説明

基板外観検査装置、基板外観検査方法及びそのプログラム

【課題】基板外観検査において、不良見落としの確率を低くするとともに、虚報を低減する。
【解決手段】撮像手段1110、データ読出手段1120、対象領域抽出手段1310、領域辞書作成手段1340、領域位置合わせ手段1330、検査領域設定手段1350、密度辞書作成手段1360及び検査手段1370を備えて構成される。対象領域抽出手段は、CADデータ1510及び色基本データ1520から計算された対象領域の色と、撮像手段が取得した撮像画像データ1112の色との比較を行って、パッド画像データ1412を抽出する。領域位置合わせ手段は、撮像画像データとCADデータの位置合わせを行って、合わせ画像データ1432を作成する。密度辞書作成手段は、隣り合う対象領域の間隔が閾値以下の場合は高密度領域と判定し、閾値よりも大きい場合は低密度領域と判定する。検査領域設定手段は、高密度領域における非検査領域を、低密度領域における非検査領域よりも小さく設定して、検査画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板の外観を検査する基板外観検査装置、基板外観検査方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板(以下、単に基板と称する。)には、配線パターン、電子部品を配線パターンに接続するためのスルーホール、電子部品のリードフレームなどを配線パターンにハンダ付けするためのランドやパッド、及びシルクなどが形成される。基板の製造工程では、これら配線パターンなどの断線、短絡、パターン幅不足、異物の付着などの欠陥が発生する場合がある。これらの欠陥は、基板の外観の検査(以下、単に「基板外観検査」と称する。)により、検出される。基板の外観検査は、配線パターンが形成された基板の上側の露出面及び下側の露出面の、一方又は双方に対して行われる。
【0003】
従来、基板外観検査は、検査者が目視によって行っていた。しかしながら、目視による検査(以下、単に「目視検査」と称する。)では、検査者の能力によって、検査時間や検査精度にバラツキが生じる。そのため、基板の外観検査には、検査者の能力による検査時間や検査精度にバラツキが生じないようにすること、さらには、従来よりも検査時間を短縮させるとともに検査精度を向上させることが望まれていた。
【0004】
そこで、近年、基板の外観検査は、基板外観検査装置と称される装置によって行われるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、基板外観検査装置による外観検査では、目視検査のように、検査者の経験等に基づく感覚的な検査が実現できない。このため、検査性能の向上が図れずに、良品であっても不良品と判定してしまう虚報を低減できずにいる。
【0006】
そこで、特許文献1に開示されている基板外観検査装置では、レジストとパッドの境界や、パッドとシルクの境界などは、製造誤差によるずれやバラツキが大きいため、検査をしない領域(以下、非検査領域と称する。)として設定していた。
【特許文献1】特開2001−150646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来例の基板外観検査装置では、例えばパッド寸法に対して、予め定められた幅の領域を、非検査領域として一律に設定していた。
【0008】
この場合、パッドの密度が高いと、検査対象である基板全体の面積に対する非検査領域の占める割合が高くなり、不良見落としの確率が高くなる。
【0009】
一方、単に非検査領域の面積を小さくすると、不良見落としの確率は低くなるものの、パッドの周囲での、製造誤差によるずれやバラツキによる虚報が増えてしまう。
【0010】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、パッドなどの対象領域の周囲に、対象領域間の距離に応じて適切な幅で非検査領域を設定することで、不良見落としの確率を低くするとともに、虚報を低減する基板外観検査装置、基板外観検査方法及びそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、この発明の複数の層からなる基板の外観を検査する基板外観検査装置は、入力部、出力部、主演算部及び主格納部を備えて構成される。
【0012】
入力部は、さらに基板の撮像画像データを取得する撮像手段と、データ読出手段とを備えている。主演算部は、さらに、対象領域抽出手段と、領域辞書作成手段と、領域位置合わせ手段と、密度辞書作成手段と、検査領域設定手段と、検査手段とを備えて構成される。
【0013】
データ読出手段は、基板の設計図面であるCADデータと、基板の複数の各層に用いられる材料が示す色成分及び光の透過率を含む色基本データとを格納しているデータ格納手段から、CADデータ及び色基本データを読み出す。
【0014】
対象領域抽出手段は、CADデータ及び色基本データから計算された、密度計算の対象領域が示す色成分の階調値と、撮像画像データの各画素が示す色成分の階調値との比較を行って、撮像画像データから対象領域画像データを抽出する。
【0015】
領域辞書作成手段は、CADデータから基板を対象領域と、この対象領域以外の非対象領域とに分類する領域辞書を作成して、主格納部に格納する。
【0016】
領域位置合わせ手段は、領域辞書から抽出した対象領域データと、対象領域画像データから切り出した対象領域画像とを用いて、撮像画像データと領域辞書の位置合わせを行って、合わせ画像データを作成する。
【0017】
密度辞書作成手段は、対象領域画像データから、隣り合う対象領域の間隔が予め設定した閾値以下の場合は、当該対象領域が含まれる領域を高密度領域と判定し、一方、隣り合う対象領域の間隔が閾値よりも大きい場合は、当該対象領域が含まれる低密度領域と判定して、基板の各領域を高密度領域及び低密度領域とに分類する密度辞書を作成する。
【0018】
検査領域設定手段は、合わせ画像データ及び密度辞書を用いて、高密度領域における非検査領域の面積を、低密度領域における非検査領域の面積よりも小さく設定して、検査画像を生成する。
【0019】
検査手段は、検査画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を主格納部に格納する。
【0020】
出力手段は、検査結果を外部に出力する。
【0021】
上述した基板外観検査装置の実施にあたり、好ましくは、検査領域設定手段が、高密度領域について高密度画像を生成するとともに、低密度領域について低密度画像を生成し、検査手段として、高密度画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を主格納部に格納する高密度検査手段と、低密度画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を主格納部に格納する低密度検査手段とを備えるのが良い。
【0022】
