説明

基板処理装置

【課題】 流体圧作動弁の動作遅延や動作不良を防ぎ、応答速度を均一化させ、基板処理の品質を向上させる。
【解決手段】 基板を処理する処理室内への処理ガスの供給を制御するガス供給ユニットを備える基板処理装置であって、ガス供給ユニットは、上流側が処理ガスの供給源に接続され、下流側が処理室内へ連通するガス導入配管に接続されるガス供給流路と、ガス供給流路上に設けられ、流体配管を介した流体の供給により開閉が制御される流体圧作動弁と、制御信号を受信する信号受信部及び流体配管内に流体を供給する流体出力部を有し、信号受信部が受信した制御信号に基づいて流体配管を介した流体圧作動弁への流体の供給を制御する電磁弁と、少なくともガス供給流路及び流体圧作動弁の外部を気密に囲う気密筐体と、を備え、電磁弁は気密筐体に直接固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理ガスを供給して基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM等の半導体装置やLCDパネル等の製造工程の一工程として、基板が収容された処理室内へ処理ガスを供給し、基板上に成膜を形成したり、基板表面をエッチングしたりする基板処理工程が実施されている。処理室内への処理ガスの供給は、基板処理装置が備えるガス供給ユニットにより制御される。ガス供給ユニットは、処理ガスの流路であるガス供給流路と、ガス供給流路上に設けられた開閉弁と、ガス供給流路及び開閉弁の外部を囲う筐体と、を備えている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−204449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板処理の内容によっては、処理ガスとして、可燃性ガスや支燃性ガスが用いられることがある。筐体内に処理ガスが漏洩した際の安全を確保するため、上述の開閉弁として、流体配管を介した流体の供給により開閉動作が非電気的に制御される流体圧作動弁が用いられている。流体配管を介した流体圧作動弁への流体の供給は電磁弁によって行われている。なお、電磁弁は、筐体内部との電気的絶縁を確保するため、筐体の外部、すなわち所定距離離れた位置に設けられていた。
【0005】
しかしながら、上述の構成では、電磁弁と流体圧作動弁とを結ぶ流体配管が長くなり、流体圧作動弁の動作に遅延を生じさせ、処理ガスの供給開始や停止のタイミングが遅れ、基板への処理ガスの供給量が変動するなど基板処理の品質を低下させてしまう場合があった。また、上述の構成では、流体配管の途中(筐体を構成する壁をまたぐ部分)に設けられたパネルユニオン等の継ぎ手部分から流体が漏洩し易く、流体圧作動弁の動作不良を生じさせることがあった。また、電磁弁を設置する場所によっては、電磁弁と流体圧作動弁とを結ぶ流体配管の長さが変動する場合があり、流体圧作動弁の応答速度が不均一となって、基板処理の品質を低下させてしまう場合があった。
【0006】
本発明は、流体圧作動弁の動作遅延や動作不良を防ぎ、応答速度を均一化させ、基板処理の品質を向上させることが可能な基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、基板を処理する処理室内への処理ガスの供給を制御するガス供給ユニットを備える基板処理装置であって、前記ガス供給ユニットは、上流側が処理ガスの供給源に接続され、下流側が前記処理室内へ連通するガス導入配管に接続されるガス供給流路と、前記ガス供給流路上に設けられ、流体配管を介した流体の供給により開閉が制御される流体圧作動弁と、制御信号を受信する信号受信部及び前記流体配管内に流体を供給する流体出力部を有し、前記信号受信部が受信した制御信号に基づいて前記流体配管を介した前記流体圧作動弁への流体の供給を制御する電磁弁と、少なくとも前記ガス供給流路及び前記流体圧作動弁の外部を気密に囲う気密筐体と、を備え、前記電磁弁は前記気密筐体に直接固定されている基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る基板処理装置によれば、流体圧作動弁の動作遅延や動作不良を防ぎ、応答速度を均一化させ、基板処理の品質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るガス供給ユニット及びその周辺の概略構成図である。
【図2】従来のガス供給ユニットの斜透視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るガス供給ユニットの斜透視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るガス供給ユニットの部分断面拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る電磁弁の斜視図であり、(a)は流体出力部側を、(b)は信号受信部側をそれぞれ示している。
