説明

差動出力バッファ

【課題】送信状態とスタンバイ状態との間の遷移時間の増大を抑制しつつ、電流の変動を低減する。
【解決手段】メインドライバ1は、差動信号PREP、PRENのレベル変換を行い、バイパス回路2は、メインドライバ1の動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に高電源電位VDDから低電源電位VSSに流れる電流I5の変化量が一定の範囲内に収まるようにメインドライバ1に流れる電流I5をバイパスさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は差動出力バッファに関する。
【背景技術】
【0002】
差動信号の送信時のクロストークやSSO(Simultaneous Switching Output)ノイズを抑制するために、差動出力バッファが用いられることがある。ここで、送信状態とスタンバイ状態との間で切り替えが行われると、コモン電流が急激に変化する。このため、パッケージなどの寄生インダクタンスの影響で電源電圧にノイズが発生し、受信側でクロックジッタの増大などを引き起こしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−60073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの実施形態の目的は、送信状態とスタンバイ状態との間の遷移時間の増大を抑制しつつ、電流の変動を低減することが可能な差動出力バッファを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の差動出力バッファによれば、メインドライバと、バイパス回路とが設けられている。メインドライバは、差動信号のレベル変換を行う。バイパス回路は、前記メインドライバの動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に前記メインドライバに流れる高電源電位から低電源電位に流れる電流の変化量が一定の範囲内に収まるように前記メインドライバに流れる電流をバイパスさせる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、第1実施形態に係る差動出力バッファの概略構成を示す回路図である。
【図2】図2は、図1の差動出力バッファの各部の電圧波形または電流波形を示すタイミングチャートである。
【図3】図3は、第2実施形態に係る差動出力バッファの概略構成を示す回路図である。
【図4】図4は、第3実施形態に係る差動出力バッファの概略構成を示す回路図である。
【図5】図5は、図4の差動出力バッファの各部の電圧波形または電流波形を示すタイミングチャートである。
【図6】図6は、第4実施形態に係る差動出力バッファの概略構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態に係る差動出力バッファについて図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る差動出力バッファの概略構成を示す回路図である。
図1において、差動出力バッファには、メインドライバ1およびバイパス回路2が設けられている。メインドライバ1は、差動信号PREP、PRENのレベル変換を行うことができる。バイパス回路2は、メインドライバ1の動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に高電源電位VDDから低電源電位VSSに流れる電流I5の変化量が一定の範囲内に収まるようにメインドライバ1に流れるコモン電流I3をバイパスさせることができる。
【0009】
ここで、メインドライバ1には、切替トランジスタM1、M2、M5、差動トランジスタM3、M4、バイアストランジスタM6および抵抗R1、R2が設けられている。バイパス回路2には、バイパストランジスタM7、M8が設けられている。なお、例えば、切替トランジスタM1、M2およびバイパストランジスタM7としてはPチャンネル電界効果トランジスタ、差動トランジスタM3、M4、切替トランジスタM5、バイアストランジスタM6およびバイパストランジスタM8としてはNチャンネル電界効果トランジスタを用いることができる。また、例えば、抵抗R1、R2の値は50Ωに設定することができる。
【0010】
