基板処理装置
【課題】基板の損傷を防止しつつ基板の表面に均一に処理液を供給することができる基板処理装置を提供する
【解決手段】基板処理装置の洗浄処理部5a〜5dは、基板保持台21、処理液ノズル50、不活性ガス供給板110、および供給板回転駆動機構138を備える。基板保持台21により基板Wが略水平に保持され、その基板Wに処理液ノズル50から処理液が供給されるとともに、不活性ガス供給板110から不活性ガスが供給される。このとき、不活性ガス供給板110は、供給板回転駆動機構138により回転されつつ不活性ガスを基板Wの表面に供給する。
【解決手段】基板処理装置の洗浄処理部5a〜5dは、基板保持台21、処理液ノズル50、不活性ガス供給板110、および供給板回転駆動機構138を備える。基板保持台21により基板Wが略水平に保持され、その基板Wに処理液ノズル50から処理液が供給されるとともに、不活性ガス供給板110から不活性ガスが供給される。このとき、不活性ガス供給板110は、供給板回転駆動機構138により回転されつつ不活性ガスを基板Wの表面に供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。
【0003】
このような基板処理装置としては、例えば、処理室内に一枚の基板を水平に保持して鉛直方向の軸の周りで回転させるためのスピンチャックを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。スピンチャックは、鉛直方向に沿った回転軸を中心に回転されるスピンベースと、そのスピンベース上に設けられた複数の保持部材とを備える。各保持部材は、基板の外周端部に接触して基板を保持するための保持ピンを有する。
【特許文献1】特開2004−111903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような基板処理装置においては、基板に洗浄、レジスト液の塗布または現像等の処理を行う場合には、基板を高速で回転(例えば、1000rpm)させながら、回転する基板上に洗浄液、レジスト液、現像液等の処理液を供給する。それにより、処理液が遠心力により基板の全域に均一に塗り広げられる。
【0005】
しかしながら、近年、基板処理装置において処理される基板の大型化が進んでいるため、基板を高速で回転させた場合、基板に大きな遠心力が働く。それにより、基板と保持部材との間に大きな接触圧力が生じ、基板が損傷するおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、基板の損傷を防止しつつ基板の表面に均一に処理液を供給することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、基板を略水平に保持する保持部と、保持部により保持された基板に処理液を供給する処理液供給部と、保持部により保持された基板に気体を供給する気体供給部と、気体が保持部により保持された基板に旋回流として供給されるように気体供給部を回転させる回転駆動手段とを備えたものである。
【0008】
この基板処理装置によれば、保持部により基板が略水平に保持され、その基板に処理液供給部から処理液が供給されるとともに、気体供給部から気体が供給される。このとき、回転駆動手段は、気体が旋回流として基板に供給されるように気体供給部を回転させる。
【0009】
それにより、処理液供給部から基板に供給された処理液が基板の表面の全域に均一に押し広げられる。したがって、この基板処理装置によれば、基板を回転させることなく、処理液を基板の表面の全域に均一に供給することができる。
【0010】
このように、この基板処理装置によれば、液処理時に基板を回転させなくてもよい。そのため、チャックピン等の保持部材により基板を保持しなくてもよいので、液処理時に基板が損傷することを防止することができる。
【0011】
また、チャックピン等の保持部材により基板を保持する場合にも、基板を回転させなくてもよいので、基板と保持部材との間に大きな接触応力が発生することを防止することができる。それにより、基板の損傷を防止することができる。
【0012】
これらの結果、基板の損傷を防止しつつ基板の表面に均一に処理液を供給することが可能となる。
【0013】
また、基板を乾燥させる際には、処理液供給部からの処理液の供給を停止した状態で気体供給部から基板に気体を供給することができる。この場合も、気体が旋回流として基板に供給される。それにより、処理液が基板の表面上から外方へ飛散され、基板が乾燥する。したがって、この基板処理装置によれば、基板を回転させることなく、基板を乾燥させることができる。それにより、液処理時と同様に、乾燥処理時に基板が損傷することを防止することができる。
【0014】
また、この基板処理装置によれば、基板を回転させなくてもよいので、基板保持部の構成を簡略化することができる。また、基板保持部と基板との間に大きな接触応力が発生しないので、基板保持部を安価な材料で構成することができる。これらの結果、基板処理装置の製造コストを十分に低減することができる。
【0015】
(2)気体供給部は、保持部により保持された基板に垂直な回転軸の周りで回転するとともに気体を吐出する気体吐出口を有してもよい。この場合、気体吐出口が基板に垂直な回転軸の周りで回転しつつ気体を吐出するので、基板の表面に効率よく気体を供給することができる。それにより、処理液を基板の表面の全域に効率よく供給することができる。
【0016】
(3)気体吐出口は、回転軸を中心とする複数の同心円上の位置にそれぞれ配置される複数の気体吐出口を含んでもよい。この場合、基板の表面の全域に効率よく気体を供給することができる。それにより、処理液を基板の表面の全域に迅速に供給することができる。
【0017】
(4)気体吐出口は、回転軸から外方に直線状または曲線状に延びるように設けられてもよい。この場合、基板の表面の全域に効率よく気体を供給することができる。それにより、処理液を基板の表面の全域に迅速に供給することができる。
【0018】
(5)処理液供給部は、保持部により保持された基板に垂直な回転軸の周りで回転するとともに処理液を吐出する処理液吐出口を有してもよい。
【0019】
この場合、処理液吐出口が基板に垂直な回転軸の周りで回転しつつ処理液を吐出するので、基板の表面に効率よく処理液を供給することができる。したがって、気体吐出口から吐出される気体により、処理液を基板の表面の全域に効率よく供給することができる。
【0020】
(6)処理液吐出口は、回転軸を中心とする複数の同心円上の位置にそれぞれ配置される複数の処理液吐出口を含んでもよい。
【0021】
この場合、基板の表面の全域に効率よく処理液を供給することができる。したがって、気体吐出口から吐出される気体により、処理液を基板の表面の全域により効率よく供給することができる。
【0022】
(7)処理液吐出口は、回転軸から外方に直線状または曲線状に延びるように設けられてもよい。
【0023】
この場合、基板の表面の全域に効率よく処理液を供給することができる。したがって、気体吐出口から吐出される気体により、処理液を基板の表面の全域により効率よく供給することができる。
【0024】
(8)処理液吐出口は気体吐出口の回転方向における前方側に配置されてもよい。
【0025】
この場合、基板に処理液が供給された直後に、その処理液に気体を供給することができるので、処理液を迅速に押し広げることができる。それにより、処理液を基板の表面の全域に迅速に供給することができる。
【0026】
(9)気体供給部は、プロペラ部材であってもよい。この場合、気体供給部に気体を供給する配管等の気体供給系が不要となるので、基板処理装置の構成を簡略化することができる。それにより、基板処理装置の製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、基板を回転させることなく、処理液を基板の表面の全域に均一に供給することができる。したがって、チャックピン等の保持部材により基板を保持しなくてもよいので、液処理時に基板が損傷することを防止することができる。
【0028】
また、チャックピン等の保持部材により基板を保持する場合にも、基板を回転させなくてもよいので、基板と保持部材との間に大きな接触応力が発生することを防止することができる。それにより、基板の損傷を防止することができる。
【0029】
これらの結果、基板の損傷を防止しつつ基板の表面に均一に処理液を供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を参照しつつ説明する。
【0031】
以下の説明において、基板とは、半導体ウェハ、液晶表示装置用ガラス基板、PDP(プラズマディスプレイパネル)用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等をいう。
【0032】
また、基板に処理を行う処理液はレジスト剥離液およびリンス液を含む。レジスト剥離液とは、硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H2O2)との混合液(以下、SPMと略記する)、硫酸とオゾン水との混合液、硫酸とフッ酸(HF)との混合液、または硫酸等をいう。リンス液とは、例えば純水、炭酸水、オゾン水、磁気水、還元水(水素水)もしくはイオン水、またはIPA(イソプロピルアルコール)等の有機溶剤をいう。
【0033】
さらに、常温とは、加熱および冷却を行わないときの基板処理装置内の温度をいい、例えば約15℃〜25℃である。
【0034】
(1) 第1の実施の形態
(1−1) 基板処理装置の構成
図1は、第1の実施の形態に係る基板処理装置の平面図である。図1に示すように、基板処理装置100は、クリーンルームCL内に設けられる。基板処理装置100は、処理領域A,Bを有し、処理領域A,B間に搬送領域Cを有する。
【0035】
処理領域Aには、制御部4、流体ボックス部2a,2bおよび洗浄処理部5a,5bが配置されている。流体ボックス部2a,2bは、それぞれ洗浄処理部5a,5bへのレジスト剥離液およびリンス液の供給および洗浄処理部5a,5bからの廃液および排気等に関する配管、継ぎ手、バルブ、流量計、レギュレータ、ポンプ、温度調整器、処理液貯留タンク、吸引装置等の流体関連機器を収納する。
【0036】
洗浄処理部5a,5bでは、基板Wの表面上に形成されたレジスト膜がレジスト剥離液により剥離され(以下、レジスト剥離処理と呼ぶ)、レジスト剥離処理後の基板Wの表面がリンス液により洗浄される(以下、リンス処理と呼ぶ)。
【0037】
本実施の形態において、レジスト剥離液としては、SPMが用いられる。また、リンス液としては、純水が用いられる。
【0038】
処理領域Bには、流体ボックス部2c,2dおよび洗浄処理部5c,5dが配置されている。流体ボックス部2c,2dおよび洗浄処理部5c,5dは、それぞれ上記流体ボックス部2a,2bおよび洗浄処理部5a,5bと同様の構成を有し、洗浄処理部5c,5dは洗浄処理部5a,5bと同様の処理を行う。
【0039】
以下、洗浄処理部5a,5b,5c,5dを処理ユニットと総称する。搬送領域Cには、基板搬送ロボットCRが設けられている。
【0040】