【図6】(a)は、本発明の一実施形態にて好適に用いられる基板処理装置の処理炉の縦断面図であり、(b)は、図6(a)に示す処理炉のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
図6(a)は、本実施形態にて好適に用いられる基板処理装置の処理炉202の縦断面図である。図6(b)は、図6(a)に示す処理炉202のA−A’断面図である。
【0012】
図1に示されているように、処理炉202は、反応管としてのプロセスチューブ203を備えている。プロセスチューブ203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。プロセスチューブ203の筒中空部には処理室201が形成されており、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列させた状態で収容可能に構成されている。
【0013】
プロセスチューブ203の外側には、プロセスチューブ203と同心円状に加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207が設けられている。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0014】
プロセスチューブ203の下方には、プロセスチューブ203と同心円状にマニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス等からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209は、プロセスチューブ203に係合しており、プロセスチューブ203を支持するように設けられている。なお、マニホールド209とプロセスチューブ203との間にはシール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、プロセスチューブ203は垂直に据え付けられた状態となっている。主にプロセスチューブ203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が形成される。
【0015】
マニホールド209には、第1ガス導入部としての第1ノズル233a、第2ガス導入部としての第2ノズル233b、第3ガス導入部としての第3ノズル233cが、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。第1ノズル233a、第2ノズル233b、第3ノズル233cの下流側は、処理室201を構成しているプロセスチューブ203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間に、プロセスチューブ203の内壁の下部より上部に沿って、また、ウエハ200の積載方向に沿ってそれぞれ配設さ
れている。第1ノズル233a、第2ノズル233b、第3ノズル233cの側面には、ガスを供給する供給孔であるガス供給孔248a、248b、248cがそれぞれ設けられている。ガス供給孔248a、248b、248cは、下部から上部にわたってそれぞれ同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0016】
第1ノズル233a、第2ノズル233b、第3ノズル233cの上流端には、第1ガス供給管232a、第2ガス供給管232b、第3ガス供給管232cの下流端がそれぞれ接続されている。第1ガス供給管232a、第2ガス供給管232b、第3ガス供給管232cの上流端には、図1に示すガス供給ユニット100の第1ガス供給流路101a、第2ガス供給流路101b、第3ガス供給流路101cの下流端がそれぞれ接続されている。このように、処理室201内には、複数種類、ここでは3種類の処理ガスを供給するガス供給路として、3本のガス供給管が設けられている。主に、第1ノズル233a、第2ノズル233b、第3ノズル233c、第1ガス供給管232a、第2ガス供給管232b、第3ガス供給管232c及びガス供給ユニット100により、ガス供給系が構成される。なお、ガス供給ユニット100の構成については後述する。
【0017】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気するガス排気管231が設けられている。ガス排気管231には、上流側から順に、圧力検出器としての圧力センサ245、圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ242、真空排気装置としての真空ポンプ246が設けられている。なお、APCバルブ242は、弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して圧力調整可能なように構成されている開閉弁である。真空ポンプ246を作動させつつ、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいてAPCバルブ242の弁の開度を調節することにより、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。主に、ガス排気管231、圧力センサ245、APCバルブ242、真空ポンプ246により排気系が構成される。
