説明

情報表示装置、情報表示方法及び情報表示用プログラム

【課題】事故現場等を空撮しようとするパイロットやカメラの操作者が、複雑な操作に気を取られることなく一瞬で正確且つ簡易にカメラの方向を認識することが可能な情報表示装置等を提供する。
【解決手段】ヘリコプタ外にある撮影対象を当該ヘリコプタから撮影するカメラ4を備えた当該ヘリコプタに搭載され且つディスプレイ(8、9)を備える情報表示装置Sにおいて、ヘリコプタの現在位置と撮影対象の位置との少なくともいずれか一方に関連する地図をディスプレイ(8、9)に表示させ、これに加えて、カメラ4の撮影方向を示すパン角情報等に基づき、撮影方向を示すカメラ方位マークCLを、表示されている地図に対応させ且つ当該地図に重畳させてディスプレイ(8、9)に表示させる表示制御部5を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、情報表示装置、情報表示方法及び情報表示用プログラムの技術分野に属し、より詳細には、例えば航空機等の移動体に搭載されたカメラ等から外を撮影する際に、当該撮影に関連する情報を表示する情報表示装置及び情報表示方法並びに当該情報表示用のプログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、事故や災害が発生した際には、例えばヘリコプタ等の航空機の外部にテレビジョンカメラを遠隔操縦可能に搭載することで、当該事故や災害の現場の状況を空撮することが行われている。そして、近年では、この空撮の映像をそのままリアルタイムで放送局に伝送して放送することにより、当該事故や災害の状況がリアルタイムで放送されることが可能となっている。
【0003】
ここで、このような空撮の重要性の向上に鑑み、その空撮の精度、すなわち、必要な地点を空中から正確且つ鮮明に撮影する精度が求められるようになっており、このような精度を向上させるための技術として、例えば下記特許文献1及び2に例示される技術がある。
【特許文献1】特許第2695393号公報(第1図、第4図等)
【特許文献2】特開平7−167666号公報(第5図等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明の構成によると、空撮対象の物がカメラの視野範囲(撮影範囲)内に入らない限りカメラの方向が表示されないこととなり、カメラの視野範囲の設定を適切にしない限りカメラの方向を認識することができない。
【0005】
また、上記特許文献2に記載の発明では、カメラの方向を自動的に使用者に告知する点は一切考慮されていない。
【0006】
一方、実際の航空機において、空撮を正確且つ迅速に行うためには、言うまでもなくカメラが正確にその空撮対象物に指向されている必要があり、このためには、そのカメラを操作する操作者だけではなく、そのカメラが搭載されている航空機のパイロットもそのカメラの方向を認識した上で適切にその航空機を操縦し、当該カメラの方向を考慮して当該空撮に最適な位置にその航空機を占位させる必要がある。このような状況では、当該現場に到着して初めてその空撮対象物とカメラの方向との位置関係を把握するのではなく、カメラの方向を含めて空撮対象物等に対する進入方向等を事前に決めておく必要がある。
【0007】
しかしながら一方で、上記事故現場等の空撮を行う場合には、いわゆる有視界飛行方式で飛行する場合が多く、飛行安全上、パイロットは常に周囲を目視にて警戒・監視する必要があり、上述したようにカメラの方向にばかり気を取られていると、空中衝突や墜落といった重大事故を招来する必要があるため、カメラの方向のことばかりに留意するわけにもいかない。
【0008】
そこで、本願は上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その課題は、事故現場等を空撮しようとするパイロットやカメラの操作者が、複雑な操作に気を取られることなく一瞬で正確且つ簡易にカメラの方向を認識することが可能な情報表示装置及び情報表示方法並びに当該情報表示用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ヘリコプタ等の移動体外にある撮像対象を当該移動体から撮像するカメラ等の撮像手段を備えた当該移動体に搭載され且つ表示手段を備える情報表示装置において、前記移動体の現在位置と前記撮像対象の位置との少なくともいずれか一方に関連する地図をディスプレイ等の表示手段に表示させる表示制御部等の地図表示制御手段と、前記撮像手段の撮像方向を示す撮像方向情報に基づき、当該撮像方向を示す図形である撮像方向指示図形を、前記表示されている地図に対応させ且つ当該地図に重畳させて前記表示手段に表示させる表示制御部等の撮像方向表示制御手段と、を備える。