説明

外観検査装置およびその画像処理方法

【課題】短い検査時間で被検査物の外観の状態を検査することが可能な外観検査装置およびその画像処理方法を提供する。
【解決手段】ボトルBの被検査面にあるラベルの状態を検査するラベル検査装置1において、ボトルBを自転させる検査テーブル512と、この検査テーブルを公転させるインデックステーブル511と、ボトルBの1周分以上を順次撮像してそれぞれを走査画像として出力するラインカメラ52と、ラインカメラ52により走査画像を1周分より多く結合した画像を元画像とし、この元画像から1周分を切り出した切出画像を被検査面画像とし、被検査面画像に含まれる検査対象画像が分断されているか否かを判定し、検査対象画像が分断されていると判定されると、被検査面画像を前記被検査面の基準位置に対応する位置から2分割し、2分割した被検査面画像のそれぞれの位置を入れ替えて結合して検査画像とする画像処理部を有する制御部53とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物の周囲面の状態を検査する外観検査装置およびその画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査物の外観を検査する外観検査装置として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1には、チップ部品を、所定角度の公転移動に連動して所定角度ずつ自転させ、そして、フィーダ上のチップ部品の上面像を第1のカメラにて撮像した後、チップ部品の側面像を第2から第5のカメラにて撮像し、また該チップ部品の下面像を第6のカメラにて撮像して該チップ部品の良否を順次判定する外観検査装置が記載されている。
特許文献1に記載の外観検査装置では、チップ部品の一面を1回で撮像するCCDカメラを使用しているので、被検査物の各面を検査する際には、複数回撮像する必要がある。この外観検査装置では、被検査物を自転させるだけでなく、公転させているので、撮像回数に応じてカメラを複数台ほど設置している。
【0003】
カメラを複数台設置するのでは、装置規模が大きくなり、装置のコストも増大してしまう。そこで、カメラを撮像素子がライン状に配列されたラインカメラとし、被検査物を回転させて周囲面をラインカメラで走査するように撮像し、その撮像した画像を結合すれば、被検査面全体を1枚の画像として撮像することができるので、1台のラインカメラで被検査物の外観を検査することができる。このような外観検査装置が特許文献2,3に記載されている。
【0004】
特許文献2には、被検査物を回転軸の回りで回転させつつ、被検査物の表面を、CCD等の光電素子が縦方向に1次元的に配列されたラインセンサーにより2回転分ほど撮像し、得られた撮像データからテンプレートマッチング手法を用いて特徴点を抽出することで、基準画像と同じパターンを見つけ出し、一回転分の検査画像を切り出して、被検査物の外面の印刷欠陥の有無を判別する円筒形容器の印刷検査装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、コンベア上を移動する容器を、コンベアと共に同速度で移動するヘッド部により回転させ、回転させた容器の外周面をラインスキャンカメラで1.4周分ほど撮像し、カメラが撮影した映像を画像処理部にて基準画像と比較して、良否を判定する円筒形容器の外周囲検査装置が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−203713号公報
【特許文献2】特開2000−103039号公報
【特許文献3】特開2005−227257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
検査面を検査するには、被検査物の1周分の画像があればよいが、特許文献2,3では、回転する被検査物の被検査面を2周分や1.4周分ほど撮像することで、検査対象である印刷パターンの画像や、ラベルの画像が途切れてしまうことを防止している。
【0008】
しかし、検査対象の画像が途切れないように2周分や1.4周分撮像していたのでは、被検査物を余計に回転させる時間が余分なので、検査に時間を要してしまう。また、撮像した画像のサイズが大きくなるため、画像の処理に更に時間を要してしまう。
【0009】
この時間の増大は、被検査物が少なければ問題とならないが、大量に製造される製品を検査する場合には、大きな問題である。
【0010】
