説明

基板処理装置

【課題】効率的な生産が可能な基板処理装置を提供すること。
【解決手段】基板処理装置は、処理液で基板Wを処理するための処理ユニット6と、この処理ユニット6に処理液を供給する処理液供給部25とを含む。処理液供給部25は、所定の大きさに統一され、処理液が流通する配管28をそれぞれ有する複数の処理液供給モジュール22と、複数の処理液供給モジュール22をそれぞれ配置するための複数の配置空間が内部に設けられた流体ボックス7とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理するための基板処理装置が用いられる。基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、たとえば、基板を処理するための複数の基板処理部と、配管やバルブなどの流体機器がそれぞれ収容された複数の流体ボックスとを備えている。
【0003】
基板処理部には、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持された基板に処理液を供給する処理液ノズルとが設けられている。スピンチャックによって基板を回転させつつ処理液ノズルから基板に処理液を供給することにより基板が処理される。
【0004】
また、流体ボックスには、処理液ノズルに処理液を供給するための配管や配管に介装されたバルブなどの複数の流体機器が収容されている。処理液ノズルには、流体ボックスから延びる配管が接続されており、この配管を介して処理液供給源からの処理液が処理液ノズルに供給される。
【特許文献1】特開2007−266554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような基板処理装置には、1つの基板処理部に至る複数の流路が設けられているものがある。各流路は、処理液ノズルに処理液を供給するための配管と、この配管に介装されたバルブなどの複数の流体機器により構成されている。各流路に設置される流体機器としては、開閉バルブや、流量調整バルブ、流量計、処理液を混合するためのミキシングバルブなどがあり、各配管に設置される流体機器の構成は、処理液の供給方法などに応じて適宜選択される。たとえば、基板に対する処理液の供給流量を精密に制御するための流路には、流量調整バルブおよび流量計が設置される。また、複数種の処理液を配管内で混合して混合処理液を基板に供給するための流路には、ミキシングバルブが設置される。
【0006】
従来の基板処理装置では、基板に対する処理液の供給方法などの基板処理装置の仕様に応じて各流路に設置する流体機器の構成を決定し、1つの基板処理部に対応する複数の配管および流体機器を1つの流体ボックス内に収容していた。そのため、流体ボックスに収容される流体機器の数や配管の長さが基板処理装置ごとに異なる場合があり、流体ボックス内における配管のレイアウトが基板処理装置ごとに異なる場合があった。また、流体ボックス内において配管の途中部が上下に引き回されるレイアウトが採られる場合があり、流体ボックス内において異なる流路の配管同士が近接する場合があった。
【0007】
このように、従来の基板処理装置では、装置ごとに流体ボックス内における配管のレイアウトが異なる場合があるので、基板に対する処理液の供給方法などの基板処理装置の仕様が決定されてから流体ボックス内における配管のレイアウト設計を行う必要があった。また、配管のレイアウトパターンを設けて、このパターンを複数の基板処理装置に適用するなど効率的な設計を行うことができなかった。したがって、従来では、基板処理装置を効率的に生産することができなかった。
【0008】
また、流体ボックス内において異なる流路の配管同士が近接する場合があるので、系統が異なる配管同士(温度や種類などの性質が異なる処理液が流通する配管同士)が流体ボックス内で近接することがあった。しかしながら、たとえば温度が異なる処理液が流通する配管同士が近接すると、配管を流れる処理液が互いに影響を受けてその温度が変化するおそれがある。したがって、基板に対して所望の温度の処理液を供給することができないおそれがある。また、酸性の処理液が流れる配管とアルカリ性の処理液が流れる配管とが近接すると、たとえば配管を浸透してその外部に移動した処理液同士が接触してしまうおそれがある。
【0009】
さらに、従来の基板処理装置では、基板処理部に至るまでの流路長や、流体ボックス内における配管の取り回しが流路ごとに異なる場合があるので、同じ性質の処理液を各流路に送り込んだとしても、流路間で基板の処理品質に差が生じる場合がある。具体的には、基板処理部に至るまでの流路長などが異なると、同じ温度の処理液を各流路に送り込んだとしても、配管内を流通する過程で生じる処理液の温度降下が流路ごとに異なるので、流路ごとに異なる温度の処理液が基板に供給されてしまう。したがって、同じ性質の処理液を各流路に送り込んだとしても、基板の処理品質に差が生じてしまう場合がある。
【0010】
より詳細に説明すると、たとえば、同様の仕様の基板処理装置で同じ性質の処理液を用いてそれぞれ基板を処理したとしても、基板処理部に至るまでの流路長などが異なると、同じ処理品質を得ることができない場合がある。基板処理装置の使用者は、通常、同仕様の基板処理装置で同じ性質の処理液を用いて基板を処理すれば、同じ処理品質を得ることができると期待するが、従来の基板処理装置では、このような使用者の期待に反する結果をもたらす場合があった。
【0011】
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、効率的な生産が可能な基板処理装置を提供することを目的とする。
【0012】
また、この発明の他の目的は、配管同士を隔離することができる基板処理装置を提供することである。
【0013】
さらに、この発明の他の目的は、基板処理部に至るまでの流路長のばらつきを抑制または防止することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)に処理液を供給して処理を行う基板処理装置であって、処理液で基板を処理するための基板処理部(6)と、この基板処理部に処理液を供給する処理液供給部(25,125)とを含み、前記処理液供給部は、所定の大きさに統一され、処理液が流通する配管(28)をそれぞれ有する複数の処理液供給モジュール(22)と、前記複数の処理液供給モジュールをそれぞれ配置するための複数の配置空間(26)が内部に設けられたモジュール装填部(7,107)とを含む、基板処理装置(1)である。
【0015】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すものとする。
【0016】