また、上述した基板外観検査装置の好適な実施形態によれば、検査領域設定手段は、隣り合う対象領域の重心と、それらの中点を計算し、対象領域の輪郭を抽出して、輪郭と中点との距離の1/2を対象領域の周囲の非検査領域の幅として設定する。
【0023】
また、上述した目的を達成するために、この発明の、複数の層からなる基板の外観を検査する基板外観検査方法は、以下の過程を備えている。
【0024】
先ず、基板の撮像画像データを取得する。次に、基板の設計図面であるCADデータと、複数の各層に用いられる材料が示す色成分及び光の透過率を含む色基本データとを格納しているデータ格納手段からCADデータ及び色基本データを読み出す。次に、CADデータ及び色基本データから計算された、密度計算の対象領域が示す色成分の階調値と、撮像画像データの各画素が示す色成分の階調値との比較を行って、撮像画像データから対象領域の情報を抽出し、撮像画像データに対象領域の情報を付加して対象領域画像データを作成する。次に、CADデータから基板を対象領域と、対象領域外の非対象領域に分類する領域辞書を作成する。次に、領域辞書から抽出した対象領域データと、対象領域画像データから抽出された対象領域画像とを用いて、対象領域画像データと領域辞書の位置合わせを行って、合わせ画像データを作成する。次に、対象領域画像データから、隣り合う対象領域の間隔が予め設定した閾値以下の場合は、当該対象領域が含まれる領域を高密度領域と判定し、一方、隣り合う対象領域の間隔が閾値よりも大きい場合は、当該対象領域が含まれる領域を低密度領域と判定して、基板の各領域を高密度領域及び低密度領域とに分類する密度辞書を作成する。
【0025】
次に、合わせ画像データ及び密度辞書を用いて、高密度領域における非検査領域の面積を、低密度領域における非検査領域の面積よりも小さく設定して、検査画像を生成する。次に、検査画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を出力する。
【0026】
上述した基板外観検査方法の実施にあたり、好ましくは、検査画像を生成する過程において、高密度領域について高密度画像を生成するとともに、低密度領域について低密度画像を生成し、検査をする過程において、高密度画像と低密度画像をそれぞれ用いて基板の外観を検査して、検査結果を出力するのが良い。
【0027】
また、上述した基板外観検査方法の好適な実施形態によれば、非検査領域の面積の設定にあたり、隣り合う対象領域の重心と、それらの中点を計算し、対象領域の輪郭を抽出して、輪郭と中点との距離の1/2を対象領域の周囲の非検査領域の幅として設定する。
【0028】
また、上述した目的を達成するために、この発明の、複数の層からなる基板の外観を検査する基板外観検査に用いられるプログラムは、コンピュータに以下の手順を実行させる。
【0029】
先ず、基板の設計図面であるCADデータと、複数の各層に用いられる材料が示す色成分及び光の透過率を含む色基本データとを格納しているデータ格納手段からCADデータ及び色基本データを読み出す。
【0030】
次に、CADデータ及び色基本データから計算された、密度計算の対象領域が示す色成分の階調値と、撮像手段が取得した撮像画像データの各画素が示す色成分の階調値との比較を行って、撮像画像データから対象領域の情報を抽出し、撮像画像データに対象領域の情報を付加して対象領域画像データを作成する。次に、CADデータから基板を対象領域と、対象領域外の非対象領域に分類する領域辞書を作成する。次に、領域辞書から抽出した対象領域データと、対象領域画像データから抽出された対象領域画像とを用いて、対象領域画像データと領域辞書の位置合わせを行って、合わせ画像データを作成する。次に、対象領域画像データから、隣り合う対象領域の間隔が予め設定した閾値以下の場合は、当該対象領域が含まれる領域を高密度領域と判定し、一方、隣り合う対象領域の間隔が閾値よりも大きい場合は、当該対象領域が含まれる領域を低密度領域と判定して、基板の各領域を高密度領域及び低密度領域とに分類する密度辞書を作成する。
【0031】
次に、合わせ画像データ及び密度辞書を用いて、高密度領域における非検査領域の面積を、低密度領域における非検査領域の面積よりも小さく設定して、検査画像を生成する。次に、検査画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を出力する。
【0032】
上述した基板外観検査に用いられるプログラムの実施にあたり、好ましくは、検査画像を生成する過程において、高密度領域について高密度画像を生成するとともに、低密度領域について低密度画像を生成し、検査をする過程において、高密度画像と低密度画像をそれぞれ用いて基板の外観を検査して、検査結果を出力するのが良い。
【0033】
また、上述した基板外観検査に用いられるプログラムの好適な実施形態によれば、非検査領域の面積の設定にあたり、隣り合う対象領域の重心と、それらの中点を計算し、対象領域の輪郭を抽出して、輪郭と中点との距離の1/2を対象領域の周囲の非検査領域の幅として設定する。
【発明の効果】
【0034】
この発明の基板外観検査装置、基板外観検査方法及びそのプログラムによれば、密度検査の対象領域について、当該対象領域の密度に応じて高密度領域と低密度領域とに分類し、高密度領域では、対象領域間距離に応じて非検査領域の面積を従来よりも小さく設定する。この結果、従来の基板外観検査装置と比べて、不良見落としの確率が低減される。
【0035】
また、高密度領域と低密度領域にわけて検査する構成にすれば、高密度領域を画素ごとに詳細に検査し、低密度領域をラインごとに検査することが可能になるので、不良検出性能を高めつつ、処理の高速化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各図は、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。なお、以下の図では、平面図について一部ハッチング等を付しているが、所要の領域部分を強調してあるに過ぎず、これらハッチング等は何ら断面を示すものではない。
【0037】
(第1実施形態)
図1〜5を参照して、第1実施形態の基板外観検査装置について説明する。図1は、第1実施形態の基板外観検査装置について説明するための概略図である。
【0038】
基板外観検査装置は、基板10の外観を検査することによって、基板の良否を判定する装置である。
【0039】
基板外観検査装置1000は、入力部1100、出力部1200、主演算部1300及び主格納部1400を備えている。
【0040】
入力部1100は、基板外観検査装置1000の外部から、各種のデータを入力する部分である。入力部1100は、検査対象の基板10を撮像する撮像手段1110、基板外観検査装置1000の外部に設けられている各種の記憶媒体や記憶装置からデータを読み出すデータ読出手段1120、キーボードやマウスなどの入力手段1130を備えている。
【0041】
