説明

導電パターン形成フィルムと、そのための導電パターン形成方法及び導電パターン形成装置

【課題】可撓性を持つ一般的なプラスチック基板上に、導電パターンを簡単な処理により形成すると供に、低温で配向加圧する簡単な処理を行う装置を用いて導電性パターンを容易に作成する導電パターン形成フィルムと、そのための導電パターン形成方法及び導電パターン形成装置を提供する。
【解決手段】導電パターン形成フィルムは、可撓性を有するフィルム基板上に、金属又は半導体の粉体又は微粒子が分散して充填された導電性ペーストを加熱しながら加圧して形成したパターンを設けてある。導電パターン形成装置は、平らな載置面を有する試料設置台と、載置面に対し移動自在に対向配置された圧力印加用駆動体からなり、前記圧力印加用駆動体は下面に金属球体を設けた金属平板からなる支持台を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルな電子デバイスを低コストで作製できる導電パターン形成フィルムと、そのための導電パターン形成方法及び導電パターン形成装置
に関し、特に可撓性を有するフィルム基板上に導電パターンを低温で簡便に作製する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザーフレンドリーな電子デバイスとして、フレキシブルシートディスプレイやフレキシブルRF−ID(ラジオ周波数認識)システム等の急速な普及が期待されている。これらを実現するには可撓性を持つプラスチックフィルム上に電子デバイスパターンを形成しなければならないが、これらを安価に大量に作成するために印刷プロセスの適応が考えられている。
【0003】
従来、微細な配線パターンを作製する技術としては、加熱蒸着法やスパッタリング法で作製した金属薄膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングする手法が主流であったが、加熱蒸着法やスパッタリング法は真空環境が不可欠であり、プロセスコストを低減させることが困難であった。また、フォトリソグラフィー法は多量の溶剤を必要とするため、環境に対する負荷も問題点として挙げられている。
【0004】
印刷による配線技術は、低コストで多量の製品を高速に作製することが可能であるため、既に実用的な電子デバイス作製に用いられているが、印刷により高い伝導性を持つ配線を作製するためには、形成した導電性インクパターンに含まれるバインダー成分等を除去するために高温でベーキングすることが不可欠であった(特許文献1参照)。しかしながら、可撓性をもつプラスチックフィルムの多くは、高温で軟化・溶融してしまうためプラスチックフィルム上にプリントデバイスを作製することは困難である。このため、プリントデバイスはガラス等の耐熱性硬質基板上に作製されることが殆どであった。
【0005】
インクジェット法などで、金属ナノ粒子を分散させたインクを塗布し、比較的低温で伝導性を持つ配線パターンを作製する技術は既に存在するが(特許文献2〜4参照)、金属ナノ粒子インクは高価であるため、安価に大量に作製するという目的を達成することは困難である。
【特許文献1】特開2001−243836号公報
【特許文献2】特開2005−259848号公報
【特許文献3】特開2004−273205号公報
【特許文献4】特表2006−517606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、可撓性を持つ一般的なプラスチック基板上に、導電パターンを簡単な処理により形成すると供に、低温で配向加圧する簡単な処理を行う装置を用いて導電性パターンを容易に作成する導電パターン形成フィルムと、そのための導電パターン形成方法及び導電パターン形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の具体的な解決手段を採用する。
導電パターン形成フィルムは、可撓性を有するフィルム基板上に、導電性微粒子が粘着物質に分散して充填されたものを加熱しながら加圧して形成したパターンを設ける。
導電性微粒子を金属又は半導体の微粒子とする。また、導電性微粒子を集合又は凝集して粉体とする。粉体の形状は、等方的ではなく、長軸と短軸とに差を有するものであって、その長軸が基板面に平行に配向して、隣接する粉体と接触するようにする。
導電性微粒子又は粉体を構成する導電性微粒子を、銀、金、銅及びアルミニウムの内の任意種類を含むもの、または、粒子添加物が混入しているアルミニウムとする。
粒子添加物を亜鉛粒子とする。
【0008】
導電性微粒子又は粉体を形成する導電性微粒子を構成する半導体の微粒子を、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ及び酸化ニッケル又はそれらを含む化合物の内の任意種類とする。
粘着物質は、粘着物質を含む導電性ペーストとし、粘着物質の基板面と垂直方向の密度変化は、基板と接触する面近傍の方が、基板と接触する面と反対側の面近傍よりも高くなる傾斜構造を有するようにする。
フィルム基板は、粘着物質に含まれる溶剤に対して耐性を持ち、それらの溶剤の沸点以上のガラス転移点を持ち、粘着物質と密着性が良く、電気絶縁性を持ち且つ低誘電率であるようにする。たとえば、基板をPETフィルムとする。
パターンの表面平滑性を、粗さ曲線を断面の光学顕微鏡像の算出幅100μmから求めたとき、算術粗さ(Ra)で、0.2μm以下とする。
