説明

基板処理装置及び基板処理方法

【課題】フォーカスリングの温度を基板の温度とは独立して制御することで,これにより基板の面内処理特性を制御する。
【解決手段】ウエハWを載置する基板載置面115とフォーカスリングを載置するフォーカスリング載置面116を有するサセプタ114を備えた載置台110と,ウエハ裏面を基板載置面に静電吸着するとともに,フォーカスリング裏面をフォーカスリング載置面に静電吸着する静電チャック120と,伝熱ガス供給機構200とを備え,伝熱ガス供給機構は,基板裏面に第1伝熱ガスを供給する第1伝熱ガス供給部210と,フォーカスリング裏面に第2伝熱ガスを供給する第2伝熱ガス供給部220とを独立して設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体ウエハなどの基板にプラズマ処理を施す基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造過程では,半導体ウエハ等の基板に微細な回路パターンを形成する目的でエッチングや成膜などのプラズマ処理が繰り返し実施される。プラズマ処理では,例えば減圧可能に構成された基板処理装置の処理室内に対向配置された電極間に高周波電圧を印加してプラズマを発生させ,載置台上に載置した基板に対してプラズマを作用させてエッチングを行なう。
【0003】
このようなプラズマ処理の際に,基板のセンタ部(中央部)と同様にエッジ部(周縁部)においても均一で良好な処理を行うため,載置台上の基板の周囲を囲むようにフォーカスリングを載置台上に配置してエッチングが行われる。この場合,基板はプラズマからの入熱を受けることによる温度上昇を防止すべく,載置台の上部には基板を静電保持させる基板保持部を設けるとともに,基板裏面にHeガスなどの伝熱ガスを供給することによって,サセプタとの熱伝導性を高めることで,基板温度を一定に保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−303288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,プラズマ処理中は,基板のみならず,その周りのフォーカスリングもプラズマに晒されるので,フォーカスリングもプラズマの入熱により温度が変動する場合がある。このため,基板の面内処理特性(エッチングレートなどのプロセス特性)に影響を与える虞がある。
【0006】
この点,プラズマ処理を繰り返すことによって基板の周りに設けた特性補正用リングが蓄熱して基板周辺部の処理特性が変動することを防止すべく,特性補正用リングも静電保持するとともに,基板裏面に供給する伝熱ガスを分岐させて特性補正用リング裏面にも供給するものがある(例えば特許文献1参照)。
【0007】
ところが,特許文献1のように1系統で基板裏面と特性補正用リング裏面に伝熱ガスを供給するだけでは,基板の処理条件(ガス種,ガス流量,処理室内圧力,高周波電力のパワー)によっては基板の面内処理特性を制御できない場合がある。特許文献1では基板裏面と特性補正用リング裏面の両方に同じ種類の伝熱ガスを同じ圧力で供給することしかできないので,基板の面内処理特性を伝熱ガスによって自由に制御することはできない。
【0008】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,フォーカスリングの温度を基板の温度とは独立して制御することができ,これにより基板の面内処理特性を自由に制御することができる基板処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,処理室内に基板を配置し,その基板の周囲を囲むようにフォーカスリングを配置して,前記基板に対するプラズマ処理を施す基板処理装置であって,前記基板を載置する基板載置面と前記フォーカスリングを載置するフォーカスリング載置面を有するサセプタを備えた載置台と,前記サセプタの温度を調整するサセプタ温調機構と,前記基板の裏面を前記基板載置面に静電吸着するとともに,前記フォーカスリングの裏面を前記フォーカスリング載置面に静電吸着する基板保持部と,前記基板の裏面に第1伝熱ガスを供給する第1伝熱ガス供給部と,前記フォーカスリングの裏面に第2伝熱ガスを供給する第2伝熱ガス供給部とを独立して設けた伝熱ガス供給機構と,を備えたことを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0010】
このような本発明では,基板保持部の基板載置面に基板を静電吸着するとともに,フォーカスリング載置面にフォーカスリングを静電吸着させることができる。これに加えて,基板裏面に第1伝熱ガスを供給する第1伝熱ガス供給部と,フォーカスリング裏面に第2伝熱ガスを供給する第2伝熱ガス供給部とを独立して設けることによって,基板裏面に供給する第1伝熱ガスとは独立して,フォーカスリング裏面に第2伝熱ガスを供給することができる。これにより,温調されたサセプタとの熱伝導率を独立して変えることができ,フォーカスリングの温度を基板温度とは独立して制御できるので,基板の面内処理特性を改善したり自由に制御したりすることができる。
【0011】
また,上記伝熱ガス供給機構は,例えば前記第1伝熱ガス供給部に接続される第1ガス流路と,前記第2伝熱ガス供給部に接続される第2ガス流路とを独立して設け,前記第1ガス流路は前記基板載置面に設けられた複数のガス孔に連通し,前記第2ガス流路は前記フォーカスリング載置面に設けられた複数のガス孔に連通するように構成する。これにより,基板は基板載置面のガス孔からの第1伝熱ガスによって,フォーカスリングはフォーカスリング載置面のガス孔からの第2伝熱ガスによって,それぞれ別々にサセプタとの熱伝導率を制御することができる。
【0012】
この場合,上記フォーカスリング載置面よりも下方に,前記フォーカスリングの周方向に沿った環状空間からなる第1環状拡散部を設け,前記第1環状拡散部の上部に前記フォーカスリング載置面の複数のガス孔を連通させるとともに,前記第1環状拡散部の下部に前記第2ガス流路を連通させるようにしてもよい。これによれば,この第2ガス流路を介して第1環状拡散部に第2伝熱ガスを供給することによって,第2伝熱ガスを第1環状拡散部の周方向に沿って全体に拡散させながら各ガス孔から噴出させることができるので,フォーカスリング裏面全体に満遍なく流通させることができる。
【0013】
また,上記伝熱ガス供給機構は,前記第1伝熱ガス供給部に接続される第1ガス流路と,前記第2伝熱ガス供給部に接続される第2ガス流路とを独立して設け,前記第1ガス流路は前記基板載置面に設けられた複数のガス孔に連通し,前記第2ガス流路は前記フォーカスリング載置面の表面に前記フォーカスリングの周方向に沿って設けられた環状凹部からなる第2環状拡散部に連通するように構成してもよい。これによれば,第2伝熱ガスをフォーカスリングの裏面直下の第2環状拡散部全体に周方向に沿って拡散させることができるので,フォーカスリング裏面全体に満遍なく流通させることができる。
【0014】
この場合,上記第2環状拡散部には,前記フォーカスリングの裏面を支持する複数の突起部を形成するようにしてもよい。これによれば,複数の突起部をフォーカスリング裏面に直接接触させて伝熱させることができる。これによりフォーカスリング裏面に直接接触して伝熱する部分を増やすことができる。
【0015】
また,上記第2環状拡散部の下部には,その周方向に沿って溝部を形成し,前記第2ガス流路は前記溝部に連通させるようにしてもよい。これによれば,第2環状拡散部の突起部の数が多くて拡散し難い場合でも,第2ガス流路からの第2伝熱ガスは溝部を介して周方向に拡散するので,第2環状拡散部全体に行き渡り易くなる。