撮像手段1110は、例えばイメージセンサやカメラによって構成されている。撮像手段1110は、基板10を撮像して、基板10の外観をカラー画像として示す撮像画像データ1112を取得する。ここで、基板10は、シルク層、レジスト層、銅層などを積層した、積層構造を有していて、撮像画像データ1112は、各領域の積層構造の違いによって、領域ごとに異なる色パターンを示す。なお、撮像画像の取得は、RGBのカラーセンサを用いることができるが、モノクロカメラを用いて、1つの色成分についてのパターンを撮像画像データとして取得しても良い。
【0042】
データ読出手段1120は、各種の記憶媒体や記憶装置からデータを読み出すリーダライタ(R/W)や、外部の装置との間で通信する入出力インタフェース(I/O)などによって構成されている。データ読出手段1120は、データ格納手段1500からデータを読み出す。
【0043】
入力手段1130は、例えば、検査開始、検査終了、検査条件の変更などの指示の、操作者による入力に応答して、主演算部1300に制御を開始させる信号を送る。
【0044】
データ格納手段1500は、例えばDVDやCD−ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、USBメモリなどの各種の記憶媒体、又は、ハードディスク装置などの各種の記憶装置によって構成されている。データ格納手段1500には、CADデータ1510及び色基本データ1520が格納されている。
【0045】
ここで、CADデータ1510は、基板の設計過程で作成される、基板の設計画像を現すデータである。CADデータ1510は、基板が備える、シルク層、レジスト層、銅層などの各層のデータを、ベクトルデータとして備えている。ベクトルデータは、CADなどのアプリケーションで通常用いられるデータの形式であって、各層のパターンをそれぞれ数学的に計算式で記述している。
【0046】
色基本データ1520は、各層に用いられる材料が示すRGB(赤、緑、青)成分、及び各材料について光の透過率等のデータを備えている。なお、以下の説明ではRGB成分を色成分と称することもある。
【0047】
出力部1200は、各種のデータを出力する部分である。出力部1200は、ディスプレイ、プリンタなどの出力装置、各種の記憶媒体や記憶装置との間でデータを読み書きするリーダライタ(R/W)、外部の装置との間で通信する入出力インタフェース(I/O)などによって構成されている。なお、リーダライタ(R/W)や入出力インタフェース(I/O)については、入力部1100と出力部1200とで共用する構成にすることができる。
【0048】
主演算部1300は、各種の演算を実行する部分であり、中央処理装置(CPU:Central Proccessing Unit)で構成されている。主演算部1300は、主格納部1400に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、後述する各機能手段を実現する。
【0049】
主格納部1400は、各種のプログラムやデータを格納する部分である。主格納部1400は、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などの記憶装置で構成することができる。主格納部1400には、主演算部1300での処理の結果が、読出し及び書換え自在に格納されるとともに、各機能手段を実現するためのプログラム、及び演算に必要な計算式などが読み出し自在に格納されている。
【0050】
撮像手段1110が取得した撮像画像データ1112は、対象領域抽出手段1310に送られる。この構成では、撮像手段1110が、当該撮像手段1110で取得した撮像画像データ1112を主格納部1400に格納した後、対象領域抽出手段1310が、主格納部1400から撮像画像データ1112を読み出すことにより、撮像画像データ1112は、撮像手段1110から対象領域抽出手段1310に送られる。
【0051】
対象領域抽出手段1310は、撮像画像データ1112から対象領域画像データを抽出する。ここでは、後述する密度計算の対象領域の画像として、パッド領域の画像を抽出する例について説明し、以下の説明では、対象領域抽出手段1310をパッド領域抽出手段と称する。なお、密度計算の対象領域はパッド領域に限定されず、対象領域をランド、スルーホールなどが形成された領域とした場合であっても同様の効果が得られる。パッド領域抽出手段1310は、色による判定を行って、対象領域であるパッド領域を抽出する。
【0052】
先ず、パッド領域抽出手段1310は、撮像画像データ1112を、例えば256階調のRGB成分に分解する。次に、パッド領域抽出手段1310は、画素ごとに、RGB成分の各成分について、それぞれの階調値が、予め決めておいた範囲内であるか否かを判定する。この判定の結果、R成分、G成分及びB成分のそれぞれの階調値がいずれも予め決めておいた範囲内である場合に、その画素をパッド領域の画素として判定する。このパッド領域の画素として判定された画素の集合体が、パッド領域として抽出される。
【0053】
ここで、判定に用いる範囲は、例えば、R成分、G成分及びB成分それぞれの階調値の上限値及び下限値で与えられる。これらの上限値及び下限値は、予め色データ生成手段1320により計算されていて、色データ1422として主格納部1400に読出し自在に格納されている。
【0054】
色データ生成手段1320は、CADデータ1510の各層のデータを重ね合わせた後、色基本データ1520を用いることで、パッドのRGB成分のそれぞれについて、階調値の範囲を定めることができる。色データ生成手段1320は、階調値の範囲を規定する上限値及び下限値を、以下説明するようにして算出する。
【0055】
データ読出手段1120がデータ格納手段1500から読み出したCADデータ1510及び色基本データ1520は、主格納部1400に読出し自在に格納される。色データ生成手段1320は、主格納部1400から読み出したCADデータ1510に含まれる各層のパターン及び厚みと、同じく主格納部1400から読み出した色基本データ1520に含まれる各材料のRGB成分及び光の透過率とを用いて、パッド領域におけるRGB成分の各階調値の上限値及び下限値を算出する。
【0056】
以下、パッドが銅層に形成されていて、基板が、銅層上にレジスト層及びシルク層を備える積層構造を有する場合を例にとって説明する。銅層はパターニングされ、銅材が存在するパターン部と銅材が存在しない開口部に分類される。同様にレジスト層及びシルク層もパターン部と開口部にそれぞれ分類される。ここで、シルク層を構成するシルク材を光の透過率が予め定められた閾値よりも低い不透明材料とし、及びレジスト層を構成するレジスト材を光の透過率が閾値よりも高い透明材料とする。
【0057】
この場合、銅材上に、レジスト材及びシルク材が存在しなければ、その領域の画素は、銅材の持つRGB成分の階調値と同じ階調値を示す。一方、銅材上にシルク材が存在すれば、その領域はシルク材の持つRGB成分の階調値と同じ階調値を示す。また、銅材上に、レジスト材が存在し、かつシルク材が存在しなければ、その領域は、レジスト材の持つRGB成分と、銅材の持つRGB成分がレジスト層の透過率とその厚みに応じて減衰したRGB成分との和で得られる階調値を示す。
