説明

情報案内装置、ナビゲーション装置、情報案内方法、ナビゲーション方法、情報案内プログラム、ナビゲーションプログラム、および記録媒体

【課題】現在位置近傍の情報を詳細且つリアルタイムに得る。
【解決手段】移動体に搭載され、経路を探索して誘導するナビゲーション装置100は、音声情報を取得する取得部101と、道路情報を取得するための特定のワードが設定される設定部102と、取得部101が取得した音声情報のうち、設定部102に設定された特定のワードを含む音声情報を認識する音声認識部103と、音声認識部103により認識された特定のワードを含む音声情報に基づいて、経路を作成する経路作成部106と、経路作成部106により作成された経路の案内をおこなう案内部107と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報案内装置、ナビゲーション装置、情報案内方法、ナビゲーション方法、情報案内プログラム、ナビゲーションプログラム、および記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は前述の情報案内装置、ナビゲーション装置、情報案内方法、ナビゲーション方法、情報案内プログラム、ナビゲーションプログラム、および記録媒体には限らない。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車などの車両には、目的地までの経路を探索して、当該目的地まで誘導するナビゲーション装置が搭載されている。このようなナビゲーション装置は、ディスプレイなどの表示画面に現在位置や道路を表示するだけでなく、そのときどきの道路交通情報を反映させて表示するものが知られている。
【0003】
たとえば、VICS(Vehicle Information and Communication System)センターで編集、処理された渋滞情報や交通規制情報などの道路交通情報をリアルタイムに受信し、この道路交通情報を、表示画面に表示されている地図上に反映させるものが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。なお、VICSシステムには、道路上に設置された光ビーコンまたは電波ビーコン(以下、ビーコンという)の下を車両が通過する際に道路交通情報を受信するものや、FM多重放送から道路交通情報を受信するものなどがある。
【0004】
また、ナビゲーション装置の目的地の設定については、タッチパネルなどの操作入力によっておこなわれるものが一般に知られている。また、このほかにも、音声入力によってナビゲーション装置の目的地の設定をおこなうようにした技術が提案されている(たとえば、特許文献2参照。)。具体的には、外部から言語情報に関する無線信号を受信し、この言語情報を音声認識したのちにナビゲーション装置の推奨経路探索を実行する。
【0005】
【特許文献1】特開2001−304882号公報
【特許文献2】特開2001−141500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の技術は、ビーコンから道路交通情報を受信するものは、車両が当該ビーコンの下を通過する際に、道路交通情報を受信する。そのため、車両がビーコンの下を通過したあと、つぎのビーコンの下を通るまでの間は、道路交通情報を受信することができず、リアルタイムの情報を得ることができないという不具合がある。また、FM多重放送を介して道路交通情報を受信するものは、広範囲の情報であり、現在位置近傍の情報についてはビーコンに比べて情報が詳しくなく、また、受信した情報とリアルタイムの情報とに誤差があるため、現在位置近傍の情報を詳細且つリアルタイムに得ることができないという不具合がある。
【0007】
また、上述した特許文献1の技術と特許文献2の技術とを組み合わせたと仮定すると、FM多重放送による道路交通情報を受信して、当該道路交通情報を音声認識する態様が想定できるかもしれないが、特許文献1の技術は、特定の情報送信元(依頼主)からの情報のみを必要な情報として取得するため、特許文献2と組み合わせた態様であっても、特定の情報送信元としてのFM多重放送のみの音声情報しか取得することができない。したがって、上述したように、FM多重放送による道路交通情報は、広範囲の情報であり且つ受信した情報とリアルタイムの情報とに誤差があるため、このように組み合わせた態様であっても、現在位置近傍の情報を詳細且つリアルタイムに得ることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる情報案内装置は、移動体に搭載され、交通情報を案内する情報案内装置において、音声情報を取得する取得手段と、道路情報を取得するための特定のワードが設定される設定手段と、前記取得手段が取得した音声情報のうち、前記設定手段に設定された特定のワードを含む音声情報を認識する音声認識手段と、前記音声認識手段により認識された特定のワードを含む音声情報を、最新の交通情報として呈示する呈示手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の発明にかかるナビゲーション装置は、移動体に搭載され、経路を探索して誘導するナビゲーション装置において、音声情報を取得する取得手段と、道路情報を取得するための特定のワードが設定される設定手段と、前記取得手段が取得した音声情報のうち、前記設定手段に設定された特定のワードを含む音声情報を認識する音声認識手段と、前記音声認識手段により認識された特定のワードを含む音声情報に基づいて、経路を作成する経路作成手段と、前記経路作成手段により作成された経路の案内をおこなう案内手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項9の発明にかかる情報案内方法は、移動体に搭載され、交通情報を案内する情報案内装置の情報案内方法において、音声情報を取得する取得工程と、道路情報を取得するための特定のワードが設定される設定工程と、前記取得工程が取得した音声情報のうち、前記設定工程に設定された特定のワードを含む音声情報を認識する音声認識工程と、前記音声認識工程により認識された特定のワードを含む音声情報を、最新の交通情報として呈示する呈示工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項10の発明にかかるナビゲーション方法は、移動体に搭載され、経路を探索して誘導するナビゲーション方法において、音声情報を取得する取得工程と、道路情報を取得するための特定のワードが設定される設定工程と、前記取得工程が取得した音声情報のうち、前記設定工程に設定された特定のワードを含む音声情報を認識する音声認識工程と、前記音声認識工程により認識された特定のワードを含む音声情報に基づいて、経路を作成する経路作成工程と、前記経路作成工程により作成された経路の案内をおこなう案内工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項11の発明にかかる情報案内プログラムは、請求項9に記載の情報案内方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項12の発明にかかるナビゲーションプログラムは、請求項10に記載のナビゲーション方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