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報表示装置において、前記撮像方向は、前記移動体に対する相対的な前記撮像手段の指向方向に基づいて算出される方向であるように構成される。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報表示装置において、前記地図表示制御手段及び前記撮像方向表示制御手段は、前記地図及び前記撮像方向指示図形夫々の前記表示手段における表示態様を、前記移動体の移動に対応させて夫々に更新するように構成される。
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報表示装置において、前記撮像方向指示図形は、前記検出された撮像方向を示す直線であるように構成される。
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報表示装置において、前記移動体の現在位置から見た前記撮像対象の方向を示す対象方向情報に基づき、当該撮像対象の方向を示す図形である対象方向指示図形であって且つ前記撮像方向指示図形とは表示態様が異なる対象方向指示図形を、前記表示されている地図に対応させ且つ当該地図に重畳させて前記表示手段に表示させる対象方向表示制御手段を更に備える。
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の情報表示装置において、前記対象方向表示制御手段は、前記対象方向指示図形の前記表示手段における表示態様を、前記移動体の移動に対応させて更新するように構成される。
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の情報表示装置において、前記対象方向指示図形は、前記検出された撮像方向を示す直線であるように構成される。
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の情報表示装置において、前記地図表示制御手段は、前記移動体の現在位置を含む前記地図を前記表示手段に表示させると共に、当該表示されている地図に重畳させて、前記現在位置を示す現在位置指標を前記表示手段に表示させる現在位置表示制御手段を更に備える。
【0017】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の情報表示装置において、前記地図表示制御手段は、前記撮像対象の位置を含む前記地図を前記表示手段に表示させると共に、当該表示されている地図に重畳させて、前記撮像対象の位置を示す対象位置指標を前記表示手段に表示させる対象位置表示制御手段を更に備える。
【0018】
上記の課題を解決するために、請求項10に記載音発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の情報表示装置において、前記移動体の移動方向を示す移動方向情報に基づき、当該移動方向を示す図形である移動方向指示図形であって且つ前記撮像方向指示図形とは表示態様が異なる移動方向指示図形を、前記表示されている地図に対応させ且つ当該地図に重畳させて前記表示手段に表示させる移動方向表示制御手段を更に備える。
【0019】
上記の課題を解決するために、請求項11に記載の発明は、ヘリコプタ等の移動体外にある撮像対象を当該移動体から撮像するカメラ等の撮像手段を備えた当該移動体に搭載され且つディスプレイ等の表示手段を備える情報表示装置において実行される情報表示方法において、前記移動体の現在位置と前記撮像対象の位置との少なくともいずれか一方に関連する地図を表示手段に表示させる地図表示制御工程と、前記撮像手段の撮像方向を示す撮像方向情報に基づき、当該撮像方向を示す図形である撮像方向指示図形を、前記表示されている地図に対応させ且つ当該地図に重畳させて前記表示手段に表示させる撮像方向表示制御工程と、を含むように構成される。
【0020】
