説明

差動増幅器

【課題】入力端子にノイズが発生する。
【解決手段】第1の電流経路は、第1の電源端子と第1の出力端子間に接続され、制御端子に差動入力信号の一方が入力される第1のトランジスタと、第2の電源端子と第1の出力端子との間に接続され、制御端子に差動入力信号の他方が入力される第2のトランジスタと、第1の電源端子と第1のトランジスタとの間に接続される第1のスイッチ回路とを有し、第2の電流経路は、第2の電源端子と第2の出力端子との間に接続され、制御端子に差動入力信号の一方が入力される第3のトランジスタと、第1の電源端子と第2の出力端子との間に接続され、制御端子に差動入力信号の他方が入力される第4のトランジスタと、第2の電源端子と第3のトランジスタとの間に接続される第2のスイッチ回路とを有し、第1、第2のスイッチ回路は、制御信号により導通状態が制御される差動増幅器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、例えばUSB2.0等の高速インターフェイスの受信回路に差動入力バッファとして、差動増幅器が用いられている。このような差動増幅器の従来例として、特許文献1のような技術が開示されている。一方、上記差動増幅器が搭載される半導体装置において、消費電力削減のため当該装置が動作していないときに動作電流を止めるパワーダウン技術が一般的に採用されている。図12、図13に、特許文献1の回路において消費電力削減するためのスイッチ回路を付加した差動増幅器1、2の構成を示す。差動増幅器1、2は、互いが異なった導電型のMOSトランジスタで構成されている。
【0003】
まず、図12に示すように、差動増幅器1は、PMOSトランジスタMP1〜MP4と、パワーダウン用スイッチ回路PDSW1とを有する。
【0004】
PMOSトランジスタMP3は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインが出力端子OT、ゲートが入力端子IBに接続される。PMOSトランジスタMP4は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインが出力端子OB、ゲートが入力端子ITに接続される。PMOSトランジスタMP1は、ソースが出力端子OT、ドレインがノードN1、ゲートが入力端子ITに接続される。PMOSトランジスタMP2は、ソースが出力端子OB、ドレインがノードN2、ゲートが入力端子IBに接続される。
【0005】
パワーダウン用スイッチ回路PDSW1は、NMOSトランジスタMN11、MN12を有する。NMOSトランジスタMN11は、ドレインがノードN1、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。NMOSトランジスタMN12は、ドレインがノードN2、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。NMOSトランジスタMN11、MN12のゲートにはパワーダウン信号PDBが入力される。このパワーダウン信号PDBがハイレベルとなる場合、差動増幅器1が通常動作状態となり、ロウレベルとなる場合、差動増幅器1がパワーダウン(スタンバイ)状態となる。
【0006】
図13に示すように、差動増幅器2は、NMOSトランジスタMN1〜MN4と、パワーダウン用スイッチ回路PDSW2とを有する。NMOSトランジスタMN1は、ソースが接地電圧端子GND、ドレインが出力端子OT、ゲートが入力端子ITに接続される。NMOSトランジスタMN2は、ソースが接地電圧端子GND、ドレインが出力端子OB、ゲートが入力端子IBに接続される。NMOSトランジスタMN3は、ソースが出力端子OT、ドレインがノードN3、ゲートが入力端子IBに接続される。NMOSトランジスタMN4は、ソースが出力端子OB、ドレインがノードN4、ゲートが入力端子ITに接続される。
【0007】
パワーダウン用スイッチ回路PDSW2は、PMOSトランジスタMP11、MP12を有する。PMOSトランジスタMP11は、ドレインがノードN3、ソースが電源電圧端子VDDに接続される。PMOSトランジスタMP12は、ドレインがノードN4、ソースが電源電圧端子VDDに接続される。PMOSトランジスタMP11、MP12のゲートにはパワーダウン信号PDが入力される。このパワーダウン信号PDがロウレベルとなる場合、差動増幅器2が通常動作状態となり、ハイレベルとなる場合、差動増幅器2がパワーダウン(スタンバイ)状態となる。
【0008】
なお、便宜上、符号「VDD」「GND」は、それぞれ端子名を示すと同時に、その端子の供給電圧を示すものとする。また、符号「IT」「IB」「OT」「OB」は、それぞれ端子名を示すと同時に、その端子に入出力される信号名を示すものとする。
【0009】
ここで、図14のタイミングチャートを用いて、差動増幅器1の動作を説明する。図14に示すように、時刻t1以前では、パワーダウン信号PDBがロウレベルであり、差動増幅器1がパワーダウン状態となっている。時刻t1で、パワーダウン信号PDBがハイレベルとなる。このため、差動増幅器1が通常動作を開始し、差動入力信号IT、IBに応じて、差動出力信号OT、OBが出力される。時刻t2で、パワーダウン信号PDBが再びロウレベルとなる。このため、差動増幅器1が再びパワーダウン状態となる。
【0010】
なお、差動増幅器2の動作を示すタイミングチャートは、図14の各信号の極性が逆になるだけであり、基本的な動作は差動増幅器1と同様である。よって、ここでは動作の説明等は省略する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平3−85817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記差動増幅器1、2には以下のような問題がある。以下では、図面を参照して、差動増幅器1を例にこの問題を説明する。図15、図16に差動増幅器1の問題を説明するための模式図を示す。差動増幅器1が有するPMOSトランジスタMP1〜MP4にはそれぞれゲート−ドレイン間及びゲート−ソース間に寄生容量を有している。図15にPMOSトランジスタMP1〜MP4がそれぞれゲート−ドレイン間に有するゲート−ドレイン間の寄生容量C1〜C4を示す。但し、ここでは、図が煩雑になるのを避けるため、ゲート−ソース間の寄生容量は省略する。