ここで、差動トランジスタM3、M4は、差動対を構成することができる。切替トランジスタM1、M2、M5は、差動トランジスタM3、M4の動作状態とスタンバイ状態とを切り替えることができる。バイアストランジスタM6は、差動トランジスタM3、M4のバイアス電流I1を設定することができる。バイパストランジスタM7、M8は、メインドライバ1の動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時にバイアストランジスタM6を介してバイパス電流I2を流すことにより、高電源電位VDDから低電源電位VSSに流れる電流I5を一定に維持することができる。
【0011】
具体的には、切替トランジスタM1、M2のソースは高電源電位VDDに接続され、切替トランジスタM1、M2のゲートは互いに接続されている。切替トランジスタM1のドレインは抵抗R1を介して差動トランジスタM3のドレインに接続され、切替トランジスタM2のドレインは抵抗R2を介して差動トランジスタM4のドレインに接続されている。差動トランジスタM3、M4のドレインは出力端子T1、T2にそれぞれ接続されている。
【0012】
差動トランジスタM3、M4のソースは切替トランジスタM5およびバイアストランジスタM6を順次介して低電源電位VSSに接続されている。バイパストランジスタM7のソースは高電源電位VDDに接続され、バイパストランジスタM7のゲートおよびドレインはバイパストランジスタM8のドレインに接続され、バイパストランジスタM8のソースはバイアストランジスタM6のドレインに接続されている。
【0013】
差動トランジスタM3、M4のゲートには、差動信号PREP、PRENがそれぞれ入力される。切替トランジスタM1、M2のゲートおよびバイパストランジスタM8のゲートには、切替信号EIが入力される。切替トランジスタM5のゲートには、反転切替信号EIBが入力される。バイアストランジスタM6のゲートには、バイアス電圧VBIASが入力される。
【0014】
図2は、図1の差動出力バッファの各部の電圧波形または電流波形を示すタイミングチャートである。
図2において、メインドライバ1の送信状態時では、切替信号EIはロウレベルに維持され、切替トランジスタM1、M2、M5がオンされることで、差動トランジスタM3、M4が高電源電位VDDおよび低電源電位VSSに接続される。また、切替信号EIがロウレベルに維持されると、バイパストランジスタM8がオフし、バイパス電流I2は0に設定される。
【0015】
また、差動トランジスタM3、M4のバイアス電流I1が所定値になるようにバイアス電圧VBIASが設定され、バイアス電流I1がバイアストランジスタM6を介して低電源電位VSS側に流れることにより、バイアス電流I1の値に等しいコモン電流I3がメインドライバ1を介して流れる。なお、例えば、メインドライバ1の送信状態時のバイアス電流I1は10mAに設定することができる。
【0016】
そして、差動信号PREP、PRENが差動トランジスタM3、M4のゲートに入力されると、差動信号PREP、PRENに応じた差動出力TXP、TXNが生成され、出力端子T1、T2を介して出力される。
【0017】
一方、メインドライバ1のスタンバイ状態時では、差動信号PREP、PRENはハイレベルに固定される。また、切替信号EIはロウレベルからハイレベルに切り替えられ、切替トランジスタM1、M2、M5がオフされることで、差動トランジスタM3、M4が高電源電位VDDおよび低電源電位VSSから切り離される。このため、差動トランジスタM3、M4のバイアス電流I1は0になり、メインドライバ1に流れるコモン電流は0になる。
【0018】
ここで、切替信号EIはハイレベルに維持されると、バイパストランジスタM8がオンし、バイパス回路2からバイパス電流I2が出力される。そして、メインドライバ1の動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に、バイパス電流I2の値が送信状態時のメインドライバ1のコモン電流I3の値に等しくなるようにバイアス電圧VBIASが設定されることにより、送信状態時のメインドライバ1のコモン電流I3の値に等しいバイパス電流I2がバイアストランジスタM6を介して低電源電位VSS側に流れる。このため、メインドライバ1の動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に、差動トランジスタM3、M4を介して流れるバイアス電流I1の値が0になった場合においても、高電源電位VDDから低電源電位VSSに流れる電流I5が一定に維持される。
【0019】
ここで、スタンバイ状態時において、メインドライバ1に流れるコモン電流I3を変化させる場合、バイアス電圧VBIASを緩やかに増減させることにより、バイパス電流I2を緩やかに増減させ、高電源電位VDDから低電源電位VSSに流れる電流I5を緩やかに変化させることができる。