上記の課題を解決するために、請求項12に記載の発明は、ヘリコプタ等の移動体外にある撮像対象を当該移動体から撮像するカメラ等の撮像手段を備えた当該移動体に搭載され且つディスプレイ等の表示手段を備える情報表示装置に含まれるコンピュータを、前記移動体の現在位置と前記撮像対象の位置との少なくともいずれか一方に関連する地図を表示手段に表示させる地図表示制御手段、及び、前記撮像手段の撮像方向を示す撮像方向情報に基づき、当該撮像方向を示す図形である撮像方向指示図形を、前記表示されている地図に対応させ且つ当該地図に重畳させて前記表示手段に表示させる撮像方向表示制御手段、として機能させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本願を実施するための最良の形態について、図1乃至図4を用いて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、後述する空撮用のカメラを搭載した移動体としてのヘリコプタに搭載され、当該カメラによる空撮状態を表示する情報表示装置に対して本願を適用した場合の実施の形態である。
【0022】
なお、図1は実施形態に係る情報表示装置の概要構成を示すブロック図であり、図2は実施形態に係る情報表示装置において授受されるパケットの内容を例示する図であり、図3は実施形態に係る情報表示装置の動作を示すフローチャートであり、図4は実施形態に係る情報表示装置において表示される画面例を示す図である。
【0023】
(I)実施形態
図1に示すように、実施形態に係る情報表示装置Sは、GPS電波DGの受信用であるアンテナ1と、位置検出部2と、姿勢検出部3と、例えば実施形態に係るヘリコプタの前部下面側に設けられた撮像手段としてのカメラ4と、地図表示制御手段、撮像方向表示制御手段、対象方向表示制御手段、現在位置表示制御手段、対象位置表示制御手段及び北方向表示制御手段としての表示制御部5と、CPU6と、キーボード、操作グリップ等からなる操作部7と、液晶ディスプレイ等からなる表示手段としての第1ディスプレイ8(パイロット用)及び第2ディスプレイ9(カメラ操作者用)と、アンテナ10及び11と、により構成されている。
【0024】
次に、全体動作を説明する。
【0025】
アンテナ1は、宇宙空間に打ち上げられている図示しないGPS(Global Positioning System)衛星から送信されて来るGPS電波DGを受信し、当該受信したGPS電波DGに含まれるGPS情報を含むアンテナ信号Santを位置検出部2に出力する。
【0026】
これにより、位置検出部2は、当該受信したGPS情報に基づき、情報表示装置Sが搭載されているヘリコプタの位置及び高度を、緯度/経度により示す位置信号Sposを生成し、姿勢検出部3に出力する。
【0027】
一方、アンテナ10は、図示しない地上局の方向に指向されており、当該地上局に対して、空撮して当該地上局に送信されるべき画像に相当する画像情報DAの送信を行う。
【0028】
他方、アンテナ11は、同様に図示しない地上局の方向に指向されており、当該地上局から送信されて来る、空撮対象物(地上の事故現場等)の位置の指示等を含む指示情報ODの受信を行う。
【0029】
また、カメラ4は、当該カメラ4が指向されるべき方向や高度等を示す情報を含むCPU6からの制御信号Scomに基づき、当該制御信号Scomに含まれている方向及び高度の画像を撮影する。そして、当該撮影した画像に相当する画像情報を含むと共に、当該カメラ4におけるチルト角度及びパン角度を示す情報を含むカメラ信号Scamを生成して姿勢検出部3に出力する。
【0030】
ここで、当該チルト角度とは、カメラ4の撮影方向の上下方向における傾斜角度(例えば鉛直方向を基準とした傾斜角度)を言い、パン角度とは、カメラ4の撮影方向とヘリコプタの機首方向との為す相対的な角度を言う。
【0031】
これらにより、姿勢検出部3は、カメラ4によって撮影された画像を含む画像情報Savを生成し、アンテナ10を介して上記地上局に送信する。
【0032】
これに加えて、姿勢検出部3は、当該地上局から上記指示情報ODとしてアンテナ11を介して送信されて来た上記空撮対象物の位置を示す位置情報等を含む指示情報Sodと、位置検出部2から出力されて来た上記位置信号Sposと、当該姿勢検出部3内に備えられた図示しないジャイロセンサ、加速度センサ及び磁気方位センサ等により検出されたヘリコプタの姿勢(より正確には、情報表示装置S自体の姿勢)を示す姿勢情報と、に基づいて、後述する構成を有する制御情報Sgpsを生成し、ヘリコプタの移動に応じてこれを随時更新し、CPU7に出力する。
【0033】
なお、上記制御情報Sgpsは、具体的にはいわゆるパケット方式で上述した位置情報等を授受するためのものであり、当該制御情報Sgpsを構成する各パケットは、例えば図2に示すパケットPTの如き物理フォーマットに準拠している。
【0034】