【0013】
まず、図14の時刻t1以前では、差動増幅器1はパワーダウン状態である。パワーダウン信号PDBがロウレベルであり、NMOSトランジスタMN11、MN12がオフとなっている。このため、PMOSトランジスタMP3、MP1、NMOSトランジスタMN11で構成される第1の電流経路に電流が流れない。この結果、ノードN1、出力端子OTの電位がほぼ電源電圧VDDと同電位となっている。同様に、PMOSトランジスタMP4、MP2、NMOSトランジスタMN12で構成される第2の電流経路にも電流が流れない。この結果、ノードN2、出力端子OBの電位が電源電圧VDDとほぼ同電位となっている。
【0014】
時刻t1で、差動増幅器1が通常動作状態となる。パワーダウン信号PDBがハイレベルレベルとなり、NMOSトランジスタMN11、MN12がオン状態となる。そして、差動入力信号IT、IBに応じて、第1、第2の電流経路のそれぞれの動作点が決まり、PMOSトランジスタMP1〜MP4のドレイン電圧が電源電圧VDDから所定の電圧に低下する。つまり、PMOSトランジスタMP1、MP4、および、PMOSトランジスタMP2、MP3のゲート−ドレイン間のそれぞれの寄生容量のドレイン側の電位が低下することになる。
【0015】
このため、図15に示すように、入力端子ITから寄生容量C1、C4への充電電流が発生する。このことから、PMOSトランジスタMP1、MP4のゲート電流が増加する。この結果、入力端子ITから電流が流入し、入力端子ITの電位が低下する。この入力端子ITの電位は、ミラー電流が充電を完了することで元の電圧に戻る。なお、同様の現象が、入力端子IB側にも発生する。
【0016】
また、時刻t2で、パワーダウン信号PDBがロウレベルレベルとなり、NMOSトランジスタMN11、MN12がオフ状態となる。第1、第2の電流経路に電流が流れなくなり、ノードN1、N2、出力端子OT、OBの電位が再び電源電圧VDDとほぼ同電位に変化する。この結果、PMOSトランジスタMP1、MP4、および、PMOSトランジスタMP2、MP3のゲート−ドレイン間のそれぞれの寄生容量のドレイン側の電位が上昇することになる。
【0017】
このため、図16に示すように、それぞれ充電された寄生容量のゲート側から放電電流が流出する。よって、PMOSトランジスタMP1、MP4のゲート電流が増加する。この結果、入力端子ITの電流も増加し、入力端子ITの電位が上昇する。この入力端子ITの電位は、ミラー電流が放電を完了することで元の電圧に戻る。なお、同様の現象が、入力端子IB側にも発生する。
【0018】
図17に以上説明したPMOSトランジスタMP1〜MP4及び入力端子IT、IBの電流、電圧波形を示すタイミングチャートを示す。図17の時刻の符号は図14と同じ時刻を示すものとする。図17に示すように、時刻t1、t2において、パワーダウン信号PDBの信号レベルの変化にともなって、入力端子IT、IBに上述した電圧変動が発生している。この電圧変動は、当該差動増幅器1の入力端子IT、IBに接続されている他の回路への入力信号のノイズとなる。そして、このノイズを含んだ入力信号が他の回路を誤作動させる可能性がある。なお、この問題は差動増幅器2にも同様に存在するが、基本的に差動増幅器1と同じであるため説明は省略する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、それぞれが第1の電源端子と第2の電源端子間に接続され、差動出力信号の一方を出力する第1の電流経路と、前記差動出力信号の他方を出力する第2の電流経路とを備え、前記第1の電流経路は、前記第1の電源端子と前記差動信号のうち一方を出力する第1の出力端子との間に接続され、制御端子に差動入力信号の一方が入力される第1のトランジスタと、前記第2の電源端子と前記第1の出力端子との間に接続され、制御端子に前記差動入力信号の他方が入力される第2のトランジスタと、前記第1の電源端子と前記第1のトランジスタとの間に接続される第1のスイッチ回路と、を有し、前記第2の電流経路は、前記第2の電源端子と前記差動信号のうち他方を出力する第2の出力端子との間に接続され、制御端子に差動入力信号の一方が入力される第3のトランジスタと、前記第1の電源端子と前記第2の出力端子との間に接続され、制御端子に前記差動入力信号の他方が入力される第4のトランジスタと、前記第2の電源端子と前記第3のトランジスタとの間に接続される第2のスイッチ回路と、を有し、前記第1、第2のスイッチ回路は、制御信号により導通状態が制御される差動増幅器である。
【0020】
本発明の差動増幅器は、第1、第2のスイッチが導通もしくは非導通に変化するときに、第1、第3のトランジスタが有する寄生容量を介して発生する電流を互いに相殺することができる。同じく第2、第4のトランジスタが有する寄生容量を介して発生する電流を互いに相殺することができる。このため、第1、第3のトランジスタの制御端子が入力する差動入力信号の一方の入力端子と、第2、第4のトランジスタの制御端子が入力する差動入力信号の他方の入力端子とに発生する電位の変動を低減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる差動増幅器は、入力端子に発生するノイズを低減させることができ、入力端子に接続されている他の回路の誤作動を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態1にかかる差動増幅器の構成である。
【図2】実施の形態1にかかる差動増幅器の動作タイミングチャートである。
【図3】実施の形態1にかかる差動増幅器の効果を説明するための模式図である。
【図4】実施の形態1にかかる差動増幅器の効果を説明するための模式図である。
【図5】実施の形態1にかかる差動増幅器の効果を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】実施の形態1にかかる差動増幅器の別の構成である。
