説明

小さなパッケージ空間を占める安定性向上特徴部を有するダイキャストスリーブ

好ましい実施形態では、上方及び下方のフィードバック室を有する弁スリーブを有する本発明のソレノイド制御弁が提供され、フィードバック室は、外面の長手方向の1つ又は複数のスロットによって制御圧力に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイド弁、特に自動変速機、特にデュアルクラッチ型変速機のクラッチの制御に有効なソレノイド弁に関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機は、当初、操作者の入力なしに自動的に伝動比のシフトを実施するために、流体ロジック及びトルクコンバータを使用した。シフトに利用される様々なクラッチの制御に対する燃料効率を改善するために、流体ロジックに依存するよりもむしろ電子制御器を使用するように、ソレノイド弁と組み合わせた自動変速機のギヤが改変されてきた。多くの用途では、利用するソレノイド弁は比例型弁である。しばしば、ソレノイド弁は、非常に短い間隔で開閉しなければならない。これにより、動作中に弁が頻繁に不安定になることがある。同様に、このようなソレノイド弁を非常にコンパクトなパッケージに設けることが望ましい。比例操作されるソレノイド弁、また非常に安定した動作を有し、同様に小さなパッケージに設けることができるソレノイド弁を提供することが、著しく望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記及び他の要求を明らかにするために、本発明の構想が提案される。好ましい実施形態では、本発明は、供給圧力から制御圧力までのメータアウト流量と、制御圧力からのメータアウト流量及び制御圧力から排気部までのメータアウト流量とを有するソレノイド制御弁を提供する。上方及び下方のフィードバック室を有する弁スリーブが提供される。フィードバック室は、外面の長手方向の1つ又は複数のスロットによって制御圧力と接続される。
【0004】
本発明のさらなる適用範囲は、以下に提供する詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、説明目的のみのために意図されるに過ぎず、本発明の範囲を限定するようには意図されないことを理解すべきである。
【0005】
本発明は、詳細な説明及び添付図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】弁ハウジング内に挿入された弁スリーブの間の流体接続を示した本発明の制御弁の部分の切欠き断面図である。
【図1B】通常は高い構造の本発明による好ましい実施形態の制御弁の断面図である。
【図2】通常は低い(閉鎖した)構造の本発明の好ましい実施形態の制御弁の断面図である。
【図3】本発明の好ましい代替実施形態の制御弁の部分断面図である。
【図4】本発明の好ましい代替実施形態の制御弁の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1Aと図1Bを参照すると、本発明の制御弁7の通常は高い変形例が示されている。制御弁7は、ソレノイド部分10を有する。制御弁7はまた、液圧部分12を有する。液圧部分12は、弁スリーブ14を有する。弁スリーブ14は、いくつかの適切な金属又はポリマー材料から製作することができるが、大抵の場合、ダイキャストしかつ機械加工したアルミニウムから製作することが典型的に好ましい。弁スリーブ14は、中央スプール孔16を有する。スプール孔16は、ステム孔20の軸線と共通に終端する中心軸線18を有する。弁ステム14は、スプール孔16を横切る一連の半径方向通路を有する。通路22は、弁スプール14を取り囲む弁ハウジング15(図1A)の制御圧力通路17と接続される。制御圧力(Pc)は、典型的に、自動変速機のクラッチ(図示せず)の制御圧力である。半径方向入口通路24は、ハウジング通路23を介して、スプール孔14と、油圧ポンプ25によって典型的に設けられた圧力供給源とを接続する。通路26と22は、半径方向通路24によって並置される。半径方向通路26は、ハウジング通路27を介して制御圧力と接続される。半径方向通路26は、典型的に、制御圧力用の入口として作用する。半径方向通路22は、典型的に、制御圧力用の出口として作用する。半径方向出口通路28は、ハウジング通路29を介して、典型的に、液圧排気部又は溜め13とスプール孔16とを接続するために利用される。制御及び排気圧力通路22と28に隣接して、孔16が2つの環状拡大部30と32を有する。
【0008】