この発明によれば、基板処理部に処理液を供給するための所定の機能がそれぞれ備えられた複数の処理液供給モジュールが処理液供給部に設けられている。したがって、基板処理装置の仕様に応じた機能を各処理液供給モジュールに備えておけば、基板処理装置の仕様に応じた処理液供給部を形成することができる。また、モジュール装填部の内部には、複数の処理液供給モジュールを配置するための複数の配置空間が設けられているので、これらの配置空間にそれぞれ複数の処理液供給モジュールを配置することにより、容易に処理液供給部を形成することができる。
【0017】
さらに、複数の処理液供給モジュールは、配置空間に配置可能な所定の大きさに統一されているから、たとえば、複数種の処理液供給モジュールから基板処理装置の仕様に応じた複数の処理液供給モジュールを選択し、選択された処理液供給モジュールを用いて処理液供給部を形成することができる。具体的には、配置空間に配置可能な所定の大きさに統一され、異なる機能をそれぞれ有する複数種の処理液供給モジュールを予め準備または設計しておく。そして、これらの処理液供給モジュールから基板処理装置の仕様に応じた複数の処理液供給モジュールを選択し、選択された複数の処理液供給モジュールをモジュール装填部に装填する。これにより、基板処理装置の仕様に応じた処理液供給部を容易に形成することができる。また、このようにすれば、従来のような配管のレイアウト設計が不要であり、基板処理装置の仕様が決定されてから当該装置が完成するまでの時間を短縮することができる。さらに、複数の基板処理装置間で処理液供給モジュールの仕様を共通化することができるので、装置ごとに処理液供給モジュールの設計を行う必要がない。したがって、基板処理装置の生産効率を向上させることができる。
【0018】
請求項2記載の発明は、前記モジュール装填部は、前記処理液供給モジュールを取付および取外しすることができるように形成されたものである、請求項1記載の基板処理装置である。
【0019】
この発明によれば、モジュール装填部が処理液供給モジュールを取付および取外しすることができるように形成されているので、たとえば、モジュール装填部に装填された処理液供給モジュールを取り外して、外された位置に他の処理液供給モジュールを取り付けることができる。したがって、処理液供給部の仕様を容易に変更することができる。
【0020】
請求項3記載の発明は、各処理液供給モジュールは、所定の大きさに統一されたトレー(27)と、このトレーに取り付けられた配管(28)および機器(29)からなるものであり、前記モジュール装填部(7)は、前記複数の配置空間が上下方向に積層配置されたものである、請求項1または2記載の基板処理装置である。
【0021】
この発明によれば、それぞれの機能に応じた配管および機器を所定の大きさに統一されたトレーに取り付けることにより、所定の大きさに統一された複数の処理液供給モジュールを形成することができる。また、複数の配置空間が上下方向に積層配置されているので、複数のトレーを上下方向に積層させた状態で、複数の処理液供給モジュールをモジュール装填部の内部に配置することができる。すなわち、複数の処理液供給モジュールをモジュール装填部の内部において上下方向に積層配置することができる。これにより、モジュール装填部のフットプリント(占有面積)を低減することができる。したがって、基板処理装置のフットプリントを低減することができる。
【0022】
請求項4記載の発明は、各処理液供給モジュールは、所定の大きさに統一されたトレーと、このトレーに取り付けられた配管(28)および機器(29)からなるものであり、前記モジュール装填部(107)は、前記複数の配置空間が水平方向に並んで配置されたものである、請求項1または2記載の基板処理装置である。
【0023】
この発明によれば、それぞれの機能に応じた配管および機器を所定の大きさに統一されたトレーに取り付けることにより、所定の大きさに統一された複数の処理液供給モジュールを形成することができる。また、複数の配置空間が水平方向に並んで配置されているので、複数のトレーを水平方向に並んで配置させた状態で、複数の処理液供給モジュールをモジュール装填部の内部に配置することができる。すなわち、複数の処理液供給モジュールをモジュール装填部の内部において水平方向に並んで配置することができる。これにより、モジュール装填部の高さを低減することができる。したがって、基板処理装置の高さを低減することができる。
【0024】
請求項5記載の発明は、各処理液供給モジュールの前記配管は、前記トレーに沿って配置されている、請求項3または4記載の基板処理装置である。
【0025】
この発明によれば、各処理液供給モジュールの配管が対応するトレーに沿って配置されており、各配管の配置が平面的な配置に統一されている。したがって、複数の処理液供給モジュール間での配管長のばらつきを抑制または防止でき、基板処理部に至るまでの流路長のばらつきを抑制または防止することができる。
【0026】
請求項6記載の発明は、前記トレーは、前記モジュール装填部の内部を仕切ることができるように形成されたものである、請求項3〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0027】
この発明によれば、複数の処理液供給モジュールをモジュール装填部に装填することにより、モジュール装填部の内部を複数のトレーによって仕切ることができる。これにより、各処理液供給モジュールに設けられた配管および機器と他の配管および機器との間をトレーによって仕切って、各処理液供給モジュールに設けられた配管および機器を他の配管および機器から隔離することができる。したがって、たとえば温度の異なる処理液が流通する2つの処理液供給モジュールが隣接している場合でも、これらの処理液供給モジュールの配管をトレーによって隔離して、処理液の温度が変化することを抑制または防止することができる。また、酸性の処理液が流通する処理液供給モジュールとアルカリ性の処理液が流通する処理液供給モジュールとが隣接している場合でも、これらの処理液供給モジュールの配管をトレーによって隔離して、酸性の処理液とアルカリ性の処理液とが接触することを抑制または防止することができる。
【0028】
請求項7記載の発明は、前記複数の処理液供給モジュールは、配管の接続位置が所定の位置に統一されているものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0029】
この発明によれば、配管の接続位置を複数の処理液供給モジュール間で所定の位置に統一することにより、配管の配置を制約して、複数の処理液供給モジュール間での配管長のばらつきを抑制または防止することができる。これにより、基板処理部に至るまでの流路長のばらつきを抑制または防止することができる。
【0030】