【0016】
また,上記伝熱ガス供給機構は,前記第1伝熱ガス供給部に接続される第1ガス流路と,前記第2伝熱ガス供給部に接続される第2ガス流路とを独立して設け,前記第1ガス流路は前記基板載置面に設けられた複数のガス孔に連通し,前記第2ガス流路は前記フォーカスリング載置面に第2伝熱ガスが流通する程度に表面粗さを粗くした部位を前記フォーカスリングの周方向に沿って形成し,その部位に連通するように構成してもよい。これによれば,第2ガス流路からの第2伝熱ガスをフォーカスリング載置面の粗い表面を通ってフォーカスリングの周方向にわたって拡散させることができる。
【0017】
この場合,上記フォーカスリング載置面の内周側と外周側の両方に,前記第2伝熱ガスをシールするシール部を設けるようにしてもよい。これによれば,第2伝熱ガスがフォーカスリング載置面から漏れ難くすることができるので,これによりフォーカスリングの第2伝熱ガスそのものによる伝熱効果を高めることで基板のエッジ部の処理特性を制御することができる。
【0018】
また,上記フォーカスリング載置面の内周側と外周側の一方又は両方のシール部をなくすようにしてもよい。これによれば,第2伝熱ガスそのものによる伝熱効果だけでなく,さらに基板のエッジ部近傍で第2伝熱ガスをリークさせることができるので,そのエッジ部近傍のガス成分の比率を変えることによっても,基板のエッジ部の処理特性を制御できる。
【0019】
また,上記フォーカスリング載置面の表面と前記基板載置面の表面には溶射皮膜を形成し,前記基板載置面の溶射被膜の気孔率に対して前記フォーカスリング載置面の溶射皮膜の気孔率を変えることによって,前記基板の面内処理特性を制御するようにしてもよい。この場合,前記フォーカスリング載置面の溶射皮膜の気孔率は,サセプタの制御温度範囲に応じて決定することが好ましい。
【0020】
また,上記基板載置面の複数のガス孔は,センタ部領域とその周りのエッジ部領域とに分けて設け,前記第1ガス流路は前記基板載置面のセンタ部領域の複数のガス孔に連通し,前記第2ガス流路は2つの流路に分岐して,一方の流路は前記フォーカスリング載置面に設けられた複数のガス孔に連通し,他方の流路は前記基板載置面のエッジ部領域の複数のガス孔に連通するようにしてもよい。これによれば,フォーカスリングのみならず,基板のエッジ部領域についても第2伝熱ガスによって,センタ部領域とは別々に温度制御できるので,基板のエッジ部領域の処理特性を直接制御できる。
【0021】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,処理室内に基板を配置し,その基板の周囲を囲むようにフォーカスリングを配置して,前記基板に対するプラズマ処理を施す基板処理装置の基板処理方法であって,前記基板処理装置は,前記基板を載置する基板載置面と前記フォーカスリングを載置するフォーカスリング載置面を有するサセプタを備えた載置台と,前記サセプタの温度を調整するサセプタ温調機構と,前記基板の裏面を前記基板載置面に静電吸着するとともに,前記フォーカスリングの裏面を前記フォーカスリング載置面に静電吸着する基板保持部と,前記基板の裏面に第1伝熱ガスを所望の圧力で供給する第1伝熱ガス供給部と,前記フォーカスリングの裏面に第2伝熱ガスを所望の圧力で供給する第2伝熱ガス供給部とを独立して設けた伝熱ガス供給機構とを備え,前記第1伝熱ガスの供給圧力に対して前記第2伝熱ガスの供給圧力を変えることによって,前記基板の面内処理特性を制御することを特徴とする基板処理方法が提供される。
【0022】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,処理室内に基板を配置し,その基板の周囲を囲むようにフォーカスリングを配置して,前記基板に対するプラズマ処理を施す基板処理装置の基板処理方法であって,前記基板処理装置は,前記基板を載置する基板載置面と前記フォーカスリングを載置するフォーカスリング載置面を有するサセプタを備えた載置台と,前記サセプタの温度を調整するサセプタ温調機構と,前記基板の裏面を前記基板載置面に静電吸着するとともに,前記フォーカスリングの裏面を前記フォーカスリング載置面に静電吸着する基板保持部と,前記基板の裏面に第1伝熱ガスを所望の圧力で供給する第1伝熱ガス供給部と,前記フォーカスリングの裏面に第2伝熱ガスを所望の圧力で供給する第2伝熱ガス供給部とを独立して設けた伝熱ガス供給機構とを備え,前記第1伝熱ガスと前記第2伝熱ガスのガス種を変えることにより,前記基板の面内処理特性を制御することを特徴とする基板処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば,基板とフォーカスリングの両方を静電吸着させるとともに,基板裏面のみならず,フォーカスリング裏面にも独立して伝熱ガスを供給することで,温調されたサセプタとの熱伝導率を独立して変えることができ,フォーカスリングの温度を基板温度とは独立して制御できる。これによって,基板の面内処理特性を改善したり自由に制御したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態にかかる基板処理装置の構成例を示す断面図である。
【図2】同実施形態における伝熱ガス供給機構の構成例を示す断面図である。
【図3A】図2に示すフォーカスリングの近傍の構成を拡大した部分断面図である。
【図3B】図3Aに示す部分の斜視図である。
【図4】同実施形態における伝熱ガス圧力とウエハ面内のエッチングレートとの関係をグラフにした実験結果を示す図である。
【図5】同実施形態におけるプロセスシーケンスの具体例を示す図である。
【図6】同実施形態におけるプロセスシーケンスの他の具体例を示す図である。
【図7A】フォーカスリング載置面における第2伝熱ガスの流通構造の変形例を示す部分断面図である。
【図7B】図7Aに示すフォーカスリングを除いた部分を示す斜視図である。
【図8A】フォーカスリング載置面における第2伝熱ガスの流通構造の他の変形例を示す部分断面図である。
【図8B】図8Aに示す変形例において溝部を設けた場合を示す部分断面図である。
【図9A】フォーカスリング載置面における第2伝熱ガスの流通構造のさらに他の変形例を示す部分断面図であり,フォーカスリングの内周側と外周側の両方にシール部を設けた場合である。
【図9B】図9Aに示す変形例において,フォーカスリングの内周側のみにシール部を設けた場合の部分断面図である。
【図9C】図9Aに示す変形例において,フォーカスリングの外周側のみにシール部を設けた場合の部分断面図である。
【図9D】図9Aに示す変形例において,フォーカスリングの内周側と外周側の両方にシール部を設けない場合の部分断面図である。
【図10A】静電チャックの表面を構成する溶射被膜において,フォーカスリング載置面の気孔率を基板載置面の気孔率よりも大きくした場合を観念的に示した部分断面図である。
【図10B】静電チャックの表面を構成する溶射被膜において,フォーカスリング載置面の気孔率を基板載置面の気孔率よりも小さくした場合を観念的に示した部分断面図である。
【図10C】静電チャックの表面を構成する溶射被膜において,フォーカスリング載置面の溶射被膜を2層にした場合を観念的に示した部分断面図である。
【図11】同実施形態における伝熱ガス供給機構の他の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0026】
(基板処理装置)
先ず,本発明の実施形態にかかる基板処理装置の概略構成を図面を参照しながら説明する。ここでは,基板処理装置を平行平板型のプラズマ処理装置で構成した場合を例に挙げる。図1は,本実施形態にかかる基板処理装置100の概略構成を示す縦断面図である。