このとき、図2に例示するパケットPTにおいて、「DLE」とはData Link Escapeの略であり、上記パケットPTの開始端又は終端を示す情報である。また、「ETX」とはEnd of TeXtの略であり、パケトPTの終端を示す情報である。更に、「経度」、「緯度」、「GPS高度」及び「速度」とは、実施形態に係る情報表示装置Sが搭載されているヘリコプタの現在位置に相当する緯度及び経度並びに当該ヘリコプタ自体の高度及び速度を示す情報である。更にまた、「トラッキング方位」とは当該ヘリコプタが飛行している移動方位のことであり、「ヘディング方位」とは当該ヘリコプタの機首が向いている方向のことである(周知の如く、ヘリコプタは前進の他に後退や横方向への移動も可能であるため、上記ヘディング方位とトラッキング方位とは必ずしも一致しない)。また、「ロール角」及び「ピッチ角」は、夫々当該ヘリコプタにおける水平方向の傾き角度及び垂直方向の傾き角度である。更に、各項目中の( )内は、その物理量の分解能を示す。
【0035】
これらに加えて、上記制御情報Sgpsには、任意のタイミングにおいて、地上局からアンテナ11を介して送信されて来た空撮対象物の位置を示す上記位置情報等が含まれてCPU6に出力されることとなる。
【0036】
他方、カメラ4のチルト角度等を制御する操作及び撮影された画像を地上局に送信するための操作等は、操作部7において上記第2ディスプレイ9を視認しているカメラ操作者により実行される。これにより、当該操作部7は、当該操作等に対応する操作信号Sopを生成し、CPU7に出力する。
【0037】
これにより、CPU7は、上記操作信号Sopに基づき、カメラ4の位置等を制御するための上記制御信号Scomを生成してカメラ4に出力すると共に、姿勢検出部3から出力されてくる上記制御情報Sgpsに基づき、第1ディスプレイ8及び第2ディスプレイ9に表示させる画像を表示制御部5に生成させるための制御信号Svcを生成し、当該表示制御部5に出力する。
【0038】
そして、表示制御部5は、上記制御信号Svcに基づき、具体的には後述する実施形態に係る画像生成処理を行い、上記第1ディスプレイ8及び第2ディスプレイ9において表示させる画像に相当する画像信号Sdp1及びSdp2を夫々生成し、夫々第1ディスプレイ8及び第2ディスプレイ9に出力する。
【0039】
次に、上述した構成を備える実施形態に係る情報表示装置Sにおいて実行される、実施形態に係る情報表示処理について、具体的に図3及び図4を用いて説明する。
【0040】
図3に示すように、実施形態に係る情報表示処理を開始する旨の操作が操作部7において実行されると、CPU7は、姿勢検出部3からそのタイミングにおける最新の上記制御情報Sgpsを取得し(ステップS1)、次に、操作部7において指定されている地図の表示モードを確認する(ステップS2)。
【0041】
ここで、実施形態に係る情報表示装置Sにおいては、ヘリコプタの現在位置をその中心として地図を表示する「現在位置中心モード」と、空撮対象物の位置をその中心として地図を表示する「撮影位置中心モード」と、が選択可能とされており、上記情報表示処理を開始する旨の操作の一部として予めいずれかのモードが指定される。
【0042】
ステップS2の判定において、指定されたモードが現在位置中心モードであるときは(ステップS2;現在位置中心モード)、上記制御情報Sgpsとして取得した(ステップS1)当該現在位置を中心とした地図を表示制御部5内の図示しないビデオメモリ上において描画し(ステップS3)、後述するステップS4に移行する。
【0043】
一方、ステップS2の判定において、指定されたモードが撮影位置中心モードであるときは(ステップS2;撮影位置中心モード)、上記制御情報Sgpsとして取得した(ステップS1)当該撮影位置を中心とした地図を表示制御部5内の図示しないビデオメモリ上において描画する(ステップS4)。
【0044】
上記ステップS3又はS4の処理において必要な地図の描画が終了すると、次に、当該描画された地図がヘリコプタの現在位置を含む場合には、当該地図上に当該現在位置を示す現在位置マークを描画し(ステップS5)、更に当該描画された地図が空撮対象物の位置(上記撮影位置)を含む場合には、当該地図上に当該撮影位置を示す撮影位置マークを描画する(ステップS6)。
【0045】
その後、CPU6は、上記制御情報Sgpsのパケットに含まれている緯度及び経度等の情報を主として用いて、ヘリコプタの現在位置と空撮対象物の位置をと結ぶ直線(以下、当該直線を単に対象物方位線と称する)と現在上記ビデオメモリ上に描画されている地図との相対的な位置関係を演算する(ステップS7)。