【図7】実施の形態2にかかる差動増幅器の構成である。
【図8】実施の形態2にかかる差動増幅器の別の構成である。
【図9】実施の形態3にかかる差動増幅器の構成である。
【図10】実施の形態3にかかる差動増幅器の効果を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】実施の形態3にかかる差動増幅器の別の構成である。
【図12】従来の差動増幅器の構成である。
【図13】従来の差動増幅器の構成である。
【図14】従来の差動増幅器の動作タイミングチャートである。
【図15】従来の差動増幅器の問題を説明するための模式図である。
【図16】従来の差動増幅器の問題を説明するための模式図である。
【図17】従来の差動増幅器の問題を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の実施の形態1
【0024】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態1について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に本実施の形態1にかかる差動増幅器100の構成を示す。図1に示すように、差動増幅器100は、PMOSトランジスタMP101〜MP104、MP110と、NMOSトランジスタMN110とを有する。
【0025】
PMOSトランジスタMP110は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインがノードN101に接続される。また、PMOSトランジスタMP110は、ゲートにパワーダウン信号PDが入力される。PMOSトランジスタMP103は、ソースがノードN101、ドレインが出力端子OT、ゲートが入力端子IBに接続される。PMOSトランジスタMP101は、ソースが出力端子OT、ドレインが接地電圧端子GND、ゲートが入力端子ITに接続される。これらPMOSトランジスタMP110、MP103、MP101で構成される電流経路を第1の電流経路とする。
【0026】
PMOSトランジスタMP104は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインが出力端子OB、ゲートが入力端子ITに接続される。PMOSトランジスタMP102は、ソースが出力端子OB、ドレインがノードN102、ゲートが入力端子IBに接続される。NMOSトランジスタMN110は、ドレインがノードN102、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。また、NMOSトランジスタMN110は、ゲートにパワーダウン信号PDBが入力される。パワーダウン信号PDBは、パワーダウン信号PDの逆相信号である。これらPMOSトランジスタMP104、MP102、NMOSトランジスタMN110で構成される電流経路を第2の電流経路とする。
【0027】
ここで、PMOSトランジスタMP110、NMOSトランジスタMN110は、それぞれパワーダウン信号PD、PDBに応じて、第1、第2の電流経路に駆動電流を流すか否かを制御するスイッチ回路とみなすこともできる。つまり、パワーダウン信号PD、PDBにより、差動増幅器100の駆動状態を制御できる。また、パワーダウン信号PD、PDBは正相、逆相の関係にあり、一方の信号をインバータ回路等で位相を反転させるだけで容易に生成可能である。よって、パワーダウン信号PD、PDBを1つの制御信号とみなすこともできる。
【0028】
図2のタイミングチャートを用いて、差動増幅器100の動作を説明する。図2に示すように、時刻t1以前では、パワーダウン信号PDBがロウレベル、パワーダウン信号PDがハイレベルである。このため、PMOSトランジスタMP110、NMOSトランジスタMN110がオフ状態となっている。このため、第1、第2の電流経路には共に駆動電流が流れず、差動増幅器100はパワーダウン(スタンバイ)状態となっている。
【0029】
第1の電流経路に電流が流れないため、ノードN101、出力端子OTが接地電圧GNDとなっている。また、第2の電流経路にも電流が流れないため、出力端子OB、ノードN102が電源電圧VDDとなっている。
【0030】
次に、時刻t1で、パワーダウン信号PDBがハイレベル、パワーダウン信号PDがロウレベルとなる。このため、PMOSトランジスタMP110、NMOSトランジスタMN110がオフ状態からオン状態となる。よって、第1、第2の電流経路に駆動電流が流れ差動増幅器100が通常動作状態となる。そして、差動入力端子IT、IBに入力される差動入力信号IT、IBに応じて、差動出力端子OT、OBから差動出力信号OT、OBが出力される。この差動入力信号IT、IBに応じて第1、第2の電流経路のそれぞれの動作点が決まり、第1の電流経路ではPMOSトランジスタMP101、MP103のソース電圧が接地電圧GNDから所定の電圧に上昇し、第2の電流経路ではPMOSトランジスタMP101、MP103のドレイン電圧が電源電圧VDDから所定の電圧に低下する。
【0031】
次に、時刻t2で、パワーダウン信号PDBがロウレベル、パワーダウン信号PDがハイレベルとなる。このため、PMOSトランジスタMP110、NMOSトランジスタMN110がオン状態からオフ状態となる。よって、第1、第2の電流経路には共に駆動電流が流れず、再び差動増幅器100はパワーダウン(スタンバイ)状態となる。
【0032】
よって、第1の電流経路に電流が流れなくなり、ノードN101、出力端子OTが接地電圧GNDとなる。また、第2の電流経路にも電流が流れなくなり、出力端子OB、ノードN102が電源電圧VDDとなる。なお、これ以降、パワーダウン状態から通常動作状態、もしくは、通常動作状態からパワーダウン状態へ変化するときのことを「動作状態変化時」と称す。
【0033】
