説明

基板収納容器

【課題】 基板収納容器の貫通孔に収納保持されるハウジング部材が、移送・保管等の際の加速度や振動、洗浄乾燥の際の熱履歴等によっても、固定用の螺刻部が緩まない構造とした基板収納容器を提供する。
【解決手段】 基板を収納する容器本体と、その開口部を閉鎖する蓋体とを有し、前記容器本体の内部と外部とを連通する貫通孔が設けられている基板収納容器1であって、貫通孔には、フィルタを備えた通気部材を収納保持するハウジング部材が、回転方向に回転されて基板収納容器に取り付けられていて、ハウジング部材が回転方向に緩むことを防止する手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハやマスクガラス等の基板を収納する基板収納容器の内部と外部とを連通する貫通孔に設けられる、フィルタないし弁体(何れかを意味させる場合には、通気部材ともいう)を収容するためのハウジング部材の回転方向の緩み防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を収納し、蓋体により密封される基板収納容器(例えば、特許文献1参照)は、基板を工場間で輸送したり、基板に加工や処理を行う工程内で搬送したり、保管したりするために使用されている。こうした基板収納容器には、内部と外部とを連通する連通部が設けられており、連通部には、例えばフィルタが設けられて、密封状態の基板収納容器から蓋体を開ける時の真空吸着を防止していた。また、連通部に基板収納容器内部の気体をドライエアーや不活性ガスと置換するための開閉バルブが設けられることもあり、この場合は、基板表面の酸化やレジストの余分な重合を防止するなど、収納される基板の表面の品質を維持するのに役立っている。
こうした基板収納容器は、一定期間の使用後に洗浄されて、繰り返して使用される。
【0003】
この場合、フィルタや開閉バルブは、螺子溝で相互に結合される固定筒と保持筒(以下、両者を併せてハウジング部材ということがある)とで形成される内部空間内に通気部材が内蔵されて、連通部に収納保持される。
しかしながら、基板収納容器は、工程内の高速搬送時や天井搬送の高さからLP装置へ下降される時、また、工場間で輸送する時、等に加速度や振動を受けるし、定期的に洗浄及ぴ乾燥がなされるので、熱履歴を定期的に受けることとなる。これらの外的要因により、連通部に設けられるハウジング部材の係止部が、回転方向に緩んでしまい、基板収納容器のシール性を損ねて、内部に収納した基板を汚染したり、ひどい場合は、ハウジング部品が抜け落ちたりする危険もあった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−146676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、基板収納容器の貫通孔(連通部)に収納保持されるハウジング部材が、移送・保管等の際の加速度や振動、また、洗浄乾燥の際の熱履歴等によっても、ハウジング部材の螺刻部が緩まない構造とした基板収納容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した問題点を解決するために成されたものであり、本発明の基板収納容器は、一端に開口部を有し基板を収納する容器本体と、開口部を閉鎖する蓋体とを有し、前記容器本体の内部と外部とを連通する貫通孔が設けられている基板収納容器1であって、前記貫通孔には、フィルタを備えた通気部材を収納保持するハウジング部材が取り付けられていて、該ハウジング部材が、回転方向に回転されて基板収納容器に取り付けられていて、該ハウジング部材が回転方向に緩むことを防止する手段が設けられていることを特徴とする。
前記ハウジング部材が、相互に係合する螺子溝を有する保持筒および固定筒からなること、前記保持筒が、一端部に格子状の窓とリング状のフランジを有し、他端に開口が形成された中空の円筒形をなしており、前記固定筒が、一端に開口が設けられ、他端にはリング状のフランジ部を有し、筒壁の中央に形成される貫通孔とを有する円筒形をなしており、前記保持筒と前記固定筒との内側には、フィルタを備えた通気部材が係止されているものであることが好ましい。
【0007】
また、前記緩み防止手段が、前記保持筒および固定筒のそれぞれの対向当接面に間隔を空けて設けられる複数の緩み防止突起が設けられ、該緩み防止突起が、締め付け方向に緩い第一の傾斜面をなし、逆の方向には前記第一の傾斜面よりも角度が大きい第二の傾斜面をなしており、これらの緩み防止突起が相互に噛み合うことにより緩み防止機能が発揮されるものであることが好ましい。