導電パターン形成装置は、平らな載置面を有し、水平方向に移動自在に構成されている試料設置台と、載置面に対し任意の速度で移動自在に対向配置された圧力印加用駆動体とし、圧力印加用駆動体は、載置面と対抗し且つ試料と接触する面を、曲面又は球面とする。
【0009】
圧力印加用駆動体を、下面に金属球体を設けた金属平板から構成する。
金属球体は、その直径が0.1mmから5mmの範囲内の任意の値をとるようにする。
圧力印加用駆動体は、試料設置台に対して、鉛直方向に移動されて圧力を印加すると供に、水平方向に試料の移動速度とは異なる速度で駆動され、鉛直方向と水平方向の両方に圧力を加えるように構成されている。
圧力印加駆動体は、金属球体を複数個金属平板の試料設置台側に1段設ける。
金属平板に磁石を設け、金属平板を介して金属球体を吸着保持する。
また、圧力印加駆動体と試料との間にメッシュシートを配置し、メッシュシートを介して圧力を印加させることもできる。
圧力印加駆動体は、試料設置台の平らな載置面と平行に且つ互いに並列に複数個設けられ、載置面上の試料に対し並列に設けた複数個により連続的に複数回の圧力印加を行なえるようにする。
【0010】
試料設置台に設けた制御装置は、試料設置台と圧力印加駆動体に設けた加熱手段によりそれぞれの加熱温度をそれぞれ独立に制御できるようにする。また、パターンの抵抗率を計測する手段を設けることもできる。
圧力印加用駆動体とパターンとの間を局所的に通電加熱する。
導電パターン形成装置は、可撓性を有するフィルム基板上に、金属や半導体の微粒子が粘着物質中に分散されたものの塗布により形成されたパターンの抵抗率を低下させる装置であり、パターン塗設されたフィルム基板をパターン塗設面を上に向けて設置する表面が平滑な試料設置台と、その上方に配置され、試料設置台に平行に面している面が突起状を有する圧力印加用駆動体から構成し、圧力印加用駆動体を、加熱状態の試料設置台の平面上に設置したフィルムに対して、フィルム面と鉛直方向から接触加圧すると供に、圧力印加用駆動体をフィルム面と平行な任意の方向に走査させることにより発生する摺り応力を加えることでフィルム上に形成した塗設パターンの導電率を向上させる。
【0011】
加熱の温度を、導電性ペーストまたは粘着物質に含まれる溶剤の沸点以上、プラスチック基板のガラス転移点以下とする。
加圧の圧力を、金属球とパターンとの一つの接点にかかる圧力が0.1MPaから100MPaの内の任意の値とする。
制御装置は、加熱の温度および加圧の圧力を、加熱、加圧前後のパターン変形率が平面方向で±1%以内、膜厚方向で±10%以内となるように制御する。
【0012】
本発明は、粘弾性媒質に均一に分散された金属または半導体微粒子により形成されたプラスチックフィルム上のパターン、もしくは、粘着物質上に吸着、固定化された金属または半導体微粒子により形成されたプラスチックフィルム上のパターンに対し温度制御しつつ加圧することにより高伝導度を持つ導電パターンを形成させることができる装置に特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、簡単な構造の製造装置を用い、低温で、簡単な操作により基板上に導電性パターンを容易に形成することができる。
一般的な印刷用導電インクを用いても低い温度で、伝導度の高い配線パターンや、高性能な半導体薄膜をフレキシブル基板上に作製できる。
また、本発明の導電パターン形成フィルムと、そのための導電パターン形成方法及び導電パターン形成装置は、可撓性を持つ一般的なプラスチック基板上に、大量に安価に導電パターンを作製するために、低温で加圧する簡単な処理を行う装置を用いて高伝導性パターンを容易に作成することができる。
本発明では、150℃以下の低温焼成技術を用いるので、比較的処理温度の低いプラスチックにも適用できるようになる。
また、本発明は半導体ペーストにも適応可能であるため、塗布低温プロセスで可撓性をもつフィルム上に能動素子を作製することができる。
本発明は、様々な仕事関数を持つ金属電極を可撓性をもつフィルム上に作製できるため、フレキシブル電池、エレクトロクロミック表示素子、エレクトロルミネッセンス素子、ダイオード素子等にも応用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、以下の用語は以下の意味に用いられる。即ち、微粒子は、微細な固体粒子、ガスまたは煙突の排ガス中などに個々に分散しているものを意味し、粉末は、通常、小さい固体粒子のゆるい集合体または凝集体を意味する。
導電性微粒子は、金属の微粒子及び半導体の微粒子を含む。金属の微粒子は、金属の微粒子からなる粉体(ゆるい集合体または凝集体)を構成する。半導体の微粒子は、半導体の微粒子からなる粉体(ゆるい集合体または凝集体)を構成する。
粘着物質は、樹脂バインダーでもあり、印刷、ディスペンシング法、インクジェット法によりパターン形成可能であるもの、基板を変質させないもの、また、加熱後、導電性パターンの電気物性に影響を与えないことが条件となる。好適な材料は、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液、ポリスチレン(PS)トルエン溶液、ポリメチルメタクリレート(PMMA)トルエン溶液、および、導電性ペーストや絶縁性ペースト等のペースト中の導電性物質を除いた物質でもある。
従って、導電性ペーストは、粘着物質に導電性物質を加えた物を意味する。
【0015】
導電パターンを形成したフィルムは、金属又は半導体材料の微粒子または粉体が粘着物質中に分散状態に充填されたペーストを、基板上に所定のパターン形状に塗設して構成する。
【0016】
