容量結合高周波プラズマ誘電体エッチングチャンバにおけるアドバンスドパターニングフィルムを用いたエッチング方法
【課題】湾曲を軽減し上下比を改善するためにアドバンスドパターニングフィルム(APF)を用いてウェハをエッチングする方法である。
【解決手段】APF層を有するウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、処理ガスをチャンバに供給し、162MHz電源を用いてソース電力を印加し、バイアス電力をウェハに印加することを含む。処理ガスは水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)、及び一酸化炭素ガス(CO)を含む。H2:N2の比は約1:1である。加えて、ウェハ温度を調節してエッチング特性を改善する。
【解決手段】APF層を有するウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、処理ガスをチャンバに供給し、162MHz電源を用いてソース電力を印加し、バイアス電力をウェハに印加することを含む。処理ガスは水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)、及び一酸化炭素ガス(CO)を含む。H2:N2の比は約1:1である。加えて、ウェハ温度を調節してエッチング特性を改善する。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
本発明の態様は、概して、半導体デバイスの分野及びこれら半導体デバイスの製造に関する。更には、本発明の実施形態はアドバンスドパターニングフィルム(APF)のエッチング方法及び装置に関する。
【0002】
コンピュータの処理速度がより速く、より強力になるにつれ、これらのコンピュータを動かす半導体デバイスはより小さくより複雑なものとなってきている。現代の半導体デバイスの多くがCMOS(相補型金属酸化膜半導体)トランジスタとコンデンサから成り、CMOSトランジスタは通常、ソース、ドレイン及びゲートを含む。ゲートはゲートスタックと称されることもあるが、これはゲート電極とその下のゲート誘電体といった幾つかのコンポーネントを含む場合があるからである。側壁スペーサ(スペーサ又はスペーサ層とも称される)がゲート構造に隣接していることがあり、通常は酸化物層と窒化物層コンポーネントを含む。
【0003】
CMOSデバイスは多くのコンピュータで見かける一般的な半導体デバイスではあるものの、その製造は困難になりつつある。CMOSデバイスの製造が困難になりつつある理由の1つに、これらのデバイスの小型化に伴い各CMOSデバイスに関係する公差が厳しいものになってきていることがある。このようなCMOSデバイスを作製するためのある方法は、アドバンスドパターニングマスクを含むパターンマスク(例えば、フォトレジストマスク)をこのようなマスクの下にくる材料層上(つまり、下層上)に形成し、次にパターンフォトレジストマスクをエッチマスクとして使用して材料層をエッチングすることを含む。アドバンスドパターニングフィルム(APF)はトリム手順においてスピンオンARCに代わるものとして使用可能な可剥性ハードマスク(非晶質炭素/DARCスタックフィルム)である。エッチマスクは一般的にはその下の層(又は複数の下層)に形成(又はエッチング)予定の構造の複製である。このため、エッチマスクは下層に形成する構造と同じ局所寸法を有している。
【0004】
エッチング処理における製造変数が、形成された構造の寸法について、エッチング対象であるウェハグループ(例えば、バッチ又はロット)内で広い統計的分散(例えば、大きなσ、ここでσは標準偏差である)をもたらす場合がある。又、製造処理における変動も又、1枚のウェハ内での構造寸法における統計的分散を生じさせる可能性がある。
【0005】
例えば、CMOSデバイスの製造中、トレンチを材料にエッチングすることは多い。トレンチ最上部の開口部の寸法がトレンチ底部の開口部の寸法と非常に近い良好なアスペクト比を有するトレンチをエッチングするのが望ましいことが多いが、そういった結果を得るのは困難である。カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社から入手可能なアドバンスドパターニングフィルム(APF、商標名)は、エッチングするトレンチの上下比の改善に非常に効果的である。APFソリューションでは、可剥性CVDカーボンハードマスク技術を絶縁性反射防止膜(DARC)と組み合わせた二層型パターニングフィルムスタックを用いることで進歩した高アスペクト比のコンタクトエッチングを可能としている。ポリシリコン及び酸化物に対してのその高い選択性により、APFはエッチング処理において非常に優れた制御性を実現している。
【0006】
APFソリューションを用いたエッチング処理によりトレンチの上下間でのアスペクト比は改善されるが、APFそれだけでのエッチングではトレンチの中央が広がった湾曲プロファイルとなる場合がある。加えて、APFでのエッチングによりエッチングしたトレンチの上下比が改善されても、比はそれでも多くの場合80%未満である。CD(Critical dimension)が小さくなるにつれ、これらの影響はより厄介なものとなってくる。
【0007】
従って、湾曲を軽減し、上下比が80%を超えるトレンチを有するデバイスを形成する、APFを利用した、半導体デバイスにおいてトレンチをエッチングするためのシステム及び方法が必要とされている。
【概要】
【0008】
本発明の実施形態はAPFを用いたエッチングを利用し、特定の実施形態においては処理を改善して湾曲を軽減し、上下比を80%より高くするシステム及び方法を提供する。
【0009】
本発明の一実施形態において、アドバンスドパターンフィルム(APF)のエッチング方法にはAPF層を含むウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、処理ガスをチャンバに供給し、162MHz電源を用いてソース電力を印加し、バイアス電力をウェハに印加することを含む。処理ガスは水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)、及び一酸化炭素ガス(CO)を含む。一実施形態において、H2:N2の比は約1:1である。
【0010】
本発明の別の実施形態においては、300sccmのH2と、300sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合して事前に混合した処理ガスとしてから処理チャンバへと供給する。特定の実施形態においては、約50sccmのCOを使用する。
【0011】
本発明の更に別の実施形態において、ソース電力は0ワット〜2300ワットである。
【0012】
本発明の更に別の実施形態において、ソース電力は約2000ワットである。
【0013】
本発明の更に別の実施形態において、バイアス電力は0ワット〜1000ワットである。
【0014】
本発明の更に別の実施形態において、バイアス電力は約900ワットである。
【0015】
本発明の更に別の実施形態において、処理圧力は20ミリトール〜200ミリトールに維持される。ある特定の実施例において、圧力は約100ミリトールに維持される。
【0016】
本発明の別の実施形態において、アドバンスドパターンフィルム(APF)をエッチングする方法は、APF層を含むウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、処理ガスをチャンバに供給し、162MHz電源を用いてソース電力を印加し、バイアス電力をウェハに印加することを含む。処理ガスは水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)、及び一酸化炭素ガス(CO)を含む。H2:N2の比は約3:1である。ソース電力は0ワット〜2300ワットである。例えば、一実施形態において、ソース電力は約2000ワットである。バイアス電力は0ワット〜1000ワットである。ある特定の実施形態において、バイアス電力は約900ワットである。
【0017】
本発明の更に別の実施形態において、H2:N2の比は約3:1であり、処理ガスはその処理チャンバへの供給に先立って450sccmのH2と、150sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する。特定の実施形態においては約50sccmのCOを使用する。
【0018】
本発明の更に別の実施形態において、H2:N2の比は約3:1であり、処理圧力は20ミリトール〜200ミリトールに維持される。ある特定の実施例において、圧力は約100ミリトールに維持される。
【0019】
本発明の別の実施形態において、アドバンスドパターンフィルム(APF)のエッチング方法にはAPF層を含むウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、ウェハ温度を20℃〜60℃に調節し、処理ガスをチャンバに供給し、162MHz電源を用いてソース電力を印加し、バイアス電力をウェハに印加することを含む。処理ガスは水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)、及び一酸化炭素ガス(CO)を含む。ソース電力は0ワット〜2300ワットである。例えば、一実施形態において、ソース電力は約2000ワットである。バイアス電力は0ワット〜1000ワットである。ある特定の実施形態において、バイアス電力は約900ワットである。
【0020】
本発明の更に別の実施形態において、ウェハ温度は約50℃に設定される。
【0021】
本発明の更に別の実施形態においてはウェハ温度を調節し、処理ガスのH2とN2のH2:N2比は約1:1である。この実施形態の一例において、処理ガスは、その処理チャンバへの供給に先立って300sccmのH2と、300sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する。更により具体的な例においては約50sccmのCOを使用する。
