説明

情報処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体

【課題】移動中のユーザに、より有用な情報を効率的に提供ができるようにする。
【解決手段】ユーザが保持する携帯デバイスのディスプレイの画面1290において、領域1291に表示される乗車券の区間の情報の行先駅(「△△駅」)に対応して、領域1293に表示される付加情報が送信される。付加情報は、行先駅の近辺で提供されるサービスや商品、または広告主が乗り越し運賃を負担するクーポンなどとされる。また、コンテンツとして視聴されるデータにクーポン等を含む広告が付加されて携帯デバイスに送信されるようにすることも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関し、特に、移動中のユーザに、より有用な情報を効率的に提供することができるようにする情報処理装置および方法、プログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電車などの乗車券をICカード化する動きが広がっており、これらのICカードで買い物をすることなども可能となってきている。今後は、ユーザが保持する携帯電話機などに、このようなICカードと同様の機能が組み込まれ、乗車券や買い物代金の決済などの他、例えば、鉄道事業者や小売店から、必要に応じてユーザの携帯電話機に情報を提供するなどのさまざまな新しいサービスの提供が期待されている。
【0003】
一方、携帯電話機を利用したサービスは、年々多くなってきており、近年では、携帯電話機にGPS(Global Positioning System)機能を搭載し、ユーザの目的地までの進路をナビゲーションするサービスも提供されている。
【0004】
また近年、無線通信の技術も進歩しており、例えば、2.4GHz帯域を用いる無線伝送方式(いわゆるBluetooth)によりパソコン、周辺機器、家電、携帯電話機など、デバイスを問わないデータ交換の実現が期待されているほか、人体など通常の通信媒体とは異なる導体を用いて送信器と受信器による通信を行う技術も提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照。)。このような無線通信の技術が、今後、例えば携帯電話機などのユーザにより携帯される電子機器に用いられ、従来なかった新たなサービスの提供が行われることが期待される。
【0005】
【特許文献1】特表平11−509380号公報
【特許文献2】特開10−229357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の携帯電話機に対する情報提供は、ユーザにより行われるダウンロードや、予め設定された条件に基づいて通知されるメールなどが一般的であり、例えば、ユーザの行先(目的地)などに応じて多彩な情報を提供することができれば、ユーザにとっても、事業者にとってもさらに利便性が高まる。
【0007】
また、例えば電車に乗車して移動中のユーザに対して、携帯電話機のGPS(Global Positioning System)機能を用いてその位置を特定し、ユーザの目的地までの進路をナビゲーションすることは困難であった。
【0008】
さらに、特許文献1の技術では、送信器、人体、受信器、アースグラウンドと結合された閉回路が構成され、信号が伝達されるというものであるため、送信器および受信器の人体から遠い方の電極とアースグラウンドとの結合はきわめて希薄で、実質的には閉回路を構成しにくい。また、特許文献2の技術では、送信器、人体、受信器、大気と結合された閉回路が構成され、信号を伝達するというものであるため、大気を介して結合するには、送信器と受信器がかなり近くに配置されなければならない。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、移動中のユーザに、より有用な情報を効率的に提供することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面は、ユーザが保持する端末に、前記ユーザに提供すべき情報を送信する情報処理装置であって、自分に接続される信号処理装置のうち、前記端末と通信可能な信号処理装置から送信される情報に基づいて、前記端末のユーザの現在位置の情報を取得する現在位置取得手段と、前記現在位置取得手段により取得された現在位置の情報に基づいて、自分が読み出し可能な複数の情報の中から、前記ユーザに提供すべき情報を検索する検索手段と、前記検索手段により検索された前記情報を、前記端末に送信する送信手段と、を備える情報処理装置である。
【0011】
前記信号処理装置により前記端末から取得される前記ユーザの行先または出発地に関する情報を取得する情報取得手段をさらに備え、前記検索手段は、前記情報取得手段により取得された行先または出発地に関する情報に基づいて、自分が読み出し可能な複数の情報の中から、前記ユーザに提供すべき情報を検索するようにすることができる。
【0012】
前記報取得手段は、前記ユーザが交通機関を利用するとき、前記端末に記憶させる前記交通機関の乗車券に対応する情報に基づいて、前記ユーザの行先または出発地に関する情報を取得するようにすることができる。
【0013】
前記検索手段は、前記ユーザに提供すべき情報として、前記乗車券により前記ユーザが到達可能な前記交通機関の施設の近辺において、前記ユーザに対して提供される商品またはサービスに関する情報を検索するようにすることができる。
【0014】
前記検索手段により検索される情報には、前記ユーザに対して提供される商品またはサービスの提供者が、前記情報を記憶した前記端末を保持するユーザに対して、前記情報を記憶した前記端末を保持していないユーザに対して提供されるサービスとは異なる所定のサービスを提供することを示す情報が含まれるようにすることができる。
【0015】
前記所定のサービスを提供することを示す情報は、前記端末に送信されるコンテンツのデータに付加されて送信されるようにすることができる。
【0016】
前記所定のサービスを提供することを示す情報が、前記商品またはサービスの提供者に提示された場合、前記端末が前記所定のサービスを提供することを示す情報が提示されたことを表す情報を記憶し、前記端末から前記所定のサービスを提供することを示す情報が提示されたことを表す情報を取得し、前記取得された情報に基づいて、前記端末を所持するユーザの嗜好を表す情報を生成するようにすることができる。
【0017】
前記コンテンツのデータがワンセグ放送として、前記端末に送信されるようにすることができる。
【0018】
前記検索手段により検索され、前記ユーザに提供される複数の情報のうち、予め設定された基準に従って選択された情報が前記端末を介して前記ユーザに提示されるようにすることができる。
【0019】
前記端末を介して前記ユーザに提示された情報を特定する情報が前記端末に記録され、前記端末に記録された前記端末を介して前記ユーザに提示された情報を特定する情報を取得するユーザ提示情報取得手段をさらに備えるようにすることができる。
【0020】
前記ユーザ提示情報取得手段が、前記ユーザに対して所定のサービスを提供するための機器に設けられ、前記ユーザに対して前記所定のサービスが提供されるとき、前記端末に記録された前記端末を介して前記ユーザに提示された情報を特定する情報が取得されるようにすることができる。
【0021】
前記検索手段は、前記ユーザに提供すべき情報として、前記乗車券により前記ユーザが到達可能な前記交通機関の第1の施設のさらに先にある前記交通機関の第2の施設の近辺において、前記ユーザに対して提供される商品またはサービスに関する情報を検索するようにすることができる。
【0022】
前記検索手段により検索される情報には、前記ユーザに対して提供される商品またはサービスの提供者が、前記ユーザが前記第1の施設のさらに先にある前記交通機関の第2の施設まで、前記交通機関を利用して移動するための費用を負担することを証明する情報が含まれるようにすることができる。
【0023】
前記検索手段により検索される情報には、前記交通機関の利用方法に関する情報が含まれるようにすることができる。
【0024】
前記検索手段により検索される情報には、前記交通機関による移動に要する時間に関する情報が含まれるようにすることができる。
【0025】
前記検索手段は、前記ユーザに提供すべき情報として、前記乗車券の出発地から行先までの経路上の地図情報を検索するようにすることができる。
【0026】
前記現在位置取得手段により取得された現在位置が、前記経路上で予め設定された地点から所定の範囲内である場合、前記端末を介して前記ユーザに対する警告を出力させるようにすることができる。
【0027】
前記検索手段により検索される情報には、前記ユーザに対する広告が含まれ、前記送信手段により、前記端末に前記広告が送信された場合、広告主に対する、前記広告の送信に対応する課金情報を生成する課金情報生成手段をさらに備えるようにすることができる。
【0028】
前記信号処理装置および前記端末のそれぞれが、出力値を判定するための基準点を得るための基準電極と、前記基準電極よりも通信媒体に対して静電結合が強くなるように設けられた信号電極とを有し、前記基準電極と、前記信号電極との間に生じた電位差に基づく信号に基づいて前記端末との通信が行われるようにすることができる。
【0029】
前記通信媒体は、人体であるようにすることができる。
【0030】
本発明の一側面は、ユーザが保持する端末に、前記ユーザに提供すべき情報を送信する情報処理装置の情報処理方法であって、自分に接続される信号処理装置のうち、前記端末と通信可能な信号処理装置から送信される情報に基づいて、前記端末のユーザの現在位置の情報を取得し、取得された現在位置の情報に基づいて、自分が読み出し可能な複数の情報の中から、前記ユーザに提供すべき情報を検索し、検索された前記情報を、前記端末に送信するステップを含む情報処理方法である。
【0031】
本発明の一側面は、ユーザが保持する端末に、前記ユーザに提供すべき情報を送信する情報処理装置に情報処理を実行させるプログラムであって、自分に接続される信号処理装置のうち、前記端末と通信可能な信号処理装置から送信される情報に基づいて、前記端末のユーザの現在位置の情報の取得を制御し、取得された現在位置の情報に基づいて、自分が読み出し可能な複数の情報の中から、前記ユーザに提供すべき情報の検索を制御し、検索された前記情報の、前記端末への送信を制御するステップを含むコンピュータが読み取り可能なプログラムである。
【0032】
本発明の一側面によれば、自分に接続される信号処理装置のうち、前記端末と通信可能な信号処理装置から送信される情報に基づいて、前記端末のユーザの現在位置の情報が取得され、取得された現在位置の情報に基づいて、自分が読み出し可能な複数の情報の中から、前記ユーザに提供すべき情報が検索され、検索された前記情報が、前記端末に送信される。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、移動中のユーザに、より有用な情報を効率的に提供ができるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0035】
本発明の一側面の情報処理装置は、ユーザが保持する端末(例えば、図9の携帯デバイス1002)に、前記ユーザに提供すべき情報を送信する情報処理装置(例えば、図9の管理サーバ1171)であって、自分に接続される信号処理装置(例えば、図9の送受信装置1151)のうち、前記端末と通信可能な信号処理装置から送信される情報に基づいて、前記端末のユーザの現在位置の情報を取得する現在位置取得手段(例えば、図13のステップS102の処理を実行する図12のCPU1501)と、前記現在位置取得手段により取得された現在位置の情報に基づいて、自分が読み出し可能な複数の情報の中から、前記ユーザに提供すべき情報を検索する検索手段(例えば、図13のステップS103の処理を実行する図12のCPU1501)と、前記検索手段により検索された前記情報を、前記端末に送信する送信手段(例えば、図13のステップS104の処理を実行する図12のCPU1501)と、を備える。
【0036】
この情報処理装置は、前記信号処理装置により前記端末から取得される前記ユーザの行先または出発地に関する情報を取得する情報取得手段(例えば、図18のステップS221の処理を実行する図12のCPU1501)をさらに備え、前記検索手段は、前記情報取得手段により取得された行先または出発地に関する情報に基づいて、自分が読み出し可能な複数の情報の中から、前記ユーザに提供すべき情報を検索する(例えば、図18のステップS222の処理により検索する)ようにすることができる。
【0037】
この情報処理装置は、前記検索手段が、前記ユーザに提供すべき情報として、前記乗車券により前記ユーザが到達可能な前記交通機関の施設(例えば、駅)の近辺において、前記ユーザに対して提供される商品またはサービスに関する情報(例えば、図21に示される情報)を検索するようにすることができる。
【0038】
この情報処理装置は、前記検索手段により検索される情報には、前記ユーザに対して提供される商品またはサービスの提供者が、前記情報を記憶した前記端末を保持するユーザに対して、前記情報を記憶した前記端末を保持していないユーザに対して提供されるサービスとは異なる所定のサービスを提供することを示す情報(例えば、図22のクーポン1297)が含まれるようにすることができる。
【0039】
この情報処理装置は、前記所定のサービスを提供することを示す情報は、前記端末に送信されるコンテンツのデータに付加されて(例えば、図34に示されるように付加されて)送信されるようにすることができる。
【0040】
この情報処理装置は、前記所定のサービスを提供することを示す情報が、前記商品またはサービスの提供者に提示された場合、前記端末が前記所定のサービスを提供することを示す情報が提示されたことを表す情報を記憶し(例えば、図36に示されるように記憶し)、前記端末から前記所定のサービスを提供することを示す情報が提示されたことを表す情報を取得し、前記取得された情報に基づいて、前記端末を所持するユーザの嗜好を表す情報を生成するようにすることができる。
【0041】
この情報処理装置は、前記検索手段により検索され、前記ユーザに提供される複数の情報のうち、予め設定された基準に従って選択された(例えば、図28のステップS323の処理で選択された)情報が前記端末を介して前記ユーザに提示されるようにすることができる。
【0042】
この情報処理装置は、前記端末を介して前記ユーザに提示された情報を特定する情報が前記端末に記録され、前記端末に記録された前記端末を介して前記ユーザに提示された情報を特定する情報を取得するユーザ提示情報取得手段(例えば、図32のステップS361の処理を実行する図12のCPU1501)をさらに備えるようにすることができる。
【0043】
この情報処理装置は、前記ユーザ提示情報取得手段が、前記ユーザに対して所定のサービスを提供するための機器(例えば、図30の端末1031)に設けられ、前記ユーザに対して前記所定のサービスが提供されるとき、前記端末に記録された前記端末を介して前記ユーザに提示された情報を特定する情報が取得されるようにすることができる。
【0044】
この情報処理装置は、前記検索手段が、前記ユーザに提供すべき情報として、前記乗車券により前記ユーザが到達可能な前記交通機関の第1の施設(例えば、図22の△△駅)のさらに先にある前記交通機関の第2の施設(例えば、図22の□□駅)の近辺において、前記ユーザに対して提供される商品またはサービスに関する情報(例えば、図21に示される情報)を検索するようにすることができる。
【0045】
この情報処理装置は、前記検索手段により検索される情報には、前記ユーザに対して提供される商品またはサービスの提供者が、前記ユーザが前記第1の施設(例えば、駅)のさらに先にある前記交通機関の第2の施設まで、前記交通機関を利用して移動するための費用を負担することを証明する情報(例えば、図22のクーポン1297)が含まれるようにすることができる。
【0046】
この情報処理装置は、前記検索手段により検索される情報には、前記交通機関の利用方法(例えば、乗換え案内、出口案内)に関する情報が含まれるようにすることができる。
【0047】
この情報処理装置は、前記現在位置取得手段により取得された現在位置が、前記経路上で予め設定された地点(例えば、分岐点、乗換駅近傍)から所定の範囲内である場合、前記端末を介して前記ユーザに対する警告(例えば、表示、音声、振動など)を出力させるようにすることができる。
【0048】
この情報処理装置は、前記検索手段により検索される情報には、前記ユーザに対する広告が含まれ、前記送信手段により、前記端末に前記広告が送信された場合、広告主に対する、前記広告の送信に対応する課金情報を生成する課金情報生成手段(例えば、図18のステップS224の処理を実行する図12のCPU1501)をさらに備えるようにすることができる。