【0018】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が着脱可能に設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてOリング220bが設けられている。シールキャップ219の処理室201と反対側には、後述する基板保持具としてのボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、プロセスチューブ203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内に対して搬入・搬出することが可能なように構成されている。すなわち、ボートエレベータ115は、ウエハ搬送部(基板搬送部)として構成される。
【0019】
基板保持具としてのボート217は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなり、複数枚のウエハ200を水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。ボート217の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる断熱部材218が設けられており、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなるように構成されている。なお、断熱部材218は、石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる複数枚の断熱板と、これら断熱板を水平姿勢で多段に
支持する断熱板ホルダと、により構成してもよい。プロセスチューブ203内には、温度検出器としての温度センサ263(図6(b)参照)が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することにより、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、第1ノズル233a、第2ノズル233b、第3ノズル233cと同様に、プロセスチューブ203の内壁に沿って設けられている。
【0020】
制御部(制御手段)であるコントローラ280は、圧力センサ245、APCバルブ242、ヒータ207、温度センサ263、真空ポンプ246、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ駆動装置及びガス供給ユニット100等に接続されている。コントローラ280により、APCバルブ242の開閉及び圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整、真空ポンプ246の起動・停止、回転機構267の回転速度調節、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、シャッタ駆動装置によるシャッタ300の開閉動作及びガス供給ユニット100による処理ガスの供給動作等の制御が行われる。
【0021】
(2)ガス供給ユニットの構成
続いて、ガス供給ユニット100の構成について、図1、図3〜図5を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るガス供給ユニット100及びその周辺の概略構成図であり、図3は、本実施形態に係るガス供給ユニット100の斜透視図であり、図4は、本実施形態に係るガス供給ユニット100の部分断面拡大図であり、図5は、電磁弁180の斜視図であり、(a)は流体出力部180a側を、(b)は信号受信部180b側をそれぞれ示している。
【0022】
図1に示すように、ガス供給ユニット100は、例えば金属等からなり、内部を気密に封止することが可能に構成された気密筐体190を備えている。気密筐体190の内部は、図示しない排気部によって排気されたり、図示しないガス供給部によって不活性ガスや大気が供給されて換気されたり可能なように構成されている。
【0023】
気密筐体190の内部には、例えば配管として構成された第1ガス供給流路101a、第2ガス供給流路101b、第3ガス供給流路101cが配設されている。第1ガス供給流路101a、第2ガス供給流路101b、第3ガス供給流路101cの上流端は、例えば、処理ガスの供給源であるSiHガス供給源300a,GeHガス供給源300b,Heガス供給源300cにそれぞれ接続されている。第1ガス供給流路101a、第2ガス供給流路101b、第3ガス供給流路101cの下流端は、上述した第1ガス供給管232a、第2ガス供給管232b、第3ガス供給管232cの上流端にそれぞれ接続されている。