弁スリーブ14は、その最端部において、環状拡大部36内に嵌合するキャップ34によって塞がれる軸方向開口部を有する。環状拡大部36は、環状拡大部38と接続される。環状拡大部36、38は、キャップ34と共に下方フィードバック室40を形成する。環状拡大部38は、半径方向オリフィス42によって半径方向に交差される。フィードバック室40の体積に対するオリフィス42の面積の比率は、フィードバック室40が弁スプール60の移動に対し減衰機能を提供する程度に十分小さい。
【0009】
スプール孔16の上端に向かって、弁スリーブは環状拡大部44を有する。環状拡大部44は、上方フィードバック室を形成する。上方フィードバック室46は、半径方向オリフィス48を有する。オリフィス48は、典型的に、オリフィス42よりも大きい。半径方向オリフィス48は、弁スリーブ14の外側半径方向面に沿って延在する長手方向スロット50と流体接続される。長手方向スロット50は、その外側半径方向縁部52に沿ってハウジング15に接触する。長手方向スロット50は、下方フィードバック室40と上方フィードバック室46とを流体接続する。長手方向スロット50はまた、半径方向オリフィス54によって弁スプール孔16と流体接続される。
【0010】
弁スプール孔16内に、弁スプール60が摺動可能に取り付けられる。弁スプール60は、下方着地部62、中央着地部64及び上方着地部66を有する。縮径部分又はシャンク68により、着地部62と64が分離される。さらに半径方向オリフィス54に露出されるシャンク70により、着地部66と64が分離される。スプール60の頂部に、ステム72がある。スプール60はまた、一連の環状バランス溝73を有する。図示した構造のスプール60は、制御圧力への圧力供給用のメータアウト構造と、排気部への圧力制御用のメータアウト構造とを有する。図1に示した位置からの弁スプール60の下向きの移動により、スプールシャンク68に隣接する流体は、供給圧力から制御圧力にメータアウトされ、その後、制御圧力出口通路22から出される。弁スリーブ14の頂部は環状ヨーク76内に広がる。環状ヨーク76は、半径方向側面孔78によって交差される。ソレノイド部分10は、カン又はハウジング80を有する。ハウジング80は、中央頂部開口部82を有する。ハウジング80は、弁スリーブのヨーク76に対し圧着され、また電気コネクタ86内の接続を可能にするための側面開口部84を有する。ハウジング80内に、環状ボビン88が位置決めされる。ボビン88はコイル束90を支持する。ボビン88の内側に、フラックス管92がある。フラックス管92は、その上方部分に沿って、その外側半径方向面の上に長手方向環状溝94を有する。締まり嵌めによって溝94の上に、整列管96が支持される。整列管96は、真鍮又はステンレス鋼のような非磁性材料から典型的に製作される。整列管により、締り嵌めされた極片98が位置決めされる。極片98は、整列管96を受け入れるための環状溝を有する。極片98は、キャップ102によって閉鎖された最端部を有する中央の多次元孔100を有する。キャップ102は、付勢ばね104用のリテーナとして作用する。付勢ばね104は、アーマチャ120を弁ステム72に対し付勢する。フラックス管92の下に、強磁性フラックス座金106が位置決めされる。ハウジング周辺部分108が弁スリーブのヨーク76に圧着されると、ヨーク76は、フラックス座金106、フラックス管92、整列管96、極片98及びハウジングの頂部カバー部分112と共に圧縮されている。コイル90に電圧が印加されると、フラックスループは、極片98、フラックス管92、及びフラックス座金106とハウジング80を含む。
【0011】
整列管96により、フラックス管92が極片98に対し正確に配置される。フラックス管92内に、アーマチャ120が摺動可能に取り付けられる。アーマチャ120の外径は、約50ミクロンの厚さのニッケルリン又はクロムのような硬質、低摩擦、非磁性又は半磁性材料でめっきされるか又は被覆される。めっき又は被覆は、後に、硬質、低摩擦軸受面を提供しかつ非磁性(又は半磁性)の「空隙」を維持する2つの目的に役立つ。めっき又は被覆されたアーマチャの外径は、フラックス管92の内径で直接摺動する。アーマチャ120のODとフラックス管92のIDとの間のクリアランスが最小にされ、したがって、管構成要素の相対的な偏心度を最小にする。相対的な偏心度を最小にすることによって、磁気的な摺動荷電も最小にされ、次に摩擦及びヒステリシスが最小にされる。同時に、ソレノイド効率が最大にされるように、磁気復帰ギャップも非常に小さな距離(約50ミクロンの層厚に等しい)に保持される。非磁性座金105により、アーマチャ120と極片98との「ロック」が防止される。
【0012】