【0058】
そこで、色データ生成手段1320は、撮像された領域を、パッド領域と、パッド領域以外の非パッド領域の積層構造に応じてこれらパッド領域と非パッド領域を区別するように、RGB成分の各階調値の上限値及び下限値を色データ1422として算出する。
【0059】
パッド領域抽出手段1310は、抽出したパッド領域が基板に占める位置及び大きさについてのパッド情報を撮像画像データ1112に付加して、対象領域画像データとしてのパッド画像データ1412として、主格納部1400に格納する。
【0060】
領域位置合わせ手段1330は、後述するように、領域辞書1442から抽出した対象領域データとしてのパッド領域データと、パッド画像データ1412との位置合わせを行った後、パッド画像データにパッド領域データを重ね合わせた、合わせ画像データ1432を作成する。
【0061】
図2を参照して、合わせ画像データ1432の作成について説明する。図2は、合わせ画像データ1432の作成について説明するための模式図である。
【0062】
ここで、領域辞書1442は、基板の各領域が、対象領域としてのパッド領域であるのか、非対象領域としての非パッド領域であるのかを示す辞書である。領域辞書1442は、以下説明するように予め領域辞書作成手段1340で作成されて、主格納部1400に格納されている。領域辞書作成手段1340は、CADデータ変換手段1342及び領域データ作成手段1344を備えている。
【0063】
CADデータ変換手段1342は、主格納部1400から読み出したCADデータ1510が備える各層別のベクトルデータを、CAD画像データに変換する。領域データ作成手段1344は、CAD画像データを重ね合わせて、各領域がパッド領域であるのか、または、非パッド領域であるのかを示す領域辞書を作成して、この領域辞書1442を主格納部1400に読み出し自在に格納する。
【0064】
領域位置合わせ手段1330は、主格納部1400からパッド画像データ1412を読み出して(図2(A)参照)、このパッド画像データ1412に含まれる撮像画像データから、同じくパッド画像データ1412に含まれるパッド情報によって規定される領域1413を切り出して、パッド領域画像1414を得る(図2(B)参照)。
【0065】
また、領域位置合わせ手段1330は、主格納部1400に格納されている領域辞書1442を読み出して(図2(C)参照)、この領域辞書1442から、CADデータに基づいて得られるパッド領域1443を示すパッドデータ1444を抽出する(図2(D)参照)。
【0066】
次に、領域位置合わせ手段1330は、領域辞書1442から抽出されたパッドデータ1444と、パッド画像データ1412から抽出されたパッド領域画像1414との位置合わせを行う。その後、領域位置合わせ手段1330は、位置合わせの結果に基づいて、領域辞書1442が示す領域辞書画像とパッド画像データ1412とを重ね合わせて、合わせ画像データ1432を生成し(図2(E)参照)、この生成した合わせ画像データ1432を、主格納部1400に読出し自在に格納する。
【0067】
検査領域設定手段1350は、主格納部1400から読み出した合わせ画像データ1432に対して、主格納部1400から読み出した密度辞書1462を用いて、外観検査を行わない非検査領域を設定する。
【0068】
密度辞書1462は、基板の各領域を、複数の対象領域が互いに接近して配置されている高密度領域と、互いに離間して配置されている低密度領域とに分類したものである。密度辞書1462は、密度計算手段1360で作成されて、主格納部1400に格納されている。密度計算手段1360は、主格納部1400から読み出したパッド画像データ1412を用いて、以下説明するように、密度計算の対象領域であるパッド領域の密度が高い領域と低い領域とに分類するための、密度計算を行う。
【0069】
ここでは、図3を参照して、第1パッドP1、第2パッドP2及び第3パッドP3の3つのパッドが基板に設定されている場合を例にとって説明する。図3は、密度計算について説明するための模式図である。
【0070】
密度計算手段1360が備える重心計算手段1362は、先ず、第1パッドP1、第2パッドP2及び第3パッドP3のそれぞれについて、重心の位置を計算する。重心の位置は、パッドの平面形状から従来周知の任意好適な方法により計算される。例えば、パッドの平面形状が長方形の場合は、一組の対辺に平行な第1の仮想線とこの第1の仮想線に垂直な第2の仮想線を引き、この第1の仮想線及び第2の仮想線のそれぞれについて、仮想線の両側の面積(ここでは、画素数)が等しいときに、第1の仮想線及び第2の仮想線の交点を重心とすることができる。重心計算手段1362が計算した各パッドの重心の座標は、主格納部1400に読出し自在に格納される。
【0071】
続いて、重心間距離計算手段1364が、第1パッドP1、第2パッドP2及び第3パッドP3のそれぞれについて得られた第1重心g1、第2重心g2及び第3重心g3の座標を主格納部1400から読み出して、それぞれの間の距離を計算する。ここでは、第1重心g1と第2重心g2間の距離をd12、第2重心g2と第3重心g3間の距離をd23、第3重心g3と第1重心g1間の距離をd31とする。
【0072】
グループ生成手段1366は、以下説明するように、この重心間の距離が予め定めた設定閾値以下の時に、パッド同士が接近していると判断し、さらに、接近していると判断された複数のパッドを一つのグループとする。ここで、設定閾値は、不良見落とし率や虚報の発生頻度に応じて、好適な値に設定することができるが、例えば、対象領域の周囲の非検査領域の幅を従来と同様に設定したときに、隣り合う対象領域の周囲の非検査領域が接触する距離を、設定閾値とすることができる。なお設定閾値は、例えば、操作者が入力手段1130を操作することにより入力され、この値が主格納部1400に読出し自在に格納される。
【0073】
例えば、第1重心g1と第2重心g2との間の距離d12が設定閾値以下であるとき、第1パッドP1と第2パッドP2は接近していると判断され、グループ生成手段1366は、これらのパッドを合わせて、グループgp12を生成する。また、第3重心g3と第1重心g1との間の距離d31が設定閾値以下であるとき、第3パッドP3と第1パッドP1は接近していると判断され、グループ生成手段1366は、これらのパッドを合わせて、グループgp31を生成する。グループgp12とグループgp31は、いずれも第1パッドP1を含んでいるので、グループgp12とグループgp31を統合して、グループgp123を生成する。ここで生成されたグループの情報は、主格納部1400に読出し自在に格納される。
【0074】
上述した、重心、重心間の距離の計算、パッド同士が接近しているか否かの判断及びグループの生成の処理を、パッド画像データ1412に含まれる、全てのパッドに対して行う。
【0075】
