説明

基板処理装置、基板処理方法、及び表示用パネル基板の製造方法

【課題】薬液の消費量を抑えながら、基板の処理を均一に行う。
【解決手段】基板1を移動しながら、薬液2が入った薬液タンク23から、可変出力ポンプ25及び制御弁80が設けられた配管24を介して、薬液ノズル21へ薬液2を供給し、薬液ノズル21から基板1へ薬液2を吐出する。薬液ノズル21から基板1へ吐出した薬液2を回収して薬液タンク23へ戻し、薬液タンク23から薬液ノズル21へ供給する薬液2の濃度を検出し、薬液2の濃度の検出結果に応じ、可変出力ポンプ25を制御し又は制御弁80を作動させて、薬液タンク23から配管24を介して薬液ノズル21へ供給する薬液2の量を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄液、現像液、エッチング液、剥離液等の薬液を用いて、基板の洗浄、現像、エッチング、剥離等の処理を行う基板処理装置、基板処理方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に係り、特に、基板を移動しながら、薬液をノズルから基板へ吐出し、基板へ吐出した薬液を回収して再利用する基板処理装置、基板処理方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造工程では、基板上に回路パターンやカラーフィルタ等を形成するため、基板の洗浄、露光、現像、エッチング、剥離等の処理が行われる。これらのうち、洗浄、現像、エッチング、剥離等の薬液処理は、ローラコンベア等の移動手段を用いて基板を移動しながら行われることが多く、洗浄液、現像液、エッチング液、剥離液等の薬液は、スプレーノズル、シャワーノズル、又はスリットノズルから基板の表面へ吐出される。
【0003】
基板の表面へ吐出された薬液は、回収されて再利用されるが、再利用の度に薬液の濃度が低下して、基板の処理能力が低下する。そのため、従来は、特許文献1に記載の様に、劣化した薬液を廃棄して新しい薬液と交換するか、あるいは、薬液の濃度を検出して薬液の原液又は純水を補給していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−267856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、薬液が劣化すると薬液を全て入れ換えるため、大量の薬液が必要になるという問題があった。また、薬液の濃度を検出して薬液の原液又は純水を補給する場合も、薬液の濃度が低下すると直ちに薬液の補給が必要であるため、薬液の消費量が多くなるという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、薬液の消費量を抑えながら、基板の処理を均一に行うことである。また、本発明の課題は、高品質な表示用パネル基板を安い費用で製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板処理装置は、基板を移動する基板移動手段と、基板移動手段により移動される基板へ薬液を吐出する薬液ノズルと、薬液が入った薬液タンクと、可変出力ポンプ及び制御弁が設けられ、薬液タンクから薬液ノズルへ薬液を供給する配管と、薬液ノズルから基板へ吐出された薬液を回収して薬液タンクへ戻す薬液回収手段と、薬液タンクから薬液ノズルへ供給される薬液の濃度を検出する濃度検出手段と、濃度検出手段の検出結果に応じ、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、薬液タンクから配管を介して薬液ノズルへ供給される薬液の量を変更する制御手段とを備えたものである。
【0008】
また、本発明の基板処理方法は、基板を移動しながら、薬液が入った薬液タンクから、可変出力ポンプ及び制御弁が設けられた配管を介して、薬液ノズルへ薬液を供給し、薬液ノズルから基板へ薬液を吐出し、薬液ノズルから基板へ吐出した薬液を回収して薬液タンクへ戻し、薬液タンクから薬液ノズルへ供給する薬液の濃度を検出し、薬液の濃度の検出結果に応じ、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、薬液タンクから配管を介して薬液ノズルへ供給する薬液の量を変更するものである。
【0009】