また、請求項13の発明にかかる記録媒体は、請求項11または12に記載のプログラムを記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報案内装置、ナビゲーション装置、情報案内方法、ナビゲーション方法、情報案内プログラム、ナビゲーションプログラム、および記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
(ナビゲーション装置の機能的構成)
この発明の実施の形態にかかるナビゲーション装置100の機能的構成について説明する。図1は、実施の形態1にかかるナビゲーション装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。なお、情報処理装置の機能的構成については、後述するように、ナビゲーション装置100の経路作成部106および案内部107を、呈示部として置換した構成とすればよい。
【0017】
図1において、ナビゲーション装置100は、移動体に搭載され、経路を探索して誘導するものであり、取得部101と、設定部102と、音声認識部103と、現在位置検出部104と、選出部105と、経路作成部106と、案内部107と、を備えている。なお、本発明において、現在位置検出部104および選出部105については、必須の構成要素ではない。
【0018】
取得部101は、音声情報を取得する。利用者の音声情報を取得してもよいが、主に、交通情報ラジオやハイウェイラジオなどの放送される音声情報を取得する。設定部102は、道路情報を取得するための特定のワードが設定されている。特定のワードとは、具体的には、道路名、所要時間、区間、場所などの、道路交通状況に関するワードである。
【0019】
音声認識部103は、取得部101が取得した音声情報のうち、設定部102に設定された特定のワードを含む音声情報を認識する。音声認識とは、たとえば、取得部101が取得した音声情報を文字情報に変換して、当該文字情報の中に、設定部102に設定された文字情報としてのワードが含まれる場合に、取得部101が取得した音声情報に交通情報が含まれるものとして認識するものである。
【0020】
つまり、取得部101が取得した音声情報の中に、道路情報に関する特定のワードが含まれる場合に、当該音声情報を交通情報として抽出する。交通情報の抽出とは、特定のワードを認識した瞬間の音声情報を抽出するだけではなく、特定のワードを認識した際のその前後に取得した音声情報を抽出することをも含む。つまり、特定のワードを認識したとき、その前後の所定時間に取得した音声情報を交通情報として記録しておく。
【0021】
現在位置検出部104は、所定のGPS(Global Positioning System)ユニットなどにより順次取得し、移動体の現在位置を検出する。選出部105は、現在位置検出部104により検出された移動体の現在位置に基づき、音声認識部103によって認識された特定のワードを含む音声情報のうち、現在位置から所定範囲内の交通情報を選出する。
【0022】
所定範囲とは、たとえば、現在位置から1時間以内に移動可能な距離であり、一般道路では40km程度とし、高速道路では80km程度とする。この距離は、車両の速度によって、適宜、可変に設定すればよく、たとえば、一般道路の速度を時速20km/hに設定したとすれば、1時間以内に移動可能な距離は20kmになり、所定範囲は20kmになる。また、高速道路の速度を時速100km/hに設定したとすれば、1時間以内に移動可能な距離は100kmになり、所定範囲は100kmになる。また、一般道路であっても、高速道路付近では、最寄りのインターチェンジから高速道路に乗ったと仮定し、現在位置から1時間以内に移動可能な距離を算出して、その距離に応じた交通情報を選出してもよい。
【0023】
また、現在位置検出部104は、現在位置における速度情報を検出し、選出部105は、現在位置検出部104によって検出された速度情報に基づいて、選出する交通情報の範囲を設定するようにしてもよい。現在位置における速度情報とは、たとえば、指定速度や法定速度に関する情報である。また、一般道路であるか高速道路であるかを検出してもよい。
【0024】
さらに、車両の走行履歴を抽出する抽出部をさらに備え、選出部105は、抽出部によって抽出された走行履歴に基づいて、選出する交通情報の範囲を設定するようにしてもよい。たとえば、走行履歴が自宅から20km圏内に集中する場合は、選出する交通情報の範囲を20km圏内とし、不必要な遠方の交通情報を取得しないようにする。一方、高速道路が多用されている走行履歴がある場合は、高速道路を中心に広い範囲の情報を取得するようにすればよい。
【0025】
経路作成部106は、音声認識部103により認識された特定のワードを含む音声情報に基づいて、経路を作成する。また、経路作成部106は、案内部107が車両の経路を案内している際に、音声認識部103によって特定のワードを含む音声情報が認識されたとき、認識された交通情報が案内中の経路上に含まれるか否かを判別する判別部と、判別部によって、認識された交通情報が案内中の経路上に含まれると判別されたときに、別の経路を作成する別経路作成部と、別経路作成部によって作成された別の経路および経路作成部106によって作成された案内中の経路を比較して、経路を変更するか否かを判断する判断部と、を備える構成としてもよい。
【0026】
実施の形態1では、選出部105によって選出された現在位置からの所定範囲内の交通情報に基づいて、経路を作成する。つまり、上述した経路作成部106の判別部は、選出部105によって現在位置から所定範囲内の交通情報が選出されたとき、選出された交通情報が案内中の経路上に含まれるか否かを判別する。