ここで、従来の差動増幅器1と同様、各PMOSトランジスタはゲート−ソース及びゲート−ドレイン間に寄生容量を有する。差動増幅器1では、動作状態変化時において、この寄生容量の充放電動作に起因したノイズが入力端子IT、IBに発生していた。しかし、本実施の形態1の差動増幅器100では、動作状態変化時の入力端子IT、IBに発生するノイズを削減することが可能である。以下に、図面を参照して、差動増幅器100によるこのノイズ削減メカニズムを説明する。図3、図4に差動増幅器100の動作状態変化時に発生する寄生容量への充放電電流を示す模式図を示す。但し、図3、図4に示す寄生容量は、図が煩雑になるのを避けるため、ゲート−ドレイン間、または、ゲート−ソース間の寄生容量の片側のみを示すものとする。なお、実際には、ゲート−ドレイン間、ゲート−ソース間の両方の寄生容量による充放電が発生することに注意する。また、図5にPMOSトランジスタMP101〜MP104及び入力端子IT、IBの電流、電圧波形を示すタイミングチャートを示す。なお、図5の時刻の符号は図2と同じ時刻を示すものとする。
【0034】
図3に示すように、差動増幅器100が有するPMOSトランジスタMP101〜MP104は、それぞれ寄生容量C101〜C104を有している。寄生容量C101、C103は、それぞれPMOSトランジスタMP101、MP103のゲート−ソース間の寄生容量である。また、寄生容量C102、C104は、それぞれPMOSトランジスタMP102、MP104のゲート−ドレイン間の寄生容量である。
【0035】
図3は、時刻t1でPMOSトランジスタMP110、NMOSトランジスタMN110がオフ状態からオン状態となった場合の各寄生容量への充放電電流を示す模式図である。この場合、上述したようにノードN101、出力端子OTの電位が接地電圧GNDから上昇し、ノードN102、出力端子OBの電位が電源電圧VDDから低下する。このため、図3に示すように、寄生容量C101、C103では、ゲートに対して電流を流出し、寄生容量C102、C103では、ゲートから電流を流入する。このことから、図5の時刻t1に示すように、入力端子側から見たPMOSトランジスタMP101、MP103のゲート電流が減少し、PMOSトランジスタMP102、MP104のゲート電流が増加する。
【0036】
ここで、寄生容量C101、C104に注目すると、寄生容量C101からは電流が流出し、同時に寄生容量C104へは電流が流入する。同様に、寄生容量C102、C103に注目すると、寄生容量C103からは電流が流出し、同時に寄生容量C102へは電流が流入する。このため、入力端子ITで接続されているPMOSトランジスタMP101、MP104のゲート電流で、それぞれ同時に流入、流出が発生し、お互いを相殺している。また、入力端子IBで接続されているPMOSトランジスタMP102、MP103のゲート電流でも、それぞれ同時に流入、流出が発生し、お互いを相殺している。よって、図5に示すように、時刻t1でパワーダウン状態から通常動作状態へ遷移しても入力端子IT、IBの電流の増加、もしくは減少が抑制される。この結果、入力端子IT、IBの電位の変動が低減され、入力端子IT、IBに発生するノイズを削減することができる。
【0037】
また、図4は、時刻t2でPMOSトランジスタMP110、NMOSトランジスタMN110がオン状態からオフ状態となった場合の各寄生容量への充放電電流を示す模式図である。この場合、上述したようにノードN101、出力端子OTの電位が接地電圧GNDへ低下し、ノードN102、出力端子OBの電位が電源電圧VDDへ上昇する。このため、図4に示すように、寄生容量C101、C103では、ゲートから電流を流入し、寄生容量C102、C104では、ゲートに対して電流を流出する。このことから、図5の時刻t2に示すように、入力端子側から見たPMOSトランジスタMP101、MP103のゲート電流が増加し、PMOSトランジスタMP102、MP104のゲート電流が減少する。
【0038】
ここで、寄生容量C101、C104に注目すると、寄生容量C104からは電流が流出し、同時に寄生容量C101へは電流が流入する。同様に、寄生容量C102、C103に注目すると、寄生容量C102からは電流が流出し、同時に寄生容量C103へは電流が流入する。このため、入力端子ITで接続されているPMOSトランジスタMP101、MP104のゲート電流で、それぞれ同時に流入、流出が発生し、お互いを相殺している。また、入力端子IBで接続されているPMOSトランジスタMP102、MP103のゲート電流でも、それぞれ同時に流入、流出が発生し、お互いを相殺している。よって、図5に示すように、時刻t2で通常動作状態からパワーダウン状態へ遷移する場合の入力端子IT、IBの電流の増加、もしくは減少が抑制される。この結果、入力端子IT、IBの電位の変動が低減され、入力端子IT、IBに発生するノイズを削減することができる。
【0039】
このように、従来の差動増幅器1で、動作状態変化時の入力端子IT、IBに発生していたノイズを、本実施の形態1の差動増幅器100では削減することが可能となる。このため、本実施の形態1の差動増幅器100の入力端子に接続されている他の回路への入力信号にノイズが伝達されることが無く、他の回路を誤作動させるのを防ぐことが可能となる。
【0040】
また、図6に図1の差動増幅器100のMOSトランジスタの導電型を逆にした差動増幅器101の構成を示す。図6に示すように、差動増幅器101は、NMOSトランジスタMN101〜MN104、MN110と、PMOSトランジスタMP110とを有する。
【0041】
PMOSトランジスタMP110は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインがノードN101に接続される。また、PMOSトランジスタMP110は、ゲートにパワーダウン信号PDが入力される。NMOSトランジスタMN103は、ドレインがノードN101、ソースが出力端子OT、ゲートが入力端子IBに接続される。NMOSトランジスタMN101は、ドレインが出力端子OT、ソースが接地電圧端子GND、ゲートが入力端子ITに接続される。これらPMOSトランジスタMP110、NMOSトランジスタMN103、MN101で構成される電流経路を第1の電流経路とする。
