説明

情報転送システム及び携帯端末並びに車載情報端末

【課題】本発明は、経路案内に必要な情報を転送する際のユーザの負担を軽減することができる情報転送システム等の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、経路案内に必要な情報を保持する携帯端末10から車載情報端末20へ該情報を転送する情報転送システム1であって、前記情報の転送は、前記車載情報端末の受信部に、前記携帯端末を携帯するユーザの体の一部が触れたときに、該ユーザの人体を介する電界通信を介して実現されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内に必要な情報を転送する情報転送システム及び携帯端末並びに車載情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機とカーナビゲーション装置とが通信回線で接続された情報通信システムであって、前記携帯電話機は、任意のWebページから位置情報をダウンロードして前記カーナビゲーション装置に送信し、前記カーナビゲーション装置は、前記携帯電話機から送信されてきた前記位置情報に基づいてカーナビゲーションの目的地を設定することを特徴とする携帯電話機を利用した情報通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この情報通信システムでは、携帯電話機からカーナビゲーション装置への位置情報の転送は、赤外線通信を利用しており、携帯電話機がカーナビゲーション装置の近くに置かれたときに自動的に実現されている。
【0003】
また、電界伝達媒体を介して通信する電界通信システムであって、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体(人体)に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第1のトランシーバと、前記第1のトランシーバに接続されたコンピュータと、ユーザが接触したことを検知して、検知信号を前記コンピュータに送信するセンサと、前記ユーザが携帯する携帯端末と、を有し、前記コンピュータは、前記検知信号を受け付けると、前記第1のトランシーバおよび電界伝達媒体を介して、前記携帯端末と通信することを特徴とする電界通信システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−294310号公報
【特許文献2】特開2007−189309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のシステムでは、ユーザは、赤外線通信のために携帯電話機をカーナビゲーション装置の近くに置く等、携帯電話機の送信部をカーナビゲーション装置の受光部に対して近接させて対向させる必要があり、ユーザの負担(利便性)の観点から不十分な側面がある。
【0005】
そこで、本発明は、経路案内に必要な情報を転送する際のユーザの負担を軽減することができる情報転送システム及び携帯端末並びに車載情報端末の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、添付の特許請求の範囲に記載の情報転送システム及び携帯端末並びに車載情報端末が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、経路案内に必要な情報を転送する際のユーザの負担を軽減することができる情報転送システム及び携帯端末並びに車載情報端末が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0009】
図1は、本発明の一実施例による情報転送システム1の主要構成を示す図である。情報転送システム1は、ユーザ(例えば、車両の運転者又は他の乗員、若しくは、乗客)により保持される携帯端末10と、車両に搭載される車載情報端末20とを備える。携帯端末10と車載情報端末20とは、後述の如く、ユーザの体(人体)を電界伝達媒体として通信を行う。
【0010】
図2は、携帯端末10の一実施例の主要構成を示す図である。
【0011】
