低くなるように、制御部2が温度調整部分320の温度、および冷却ガス流路352を通過する冷却ガス流量を制御すると、図8(B)に示すように、基板に形成される膜厚が基板の中心部および端部においてほぼ均一になる。
例えば、基板温度に比べてアウタチューブ360の温度が低くなるように冷却ガスが流されると、基板の中心部の温度よりも基板の端部の温度が下がる。
【0059】
一方、図9(A)に示すように、基板の中心部および端部が所定の設定温度(処理温度)になるように、制御部2が温度調整部分320の温度などを制御する(例えば冷却ガス流路352に冷却ガスを流さない)と、図9(B)に示すように、基板の端部に形成される膜の厚さが基板の中心部に形成される膜の厚さよりも厚くなる。
例えば、基板温度とアウタチューブ360の温度が同等になるように冷却ガスが流されると、基板の中心部の温度と基板の端部の温度とが同等になる。
【0060】
具体的には、図6に示した予め求めておいた所定の設定温度(処理温度)にした時の内部温度センサ324の温度補正値をそれぞれ冷却ガス流量と対応させて記憶させた例えば温度設定値記憶部424にあるデータの中から、1つの条件を選択し、該選択した条件にて制御部2が温度制御部410を介しヒータ32の温度調整部分320を制御しつつ、冷却ガス流量制御部422およびインバータ384を介し、冷却ガス排気装置356を制御する。
【0061】
すなわち、内部温度センサ324の測定温度に温度補正値を設定し、その温度補正値に対応する冷却ガス流量を設定し、補正後の内部温度センサ324の測定温度に基づきヒータ32の温度調整部分320を加熱制御しつつ、設定した冷却ガス流量に対応して冷却ガス排気装置356が排気する冷却ガスの流量を制御する。
この制御した状態で、アウタチューブ360内にて、ボート14およびこれに保持されているウエハ12を回転しつつ、ガス導入ノズル340を介して処理ガスをアウタチューブ360内に導入しウエハ12に対して所定の膜厚の膜を形成処理させる。
【0062】
そして、処理後のウエハ12をアウタチューブ360から取り出す。ウエハ12を取り出した後、処理後のウエハ12の膜厚を測定し、基板面内(ウエハ12の面内)の膜厚が均一になっているか確認する。
基板面内のうち基板の端部に形成される膜の厚さが基板中心部に形成される膜の厚さより厚ければ、前述の図6に示した予め求めておいて所定の設定温度(処理温度)にした時の内部温度センサ324の温度補正値をそれぞれ冷却ガス流量と対応させて記憶させた例えば温度設定値記憶部424にあるデータの中から、先に選択した1つの条件よりさらに温度補正値の大きい値と対応する冷却ガス流量とを選択し、該選択した条件にて再び、上記のウエハ12に対して所定の膜厚の膜を形成処理させるようにする。
【0063】
一方、基板面内のうち基板の端部に形成される膜の厚さが基板中心部に形成される膜の厚さより薄ければ、前述の図6に示した予め求めておいた所定の設定温度(処理温度)にした時の内部温度センサ324の温度補正値をそれぞれ冷却ガス流量と対応させて記憶させた例えば温度設定値記憶部424にあるデータの中から、先に選択した1つの条件よりさらに温度補正値の小さい値と対応する冷却ガス流量とを選択し、該選択した条件にて再び、上記のウエハ12に対して所定の膜厚の膜を形成処理させるようにする。
基板面内の膜厚が所望の膜厚にて均一になるまでウエハ12へ実際に成膜を繰り返すことにより、微調整を行う。
【0064】
また、この際、温度調整部分320−1〜320−4に対応するそれぞれの内部温度センサ324−1〜324−4に温度補正値を加えた値と、その温度補正値に対応する冷却ガス流量を用いて加熱制御し、基板面内膜厚の均一性のみならず、基板面間膜厚(ボート14に保持される複数枚のウエハ間の膜厚)の均一性の微調整をも行うようにする。
【0065】
なお、図6に示した予め求めておいた所定の設定温度(処理温度)にした時の内部温度センサ324の温度補正値をそれぞれ冷却ガス流量と対応させて記憶させた例えば温度設定値記憶部424にあるデータの中には、所望の条件がない場合には、該データを参考に内部温度センサ324の温度補正値と冷却ガス流量とを直接変更した条件で所定の膜厚が均一になるまで微調整を行うようにしてもよい。
この時、Lタイプ温度センサ390を、炉口蓋344に継ぎ手を介在して気密にシールした状態で、ボート14およびこれに保持されるウエハ12を回転させずに、Lタイプ温度センサ390の検出する温度が所定の設定温度(処理温度)となるように、内部温度センサ324の温度補正値と冷却ガス流量とを直接変更した条件で所定の膜厚が均一になるまで微調整を行うようにしてもよい。
【0066】
微調整が完了したら、膜厚均一性が良好となる求められた内部温度センサ324の温度補正値と冷却ガス流量にて設定し、補正後の内部温度センサ324の測定温度に基づきヒータ32の温度調整部分320を加熱制御しつつ、設定した冷却ガス流量に対応した冷却ガス排気装置356が冷却ガスの流量を制御する。