【0024】
第1ガス供給流路101aには、上流側から順に、ガス遮断用のハンドバルブ111a、圧力計110a、エアオペレーションバルブ109a、流量制御器としてのマスフローコントローラ105a、エアオペレーションバルブ102aが設けられている。また、第2ガス供給流路101bには、上流側から順に、ガス遮断用のハンドバルブ111b、圧力計110b、エアオペレーションバルブ109b、流量制御器としてのマスフローコントローラ105b、エアオペレーションバルブ102bが設けられている。また、第3ガス供給流路101cには、上流側から順に、ガス遮断用のハンドバルブ111c、圧力計110c、エアオペレーションバルブ109c、流量制御器としてのマスフローコントローラ105c、エアオペレーションバルブ102cが設けられている。
【0025】
第1ガス供給流路101aのエアオペレーションバルブ109aとマスフローコントローラ105aとの間には、第1パージガス管106aの下流端が接続されている。また、
第2ガス供給流路101bのエアオペレーションバルブ109bとマスフローコントローラ105bとの間には、第2パージガス管106bの下流端が接続されている。第1パージガス管106aの上流端及び第2パージガス管106bの上流側は合流し、第3ガス供給流路101cのエアオペレーションバルブ109cとマスフローコントローラ105cとの間に接続されている。第1パージガス管106aには、上流側から順に、逆止弁108a、エアオペレーションバルブ107aが設けられている。また、第2パージガス管106bには、上流側から順に、逆止弁108b、エアオペレーションバルブ107bが設けられている。
【0026】
第1ガス供給流路101aのマスフローコントローラ105aとエアオペレーションバルブ102aとの間には、第1ベント管103aの上流端が接続されている。第1ベント管103aの下流端は、上述したガス排気管231のAPCバルブ242と真空ポンプ246との間に接続されている。第1ベント管103aには、エアオペレーションバルブ104aが設けられている。また、第2ガス供給流路101bのマスフローコントローラ105bとエアオペレーションバルブ102bとの間には、第2ベント管103bの上流端が接続されている。第2ベント管103bの下流端は、上述したガス排気管231のAPCバルブ242と真空ポンプ246との間に接続されている。第2ベント管103bには、エアオペレーションバルブ104bが設けられている。
【0027】
上述のエアオペレーションバルブ102a,102b,102c,104a,104b,104c,107a,107b,107c,109a,109b,109c(以下、これらを総称して単にエアオペレーションバルブとも呼ぶ)は、それぞれ、流体(本実施形態では例えば大気)の供給により開閉動作が非電気的に制御される流体圧作動弁として構成されている。各エアオペレーションバルブには、それぞれ、大気の供給流路である流体配管120の下流端が接続されている。流体配管120の上流端は、それぞれ、電磁弁180に接続されている。
【0028】
電磁弁180は、気密筐体190に直接接続されている。具体的には、電磁弁180は、図4に示すように電磁弁180の信号受信部180bが気密筐体190の外側を向き、流体出力部180aが気密筐体190の内側を向くように、気密筐体190に開設された貫通穴に直接固定されている。なお、電磁弁180と気密筐体190との間には、気密筐体190内の気密を確保するゴムパッキン或いは金属パッキンなどのシール部材182が設けられている。シール部材182をゴムパッキンとすることで、気密筐体190内部と電磁弁180とを電気的に隔離することができる。電磁弁180の信号受信部180bは、信号線を介してコントローラ280と電気的に接続されている。また、電磁弁180の流体出力部180aは、流体配管120を介して各エアオペレーションバルブとそれぞれ接続されている。電磁弁180は、コントローラ280からの制御信号(電気信号)を受信して、流体出力部180aから流体配管120内への大気の供給を開始したり遮断したりすることで、各エアオペレーションバルブの開閉動作を制御するように構成されている。
【0029】
このように、電磁弁180を気密筐体190に直接設けることで、電磁弁180を気密筐体190の外部に設ける場合に比べ、流体配管120の長さを短くすることができる。これにより、各エアオペレーションバルブの動作の応答性を高めることができる。そして、処理ガスの供給開始や停止のタイミングに遅れが生じることを回避でき、ウエハ200への処理ガスの供給量を均一化させ、基板処理の品質を向上させることができる。
【0030】
また、電磁弁180を気密筐体190に直接設けることで、流体出力部180aと各エアオペレーションバルブとの間(気密筐体190を構成する壁をまたぐ部分)に継ぎ手を設けることなく、流体出力部180aと各エアオペレーションバルブとを流体配管120