薬液ノズルから基板へ吐出した薬液を回収して薬液タンクへ戻し、薬液タンクから薬液ノズルへ供給する薬液の濃度を検出し、薬液の濃度の検出結果に応じ、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、薬液タンクから配管を介して薬液ノズルへ供給する薬液の量を変更するので、薬液ノズルから基板へ吐出される薬液の量が、薬液の濃度に合わせて変化する。薬液の濃度が変化しても、薬液ノズルから基板へ吐出される薬液の量を変えて、薬液処理の反応量を一定にすることができるので、薬液の消費量を抑えながら、基板の処理が均一に行われる。
【0010】
さらに、本発明の基板処理装置は、配管の途中に設けられたフィルタと、配管内を流れる薬液の流量を検出する流量検出手段と、フィルタから流れ出る薬液の圧力を検出する第1の圧力検出手段とを備え、制御手段が、流量検出手段又は第1の圧力検出手段の検出結果に基づき、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、配管内を流れる薬液の流量を制御するものである。
【0011】
また、本発明の基板処理方法は、配管の途中にフィルタを設け、配管内を流れる薬液の流量を検出し、フィルタから流れ出る薬液の圧力を検出し、配管内を流れる薬液の流量又はフィルタから流れ出る薬液の圧力の検出結果に基づき、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、配管内を流れる薬液の流量を制御するものである。
【0012】
配管の途中に設けたフィルタは、配管内を流れる薬液をろ過し、薬液に混入した異物や不純物が取り除かれる。フィルタ内に異物や不純物が溜まって、フィルタが目詰まりを起こしてくると、配管内を流れる薬液の流量が低下し、またフィルタから流れ出る薬液の圧力が低下する。配管内を流れる薬液の流量を検出し、フィルタから流れ出る薬液の圧力を検出し、配管内を流れる薬液の流量又はフィルタから流れ出る薬液の圧力の検出結果に基づき、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、配管内を流れる薬液の流量を制御するので、薬液の濃度の検出結果に応じて、薬液タンクから配管を介して薬液ノズルへ供給する薬液の量を変更する際、フィルタの目詰まりにより薬液の流量及び圧力が低下しても、変更する薬液の量が精度良く調節される。
【0013】
さらに、本発明の基板処理装置は、フィルタへ流れ込む薬液の圧力を検出する第2の圧力検出手段を備え、制御手段が、第2の圧力検出手段の検出結果に基づき、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、フィルタへ流れ込む薬液の圧力を所定値以下に保ち、第2の圧力検出手段の検出結果と第1の圧力検出手段の検出結果との差が許容値を超えたときに警告を発生するものである。
【0014】
また、本発明の基板処理方法は、フィルタへ流れ込む薬液の圧力を検出し、フィルタへ流れ込む薬液の圧力の検出結果に基づき、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、フィルタへ流れ込む薬液の圧力を所定値以下に保ち、フィルタへ流れ込む薬液の圧力の検出結果とフィルタから流れ出る薬液の圧力の検出結果との差が許容値を超えたときに警告を発生するものである。
【0015】
フィルタへ流れ込む薬液の圧力を検出し、フィルタへ流れ込む薬液の圧力の検出結果に基づき、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、フィルタへ流れ込む薬液の圧力を所定値以下に保つので、フィルタが目詰まりを起こしても、フィルタに過度の圧力が掛かってフィルタが破損することがない。そして、フィルタへ流れ込む薬液の圧力の検出結果とフィルタから流れ出る薬液の圧力の検出結果との差が許容値を超えたときに警告を発生するので、目詰まりによるフィルタの交換の必要性が作業者へ知らされる。
【0016】
本発明の表示用パネル基板の製造方法は、上記のいずれかの基板処理装置又は基板処理方法を用いて基板の処理を行うものである。薬液の消費量を抑えながら、基板の処理が均一に行われるので、高品質な表示用パネル基板が安い費用で製造される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の基板処理装置及び基板処理方法によれば、薬液ノズルから基板へ吐出した薬液を回収して薬液タンクへ戻し、薬液タンクから薬液ノズルへ供給する薬液の濃度を検出し、薬液の濃度の検出結果に応じ、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、薬液タンクから配管を介して薬液ノズルへ供給する薬液の量を変更することにより、薬液の濃度が変化しても、薬液ノズルから基板へ吐出される薬液の量を変えて、薬液処理の反応量を一定にすることができるので、薬液の消費量を抑えながら、基板の処理を均一に行うことができる。