【0042】
NMOSトランジスタMN104は、ドレインが電源電圧端子VDD、ソースが出力端子OB、ゲートが入力端子ITに接続される。NMOSトランジスタMN102は、ドレインが出力端子OB、ソースがノードN102、ゲートが入力端子IBに接続される。NMOSトランジスタMN110は、ドレインがノードN102、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。また、NMOSトランジスタMN110は、ゲートにパワーダウン信号PDBが入力される。パワーダウン信号PDBは、パワーダウン信号PDの逆相信号である。これらNMOSトランジスタMN104、MN102、NMOSトランジスタMN110で構成される電流経路を第2の電流経路とする。
【0043】
ここで、図6に示された符号のうち、図1と同じ符号を付した構成は、図1と同じか又は類似の構成を示している。差動増幅器101は、差動増幅器100のPMOSトランジスタMP101〜MP104をそれぞれNMOSトランジスタMN101〜MN104に置き換えた構成となっている。このため、動作状態変化時に発生する入力端子IT、IBの電流の増加、もしくは減少が抑制される原理等は差動増幅器100と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0044】
以上、差動増幅器101のように、入力信号IT、IBが入力され駆動されるMOSトランジスタの導電型を逆にしても、入力端子IT、IBの電位の変動が低減され、入力端子IT、IBに発生するノイズを削減することができる。このため、差動増幅器100と同様、差動増幅器101の入力端子に接続されている他の回路への入力信号にノイズが伝達されることが無く、他の回路を誤作動させるのを防ぐことが可能となる。
【0045】
発明の実施の形態2
【0046】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。図7に本実施の形態2にかかる差動増幅器200の構成を示す。図7に示すように、差動増幅器200は、PMOSトランジスタMP101〜MP104、MP110、MP210と、NMOSトランジスタMN110、MN210とを有する。
【0047】
PMOSトランジスタMP110は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインがノードN101に接続される。また、PMOSトランジスタMP110は、ゲートにパワーダウン信号PDが入力される。PMOSトランジスタMP103は、ソースがノードN101、ドレインが出力端子OT、ゲートが入力端子IBに接続される。PMOSトランジスタMP101は、ソースが出力端子OT、ドレインがノードN201、ゲートが入力端子ITに接続される。NMOSトランジスタMN210は、ドレインがノードN201、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。また、NMOSトランジスタMN210は、ゲートに電源電圧VDDが入力される。これらPMOSトランジスタMP110、MP103、MP101、NMOSトランジスタMN210で構成される電流経路を第1の電流経路とする。
【0048】
PMOSトランジスタMP210は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインがノードN202に接続される。また、PMOSトランジスタMP210は、ゲートに接地電圧GNDが入力される。PMOSトランジスタMP104は、ソースがノードN202、ドレインが出力端子OB、ゲートが入力端子ITに接続される。PMOSトランジスタMP102は、ソースが出力端子OB、ドレインがノードN102、ゲートが入力端子IBに接続される。NMOSトランジスタMN110は、ドレインがノードN102、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。また、NMOSトランジスタMN110は、ゲートにパワーダウン信号PDBが入力される。パワーダウン信号PDBは、パワーダウン信号PDの逆相信号である。これらPMOSトランジスタMP210、MP104、MP102、NMOSトランジスタMN110で構成される電流経路を第2の電流経路とする。
【0049】
ここで、図7に示された符号のうち、図1と同じ符号を付した構成は、図1と同じか又は類似の構成を示している。差動増幅器200は、実施の形態1の差動増幅器100と比較して、PMOSトランジスタMP104と電源電圧端子VDDとの間にPMOSトランジスタMP210、PMOSトランジスタMP101と接地電圧端子GNDとの間にNMOSトランジスタMN210が接続されている点が異なる。
【0050】
このPMOSトランジスタMP210のゲート電圧は接地電圧GNDにクランプされている。また、NMOSトランジスタMN210のゲート電圧は電源電圧VDDにクランプされている。よって、これらPMOSトランジスタMP210、NMOSトランジスタMN210は、常にオン状態となっている。このため、差動増幅器200の動作や入力端子IT、IBへのノイズ削減メカニズムも、差動増幅器100と同様となる。
【0051】
また、PMOSトランジスタMP110とMP210、PMOSトランジスタMP103とMP104、PMOSトランジスタMP101とMP102、NMOSトランジスタMN110とMN210のトランジスタサイズ等を同一のものとする。こうすることで電流経路1と電流経路2を左右対称に設計することができ、電流経路1と電流経路2の電気的特性を同一とすることができる。
【0052】
もし、実施の形態1の差動増幅器100、101のように電流経路1と電流経路2とが非対称である場合、出力信号OT、OBで所望の電圧レベルを得るためには、電流経路1と電流経路2で対応するトランジスタのサイズも非対称となる。このため、電流経路1と電流経路2で電気的特性を同一とすることが難しく、設計難度が上がってしまう問題がある。また、製造バラツキにも大きく影響を受ける可能性がある。
【0053】