請求項8記載の発明は、前記配管に処理液を供給する処理液配管(40)と、前記配管内を洗い流すための配管洗浄液を前記配管に供給する洗浄液配管(42,47)と、前記配管に対して前記処理液配管からの処理液または前記洗浄液配管からの配管洗浄液が供給されるように流路を切り換えるための切り換え手段(36,37)とをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0031】
この発明によれば、切り換え手段によって流路を切り換えて、処理液供給モジュールに設けられた配管に処理液配管からの処理液を供給したり、洗浄液配管からの配管洗浄液を供給したりすることができる。これにより、処理液供給モジュールを介して基板処理部に処理液を供給したり、洗浄液配管からの配管洗浄液によって配管内を洗い流して当該配管を洗浄したりすることができる。
【0032】
また、切り換え手段を設けて流路の切り換えを可能とすることにより、たとえば処理液配管が複数の処理液供給モジュールに接続されている場合でも、その一部の処理液供給モジュールだけ処理液の供給を停止させて、他の処理液供給モジュールへの処理液の供給を継続させることができる。そして、前記他の処理液供給モジュールへの処理液の供給を継続させた状態で、処理液の供給を停止させた処理液供給モジュールの配管を配管洗浄液によって洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置1のレイアウトを示す図解的な平面図である。この基板処理装置1は、半導体ウエハなどの基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、インデクサブロック2と、インデクサブロック2に結合された処理ブロック3とを備えている。
【0035】
インデクサブロック2は、キャリア保持部4と、インデクサロボットIRと、インデクサロボット移動機構5(以下では、「IR移動機構5」という。)とを備えている。キャリア保持部4は、複数枚の基板Wを収容できるキャリアCを保持することができる。キャリアCは、所定のキャリア配列方向Uに沿って配列された状態で、キャリア保持部4に保持される。IR移動機構5は、キャリア配列方向Uに沿ってインデクサロボットIRを水平移動させることができる。インデクサロボットIRは、キャリア保持部4に保持されたキャリアCに基板Wを搬入する搬入動作、および基板WをキャリアCから搬出する搬出動作を行うことができる。キャリアCとしては、基板Wを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)であってもよいし、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッドやOC(Open Cassette)等の他の形態のものであってもよい。
【0036】
一方、処理ブロック3は、基板Wを処理液で処理するための複数の処理ユニット6(基板処理部)と、配管やバルブなどの流体機器が収容された複数の流体ボックス7(モジュール装填部)と、センターロボットCRとを備えている。本実施形態では、処理ユニット6および流体ボックス7がたとえば12個ずつ設けられている。12個の処理ユニット6は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように、水平に離れた4つの場所に3個ずつで配置されている。図示はしないが、それぞれの場所において、3個の処理ユニット6は上下に並んで配置されている。キャリア配列方向Uに直交する水平方向H(以下では、単に「水平方向H」という。)に関して処理ユニット6は隣接しており、キャリア配列方向Uに関して処理ユニット6の間には所定の間隔が設けられている。
【0037】
処理ユニット6および流体ボックス7は、1対1で対応しており、各流体ボックス7は、水平方向Hに関して対応する処理ユニット6に隣接している。すなわち、12個の流体ボックス7は、処理ユニット6に隣接する水平に離れた4つの場所に3個ずつで配置されている。図示はしないが、それぞれの場所において、3個の流体ボックス7は上下に並んで配置されている。各処理ユニット6には、対応する流体ボックス7から処理液が供給されるようになっている。
【0038】
センターロボットCRは、全ての処理ユニット6にアクセスすることができ、処理ユニット6に基板Wを搬入する搬入動作、および基板Wを処理ユニット6から搬出する搬出動作を行うことができる。また、センターロボットCRは、インデクサロボットIRから基板Wを受け取ることができ、インデクサロボットIRに基板Wを渡すことができる。したがって、センターロボットCRは、インデクサロボットIRから未処理の基板Wを受け取って、当該基板Wをいずれかの処理ユニット6に搬入することができる。また、センターロボットCRは、処理済の基板Wを処理ユニット6から搬出してインデクサロボットIRに渡すことができる。これにより、キャリアCに収容された未処理の基板Wを処理ユニット6において処理することができ、処理ユニット6で処理された処理済の基板WをキャリアCに搬入することができる。インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRの動作は、制御部8によって制御される。
【0039】
図2は、処理ユニット6および流体ボックス7の概略構成を示す模式図である。
【0040】
各処理ユニット6は、隔壁9で区画された処理室10内に、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック11と、スピンチャック11に保持された基板Wの上面に処理液を供給するための第1上面ノズル12および第2上面ノズル13と、基板Wから排出される処理液を受け止めて捕獲するためのカップ14とを備えている。
【0041】
スピンチャック11は、鉛直な方向に延びる回転軸15と、回転軸15の上端に水平に取り付けられた円盤状のスピンベース16と、このスピンベース16の上面周縁部に配置された複数個の挟持部材17と、回転軸15に連結された図示しないモータとを備えている。スピンチャック11は、各挟持部材17を基板Wの周端面に当接させることにより、スピンベース16の上方で水平な姿勢で基板Wを挟持することができる。複数個の挟持部材17によって基板Wを挟持した状態で、モータの駆動力を回転軸15に入力させることにより、基板Wの中心を通る鉛直な軸線まわりに基板Wを回転させることができる。
【0042】