【0018】
さらに、本発明の基板処理装置及び基板処理方法によれば、配管の途中にフィルタを設け、配管内を流れる薬液の流量を検出し、フィルタから流れ出る薬液の圧力を検出し、配管内を流れる薬液の流量又はフィルタから流れ出る薬液の圧力の検出結果に基づき、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、配管内を流れる薬液の流量を制御することにより、薬液の濃度の検出結果に応じて、薬液タンクから配管を介して薬液ノズルへ供給する薬液の量を変更する際、フィルタの目詰まりにより薬液の流量及び圧力が低下しても、変更する薬液の量を精度良く調節することができる。
【0019】
さらに、本発明の基板処理装置及び基板処理方法によれば、フィルタへ流れ込む薬液の圧力を検出し、フィルタへ流れ込む薬液の圧力の検出結果に基づき、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、フィルタへ流れ込む薬液の圧力を所定値以下に保つことにより、フィルタが目詰まりを起こしても、フィルタに過度の圧力が掛かってフィルタが破損するのを防止することができる。そして、フィルタへ流れ込む薬液の圧力の検出結果とフィルタから流れ出る薬液の圧力の検出結果との差が許容値を超えたときに警告を発生することにより、目詰まりによるフィルタの交換の必要性を作業者へ知らせることができる。
【0020】
本発明の表示用パネル基板の製造方法によれば、薬液の消費量を抑えながら、基板の処理を均一に行うことができるので、高品質な表示用パネル基板を安い費用で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態による基板処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図3】液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態による基板処理装置の概略構成を示す図である。基板処理装置は、ローラ10、モータ11、モータ駆動回路12、薬液処理室20、薬液ノズル21、薬液回収チャンバ22、薬液タンク23、配管24,41,51、可変出力ポンプ25、フィルタ26、薬液廃棄通路27、制御弁28,43,53,80、洗浄室30、洗浄液ノズル31、原液タンク40、ポンプ42,52、純水タンク50、濃度計60、アナログディジタル変換器61,82,84,86、制御装置70、圧力計81,83、及び流量計85を含んで構成されている。
【0023】
図1において、基板1は、複数のローラ10上に搭載され、ローラ10の回転により、矢印で示す基板移動方向へ移動される。各ローラ10は、水平に設置されており、モータ11により回転されて、基板1を水平に移動する。モータ駆動回路12は、制御装置70の制御により、モータ11を駆動する。
【0024】
なお、本実施の形態では基板1を水平な状態で移動しているが、本発明はこれに限らず、基板1を水平に対して基板移動方向と直交する方向又は基板移動方向に所定の角度傾斜した状態で移動してもよい。
【0025】
基板1は、まず、ローラ10により、薬液処理室20へ搬入される。薬液処理室20内には、ローラ10に搭載された基板1の上方に、複数の薬液ノズル21が設置されている。薬液ノズル21は、スプレーノズル、シャワーノズル、又はスリットノズルから成り、洗浄液、現像液、エッチング液、剥離液等の薬液を、ローラ10により移動される基板1の表面へ吐出する。基板1の移動に伴い、薬液ノズル21から吐出された薬液が基板1の表面全体へ供給され、基板1の洗浄、現像、エッチング、剥離等の薬液処理が行われる。
【0026】
なお、本実施の形態では、薬液ノズル21が基板移動方向に3段設けられているが、薬液ノズル21の段数はこれに限らない。
【0027】
薬液処理後、基板1は、ローラ10により、薬液処理室20から洗浄室30へ搬送される。洗浄室内30には、ローラ10に搭載された基板1の上方に、洗浄液ノズル31が配置されている。図示しない洗浄液供給源から洗浄液ノズル31へ、洗浄液が供給される。洗浄液ノズル31は、スプレーノズル、シャワーノズル、又はスリットノズルから成り、純水等からなる洗浄液を、ローラ10により移動される基板1の表面へ吐出する。基板1の移動に伴い、洗浄液ノズル31から吐出された洗浄液が基板1の表面全体へ供給され、基板1の表面の薬液が、洗浄液により洗い流されて、洗浄液と置換される。