さらに、締め付け方向に相対する保持筒の第一の傾斜面の角度と固定筒の第一の傾斜面の角度とが異なる角度に形成されていて、面接触しないものであること、前記通気部材が一方向弁であること、ができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、基板収納容器の連通部に取り付けられるハウジング部材の緩みを効果的に防止するものであり、緩み防止手段を設けることで、搬送時や洗浄乾燥時にハウジング部材が緩む事が無く、基板を汚染させずに安全に搬送、保管可能な基板収納容器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の基板収納容器は、容器本体にカセットを収納し、上部の開口を蓋体で閉鎖するものや、底部に設けられるドア上にカセットを載置して、ドーム状の本体を被せて封止するもの、容盟本体内部に基板を水平に支持可能な基板支持溝が形成されていて、正面の開口をドアで閉鎖するものあるいはその他の形態であっても良い。
貫通孔(通気部)には、基板収納容器内外の圧力差を解消するためのフィルタや、一方向弁を備え基板収納容密内部の気体を不活性な気体やドライエアーで置換する開閉バルブが、取り付けられる。こうした貫通孔(通気部)は、容器本体及び/又は蓋体に1又は複数箇所に設けられる。
基板収納容器に収納される基板は、1又は複数枚であってよく、通常は、円板状の25枚又は26枚の基板を収納可能に形成される。
【0010】
以下、図面を使って本発明の好ましい実施の形態を説明する。
本発明の一実施の形態の基板収納容器1は、図1〜図2に示すように、一端に開口を有し、1又は複数枚の基板W(図示せず)を水平状態で垂直方向に整列させて収納する容器本体2と、容器本体2の開口を着脱自在に閉鎖する蓋体3とからなり、図示例では、容器本体2の底部に、容器本体2に対する気体の流通を制御する、一対のハウジング部材4が配置されている。このハウジング部材4には、開閉弁バルブが収納されている。この複数の開閉弁バルブのうち一方には、容器本体2の内部ヘガスを導入する一方向弁5(図3)が、他方には、容器本体2の内部のガスを排気する一方向弁6(図7)が設けられている。
このとき、ガス導入用の一方向弁5を備えたハウジング部材4とガス排出用の一方向弁6を備えたハウジング部材4は、収納する基板Wが容器本体2の底面に投影される領域の外側に設けるのが好ましい。
【0011】
容器本体2は、例えば炭素繊維や導電性ポリマーなどが添加され導電性が付与されたポリカーボネート樹脂を使用して、図1に示すように、一端が開口したフロントオープンボックスタイプとして形成されている。容器本体2の内部の相対する側壁には、図示は省略するが、基板Wの側部周縁を支持する支持部材が垂直方向に一定間隔で設けられている。
また、容器本体2の底部には、基板収納容器の種類を外部から検知したり、加工装置に搭載されるときの位置決めと固定を行う部材を備え略台形状に形成されるボトムプレート7が取り付け部材を介して装着されている。ボトムプレート7には、通例どおり、識別用の部材を取り付ける複数の貫通孔と、位置決め部材8、容器本体2を固定するためのクランプ穴が形成されている。
【0012】
容器本体2の天井をなす略正方形をした天板部の外面には、詳細は略すが、通例どおり、天板部と垂直方向に延びる支柱部及びその先端の取り付け部とからなる、ロボティックハンドルが脱着自在に装着され、このロボティックハンドルがOHT(オーバーヘッドホイストトランスファー)と呼ばれる自動の天井搬送機に保持され、工程内及び工程間の搬送に使用される。また、容器本体2の開口正面には、蓋体3嵌合用のリム部(図示省略)が一体に形成され、このリム部の内面の上下面には、蓋体3係止用の係止溝が複数形成されている。
【0013】
蓋体3は、図1に示すように、四隅が丸く湾曲した略矩形に形成され、内側には、図示しない係止機構が配置されていて、この係止機構の先端の係止爪9が蓋体3の周壁に設けられた出没穴から突出されて、リム部の係止溝に嵌入し、容器本体2と蓋体3とを嵌合させて開口部を閉鎖する。蓋体3の周壁には、容器本体2との間にシールを形成するエンドレス形状のガスケット部材が取り付けられている。また、蓋体3の裏面には容器本体2に収納された基板Wを所定のピッチで上下方向に水平に整列させて接触し支持するフロントリテーナが装着されている。
なお、容器本体2、ボトムプレート7、ロボティックハンドル、蓋体3は、ポリカーボネート・ポリエ一テルエ一テルケトン、ポリエーテルイミド、環状オレフィン樹脂(COP)などの熱可塑性樹脂、あるいはこれらの熱可塑性樹脂に導電性を付与したものから形成される。
【0014】