【0027】
基板処理装置100は,例えば表面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウムから成る円筒形状に成形された処理容器を有する処理室102を備える。処理室102は接地されている。処理室102内の底部にはウエハWを載置するための略円柱状の載置台110が設けられている。載置台110はセラミックなどで構成された板状の絶縁体112と,絶縁体112上に設けられた下部電極を構成するサセプタ114とを備える。
【0028】
載置台110はサセプタ114を所定の温度に調整可能なサセプタ温調部117を備える。サセプタ温調部117は,例えばサセプタ114の内部に周方向に沿って設けられた環状の温度調節媒体室118に温度調節媒体を循環するように構成されている。
【0029】
サセプタ114の上部には,ウエハWとそれを囲むように配置されるフォーカスリング124の両方を吸着可能な基板保持部としての静電チャック120が設けられている。静電チャック120の上側中央部に凸状の基板載置部が形成されており,この基板載置部の上面はウエハWを載置する基板載置面115を構成し,その周囲の低い部分の上面はフォーカスリング124を載置するフォーカスリング載置面116を構成する。
【0030】
静電チャック120は,絶縁材の間に電極122が介在された構成となっている。本実施形態における静電チャック120では,ウエハWとフォーカスリング124の両方を吸着できるように,電極122が基板載置面115の下側のみならず,フォーカスリング載置面116の下側まで延出して設けられている。
【0031】
静電チャック120は,電極122に接続された直流電源123から所定の直流電圧(例えば1.5kV)が印加される。これによって,ウエハW及びフォーカスリング124が静電チャック120に静電吸着される。なお,基板載置部は例えば図1に示すようにウエハWの径よりも小径に形成し,ウエハWを載置したときにウエハWのエッジ部が基板載置部から張り出すようにする。
【0032】
本実施形態における載置台110には,ウエハWの裏面とフォーカスリング124の裏面に別々に伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給機構200が設けられている。このような伝熱ガスとしては,プラズマ入熱を受けるウエハWやフォーカスリング124をサセプタ114の冷却温度を静電チャック120を介して効率よく伝熱して冷却できるHeガスの他,Arガス,Hガスも適用可能である。
【0033】
伝熱ガス供給機構200は,基板載置面115に載置されたウエハWの裏面に第1伝熱ガスを供給する第1伝熱ガス供給部210と,フォーカスリング載置面116に載置されたフォーカスリング124の裏面に第2伝熱ガスを供給する第2伝熱ガス供給部220とを備える。
【0034】
これらの伝熱ガスを介してサセプタ114とウエハWの間の熱伝導率と,サセプタ114とフォーカスリング124との間の熱伝導率をそれぞれ別々に制御できる。例えば第1伝熱ガスと第2伝熱ガスの圧力やガス種を変えることができる。これにより,プラズマからの入熱があっても,ウエハWの面内均一性を向上させることができるとともに,ウエハWの温度とフォーカスリング124の温度との間に積極的に温度差をつけて,ウエハWの面内処理特性を制御することもできる。これら第1伝熱ガス供給部210,第2伝熱ガス供給部220の具体的構成は後述する。
【0035】
サセプタ114の上方には,このサセプタ114に対向するように上部電極130が設けられている。この上部電極130とサセプタ114の間に形成される空間がプラズマ生成空間となる。上部電極130は,絶縁性遮蔽部材131を介して,処理室102の上部に支持されている。
【0036】
上部電極130は,主として電極板132とこれを着脱自在に支持する電極支持体134とによって構成される。電極板132は例えばシリコン製部材から成り,電極支持体134は例えば表面がアルマイト処理されたアルミニウムなどの導電性部材から成る。
【0037】
電極支持体134には処理ガス供給源142からの処理ガスを処理室102内に導入するための処理ガス供給部140が設けられている。処理ガス供給源142は電極支持体134のガス導入口143にガス供給管144を介して接続されている。
【0038】
ガス供給管144には,例えば図1に示すように上流側から順にマスフローコントローラ(MFC)146および開閉バルブ148が設けられている。なお,MFCの代わりにFCS(Flow Control System)を設けてもよい。処理ガス供給源142からはエッチングのための処理ガスとして,例えばCガスのようなフルオロカーボンガス(C)が供給される。
【0039】
処理ガス供給源142は,例えばプラズマエッチングのためのエッチングガスを供給するようになっている。なお,図1にはガス供給管144,開閉バルブ148,マスフローコントローラ146,処理ガス供給源142等から成る処理ガス供給系を1つのみ示しているが,基板処理装置100は,複数の処理ガス供給系を備えている。例えば,CF,O,N,CHF等のエッチングガスが,それぞれ独立に流量制御され,処理室102内に供給される。
【0040】
電極支持体134には,例えば略円筒状のガス拡散室135が設けられ,ガス供給管144から導入された処理ガスを均等に拡散させることができる。電極支持体134の底部と電極板132には,ガス拡散室135からの処理ガスを処理室102内に吐出させる多数のガス吐出孔136が形成されている。ガス拡散室135で拡散された処理ガスを多数のガス吐出孔136から均等にプラズマ生成空間に向けて吐出できるようになっている。この点で,上部電極130は処理ガスを供給するためのシャワーヘッドとして機能する。
【0041】
なお,図示はしないが,載置台110には,ウエハWをリフタピンで持ち上げて静電チャック120の基板載置面115から脱離させるリフタが設けられている。
【0042】
処理室102の底部には排気管104が接続されており,この排気管104には排気部105が接続されている。排気部105は,ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを備えており,処理室102内を所定の減圧雰囲気に調整する。また,処理室102の側壁にはウエハWの搬出入口106が設けられ,搬出入口106にはゲートバルブ108が設けられている。ウエハWの搬出入を行う際にはゲートバルブ108を開く。そして,図示しない搬送アームなどによって搬出入口106を介してウエハWの搬出入を行う。
【0043】
下部電極を構成するサセプタ114には,2周波重畳電力を供給する電力供給装置150が接続されている。電力供給装置150は,第1周波数の第1高周波電力(プラズマ生起用高周波電力)を供給する第1高周波電力供給機構152と,第1周波数よりも低い第2周波数の第2高周波電力(バイアス電圧発生用高周波電力)を供給する第2高周波電力供給機構162から構成されている。
【0044】
第1高周波電力供給機構152は,サセプタ114側から順次接続される第1フィルタ154,第1整合器156,第1電源158を有している。第1フィルタ154は,第2周波数の電力成分が第1整合器156側に侵入することを防止する。第1整合器156は,第1高周波電力成分をマッチングさせる。
【0045】
第2高周波電力供給機構162は,サセプタ114側から順次接続される第2フィルタ164,第2整合器166,第2電源168を有している。第2フィルタ164は,第1周波数の電力成分が第2整合器166側に侵入することを防止する。第2整合器166は,第2高周波電力成分をマッチングさせる。