処理領域A,Bの一端部側には、基板Wの搬入および搬出を行うインデクサIDが配置されており、インデクサロボットIRはインデクサIDの内部に設けられている。インデクサIDには、基板Wを収納するキャリア1が載置される。
【0041】
(1−2) 基板処理装置の動作
インデクサIDのインデクサロボットIRは、矢印Uの方向に移動し、キャリア1から基板Wを取り出して基板搬送ロボットCRに渡し、逆に、一連の処理が施された基板Wを基板搬送ロボットCRから受け取ってキャリア1に戻す。
【0042】
基板搬送ロボットCRは、インデクサロボットIRから渡された基板Wを指定された処理ユニットに搬送し、または、処理ユニットから受け取った基板Wを他の処理ユニットまたはインデクサロボットIRに搬送する。
【0043】
本実施の形態においては、洗浄処理部5a〜5dのいずれかにおいて基板Wにレジスト剥離処理およびリンス処理が行われた後に、基板搬送ロボットCRにより基板Wが洗浄処理部5a〜5dから搬出され、インデクサロボットIRを介してキャリア1に搬入される。
【0044】
制御部4は、CPU(中央演算処理装置)を含むコンピュータ等からなり、基板処理装置100内の各構成部の動作等を制御する。例えば、制御部4は処理領域A,Bの各処理ユニットの動作、搬送領域Cの基板搬送ロボットCRの動作およびインデクサIDのインデクサロボットIRの動作を制御する。制御部4により制御される具体的な構成の詳細は後述する。
【0045】
(1−3) 洗浄処理部の構成
図2は、図1の洗浄処理部5a〜5dの構成を説明するための図である。
【0046】
図2の洗浄処理部5a〜5dは、上述のようにレジスト膜が形成された基板Wにレジスト剥離処理を行った後、リンス処理を行う。
【0047】
図2に示すように、洗浄処理部5a〜5dは、基板Wを水平に保持する基板保持台21を備える。なお、本実施の形態においては、基板保持台21は、基板Wの載置位置を決定するためのガイド機構を有していればよく、チャック機構等を有していない簡単な構成の台座等を用いることができる。
【0048】
基板保持台21の外方に、モータ60が設けられている。モータ60には、回動軸61が接続されている。また、回動軸61には、アーム62が水平方向に延びるように連結され、アーム62の先端に処理液ノズル50が設けられている。
【0049】
モータ60により回動軸61が回転するとともにアーム62が回動する。それにより、処理液ノズル50が基板保持台21に保持された基板Wに近接した位置(図2に示す状態)と基板Wから離れた所定位置との間を移動する。
【0050】
モータ60、回動軸61およびアーム62の内部を通るように処理液供給管63が設けられている。処理液供給管63は流体ボックス部2a〜2dのレジスト剥離液供給部69およびリンス液供給部79に接続されている。レジスト剥離液供給部69には、レジスト剥離液(例えば、SPM)が貯留され、リンス液供給部79には、リンス液(例えば、純水)が貯留されている。
【0051】
レジスト剥離液供給部69と処理液供給管63との間にはバルブ91が設けられ、リンス液供給部79と処理液供給管63との間にはバルブ92が設けられている。バルブ91,92の動作は図1の制御部4により制御される。これにより、所定のタイミングでレジスト剥離液およびリンス液のいずれか一方を選択的に処理液供給管63に供給することができる。
【0052】
洗浄処理部5a〜5dの処理液ノズル50には、処理液供給管63を通して流体ボックス部2a〜2dのレジスト剥離液供給部69またはリンス液供給部79からレジスト剥離液またはリンス液が供給される。それにより、基板Wの表面へレジスト剥離液またはリンス液を供給することができる。レジスト剥離液供給部69から処理液ノズル50に供給されるレジスト剥離液の温度は、例えば80℃〜130℃に設定されている。また、リンス液供給部79からリンスノズル70に供給されるリンス液の温度は、例えば65℃に設定されている。
【0053】
基板Wの表面へレジスト剥離液またはリンス液を供給するときには、処理液ノズル50は基板Wの外周部の上方に位置し、基板Wの表面に向けてレジスト剥離液またはリンス液を吐出する。基板Wの表面へレジスト剥離液およびリンス液を供給しないときには、処理液ノズル50は所定の位置に退避される。
【0054】
基板保持台21の上方には、不活性ガス供給板110が設けられている。図3は、不活性ガス供給板110を示す概略斜視図であり、図4は、不活性ガス供給板110の概略下面図である。
【0055】
図2および図3に示すように、不活性ガス供給板110は略円筒形状を有する回転支持軸111の下端部に略水平に取り付けられている。不活性ガス供給板110は、回転支持軸111の径方向に延びるように長尺状に形成されており、流線形でかつ中央部が上方にわずかに湾曲した断面形状を有する。回転支持軸111は水平方向に延びるアーム120により基板Wの中心を通る鉛直な回転軸の周りで回転可能に保持されている。これにより、不活性ガス供給板110の下面が基板保持台21に保持された基板Wの上面と対向する。
【0056】
図4に示すように、不活性ガス供給板110の下面には、複数の不活性ガス供給口11が形成されている。不活性ガス供給口11は、不活性ガス供給板110の下面の中央部において長手方向に並設されている。
【0057】
図2に示すように、回転支持軸111の上端部には不活性ガス供給管84が取り付けられている。不活性ガス供給管84は流体ボックス部2a〜2dの不活性ガス供給部89に接続されている。不活性ガス供給管84および回転支持軸111の内部空間は互いに連通している。また、回転支持軸111の内部空間は、不活性ガス供給口11(図4)に連通している。
【0058】
不活性ガス供給板110の不活性ガス供給口11(図4)には、不活性ガス供給管84および回転支持軸111の内部空間を通して流体ボックス部2a〜2dの不活性ガス供給部89から不活性ガスが供給される。それにより、不活性ガス供給板110の不活性ガス供給口11から基板保持台21に保持された基板Wの表面に向かって不活性ガスが吐出される。不活性ガスとしては、窒素(N2)ガスまたはアルゴン(Ar)ガス等を用いることができる。
【0059】
図2に示すように、アーム120には、供給板昇降駆動機構137および供給板回転駆動機構138が接続されている。供給板昇降駆動機構137は、不活性ガス供給板110を基板保持台21に保持された基板Wの上面に近接した位置(例えば、基板W上面と不活性ガス供給板110の下面との距離が1mm〜20mmの位置)と基板保持台21から離れた所定位置との間で上下動作させる。
【0060】
供給板回転駆動機構138は、回転支持軸111を基板保持台21に保持された基板Wの中心を通る鉛直な回転軸の周りで回転させる。これにより、不活性ガス供給板110が、図3に矢印で示すように回転支持軸111を回転中心として時計回り(上方から見た場合)に回転する。なお、本実施の形態においては、供給板回転駆動機構138は、不活性ガス供給板110から基板Wに向けて不活性ガスを吐出するときに、不活性ガス供給板110を回転させる。
【0061】
図2に示すように、基板保持台21は、処理カップ23内に収容されている。処理カップ23の内側には、筒状の仕切壁33が設けられている。また、基板保持台21の周囲を取り囲むように、基板Wのリンス処理に用いられたリンス液を回収して廃棄するための廃棄空間31が形成されている。廃棄空間31は、基板保持台21の外周に沿うように環状かつ溝状に形成されている。
【0062】
さらに、廃棄空間31を取り囲むように、処理カップ23と仕切壁33との間に基板Wのレジスト剥離処理に用いられたレジスト剥離液を回収して基板処理装置100内で循環させるための循環液空間32が形成されている。循環液空間32は、廃棄空間31の外周に沿うように環状かつ溝状に形成されている。
【0063】
廃棄空間31には、図示しない廃棄設備に接続された廃棄系配管へリンス液を導くための廃棄管34が接続され、循環液空間32には、図示しない循環装置に接続された循環系配管へレジスト剥離液を導くための回収管35が接続されている。これらの廃棄系配管、循環装置および循環系配管は、図1の流体ボックス部2a〜2dに設けられている。
【0064】
処理カップ23の上方には、基板Wからのレジスト剥離液またはリンス液が外方へ飛散することを防止するためのスプラッシュガード24が設けられている。このスプラッシュガード24は、基板Wの中央を通る垂線に対して回転対称な形状からなっている。スプラッシュガード24の上端部の内面には、断面く字状の廃棄案内溝41が環状に形成されている。
【0065】
また、スプラッシュガード24の下端部の内面には、外側下方に傾斜する傾斜面からなる回収液案内部42が形成されている。回収液案内部42の上端付近には、処理カップ23の仕切壁33を受け入れるための仕切壁収納溝43が形成されている。
【0066】
スプラッシュガード24は、ボールねじ機構等で構成されたガード昇降駆動機構37により支持されている。ガード昇降駆動機構37は、スプラッシュガード24を、その上端部が基板保持台21の上端部とほぼ同じまたは基板保持台21の上端部よりも低い搬入搬出位置と、回収液案内部42が基板保持台21に保持された基板Wの外周端面に対向する循環位置と、廃棄案内溝41が基板保持台21に保持された基板Wの外周端面に対向する廃棄位置との間で上下動させる。
【0067】
基板保持台21上に基板Wが搬入される際、および基板保持台21上から基板Wが搬出される際には、スプラッシュガード24は搬入搬出位置に下降する。
【0068】
スプラッシュガード24が循環位置にある場合には、基板Wから外方へ飛散したレジスト剥離液が回収液案内部42により循環液空間32に導かれ、回収管35を通して循環系配管に送られる。
【0069】
一方、スプラッシュガード24が廃棄位置にある場合には、基板Wから外方へ飛散したリンス液が廃棄案内溝41により廃棄空間31に導かれ、廃棄管34を通して廃棄される。
【0070】
洗浄処理部5a〜5dのモータ60、ガード昇降駆動機構37、供給板昇降駆動機構137、および供給板回転駆動機構138の動作、ならびに流体ボックス部2a〜2dのレジスト剥離液供給部69、リンス液供給部79、不活性ガス供給部89、およびバルブ91,92の動作は図1の制御部4により制御される。
【0071】
(1−4) 洗浄処理部の動作
図2の洗浄処理部5a〜5dにおいて、レジスト剥離処理が開始される際、アーム120は、供給板昇降駆動機構137により所定の高さ(例えば、基板W上面と不活性ガス供給板110の下面との距離が1mm〜20mmの位置)で保持される。
【0072】
この状態で、処理液ノズル50から基板Wの表面にレジスト剥離液が供給されるとともに、不活性ガス供給板110から基板Wの表面に不活性ガスが供給される。なお、このとき、不活性ガス供給板110は、所定の回転数(例えば、1000rpm)で回転しつつ不活性ガス供給口11から不活性ガスを吐出する。それにより、不活性ガスが旋回流となって基板Wの表面に供給される。その結果、レジスト剥離液が基板Wの表面の全域に均一に押し広げられる。したがって、レジスト剥離処理を確実に行うことができる。
【0073】
