説明

多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法

【課題】素子回路線幅の超微細化、パターン縦横比の増加、および蒸着温度の低下にもかかわらず、膜特性、段差塗布性、大気/湿気露出に対する膜質変化に対する安定性の全てを満足させる多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法を提供する。
【解決手段】基板上に第1蒸着速度で第1下部金属窒化膜を形成し、前記第1下部金属窒化膜上に第2蒸着速度で第2下部金属窒化膜を形成し、前記2段階によって形成された下部TiN膜上に、窒素(N)含有量の多い上部金属窒化膜を第3蒸着速度で形成することからなり、前記n番目膜の蒸着速度は、第2蒸着速度≧第1蒸着速度≧第3蒸着速度である。本発明によれば、基板上にTiN積層膜を形成することで、大気/湿気露出に対する安定性を向上させることができ、クラスタシステムの同一反応チャンバーまたは相違した反応チャンバーで容易に基板上にTiN積層膜を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜蒸着方法、特に、多重積層金属窒化(TiN)膜の蒸着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程において、キャパシタの上部電極蒸着工程またはコンタクトバリアメタル蒸着工程は、半導体業界で進行されている回路線幅の超微細化の趨勢に従い、今後より低い温度での蒸着にもかかわらず、より良い段差塗布性を有しなければならない。このような金属窒化膜をより低い温度で蒸着することになると、様々な問題点を伴うことになり、高い比抵抗および不純物含有度、大気/湿気への露出に際して、急激な抵抗変化、結果的に高い比抵抗の金属窒化膜が覆われることによる素子特性の低下までつながる。このような金属窒化膜の代表的な例としてTiNがある。これから、縦横比がもっと大きいパターンにもっと低い温度で比抵抗が高くなくて不純物も比較的少なく含有され、段差塗布性も低下しない蒸着方法の開発が半導体業界で次第に大きく要求される見込みである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、素子回路線幅の超微細化、パターン縦横比の増加、蒸着温度の低下にもかかわらず、膜特性、段差塗布性(step coverage)、大気/湿気露出による膜質変化に対する安定性を全て満足させる、多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、基板上に相違する蒸着速度を有する多重金属窒化膜を形成する方法において、(a)基板上に第1蒸着速度で第1下部金属窒化膜を形成する段階;(b)前記第1下部金属窒化膜上に第2蒸着速度で第2下部金属窒化膜を形成する段階;および(c)前記(a)、(b)段階によって形成された下部金属窒化膜、例えばTiN膜上に、大気/湿気露出に対する安定性を向上させるために、窒素(N)含有量の多い上部金属窒化膜を第3蒸着速度で形成する段階;を含み、前記n番目膜の蒸着速度は、第2蒸着速度≧第1蒸着速度≧第3蒸着速度であることを特徴とする、多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法を提供するものである。
【0005】
前記n番目膜の蒸着のための第1反応ガス(金属元素含み)/第2反応ガス(N元素含み)の比Kn(n=1、2、3)はK2≧K1≧K3であることができる。
【0006】
前記金属窒化膜は、第1反応ガスのArと第2反応ガスのArを互いに連通しないシャワーヘッドを通じて基板上に連続的に噴射しつつ、前記金属元素、例えばTi元素を含む第1反応ガスと前記N元素を含む第2反応ガスとの同時噴射または交互的噴射により蒸着することができる。
【0007】
第1下部金属窒化膜は、界面安定化と接着層(glue layer)の役目をし、第2下部金属窒化膜より少ない不純物を含み、小さな厚みに蒸着することができる。
第2下部金属窒化膜は、多重積層膜のなかで最も大きい厚みを形成し、バリアの役目をする膜であり、より低い温度で優れた段差塗布性を示しながら他の積層膜より早く蒸着することができる。
【0008】
前記多重積層膜は、同一チャンバーで積層構造を形成することができる。