密度情報作成手段1368は、上述した処理の結果に基づいて、密度の高い領域と密度の低い領域を決定する。ここでは主格納部1400からグループの情報を読み出して、パッド同士がグループ化されている領域を密度の高い領域(高密度領域)とし、パッド同士がグループ化されていない領域を密度の低い領域(低密度領域)とする。この高密度領域及び低密度領域の情報を、密度辞書1462として主格納手段1400に保存する。
【0076】
続いて、検査領域設定手段1350は、主格納部1400から読み出した密度辞書1462を用いて、下記のようにして、非検査領域の設定を行う。
【0077】
図4を参照して、非検査領域の設定について説明する。図4は、非検査領域の設定について説明するための模式図である。
【0078】
非検査領域は、パッド領域及びその周囲に設けられる。ここで、パッド領域の周囲に設けられる非検査領域の幅は、低密度領域と高密度領域とで好適な値に設定する。この非検査領域の幅は、例えば、操作者が入力手段1130を操作することにより入力され、この値が主格納部1400に読出し自在に格納される。
【0079】
例えば、低密度領域では、製造誤差によるずれやバラツキの影響を抑えるため、パッド領域20の周囲の非検査領域22の幅を従来と同様の値(ここではw0)に一律に設定する(図4(A))。
【0080】
一方、高密度領域では、パッド領域30間の距離に応じて、その周囲の非検査領域32の幅を設定する。
【0081】
具体的には、第1パッドP1と第2パッドP2の重心g1及びg2から、重心間の距離d12と、重心間を結ぶ線分の中点Mの座標を計算する。次に、第1パッドP1と第2パッドP2の輪郭抽出を従来周知の任意好適な方法により行う。輪郭31の抽出は、RGB成分の1又は2以上の成分を用いて、RGB成分の階調値の変化を検出することで行うことができる。例えば、基板上に仮想的な直線を引き、この直線に沿ってある成分の階調値を取得していく。このとき、パッド領域30内では、当該成分の階調値は、色データ1422として格納されている範囲内の値を示し、パッド領域外では、範囲外の値を示すことになる。従って、撮像画像全体について、この処理を行えば、パッド領域30の輪郭31を抽出することができる。
【0082】
次に、この抽出された輪郭31と、重心間を結ぶ線分の中点Mとの最短距離を計算する。高密度領域においては、この輪郭と中点M間の距離dm1の半分の値を、対象領域30の周囲の非検査領域32の幅(ここではw1)として設定する(図4(B))。
【0083】
なお、重心の座標については、検査領域設定手段1350が、密度辞書作成手段1360が備える重心計算手段1362と同様に算出する構成にすることができる。あるいは、密度辞書作成手段1360が作成した密度辞書に、各パッド領域の重心の座標を記録しておいて、検査領域設定手段1350が密度辞書1462を読み出して、重心の座標を得る構成としても良い。
【0084】
例えば、従来は、画素を単位として縦横30×10の第1パッドP1及び第2パッドP2に対して、それぞれ、その周囲に幅w0が10画素という大きさの領域を付加して非検査領域を設定していた。このとき、非検査領域の面積は、それぞれ1500(=(30+2×w0)×(10+2×w0)=50×30)画素である。また、第1パッドP1と第2パッドP2の間隔が20画素である場合には、パッドP1とパッドP2のそれぞれに設定された非検査領域は互いに接している(図4(C))。
【0085】
これに対して、グループ生成手段1366における設定閾値を、例えば40画素と設定する。ここで、第1パッドP1と第2パッドP2の重心間距離が30画素(第1パッドP1と第2パッドP2の間隔が20画素)の場合は、重心間距離が40画素よりも小さいので、高密度領域として判定される。
【0086】
この場合、第1パッドP1の輪郭と、第1パッドP1及び第2パッドP2の重心の中点Mとの間の最短距離の1/2を付加して、第1パッドP1について非検査領域を設定する。同様に、第2パッドP2の輪郭と、第1パッドP1及び第2パッドP2の重心の中点Mとの間の最短距離の1/2を付加して、第2パッドP2について非検査領域を設定する。
【0087】
第1パッドP1と第2パッドP2の間隔が20画素であるので、第1パッドP1の輪郭と、中点Mとの距離は10画素になる。この結果、付加される領域の幅w1は、10画素の1/2の5画素になる。従って、非検査領域の面積は、それぞれ800(=(30+2×w1)×(10+2×w1)=40×20)画素となり、従来に比べて非検査領域の面積は、ほぼ1/2になる。
【0088】
また、第1パッドP1と第2パッドP2にそれぞれ設定された非検査領域は、離間するので、パッド間の領域(図4(B)中、Aで示す部分)も検査の対象になる。
【0089】
検査領域設定手段1350は、ここで設定された幅の非検査領域に関する情報を、重ね合わせ画像データ1432に付加して、検査画像1452を生成する。その後、検査画像1452は、主格納部1400に読出し自在に格納される。
【0090】
検査手段1370は、主格納部1400から検査画像1452を読み出してきて、検査画像1452の非検査領域以外の全領域に対して、主格納部1400から読み出した検査辞書1492に含まれる色特徴値と比較する。
【0091】
検査辞書1492には、検査領域ごとの色特徴値や輝度情報を備えている。ここで、色特徴値は、各画素が示す、RGB成分の階調値であって、色データ生成手段1320がRGB成分の上限値及び下限値を求めたのと同様にして、主格納部1400から読み出したCADデータ1510及び色基本データ1520を用いて得ることができる。
【0092】
例えば、銅材上に、レジスト材及びシルク材が存在しない領域では、銅材の持つRGB成分の階調値と同じ階調値が色特徴値となる。一方、銅材上にシルク材が存在する領域では、シルク材の持つRGB成分の階調値が色特徴値となる。また、銅材上に、レジスト材が存在し、かつシルク材が存在しない領域は、レジスト材の持つRGB成分と、銅材の持つRGB成分が、レジスト層の透過率とその厚みに応じて減衰したRGB成分との和で得られる階調値が色特徴値となる。
【0093】
検査手段1370は、検査画像1452の非検査領域を除く全画素について、画素単位で検査辞書1492が備える色特徴値と比較し、その差が大きい場合に不良と判断する。なお、ここでは色特徴値を比較する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画素ごとの輝度の比較を行っても良い。ここで、輝度は、色特徴値とRGB成分の階調値との各成分での比較と同様に行うことができる。
【0094】
また、全画素について画素ごとに比較する代わりに、ラインごとの比較を行っても良い。図5を参照してラインごとの比較について説明する。図5は、ラインごとの比較について説明するための模式図である。
【0095】
ラインごとの比較では、検査画像に1又は2以上の仮想的な直線(ライン)(図5(A)中、矢印I及びIIで示す。)を引き、ラインごとに、検査辞書1492が備える色特徴値と比較する方法である。
【0096】