【0022】
本発明の更に別の実施形態においてはウェハ温度を調節し、処理ガスのH2とN2の比H2:N2は約3:1である。この実施形態の一例において、処理ガスは、その処理チャンバへの供給に先立って450sccmのH2と、150sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する。更により具体的な例においては約50sccmのCOを使用する。
【0023】
本発明の更に別の実施形態においてはウェハ温度を調節し、処理圧力を20ミリトール〜200ミリトールに維持する。ある特定の実施例において、圧力は約100ミリトールに維持される。
【詳細な説明】
【0024】
本発明の実施形態では湾曲を軽減し、かつ80%を超える上下比を付与するのみならずAPFを用いたエッチングを利用する。本発明の実施形態は容量結合プラズマ処理チャンバで実行可能である。このような処理チャンバは2001年12月19日にダニエル・ホフマン(Daniel Hoffman)らによって出願され、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7030335号「プラズマに同調したオーバーヘッドRF電極を有するプラズマリアクタ」に記載されており、その開示は参照により本願に組み込まれる。米国特許第7030335号に詳細に記載の容量結合プラズマ処理チャンバについては図1を参照しながら以下にて簡単に説明する。当然ながら、本発明はその他の処理チャンバでも実行可能である。
【0025】
図1は本発明の一実施形態による、基板のエッチングに使用する容量結合プラズマ処理チャンバ100の断面図である。プラズマ処理チャンバ100は基板110を支持するために使用する基板支持体105を含む。半導体リング115が基板110を取り囲んでいる。半導体リング115は誘電体(石英)リング120によって接地チャンバ本体部127上に支持されている。一実施形態において、誘電体(石英)リング120の厚さは約10mm、誘電率は約4である。チャンバ100はその最上部で円盤状オーバーヘッドアルミニウム電極によって境されており、電極は接地チャンバ本体部127の上の基板110上方に誘電体(石英)シールによって既定の間隙高さでもって支持されている。オーバーヘッド電極125はアルミニウム等の金属であってもよく、その内部表面は半金属材料(Si又はSiC)によって被覆されている。或いは、内部表面それ自体を半金属材料としてもよい。RF発生装置150によりRF電力を電極125に印加する。発生装置150からのRF電力は発生装置150に整合された同軸ケーブル162を通して電極125に接続された同軸スタブ135に結合される。スタブ135は特性インピーダンス、共振周波数を有し、米国特許第7030335号においてより詳しく記載されるように電極125と50オーム同軸ケーブル162又はRF電力発生装置150の50オーム出力との間でのインピーダンス整合を行う。チャンバ本体部はRF発生装置150のRFリターン(RF接地)に接続されている。オーバーヘッド電極125からRF接地へのRF経路は半導体リング115、誘電体リング120及び誘電体シール130のキャパシタンスに影響される。基板支持体105、基板110及び半導体リング115により、電極125に印加されたRF電力用の一次RFリターン経路が構成される。
【0026】
RFリターン又は接地について測定した電極125、誘電体リング120及び誘電体シール130を含むオーバーヘッド電極アセンブリ126のキャパシタンスは180ピコファラドになる場合がある。電極アセンブリのキャパシタンスは電極面積、間隙の高さ(基板支持体とオーバーヘッド電極との間の距離)、及び浮遊キャパシタンス、特には用いた材料の誘電率と厚さによって影響されるシール130と誘電体リング120の誘電体の値に影響を及ぼす因子によって影響される。より一般的には、以下で説明するように、電極アセンブリのキャパシタンスはその大きさにおいて特定のソース電力周波数、プラズマ密度及び動作圧力でのプラズマの負のキャパシタンスに等しい又はほぼ等しい。
【0027】
同軸スタブ135はその他多くの有益な利点に加え、システム全体の安定性、その広いプロセスウインドウ性能に更に役立つ構成となっている。同軸スタブは内側の円筒状導体140と外側の同心の円筒状導体145を有する。図1において斜交平行模様によって示される絶縁体147が内側及び外側の導体140、145との間の空間を埋めている。内側導体140と外側導体145はニッケルコーティングされたアルミニウムから形成される。外側導体145の直径は約4インチであり、内側導体140の直径は約1.5インチである。スタブの特性インピーダンスは内側導体と外側導体140、145の半径及び絶縁体147の誘電率によって決定される。一実施形態において、スタブ135の特性インピーダンスは65である。より一般的には、スタブの特性インピーダンスはソース電力の出力インピーダンスを約20%〜40%上回るものである。スタブ135は軸長約29インチを有し、220MHzで1/4波長であり、210MHzのVHFソース電力周波数からわずかにずれてはいるが概して220MHz付近で整合する共振を有する。
【0028】
RF発生装置150からスタブ135にRF電力を印加するため、スタブ135の軸長に沿った特定の位置にはタップ160が設けられている。発生装置150のRF電力端子150b及びRFリターン端子150aは、スタブ135上のタップ160で内側及び外側同軸スタブ導体140、145にそれぞれ接続されている。これらの接続は、発生装置150の出力インピーダンス(例えば、約50オーム)と整合する特性インピーダンスを有する発生装置・スタブ間の同軸ケーブル162を介して行なわれる。スタブ135の遠端部135aで終端する導体165は内側及び外側導体140、145を共に短絡するため、スタブ135はその遠端部135aにおいて短絡される。スタブ135の短絡されていない端部である近端部135bにおいて、外側導体145は環状の導電性筐体又は支持体175を介してチャンバ本体部に接続され、一方、内側導体140は導電性シリンダ又は支持体176を介して電極125の中心に接続される。誘電体リング180は導電性シリンダ176と電極125との間に保持され、その2つを隔てている。
【0029】
内側導体140は、処理ガスや冷却液等のユーティリティ用導管を構成することが可能である。この構成の主な利点は、典型的なプラズマ処理チャンバと異なり、ガスライン170や冷却液ライン173が大きな電位差を跨ぐことがないことである。この設計により電位差は小さくなり、導管をこのような目的用のより安価でより信頼性の高い材料であるところの金属から形成することが可能となる。金属製のガスライン170はオーバヘッド電極125内又はそれに隣接したガス流入口172にガスを供給し、金属製の冷却液ライン173はオーバヘッド電極125内の冷却液流路又はジャケット174に冷却液を供給する。オーバーヘッド電極125内又はそれに隣接するガス流入口172は内側及び外側ガス分散マニホルドとして構成可能である。一実施形態において、内側及び外側ガス分散マニホルドは内側リング及び外側リングを形成し、各リングへの流れは調節可能である。このようなガス分散システムによりウェハ全体に亘ってのガス分散の均一性は向上するが、これはウェハの内側部位へのガス流量をウェハの外側部位に向かうガス流量に対して調節可能だからである。
【0030】
一実施例において、中性種はアルゴン(Ar)、プラズマ電子周波数は約230MHz、RFソース電力周波数は約210MHz、チャンバ圧は10ミリトール〜200ミリトールであり、プラズマ密度が109〜1012イオン/ccとなるに十分なRF電力が印加された。このような条件下において、プラズマは通常、−50〜−400ピコファラドの負のキャパシタンスを有する。誘電体エッチング、金属エッチング及びCVD等の異なる用途に応じて、プラズマキャパシタンスは特定の所望の範囲まで、かつVHFソース電力周波数で負の値となるまで調節及び最適化が可能である。プラズマのこのような特性を生かすことで、電極キャパシタンスの整合と処理チャンバの周波数に整合した特徴により、処理条件を最適化可能である。
【0031】
図2Aは本発明の一実施形態による、容量結合高周波プラズマ誘電体エッチングチャンバを用いて高フォトレジストマスク(PR)選択性と高エッチング速度でもってAPFをエッチングするために用いた例示的な方法を示すフロー図である。図2Aのフロー図に図示の処理は以下にて図3を参照して説明するように、CMOSデバイス300の製造中に使用可能である。本方法は、エッチングシステムによる部分的に作製したCMOSデバイス300の受け取り準備をする210から開始される。220で、部分的に作製されたCMOSデバイスは、ウェハを静電チャック等の台座部上に輸送することで処理チャンバに導入される。部分的に作製されたCMOSウェハは既にフォトレジスト、下部反射防止層、及び絶縁性反射防止層(PR・BARC・DARC)330Aの堆積、パターン形成及びエッチングを含む幾つかの処理を経ている。(PR・BARC・DARC)330Aは、APFのエッチングに使用するのと同じチャンバ内で同じようにエッチングし図示のパターンを形成することが可能である。(PR・BARC・DARC)層330Aのエッチングに使用する化学物質は以下にて図3Aを参照して更に詳細に説明する。
【0032】