携帯端末10は、通信データ処理部110と、データベース120とを備える。通信データ処理部110は、人体通信部111と、目的地情報処理部112と、降車地点通知部113と、情報翻訳部114とを備える。目的地情報処理部112は、携帯端末10のユーザからの指示に応じて目的地を設定すると共に、設定した目的地を後述の目的地情報データベース121に保持する。目的地の設定態様は、任意であり、例えば文字の直接入力やキーワードを用いた探索に基づく設定や地図画像上でのポイントの指定等のような形態であってよい。また、目的地情報処理部112は、後述の人体通信時に、設定した目的地を目的地情報データベース121から読み出して、送信データを生成し、送信データを人体通信部111に供給する。降車地点通知部113及び情報翻訳部114の主要な機能は後述する。
【0012】
目的地情報処理部112、降車地点通知部113及び情報翻訳部114(並びに任意的に人体通信部111の一部機能)は、マイクロコンピューターにより実現されてもよい。尚、携帯端末10は、上記の機能の他、他の機能(例えば電話機能等)を備えてよい。即ち、携帯端末10は、例えば携帯電話により構成されてもよい。また、携帯端末10は、電話機能を備えず、車両のキー(電子キー)により実現されてもよい。
【0013】
データベース120は、目的地情報処理部112で設定される目的地情報を記憶する目的地情報データベース(DB)121と、目的地情報や後述の中継地情報を翻訳するために利用される各種言語の翻訳情報を記憶する翻訳データベース(DB)122とを備える。データベース120は、不揮発性の書き換え可能なメモリ(例えばEEPROM)から構成されてもよい。尚、目的地情報データベース121には、常に最新の目的地情報が記憶され、例えばユーザがある目的地に到達した場合等には、当該目的地情報は消去されてよい。
【0014】
図3は、人体通信部111の構成例を示す図である。
【0015】
図3に示す例では、人体通信部111は、目的地情報処理部112、降車地点通知部113及び情報翻訳部114等から送信データを入出力(I/O)回路901を介して受け取ると、この送信データを送信部902を介して送受信電極903に供給し、該送受信電極903および絶縁膜904を介して人体に電界を誘起させ、この電界を人体に伝達させる。また、人体通信部111は、人体に誘起されて伝達されてくる電界を絶縁膜904を介して送受信電極903で検出し、この電界を電界検出光学部905に結合して電気信号に変換する。そして、この電気信号は、信号処理回路906で増幅、ノイズ除去などの信号処理を施され、更に波形整形回路907で波形整形がなされ、入出力回路901を介して降車地点通知部113及び情報翻訳部114等に出力する。
【0016】
図4は、一般的な車両(即ち後述のタクシー等の商業用車両ではない車両)に搭載されるのが好適な車載情報端末20Aの一実施例の主要構成を示す図である。
【0017】
図4に示す例では、車載情報端末20Aは、通信データ処理部210と、データベース220とを備える。通信データ処理部210は、図3に示した人体通信部111と同様の人体通信部211と、目的地情報処理部112と、目的地設定部213とを備える。人体通信部211の送受信電極(図3の送受信電極903参照)は、車両にユーザが乗車する乗車時(乗車直後や乗車に伴うときを含む)に、ユーザの体の一部が触れる箇所に設けられ、好ましくは、乗車時に必然的に(意識せずに)触れるような箇所に設けられる。例えば、人体通信部211の送受信電極は、車両のステアリングホイール、シート、キー、フロア、ドアハンドル、及び操作スイッチ(例えばエンジン始動時のエンジンスイッチ)のうちの少なくともいずれか1つに設けられてもよい。例えば、人体通信部211の送受信電極は、車両のシートの座部及び/又は背もたれ部に埋設されてもよい。目的地情報処理部112及び目的地設定部213(並びに任意的に人体通信部211の一部機能)は、マイクロコンピューター、例えばナビゲーション装置のECUにより実現されてもよい。また、通信データ処理部210は、その他の機能(例えば経路案内機能、即ちナビゲーション機能)を備えてもよい。また、データベース220は、目的地情報を保持する目的地データベース(DB)221を備える。データベース220は、ECUに内蔵の不揮発性の書き換え可能なメモリ(例えばEEPROM)から構成されてもよいし、ECUに内蔵される若しくは外部接続されるハードディスクドライブから構成されてもよい。
【0018】
図5は、図4に示した車載情報端末20Aと図2に示した携帯端末10との間で実現される人体通信の一例の主要処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、ユーザが目的地の設定が可能な携帯端末10を所持し、ユーザが所有する車両(車載情報端末20Aが搭載された車両)に乗車する場合を想定する。
【0019】