により直結することができる。その結果、エアオペレーションバルブを動作させる流体が漏洩し難くなり、エアオペレーションバルブの動作不良が生じ難くなる。
【0031】
また、電磁弁180を気密筐体190に直接設けることで、電磁弁180とエアオペレーションバルブとの距離を、基板処理装置の設置場所などによらず常に一定の距離とすることができる。つまり、電磁弁180とエアオペレーションバルブとを接続する流体配管120の長さを、基板処理装置の設置場所などによらず常に一定の長さとすることができる。その結果、エアオペレーションバルブの応答速度を均一化させることができ(基板処理装置の機差等を少なくさせ)、基板処理の品質を向上させることができる。
【0032】
次に、ガス供給ユニット100によるガス供給制御について説明する。
【0033】
ハンドバルブ111aを開いた状態で、電磁弁180からの大気供給を開始或いは停止してエアオペレーションバルブ109a,102aを開くことで、マスフローコントローラ105aにより流量調整しつつ、第1ガス供給流路101a、第1ガス供給管232a、第1ノズル233aを介した処理室201内へのSiHガスの供給を開始できる。同様に、ハンドバルブ111bを開いた状態で、電磁弁180からの大気供給を開始或いは停止してエアオペレーションバルブ109b,102bを開くことで、マスフローコントローラ105bにより流量調整しつつ、第2ガス供給流路101b、第2ガス供給管232b、第2ノズル233bを介した処理室201内へのGeHガスの供給を開始できる。また同様に、ハンドバルブ111cを開いた状態で、電磁弁180からの大気供給を開始或いは停止してエアオペレーションバルブ109c,102cを開くことで、マスフローコントローラ105cにより流量調整しつつ、第3ガス供給流路101c、第3ガス供給管232c、第3ノズル233cを介した処理室201内へのHeガスの供給を開始できる。
【0034】
また、ハンドバルブ111cを開いた状態で、電磁弁180からの大気供給を開始或いは停止してエアオペレーションバルブ109aを閉じ、エアオペレーションバルブ109c,106a,102aを開くことで、第1パージガス管106aを介して、第1ガス供給流路101a(エアオペレーションバルブ109aの下流側)内、第1ガス供給管232a内、第1ノズル233a内及び処理室201内にHeガスを供給してこれらをパージすることができる。同様に、ハンドバルブ111cを開いた状態で、電磁弁180からの大気供給を開始或いは停止してエアオペレーションバルブ109bを閉じ、エアオペレーションバルブ109c,106b,102bを開くことで、第2パージガス管106bを介して、第2ガス供給流路101b(エアオペレーションバルブ109bの下流側)内、第2ガス供給管232b内、第2ノズル233b内及び処理室201内にHeガスを供給してこれらをパージすることができる。
【0035】
また、ハンドバルブ111aを開いた状態で、電磁弁180からの大気供給を開始或いは停止してエアオペレーションバルブ102aを閉じ、エアオペレーションバルブ109a,104aを開くことで、SiHガス供給源300aからのSiHガスの供給を継続したまま、SiHガスを処理室201内に供給することなくバイパスさせ、第1ベント管103aを介してガス排気管231から排出することが可能となる。同様に、ハンドバルブ111bを開いた状態で、電磁弁180からの大気供給を開始或いは停止してエアオペレーションバルブ102bを閉じ、エアオペレーションバルブ109b,104bを開くことで、GeHガス供給源300bからのGeHガスの供給を継続したまま、GeHガスを処理室201内に供給することなくバイパスさせ、第2ベント管103bを介してガス排気管231から排出することが可能となる。
【0036】
(3)基板処理工程
次に、上述の基板処理装置の処理炉202を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板としてのウエハ200上に多結晶シリコンゲルマニウム(Poly−SiGe)膜を成膜する工程例について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0037】
なお、本実施形態では、一例として、処理ガスとしてシリコンを含む原料ガスであるSiHガスを、処理ガスとしてゲルマニウム含有ガスであるGeHガスを、処理ガスとして希釈ガスあるいはパージガスであるHeガスを加熱された処理室201内に供給し、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によりウエハ200上にPoly−SiGeを形成する。
【0038】
(基板搬入工程)