ダイヤフラム130は、自動変速機の流体に典型的に確認される汚染されたオイルが、ソレノイド部分10に移送されることを防止するために、弁スリーブ14のヨーク76とソレノイド部分10との間に配置される。典型的に、ダイヤフラム130は、ソレノイド弁7のソレノイド部分の体積変位が弁スプール60の位置に関わらず最小にされるように成形される。
【0013】
前に言及したように、ソレノイド弁7は、通常高いように付勢される。したがって、大抵の状態では、ばね104は、弁スプールの環状溝68を取り囲むオイルが供給入口通路24から制御圧力出口22にメータアウトされるように、弁スプール60を位置決めするように、アーマチャ120を位置決めする。通常の位置で、オリフィス54を出る流体は、フィードバック室40を加圧するように、スロット50、次にオリフィス42を通して移動する。フィードバック室40は、ステム20の直径のため上方フィードバック室46内で作用を受ける表面よりも大きな表面132に沿って弁スプールの断面の表面積全体に対し作用する。したがって、上向きの付勢力がスプール60に作用し、これによって、スプール60とアーマチャ120との接触が維持される。一実施形態(図示せず)では、弁スプール60を押圧する室40内に位置決めされたばねによって、付勢力を補完することができる。弁の位置を反転するために、ソレノイドコイル90に電圧が印加され、極片98に引き付けられるばね104の付勢力に対抗してアーマチャ120の引き付けを引き起こし、これによって、制御圧力入口26からの流体が排気部と接続されるとき、縮径部分70の周りの流体が排気部28にメータアウトさせられる。流体が排気部に流れるとき、過渡的な流量要因が閉鎖方向に弁スプール60に対し作用し、したがって、安定効果を有する。
【0014】
互いに反対に作用する2つのフィードバック室40と46を使用することによって、フィードバック室40と46にポンプ供給されまたポンプ排出される合計オイル体積が最大にされる。より大きなフィードバック室46は、スプール弁60の安定性及び冷間応答の減衰をバランスさせるように寸法決めされたオリフィス42を有する。オリフィス42のサイズは、所定のクラッチ又は変速機用途のために調整することができる。
【0015】
図2を参照すると、本発明による通常低い弁107が示されている。弁107は、前述の弁スリーブ14に本質的に非常に類似しているか又は同一である弁スリーブを有する。弁107は、弁スプール60と関連して前述した弁に本質的に類似しているか又は同一の着地部66、64と62を有する弁160を有する。弁スプール160は、さらに、付勢ばね165用のリテーナを提供する弁スプールの下端に沿った窪部162を有する。さらに、弁スプール160は、幾分より長いステム172を有するという点で、弁スプール60とは異なる。フラックス管192及び極片198の位置は、制御弁7と比較して本質的に反転される。ソレノイド107のコイル90の作動により、アーマチャ220は下方に引っ張られるようにされ、制御圧力入口26と排気部28との接続が切断され、供給圧力24の通路と制御圧力通路22との接続が行われる。一実施形態(図示せず)では、ばね226を省略することができる。
【0016】
図3は、本発明の好ましい代替実施形態307の部分図である。実施形態307は、通常開又は通常閉の構造で利用されることができる。弁スリーブ314内に、前述した弁スプール60に本質的に類似しているか又は同一の弁スプール360が摺動可能に取り付けられる。弁スプールの長手方向スロット353は、制御出口26と上方室46とを流体接続する。長手方向スロット351は、オリフィス342を通して、下方フィードバック室340と制御通路出口22とを流体接続する。キャップ334は、下方フィードバック室340を閉鎖する。
【0017】
図4を参照すると、本発明の実施形態407が示されている。制御弁407は、スロット457を有するスリーブ414を有し、スロットは、オリフィス454を介して上方室46と弁スリーブ414の内部とを流体接続する。この構成により、図1Bに示した長手方向スロット52と同様に、より隣接した排気出口28を迂回しつつ、上方フィードバック室46は制御圧力と流体接続することができる。
【0018】
本発明の説明は、本質的に例示的なものに過ぎず、したがって、本発明の主旨から逸脱しない別形態は本発明の範囲内に含まれるように意図される。このような別形態は、本発明の精神と範囲からの逸脱とは見なされない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御弁であって、
ソレノイドと、
前記ソレノイドによって移動される弁スプールと、