【0046】
基板処理装置100には,制御部(全体制御装置)170が接続されており,この制御部170によって基板処理装置100の各部が制御されるようになっている。また,制御部170には,オペレータが基板処理装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや,基板処理装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ,あるいは入力操作端末機能と状態の表示機能の双方を有するタッチパネル等からなる操作部172が接続されている。
【0047】
さらに,制御部170には,基板処理装置100で実行される各種処理(ウエハWに対するプラズマ処理など)を制御部170の制御にて実現するためのプログラムやプログラムを実行するために必要な処理条件(レシピ)などが記憶された記憶部174が接続されている。
【0048】
記憶部174には,例えば複数の処理条件(レシピ)が記憶されている。各処理条件は,基板処理装置100の各部を制御する制御パラメータ,設定パラメータなどの複数のパラメータ値をまとめたものである。各処理条件は例えば処理ガスの流量比,処理室内圧力,高周波電力などのパラメータ値を有する。
【0049】
なお,これらのプログラムや処理条件はハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよく,またCD−ROM,DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で記憶部174の所定位置にセットするようになっていてもよい。
【0050】
制御部170は,操作部172からの指示等に基づいて所望のプログラム,処理条件を記憶部174から読み出して各部を制御することで,基板処理装置100での所望の処理を実行する。また,操作部172からの操作により処理条件を編集できるようになっている。
【0051】
このような構成の基板処理装置100において,サセプタ114上のウエハWにプラズマ処理を施す際には,サセプタ114に,第1電源158から10MHz以上の第1高周波(例えば100MHz)を所定のパワーで供給するとともに,第2電源168から2MHz以上10MHz未満の第2高周波(例えば3MHz)を所定のパワーで供給する。これにより,第1高周波の働きでサセプタ114と上部電極130との間に処理ガスのプラズマが発生するとともに,第2高周波の働きでサセプタ114にセルフバイアス電圧(−Vdc)が発生し,ウエハWに対してプラズマ処理を実行することができる。このように,サセプタ114に第1高周波および第2高周波を供給してこれらを重畳させることにより,プラズマを適切に制御してウエハWに対する良好なプラズマ処理を行うことができる。
【0052】
ところで,ウエハW上にプラズマが発生すると,ウエハWのみならず,その周囲に配置されるフォーカスリング124もそのプラズマに晒されるため,プラズマからの入熱を受ける。このとき,サセプタ114は所定の温度に制御されているものの,サセプタ114とフォーカスリング124との熱伝導率によっては,フォーカスリング124の温度が変動する虞がある。特にフォーカスリング124の温度が変動すると,ウエハWの面内処理特性に影響を与えてしまう。
【0053】
そこで,本実施形態では,ウエハWの裏面のみならず,フォーカスリング124の裏面にも,伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給機構200を設けることで,ウエハWの温度のみならず,フォーカスリング124の温度の変動も防止するようにしている。しかも,伝熱ガス供給機構200を,ウエハWの裏面に第1伝熱ガスを供給する第1伝熱ガス供給部210と,フォーカスリング124の裏面に第2伝熱ガスを供給する第2伝熱ガス供給部220とにより別系統で構成することによって,サセプタ114とフォーカスリング124との熱伝導率を,サセプタ114とウエハWとの熱伝導率とは独立して制御することができる。こうして,フォーカスリング124の温度を制御することによって,ウエハWの面内処理特性を改善したり自由に制御したりすることができる。
【0054】
(伝熱ガス供給機構)
このような本実施形態における伝熱ガス供給機構200の構成例を図面を参照しながらより詳細に説明する。図2は,伝熱ガス供給機構200の構成例を説明するための断面図であり,図1に示すものと同一の機能構成を有する構成要素については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
図2に示すように,伝熱ガス供給機構200は,独立した別系統で設けられた第1伝熱ガス供給部210と第2伝熱ガス供給部220を備える。第1伝熱ガス供給部210は,静電チャック120の基板載置面115とウエハ裏面との間に,第1ガス流路212を介して第1伝熱ガスを所定の圧力で供給するようになっている。具体的には上記第1ガス流路212は,絶縁体112,サセプタ114を貫通し,基板載置面115に設けられた多数のガス孔218に連通している。ここでのガス孔218は,基板載置面115のセンタ部(中央部)からエッジ部(周縁部)にわたってほぼ全面に形成されている。
【0056】
第1ガス流路212には,第1伝熱ガスを供給する第1伝熱ガス供給源214が圧力制御バルブ(PCV:Pressure Control Valve)216を介して接続されている。圧力制御バルブ(PCV)216は,第1伝熱ガスの圧力が所定の圧力になるように流量を調整するものである。なお,第1伝熱ガス供給源214から第1伝熱ガスを供給する第1ガス流路212の数は,1本でも複数本でもよい。
【0057】
第2伝熱ガス供給部220は,静電チャック120の基板載置面115とフォーカスリング124の裏面との間に,第2ガス流路222を介して第2伝熱ガスを所定の圧力で供給するようになっている。具体的には上記第2ガス流路222は,絶縁体112,サセプタ114を貫通し,フォーカスリング載置面116に設けられた多数のガス孔228に連通している。ここでのガス孔218は,フォーカスリング載置面116のほぼ全面に形成されている。
【0058】
第2ガス流路222には,第2伝熱ガスを供給する第2伝熱ガス供給源224が圧力制御バルブ226を介して接続されている。圧力制御バルブ(PCV)226は,第2伝熱ガスの圧力が所定の圧力になるように流量を調整するものである。なお,第2伝熱ガス供給源224から第2伝熱ガスを供給する第2ガス流路222の数は,1本でも複数本でもよい。
【0059】
フォーカスリング載置面116に設けられるガス孔228は例えば図3A,図3Bに示すように構成される。図3Aはガス孔228の構成例を説明するための断面図であり,図2のフォーカスリング124の近傍を部分的に拡大したものである。図3Bは図3Aに示すフォーカスリング124を除いた部分を示す斜視図である。なお,図3A,図3Bにおいては,静電チャック120の電極122の図示を省略している。
【0060】
図3A,図3Bに示す構成例は,静電チャック120の内部にフォーカスリング124の周方向に沿った環状の空間からなる第1環状拡散部229を設けた場合である。そして,この第1環状拡散部229の上部に各ガス孔228の下端を連通させるとともに,第1環状拡散部229の下部に第2ガス流路222を連通させる。これによれば,この第2ガス流路222を介して第1環状拡散部229に第2伝熱ガスを供給することによって,第2伝熱ガスを第1環状拡散部229の周方向に沿って全体に拡散させながら各ガス孔228から噴出させることができるので,フォーカスリング裏面全体に満遍なく流通させることができる。