その後、レジスト剥離処理が終了すると、処理液ノズル50から基板Wの表面にリンス液が供給されるとともに、不活性ガス供給板110から基板Wの表面に不活性ガスが供給される。なお、このとき、不活性ガス供給板110は、回転しつつ不活性ガス供給口11から不活性ガスを吐出する。それにより、不活性ガスが旋回流となって基板Wの表面に供給される。その結果、リンス液が基板Wの表面の全域に均一に押し広げられる。したがって、リンス処理を確実に行うことができる。
【0074】
その後、リンス処理が終了すると、処理液ノズル50からのリンス液の吐出が停止される。なお、このとき、不活性ガス供給板110は、回転および不活性ガスの吐出を継続する。それにより、不活性ガスが旋回流となって基板Wの表面に供給される。その結果、リンス液が基板Wの表面上から外方へ飛散され、基板Wが乾燥する。
【0075】
乾燥処理が終了すると、不活性ガス供給板110の回転および不活性ガスの吐出が停止される。その後、不活性ガス供給板110が上昇され、基板Wが洗浄処理部5a〜5dから搬出される。
【0076】
なお、不活性ガス供給板110の回転速度は、例えば、500rpm〜2500rpm程度であることが好ましいが、基板Wの大きさ、レジスト剥離液の粘性等の種々の条件に応じて適宜変更することができる。
【0077】
(1−5) 第1の実施の形態の効果
本実施の形態においては、レジスト剥離処理およびリンス処理(以下、液処理と略記する)時に、不活性ガス供給板110が回転しつつ基板Wの表面に不活性ガスを供給する。それにより、不活性ガスが旋回流となり基板Wの表面に供給され、レジスト剥離液またはリンス液(以下、処理液と略記する)が基板Wの表面の全域に均一に押し広げられる。したがって、本実施の形態においては、基板Wを回転させることなく、基板Wの表面の全域に処理液を均一に供給することができる。
【0078】
また、本実施の形態においては、乾燥処理時に、不活性ガス供給板110が回転しつつ基板Wの表面に不活性ガスを供給する。それにより、不活性ガスが旋回流となり基板Wの表面に供給される。その結果、リンス液が基板Wの表面上から飛散され、基板Wが乾燥する。すなわち、本実施の形態においては、基板Wを回転させることなく、基板Wを乾燥させることができる。
【0079】
以上のように、本実施の形態においては、液処理時および乾燥処理時に、基板Wを回転させる必要がない。したがって、チャック機構等の保持機構を有していない簡単な構成の基板保持台21を用いることができる。それにより、基板処理装置1の製造コストを低減することができる。
【0080】
また、チャックピン等の保持部材により基板Wを保持する必要がないので、液処理時および乾燥処理時に基板Wが損傷することを防止することができる。また、チャックピン等の保持部材により基板を保持する場合にも、基板Wが回転していないので、基板Wと保持部材との間に大きな接触応力が発生することを防止することができる。それにより、基板Wの損傷を防止することができる。
【0081】
また、保持部材に大きな応力が発生しないので、保持部材を安価な材料で構成することができる。それにより、基板処理装置1の製造コストを低減することができる。
【0082】
(1−6) 他の構成例
上記においては、基板保持台21が回転しない場合について説明したが、基板保持台21を回転可能な構成にし、基板Wを回転させてもよい。それにより、より確実に基板Wの表面に均一に処理液を供給することができる。
【0083】
なお、上記のように不活性ガス供給板110が回転しつつ基板Wに不活性ガスを供給しているので、基板Wの回転速度は低速(100rpm程度)でよい。したがって、チャックピン等の保持部材により基板Wを保持した場合にも、基板Wと保持部材との間に大きな接触応力が発生することを防止することができる。それにより、基板Wの損傷を防止することができる。また、基板Wの回転速度が低いので、簡単な構成で基板Wを保持することができる。それにより、基板処理装置1の製造コストを低減することができる。
【0084】
また、上記においては、長尺状の不活性ガス供給板110について説明したが、不活性ガス供給板110の形状はこれに限定されない。例えば、不活性ガス供給板110は、円盤形状であってもよい。
【0085】
図5は、円盤形状の不活性ガス供給板110を示す下面図である。図5に示す不活性ガス供給板110においては、複数の不活性ガス供給口11が回転支持軸111(図3参照)を中心とする複数の同心円(一点鎖線で示す円)上にそれぞれ配置されている。なお、複数の不活性ガス供給口11は、図5に示すように曲線状に配置されてもよく、回転支持軸111(図3参照)を中心として半径方向に直線状に配置されてもよい。
【0086】
このように、円盤形状の不活性ガス供給板110では、多様な構成で不活性ガス供給口11を配置することができる。したがって、種々の条件に応じて不活性ガス供給口11の配置を決定することにより、基板Wの全域により効率よく不活性ガスを供給することが可能となる。
【0087】
また、図4の不活性ガス供給板110においては、複数の不活性ガス供給口11がほぼ等間隔で配置されているが、不活性ガス供給口11の配置例はこれに限定されるものではない。
【0088】
例えば、不活性ガス供給板110の両端部に近づくに従い隣り合う不活性ガス供給口11の間隔が小さくなるように複数の不活性ガス供給口11を配置してもよい。この場合、不活性ガス供給板110の両端部近傍において不活性ガスの吐出量が多くなるので、基板Wの周縁部のリンス液を確実に飛散させることができる。その結果、基板Wを確実に乾燥させることができる。
【0089】
また、上記においては、不活性ガス供給板110に円形の不活性ガス供給口11を複数設けた場合について説明したが、不活性ガス供給口11の形状は上記の例に限定されない。
【0090】
図6は、不活性ガス供給口11の形状の他の例を示す図である。図6の例では、不活性ガス供給板110の下面側において長手方向に延びるようにスリット状の不活性ガス供給口11が形成されている。この場合、不活性ガス供給口11から基板Wの表面の全域に効率よく不活性ガスを供給することができる。
【0091】
なお、図6においては、直線状に延びる不活性ガス供給口11の例を示したが、曲線状に延びる不活性ガス供給口11を設けてもよい。
【0092】
(2) 第2の実施の形態
(2−1) 洗浄処理部の構成
第2の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部が図2の洗浄処理部5a〜5dと異なるのは以下の点である。
【0093】
図7は、第2の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部5a〜5dの構成を説明するための図であり、図8は、図7の不活性ガス供給板110の下面図である。
【0094】
図7に示すように、回転支持軸111は2重管構造を有しており、内部には、円筒状の処理液供給路90を取り囲むように不活性ガス供給路91が設けられている。処理液供給部90には処理液供給管63が接続され、不活性ガス供給路91には不活性ガス供給管84が接続されている。
【0095】
また、図8に示すように、不活性ガス供給板110の下面側には、2つの不活性ガス供給領域10および2つの処理液供給領域20が設けられている。不活性ガス供給領域10には複数の不活性ガス供給口11がそれぞれ形成され、処理液供給領域20は、複数の処理液供給口12がそれぞれ形成されている。
【0096】
なお、処理液供給領域20は、不活性ガス供給領域10に対して不活性ガス供給板110の回転方向(矢印で示す方向)における前方側に近接するように設けられ、不活性ガス供給領域10は、処理液供給領域20に対して回転方向における後方側に近接するように設けられている。
【0097】
本実施の形態においては、不活性ガス供給路91(図7)は不活性ガス供給口11(図8)に連通し、処理液供給路90(図7)は処理液供給口12(図8)に連通している。したがって、不活性ガス供給部89(図7)から不活性ガス供給管84(図7)および不活性ガス供給路91(図7)を通して導かれた不活性ガスが不活性ガス供給口11から吐出される。また、レジスト剥離液供給部69(図7)またはリンス液供給部79(図7)から処理液供給管63および処理液供給路90を通して導かれたレジスト剥離液またはリンス液が処理液供給口12から吐出される。
【0098】
(2−2) 洗浄処理部の動作
図7の洗浄処理部5a〜5dにおいて、レジスト剥離処理が開始される際、アーム120は、供給板昇降駆動機構137により所定の高さ(例えば、基板W上面と不活性ガス供給板110の下面との距離が1mm〜20mmの位置)で保持される。
【0099】
この状態で、不活性ガス供給板110は、回転しつつ処理液供給口12(図8)からレジスト剥離液を吐出するとともに、不活性ガス供給口11(図8)から不活性ガスを吐出する。これにより、レジスト剥離処理が行われる。
【0100】
その後、レジスト剥離処理が終了すると、不活性ガス供給板110は、回転しつつ処理液供給口12からリンス液を吐出するとともに、不活性ガス供給口11から不活性ガスを吐出する。これにより、リンス処理が行われる。
【0101】
その後、リンス処理が終了すると、処理液供給口12からのリンス液の吐出が停止される。なお、このとき、不活性ガス供給板110は、回転および不活性ガスの吐出を継続する。これにより、乾燥処理が行われる。
【0102】
乾燥処理が終了すると、不活性ガス供給板110の回転および不活性ガスの吐出が停止される。その後、不活性ガス供給板110が上昇し、基板Wが洗浄処理部5a〜5dから搬出される。
【0103】
なお、不活性ガス供給板110の回転速度は、例えば、500rpm〜2500rpm程度であることが好ましいが、基板Wの大きさ、レジスト剥離液の粘性等の種々の条件に応じて適宜変更することができる。
【0104】
(2−3) 本実施の形態の効果
本実施の形態においては、レジスト剥離処理時およびリンス処理時に、不活性ガス供給板110が回転しつつ基板Wの表面にレジスト剥離液およびリンス液(以下、処理液と略記する)を供給する。それにより、基板Wを回転させることなく、基板Wの表面の全域に均一に処理液を供給することができる。
【0105】
また、不活性ガス供給板110は、処理液の供給と同時に、不活性ガスを基板に供給している。この場合、不活性ガスが旋回流となり基板Wの表面に供給される。それにより、処理液が基板Wの表面の全域に均一に押し広げられる。したがって、本実施の形態においては、基板Wを回転させることなく、基板Wの表面の全域に処理液を均一に供給することができる。
【0106】
また、本実施の形態においては、図8に示したように、処理液供給口12が不活性ガス供給口11に対して不活性ガス供給板110の回転方向における前方側に近接するように設けられ、不活性ガス供給口11が処理液供給口12に対して回転方向における後方側に近接するように設けられている。この場合、基板Wに処理液が供給された直後に、その処理液に不活性ガスを供給することができる。それにより、処理液を迅速に押し広げることができる。その結果、処理液を基板Wの表面の全域に迅速に供給することができる。
【0107】
以上の結果、レジスト剥離処理およびリンス処理を確実に行うことができる。
【0108】
(2−4) 不活性ガス供給板の他の例