前記多重積層膜は、移送チャンバーに付設された他のチャンバーで積層構造を形成することができる。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明は、基板上に相違する蒸着速度を有する多重金属窒化膜を形成する方法において、(a)基板上に第1蒸着速度でALD TiN膜を蒸着する段階;(b)前記ALD TiN膜上に第2蒸着速度でCVD TiN膜を蒸着して下部TiN膜を形成する段階;及び(c)前記下部TiN積層膜上に、大気/湿気露出に対する安定性を向上させるために、窒素(N)含有量の多い上部TiN膜を第3蒸着速度で積層させる段階;を含み、前記n番目膜の蒸着速度は、第2蒸着速度≧第1蒸着速度≧第3蒸着速度であることを特徴とする多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法を提供するものである。
【0010】
シャワーヘッド底部からヒーター表面までの距離を工程間隔と定義すると、前記ALD(Atomic Layer Deposition)・TiN膜は第1工程間隔を維持しながら蒸着され、前記CVD TiN膜は第1工程間隔と同一であるかまたはそれより大きい第2工程間隔を維持しながら蒸着することができる。
前記ALD TiN膜および前記CVD TiN膜は同一反応チャンバーで蒸着することができる。
【0011】
前記ALD TiN膜は、移送チャンバーに付設された第1反応チャンバーで第1温度で維持されるウェーハブロック上に基板が配置された後に形成され、前記CVD TiN膜は、移送チャンバーに付設された第2反応チャンバーで第1温度より高い第2温度で維持されるウェーハブロック上に基板が配置された後に形成することができる。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明は、基板上に相違する蒸着速度を有する多重金属窒化膜を形成する方法において、(a)基板上に第1蒸着速度で第1ALD TiN膜を蒸着する段階;(b)前記第1ALD TiN膜上に第2蒸着速度で第2ALD TiN膜を蒸着して下部TiN膜を形成する段階;及び(c)前記下部TiN積層膜上に、大気/湿気露出に対する安定性を向上させるために、窒素(N)含有量の多い上部TiN膜を第3蒸着速度で積層させる段階;を含み、前記n番目膜の蒸着速度は、第2蒸着速度≧第1蒸着速度≧第3蒸着速度であることを特徴とする、多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法を提供する。
【0013】
シャワーヘッド底部からヒーター表面までの距離を工程間隔と定義すると、前記第1ALD TiN膜は第1工程間隔を維持しながら蒸着され、前記第2ALD TiN膜は第1工程間隔と同一であるかまたはそれより大きい第2工程間隔を維持しながら蒸着することができる。
【0014】
前記第2ALD TiN膜のサイクル当たり蒸着原子層の高さは、第1ALD TiN膜のサイクル当たり蒸着原子層の高さより大きくすることができる。
【0015】
前記第1ALD TiN膜および前記第2ALD TiN膜は同一反応チャンバーで蒸着することができる。
【0016】
前記第1ALD TiN膜は、移送チャンバーに付設された第1反応チャンバーで第1温度で維持されるウェーハブロック上に基板が配置された後に形成され、前記第2ALD TiN膜は、移送チャンバーに付設された第2反応チャンバーで第1温度より高い第2温度で維持されるウェーハブロック上に基板が配置された後に形成することができる。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明は、基板上に相違する蒸着速度を有する多重金属窒化膜を形成する方法において、(a)基板上に第1蒸着速度で第1CVD TiN膜を蒸着する段階;(b)前記第1CVD TiN膜上に第2蒸着速度で第2CVD TiN膜を蒸着して下部TiN膜を形成する段階;及び(c)前記下部TiN積層膜上に、大気/湿気露出に対する安定性を向上させるために、窒素(N)含有量の多い上部TiN膜を第3蒸着速度で積層させる段階;を含み、前記n番目膜の蒸着速度は、第2蒸着速度≧第1蒸着速度≧第3蒸着速度であることを特徴とする、多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法を提供する。
【0018】
シャワーヘッド底部からヒーター表面までの距離を工程間隔と定義すると、前記第1CVD TiN膜は第1工程間隔を維持しながら蒸着され、前記第2CVD TiN膜は第1工程間隔と同一であるかまたはそれより大きい第2工程間隔を維持しながら蒸着することができる。
【0019】