【0028】
なお、本実施の形態では、洗浄液ノズル31が基板移動方向に2段設けられているが、洗浄液ノズル31の段数はこれに限らない。
【0029】
薬液処理室20内において、薬液ノズル21の下方には、薬液回収チャンバ22が配置されている。薬液ノズル21から基板1の表面へ吐出された薬液は、基板1の表面から薬液回収チャンバ22へ流れ落ち、薬液タンク23へ流れ込む。薬液タンク23の底には、薬液廃棄通路27が設けられており、薬液廃棄通路27には、制御弁28が設けられている。
【0030】
薬液タンク23内の薬液2は、配管24を通って薬液ノズル21へ供給される。配管24には、薬液タンク23内の薬液2を配管24内へ流すための可変出力ポンプ25と、配管24内を流れる薬液2の流量を制御するための制御弁80とが設けられている。可変出力ポンプ25は、例えば、周波数変換器とモータとを含み、モータの駆動電流の周波数を周波数変換器で変化させることにより、モータの回転数が変化して出力が増減する。
【0031】
配管24の途中の可変出力ポンプ25と薬液ノズル21との間には、フィルタ26が設けられており、フィルタ26の入口側には、フィルタ26へ流れ込む薬液2の圧力を検出する圧力計81が設置され、フィルタ26の出口側には、フィルタ26から流れ出る薬液2の圧力を検出する圧力計83が設置されている。配管24の途中のフィルタ26と薬液ノズル21との間には、流量計85と、濃度計60とが設けられている。
【0032】
一方、原液タンク40には、薬液2の原液4が収納されている。原液タンク40内の原液4は、配管41を通って薬液タンク23へ補給される。配管41には、原液タンク40内の原液4を配管41内へ流すためのポンプ42と、制御弁43とが設けられている。また、純水タンク50には、純水5が収納されている。純水タンク50内の純水5は、配管51を通って薬液タンク23へ補給される。配管51には、純水タンク50内の純水5を配管51内へ流すためのポンプ52と、制御弁53とが設けられている。制御装置70は、可変出力ポンプ25及びポンプ42,52の駆動を制御し、また制御弁28,43,53,80を作動させる。
【0033】
以下、本発明の一実施の形態による基板処理方法を説明する。制御装置70は、モータ駆動回路12によりモータ11を駆動して、ローラ10を回転させる。ローラ10の回転により、ローラ10に搭載された基板1が、基板移動方向へ移動される。制御装置70は、可変出力ポンプ25の駆動を制御し、また制御弁80を作動させて、薬液タンク23から配管24を介して薬液ノズル21へ薬液2を供給させる。薬液ノズル21は基板1へ薬液2を吐出し、薬液ノズル21から基板1へ吐出された薬液2は、薬液回収チャンバ22により回収されて、薬液タンク23へ戻される。
【0034】
濃度計60は、薬液タンク23から薬液ノズル21へ供給される薬液2の濃度を検出する。薬液2が現像液である場合、濃度計60として、現像液の導電率を測定する導電率計を用いてもよい。濃度計60の検出結果は、アナログディジタル変換器61によりディジタル信号に変換されて、制御装置70へ入力される。
【0035】
制御装置70は、濃度計60の検出結果に応じ、可変出力ポンプ25の駆動を制御し、または制御弁80を作動させて、薬液タンク23から配管24を介して薬液ノズル21へ供給される薬液2の量を、薬液2の濃度が高いときは少なくし、薬液2の濃度が低いときは多くする。これにより、薬液ノズル21から基板1へ吐出される薬液2の量が、薬液2の濃度に合わせて変化する。薬液2の濃度が変化しても、薬液ノズル21から基板1へ吐出される薬液2の量を変えて、薬液処理の反応量を一定にすることができるので、薬液2の消費量を抑えながら、基板1の処理が均一に行われる。
【0036】
配管24の途中に設けたフィルタ26は、配管24内を流れる薬液2をろ過し、薬液2に混入した異物や不純物が取り除かれる。フィルタ26内に異物や不純物が溜まって、フィルタ26が目詰まりを起こしてくると、配管24内を流れる薬液2の流量が低下し、またフィルタ26から流れ出る薬液2の圧力が低下する。
【0037】