本実施の形態において用いることができる不活性ガス供給板110は図8の例に限定されず、他の構成を有する不活性ガス供給板を用いてもよい。
【0109】
図9は、不活性ガス供給板110の他の例を示す下面図である。
【0110】
図9に示す不活性ガス供給板110においては、各不活性ガス供給領域10には、長手方向に延びるようにスリット状の不活性ガス供給口11が形成され、各処理液供給領域20には、長手方向に延びるようにスリット状の処理液供給口12が形成されている。
【0111】
この不活性ガス供給板110を用いた場合、処理液供給口12から基板Wの表面の全域に効率よく処理液を供給することができるとともに、不活性ガス供給口11から基板Wの表面の全域に効率よく不活性ガスを供給することができる。それにより、処理液を基板Wの表面の全域に迅速に供給することができる。
【0112】
なお、図9においては、直線状に延びる不活性ガス供給口11および処理液供給口12の例を示したが、曲線状に延びる不活性ガス供給口11および処理液供給口12を設けてもよい。
【0113】
図10は、不活性ガス供給板110のさらに他の例を示す下面図である。
【0114】
図10に示す不活性ガス供給板110においては、不活性ガス供給口11および処理液供給口12が不活性ガス供給板110の長手方向に沿って交互に配置されている。この場合、処理液供給口12から基板Wの表面に供給された処理液を迅速に押し広げることができる。それにより、処理液を基板Wの表面の全域に迅速に供給することができる。
【0115】
(3) 第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部が図2の洗浄処理部5a〜5dと異なるのは以下の点である。
【0116】
図11は、第3の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部5a〜5dの構成を説明するための図であり、図12は図11の不活性ガス供給板110の下面図である。
【0117】
図11に示すように、本実施の形態においては、不活性ガス供給部89(図2参照)が設けられていない。一方、回転支持軸111の下端部には、気体供給板115が設けられている。
【0118】
図12に示すように、気体供給板115はプロペラ形状を有し、回転支持軸111の径方向に延びるように略水平に設けられている。
【0119】
本実施の形態においては、回転支持軸111が回転することによりプロペラ形状の気体供給板115が回転し、旋回流が発生する。その旋回流が基板Wの表面に供給される。それにより、基板Wを回転させることなく処理液を基板Wの表面の全域に均一に供給することができる。また、基板Wを回転させることなく基板Wを容易に乾燥させることができる。
【0120】
このように、本実施の形態においては、基板Wを回転させる機構および気体を基板Wに供給するための配管等が不要となるので、基板処理装置の構成を簡略化することができる。それにより、基板処理装置の製造コストを低減することができる。
【0121】
(4) 第4の実施の形態
第4の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部が図2の洗浄処理部5a〜5dと異なるのは以下の点である。
【0122】
図13は、第4の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部5a〜5dの構成を説明するための図である。
【0123】
図13に示すように、本実施の形態においては、基板Wよりやや径大の基板保持台21の上面に複数の保持ピン211が設けられている。基板Wは、それら複数の保持ピン211により基板保持台21の上方で保持される。
【0124】
また、基板Wの上方および下方に、図2の不活性ガス供給板110と同様の構成を有する不活性ガス供給板110aが設けられている。基板保持台21の中央部には、図2の回転支持軸111と同様の構成を有する回転支持軸111aが挿通されている。不活性ガス供給板110aは、回転支持軸111aの上端部に取り付けられている。
【0125】
また、保持ピン211により保持された基板Wの両面に処理液を塗布することができるように、基板Wの上方および下方に処理液ノズル50が設けられている。
【0126】
なお、回転支持軸111aは、供給板回転駆動機構(図2参照)により回転される。また、回転支持軸111aには、不活性ガス供給部89(図2参照)から不活性ガスが供給される。
【0127】
以上のような構成により、処理液ノズル50から基板Wの両面に処理液が供給される際に、2つの不活性ガス供給板110,110aが回転しつつ基板Wの両面に不活性ガスを供給する。それにより、基板Wの両面に不活性ガスが旋回流として供給され、処理液が基板Wの両面の全域に押し広げられる。したがって、本実施の形態においては、基板Wを回転させることなく、基板Wの両面の全域に処理液を均一に供給することができる。
【0128】
また、乾燥処理時に、2つの不活性ガス供給板110,110aが回転しつつ基板Wの両面に不活性ガスを供給する。それにより、不活性ガスが旋回流となり基板Wの両面に供給される。その結果、処理液が基板Wの表面上から飛散され、基板Wが乾燥する。すなわち、本実施の形態においては、基板Wを回転させることなく、基板Wの両面を乾燥させることができる。
【0129】
以上のように、本実施の形態においては、液処理時(レジスト剥離処理時およびリンス処理時)および乾燥処理時に、基板Wを回転させる必要がない。したがって、簡単な構成の基板保持台21および保持ピン211を用いることができる。それにより、基板処理装置の製造コストを低減することができる。
【0130】
また、基板Wが回転していないので、基板Wと保持ピン211との間に大きな接触応力が発生することを防止することができる。それにより、基板Wの損傷を防止することができる。
【0131】
また、保持ピン211に大きな応力が発生しないので、保持ピン211を安価な材料で構成することができる。それにより、基板処理装置の製造コストを低減することができる。
【0132】
なお、上記においては、処理液ノズル50により基板Wに処理液を供給しているが、図8〜図10で説明したような処理液を供給することができる不活性ガス供給板110を用いて基板Wに処理液を供給してもよい。
【0133】
また、基板保持台21を回転可能な構成にし、基板Wを回転させてもよい。それにより、より確実に基板Wの表面に均一に処理液を供給することができる。なお、上記のように不活性ガス供給板110が回転しつつ基板Wに不活性ガスを供給しているので、基板Wの回転速度は低速(100rpm程度)でよい。したがって、基板Wと保持ピン211との間に大きな接触応力が発生することを防止することができる。それにより、基板Wの損傷を防止することができる。また、基板Wの回転速度が低いので、簡単な構成の保持ピン211で基板Wを保持することができる。それにより、基板処理装置の製造コストを低減することができる。
【0134】
(5) 請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0135】
上記実施の形態では、基板保持台21が保持部の例であり、処理液ノズル50および不活性ガス供給板110が処理液供給部の例であり、不活性ガス供給板110,110aおよび気体供給板115が気体供給部の例であり、供給板回転駆動機構138が回転駆動手段の例であり、不活性ガス供給口11が気体吐出口の例であり、処理液供給口12が処理液吐出口の例であり、気体供給板115がプロペラ部材の例である。
【0136】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、種々の基板に所定の処理を行う基板処理装置に有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】第1の実施の形態に係る基板処理装置の平面図である。
【図2】図1の洗浄処理部の構成を説明するための図である。
【図3】不活性ガス供給板を示す概略斜視図である。
【図4】不活性ガス供給板の概略下面図である。
【図5】円盤形状の不活性ガス供給板を示す下面図である。
【図6】不活性ガス供給口の形状の他の例を示すための図である。
【図7】第2の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部の構成を説明するための図である。
【図8】図7の不活性ガス供給板の下面図である。
【図9】不活性ガス供給板の他の例を示す下面図である。
【図10】不活性ガス供給板のさらに他の例を示す下面図である。
【図11】第3の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部の構成を説明するための図である。
【図12】図11の不活性ガス供給板の下面図である。
【図13】第4の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0139】
5a〜5d 洗浄処理部
11 不活性ガス供給口
12 処理液供給口
50 処理液ノズル
100 基板処理装置
110,110a 不活性ガス供給板
115 気体供給板
138 供給板回転駆動機構
W 基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。
【0003】
このような基板処理装置としては、例えば、処理室内に一枚の基板を水平に保持して鉛直方向の軸の周りで回転させるためのスピンチャックを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。スピンチャックは、鉛直方向に沿った回転軸を中心に回転されるスピンベースと、そのスピンベース上に設けられた複数の保持部材とを備える。各保持部材は、基板の外周端部に接触して基板を保持するための保持ピンを有する。
【特許文献1】特開2004−111903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような基板処理装置においては、基板に洗浄、レジスト液の塗布または現像等の処理を行う場合には、基板を高速で回転(例えば、1000rpm)させながら、回転する基板上に洗浄液、レジスト液、現像液等の処理液を供給する。それにより、処理液が遠心力により基板の全域に均一に塗り広げられる。
【0005】
しかしながら、近年、基板処理装置において処理される基板の大型化が進んでいるため、基板を高速で回転させた場合、基板に大きな遠心力が働く。それにより、基板と保持部材との間に大きな接触圧力が生じ、基板が損傷するおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、基板の損傷を防止しつつ基板の表面に均一に処理液を供給することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、基板を略水平に保持する保持部と、保持部により保持された基板に処理液を供給する処理液供給部と、保持部により保持された基板に気体を供給する気体供給部と、気体が保持部により保持された基板に旋回流として供給されるように気体供給部を回転させる回転駆動手段とを備えたものである。
【0008】