【0049】
この情報処理装置は、前記信号処理装置および前記端末のそれぞれが、出力値を判定するための基準点を得るための基準電極(例えば、図11の基準電極1102または図12の基準電極1202)と、前記基準電極よりも通信媒体に対して静電結合が強くなるように設けられた信号電極(例えば、図11の信号電極1101または図12の信号電極1201)とを有し、前記基準電極と、前記信号電極との間に生じた電位差に基づく信号に基づいて前記端末との通信が行われるようにすることができる。
【0050】
本発明の一側面の情報処理方法は、ユーザが保持する端末(例えば、図9の携帯デバイス1002)に、前記ユーザに提供すべき情報を送信する情報処理装置(例えば、図9の管理サーバ1171)の情報処理方法であって、自分に接続される信号処理装置(例えば、図9の送受信装置1151)のうち、前記端末と通信可能な信号処理装置から送信される情報に基づいて、前記端末のユーザの現在位置の情報を取得し(例えば、図13のステップS102の処理)、取得された現在位置の情報に基づいて、自分が読み出し可能な複数の情報の中から、前記ユーザに提供すべき情報を検索し(例えば、図13のステップS103の処理)、検索された前記情報を、前記端末に送信する(例えば、図13のステップS104の処理)ステップを含む。
【0051】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。最初に本発明において利用する無線通信について図1乃至図8を参照して詳細に説明する。
【0052】
図1は、本発明を適用した通信システムの一実施形態に係る構成例を示す図である。
【0053】
図1において、通信システム100は、送信装置110、受信装置120、および通信媒体130により構成され、送信装置110と受信装置120が通信媒体130を介して信号を送受信するシステムである。つまり、通信システム100において、送信装置110より送信された信号は、通信媒体130を介して伝送され、受信装置120により受信される。
【0054】
送信装置110は、送信信号電極111、送信基準電極112、および送信部113を有している。送信信号電極111は、通信媒体130を介して伝送させる信号を送信するための電極であり、信号の高低差を判定するための基準点を得るための電極である送信基準電極112よりも通信媒体130に対して静電結合が強くなるように設けられる。送信部113は、送信信号電極111と送信基準電極112との間に設けられ、これらの電極間に受信装置120へ伝達したい電気信号(電位差)を与える。
【0055】
受信装置120は、受信信号電極121、受信基準電極122、および受信部123を有している。受信信号電極121は、通信媒体130を介して伝送される信号を受信するための電極であり、信号の高低差を判定するための基準点を得るための電極である受信基準電極122よりも通信媒体130に対して静電結合が強くなるように設けられる。受信部123は、受信信号電極121と受信基準電極122との間に設けられ、これらの電極間に生じた電気信号(電位差)を所望の電気信号に変換し、送信装置110の送信部113で生成された電気信号を復元する。
【0056】
通信媒体130は、電気信号を伝達可能な物理的特性を有する物質、例えば、導電体や誘電体等により構成される。例えば、通信媒体130は、金属に代表される導電体(例えば、銅、鉄、またはアルミ等)により構成される。また例えば、通信媒体130は、純水、ゴム、ガラス、若しくは食塩水等の電解液、または、これらの複合体である生体等の誘電体により構成される。この通信媒体130はどのような形状であってもよく、例えば、線状、板状、球状、角柱、または円柱等、任意の形状であってもよい。
【0057】
このような通信システム100において、最初に、各電極と、通信媒体または装置周辺空間との関係について説明する。なお、以下において、説明の便宜上、通信媒体130が完全導体であるものとする。また、送信信号電極111と通信媒体130との間、および、受信信号電極121と通信媒体130との間には空間が存在し、電気的な結合はないものとする。すなわち、送信信号電極111または受信信号電極121と、通信媒体130との間には、それぞれ、静電容量が形成される。
【0058】
また、送信基準電極112は送信装置110周辺の空間に向くように設けられており、受信基準電極122は受信装置120周辺の空間に向くように設けられている。一般的に、導体が空間に存在する場合、その導体の表面近傍の空間に静電容量が形成される。例えば、導体の形状を半径r[m]の球としたとき、その静電容量Cは、以下の式(1)のように求められる。
【0059】
【数1】

【0060】
式(1)において、πは円周率を示す。また、εは、導体を取り囲む媒質の誘電率を示し、以下の式(2)のように求められる。
【0061】
【数2】

【0062】
ただし、式(2)において、ε0は、真空中の誘電率を示し、8.854×10−12[F/m]である。また、εrは比誘電率を示し、真空の誘電率ε0に対する比率を示す。
【0063】
上述した式(1)に示されるように半径rが大きい程、静電容量Cは大きくなる。なお、球以外の複雑な形状の導体の静電容量Cの大きさは、上述した式(1)のように、簡単に表現することはできないが、その導体の表面積の大きさに応じて変化することは明らかである。
【0064】
以上のように、送信基準電極112は、送信装置110周辺の空間に対して静電容量を形成し、受信基準電極122は、受信装置120周辺の空間に対して静電容量を形成する。すなわち、送信装置110および受信装置120の外部の仮想無限遠点からみたとき、送信基準電極112や受信基準電極122の電位は固定的であり、変動しにくいことを示している。
【0065】
次に、通信システム100における通信の仕組みの原理について説明する。なお、以下において、説明の便宜上、または前後関係等から、コンデンサを単に静電容量と表現する場合もあるが、これらは同意である。
【0066】
また、以下において、図1の送信装置110と受信装置120は、装置間が十分な距離を保つように配置されており、相互の影響を無視できるものとする。また、送信装置110において、送信信号電極111は通信媒体130とのみ静電結合し、送信基準電極112は送信信号電極111に対して十分な距離が置かれ、相互の影響は無視できる(静電結合しない)ものとする。同様に、受信装置120において、受信信号電極121は通信媒体130とのみ静電結合し、受信基準電極122は受信信号電極121に対して十分な距離が置かれ、相互の影響は無視できる(静電結合しない)ものとする。さらに、実際には、送信信号電極111、受信信号電極121、および通信媒体130も、空間内に配置されている以上、それぞれ空間に対する静電容量を有することになるが、ここでは、説明の便宜上、それらを無視できるものとする。
【0067】
図2は、図1の通信システム100を等価回路で表した図である。通信システム200は、通信システム100を等価回路で表したものであり、実質的に通信システム100と等価である。
【0068】
すなわち、通信システム200は、送信装置210、受信装置220、および接続線2230を有しているが、この送信装置210は図1に示される通信システム100の送信装置110に対応し、受信装置220は図1に示される通信システム100の受信装置120に対応し、接続線230は図1に示される通信システム100の通信媒体130に対応する。
【0069】
図2の送信装置210において、信号源213−1および接地点213−2は、図1の送信部113に対応する。信号源213−1は、送信用の信号として、特定周期ω×t[rad]の正弦波を生成する。ここで、t[s]は時間を示す。また、ω[rad/s]は角周波数を示し、以下の式(3)のように表すことができる。
【0070】
【数3】

【0071】
式(3)において、πは円周率、f[Hz]は信号源213−1が生成する信号の周波数を示す。接地点213−2は、送信装置210内における回路のグランドに接続される点である。つまり信号源213の端子の一方は、送信装置210内における回路の、所定の基準電位に設定される。
【0072】
Cte214は、コンデンサであり、図1の送信信号電極111と通信媒体130との間の静電容量を表すものである。つまり、Cte214は、信号源213−1の接地点213−2と反対側の端子と、接続線230との間に設けられている。また、Ctg215は、コンデンサであり、図1の送信基準電極112の空間に対する静電容量を表すものである。Ctg215は、信号源213−1の設置点213−2側の端子と、空間上の、送信装置110を基準とした無限遠点(仮想点)を示す接地点216との間に設けられている。
【0073】
図2の受信装置220において、Rr223−1、検出器223−2、および接地点223−3は、図1の受信部123に対応する。Rr223−1は、受信信号を取り出すための負荷抵抗(受信負荷)であり、増幅器により構成される検出器223−2は、このRr223−1の両側の端子間の電位差を検出して増幅する。接地点223−3は、受信装置220内における回路のグランドに接続される点である。つまりRr223−1の端子の一方(検出器223−2の入力端子の一方)は、受信装置220内における回路の、所定の基準電位に設定される。
【0074】
なお、検出器223−2が、さらに、例えば、検出した変調信号を復調したり、検出された信号に含まれる符号化された情報を復号したりする等、その他の機能を備えるようにしてもよい。
【0075】
Cre224は、コンデンサであり、図1の受信信号電極121と通信媒体130との間の静電容量を表すものである。つまり、Cre224は、Rr223−1の接地点223−3と反対側の端子と、接続線230との間に設けられている。また、Crg225は、コンデンサであり、図1の受信基準電極122の空間に対する静電容量を表すものである。Crg225は、Rr223−1の設置点223−3側の端子と、空間上の、受信装置120を基準とした無限遠点(仮想点)を示す接地点226との間に設けられている。
【0076】
接続線230は、完全導体である通信媒体130を表している。なお、図2の通信システム200において、Ctg215とCrg225は、等価回路上、接地点216と接地点226を介して、互いに電気的に接続されているように表現されているが、実際には、これらは互いに電気的に接続されている必要はなく、それぞれが、送信装置210または受信装置220周辺の空間に対して静電容量を形成していればよい。つまり、接地点216と接地点226が電気的に接続されている必要はなく、互いに独立であってもよい。
【0077】
なお、導体があれば、周囲の空間に対して、必ずその表面積の大きさに比例した静電容量が形成される。つまり、例えば、送信装置210と受信装置220は、互いにどんなに離れていてもよい。例えば、図1の通信媒体130が完全導体である場合、接続線230の導電率は無限大とみなせるので、接続線230の長さは通信に影響しない。なお、通信媒体130が導電率の十分な導体であれば、実用上、送信装置と受信装置間との距離は通信の安定性に影響しない。
【0078】
通信システム200において、信号源213−1、Rr223−1、Cte214、Ctg215、Cre224、およびCrg225から成る回路が形成されている。直列接続された4つのコンデンサ(Cte214、Ctg215、Cre224、およびCrg225)の合成容量Cxは以下の式(4)で表すことができる。
【0079】
【数4】

【0080】
また、信号源213−1が生成する正弦波vt(t)を、以下の式(5)のように表す。
【0081】
【数5】

【0082】
ここで、Vm[V]は信号源電圧の最大振幅電圧を表しており、θ[rad]は初期位相角を表している。つまり、信号源213−1による電圧の実効値Vtrms[V]は以下の式(6)のように求めることができる。
【0083】
【数6】

【0084】
回路全体での合成インピーダンスZは、次の式(7)のように求めることができる。
【0085】
【数7】

【0086】
つまり、Rr223−1の両端に生じる電圧の実効値Vrrmsは式(8)のように求めることができる。
【0087】
【数8】

【0088】
従って、式(8)に示されるように、Rr223−1の抵抗値が大きい程、また、静電容量Cxが大きく、信号源213−1の周波数f[Hz]が高い程、1/((2×π×f×Cx)2)の項が小さくなり、Rr223−1の両端に、より大きな信号を生じさせることができる。
【0089】
例えば、送信装置210の信号源213−1による電圧の実効値Vtrmsを2[V]に固定し、信号源213−1が生成する信号の周波数fを1[MHz]、10[MHz]、または100[MHz]とし、Rr223−1の抵抗値を10K[Ω]、100K[Ω]、または1M[Ω]とし、回路全体の静電容量Cxを0.1[pF]、1[pF]、または10[pF]としたときの、Rr223−1の両端に生じる電圧の実効値Vrrmsの計算結果は図3に示される表250のようになる。
【0090】
表250に示されるように、実効値Vrrmsの計算結果は、その他の条件が同じ場合、周波数fが1[MHz]のときよりも10[MHz]のときの方が大きくなり、受信負荷であるRr223−1の抵抗値が10K[Ω]のときよりも1M[Ω]の時のほうが大きくなり、静電容量Cxが0.1[pF]のときよりも10[pF]の時のほうが大きな値をとる。すなわち、周波数fの値、Rr223−1の抵抗値、および静電容量Cxが大きいほど、大きな実効値Vrrms得られる。
【0091】
また、表250より、ピコファラド以下の静電容量でも、Rr223−1には電気信号が発生することが分かる。すなわち、伝送される信号の信号レベルが微小な場合、受信装置220の検出器223−2によって検出した信号を増幅する等すれば、通信が可能となる。
【0092】
以上の結果から、基本原理として、空間と成す静電容量を利用することによって、送信装置から受信装置への信号の受け渡しが可能である。
【0093】
以上において説明した送信基準電極や受信基準電極の空間に対する静電容量は、各電極の位置に空間が存在すれば形成可能である。従って、上述した送信装置および受信装置は、通信媒体によって送信信号電極と受信信号電極が結合されていれば、互いの距離に依存せずに通信の安定性を得ることができる。
【0094】
次に、送信装置と受信装置の間の距離の大きさによる通信への影響について説明する。
上述したように、本発明の原理によれば、送信基準電極と受信基準電極の空間に十分な静電容量を形成できていれば、送受信装置間近辺の大地による経路や、その他の電気的な経路を必要とせず、送信信号電極と受信信号電極の距離に依存しない。従って、例えば、図4に示される通信システム700のように、送信装置710と受信装置720を遠距離におき、十分な導電性あるいは誘電性を持った通信媒体730により送信信号電極711、受信信号電極721を静電的に結合することによって通信が可能である。このとき、送信基準電極712は送信装置710の外部の空間と静電結合し、受信基準電極722は受信装置720の外部の空間と静電結合する。従って、送信基準電極712と受信基準電極722は、互いに静電結合する必要がない。但し、通信媒体730がより長く、大きくなることによって空間に対する静電容量も増加するため、各パラメータを決定する際にこれらについて考慮する必要がある。
【0095】
なお、図4の通信システム700は、図1の通信システム100に対応するシステムであり、送信装置710は送信装置110に対応し、受信装置720は受信装置120に対応し、通信媒体730は通信媒体130に対応する。
【0096】
送信装置710において、送信信号電極711、送信基準電極712、および信号源713−1は、それぞれ、送信信号電極111、送信基準電極112、および送信部113(またはその一部)に対応する。同様に、受信装置720において、受信信号電極721、受信基準電極722、およびRr723−1は、それぞれ、受信信号電極121、受信基準電極122、および受信部123(またはその一部)に対応する。
【0097】
従って、これらの各部についての説明は省略する。
【0098】
以上のように通信システム700は、物理的な基準点経路を不要とし、通信信号伝達経路のみによる通信を実現することができる。
【0099】
なお、以上においては、送信信号電極および受信信号電極が通信媒体と非接触であるように説明したが、これに限らず、送信基準電極および受信基準電極がそれぞれの装置周辺空間との間で十分な静電容量が得られるのであれば、送信信号電極と受信信号電極の間を、導電性を有する通信媒体で接続するようにしてもよい。
【0100】