【0027】
なお、本発明の情報案内装置は、上述したナビゲーション装置100の経路作成部106および案内部を、呈示部に置換することによって構成される。呈示部は、音声認識部103により認識された特定のワードを含む音声情報を、最新の交通情報として呈示する。なお、実施の形態1のナビゲーション装置100のように、現在位置検出部104および選出部105を備えるようにした場合、呈示部は、選出部105によって選出された現在位置から所定範囲内の交通情報を呈示する。
【0028】
この場合、取得部101は、利用者の音声情報を取得してもよいが、主に、交通情報ラジオやハイウェイラジオなどの放送される音声情報を取得する。また、呈示部は、文字情報を呈示するようにしてもよく、この場合、音声認識部103は、特定のワードを含む音声情報を文字情報として変換して出力する。また、呈示部は、音声出力による呈示でもよく、この場合、文字情報に変換された特定のワードを含む音声情報を再度音声情報に変換して出力する。
【0029】
(ナビゲーション装置のナビゲーション処理手順)
つぎに、図2を用いて、ナビゲーション装置100のナビゲーション処理手順について説明する。図2は、実施の形態1にかかるナビゲーション装置のナビゲーション処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0030】
図2のフローチャートにおいて、まず、ナビゲーション装置100は、取得部101が音声情報を取得するまで待機し(ステップS201:Noのループ)、音声情報を取得した場合(ステップS201:Yes)、音声認識部103が音声認識をおこなう(ステップS202)。音声認識部103は、取得部101が取得した音声情報のうち、設定部102に設定された特定のワードを含む音声情報を認識する。なお、設定部102に設定される特定のワードは、予め設定されている。
【0031】
このあと、現在位置検出部104が移動体の現在位置を検出する(ステップS203)。そして、選出部105が、現在位置検出部104により検出された移動体の現在位置に基づき、音声認識部103によって認識された特定のワードを含む音声情報のうち、現在位置から所定範囲内の交通情報を選出する(ステップS204)。そして、経路作成部106が、選出部105によって選出された交通情報に基づいて、経路を作成する(ステップS205)。このあと、案内部107が、経路作成部106によって作成された経路を案内し(ステップS206)、一連の処理を終了する。
【0032】
以上説明したように、実施の形態1にかかるナビゲーション装置100によれば、取得した音声情報のうち、設定された特定のワードを含む音声情報を音声認識して、音声認識された音声情報に基づいて経路の作成および案内をおこなう。つまり、不特定多数の音声情報から交通情報のみを認識し、この交通情報に基づいて、経路の作成および案内をおこなうことができる。したがって、VICSシステム以外にもラジオなどから交通情報をリアルタイムに認識することができるので、リアルタイムの交通情報に基づいて、経路を作成し、案内することができる。
【0033】
また、実施の形態1にかかるナビゲーション装置100によれば、特に、放送される音声情報を認識することができる。これによって、ラジオから送信される道路速報などのアナウンサーの音声から、リアルタイムに交通情報を認識することができるので、リアルタイムの交通情報に基づいて、経路を作成し、案内することができる。
【0034】
また、実施の形態1にかかるナビゲーション装置100によれば、現在位置を検出し、現在位置に基づいて、音声認識された音声情報のうち、現在位置から所定範囲内の交通情報を選出する。これによって、不必要に広範囲の交通情報を得ることなく、必要な範囲内のリアルタイムの交通情報に基づいて、経路を作成し、案内することができる。
【0035】
また、実施の形態1にかかるナビゲーション装置100によれば、現在位置検出部104が現在位置における速度情報を検出し、選出部105が検出された速度情報に基づいて、選出する交通情報の範囲を選定してもよい。これによって、現在の走行状況に応じた範囲の交通情報を選定することができるので、必要な範囲内のリアルタイムの交通情報に基づいて、経路を作成し、案内することができる。
【0036】
また、実施の形態1にかかるナビゲーション装置100によれば、車両の走行履歴を抽出し、抽出された走行履歴に基づいて、選出する交通情報の範囲を選定してもよい。これによって、利用者が最も利用する経路を優先的に選び、不必要に交通情報を得ることなく、必要な範囲内のリアルタイムの交通情報に基づいて、経路を作成し、案内することができる。
【0037】
また、実施の形態1にかかるナビゲーション装置100によれば、車両の経路を案内している際に、認識された交通情報が案内中の経路上に含まれているとき、別経路を作成して経路を変更するか否かを判断するようにしてもよい。つまり、経路の案内中であっても、認識された交通情報に基づいて、経路を変更することができる。これによって、リアルタイムの交通情報に基づいて、最良の経路を作成し、案内することができる。
【0038】
また、実施の形態1にかかるナビゲーション装置100によれば、現在位置から所定範囲内の交通情報が選出されたとき、当該選出された交通情報を所定時間蓄積してもよい。なお、現在位置検出部104および選出部105を備えない構成の場合は、音声認識部103により認識された特定のワードを含む音声情報を所定時間蓄積する。これによって、リアルタイムの交通情報を蓄積することができ、特に、ナビゲーション装置100が案内動作を停止している状態から、案内を開始する際には、蓄積されたリアルタイムの交通情報に基づいて、経路を作成し、経路の案内をおこなうことができる。
【0039】
また、本発明の情報案内装置によれば、取得した音声情報のうち、設定された特定のワードを含む音声情報を音声認識して、音声認識された音声情報を最新の交通情報として呈示する。つまり、不特定多数の音声情報から交通情報のみを認識し、この交通情報を呈示する。したがって、VICSシステム以外にもラジオなどから交通情報をリアルタイムに得ることができるので、リアルタイムの交通情報を呈示することができる。
【実施例1】
【0040】
以下に、本発明の実施例1について説明する。実施例1では、車両に搭載されるナビゲーション装置によって、本発明のナビゲーション装置100を実施した場合の一例について説明する。
【0041】
(ナビゲーション装置300のハードウェア構成)