ハウジング部材4は、図3に展開斜視図として示すように、容器本体2の貫通孔10及びその周縁に設けた周縁リム11に下方から嵌入されて気体を流通させる固定筒12と、貫通孔10にシール用のシール部材13を介して上方から嵌入され、上方から着脱自在に固定筒12と螺嵌される保持筒14と、保持筒14の内周壁に取り付けられ、保持筒14との間にフィルタ15を保持する中蓋筒16と、これら固定筒12と保持筒14との間に内蔵される中蓋筒16の開口の一端と接触する一方向弁5と、この一方向弁5を一方から押圧して変形させる弾性部材17とからなる。一方向弁5は、固定筒12から保持筒14にかけて気体が一方向に流れるように制御している。
【0015】
固定筒12は、例えばポリカーボネート、ボリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂を使用して、基本的には、一端に開口を有する有底円筒形状に形成され、内周面には取り付け用の螺子溝18(図4)が螺刻形成されている。この固定筒12の一端は、円筒に囲まれた開口が形成されていて、円筒の先端には、緩み防止手段となる第一の緩み防止突起19が、円周方向の8箇所に均等に分割されて設けられている。また、他端となる底部の中心には、気体流通用の丸い通気口20(図3)が形成され、底部の外周面には半径外方向に伸びるリング状のフランジ21が周設されており、周縁リム11の開口周縁部に接触する。フランジ21には、フランジ面から突出する突起22が4箇所に形成されていて、固定筒12を締め付ける際の滑り止や、パージ装置とのドッキングの際の位置決めなどに利用される。
【0016】
固定筒12に設けられる第一の緩み防止突起19は、円筒の終端から突出する突起として形成されていて、円筒内周に形成される螺刻(18)を締め付ける方向の突起の斜面が緩やかな傾斜面23(突起の傾斜面が水平面となす角度が30°〜60°)に形成されていて、他の方向がこれよりも大きな角度(ほぼ90°)の傾斜角度となる急な急斜面24であるように、左右非対称に形成されている。
保持筒14は、例えばポリカーボネート、ポリエ一テルイミド、ポリエ一テルエ一テルケトン等の熱可塑性樹脂を使用して、基本的には、一端(底部側)に開口を有する円筒形に形成され、開口と相対する他端(上面側)には、気体流通用の区画リブ25(図5)が格子状又は放射状に配設された通気口26を備えている。この区画リブ25の裏面には、フィルタ15(図3)を収納する収納部が形成される。
【0017】
また、保持筒14の上部外周面には、半径外方向に伸びるリング状のフランジ27が周設され、このフランジ27の内面が貫通孔10の開口周縁に接触する。また、フランジ面から突出する突起28(図5)が四箇所形成されていて、締め付け時の逆回転防止等に利用できる。
保持筒14の外周面には、取付用の螺子溝29が螺刻形成され、この螺子溝29が固定筒12の螺子溝18と螺合する。ここで、螺子溝29が形成される終端部には、螺子溝29が形成されている方向に突出する第二の緩み防止突起30(図5、図6)が1箇所以上に形成されていて、固定筒12を締め付けるときに、固定筒12の一端に形成された第一の緩み防止突起19の緩い傾斜面23と、相対向する側に、これと異なる角度の緩い傾斜面31(30°〜60°)が形成されている。また、保持筒14の外周面と貫通孔10の周面との間に介在されるシール部材33(図3)は、容器本体2に対する外気の侵入や容器本体2からの気体の漏れを有効に防止する。
【0018】
導入側の一方向弁5は、熱可塑性樹脂を使用して断面コの字形の平面略円形に形成され、固定筒12の内底面に嵌入搭載されて、丸い通気口20を被覆し、保持筒14の内周面との間に気体の流路となる僅かな隙間を形成している。一方向弁5の中央部には、位置ずれ防止用の係合部となる凸部34と、対となる円周状リブ35(一方向弁6の例が図7に示されている)が形成されている。
この一方向弁5の材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン樹脂あるいは熱可塑性ポリエステル系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマー材料があげられる。
一方向弁5の、固定筒12の開口周縁部あるいは中筒蓋16の開口端部と接触する部分には、これらによって抑圧可能なシール部材13、36が装着されている。シール部材13、33、36は、フッ素ゴム、NBRゴム、ウレタンゴム、EPDMゴム、シリコーンゴム等の材料から形成される。また、これらの材料からなる芯材部の表面にフッ素シリコーンを被覆したり、コーティングしたりしても良い。
【0019】
一方向弁5は、ガス導入バルブとして利用されるときには、保持筒14と一方向弁5の一方との間に配設される弾性部材17によって固定筒12の通気口20を封止するように、一方向弁5の他方のシール面が固定筒12に押圧されるように、組み立てられて使用される。