次に、以上のような通信システムの具体的な適用例について説明する。例えば、以上のような通信システムは、生体を通信媒体とすることもできる。図5は、人体を介して通信を行う場合の通信システムの例を示す模式図である。図5において、通信システム750は、人体の腕部に取り付けられた送信装置760から音楽データを送信し、人体の頭部に取り付けられた受信装置770によってその音楽データを受信して音声に変換し、出力してユーザに視聴させるシステムである。この通信システム750は、上述した通信システム(例えば、通信システム100)に対応したシステムであり、送信装置760や受信装置770は、それぞれ、送信装置110や受信装置120に対応する。また、通信システム750において人体780は、通信媒体であり、図1の通信媒体130に対応する。
【0101】
つまり、送信装置760は、送信信号電極761、送信基準電極762、および送信部763を有しており、それぞれ、図1の送信信号電極111、送信基準電極112、および送信部113に対応する。また、受信装置770は、受信信号電極771、受信基準電極772、および受信部773を有しており、それぞれ、図1の受信信号電極121、受信基準電極122、および受信部123に対応する。
【0102】
従って、通信媒体である人体780に、送信信号電極761および受信信号電極771が接触または近接されるように、送信装置760および受信装置770が設置される。送信基準電極762および受信基準電極772は、空間に対して静電容量を持てばよいので、周辺に大地との結合や、送受信装置(または電極)同士の結合も不要である。
【0103】
図6は、通信システム750を実現する他の例について説明する図である。図6において、受信装置770は、人体780に対して足裏部において接触(または近接)し、人体780の腕部に取り付けられた送信装置760との間で通信を行う。この場合も、通信媒体である人体780に接触(または近接)されるように、送信信号電極761と受信信号電極771が設けられ、空間に向けて送信基準電極762と受信基準電極772が設けられている。特に、大地を通信経路の1つとしていた従来技術では実現不可能な応用例である。
【0104】
このように、本発明によれば、人体などを通信媒体として、ケーブルなどの有線設備を設けることなく、無線通信を行うことが可能となる。
【0105】
以上のような通信システムにおいて、通信媒体に流す信号の変調方式としては、送信装置と受信装置の両方において対応可能であれば、特に制限はなく、通信システム全体の系の特性を踏まえた上で、最適な方式を選択することが出来る。具体的に変調方式としては、ベースバンド、または振幅変調、または周波数変調されたアナログ信号か、ベースバンド、または振幅変調、または周波数変調、または位相変調されたデジタル信号のうちのいずれか1つ、または複数の混合であってもよい。
【0106】
さらに、以上のような通信システムにおいて、1つの通信媒体を利用して、複数の通信が成立させ、全二重通信や、単一の通信媒体による複数の装置同士による通信等を実行することができるようにしてもよい。
【0107】
このような多重通信を実現する方法の例を説明する。1つ目は、スペクトラム拡散方式を適用させる方法である。この場合、送信装置と受信装置の間で互いに周波数帯域幅と特定の時系列コードを取り決めておく。そして送信装置は、この周波数帯域幅の中で、もとの信号を時系列コードによって周波数的に変化させ、周波数帯域全体に拡散させてから送信する。受信装置は、この拡散した成分を受信した後、その受信した信号を積分することで受信信号を復号する。
【0108】
周波数の拡散によって得られる効果を説明する。シャノンとハートレーのチャネル容量の定理によれば、次の式が成り立つ。
【0109】
【数9】

【0110】
ここで、C[bps]はチャネル容量を示し、通信路に流すことの出来る理論上の最大データレートを示す。B[Hz]はチャネル帯域幅を示す。S/Nは信号対ノイズ電力比(SN比)を示す。さらに、上式をマクローリン展開し、S/Nが低いものとすると、上述した式(9)は、次の式(10)のように近似することができる。
【0111】
【数10】

【0112】
これにより、例えばS/Nがノイズフロア以下のレベルであったとすると、S/N<<1となるが、チャネル帯域幅Bを広げることで、チャネル容量Cを所望のレベルに引き上げることが出来る。
【0113】
時系列コードを通信路毎に異なるようし、周波数拡散の動きを異なるようにすれば、相互に干渉することなく周波数が拡散し、相互の混信がなくなることで、同時に複数の通信を行うことができる。
【0114】
2つ目は、送信装置と受信装置の間で互いに周波数帯域幅を決め、それをさらに複数の領域に分割する周波数分割方式を適用させる方法である。この場合、送信装置(または受信装置)は、特定の周波数帯域割り振りの規則に従うか、通信開始時に空いている周波数帯域を検出し、その検出結果に基づいて周波数帯域の割り振りを行う。
【0115】
つまり、通信経路毎に異なる周波数帯域を利用することにより、相互の混信を抑制し、1つの通信媒体において、同時に複数の通信を行うことができる。また、周波数分割方式を用いることにより、多対一通信や、多対多通信も行うことができる。
【0116】
3つ目は、送信装置と受信装置の間で互いに通信時間を複数に分割する時分割方式を適用させる方法である。この場合、送信装置(または受信装置)は、特定の時間分割規則に従うか、通信開始時に空いている時間領域を検出し、その検出結果に基づいて通信時間の分割を行う。
【0117】
つまり、通信経路毎に異なる時間帯域において通信を行うことにより、相互の混信を抑制し、1つの通信媒体において、同時に複数の通信を行うことができる。また、時分割方式を用いることにより、多対一通信や、多対多通信も行うことができる。
【0118】
さらに、上述した以外の方法として、1つ目から3つ目までの通信方式のうちの2つ以上を組み合わせるようにしてもよい。
【0119】
送信装置および受信装置が、同時に複数の他の装置と通信を行うことができるということは、特定のアプリケーションにおいては、特に重要になる。例えば、交通機関のチケットへの応用を想定すると、定期券の情報を有する装置Aと電子マネー機能を有する装置Bの両方を所持した利用者が、自動改札機を利用する際、上記のような方式を使用することで、装置A及び装置Bと同時に通信することで、例えば、利用区間が定期券外の区間も含まれていた場合に、不足金額分を装置Bの電子マネーから差し引くといった便利な用途に利用することが出来る。
【0120】
以上のような送信装置と受信装置との間の通信において実行される通信処理の流れについて、図1の通信システム100の送信装置110と受信装置120との通信の場合を例に、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0121】
送信装置110の送信部113は、ステップS11において、送信対象となる信号を発生し、ステップS12において、その発生した信号を、送信信号電極111を介して、通信媒体130上に送信する。信号を送信すると送信装置の送信部113は、通信処理を終了する。送信装置110より送信された信号は、通信媒体130を介して受信装置120に供給される。受信装置120の受信部123は、ステップS21において、受信信号電極121を介して、その信号を受信し、ステップS22において、その受信した信号を出力する。受信した信号を出力した受信部123は、通信処理を終了する。
【0122】
以上のように、送信装置110および受信装置120は、通信媒体130を介して、複雑な処理を必要とせずに、単純な処理により、基本的な通信を行うことができる。つまり、送信装置110および受信装置120は、基準電極を用いて閉回路を構築する必要がないため、信号電極を介して送受信するのみで、環境に影響されずに安定した通信処理を容易に行うことができる。これにより送信装置110および受信装置120(通信システム100)は、環境に影響されずに安定した通信を行うための通信処理の負荷を軽減し、製造コストを削減することもできる。また、通信処理の構造が単純化されることにより、通信システム100は、変調、符号化、暗号化、または多重化など、多様な通信方式を容易に併用することができる。
【0123】
なお、以上の通信システムにおいては、送信装置と受信装置を別体として構成するように説明したが、これに限らず、上述した送信装置と受信装置の両方の機能を有する送受信装置を用いて通信システムを構築するようにしてもよい。
【0124】
図8は、本発明を適用した通信システムの他の構成例を示す図である。
【0125】
図8において、通信システム950は、送受信装置961、送受信装置962、および通信媒体130を有する。通信システム950は、送受信装置961と送受信装置962が通信媒体130を介して双方向に信号を送受信するシステムである。
【0126】
送受信装置961は、図1の送信装置110と同様の送信部110と、受信装置120と同様の受信部120の両方の構成を有している。すなわち、送受信装置961は、送信信号電極111、送信基準電極112、送信部113、受信信号電極121、受信基準電極122、および受信部123を有している。
【0127】
つまり送受信装置961は、送信部110を用いて通信媒体130を介して信号を送信し、受信部120を用いて通信媒体130を介して供給される信号を受信する。このとき、送受信装置961は、送信部110による通信と、受信部120による通信とが混信しないように構成されている。
【0128】
送受信装置962は、送受信装置961と同様の構成を有し、同様に動作するのでその説明を省略する。つまり送受信装置961と送受信装置962は、互いに同様の方法で、通信媒体130を介して、双方向に通信を行う。
【0129】
このようにすることにより、通信システム950(送受信装置961および送受信装置962)は、ケーブルなどの有線設備を設けることなく、双方向の無線通信を容易に実現することができる。
【0130】
なお、図8の例では、送受信で異なる電極を用いているが、信号電極、および基準電極を一組だけ設け、送受信を切り替えるようにしてもよい。
【0131】
次に、図1乃至図8を参照して上述した無線通信を利用した情報提供システムについて説明する。
【0132】
図9は、本発明を適用した情報提供システムの一実施形態に係る構成例を示す図である。この情報提供システムは、電車などを利用する乗客であって、図1乃至図8を参照して上述した無線通信を行うことが可能な携帯デバイス1002を保持するユーザ1001に対して携帯デバイス1002を介して所定の情報を提供することを想定している。
【0133】
この例では、電車または駅構内などの床面1030に信号電極1101−1乃至1101−3が埋設されており、例えば、ユーザ1001が信号電極1101−1乃至1101−3の上を歩いたときなどに、ユーザ1001の人体を通信媒体とし、信号電極1101−1乃至1101−3に接続される送受信装置1151と、携帯デバイス1002との間で図1乃至図8を参照して上述した無線通信が行われる。ここでは、信号電極1101−1乃至1101−3が示されているが、実際には、信号電極が埋設される場所(車両なども含む)に応じてより多くの信号電極が設けられる。なお、信号電極1101−1乃至1101−3を個々に区別する必要がない場合、単に信号電極1101と称する。
【0134】
送受信装置1151は、例えば、電車や駅構内などにおいて床下に設置されており、送受信装置1151には、アダプタ1161が接続されている。アダプタ1161は、例えば無線、または有線のLAN(Local Area Network)などにより、電車や駅などを管理する鉄道事業者の管理サーバ1171と通信を行う。なお、送受信装置1151は、複数の電車(列車)、または複数の駅の構内に設置されており、実際にはより多くの送受信装置1151とアダプタ1161が存在する。
【0135】
管理サーバ1171は、例えば、鉄道事業者の情報センタなどに設置され、複数の送受信装置との間で情報の送受信を行い、個々の送受信装置に対して必要な情報を送信する。また、管理サーバ1171は、インターネットなどのネットワーク1181に接続されており、ネットワーク1181に接続される他のサーバ1191と通信を行い、サーバ1191から必要な情報を受信する。また、管理サーバ1171は、図示せぬ電車の運行管理システムなどに接続されており、必要に応じて電車の運行情報(例えば、所定駅までの所要時間)などを生成し、送受信装置1151を介して携帯デバイス1002に提供する。
【0136】
サーバ1191は、例えば、小売店やサービス提供業者などにより管理されており、携帯デバイスを所有するユーザに対して提供したい店舗、商品、サービスなどに関する情報を、ネットワーク1181を介して予め管理サーバ1171に送信しておく。なお、この例では、サーバ1191は1台のみ図示されているが、実際には多くのサーバ1191がネットワーク1181に接続されている。そして、管理サーバ1171にそれらサーバ1191から送信された情報が記憶される。
【0137】
送受信装置1151は、信号電極1101を介して通信可能となる携帯デバイス1002のIDなどの情報を取得してアダプタ1161を介して管理サーバ1171に送信する。管理サーバ1171は、送受信装置1151から送信された情報に基づいて、自身が記憶している情報(または生成する情報)の中からユーザ1001に対して提供すべき情報を選択し、その情報を、アダプタ1161を介して送受信装置1151に送信し、送受信装置1151は、管理サーバ1171から送信された情報を、信号電極1101を介して携帯デバイス1002に送信する。
【0138】
携帯デバイス1002は、ユーザにより携帯可能な小型の電子機器であり、例えば、携帯電話機として構成される。図10は、携帯デバイス1002の内部構成例を示すブロック図である。
【0139】
同図において信号発生部1251は、例えば、送受信装置1151などに対して情報を送信するとき、制御部1255の制御に基づいてその情報に対応する信号を発生する。信号復調部1252は、送受信装置1151などから情報(情報に対応する信号)を受信したとき、信号を復調し、復調した信号を制御部1255に供給する。
【0140】
送受信切替部1253は、信号電極1201との接続を、例えば、制御部1255からの制御に基づいて信号発生部1251または信号復調部1252のいずれか一方に切り替える。
【0141】
制御部1255は、例えばCPU、ROM、およびRAM等を含んで構成され、各種のプログラムなどを実行することにより、信号発生部1251、信号復調部1252または乗車券処理部1281の動作を制御する。例えば、制御部1255は、信号発生部1251、または信号復調部1252を制御して、送受信装置1151などとの間で送受信される信号の生成または復調を行わせる。また、制御部1255は、乗車券処理部1281を制御して、電車などに乗車するための乗車券の購入処理を実行させる。
【0142】
メモリ1254は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などにより構成され、制御部1255の制御に基づいて、例えば、チャージされたプリペイド金額、購入済の乗車券、送受信装置1151から送信された情報など各種の情報を記憶する。なお、メモリ1254には、予め携帯デバイス1002(個々の携帯デバイス)に固有のIDが記憶されている。
【0143】
基準電極1202および信号電極1201は、図1乃至図8を参照して上述した無線通信に用いられる基準電極および信号電極であり、信号電極1201は、通信媒体(例えば、人体など)に近接するように設けられ、基準電極1202は、空間に向くように設けられる。例えば、基準電極1202は、図8の送信基準電極112、または受信基準電極122に対応し、信号電極1201は、図8の送信信号電極111、または受信信号電極121に対応することになる。なお、通信媒体は、単一の物体であってもよいし、複数の導電体や誘電体が組み合わせられたものであってもよい。
【0144】
乗車券処理部1281は、ユーザ1001が乗車券を購入するとき、購入処理を実行する。ここで乗車券は、所定のデータとして携帯デバイス1002のメモリ1254に記憶される。乗車券は、例えば、ユーザ1001の出発駅から行先駅までの区間の情報を含むデータとして構成され、乗車券の購入処理が実行されると、上述した区間に対応する金額がメモリ1254に記憶されるプリペイド残高から減額される。また、乗車券には、必要に応じて有効期間(日時)の情報が含まれるようにしてもよい。
【0145】
乗車券処理部1281は、信号電極1201を介して、管理サーバ1171、または図示せぬ券売機などとの間で、図1乃至図8を参照して上述した無線通信を行うことにより上述した乗車券の購入処理を実行する。また、乗車券処理部1281は、例えば、規格などで定められた通信インタフェースを有しており、この通信インタフェースを介して図示せぬ券売機と有線または無線による通信を行うことにより、上述した乗車券の購入処理を実行することも可能となるように構成されている。