前記第1CVD TiN膜および前記第2CVD TiN膜は同一反応チャンバーで蒸着することができる。
【0020】
前記第1CVD TiN膜は、移送チャンバーに付設された第1反応チャンバーで第1温度で維持されるウェーハブロック上に基板が配置された後に形成され、前記第2CVD TiN膜は、移送チャンバーに付設された第2反応チャンバーで第1温度より高い第2温度で維持されるウェーハブロック上に基板が配置された後に形成することができる。
【0021】
前記上部TiN膜は、Ti元素を含む第1反応ガスの流量よりN元素を含む第2反応ガスの流量を少なくとも10倍以上維持しながら蒸着することができる。
【0022】
前記Ti元素を含む第1反応ガスはTiClであり、前記N元素を含む第2反応ガスはNHであることができる。
【0023】
前記第1蒸着速度は50〜55Å/分、前記第2蒸着速度は50〜500Å/分、前記第3蒸着速度は5Å/分以下であることができる。
【0024】
前記多重積層膜構造の金属窒化膜は、電極間誘電膜と電極物質との間にバリア膜として使われるか、あるいはメタルコンタクト形成工程においてTi膜上にバリア膜として蒸着することができる。
【0025】
前記多重積層膜構造の金属窒化膜は、第1金属窒化膜の厚み(T1)、第2金属窒化膜の厚み(T2)、第3金属窒化膜の厚み(T3)が、(T2)>(T1)>(T3)であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、素子回路線幅の超微細化、パターン縦横比の増加、蒸着温度の低下にもかかわらず、膜特性、段差塗布性(step coverage)、大気/湿気露出による膜質変化に対する安定性を全て満足させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
本発明の最も核心となる薄膜蒸着方法を図1〜図4に示し、本発明の具現のための薄膜蒸着装置の概念を図5および図6に示す。また、本発明が具体的に適用される半導体素子における具体的な応用例を図7および図8に示す。
【0029】
図1は本発明による多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法を包括的に説明するための工程図である。
【0030】
半導体素子の金属窒化膜蒸着工程において、低温でより小さい縦横比を有するパターンに蒸着するとき、特性低下または段差塗布性、および大気/湿気露出に対する安定性を最大限高めるための方法の一つを提示する。
【0031】
その基本原理は金属窒化膜を三段階に分けて蒸着することであり、第1段階では、基板上に第1蒸着速度で第1下部金属窒化(TiN)膜を形成し(S101)、第2段階では、基板上に形成された第1下部金属窒化膜上に第2蒸着速度で第2下部金属窒化膜を形成し(S102)、第3段階では、前記第1下部金属窒化膜と第2下部金属窒化膜からなった下部金属窒化膜上に、大気/湿気露出に対する安定性を向上させるために、窒素(N)含有量の多い上部金属窒化膜を第3蒸着速度で形成する(S103)。
【0032】
前記第1〜第3段階で形成する窒化膜の蒸着速度は、第2蒸着速度≧第1蒸着速度≧第3蒸着速度である。
【0033】
最初の二つの段階(S101、S102)の薄膜を下部金属窒化膜と定義し、第3段階(S103)の薄膜を上部金属窒化膜と定義する。前記上部金属窒化膜は、三つの段階の薄膜のなかで最も小さい厚みおよび遅い蒸着速度を有するが、最も高いN−rich膜であり、バリア性と大気/湿気露出に対する全体膜の保護の役目をする。
【0034】
図7および図8は本発明による多重積層膜構造の金属窒化膜蒸着の実施形態を示すもので、図7はキャパシタ電極への応用例、図8はコンタクトバリアメタルへの応用例を示す。
第1下部金属窒化膜1は、蒸着速度を二番目に遅く、厚みを二番目に薄くするが、直後に蒸着する第2下部金属窒化膜2よりは純度が高いようにして、前記金属窒化膜が全体的に下部膜との安定的な接触を誘導し、第2下部金属窒化膜(2)に対する接着層の役目をするようにする。第1下部金属窒化膜1の役目と上部金属窒化膜3の役目を先に説明した。つぎに、第2下部金属窒化膜2の役目を説明する。通常、金属窒化膜の役目はなによりもバリア特性にある。
【0035】
図7においては、誘電膜と上部電極IIとの間に蒸着することにより、キャパシタの漏洩電流をさらに少なくして静電容量の向上をもたらすようにし、図8においては、上部の金属と下部のシリコンが反応することを防ぐ役目を前記金属窒化膜が担当することになる。