圧力計81は、フィルタ26へ流れ込む薬液2の圧力を検出する。圧力計81の検出結果は、アナログディジタル変換器82によりディジタル信号に変換されて、制御装置70へ入力される。圧力計83は、フィルタ26から流れ出る薬液の圧力を検出する。圧力計83の検出結果は、アナログディジタル変換器84によりディジタル信号に変換されて、制御装置70へ入力される。流量計85は、配管24内を流れる薬液2の流量を検出する。流量計85の検出結果は、アナログディジタル変換器86によりディジタル信号に変換されて、制御装置70へ入力される。
【0038】
制御装置70は、濃度計60による薬液2の濃度の検出結果に応じて、薬液タンク23から配管24を介して薬液ノズル21へ供給される薬液2の量を変更する際、流量計85又は圧力計83の検出結果に基づき、可変出力ポンプ25の駆動を制御し又は制御弁80を作動させて、配管24内を流れる薬液の流量を制御する。
【0039】
配管24内を流れる薬液2の流量を検出し、フィルタ26から流れ出る薬液2の圧力を検出し、配管24内を流れる薬液2の流量又はフィルタ26から流れ出る薬液2の圧力の検出結果に基づき、可変出力ポンプ25を制御し又は制御弁80を作動させて、配管24内を流れる薬液2の流量を制御するので、濃度計60による薬液2の濃度の検出結果に応じて、薬液タンク23から配管24を介して薬液ノズル21へ供給する薬液2の量を変更する際、フィルタ26の目詰まりにより薬液2の流量及び圧力が低下しても、変更する薬液2の量が精度良く調節される。
【0040】
また、制御装置70は、圧力計81の検出結果に基づき、可変出力ポンプ25を制御し又は制御弁80を作動させて、フィルタ26へ流れ込む薬液2の圧力を所定値以下に保ち、圧力計81の検出結果と圧力計83の検出結果との差が許容値を超えたときに、表示装置による表示又は警告音等で警告を発生する。
【0041】
フィルタ26へ流れ込む薬液2の圧力を検出し、フィルタ26へ流れ込む薬液2の圧力の検出結果に基づき、可変出力ポンプ25を制御し又は制御弁80を作動させて、フィルタ26へ流れ込む薬液2の圧力を所定値以下に保つので、フィルタ26が目詰まりを起こしても、フィルタ26に過度の圧力が掛かってフィルタ26が破損することがない。そして、フィルタ26へ流れ込む薬液2の圧力の検出結果とフィルタ26から流れ出る薬液2の圧力の検出結果との差が許容値を超えたときに警告を発生するので、目詰まりによるフィルタ26の交換の必要性が作業者へ知らされる。
【0042】
制御装置70は、濃度計60の検出結果に基づき、薬液2の濃度が所定値以下になったら、制御弁28を作動させて、薬液タンク23から薬液2の一部を所定量だけ廃棄させる。そして、制御装置70は、制御弁43を作動させ、ポンプ42を動作させて、原液タンク40から薬液タンク23へ所定量の原液4を補給させる。薬液2の濃度が低下しても、直ちに薬液2の一部を廃棄して原液4を補給するのではなく、薬液2の濃度が所定値以下になって初めて、薬液2の一部を廃棄して原液4を補給するので、薬液2の使用期間が長くなる。なお、本実施の形態では、薬液2の原液4を補給しているが、本発明はこれに限らず、薬液タンク23内の薬液2よりも濃度の高い薬液を補給してもよい。
【0043】
また、制御装置70は、濃度計60の検出結果に基づき、薬液2の濃度が所定値以上になったら、制御弁28を作動させて、薬液タンク23から薬液2の一部を所定量だけ廃棄させる。そして、制御装置70は、制御弁53を作動させ、ポンプ52を動作させて、純水タンク50から薬液タンク23へ所定量の純水5を補給させる。
【0044】
以上説明した実施の形態によれば、薬液ノズル21から基板1へ吐出した薬液2を回収して薬液タンク23へ戻し、薬液タンク23から薬液ノズル21へ供給する薬液2の濃度を検出し、薬液2の濃度の検出結果に応じ、可変出力ポンプ25を制御し又は制御弁80を作動させて、薬液タンク23から配管24を介して薬液ノズル21へ供給する薬液2の量を変更することにより、薬液2の濃度が変化しても、薬液ノズル21から基板1へ吐出される薬液2の量を変えて、薬液処理の反応量を一定にすることができるので、薬液2の消費量を抑えながら、基板1の処理を均一に行うことができる。
【0045】
さらに、配管24の途中にフィルタ26を設け、配管24内を流れる薬液2の流量を検出し、フィルタ26から流れ出る薬液2の圧力を検出し、配管24内を流れる薬液2の流量又はフィルタ26から流れ出る薬液2の圧力の検出結果に基づき、可変出力ポンプ25を制御し又は制御弁80を作動させて、配管24内を流れる薬液2の流量を制御することにより、薬液2の濃度の検出結果に応じて、薬液タンク23から配管24を介して薬液ノズル21へ供給する薬液2の量を変更する際、フィルタ26の目詰まりにより薬液2の流量及び圧力が低下しても、変更する薬液2の量を精度良く調節することができる。