ガス導入バルブ(一方向弁5)は、供給される不活性ガスの圧力により、弾性部材が圧縮されることで、バルブ内部に流路が形成されて、基板収納容器の内部へ不活性ガスを供給する。
排気側の一方向弁6がガス排気バルブとして利用される場合には、図7に示すように、図3に示した弾性部材17と一方向弁5とを上下逆に配置して、固定筒12と一方向弁5の他方の画に設けられる弾性部材17によって、一方向弁6の一方のシール面が中蓋筒16の開口端部に接触するように押圧されている。排気バルプは、基板収納容器の内部に不活性ガスが供給されて内圧が高まるか、排気バルブの外側から負圧をかけることで、弾性部材17を圧縮することができるので、基板収納容器の外部への流路が形成されて、基板収納容器の内部の気体を排気できる。
【0020】
一般に、容器本体2に設けられる2又は4個の貫通孔10の半数には、ガス導入用の一方向弁5を備えたハウジング部材4が取り付けられ、残りの半数の貫通孔10には、ガス排気用の一方向弁6を備えたハウジング部材4が取り付けれる。
弾性部材17は、SUSなどの金属スプリングや樹脂製のスプリングを用いることができる。また、弾性部材17は、各種ゴムや熱可塑性エラストマー樹脂等から形成される板バネを使用することもできる。その他、弾力性を有する合成樹脂の発泡体、各種ゴムや熱可塑性エラストマーからなる支柱部材を用いることもできる。ここで金属部品を使用するときには、表面を樹脂でコーティングすることが好ましい。
【0021】
中蓋筒16は、例えばポリカーボネート、ポリエ一テルイミド、ポリエーテルエ一テルケトン等の熱可塑性樹脂を使用して、基本的には、一端(底部側)に開口を有する円筒形に形成され、開口と相対する他端(上面側)には、気体流通用の複数の通気口26(図3)を区画する区画リブ37(図5)が格子状又は放射状に配設されていて、この区画リブ37の上面には、フィルタ15が搭載保持される。また、中蓋筒16は、保持筒14の内部上方との間にシールを確保するシール部材13を備えている。中蓋筒16の内面中央には、一方向弁5、6を組み立てるときや、一方向弁5、6が可動するときの位置ずれを防止するために、対になる円筒状リブ35が突出形成されていて、一方向弁5、6に設けられる係合部となる凸部34と嵌合する。
【0022】
フィルタ15は、四フッ化エチレン、ポリエステル繊維、フッ素樹脂等からなる多孔質膜、ガラス繊維等からなる分子濾過フィルタ、活性炭繊維等の濾材に化学吸着剤を担持させたケミカルフィルタ等から選択されてなり、これらが保持筒14と中蓋筒16の区画リブ37との間に狭持された状態で、単数あるいは複数枚挿入され、中蓋筒16の通気路を被覆する。これらのフィルタ15の表面と裏面には、ポリエチレンやポリプロピレン等からなり、保持筒14の円筒状の枠体38を連結するように形成された格子状のリブ39および中蓋筒16の円筒状の枠体40を連結するように形成された格子状のリブ41(図3・図7では物の陰になって見えない)によって狭持される。同種類のフィルタを複数枚使用しても良いが、異なる性質のフィルタを組み合わせると、パーティクル等の有機物汚染を防止できて好ましい。
【0023】
次に、上記したハウジング部材4を組み立てて容器本体2に取り付けることについて説明をする。
先ず、容器本体2の内側から保持筒14を貫通孔10に挿入し、保持筒14の内側壁に形成される凹部42と、フィルタを備えた中蓋筒16の外周壁に形成される係止爪9とを係合させて、保持筒と中蓋筒とを一体化させる。次に固定筒12に弾性部材17、一方向弁5、又は一方向弁6を所定の順番で配置する。容器の外側に露出する保持筒14の螺子溝29(図5)と固定筒12の内側面に形成される螺子溝18とを噛み合わせて、反時計回りに回転させていくと、保持筒の最後の螺子溝29に形成される第二の緩み防止突起30(図6)が、固定筒12の一端に形成される第一の緩み防止突起19と、それぞれの緩い傾斜面22と31とが接触し、これを乗り越えた状態となり、保持筒14の一端のフランジ27(図5)は、容器本体2の貫通孔10の上側外辺と、固定筒12の他端のフランジ21(図4)は、容器本体2の貫通孔10を下側に延長する筒状部の先端周縁リム11(図3)と接触するので、これらのハウジング部材4が容器本体2に固定される。
【0024】
また、締め付け時の抵抗を少なくするために、緩い傾斜面23、31を異なる角度(例えば、45°と30°)とすることで、緩み防止突起同士が面接触することを防止でき、摩耗や締め付け時の負荷を低減できる。また、第一の緩み防止突起19と第二の緩み防止突起30を締め付けたときの突起の先端のオーバーラップ量を0.2mm〜1.0mmとしておくことが好ましい。