例えば、ある色成分(R成分、G成分及びB成分のいずれか)について、検査画像1452のデータと、検査辞書1492のデータを比較する。この比較では、例えば、図5(B)に示されるように、検査辞書1492のデータ(図5(B)中、点線Ibで示す。)と、検査画像1452のデータ(図5(B)中、実線Iaで示す。)との相関が大きい場合に、検査基板が設計どおりに形成されていて、基板に不良が無いと判定する。一方、図5(C)に示されるように、検査画像1452のデータ(図5(C)中、実線IIaで示す。)に、検査辞書1492のデータ(図5(C)中、点線IIbで示す。)とは値が大きく異なる窪み(図5(C)中、Aで示す。)がある場合は、相関が小さくなり、基板に不良があると判定される。
【0097】
相関による判定は、例えば、検査辞書1492のデータと、検査画像1452のデータとの相関係数を、従来周知の方法(例えば、「理化学辞典」岩波書店発行参照。)で計算して行うことができる。
【0098】
ここでは、基板の不良の有無の判定を、相関によって行う例について説明したが、この例に限定されない。検査画像1452のデータと、検査辞書1492のデータとの差分を取ることで、差分が小さい場合は、基板に不良が無いと判定し、差分が大きい場合は不良があると判定してもよい。図5(B)に示す例では、実線Iaと点線Ibとの差分を画素ごとに計算し、その総和が、予め設定した基準値に対して大きいか小さいかで、基板の不良の有無を判定する。
【0099】
なお、基板の外観検査における、基板の不良の有無の判定を相関係数又は差分から行うための基準値は、目視検査など他の外観検査手段により不良の有無がわかっているサンプル基板を、この外観検査装置で基準値を変化させながら検査して、不良見落とし率及び虚報の発生頻度が低くなる基準値を求め、その値に設定しておけば良い。求められた基準値は、操作者が入力手段1130を操作することで入力され、その後、主格納部1400に読出し自在に格納される。検査手段1370は、主格納部1400から読み出した基準値を用いて、不良の有無の判定を行う。
【0100】
上述した、検査手段1370による検査結果1472は、主格納部1400に保存される。
【0101】
出力部1200は、主格納部1400に保存された検査結果1472を読み出して、ディスプレイ等に表示したり、外部の記憶装置に保存したりするなど、検査結果1472の出力を行う。
【0102】
高密度領域と低密度領域の双方を備える基板を検査する場合、従来のように高密度領域では非検査領域を一定の大きさ(例えば、パッドの境界から20画素など)にすると、2つのパッド、例えば第1パッドP1と第2パッドP2が40画素よりも近い距離に接近していた場合、第1パッドP1の非検査領域と、第2パッドP2の非検査領域とが重なる。このとき、第1パッドP1と第2パッドP2の間の領域が非検査領域となってしまい、検査されない。その結果、第1パッドP1と第2パッドP2の間にあった基板の不良が検査されず、不良の見落としとなり、不良の未検出率(見落とし確率)が高くなる。
【0103】
これに対し、本発明の基板外観検査装置では、第1パッドP1と第2パッドP2が接近している場合に、高密度領域における非検査領域の面積を、低密度領域における非検査領域の面積よりも小さくすることで、第1パッドP1と第2パッドP2の間の検査が行われるようになり、不良の未検出率を低くすることができる。
【0104】
なお、ここでは高密度領域における非検査領域を、第1パッドP1の輪郭と、第1パッドP1及び第2パッドP2の重心の中点Mとの間の距離の1/2を付加して、第1パッドP1の周囲に非検査領域を設定する例について、説明したがこの例に限定されない。パッドの周囲に設定される非検査領域の幅w1は、パッドの輪郭と重心の中点との間の距離の1/2に限定されずに、不良見落とし率や虚報の発生頻度に応じて、好適な値に設定することができる。
【0105】
(第2実施形態)
図6及び図7を参照して、第2実施形態の基板外観検査装置について説明する。図6は、第2実施形態の基板外観検査装置について説明するための概略図である。図7は、第2実施形態の検査画像について説明するための模式図である。
【0106】
第2実施形態の基板外観検査装置は、検査手段を2つ備えている点が、第1実施形態と異なっていて、それ以外の点は、第1実施形態と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0107】
検査領域設定手段1351は、ここで設定された幅の非検査領域に関する情報を、重ね合わせ画像に付加して検査画像を生成する。ここで、検査画像は、高密度領域と、低密度領域についてそれぞれ生成する。高密度領域の検査画像は、高密度画像1454として(図7(A)参照。)、また、低密度領域の検査画像は、低密度画像1456として(図7(B)参照。)主格納部1400に読出し自在に格納される。
【0108】
2つの検査手段のうち、一方の高密度検査手段1374は、主格納部1400から高密度検査画像1454を読み出して、高密度領域を検査する。また、他方の低密度検査手段1376は、低密度画像1456を読み出して、低密度領域を検査する。
【0109】
高密度検査手段1374は、高密度画像1454の全画素に対して、画素単位で、検査辞書1492に格納されている色特徴値と比較し、差が大きい場合に不良と判断する。
【0110】
低密度検査手段1376は、低密度画像1456について、ラインごとに相関性を判定する。
【0111】
第2実施形態の基板外観検査装置1001は、第1実施形態の構成に加えて、さらに、高密度領域と低密度領域にわけて検査している。このため、第2実施形態の構成によれば、高密度領域を画素ごとに詳細に検査し、低密度領域をラインごとに検査できるので、不良検出性能を高めつつ、処理の高速化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】第1実施形態の基板外観検査装置について説明するための概略図である。
【図2】合わせ画像データの作成について説明するための模式図である。
【図3】密度計算について説明するための模式図である。
【図4】非検査領域の設定について説明するための模式図である。
【図5】ラインごとの比較について説明するための模式図である。
【図6】第2実施形態の基板外観検査装置について説明するための概略図である。
【図7】第2実施形態の検査画像を示す模式図である。
【符号の説明】
【0113】
10 基板
1000、1001 基板外観検査装置
1100 入力部
1110 撮像手段
1112 撮像画像データ
1120 データ読出手段
1130 入力手段
1200 出力部
1300 主演算部
1310 パッド領域抽出手段
1320 色データ生成手段
1330 領域位置合わせ手段
1340 領域辞書作成手段
1342 CADデータ変換手段
1344 領域データ作成手段
1350、1351 検査領域設定手段
1360 密度辞書作成手段
1362 重心計算手段
1364 重心間距離計算手段
1366 グループ生成手段
1368 密度情報作成手段
1370 検査手段
1374 高密度検査手段
1376 低密度検査手段
1400 主格納部