また、回転軸15は、中空軸であり、その内部には、下側処理液供給管19が非接触状態で挿通されている。下側処理液供給管19には、流体ボックス7から処理液が供給されるようになっており、下側処理液供給管19に供給された処理液は、下側処理液供給管19の上端に設けられた下面ノズル20から基板Wの下面中央部に向けて上方に吐出される。スピンチャック11によって基板Wを回転させつつ、下面ノズル20から処理液を吐出させると、吐出された処理液は基板Wの下面中央部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁に向かって瞬時に広がっていく。したがって、スピンチャック11によって基板Wを回転させつつ、下面ノズル20から処理液を吐出させることにより、基板Wの下面全域に処理液を供給することができる。
【0043】
なお、スピンチャック11としては、このような構成のものに限らず、たとえば、基板Wの下面(裏面)を真空吸着することにより基板Wを水平な姿勢で保持して、さらにその状態で鉛直な軸線まわりに回転することにより、その保持した基板Wを回転させることができる真空吸着式のもの(バキュームチャック)が採用されてもよい。
【0044】
第1上面ノズル12は、吐出口を下方に向けた状態でスピンチャック11の上方に配置されている。第1上面ノズル12は、流体ボックス7から供給される処理液をスピンチャック11に保持された基板Wの上面中央部に向けて吐出することができる。スピンチャック11によって基板Wを回転させつつ、第1上面ノズル12から処理液を吐出させると、吐出された処理液が基板Wの上面中央部に着液し、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの周縁に向かって瞬時に広がっていく。したがって、スピンチャック11によって基板Wを回転させつつ、第1上面ノズル12から処理液を吐出させることにより、基板Wの上面全域に処理液を供給することができる。
【0045】
同様に、第2上面ノズル13は、吐出口を下方に向けた状態でスピンチャック11の上方に配置されており、流体ボックス7から供給される処理液をスピンチャック11に保持された基板Wの上面中央部に向けて吐出することができる。スピンチャック11によって基板Wを回転させつつ、第2上面ノズル13から処理液を吐出させることにより、基板Wの上面全域に処理液を供給することができる。
【0046】
第1上面ノズル12としては、基板W上での処理液の着液位置が固定された、いわゆる固定ノズルの形態が採用されてもよいし、基板W上での処理液の着液位置を基板Wの回転中心と周縁との間で移動させることができる、いわゆるスキャンノズルの形態が採用されてもよい。同様に、第2上面ノズル13としては、基板W上での処理液の着液位置が固定された、いわゆる固定ノズルの形態が採用されてもよいし、基板W上での処理液の着液位置を基板Wの回転中心と周縁との間で移動させることができる、いわゆるスキャンノズルの形態が採用されてもよい。
【0047】
カップ14は、上端が開放された有底筒状であり、スピンベース16を取り囲んでいる。下面ノズル20から基板Wに供給され、基板Wの周囲に排出される処理液は、カップ14によって受け止められる。同様に、第1および第2上面ノズル12,13から基板Wに供給され、基板Wの周囲に排出される処理液は、カップ14によって受け止められる。これにより、スピンチャック11に保持された基板Wから排出される処理液をカップ14によって受け止めて捕獲することができる。カップ14の底部には、捕獲された処理液を流体ボックス7に導くための排液配管21が接続されている。
【0048】
処理ユニット6において基板Wを処理するときは、たとえば、スピンチャック11によって基板Wを回転させつつ、下面ノズル20と第1または第2上面ノズル12,13とから処理液としての薬液を連続吐出させる。これにより、基板Wの上面全域および下面全域に薬液が供給され、基板Wの上面および下面に薬液処理が施される。また、基板Wに供給され基板Wの周囲に排出される薬液は、カップ14によって受け止められ捕獲される。
【0049】
薬液による処理が所定時間にわたって行われた後は、下面ノズル20と第1または第2上面ノズル12,13とから処理液としてのリンス液を連続吐出させて、回転状態の基板Wの上面および下面にリンス液を供給する。これにより、基板Wの上面全域および下面全域にリンス液が供給され、基板Wに付着している薬液がリンス液によって洗い流される(リンス処理)。また、基板Wから排出される薬液やリンス液は、カップ14によって受け止められ捕獲される。リンス処理が所定時間にわたって行われた後は、スピンチャック11によって基板Wを高速回転させて当該基板Wを乾燥させる(スピンドライ)。
【0050】
一方、各流体ボックス7には、複数の処理液供給モジュール22と、ミキシングバルブ23と、排液タンク24とが収容されている。この実施形態では、流体ボックス7、複数の処理液供給モジュール22、およびミキシングバルブ23によって1つの処理液供給部25が構成されている。すなわち、基板処理装置1には、複数の処理ユニット6にそれぞれ対応する複数の処理液供給部25が設けられている。
【0051】
流体ボックス7は、たとえば概ね直方体状に形成されており、その内部には、複数の処理液供給モジュール22をそれぞれ配置するための複数の配置空間26(図3参照)が設けられている。複数の配置空間26は、大きさが統一された空間であり、流体ボックス7の内部において上下方向に積層配置されている。したがって、複数の処理液供給モジュール22は、流体ボックス7の内部において上下方向に積層配置されている。複数の処理液供給モジュール22を上下方向に積層配置することにより、流体ボックス7のフットプリント(占有面積)を低減することができる。これにより、基板処理装置1のフットプリントを低減することができる。
【0052】
処理液供給モジュール22は、図示しない処理液供給源から供給される処理液をいずれかのノズル12,13,20に供給するためのものである。各処理液供給モジュール22は、たとえば、処理液供給機能、処理液混合機能、流量調整機能、および処理液循環機能のうちのいずれかの機能を有している。処理液供給機能は、いずれかのノズル12,13,20に処理液を供給する機能であり、処理液混合機能は、配管内で処理液を混合していずれかのノズル12,13,20に混合処理液を供給する機能である。また、流量調整機能は、流量を調整して所定流量の処理液をいずれかのノズル12,13,20に供給する機能であり、処理液循環機能は、ノズル12,13,20に処理液を供給していない間に処理液供給源から供給された処理液を当該処理液供給源に帰還させて処理液を循環させる機能である。各処理液供給モジュール22には、温度の異なる処理液、酸性の処理液、アルカリ性の処理液などを含む性質の異なる複数の処理液のうちのいずれかの処理液が供給されるようになっている。
【0053】