上記加圧の制御は、加熱・加圧プロセスを含む。加圧である配向加圧は、(1)加圧面が金属球体等のため平面ではなくRがついていることと、(2)試料を挟む試料設置台と金属球体の送りに速度差を設けることにより、試料にずり応力を発生させる。同時に、温度制御する。この制御は、加熱器温度Tと基板温度Tが独立に調節でき且つT>Tであるようにする。
この加熱は、赤外線等をはじめとした電磁波加熱手段を用いることもできる。電磁波加熱手段を用いれば、急速加熱、急速冷却できるようになる。
【0017】
加圧手段は、多点加圧手段の場合、マルチ微小球加圧手段を含む。また、多点加圧手段のうちの網目加圧手段の場合、抵抗計測を行いながら通電加熱する通電加圧手段を採用する余地がある。
【0018】
試料に圧力を印加する手段として以下の手段がある。
(1)ローラー型
鉛直方向と進行方向の2種類の圧力を利用する。
(2)ブレード型
圧力先端面積の極小化による印加効率の向上を図り、小型機でも高圧印加が可能にする。
(3)微小球型
XYZの3軸方向の圧力を利用する。
【0019】
導電性ペーストの1種となる導電性インクは、導電体の挙動により分離タイプと分散タイプがある。分散タイプは、最終的な導電体の含有量に応じて、導体材料、半導体材料および電極材料を構成する。この態様に応じて各種電子デバイスを構成することができる。
インクの条件としては、以下のようなものがある。
(1)バインダー含有タイプであること。
(2)長軸と短軸に差を有する板状タイプに粒状タイプを混合するとより効果がある場合がある。
(3)加工温度を低下するために、溶剤が低温(100℃以下)で揮発すること。
(4)インクの開発を不用とするために、バインダー上の導体粉付着パターンにも有効に利用する。
【0020】
パターンにより配線を構成する場合、金、銀、銅、アルミニウム、カーボンが使用可能である。半導体材料としては、その種類を限定するものではないが、汎用的にはZnO、SnO、In,NiOが使用可能である。電極材料は、上記各材料の混合により仕事関数を調節して使用する。
【0021】
また、配向したペースト内では、全粉体の長軸が基板平面方向と作る角度の分布は一般的に平均値20度以下、分布幅(標準偏差)20度以下であるが、微粒子間の接触面積を大きくし接触抵抗を低下させるために望ましくは平均値15度以下、分布幅(標準偏差)15度以下である。
【0022】
基板上に塗設された金属もしくは半導体の微粒子又は粉体のペーストパターン中に、それら微粒子または粉体を分散させるのに用いた粘着物質が残留しており、その粘着物質の密度が基板と接触する面近傍の方が、基板と対向する面(基板と接触する面と反対側の面)近傍よりも高くなる傾斜構造を有するようにする。
基板と接触する面近傍における粘着物質密度と上記基板と対向する面近傍における粘着物質密度の比は、接着強度を担保し、低抵抗率を保持するためには2:1〜10:1となることが望ましい。
【0023】
基板上に塗設された金属もしくは半導体の微粒子または粉体のパターンにおいて、パターン上に新たな膜を積層する際に上部の膜の連続性を保持する観点から、その表面平滑性を表す算術粗さ(Ra)(粗さ曲線を断面の光学顕微鏡像の算出エリア100μmから求めたもの)、が小さいほど望ましい。
【0024】
導電パターンを形成したフィルムは、プラスチックフィルムであればその材質を限定するものではないが、価格、機械強度、耐熱性の観点からPETフィルムであることが望ましい。PETフィルムはポリエステル誘導体からできていれば良く、置換基、重合度、純度、大きさ、厚さ、密度、表面処理法、延伸法、色合い、透明度等は問わない。
本発明のフィルム基板に用いるプラスチックフィルムは、導電性ペーストや粘着物質に含まれる溶剤に対して耐性を持つこと、また、それらの溶剤の沸点以上のガラス転移点(軟化点)を持つこと、導電性ペーストや粘着物質と密着性が良いこと、電気絶縁性を持ち且つ低誘電率(ε=2.0〜3.0)であることが必要条件とされる。一般に好適に用いられるものは、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、液晶ポリマーフィルムである。また、密着性向上のためこれらのプラスチック表面を化学処理、物理処理を施したものを用いることもある。
【0025】
前記粘着物質中に分散されている金属もしくは半導体の微粒子もしくは粉体が、複数の異なる形状で構成される場合、十分な加圧配向効果を得るという観点と、粒子間の接触確率を高めるという観点から、少なくとも1種は長軸と短軸の長さに差がある粉体とし、別の少なくとも1種は球体であることが望ましい。
【0026】
前記粘着物質中に分散されている金属もしくは半導体の粒子もしくは粉体の直径は、量子サイズ効果の影響が出ない程度に大きく、10μm程度の印刷分解能を確保できる程度に小さくなくてはならない。故に、10nmから10μmの範囲内の値とすることが望ましい。
【0027】
前記粘着物質中に分散されている金属の種類は限定されないが、汎用として用いられるのは銀、金、銅、及びアルミニウム単独、カーボンあるいはそれらの少なくとも一種を含む合金からなるものが望ましい。
【0028】
前記粘着物質中に分散されている金属がアルミニウムである場合には、前記粘着物質中に粒子添加物を混入することが有効である。
アルミニウムの表面電子物性を担保するため添加物濃度は低いほうが望ましいが、粒子添加物による接触抵抗の低減効果がでる程度の濃度が必要である。故に粒子添加物はアルミニウムに対して20wt%以上50wt%以下が望ましい。
【0029】