そこで本発明は、短い検査時間で被検査物の外観の状態を検査することが可能な外観検査装置およびその画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の外観検査装置は、被検査物の被検査面にある検査対象の状態を検査する外観検査装置において、前記被検査物を回転させる回転台と、少なくとも前記被検査面の1周分を順次撮像してそれぞれを走査画像として出力するラインカメラと、前記走査画像をそれぞれ結合した元画像を被検査面画像とし、前記被検査面画像に含まれる検査対象画像が分断されているか否かを判定し、前記検査対象画像が分断されていると判定されると、前記被検査面画像を前記被検査面の基準位置に対応する位置から2分割し、2分割した被検査面画像のそれぞれの位置を入れ替えて結合して検査画像とする画像処理部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の外観検査装置の画像処理方法は、被検査物を回転させる回転台と、少なくとも1周分の被検査物の被検査面を順次撮像してそれぞれを走査画像として出力するラインカメラと、前記走査画像をそれぞれ結合した元画像を被検査面画像とし、前記被検査面画像に基づいて前記被検査面にある検査対象の状態を検査するための検査画像を生成する画像処理部とを備えた外観検査装置の画像処理方法であって、前記被検査面画像に含まれる検査対象画像が分断されているか否かを判定する分断判定ステップと、前記検査対象画像が分断されていると判定されると、前記被検査面画像を前記被検査面の基準位置に対応する位置から分割する画像分割ステップと、分割した被検査面画像のそれぞれの位置を入れ替えて結合して検査画像とする画像結合ステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
被検査物が回転台に搭載されて回転することで、ラインカメラによって被検査面である周囲面が順次撮像される。ラインカメラは少なくとも1周分の被検査面を順次撮像した画像を、走査画像として出力する。画像処理部は、まず、この走査画像を結合した元画像を被検査面画像とする。この被検査面画像は、任意の箇所からラインカメラで順次撮影した画像なので、被検査面にある検査対象を撮像した被検査対象画像が、途中から撮像が開始されることで2分割に分断した状態となっていることがある。そこで、画像処理部が、被検査面画像に含まれる検査対象画像が分断されているか否かを判定し、次に、画像処理部が、検査対象画像が分断されていると判定すると、被検査面画像を被検査面の基準位置に対応する位置から分割する。そして、分割した被検査面画像のそれぞれの位置を入れ替えて結合して検査画像とする。そうすることで、被検査物を多く回転させないために、検査対象となる検査対象画像が分断された画像となっていても、検査対象画像を元の連続した画像とすることができる。従って、被検査面の画像が1周分ほど連続して予め元画像内に含まれていなくても、検査を行うことができるので、被検査物を検査するために余計な回転をさせる必要がない。
【0014】
前記画像処理部は、前記画像処理部は、前記ラインカメラにより走査画像を1周分より多く結合した画像を元画像とし、前記元画像から1周分を切り出した切出画像を被検査面画像とするのが望ましい。回転台を回転させて被検査物の被検査面全体を撮像する際に、回転台の回転に回転むらがあると、1周分の元画像を2分割して位置を入れ替えて結合しても、繋ぎ目が一致しない場合がある。そこで、画像処理部が、被検査面を1周分より多く撮像した走査画像により元画像を生成し、この元画像から1周分を切り出した切出画像を被検査面画像とすることで、連続した被検査面1周分の画像を確実に得ることができる。
【0015】
前記回転台には、前記被検査面が回転する方向に沿って等間隔に配置され、前記ラインカメラにより前記被検査面と共に撮像されるマークが設けられ、前記画像処理部は、前記元画像に撮像されたマークの数に基づいて前記被検査面の1周分の長さを検出し、前記元画像から当該長さに基づいて前記被検査面の1周分を切り出しする機能を備えているのが望ましい。
回転台に回転むらがあると、順次撮像される元画像の時間方向の長さが変わってくる。そうなると、被検査面の1周分の長さを予め定め、その定めた長さで、元画像から被検査面の1周分を切り出して、分割した切出画像のそれぞれの位置を入れ替えて結合して検査画像とすると、結合部分が合致しないおそれがある。そこで、回転台に等間隔に配置されたマークがあれば、回転台に回転むらがあっても、回転むらに応じて撮像されたマーク同士の間隔は変わるが、マークの数には変わりがないので、このマークの数から被検査面の1周分の長さを決定することで、正確に切出画像を生成することができる。
【0016】
前記マークは、前記被検査面が回転する方向に沿って所定幅を有するものであるのが望ましい。切出画像を生成するときには、マークの位置を正確に検出する必要がある。しかし、ラインカメラで被検査面を撮像するときに、回転台の回転にむらがあると、元画像のマークが歪んだり抜けたりする可能性があり、正確にマークの位置を検出できないおそれがある。マークが、被検査面が回転する方向に沿って所定幅を有していると、ラインカメラに撮像される元画像に、マークがしっかりと撮像されるので、マークの位置を正確に検出することができる。