まず、複数枚のウエハ200をボート217に装填(ウエハチャージ)する。そして、図1に示すように、複数枚のウエハ200を保持したボート217を、ボートエレベータ115によって持ち上げて処理室201内に搬入(ボートロード)する。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0039】
(圧力・温度調整工程)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気する。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ242の弁の開度をフィードバック制御する(圧力調整)。また、処理室201内が所望の温度となるように、ヒータ207によって加熱する。この際、処理室201内が所望の温度分布、具体的には処理室201内でCVD反応が生じるような温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合をフィードバック制御する(温度調整)。続いて、回転機構267によりボート217、すなわちウエハ200の回転を開始する。圧力調整、温度調整、ウエハ200の回転は、少なくとも後述する成膜工程の終了まで継続する。
【0040】
(成膜工程)
続いて、処理室201内にSiHガス、GeHガス及びHeガスを同時に供給する。具体的には、ハンドバルブ111aを開いた状態で、電磁弁180からの大気供給を開始或いは停止してエアオペレーションバルブ109a,102aを開くことで、マスフローコントローラ105aにより流量調整しつつ、処理室201内へのSiHガスの供給を開始する。同時に、ハンドバルブ111bを開いた状態で、電磁弁180からの大気供給を開始或いは停止してエアオペレーションバルブ109b,102bを開くことで、マスフローコントローラ105bにより流量調整しつつ、処理室201内へのGeHガスの供給を開始する。また同時に、ハンドバルブ111cを開いた状態で、電磁弁180からの大気供給を開始或いは停止してエアオペレーションバルブ109c,102cを開くことで、マスフローコントローラ105cにより流量調整しつつ、処理室201内へのHeガスの供給を開始する。
【0041】
処理室201内に供給されたSiHガス及びGeHガスは、Heガスにより希釈及び拡散されつつ、処理室201内を通過する際に加熱されたウエハ200の表面と接触する。その結果、ウエハ200上にPoly−SiGe膜が堆積(デポジション)する。所定時間経過してPoly−SiGe膜が所定の膜厚となったら、エアオペレーションバルブ109a,102a,109b,102bをそれぞれ閉じ、処理室201内へのSiHガス及びGeHガスの供給を停止する。なお、エアオペレーションバルブ109a,109bを開けたまま、エアオペレーションバルブ102a,102bを閉じるとともに、エアオペレーションバルブ104a,104bを開き、SiHガス及びGeHガス
を第1ベント管103a、第2ベント管103bを介して排出してもよい。
【0042】
(パージ工程)
処理室201内へのSiHガス及びGeHガスの供給を停止した後は、エアオペレーションバルブ109c,102cは開いたままとし、処理室201内へのHeガスの供給を継続して行う。これにより、処理室201内をHeガスによりパージし、処理室201内に残留している残留ガスや反応生成物を除去する。なおこの際、エアオペレーションバルブ107a,102a,107b,102bを更に開くことにより、第1ガス供給流路101a(エアオペレーションバルブ109aの下流側)内、第1ガス供給管232a内、第1ノズル233a内、第2ガス供給流路101b(エアオペレーションバルブ109bの下流側)内、第2ガス供給管232b内、第2ノズル233b内を併せてパージしてもよい。
【0043】
(大気圧復帰工程、基板搬出工程)
パージが完了したら、ヒータ207への電力供給を停止して処理室201内を降温させると共に、APCバルブ242の開度を調整して処理室201内の圧力を大気圧に復帰させる。そして、上述した基板搬入工程に示した手順とは逆の手順によりボート217を処理室201内から搬出(ボートアンロード)し、所定膜厚のPoly−SiGe膜が成膜されたウエハ200をボート217から脱装(ウエハディスチャージ)して、本実施形態に係る基板処理工程を終了する。
【0044】
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0045】
(a)本実施形態によれば、電磁弁180を気密筐体190に直接設けることで、電磁弁180を気密筐体190の外部に設ける場合に比べ、流体配管120の長さを短くすることができる。これにより、各エアオペレーションバルブの動作の応答性を高めることができる。そして、処理ガスの供給開始や停止のタイミングに遅れが生じることを回避でき、ウエハ200への処理ガスの供給量を均一化させ、基板処理の品質を向上させることができる。
【0046】