【0146】
入力部1271は、携帯デバイス1002に対するユーザ1001の指令などを入力するための機能ブロックであり、例えば、操作キー、ボタン、スイッチなどにより構成される。あるいはまた、ユーザ1001が携帯デバイス1002を握る圧力を検出する圧力センサ、ユーザ1001が携帯デバイス1002を振ったときの加速度を検出する加速度センサ、受光していた光が遮られたか否かを検出する光センサ、指紋などの生体情報を検出するバイオメトリクスセンサなどにより入力部1271が構成されるようにしてもよい。
【0147】
出力部1272は、携帯デバイス1002からユーザ1001に対して情報を提示するための機能ブロックであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などで構成されるディスプレイを含んで構成される。出力部1272には、この他、音声を出力するスピーカ、所定の間隔で点滅するLED(Light Emitting Diode)、またはユーザ1001に振動を呈示するモータなどが含まれるようにしてもよい。
【0148】
図11は、送受信装置1151の内部構成例を示すブロック図である。同図において、信号発生部1351乃至制御部1355は、図10の信号発生部1251乃至制御部1255に対応する機能ブロックであり、それぞれ同様の機能を有しているので詳細な説明は省略する。
【0149】
通信部1356は、アダプタ1161との間で行われる通信を制御する。信号電極1101は、図9の信号電極1101に対応しており、例えば、ユーザ1001の人体に向けられ、静電結合するように設けられる。基準電極1102は、空間に向くように設けられる。例えば、基準電極1102は、図8の送信基準電極112、または受信基準電極122に対応し、信号電極1101は、図8の送信信号電極111、または受信信号電極121に対応することになる。
【0150】
図12は、管理サーバ1171の内部構成例を示すブロック図である。同図において、CPU(Central Processing Unit)1501は、ROM(Read Only Memory)1502に記憶されているプログラム、または記憶部1508からRAM(Random Access Memory)1503にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM1503にはまた、CPU1501が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0151】
CPU1501、ROM1502、およびRAM1503は、バス1504を介して相互に接続されている。このバス1504にはまた、入出力インタフェース1505も接続されている。
【0152】
入出力インタフェース1505には、キーボード、マウスなどよりなる入力部1506、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部1507、ハードディスクなどより構成される記憶部1508、モデム、LANカードなどのネットワークインタフェースカードなどより構成される通信部1509が接続されている。通信部1509は、アダプタ1161との通信を行うとともに、ネットワーク1181を介しての通信処理を行う。
【0153】
入出力インタフェース1505にはまた、必要に応じてドライブ1510が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア1511が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部1508にインストールされる。
【0154】
また、記憶部1508には、ネットワーク1181を介してサーバ1191から送信された情報も記憶されている。
【0155】
なお、サーバ1191も図12を参照して上述した構成と同様の構成とされるので、必要に応じて同図をサーバ1191の内部構成としても適用する。
【0156】
次に、図13のフローチャートを参照して、管理サーバ1171による情報提供処理について説明する。この処理は、例えば、管理サーバ1171に、送受信装置1151から(アダプタ1161を介して)、携帯デバイス1002との通信が可能となったことを表す情報が通知されたとき実行される。
【0157】
ステップS101において、管理サーバ1171のCPU1501は、通信の初期設定を行う。このとき、例えば、送受信装置1151により携帯デバイス1002のIDや乗車券などの情報が取得され、管理サーバ1171に送信される。また、このとき、携帯デバイス1002と管理サーバ1171との間で、互いの正当性を確認するための相互認証の処理が行われるようにしてもよい。
【0158】
ステップS102において、CPU1501は、ユーザ1001(携帯デバイス1002)の現在位置を表す情報を取得する。
【0159】
例えば、ステップS101の処理の中で、携帯デバイス1002のIDや乗車券などの情報を送信してきた送受信装置が走行中の電車に取り付けられた送受信装置1151である場合、現在の電車の走行地点を表す情報が現在位置を表す情報として取得される。現在の電車の走行地点を表す情報は、例えば、鉄道事業者が運用する電車の運行管理システムに接続される他のサーバなどから取得されるようにしてもよいし、あるいはまた、送受信装置1151が定期的に電車の制御装置との間で通信を行い、走行地点に関する情報を取得してメモリ1354に記憶し、その情報が管理サーバ1171により取得されるようにしてもよい。
【0160】
また、ステップS101の処理の中で、携帯デバイス1002のIDや乗車券などの情報を送信してきた送受信装置が駅構内などに取り付けられた送受信装置1151である場合、その送受信装置1151のメモリ1354に予め記憶されている位置の情報がステップS102で現在位置を表す情報として取得される。
【0161】
ステップS103において、CPU1501は、ステップS102で取得された現在位置を表す情報に基づいて、ユーザ1001に提供すべき情報を検索する。
【0162】
例えば、ユーザ1001が走行中の電車内にいる場合、路線の沿線の店舗などの情報、沿線の観光情報、行先駅までの所要時間などの情報が提供すべき情報として検索される。また、ユーザ1001が駅構内にいる場合、駅周辺の店舗情報、または乗り換えのための案内などの情報が提供すべき情報として検索される。
【0163】
ステップS104において、CPU1501は、ステップS103の処理で検索された情報を、送受信装置1151にアダプタ1161を介して送信し、これが携帯デバイス1002にさらに送信される。
【0164】
図14は、図13を参照して上述した処理に対応して行われる携帯デバイス1002の処理(情報取得処理)を説明するフローチャートである。
【0165】
ステップS131において、携帯デバイス1002の制御部1255は、送受信装置1151からの通信要求があったか否かを判定し、通信要求があったと判定されるまで待機する。ステップS131において、通信要求があったと判定された場合、処理はステップS132に進む。
【0166】
ステップS132において、制御部1255は、メモリ1254に記憶されているIDや乗車券などの情報を送受信装置1151に送信し、これがさらに管理サーバ1171に送信される。また、このとき、携帯デバイス1002と管理サーバ1171との間で、互いの正当性を確認するための相互認証に必要となるデータがさらに送受信されるようにしてもよい。
【0167】
ステップS133において、制御部1255は、送受信装置1151から送信される情報を受信する。これにより、図13のステップS104の処理で送信された情報が受信される。
【0168】
ステップS134において、制御部1255は、ステップS133の処理で受信した情報を、出力部1272から出力する。
【0169】
このとき、例えば、ディスプレイに画像が表示されるようにしてもよいし、スピーカから音声が出力されるようにしてもよい。あるいはまた、モータの振動、LEDの点滅などによりユーザ1001に所定のメッセージが通知されるようにしてもよい。
【0170】
このようにすることで、走行中の電車の車内にユーザ1001に対しても、駅構内にいるユーザ1001に対しても適切な情報を提供することが可能となる。
【0171】
例えば、従来のGPS(Global Positioning System)などを利用したナビゲーションシステムにおいても、ユーザの現在位置に応じて情報を提供することが考えられているが、走行中の電車内(特に、地下鉄などの電車内)にいるユーザ、または駅構内(特に、地下鉄などの駅構内)にいるユーザなどは、GPSにより現在位置を特定することが困難である。これに対して、本発明によれば、走行中の電車内であっても、駅構内であっても、ユーザの現在位置を正確に把握することが可能となり、より適切な情報を提供することが可能となる。
【0172】
例えば、携帯デバイス1002に提供された情報に含まれる行先駅(または乗り換え駅)までの所要時間が予め設定された閾値より短い場合、モータを振動させたり、LEDを点滅させたりするなどして、ユーザ1001に乗り過ごさないように注意を促したり、到着駅のホームの案内図などを予めユーザ1001に提示して、迅速に乗り換えできるように案内することも可能となる。
【0173】
また、大規模な駅の構内は、構造が複雑になっていることが多く、初めて利用する乗客にとっては乗り換えや目的の出口への移動が困難である。このような場合、例えば、図15に示されるように、信号電極1101が埋設されている位置に応じて、ユーザ1001の進むべき方向(図中の矢印)の情報を提供するようにすれば、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0174】
このように、携帯デバイス1002によりユーザ1001の移動の案内(ナビゲーション)などを行わせる場合、例えば、サーバ1171により、取得された携帯デバイス1002の乗車券の出発駅の情報と到着駅の情報とからユーザ1001の経路を求めて、この経路の情報を、携帯デバイス1002に送信し、携帯デバイス1002の制御部1255が経路の情報および現在位置に基づいてメモリ1254などに予め記憶されている地図情報を読出し、必要に応じてディスプレイに地図情報を表示させるようにすればよい。
【0175】
また、地図情報は、サーバ1171からダウンロードされるようにし、例えば、列車の進行に合わせて地図情報が更新されるようにしてもよい。さらに、従来のカーナビゲーションシステムと同様に、例えば、サーバ1171または携帯デバイス1002の制御部1255が現在位置の情報に基づいて、ユーザ1001が経路上で分岐点や乗換駅近傍にさしかかったか否かを判定し、ユーザ1001が経路上で分岐点や乗換駅近傍にさしかかったと判定された時に案内を表示させたり、警告(表示、音声、振動など)したりするようにしてもよい。
【0176】
ところで、携帯デバイス1002を保持するユーザに対して行われる情報提供は、電車の中や駅構内に限られるものではない。例えば、ユーザが乗車券を購入するとき、同時に情報提供が行われるようにすることも可能である。
【0177】
図16は、本発明を適用した情報提供システムの一実施形態に係る別の構成例を示す図である。
【0178】
同図においては、携帯デバイス1002を保持するユーザ1001が券売機1051を利用して乗車券を購入している。上述したように、乗車券は、所定のデータとして携帯デバイス1002のメモリ1254に記憶され、出発駅から行先駅までの区間の情報を含むデータとして構成される。
【0179】
なお、乗車券の購入処理は、上述したように、乗車券処理部1281により実行される。
【0180】
券売機1051は、例えば、行先駅を指定するためのボタンなどを有する構成とされ、ユーザ1001の操作に応じて、出発駅から行先駅までの区間の情報を含むデータを乗車券として携帯デバイス1002の乗車券処理部1281に送信するとともに、乗車券に対応する課金(例えば、プリペイド残高の減額)を行う。
【0181】
券売機1051と乗車券処理部1281との間の通信は、ユーザ1001が立っている場所に埋設された信号電極1101と、携帯デバイス1002の信号電極1201を介して行われるようにしてもよいし、例えば、乗車券処理部1281と券売機1051の双方が有する規格などで定められた通信インタフェースを介して行われるようにしてもよい。あるいはまた、携帯電話(携帯デバイス1002)のネットワーク接続機能などを用いて、携帯デバイス1002が直接サーバ1171に接続(アクセス)して乗車券を購入するようにしてもよい
【0182】
券売機1051は、送受信装置1151と接続されており、信号電極1101と、携帯デバイス1002の信号電極1201を介して乗車券処理部1281との通信を行う場合、送受信装置1151を介して券売機1051と携帯デバイス1002(乗車券処理部1281)との通信が行われることになる。
【0183】
また、同図においても、図9を参照して上述した場合と同様に、送受信装置1151は、アダプタ1161に接続され、管理サーバ1171と通信が可能となるように構成されており、管理サーバ1171は、ネットワーク1181を介して他のサーバと通信可能となるように構成されている。
【0184】
図16の例では、券売機1051により発券(送信)された乗車券の区間の情報が、送受信装置1151、アダプタ1161を介して管理サーバ1171により取得される。したがって、管理サーバ1171は、乗車券の行先駅に応じて適切な情報を選択し、ユーザ1001の携帯デバイス1002に提供することができる。
【0185】
次に、図17のフローチャートを参照して、ユーザが乗車券を購入するとき、情報提供を行う場合の券売機1051による乗車券販売処理の例について説明する。
【0186】
ステップS201において、券売機1051は、乗車券の購入要求があったか否かを判定し、購入要求があったと判定されるまで待機する。ここで、購入要求は、ユーザ1001が券売機1051の所定のボタンを操作することなどに対応して所定のデータが入力されることにより購入要求があったとされるようにしてもよいし、ユーザ1001が券売機1051の近傍に立ったとき、信号電極1101を介して携帯デバイス1002と送受信装置1151との間で通信が行われることにより購入要求があったとされるようにしてもよい。
【0187】
ステップS202において、購入要求があったと判定された場合、処理は、ステップS202に進み、券売機1051は、行先の入力を受け付ける。これによりユーザ1001の行先駅が特定される。
【0188】
ステップS203において、券売機1051は、ステップS202で入力が受け付けられた行先駅の情報に基づいて、乗車券の区間(出発駅から行先駅まで)を特定する。なお、乗車券の出発駅の情報は、券売機の設置場所(設置駅)に対応して予め設定されているものとする。
【0189】
ステップS204において、券売機1051は、乗車券を発券する。これにより、ステップS203の処理で特定された区間の乗車券のデータが携帯デバイス1002の乗車券処理部1281に送信されてメモリ1254に記憶されるとともに、乗車券の代金の課金が行われ、メモリ1254に記憶されているプリペイド金額の残高が減額される。
【0190】
そして、ステップS204で発券された乗車券の情報が送受信装置1151およびアダプタ1161を介して管理サーバ1171に送信され、ステップS205において、管理サーバ1171は、図18を参照して後述する付加情報提供処理を実行する。これにより、携帯デバイス1002に対して、行先駅に応じた情報が送信される。
【0191】
ここで、図18のフローチャートを参照して、図17のステップS205の付加情報提供処理の詳細について説明する。
【0192】
ステップS221において、管理サーバ1171のCPU1501は、乗車券の行先駅の情報を取得する。
【0193】
ステップS222において、CPU1501は、携帯デバイス1002(ユーザ1001)に提供する情報を検索する。
【0194】
上述したように、管理サーバ1171の記憶部1508には、サーバ1191から送信された情報であって、携帯デバイスを所有するユーザに対して提供したい店舗、商品、サービスなどに関する情報が予め記憶されている。ここでは、それらの情報が、例えば、図19に示されるように、行先駅に対応して記憶されているものとする。
【0195】