【0061】
このように,ウエハWの裏面に第1伝熱ガスを供給する第1伝熱ガス供給部210と,フォーカスリング124の裏面に第2伝熱ガスを供給する第2伝熱ガス供給部220とにより別系統で構成することによって,ウエハ裏面とフォーカスリング裏面に供給する伝熱ガスの圧力を変えたり,ガス種を変えたりすることができる。これによって,サセプタ114とフォーカスリング124との熱伝導率を,サセプタ114とウエハWとの熱伝導率とは独立して制御することができる。これにより,フォーカスリング124の温度を制御することができるので,ウエハWの面内処理特性(例えばウエハWのエッジ部の処理レートなど)を制御することができる。
【0062】
ここで,第2伝熱ガスの圧力とウエハWの面内処理特性との関係を示す実験結果について図面を参照しながら説明する。図4はこの実験結果をグラフに示した図である。この実験では,第1伝熱ガスと第2伝熱ガスはともにHeガスを用いて,第1伝熱ガスを一定の圧力(ここでは40Torr)に保持したまま,第2伝熱ガスを10Torr,30Torr,50Torrと変化させて,直径300mmのウエハ上のフォトレジスト(PR)膜に対して同じエッチング処理を実行した。図4は,ウエハWの中心をゼロとして−150mm〜150mmまでの複数ポイントのエッチングレートを測定してプロットしたものである。なお,その他の主な処理条件は以下の通りである。
【0063】
[処理条件]
処理ガス:Cガス,Arガス,Oガス
処理室内圧力:25mTorr
第1高周波(60MHz):3300W
第2高周波(2MHz):3800W
サセプタ温度(下部電極温度):20℃
【0064】
図4に示す実験結果によれば,フォーカスリング124の裏面に第2伝熱ガスを10Torrで供給した場合に比して,30Torrで供給した場合の方がウエハWのエッジ部のエッチングレートが高くなり,ウエハWのセンタ部のエッチングレートはほとんど変わっていないことがわかる。これは第2伝熱ガスの圧力を高くするほど,フォーカスリング124の第2伝熱ガスによる熱伝導率が高くなり,ウエハWの温度よりもフォーカスリングの温度を低くすることができるからであると推察できる。さらに,第2伝熱ガスの圧力を高くするほど,ウエハWの外周近傍にリークし易くなるので,それによってもエッジ部のエッチングレートに影響を与えたものと推察できる。
【0065】
さらに第2伝熱ガスの圧力を高くして,50Torrで供給した場合は,ウエハWのエッジ部のみならず,センタ部のエッチングレートも高くなっていることがわかる。これは第2伝熱ガスの圧力をさらに高くすると,フォーカスリング124の第2伝熱ガスによる熱伝導率がより高くなるとともに,第2伝熱ガスのリーク量はさらに増えるので,エッジ部のみならず,センタ部のエッチングレートまで影響を与えたものと推察できる。
【0066】
これによれば,少なくとも10Torr〜30Torrの範囲では,第2伝熱ガスの圧力を高くするほど,ウエハWのエッジ部のエッチングレートのみを高くすることができる。また,少なくとも50Torrを超える範囲では,第2伝熱ガスの圧力を高くするほど,ウエハWのセンタ部とエッジ部の両方のエッチングレートを高くすることができる。
【0067】
次に,このような伝熱ガスの圧力による面内処理特性の制御を具体的なウエハWの処理に適用した場合について図面を参照しながら説明する。図5はウエハWの処理を複数のステップで実行する際のプロセスシーケンスの具体例を示す図である。ここでは,ステップに応じてウエハ裏面とフォーカスリング裏面に供給する伝熱ガスの圧力を変える場合を例に挙げる。
【0068】
例えば図5に示すように,静電チャック120に直流電源123から所定の電圧を印加して,基板載置面115に載置されたウエハWを静電吸着させた後,第1ステップでは例えば所定の圧力で第1伝熱ガスを供給するとともに,それと同じ圧力で第2伝熱ガスを供給し,処理ガスのプラズマを生成してウエハWのプロセス処理を行う。
【0069】
第1ステップが終了すると,第1伝熱ガスと第2伝熱ガスの供給を停止し,第2ステップに移る。第2ステップでは例えば第1ステップと同じ圧力で第1伝熱ガスを供給するとともに,それよりも低い圧力で第2伝熱ガスを供給し,処理ガスのプラズマを生成してウエハWのエッチングなどのプロセス処理を行う。このように,各ステップごとに第1伝熱ガスと第2伝熱ガスの圧力を独立して調整することで,ウエハWの最適な面内処理特性を得ることができ,またウエハWの面内処理特性を自由に制御することもできる。
【0070】
なお,図5では,第1伝熱ガスと第2伝熱ガスを各ステップごとに供給する場合について説明したが,これに限られるものではない。例えば第2伝熱ガスについては各ステップで連続して供給するようにしてもよい。図6は,プロセスシーケンスの他の具体例を示す図であり,第1伝熱ガスは各ステップごとに供給するのに対して,第2伝熱ガスについては各ステップで連続して供給する場合である。
【0071】
この場合,ウエハWの位置ずれや割れなどが発生しないように,少なくとも静電チャック120に直流電源123から所定の電圧を印加している間に第2伝熱ガスを供給することが好ましい。図6では,静電チャック120に直流電源123から所定の電圧を印加するタイミングで第2伝熱ガスを供給するとともに,静電チャック120に直流電源123から所定の電圧の印加を停止するタイミングで第2伝熱ガスを供給する。
【0072】
このように,フォーカスリング124を複数のステップにわたって連続して冷却することで冷却効率が高まり,ウエハWのエッジ部のエッチングレートをより高くすることができる。
【0073】
ここまでは,第1伝熱ガスと第2伝熱ガスの圧力を変えることによって面内処理特性を制御する場合について説明したが,第1伝熱ガスと第2伝熱ガスのガス種を変えることによっても,ウエハWの面内処理特性を制御できる。
【0074】
例えば第1伝熱ガスはHeガスを用いるとともに,第2伝熱ガスとしてArガス,Nガスなどの他の不活性ガスを用いることで,フォーカスリング124の冷却効率を上昇させるとともに,プラズマ密度を制御できる。この場合,第2伝熱ガスの圧力を高くすることでリーク量を増やすことができるので,ウエハWのエッジ部のプラズマ密度を制御できる。これによって,ウエハWのセンタ部に対してエッジ部の処理レートを上昇させることができる。
【0075】
また,第1伝熱ガスはHeガスを用いるとともに,第2伝熱ガスとしてOガスを用いることで,上記不活性ガスと同様に圧力を高くしてエッジ部の処理レート(例えばエッチングレート)を上昇させることができる。Oガスはプラズマ処理(例えばエッチング処理)によって生成される反応生成物(デポ)を除去できるので処理レート(例えばエッチングレート)を上昇させることができる。
【0076】
また,第1伝熱ガスはHeガスを用いるとともに,第2伝熱ガスとしてCF系(C,C,C,Cなど)のガス,CHF系(CHF,CHなど)のガスを用いることで,上記不活性ガスと同様に圧力を高くしてウエハWのエッジ部の処理レート(例えばエッチングレート)を上昇させることができる。CF系ガスやCHF系ガスはプラズマ処理(例えばエッチング処理)によって生成される反応生成物(デポ)を堆積させることができるので,ウエハWのエッジ部の処理レート(例えばエッチングレート)を下降させることができる。
【0077】