1412 パッド画像データ
1422 色データ
1432 合わせ画像データ
1442 領域辞書
1452 検査画像
1454 高密度画像
1456 低密度画像
1462 密度辞書
1472、1474 検査結果
1492 検査辞書
1500 データ格納手段
1510 CADデータ
1520 色基本データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層からなる基板の外観を検査する基板外観検査装置であって、
入力部、出力部、主演算部及び主格納部を備えて構成され、
前記入力部は、さらに基板の撮像画像データを取得する撮像手段と、
前記基板の設計図面であるCADデータと、前記複数の各層に用いられる材料が示す色成分及び光の透過率を含む色基本データとを格納しているデータ格納手段から前記CADデータ及び色基本データを読み出すデータ読出手段とを備え、
前記主演算部は、さらに
前記CADデータ及び色基本データから計算された、密度計算の対象領域が示す色成分の階調値と、前記撮像画像データの各画素が示す色成分の階調値との比較を行って、前記撮像画像データから対象領域の情報を抽出し、前記撮像画像データに前記対象領域の情報を付加して対象領域画像データを作成する対象領域抽出手段と、
前記CADデータから、前記基板を前記対象領域と、該対象領域以外の非対象領域とに分類する領域辞書を作成して前記主格納部に格納する領域辞書作成手段と、
前記領域辞書から抽出した対象領域データと、前記対象領域画像データから切り出した対象領域画像とを用いて、前記対象領域画像データと前記領域辞書の位置合わせを行って、合わせ画像データを作成する領域位置合わせ手段と、
前記対象領域画像データから、隣り合う対象領域の間隔が予め設定した閾値以下の場合は、当該対象領域が含まれる領域を高密度領域と判定し、一方、隣り合う対象領域の間隔が前記閾値よりも大きい場合は、当該対象領域が含まれる低密度領域と判定して、前記基板の各領域を前記高密度領域及び低密度領域とに分類する密度辞書を作成する密度辞書作成手段と、
前記合わせ画像データ及び前記密度辞書を用いて、前記高密度領域における非検査領域の面積を、前記低密度領域における非検査領域の面積よりも小さく設定して、検査画像を生成する検査領域設定手段と、
前記検査画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を前記主格納部に格納する検査手段とを備え、
前記出力部は、前記検査結果を外部に出力する
ことを特徴とする基板外観検査装置。
【請求項2】
複数の層からなる基板の外観を検査する基板外観検査装置であって、
入力部、出力部、主演算部及び主格納部を備えて構成され、
前記入力部は、さらに基板の撮像画像データを取得する撮像手段と、
前記基板の設計図面であるCADデータと、前記複数の各層に用いられる材料が示す色成分及び光の透過率を含む色基本データとを格納しているデータ格納手段から前記CADデータ及び色基本データを読み出すデータ読出手段とを備え、
前記主演算部は、さらに
前記CADデータ及び色基本データから計算された、密度計算の対象領域が示す色成分の階調値と、前記撮像画像データの各画素が示す色成分の階調値との比較を行って、前記撮像画像データから対象領域の情報を抽出し、前記撮像画像データに前記対象領域の情報を付加して対象領域画像データを作成する対象領域抽出手段と、
前記CADデータから、前記基板を前記対象領域と、該対象領域以外の非対象領域とに分類する領域辞書を作成して前記主格納部に格納する領域辞書作成手段と、
前記領域辞書から抽出した対象領域データと、前記対象領域画像データから切り出した対象領域画像とを用いて、前記対象領域画像データと前記領域辞書の位置合わせを行って、合わせ画像データを作成する領域位置合わせ手段と、
前記対象領域画像データから、隣り合う対象領域の間隔が予め設定した閾値以下の場合は、当該対象領域が含まれる領域を高密度領域と判定し、一方、隣り合う対象領域の間隔が前記閾値よりも大きい場合は、当該対象領域が含まれる低密度領域と判定して、前記基板の各領域を前記高密度領域及び低密度領域とに分類する密度辞書を作成する密度辞書作成手段と、
前記合わせ画像データ及び前記密度辞書を用いて、前記高密度領域における非検査領域の面積を、前記低密度領域における非検査領域の面積よりも小さく設定して、検査画像を生成する検査領域設定手段と、
前記高密度画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を前記主格納部に格納する高密度検査手段と
前記低密度画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を前記主格納部に格納する低密度検査手段とを備え、
前記出力部は、前記検査結果を外部に出力する
ことを特徴とする基板外観検査装置。
【請求項3】
前記検査領域設定手段は、
隣り合う対象領域の重心と、該重心の中点を計算し、
前記対象領域の輪郭を抽出して、該輪郭と前記中点との距離の1/2を前記対象領域の周囲の非検査領域の幅として設定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板外観検査装置。
【請求項4】
複数の層からなる基板の外観を検査する基板外観検査方法であって、
基板の撮像画像データを取得する過程と、
前記基板の設計図面であるCADデータと、前記複数の各層に用いられる材料が示す色成分及び光の透過率を含む色基本データとを格納しているデータ格納手段から前記CADデータ及び色基本データを読み出す過程と、
前記CADデータ及び色基本データから計算された、密度計算の対象領域が示す色成分の階調値と、前記撮像画像データの各画素が示す色成分の階調値との比較を行って、前記撮像画像データから対象領域の情報を抽出し、前記撮像画像データに前記対象領域の情報を付加して対象領域画像データを作成する過程と、
前記CADデータから、前記基板を対象領域と、該対象領域以外の非対象領域とに分類する領域辞書を作成する過程と、
前記領域辞書から抽出した対象領域データと、前記対象領域画像データから抽出された対象領域画像とを用いて、前記対象領域画像データと前記領域辞書の位置合わせを行って、合わせ画像データを作成する過程と、
前記対象領域画像データから、隣り合う対象領域の間隔が予め設定した閾値以下の場合は、当該対象領域が含まれる領域を高密度領域と判定し、一方、隣り合う対象領域の間隔が前記閾値よりも大きい場合は、当該対象領域が含まれる低密度領域と判定して、前記基板の各領域を前記高密度領域及び低密度領域とに分類する密度辞書を作成する過程と、
前記合わせ画像データ及び前記密度辞書を用いて、前記高密度領域における非検査領域の面積を、前記低密度領域における非検査領域の面積よりも小さく設定して、検査画像を生成する過程と、
前記検査画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を出力する過程と
を備えることを特徴とする基板外観検査方法。
【請求項5】