図19は、管理サーバ1171の記憶部1508に記憶されている情報の例を示す図である。同図に示されるように、個々の行先駅に対応して各社の情報が記憶されている、例えば、行先「○○駅」に対応して、A社乃至C社の情報が記憶されている。ここで、A社乃至C社のそれぞれは、例えば、サーバ1191を管理する小売店やサービス提供業者などであり、A社乃至C社の情報のそれぞれは、実際には、各社がユーザ1001に提供したい情報であって、セールの情報、店舗の地図、またはクーポン(後述)などとされる。
【0196】
同様に、行先「××駅」に対応して、D社乃至G社の情報が記憶されており、行先「△△駅」に対応して、H社とI社の情報が記憶されている。
【0197】
ステップS222においては、行先駅に応じて、携帯デバイス1002(ユーザ1001)に提供する情報が検索される。例えば、ステップS221で取得された行先駅の情報が「△△駅」を表す情報であった場合、ステップS222の処理では、H社の情報とI社の情報が、ユーザ1001に提供する情報として検索されることになる。
【0198】
図18に戻って、ステップS223において、CPU1501は、ステップS222の処理により検索された情報を、送受信装置1151を介して携帯デバイス1002に付加情報として送信する。ここで送信された付加情報は、例えば、携帯デバイス1002のメモリ1254に記憶される。また、このとき、携帯デバイス1002の出力部1272を構成するディスプレイに、ステップS204の処理で発券された乗車券の情報と、ステップS223の処理で送信された付加情報が表示されるようにしてもよい。
【0199】
図20は、この場合の出力部1272のディスプレイの画面1290の表示例を示す図である。
【0200】
同図において、画面1290の領域1291には、乗車券の区間の情報が表示されており、この例では、出発駅が「○○駅」、行先駅が「△△駅」と表示されている。
【0201】
また、画面1290の領域1292には、乗車券の金額の情報が表示されており、この例では、500円と表示されている。
【0202】
領域1292の下部の領域1293は、ステップS223で送信された付加情報が表示される領域とされる。
【0203】
図21と図22は、領域1293に表示される付加情報の例を示す図である。
【0204】
図21の例では、付加情報が表示される領域1293の中の領域1294に情報の提供者(広告主)が表示されており、この例では、「ABC商店」と表示されている。また、領域1293の中の領域1295には、広告内容が表示されており、この例では、「季節セール・・・5割引」と表示されており、あわせて店舗のURL(Uniform Resource Locator)が表示されている。さらに、領域1293の中の領域1296には、例えば、駅(「△△駅」)から店舗までの地図などが表示される。
【0205】
このように、行先駅に応じた付加情報が乗車券の情報とともに表示される。このようにすることで、ユーザは、所望の商品やサービスをより安い価格で提供する店舗の情報などを得ることができ、利便性を向上させることができる。
【0206】
図22の例では、図21の場合と同様に、付加情報が表示される領域1293の中の領域1294に情報の提供者(広告主)が表示されており、領域1293の中の領域1295には、広告内容が表示されており、領域1293の中の領域1296には、例えば、駅(「□□駅」)から店舗までの地図などが表示されている。
【0207】
図22の例では、さらに、付加情報が表示される領域1293の中の領域1297にクーポンの情報が表示されている。この例では、区間として「△△駅〜□□駅」、期限として「2005年7月1まで有効」と表示されている。
【0208】
ここで、クーポンは、広告主が電車の運賃を提供し、ユーザの来店を促すために提供される付加情報である。いまの場合、図22に示されるクーポンを付加情報として取得した携帯デバイス1002のユーザ1001の行先は「△△駅」であるが、ユーザ1001が「△△駅」のさらに先の「□□駅」まで行く運賃(「△△駅〜□□駅」の区間の運賃)を、広告主であるDEF飯店が負担することを意味している。すなわち、ユーザ1001が乗車券の行先である「△△駅」を乗り越して「□□駅」まで行き、「□□駅」の近辺にあるDEF飯店で食事などをした場合、乗り越し分の運賃がユーザ1001に返金されることになる。
【0209】
なお、乗り越し分の運賃は、例えば、ユーザ1001が携帯デバイス1002のディスプレイをDEF飯店の店員に提示することにより乗り越し分の運賃が返金されるようにしてもよいし、DEF飯店に設置された端末などで、携帯デバイス1002に記憶されているこのクーポンの情報を読み取ることにより、乗り越し分の運賃に対応するプリペイド金額が自動的にチャージされるなどして返金されるようにしてもよい。
【0210】
このように、クーポンを付加情報として提供することで、近隣の駅(いまの場合「△△駅」)まで来るユーザに対して、自分の店舗に来店するようにインセンティブを与える(来店を促す)ことができる。このようにすることで、情報の提供者(広告主)は、例えば、大規模なターミナル駅の近隣の駅の近辺に店舗を有している場合、自分の店舗の商品やサービスを、ターミナル駅に来る多くのユーザに広告し、乗り越し分の運賃を負担することで、来店してもらうようにすることができる。例えば、行先駅とは異なる駅の近辺にある店舗において所望の商品やサービスが安く提供されていることが分かっても、それまで行ったことのない店舗にあえて乗り越し運賃を負担させてユーザに来店させることは困難であるが、店舗が乗り越し運賃を負担すれば、ユーザが来店する可能性は大幅に高くなる。
【0211】
また、ユーザは、行先駅の近隣の駅にある店舗の情報を知り、運賃を負担することなく所望の商品やサービスをより安い価格で提供する店舗などを探すことができ、さらに、鉄道事業者も、乗り越し運賃に対応する金額分だけ売り上げが増すことになり、ユーザの利便性を向上させることができるとともに、高い経済効果が期待できる。
【0212】
なお、ここでは、乗り越しの例について説明したが、例えば、ユーザが一旦下車し、再度乗車して目的地に向かうようにしてもよい。
【0213】
図18に戻って、ステップS223の処理の後、処理はステップS224に進み、CPU1501は、この付加情報提供(ステップS223において送信された情報)に対応する課金データを生成する。このとき、例えば、ユーザ1001に対して情報提供(広告)を行ったサービスの代金を、付加情報の提供者(広告主)に課金するための課金データが生成される。情報提供の代金は、例えば、情報提供1回当たりの金額を、予め管理サーバ1171の管理者(例えば、鉄道事業者)と、広告主との間で取り決めておき、この取決めに基づいて計算されるようにすればよい。
【0214】
このようにすることで、例えば、鉄道事業者などの運輸業者は、乗客への情報提供の代行という新たなサービスを、事業化することが可能となる。
【0215】
以上においては、付加情報が乗車券購入時に提供される例について説明したが、付加情報が、電車の中または行先(または乗り換え)駅において携帯デバイス1002に送信され、提供されるようにしてもよい。
【0216】
また、以上においては、乗車券の「行先駅」の情報に基づいて、携帯デバイス1002に情報が提供される例について説明したが、乗車券の「出発駅」の情報に基づいて携帯デバイス1002に情報が提供されるようにすることも可能である。なお、乗車券の「出発駅」の情報に基づいて情報を提供する場合、ユーザが出発駅にいつ戻ってくるかが問題になる可能性がある。例えば、10時に出発して、ランチタイムに戻ってこられないところに行くのに、出発駅近辺のランチクーポンを提供しても意味がない。出発駅に基づく情報の提供は、例えば、サーバ1171においてユーザが出発駅に戻ってくる頃の時間を推定して提供すべき情報を検索し、検索された情報が携帯デバイス1002に提供されるようにすればよい。
【0217】
上述した例においては、乗車券の区間の情報、金額の情報などとともに表示される付加情報として広告が表示される場合について説明したが、広告は、動画像などのコンテンツとともに、例えば、テレビジョン放送のコマーシャルのように表示されるようにすることも可能である。
【0218】
例えば、図9の信号電極1101から、MPEG(Motion Picture Experts Group)などの方式で圧縮符号化されたコンテンツと広告のデータの信号が出力されるようにし、携帯デバイス1002がこの信号を受信し、圧縮符号化されたコンテンツと広告のデータを復号(再生)して、コンテンツと広告の画像ディスプレイに表示させるようにすることも可能である。
【0219】
この場合、管理サーバ1171の記憶部1508に、図23に示されるように、コンテンツと広告のデータが記憶されるようにすればよい。管理サーバ1171は、アダプタ1161を介して送受信装置1151に、圧縮符号化されたコンテンツと広告のデータを送信し、送受信装置1151は、管理サーバ1171から受信したデータを信号電極1101から信号として出力する。なお、図23に示されるように、コンテンツのデータは、動画像のデータに限られるものではなく、静止画、音声、テキストなどのデータであってもよい。また、広告のデータは、画像(動画、静止画)、音声、テキストなどのデータの他、URLやE-Mailの情報(例えば、アドレスなど)とされるようにしてもよい。
【0220】
例えば、圧縮符号化された画像と音声のデータで構成されるコンテンツと広告のデータに対応する信号を受信した携帯デバイス1002は、制御部1255において、圧縮符号化されたデータを復号することにより、コンテンツと広告の画像と音声を再生し、出力部1272のディスプレイまたはスピーカから再生された画像と音声を出力し、ユーザ1001に視聴させる。このようにすることで、例えば、通勤や通学の途上であって駅の構内などにいるユーザ1001は、携帯デバイス1002を用いてコンテンツと広告を視聴することが可能となる。
【0221】
なお、図23に示されるコンテンツと広告のデータは、実際にはそれぞれ複数のデータが存在しており、複数のコンテンツと複数の広告のデータに対応する信号が同時に信号電極1101から出力される。携帯デバイス1002を保持するユーザは、例えば、入力部1271を操作するなどして所望のコンテンツを再生することが可能となるように構成されているものとする。
【0222】
このように、管理サーバ1171に記憶されるデータが、例えば、従来のテレビジョン放送のように、ブロードキャストされ、信号電極1101の上を歩行中の不特定多数のユーザの携帯デバイスにより受信されることになる。また、この場合も上述したように、例えば、ユーザ1001に対して情報提供(広告)を行ったサービスの代金を、広告主に課金するようにすることが可能である。
【0223】
しかしながら、ブロードキャストされた広告が実際に視聴されたかどうかを確認することは難しい。例えば、従来のテレビジョン放送における視聴の状況は、サンプル抽出された視聴者の視聴の履歴などの情報を記録し、記録された情報に基づいて、全視聴者のうちどの程度の割合の視聴者が視聴したかを推定しているが、個々のユーザが保持し、持ち運ばれる携帯デバイスにおいて、適切なサンプルを抽出することは極めて困難である。また、近年、インターネットを利用したアフェリエイトサービスなどにおいては、ホームページにアクセスしてきたユーザがバナー広告をクリックした記録に基づいて課金される場合が多いが、このような課金方法は、ユーザ管理等に莫大なコストがかかり、一括して大量のデータを配信する場合には不向きである。
【0224】
そこで本発明においては、広告のデータに、上述したクーポンや割引券などのデータを付加し、広告主の店舗に設置された端末などで、携帯デバイス1002に記憶されているこのクーポンの情報を読み取るときに、携帯デバイス1002のメモリなどに記録された広告の再生に関する履歴の情報が読み出され、管理サーバ1171の管理者により再生された広告の情報が取得されるようにする。
【0225】
上述したように、クーポンを付加情報(いまの場合、広告)として提供することで、ユーザに対して、店舗に来店するようにインセンティブを与える(来店を促す)ことができるので、各ユーザの携帯デバイスのメモリに記録された広告の再生に関する履歴の情報が読み出すことも容易になる。このようにして個々の携帯デバイスから取得された情報を集計して得られた情報に基づいて課金を行うようにすれば、より適正な課金を行うことが可能となる。
【0226】
このように、コンテンツと広告のデータをブロードキャストする場合、送受信装置1151の信号電極1101と、携帯デバイス1002の信号電極1201との間で送受信される信号の周波数帯域幅を複数の領域に分割する周波数分割方式などを用いて多チャネルの通信を実現する。
【0227】
すなわち、図24に示されるように、送受信装置1151の信号電極1101と、携帯デバイス1002の信号電極1201との間で送受信される信号を多チャネル化し、複数のチャネルのうち、1つのチャネルがコンテンツチャネルとされ、コンテンツチャネルではコンテンツのデータに対応する信号が伝送され、他のチャネルは、広告チャネルとされ、広告チャネルでは広告のデータに対応する信号が伝送されるようにする。
【0228】
管理サーバ1171において広告のデータは、例えば、図19を参照して上述した場合と同様に、行先駅(または出発駅)に対応付けられて記憶されており、個々の行先駅(または出発駅)に対応付けられた複数(または単数)の広告のデータが、それぞれ個々の広告チャネルにおいて伝送されるようになされている。
【0229】
例えば、「○○駅」に対応付けられたCM1-1乃至CM1-iのi個の広告のデータは、広告チャネル1において伝送され、「△△駅」に対応付けられたCM2-1乃至CM2-iのi個の広告のデータは、広告チャネル2において伝送され、「□□駅」に対応付けられたCM3-1乃至CM3-iのi個の広告のデータは、広告チャネル3において伝送され、・・・のように個々の行先駅(または出発駅)に対応付けられた複数(または単数)の広告のデータが、それぞれ個々の広告チャネルにおいて伝送される。ここでCM1-1乃至CM3-iは、その広告のデータを特定するコードとする。
【0230】
そして、管理サーバ1171は、携帯デバイス1002のメモリ1254に記憶された乗車券の情報などに基づいてユーザ1001の行先駅を特定し、送受信装置1151を介して、その行先駅に対応付けられた広告のデータが伝送される広告チャネルの信号を、携帯デバイス1002に受信させる。あるいはまた、携帯デバイス1002は、全ての広告チャネルの信号を受信し、自身のメモリ1254に記憶されている乗車券の情報などに基づいてユーザ1001の行先駅を特定し、その行先駅に対応付けられた広告のデータが伝送される広告チャネルの信号に対応するデータを選択して復号(再生)するようにしてもよい。
【0231】
また、このようにブロードキャストされる広告のデータを、全て再生する必要はなく、例えば、ユーザの趣味や嗜好に応じて必要な広告だけが選択されて再生されるようにすることも可能である。このように、所定の広告チャネルにおいてブロードキャストされる複数の広告のデータの中から選択された広告のデータを、コンテンツチャネルにおいてブロードキャストされるコンテンツのデータとともに再生する場合に実装され、携帯デバイス1002の制御部1255で実行されるソフトウェアの機能的構成例を図25に示す。
【0232】
同図において、嗜好情報入力部1501は、ユーザ1001の嗜好に関する情報である嗜好情報の入力を受け付ける。嗜好情報は、例えば、携帯デバイス1002の入力部1271をユーザ1001が操作することなどにより入力される。
【0233】
嗜好情報記憶部1502は、嗜好情報入力部1501により入力が受け付けられたユーザ1001の嗜好情報を記憶する。
【0234】
広告選択部1503は、嗜好情報記憶部1502に記憶された嗜好情報と、複数の広告のデータのそれぞれに付加されたメタデータなどに含まれる情報とのマッチングを行うことにより、複数の広告のデータの中からユーザ1001の嗜好に適していると判定された広告のデータを選択し、選択された広告のデータのみを、再生部1504に出力する。
【0235】
再生部1504は、自身に供給されるコンテンツのデータまたは広告のデータであって、例えば、MPEGなどの方式で圧縮符号化されたデータを復号する処理を実行し、復号結果のデータを出力部1272に出力することで、データの再生を行うように構成される。また、再生部1504は、必要に応じて所定のアルゴリズムで暗号化されたデータを、復号することもできるように構成されている。
【0236】
コンテンツ受信部1505は、送受信装置1151から送信される信号のコンテンツチャネルにおいて送信されたコンテンツのデータに対応する信号を受信し、その信号に対応するデータ(例えば、圧縮符号化された画像、音声のデータ)を再生部1504に供給する。
【0237】