【0017】
前記回転台の回転に応じて、所定角度ごとに回転情報を出力するロータリエンコーダが設けられ、前記ラインカメラは、前記回転情報に基づいて前記被検査面を撮像するのが望ましい。回転台に回転むらがあっても、ラインカメラがロータリエンコーダから出力される回転情報に基づいて被検査面を撮像するので、回転むらによる元画像の歪みを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、被検査面の画像が1周分ほど連続して予め元画像内に含まれていなくても、検査を行うことができるので、被検査物を検査するために余計な回転をさせる必要がない。よって、本発明は、短い検査時間で被検査物の外観の状態を検査することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る外観検査装置の一例であるラベル検査装置を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るラベル検査装置の概略平面図である。図2は、図1に示すラベル検査装置の概略斜視図である。図3は、図1に示すラベル検査装置の押圧ユニットを説明するための図である。図4は、図1に示すラベル検査装置のロータリエンコーダを説明するための図である。図5は、図1に示すラベル検査装置の検査装置本体の構成を説明するためのブロック図である。
【0020】
ラベル検査装置は、被検査物である焼酎のボトルの周囲面(被検査面)に貼られたラベルを検査対象として、ラベルの貼り付け状態やラベルへの印刷状態を検査するものである。
図1に示すようにラベル検査装置1は、焼酎が充填されたボトルBを搬送する搬入部2と、検査されたボトルBを搬送する搬出部3と、搬出部3により搬送されるボトルBの中から不良と判定されたボトルBを抜き出して搬送する不良品搬送部4と、ボトルBを検査する検査装置本体5とを備えている。
【0021】
搬入部2は、ボトルBを搭載して搬送する上流側コンベア21と、搬送されるボトルBの前後の間隔を一定に揃えるために、棒状体の周囲面全体に螺旋状の溝が上流から下流に向かうに従って徐々に広がり最終的に一定となるように形成されたタイミングスクリュー22と、タイミングスクリュー22により搬送されるボトルBをガイドするために上流側コンベア21を挟んでタイミングスクリュー22の反対側に設けられたガイド板23と、タイミングスクリュー22により整列したボトルBに同期して検査装置本体5へボトルBを取り込む上流側スターホイール24とを備えている。
【0022】
搬出部3は、検査が終了したボトルBを検査装置本体5から取り出す下流側スターホイール31と、取り出したボトルBを搬送する下流側コンベア32とを備えている。
【0023】
不良品搬送部4は、下流側コンベア32上のボトルBを押し出す選別部41と、選別部41により押し出された外観が不良と判定されたボトルBを搬送する不良品搬送コンベア42とを備えている。
【0024】
検査装置本体5は、上流側スターホイール24からのボトルBを取り込んで移動させる検査ステージ51と、検査ステージ51上のボトルBの周囲面を被検査面として撮像するラインカメラ52と、ラインカメラ52により撮像された画像を処理し、検査の判定を行う制御部53とを備えている。
【0025】
検査ステージ51は、平面視して時計回りにボトルBを公転させるインデックステーブル511と、インデックステーブル511上に円描くように配置され、ボトルBの軸線を中心に水平回転させて、ボトルBを自転させる検査テーブル512と、検査テーブル512を回転させる3つのローラ513とを備えている。
【0026】
インデックステーブル511の下方には、連続的な回転を発生させるモータ(図示せず)と、モータからの回転を所定角度ごとに停止するような間欠的な回転に変換してインデックステーブル511を駆動するインデックスユニット(図示せず)とが設けられている。インデックステーブル511の上方には、検査テーブル512上で自転しながら公転するボトルBを上から押さえる押圧ユニット514(図3参照)が設けられている。この押圧ユニット514は、インデックステーブル511の中央部から立設された支柱511aに配置された円形状の支持板511bに昇降可能に設けられている。
【0027】
図4に示すように、検査テーブル512は、ボトルBを搭載して回転する回転台である。この検査テーブル512の周囲面の上部には、全周に渡って24個の円形状のマーク512aが等間隔に配置されている。マーク512aは、マーク512a同士の間隔が狭すぎて、検査テーブル512の回転むらによりマーク512a同士が繋がったような状態で撮像されない程度の間隔とするのが望ましい。