一例として、電極間誘電物質としてアルミナを使用するとき、デザインルールがさらに狭小になるにもかかわらず、素子の動作信頼性を確保するための容易な方法の一つは前記アルミナ上にTiNのような金属窒化膜を蒸着することである。また、第2下部金属窒化膜2の役目を説明すると、バリア特性のためには、最小限の厚み蒸着が必要である。これは、デザインルールおよび多くの具体的な素子の必要条件によって違うが、一定厚み以上に蒸着することがバリア膜の必須条件であると理解することができる。
したがって、第2下部金属窒化膜2が3重積層膜を形成するにあって、最も大きな厚みを形成するので、実質的なバリア役目を担当する膜である。前記第2下部金属窒化膜2の役目は定義したが、より低い温度で段差塗布性をよくしつつ、より早く前記第2下部金属窒化膜2を蒸着することがCoO減少のための方法である。もちろん、前記方法は工程の1ステップの追加、TiN蒸着設備の具備等のような費用上昇要因を伴うことになることは不可避なCoO(Cost of Ownership)上昇の要因となる。
【0036】
図2〜図4は、図1の基本原理を中心として、代表的なTiN膜の例として具体的な発明の実施形態を示す。
【0037】
図2は本発明による多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法の一実施形態を示す工程図である。
図2においては、第1下部金属窒化膜1としてALD TiN膜を蒸着し(S201)、第2下部金属窒化膜2としてCVD TiN膜を蒸着する(S202)。
【0038】
まず、前述した膜の役目を充実するために、図5に示すような薄膜蒸着装置を用いる。
図5は本発明によるTiN積層膜の蒸着方法を説明するための反応チャンバーの一実施形態を示すものである。
反応チャンバー500内のシャワーヘッド510を通じて噴射される第1反応ガスTiClと第2反応ガスNHの混合によって基板520上に下部TiN膜を先に形成する。
その後、所定の時間が経った後、前記下部TiN膜上に大気/湿気露出に対する安定性を向上させるために、窒素(N)含有量が多く含まれた上部TiN膜を形成する(S203)。
【0039】
前記上部TiN膜は、Ti元素を含む第1反応ガスの流量より窒素(N)元素を含む第2反応ガスの流量を少なくとも10倍以上維持し、前記窒素(N)元素を含む第2反応ガスを持続的に基板520上に噴射しながらTi元素を含む第1反応ガスの基板520上への流れをオン/オフして蒸着する。
したがって、前記第1下部金属窒化膜1のALD TiN膜と、第2下部金属窒化膜2のCVD TiN膜とを1チャンバーで蒸着する場合、ウェーハブロックの温度は固定した状態で、ALD TiN膜の蒸着時には、第1工程間隔、簡単に言って、工程間隔を十分に狭めて蒸着することにより、ファジー効率を最大限高めて、一層充実なALD薄膜を蒸着し、CVD TiN膜を蒸着する時には、第2工程間隔、すなわち、ALD TiN膜の蒸着時よりずっと大きく工程間隔を広げることにより、CVD工程特有のLa分arガスフローが基板上に適用されるように誘導する。ALD TiN膜の蒸着時とは異なり、CVD TiN膜の蒸着時、段差塗布性または膜の均一度の面で広い工程間隔が有利である。
【0040】
また、前記第1下部金属窒化膜1のALD TiN膜と第2下部金属窒化膜1のCVD TiN膜の蒸着を相違するチャンバーで行うこともできる。この場合、素子によって、ALD TiN膜1の蒸着段階とCVD TiN膜2の蒸着段階のウェーハブロック温度を互いに異なるようにすることが有利である。
【0041】
この際、図6に示すようなクラスタツールシステムで移送チャンバー600に付設された反応チャンバー(A)601でALD TiN膜1を蒸着し、移送チャンバー600によって移送された反応チャンバー(B)602でCVD TiN膜2の蒸着を行うことが可能である。もちろん、この時、ALD TiN膜を蒸着する反応チャンバー(A)601のウェーハブロック温度とCVD TiN膜を蒸着する反応チャンバー(B)602のウェーハブロック温度は差がある。
【0042】
図3は本発明による多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法の他の実施形態を示す工程図である。
図3においては、第1下部金属窒化膜1としてALD TiN膜を蒸着し(S301)、第2下部金属窒化膜2としてALD TiN膜を蒸着する(S302)。すなわち、第1下部金属窒化膜1と第2下部金属窒化膜2を共にALD方法で蒸着する場合である。