このように,本実施形態における伝熱ガス供給機構200は,ウエハ裏面とフォーカスリング裏面にそれぞれ第1伝熱ガス,第2伝熱ガスを別系統で供給することができるので,第1伝熱ガスと第2伝熱ガスの圧力やガス種を変えることもできる。これにより,これらの伝熱ガスを介してサセプタ114とウエハWの間の熱伝導率と,サセプタ114とフォーカスリング124との間の熱伝導率をそれぞれ別々に制御できるので,プラズマからの入熱があっても,フォーカスリング124の温度の変動を防ぐことができるのでウエハWの面内均一性を向上させることができる。これに加えて,ウエハWの温度とフォーカスリング124の温度との間に積極的に温度差をつけて,ウエハWの面内処理特性を自由に制御することもできる。
【0078】
なお,上記実施形態では,フォーカスリング載置面116における第2伝熱ガスの流通構造として,図2,図3,図4に示すように複数のガス孔228を設けた場合を例に挙げたが,フォーカスリング124の裏面全体にわたって満遍なく第2伝熱ガスを供給することができるものであればよく,図2,図3,図4に示すものに限られるものではない。
【0079】
(第2伝熱ガスの流通構造の変形例)
ここで,このようなフォーカスリング載置面116における第2伝熱ガスの流通構造の変形例を図面を参照しながら説明する。図7Aは第2伝熱ガスの流通構造の変形例を説明するための断面図であり,この変形例におけるフォーカスリング124の近傍を部分的に拡大したものである。図7Bは図7Aに示すフォーカスリング124を除いた部分を示す斜視図である。なお,図7A,図7Bにおいては,静電チャック120の電極122を省略している。
【0080】
図7A,図7Bに示す構成例では,フォーカスリング載置面116の表面にフォーカスリング124の周方向に沿って環状の凹部からなる第2環状拡散部232を設けたものである。この第2環状拡散部232に第2ガス流路222を連通させて,この第2ガス流路222を介して第2環状拡散部232に第2伝熱ガスを供給する。これにより,第2伝熱ガスをフォーカスリング124の裏面直下の第2環状拡散部232全体に周方向に沿って拡散させることができるので,フォーカスリング裏面全体に満遍なく流通させることができる。
【0081】
また,図8Aに示すように第2環状拡散部232には複数の突起部233を設けてフォーカスリング124を支持するようにしてもよい。これによれば,複数の突起部233をフォーカスリング124の裏面に直接接触させて伝熱させることができる。これによりフォーカスリング124の裏面に直接接触して伝熱する部分を増やすことができる。
【0082】
この場合にはさらに,図8Bに示すように第2環状拡散部232の下部に周方向に沿った溝部238を設けて,この溝部238に第2ガス流路222を連通させるようにしてもよい。これによれば,第2環状拡散部232の突起部233の数が多くて拡散し難くい場合でも,第2ガス流路222からの第2伝熱ガスは溝部238を介して周方向に拡散するので,第2環状拡散部232全体に行き渡り易くなる。この場合,溝部238の溝幅をガス流路222の孔径よりも大きくすることで,ガス流路222から溝部238に入り込む第2伝熱ガスをより効率よく拡散させることができる。
【0083】
上記の他,フォーカスリング載置面116の表面粗さを粗くすることによっても,第2ガス流路222からの第2伝熱ガスをフォーカスリング載置面116の粗い表面の隙間(凸凹表面の隙間)を通ってフォーカスリング124の周方向にわたって拡散させることができる。具体的には例えば図9Aに示すように,フォーカスリング載置面116に第2伝熱ガスが流通する程度に表面粗さを粗くした部位をフォーカスリング124の周方向に沿って形成する。そして,この表面粗さを粗くした部位に第2ガス流路222を連通させる。
【0084】
この場合,図9Aに示すようにフォーカスリング載置面116の内周側と外周側の両方に,第2伝熱ガスをシールするシール部240を設けるようにしてもよい。これによれば,このようなシール部240がない場合に比して,第2伝熱ガスがフォーカスリング載置面116の内周側と外周側から漏れ難くすることができる。これによって,フォーカスリング124の第2伝熱ガスそのものによる伝熱効果を高めることでウエハWのエッジ部の処理特性を制御することができる。
【0085】
なお,上記シール部240は,フォーカスリング載置面116の内周側と外周側の両方又は一方に設けないようにすることで,内周側と外周側の両方又は一方から第2伝熱ガスを積極的にリークさせるようにしてもよい。これによれば,第2伝熱ガスそのものによる伝熱効果だけでなく,さらにウエハWのエッジ部近傍で第2伝熱ガスをリークさせることができるので,そのエッジ部近傍のガス成分の比率を変えることによっても,ウエハWのエッジ部の処理特性を制御できる。
【0086】
図9Bはフォーカスリング載置面116の内周側のみにシール部240を設けることで,第2伝熱ガスを外周側からリークし易くしたものである。逆に図9Cはフォーカスリング載置面116の外周側のみにシール部240を設けることで,第2伝熱ガスを内周側からリークし易くしたものである。図9Dはフォーカスリング載置面116の内周側と外周側の両方にシール部240を設けないことで,第2伝熱ガスを内周側と外周側の両方からリークし易くしたものである。
【0087】
また,図9A〜図9Dに示すフォーカスリング載置面116に,図8Bに示すものと同様の溝部238を設け,この溝部238に第2ガス流路222を連通させるようにしてもよい。これによれば,フォーカスリング載置面116の表面粗さの程度に拘わらず,第2ガス流路222からの第2伝熱ガスは溝部238を介して周方向に拡散するので,フォーカスリング載置面116の全体に行き渡り易くなる。この場合も,図8Bに示す場合と同様に溝部238の溝幅をガス流路222の孔径よりも大きくすることで,ガス流路222から溝部238に入り込む第2伝熱ガスをより効率よく拡散させることができる。
【0088】
なお,図9A〜図9Cに示すシール部240は,図8Aに示すような突起部233を設けたフォーカスリング載置面116の表面構造に適用してもよい。また,図8Aに示すフォーカスリング載置面116の表面構造において,内周側及び外周側の両方にシール部240を設けないようにしてもよい。
【0089】
(静電チャックの表面加工)
次に,静電チャック120の表面加工について説明する。静電チャック120の表面は,溶射によってAlやYなどの溶射皮膜が形成されている(例えば後述する図10Aに示す溶射皮膜115A,116A参照)。この場合,基板載置面115の溶射皮膜115Aの気孔率に対してフォーカスリング載置面116の溶射皮膜116Aの気孔率を変えることで,フォーカスリング載置面116からフォーカスリング124への熱伝導率を変えることができるので,これによってもフォーカスリング124の温度を制御できる。
【0090】
ここで,プラズマからの熱量をQ,フォーカスリング載置面116の面積をS,溶射被膜の厚みをL,溶射被膜116Aの上面(フォーカスリング載置面116の表面)と下面の温度差をdTとすると,熱伝導率kは下記(1)式によって表されるので,下記(1)式から溶射被膜の上面と下面の温度差dTは下記(2)式によって表すことができる。
【0091】
k[W/cmK]=(Q・S)/(dT・L) ・・・(1)
【0092】
dT=(Q・S)/(k・L) ・・・(2)
【0093】
上記(2)式によれば,溶射被膜116Aの気孔率を大きくして熱伝導率kを小さくするほど,フォーカスリング載置面116の表面(溶射被膜116Aの上面)の温度は大きくなるので,比較的高い温度範囲でフォーカスリング124の温度を制御できる。これに対して,溶射被膜116Aの気孔率を小さくして熱伝導率kを大きくするほど,フォーカスリング載置面116の表面(溶射被膜116Aの上面)の温度は小さくなるので,比較的低い温度範囲でフォーカスリング124を制御できる。
【0094】