前記緩み防止突起のオーバーラップ量が0.2mm以上だと、緩み防止機能が十分に発揮できて好ましく、1mm以下では、擦れによる摩耗を防止できるし、締め付けの負荷を低減できる。
第一の緩み防止突起19と第二の緩み防止突起30の先端には、微少R(0.05〜0.8mm)を設けておくことが、摩耗を低減し、締め付け時の負荷を低減させるには、さらに好ましい。
【0025】
本発明のこの実施の形態では、ハウジング部材4を構成する固定筒12と保持筒14との2つがそれぞれ緩み防止突起19、30を備え、これらをかみ合わせることで、容器本体2に固定していて、緩み方向に回転する場合は、互いの突起の急角度の傾斜面24、32同士がぶつかるようになるので、振動や熱履歴による衝撃があっても容易にこれを乗り越えることはできないので、ハウジング部材4が緩むことを効果的に防止できる。
図7は、図3に示す実施の形態において、一方向弁の向きを逆にして、気体の通過可能方向を逆にする実施の形態を示すもので、詳細な説明は省略する。
【0026】
図8は、別の実施の形態を示すものであり、基板収納容器の圧力差を解消して、蓋体の開閉を容易にするためのフィルタ43を備えたハウジング部材44(固定筒45、保持筒46)を表している。この場合、ハウジング部材44は、一方向弁は含まずに、固定筒45と、保持筒46と、中蓋筒47と、保持筒46と中蓋筒47との間に挟まれて保持されるフィルタ43とからなり、先述の実施の形態と同様の緩み防止手段を固定筒45、保持筒46に有していて(詳細は省略する)、同様の効果が得られる。
こうしたフィルタ内蔵のハウジング部材44は、基板収納容器の容器本体2及び/又は蓋体の複数箇所に設けられて使用できる。
【0027】
図9〜図11は、さらに別の実施形態であり、ハウジング部材は、図9に示すように、一端に放射状のリブによって、通気口が区画された開口端部が設けられ、他端には開口端部と、開口端部の外壁に設けられる係止爪49を備えた中空の略円筒形をしたカートリッジ48として形成されていて、内部には、上記した実施形態のような、フィルタ保持部材やバルブ部材をシール部材を介して係合させて内蔵可能であり、一端から他端にかけて、基板収納容器内外を通気可能に形成されている。カートリッジの他端の外壁には、係止爪49が半径方向に複数突出していて、図10、図11に示すように、容器本体底部に設けられるボトムプレートに設けられる貫通穴54の切欠き52に挿入され、回転されることで、容器本体2とボトムプレート53間に、カートリッジ48が挟まれて保持される。
図11は、本実施形態のカートリッジを貫通穴に挿入した状態を示す説明的切断立面図であり、カートリッジ48をボトムプレート53の貫通穴54に挿入し、係止爪49をボトムプレート53の貫通穴54に設けられる切欠き52を通過させて、ハウジングを所定の方向に回転させて係止爪49がボトムプレート53の上面に接触させ、さらに回転させてボトムプレート53の上面に形成されている緩み防止突起56を超えさせて、固定させることができる。また、係止爪49下面に突起受容溝(図示省略)を形成し、これらを係合させることで固定しても良い。
緩み防止突起56は、カートリッジの回転方向に少なくとも一対が対角線上に配設される。また、回転されて係止されるカートリッジの係止爪を半径方向の両側から挟むようにさらなる緩み防止突起を係止爪の幅以上の間隔を空けて設けることができる。
なお、55はフィルタ保持部材である。
係止爪49とボトムプレート53とが接触する面の少なくとも一方には、傾斜面が形成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の基板収納容器の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の基板収納容器の底面図である。
【図3】本発明の一実施の形態のハウジング部材別の使用状態を表す展開斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態の固定筒を表す斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態の保持筒を表す斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態の固定筒と保持筒を噛み合わせた状態を表す側面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態のハウジング部材別の使用状態を表す展開斜視図である。
【図8】本発明の別の実施形態のハウジング部材を表す展開斜視図である。