その後、所定の時間が経った後、前記下部TiN膜上に、大気/湿気露出に対する安定性を向上させるために、窒素(N)含有量の多い上部TiN膜を形成する(S303)。
実際に、本発明で説明する第2下部金属窒化膜2のALD TiN膜は、厳密な意味で言うと、一度に一つの単原子層を形成する正確なALD蒸着メカニズムのみを意味せず、少なくともTiN単原子層の1倍以上になる反応、すなわち、ある程度のCVD反応を含むALD蒸着反応までも含む。しかし、反応ガス移送システム内でのバルブ制御方法は、第1ALD TiN膜1の蒸着時の形態と違わない。このような第2ALD TiN膜2は、第2ALD TiN膜2をALD形態に蒸着することにおいて、ALD方法で蒸着するよりはずっと早い蒸着速度を持たせることにより、純粋なCVD蒸着法を選ぶ時よりは蒸着速度では損害を被るが、膜の段差塗布性または膜の純度の面で利得を得る。
【0043】
図4は本発明による多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法のさらに他の実施形態を示す工程図である。
図4においては、第1下部金属窒化膜1としてCVD TiN膜を蒸着し(S401)、第2下部金属窒化膜2としてもCVD TiN膜を蒸着する(S402)。すなわち、第1下部金属窒化膜1と第2下部金属窒化膜2を共にCVD方法で蒸着する場合である。
その後、所定の時間が経った後、前記下部TiN膜上に、大気/湿気露出に対する安定性を向上させるために、窒素(N)含有量の多い上部TiN膜を形成する(S403)。
【0044】
図4に示すものは、これまで説明した発明の実施形態のなかで、縦横比または回路線幅のデザインルールにおいて最も余裕がある場合に適用することが望ましい。すなわち、非常に高い特性よりは高い生産性を有する薄膜蒸着が要求される場合である。
一方、図1〜図4で説明したように、本発明において、全ての実施形態は図5に示すような工程間隔の調整が可能な設備によってさらに効果的に行え、前記全ての実施形態において、金属窒化膜は第1工程ガスのArと第2工程ガスのArを互いに連通しないシャワーヘッドを通じて基板上に連続的に噴射しつつ、前記Ti元素を含む第1反応ガスと前記N元素を含む第2反応ガスの同時噴射または交互的噴射により蒸着する。
【0045】
前述したように、本発明において、Ti元素を含む第1反応ガスはTiClであり、前記N元素を含む第2反応ガスはNHであり、本発明で適用される第1蒸着速度は50〜55Å/分、第2蒸着速度は50〜500Å/分、第3蒸着速度は5Å/分以下である。
【0046】
また、本発明による3重積層構造の金属窒化膜は、電極間誘電膜と電極物質との間にバリア膜として使われるか、またはメタルコンタクト工程においてTi膜上に形成するバリア膜として蒸着され、第1金属窒化膜の厚み(T1)、第2金属窒化膜の厚み(T2)、第3金属窒化膜の厚み(T3)は、(T2)>(T1)>(T3)を維持することが望ましい。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、素子回路線幅の超微細化、パターン縦横比の増加、蒸着温度の低下にもかかわらず、膜特性、段差塗布性、大気/湿気露出による膜質変化に対する安定性を全て満足させる、多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法を説明するための工程図である。
【図2】本発明による多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法の実施形態を示す工程図である。
【図3】本発明による多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法の他実施形態を示す工程図である。
【図4】本発明による多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法のさらに他の実施形態を示す工程図である。
【図5】本発明によるTiN積層膜を蒸着する方法を説明するために提供される反応チャンバーを示す図である。
【図6】本発明によるTiN積層膜を蒸着する方法を説明するために提供されるクラスタシステムを示す図である。
【図7】本発明による多重積層膜構造の金属窒化膜蒸着の実施形態を示すもので、キャパシタ電極への応用例を示す図である。
【図8】本発明による多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法のさらに他の実施形態を示すもので、コンタクトバリアメタルへの応用例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 第1下部金属窒化膜