図3を用いて、実施例1にかかるナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図3は、実施例1にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3において、ナビゲーション装置300は、車両などの移動体に搭載されており、CPU301と、ROM302と、RAM303と、磁気ディスクドライブ304と、磁気ディスク305と、光ディスクドライブ306と、光ディスク307と、音声I/F(インターフェース)308と、マイク309と、スピーカ310と、入力デバイス311と、映像I/F312と、ディスプレイ313と、通信I/F314と、GPSユニット315と、各種センサ316と、カメラ317と、を備えている。また、各構成部301〜317はバス320によってそれぞれ接続されている。
【0042】
まず、CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、通信プログラム、音声認識プログラム、情報案内プログラム、経路誘導プログラムなどの各種プログラムを記録している。また、RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。
【0043】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0044】
光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータの読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0045】
音声I/F308は、音声入力用のマイク309および音声出力用のスピーカ310に接続される。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。スピーカ310からは、音声が出力される。
【0046】
入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。
【0047】
映像I/F312は、ディスプレイ313と接続される。映像I/F312は、具体的には、たとえば、ディスプレイ313全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ313を表示制御する制御ICなどによって構成される。
【0048】
ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ313は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【0049】
通信I/F314は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300とCPU301とのインターフェースとして機能する。通信I/F314は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU301とのインターフェースとしても機能する。
【0050】
通信網には、LAN、WAN、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信I/F314は、たとえば、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバ、無線ナビゲーション装置、およびそのほかのナビゲーション装置によって構成され、VICSセンターから配信される渋滞や交通規制などの道路交通情報を取得する。なお、VICSは登録商標である。また、通信I/F314は、たとえば、図示しないサーバなどからスケジュール情報やプロフィール情報を取得する構成でもよい。
【0051】
GPSユニット315は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在地点を示す情報を出力する。GPSユニット315の出力情報は、後述する各種センサ316の出力値とともに、CPU301による車両の現在地点の算出に際して利用される。現在地点を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図情報上の1点を特定する情報である。
【0052】
各種センサ316は、車速センサや加速度センサ、角速度センサなどを含み、車両の位置や挙動を判断することが可能な情報を出力する。各種センサ316の出力値は、CPU301による車両の現在地点の算出や、速度や方位の変化量の測定などに用いられる。
【0053】
カメラ317は、車両内部あるいは外部の映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよい。また、カメラ317によって撮影された映像を映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力する。
【0054】
図1に示したナビゲーション装置100が備える設定部102、音声認識部103、選出部105、経路作成部106は、図3に示したナビゲーション装置300におけるROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置300における各部を制御することによって、その機能を実現する。
【0055】
なお、取得部101は、音声I/F308を介してマイク309から音声を入力することによって、その機能を実現する。現在位置検出部104は、GPSユニット315が車両の位置情報を取得し、ROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、現在位置を検出することによって、その機能を実現する。案内部107は、スピーカ310またはディスプレイ313から経路の案内をおこなうことによって、その機能を実現する。
【0056】
すなわち、本実施例のナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300における記録媒体としてのROM302に記録されている音声認識プログラムおよび経路誘導プログラムを実行することにより、図1に示したナビゲーション装置100が備える機能を、図2に示したナビゲーション処理手順で実行することができる。
【0057】
(ナビゲーション装置のナビゲーション処理の一例)