また、各処理液供給モジュール22は、配置空間26に配置可能な所定の大きさに統一されている。各処理液供給モジュール22は、トレー27と、トレー27に取り付けられた処理液供給配管28(配管)および流体機器群29(機器)とを有している。トレー27は、たとえば平面視矩形状であり(図4参照)、その大きさが複数の処理液供給モジュール22間で統一されている。処理液供給配管28および流体機器群29は、対応するトレー27の一方の面に沿って配置されており、平面的な配置に統一されている。
【0054】
処理液供給配管28は、たとえばPFA(パーフルオロアルコキシエチレン)などのフッ素樹脂により形成されており、流体機器群29は、処理液供給配管28に介装されたバルブなどにより構成されている。流体機器群29を構成する機器としては、たとえば、開閉バルブ、流量調整バルブ、流量計、逆止弁、三方弁、流量コントローラ、攪拌装置や、処理液を混合するためのミキシングバルブなどが含まれる。各処理液供給モジュール22に設けられた流体機器群29は、処理液供給モジュール22の機能ごとに異なる構成にされている。
【0055】
流体ボックス7は、いずれの配置空間26でもトレー27を取付および取外しできるように形成されており、複数のトレー27は、それぞれ水平姿勢で流体ボックス7に取り付けられている。複数のトレー27は、流体ボックス7内において、上下方向に積層配置されている。処理液供給配管28および流体機器群29は、流体ボックス7内において、対応するトレー27の上方に位置している。トレー27は、流体ボックス7の内部を上下方向に仕切ることができるように形成されており、各処理液供給モジュール22に設けられた処理液供給配管28および流体機器群29は、トレー27によって他の処理液供給配管28および流体機器群29から隔離されている。
【0056】
流体ボックス7内において、各処理液供給モジュール22に設けられた処理液供給配管28および流体機器群29を他の処理液供給配管28および流体機器群29から隔離することにより、たとえば隣接する2つの処理液供給モジュール22に温度の異なる処理液が供給される場合でも、これらの処理液供給モジュール22にそれぞれ設けられた2つの処理液供給配管28を流れる処理液が互いに影響を受けてその温度が変化することを抑制または防止することができる。また、隣接する2つの処理液供給モジュール22にそれぞれ酸性の処理液およびアルカリ性の処理液が供給される場合であっても、たとえば処理液供給配管28に浸透してその外部に移動した酸性の処理液とアルカリ性の処理液とが接触することを抑制または防止することができる。
【0057】
また、各処理液供給配管28は、トレー27に対するその一端の位置(処理液の入口の位置)が複数の処理液供給モジュール22間で統一されており、トレー27に対するその他端の位置(処理液の出口の位置)が複数の処理液供給モジュール22間で統一されている。すなわち、複数の処理液供給モジュール22は、当該処理液供給モジュール22に処理液を供給する配管や、当該処理液供給モジュール22から処理液の供給を受ける配管との接続位置がそれぞれ所定の位置に統一されている。このように、トレー27に対する処理液供給配管28の一端および他端の位置をそれぞれ所定の位置に統一して処理液供給配管28の配置を制約するとともに、処理液供給配管28を対応するトレー27の一方の面に沿って配置することにより、一端から他端に至る処理液供給配管28の長さを複数の処理液供給モジュール22間で概ね等しくすることができる。これにより、処理液供給モジュール22から処理ユニット6に供給される処理液の性質を均一にすることができる。
【0058】
すなわち、たとえば同じ温度の処理液を各処理液供給モジュール22の処理液供給配管28に送り込んだとしても、これらの処理液供給モジュール22間で処理液供給配管28の長さが均一でないと、たとえば処理液供給配管28を流通する過程で生じる処理液の温度降下が処理液供給配管28ごとに異なるので、処理液供給モジュール22ごとに異なる温度の処理液が基板Wに供給されてしまう。したがって、複数の処理液供給モジュール22間で処理液供給配管28の長さを均一にすることにより、たとえば温度により性質が変化する処理液を各処理液供給モジュール22から処理ユニット6に供給する場合であっても、均一な性質の処理液を処理ユニット6に供給することができる。これにより、基板Wの処理品質の均一性を向上させることができる。
【0059】
図2に示すように、この実施形態では、7つの処理液供給モジュール22が流体ボックス7に収容されている。一番上に配置された処理液供給モジュール22には、リンス液の一例である純水(脱イオン水)が供給されるようになっている。また、他の6つの処理液供給モジュール22には、それぞれ、性質の異なる処理液が供給されるようになっている。以下では、7つの処理液供給モジュール22を上から順番に、それぞれ第1処理液供給モジュール22、第2処理液供給モジュール22、第3処理液供給モジュール22、第4処理液供給モジュール22、第5処理液供給モジュール22、第6処理液供給モジュール22、第7処理液供給モジュール22という。
【0060】
第1〜第6処理液供給モジュール22は、それぞれミキシングバルブ23に接続されており、ミキシングバルブ23に接続された第1上配管30および下配管31をそれぞれ介して第1上面ノズル12および下面ノズル20に接続されている。ミキシングバルブ23は、複数のエア弁23a(空気圧により開閉される開閉バルブ)と複数の流路とが一体的に形成されたものであり、個々のエア弁23aの開閉は、制御部8(図1参照)によって制御される。ミキシングバルブ23に設けられた個々のエア弁23aを開閉させることにより、第1〜第6処理液供給モジュール22からそれぞれ供給される処理液を第1上面ノズル12および/または下面ノズル20に供給することができる。
【0061】
また、第7処理液供給モジュール22は、ミキシングバルブ23を介さずに第2上配管32によって第2上面ノズル13に接続されている。第7処理液供給モジュール22に供給された処理液は、第2上配管32を介して第2上面ノズル13に供給される。このように、ミキシングバルブ23を介さずに第7処理液供給モジュール22を第2上面ノズル13に接続することにより、第7処理液供給モジュール22に供給された処理液を、他の処理液と混ざり合わすことなく第2上面ノズル13に供給することができる。
【0062】
ミキシングバルブ23は、第1〜第6処理液供給モジュール22から供給される処理液を第1上配管30を介して第1上面ノズル12に供給することができ、第1〜第6処理液供給モジュール22のうち2つ以上の処理液供給モジュール22から供給された処理液をその内部で混合して、混合処理液を第1上面ノズル12に供給することができる。同様に、ミキシングバルブ23は、第1〜第6処理液供給モジュール22から供給される処理液を下配管31を介して下面ノズル20に供給することができ、第1〜第6処理液供給モジュール22のうち2つ以上の処理液供給モジュール22から供給された処理液をその内部で混合して、混合処理液を下面ノズル20に供給することができる。