【0028】
3つのローラ513は、摩擦により検査テーブル512を回転駆動するために、周囲縁部に環状の弾性部材を設けた円盤状部材であり、駆動軸513aが図示しないモータに接続されている。そして、ラインカメラ52の前に位置するローラ513には、所定角度ごとに回転情報を出力するロータリエンコーダ515(図4参照)が取り付けられている。このロータリエンコーダ515は、通信部(図示せず)を介して制御部53に接続されている。
【0029】
ラインカメラ52は、撮像素子がライン状に配列されていることで、ボトルBの検査面を、上下方向のラインごとに撮像して走査画像として制御部53へ出力するカメラである。
【0030】
制御部53は、図5に示すように、ラベル検査装置1全体を統括制御する制御部本体531と、検査の状況が表示されCRTやLCDなどで構成される表示部532と、キーボードやマウスなどで構成される入力部533とを備えている。
【0031】
制御部本体531は、ラインカメラ52からの走査画像を入力して画像処理を行って、ラベルの画像が分断されていない検査画像を出力する画像処理部531aと、検査画像に基づいて検査して結果を不良品搬送部4の選別部41へ通知する検査処理部531bとを備えている。この制御部53は、検査プログラムを動作させることで、画像処理部531a、検査処理部531bとして機能させることができるコンピュータとすることができる。
【0032】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係るラベル検査装置1の動作を、図面に基づいて説明する。
【0033】
まず、図1に示すように、ボトルBが上流側コンベア21より連なった状態で搬送されてくる。ボトルBは、ガイド板23に支持されながらタイミングスクリュー22により前後の間隔が一定に揃えられて上流側スターホイール24に到達する。次に、上流側スターホイール24により検査テーブル512にボトルBは移送される。移送されたボトルBは、インデックステーブル511の間欠的な回転により、まず最初のローラ513の位置まで移動する。すると最初のローラ513が検査テーブル512の周囲面に接触することで検査テーブル512が回転し始める。そして次のインデックステーブル511の間欠的な回転により2番目のローラ513の位置まで検査テーブル512が移動すると、2番目のローラ513と検査テーブル512とが接触して、検査テーブル512に更に回転が加わる。
【0034】
検査テーブル512には、焼酎が充填されたボトルBが搭載されていることで、相当な重量が加わっている。従って、ラインカメラ52に撮像する前に、事前に回転を検査テーブル512に付与しておくことで、安定した回転を得ることができる。そして、次のインデックステーブル511の間欠的な回転により、3番目のローラ513の位置まで検査テーブル512が移動することで、3番目のローラ513により、更に安定した回転状態となる。
【0035】
ラインカメラ52の前に位置するローラ513が所定角度となる度にロータリエンコーダ515から回転情報が制御部53へ出力される。制御部53は、回転情報を受信するとラインカメラ52にボトルBの周囲面の撮像を指示する。つまり、ロータリエンコーダ515からの回転情報がラインカメラ52のシャッターを切るタイミングとなっている。従って、検査テーブル512の回転に応じて正確にラインカメラ52の撮像を行うことができる。
【0036】
ラインカメラ52は、撮像する度に、撮像した画像をそれぞれ走査画像として制御部53へ出力する。図5に示す制御部53の画像処理部531aでは、この走査画像をそれぞれ結合して元画像とし、元画像に基づいて被検査面にあるラベルの状態を検査するための検査画像を生成する。
【0037】
ここで、画像処理部531aの画像処理方法について、図6および図7に基づいて詳細に説明する。図6は、画像処理部531aの画像処理方法について説明するためのフローチャートである。図7(A)〜同図(E)は、画像処理部が処理する画像の一例を示す図である。
【0038】
まず、画像処理部531aは、ラインカメラ52から出力される走査画像を順次メモリに取り込んで結合することで、図7(A)に示すような1枚の元画像G1とする(ステップS10)。この場合、検査テーブル512が平面視して時計回りに回転するのであれば走査画像が元画像G1の左端から右端に積み重なるようにして結合される。本実施の形態では、元画像G1は、ボトルBの約1.2周分の走査画像に基づいて生成される。
【0039】