230でH2、N2及びCOガスを混合する。H2、N2及びCOガスの混合は、これらを処理チャンバに導入する前にH2、N2及びCOの個々のガスを供給し、別のチャンバ内で混合させることで行う。或いはH2、N2及びCOガスを事前に混合し、シリンダ内に保存し、必要に応じて処理チャンバに供給することが可能である。次に240で、H2/N2/COガス混合物を処理チャンバに導入する。図1に図示の処理チャンバ内で、H2/N2/COガス混合物をガスライン170とガス流入口172を通して処理チャンバに導入する。ガス流入口172は内側及び外側分散リングを含む場合があり、これらによりガス流をウェハ中央と縁部とで別々に調節することが可能となる。一実施形態において、ガス混合物は約300sccmのH2と、約300sccmのN2と25〜100sccmのCOを混合することで調製する。50sccmのCOを使用する場合、H2:N2の比が1:1となるようにこの混合物を設定可能である。その他の実施形態において、H2:N2比は1:3〜1:1であり、N2:CO比は6:1〜3:1である。250で、流量、排出速度又はその双方を調節することで、処理圧力に到達させる。以下で図4を参照して更に説明するように、流量はウェハ特性に影響を与える場合があることから、流量を特定の値に設定し、ポンプと弁を用いて圧力を調節することが可能である。例えば、圧力は真空ポンプにつながる弁を絞ることで調節可能である。低圧が望ましい場合は真空ポンプにつながる弁を開放し、高圧が望ましい場合は弁を閉じる。一実施形態において、H2/N2/COガス混合物流量は250sccm〜1300sccmに設定し、圧力は20ミリトール〜200ミリトールに維持される。ある特定の実施例において、圧力は約100ミリトールに維持される。
【0033】
次に、260で、ソース電力を用いて容量結合プラズマを発生させる。ソース電力は用途に応じて0ワット〜2300ワットである。ある特定の用途において、ソース電力は2000ワットに設定される。これらの処理条件が一旦確立されプラズマが発生したら、ウェハを270でエッチングする。エッチングは時間を測定する又は終点を検出するのいずれかによって制御可能である。タイマーを用いる場合は、正しい量の材料をエッチングするように事前に定めた時間に亘ってウェハをエッチングする。処理の終了に終点の検出を利用する場合は、十分な材料がウェハからエッチングされたと終点検出装置が判定するまで基板をエッチングする。一実施形態において、エッチングはガス流とソース電力を遮断することで停止する。エッチング処理を一旦完了したら、エッチングしたウェハをエッチングチャンバから工程280で取り出し、次の処理へと送り出す。
【0034】
図2Bは本発明の別の実施形態による、バイアス電力を印加する工程を加えた、APFのエッチングに使用した図2Aに関連して説明したものと同様の別の例示的な方法を示すフロー図である。本発明のこの実施形態において、ウェハを図2Aを参照して上述したようにエッチングするが、バイアス電力をウェハに供給する。エッチング中にバイアス電力をウェハに供給する利点は図4〜図8を参照して以下にて説明する。バイアス電力のウェハへの供給は、一実施形態において、静電チャック又はウェハをバイアス可能な電源に連結された別のウェハ支持体を用いて行う。バイアス電力は13.56MHzの電力を発生するRF電源によって供給可能である。バイアス電力は0ワット〜1000ワットである。ある特定の応用例において、バイアス電力は約900ワットである。
【0035】
図2Cは本発明の別の実施形態による、基板温度を調節する工程を加えた、APFのエッチングに使用した図2Bに関連して説明したものと同様の更に別の例示的な方法を示すフロー図である。本発明のこの実施形態において、ウェハは図2Bを参照して上述したようにエッチングされるが、バイアス電力をウェハに供給する。エッチング中にウェハ温度を調節する利点は、図7を参照して以下にて説明する。ウェハ温度の20℃〜60℃への調節は、一実施形態において、ウェハをヒータで加熱することで行う。ヒータは静電チャック内に設置した抵抗ヒータ又はランプ等のその他のヒータが可能である。
【0036】
図2A、2B及び2Cは240でガスを処理チャンバに導入する、250で処理圧力を達成する、235でバイアス電力をウェハに印加する、225でウェハ温度を設定する、260でソース電力を印加して容量結合プラズマを発生させるといった様々な処理を示す。本発明では記載のこのような処理を特定の順序で実行することに限定しない。これらの処理の順序は本発明の異なる実施形態に応じて入れ替え可能である。例えば、ガス混合物導入前にウェハ温度を設定するのが有利な場合もある。或いは、ガス混合物導入前にバイアス電力を印加するのが有用な場合もある。
【0037】
図3A、3Bは、本発明の一実施形態による、エッチング技法を用いてのエッチング前と後の双方でのゲート電極スタックを示す。
【0038】
図3Aは基板310A、SiN層315A、酸化物層320A、APF層325A、及びPR・BARC/DARC層330Aを含む、APF層をエッチングする前の部分的に作製したCMOSデバイス300を図示している。APF層は通常、SiONと炭素のフィルムを含む。PR・BARC/DARK層は通常、フォトレジスト(PR)層、下部反射防止膜(BARC)層、及び絶縁性反射防止膜(DARC)層を含む。BARC層は金属又はポリシリコン上に堆積された、フォトリソグラフィ性能を改善するための光吸収金属層(典型的には窒化チタン)を含む。DARC層はフォトリソグラフィ性能を改善するために金属又はポリシリコン上に堆積された非反射性、非エネルギー吸収性の無機誘電体層を含む。DARC層により、マスクパターンをフォトレジストに正確に転写することが可能となる。
【0039】
本発明の一実施形態において、基板310Aはシリコン基板が可能である。CMOSデバイスがPMOSである場合、基板としてn型基板が可能であるが、もしCMOSデバイスがNMOSならば、基板としてp型基板が可能である。バリア層として機能するSiN層315Aは、基板310A上に直接堆積される。酸化物層320AはSiN層315Aの後に堆積するため、SiN層315Aは酸化物層320Aの下に位置される。一部の実施形態においては、酸化物層320Aはホウ素とリンの双方をドープした二酸化ケイ素層であり、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)層と称される。SiN層315Aは、BPSG層から基板310Aへのホウ素とリンの拡散に対してのバリアとして機能する。拡散はBPSG層それ自体のリフロー及び緻密化等の高温処理中に起こることがある。
【0040】
APF層325Aは酸化物層320Aの後に堆積するため、APF層325Aは酸化物層320Aの上方に位置する。APF層325Aは非晶質炭素/DARCスタックフィルム等の可剥性ハードマスクである。PR・BARC/DARC層330AはAPF層325Aの後に堆積するため、PR・BARC/DARC層330AはAPF層325の上方に位置する。PR・BARC/DARC層330Aはフォトレジスト層であり、その下のスタックを更にエッチングするためにパターン形成を施されている。
【0041】
PR・BARC/DARC層330Aは層の一部をエッチングにより除去することで形成したパターンを含む。PR・BARC/DARC層330AはCF4/CHF3エッチャントを用いてエッチングされている。
【0042】
図3Bは本発明の一実施形態による、図2A〜2Cを参照して説明した方法を用いてAPF層をエッチングした後の、図3Aに図示の部分的に作製したCMOSデバイス300Bを図示している。APF層325BをH2/N2/COガス混合物を用いてエッチングし、CMOSデバイス300Bを形成した。構造体の残りの部分は異なるエッチャントを用いて後にエッチングする。例えば、酸化物層320AをC4F6/C4F8等のエッチャントを用いてエッチングする。同様に、SiN層315AをCH2F2/CHF3エッチャントを用いてエッチングする。
【0043】
ある応用例においては、複数のエッチング処理又は2段階エッチング処理法を用いてBPSGを含む酸化物層320BとSiN層315Bにコンタクト開口部をエッチングにより形成する。一実施形態においては、第1エッチングにより酸化物層320Bの二酸化ケイ素をSiN層315Bの窒化ケイ素に対して選択的にエッチングし、SiN315B層でエッチングを停止する。エッチング停止層としての機能に加えて、SiN層315Bはその下の活性領域を酸化物エッチング中に放出されたイオン化酸素による損傷から保護する役目も果たしている。エッチング完了後、半導体デバイス構造の側壁を損傷することなく、窒化物エッチング工程を用いてSiN層315Bを除去する。
【0044】
図4は低総ガス流量と高総ガス流量の両方の場合での、基板上での位置の関数としてのAPF底部CD(Bottom critical dimension:BCD)のデータを示すグラフである。図4はH2/N2/COガス混合物の総流量が高いほうがH2/N2/COガス混合物の総流量が低い場合よりもプロファイルが不良かつ底部CDが小さいことを示している。加えて、底部CDもH2/N2/COガス混合物の流量が高い場合のほうが低い場合よりも悪い。H2/N2/COガス混合物の流量を低くすることで、CD均一性のみならず垂直プロファイルも改善される。本発明の実施形態では、総流量を調節することで底部CD均一性を改善し、アンダーカットを最低限に抑える又は排除する。これらの方法により、形成される特徴部の垂直プロファイルも改善される。
【0045】
図5は2つの異なるH2/N2比の場合での、基板上での位置の関数としてのAPF底部CDのデータを示すグラフである。図5はH2/N2/COガス混合物におけるH2/N2比が低いほうが底部CD均一性が良好なことを示している。図5においては比がH2/N2=1:1、H2/N2=3:1の場合のデータを提示している。H2/N2=1:1のガス混合物でウェハを処理するとH2/N2=3:1のガス混合物でのウェハ処理よりも底部CDは小さくなり、ムラが少ない。
【0046】
用途によっては、低いH2/N2/COガス混合物総流量と低いH2/N2比を組み合わせて良好なプロファイルと良好な均一性の双方を得ることが有利である。本発明の別の実施形態においては、図6を参照して以下で説明するように、低いH2/N2比と共に、又はその代わりにより高いソース電力を用いることで均一性を改善可能である。
【0047】