【0046】
さらに、フィルタ26へ流れ込む薬液2の圧力を検出し、フィルタ26へ流れ込む薬液2の圧力の検出結果に基づき、可変出力ポンプ25を制御し又は制御弁80を作動させて、フィルタ26へ流れ込む薬液2の圧力を所定値以下に保つことにより、フィルタ26が目詰まりを起こしても、フィルタ26に過度の圧力が掛かってフィルタ26が破損するのを防止することができる。そして、フィルタ26へ流れ込む薬液2の圧力の検出結果とフィルタ26から流れ出る薬液2の圧力の検出結果との差が許容値を超えたときに警告を発生することにより、目詰まりによるフィルタ26の交換の必要性を作業者へ知らせることができる。
【0047】
本発明の基板処理装置又は基板処理方法を用いて基板の処理を行うことにより、薬液の消費量を抑えながら、基板の処理を均一に行うことができるので、高品質な表示用パネル基板を安い費用で製造することができる。
【0048】
例えば、図2は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップ101)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。洗浄工程(ステップ102)では、洗浄液等により基板上の異物を取り除き、レジスト塗布工程(ステップ103)では、ロール塗布法等により感光樹脂材料(フォトレジスト)を塗布して、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。露光工程(ステップ104)では、プロキシミティ露光装置や投影露光装置等を用いて、マスクのパターンをフォトレジスト膜に転写する。現像工程(ステップ105)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップ106)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。剥離工程(ステップ107)では、エッチング工程(ステップ106)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄工程及び乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、基板上にTFTアレイが形成される。
【0049】
また、図3は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)では、洗浄、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップ202)では、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等により、基板上に着色パターンを形成する。この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。保護膜形成工程(ステップ203)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップ204)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄工程及び乾燥工程が実施される。
【0050】
図2に示したTFT基板の製造工程では、洗浄工程(ステップ102)、現像工程(ステップ105)、エッチング工程(ステップ106)、及び剥離工程(ステップ107)において、図3に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)及び着色パターン形成工程(ステップ202)の洗浄処理、現像処理、エッチング処理、及び剥離処理において、本発明の基板処理装置又は基板処理方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 基板
2 薬液
4 原液
5 純水
10 ローラ
11 モータ
12 モータ駆動回路
20 薬液処理室
21 薬液ノズル
22 薬液回収チャンバ
23 薬液タンク
24,41,51 配管
25 可変出力ポンプ
26 フィルタ
27 薬液廃棄通路
28,43,53,80 制御弁
30 洗浄室
31 洗浄液ノズル
40 原液タンク
42,52 ポンプ
50 純水タンク
60 濃度計