つぎに、図4を用いて、実施例1にかかるナビゲーション装置300がおこなうナビゲーション処理の一例について説明する。図4は、実施例1にかかるナビゲーション装置のナビゲーション処理の一例を示すフローチャートである。実施例1は、ナビゲーション装置300に目的地が設定され、目的地までの経路の案内動作がおこなわれていることを前提として、状況に応じて経路の変更をおこなうようにした処理について説明する。なお、ナビゲーション装置300に目的地の設定がされておらず、経路の案内動作がおこなわれていないことを前提として、この状態から経路の案内を開始するようにした処理については、後述する実施例2で説明する。
【0058】
図4のフローチャートにおいて、まず、ナビゲーション装置300は、音声I/F308を介して、マイク309から、ラジオなどの音声を取得するまで待機し(ステップS401:Noのループ)、音声情報を取得した場合(ステップS401:Yes)、音声認識をおこなう(ステップS402)。なお、特定のワードは、道路交通状況に関するワード(たとえば、「渋滞」というワード)であり、詳細な具体例については、後述する。音声認識は、CPU301がROM302内に記録された音声認識プログラムを実行することにより、取得した音声情報のうち、磁気ディスク305、光ディスク307などに設定されている特定のワードを含む音声情報を認識することによっておこなわれる。具体的には、取得した音声情報を周波数分析することによって文字情報に変換し、この文字情報と特定のワードとを照合することにより、文字情報のうち、特定のワードを含む文字情報を交通情報として認識する。
【0059】
交通情報を認識する際には、特定のワードを認識した瞬間の音声情報のみならず、特定のワードを認識した際の、その前後に取得した音声情報をも含む。つまり、特定のワードを認識したとき、その前後の所定時間内に取得した音声情報を交通情報として、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録する。具体的には、「渋滞」というワードを音声認識した際に、その前後の所定時間内に取得した音声情報をも交通情報として記録しておく。
【0060】
このあと、GPSユニット315により、移動体の現在位置を検出する(ステップS403)。そして、現在位置が一般道路か否かを判断する(ステップS404)。ステップS404において、現在位置が一般道路であると判断した場合(ステップS404:Yes)、現在位置から40km以内の交通情報を選出する(ステップS405)。
【0061】
一方、ステップS404において、現在位置が一般道路ではないと判断した場合(ステップS404:No)、たとえば、高速道路であるものとして判断し、現在位置から80km以内の交通情報を選出する(ステップS406)。なお、ステップS404において、現在位置が一般道路であると判断した場合であっても、高速道路のインターチェンジ付近では、現在位置の一番最寄りのインターチェンジから、高速道路に乗ったと仮定した場合の1時間以内に移動可能な距離を算出して、その距離に応じた交通情報を選出してもよい。また、ステップS404においては、指定速度や法定速度などの速度情報に基づいて判断してもよい。また、走行履歴を抽出して、履歴情報を付加して判断してもよい。
【0062】
そして、選出された交通情報が案内中の経路上に含まれるか否かを判断する(ステップS407)。ステップS407において、選出された交通情報が案内中の経路上に含まれる場合(ステップS407:Yes)、別の経路を作成する(ステップS408)。そして、作成された別の経路と、案内中の経路とを比較し(ステップS409)、経路を変更するか否かを判断する(ステップS410)。ステップS410において、経路を変更する場合(ステップS410:Yes)、別の経路を案内し(ステップS411)、一連の処理を終了する。
【0063】
なお、ステップS407において、選出された交通情報が案内中の経路上に含まれていない場合(ステップS407:No)、継続して現行の経路を案内し(ステップS412)、一連の処理を終了する。また、ステップS410において、経路を変更しない場合(ステップS410:No)、ステップS412以降の処理をおこなう。
【0064】
つぎに、実施例1の音声認識に用いられる別の特定のワードについて、図5を用いて説明する。図5は、一般道路で用いられる特定のワードの一例を示す説明図である。図5において、ワードリスト500は、分類501と、特定のワード502と、具体例503とによって構成される。また、分類501は、道路名510と、区間・場所511とによって構成される。道路名510を例に挙げて詳細に説明すると、道路名510は、特定のワード502として、「上り、下り」、「外回り、内回り」、「県名」、「国道」によって構成される。
【0065】
「上り、下り」の具体例503としては、たとえば、「川越街道の上り」が挙げられる。なお、「外回り、内回り」、「県名」、「国道」についてもそれぞれ、具体例503がある。また、図5に示すように、区間・場所511についても、それぞれ、特定のワード502やそれに対応する具体例503がある。実施例1では、このような特定のワードが磁気ディスク305や光ディスク307に予め設定されている。
【0066】
つぎに、実施例1の音声認識に用いられる別の特定のワードについて、図6を用いて説明する。図6は、高速道路で用いられる特定のワードの一例を示す説明図である。図6において、ワードリスト600は、分類601と、特定のワード602と、具体例603とによって構成される。また、分類601は、高速道路名610と、通過所要時間611と、区間・場所612とによって構成される。高速道路名610を例に挙げて詳細に説明すると、高速道路名610は、特定のワード602として、「××線」、「上り、下り」、「外回り、内回り」、「××バイパス」によって構成される。
【0067】
「××線」の具体例603としては、たとえば、「4号線、新宿線」が挙げられる。なお、「上り、下り」、「外回り、内回り」、「××バイパス」についてもそれぞれ、具体例603がある。また、図6に示すように、通過所要時間611や区間・場所612についても、それぞれ、特定のワード602やそれに対応する具体例603がある。実施例1では、このような特定のワードが磁気ディスク305や光ディスク307に予め設定されている。
【0068】
つぎに、実施例1の音声認識に用いられる別の特定のワードについて、図7を用いて説明する。図7は、一般道路および高速道路で用いられる特定のワードの一例を示す説明図である。図7において、ワードリスト700は、分類701、特定のワード702と、具体例703とによって構成される。また、分類701は、案内710と、原因711と、その他712とによって構成される。案内710を例に挙げて詳細に説明すると、案内710は、特定のワード702として、「渋滞」、「通行止」、「交通規制」によって構成される。