広告受信部1506は、上述した複数の広告チャネルのうちユーザ1001の行先駅(または出発駅)などに対応して選択される広告チャネルのデータの信号を受信する。すなわち、広告受信部1506は、送受信装置1151から送信される信号の複数の広告チャネルのうちの所定の広告チャネルを選択し、選択された広告チャネルにおいて送信された広告のデータに対応する信号を受信し、その信号に対応するデータ(例えば、圧縮符号化された画像、音声のデータ、およびその広告のメタデータ)を、広告選択部1503に供給する。
【0238】
次に、嗜好情報について説明する。嗜好情報は、嗜好情報入力部1501を介して入力される情報であって、上述したように再生すべき広告を選択するために必要となる情報であり、例えば、予め設定された項目の中からユーザが、関心があるものとして選択した項目の情報、予め設定された項目の中からユーザが見たくないものとして選択した項目の情報などとすることができる。ここでは、予め設定され階層化された項目の中からユーザが、関心があるものとして選択した項目の情報を嗜好情報とする例について説明する。
【0239】
図26は、嗜好情報を構成する階層化された項目の例を示す図である。この例では、予め設定された項目が4の階層に階層化されている。すなわち図中最も上側に示される第1階層には、項目「食品」、「衣料」、「車」、「スポーツ」、「金融」、「旅行」・・・が記述されている。第1階層の項目には、それぞれ第2階層の項目が対応付けられており、例えば、第1階層の項目「スポーツ」に対応付けられて、第2階層の項目「野球」、「サッカー」、「テニス」、「ゴルフ」、・・・が記述されている。
【0240】
そして、第2階層の項目には、それぞれ第3階層の項目が対応付けられており、例えば、第2階層の項目「野球」に対応付けられて、第3階層の項目「球団A」、「球団B」、「球団C」、・・・が記述されており、第3階層の項目「球団B」に対応付けられて、第4階層の項目「選手X」、「選手Y」、「選手Z」、・・・が記述されている。
【0241】
嗜好情報入力部1501は、例えば、出力部1272のディスプレイに、図26に示されるように予め設定された項目を階層毎に表示させる。ユーザ1001が入力部1271を操作し、表示された項目を選択することにより、次の階層の項目が順に表示されてユーザ1001の嗜好情報が入力される。なお、ユーザ1001は、必ずしも第4階層までの項目を選択する必要はなく、例えば、第1乃至第3階層までの項目の選択にとどめてもよい。また、各階層において複数の項目を選択することも可能である。このようにして入力された嗜好情報は、嗜好情報記憶部1502により記憶される(例えば、メモリ1254の予め設定された領域に記憶される)。
【0242】
また、図26に示される各階層の項目は、複数の広告のデータのそれぞれにも付加されている。例えば、第1乃至第4の階層の各項目がコード化されて、その広告のメタデータに含まれるようになされている。
【0243】
広告選択部1503は、嗜好情報記憶部1502により記憶されているユーザ1001の嗜好情報と、上述した広告のメタデータに含まれるコードとのマッチングを行うなどして再生すべき広告を選択する。すなわち、広告選択部1503は、例えば、嗜好情報として選択された項目と一致する項目のコードを含むメタデータが付加された広告のデータを、再生すべき広告のデータとして再生部1504に供給する。
【0244】
なお、上述した例は、嗜好情報の一例であり、例えば、嗜好情報として、ユーザ1001が任意のキーワードを指定し、広告選択部1503が広告のメタデータの中からそのキーワードを検索し、キーワードを含むメタデータの付加された広告のデータが再生すべき広告のデータとして再生部1504に供給されるようにしてもよい。
【0245】
次に、図27のフローチャートを参照して、嗜好情報を設定する設定処理について説明する。
【0246】
ステップS301において、嗜好情報入力部1501は、嗜好情報の入力を受け付ける。このとき、例えば、出力部1272のディスプレイに、図26に示されるように予め設定された項目を階層毎に表示させる。そして、ユーザ1001が入力部1271のボタンを操作するなどして、表示された項目を選択することにより、次の階層の項目が順に表示されてユーザ1001の嗜好情報が入力される。
【0247】
ステップS302において、嗜好情報記憶部1502は、ステップS301で入力が受け付けられた嗜好情報を記憶する。これにより、例えば、メモリ1254の予め設定された領域に嗜好情報が記憶される。
【0248】
このようにして、設定処理が実行される。そして、設定処理が行われた携帯デバイス1002を保持するユーザ1001が信号電極1101の上を歩行するなどしたときに、上述したように、コンテンツとともに、ユーザ1001の嗜好に適した広告を視聴することが可能になる。
【0249】
次に、図28のフローチャートを参照して、コンテンツ再生処理について説明する。この処理は、例えば、設定処理が行われた携帯デバイス1002を保持するユーザ1001が信号電極1101の上を歩行するなどしたときに実行される。
【0250】
ステップS321において、コンテンツ受信部1505は、コンテンツを受信する。このとき、例えば、送受信装置1151から送信される信号のコンテンツチャネルにおいて送信されたコンテンツのデータに対応する信号が受信され、その信号に対応するデータ(例えば、圧縮符号化された画像、音声のデータ)が再生部1504に供給される。
【0251】
ステップS322において、広告受信部1506は、広告を受信する。このとき、例えば、送受信装置1151から送信される信号の複数の広告チャネルのうちの行先駅の情報などに対応する所定の広告チャネルが選択され、選択された広告チャネルにおいて送信された広告のデータに対応する信号が受信され、その信号に対応するデータ(例えば、圧縮符号化された画像、音声のデータ、およびその広告のメタデータ)が、広告選択部1503に供給される。
【0252】
ステップS323において、広告選択部1503は、ステップS322の処理で受信された広告のうち、再生すべき広告を選択する。このとき、例えば、図27のステップS302の処理で記憶された嗜好情報と、複数の広告のデータのそれぞれに付加されたメタデータなどに含まれる情報(例えば、嗜好の項目の情報)とのマッチングが行われ、複数の広告のデータの中からユーザ1001の嗜好に適していると判定された広告のデータが選択されて、選択された広告のデータのみが、再生部1504に出力される。
【0253】
ステップS324において、再生部1504は、ステップS322の処理で受信されたコンテンツのデータを、ステップS323の処理で選択された広告のデータとともに再生する。このとき、例えば、圧縮符号化されたコンテンツのデータまたは広告のデータが復号されて、画像と音声のデータが生成され、この画像と音声のデータに対応する信号に基づいて、出力部1272のディスプレイに画像が表示され、出力部1272のスピーカから音声が出力される。
【0254】
なお、コンテンツと広告の再生は、受信したデータを順次再生するストリーミング再生を想定しているが、全てのデータを受信するまでメモリ1254などに蓄積し、蓄積されたデータを後から再生するようにしてもよい。
【0255】
ステップS325において、再生部1504は、再生された広告を記録する。このとき、例えば、図29に示されるような情報がメモリ1254に記録されることになる。
【0256】
図29において、「広告コード」は、広告を特定するIDであり、携帯デバイス1002(広告受信部1506)により受信された広告の広告コードが、例えば、受信された順に記録される。同図における「クーポン」は、広告に含まれるクーポンの情報が記録される。この例では、広告コードがCMn-1である広告のデータには、そのクーポンを提示した顧客に商品やサービスの割引を提供するクーポンが含まれており、広告コードがCMn-2である広告のデータには、そのクーポンを提示した顧客にキャッシュバック(電子マネーの還元)を提供するクーポンが含まれており、広告コードがCMn-3である広告のデータには、クーポンは含まれていない。
【0257】
また、図29における「広告選択」は、その広告コードに対応する広告のデータが、広告選択部1503により再生すべき広告のデータとして選択されたか否かを表すフラグとされ、選択された場合、フラグが「ON」とされ、選択されなかった場合フラグが「OFF」とされる。すなわち、この例では、広告コードがCMn-1である広告のデータは、広告選択部1503により再生すべき広告のデータとして選択されず、広告コードがCMn-2またはCMn-3である広告のデータは、広告選択部1503により再生すべき広告のデータとして選択されたことになる。
【0258】
図29における「広告再生」は、その広告コードに対応する広告のデータが、再生部1504により実際に再生されたか否かを表すフラグとされ、再生された場合、フラグが「ON」とされ、再生されなかった場合フラグが「OFF」とされる。すなわち、この例では、広告コードがCMn-1である広告のデータは、広告選択部1503により再生すべき広告のデータとして選択されていないので再生されておらず、広告コードがCMn-2または、広告選択部1503により再生すべき広告のデータとして選択されたので再生され、CMn-3である広告のデータは、広告選択部1503により再生すべき広告のデータとして選択されたが、例えば、再生中止の指令、バッテリの減少などにより実際に再生されることはなかったことになる。
【0259】
このようにして、コンテンツと広告が再生され、再生された広告に関する情報が記録される。
【0260】
なお、この例では、コンテンツのデータと広告のデータが送受信装置1151から信号電極1101を介して送信される例について説明したが、例えば、広告のデータが送受信装置1151から信号電極1101を介して送信され、コンテンツのデータは、記録媒体などに記録され、ユーザ1001が携帯デバイス1002の図示せぬドライブなどにコンテンツのデータが記録された記録媒体を装着して、記録媒体に記録されたデータを読み出すことで、コンテンツが再生されるようにすることも可能である。
【0261】
例えば、通勤途上のユーザ1001にコンテンツのデータが記録された記録媒体を配布し、ユーザ1001は、携帯デバイス1002を利用して配布された記録媒体に記録されたコンテンツを視聴し、送受信装置1151から信号電極1101を介して送信される広告を視聴することができる。この場合、予めコンテンツのデータを暗号化して記録媒体に記録し、広告のデータを再生して得られる鍵により暗号化されたコンテンツのデータが復号されるようにするとよい。このようにすることで、ユーザ1001は、積極的に広告も視聴するようになる。
【0262】
上述したように、広告のデータに含まれるクーポンは、携帯デバイス1002のメモリ1254に記憶されており、ユーザ1001は、広告主の店舗に来店し、店舗に設置された端末などで、携帯デバイス1002に記憶されているこのクーポンの情報を読み取らせることにより、商品やサービスなどの代金を決済するとき、割引を受けたり、また、いわゆるキャッシュバック(電子マネーの還元)を受けたりすることができる。
【0263】
例えば、図30に示されるように、広告主の店舗に来店したユーザ1001は、携帯デバイス1002を保持し、信号電極1032が埋設された床の上などに立つ。店舗に設置された端末1031は、図12に示される送受信装置1151と同様の構成を内部に有しており、店員1021が店舗に設置された端末1031を操作することで、携帯デバイス1002のメモリ1254に記憶された情報が、信号電極1032を介して端末1031により読み取られ、クーポンに対応するサービス(割引、キャッシュバックなど)の提供が行われる。
【0264】
次に、図31のフローチャートを参照して、サービス提供処理について説明する。この処理は、例えば、図30に示されるように、携帯デバイス1002を保持するユーザ1001が広告主の店舗に来店したとき、店舗の端末1031により実行される。
【0265】
ステップS341において、端末1031は、携帯デバイス1002のメモリ1254に記憶された情報を読み出す。このとき、例えば、図29を参照して上述したような情報が信号電極1032を介して端末1031により取得される。
【0266】
ステップS342において、端末1031は、ステップS341の処理で読み出された情報の中のクーポンをチェックする。このとき、例えば、図29を参照して上述したような情報の「クーポン」の中から自分の店舗が提供した広告のクーポンが検索される。また、自分の店舗が提供した広告のクーポンが検索された(見つかった)場合、端末1031が、例えば、図示せぬ認証端末などにアクセスし、検索されたクーポンが正当なクーポンであるか否かの認証が認証端末により行われるようにしてもよい。
【0267】
ステップS343において、端末1031は、ステップS342の処理でチェックされた(検索された)クーポンに対応するサービスを提供する。これにより、例えば、携帯デバイス1002のメモリ1254に記憶されている電子マネーの残高が加算されてキャッシュバックが行われる。
【0268】
ステップS344において、端末1031は、ステップS341の処理により携帯デバイス1002から読み出された情報の中に含まれる、再生された広告の情報を記憶する。このとき、例えば、図29に示される「広告再生」のフラグが「ON」とされている広告コードが記憶される。
【0269】
あるいはまた、ステップS344の処理では、ステップS341の処理により携帯デバイス1002から読み出された情報の中に含まれる、選択された広告の情報が記憶されるようにしてもよい。この場合、例えば、図29に示される「広告選択」のフラグが「ON」とされている広告コードが記憶される。
【0270】
このようにして、クーポンに対応するサービスの提供とともに、携帯デバイス1002に記憶された広告の再生(または選択)に関する情報が読み取られ、店舗の端末1031に記憶される。ここでは、ユーザ1001が保持する携帯デバイス1002から広告の再生(または選択)に関する情報が読み取られる例について説明したが、当然、他の複数のユーザが保持する複数の携帯デバイスからも同様に広告の再生(または選択)に関する情報が読み取られる。
【0271】
そして、広告の再生(または選択)に関する情報は、端末1031から管理サーバ1171に送信され、管理サーバ1171において、広告主に対する課金を行うために、広告の再生(または選択)に関する情報の分析が行われる。なお、店舗の端末1031から管理サーバ1171への情報の送信は、例えば、インターネット、ISDN(Integrated Services Digital Network)、専用通信回線などのオンラインネットワークを介して行われるようにしてもよいし、あるいはまた、端末1031の情報を記録媒体に記録して、その記録媒体を送付するなどオフラインにより行われるようにしてもよい。
【0272】
次に、図32のフローチャートを参照して、広告の再生(または選択)に関する情報の分析処理について説明する。この処理は、例えば、端末1031からオンラインまたはオフラインで情報の送信が行われたとき、管理サーバ1171において実行される。
【0273】
ステップS361において、管理サーバ1171のCPU1501は、広告の再生(または選択)に関する情報を受信する。例えば、端末1031から管理サーバ1171にオンラインで情報が送信される場合、通信部1509を介して情報が受信され、端末1031から管理サーバ1171にオフラインで情報が送信される場合、ドライブ1510などに装着される記録媒体を介して情報が受信(取得)される。
【0274】
なお、ここでは、端末1031からオンラインまたはオフラインで情報の送信が行われた場合の例について説明しているが、実際には、複数の店舗に設置された複数の端末から管理サーバ1171に情報が送信され、ステップS361の処理はその都度繰り返し実行されることになる。そして、例えば、所定台数の端末から情報を受信し終えたとき、処理は、ステップS362に進む。
【0275】
ステップS362において、CPU1501は、ステップS361の処理で受信した情報を分析する。このとき、例えば、図33に示されるような情報が記憶部1508において生成される。すなわち、図33は、所定の広告の視聴回数を調べるためのデータベースであり、ステップS362の処理では、分析される広告の再生(または選択)に関する情報において、「広告再生」(または「広告選択」)のフラグが「ON」とされている広告コードの視聴回数の値が1ずつインクリメントされるようにデータベースが更新されていく。
【0276】
ステップS363において、CPU1501は、ステップS362の分析結果に基づいて課金データを生成する。このとき、例えば、図33の広告コードに基づいて、その広告の広告主が特定され、図33の視聴回数の値に基づいて、その広告主に対する課金額が特定されて、各広告主に対する課金データが生成される。
【0277】