しかし、上述のように差動増幅器200は、電流経路1と電流経路2を左右対称となっているため、設計の容易性が上がり、更に製造バラツキにも耐性を有することができる。
【0054】
また、図8に図7の差動増幅器200のMOSトランジスタの導電型を逆にした差動増幅器201の構成を示す。図8に示すように、差動増幅器201は、NMOSトランジスタMN101〜MN104、MN110、MN210と、PMOSトランジスタMP110、MP210とを有する。
【0055】
PMOSトランジスタMP110は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインがノードN101に接続される。また、PMOSトランジスタMP110は、ゲートにパワーダウン信号PDが入力される。NMOSトランジスタMN103は、ドレインがノードN101、ソースが出力端子OT、ゲートが入力端子IBに接続される。NMOSトランジスタMN101は、ドレインが出力端子OT、ソースがノードN201、ゲートが入力端子ITに接続される。NMOSトランジスタMN210は、ドレインがノードN201、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。また、NMOSトランジスタMN210は、ゲートに電源電圧VDDが入力される。これらPMOSトランジスタMP110、NMOSトランジスタMN103、MN101、MN210で構成される電流経路を第1の電流経路とする。
【0056】
PMOSトランジスタMP210は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインがノードN202に接続される。また、PMOSトランジスタMP210は、ゲートに接地電圧GNDが入力される。NMOSトランジスタMN104は、ドレインがノードN202、ソースが出力端子OB、ゲートが入力端子ITに接続される。NMOSトランジスタMN102は、ドレインが出力端子OB、ソースがノードN102、ゲートが入力端子IBに接続される。NMOSトランジスタMN110は、ドレインがノードN102、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。また、NMOSトランジスタMN110は、ゲートにパワーダウン信号PDBが入力される。パワーダウン信号PDBは、パワーダウン信号PDの逆相信号である。これらPMOSトランジスタMP210、NMOSトランジスタMN104、MN102、MN110で構成される電流経路を第2の電流経路とする。
【0057】
ここで、図8に示された符号のうち、図1、図6と同じ符号を付した構成は、図1、図6と同じか又は類似の構成を示している。差動増幅器201は、差動増幅器200のMOSトランジスタの導電型を逆にした構成となっている。また、実施の形態1の差動増幅器101と比較して、PMOSトランジスタMN104と電源電圧端子VDDとの間にPMOSトランジスタMP210、NMOSトランジスタMN101と接地電圧端子GNDとの間にNMOSトランジスタMN210が接続されている点で異なる。
【0058】
このPMOSトランジスタMP210のゲート電圧は、接地電圧GNDにクランプされている。また、NMOSトランジスタMN210のゲート電圧も電源電圧VDDにクランプされている。よって、これらPMOSトランジスタMP210、NMOSトランジスタMN210は、差動増幅器200と同様、常にオン状態となっている。このため、差動増幅器201の動作や入力端子IT、IBへのノイズ削減メカニズムも、差動増幅器101と同様となる。
【0059】
また、PMOSトランジスタMP110とMP210、NMOSトランジスタMN103とMN104、NMOSトランジスタMN101とMN102、NMOSトランジスタMN110とMN210のトランジスタサイズ等を同一のものとする。こうすることで電流経路1と電流経路2を左右対称に設計することができ、差動増幅器200と同様、電流経路1と電流経路2の電気的特性を同一とすることができる。よって、差動増幅器201でも、設計の容易性が上がり、更に製造バラツキにも耐性を有することができる。
【0060】
発明の実施の形態3
【0061】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態3について、図面を参照しながら詳細に説明する。図9に本実施の形態3にかかる差動増幅器300の構成を示す。図9に示すように、差動増幅器300は、PMOSトランジスタMP101〜MP104、MP110、MP210と、NMOSトランジスタMN110、MN210と、容量素子C301〜C304とを有する。
【0062】
PMOSトランジスタMP110は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインがノードN101に接続される。また、PMOSトランジスタMP110は、ゲートにパワーダウン信号PDが入力される。PMOSトランジスタMP103は、ソースがノードN101、ドレインが出力端子OT、ゲートが入力端子IBに接続される。PMOSトランジスタMP101は、ソースが出力端子OT、ドレインがノードN201、ゲートが入力端子ITに接続される。NMOSトランジスタMN210は、ドレインがノードN201、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。また、NMOSトランジスタMN210は、ゲートに電源電圧VDDが入力される。容量素子C303は、PMOSトランジスタMP103のゲート−ソース間に接続される。容量素子C301は、PMOSトランジスタMP101のゲート−ソース間に接続される。これらPMOSトランジスタMP110、MP103、MP101、NMOSトランジスタMN210で構成される電流経路を第1の電流経路とする。
【0063】