この制御した状態で、アウタチューブ360内にてボート14およびこれに保持されるウエハ12を回転しつつ、ガス導入ノズル340を介して処理ガスをアウタチューブ360内に導入しウエハ12に対して所定の膜厚の膜を形成処理させる。
【0067】
このように、ヒータ32は、設定温度どおりにウエハ12の中心部温度を一定温度に維持するように制御しつつ、冷却ガスによりウエハ12の端部(周縁)温度と中心部温度とに温度差を設けるように温度制御することにより、膜質を変えることなく、ウエハ12の面内膜厚均一性、さらには、面間の膜厚均一性を向上することができる。
例えば、Si3N4膜等のCVD膜を成膜する場合、処理温度を変動させながら成膜処理すると、膜の屈折率が処理温度に応じて変動してしまったり、処理温度を高温から低温へ降下させつつ成膜処理すると、エッチングレートが低い膜から高い膜へと処理温度に応じて変化してしまう。
また、Si3N4膜の生成においては、処理温度を高温から低温へ降下させつつ成膜処理すると、ストレス値が高い膜から低い膜へと処理温度に応じて変化してしまう。
【0068】
そこで、半導体処理装置1は、制御部2が温度調整部分320の温度、および冷却ガス流路352を通過する冷却ガス流量を制御することにより、アウタチューブ360の温度を制御し、ウエハ12などの基板の面内温度を制御して、膜質が変化することを防止しつつ、基板に形成する膜の厚さの均一性を制御することができるという優れた効果を奏する。
【0069】
[処理室3の第1の変形例]
次に、処理室3の変形例について説明する。
図10は、処理室3の第1の変形例を示す図である。
なお、処理室3の第1の変形例において、図2に示した処理室3を構成する部分と実質的に同一のものには、同一の符号が付してある。
【0070】
図10に示すように、処理室3の第1の変形例は、排気路354に排気量(総流量)が互いに異なるブロアなどの冷却ガス排気装置392,393がシャッタ394,395をそれぞれ介して設けられている。
冷却ガス排気装置392,393は、それぞれインバータ396−1,396−2を介し、制御部2によって回転数が個別に制御されている。
また、処理室3の第1の変形例は、制御部2によってインバータ396−1,396−2およびシャッタ394,395が個別に制御されることにより、冷却ガス流路352を通過する冷却ガスの流量が細かく制御されるようになっている。
【0071】
さらに、処理室3の第1の変形例は、排気路354から冷却ガス排気装置392,393までのコンダクタンスを小さくしたり、ダンパ397などを設けて冷却ガスの流量を制御するようにされてもよい。
したがって、処理室3の第1の変形例は、冷却ガス流路352を通過する冷却ガスの流量を細かく制御することができるので、アウタチューブ360およびウエハ12の外周側の冷却を細かく制御することができ、ウエハ12に形成する膜の厚さの均一性を細かく制御することができる。
【0072】
[処理室3の第2の変形例]
図11は、処理室3の第2の変形例を示す図である。
なお、処理室3の第2の変形例において、図2に示した処理室3を構成する部分と実質的に同一のものには、同一の符号が付してある。
【0073】
図11に示すように、処理室3の第2の変形例は、アウタチューブ360と温度調整部分320との間に配管398を有する。
配管398には、例えば図示しないブロア(排気装置)などにより冷却ガスが流されるようになっている。
つまり、処理室3の第2の変形例は、配管398に冷却ガスを流すことにより、アウタチューブ360およびウエハ12の外周側を冷却し、ウエハ12に形成する膜の厚さの均一性を制御する。
なお、処理室3の第2の変形例は、配管398および冷却ガス流路352を通過させる冷却ガス流量を個別に制御するようにされてもよいし、配管398を通過する冷却ガス流量によってウエハ12に形成する膜の厚さの均一性を制御するようにされてもよい。
【0074】
[処理室3の第3の変形例]
図12は、処理室3の第3の変形例を示す図である。
なお、処理室3の第3の変形例において、図2に示した処理室3を構成する部分と実質的に同一のものには、同一の符号が付してある。
【0075】
図12に示すように、処理室3の第3の変形例は、アウタチューブ360が中空構造になっており、アウタチューブ360に冷却ガス流路399が形成されている。
冷却ガス流路399には、例えば図示しないブロア(排気装置)などにより冷却ガスが流されるようになっている。
つまり、処理室3の第3の変形例は、冷却ガス流路399に冷却ガスを流すことにより、ウエハ12の外周側を冷却し、ウエハ12に形成する膜の厚さの均一性を制御する。
【0076】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。例えば、半導体処理装置1は、吸気装置によって冷却ガス流量を制御するようにしてもよいし、マスフロー制御によるものであってもよい。