ここで,フォーカスリング載置面116の溶射被膜116Aの気孔率を変えた場合の具体例について図面を参照しながら説明する。図10Aはフォーカスリング載置面116の溶射皮膜116Aの気孔率を基板載置面115の溶射皮膜115Aの気孔率よりも大きくした場合の部分断面図であり,図10Bはフォーカスリング載置面116の溶射皮膜116Aの気孔率を基板載置面115の溶射皮膜115Aの気孔率よりも小さくした場合の部分断面図である。図10A,図10Bは溶射皮膜115A,116Aの気孔率の違いを観念的に表したものである。なお,図10A,図10Bにおいては伝熱ガス供給機構200,静電チャック120の電極122の構成の図示を省略している。
【0095】
図10Aに示すように,フォーカスリング載置面116の溶射皮膜116Aの気孔率を基板載置面115の溶射皮膜115Aの気孔率よりも大きくすれば,フォーカスリング載置面116の熱伝導率の方が低くなる。例えば基板載置面115の溶射被膜の気孔率を5%としたときに,フォーカスリング載置面116の溶射皮膜116Aの気孔率を8%とする。これにより,フォーカスリング124はプラズマ入熱による温度上昇に対する第2伝熱ガスによる冷却効果がウエハWよりも低くなり,比較的高い温度範囲(例えば100℃以上)でフォーカスリング124の温度を制御することができる。
【0096】
これに対して,図10Bに示すようにフォーカスリング載置面116の溶射皮膜116Aの気孔率を基板載置面115よりも小さくすれば,フォーカスリング載置面116の熱伝導率の方が高くなる。例えば基板載置面115の溶射被膜115Aの気孔率を上記と同じ5%としたときに,フォーカスリング載置面116の溶射皮膜116Aの気孔率を2%とする。これにより,フォーカスリング124はプラズマ入熱による温度上昇に対する第2伝熱ガスによる冷却効果がウエハWよりも高くなり,比較的低い温度範囲(例えば0℃〜20℃)でフォーカスリング124の温度を制御することができる。
【0097】
また,フォーカスリング載置面116からフォーカスリング124への伝熱は,溶射皮膜116Aに接触する部分からの伝熱の他,伝熱ガス(例えばHeガス)に接触する部分からの伝熱もある。上記溶射皮膜116Aの気孔率が大きいほど,伝熱ガスに接触する部分からの伝熱による寄与の方が相対的に高くなる。これに対して,上記溶射皮膜116Aの気孔率が小さいほど,その溶射皮膜116Aに接触する部分からの伝熱による寄与の方が相対的に高くなる。従って,必要に応じて溶射皮膜116Aの気孔率を変えることで,上記のような溶射皮膜116Aからの伝熱と伝熱ガスからの伝熱の寄与率を変えることができる。これによってもフォーカスリング124の温度制御効率(例えば冷却効率)を高めることができる。
【0098】
なお,図10A,図10Bでは,フォーカスリング載置面116の溶射皮膜116Aを1層とした場合について説明したが,これに限られるものではなく,フォーカスリング載置面116の溶射皮膜116Aを複数層として各層の気孔率を変えるようにしてもよい。例えば図10Cにはフォーカスリング載置面116の溶射皮膜116Aを2層にした場合の部分断面図を示す。図10Cは各層の気孔率の違いを観念的に表したものである。
【0099】
具体的には図10Cは,フォーカスリング載置面116の溶射皮膜116Aを上層溶射皮膜116aと下層溶射皮膜116bの2層で構成した場合を示す。これら各層の溶射皮膜116a,116bの気孔率を変えることによって,溶射皮膜116A全体の気孔率を変えるようにしてもよい。この場合,各層の溶射皮膜116a,116bは同種材料で構成してもよく,異種材料で構成してもよい。
【0100】
異種材料で構成する場合としては,例えば下層溶射皮膜116bをPSZ(部分安定化ジルコニア)溶射皮膜により形成し,その上にAl又はYの溶射皮膜を形成してこれを上層溶射皮膜116aとしてもよい。これによっても,溶射皮膜116A全体の気孔率を変えることができる。例えば下層溶射皮膜116bであるPSZ層の気孔率を大きくすれば,そのままAl又はYの上層溶射皮膜116aを形成するだけで,溶射皮膜116A全体の気孔率を大きくすることができる。これによれば,Al又はYの上層溶射皮膜116aの気孔率を変えるための処理を省略でき,また溶射皮膜116A全体の気孔率を比較的容易に大きくすることができる。
【0101】
(伝熱ガス供給機構の他の構成例)
次に,伝熱ガス供給機構200の他の構成例について図面を参照しながら説明する。図11は,本実施形態における伝熱ガス供給機構200の他の構成例を示す断面図である。上述した図2に示す伝熱ガス供給機構200の構成例では,第2伝熱ガスをフォーカスリング124の裏面のみに供給するように構成した場合について説明したが,ここでは第2伝熱ガスをフォーカスリング124の裏面のみならず,ウエハWのエッジ部の裏面にも供給した場合を例に挙げる。
【0102】
具体的には例えば図11に示すように,第2ガス流路222を分岐させて,その分岐流路223をウエハWのエッジ部の裏面に向けて設けるようにしてもよい。この場合,基板載置面115のガス孔218はセンタ部領域のガス孔218aとその周りのエッジ部領域のガス孔218bとに分けて設け,センタ部領域のガス孔218aには第1ガス流路212を連通させるとともに,エッジ部領域のガス孔218bには第2ガス流路222からの分岐流路223を連通させる。これにより,センタ部領域のガス孔218aには第1伝熱ガスが供給されるとともに,エッジ部領域のガス孔218bには第2伝熱ガスが供給される。
【0103】
図11に示す構成によれば,フォーカスリング124のみならず,ウエハWのエッジ部領域についても第2伝熱ガスによって,センタ部領域とは別々に温度制御できるので,ウエハWのエッジ部領域の処理特性を直接制御できる。
【0104】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0105】
例えば上記実施形態では基板処理装置として,下部電極のみに2種類の高周波電力を重畳して印加してプラズマを生起させるタイプの基板処理装置を例に挙げて説明したが,これに限定されるものではなく,別のタイプ例えば下部電極のみに1種類の高周波電力を印加するタイプや2種類の高周波電力を上部電極と下部電極にそれぞれ印加するタイプの基板処理装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は,半導体ウエハなどの基板にプラズマ処理を施す基板処理装置及び基板処理方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0107】
100 基板処理装置
102 処理室
104 排気管
105 排気部
106 搬出入口
108 ゲートバルブ
110 載置台
112 絶縁体
114 サセプタ
115 基板載置面
115A 溶射皮膜
116 フォーカスリング載置面
116A 溶射皮膜
116a 上層溶射皮膜
116b 下層溶射皮膜
117 サセプタ温調部
118 温度調節媒体室
120 静電チャック
122 電極
123 直流電源
124 フォーカスリング
130 上部電極
131 絶縁性遮蔽部材
132 電極板
134 電極支持体
135 ガス拡散室
136 ガス吐出孔
140 処理ガス供給部
142 処理ガス供給源
143 ガス導入口
144 ガス供給管
146 マスフローコントローラ(MFC)
148 開閉バルブ
150 電力供給装置
152 第1高周波電力供給機構
154 第1フィルタ
156 第1整合器
158 第1電源
162 第2高周波電力供給機構
164 第2フィルタ
166 第2整合器
168 第2電源
170 制御部