2 第2下部金属窒化膜
3 上部金属窒化膜
500 反応チャンバー
510 シャワーヘッド
520 基板
600 移送チャンバー
601 反応チャンバーA
602 反応チャンバーB




【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に相違する蒸着速度を有する多重金属窒化膜を形成する方法において、
(a)基板上に第1蒸着速度で第1下部金属窒化膜を形成する段階;
(b)前記第1下部金属窒化膜上に第2蒸着速度で第2下部金属窒化膜を形成する段階;および
(c)前記(a)、(b)段階によって形成された下部金属窒化膜上に、窒素(N)含有量の多い上部金属窒化膜を第3蒸着速度で形成する段階;を含み、
前記n番目膜の蒸着速度は、第2蒸着速度≧第1蒸着速度≧第3蒸着速度であることを特徴とする、多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法。
【請求項2】
前記n番目膜の蒸着のための第1反応ガス(金属元素含有)/第2反応ガス(N元素含有)の比Kn(n=1、2、3)はK2≧K1≧K3であることを特徴とする、請求項1に記載の蒸着方法。
【請求項3】
前記金属窒化膜は、第1反応ガスのArと第2反応ガスのArを互いに連通しないシャワーヘッドを通じて基板上に連続的に噴射しつつ、前記金属元素を含む第1反応ガスと前記N元素を含む第2反応ガスとの同時噴射または交互的噴射により蒸着することを特徴とする、請求項1に記載の蒸着方法。
【請求項4】
第1下部金属窒化膜は、第2下部金属窒化膜より少ない不純物を含み、小さな厚みに蒸着することを特徴とする、請求項1に記載の蒸着方法。
【請求項5】
第2下部金属窒化膜は、多重積層膜のなかで最も大きい厚みを形成し、バリアの役目をする膜であり、より低い温度で優れた段差塗布性を示し他の積層膜より早く蒸着することを特徴とする、請求項1に記載の蒸着方法。
【請求項6】
前記多重積層膜は、同一チャンバーで積層構造を形成することを特徴とする、請求項1に記載の蒸着方法。
【請求項7】
前記多重積層膜は、移送チャンバーに付設された他のチャンバーで積層構造を形成することを特徴とする、請求項1に記載の蒸着方法。
【請求項8】
基板上に相違する蒸着速度を有する多重金属窒化膜を形成する方法において、
(a)基板上に第1蒸着速度でALD TiN膜を蒸着する段階;
(b)前記ALD TiN膜上に第2蒸着速度でCVD TiN膜を蒸着して下部TiN膜を形成する段階;および
(c)前記下部TiN積層膜上に、窒素(N)含有量の多い上部TiN膜を第3蒸着速度で積層させる段階;を含み、
前記n番目膜の蒸着速度は、第2蒸着速度≧第1蒸着速度≧第3蒸着速度であることを特徴とする多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法。
【請求項9】
シャワーヘッド底部からヒーター表面までの距離を工程間隔と定義すると、前記ALD TiN膜は第1工程間隔を維持しながら蒸着され、前記CVD TiN膜は第1工程間隔と同一であるかまたはそれより大きい第2工程間隔を維持しながら蒸着することを特徴とする、請求項8に記載の蒸着方法。
【請求項10】
前記ALD TiN膜および前記CVD TiN膜は同一反応チャンバーで蒸着することを特徴とする、請求項8に記載の蒸着方法。
【請求項11】
前記ALD TiN膜は、移送チャンバーに付設された第1反応チャンバーで第1温度で維持されるウェーハブロック上に基板が配置された後に形成され、前記CVD TiN膜は、移送チャンバーに付設された第2反応チャンバーで第1温度より高い第2温度で維持されるウェーハブロック上に基板が配置された後に形成することを特徴とする、請求項8に記載の蒸着方法。
【請求項12】
基板上に相違する蒸着速度を有する多重金属窒化膜を形成する方法において、
(a)基板上に第1蒸着速度で第1ALD TiN膜を蒸着する段階;
(b)前記第1ALD TiN膜上に第2蒸着速度で第2ALD TiN膜を蒸着して下部TiN膜を形成する段階;および
(c)前記下部TiN積層膜上に、窒素(N)含有量の多い上部TiN膜を第3蒸着速度で積層させる段階;を含み、
前記n番目膜の蒸着速度は、第2蒸着速度≧第1蒸着速度≧第3蒸着速度であることを特徴とする、多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法。
【請求項13】