また、加熱装置は、光加熱するタイプであればよく、例えば抵抗加熱方式であってもよいし、ランプ加熱方式であってもよい。
また、半導体処理装置1は、冷却ガスに代えて、例えば水などの液体を流すことにより、アウタチューブ360およびウエハ12の外周側を冷却するようにされてもよい。
【0077】
以上のように、本発明は、特許請求の範囲に記載した事項を有するが、さらに次のような実施形態が含まれる。
(1)前記冷却装置は、前記処理室の外周側に設けられ、冷却ガスを流す冷却ガス流路と、前記冷却ガス流路を流れる冷却ガスを排気可能に導く排気路と、前記排気路に設けられ、冷却ガスを排気する排気部とを有する。
(2)前記排気部は、排気量が異なる複数の排気装置を有し、前記加熱制御部は、前記複数の排気装置を個別に制御する。
(3)本発明に係る基板処理方法は、処理室内に収容された基板を加熱装置により基板の外周側から光加熱する工程と、基板の外周近傍に流体を流す冷却装置により基板の外周側を冷却する工程と、前記処理室内の温度を検出する工程と、検出した温度に基づいて、前記加熱装置および前記冷却装置を制御する工程とを有する。
(4)本発明に係る基板処理方法は、処理室内に収容された基板を加熱装置により基板の外周側から光加熱する工程と、基板の外周近傍に冷却ガスを流して基板の外周側を冷却する工程と、排気量が異なる複数の排気装置により冷却ガスを排気する工程と、前記処理室内の温度を検出する工程と、検出した温度に基づいて、前記加熱装置および前記複数の排気装置を個別に制御する工程とを有する。
(5)前記加熱装置は、基板の中心部が一定温度である設定温度になるように基板を光加熱する請求項1〜3のいずれかに記載の基板処理装置。
(6)基板の中心部と外周側の温度をそれぞれ取得する温度取得部と、前記加熱装置が基板を加熱する間に前記冷却装置が流す流体の量を変化させた場合に、設定温度および流体の流量と、基板の中心部と外周側との温度偏差との相関関係を取得する相関関係取得部と、前記相関関係取得部が取得した相関関係に基づいて、前記加熱部の設定温度を補正する設定温度補正部とを有する(5)に記載の基板処理装置。
(7)前記相関関係取得部は、前記加熱装置が基板を加熱する間に前記冷却装置が流す流体の量を変化させた場合に、設定温度および流体の流量と、前記温度検出部が検出した温度との相関関係をさらに取得し、前記設定温度補正部は、前記相関関係取得部が取得した相関関係に基づいて、前記加熱装置の設定温度を補正する(6)に記載の基板処理装置。
(8)前記加熱装置は、基板の中心部が一定温度である設定温度になるように基板を光加熱する請求項4または5に記載の基板処理方法。
(9)基板を処理室内に収容する工程と、処理室内に収容された基板を加熱装置により基板の外周側から光加熱する工程と、基板の外周近傍に流体を流す冷却装置により基板の外周側を冷却する工程と、前記処理室内の温度を検出する工程と、検出した温度に基づいて、前記加熱装置および前記冷却装置を制御する工程と、基板を処理室外に搬出する工程とを有する基板処理方法。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上述べたように、本発明は、基板に形成する膜の厚さの均一性を制御する基板処理装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1・・・半導体処理装置
12・・・ウエハ
14・・・ボート
100・・・カセット授受ユニット
102・・・カセットストッカ
106・・・ウエハ移動機
108・・・ボートエレベータ
490・・・ウエハカセット
2・・・制御部
22・・・表示・入力部
200・・・CPU
204・・・メモリ
24・・・記録部
240・・・記録媒体
40・・・制御プログラム
400・・・プロセス制御部
410・・・温度制御部
412・・・処理ガス流量制御部
414・・・駆動制御部
416・・・圧力制御部
418・・・処理ガス排気装置制御部
420・・・温度測定部
422・・・冷却ガス流量制御部
424・・・温度設定値記憶部
442・・・温度設定補正値記憶部
3・・・処理室
300・・・断熱材
32・・・ヒータ
320・・・温度調整部分
322,324・・・温度センサ
340・・・ガス導入ノズル
344・・・炉口蓋
346・・・排気管
348・・・回転軸
350・・・マニホールド
351・・・Oリング
352・・・冷却ガス流路
353・・・吸気孔
354・・・排気路
355・・・排気部
356・・・冷却ガス排気装置
357・・・ラジエタ
358・・・排気孔
359・・・シャッタ
360・・・アウタチューブ
362・・・インナチューブ
370・・・温度制御装置
372・・・温度測定装置
374・・・MFC
376・・・EC
378・・・PS
380・・・APC
382・・・EP
390・・・Lタイプ温度センサ
392,393・・・冷却ガス排気装置
394,395・・・シャッタ
396−1,396−2・・・インバータ
397・・・ダンパ
398・・・配管