低いH2/N2比でウェハを処理すると粒子の制御性も改善されるため、収率が上昇する。H2/N2/COガス混合物を用いたAPFエッチング工程の一実施例において、粒子アダーは50〜150、平均100であった。この実施例において、エッチング処理中に粒子数の急上昇や増加傾向は見られなかった。粒子はAPF工程に先立ってのフッ素(F)副生成物とのH2/N2反応がその発生源ではないかと疑われる。Hはチャンバ内でFと反応して不揮発性の副生成物を生成することから、この反応が粒子の発生源である可能性が高い。H2/N2比が低いとチャンバ内のHが少なくなるため、HとFの反応の機会は減り、粒子形成の機会も減り、粒子制御は向上する。
【0048】
図6はソース電力の関数としてのAPFエッチングプロファイルを示すグラフである。図6は、ソース電力が1500ワットから2000ワットに上昇するにつれ、エッチング速度(ER)とエッチング速度均一性%(ERU%)が4310A/分、7.7%から5490A/分、3.1%に改善されることを示している。ソース電力を500ワット上昇させるとERは27%は速くなる。ソース電力を1500ワットから2000ワットに上昇させても底部CDと均一性には影響はないが、プロファイルは改善される。
【0049】
バイアス電力もウェハ特性に影響する場合がある。一実施形態において、13.56MHzのバイアス電力をウェハに供給する。バイアス電力の上昇が絶縁性反射防止膜(DARC)選択性に深刻な影響を与えることがある。例えば、13.56MHzのバイアス電力を900ワットから1500ワットに上昇させた場合、DARC層は完全に除去され、上部がフレア状のAPFプロファイルとなる。従って、バイアス電力を低下させることでDARCの完全性を改善可能である。
【0050】
図7は2つの異なるカソード温度の場合での、基板上での位置の関数としてのAPF底部CDのデータを示すグラフである。図7はカソード温度を40℃から15℃に変更すると底部CDのプロファイルが悪化することを示している。底部CD均一性への温度の影響は、高温でのAPFエッチング工程中のDARCのエッチング速度が遅いことによる。しかしながら、温度上昇は底部CDに大きな影響を与えないことから、エッチング均一性への影響は15℃での同じ工程時間でのより高いOE%に負うものと思われる。更に、カソード温度を15℃でなく40℃に設定するとAPFはより速くエッチングされ、ウェハ中心部とウェハ縁部で測定したところ、より均一にエッチングされる。
【0051】
図8は基板上での位置の関数かつ中性種微調整単位(Neutral species tuning unit:NSTU)の関数としてのAPF底部CDのデータを示すグラフである。NSTUはデュアルゾーン型シャワーヘッドによってガス流量比を制御する際に使用する。一実施形態において、標準NSTUはウェハの外縁に流れるガスのウェハの中央に流れるガスに対する比と定義される。例えば、この実施形態においては、3NSTUはガス全体の75%がウェハの外縁に流れ、ガスの25%がウェハ中央に流れることを意味している。NSTUは高分子の分布によって引き起こされる中央部と縁部との差を微調整するために使用され、高分子の分散はプロファイル、CD、PR選択性、残留物、更にはエッチング速度にいたるエッチング性能に影響する可能性がある。図8はNSTUが1までなら底部CDがより均一となるが、NSTUが1〜4の場合は均一性が低下することを図示している。加えて、NSTU設定が1だと、ウェハ全体に亘って底部CD範囲が小さい。
【0052】
図4〜図8はH2/N2/COガス混合物を用いた処理において流量を調節することで高いAPFエッチング速度、高いPR選択性、制御されたAPFマスクCDが得られることを示している。加えて、H2/N2/COガス混合物処理を高い及び低い周波数のRF電力と組み合わせることで、プロセスウィンドウが拡大される。H2/N2/COガス混合物処理とデュアルタイプのガス供給蓋部、NSTU及びCSTUを組み合わせることで、エッチング速度の均一性が向上する。更に、H2/N2/COガス混合物での低い化学反応性を用いた処理により高分子の生成が排除され、チャンバの動作可能時間が長くなる。
【0053】
本発明を上記にて好ましい実施形態という観点から説明してきたが、当業者は本発明がこれらに限定されないことも認識するものである。上述の発明の各種構成及び態様は独立して又は組み合わせて使用することができる。更に、本発明を特定の環境下における実践を念頭に又は特定の用途について説明してきたが、当業者はその有用性がこれらに制限されず、本発明を多数の環境で利用、実践可能であることを認識するものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明のこれら及びその他の構成、態様、及び利点は以下の説明及び本発明の実施例を図示している添付図面を参照することでより良く理解できる。
【図1】本発明の一実施形態による、基板のエッチングに使用する容量結合プラズマ処理ツールを示す図である。
【図2A】本発明の一実施形態による、容量結合高周波プラズマ誘電体エッチングチャンバを用いた、APFを高いフォトレジストマスク(PR)選択性と高エッチング速度でもってエッチングする際に用いる工程を示したフロー図である。
【図2B】本発明の別の実施形態による、バイアス電力を印加する工程を加えた、APFのエッチングに使用した図2Aの工程を示すフロー図である。
【図2C】本発明の別の実施形態による、基板温度を調節する工程を加えた、APFのエッチングに使用した図2Bの工程を示すフロー図である。
【図3A】〜
【図3B】本発明の一実施形態による、エッチング技法を用いてのエッチング前と後の双方でのゲート電極スタックを示す図である。
【図4】低総ガス流量と高総ガス流量の両方の場合での基板上での位置の関数としてのAPF底部CD(BCD)のデータを示すグラフである。
【図5】2つの異なるH2/N2比の場合での基板上での位置の関数としてのAPF底部CDのデータを示すグラフである。
【図6】ソース電力の関数としてのAPFエッチプロファイルを示すグラフである。
【図7】2つの異なるカソード温度の場合での基板上での位置の関数としてのAPF底部CDのデータを示すグラフである。
【図8】基板上での位置及び中性種微調整単位(NSTU)の関数としてのAPF底部CDのデータを示すグラフである。
【背景】
【0001】
本発明の態様は、概して、半導体デバイスの分野及びこれら半導体デバイスの製造に関する。更には、本発明の実施形態はアドバンスドパターニングフィルム(APF)のエッチング方法及び装置に関する。
【0002】
コンピュータの処理速度がより速く、より強力になるにつれ、これらのコンピュータを動かす半導体デバイスはより小さくより複雑なものとなってきている。現代の半導体デバイスの多くがCMOS(相補型金属酸化膜半導体)トランジスタとコンデンサから成り、CMOSトランジスタは通常、ソース、ドレイン及びゲートを含む。ゲートはゲートスタックと称されることもあるが、これはゲート電極とその下のゲート誘電体といった幾つかのコンポーネントを含む場合があるからである。側壁スペーサ(スペーサ又はスペーサ層とも称される)がゲート構造に隣接していることがあり、通常は酸化物層と窒化物層コンポーネントを含む。
【0003】
CMOSデバイスは多くのコンピュータで見かける一般的な半導体デバイスではあるものの、その製造は困難になりつつある。CMOSデバイスの製造が困難になりつつある理由の1つに、これらのデバイスの小型化に伴い各CMOSデバイスに関係する公差が厳しいものになってきていることがある。このようなCMOSデバイスを作製するためのある方法は、アドバンスドパターニングマスクを含むパターンマスク(例えば、フォトレジストマスク)をこのようなマスクの下にくる材料層上(つまり、下層上)に形成し、次にパターンフォトレジストマスクをエッチマスクとして使用して材料層をエッチングすることを含む。アドバンスドパターニングフィルム(APF)はトリム手順においてスピンオンARCに代わるものとして使用可能な可剥性ハードマスク(非晶質炭素/DARCスタックフィルム)である。エッチマスクは一般的にはその下の層(又は複数の下層)に形成(又はエッチング)予定の構造の複製である。このため、エッチマスクは下層に形成する構造と同じ局所寸法を有している。
【0004】
エッチング処理における製造変数が、形成された構造の寸法について、エッチング対象であるウェハグループ(例えば、バッチ又はロット)内で広い統計的分散(例えば、大きなσ、ここでσは標準偏差である)をもたらす場合がある。又、製造処理における変動も又、1枚のウェハ内での構造寸法における統計的分散を生じさせる可能性がある。
【0005】
例えば、CMOSデバイスの製造中、トレンチを材料にエッチングすることは多い。トレンチ最上部の開口部の寸法がトレンチ底部の開口部の寸法と非常に近い良好なアスペクト比を有するトレンチをエッチングするのが望ましいことが多いが、そういった結果を得るのは困難である。カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社から入手可能なアドバンスドパターニングフィルム(APF、商標名)は、エッチングするトレンチの上下比の改善に非常に効果的である。APFソリューションでは、可剥性CVDカーボンハードマスク技術を絶縁性反射防止膜(DARC)と組み合わせた二層型パターニングフィルムスタックを用いることで進歩した高アスペクト比のコンタクトエッチングを可能としている。ポリシリコン及び酸化物に対してのその高い選択性により、APFはエッチング処理において非常に優れた制御性を実現している。
【0006】
APFソリューションを用いたエッチング処理によりトレンチの上下間でのアスペクト比は改善されるが、APFそれだけでのエッチングではトレンチの中央が広がった湾曲プロファイルとなる場合がある。加えて、APFでのエッチングによりエッチングしたトレンチの上下比が改善されても、比はそれでも多くの場合80%未満である。CD(Critical dimension)が小さくなるにつれ、これらの影響はより厄介なものとなってくる。