シャワーヘッド底部からヒーター表面までの距離を工程間隔と定義すると、前記第1ALD TiN膜は第1工程間隔を維持しながら蒸着され、前記第2ALD TiN膜は第1工程間隔と同一であるかまたはそれより大きい第2工程間隔を維持しながら蒸着することを特徴とする、請求項12に記載の蒸着方法。
【請求項14】
前記第2ALD TiN膜のサイクル当たり蒸着原子層の高さは、第1ALD TiN膜のサイクル当たり蒸着原子層の高さより大きいことを特徴とする、請求項13に記載の蒸着方法。
【請求項15】
前記第1ALD TiN膜および前記第2ALD TiN膜は同一反応チャンバーで蒸着することを特徴とする、請求項13に記載の蒸着方法。
【請求項16】
前記第1ALD TiN膜は、移送チャンバーに付設された第1反応チャンバーで第1温度で維持されるウェーハブロック上に基板が配置された後に形成され、前記第2ALD TiN膜は、移送チャンバーに付設された第2反応チャンバーで第1温度より高い第2温度で維持されるウェーハブロック上に基板が配置された後に形成することを特徴とする、請求項13に記載の蒸着方法。
【請求項17】
基板上に相違する蒸着速度を有する多重金属窒化膜を形成する方法において、
(a)基板上に第1蒸着速度で第1CVD TiN膜を蒸着する段階;
(b)前記第1CVD TiN膜上に第2蒸着速度で第2CVD TiN膜を蒸着して下部TiN膜を形成する段階;および
(c)前記下部TiN積層膜上に、大気/湿気露出に対する安定性を向上させるために、窒素(N)含有量の多い上部TiN膜を第3蒸着速度で積層させる段階;を含み、
前記n番目膜の蒸着速度は、第2蒸着速度≧第1蒸着速度≧第3蒸着速度であることを特徴とする、多重積層膜構造の金属窒化膜の蒸着方法。
【請求項18】
シャワーヘッド底部からヒーター表面までの距離を工程間隔と定義すると、前記第1CVD TiN膜は第1工程間隔を維持しながら蒸着され、前記第2CVD TiN膜は第1工程間隔と同一であるかまたはそれより大きい第2工程間隔を維持しながら蒸着することを特徴とする、請求項17に記載の蒸着方法。
【請求項19】
前記第1CVD TiN膜および前記第2CVD TiN膜は同一反応チャンバーで蒸着することを特徴とする、請求項18に記載の蒸着方法。
【請求項20】
前記第1CVD TiN膜は、移送チャンバーに付設された第1反応チャンバーで第1温度で維持されるウェーハブロック上に基板が配置された後に形成され、前記第2CVD TiN膜は、移送チャンバーに付設された第2反応チャンバーで第1温度より高い第2温度で維持されるウェーハブロック上に基板が配置された後に形成することを特徴とする、請求項18に記載の蒸着方法。
【請求項21】
前記上部TiN膜は、Ti元素を含む第1反応ガスの流量よりN元素を含む第2反応ガスの流量を少なくとも10倍以上維持しながら蒸着することを特徴とする、請求項1、8、12または17のいずれか1項に記載の蒸着方法。
【請求項22】
前記Ti元素を含む第1反応ガスはTiClであり、前記N元素を含む第2反応ガスはNHであることを特徴とする、請求項21に記載の蒸着方法。
【請求項23】
前記第1蒸着速度は50〜55Å/分、前記第2蒸着速度は50〜500Å/分、前記第3蒸着速度は5Å/分以下であることを特徴とする、請求項1、8、12または17のいずれか1項に記載の蒸着方法。
【請求項24】
前記多重積層膜構造の金属窒化膜は、電極間誘電膜と電極物質との間にバリア膜として使われるか、あるいはメタルコンタクト形成工程においてTi膜上にバリア膜として蒸着することを特徴とする、請求項1、8、12または17のいずれか1項に記載の蒸着方法。
【請求項25】
前記多重積層膜構造の金属窒化膜は、第1金属窒化膜の厚み(T1)、第2金属窒化膜の厚み(T2)、第3金属窒化膜の厚み(T3)が、(T2)>(T1)>(T3)であることを特徴とする、請求項1、8、12または17のいずれか1項に記載の蒸着方法。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−57180(P2006−57180A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237827(P2005−237827)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(505311799)アイピーエス・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】IPS Ltd.
【Fターム(参考)】