172 操作部
174 記憶部
200 伝熱ガス供給機構
210 第1伝熱ガス供給部
212 第1ガス流路
214 第1伝熱ガス供給源
216 圧力制御バルブ(PCV)
218,218a,218b ガス孔
220 第2伝熱ガス供給部
222 第2ガス流路
223 分岐流路
224 第2伝熱ガス供給源
226 圧力制御バルブ(PCV)
228 ガス孔
229 第1環状拡散部
232 第2環状拡散部
233 突起部
238 溝部
240 シール部
W ウエハ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内に基板を配置し,その基板の周囲を囲むようにフォーカスリングを配置して,前記基板に対するプラズマ処理を施す基板処理装置であって,
前記基板を載置する基板載置面と前記フォーカスリングを載置するフォーカスリング載置面を有するサセプタを備えた載置台と,
前記サセプタの温度を調整するサセプタ温調機構と,
前記基板の裏面を前記基板載置面に静電吸着するとともに,前記フォーカスリングの裏面を前記フォーカスリング載置面に静電吸着する基板保持部と,
前記基板の裏面に第1伝熱ガスを供給する第1伝熱ガス供給部と,前記フォーカスリングの裏面に第2伝熱ガスを供給する第2伝熱ガス供給部とを独立して設けた伝熱ガス供給機構と,
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記伝熱ガス供給機構は,前記第1伝熱ガス供給部に接続される第1ガス流路と,前記第2伝熱ガス供給部に接続される第2ガス流路とを独立して設け,前記第1ガス流路は前記基板載置面に設けられた複数のガス孔に連通し,前記第2ガス流路は前記フォーカスリング載置面に設けられた複数のガス孔に連通するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記フォーカスリング載置面よりも下方に,前記フォーカスリングの周方向に沿った環状空間からなる第1環状拡散部を設け,
前記第1環状拡散部の上部に前記フォーカスリング載置面の複数のガス孔を連通させるとともに,前記第1環状拡散部の下部に前記第2ガス流路を連通させたことを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記伝熱ガス供給機構は,前記第1伝熱ガス供給部に接続される第1ガス流路と,前記第2伝熱ガス供給部に接続される第2ガス流路とを独立して設け,前記第1ガス流路は前記基板載置面に設けられた複数のガス孔に連通し,前記第2ガス流路は前記フォーカスリング載置面の表面に前記フォーカスリングの周方向に沿って設けられた環状凹部からなる第2環状拡散部に連通するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第2環状拡散部には,前記フォーカスリングの裏面を支持する複数の突起部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第2環状拡散部の下部には,その周方向に沿って溝部を形成し,
前記第2ガス流路は前記溝部に連通させたことを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記伝熱ガス供給機構は,前記第1伝熱ガス供給部に接続される第1ガス流路と,前記第2伝熱ガス供給部に接続される第2ガス流路とを独立して設け,前記第1ガス流路は前記基板載置面に設けられた複数のガス孔に連通し,前記第2ガス流路は前記フォーカスリング載置面に第2伝熱ガスが流通する程度に表面粗さを粗くした部位を前記フォーカスリングの周方向に沿って形成し,その部位に連通するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記フォーカスリング載置面の内周側と外周側の両方に,前記第2伝熱ガスをシールするシール部を設けたことを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記フォーカスリング載置面の内周側と外周側の一方又は両方のシール部をなくしたことを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記フォーカスリング載置面の表面と前記基板載置面の表面には溶射皮膜を形成し,
前記基板載置面の溶射被膜の気孔率に対して前記フォーカスリング載置面の溶射皮膜の気孔率を変えることによって,前記基板の面内処理特性を制御することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記フォーカスリング載置面の溶射皮膜の気孔率は,サセプタの制御温度範囲に応じて決定されることを特徴とする請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記基板載置面の複数のガス孔は,センタ部領域とその周りのエッジ部領域とに分けて設け,
前記第1ガス流路は前記基板載置面のセンタ部領域の複数のガス孔に連通し,前記第2ガス流路は2つの流路に分岐して,一方の流路は前記フォーカスリング載置面に設けられた複数のガス孔に連通し,他方の流路は前記基板載置面のエッジ部領域の複数のガス孔に連通していることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項13】
処理室内に基板を配置し,その基板の周囲を囲むようにフォーカスリングを配置して,前記基板に対するプラズマ処理を施す基板処理装置の基板処理方法であって,
前記基板処理装置は,
前記基板を載置する基板載置面と前記フォーカスリングを載置するフォーカスリング載置面を有するサセプタを備えた載置台と,
前記サセプタの温度を調整するサセプタ温調機構と,
前記基板の裏面を前記基板載置面に静電吸着するとともに,前記フォーカスリングの裏面を前記フォーカスリング載置面に静電吸着する基板保持部と,
前記基板の裏面に第1伝熱ガスを所望の圧力で供給する第1伝熱ガス供給部と,前記フォーカスリングの裏面に第2伝熱ガスを所望の圧力で供給する第2伝熱ガス供給部とを独立して設けた伝熱ガス供給機構と,を備え,
前記第1伝熱ガスの供給圧力に対して前記第2伝熱ガスの供給圧力を変えることによって,前記基板の面内処理特性を制御することを特徴とする基板処理方法。
【請求項14】
処理室内に基板を配置し,その基板の周囲を囲むようにフォーカスリングを配置して,前記基板に対するプラズマ処理を施す基板処理装置の基板処理方法であって,
前記基板処理装置は,
前記基板を載置する基板載置面と前記フォーカスリングを載置するフォーカスリング載置面を有するサセプタを備えた載置台と,
前記サセプタの温度を調整するサセプタ温調機構と,
前記基板の裏面を前記基板載置面に静電吸着するとともに,前記フォーカスリングの裏面を前記フォーカスリング載置面に静電吸着する基板保持部と,
前記基板の裏面に第1伝熱ガスを所望の圧力で供給する第1伝熱ガス供給部と,前記フォーカスリングの裏面に第2伝熱ガスを所望の圧力で供給する第2伝熱ガス供給部とを独立して設けた伝熱ガス供給機構と,を備え,
前記第1伝熱ガスと前記第2伝熱ガスのガス種を変えることにより,前記基板の面内処理特性を制御することを特徴とする基板処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−134375(P2012−134375A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286075(P2010−286075)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】