この基板処理装置によれば、保持部により基板が略水平に保持され、その基板に処理液供給部から処理液が供給されるとともに、気体供給部から気体が供給される。このとき、回転駆動手段は、気体が旋回流として基板に供給されるように気体供給部を回転させる。
【0009】
それにより、処理液供給部から基板に供給された処理液が基板の表面の全域に均一に押し広げられる。したがって、この基板処理装置によれば、基板を回転させることなく、処理液を基板の表面の全域に均一に供給することができる。
【0010】
このように、この基板処理装置によれば、液処理時に基板を回転させなくてもよい。そのため、チャックピン等の保持部材により基板を保持しなくてもよいので、液処理時に基板が損傷することを防止することができる。
【0011】
また、チャックピン等の保持部材により基板を保持する場合にも、基板を回転させなくてもよいので、基板と保持部材との間に大きな接触応力が発生することを防止することができる。それにより、基板の損傷を防止することができる。
【0012】
これらの結果、基板の損傷を防止しつつ基板の表面に均一に処理液を供給することが可能となる。
【0013】
また、基板を乾燥させる際には、処理液供給部からの処理液の供給を停止した状態で気体供給部から基板に気体を供給することができる。この場合も、気体が旋回流として基板に供給される。それにより、処理液が基板の表面上から外方へ飛散され、基板が乾燥する。したがって、この基板処理装置によれば、基板を回転させることなく、基板を乾燥させることができる。それにより、液処理時と同様に、乾燥処理時に基板が損傷することを防止することができる。
【0014】
また、この基板処理装置によれば、基板を回転させなくてもよいので、基板保持部の構成を簡略化することができる。また、基板保持部と基板との間に大きな接触応力が発生しないので、基板保持部を安価な材料で構成することができる。これらの結果、基板処理装置の製造コストを十分に低減することができる。
【0015】
(2)気体供給部は、保持部により保持された基板に垂直な回転軸の周りで回転するとともに気体を吐出する気体吐出口を有してもよい。この場合、気体吐出口が基板に垂直な回転軸の周りで回転しつつ気体を吐出するので、基板の表面に効率よく気体を供給することができる。それにより、処理液を基板の表面の全域に効率よく供給することができる。
【0016】
(3)気体吐出口は、回転軸を中心とする複数の同心円上の位置にそれぞれ配置される複数の気体吐出口を含んでもよい。この場合、基板の表面の全域に効率よく気体を供給することができる。それにより、処理液を基板の表面の全域に迅速に供給することができる。
【0017】
(4)気体吐出口は、回転軸から外方に直線状または曲線状に延びるように設けられてもよい。この場合、基板の表面の全域に効率よく気体を供給することができる。それにより、処理液を基板の表面の全域に迅速に供給することができる。
【0018】
(5)処理液供給部は、保持部により保持された基板に垂直な回転軸の周りで回転するとともに処理液を吐出する処理液吐出口を有してもよい。
【0019】
この場合、処理液吐出口が基板に垂直な回転軸の周りで回転しつつ処理液を吐出するので、基板の表面に効率よく処理液を供給することができる。したがって、気体吐出口から吐出される気体により、処理液を基板の表面の全域に効率よく供給することができる。
【0020】
(6)処理液吐出口は、回転軸を中心とする複数の同心円上の位置にそれぞれ配置される複数の処理液吐出口を含んでもよい。
【0021】
この場合、基板の表面の全域に効率よく処理液を供給することができる。したがって、気体吐出口から吐出される気体により、処理液を基板の表面の全域により効率よく供給することができる。
【0022】
(7)処理液吐出口は、回転軸から外方に直線状または曲線状に延びるように設けられてもよい。
【0023】
この場合、基板の表面の全域に効率よく処理液を供給することができる。したがって、気体吐出口から吐出される気体により、処理液を基板の表面の全域により効率よく供給することができる。
【0024】
(8)処理液吐出口は気体吐出口の回転方向における前方側に配置されてもよい。
【0025】
この場合、基板に処理液が供給された直後に、その処理液に気体を供給することができるので、処理液を迅速に押し広げることができる。それにより、処理液を基板の表面の全域に迅速に供給することができる。
【0026】
(9)気体供給部は、プロペラ部材であってもよい。この場合、気体供給部に気体を供給する配管等の気体供給系が不要となるので、基板処理装置の構成を簡略化することができる。それにより、基板処理装置の製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、基板を回転させることなく、処理液を基板の表面の全域に均一に供給することができる。したがって、チャックピン等の保持部材により基板を保持しなくてもよいので、液処理時に基板が損傷することを防止することができる。
【0028】
また、チャックピン等の保持部材により基板を保持する場合にも、基板を回転させなくてもよいので、基板と保持部材との間に大きな接触応力が発生することを防止することができる。それにより、基板の損傷を防止することができる。
【0029】
これらの結果、基板の損傷を防止しつつ基板の表面に均一に処理液を供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を参照しつつ説明する。
【0031】
以下の説明において、基板とは、半導体ウェハ、液晶表示装置用ガラス基板、PDP(プラズマディスプレイパネル)用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等をいう。
【0032】
また、基板に処理を行う処理液はレジスト剥離液およびリンス液を含む。レジスト剥離液とは、硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H2O2)との混合液(以下、SPMと略記する)、硫酸とオゾン水との混合液、硫酸とフッ酸(HF)との混合液、または硫酸等をいう。リンス液とは、例えば純水、炭酸水、オゾン水、磁気水、還元水(水素水)もしくはイオン水、またはIPA(イソプロピルアルコール)等の有機溶剤をいう。
【0033】
さらに、常温とは、加熱および冷却を行わないときの基板処理装置内の温度をいい、例えば約15℃〜25℃である。
【0034】
(1) 第1の実施の形態
(1−1) 基板処理装置の構成
図1は、第1の実施の形態に係る基板処理装置の平面図である。図1に示すように、基板処理装置100は、クリーンルームCL内に設けられる。基板処理装置100は、処理領域A,Bを有し、処理領域A,B間に搬送領域Cを有する。
【0035】
処理領域Aには、制御部4、流体ボックス部2a,2bおよび洗浄処理部5a,5bが配置されている。流体ボックス部2a,2bは、それぞれ洗浄処理部5a,5bへのレジスト剥離液およびリンス液の供給および洗浄処理部5a,5bからの廃液および排気等に関する配管、継ぎ手、バルブ、流量計、レギュレータ、ポンプ、温度調整器、処理液貯留タンク、吸引装置等の流体関連機器を収納する。
【0036】
洗浄処理部5a,5bでは、基板Wの表面上に形成されたレジスト膜がレジスト剥離液により剥離され(以下、レジスト剥離処理と呼ぶ)、レジスト剥離処理後の基板Wの表面がリンス液により洗浄される(以下、リンス処理と呼ぶ)。
【0037】
本実施の形態において、レジスト剥離液としては、SPMが用いられる。また、リンス液としては、純水が用いられる。
【0038】
処理領域Bには、流体ボックス部2c,2dおよび洗浄処理部5c,5dが配置されている。流体ボックス部2c,2dおよび洗浄処理部5c,5dは、それぞれ上記流体ボックス部2a,2bおよび洗浄処理部5a,5bと同様の構成を有し、洗浄処理部5c,5dは洗浄処理部5a,5bと同様の処理を行う。
【0039】
以下、洗浄処理部5a,5b,5c,5dを処理ユニットと総称する。搬送領域Cには、基板搬送ロボットCRが設けられている。
【0040】
処理領域A,Bの一端部側には、基板Wの搬入および搬出を行うインデクサIDが配置されており、インデクサロボットIRはインデクサIDの内部に設けられている。インデクサIDには、基板Wを収納するキャリア1が載置される。
【0041】
(1−2) 基板処理装置の動作
インデクサIDのインデクサロボットIRは、矢印Uの方向に移動し、キャリア1から基板Wを取り出して基板搬送ロボットCRに渡し、逆に、一連の処理が施された基板Wを基板搬送ロボットCRから受け取ってキャリア1に戻す。
【0042】
基板搬送ロボットCRは、インデクサロボットIRから渡された基板Wを指定された処理ユニットに搬送し、または、処理ユニットから受け取った基板Wを他の処理ユニットまたはインデクサロボットIRに搬送する。
【0043】
本実施の形態においては、洗浄処理部5a〜5dのいずれかにおいて基板Wにレジスト剥離処理およびリンス処理が行われた後に、基板搬送ロボットCRにより基板Wが洗浄処理部5a〜5dから搬出され、インデクサロボットIRを介してキャリア1に搬入される。
【0044】
制御部4は、CPU(中央演算処理装置)を含むコンピュータ等からなり、基板処理装置100内の各構成部の動作等を制御する。例えば、制御部4は処理領域A,Bの各処理ユニットの動作、搬送領域Cの基板搬送ロボットCRの動作およびインデクサIDのインデクサロボットIRの動作を制御する。制御部4により制御される具体的な構成の詳細は後述する。
【0045】
(1−3) 洗浄処理部の構成
図2は、図1の洗浄処理部5a〜5dの構成を説明するための図である。
【0046】
図2の洗浄処理部5a〜5dは、上述のようにレジスト膜が形成された基板Wにレジスト剥離処理を行った後、リンス処理を行う。
【0047】
図2に示すように、洗浄処理部5a〜5dは、基板Wを水平に保持する基板保持台21を備える。なお、本実施の形態においては、基板保持台21は、基板Wの載置位置を決定するためのガイド機構を有していればよく、チャック機構等を有していない簡単な構成の台座等を用いることができる。
【0048】
基板保持台21の外方に、モータ60が設けられている。モータ60には、回動軸61が接続されている。また、回動軸61には、アーム62が水平方向に延びるように連結され、アーム62の先端に処理液ノズル50が設けられている。
【0049】
モータ60により回動軸61が回転するとともにアーム62が回動する。それにより、処理液ノズル50が基板保持台21に保持された基板Wに近接した位置(図2に示す状態)と基板Wから離れた所定位置との間を移動する。
【0050】
モータ60、回動軸61およびアーム62の内部を通るように処理液供給管63が設けられている。処理液供給管63は流体ボックス部2a〜2dのレジスト剥離液供給部69およびリンス液供給部79に接続されている。レジスト剥離液供給部69には、レジスト剥離液(例えば、SPM)が貯留され、リンス液供給部79には、リンス液(例えば、純水)が貯留されている。
【0051】