(b)本実施形態によれば、電磁弁180を気密筐体190に直接設けることで、流体出力部180aと各エアオペレーションバルブとの間(気密筐体190を構成する壁をまたぐ部分)に継ぎ手を設けることなく、流体出力部180aと各エアオペレーションバルブとを流体配管120により直結することができる。その結果、エアオペレーションバルブを動作させる流体が漏洩し難くなり、エアオペレーションバルブの動作不良が生じ難くなる。
【0047】
(c)本実施形態によれば、電磁弁180を気密筐体190に直接設けることで、電磁弁180とエアオペレーションバルブとの距離を、基板処理装置の設置場所などによらず常に一定の距離とすることができる。つまり、電磁弁180とエアオペレーションバルブとを接続する流体配管120の長さを、基板処理装置の設置場所などによらず常に一定の長さとすることができる。その結果、エアオペレーションバルブの応答速度を均一化させることができ(基板処理装置の機差等を少なくさせ)、基板処理の品質を向上させることができる。
【0048】
(d)本実施形態にかかるエアオペレーションバルブは、それぞれ、流体(本実施形態では例えば大気)の供給により開閉動作が非電気的に制御される流体圧作動弁として構成されている。このように、非電気的に開閉動作が制御される弁を用いることで、仮に処理ガスとして用いた可燃性ガスや支燃性ガスが気密筐体190内に漏洩してしまった場合であ
っても、爆発や火災を容易に回避することが可能となり、安全性を高めることができる。
【0049】
(e)本実施形態によれば、電磁弁180と気密筐体190との間に、気密筐体190内の気密を確保するゴムパッキン或いは金属パッキンなどのシール部材182が設けられている。これにより、仮に処理ガスとして用いた可燃性ガス、支燃性ガス、有毒ガス等が気密筐体190外に漏洩してしまうことを回避できる。また、シール部材182をゴムパッキンとすることで、気密筐体190内部と電磁弁180との電気的絶縁を確保することができ、爆発や火災をさらに容易に回避することが可能となり、より安全性を高めることができる。
【0050】
(f)本実施形態によれば、電磁弁180を気密筐体190に直接設けることで、ガス供給ユニット100のサイズを小型化することができる。また、ガス供給ユニット100周辺の配線、配管を簡素化できる。これにより、基板処理装置の設置場所の省スペース化を図ることが出来る。
【0051】
以下、参考までに、従来のガス供給ユニット100’の構成について図2を用いて説明する。図2に示すように、従来のガス供給ユニット100’では、電磁弁180’が気密筐体190’の外部に設けられていた。そのため、流体配管120’の長さが長くなり、エアオペレーションバルブ102a’,102b’,102c’の動作に遅延を生じさせ、処理ガスの供給開始や停止のタイミングが遅れ、基板への処理ガスの供給量が変動するなど基板処理の品質を低下させてしまう場合があった。また、流体配管120’の途中(気密筐体190’を構成する壁をまたぐ部分)に設けられたパネルユニオン等の継ぎ手181’部分から流体が漏洩し易く、エアオペレーションバルブ102a’,102b’,102c’の動作不良を生じさせることがあった。また、電磁弁180’を設置する場所によっては、電磁弁180’とエアオペレーションバルブ102a’,102b’,102c’とを結ぶ流体配管120’の長さが変動する場合があり、エアオペレーションバルブ102a’,102b’,102c’の応答速度が不均一となって、基板処理の品質を低下させてしまう場合があった。これに対し、本実施形態によれば、電磁弁180を気密筐体190に直接設けているため、これらの課題を効果的に解決することが出来る。
【0052】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0053】
例えば、上述の実施形態では、処理ガスとしてSiHガス、GeHガス及びHeガスを用い、ウエハ200上にPoly−SiGe膜を形成する場合について説明したが、本発明は係る形態に限定されない。すなわち、ウエハ200上に異なる種類の薄膜を形成したり、異なる種類の処理ガスを用いたりする場合であっても本発明は好適に適用可能である。また、ウエハ200上に薄膜を形成する場合に限らず、ウエハ200の表面やウエハ200上に形成された薄膜を酸化、窒化又は炭化させたり、これらをエッチングしたりする場合にも本発明は好適に適用可能である。
【0054】
また例えば、上述の実施形態では、処理室201内に3種類の処理ガスを供給する構成について説明したが、処理ガスの種類は3種類に限らず、2種類以下であっても4種類以上であってもよい。
【0055】
また例えば、上述の実施形態にかかるエアオペレーションバルブは、例えば大気の供給により開閉動作が制御される流体圧作動弁として構成されていたが、本発明は係る形態に限定されない。すなわち、大気以外の気体や液体等の他の流体の供給により開閉動作が制御される流体圧作動弁として構成されていてもよい。
【0056】