ステップ500では、携帯端末10の目的地情報処理部112において、目的地が設定されているか否かが判定される。目的地が設定されていない場合には、そのまま終了し、目的地が設定されている場合は、ステップ502に進む。
【0020】
ステップ502では、携帯端末10の目的地情報処理部112は、車載情報端末20Aに向けて目的地情報を送信する。即ち、目的地情報処理部112は、現在設定されている目的地を表す目的地情報を送信データとして、人体通信部111に供給し、人体通信部111は、送信データに基づく電界を、携帯端末10を所持するユーザの人体に誘起させる。
【0021】
ステップ504では、車載情報端末20Aの人体通信部211により、上記ステップ502で送信された目的地情報が受信される。即ち、人体通信部111によりユーザの人体に誘起された電界は、同ユーザの体の一部が車載情報端末20Aの人体通信部211の送受信電極(図3の送受信電極903参照)に触れたときに、車載情報端末20Aの人体通信部211に検出され、その結果、目的地情報が車載情報端末20Aに転送(受信)される。
【0022】
ステップ506では、車載情報端末20Aの目的地設定部213は、上記ステップ504で受信した目的地情報に基づいて、目的地を設定する。そして、車載情報端末20Aは、設定した目的地に基づいて、ナビゲーション装置として機能してよい。例えば、車載情報端末20Aは、設定した目的地に基づいて最適なルートを検索し、案内ルートを決定し、案内ルートに従って地図画面や音声ガイド等により案内を開始してよい。尚、目的地に基づくナビゲーション態様は任意であってよい。
【0023】
このように図5に示す処理によれば、携帯端末10に設定された目的地情報を、人体通信技術を利用して、“ユーザが意識せずに”車載情報端末20Aに転送することができる。これにより、目的地情報を車載情報端末20Aに設定するためのユーザの負担が軽減され、利便性が向上する。
【0024】
尚、上述の図5に示す処理では、図2に示した携帯端末10の情報翻訳部114は用いられないので、情報翻訳部114及び翻訳データベース122は省略されてもよい。降車地点通知部113も同様である。
【0025】
図6は、タクシーに搭載されるのが好適な車載情報端末20Bの一実施例の主要構成を示す図である。
【0026】
図6に示す例では、車載情報端末20Bは、通信データ処理部310と、データベース320とを備える。通信データ処理部310は、図3に示した人体通信部111と同様の人体通信部311と、目的地情報処理部312と、目的地情報通知部313と、目的地設定部314とを備える。人体通信部311の送受信電極(図3の送受信電極903参照)は、タクシー(車両)に乗客(ユーザ)が乗車した際に(乗車直後や乗車に伴うときを含む)、ユーザの体の一部が触れる箇所に設けられ、好ましくは、乗車時に必然的に(意識せずに)触れるような箇所に設けられる。例えば、人体通信部311の送受信電極は、車両の後部シート及び後部フロアのうちの少なくともいずれか1つに設けられてもよい。例えば、人体通信部311の送受信電極は、車両の後部シートの座部及び/又は背もたれ部に埋設されてもよい。目的地情報処理部312、目的地情報通知部313及び目的地設定部314(並びに任意的に人体通信部311の一部機能)は、マイクロコンピューター、例えばナビゲーション装置のECUにより実現されてもよい。また、通信データ処理部310は、その他の機能(例えば経路案内機能、即ちナビゲーション機能)を備えてもよい。また、データベース320は、目的地情報を保持する目的地データベース(DB)321を備える。データベース320は、ECUに内蔵の不揮発性の書き換え可能なメモリ(例えばEEPROM)から構成されてもよいし、ECUに内蔵される若しくは外部接続されるハードディスクドライブから構成されてもよい。
【0027】
図7は、図6に示した車載情報端末20Bと図2に示した携帯端末10との間で実現される人体通信の一例の主要処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、ユーザが目的地の設定が可能な携帯端末10を所持し、乗客としてタクシー(車載情報端末20Bが搭載された車両)に乗車する場合を想定する。
【0028】
ステップ700では、携帯端末10の目的地情報処理部112において、目的地(即ち所望の行き先)が設定されているか否かが判定される。目的地が設定されていない場合には、そのまま終了し、目的地が設定されている場合は、ステップ702に進む。
【0029】