この焼酎のボトルBには、検査対象である正面ラベルと背面ラベルと肩ラベルとが貼り付けられているので、元画像G1には、それぞれ検査対象画像として、正面ラベル画像L1と背面ラベル画像L2と肩ラベル画像L3とが含まれている。また、検査テーブル512の周囲面に配置されたマーク512aは、検査テーブル512が回転する方向に沿って設けられているので、マーク画像Mも撮像された時間方向に沿って含まれている。この元画像G1では、ラインカメラ52が撮像を開始する位置が、それぞれのボトルBで定まっていないため、正面ラベル画像L1と肩ラベル画像L3とが分断された状態となっている。
【0040】
次に、画像処理部531aは、この元画像G1から外周面(被検査面)の1周分を切り出して、図7(B)に示すような切出画像G2を生成して被検査面画像とする(画像切出ステップ)。本実施の形態では、ボトルBの約1.2周分の走査画像を結合して元画像G1としているが、ボトルBの1周分の走査画像を結合した元画像を被検査面画像とすることで、画像切出ステップを省略してもよい。しかし、1周分の走査画像のみで元画像G1を生成すると、検査テーブル512と検査テーブル512を回転させるローラ513とが接触し始めたときや、または接触している最中に、ローラ513が滑ることで、検査テーブル512の回転むらとなってしまい、検査テーブル512の回転角度とロータリエンコーダ515が検出するローラ513の回転角度とに差ができる。そうなると、ボトルBの周囲面の1周分に満たないおそれがある。従って、1周分より多く1.2周分の走査画像を取り込んで元画像G1とし、この元画像G1からボトルBの周囲面1周分を切り出して切出画像G2とすることで、確実にボトルBの周囲面の1周分を含む元画像G1とすることができる。
【0041】
このとき、ボトルBの周囲面の1周分の長さに対応するドット数で、元画像G1を切り出して切出画像を生成するようにしてもよいが、前記した回転むらにより、切り出した画像の時間方向の長さが、実際のボトルBの1周分とは異なる場合がある。そうなると、やはり、ボトルBの周囲面の1周分に満たないおそれがある。
【0042】
そこで、画像処理部531aは、マーク画像Mを数えることでボトルBの1周分を検出する。本実施の形態では、検査テーブル512の周面に24個のマーク512aを等間隔に付与しているので、マーク画像Mの24個分の長さでボトルBの1周分となる(ステップS20)。従って、図7(A)に示すマーク画像Mが28個ほど撮像された元画像G1の左端から、中心が撮像されたマーク画像Mを左端マーク画像M1とし、左端マーク画像M1から24個目となるマーク画像Mを右端マーク画像M2として、左端マーク画像M1の中心から右端マーク画像M2までの中心までを元画像G1から切り出すことで、図7(B)に示すような切出画像G2を正確に生成することができる(ステップS30)。つまり、左端マーク画像M1と右端マーク画像M2とは、同じマーク512aである。
【0043】
マーク512aは、円形状に形成されている。しかし、このマーク512aは、三角形状、四角形状、それ以上の多角形状や、星形や異形状や、単なる目盛としてもよい。しかし、目盛のように等間隔に細線が並んでいるだけでは、検査テーブル512に前記したような回転むらがあると歪んだり抜けたりするおそれがある。本実施の形態では、マーク512aが被検査面であるボトルBの周囲面が回転する方向に沿って所定幅を有しているので、検査テーブル512に回転むらがあっても、マーク512aがマーク画像Mとしてしっかりと元画像G1に撮像されるので、歪んだり抜けたりすることがない。従って、画像処理部531aは、マーク512aの位置を正確に検出することができる。なお、このマーク512aの歪みや抜けを防止するためには、少なくともラインカメラ52のライン幅の2つ分以上の幅があればよい。
【0044】
次に、画像処理部531aは、切出画像G2に含まれる検査対象画像である正面ラベル画像L1と背面ラベル画像L2と肩ラベル画像L3とが分断されているか否かを判定する(分断判定ステップ)。この検査対象画像が分断されているか否かの判定は、予め定めたボトルBの基準位置から切出画像G2の右端、または左端までの距離を割り出すことで行う。図7(C)に示すように、例えば、正面ラベル画像L1の左上の角部K1をパターンマッチングにより検出し、切出画像G2の右端までの距離を割り出す。また、同様に、背面ラベル画像L2の右下の角部K2をパターンマッチングにより検出し、切出画像G2の左端までの距離を割り出す。そして、割り出した距離が所定距離より短ければ、検査対象画像が分断されていると判定する(ステップS40)。図7(C)に示す切出画像G2では、正面ラベル画像L1または背面ラベル画像L2のいずれかが分断されていることが判定されるので、この切出画像G2をそのまま画像処理をせずに検査画像として使用することができないことを認識する。検査対象画像が分断されていないと判定されれば、画像処理部531aは切出画像G2である被検査面画像をそのまま検査画像とする。