【0020】
これにより、送信状態とスタンバイ状態との間で切り替えが行われた場合においても、高電源電位VDDから低電源電位VSSに流れる電流I5が急激に変化するのを防止することができる。このため、パッケージなどの寄生インダクタンスの影響で電源電圧にノイズが発生するのを防止することができ、受信側でのクロックジッタの増大を抑制することができる。
【0021】
また、バイパス回路2を設けることにより、送信状態とスタンバイ状態との間の切替速度を低下させることなく、高電源電位VDDから低電源電位VSSに流れる電流I5が急激に変化するのを防止することができる。このため、送信状態とスタンバイ状態との間のコモンレベルに大きな差が発生したり、電位差および送信状態とスタンバイ状態との間の遷移時間が増大したりするのを防止することが可能となる。なお、バイパス回路2の回路構成は一例であって、実施例に限定されない。例えば、バイパストランジスタM8だけで電流I5を制御可能であればバイパストランジスタM7は削除してもよく、また、より電流I5の制御を精密にするために他の構成を追加してもよい。以下実施例においても同様である。
【0022】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る差動出力バッファの概略構成を示す回路図である。
図3において、この差動出力バッファでは、図1の差動出力バッファにスタンバイドライバ3が追加されている。スタンバイドライバ3は、スタンバイ状態時にメインドライバ1の差動出力TXR、TXNをコモン電位に固定することができる。
【0023】
ここで、スタンバイドライバ3には、切替トランジスタM11〜M14、バイアストランジスタM15および抵抗R11、R12が設けられている。なお、例えば、切替トランジスタM11、M12としてはPチャンネル電界効果トランジスタ、切替トランジスタM13、M14およびバイアストランジスタM15としてはNチャンネル電界効果トランジスタを用いることができる。また、例えば、抵抗R11、R12の値は2kΩに設定することができる。
【0024】
ここで、切替トランジスタM11〜M14は、スタンバイドライバ3とメインドライバ1との間の接続状態を切り替えることができる。バイアストランジスタM15は、切替トランジスタM11〜M14のバイアス電流I4を設定することができる。
【0025】
具体的には、切替トランジスタM11、M12のソースは高電源電位VDDに接続され、切替トランジスタM11、M12のゲートは互いに接続されている。切替トランジスタM11のドレインは抵抗R11を介して切替トランジスタM13のドレインに接続され、切替トランジスタM12のドレインは抵抗R12を介して切替トランジスタM14のドレインに接続されている。切替トランジスタM13、M14のゲートは互いに接続され、切替トランジスタM13、M14のドレインは出力端子T1、T2にそれぞれ接続されている。切替トランジスタM13、M14のソースはバイアストランジスタM15を介して低電源電位VSSに接続されている。
【0026】
切替トランジスタM13、M14のゲートには、切替信号EIが入力される。切替トランジスタM11、M12のゲートには、反転切替信号EIBが入力される。バイアストランジスタM15のゲートには、バイアス電圧VBIAS2が入力される。
【0027】
そして、メインドライバ1の送信状態時では、切替信号EIはロウレベルに維持され、切替トランジスタM1、M2、M5がオンされることで、差動トランジスタM3、M4が高電源電位VDDおよび低電源電位VSSに接続される。また、切替信号EIがロウレベルに維持されると、バイパストランジスタM8がオフし、バイパス電流I2は0に設定される。また、切替信号EIがロウレベルに維持されると、切替トランジスタM11〜M14はオフし、スタンバイドライバ3がメインドライバ1から切り離される。
【0028】
また、差動トランジスタM3、M4のバイアス電流I1が所定値になるようにバイアス電圧VBIASが設定され、バイアス電流I1がバイアストランジスタM6を介して低電源電位VSS側に流れることにより、バイアス電流I1の値に等しいコモン電流I3がメインドライバ1を介して流れる。なお、例えば、メインドライバ1の送信状態時のバイアス電流I1は10mAに設定することができる。
【0029】
そして、差動信号PREP、PRENが差動トランジスタM3、M4のゲートに入力されると、差動信号PREP、PRENに応じた差動出力TXP、TXNが生成され、出力端子T1、T2を介して出力される。
【0030】