【0007】
従って、湾曲を軽減し、上下比が80%を超えるトレンチを有するデバイスを形成する、APFを利用した、半導体デバイスにおいてトレンチをエッチングするためのシステム及び方法が必要とされている。
【概要】
【0008】
本発明の実施形態はAPFを用いたエッチングを利用し、特定の実施形態においては処理を改善して湾曲を軽減し、上下比を80%より高くするシステム及び方法を提供する。
【0009】
本発明の一実施形態において、アドバンスドパターンフィルム(APF)のエッチング方法にはAPF層を含むウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、処理ガスをチャンバに供給し、162MHz電源を用いてソース電力を印加し、バイアス電力をウェハに印加することを含む。処理ガスは水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)、及び一酸化炭素ガス(CO)を含む。一実施形態において、H2:N2の比は約1:1である。
【0010】
本発明の別の実施形態においては、300sccmのH2と、300sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合して事前に混合した処理ガスとしてから処理チャンバへと供給する。特定の実施形態においては、約50sccmのCOを使用する。
【0011】
本発明の更に別の実施形態において、ソース電力は0ワット〜2300ワットである。
【0012】
本発明の更に別の実施形態において、ソース電力は約2000ワットである。
【0013】
本発明の更に別の実施形態において、バイアス電力は0ワット〜1000ワットである。
【0014】
本発明の更に別の実施形態において、バイアス電力は約900ワットである。
【0015】
本発明の更に別の実施形態において、処理圧力は20ミリトール〜200ミリトールに維持される。ある特定の実施例において、圧力は約100ミリトールに維持される。
【0016】
本発明の別の実施形態において、アドバンスドパターンフィルム(APF)をエッチングする方法は、APF層を含むウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、処理ガスをチャンバに供給し、162MHz電源を用いてソース電力を印加し、バイアス電力をウェハに印加することを含む。処理ガスは水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)、及び一酸化炭素ガス(CO)を含む。H2:N2の比は約3:1である。ソース電力は0ワット〜2300ワットである。例えば、一実施形態において、ソース電力は約2000ワットである。バイアス電力は0ワット〜1000ワットである。ある特定の実施形態において、バイアス電力は約900ワットである。
【0017】
本発明の更に別の実施形態において、H2:N2の比は約3:1であり、処理ガスはその処理チャンバへの供給に先立って450sccmのH2と、150sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する。特定の実施形態においては約50sccmのCOを使用する。
【0018】
本発明の更に別の実施形態において、H2:N2の比は約3:1であり、処理圧力は20ミリトール〜200ミリトールに維持される。ある特定の実施例において、圧力は約100ミリトールに維持される。
【0019】
本発明の別の実施形態において、アドバンスドパターンフィルム(APF)のエッチング方法にはAPF層を含むウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、ウェハ温度を20℃〜60℃に調節し、処理ガスをチャンバに供給し、162MHz電源を用いてソース電力を印加し、バイアス電力をウェハに印加することを含む。処理ガスは水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)、及び一酸化炭素ガス(CO)を含む。ソース電力は0ワット〜2300ワットである。例えば、一実施形態において、ソース電力は約2000ワットである。バイアス電力は0ワット〜1000ワットである。ある特定の実施形態において、バイアス電力は約900ワットである。
【0020】
本発明の更に別の実施形態において、ウェハ温度は約50℃に設定される。
【0021】
本発明の更に別の実施形態においてはウェハ温度を調節し、処理ガスのH2とN2のH2:N2比は約1:1である。この実施形態の一例において、処理ガスは、その処理チャンバへの供給に先立って300sccmのH2と、300sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する。更により具体的な例においては約50sccmのCOを使用する。
【0022】
本発明の更に別の実施形態においてはウェハ温度を調節し、処理ガスのH2とN2の比H2:N2は約3:1である。この実施形態の一例において、処理ガスは、その処理チャンバへの供給に先立って450sccmのH2と、150sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する。更により具体的な例においては約50sccmのCOを使用する。
【0023】
本発明の更に別の実施形態においてはウェハ温度を調節し、処理圧力を20ミリトール〜200ミリトールに維持する。ある特定の実施例において、圧力は約100ミリトールに維持される。
【詳細な説明】
【0024】
本発明の実施形態では湾曲を軽減し、かつ80%を超える上下比を付与するのみならずAPFを用いたエッチングを利用する。本発明の実施形態は容量結合プラズマ処理チャンバで実行可能である。このような処理チャンバは2001年12月19日にダニエル・ホフマン(Daniel Hoffman)らによって出願され、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7030335号「プラズマに同調したオーバーヘッドRF電極を有するプラズマリアクタ」に記載されており、その開示は参照により本願に組み込まれる。米国特許第7030335号に詳細に記載の容量結合プラズマ処理チャンバについては図1を参照しながら以下にて簡単に説明する。当然ながら、本発明はその他の処理チャンバでも実行可能である。
【0025】
図1は本発明の一実施形態による、基板のエッチングに使用する容量結合プラズマ処理チャンバ100の断面図である。プラズマ処理チャンバ100は基板110を支持するために使用する基板支持体105を含む。半導体リング115が基板110を取り囲んでいる。半導体リング115は誘電体(石英)リング120によって接地チャンバ本体部127上に支持されている。一実施形態において、誘電体(石英)リング120の厚さは約10mm、誘電率は約4である。チャンバ100はその最上部で円盤状オーバーヘッドアルミニウム電極によって境されており、電極は接地チャンバ本体部127の上の基板110上方に誘電体(石英)シールによって既定の間隙高さでもって支持されている。オーバーヘッド電極125はアルミニウム等の金属であってもよく、その内部表面は半金属材料(Si又はSiC)によって被覆されている。或いは、内部表面それ自体を半金属材料としてもよい。RF発生装置150によりRF電力を電極125に印加する。発生装置150からのRF電力は発生装置150に整合された同軸ケーブル162を通して電極125に接続された同軸スタブ135に結合される。スタブ135は特性インピーダンス、共振周波数を有し、米国特許第7030335号においてより詳しく記載されるように電極125と50オーム同軸ケーブル162又はRF電力発生装置150の50オーム出力との間でのインピーダンス整合を行う。チャンバ本体部はRF発生装置150のRFリターン(RF接地)に接続されている。オーバーヘッド電極125からRF接地へのRF経路は半導体リング115、誘電体リング120及び誘電体シール130のキャパシタンスに影響される。基板支持体105、基板110及び半導体リング115により、電極125に印加されたRF電力用の一次RFリターン経路が構成される。
【0026】
RFリターン又は接地について測定した電極125、誘電体リング120及び誘電体シール130を含むオーバーヘッド電極アセンブリ126のキャパシタンスは180ピコファラドになる場合がある。電極アセンブリのキャパシタンスは電極面積、間隙の高さ(基板支持体とオーバーヘッド電極との間の距離)、及び浮遊キャパシタンス、特には用いた材料の誘電率と厚さによって影響されるシール130と誘電体リング120の誘電体の値に影響を及ぼす因子によって影響される。より一般的には、以下で説明するように、電極アセンブリのキャパシタンスはその大きさにおいて特定のソース電力周波数、プラズマ密度及び動作圧力でのプラズマの負のキャパシタンスに等しい又はほぼ等しい。
【0027】
同軸スタブ135はその他多くの有益な利点に加え、システム全体の安定性、その広いプロセスウインドウ性能に更に役立つ構成となっている。同軸スタブは内側の円筒状導体140と外側の同心の円筒状導体145を有する。図1において斜交平行模様によって示される絶縁体147が内側及び外側の導体140、145との間の空間を埋めている。内側導体140と外側導体145はニッケルコーティングされたアルミニウムから形成される。外側導体145の直径は約4インチであり、内側導体140の直径は約1.5インチである。スタブの特性インピーダンスは内側導体と外側導体140、145の半径及び絶縁体147の誘電率によって決定される。一実施形態において、スタブ135の特性インピーダンスは65である。より一般的には、スタブの特性インピーダンスはソース電力の出力インピーダンスを約20%〜40%上回るものである。スタブ135は軸長約29インチを有し、220MHzで1/4波長であり、210MHzのVHFソース電力周波数からわずかにずれてはいるが概して220MHz付近で整合する共振を有する。