【0046】
次に、CPU6は、上記制御情報Sgpsのパケットに含まれているカメラパン角度及びトラッキング方位並びにヘディング方位等の情報を主として用いて、カメラ4のパン角度(すなわち、ヘリコプタの機首方位とカメラ4の撮影方向との間の相対的な角度)と当該ヘリコプタの機首方位とに基づき、地図を基準とした当該カメラ4の撮影方向を示す直線(以下、当該直線を単にカメラ方位線と称する)を、当該直線と現在上記ビデオメモリ上に描画されている地図との相対的な位置関係を含めて演算する(ステップS8)。
【0047】
次に、上記ステップS7の処理において演算した対象物方位線の少なくとも一部が、その時にビデオメモリ上に描画されている地図内に含まれる場合は、その対象物方位線の地図上の位置及び方法を示す線である対象物方位マークを当該ビデオメモリ上に描画する(ステップS9)。
【0048】
これに加えて、上記ステップS8の処理において演算したカメラ方位線の少なくとも一部が、その時にビデオメモリ上に描画されている地図内に含まれる場合は、そのカメラ方位線の地図上の位置及び方法を示す線であるカメラ方位マークを当該ビデオメモリ上に描画する(ステップS10)。
【0049】
なお、当該カメラ方位マークは、上記対象物方位マークとは異なる態様(具体的には、直線自体の形態(実線、破線又は点線等の形態)が異なる場合及び表示の際の色が異なる場合が考えられる)の直線を用いて描画される。
【0050】
その後、上記ステップS3乃至S10の処理においてビデオメモリ上に描画されている地図等を示す上記画像信号Sdp1及びSdp2を夫々生成し、第1ディスプレイ8及び第2ディスプレイ9に出力することで、夫々のディスプレイ上に、上記地図及び現在位置マーク等を表示する。
【0051】
なお、より詳細な描画順序としては、例えば、
地図(上記ステップS3又はS4参照)→空域情報→地物マーク→飛行ルートマーク等→必要に応じて現在位置マーク又は撮影位置マーク(上記ステップS5及びS6参照)→対象物方位マーク及びカメラ方位マーク(上記ステップS9及びS10参照)→その他の文字情報等
の順で描画された上で画像信号Sdp1及びSdp2が生成されるのが一般的である。
【0052】
そして、実施形態に係る情報表示処理を終了するか否かを確認し(ステップS11)、当該情報表示処理を継続するときは(ステップS11;NO)、そのまま上記ステップS1の処理に戻り、更新されて出力されて来る上記制御情報Sgps等に基づいて上記ステップS1乃至S11を行って新たな表示を第1ディスプレイ8及び第2ディスプレイ9上において行う。
【0053】
一方、ステップS11の判定において、そのまま実施形態に係る情報表示処理を終了するときは(ステップS11;YES)、そのまま終了する。
【0054】
次に、図3に示すフローチャートに則った処理による表示例について、具体的に図4を用いて説明する。
【0055】
先ず、図4(a)は、いわゆるヘディングアップ方式(すなわち、ヘリコプタの機首方向を地図上の「上」として表示する方式)が操作部7において選択されており、更に撮影位置中心モード(上記ステップS2及びS4参照)が操作部7において選択されている状態の表示例である。
【0056】
図4(a)においては、撮影位置を示す撮影位置マークTPが画面の中心に表示されており、これとの関係で上記演算された位置(上記ステップS7及びS8参照)に、夫々上記対象物方位マークTL(図4において破線で示す)及び上記カメラ方位マークCL(図4において一点鎖線で示す)が表示される。
【0057】
これに加えて、図4(a)に示すように、「北」を示す北マークNSも併せて表示するようにしてもよい。この場合、図4(a)に示す例が上記ヘディングアップ方式の例であるため、北マークNSが地図上の「上」以外の方角を示す場合がある。
【0058】
次に、図4(b)は、いわゆるノースアップ方式(すなわち、北を地図上の「上」として表示する方式)が操作部7において選択されており、更に撮影位置中心モード(上記ステップS2及びS4参照)が操作部7において選択されている状態の表示例である。
【0059】
図4(b)においては、図4(a)の場合と同様に撮影位置を示す撮影位置マークTPが画面の中心に表示されており、これとの関係で上記演算された位置(上記ステップS7及びS8参照)に、夫々上記対象物方位マークTL及び上記カメラ方位マークCLが表示される。なお、図4(b)においても上記北マークNSが表示されているが、図4(b)に示す例が上記ノースアップ方式の例であるため、北マークNSは地図上の「上」を常に示すこととなる。