【0045】
本実施の形態では、正面ラベル画像L1の左上の角部K1と、背面ラベル画像L2の右下の角部K2とをパターンマッチングの基準パターンとしているが、検査対象画像が分断されていないボトルBの周囲面全体の画像を予め準備し、この画像を基準パターンとして比較することで、判定してもよい。しかし、ボトルBの周囲面全体の画像を基準パターンとすると、メモリを大量に必要とするだけでなく、画像処理に時間を要するので、部分的なパターンを基準パターンとするのが望ましい。
【0046】
次に、検査対象画像が分断されていると判定された場合には、切出画像G2を分割する(画像分割ステップ)。本実施の形態では、正面ラベルと背面ラベルとの中間位置を基準位置としているので、図7(D)に示すように正面ラベル画像L1の左上の角部K1と、背面ラベル画像L2の右下の角部K2との中間位置を基準位置に対応する位置として分割して分割画像D1,D2とする(ステップS50)。この基準位置は、検査対象画像を分断しない位置であれば任意の位置とすることができるが、検査対象画像の分断を判定する際に、角部K1と角部K2の位置が判別できているので、その中間位置を基準位置とすることで、より早い実行速度を実現することができる。
【0047】
最後に、画像処理部531aは、図7(E)に示すように、角部K1と角部K2の中間位置から分割した分割画像D1,D2のそれぞれ位置を入れ替えて検査画像Tを生成する(画像結合ステップ)。このようにして、画像処理部531aは、ボトルBの周囲面の1周分の画像を生成することができる(ステップS60)。
【0048】
次に、画像処理部531aが生成した検査画像Tに基づいて、検査処理部531bが検査を行う。検査は、正面ラベル画像L1、背面ラベル画像L2や、肩ラベル画像L3の傾きが許容範囲か、正面ラベル画像L1、背面ラベル画像L2、肩ラベル画像L3のそれぞれの位置関係がずれているか、また、正しく貼られたときの正面ラベル画像、背面ラベル画像や、肩ラベル画像と比較して、めくれや汚れの発生や、間違ったラベルを貼っているか、正しいバーコードであるか、製造年月日が印刷されているかなどの検査を行う。
【0049】
本実施の形態では、ロータリエンコーダ515から出力される角度情報は、ラインカメラ52が撮像するタイミングとしているだけだが、角度情報が出力されるそれぞれの時間間隔を測定して標準時間からのずれに基づいて検査画像Tの時間方向のずれを補正するようにしてもよい。そうすることで、正面ラベル画像L1、背面ラベル画像L2、または肩ラベル画像L3の時間方向の長さのずれを修正することができる。
【0050】
もし、検査処理部531bが不良を検出した場合には、不良品搬送部4の選別部41へ通知することで、順次下流側へ移動するボトルBを不良品搬送コンベア42へ移送して良品と選別する。
【0051】
このように、元画像G1に含まれる正面ラベル画像L1、背面ラベル画像L2や、肩ラベル画像L3が分断された画像となっていても、検査対象画像を元の連続した画像とすることができるので、ボトルBの周囲面の画像が連続して1周分ほど予め元画像内に含まれていなくても、検査を行うことができる。従って、ボトルBを検査するために余計に回転をさせる必要がないので、短い検査時間でボトルBの外観の状態を検査することが可能である。
【0052】
なお、本実施の形態では、被検査物として被検査面が円筒形状のボトルBを例に説明したが、被検査物が円筒形に限らず直方体状でも異形状でも、被検査物を回転させ、ラインカメラで撮像することで、周囲面を平坦面に展開した画像とすることができれば、同様に少ない回転数で検査することが可能である。
【0053】
また、本実施の形態に係るラベル検査装置1では、ボトルBがインデックステーブル511により公転しながら検査テーブル512により自転していたが、被検査物が直線状のコンベアで搬送されている途中で回転を付与されることで、被検査物の周囲面である検査面の状態を検査する、例えば特許文献3に記載の外周面検査装置のようなものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、被検査物の周囲面に付与されたラベルを検査するラベル検査装置だけでなく、商品名や内容物の表示、製造年月日などが、被検査面に直接印刷されているような被検査物の外観を検査する外観検査装置およびその画像処理方法に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベル検査装置の概略平面図である。
【図2】図1に示すラベル検査装置の概略斜視図である。
【図3】図1に示すラベル検査装置の押圧ユニットを説明するための図である。