399・・・冷却ガス流路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するアウタチューブと、
前記アウタチューブ内に収容された基板を基板の外周側から光加熱する加熱装置と、
前記加熱装置が光加熱する基板の外周近傍に流体を流すことにより、基板の外周側を冷却する冷却装置と、
前記アウタチューブ内の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部が検出する温度に基づいて、前記加熱装置により前記基板を光加熱すると共に前記冷却装置により前記基板の外周側を冷却することで前記基板の中心側の温度を所定温度に維持しつつ該基板の中心側と前記基板の外周側とに温度差を設けるように前記加熱装置および前記冷却装置を制御する制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記冷却装置は、
前記アウタチューブの内壁より外側に冷却ガスを流す冷却ガス流路と、
前記冷却ガス流路を流れる冷却ガスを排気可能に導く排気路と、
前記排気路に設けられ、冷却ガスを排気する排気部と、
を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記排気部は、
排気量が異なる複数の排気装置を有し、
前記制御部は、
前記複数の排気装置を個別に制御する
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
アウタチューブ内に収容された基板を加熱装置により基板の外周側から光加熱する工程と、
基板の外周近傍に流体を流す冷却装置により基板の外周側を冷却する工程と、
前記アウタチューブ内の温度を検出する工程と、
検出した温度に基づいて、前記加熱装置により前記基板を光加熱すると共に前記冷却装置により前記基板の外周側を冷却することで前記基板の中心側の温度を所定温度に維持しつつ該基板の中心側と前記基板の外周側とに温度差を設けるように前記加熱装置および前記冷却装置を制御する工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項5】
アウタチューブ内に収容された基板を加熱装置により基板の外周側から光加熱する工程と、
基板の外周近傍に流体を流す冷却装置により基板の外周側を冷却する工程と、
排気量が異なる複数の排気装置により冷却ガスを排気する工程と、
前記アウタチューブ内の温度を検出する工程と、
検出した温度に基づいて、前記加熱装置により前記基板を光加熱すると共に前記冷却装置により前記基板の外周側を冷却することで前記基板の中心側の温度を所定温度に維持しつつ該基板の中心側と前記基板の外周側とに温度差を設けるように前記加熱装置および前記冷却装置を制御する工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項6】
前記所定温度は一定の温度である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記所定温度は一定の温度である請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記アウタチューブ内に処理ガスを導入する処理ガス導入部と該処理ガス導入部から導入される処理ガスの流量を制御する処理ガス流量制御部とをさらに備え、
前記処理ガス流量制御部は、前記制御部が前記基板の中心側の温度を所定温度に維持しつつ該基板の外周側と前記基板の外周側とに温度差を設けるように制御している最中に前記処理ガス導入部から前記処理ガスを前記アウタチューブ内に導入するよう制御する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板の中心側の温度を所定温度に維持しつつ該基板の中心側と前記基板の外周側とに温度差を設けた状態で、処理ガスを前記処理室内に導入し前記基板を処理する工程とをさらに有する請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項10】
基板の中心側と外周側の温度をそれぞれ取得する温度取得部と、
前記加熱装置が基板を加熱する間に前記冷却装置が流す流体の量を変化させた場合に、設定温度および流体の流量と、
基板の中心側と外周側との温度偏差との相関関係を取得する相関関係取得部と、
前記相関関係取得部が取得した相関関係に基づいて、前記加熱部の設定温度を補正する設定温度補正部と、
を有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記相関関係取得部は、
前記加熱装置が基板を加熱する間に前記冷却装置が流す流体の量を変化させた場合に、
設定温度および流体の流量と、前記温度検出部が検出した温度との相関関係をさらに取得し、
前記設定温度補正部は、
前記相関関係取得部が取得した相関関係に基づいて、前記加熱装置の設定温度を補正する請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