前記アルミニウムペースト中に混入する粒子添加物は、アルミニウムと比較的仕事関数が近く、粒子表面の酸化物の影響を受けにくい亜鉛粒子とすることが望ましい。
導電パターン形成装置は、平らな載置面を有し、水平方向への移動自在性を有する試料設置台と、その設置面に対して移動自在に対向され配置された圧力印加用駆動体からなり、試料設置台と圧力印加用駆動体は、独立に任意の速度で移動させることができ、圧力印加用駆動体は、試料と接触する面を曲面又は球面とすることが望ましい。
【0030】
圧力印加用駆動体は、圧力印加部が、下面に金属球体を設けた金属平板からなる支持台を有することが望ましい。
金属球体は、試料との接点密度が高い方が処理後の平面の均一さが得られるが、圧力を集中させるためには接点が少ないほうが良い。故にその直径を0.1mmから5mmの範囲内の任意の値とすることが望ましい。
【0031】
圧力印加用駆動体は、前記試料設置台に対して、鉛直方向の圧力を印加すると同時に、水平方向に対して試料の移動速度とは異なる速度で駆動させることで、鉛直方向と水平方向の両方に圧力が加わるように動作させる。
圧力印加駆動体は、複数個の金属球体を金属平板の試料設置台側に接触させて1段とすることが望ましい。
金属球体は、金属平板のこの金属球体と反対側に設けた磁石により支持台に吸着保持する。
【0032】
圧力印加駆動体と試料との間にメッシュシートを配置し、メッシュシートを介して圧力を印加させることもできる。
メッシュシートは、その材質、目の細かさに関し特に制限は無いが、加圧効率の観点からステンレス製で目が細かい方が望ましい。
圧力印加駆動体を並列に複数設置し、連続的に複数回の圧力印加を行えるようにする。
圧力印加駆動体の数、直径、接触部の曲率半径に制限は無く、それぞれが同一材質でもよいし、又、異なる材質でもよい。また、それぞれの駆動体が異なる機能を持ってもよい。
【0033】
試料設置台と、圧力印加駆動体の加熱温度は、それぞれ独立に制御可能である。
圧力印加ヘッドの加熱には赤外線ランプを用いることもできる。
ヘッド上には、重石を載せて圧力の調整を行うようにしてもよい。また、試料に当接する微小球体間に通電することにより、パターンの抵抗をモニターすることができる。
当然ながら、試料を押圧するための微小球体を磁石で吸引保持することができる。
圧力印加用駆動体による圧力印加工程中において、パターンの抵抗率を計測する手段を設けることもできる。
圧力印加用駆動体とパターンとの間を局所的に通電加熱することもできる。
【実施例1】
【0034】
本発明の導電パターン作製装置は、図1に示すように圧力印加用駆動体10と試料設置台30からなる。図1は、図1(a)に圧力印加用駆動体の断面図(図1(c)のB−B断面図)、図1(b)に試料設置台の断面図(図1(c)のB−B断面図)、図1(c)に図1(a)のA−A線を中心軸で回転させた断面の上面図である。圧力印加用駆動体10は、金属平板1の上面に円柱形状のマグネット2を設け、その金属平板1の下面に矩形の枠3を設け、この矩形の枠3内の金属平板1の下面に複数の金属球体20を隙間無く1段だけ設ける構成をとる。金属球体20は金属平板1にマグネット2で吸着されている。本発明に用いる金属球体20の材質は、着磁性、強度を持ち合わせる必要があるため、鉄、炭素鋼、ステンレス(SUS410、SUS430)である。金属球体20の直径は0.1mm〜5.0mmであり、加圧時に一接点当たりにかかる圧力が0.1Mpa〜100Mpaに入るように調節する。試料設置台30は矩形の金属平板からなる。試料設置台30は温度調節可能になっている。
【0035】
圧力印加用駆動体10と試料設置台30で導電パターン作製装置を構成する。
試料の可撓性基板50は可撓性を持つ一般的なプラスチック基板、例えば、プラスチックフィルムからなる。
微粒子パターン40は、金属や半導体の粉体や微粒子を粘着物質の表面に吸着、固定化したもの、または、金属や半導体の粉体や微粒子を粘着物質中に分散したもので、可撓性基板上に塗設(塗布手段により設けられた)されている。
【0036】
装置駆動時、圧力印加用駆動体10を用いて、可撓性基板上に塗設された金属または半導体微粒子が分散された微粒子パターン40、もしくは、粘着物質上に吸着、固定化された金属または半導体微粒子により形成された微粒子パターン40に対し、加熱しながら、基板面に垂直に金属球体20を加圧しながら圧力印加用駆動体10を微粒子パターン40平面内で基板面に沿って任意方向に走査させて摺り応力を加えて微粒子パターン40全面を効率よく押圧することにより高伝導性・高電気特性を持つ導電パターンの作製を行う。
【0037】
この処理工程を経ることにより、微粒子パターン40は初期状態の図2(a)の状態から、処理後の図2(b)の状態になる。
この微粒子パターンは、金属や半導体の粉体や微粒子70を粘着物質の樹脂バインダー60中に分散したものである。図2(a)は、樹脂バインダー60中に金属粉体が散在した初期状態を示す。図2(b)は、圧力印加用駆動体10で微粒子パターンを押圧した結果を示す。図2(b)は、金属粉体が表面上に揃って隙間が無く配置された状態を示す。好ましくは、金属粉体42が表面上に1段だけ揃って隙間が無く配置された状態にする。
【0038】
本発明に用いる樹脂バインダーの条件は、印刷、ディスペンシング法、インクジェット法によりパターン形成できる粘弾性を持っていることであり、前記粘着物質と同じ特性を有すること。たフィルム基板が設置される表面が平板の試料設置台が、抵抗型温度計にて温度計測され、その検知された温度が任意の設定された温度に制御される。これにより、導電性ペースト中のバインダーの蒸発を制御する。
【0039】