【0028】
RF発生装置150からスタブ135にRF電力を印加するため、スタブ135の軸長に沿った特定の位置にはタップ160が設けられている。発生装置150のRF電力端子150b及びRFリターン端子150aは、スタブ135上のタップ160で内側及び外側同軸スタブ導体140、145にそれぞれ接続されている。これらの接続は、発生装置150の出力インピーダンス(例えば、約50オーム)と整合する特性インピーダンスを有する発生装置・スタブ間の同軸ケーブル162を介して行なわれる。スタブ135の遠端部135aで終端する導体165は内側及び外側導体140、145を共に短絡するため、スタブ135はその遠端部135aにおいて短絡される。スタブ135の短絡されていない端部である近端部135bにおいて、外側導体145は環状の導電性筐体又は支持体175を介してチャンバ本体部に接続され、一方、内側導体140は導電性シリンダ又は支持体176を介して電極125の中心に接続される。誘電体リング180は導電性シリンダ176と電極125との間に保持され、その2つを隔てている。
【0029】
内側導体140は、処理ガスや冷却液等のユーティリティ用導管を構成することが可能である。この構成の主な利点は、典型的なプラズマ処理チャンバと異なり、ガスライン170や冷却液ライン173が大きな電位差を跨ぐことがないことである。この設計により電位差は小さくなり、導管をこのような目的用のより安価でより信頼性の高い材料であるところの金属から形成することが可能となる。金属製のガスライン170はオーバヘッド電極125内又はそれに隣接したガス流入口172にガスを供給し、金属製の冷却液ライン173はオーバヘッド電極125内の冷却液流路又はジャケット174に冷却液を供給する。オーバーヘッド電極125内又はそれに隣接するガス流入口172は内側及び外側ガス分散マニホルドとして構成可能である。一実施形態において、内側及び外側ガス分散マニホルドは内側リング及び外側リングを形成し、各リングへの流れは調節可能である。このようなガス分散システムによりウェハ全体に亘ってのガス分散の均一性は向上するが、これはウェハの内側部位へのガス流量をウェハの外側部位に向かうガス流量に対して調節可能だからである。
【0030】
一実施例において、中性種はアルゴン(Ar)、プラズマ電子周波数は約230MHz、RFソース電力周波数は約210MHz、チャンバ圧は10ミリトール〜200ミリトールであり、プラズマ密度が109〜1012イオン/ccとなるに十分なRF電力が印加された。このような条件下において、プラズマは通常、−50〜−400ピコファラドの負のキャパシタンスを有する。誘電体エッチング、金属エッチング及びCVD等の異なる用途に応じて、プラズマキャパシタンスは特定の所望の範囲まで、かつVHFソース電力周波数で負の値となるまで調節及び最適化が可能である。プラズマのこのような特性を生かすことで、電極キャパシタンスの整合と処理チャンバの周波数に整合した特徴により、処理条件を最適化可能である。
【0031】
図2Aは本発明の一実施形態による、容量結合高周波プラズマ誘電体エッチングチャンバを用いて高フォトレジストマスク(PR)選択性と高エッチング速度でもってAPFをエッチングするために用いた例示的な方法を示すフロー図である。図2Aのフロー図に図示の処理は以下にて図3を参照して説明するように、CMOSデバイス300の製造中に使用可能である。本方法は、エッチングシステムによる部分的に作製したCMOSデバイス300の受け取り準備をする210から開始される。220で、部分的に作製されたCMOSデバイスは、ウェハを静電チャック等の台座部上に輸送することで処理チャンバに導入される。部分的に作製されたCMOSウェハは既にフォトレジスト、下部反射防止層、及び絶縁性反射防止層(PR・BARC・DARC)330Aの堆積、パターン形成及びエッチングを含む幾つかの処理を経ている。(PR・BARC・DARC)330Aは、APFのエッチングに使用するのと同じチャンバ内で同じようにエッチングし図示のパターンを形成することが可能である。(PR・BARC・DARC)層330Aのエッチングに使用する化学物質は以下にて図3Aを参照して更に詳細に説明する。
【0032】
230でH2、N2及びCOガスを混合する。H2、N2及びCOガスの混合は、これらを処理チャンバに導入する前にH2、N2及びCOの個々のガスを供給し、別のチャンバ内で混合させることで行う。或いはH2、N2及びCOガスを事前に混合し、シリンダ内に保存し、必要に応じて処理チャンバに供給することが可能である。次に240で、H2/N2/COガス混合物を処理チャンバに導入する。図1に図示の処理チャンバ内で、H2/N2/COガス混合物をガスライン170とガス流入口172を通して処理チャンバに導入する。ガス流入口172は内側及び外側分散リングを含む場合があり、これらによりガス流をウェハ中央と縁部とで別々に調節することが可能となる。一実施形態において、ガス混合物は約300sccmのH2と、約300sccmのN2と25〜100sccmのCOを混合することで調製する。50sccmのCOを使用する場合、H2:N2の比が1:1となるようにこの混合物を設定可能である。その他の実施形態において、H2:N2比は1:3〜1:1であり、N2:CO比は6:1〜3:1である。250で、流量、排出速度又はその双方を調節することで、処理圧力に到達させる。以下で図4を参照して更に説明するように、流量はウェハ特性に影響を与える場合があることから、流量を特定の値に設定し、ポンプと弁を用いて圧力を調節することが可能である。例えば、圧力は真空ポンプにつながる弁を絞ることで調節可能である。低圧が望ましい場合は真空ポンプにつながる弁を開放し、高圧が望ましい場合は弁を閉じる。一実施形態において、H2/N2/COガス混合物流量は250sccm〜1300sccmに設定し、圧力は20ミリトール〜200ミリトールに維持される。ある特定の実施例において、圧力は約100ミリトールに維持される。
【0033】
次に、260で、ソース電力を用いて容量結合プラズマを発生させる。ソース電力は用途に応じて0ワット〜2300ワットである。ある特定の用途において、ソース電力は2000ワットに設定される。これらの処理条件が一旦確立されプラズマが発生したら、ウェハを270でエッチングする。エッチングは時間を測定する又は終点を検出するのいずれかによって制御可能である。タイマーを用いる場合は、正しい量の材料をエッチングするように事前に定めた時間に亘ってウェハをエッチングする。処理の終了に終点の検出を利用する場合は、十分な材料がウェハからエッチングされたと終点検出装置が判定するまで基板をエッチングする。一実施形態において、エッチングはガス流とソース電力を遮断することで停止する。エッチング処理を一旦完了したら、エッチングしたウェハをエッチングチャンバから工程280で取り出し、次の処理へと送り出す。
【0034】
図2Bは本発明の別の実施形態による、バイアス電力を印加する工程を加えた、APFのエッチングに使用した図2Aに関連して説明したものと同様の別の例示的な方法を示すフロー図である。本発明のこの実施形態において、ウェハを図2Aを参照して上述したようにエッチングするが、バイアス電力をウェハに供給する。エッチング中にバイアス電力をウェハに供給する利点は図4〜図8を参照して以下にて説明する。バイアス電力のウェハへの供給は、一実施形態において、静電チャック又はウェハをバイアス可能な電源に連結された別のウェハ支持体を用いて行う。バイアス電力は13.56MHzの電力を発生するRF電源によって供給可能である。バイアス電力は0ワット〜1000ワットである。ある特定の応用例において、バイアス電力は約900ワットである。
【0035】
図2Cは本発明の別の実施形態による、基板温度を調節する工程を加えた、APFのエッチングに使用した図2Bに関連して説明したものと同様の更に別の例示的な方法を示すフロー図である。本発明のこの実施形態において、ウェハは図2Bを参照して上述したようにエッチングされるが、バイアス電力をウェハに供給する。エッチング中にウェハ温度を調節する利点は、図7を参照して以下にて説明する。ウェハ温度の20℃〜60℃への調節は、一実施形態において、ウェハをヒータで加熱することで行う。ヒータは静電チャック内に設置した抵抗ヒータ又はランプ等のその他のヒータが可能である。
【0036】
図2A、2B及び2Cは240でガスを処理チャンバに導入する、250で処理圧力を達成する、235でバイアス電力をウェハに印加する、225でウェハ温度を設定する、260でソース電力を印加して容量結合プラズマを発生させるといった様々な処理を示す。本発明では記載のこのような処理を特定の順序で実行することに限定しない。これらの処理の順序は本発明の異なる実施形態に応じて入れ替え可能である。例えば、ガス混合物導入前にウェハ温度を設定するのが有利な場合もある。或いは、ガス混合物導入前にバイアス電力を印加するのが有用な場合もある。
【0037】
図3A、3Bは、本発明の一実施形態による、エッチング技法を用いてのエッチング前と後の双方でのゲート電極スタックを示す。
【0038】
図3Aは基板310A、SiN層315A、酸化物層320A、APF層325A、及びPR・BARC/DARC層330Aを含む、APF層をエッチングする前の部分的に作製したCMOSデバイス300を図示している。APF層は通常、SiONと炭素のフィルムを含む。PR・BARC/DARK層は通常、フォトレジスト(PR)層、下部反射防止膜(BARC)層、及び絶縁性反射防止膜(DARC)層を含む。BARC層は金属又はポリシリコン上に堆積された、フォトリソグラフィ性能を改善するための光吸収金属層(典型的には窒化チタン)を含む。DARC層はフォトリソグラフィ性能を改善するために金属又はポリシリコン上に堆積された非反射性、非エネルギー吸収性の無機誘電体層を含む。DARC層により、マスクパターンをフォトレジストに正確に転写することが可能となる。