一方、メインドライバ1のスタンバイ状態時では、差動信号PREP、PRENはハイレベルに固定される。また、切替信号EIはロウレベルからハイレベルに切り替えられ、切替トランジスタM1、M2、M5がオフされることで、差動トランジスタM3、M4が高電源電位VDDおよび低電源電位VSSから切り離され、差動トランジスタM3、M4のバイアス電流I1は0になる。
【0031】
また、切替信号EIがロウレベルからハイレベルに切り替えられると、切替トランジスタM11〜M14がオンし、スタンバイドライバ3がメインドライバ1に接続される。そして、メインドライバ1のスタンバイ状態時に切替トランジスタM11〜M14のバイアス電流I4が所定値になるようにバイアス電圧VBIAS2が設定され、バイアス電流I4がバイアストランジスタM15を介して流れることにより、メインドライバ1の差動出力TXR、TXNがコモン電位に固定され、出力端子T1、T2を介して出力される。なお、例えば、メインドライバ1のスタンバイ状態時にバイアストランジスタM15を介して流れるバイアス電流I4は1mAに設定することができる。このため、差動出力バッファのバイアス電流はI1からI4に減少する。
【0032】
ここで、切替信号EIがハイレベルに維持されると、バイパストランジスタM8がオンし、バイパス回路2からバイパス電流I2が出力される。そして、メインドライバ1の動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に、バイパス電流I2が差動出力バッファのバイアス電流の減少分を補うようにバイアス電圧VBIASが設定されることにより、バイパス電流I2がバイアストランジスタM6を介して低電源電位VSS側に流れる。このため、メインドライバ1の動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に、差動トランジスタM3、M4を介して流れるバイアス電流I1の値が0になった場合においても、差動出力バッファに流れるコモン電流I3が一定に維持される。
【0033】
ここで、差動出力バッファにスタンバイドライバ3を設けることにより、スタンバイ状態時の差動出力バッファの出力を固定することができ、差動出力バッファの動作を安定させることができる。
【0034】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係る差動出力バッファの概略構成を示す回路図である。
図4において、この差動出力バッファには、図3のメインドライバ1の代わりにメインドライバ1´が設けられている。メインドライバ1´には、図3のバイアストランジスタM6の代わりに並列トランジスタMB0〜MBnが設けられている。なお、例えば、並列トランジスタMB0〜MBnとしてはNチャンネル電界効果トランジスタを用いることができる。ここで、並列トランジスタMB0〜MBnは互いに並列に接続されている。並列トランジスタMB0〜MBnのドレインは切替トランジスタM5のソースに接続され、並列トランジスタMB0〜MBnのソースは低電源電位VSSに接続されている。並列トランジスタMB0〜MBnのゲートには、バイアス電圧VBIAS<0>〜VBIAS<n>がそれぞれ入力される。
【0035】
図5は、図4の差動出力バッファの各部の電圧波形または電流波形を示すタイミングチャートである。
図5において、図4の差動出力バッファでは、スタンバイ状態時において、コモン電流I3が段階的に増減される以外は、図1の差動出力バッファの動作と同様である。
【0036】
すなわち、スタンバイ状態時において、送信開始前はバイアス電圧VBIAS<0>〜VBIAS<n>が並列トランジスタMB0〜MBnのゲートに順次印加されることにより、バイパス電流I2が段階的に増大され、コモン電流I3が段階的に増大される。一方、スタンバイ状態時において、送信終了後は並列トランジスタMB0〜MBnにそれぞれ印加されたバイアス電圧VBIAS<0>〜VBIAS<n>が順次遮断されることにより、バイパス電流I2が段階的に減少され、コモン電流I3が段階的に減少される。
【0037】
これにより、スタンバイ状態時にコモン電流I3を増減させる回路を容易に構成することができ、回路構成の複雑化を防止しつつ、メインドライバ1´のコモン電流I3が急激に変化するのを防止することができる。
【0038】
なお、図5の例では、図3の差動出力バッファのコモン電流I3を段階的に変化させる方法について説明したが、図1の差動出力バッファのコモン電流I3を段階的に変化させるようにしてもよい。