【0060】
次に、図4(c)は、上記ヘディングアップ方式が操作部7において選択されており、更に現在位置中心モードが操作部7において選択されている状態の表示例である。
【0061】
図4(c)においては、ヘリコプタの現在位置を示す現在位置マークPPが、その飛行方向(図2に示すパケットPTにおける「トラッキング方位」参照)を示す矢印として画面の中心に表示されており、これとの関係で上記演算された位置(上記ステップS7及びS8参照)に、夫々上記対象物方位マークTL及び上記カメラ方位マークCLが表示される。なお、図4(c)における上記北マークNSは、図4(a)の場合と同様に、地図上の「上」以外の方位を示す場合があることになる。
【0062】
最後に、図4(d)は、上記ノースアップ方式が操作部7において選択されており、更に現在位置中心モードが操作部7において選択されている状態の表示例である。
【0063】
図4(d)においても、ヘリコプタの現在位置を示す現在位置マークPPが、その飛行方向を示す矢印として画面の中心に表示されており、これとの関係で上記演算された位置(上記ステップS7及びS8参照)に、夫々上記対象物方位マークTL及び上記カメラ方位マークCLが表示される。なお、図4(d)における上記北マークNSは、図4(b)の場合と同様に、地図上の「上」を常に示すこととなる。
【0064】
なお、実施形態に係る第1ディスプレイ8及び第2ディスプレイ9においては、基本的には同一の内容の表示が為されるが、パイロット用(第1ディスプレイ8)及びカメラ操作者用(第2ディスプレイ9)と言う用途の違いに応じて、夫々に更に別の表示内容が付加されてもよい。
【0065】
また、図4に例示したもの以外に、縮尺等の関係で撮影位置又は現在位置が含まれていない地図を表示する場合は、当該表示されるべき地図と上記対象物方位線又はカメラ方位線の位置との関係で、当該地図内にいずれかの方位線の少なくとも一部が含まれる場合は、その含まれる位置に、対応するいずれかの方位線を描画して表示することとなる。
【0066】
更に、図4(a)乃至(d)に例示した各画面において、ヘディングアップ方式であるか又はノースアップ方式であるかは、予め操作部7において指定しておく必要があるが、それ以外の各画面は、当該操作部7における操作により随時且つ相互に直接に切り換え可能である。
【0067】
以上夫々説明したように、実施形態に係る情報表示装置Sの動作によれば、ヘリコプタの現在位置と空撮対象物の位置との少なくともいずれか一方に関連する地図に対してカメラ方位マークCLが重畳されて表示されるので、ヘリコプタの移動に関連する地図と撮影方向との関係を図形により直感的且つ簡易に認識することができる。
【0068】
従って、複雑な操作に気を取られる等することなく、一瞬で正確且つ簡易に撮影方向を認識することが可能となる。
【0069】
また、カメラ方位マークCLが、カメラパン角度とヘリコプタの機首方位とに基づいて算出されるカメラ4の地図を基準とした撮影方向を示すので、正確に撮影方向を各ディスプレイ上に表示させることができる。
【0070】
更に、ヘリコプタの移動に対応して表示中の地図及びカメラ方位マークCLが夫々更新されるので、最新の撮影方向を常に認識することができる。
【0071】
更にまた、カメラ方位マークCLが直線であるので、より迅速且つ直感的に当該撮影方向を認識することができる。
【0072】
また、ヘリコプタの現在位置と撮影対象の位置との少なくともいずれか一方に関連する地図に対して、カメラ方位マークCL及び当該カメラ方位マークCLと異なる対象物方位マークTLが共に重畳されて表示されるので、撮影対象の位置との関係で撮影方向をより的確且つ直感的に認識することができる。
【0073】
更に、ヘリコプタの移動に対応して表示中の地図及びカメラ方位マークCL並びに対象物方位マークTLが夫々更新されるので、最新の撮影方向を撮影対象の位置との関係を含めて常に認識することができる。
【0074】
更にまた、対象物方位マークTLが直線であるので、より迅速且つ直感的に当該撮影対象の位置を認識することができる。
【0075】
また、現在位置マークPP及び少なくともカメラ方位マークCLが共に地図に重畳されて表示されるので、ヘリコプタの現在位置との関係で撮影方向をより的確に認識することができる。
【0076】
更に、撮影位置マークTP及び少なくともカメラ方位マークCLが共に地図に重畳されて表示されるので、撮影対象の位置との関係で撮影方向をより的確に認識することができる。
【0077】