【0063】
ノズル12,13,20からスピンチャック11に保持された基板Wに供給された処理液は、基板Wの周囲に排出され、カップ14によって捕獲される。そして、カップ14によって捕獲された処理液は、カップ14の底部に接続された排液配管21によって、排液タンク24に導かれる。
【0064】
図3は、複数の処理液供給モジュール22について説明するための処理液供給部25の模式図である。
【0065】
前述のように流体ボックス7には、複数の処理液供給モジュール22が収容されている。これらの処理液供給モジュール22は、それぞれ機能の異なる複数種の処理液供給モジュール22により構成された処理液供給モジュール群33から基板処理装置1の仕様に応じて選択されたものである。すなわち、この実施形態では、予め準備または設計された処理液供給モジュール群33から基板処理装置1の仕様に応じた複数の処理液供給モジュール22が選択され、この選択された複数の処理液供給モジュール22が流体ボックス7に取り付けられている。これにより、基板処理装置1の仕様に応じた処理液供給部25が構成されている。
【0066】
処理液供給モジュール群33は、たとえば、前述の処理液供給機能、処理液混合機能、流量調整機能、および処理液循環機能をそれぞれ有する複数種の処理液供給モジュール22によって構成されており、処理液供給モジュール群33を構成する各処理液供給モジュール22は、トレー27、処理液供給配管28、および流体機器群29を有している。処理液供給モジュール群33を構成する各処理液供給モジュール22は、配置空間26に配置可能な所定の大きさに統一されている。したがって、処理液供給モジュール群33から選択した処理液供給モジュール22であれば、いずれの配置空間26でも配置することができる。これにより、処理液供給モジュール群33から基板処理装置1の仕様に応じた複数の処理液供給モジュール22を選択し、この選択した処理液供給モジュール22を流体ボックス7に取り付けることができる。また、処理液供給部25の仕様を変更する場合でも、流体ボックス7に取り付けられた処理液供給モジュール22を流体ボックス7から外して、外された位置に他の処理液供給モジュール22を取り付ければよいので、容易に処理液供給部25の仕様を変更することができる。
【0067】
図4は、処理液供給モジュール22の構成の一例を示す模式的な平面図である。図4に示す処理液供給モジュール22は、処理液循環機能を有する処理液供給モジュール22である。
【0068】
処理液循環機能を有する処理液供給モジュール22は、たとえば、トレー27と、2つの処理液供給配管28(以下では、図4における上側の処理液供給配管28を「第1処理液供給配管28」といい、下側の処理液供給配管28を「第2処理液供給配管28」という。)と、第1および第2処理液供給配管28にそれぞれ介装された第1三方弁36および第2三方弁37(切り換え手段)とを有している。各処理液供給配管28は、その一端28a(図4では、左端)および他端28b(図4では、右端)がトレー27の縁部に位置するようにトレー27に取り付けられている。各処理液供給配管28の一端28aおよび他端28bには、配管を接続するための継ぎ手38がそれぞれ取り付けられている。各処理液供給配管28の一端28aには、継ぎ手38を介してミキシングバルブ23が接続されている。また、第1および第2処理液供給配管28は、互いの途中部が接続配管39によって接続されている。
【0069】
第1処理液供給配管28の他端28bには、第1処理液供給配管28に処理液を供給する供給配管40(処理液配管)が接続されている。また、供給配管40の一端40a(図4では、右端)には、循環配管41が接続されている。第1処理液供給配管28には、供給配管40および循環配管41を介して図示しない処理液供給源からの処理液が供給される。循環配管41は、複数の処理液供給部25に処理液を供給するための配管であり、これらの処理液供給部25にそれぞれ設けられた共通の処理液が供給される複数の処理液供給モジュール22には、循環配管41を介して処理液が供給されるようになっている。
【0070】
また、第1三方弁36には、第1処理液供給配管28に配管洗浄液を供給する第1洗浄液配管42(洗浄液配管)が接続されている。第1洗浄液配管42には、第1逆止弁45が介装されており、この第1逆止弁45によって、第1洗浄液配管42の一端42a(図4では、右端)に向かう液体の流れが堰き止められる。また、第1洗浄液配管42の一端42aには継ぎ手43が設けられており、この継ぎ手43を介して第1洗浄液配管42に第1洗浄液供給配管44を接続できるようになっている。
【0071】
第1洗浄液配管42に第1洗浄液供給配管44を取り付けることにより、第1洗浄液配管42に配管洗浄液(この実施形態では、純水)を供給することができる。そして、第1三方弁36を操作して、第1処理液供給配管28の一端28aと他端28bとを結ぶ流路から第1洗浄液配管42と第1処理液供給配管28の一端28aとを結ぶ流路に切り換えることにより、第1処理液供給配管28に純水を供給することができる。これにより、第1処理液供給配管28内を洗浄することができる。純水による第1処理液供給配管28の洗浄は、たとえば第1処理液供給配管28に介装されたバルブなどの流体機器が故障したときに行われる。そして、第1処理液供給配管28が所定時間(たとえば、数時間)にわたって洗浄され、内部の薬液が除去された後、故障した流体機器が取り換えられる。
【0072】
一方、第2処理液供給配管28の他端28bには、処理液供給モジュール22に供給された処理液を帰還させる帰還配管46が接続されている。また、帰還配管46の一端46a(図4では、右端)には、前述の循環配管41が接続されている。帰還配管46は、循環配管41に対して供給配管40よりも下流側に接続されている。後述するように、この処理液供給モジュール22によって処理液を循環させるときは、第2処理液供給配管28および帰還配管46を介して処理液供給モジュール22に供給された処理液を循環配管41に帰還させる。
【0073】
また、第2三方弁37には、第2処理液供給配管28に配管洗浄液を供給する第2洗浄液配管47(洗浄液配管)が接続されている。第2洗浄液配管47には、第2逆止弁50が介装されており、この第2逆止弁50によって、第2洗浄液配管47の一端47a(図4では、右端)に向かう液体の流れが堰き止められる。また、第2洗浄液配管47の一端47aには継ぎ手48が設けられており、この継ぎ手48を介して第2洗浄液配管47に第2洗浄液供給配管49を接続できるようになっている。
【0074】