【図9】本発明のさらに別の実施形態で、ハウジング部材として一端に放射状のリブが設けられた開口端部を備えた中空の円筒形をしたカートリッジを用いた例を表す説明斜視図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態における緩み防止機構におけるボトムプレートとカートリッジとの係合関係を示す説明平面図である。
【図11】本発明のさらに別の実施形態のおける緩み防止機構を示す説明的切断立面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 基板収納容器
2 容器本体
3 蓋体
4 ハウジング部材
5 一方向弁(導入側)
6 一方向弁(排気側)
7 ボトムプレート
8 位置決め部材
9 係止爪
10 貫通孔
11 周縁リム
12 固定筒
13 シール部材
14 保持筒
15 フィルタ
16 中蓋筒
17 弾性部材
18 (固定筒12の)螺子溝
19 第一の緩み防止突起
20 (丸い)通気口
21 (リング状の)フランジ
22 突起
23 緩やかな傾斜面
24 急な傾斜面
25 (気体流通用の)区画リブ
26 通気口
27 (リング状の)フランジ
28 (フランジ27の面から突出する)突起
29 (保持筒14の)(取付用の)螺子溝
30 第二の緩み防止突起
31 平行な傾斜面(緩やかな傾斜面)
32 角度の大きな傾斜面(急な傾斜面)
33 シール部材
34 (位置ずれ防止用の係合部となる)凸部
35 (位置ずれ防止用の係合部となる)円周状リブ
36 シール部材
37 (中蓋筒16の)区画リブ
38 (保持筒14の)円筒状の枠体
39 (円筒状の枠体38を連結する)格子状のリブ
40 (中蓋筒16の)円筒状の枠体
41 (円筒状の枠体40を連結する)格子状のリブ
42 (保持筒14の内側壁に形成される)凹部
43 フィルタ
44 ハウジング部材
45 固定筒
46 保持筒
47 中蓋筒
48 (さらに別の実施形態のハウジング部材としての)カートリッジ
49 係止爪
50 貫通孔
51 リブ
52 切欠き
53 ボトムプレート
54 貫通穴
55 フィルタ保持部材
56 緩み防止突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口部を有し基板を収納する容器本体と、開口部を閉鎖する蓋体とを有し、前記容器本体の内部と外部とを連通する貫通孔が設けられている基板収納容器であって、前記貫通孔には、フィルタを備えた通気部材を収納保持するハウジング部材が取り付けられていて、該ハウジング部材が、回転方向に回転されて基板収納容器に取り付けられていて、該ハウジング部材が回転方向に緩むことを防止する手段が設けられていることを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記ハウジング部材が、相互に係合する螺子溝を有する保持筒および固定筒からなる請求項1に記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記保持筒が、一端部に格子状の窓とリング状のフランジを有し、他端に開口が形成された中空の円筒形をなしており、前記固定筒が、一端に開口が設けられ、他端にはリング状のフランジ部を有し、筒壁の中央に形成される貫通孔とを有する円筒形をなしており、前記保持筒と前記固定筒との内側には、フィルタを備えた通気部材が係止されている請求項2に記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記緩み防止手段が、前記保持筒および前記固定筒のそれぞれの対向当接面に間隔を空けて設けられる複数の緩み防止突起が設けられ、該緩み防止突起が、締め付け方向に緩い第一の傾斜面をなし、逆の方向には前記第一の傾斜面よりも角度が大きい第二の傾斜面をなしており、これらの緩み防止突起が相互に噛み合うことにより緩み防止機能が発揮される請求項2記載の基板収納容器。
【請求項5】
締め付け方向に相対する保持筒の第一の傾斜面の角度と固定筒の第一の傾斜面の角度とが異なる角度に形成されていて、面接触しないものである請求項4に記載の基板収納容器。
【請求項6】
前記通気部材が一方向弁である請求項4ないし請求項5のいずれかに記載の基板収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−246154(P2009−246154A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91214(P2008−91214)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】