【0039】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態に係る差動出力バッファの概略構成を示す回路図である。
図6において、この差動出力バッファには、図1のメインドライバ1の代わりにドライバ4が設けられている。このドライバ4は、図1のメインドライバ1の機能に加え、図3のスタンバイドライバ3の機能を併せ持つことができる。すなわち、ドライバ4は、動作状態時に差動信号PREP、PRENのレベル変換を行い、スタンバイ状態時に差動出力TXR、TXNをコモン電位に固定することができる。
【0040】
ここで、ドライバ4には、図3の切替トランジスタM13、M14およびバイアストランジスタM15の代わりに切替トランジスタM16およびバイアストランジスタM17が設けられている。なお、例えば、切替トランジスタM16およびバイパストランジスタM17としてはNチャンネル電界効果トランジスタを用いることができる。
【0041】
ここで、切替トランジスタM16は、差動トランジスタM3、M4の動作状態とスタンバイ状態とを切り替えることができる。バイアストランジスタM17は、スタンバイ状態時の差動トランジスタM3、M4のバイアス電流I4を設定することができる。
【0042】
そして、差動トランジスタM3、M4のソースは切替トランジスタM16およびバイアストランジスタM17を順次介して低電源電位VSSに接続されている。切替トランジスタM16のゲートには、切替信号EIが入力される。バイアストランジスタM17のゲートには、バイアス電圧VBIAS2が入力される。
【0043】
そして、ドライバ4の送信状態時では、切替信号EIはロウレベルに維持され、切替トランジスタM1、M2、M5がオンされることで、差動トランジスタM3、M4が切替トランジスタM1、M2、M5を介して高電源電位VDDおよび低電源電位VSSに接続される。また、切替信号EIがロウレベルに維持されると、バイパストランジスタM8がオフし、バイパス電流I2は0に設定される。また、切替信号EIがロウレベルに維持されると、切替トランジスタM16はオフされ、差動トランジスタM3、M4はバイアストランジスタM17から切り離される。
【0044】
また、差動トランジスタM3、M4のバイアス電流I1が所定値になるようにバイアス電圧VBIASが設定され、バイアス電流I1がバイアストランジスタM6を介して低電源電位VSS側に流れることにより、バイアス電流I1の値に等しいコモン電流I3がドライバ4に流れる。
【0045】
そして、差動信号PREP、PRENが差動トランジスタM3、M4のゲートに入力されると、差動信号PREP、PRENに応じた差動出力TXP、TXNが生成され、出力端子T1、T2を介して出力される。
【0046】
一方、ドライバ4のスタンバイ状態時では、差動信号PREP、PRENはハイレベルに固定される。また、切替信号EIはロウレベルからハイレベルに切り替えられ、切替トランジスタM1、M2、M5がオフされ、切替トランジスタM11、M12、M16がオンされることで、差動トランジスタM3、M4が切替トランジスタM11、M12、M16を介して高電源電位VDDおよび低電源電位VSSに接続される。
【0047】
また、ドライバ4のスタンバイ状態時に差動トランジスタM3、M4のバイアス電流I4が所定値になるようにバイアス電圧VBIAS2が設定され、バイアス電流I4がバイアストランジスタM17を介して流れることにより、ドライバ4の差動出力TXR、TXNがコモン電位に固定され、出力端子T1、T2を介して出力される。このため、差動トランジスタM3、M4のバイアス電流はI1からI4に減少する。
【0048】
ここで、切替信号EIがハイレベルに維持されると、バイパストランジスタM8がオンし、バイパス回路2からバイパス電流I2が出力される。そして、ドライバ4の動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に、バイパス電流I2が差動トランジスタM3、M4のバイアス電流の減少分を補うようにバイアス電圧VBIASが設定されることにより、バイパス電流I2がバイアストランジスタM6を介して低電源電位VSS側に流れる。このため、メインドライバ1の動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に、差動トランジスタM3、M4を介して流れるバイアス電流が減少した場合においても、ドライバ4に流れるコモン電流I3が一定に維持される。
【0049】
ここで、図3に示すメインドライバ1の機能とスタンバイドライバ3の機能をドライバ4に併せ持たせることにより、図3の構成に比べてトランジスタ数を減らすことができ、回路規模を低減することができる。