更にまた、少なくともカメラ方位マークCLと共に北マークNSが地図に重畳されて表示されるので、撮影方向と北との関係をより迅速且つ直感的に認識することができる。
【0078】
(II)変形形態
次に、本願に係る変形形態について説明する。
【0079】
先ず、第一の変形形態について図5を用いて説明する。
【0080】
上述した実施形態においては、撮影位置中心モードが予め選択されており且つ対応する地図の範囲内にヘリコプタの現在位置が含まれない場合、上記現在位置マークPPは、画面上に表示されないこととなる。
【0081】
このような場合に、図5に例示するように、撮影位置を中心とする画面の端部等(すなわち、カメラ方位マークCL及び撮影位置マークTPの表示に障害とならない位置)に、その時のヘリコプタの飛行方向を示す針路マークPDを表示させるように構成することもできる。
【0082】
この場合は、少なくともカメラ方位マークCLと共に針路マークPDが地図に重畳されて表示されるので、撮影対象の撮影を継続するに当たっての以後のとるべき移動方向等をより迅速且つ直感的に認識することができることになる。
【0083】
また、第2の変形形態として、上述した実施形態では、カメラ方位マークCL及び対象物方位マークTLを夫々表示態様が相互に異なる直線として表示させたが、これに限らず、上記対象物方位線及びカメラ方位線と地図との関係が直感的に認識できる図形(マーク)であれば、他のどのような図形であってもよい。
【0084】
更に、上述して来た実施形態及び変形形態においては、アンテナ10と11とが別個のアンテナである場合について説明したが、これ以外に、地上局に対する画像送信用のアンテナと、地上局からの空撮対象物等の位置情報等を受信するためのアンテナと、を、一つのアンテナで共用するように構成することも可能である。
【0085】
更にまた、図3に示すフローチャートに対応するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、又はインターネット等を介して取得して記録しておき、これらを汎用のコンピュータで読み出して実行することにより、当該コンピュータを実施形態に係るCPU6として活用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施形態に係る情報表示装置の概要構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る情報表示装置において授受されるパケットの内容を例示する図である。
【図3】実施形態に係る情報表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施形態に係る情報表示装置において表示される画面例を示す図であり、(a)は第一例を示す図であり、(b)は第二例を示す図であり、(c)は第三例を示す図であり、(d)は第四例を示す図である。
【図5】変形形態を説明する図である。
【符号の説明】
【0087】
1、10、11 アンテナ
2 位置検出部
3 姿勢検出部
4 カメラ
5 表示制御部
6 CPU
7 操作部
8 第1ディスプレイ
9 第2ディスプレイ
S 情報表示装置
DG GPS電波
DA 画像情報
PT パケット
NS 北マーク
PP 現在位置マーク
TP 撮影位置マーク
TL 対象物方位マーク
CL カメラ方位マーク
PD 針路マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体外にある撮像対象を当該移動体から撮像する撮像手段を備えた当該移動体に搭載され且つ表示手段を備える情報表示装置において、
前記移動体の現在位置と前記撮像対象の位置との少なくともいずれか一方に関連する地図を表示手段に表示させる地図表示制御手段と、
前記撮像手段の撮像方向を示す撮像方向情報に基づき、当該撮像方向を示す図形である撮像方向指示図形を、前記表示されている地図に対応させ且つ当該地図に重畳させて前記表示手段に表示させる撮像方向表示制御手段と、
を備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報表示装置において、
前記撮像方向は、前記移動体に対する相対的な前記撮像手段の指向方向に基づいて算出される方向であることを特徴とする情報表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報表示装置において、