ステップ702では、携帯端末10において、現在地が母国語圏外であるか否かが判定される。現在地が母国語圏外であるか否かは、携帯端末10に実装されるGPS機能や携帯電話のローミング情報を用いて実現されてもよい。例えば日本語を母国語である場合に、携帯端末10が例えば韓国に位置する場合、現在地が母国語圏外であると判定されることになる。現在地が母国語圏外である場合には、ステップ704に進み、現在地が母国語圏外で無い場合は、ステップ704をスキップしてステップ706に進む。
【0030】
ステップ704では、携帯端末10の情報翻訳部114は、翻訳データベース122を利用して、目的地情報を現在地の言語に翻訳する。
【0031】
ステップ706では、携帯端末10の人体通信部111は、車載情報端末20Bに向けて目的地情報(上記ステップ704を経由した場合は翻訳された目的地情報)を送信する。即ち、携帯端末10の人体通信部111は、目的地情報処理部112からの目的地情報(上記ステップ704を経由した場合は情報翻訳部114からの翻訳された目的地情報)を送信データとして、送信データに基づく電界を、携帯端末10を所持するユーザの人体に誘起させる。
【0032】
ステップ708では、車載情報端末20Bの人体通信部311により、上記ステップ706で送信された目的地情報(上記ステップ704を経由した場合は翻訳された目的地情報)が受信される。即ち、人体通信部111によりユーザの人体に誘起された電界は、同ユーザの体の一部が車載情報端末20Bの人体通信部311の送受信電極(図3参照)に触れたときに、車載情報端末20Bの人体通信部311に検出され、その結果、目的地情報が車載情報端末20Bに転送(受信)される。ステップ708の処理が終了すると、ステップ710又はステップ712に進む。例えば車載情報端末20Bがナビゲーション機能を備えている場合は、ステップ710に進み、ナビゲーション機能を備えていない場合は、ステップ712に進む。
【0033】
ステップ710では、車載情報端末20Bの目的地設定部314は、上記ステップ708で受信した目的地情報に基づいて、目的地を設定する。そして、車載情報端末20Bは、設定した目的地に基づいて、ナビゲーション装置として機能してよい。例えば、車載情報端末20Bは、設定した目的地に基づいて最適なルートを検索し、案内ルートを決定し、案内ルートに従って地図画面や音声ガイド等により案内を開始してよい。尚、目的地に基づくナビゲーション態様は任意であってよい。
【0034】
ステップ712では、車載情報端末20Bの目的地情報通知部313は、上記ステップ708で受信した目的地情報に基づいて、目的地をタクシーの運転手に通知する。この通知は、音声及び/又は映像で実現されてもよい。これにより、タクシーの運転手に目的地が通知されるだけでなく、ユーザは、自身の目的地がタクシーの運転手に正確に通知されているかを確認することができる。
【0035】
このように図7に示す処理によれば、携帯端末10に設定された目的地情報を、人体通信技術を利用して、“ユーザが意識せずに”車載情報端末20Bに転送することができる。これにより、目的地情報をタクシーの運転手に通知するためのユーザの負担が軽減され、利便性が向上する。特に、ユーザが母国語圏外にいるときは目的地が翻訳されて転送(通知)されるので利便性が向上する。
【0036】
図8は、商業用のバスや電車に搭載されるのが好適な車載情報端末20Cの一実施例の主要構成を示す図である。
【0037】
図8に示す例では、車載情報端末20Cは、通信データ処理部410と、データベース420とを備える。通信データ処理部410は、図3に示した人体通信部111と同様の人体通信部411と、中継地情報処理部412と、中継地情報通知部413とを備える。人体通信部411の送受信電極(図3の送受信電極903参照)は、商業用のバスや電車(車両)に乗客(ユーザ)が乗車した際に(乗車直後や乗車に伴うときを含む)、ユーザの体の一部が触れる箇所に設けられ、好ましくは、乗車時に必然的に(意識せずに)触れるような箇所に設けられる。例えば、人体通信部411の送受信電極は、車両のシート、つり革、支柱(手すりを含む)及びフロアのうちの少なくともいずれか1つに設けられてもよい。例えば、人体通信部311の送受信電極は、車両のシートの座部及び/又は背もたれ部に埋設されてもよい。中継地情報処理部412及び中継地情報通知部413(並びに任意的に人体通信部411の一部機能)は、マイクロコンピューターにより実現されてもよい。また、データベース420は、中継地点情報を保持する中継地点データベース(DB)421を備える。データベース420は、ECUに内蔵の不揮発性の書き換え可能なメモリ(例えばEEPROM)から構成されてもよいし、ECUに内蔵される若しくは外部接続されるハードディスクドライブから構成されてもよい。