また、導電パターン形成装置において、圧力印加用駆動体とパターン(例えば、パターンに形成された導電性ペースト)との間に通電し、圧力印加工程中においてパターンの抵抗率を計測する。これにより、パターンのできあがり抵抗値を所望の値に制御する。
また、導電パターン形成装置において、圧力印加用駆動体とパターン(例えば、パターンに形成された導電性ペースト)との間を局所的に通電加熱する。これにより、導電性ペースト中のバインダーの蒸発を制御する。
【0040】
スクリーン印刷機にスクリーンマスクを装着し、アンテナ用基板90(ポリアリレート系液晶ポリマー基板)上に、図3に示すようなスクリーン印刷用銀インク80のアンテナ配線パターン81を形成し、それらを試料設置台30上に約100℃で1時間放置し、スクリーン印刷用銀インク80内に含まれる有機溶剤成分を蒸発させた。その後、それらのアンテナ配線パターン81を圧力印加用駆動体10と試料設置台30により挟み込む。その状態で、圧力印加用駆動体10を基板面に沿って平行に動かして、金属球体20をアンテナ配線パターン81全面に押圧状態で順次摺動接触し、アンテナ配線パターン81が均一に押圧されるように圧力印加用駆動体10を試料設置台30平面と平行な面に沿って前後左右掃引させる。加圧前後のアンテナ配線パターン81表面の走査型電子顕微鏡写真を図4に、また、アンテナ配線パターン81の断面図を図2に示す。図5は本発明のパターンにおいて触針法により100μmの表面形状の掃引計測で求めた算術平均粗さRaを示す。縦軸は膜厚方向の凹凸/μmを示し、横軸は観測針の掃引距離/μmを示す。特性曲線Ra=0.99μmは、処理前の特性を表し、膜厚の距離変化が変動している。これに対し、特性Ra=0.16μmは、処理後の特性を表し、膜厚の距離変化がほぼ一定に改善されている。
【0041】
加圧前の図4(a)の画像ではアンテナ配線パターンは多孔質状になっており密度が低い状態であることが観察される。加圧後の図4(b)の画像では空孔がほぼ消滅し、金属微粒子が高密度状態になっている。このアンテナ配線パターンについてインピーダンスの周波数特性の測定を行った。測定系にはアジレント社製精密インピーダンスアナライザ(4294A)を用いた。図6に加圧前後のアンテナ配線パターンについてのインピーダンス特性を示す。log表示の周波数10(Hz)における加圧前のインピーダンスが850.7Ωであったのに対し、加圧後のインピーダンスは8.4Ωとなり加圧がインピーダンス減少に効果があることを示している。次にアンテナとしての特性を評価するためにQ値を算出した。
【0042】
Q値の定義を
【数1】

:アンテナの共振周波数、f:半値の低周波数側の値、f:半値の高周波数側の値として、図7に示すような共振周波数付近のインピーダンス特性から、加圧後のアンテナについて実測したインピーダンスの周波数特性から算出したQ値が6.9となり、金属アルミをエッチングして作製した市販のRF−IDアンテナのQ値5.6を上回った。加圧前のアンテナに関してはインピーダンスの周波数特性に共振を示すピークが観察されずQ値を算出することはできなかった。加圧により高品質な印刷アンテナを作製できることが示された。
本実施例1のアンテナ用基板90として、ポリイミド系基板、ポリエチレンテレフタレート系基板を用いても同様の結果を得た。
【実施例2】
【0043】
図8に示すように電界効果トランジスタ用基板100(ポリアリレート系液晶ポリマー基板)上に、スクリーン印刷機にスクリーンマスクを装着し、ポリビニルアルコール(PVA)20wt%水溶液のペーストを塗設することによりPVA接着層110を形成する。PVA接着層110内の水分が残留し粘着性を保っている間に、200メッシュ以下の粒径を持つ酸化亜鉛半導体粉末ZnOをPVA接着層110上に吸着させた後、それらを試料設置台30上に約100℃で1時間放置し、PVA接着層110内に残留する水分を蒸発させZnO粉末を固定しZnO層120を形成させる。その後、基板100からZnO層120までを圧力印加用駆動体10と試料設置台30により挟み込む。そのとき、圧力印加用駆動体10の金属球体20がZnO層120全面に順次接して均一に押圧されるように圧力印加用駆動体10を試料設置台30平面と水平に前後左右掃引させる。このZnO層120にドレイン‐ソース電極140をAgペーストを用いて塗設する。
【0044】
この場合、チャネル幅は5000μm、チャネル長は1000μmである。この上にPVA10wt%水溶液からゲート絶縁膜130を塗設し、最後にゲート電極150をAgペーストを用いて塗設し、塗布型電界効果トランジスタを作製した。ゲート電圧源としてKeithley社製2400ソースメータ、ドレイン‐ソース電圧源及び電流計としてKeithley社製6430フェムトアンペアメータを連動させた測定系を真空プローバーに接続してトランジスタ特性を測定した。図9に示すようにドレイン電流のゲート電圧変調が観察され、図10に示す伝達特性より典型的なN型電界効果トランジスタとして機能することが示された。加圧前のZnO層120を用いて同様に電界効果トランジスタを作製すると全く動作しないため、加圧による高密度化によりZnO層120がN型半導体として機能するようになることが示された。
【0045】
本実施例2における電界効果トランジスタ用基板100として、ポリイミド系基板、ポリエチレンテレフタレート系基板を用いても同様の結果を得た。本実施例2において用いたZnO層120の代わりに、In,NiO,SnO等の半導体層を用いても同様のトランジスタ特性を得ることができた。これらの半導体膜に対して振動容量型仕事関数測定器(理研計器株式会社 FAC−1)を用いて仕事関数を測定したところ、In、NiO、SnOの順に4.2eV、4.7eV、4.9eVとなった。また、粉末の状態でこれらの半導体を混合してから半導体膜を作製することにより仕事関数を調節できることが示された。