【0039】
本発明の一実施形態において、基板310Aはシリコン基板が可能である。CMOSデバイスがPMOSである場合、基板としてn型基板が可能であるが、もしCMOSデバイスがNMOSならば、基板としてp型基板が可能である。バリア層として機能するSiN層315Aは、基板310A上に直接堆積される。酸化物層320AはSiN層315Aの後に堆積するため、SiN層315Aは酸化物層320Aの下に位置される。一部の実施形態においては、酸化物層320Aはホウ素とリンの双方をドープした二酸化ケイ素層であり、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)層と称される。SiN層315Aは、BPSG層から基板310Aへのホウ素とリンの拡散に対してのバリアとして機能する。拡散はBPSG層それ自体のリフロー及び緻密化等の高温処理中に起こることがある。
【0040】
APF層325Aは酸化物層320Aの後に堆積するため、APF層325Aは酸化物層320Aの上方に位置する。APF層325Aは非晶質炭素/DARCスタックフィルム等の可剥性ハードマスクである。PR・BARC/DARC層330AはAPF層325Aの後に堆積するため、PR・BARC/DARC層330AはAPF層325の上方に位置する。PR・BARC/DARC層330Aはフォトレジスト層であり、その下のスタックを更にエッチングするためにパターン形成を施されている。
【0041】
PR・BARC/DARC層330Aは層の一部をエッチングにより除去することで形成したパターンを含む。PR・BARC/DARC層330AはCF4/CHF3エッチャントを用いてエッチングされている。
【0042】
図3Bは本発明の一実施形態による、図2A〜2Cを参照して説明した方法を用いてAPF層をエッチングした後の、図3Aに図示の部分的に作製したCMOSデバイス300Bを図示している。APF層325BをH2/N2/COガス混合物を用いてエッチングし、CMOSデバイス300Bを形成した。構造体の残りの部分は異なるエッチャントを用いて後にエッチングする。例えば、酸化物層320AをC4F6/C4F8等のエッチャントを用いてエッチングする。同様に、SiN層315AをCH2F2/CHF3エッチャントを用いてエッチングする。
【0043】
ある応用例においては、複数のエッチング処理又は2段階エッチング処理法を用いてBPSGを含む酸化物層320BとSiN層315Bにコンタクト開口部をエッチングにより形成する。一実施形態においては、第1エッチングにより酸化物層320Bの二酸化ケイ素をSiN層315Bの窒化ケイ素に対して選択的にエッチングし、SiN315B層でエッチングを停止する。エッチング停止層としての機能に加えて、SiN層315Bはその下の活性領域を酸化物エッチング中に放出されたイオン化酸素による損傷から保護する役目も果たしている。エッチング完了後、半導体デバイス構造の側壁を損傷することなく、窒化物エッチング工程を用いてSiN層315Bを除去する。
【0044】
図4は低総ガス流量と高総ガス流量の両方の場合での、基板上での位置の関数としてのAPF底部CD(Bottom critical dimension:BCD)のデータを示すグラフである。図4はH2/N2/COガス混合物の総流量が高いほうがH2/N2/COガス混合物の総流量が低い場合よりもプロファイルが不良かつ底部CDが小さいことを示している。加えて、底部CDもH2/N2/COガス混合物の流量が高い場合のほうが低い場合よりも悪い。H2/N2/COガス混合物の流量を低くすることで、CD均一性のみならず垂直プロファイルも改善される。本発明の実施形態では、総流量を調節することで底部CD均一性を改善し、アンダーカットを最低限に抑える又は排除する。これらの方法により、形成される特徴部の垂直プロファイルも改善される。
【0045】
図5は2つの異なるH2/N2比の場合での、基板上での位置の関数としてのAPF底部CDのデータを示すグラフである。図5はH2/N2/COガス混合物におけるH2/N2比が低いほうが底部CD均一性が良好なことを示している。図5においては比がH2/N2=1:1、H2/N2=3:1の場合のデータを提示している。H2/N2=1:1のガス混合物でウェハを処理するとH2/N2=3:1のガス混合物でのウェハ処理よりも底部CDは小さくなり、ムラが少ない。
【0046】
用途によっては、低いH2/N2/COガス混合物総流量と低いH2/N2比を組み合わせて良好なプロファイルと良好な均一性の双方を得ることが有利である。本発明の別の実施形態においては、図6を参照して以下で説明するように、低いH2/N2比と共に、又はその代わりにより高いソース電力を用いることで均一性を改善可能である。
【0047】
低いH2/N2比でウェハを処理すると粒子の制御性も改善されるため、収率が上昇する。H2/N2/COガス混合物を用いたAPFエッチング工程の一実施例において、粒子アダーは50〜150、平均100であった。この実施例において、エッチング処理中に粒子数の急上昇や増加傾向は見られなかった。粒子はAPF工程に先立ってのフッ素(F)副生成物とのH2/N2反応がその発生源ではないかと疑われる。Hはチャンバ内でFと反応して不揮発性の副生成物を生成することから、この反応が粒子の発生源である可能性が高い。H2/N2比が低いとチャンバ内のHが少なくなるため、HとFの反応の機会は減り、粒子形成の機会も減り、粒子制御は向上する。
【0048】
図6はソース電力の関数としてのAPFエッチングプロファイルを示すグラフである。図6は、ソース電力が1500ワットから2000ワットに上昇するにつれ、エッチング速度(ER)とエッチング速度均一性%(ERU%)が4310A/分、7.7%から5490A/分、3.1%に改善されることを示している。ソース電力を500ワット上昇させるとERは27%は速くなる。ソース電力を1500ワットから2000ワットに上昇させても底部CDと均一性には影響はないが、プロファイルは改善される。
【0049】
バイアス電力もウェハ特性に影響する場合がある。一実施形態において、13.56MHzのバイアス電力をウェハに供給する。バイアス電力の上昇が絶縁性反射防止膜(DARC)選択性に深刻な影響を与えることがある。例えば、13.56MHzのバイアス電力を900ワットから1500ワットに上昇させた場合、DARC層は完全に除去され、上部がフレア状のAPFプロファイルとなる。従って、バイアス電力を低下させることでDARCの完全性を改善可能である。
【0050】
図7は2つの異なるカソード温度の場合での、基板上での位置の関数としてのAPF底部CDのデータを示すグラフである。図7はカソード温度を40℃から15℃に変更すると底部CDのプロファイルが悪化することを示している。底部CD均一性への温度の影響は、高温でのAPFエッチング工程中のDARCのエッチング速度が遅いことによる。しかしながら、温度上昇は底部CDに大きな影響を与えないことから、エッチング均一性への影響は15℃での同じ工程時間でのより高いOE%に負うものと思われる。更に、カソード温度を15℃でなく40℃に設定するとAPFはより速くエッチングされ、ウェハ中心部とウェハ縁部で測定したところ、より均一にエッチングされる。
【0051】
図8は基板上での位置の関数かつ中性種微調整単位(Neutral species tuning unit:NSTU)の関数としてのAPF底部CDのデータを示すグラフである。NSTUはデュアルゾーン型シャワーヘッドによってガス流量比を制御する際に使用する。一実施形態において、標準NSTUはウェハの外縁に流れるガスのウェハの中央に流れるガスに対する比と定義される。例えば、この実施形態においては、3NSTUはガス全体の75%がウェハの外縁に流れ、ガスの25%がウェハ中央に流れることを意味している。NSTUは高分子の分布によって引き起こされる中央部と縁部との差を微調整するために使用され、高分子の分散はプロファイル、CD、PR選択性、残留物、更にはエッチング速度にいたるエッチング性能に影響する可能性がある。図8はNSTUが1までなら底部CDがより均一となるが、NSTUが1〜4の場合は均一性が低下することを図示している。加えて、NSTU設定が1だと、ウェハ全体に亘って底部CD範囲が小さい。
【0052】
図4〜図8はH2/N2/COガス混合物を用いた処理において流量を調節することで高いAPFエッチング速度、高いPR選択性、制御されたAPFマスクCDが得られることを示している。加えて、H2/N2/COガス混合物処理を高い及び低い周波数のRF電力と組み合わせることで、プロセスウィンドウが拡大される。H2/N2/COガス混合物処理とデュアルタイプのガス供給蓋部、NSTU及びCSTUを組み合わせることで、エッチング速度の均一性が向上する。更に、H2/N2/COガス混合物での低い化学反応性を用いた処理により高分子の生成が排除され、チャンバの動作可能時間が長くなる。
【0053】
本発明を上記にて好ましい実施形態という観点から説明してきたが、当業者は本発明がこれらに限定されないことも認識するものである。上述の発明の各種構成及び態様は独立して又は組み合わせて使用することができる。更に、本発明を特定の環境下における実践を念頭に又は特定の用途について説明してきたが、当業者はその有用性がこれらに制限されず、本発明を多数の環境で利用、実践可能であることを認識するものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明のこれら及びその他の構成、態様、及び利点は以下の説明及び本発明の実施例を図示している添付図面を参照することでより良く理解できる。
【図1】本発明の一実施形態による、基板のエッチングに使用する容量結合プラズマ処理ツールを示す図である。
【図2A】本発明の一実施形態による、容量結合高周波プラズマ誘電体エッチングチャンバを用いた、APFを高いフォトレジストマスク(PR)選択性と高エッチング速度でもってエッチングする際に用いる工程を示したフロー図である。