【0050】
なお、図6の例では、差動出力バッファのコモン電流I3を緩やかに増減させる構成を適用した場合について説明したが、差動出力バッファのコモン電流I3を段階的に増減させる構成を適用してもよい。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1、1´ メインドライバ、2 バイパス回路、3 スタンバイドライバ、4 ドライバ、T1、T2 出力端子、M1、M2、M5、M11〜M14、M16 切替トランジスタ、M3、M4 差動トランジスタ、M6、M15、M17 バイアストランジスタ、M7、M8 バイパストランジスタ、MB0〜MBn 並列トランジスタ、R1、R2、R11、R12 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動信号のレベル変換を行うメインドライバと、
前記メインドライバの動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に前記メインドライバに流れる高電源電位から低電源電位かに流れる電流の変化量が一定の範囲内に収まるように前記メインドライバに流れる電流をバイパスさせるバイパス回路とを備えることを特徴とする差動出力バッファ。
【請求項2】
前記メインドライバは、
差動対を成す1対の差動トランジスタと、
前記差動トランジスタの動作状態とスタンバイ状態とを切り替える切替トランジスタと、
前記差動トランジスタのバイアス電流を設定するバイアストランジスタとを備え、
前記バイパス回路は、前記メインドライバの動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に前記バイアストランジスタを介してバイパス電流を流すことにより、前記差動トランジスタを介して流れる電流を一定に維持することを特徴とする請求項1に記載の差動出力バッファ。
【請求項3】
前記バイアストランジスタは、前記スタンバイ状態時にバイアス電圧を緩やかに増減させることにより、前記電流を緩やかに増減させることを特徴とする請求項2に記載の差動出力バッファ。
【請求項4】
前記バイアストランジスタは、互いに並列に接続された複数の並列トランジスタを備え、前記スタンバイ状態時に前記並列トランジスタをオンさせる個数を変化させることで、前記電流を段階的に増減させることを特徴とする請求項2に記載の差動出力バッファ。
【請求項5】
差動信号のレベル変換を行うメインドライバと、
スタンバイ状態時に前記メインドライバの差動出力をコモン電位に固定するスタンバイドライバと、
前記メインドライバの動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に前記メインドライバおよび前記スタンバイドライバに流れるコモン電流の変化量が一定の範囲内に収まるように前記メインドライバに流れるコモン電流をバイパスさせるバイパス回路とを備えることを特徴とする差動出力バッファ。
【請求項6】
動作状態時に差動信号のレベル変換を行い、スタンバイ状態時に差動出力をコモン電位に固定するドライバと、
前記ドライバの動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に前記ドライバに流れるコモン電流の変化量が一定の範囲内に収まるように前記ドライバに流れるコモン電流をバイパスさせるバイパス回路とを備えることを特徴とする差動出力バッファ。
【請求項7】
前記ドライバは、
差動対を成す1対の差動トランジスタと、
前記差動トランジスタの動作状態とスタンバイ状態とを切り替える切替トランジスタと、
前記差動トランジスタの動作状態時のバイアス電流を設定する第1のバイアストランジスタと、
前記差動トランジスタのスタンバイ状態時のバイアス電流を設定する第2のバイアストランジスタとを備え、
前記バイパス回路は、前記メインドライバの動作状態とスタンバイ状態との間の遷移時に前記第1のバイアストランジスタを介してバイパス電流を流すことにより、前記差動トランジスタを介して流れるコモン電流を一定に維持することを特徴とする請求項6に記載の差動出力バッファ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−160990(P2012−160990A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20380(P2011−20380)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】