【実施例3】
【0046】
スクリーン印刷機にスクリーン印刷用銀ペーストを用いてPET基板上に線幅1mm、膜厚約12μm、全長100mmの印刷銀配線を作製した。膜厚測定はマイクロメータ(株式会社ミツトヨ製 MDC−25MJ)を用いた。この銀配線に対して赤外線加熱機構を設けたローラ型プレス機を用いてにて加熱加圧処理を行ったところ膜厚は約6μmまで減少し、表面に金属光沢が観察された。このとき、ローラは赤外線により加熱され80℃まで温度が上昇していたが、試料台は常温に保たれていた。圧力測定シート(富士写真フィルム株式会社製 プレスケール(登録商標)中圧用及び高圧用)を用いて加圧時の圧力分布を測定したところ10MPaから100MPaの範囲以内であった。加熱加圧処理による膜厚以外の配線寸法の変化は1%以内であった。加熱加圧処理前後のPET基板の寸法変化も1%以内であった。
【0047】
デジタルマルチメータ(三和電気計器株式会社製 PC500)を用いて電気抵抗を測定し、配線の寸法から抵抗率を求めたところ6.0×10−6Ω・cmを得た。得られた金属配線の断面から図11で楕円体の長軸が基板平面に水平な軸に対して作る角として定義される配向角の分布を求めたところ図12のような結果になり、処理(配向加圧処理)前はほぼ等方的分布を示す平均配向角約35度、幅約23度の分布になっているのに対して、本発明の処理(配向加圧処理)後においては平均配向角約12度、幅約10度の分布になり、長軸が膜面と平行方向に大きく配向した構造となっている。このことより加圧配向効果が十分に得られていることが確認された。
また、基板上に形成させた導体パターンの断面図となる図13において、処理(配向加圧処理)前と処理(配向加圧処理)後における導体パターン中の微粒子の密度を評価したところ、基板との界面近傍におけるペースト中の微粒子の密度は、基板と対向する界面近傍におけるペースト中の微粒子の密度の約1/2となり、基板界面近傍の方がバインダー成分が多くなっていることが示された。
図13は、上段が処理(配向加圧処理)前の基板と導電パターンの断面図、下段が処理(配向加圧処理)後の基板と導電パターンの断面図である。
なお、上記評価は、図13の断面写真をもとに面積分割法から求めたフィラー充填率として評価した。
【実施例4】
【0048】
実施例3と同様に作製した印刷配線に対してブレード型コータにブレードを取り付け、ブレードと基板の間隔を印刷配線の膜厚より小さい値である8μmに設定し、印刷配線上でブレードを走査し80℃にて加熱加圧処理を行った。この際、PET基板はブレードコータの試料台に固定しておいた。加熱加圧処理の結果、膜厚は約8μmまで減少し、表面に金属光沢が観察された。デジタルマルチメータをもちいて電気抵抗を測定した結果、抵抗率は1.5×10−5Ω・cmを得た。
【実施例5】
【0049】
有機溶剤可溶型非晶性ポリエステル樹脂をメチルエチルケトンとトルエンの1:1混合溶媒に重量濃度30wt%となるように溶解させバインダー樹脂として用いここに表面洗浄した長軸と短軸の長さに差を有するアルミニウム粉を30wt%混合してアルミペーストとした。このアルミニウムペースト中に球体状の亜鉛微粒子をバインダー樹脂に対して重量濃度10wt%となるように分散させた。
【0050】
このアルミニウムペーストを厚さ50μmのPET基板にブレードコート法で塗布し、100℃30分間加熱させ溶媒成分を揮発させることにより約100μm厚1cm角のアルミニウムパッチを作製した。デジタルマルチメータ(三和電気計器株式会社製 PC500)を用いて電気抵抗を測定したところシート抵抗約1MΩ/□であった。このアルミニウムパッチに対してローラ型プレス機を用いて加圧配向を行い電気抵抗測定を行ったところシート抵抗約20Ω/□が得られた。振動容量型仕事関数測定器(理研計器株式会社FAC−1)によりパッチ表面の仕事関数を測定したところ4.5eVを得た。
【実施例6】
【0051】
上記と同様に作製した長軸と短軸の長さに差を有するアルミニウム粉を非晶質ポリエステルバインダー樹脂に対して30wt%となるように分散させアルミニウムペーストを作製した。このアルミニウムペーストを厚さ50μmのPET基板にブレードコート法で塗布し、100℃30分間加熱させ溶媒成分を揮発させることにより約100μm厚の1cm角のアルミニウムパッチを作製した。デジタルマルチメータ(三和電気計器株式会社製 PC500)を用いて電気抵抗を測定したところ測定不可(40MΩ以上)であった。このアルミニウムパッチに対してローラ型プレス機のローラ部分にステンレスメッシュ(635メッシュ)を挟み込み加圧配向を行い、電気抵抗測定を行ったところシート抵抗約1Ω/□が得られた。振動容量型仕事関数測定器(理研計器株式会社FAC−1)によりパッチ表面の仕事関数を測定したところ4.4eVを得た。ステンレスメッシュを200メッシュのものにしても同様の効果を得た。
【実施例7】
【0052】