供給圧力入口と、少なくとも1つの制御圧力出口/入口と、排気出口とを有する前記弁スプールを取り囲む弁スリーブであって、前記弁スリーブの少なくとも1つの外面の長手方向スロットによって制御圧力と接続された前記弁スプール用の上方及び下方のフィードバック室を提供する弁スリーブと、
を備える制御弁。
【請求項2】
前記排気出口が、前記制御圧力出口/入口よりも前記上方フィードバック室により近くに隣接し、長手方向スロットが、前記排気出口を迂回する前記スリーブの内部と交差するオリフィスを介して前記第1のフィードバック室と前記制御圧力とを流体接続する、請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
前記上方及び下方のフィードバック室と交差する単一の長手方向スロットを有する、請求項1に記載の制御弁。
【請求項4】
前記弁スプールが、前記供給圧力入口から前記制御圧力出口にメータアウトされる、請求項1に記載の制御弁。
【請求項5】
前記スプール弁が、前記制御圧力入口から前記排気出口にメータアウトされる、請求項1に記載の制御弁。
【請求項6】
前記スプール弁が、前記供給圧力から制御圧力出口にメータアウトされる、請求項5に記載の制御弁。
【請求項7】
前記弁スリーブがダイキャストされる、請求項1に記載の制御弁。
【請求項8】
前記スリーブが、供給入口によって並置された制御入口及び1つの制御出口を有する、請求項1に記載の制御弁。
【請求項9】
前記長手方向スロットが、オリフィス開口部によって前記上方フィードバック室と接続される、請求項1に記載の制御弁。
【請求項10】
前記長手方向スロットが、オリフィス開口部によって前記下方フィードバック室と接続される、請求項1に記載の制御弁。
【請求項11】
前記長手方向のスロットが、スプール着地部を分離するシャンクに面する前記スリーブの部分とオリフィスによって接続され、前記弁スプールが排気部に向かってメータアウトされ、前記スロットとの前記オリフィス接続が前記制御圧力と前記排気部との間にある、請求項2に記載の制御弁。
【請求項12】
前記長手方向スロットが、前記上方及び下方のフィードバック室とオリフィスによって接続され、前記上方フィードバック室の間の前記オリフィスが、前記下方フィードバック室を有する前記オリフィスよりも大きく寸法決めされる、請求項2に記載の制御弁。
【請求項13】
前記弁が、前記供給圧力と前記制御圧力との間の通常開の位置に付勢される、請求項1に記載の制御弁。
【請求項14】
前記弁スプールが、前記制御圧力から通常閉の供給圧力の位置に付勢される、請求項1に記載の制御弁。
【請求項15】
前記ソレノイド弁が、ニッケルリン及びクロムの群から選択された被覆を有するアーマチャを有する、請求項1に記載のソレノイド弁。
【請求項16】
オリフィスサイズに対するフィードバック室体積の比率により、前記下方フィードバック室が減衰機能を提供できる、請求項1に記載のソレノイド弁。
【請求項17】
制御弁であって、
ソレノイドと、
複数の着地部と少なくとも2つの縮径部分とを有する前記ソレノイドによって移動される弁スプールと、
少なくとも1つの制御圧力入口および1つの制御圧力出口によって並置された供給圧力入口と、を有する前記弁スプールを取り囲む弁スリーブであって、前記弁スリーブが排気出口を有し、前記弁スリーブが、前記弁スリーブの外面の長手方向スロットによって接続された前記弁スプール用の上方及び下方のフィードバック室を提供し、前記弁スリーブの長手方向がそれぞれのオリフィスによって前記上方及び下方のフィードバック室と接続され、前記弁スプールが、前記制御圧力入口から前記排気部に、また供給圧力入口から前記制御圧力出口に流量をメータアウトする弁スリーブと、
を備える制御弁。
【請求項18】
前記制御弁が通常高い、請求項17に記載の制御弁。
【請求項19】
前記制御弁が通常低い、請求項17に記載の制御弁。
【請求項20】
前記弁スリーブが、ダイキャストされた材料から製作される、請求項17に記載の制御弁。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−522201(P2012−522201A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503436(P2012−503436)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/021924
【国際公開番号】WO2010/117477
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(500124378)ボーグワーナー インコーポレーテッド (302)
【Fターム(参考)】