【0069】
「渋滞」の具体例703としては、たとえば、「渋滞5km」が挙げられる。なお、「通行止」、「交通規制」についてもそれぞれ、具体例703がある。また、図7に示すように、原因711やその他712についても、それぞれ、特定のワード702やそれに対応する具体例703がある。実施例1では、このような特定のワードが磁気ディスク305や光ディスク307に予め設定されている。
【0070】
なお、「その他」の分類の「任意設定のワード」については、交通情報の表現に使用されるワードであり、図7では「流れが悪い」、「迂回」、「断続的」、「渋滞が延びている」が挙げているが、このようなワードについては、任意に設定してよく、必要でなければ削除してもよいし、このほかに必要なワードを追加してもよい。
【0071】
なお、走行する一般道路で用いられる特定のワードと、高速道路で用いられる特定のワードとを区別せずに、全て共通のワードとして用いてもよいことは勿論である。図5,6に示したように、一般道路で用いられる特定のワードと、高速道路で用いられる特定のワードとを区別して設定することにより、無駄な情報を取得しないようにでき、音声認識における文字情報の照合の精度を上げることができる。また、図5〜7に示したワードは、一例に過ぎず、これに限られるものではない。
【0072】
つぎに、実施例1のディスプレイ313の表示について、図8を用いて説明する。図8は、実施例1にかかるナビゲーション装置のディスプレイに表示される画面の一例を示す説明図である。図8においては、一般道路を時速40kmの設定で走行し、現在位置Pから目的地Dまで、経路Aを辿る経路の案内がおこなわれているものとする。また、ラジオから番組が流れているものとする。
【0073】
この状態で、番組の途中にニュース速報として、J地点にて事故が発生したとの渋滞の情報が入ったとする。このとき、ナビゲーション装置300は、音声情報のうち、図5または図7に示したワードリスト500,ワードリスト700を基に、「上り、下り」、「事故」、「渋滞」などの特定のワードが含まれるものを交通情報として抽出する。
【0074】
そして、現在位置Pから、1時間以内に走行可能な距離としての40km以内の交通情報を取得し、J地点にて渋滞が発生した旨を呈示する。そして、別の経路としてB経路を作成し、経路を変更するか否かを判断して、経路の変更の必要があれば、B経路の案内を開始する。なお、経路の変更の判断は、利用者が操作パネルを操作することによっておこなってもよい。また、一般道路の速度設定を変えれば、現在位置Pを中心とした取得すべき交通情報の範囲は適宜変更される。
【0075】
以上説明したように、実施例1にかかるナビゲーション装置300によれば、取得した音声情報のうち、設定された特定のワードを含む音声情報を音声認識して、音声認識された音声情報に基づいて経路の作成および案内をおこなう。つまり、不特定多数の音声情報から交通情報のみを認識し、この交通情報に基づいて、経路の作成および案内をおこなうことができる。したがって、VICSシステム以外にもラジオなどから交通情報をリアルタイムに認識することができるので、リアルタイムの交通情報に基づいて、経路を作成し、案内することができる。
【0076】
また、実施例1にかかるナビゲーション装置300によれば、特に、放送される音声情報を取得する。これによって、ラジオから送信される道路速報などのアナウンサーの音声から、リアルタイムに交通情報を認識することができるので、リアルタイムの交通情報に基づいて、経路を作成し、案内することができる。
【0077】
また、実施例1にかかるナビゲーション装置300によれば、現在位置を検出し、現在位置に基づいて、音声認識された音声情報のうち、現在位置から所定範囲内の交通情報を選出する。これによって、不必要に広範囲の交通情報を得ることなく、必要な範囲内の交通情報に基づいて、経路を作成し、案内することができる。
【0078】
また、実施例1にかかるナビゲーション装置300によれば、現在位置における速度情報を検出し、検出された速度情報に基づいて、選出する交通情報の範囲を選定する。具体的には、現在位置が一般道路か高速道路かを検出し、検出された道路の情報に基づいて、選出する交通情報の範囲を選定する。これによって、現在の走行状況に応じた範囲の交通情報を選定することができるので、必要な範囲内のリアルタイムの交通情報に基づいて、経路を作成し、案内することができる。
【0079】
また、実施例1にかかるナビゲーション装置300によれば、車両の走行履歴を抽出し、抽出された走行履歴に基づいて、選出する交通情報の範囲を選定してもよい。これによって、利用者が最も利用する経路を優先的に選び、不必要に交通情報を得ることなく、必要な範囲内のリアルタイムの交通情報に基づいて、経路を作成し、案内することができる。
【0080】
また、実施例1にかかるナビゲーション装置300によれば、車両の経路を案内している際に、現在位置から所定範囲内の交通情報が選出され、選出された交通情報が案内中の経路上に含まれているとき、別経路を作成して経路を変更するか否かを判断する。つまり、経路の案内中であっても、選出された交通情報に基づいて、経路を変更することができる。リアルタイムの交通情報に基づいて、最良の経路を作成し、案内することができる。
【0081】
なお、実施例1にかかるナビゲーション装置300を情報案内装置として用いる場合には、経路の案内をおこなわず、取得した音声情報のうち、設定された特定のワードを含む音声情報を音声認識して、音声認識された音声情報を最新の交通情報として呈示すればよい。したがって、VICSシステム以外にもラジオなどから交通情報をリアルタイムに得ることができるので、リアルタイムの交通情報を呈示することができる。
【実施例2】
【0082】
つぎに、図9を用いて、実施例2にかかるナビゲーション装置300がおこなうナビゲーション処理の一例について説明する。図9は、実施例2にかかるナビゲーション装置のナビゲーション処理の一例を示すフローチャートである。実施例2は、ナビゲーション装置300に目的地の設定がされておらず、経路の案内動作がおこなわれていないことを前提とし、この状態から経路の案内を開始するようにした処理について説明する。
【0083】
(ナビゲーション装置の処理の一例)