レジスト剥離液供給部69と処理液供給管63との間にはバルブ91が設けられ、リンス液供給部79と処理液供給管63との間にはバルブ92が設けられている。バルブ91,92の動作は図1の制御部4により制御される。これにより、所定のタイミングでレジスト剥離液およびリンス液のいずれか一方を選択的に処理液供給管63に供給することができる。
【0052】
洗浄処理部5a〜5dの処理液ノズル50には、処理液供給管63を通して流体ボックス部2a〜2dのレジスト剥離液供給部69またはリンス液供給部79からレジスト剥離液またはリンス液が供給される。それにより、基板Wの表面へレジスト剥離液またはリンス液を供給することができる。レジスト剥離液供給部69から処理液ノズル50に供給されるレジスト剥離液の温度は、例えば80℃〜130℃に設定されている。また、リンス液供給部79からリンスノズル70に供給されるリンス液の温度は、例えば65℃に設定されている。
【0053】
基板Wの表面へレジスト剥離液またはリンス液を供給するときには、処理液ノズル50は基板Wの外周部の上方に位置し、基板Wの表面に向けてレジスト剥離液またはリンス液を吐出する。基板Wの表面へレジスト剥離液およびリンス液を供給しないときには、処理液ノズル50は所定の位置に退避される。
【0054】
基板保持台21の上方には、不活性ガス供給板110が設けられている。図3は、不活性ガス供給板110を示す概略斜視図であり、図4は、不活性ガス供給板110の概略下面図である。
【0055】
図2および図3に示すように、不活性ガス供給板110は略円筒形状を有する回転支持軸111の下端部に略水平に取り付けられている。不活性ガス供給板110は、回転支持軸111の径方向に延びるように長尺状に形成されており、流線形でかつ中央部が上方にわずかに湾曲した断面形状を有する。回転支持軸111は水平方向に延びるアーム120により基板Wの中心を通る鉛直な回転軸の周りで回転可能に保持されている。これにより、不活性ガス供給板110の下面が基板保持台21に保持された基板Wの上面と対向する。
【0056】
図4に示すように、不活性ガス供給板110の下面には、複数の不活性ガス供給口11が形成されている。不活性ガス供給口11は、不活性ガス供給板110の下面の中央部において長手方向に並設されている。
【0057】
図2に示すように、回転支持軸111の上端部には不活性ガス供給管84が取り付けられている。不活性ガス供給管84は流体ボックス部2a〜2dの不活性ガス供給部89に接続されている。不活性ガス供給管84および回転支持軸111の内部空間は互いに連通している。また、回転支持軸111の内部空間は、不活性ガス供給口11(図4)に連通している。
【0058】
不活性ガス供給板110の不活性ガス供給口11(図4)には、不活性ガス供給管84および回転支持軸111の内部空間を通して流体ボックス部2a〜2dの不活性ガス供給部89から不活性ガスが供給される。それにより、不活性ガス供給板110の不活性ガス供給口11から基板保持台21に保持された基板Wの表面に向かって不活性ガスが吐出される。不活性ガスとしては、窒素(N2)ガスまたはアルゴン(Ar)ガス等を用いることができる。
【0059】
図2に示すように、アーム120には、供給板昇降駆動機構137および供給板回転駆動機構138が接続されている。供給板昇降駆動機構137は、不活性ガス供給板110を基板保持台21に保持された基板Wの上面に近接した位置(例えば、基板W上面と不活性ガス供給板110の下面との距離が1mm〜20mmの位置)と基板保持台21から離れた所定位置との間で上下動作させる。
【0060】
供給板回転駆動機構138は、回転支持軸111を基板保持台21に保持された基板Wの中心を通る鉛直な回転軸の周りで回転させる。これにより、不活性ガス供給板110が、図3に矢印で示すように回転支持軸111を回転中心として時計回り(上方から見た場合)に回転する。なお、本実施の形態においては、供給板回転駆動機構138は、不活性ガス供給板110から基板Wに向けて不活性ガスを吐出するときに、不活性ガス供給板110を回転させる。
【0061】
図2に示すように、基板保持台21は、処理カップ23内に収容されている。処理カップ23の内側には、筒状の仕切壁33が設けられている。また、基板保持台21の周囲を取り囲むように、基板Wのリンス処理に用いられたリンス液を回収して廃棄するための廃棄空間31が形成されている。廃棄空間31は、基板保持台21の外周に沿うように環状かつ溝状に形成されている。
【0062】
さらに、廃棄空間31を取り囲むように、処理カップ23と仕切壁33との間に基板Wのレジスト剥離処理に用いられたレジスト剥離液を回収して基板処理装置100内で循環させるための循環液空間32が形成されている。循環液空間32は、廃棄空間31の外周に沿うように環状かつ溝状に形成されている。
【0063】
廃棄空間31には、図示しない廃棄設備に接続された廃棄系配管へリンス液を導くための廃棄管34が接続され、循環液空間32には、図示しない循環装置に接続された循環系配管へレジスト剥離液を導くための回収管35が接続されている。これらの廃棄系配管、循環装置および循環系配管は、図1の流体ボックス部2a〜2dに設けられている。
【0064】
処理カップ23の上方には、基板Wからのレジスト剥離液またはリンス液が外方へ飛散することを防止するためのスプラッシュガード24が設けられている。このスプラッシュガード24は、基板Wの中央を通る垂線に対して回転対称な形状からなっている。スプラッシュガード24の上端部の内面には、断面く字状の廃棄案内溝41が環状に形成されている。
【0065】
また、スプラッシュガード24の下端部の内面には、外側下方に傾斜する傾斜面からなる回収液案内部42が形成されている。回収液案内部42の上端付近には、処理カップ23の仕切壁33を受け入れるための仕切壁収納溝43が形成されている。
【0066】
スプラッシュガード24は、ボールねじ機構等で構成されたガード昇降駆動機構37により支持されている。ガード昇降駆動機構37は、スプラッシュガード24を、その上端部が基板保持台21の上端部とほぼ同じまたは基板保持台21の上端部よりも低い搬入搬出位置と、回収液案内部42が基板保持台21に保持された基板Wの外周端面に対向する循環位置と、廃棄案内溝41が基板保持台21に保持された基板Wの外周端面に対向する廃棄位置との間で上下動させる。
【0067】
基板保持台21上に基板Wが搬入される際、および基板保持台21上から基板Wが搬出される際には、スプラッシュガード24は搬入搬出位置に下降する。
【0068】
スプラッシュガード24が循環位置にある場合には、基板Wから外方へ飛散したレジスト剥離液が回収液案内部42により循環液空間32に導かれ、回収管35を通して循環系配管に送られる。
【0069】
一方、スプラッシュガード24が廃棄位置にある場合には、基板Wから外方へ飛散したリンス液が廃棄案内溝41により廃棄空間31に導かれ、廃棄管34を通して廃棄される。
【0070】
洗浄処理部5a〜5dのモータ60、ガード昇降駆動機構37、供給板昇降駆動機構137、および供給板回転駆動機構138の動作、ならびに流体ボックス部2a〜2dのレジスト剥離液供給部69、リンス液供給部79、不活性ガス供給部89、およびバルブ91,92の動作は図1の制御部4により制御される。
【0071】
(1−4) 洗浄処理部の動作
図2の洗浄処理部5a〜5dにおいて、レジスト剥離処理が開始される際、アーム120は、供給板昇降駆動機構137により所定の高さ(例えば、基板W上面と不活性ガス供給板110の下面との距離が1mm〜20mmの位置)で保持される。
【0072】
この状態で、処理液ノズル50から基板Wの表面にレジスト剥離液が供給されるとともに、不活性ガス供給板110から基板Wの表面に不活性ガスが供給される。なお、このとき、不活性ガス供給板110は、所定の回転数(例えば、1000rpm)で回転しつつ不活性ガス供給口11から不活性ガスを吐出する。それにより、不活性ガスが旋回流となって基板Wの表面に供給される。その結果、レジスト剥離液が基板Wの表面の全域に均一に押し広げられる。したがって、レジスト剥離処理を確実に行うことができる。
【0073】
その後、レジスト剥離処理が終了すると、処理液ノズル50から基板Wの表面にリンス液が供給されるとともに、不活性ガス供給板110から基板Wの表面に不活性ガスが供給される。なお、このとき、不活性ガス供給板110は、回転しつつ不活性ガス供給口11から不活性ガスを吐出する。それにより、不活性ガスが旋回流となって基板Wの表面に供給される。その結果、リンス液が基板Wの表面の全域に均一に押し広げられる。したがって、リンス処理を確実に行うことができる。
【0074】
その後、リンス処理が終了すると、処理液ノズル50からのリンス液の吐出が停止される。なお、このとき、不活性ガス供給板110は、回転および不活性ガスの吐出を継続する。それにより、不活性ガスが旋回流となって基板Wの表面に供給される。その結果、リンス液が基板Wの表面上から外方へ飛散され、基板Wが乾燥する。
【0075】
乾燥処理が終了すると、不活性ガス供給板110の回転および不活性ガスの吐出が停止される。その後、不活性ガス供給板110が上昇され、基板Wが洗浄処理部5a〜5dから搬出される。
【0076】
なお、不活性ガス供給板110の回転速度は、例えば、500rpm〜2500rpm程度であることが好ましいが、基板Wの大きさ、レジスト剥離液の粘性等の種々の条件に応じて適宜変更することができる。
【0077】
(1−5) 第1の実施の形態の効果
本実施の形態においては、レジスト剥離処理およびリンス処理(以下、液処理と略記する)時に、不活性ガス供給板110が回転しつつ基板Wの表面に不活性ガスを供給する。それにより、不活性ガスが旋回流となり基板Wの表面に供給され、レジスト剥離液またはリンス液(以下、処理液と略記する)が基板Wの表面の全域に均一に押し広げられる。したがって、本実施の形態においては、基板Wを回転させることなく、基板Wの表面の全域に処理液を均一に供給することができる。
【0078】
また、本実施の形態においては、乾燥処理時に、不活性ガス供給板110が回転しつつ基板Wの表面に不活性ガスを供給する。それにより、不活性ガスが旋回流となり基板Wの表面に供給される。その結果、リンス液が基板Wの表面上から飛散され、基板Wが乾燥する。すなわち、本実施の形態においては、基板Wを回転させることなく、基板Wを乾燥させることができる。
【0079】
以上のように、本実施の形態においては、液処理時および乾燥処理時に、基板Wを回転させる必要がない。したがって、チャック機構等の保持機構を有していない簡単な構成の基板保持台21を用いることができる。それにより、基板処理装置1の製造コストを低減することができる。
【0080】
また、チャックピン等の保持部材により基板Wを保持する必要がないので、液処理時および乾燥処理時に基板Wが損傷することを防止することができる。また、チャックピン等の保持部材により基板を保持する場合にも、基板Wが回転していないので、基板Wと保持部材との間に大きな接触応力が発生することを防止することができる。それにより、基板Wの損傷を防止することができる。
【0081】
また、保持部材に大きな応力が発生しないので、保持部材を安価な材料で構成することができる。それにより、基板処理装置1の製造コストを低減することができる。
【0082】
(1−6) 他の構成例