第2洗浄液配管47に第2洗浄液供給配管49を取り付けることにより、第2洗浄液配管47に配管洗浄液としての純水を供給することができる。そして、第2三方弁37を操作して、第2処理液供給配管28の一端28aと他端28bとを結ぶ流路から第2洗浄液配管47と第2処理液供給配管28の一端28aとを結ぶ流路に切り換えることにより、第2処理液供給配管28に純水を供給することができる。これにより、第2処理液供給配管28内を洗浄することができる。純水による第2処理液供給配管28の洗浄は、たとえば第2処理液供給配管28に介装されたバルブなどの流体機器が故障したときに行われる。そして、第2処理液供給配管28が所定時間(たとえば、数時間)にわたって洗浄され、内部の薬液が除去された後、故障した流体機器が取り換えられる。
【0075】
この処理液供給モジュール22から処理ユニット6に処理液を供給するときは、第1三方弁36を操作して、供給配管40から第1処理液供給配管28に供給された処理液を第1処理液供給配管28の一端28aに向かって流通させる。また、第2三方弁37を操作して、第2処理液供給配管28の一端28aと他端28bとの間での処理液の流通を停止させる。すなわち、第2洗浄液配管47と第2処理液供給配管28の一端28aとを結ぶ流路を確保しておく。そして、制御部8(図1参照)によりミキシングバルブ23を制御して、この処理液供給モジュール22に対応するエア弁23aを開く。
【0076】
このように第1三方弁36、第2三方弁37およびミキシングバルブ23を操作等すると、供給配管40から第1処理液供給配管28に供給された処理液が、第1処理液供給配管28の一端28aに向かって流れていき、ミキシングバルブ23を介して処理ユニット6に設けられた第1上面ノズル12または下面ノズル20に供給される。また、第2処理液供給配管28には、接続配管39を介して第1処理液供給配管28から処理液が供給され、第2処理液供給配管28からミキシングバルブ23を介して第1上面ノズル12または下面ノズル20に供給される。また、このとき第2三方弁37が、第2処理液供給配管28の一端28aと他端28bとの間での処理液の流通が停止されるように操作されているので、第2処理液供給配管28に供給され、その他端28b側に向かう処理液は、第2三方弁37により方向が制御されて第2洗浄液配管47に向かって流れていく。そして、第2洗浄液配管47に流れ込んだ処理液は、第2逆止弁50によってその流れが堰き止められる。
【0077】
次に、この処理液供給モジュール22に供給された処理液を帰還させて処理液を循環させる場合について説明する。
【0078】
この処理液供給モジュール22に供給された処理液を帰還させて処理液を循環させるときは、制御部8によりミキシングバルブ23を制御して、この処理液供給モジュール22に対応するエア弁23aを閉じる。そして、第1三方弁36を操作して、供給配管40から第1処理液供給配管28に供給された処理液を第1処理液供給配管28の一端28aに向かって流通させる。また、第2三方弁37を操作して、第2処理液供給配管28の一端28aと他端28bとを結ぶ流路を確保する。
【0079】
このように第1三方弁36、第2三方弁37およびミキシングバルブ23を操作等すると、供給配管40から第1処理液供給配管28に供給された処理液は、ミキシングバルブ23が閉じられているので、処理ユニット6に供給されることなく、その殆どが接続配管39を介して第2処理液供給配管28に供給される。そして、第2処理液供給配管28に供給された処理液が第2処理液供給配管28の他端28b側に向かって流れていき、第2三方弁37および帰還配管46を通って循環配管41に帰還する。これにより、処理液供給モジュール22に供給された処理液を帰還させて処理液を循環させることができる。
【0080】
次に、処理液供給モジュール22への処理液の供給を停止させて、第1および第2処理液供給配管28を配管洗浄液としての純水によって洗浄する場合について説明する。
【0081】
処理液供給モジュール22への処理液の供給を停止させて、第1および第2処理液供給配管28を純水によって洗浄するときは、第1三方弁36を操作して、第1洗浄液配管42と第1処理液供給配管28の一端28aとを結ぶ流路を確保する。また、第1洗浄液配管42に、第1洗浄液供給配管44を接続して、第1洗浄液配管42に純水を供給する。同様に、第2三方弁37を操作して、第2洗浄液配管47と第2処理液供給配管28の一端28aとを結ぶ流路を確保する。また、第2洗浄液配管47に、第2洗浄液供給配管49を接続して、第2洗浄液配管47に純水を供給する。そして、制御部8によりミキシングバルブ23を制御して、この処理液供給モジュール22に対応するエア弁23aを開く。
【0082】
このように第1三方弁36、第2三方弁37およびミキシングバルブ23を操作等し、さらに、第1および第2洗浄液配管42,47に純水を供給すると、第1洗浄液配管42に供給された純水が、第1三方弁36を通って第1処理液供給配管28の一端28aに向かって流れ、ミキシングバルブ23を介して第1上面ノズル12または下面ノズル20に供給される。同様に、第2洗浄液配管47に供給された純水が、第2三方弁37を通って第2処理液供給配管28の一端28aに向かって流れ、ミキシングバルブ23を介して第1上面ノズル12または下面ノズル20に供給される。これにより、第1および第2処理液供給配管28や、これらの配管28に介装された流体機器の内部が純水によって洗浄される。
【0083】
このように、本実施形態では、第1および第2三方弁36,37を操作して流路を切り換えることにより、処理液供給モジュール22に対する処理液の供給を停止させることができる。したがって、本実施形態のように、循環配管41が複数の処理液供給モジュール22に接続されている場合でも、その一部の処理液供給モジュール22だけ処理液の供給を停止させて、他の処理液供給モジュール22への処理液の供給を継続させることができる。すなわち、各処理ユニット6には、対応する処理液供給部25から処理液が供給されるので、複数の処理ユニット6のうち一部の処理ユニット6だけ処理液の供給を停止させて、他の処理ユニット6への処理液の供給を継続させることができる。したがって、たとえば一部の処理液供給モジュール22が故障して一部の処理ユニット6への処理液の供給ができなくなった場合でも、当該処理ユニット6における基板Wの処理だけを停止させ、他の処理ユニット6における基板Wの処理を継続させることができる。そして、基板Wの処理を進行させながら、故障した処理液供給モジュール22を純水によって洗浄し、故障した流体機器を取り換えることができる。これにより、基板処理装置1のスループット(単位時間当たりの基板Wの処理枚数)の低下を抑制しつつ、故障した流体機器を取り換えることができる。
【0084】