前記地図表示制御手段及び前記撮像方向表示制御手段は、前記地図及び前記撮像方向指示図形夫々の前記表示手段における表示態様を、前記移動体の移動に対応させて夫々に更新することを特徴とする情報表示装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報表示装置において、
前記撮像方向指示図形は、前記検出された撮像方向を示す直線であることを特徴とする情報表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報表示装置において、
前記移動体の現在位置から見た前記撮像対象の方向を示す対象方向情報に基づき、当該撮像対象の方向を示す図形である対象方向指示図形であって且つ前記撮像方向指示図形とは表示態様が異なる対象方向指示図形を、前記表示されている地図に対応させ且つ当該地図に重畳させて前記表示手段に表示させる対象方向表示制御手段を更に備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報表示装置において、
前記対象方向表示制御手段は、前記対象方向指示図形の前記表示手段における表示態様を、前記移動体の移動に対応させて更新することを特徴とする情報表示装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の情報表示装置において、
前記対象方向指示図形は、前記検出された撮像方向を示す直線であることを特徴とする情報表示装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報表示装置において、
前記地図表示制御手段は、前記移動体の現在位置を含む前記地図を前記表示手段に表示させると共に、
当該表示されている地図に重畳させて、前記現在位置を示す現在位置指標を前記表示手段に表示させる現在位置表示制御手段を更に備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の情報表示装置において、
前記地図表示制御手段は、前記撮像対象の位置を含む前記地図を前記表示手段に表示させると共に、
当該表示されている地図に重畳させて、前記撮像対象の位置を示す対象位置指標を前記表示手段に表示させる対象位置表示制御手段を更に備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報表示装置において、
前記移動体の移動方向を示す移動方向情報に基づき、当該移動方向を示す図形である移動方向指示図形であって且つ前記撮像方向指示図形とは表示態様が異なる移動方向指示図形を、前記表示されている地図に対応させ且つ当該地図に重畳させて前記表示手段に表示させる移動方向表示制御手段を更に備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項11】
移動体外にある撮像対象を当該移動体から撮像する撮像手段を備えた当該移動体に搭載され且つ表示手段を備える情報表示装置において実行される情報表示方法において、
前記移動体の現在位置と前記撮像対象の位置との少なくともいずれか一方に関連する地図を表示手段に表示させる地図表示制御工程と、
前記撮像手段の撮像方向を示す撮像方向情報に基づき、当該撮像方向を示す図形である撮像方向指示図形を、前記表示されている地図に対応させ且つ当該地図に重畳させて前記表示手段に表示させる撮像方向表示制御工程と、
を含むことを特徴とする情報表示方法。
【請求項12】
移動体外にある撮像対象を当該移動体から撮像する撮像手段を備えた当該移動体に搭載され且つ表示手段を備える情報表示装置に含まれるコンピュータを、
前記移動体の現在位置と前記撮像対象の位置との少なくともいずれか一方に関連する地図を表示手段に表示させる地図表示制御手段、及び、
前記撮像手段の撮像方向を示す撮像方向情報に基づき、当該撮像方向を示す図形である撮像方向指示図形を、前記表示されている地図に対応させ且つ当該地図に重畳させて前記表示手段に表示させる撮像方向表示制御手段、
として機能させることを特徴とする情報表示用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−272085(P2007−272085A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99855(P2006−99855)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(599025673)パイオニアナビコム株式会社 (3)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】