図9のフローチャートにおいて、まず、ナビゲーション装置300は、音声I/F308を介して、マイク309から、ラジオなどの音声を取得するまで待機し(ステップS901:Noのループ)、音声情報を取得した場合(ステップS901:Yes)、音声認識をおこなう(ステップS902)。音声認識は、CPU301がROM302内に記録された音声認識プログラムを実行することにより、取得した音声情報のうち、磁気ディスク305、光ディスク307などに設定されている特定のワードを含む音声情報を認識することによっておこなわれる。さらに、交通情報の前後に特定の音が挿入されている場合には、その特定の音を取得し、たとえば、この特定の音が挿入されている前後の音声情報に特定のワードが含まれるかを認識してもよい。また、一対の特定の音に区切られた期間の音声情報に特定のワードが含まれるかを認識してもよい。
【0084】
このあと、GPSユニット315により、移動体の現在位置を検出する(ステップS903)。そして、現在位置から所定範囲内の交通情報を選出する(ステップS904)。なお、ステップS903のあとに、実施例1と同様に、現在位置が一般道路か否かを判断してもよいが、ここでは、その説明を省略する。そして、磁気ディスク305や光ディスク307などに現在位置からの所定範囲内の交通情報を蓄積する(ステップS905)。
【0085】
このあと、1時間経過したか否かを判断する(ステップS906)。ステップS906において、1時間経過したと判断した場合(ステップS906:Yes)、蓄積した交通情報を削除する(ステップS907)。そして、経路の案内の指示があるかを判断する(ステップS908)。なお、ステップS906において、1時間経過していないと判断した場合(ステップS906:No)、ステップS908に移行する。
【0086】
ステップS908において、経路の案内の指示がある場合(ステップS908:Yes)、蓄積した交通情報に基づいて、経路を作成する(ステップS909)。そして、作成した経路を案内し(ステップS910)、一連の処理を終了する。一方、ステップS908において、経路の案内の指示がない場合(ステップS908:No)、ステップS901以降の処理をおこなう。
【0087】
つぎに、実施例2のディスプレイ313の表示について、図10を用いて説明する。図10は、実施例2にかかるナビゲーション装置のディスプレイに表示される画面の一例を示す説明図である。図10においては、現在位置Pにて一般道路Lを時速40km/hの設定で走行し、経路の案内はおこなわれていないものとするが、ディスプレイ313には電源が入っており現在位置の表示がされているものとする。なお、現在位置Pは高速道路KのインターチェンジIから距離20kmの地点である。また、ラジオからは番組が流れているものとする。
【0088】
この状態で、番組の途中にニュース速報として、J地点にて事故が発生したとの渋滞の情報が入ったとする。このとき、ナビゲーション装置300は、音声情報のうち、図5または図7に示したワードリスト500,ワードリスト700を基に、「上り、下り」、「事故」、「渋滞」などの特定のワードが含まれるものを交通情報として抽出する。そして、現在位置Pから1時間以内に走行可能な距離としての40km以内の交通情報を取得し、J地点にて渋滞が発生した旨を呈示する。
【0089】
また、現在位置Pから距離20kmのインターチェンジIを経由して、時速80km/hの設定で走行可能な高速道路Kを通ると仮定した場合、現在位置PからインターチェンジIまでは30分かかり、インターチェンジIから残りの30分でさらに40km走行できる。つまり、このようにインターチェンジI付近を走行している場合は、現在位置Pから40km以内の一般道路Lの情報を取得するとともに、インターチェンジIから40kmの地点E,Fまでの高速道路Kの情報を取得する。
【0090】
そして、取得した情報は記録される。なお、一般道路Lの速度の設定および高速道路Kの速度設定を変えれば、現在位置Pを中心とした取得すべき交通情報の範囲は適宜変更される。そして、利用者が操作パネルを操作することにより、経路の案内の指示があった場合は、この取得した情報に基づいて、経路の作成がおこなわれる。また、1時間経過した場合は、記録した情報は古い情報として削除される。
【0091】
以上説明したように、実施例2にかかるナビゲーション装置300によれば、取得した音声情報のうち、設定された特定のワードを含む音声情報を音声認識して、音声認識された音声情報に基づいて経路の作成および案内をおこなうことができる。つまり、不特定多数の音声情報から交通情報のみを認識し、この交通情報に基づいて、経路の作成および案内をおこなうことができる。したがって、VICSシステム以外にもラジオなどから交通情報をリアルタイムに認識することができるので、リアルタイムの交通情報に基づいて、経路を作成し、案内することができる。
【0092】
また、実施例2にかかるナビゲーション装置300によれば、ナビゲーション装置300の案内を停止している場合であっても、認識された特定のワードを含む音声情報を所定時間蓄積する。具体的には、現在位置から所定範囲内の交通情報が選出されたとき、当該選出された交通情報を所定時間蓄積する。これによって、リアルタイムの交通情報を蓄積することができ、特に、ナビゲーション装置300が案内動作を停止している状態から、案内を開始する際には、蓄積されたリアルタイムの交通情報に基づいて、経路を作成し、経路の案内をおこなうことができる。
【0093】
なお、実施例2にかかるナビゲーション装置300を情報案内装置として用いる場合には、経路の案内をおこなわず、取得した音声情報のうち、設定された特定のワードを含む音声情報を音声認識して、音声認識された音声情報を最新の交通情報として呈示すればよい。したがって、VICSシステム以外にもラジオなどから交通情報をリアルタイムに得ることができるので、リアルタイムの交通情報を呈示することができる。
【0094】
なお、実施例1または2で説明したナビゲーション方法および情報案内方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、実施の形態1にかかるナビゲーション装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかるナビゲーション装置のナビゲーション処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図3は、実施例1にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施例1にかかるナビゲーション装置のナビゲーション処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、一般道路で用いられる特定のワードの一例を示す説明図である。