上記においては、基板保持台21が回転しない場合について説明したが、基板保持台21を回転可能な構成にし、基板Wを回転させてもよい。それにより、より確実に基板Wの表面に均一に処理液を供給することができる。
【0083】
なお、上記のように不活性ガス供給板110が回転しつつ基板Wに不活性ガスを供給しているので、基板Wの回転速度は低速(100rpm程度)でよい。したがって、チャックピン等の保持部材により基板Wを保持した場合にも、基板Wと保持部材との間に大きな接触応力が発生することを防止することができる。それにより、基板Wの損傷を防止することができる。また、基板Wの回転速度が低いので、簡単な構成で基板Wを保持することができる。それにより、基板処理装置1の製造コストを低減することができる。
【0084】
また、上記においては、長尺状の不活性ガス供給板110について説明したが、不活性ガス供給板110の形状はこれに限定されない。例えば、不活性ガス供給板110は、円盤形状であってもよい。
【0085】
図5は、円盤形状の不活性ガス供給板110を示す下面図である。図5に示す不活性ガス供給板110においては、複数の不活性ガス供給口11が回転支持軸111(図3参照)を中心とする複数の同心円(一点鎖線で示す円)上にそれぞれ配置されている。なお、複数の不活性ガス供給口11は、図5に示すように曲線状に配置されてもよく、回転支持軸111(図3参照)を中心として半径方向に直線状に配置されてもよい。
【0086】
このように、円盤形状の不活性ガス供給板110では、多様な構成で不活性ガス供給口11を配置することができる。したがって、種々の条件に応じて不活性ガス供給口11の配置を決定することにより、基板Wの全域により効率よく不活性ガスを供給することが可能となる。
【0087】
また、図4の不活性ガス供給板110においては、複数の不活性ガス供給口11がほぼ等間隔で配置されているが、不活性ガス供給口11の配置例はこれに限定されるものではない。
【0088】
例えば、不活性ガス供給板110の両端部に近づくに従い隣り合う不活性ガス供給口11の間隔が小さくなるように複数の不活性ガス供給口11を配置してもよい。この場合、不活性ガス供給板110の両端部近傍において不活性ガスの吐出量が多くなるので、基板Wの周縁部のリンス液を確実に飛散させることができる。その結果、基板Wを確実に乾燥させることができる。
【0089】
また、上記においては、不活性ガス供給板110に円形の不活性ガス供給口11を複数設けた場合について説明したが、不活性ガス供給口11の形状は上記の例に限定されない。
【0090】
図6は、不活性ガス供給口11の形状の他の例を示す図である。図6の例では、不活性ガス供給板110の下面側において長手方向に延びるようにスリット状の不活性ガス供給口11が形成されている。この場合、不活性ガス供給口11から基板Wの表面の全域に効率よく不活性ガスを供給することができる。
【0091】
なお、図6においては、直線状に延びる不活性ガス供給口11の例を示したが、曲線状に延びる不活性ガス供給口11を設けてもよい。
【0092】
(2) 第2の実施の形態
(2−1) 洗浄処理部の構成
第2の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部が図2の洗浄処理部5a〜5dと異なるのは以下の点である。
【0093】
図7は、第2の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部5a〜5dの構成を説明するための図であり、図8は、図7の不活性ガス供給板110の下面図である。
【0094】
図7に示すように、回転支持軸111は2重管構造を有しており、内部には、円筒状の処理液供給路90を取り囲むように不活性ガス供給路91が設けられている。処理液供給部90には処理液供給管63が接続され、不活性ガス供給路91には不活性ガス供給管84が接続されている。
【0095】
また、図8に示すように、不活性ガス供給板110の下面側には、2つの不活性ガス供給領域10および2つの処理液供給領域20が設けられている。不活性ガス供給領域10には複数の不活性ガス供給口11がそれぞれ形成され、処理液供給領域20は、複数の処理液供給口12がそれぞれ形成されている。
【0096】
なお、処理液供給領域20は、不活性ガス供給領域10に対して不活性ガス供給板110の回転方向(矢印で示す方向)における前方側に近接するように設けられ、不活性ガス供給領域10は、処理液供給領域20に対して回転方向における後方側に近接するように設けられている。
【0097】
本実施の形態においては、不活性ガス供給路91(図7)は不活性ガス供給口11(図8)に連通し、処理液供給路90(図7)は処理液供給口12(図8)に連通している。したがって、不活性ガス供給部89(図7)から不活性ガス供給管84(図7)および不活性ガス供給路91(図7)を通して導かれた不活性ガスが不活性ガス供給口11から吐出される。また、レジスト剥離液供給部69(図7)またはリンス液供給部79(図7)から処理液供給管63および処理液供給路90を通して導かれたレジスト剥離液またはリンス液が処理液供給口12から吐出される。
【0098】
(2−2) 洗浄処理部の動作
図7の洗浄処理部5a〜5dにおいて、レジスト剥離処理が開始される際、アーム120は、供給板昇降駆動機構137により所定の高さ(例えば、基板W上面と不活性ガス供給板110の下面との距離が1mm〜20mmの位置)で保持される。
【0099】
この状態で、不活性ガス供給板110は、回転しつつ処理液供給口12(図8)からレジスト剥離液を吐出するとともに、不活性ガス供給口11(図8)から不活性ガスを吐出する。これにより、レジスト剥離処理が行われる。
【0100】
その後、レジスト剥離処理が終了すると、不活性ガス供給板110は、回転しつつ処理液供給口12からリンス液を吐出するとともに、不活性ガス供給口11から不活性ガスを吐出する。これにより、リンス処理が行われる。
【0101】
その後、リンス処理が終了すると、処理液供給口12からのリンス液の吐出が停止される。なお、このとき、不活性ガス供給板110は、回転および不活性ガスの吐出を継続する。これにより、乾燥処理が行われる。
【0102】
乾燥処理が終了すると、不活性ガス供給板110の回転および不活性ガスの吐出が停止される。その後、不活性ガス供給板110が上昇し、基板Wが洗浄処理部5a〜5dから搬出される。
【0103】
なお、不活性ガス供給板110の回転速度は、例えば、500rpm〜2500rpm程度であることが好ましいが、基板Wの大きさ、レジスト剥離液の粘性等の種々の条件に応じて適宜変更することができる。
【0104】
(2−3) 本実施の形態の効果
本実施の形態においては、レジスト剥離処理時およびリンス処理時に、不活性ガス供給板110が回転しつつ基板Wの表面にレジスト剥離液およびリンス液(以下、処理液と略記する)を供給する。それにより、基板Wを回転させることなく、基板Wの表面の全域に均一に処理液を供給することができる。
【0105】
また、不活性ガス供給板110は、処理液の供給と同時に、不活性ガスを基板に供給している。この場合、不活性ガスが旋回流となり基板Wの表面に供給される。それにより、処理液が基板Wの表面の全域に均一に押し広げられる。したがって、本実施の形態においては、基板Wを回転させることなく、基板Wの表面の全域に処理液を均一に供給することができる。
【0106】
また、本実施の形態においては、図8に示したように、処理液供給口12が不活性ガス供給口11に対して不活性ガス供給板110の回転方向における前方側に近接するように設けられ、不活性ガス供給口11が処理液供給口12に対して回転方向における後方側に近接するように設けられている。この場合、基板Wに処理液が供給された直後に、その処理液に不活性ガスを供給することができる。それにより、処理液を迅速に押し広げることができる。その結果、処理液を基板Wの表面の全域に迅速に供給することができる。
【0107】
以上の結果、レジスト剥離処理およびリンス処理を確実に行うことができる。
【0108】
(2−4) 不活性ガス供給板の他の例
本実施の形態において用いることができる不活性ガス供給板110は図8の例に限定されず、他の構成を有する不活性ガス供給板を用いてもよい。
【0109】
図9は、不活性ガス供給板110の他の例を示す下面図である。
【0110】
図9に示す不活性ガス供給板110においては、各不活性ガス供給領域10には、長手方向に延びるようにスリット状の不活性ガス供給口11が形成され、各処理液供給領域20には、長手方向に延びるようにスリット状の処理液供給口12が形成されている。
【0111】
この不活性ガス供給板110を用いた場合、処理液供給口12から基板Wの表面の全域に効率よく処理液を供給することができるとともに、不活性ガス供給口11から基板Wの表面の全域に効率よく不活性ガスを供給することができる。それにより、処理液を基板Wの表面の全域に迅速に供給することができる。
【0112】
なお、図9においては、直線状に延びる不活性ガス供給口11および処理液供給口12の例を示したが、曲線状に延びる不活性ガス供給口11および処理液供給口12を設けてもよい。
【0113】
図10は、不活性ガス供給板110のさらに他の例を示す下面図である。
【0114】
図10に示す不活性ガス供給板110においては、不活性ガス供給口11および処理液供給口12が不活性ガス供給板110の長手方向に沿って交互に配置されている。この場合、処理液供給口12から基板Wの表面に供給された処理液を迅速に押し広げることができる。それにより、処理液を基板Wの表面の全域に迅速に供給することができる。
【0115】
(3) 第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部が図2の洗浄処理部5a〜5dと異なるのは以下の点である。
【0116】
図11は、第3の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部5a〜5dの構成を説明するための図であり、図12は図11の不活性ガス供給板110の下面図である。
【0117】
図11に示すように、本実施の形態においては、不活性ガス供給部89(図2参照)が設けられていない。一方、回転支持軸111の下端部には、気体供給板115が設けられている。
【0118】
図12に示すように、気体供給板115はプロペラ形状を有し、回転支持軸111の径方向に延びるように略水平に設けられている。
【0119】
本実施の形態においては、回転支持軸111が回転することによりプロペラ形状の気体供給板115が回転し、旋回流が発生する。その旋回流が基板Wの表面に供給される。それにより、基板Wを回転させることなく処理液を基板Wの表面の全域に均一に供給することができる。また、基板Wを回転させることなく基板Wを容易に乾燥させることができる。
【0120】
このように、本実施の形態においては、基板Wを回転させる機構および気体を基板Wに供給するための配管等が不要となるので、基板処理装置の構成を簡略化することができる。それにより、基板処理装置の製造コストを低減することができる。
【0121】
(4) 第4の実施の形態
第4の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部が図2の洗浄処理部5a〜5dと異なるのは以下の点である。