このようにして、広告の再生(または選択)に関する情報の分析が行われ、課金データが生成される。個々の携帯デバイスから取得された情報を集計して得られた情報に基づいて課金が行われるようにしたので、より適正な課金を行うことが可能となる。
【0278】
また、ここでは、広告の再生(または選択)に関する情報の分析が行われ、分析結果に基づいて課金データが生成される例について説明したが、分析結果に基づいて生成されるデータは、課金データに限られるものではない。例えば、広告の再生(または選択)に関する情報の分析結果に基づいて、マーケティングに関するデータが生成されるようにすることも可能である。
【0279】
さらに、ここでは、ステップS362の処理で所定の広告の視聴回数を調べるためのデータベースの視聴回数の値が更新されていく例について説明したが、例えば、店舗の端末から送信される広告の再生(または選択)に関する情報に、その情報を読み出した携帯デバイスのIDを付加させるようにして、その広告を視聴した携帯デバイスのIDもデータベースに記録されていくようにしてもよい。このようにすることで、例えば、広告を視聴した携帯デバイスのIDに基づいて、その携帯デバイスのユーザの属性を分析するなどしてより適切なマーケティングを行うことが可能となる。
【0280】
また、ここでは、管理サーバ1171において広告の再生(または選択)に関する情報の分析が行われる例について説明したが、管理サーバ1171とは異なる他のサーバなどにおいて、広告の再生(または選択)に関する情報の分析が行われるようにしてもよい。
【0281】
ところで携帯デバイス1002は、上述したように、例えば、携帯電話機として構成される。近年、携帯電話機で受信可能な、いわゆるワンセグ放送が普及しつつある。ここで、ワンセグ放送とは、地上デジタル放送の1チャンネルあたりの帯域(6MHz)を13のセグメントに分け、そのうちの1セグメントを利用して提供される携帯・移動体向けの放送である。このワンセグ放送によって、テレビジョン番組の他、テキストデータや静止画データなどのコンテンツが提供される。
【0282】
上述した例においては、例えば、図9の信号電極1101から、コンテンツと広告のデータの信号が出力されるようにし、携帯デバイス1002がこの信号を受信する例について説明したが、携帯デバイス1002が携帯電話機として構成される場合、コンテンツと広告のデータがワンセグ放送として送信されるようにし、携帯電話機(携帯デバイス1002)がワンセグ放送を受信することでコンテンツと広告のデータが受信されるようにすることも可能である。
【0283】
また、近年、携帯電話機と、電車の乗車券として用いられる非接触ICカードを一体化して構成し、携帯電話機を用いた自動改札機の通過や、携帯電話機を用いた買い物などのサービスを提供するモバイルSuica(登録商標)と呼ばれるサービスも普及している。
【0284】
携帯デバイス1002が携帯電話機として構成される場合、上述した乗車券が、モバイルSuicaにより提供される乗車券とされるようにしてもよい。さらに、ワンセグ放送として上述したコンテンツと広告のデータが送信されるようにすれば、市場で販売されている一般的な携帯電話機を、携帯デバイス1002として用いて、本発明の構成を実現することも可能である。
【0285】
また、上述した例においては、例えば、図32を参照して上述したように、広告などのコンテンツの視聴回数を分析して、課金データ、マーケティングに関するデータなどが生成されるようにする例について説明したが、コンテンツにクーポンが付加されている場合、クーポンの使用回数を分析して、マーケティングに関するデータなどが生成されるようにすることも可能である。
【0286】
コンテンツの視聴回数をカウントするなどして個人の嗜好を分析する例は、従来から多く提案されており、その分析結果に応じ、より個人の好みに応じたコンテンツを選別し、ユーザに提示する方法がとられていた。このコンテンツに電子データとしてのクーポンを付加し、そのクーポンの使用回数もカウントするなどして分析すれば、より有益なマーケティングに関するデータを生成することができる。なお、ここでいうクーポンの使用とは、ユーザがクーポンに対応するサービス(割引、キャッシュバックなど)の提供を受けることをいう。
【0287】
例えば、管理サーバ1171の記憶部1508に図34に示されるようなコンテンツと広告のデータが記憶され、管理サーバ1171に接続されるワンセグ放送用のサーバなどを介して、図34に示されるコンテンツと広告のデータがワンセグ放送として送信されるものとする。
【0288】
図34の図中左側は、画像データにより構成される映像広告のデータ、音声データにより構成される音声広告のデータ、またはテキスト情報などで構成される文字広告のデータと、クーポン1およびクーポン2のデータが対応づけられており、さらにそれらのデータにメタデータ1が付加されて構成されたデータ2001の例を示している。
【0289】
同様に図34の図中右側は、画像データにより構成される映像コンテンツのデータ、音声データにより構成される音声コンテンツのデータ、携帯電話機で実行されるゲームのプログラムなどのデータで構成されるゲームコンテンツのデータ、またはテキスト情報などで構成される文字コンテンツのデータと、クーポン3およびクーポン4のデータが対応づけられており、さらにそれらのデータにメタデータ2が付加されたデータ2002の例を示している。
【0290】
なお、データ2001は、例えば、広告主による商品、サービスなどの広告を主な目的とするデータであり、データ2002は、例えば、ユーザに視聴させるコンテンツの提供を主な目的とするデータであり、データ2001とデータ2002の構造に、特別な差異があるものではない。また、データ2002にも、例えば、映像コンテンツ乃至文字コンテンツの中に挿入されるCMの映像、音声、または文字として広告の情報が含まれている場合もある。
【0291】
図35は、図34のメタデータ1またはメタデータ2として示されたメタデータの構成例を示している。同図に示されるように、メタデータは、コンテンツ情報とクーポン情報により構成されている。
【0292】
コンテンツ情報には、属性「コンテンツID」乃至「コンテンツカテゴリ情報」が含まれている。属性「コンテンツID」は、当該メタデータが付加されるデータに含まれるコンテンツを特定するIDであり、属性「作成日」は、当該メタデータが付加されるデータに含まれるコンテンツの作成された日を表す情報である。また、属性「作成者情報」は、当該メタデータが付加されるデータに含まれるコンテンツの作成者に関する情報であり、属性「コンテンツカテゴリ情報」は、当該メタデータが付加されるデータに含まれるコンテンツのカテゴリを表す情報である。
【0293】
なお、当該メタデータが、データ2001のように広告のデータに付加されるメタデータである場合、そのメタデータには、上述したコンテンツ情報に替わって、広告情報が挿入されることになる。この場合、属性「コンテンツID」は、当該メタデータが付加されるデータに含まれる広告を特定するIDであり、属性「作成日」は、当該メタデータが付加されるデータに含まれる広告の作成された日を表す情報とされる。また、属性「作成者情報」は、当該メタデータが付加されるデータに含まれる広告の作成者に関する情報であり、属性「コンテンツカテゴリ情報」は、当該メタデータが付加されるデータに含まれる広告のカテゴリを表す情報とされる。
【0294】
クーポン情報には、当該メタデータが付加されるデータに含まれるクーポンの数を表すフィールドが設けられている。そして、クーポン情報には、属性「クーポンID」乃至「クーポンカテゴリ情報」のそれぞれが、上述したクーポンの数を表すフィールドにおいて表されたクーポンの数だけ含まれる。
【0295】
属性「クーポンID」は、当該メタデータが付加されるデータに含まれる1つのクーポンについて、そのクーポンを特定するIDであり、属性「作成日、有効期日」は、そのクーポンの作成日であって有効期日を表す情報、または、単にそのクーポンの作成日若しくは有効期日を表す情報とされる。また、属性「提供者情報」は、そのクーポンの提供者を表す情報であり、属性「クーポンカテゴリ情報」は、そのクーポンのカテゴリを表す情報である。
【0296】
データ2001またはデータ2002のようなデータを受信した携帯デバイス1002は、受信したデータを、メモリ1254に記憶し、ユーザ1001の指令などに基づいてコンテンツ(または広告)を再生するとともに、必要に応じて、上述したメタデータに含まれる情報に基づいて、コンテンツの作成者に関する情報などをディスプレイに表示させる。
【0297】
また、携帯デバイス1002は、コンテンツが再生された場合、そのコンテンツのID、カテゴリなどコンテンツに関する情報を、メタデータに基づいて特定し、コンテンツの再生回数とともに記憶する。
【0298】
さらに、携帯デバイス1002は、クーポンが使用された場合、そのクーポンのID、カテゴリなどクーポンに関する情報を、メタデータに基づいて特定し、クーポンの使用回数とともに記憶する。
【0299】
このように、コンテンツが再生され、また、クーポンが使用されることにより、携帯デバイス1002のメモリ1254には、図36に示されるように、再生されたコンテンツに関する情報に基づいて生成されるコンテンツ分析情報、使用されたクーポンに関する情報に基づいて生成されるクーポン分析情報、およびコンテンツとクーポンで分類した分析情報が記憶される。
【0300】
このようにすることで、本発明においては、従来より行われていたように、視聴されたコンテンツのカテゴリなどに基づいてユーザの嗜好が分析されるだけではなく、使用されたクーポンに関する情報も利用してユーザの嗜好を分析することが可能となる。
【0301】
クーポンが付いたコンテンツを受信して視聴できる場合、ユーザは、例えば、よく利用するお店のクーポンが付いているコンテンツを視聴したり、同様にクーポンが付いている広告を積極的に視聴するようになると考えられる。
【0302】
このようにすることで、例えば、あるユーザは、「居酒屋A、カラオケボックスB、レストランCをよく利用する」というような嗜好情報を得ることが可能となる。すなわち、よく利用するかどうかは、その店舗のクーポンをどれくらい使用したかをカウントした、クーポン毎の使用回数により分析できる。その結果、視聴したコンテンツのカテゴリなどに基づいて分析される従来の嗜好情報と比較して、より詳細で具体的な嗜好情報を生成することが可能となる。
【0303】
図37は、図36のクーポン分析情報の例を示す図である。同図は、使用されたクーポンのクーポンIDを、その使用回数と対応付けて記憶することにより生成されるクーポン分析情報の例である。なお、クーポンIDは、図35を参照して上述したメタデータのクーポン情報の属性「クーポンID」に記述されている情報とする。クーポンIDによりクーポンが特定できるので、図37に示されるようなクーポン分析情報を生成することで、どのクーポンがより多く使用されたかが分かる。図37のようなクーポン分析情報を、例えば、管理サーバ1171により取得して分析することにより、携帯デバイス1002(のユーザ)に対して、より多く使用されたクーポンが付加されているコンテンツのデータを集めて、送信することも可能となる。
【0304】
図38は、図36のクーポン分析情報の別の例を示す図である。同図は、使用されたクーポンの提供者の情報(今の場合、クーポンを提供した店舗を特定する店コード)を、その使用回数と対応付けて記憶することにより生成されるクーポン分析情報の例である。また、図39に示されるように、使用されたクーポンの提供者の情報を、クーポンを提供した店舗を特定する店コードおよびその店舗の位置を特定する地域コードを、その使用回数と対応付けて記憶することによりクーポン分析情報が生成されるようにしてもよい。なお、店コードまたは地域コードは、図35を参照して上述したメタデータのクーポン情報の属性「提供者情報」に記述されている情報とする。
【0305】
図38または図39のようなクーポン分析情報を、例えば、管理サーバ1171により取得して分析することにより、携帯デバイス1002のユーザの嗜好をより詳細に分析することができる。
【0306】
図38または図39のようなクーポン分析情報を分析することで、例えば、ユーザが地域EにあるコンビニAをよく利用するが、コンビニBは余り利用しないことが分かったとする。このような場合、そのユーザの携帯デバイスに対しては、コンビニAのクーポンが付加されたコンテンツをより多く送信することが好ましい。
【0307】
また、図38または図39のようなクーポン分析情報を分析することで、例えば、ユーザがコンビニAをよく利用するが、コンビニAであっても、例えば、自宅付近など特定の場所のコンビニAだけを使う場合が多いことが分かったとする。このような場合、そのユーザの携帯デバイスに対しては、コンビニAのクーポンを含むコンテンツよりも、自宅付近など特定の場所(地域)のクーポンが付加されたコンテンツをより多く送信することが好ましい。例えば、コンビニAとは異なるコンビニBのクーポンであっても、コンビニBがその特定の場所(地域)にある場合には、ユーザにとって有益であるとともに、コンビニBにとっても、そのユーザが新たに顧客となる可能性が高く、広告効果が高い。
【0308】
図40は、図36のクーポン分析情報のさらに別の例を示す図である。同図は、使用されたクーポンのカテゴリの情報(今の場合、クーポンを提供した店舗の種類を表す情報)を、その使用回数と対応付けて記憶することにより生成されるクーポン分析情報の例である。また、図41に示されるように、使用されたクーポンのカテゴリの情報を、クーポンを提供した店舗のさらに詳細な種類を表す情報として、その使用回数と対応付けて記憶することによりクーポン分析情報が生成されるようにしてもよい。なお、図40または図41の店舗の種類を表す情報は、図35を参照して上述したメタデータのクーポン情報の属性「クーポンカテゴリ情報」に記述されている情報とする。
【0309】
図40または図41のようなクーポン分析情報を、例えば、管理サーバ1171により取得して分析することにより、携帯デバイス1002のユーザの嗜好をより詳細に分析することができる。
【0310】
例えば、図40または図41のようなクーポン分析情報を分析することで、ユーザがどういった店舗を利用するか、特に、同じカテゴリの店舗であっても、どういった特徴の店舗を利用するかが分かる。従って、携帯デバイス1002のユーザに対して、より適したクーポンを提供することが可能となる。
【0311】
このように、ユーザの嗜好に合ったクーポンを付加してコンテンツや広告のデータを送信することにより、コンテンツや広告をユーザに視聴してもらえる可能性が高くなる。
【0312】
通常、ユーザは、気に入ったコンテンツについては、そのコンテンツに挿入されているCMなどを気にせず視聴する。このため、ユーザが気に入ったコンテンツに挿入されたCMは視聴される確率が高くなる。しかし、単なる広告や、人気のないコンテンツについては、ユーザに視聴してもらうことが難しい。そこで、コンテンツや広告のデータにクーポンを付加して送信することが考えられるが、コンテンツなどをダウンロードする場合、ダウンロードできるデータ量は、携帯デバイスのメモリの容量などによって制限があるため、ユーザもダウンロードすることに慎重になり、クーポンが付加されていれば、どんなコンテンツや広告でもダウンロードして視聴してもらえるというわけではない。
【0313】
本発明においては、クーポン分析情報に基づいて、ユーザの嗜好をより詳細に分析することができるので、ユーザの嗜好に適したクーポンを添付してデータを送信すれば、ユーザに視聴してもらえる確率を高くすることが可能となる。その結果、コンテンツや広告の提供者にとっても、ユーザにとってもメリットがあるコンテンツの提供を行うことが可能となる。特に、いわゆるプッシュ型でないコンテンツの配信(送信)であって、例えば、いわゆるオンデマンドとよばれるコンテンツの配信の場合、本発明のように、ユーザの嗜好をより詳細に分析することが好ましい。
【0314】
また、図34を参照して上述したようなデータを送信することで、例えば、コンテンツの提供者にとっての、コンテンツの製作、送信などにかかわるコストの負担も異なってくる。ここで、コンテンツの製作、送信などにかかわるコストとしては、コンテンツの出演者などに支払われる人件費などコンテンツの製作に必要となる費用のほか、コンテンツの提供を行う者が、コンテンツの配信サービスを行う者(いまの場合、管理サーバ1171の管理者(事業者)など)に対して支払うコンテンツ配信料、コンテンツの提供を行う者、またはクーポンの提供を行う者がコンテンツの配信サービスを行う者に対して支払うクーポン添付料などが考えられる。
【0315】