PMOSトランジスタMP210は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインがノードN202に接続される。また、PMOSトランジスタMP210は、ゲートに接地電圧GNDが入力される。PMOSトランジスタMP104は、ソースがノードN202、ドレインが出力端子OB、ゲートが入力端子ITに接続される。PMOSトランジスタMP102は、ソースが出力端子OB、ドレインがノードN102、ゲートが入力端子IBに接続される。NMOSトランジスタMN110は、ドレインがノードN102、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。また、NMOSトランジスタMN110は、ゲートにパワーダウン信号PDBが入力される。パワーダウン信号PDBは、パワーダウン信号PDの逆相信号である。容量素子C304は、PMOSトランジスタMP104のゲート−ソース間に接続される。容量素子C302は、PMOSトランジスタMP102のゲート−ソース間に接続される。これらPMOSトランジスタMP210、MP104、MP102、NMOSトランジスタMN110で構成される電流経路を第2の電流経路とする。
【0064】
ここで、図9に示された符号のうち、図7と同じ符号を付した構成は、図7と同じか又は類似の構成を示している。差動増幅器300は、実施の形態2の差動増幅器200と比較して、PMOSトランジスタMP101〜MP104のゲート−ソース間にそれぞれ容量素子C301〜C304が接続されている点が異なる。
【0065】
これら容量素子C301〜C304が、PMOSトランジスタMP101〜MP104のゲートに接続されることで、動作状態変化時に発生するPMOSトランジスタMP101〜MP104のゲート電流の急激な変動を抑制することができる。これにより、例えば、実施の形態1、2では、ゲート電流の急激な変動が起こり、対応する寄生容量での電流の流出、流入では互いを相殺しきれない場合が発生するが、本実施の形態3では容量素子C301〜C304が、ゲート電流の急激な変動を抑制するため、上記電流の相殺を容易にすることが可能である。結果として、実施の形態1、2と比較してより入力端子IT、IBの電位の変動が減少するため、入力端子IT、IBに発生するノイズを更に削減することができる。また、これら容量素子C301〜C304として、例えば50f[F]〜100f[F]程度の非常に小さい容量値で設計可能である。このため差動増幅器300が実装される半導体集積回路のチップに対する回路面積増加の影響は軽微である。
【0066】
更に、入力信号IT、IBの入力電圧の違いにより、発生するノイズ量が異なることがある。しかし、本実施の形態3の差動増幅器300では、容量素子C301〜C304の容量値を調整することで、入力端子IT、IBに発生するノイズ量を削減することが可能である。例えば、容量素子C303、C304の容量値を0f[F]、50f[F]、100f[F]で変化させた場合の入力端子ITの電圧値を図10に示す。なお、容量素子C301、C302の容量値を更に変化せることで、入力端子ITの電圧値のノイズ量を更に減少させることも可能である。このように、容量素子C301〜C304の容量値を変化させることで、入力端子IT、IBに発生するノイズ量を最小にさせる最適容量値を求めることができる。また、容量素子C301〜C304のうち少なくとも1つだけ接続した場合であってもノイズの減少効果を得ることができる。例えば、入力端子IBに入力する信号を接地電圧GNDもしくは電源電圧VDDに固定し、入力端子ITに入力する信号の振幅を変化させる場合、容量素子C301だけ接続する。そして、容量素子C301の容量値を調整すると入力端子ITの電圧値のノイズ量を減少させることが可能となる。また同様に、容量素子C301とC304を接続してもかまわない。そして、容量素子C301、C304の容量値を調整すると入力端子ITの電圧値のノイズ量を減少させることが可能となる。
【0067】
また、図11に図9の差動増幅器300のMOSトランジスタの導電型を逆にした差動増幅器301の構成を示す。図11に示すように、差動増幅器301は、NMOSトランジスタMN101〜MN104、MN110、MN210と、PMOSトランジスタMP110、MP210とを有する。
【0068】
PMOSトランジスタMP110は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインがノードN101に接続される。また、PMOSトランジスタMP110は、ゲートにパワーダウン信号PDが入力される。NMOSトランジスタMN103は、ドレインがノードN101、ソースが出力端子OT、ゲートが入力端子IBに接続される。NMOSトランジスタMN101は、ドレインが出力端子OT、ソースがノードN201、ゲートが入力端子ITに接続される。NMOSトランジスタMN210は、ドレインがノードN201、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。また、NMOSトランジスタMN210は、ゲートに電源電圧VDDが入力される。容量素子C303は、NMOSトランジスタMN103のゲート−ソース間に接続される。容量素子C301は、NMOSトランジスタMN101のゲート−ソース間に接続される。これらPMOSトランジスタMP110、NMOSトランジスタMN103、MN101、MN210で構成される電流経路を第1の電流経路とする。
【0069】
PMOSトランジスタMP210は、ソースが電源電圧端子VDD、ドレインがノードN202に接続される。また、PMOSトランジスタMP210は、ゲートに接地電圧GNDが入力される。NMOSトランジスタMN104は、ドレインがノードN202、ソースが出力端子OB、ゲートが入力端子ITに接続される。NMOSトランジスタMN102は、ドレインが出力端子OB、ソースがノードN102、ゲートが入力端子IBに接続される。NMOSトランジスタMN110は、ドレインがノードN102、ソースが接地電圧端子GNDに接続される。また、NMOSトランジスタMN110は、ゲートにパワーダウン信号PDBが入力される。パワーダウン信号PDBは、パワーダウン信号PDの逆相信号である。容量素子C304は、NMOSトランジスタMN104のゲート−ソース間に接続される。容量素子C302は、NMOSトランジスタMN102のゲート−ソース間に接続される。これらPMOSトランジスタMP210、NMOSトランジスタMN104、MN102、MN110で構成される電流経路を第2の電流経路とする。