スクリーン印刷用絶縁ペースト(ナミックス株式会社製)を用いて、スクリーン印刷機により1cm角の粘着性パッチを作製した。このパッチを乾燥させずに粘着性を保持したまま密閉容器内に投入し、銀粒子(Aldrich社製 nanopowder 純度99.5% 平均粒径100nm以下)または金粒子(Aldrich社製 nanopowder 純度99.9% 平均粒径50−130nm)を粘着パッチ上に吸着させた。パッチ以外に吸着した粒子はブロアーによって取り去った。この後、金属微粒子が吸着したパッチを150℃30分加熱することにより硬化させ金属微粒子を固定化させた。この状態の外観は、金粒子を吸着させたパッチは茶色、銀粒子を吸着させたパッチは灰色で金属光沢は観察されなかった。また、デジタルマルチメータによりパッチのシート抵抗を測定したところ、測定不可(40MΩ/□以上)であった。これらの金属微粒子が吸着したパッチに対しローラ型プレス機により加圧処理を行った。パッチは金色と銀色の金属光沢を示すようになり、シート抵抗は金、銀のパッチ両者で0.01Ω/□以下(測定下限)となった。金属薄膜部分のみの膜厚を測定することは不可能であった。振動容量型仕事関数測定器(理研計器株式会社FAC−1)によりパッチ表面の仕事関数を測定したところ、金のパッチが4.8eV、銀のパッチが4.6eVとなりバルク状態と近い値を得た。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の導電性パターン作製装置の概略図である。
【図2】本発明の微粒子パターンの概略図である。
【図3】13.56MHz、RF−ID用アンテナの配線図である。
【図4】加圧前後のアンテナ配線パターン表面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明のパターンの算術平均粗さRaを示す。
【図6】加圧前後のアンテナ配線パターンのインピーダンスの周波数特性である。
【図7】加圧前後のアンテナ配線パターンの共振周波数付近の特性図である。
【図8】本装置により作製した酸化亜鉛(ZnO)を用いた塗布型電界効果トランジスタ(FET)の断面図である。
【図9】ゲート電圧を±100Vにしたときの本装置で製造した塗布型FETの出力特性である。
【図10】ドレイン電圧を100Vにしたときの本装置で製造した塗布型FETの伝達特性である。
【図11】本発明の配向度を説明する図である。
【図12】本発明の配向度特性を示す図である。
【図13】本発明の導電性ペースト断面の光学顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0054】
10 圧力印加用駆動体
20 金属球体
30 試料設置台
40 微粒子パターン
50 可撓性基板
60 樹脂バインダー
70 金属・半導体微粒子
80 スクリーン印刷用銀インク
81 アンテナ配線パターン
90 アンテナ用基板
100 電界効果トランジスタ用基板
110 PVA接着層
120 ZnO
130 ゲート絶縁膜
140 レイン‐ソース電極
150 ゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するフィルム基板上に、導電性微粒子が粘着物質に分散して充填されたものを加熱しながら加圧して形成したパターンを設けたことを特徴とする導電パターン形成フィルム。
【請求項2】
前記導電性微粒子を金属又は半導体の微粒子としたことを特徴とする請求項1記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項3】
前記導電性微粒子の粒子径を10nmから10μmの範囲内の任意の値としたことを特徴とする請求項1又は2項記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項4】
前記導電性微粒子を集合又は凝集して粉体としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項5】
前記粉体の形状は、等方的ではなく、長軸と短軸とに差を有するものであって、その長軸が基板面に平行に配向して、隣接する粉体と接触していることを特徴とする請求項4記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項6】
前記導電性微粒子又は前記粉体を構成する導電性微粒子を、銀、金、銅及びアルミニウムの内の任意種類を含むようにしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項7】
前記導電性微粒子又は前記粉体を形成する導電性微粒子を構成する金属の微粒子を、粒子添加物が混入しているアルミニウムとしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項8】
前記粒子添加物を、亜鉛粒子としたことを特徴とする請求項7記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項9】
前記導電性微粒子又は前記粉体を形成する導電性微粒子を構成する半導体の微粒子を、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ及び酸化ニッケル又はそれらを含む化合物の内の任意種類としたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項10】
前記粘着物質は、粘着物質を含む導電性ペーストとしたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項11】
前記粘着物質の前記基板面と垂直方向の密度変化は、前記基板と接触する面近傍の方が、前記基板と接触する面と反対側の面近傍よりも高くなる傾斜構造を有するようにすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項12】