【図4】図1に示すラベル検査装置のロータリエンコーダを説明するための図である。
【図5】図1に示すラベル検査装置の検査装置本体の構成を説明するためのブロック図である。
【図6】画像処理部の画像処理方法について説明するためのフローチャートである。
【図7】(A)〜(E)は、画像処理部が処理する画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ラベル検査装置
2 搬入部
21 上流側コンベア
22 タイミングスクリュー
23 ガイド板
24 上流側スターホイール
3 搬出部
31 下流側スターホイール
32 下流側コンベア
4 不良品搬送部
41 選別部
42 不良品搬送コンベア
5 検査装置本体
51 検査ステージ
511 インデックステーブル
511a 支柱
511b 支持板
512 検査テーブル
512a マーク
513 ローラ
513a 駆動軸
514 押圧ユニット
515 ロータリエンコーダ
52 ラインカメラ
53 制御部
531 制御部本体
531a 画像処理部
531b 検査処理部
532 表示部
533 入力部
G1 元画像
G2 切出画像
L1 正面ラベル画像
L2 背面ラベル画像
L3 肩ラベル画像
M マーク画像
M1 左端マーク画像
M2 右端マーク画像
T 検査画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物の被検査面にある検査対象の状態を検査する外観検査装置において、
前記被検査物を回転させる回転台と、
少なくとも前記被検査面の1周分を順次撮像してそれぞれを走査画像として出力するラインカメラと、
前記走査画像をそれぞれ結合した元画像を被検査面画像とし、前記被検査面画像に含まれる検査対象画像が分断されているか否かを判定し、前記検査対象画像が分断されていると判定されると、前記被検査面画像を前記被検査面の基準位置に対応する位置から2分割し、2分割した被検査面画像のそれぞれの位置を入れ替えて結合して検査画像とする画像処理部と
を備えた外観検査装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記ラインカメラにより走査画像を1周分より多く結合した画像を元画像とし、前記元画像から1周分を切り出した切出画像を被検査面画像とする請求項1記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記回転台には、前記被検査面が回転する方向に沿って等間隔に配置され、前記ラインカメラにより前記被検査面と共に撮像されるマークが設けられ、
前記画像処理部は、前記元画像に撮像されたマークの数に基づいて前記被検査面の1周分の長さを検出し、前記元画像から当該長さに基づいて前記被検査面の1周分を切り出して前記切出画像とする機能を備えた請求項2記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記マークは、前記被検査面が回転する方向に沿って所定幅を有するものである請求項3記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記回転台の回転に応じて、所定角度ごとに回転情報を出力するロータリエンコーダが設けられ、
前記ラインカメラは、前記回転情報に基づいて前記被検査面を撮像するものである請求項1から4のいずれかの項に記載の外観検査装置。
【請求項6】
被検査物を回転させる回転台と、少なくとも1周分の被検査物の被検査面を順次撮像してそれぞれを走査画像として出力するラインカメラと、前記走査画像をそれぞれ結合した元画像を被検査面画像とし、前記被検査面画像に基づいて前記被検査面にある検査対象の状態を検査するための検査画像を生成する画像処理部とを備えた外観検査装置の画像処理方法であって、
前記被検査面画像に含まれる検査対象画像が分断されているか否かを判定する分断判定ステップと、
前記検査対象画像が分断されていると判定されると、前記被検査面画像を前記被検査面の基準位置に対応する位置から分割する画像分割ステップと、
分割した被検査面画像のそれぞれの位置を入れ替えて結合して検査画像とする画像結合ステップと
を含む外観検査装置の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−31060(P2009−31060A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193687(P2007−193687)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(507251295)アロン電機株式会社 (4)
【Fターム(参考)】