【0070】
ここで、図11に示された符号のうち、図8、図9と同じ符号を付した構成は、図8、図9と同じか又は類似の構成を示している。差動増幅器301は、差動増幅器300のPMOSトランジスタMP101〜MP104をそれぞれNMOSトランジスタMN101〜MN104に置き換えた構成となっている。また、差動増幅器301は、実施の形態2の差動増幅器201と比較して、NMOSトランジスタMN101〜MN104のゲート−ソース間にそれぞれ容量素子C301〜C304が接続されている点で異なる。
【0071】
これら容量素子C301〜C304が、NMOSトランジスタMN101〜MN104のゲートに接続されることで、動作状態変化時に発生するNMOSトランジスタMN101〜MN104のゲート電流の急激な変動を抑制することができる。そして、この変動が抑制されたゲート電流によって、実施の形態1、2で説明した対応する寄生容量同士で電流の流出、流入による相殺が行われる。差動増幅器300と同様、結果として、実施の形態1、2と比較してより入力端子IT、IBの電位の変動が減少するため、入力端子IT、IBに発生するノイズを更に削減することができる。その他の効果も差動増幅器300と同様である。
【0072】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものでなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施の形態3において、容量素子C303、C304のみであってもよい。逆に容量素子C301、C302のみであってもよい。また、実施の形態1の構成に対して、実施の形態3のようにPMOSトランジスタMP101〜MP104のゲート−ソース間に容量素子C301〜C304を接続してもよい。また、ゲート−ドレイン間に容量素子を接続してもよい。また、実施の形態1〜3では第1、第2の電流経路をMOSトランジスタで構成しているが、MOSトランジスタをバイポーラトランジスタで置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0073】
100、101、200、201、300、301 差動増幅器
MP101〜MP104、MP110、MP210 PMOSトランジスタ
MN101〜MN104、MN110、MN210 NMOSトランジスタ
C301〜C304 容量素子
IT、IB 入力端子
OT、OB 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが第1の電源端子と第2の電源端子間に接続され、差動出力信号の一方を出力する第1の電流経路と、前記差動出力信号の他方を出力する第2の電流経路とを備え、
前記第1の電流経路は、
前記第1の電源端子と前記差動信号のうち一方を出力する第1の出力端子との間に接続され、制御端子に差動入力信号の一方が入力される第1のトランジスタと、
前記第2の電源端子と前記第1の出力端子との間に接続され、制御端子に前記差動入力信号の他方が入力される第2のトランジスタと、
前記第1の電源端子と前記第1のトランジスタとの間に接続される第1のスイッチ回路と、を有し、
前記第2の電流経路は、
前記第2の電源端子と前記差動信号のうち他方を出力する第2の出力端子との間に接続され、制御端子に差動入力信号の一方が入力される第3のトランジスタと、
前記第1の電源端子と前記第2の出力端子との間に接続され、制御端子に前記差動入力信号の他方が入力される第4のトランジスタと、
前記第2の電源端子と前記第3のトランジスタとの間に接続される第2のスイッチ回路と、を有し、
前記第1、第2のスイッチ回路は、制御信号により駆動状態が制御される
差動増幅器。
【請求項2】
前記第1〜第4のトランジスタは、第1導電型のトランジスタである
請求項1に記載の差動増幅器。
【請求項3】
前記第1のスイッチ回路は、前記第1の電源端子と前記第1のトランジスタとの間に接続される第1導電型の第5トランジスタを有し、
前記第2のスイッチ回路は、前記第2の電源端子と前記第3のトランジスタとの間に接続される第2導電型の第6トランジスタを有し、
前記第5トランジスタの制御端子には前記制御信号の正相信号もしくは逆相信号の一方が入力され、前記第6トランジスタの制御端子には前記制御信号の正相信号もしくは逆相信号の他方が入力される
請求項2に記載の差動増幅器。
【請求項4】
前記第1の電流経路は、
前記第2の電源端子と前記第2のトランジスタとの間に接続され、制御端子に前記第1の電源端子の電圧が印加される第2導電型の第7のトランジスタを更に有し、
前記第2の電流経路は、
前記第1の電源端子と前記第4のトランジスタとの間に接続され、制御端子に前記第2の電源端子の電圧が印加される第1導電型の第8のトランジスタを更に有する
請求項3に記載の差動増幅器。
【請求項5】
前記第7のトランジスタは、トランジスタサイズが前記第6のトランジスタと実質的に同様であり、前記第8のトランジスタは、トランジスタサイズが前記第5のトランジスタと実質的に同様である
請求項4に記載の差動増幅器。
【請求項6】
少なくとも前記第1〜第4のトランジスタの1つは、制御端子と、一方の端子もしくは他方の端子との間に容量素子が接続される
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の差動増幅器。
【請求項7】
前記容量素子の容量値は、100f[F]以下の値である
請求項6に記載の差動増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−35597(P2011−35597A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178960(P2009−178960)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】