例えば、広告主がスポンサーとなり、スポンサーのCMなどが含まれるコンテンツの場合、コンテンツを提供する広告主は、当然、多くの人に広告したいので、ユーザの利益となるクーポンを付加して広告を送信するようになると考えられる。コンテンツや広告の製作、送信などにかかわるコストは、広告主が負担することが一般的であるが、クーポン提供コスト、すなわち、クーポンにより割り引かれる金額等は、必ずしも広告主が全て負担する必要はない。
【0316】
例えば、新型テレビを宣伝したい広告主が、あらかじめマーケティングを行い、新型テレビを購入したい人がどのような趣味嗜好を持っているか分析しているとする。そして、そのマーケティングにより、例えば、新型テレビを購入したい人は、よくレンタルショップでDVDを借りていることが分かったとする。
【0317】
このような場合、広告主は、DVDのレンタル料が100円だけ割り引かれるクーポンを、レンタルショップAから仕入れる。ユーザは、新型テレビの広告を視聴し、クーポンを取得し、これをレンタルショップAで提示し、DVDを100円割り引いて借りる。この時、レンタルショップAは100円損をするものではなく、ユーザに来店してもらい、他にも多くのものを借りてもらったり、買ってもらったりされることが期待できるので、クーポンの提供コスト(今の場合、クーポン1枚あたり100円)のうち、いくらかを自身で負担しても損は無い。
【0318】
あるいはまた、知名度が低いレンタルショップBは、新型テレビの広告を視聴し、クーポンを取得したユーザが多数来店し、それ以後、ユーザに、レンタルショップBに頻繁に来店してもらうようになることを期待して、クーポンの提供コストを全額負担するか、またはさらに、コンテンツや広告の製作、送信などにかかわるコストの一部も負担することもあり得る。
【0319】
一方で、例えば、人気のある店舗のクーポンは、ユーザに所望されやすいものと考えられる。従って、人気のある店舗のクーポンは高い値段で広告主に提供されるようになり、また、人気のあるコンテンツは、より多くの人が視聴するので、多くのクーポン提供者から多額のコスト負担(製作、送信などにかかわるコストの負担)を期待することができる。
【0320】
このように、クーポンを付加してコンテンツや広告のデータを送信することで、コンテンツや広告の製作、送信などにかかわるコストの一部を、クーポン提供者に負担させたり、さらに、コンテンツや広告のデータに付加されるクーポンの種類を適切に選択することにより、コンテンツの製作、送信などのコストの負担の度合いを調整することも可能となる。
【0321】
あるいはまた、クーポンの提供者がコンテンツや広告の製作、送信などにかかわるコストを全て負担するようにしてもよい。このような場合、クーポン提供者は、コスト負担を抑えるため、例えば、割り引きを受けられるクーポンではなく、抽選券のようなクーポンを提供するようにしてもよい。クーポンの提供者がコンテンツや広告の製作、送信などにかかわるコストを全て負担するようにした場合、コンテンツにCMなどを挿入する必要がなくなり、そのコンテンツを視聴するユーザは、落ち着いてコンテンツを楽しむことが可能となる。
【0322】
このように、クーポンを付加してコンテンツや広告のデータを送信することで、より多様な方式でのコンテンツや広告の提供が可能となり、例えば、コンテンツの質の向上も期待できる。
【0323】
なお、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0324】
上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、インターネットなどのネットワークや、リムーバブルメディアなどからなる記録媒体からインストールされる。
【0325】
なお、この記録媒体は、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスク(登録商標)を含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディアにより構成されるものだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROMや、記憶部に含まれるハードディスクなどで構成されるものも含む。
【0326】
本明細書において上述した一連の処理を実行するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0327】
【図1】本発明を適用した通信システムの一実施形態に係る構成例を示す図である。
【図2】理想状態における、図1の通信システムの等価回路の例を示す図である。
【図3】図2のモデルにおいて、受信負荷抵抗の両端に生じる電圧の実効値の計算結果の例を示す図である。
【図4】図1の通信システムの配置例を示す図である。
【図5】本発明を適用した通信システムの一実施形態に係る実際の利用例を示す図である。
【図6】本発明を適用した通信システムの一実施形態に係る他の利用例を示す図である。
【図7】通信処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図8】本発明を適用した通信システムの、さらに他の構成例を示す図である。
【図9】本発明を適用した情報提供システムの一実施形態に係る構成例を示す図である。
【図10】図9の携帯デバイスの構成例を示すブロック図である。
【図11】図9の送受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図12】図9の管理サーバ1171の構成例を示すブロック図である。
【図13】情報提供処理の例を説明するフローチャートである。
【図14】情報取得処理の例を説明するフローチャートである。
【図15】駅構内の案内の例を示す図である。
【図16】本発明を適用した情報提供システムの一実施形態に係る別の構成例を示す図である。
【図17】乗車券販売処理の例を説明するフローチャートである。
【図18】付加情報提供処理の例を説明するフローチャートである。
【図19】管理サーバの記憶部に記憶される情報の例を示す図である。
【図20】携帯デバイスのディスプレイに表示される画面の例を示す図である。
【図21】図20の画面内の領域の詳細な表示例を示す図である。
【図22】図20の画面内の領域の別の詳細な表示例を示す図である。
【図23】管理サーバの記憶部に記憶される情報の別の構成例を示す図である。
【図24】コンテンツチャネルと広告チャネルの例を示す図である。
【図25】携帯デバイスの制御部で実行されるソフトウェアの機能的構成例を示すブロック図である。
【図26】嗜好情報を構成する階層化された項目の例を示す図である。
【図27】設定処理の例を説明するフローチャートである。
【図28】コンテンツ再生処理を説明するフローチャートである。
【図29】携帯デバイスのメモリに記憶される情報の例を示す図である。
【図30】店舗に設置される端末の例を示す図である。
【図31】サービス提供処理を説明するフローチャートである。
【図32】情報分析処理を説明するフローチャートである。
【図33】管理サーバの記憶部に記憶される情報のさらに別の例を示す図である。
【図34】管理サーバの記憶部に記憶される情報のさらに別の例を示す図である。
【図35】図34のメタデータの構成例を示す図である。
【図36】携帯デバイスのメモリに記憶される情報の別の例を示す図である。
【図37】図36のクーポン分析情報の例を示す図である。
【図38】図36のクーポン分析情報の別の例を示す図である。
【図39】図36のクーポン分析情報のさらに別の例を示す図である。
【図40】図36のクーポン分析情報のさらに別の例を示す図である。
【図41】図36のクーポン分析情報のさらに別の例を示す図である。
【符号の説明】
【0328】
100 通信システム, 110 送信装置, 111 送信信号電極, 112 送信基準電極, 113 送信部, 120 受信装置, 121 受信信号電極, 122 受信基準電極, 123 受信部, 130 通信媒体, 961および962 送受信装置, 1001 ユーザ 1002 携帯デバイス ,1101 信号電極, 1102 基準電極, 1151 送受信装置, 1161 アダプタ, 1171 管理サーバ 1191 サーバ, 1201 信号電極, 1202 基準電極, 1254 メモリ, 1255 制御部, 1272 出力部, 1281 乗車券処理部, 1355 制御部, 1501 嗜好情報入力部, 1502 嗜好情報記憶部, 1503広告選択部, 1504 再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが保持する端末に、前記ユーザに提供すべき情報を送信する情報処理装置であって、
自分に接続される信号処理装置のうち、前記端末と通信可能な信号処理装置から送信される情報に基づいて、前記端末のユーザの現在位置の情報を取得する現在位置取得手段と、
前記現在位置取得手段により取得された現在位置の情報に基づいて、自分が読み出し可能な複数の情報の中から、前記ユーザに提供すべき情報を検索する検索手段と、
前記検索手段により検索された前記情報を、前記端末に送信する送信手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記信号処理装置により前記端末から取得される前記ユーザの行先または出発地に関する情報を取得する情報取得手段をさらに備え、
前記検索手段は、前記情報取得手段により取得された行先または出発地に関する情報に基づいて、自分が読み出し可能な複数の情報の中から、前記ユーザに提供すべき情報を検索する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記報取得手段は、前記ユーザが交通機関を利用するとき、前記端末に記憶させる前記交通機関の乗車券に対応する情報に基づいて、前記ユーザの行先または出発地に関する情報を取得する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検索手段は、前記ユーザに提供すべき情報として、前記乗車券により前記ユーザが到達可能な前記交通機関の施設の近辺において、前記ユーザに対して提供される商品またはサービスに関する情報を検索する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記検索手段により検索される情報には、前記ユーザに対して提供される商品またはサービスの提供者が、前記情報を記憶した前記端末を保持するユーザに対して、前記情報を記憶した前記端末を保持していないユーザに対して提供されるサービスとは異なる所定のサービスを提供することを示す情報が含まれる
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定のサービスを提供することを示す情報は、前記端末に送信されるコンテンツのデータに付加されて送信される
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定のサービスを提供することを示す情報が、前記商品またはサービスの提供者に提示された場合、前記端末が前記所定のサービスを提供することを示す情報が提示されたことを表す情報を記憶し、
前記端末から前記所定のサービスを提供することを示す情報が提示されたことを表す情報を取得し、
前記取得された情報に基づいて、前記端末を所持するユーザの嗜好を表す情報を生成する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記コンテンツのデータがワンセグ放送として、前記端末に送信される
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記検索手段により検索され、前記ユーザに提供される複数の情報のうち、予め設定された基準に従って選択された情報が前記端末を介して前記ユーザに提示される
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記端末を介して前記ユーザに提示された情報を特定する情報が前記端末に記録され、
前記端末に記録された前記端末を介して前記ユーザに提示された情報を特定する情報を取得するユーザ提示情報取得手段をさらに備える
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記ユーザ提示情報取得手段が、前記ユーザに対して所定のサービスを提供するための機器に設けられ、
前記ユーザに対して前記所定のサービスが提供されるとき、
前記端末に記録された前記端末を介して前記ユーザに提示された情報を特定する情報が取得される
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記検索手段は、前記ユーザに提供すべき情報として、前記乗車券により前記ユーザが到達可能な前記交通機関の第1の施設のさらに先にある前記交通機関の第2の施設の近辺において、前記ユーザに対して提供される商品またはサービスに関する情報を検索する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記検索手段により検索される情報には、前記ユーザに対して提供される商品またはサービスの提供者が、前記ユーザが前記第1の施設のさらに先にある前記交通機関の第2の施設まで、前記交通機関を利用して移動するための費用を負担することを証明する情報が含まれる
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記検索手段により検索される情報には、前記交通機関の利用方法に関する情報が含まれる
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記検索手段により検索される情報には、前記交通機関による移動に要する時間に関する情報が含まれる
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記検索手段は、前記ユーザに提供すべき情報として、前記乗車券の出発地から行先までの経路上の地図情報を検索する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記現在位置取得手段により取得された現在位置が、前記経路上で予め設定された地点から所定の範囲内である場合、前記端末を介して前記ユーザに対する警告を出力させる
請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記検索手段により検索される情報には、前記ユーザに対する広告が含まれ、
前記送信手段により、前記端末に前記広告が送信された場合、広告主に対する、前記広告の送信に対応する課金情報を生成する課金情報生成手段をさらに備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記信号処理装置および前記端末のそれぞれが、出力値を判定するための基準点を得るための基準電極と、前記基準電極よりも通信媒体に対して静電結合が強くなるように設けられた信号電極とを有し、
前記基準電極と、前記信号電極との間に生じた電位差に基づく信号に基づいて前記端末との通信が行われる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記通信媒体は、人体である
請求項19に記載の情報処理装置。
【請求項21】
ユーザが保持する端末に、前記ユーザに提供すべき情報を送信する情報処理装置の情報処理方法であって、
自分に接続される信号処理装置のうち、前記端末と通信可能な信号処理装置から送信される情報に基づいて、前記端末のユーザの現在位置の情報を取得し、
取得された現在位置の情報に基づいて、自分が読み出し可能な複数の情報の中から、前記ユーザに提供すべき情報を検索し、
検索された前記情報を、前記端末に送信する
ステップを含む情報処理方法。
【請求項22】
ユーザが保持する端末に、前記ユーザに提供すべき情報を送信する情報処理装置に情報処理を実行させるプログラムであって、
自分に接続される信号処理装置のうち、前記端末と通信可能な信号処理装置から送信される情報に基づいて、前記端末のユーザの現在位置の情報の取得を制御し、
取得された現在位置の情報に基づいて、自分が読み出し可能な複数の情報の中から、前記ユーザに提供すべき情報の検索を制御し、
検索された前記情報の、前記端末への送信を制御する
ステップを含むコンピュータが読み取り可能なプログラム。
【請求項23】
請求項22に記載のプログラムが記録されている記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2007−89131(P2007−89131A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180848(P2006−180848)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】