以上のように本実施形態では、流体ボックス7の内部に、複数の処理液供給モジュール22をそれぞれ配置するための複数の配置空間26が設けられており、流体ボックス7内に配置された複数の処理液供給モジュール22が、配置空間26に配置可能な所定の大きさに統一されている。したがって、それぞれ機能の異なる複数種の処理液供給モジュール22により構成された処理液供給モジュール群33から基板処理装置1の仕様に応じた複数の処理液供給モジュール22を選択し、この選択した処理液供給モジュール22を流体ボックス7に取り付けることができる。これにより、基板処理装置1の仕様に応じた処理液供給部25を容易に形成することができる。また、このようにすれば、基板処理装置1の仕様が決定されてから行う従来のような配管のレイアウト設計が不要であり、基板処理装置1の仕様が決定されてから当該装置1が完成するまでの時間を短縮することができる。さらに、各処理液供給モジュール22をコンパクトにまとめることができ、処理液供給部25の省スペース化を図ることができる。さらにまた、複数の基板処理装置1間で処理液供給モジュール22の仕様を共通化することができるので、装置1ごとに処理液供給モジュール22の設計を行う必要がない。したがって、基板処理装置1の生産効率を向上させることができる。
【0085】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、前述の実施形態では、複数の処理液供給モジュール22をそれぞれ配置するための複数の配置空間26が流体ボックス7の内部において上下方向に積層配置されている場合について説明したが、これに限らない。具体的には、たとえば図5に示す処理液供給部125のように、複数の配置空間26が流体ボックス107の内部において水平方向に並んで配置されていてもよい。また、図5に示すように、複数の処理液供給モジュール22は、それぞれのトレー27が鉛直姿勢となるように、流体ボックス107の内部において水平方向に並んで配置されていてもよい。複数の配置空間26を水平方向に並んで配置した場合には、上下方向に積層配置した場合に比べて、流体ボックス107の高さを低減することができる。したがって、基板処理装置1の高さを低減することができる。
【0086】
また、図4を参照して説明した処理液供給モジュール22の構成の一例では、第1および第2処理液供給配管28がミキシングバルブ23を介してノズルに接続されている場合について説明したが、各処理液供給配管28は、たとえば図6に示すように、ミキシングバルブ23を介さずにノズルに接続されていてもよい。この場合、図6に示すように、各処理液供給配管28における接続配管39との接続位置よりも下流側(図6では、左側)にエア弁51をそれぞれ介装して、このエア弁51を制御部8(図1参照)によって制御して開閉させることにより、ノズルに対する処理液の供給および供給停止を制御してもよい。
【0087】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置のレイアウトを示す図解的な平面図である。
【図2】処理ユニットおよび流体ボックスの概略構成を示す模式図である。
【図3】複数の処理液供給モジュールについて説明するための処理液供給部の模式図である。
【図4】処理液供給モジュールの構成の一例を示す模式的な平面図である。
【図5】この発明の他の実施形態に係る処理液供給部の模式図である。
【図6】この発明のさらに他の実施形態に係る処理液供給モジュールの構成の一例を示す模式的な平面図である。
【符号の説明】
【0089】
1 基板処理装置
6 処理ユニット
7 流体ボックス
22 処理液供給モジュール
25 処理液供給部
26 配置空間
27 トレー
28 処理液供給配管
29 流体機器群
36 第1三方弁
37 第2三方弁
40 供給配管
42 第1洗浄液配管
47 第2洗浄液配管
125 処理液供給部
107 流体ボックス
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液を供給して処理を行う基板処理装置であって、
処理液で基板を処理するための基板処理部と、
この基板処理部に処理液を供給する処理液供給部とを含み、
前記処理液供給部は、
所定の大きさに統一され、処理液が流通する配管をそれぞれ有する複数の処理液供給モジュールと、
前記複数の処理液供給モジュールをそれぞれ配置するための複数の配置空間が内部に設けられたモジュール装填部とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記モジュール装填部は、前記処理液供給モジュールを取付および取外しすることができるように形成されたものである、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
各処理液供給モジュールは、所定の大きさに統一されたトレーと、このトレーに取り付けられた配管および機器からなるものであり、
前記モジュール装填部は、前記複数の配置空間が上下方向に積層配置されたものである、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
各処理液供給モジュールは、所定の大きさに統一されたトレーと、このトレーに取り付けられた配管および機器からなるものであり、
前記モジュール装填部は、前記複数の配置空間が水平方向に並んで配置されたものである、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項5】
各処理液供給モジュールの前記配管は、前記トレーに沿って配置されている、請求項3または4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記トレーは、前記モジュール装填部の内部を仕切ることができるように形成されたものである、請求項3〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記複数の処理液供給モジュールは、配管の接続位置が所定の位置に統一されているものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記配管に処理液を供給する処理液配管と、
前記配管内を洗い流すための配管洗浄液を前記配管に供給する洗浄液配管と、
前記配管に対して前記処理液配管からの処理液または前記洗浄液配管からの配管洗浄液が供給されるように流路を切り換えるための切り換え手段とをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−147212(P2010−147212A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322018(P2008−322018)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】