温度取得部が、前記基板の中心側の温度と前記基板の外周側の温度を取得する工程と、
前記加熱装置が基板を加熱する間に前記冷却装置が流す流体の量を変化させた場合に、設定温度および流体の流量と、基板の中心側と外周側との温度偏差との相関関係を取得する工程と、
取得した相関関係に基づいて、前記加熱部の設定温度を補正する工程とをさらに有し、
検出した温度を補正した温度に基づいて、前記加熱装置および前記冷却装置を制御する請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記加熱装置が基板を加熱する間に前記冷却装置が流す流体の量を変化させた場合に、
設定温度および流体の流量と、検出した温度との相関関係を取得する工程と、
取得した相関関係に基づいて、前記加熱装置の設定温度を補正する工程とをさらに有し、
検出した温度を補正した温度に基づいて、前記加熱装置および前記冷却装置を制御する請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記所定温度は一定の温度である請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記アウタチューブ内の基板は、
所定の間隔で複数並べられており、前記処理ガス導入部から前記アウタチューブ内に導入された前記処理ガスが前記基板の外周側から供給される請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記アウタチューブ内に導入された前記処理ガスが所定の間隔で複数並べられた前記基板の外周側から供給される工程と、
をさらに有する請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項17】
アウタチューブ内に収容された基板を加熱装置により基板の外周側から光加熱させる手順と、
基板の外周近傍に流体を流す冷却装置により基板の外周側を冷却させる手順と、
前記アウタチューブ内の温度を検出させる手順と、
検出した温度に基づいて、前記加熱装置により前記基板を光加熱すると共に前記冷却装置により前記基板の外周側を冷却することで前記基板の中心側の温度を所定温度に維持しつつ該基板の中心側と前記基板の外周側とに温度差を設けるように前記加熱装置および前記冷却装置を制御させる手順と、
を制御部に実行させるための制御プログラム。
【請求項18】
アウタチューブ内に収容された基板を加熱装置により基板の外周側から光加熱させる手順と、
基板の外周近傍に流体を流す冷却装置により基板の外周側を冷却させる手順と、
前記アウタチューブ内の温度を検出させる手順と、
検出した温度に基づいて、前記加熱装置により前記基板を光加熱すると共に前記冷却装置により前記基板の外周側を冷却することで前記基板の中心側の温度を所定温度に維持しつつ該基板の中心側と前記基板の外周側とに温度差を設けるように前記加熱装置および前記冷却装置を制御させる手順と、
を制御部に実行させるための制御プログラムが記録された記録媒体。
【請求項19】
アウタチューブ内に収容された基板を加熱装置により基板の外周側から光加熱する工程と、
基板の外周近傍に流体を流す冷却装置により基板の外周側を冷却する工程と、
前記アウタチューブ内の温度を検出する工程と、
検出した温度に基づいて、前記加熱装置により前記基板を光加熱すると共に前記冷却装置により前記基板の外周側を冷却することで前記基板の中心側の温度を所定温度に維持しつつ該基板の中心側と前記基板の外周側とに温度差を設けるように前記加熱装置および前記冷却装置を制御する工程と、
を有する半導体形成方法。
【請求項20】
アウタチューブ内に収容された基板を加熱装置により基板の外周側から光加熱する工程と、
基板の外周近傍に流体を流す冷却装置により基板の外周側を冷却する工程と、
前記アウタチューブ内の温度を検出する工程と、
検出した温度に基づいて、前記加熱装置により前記基板を光加熱すると共に前記冷却装置により前記基板の外周側を冷却することで前記基板の中心側の温度を所定温度に維持しつつ該基板の中心側と前記基板の外周側とに温度差を設けるように前記加熱装置および前記冷却装置を制御する工程と、
を有する膜の形成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−216851(P2012−216851A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−127093(P2012−127093)
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【分割の表示】特願2008−505019(P2008−505019)の分割
【原出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】