前記フィルム基板が、前記粘着物質に含まれる溶剤に対して耐性を持ち、それらの溶剤の沸点以上のガラス転移点を持ち、粘着物質と密着性が良く、電気絶縁性を持ち且つ低誘電率であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項13】
前記基板を、PETフィルムとしてことを特徴とする請求項12記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項14】
前記パターンの表面平滑性を、粗さ曲線を断面の光学顕微鏡像の算出幅100μmから求めたとき、算術粗さ(Ra)で、0.2μm以下としたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項記載の導電パターン形成フィルム。
【請求項15】
平らな載置面を有し、水平方向に移動自在に構成されている試料設置台と、
前記載置面に対し任意の速度で移動自在に対向配置された圧力印加用駆動体からなり、
前記圧力印加用駆動体は、前記載置面と対抗し且つ試料と接触する面を、曲面又は球面としたことを特徴とする導電パターン形成装置。
【請求項16】
前記圧力印加用駆動体を、下面に金属球体を設けた金属平板から構成したことを特徴とする請求項15記載の導電パターン形成装置。
【請求項17】
前記金属球体は、その直径が0.1mmから5mmの範囲内の任意の値をとることを特徴とする請求項16記載の導電パターン形成装置。
【請求項18】
前記圧力印加用駆動体は、前記試料設置台に対して、鉛直方向に移動されて圧力を印加すると供に、水平方向に試料の移動速度とは異なる速度で駆動され、前記鉛直方向と前記水平方向の両方に圧力を加えるように構成されていることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか1項記載の導電パターン形成装置。
【請求項19】
前記圧力印加駆動体は、前記金属球体を複数個前記金属平板の前記試料設置台側に1段設けたことを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1項記載の導電パターン形成装置。
【請求項20】
前記金属平板に、該金属平板を介して前記金属球体を吸着保持する磁石を設けたことを特徴とする請求項16乃至19のいずれか1項記載の導電パターン形成装置。
【請求項21】
前記圧力印加駆動体と試料との間にメッシュシートを配置し、メッシュシートを介して圧力を印加させることを特徴とする請求項16乃至20のいずれか1項記載の導電パターン形成装置。導電パターン形成装置。
【請求項22】
前記圧力印加駆動体が、前記試料設置台の平らな載置面と平行に且つ互いに並列に複数個設けられ、前記載置面上の試料に対し前記並列に設けた複数個により連続的に複数回の圧力印加を行なえるようにしたことを特徴とする請求項16乃至21のいずれか1項記載の導電パターン形成装置。
【請求項23】
前記試料設置台に設けた制御装置は、前記試料設置台と前記圧力印加駆動体に設けた加熱手段によりそれぞれの加熱温度をそれぞれ独立に制御できるようにしたことを特徴とする請求項16乃至22のいずれか1項記載の導電パターン形成装置。
【請求項24】
前記加熱手段を赤外線ランプとしたことを特徴とする請求項23記載の導電パターン形成装置。
【請求項25】
前記パターンの抵抗率を計測する手段を設けたことを特徴とする請求項16乃至24のいずれか1項記載の導電パターン形成装置。
【請求項26】
前記圧力印加用駆動体と前記パターンとの間を局所的に通電加熱することを特徴とする請求項16乃至25のいずれか1項記載の導電パターン形成装置。
【請求項27】
可撓性を有するフィルム基板上に、金属や半導体の微粒子が粘着物質中に分散されたものの塗布により形成されたパターンの抵抗率を低下させる装置であって、パターン塗設されたフィルム基板をパターン塗設面を上に向けて設置する表面が平滑な試料設置台と、その上方に配置され、試料設置台に平行に面している面が突起状を有する圧力印加用駆動体から構成され、圧力印加用駆動体を、加熱状態の試料設置台の平面上に設置したフィルムに対して、フィルム面と鉛直方向から接触加圧すると供に、圧力印加用駆動体をフィルム面と平行な任意の方向に走査させることにより発生する摺り応力を加えることでフィルム上に形成した塗設パターンの導電率を向上させることを特徴とする請求項17記載の導電パターン形成装置。
【請求項28】
前記加熱の温度を、導電性ペーストまたは粘着物質に含まれる溶剤の沸点以上、プラスチック基板のガラス転移点以下としたことを特徴とする請求項27記載の導電パターン形成装置。
【請求項29】
前記加圧の圧力を、金属球とパターンとの一つの接点にかかる圧力が0.1MPaから100MPaの内の任意の値としたことを特徴とする請求項27又は28記載の導電パターン形成装置。
【請求項30】
前記制御装置は、前記加熱の温度および前記加圧の圧力を、加熱、加圧前後のパターン変形率が平面方向で±1%以内、膜厚方向で±10%以内となるように制御することを特徴とする請求項26乃至29のいずれか1項記載の導電パターン形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−124446(P2008−124446A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268168(P2007−268168)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】