【図2B】本発明の別の実施形態による、バイアス電力を印加する工程を加えた、APFのエッチングに使用した図2Aの工程を示すフロー図である。
【図2C】本発明の別の実施形態による、基板温度を調節する工程を加えた、APFのエッチングに使用した図2Bの工程を示すフロー図である。
【図3A】〜
【図3B】本発明の一実施形態による、エッチング技法を用いてのエッチング前と後の双方でのゲート電極スタックを示す図である。
【図4】低総ガス流量と高総ガス流量の両方の場合での基板上での位置の関数としてのAPF底部CD(BCD)のデータを示すグラフである。
【図5】2つの異なるH2/N2比の場合での基板上での位置の関数としてのAPF底部CDのデータを示すグラフである。
【図6】ソース電力の関数としてのAPFエッチプロファイルを示すグラフである。
【図7】2つの異なるカソード温度の場合での基板上での位置の関数としてのAPF底部CDのデータを示すグラフである。
【図8】基板上での位置及び中性種微調整単位(NSTU)の関数としてのAPF底部CDのデータを示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アドバンスドパターンフィルム(APF)をエッチングする方法であり、
APF層を含むウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、
水素ガス(H2)と、窒素ガス(N2)と、一酸化炭素ガス(CO)を含み、H2:N2の比が約1:1である処理ガスを前記チャンバに供給し、
前記162MHz電源を用いてソース電力を印加し、
バイアス電力を前記ウェハに印加することを含む方法。
【請求項2】
前記処理ガスを、その処理チャンバへの供給に先立って300sccmのH2と、300sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記処理ガスを、その処理チャンバへの供給に先立って300sccmのH2と、300sccmのN2と、50sccmのCOを混合することで調製する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ソース電力が0ワット〜2300ワットである請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記バイアス電力が0ワット〜1000ワットである請求項1記載の方法。
【請求項6】
処理圧力を約100ミリトールに維持することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
アドバンスドパターンフィルム(APF)をエッチングする方法であり、
APF層を含むウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、
水素ガス(H2)と、窒素ガス(N2)と、一酸化炭素ガス(CO)を含み、H2:N2の比が約3:1である処理ガスを前記チャンバに供給し、
162MHzで作動する前記電源に約2000ワットの電力を印加し、
約900ワットのバイアス電力を前記ウェハに印加し、
処理圧力を約100ミリトールに維持することを含む方法。
【請求項8】
前記処理ガスを、その処理チャンバへの供給に先立って450sccmのH2と、150sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する請求項7記載の方法。
【請求項9】
アドバンスドパターンフィルム(APF)をエッチングする方法であり、
APF層を含むウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、
ウェハ温度を20℃〜60℃に調節し、
水素ガス(H2)と、窒素ガス(N2)と、一酸化炭素ガス(CO)を含む処理ガスを前記チャンバに供給し、
前記162MHz電源を用いてソース電力を印加し、
バイアス電力を前記ウェハに印加し、
処理圧力を約100ミリトールに維持することを含む方法。
【請求項10】
前記処理ガスの前記H2と前記N2のH2:N2比が約1:1である請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記処理ガスを、その処理チャンバへの供給に先立って300sccmのH2と、300sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記処理ガスの前記H2と前記N2の比H2:N2が約3:1である請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記処理ガスを、その処理チャンバへの供給に先立って450sccmのH2と、150sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ソース電力が0ワット〜2300ワットである請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記バイアス電力が0ワット〜1000ワットである請求項9記載の方法。
【請求項1】
アドバンスドパターンフィルム(APF)をエッチングする方法であり、
APF層を含むウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、
水素ガス(H2)と、窒素ガス(N2)と、一酸化炭素ガス(CO)を含み、H2:N2の比が約1:1である処理ガスを前記チャンバに供給し、
前記162MHz電源を用いてソース電力を印加し、
バイアス電力を前記ウェハに印加することを含む方法。
【請求項2】
前記処理ガスを、その処理チャンバへの供給に先立って300sccmのH2と、300sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記処理ガスを、その処理チャンバへの供給に先立って300sccmのH2と、300sccmのN2と、50sccmのCOを混合することで調製する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ソース電力が0ワット〜2300ワットである請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記バイアス電力が0ワット〜1000ワットである請求項1記載の方法。
【請求項6】
処理圧力を約100ミリトールに維持することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
アドバンスドパターンフィルム(APF)をエッチングする方法であり、
APF層を含むウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、
水素ガス(H2)と、窒素ガス(N2)と、一酸化炭素ガス(CO)を含み、H2:N2の比が約3:1である処理ガスを前記チャンバに供給し、
162MHzで作動する前記電源に約2000ワットの電力を印加し、
約900ワットのバイアス電力を前記ウェハに印加し、
処理圧力を約100ミリトールに維持することを含む方法。
【請求項8】
前記処理ガスを、その処理チャンバへの供給に先立って450sccmのH2と、150sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する請求項7記載の方法。
【請求項9】
アドバンスドパターンフィルム(APF)をエッチングする方法であり、
APF層を含むウェハを約162MHzで作動する電源を備えた処理チャンバ内に設置し、
ウェハ温度を20℃〜60℃に調節し、
水素ガス(H2)と、窒素ガス(N2)と、一酸化炭素ガス(CO)を含む処理ガスを前記チャンバに供給し、
前記162MHz電源を用いてソース電力を印加し、
バイアス電力を前記ウェハに印加し、
処理圧力を約100ミリトールに維持することを含む方法。
【請求項10】
前記処理ガスの前記H2と前記N2のH2:N2比が約1:1である請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記処理ガスを、その処理チャンバへの供給に先立って300sccmのH2と、300sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記処理ガスの前記H2と前記N2の比H2:N2が約3:1である請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記処理ガスを、その処理チャンバへの供給に先立って450sccmのH2と、150sccmのN2と、25〜100sccmのCOを混合することで調製する請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ソース電力が0ワット〜2300ワットである請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記バイアス電力が0ワット〜1000ワットである請求項9記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2009−21605(P2009−21605A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−182120(P2008−182120)
【出願日】平成20年7月13日(2008.7.13)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182120(P2008−182120)
【出願日】平成20年7月13日(2008.7.13)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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