複数の層からなる基板の外観を検査する基板外観検査方法であって、
基板の撮像画像データを取得する過程と、
前記基板の設計図面であるCADデータと、前記複数の各層に用いられる材料が示す色成分及び光の透過率を含む色基本データとを格納しているデータ格納手段から前記CADデータ及び色基本データを読み出す過程と、
前記CADデータ及び色基本データから計算された、密度計算の対象領域が示す色成分の階調値と、前記撮像画像データの各画素が示す色成分の階調値との比較を行って、前記撮像画像データから対象領域の情報を抽出し、前記撮像画像データに前記対象領域の情報を付加して対象領域画像データを作成する過程と、
前記CADデータから前記基板を対象領域と、該対象領域以外の非対象領域に分類する領域辞書を作成する過程と、
前記領域辞書から抽出した対象領域データと、前記対象領域画像データから抽出された対象領域画像とを用いて、前記対象領域画像データと前記領域辞書の位置合わせを行って、合わせ画像データを作成する過程と、
前記対象領域画像データから、隣り合う対象領域の間隔が予め設定した閾値以下の場合は、当該対象領域が含まれる領域を高密度領域と判定し、一方、隣り合う対象領域の間隔が前記閾値よりも大きい場合は、当該対象領域が含まれる低密度領域と判定して、前記基板の各領域を前記高密度領域及び低密度領域とに分類する密度辞書を作成する過程と、
前記合わせ画像データ及び前記密度辞書を用いて、前記高密度領域における非検査領域の面積を、前記低密度領域における非検査領域の面積よりも小さく設定して、前記高密度領域について高密度画像を生成するとともに、前記低密度領域について低密度画像を生成する過程と、
前記高密度検査画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を出力する過程と、
前記低密度検査画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を出力する過程と
を備えることを特徴とする基板外観検査方法。
【請求項6】
前記非検査領域の面積の設定に当たり、
隣り合う対象領域の重心と、該重心の中点を計算し、
前記対象領域の輪郭を抽出して、該輪郭と前記中点との距離の1/2を前記対象領域の周囲の非検査領域の幅として設定する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の基板外観検査方法。
【請求項7】
複数の層からなる基板の外観を検査する基板外観検査に用いられるプログラムであって、コンピュータに
前記基板の設計図面であるCADデータと、前記複数の各層に用いられる材料が示す色成分及び光の透過率を含む色基本データとを格納しているデータ格納手段から前記CADデータ及び色基本データを読み出す手順と、
前記CADデータ及び色基本データから計算された、密度計算の対象領域が示す色成分の階調値と、撮像手段が取得した撮像画像データの各画素が示す色成分の階調値との比較を行って、前記撮像画像データから対象領域の情報を抽出し、前記撮像画像データに前記対象領域の情報を付加して対象領域画像データを作成する手順と、
前記CADデータから前記基板を対象領域と、該対象領域以外の非対象領域に分類する領域辞書を作成する手順と、
前記領域辞書から抽出した対象領域データと、前記対象領域画像データから抽出された対象領域画像とを用いて、前記対象領域画像データと前記領域辞書の位置合わせを行って、合わせ画像データを作成する手順と、
前記対象領域画像データから、隣り合う対象領域の間隔が予め設定した閾値以下の場合は、当該対象領域が含まれる領域を高密度領域と判定し、一方、隣り合う対象領域の間隔が前記閾値よりも大きい場合は、当該対象領域が含まれる低密度領域と判定して、前記基板の各領域を前記高密度領域及び低密度領域とに分類する密度辞書を作成する手順と、
前記合わせ画像データ及び前記密度辞書を用いて、前記高密度領域における非検査領域の面積を、前記低密度領域における非検査領域の面積よりも小さく設定して、検査画像を生成する手順と、
前記検査画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を出力する手順と
を実行させることを特徴とする基板外観検査用のプログラム。
【請求項8】
複数の層からなる基板の外観を検査する基板外観検査に用いられるプログラムであって、コンピュータに
前記基板の設計図面であるCADデータと、前記複数の各層に用いられる材料が示す色成分及び光の透過率を含む色基本データとを格納しているデータ格納手段から前記CADデータ及び色基本データを読み出す手順と、
前記CADデータ及び色基本データから計算された、密度計算の対象領域が示す色成分の階調値と、撮像手段が取得した撮像画像データの各画素が示す色成分の階調値との比較を行って、前記撮像画像データから対象領域の情報を抽出し、前記撮像画像データに前記対象領域の情報を付加して対象領域画像データを作成する手順と、
前記CADデータから前記基板を対象領域と、該対象領域以外の非対象領域に分類する領域辞書を作成する手順と、
前記領域辞書から抽出した対象領域データと、前記対象領域画像データから抽出された対象領域画像とを用いて、前記対象領域画像データとCADデータの位置合わせを行って、合わせ画像データを作成する手順と、
前記対象領域画像データから、隣り合う対象領域の間隔が予め設定した閾値以下の場合は、当該対象領域が含まれる領域を高密度領域と判定し、一方、隣り合う対象領域の間隔が前記閾値よりも大きい場合は、当該対象領域が含まれる低密度領域と判定して、前記基板の各領域を前記高密度領域及び低密度領域とに分類する密度辞書を作成する手順と、
前記合わせ画像データ及び前記密度辞書を用いて、前記高密度領域における非検査領域の面積を、前記低密度領域における非検査領域の面積よりも小さく設定して、前記高密度領域について高密度検査画像を生成するとともに、前記低密度領域について低密度検査画像を生成する手順と、
前記高密度画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を出力する手順と、
前記低密度画像を用いて基板の外観を検査して、検査結果を出力する手順と
を実行させることを特徴とする基板外観検査用のプログラム。
【請求項9】
前記非検査領域の面積の設定に当たり、
隣り合う対象領域の重心と、該重心の中点を計算し、
前記対象領域の輪郭を抽出して、該輪郭と前記中点との距離の1/2を前記対象領域の周囲の非検査領域の幅として設定する
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の基板外観検査用のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−298680(P2008−298680A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146941(P2007−146941)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】