【図6】図6は、高速道路で用いられる特定のワードの一例を示す説明図である。
【図7】図7は、一般道路および高速道路で用いられる特定のワードの一例を示す説明図である。
【図8】図8は、実施例1にかかるナビゲーション装置のディスプレイに表示される画面の一例を示す説明図である。
【図9】図9は、実施例2にかかるナビゲーション装置のナビゲーション処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、実施例2にかかるナビゲーション装置のディスプレイに表示される画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0096】
100 ナビゲーション装置
101 取得部
102 設定部
103 音声認識部
104 現在位置検出部
105 選出部
106 経路作成部
107 案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、交通情報を案内する情報案内装置において、
音声情報を取得する取得手段と、
道路情報を取得するための特定のワードが設定される設定手段と、
前記取得手段が取得した音声情報のうち、前記設定手段に設定された特定のワードを含む音声情報を認識する音声認識手段と、
前記音声認識手段により認識された特定のワードを含む音声情報を、最新の交通情報として呈示する呈示手段と、
を備えることを特徴とする情報案内装置。
【請求項2】
前記取得手段は、放送される音声情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報案内装置。
【請求項3】
前記音声認識手段により認識された特定のワードを含む音声情報を所定時間蓄積する蓄積手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報案内装置。
【請求項4】
移動体に搭載され、経路を探索して誘導するナビゲーション装置において、
音声情報を取得する取得手段と、
道路情報を取得するための特定のワードが設定される設定手段と、
前記取得手段が取得した音声情報のうち、前記設定手段に設定された特定のワードを含む音声情報を認識する音声認識手段と、
前記音声認識手段により認識された特定のワードを含む音声情報に基づいて、経路を作成する経路作成手段と、
前記経路作成手段により作成された経路の案内をおこなう案内手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
前記移動体の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記現在位置検出手段により検出された前記移動体の現在位置に基づき、前記音声認識手段によって認識された特定のワードを含む音声情報のうち、現在位置から所定範囲内の交通情報を選出する選出手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記現在位置検出手段は、現在位置における速度情報を検出し、
前記選出手段は、前記現在位置検出手段によって検出された速度情報に基づいて、選出する交通情報の範囲を選定することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
車両の走行履歴を抽出する抽出手段をさらに備え、
前記選出手段は、前記抽出手段によって抽出された走行履歴に基づいて、選出する交通情報の範囲を選定することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記経路作成手段は、
前記案内手段が車両の経路を案内している際に、前記音声認識手段によって特定のワードを含む音声情報が認識されたとき、認識された交通情報が案内中の経路上に含まれるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段によって、認識された交通情報が案内中の経路上に含まれると判別されたときに、別の経路を作成する別経路作成手段と、
前記別経路作成手段によって作成された別の経路および前記経路作成手段によって作成された案内中の経路を比較して、経路を変更するか否かを判断する判断手段と、
を備えることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
移動体に搭載され、交通情報を案内する情報案内装置の情報案内方法において、
音声情報を取得する取得工程と、
道路情報を取得するための特定のワードが設定される設定工程と、
前記取得工程が取得した音声情報のうち、前記設定工程に設定された特定のワードを含む音声情報を認識する音声認識工程と、
前記音声認識工程により認識された特定のワードを含む音声情報を、最新の交通情報として呈示する呈示工程と、
を含むことを特徴とする情報案内方法。
【請求項10】
移動体に搭載され、経路を探索して誘導するナビゲーション方法において、
音声情報を取得する取得工程と、
道路情報を取得するための特定のワードが設定される設定工程と、
前記取得工程が取得した音声情報のうち、前記設定工程に設定された特定のワードを含む音声情報を認識する音声認識工程と、
前記音声認識工程により認識された特定のワードを含む音声情報に基づいて、経路を作成する経路作成工程と、
前記経路作成工程により作成された経路の案内をおこなう案内工程と、
を含むことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項11】
請求項9に記載の情報案内方法をコンピュータに実行させることを特徴とする情報案内プログラム。
【請求項12】
請求項10に記載のナビゲーション方法をコンピュータに実行させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項13】
請求項11または12に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−157885(P2008−157885A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350005(P2006−350005)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(500403929)パイオニアシステムテクノロジー株式会社 (58)
【出願人】(502196463)株式会社テック・エキスパーツ (37)
【Fターム(参考)】