【0122】
図13は、第4の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部5a〜5dの構成を説明するための図である。
【0123】
図13に示すように、本実施の形態においては、基板Wよりやや径大の基板保持台21の上面に複数の保持ピン211が設けられている。基板Wは、それら複数の保持ピン211により基板保持台21の上方で保持される。
【0124】
また、基板Wの上方および下方に、図2の不活性ガス供給板110と同様の構成を有する不活性ガス供給板110aが設けられている。基板保持台21の中央部には、図2の回転支持軸111と同様の構成を有する回転支持軸111aが挿通されている。不活性ガス供給板110aは、回転支持軸111aの上端部に取り付けられている。
【0125】
また、保持ピン211により保持された基板Wの両面に処理液を塗布することができるように、基板Wの上方および下方に処理液ノズル50が設けられている。
【0126】
なお、回転支持軸111aは、供給板回転駆動機構(図2参照)により回転される。また、回転支持軸111aには、不活性ガス供給部89(図2参照)から不活性ガスが供給される。
【0127】
以上のような構成により、処理液ノズル50から基板Wの両面に処理液が供給される際に、2つの不活性ガス供給板110,110aが回転しつつ基板Wの両面に不活性ガスを供給する。それにより、基板Wの両面に不活性ガスが旋回流として供給され、処理液が基板Wの両面の全域に押し広げられる。したがって、本実施の形態においては、基板Wを回転させることなく、基板Wの両面の全域に処理液を均一に供給することができる。
【0128】
また、乾燥処理時に、2つの不活性ガス供給板110,110aが回転しつつ基板Wの両面に不活性ガスを供給する。それにより、不活性ガスが旋回流となり基板Wの両面に供給される。その結果、処理液が基板Wの表面上から飛散され、基板Wが乾燥する。すなわち、本実施の形態においては、基板Wを回転させることなく、基板Wの両面を乾燥させることができる。
【0129】
以上のように、本実施の形態においては、液処理時(レジスト剥離処理時およびリンス処理時)および乾燥処理時に、基板Wを回転させる必要がない。したがって、簡単な構成の基板保持台21および保持ピン211を用いることができる。それにより、基板処理装置の製造コストを低減することができる。
【0130】
また、基板Wが回転していないので、基板Wと保持ピン211との間に大きな接触応力が発生することを防止することができる。それにより、基板Wの損傷を防止することができる。
【0131】
また、保持ピン211に大きな応力が発生しないので、保持ピン211を安価な材料で構成することができる。それにより、基板処理装置の製造コストを低減することができる。
【0132】
なお、上記においては、処理液ノズル50により基板Wに処理液を供給しているが、図8〜図10で説明したような処理液を供給することができる不活性ガス供給板110を用いて基板Wに処理液を供給してもよい。
【0133】
また、基板保持台21を回転可能な構成にし、基板Wを回転させてもよい。それにより、より確実に基板Wの表面に均一に処理液を供給することができる。なお、上記のように不活性ガス供給板110が回転しつつ基板Wに不活性ガスを供給しているので、基板Wの回転速度は低速(100rpm程度)でよい。したがって、基板Wと保持ピン211との間に大きな接触応力が発生することを防止することができる。それにより、基板Wの損傷を防止することができる。また、基板Wの回転速度が低いので、簡単な構成の保持ピン211で基板Wを保持することができる。それにより、基板処理装置の製造コストを低減することができる。
【0134】
(5) 請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0135】
上記実施の形態では、基板保持台21が保持部の例であり、処理液ノズル50および不活性ガス供給板110が処理液供給部の例であり、不活性ガス供給板110,110aおよび気体供給板115が気体供給部の例であり、供給板回転駆動機構138が回転駆動手段の例であり、不活性ガス供給口11が気体吐出口の例であり、処理液供給口12が処理液吐出口の例であり、気体供給板115がプロペラ部材の例である。
【0136】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、種々の基板に所定の処理を行う基板処理装置に有効に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】第1の実施の形態に係る基板処理装置の平面図である。
【図2】図1の洗浄処理部の構成を説明するための図である。
【図3】不活性ガス供給板を示す概略斜視図である。
【図4】不活性ガス供給板の概略下面図である。
【図5】円盤形状の不活性ガス供給板を示す下面図である。
【図6】不活性ガス供給口の形状の他の例を示すための図である。
【図7】第2の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部の構成を説明するための図である。
【図8】図7の不活性ガス供給板の下面図である。
【図9】不活性ガス供給板の他の例を示す下面図である。
【図10】不活性ガス供給板のさらに他の例を示す下面図である。
【図11】第3の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部の構成を説明するための図である。
【図12】図11の不活性ガス供給板の下面図である。
【図13】第4の実施の形態に係る基板処理装置の洗浄処理部の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0139】
5a〜5d 洗浄処理部
11 不活性ガス供給口
12 処理液供給口
50 処理液ノズル
100 基板処理装置
110,110a 不活性ガス供給板
115 気体供給板
138 供給板回転駆動機構
W 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、
基板を略水平に保持する保持部と、
前記保持部により保持された基板に処理液を供給する処理液供給部と、
前記保持部により保持された基板に気体を供給する気体供給部と、
気体が前記保持部により保持された基板に旋回流として供給されるように前記気体供給部を回転させる回転駆動手段とを備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記気体供給部は、前記保持部により保持された基板に垂直な回転軸の周りで回転するとともに気体を吐出する気体吐出口を有することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記気体吐出口は、前記回転軸を中心とする複数の同心円上の位置にそれぞれ配置される複数の気体吐出口を含むことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記気体吐出口は、前記回転軸から外方に直線状または曲線状に延びるように設けられることを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理液供給部は、前記保持部により保持された基板に垂直な回転軸の周りで回転するとともに処理液を吐出する処理液吐出口を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理液吐出口は、前記回転軸を中心とする複数の同心円上の位置にそれぞれ配置される複数の処理液吐出口を含むことを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理液吐出口は、前記回転軸から外方に直線状または曲線状に延びるように設けられることを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記処理液吐出口は前記気体吐出口の前記回転方向における前方側に配置されることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記気体供給部は、プロペラ部材であることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項1】
基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、
基板を略水平に保持する保持部と、
前記保持部により保持された基板に処理液を供給する処理液供給部と、
前記保持部により保持された基板に気体を供給する気体供給部と、
気体が前記保持部により保持された基板に旋回流として供給されるように前記気体供給部を回転させる回転駆動手段とを備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記気体供給部は、前記保持部により保持された基板に垂直な回転軸の周りで回転するとともに気体を吐出する気体吐出口を有することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記気体吐出口は、前記回転軸を中心とする複数の同心円上の位置にそれぞれ配置される複数の気体吐出口を含むことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記気体吐出口は、前記回転軸から外方に直線状または曲線状に延びるように設けられることを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理液供給部は、前記保持部により保持された基板に垂直な回転軸の周りで回転するとともに処理液を吐出する処理液吐出口を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理液吐出口は、前記回転軸を中心とする複数の同心円上の位置にそれぞれ配置される複数の処理液吐出口を含むことを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理液吐出口は、前記回転軸から外方に直線状または曲線状に延びるように設けられることを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記処理液吐出口は前記気体吐出口の前記回転方向における前方側に配置されることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記気体供給部は、プロペラ部材であることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−251658(P2008−251658A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88387(P2007−88387)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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