61,82,84,86 アナログディジタル変換器
70 制御装置
81,83 圧力計
85 流量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を移動する基板移動手段と、
前記基板移動手段により移動される基板へ薬液を吐出する薬液ノズルと、
薬液が入った薬液タンクと、
可変出力ポンプ及び制御弁が設けられ、前記薬液タンクから前記薬液ノズルへ薬液を供給する配管と、
前記薬液ノズルから基板へ吐出された薬液を回収して前記薬液タンクへ戻す薬液回収手段と、
前記薬液タンクから前記薬液ノズルへ供給される薬液の濃度を検出する濃度検出手段と、
前記濃度検出手段の検出結果に応じ、前記可変出力ポンプを制御し又は前記制御弁を作動させて、前記薬液タンクから前記配管を介して前記薬液ノズルへ供給される薬液の量を変更する制御手段とを備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記配管の途中に設けられたフィルタと、
前記配管内を流れる薬液の流量を検出する流量検出手段と、
前記フィルタから流れ出る薬液の圧力を検出する第1の圧力検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記流量検出手段又は前記第1の圧力検出手段の検出結果に基づき、前記可変出力ポンプを制御し又は前記制御弁を作動させて、前記配管内を流れる薬液の流量を制御することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記フィルタへ流れ込む薬液の圧力を検出する第2の圧力検出手段を備え、
前記制御手段は、前記第2の圧力検出手段の検出結果に基づき、前記可変出力ポンプを制御し又は前記制御弁を作動させて、前記フィルタへ流れ込む薬液の圧力を所定値以下に保ち、前記第2の圧力検出手段の検出結果と前記第1の圧力検出手段の検出結果との差が許容値を超えたときに警告を発生することを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板を移動しながら、
薬液が入った薬液タンクから、可変出力ポンプ及び制御弁が設けられた配管を介して、薬液ノズルへ薬液を供給し、
薬液ノズルから基板へ薬液を吐出し、
薬液ノズルから基板へ吐出した薬液を回収して薬液タンクへ戻し、
薬液タンクから薬液ノズルへ供給する薬液の濃度を検出し、
薬液の濃度の検出結果に応じ、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、薬液タンクから配管を介して薬液ノズルへ供給する薬液の量を変更することを特徴とする基板処理方法。
【請求項5】
配管の途中にフィルタを設け、
配管内を流れる薬液の流量を検出し、
フィルタから流れ出る薬液の圧力を検出し、
配管内を流れる薬液の流量又はフィルタから流れ出る薬液の圧力の検出結果に基づき、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、配管内を流れる薬液の流量を制御することを特徴とする請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
フィルタへ流れ込む薬液の圧力を検出し、
フィルタへ流れ込む薬液の圧力の検出結果に基づき、可変出力ポンプを制御し又は制御弁を作動させて、フィルタへ流れ込む薬液の圧力を所定値以下に保ち、
フィルタへ流れ込む薬液の圧力の検出結果とフィルタから流れ出る薬液の圧力の検出結果との差が許容値を超えたときに警告を発生することを特徴とする請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の基板処理装置を用いて基板の処理を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
【請求項8】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の基板処理方法を用いて基板の処理を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−245503(P2012−245503A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121579(P2011−121579)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】