また例えば、上述の実施形態にかかるガス供給ユニット100は、電磁弁180を1つ有していたが、本発明は係る形態に限定されず、2つ以上有していてもよい。この場合、複数の電磁弁180を気密筐体190の1つの面に集中して設けてもよいし、2つ以上の面に分散して設けてもよい。なお、電磁弁180を設ける位置は、例えば、エアオペレーションバルブとの距離が最も近くなる位置、すなわち、流体配管120の長さがそれぞれ最短となる位置にするとよい。
【0057】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0058】
本発明の一態様によれば、
基板を処理する処理室内への処理ガスの供給を制御するガス供給ユニットを備える基板処理装置であって、
前記ガス供給ユニットは、
上流側が処理ガスの供給源に接続され、下流側が前記処理室内へ連通するガス導入配管に接続されるガス供給流路と、
前記ガス供給流路上に設けられ、流体配管を介した流体の供給により開閉が制御される流体圧作動弁と、
制御信号を受信する信号受信部、及び前記流体配管内に流体を供給する流体出力部を有し、前記信号受信部が受信した制御信号に基づいて前記流体配管を介した前記流体圧作動弁への流体の供給を制御する電磁弁と、
少なくとも前記ガス供給流路及び前記流体圧作動弁の外部を気密に囲う気密筐体と、を備え、
前記電磁弁は前記気密筐体に直接固定されている基板処理装置が提供される。
【0059】
好ましくは、
前記電磁弁は、前記信号受信部が前記気密筐体の外側を向き、前記流体出力部が前記気密筐体の内側を向くように、前記気密筐体に開設された貫通穴に直接固定されている。
【0060】
また好ましくは、
前記電磁弁と前記気密筐体との間に、前記気密筐体内の気密を確保するシール部材が設けられている。
【0061】
本発明の他の態様によれば、
基板を処理する処理室内への処理ガスの供給を制御するガス供給ユニットであって、
上流側が処理ガスの供給源に接続され、下流側が前記処理室内へ連通するガス導入配管に接続されるガス供給流路と、
前記ガス供給流路上に設けられ、流体配管を介した流体の供給により開閉が制御される流体圧作動弁と、
制御信号を受信する信号受信部、及び前記流体配管内に流体を供給する流体出力部を有し、前記信号受信部が受信した制御信号に基づいて前記流体配管を介した前記流体圧作動弁への流体の供給を制御する電磁弁と、
少なくとも前記ガス供給流路及び前記流体圧作動弁の外部を気密に囲う気密筐体と、を備え、
前記電磁弁は前記気密筐体に直接固定されているガス供給ユニットが提供される。
【符号の説明】
【0062】
100 ガス供給ユニット
101a 第1ガス供給流路(ガス供給流路)
101b 第2ガス供給流路(ガス供給流路)
101c 第3ガス供給流路(ガス供給流路)
102a〜102c エアオペレーションバルブ(流体圧作動弁)
104a〜104c エアオペレーションバルブ(流体圧作動弁)
107a〜107c エアオペレーションバルブ(流体圧作動弁)
109a〜109c エアオペレーションバルブ(流体圧作動弁)
180 電磁弁
180a 流体出力部
180b 信号受信部
190 気密筐体
200 ウエハ(基板)
201 処理室
300a SiHガス供給源(処理ガスの供給源)
300b GeHガス供給源(処理ガスの供給源)
300c Heガス供給源(処理ガスの供給源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室内への処理ガスの供給を制御するガス供給ユニットを備える基板処理装置であって、
前記ガス供給ユニットは、
上流側が処理ガスの供給源に接続され、下流側が前記処理室内へ連通するガス導入配管に接続されるガス供給流路と、
前記ガス供給流路上に設けられ、流体配管を介した流体の供給により開閉が制御される流体圧作動弁と、
制御信号を受信する信号受信部及び前記流体配管内に流体を供給する流体出力部を有し、前記信号受信部が受信した制御信号に基づいて前記流体配管を介した前記流体圧作動弁への流体の供給を制御する電磁弁と、
少なくとも前記ガス供給流路及び前記流体圧作動弁の外部を気密に囲う気密筐体と、を備え、
前記電磁弁は前記気密筐体に直接固定されている
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記電磁弁は、前記信号受信部が前記気密筐体の外側に向き、前記流体出力部が前記気密筐体の内側に向くように、前記気密筐体に開設された貫通穴に直接固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記電磁弁と前記気密筐体との間に、前記気密筐体内の気密を確保するシール部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−99723(P2012−99723A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247565(P2010−247565)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】