【0038】
図9は、図8に示した車載情報端末20Cと図2に示した携帯端末10との間で実現される人体通信の一例の主要処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、ユーザが目的地の設定が可能な携帯端末10を所持し、乗客として商業用のバス若しくは電車(車載情報端末20Cが搭載された車両)に乗車する場合を想定する。
【0039】
ステップ900では、携帯端末10の目的地情報処理部112において、目的地が設定されているか否かが判定される。目的地が設定されていない場合には、そのまま終了し、目的地が設定されている場合は、ステップ902に進む。
【0040】
ステップ902では、携帯端末10の人体通信部111は、中継地情報の通知の要求を行う。即ち、携帯端末10の人体通信部111は、中継地情報の通知の要求を表す情報(要求情報)を送信データとして、当該送信データに基づく電界を、携帯端末10を所持するユーザの人体に誘起させる。
【0041】
ステップ904では、車載情報端末20Cの人体通信部411により、上記ステップ902で送信された要求情報が受信される。即ち、人体通信部111によりユーザの人体に誘起された電界は、同ユーザの体の一部が車載情報端末20Cの人体通信部411の送受信電極(図3参照)に触れたときに、車載情報端末20Cの人体通信部411に検出され、その結果、要求情報が車載情報端末20Cに転送(受信)される。そして、ステップ904では、車載情報端末20Cの中継地情報処理部412は、人体通信部411を介して受信した要求情報に応じて、中継地点データベース421に基づいて中継地情報を生成し、中継地情報通知部413は、当該生成した中継地情報を送信データとして、人体通信部411に供給し、人体通信部411は、当該送信データに基づく電界を、人体通信部411の送受信電極に触れているユーザの人体に誘起させる。
【0042】
ステップ906では、携帯端末10の人体通信部111により、上記ステップ904で送信された中継地情報が受信される。即ち、車載情報端末20Cの人体通信部411によりユーザの人体に誘起された電界は、携帯端末10の人体通信部111の送受信電極903(図3参照)を介して検出され、その結果、中継地情報が携帯端末10に転送(受信)される。
【0043】
ステップ908では、携帯端末10において、現在地が母国語圏外であるか否かが判定される。現在地が母国語圏外であるか否かは、携帯端末10に実装されるGPS機能や携帯電話のローミング情報を用いて実現されてもよい。例えば日本語を母国語である場合に、携帯端末10が例えば韓国に位置する場合、現在地が母国語圏外であると判定されることになる。現在地が母国語圏外である場合には、ステップ910に進み、現在地が母国語圏外で無い場合は、ステップ910をスキップしてステップ912に進む。
【0044】
ステップ910では、携帯端末10の情報翻訳部114は、翻訳データベース122を利用して、中継地情報を現在地の言語に翻訳する。
【0045】
ステップ912では、携帯端末10の降車地点通知部113において、上記ステップ910で受信した中継地情報に基づいて、次の中継地(例えば停車駅ないし停留所)が、携帯端末10に設定された目的地に到達するのに最適な降車地点であるか否かが判定される。次の中継地が最適な降車地点である場合は、ステップ914に進み、次の中継地が最適な降車地点で無い場合は、そのまま終了する。
【0046】
ステップ914では、携帯端末10の降車地点通知部113は、最適な降車地点を通知する。この通知は、音声及び/又は映像で実現されてもよい。この通知のタイミングは、最適な降車地点が判明した場合、最適な降車地点が近づいた場合、最適な降車地点を通り過ぎた場合等であってよい。最適な降車地点を通り過ぎた場合は、乗り換えの案内等が通知されてもよい。
【0047】
このように図9に示す処理によれば、人体通信技術を利用して、携帯端末10に設定された目的地に到達するのに最適な降車地点を案内することができる。これにより、目的地に最適な降車地点を探すユーザの負担が軽減され、利便性が向上する。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0049】
例えば、上述の実施例では、情報翻訳部114及び翻訳データベース122は、携帯端末10に設定されているが、車載情報端末20側に設定されてもよい。この場合、例えば図7に示す処理では、目的地情報は、車載情報端末20に転送された後、車載情報端末20において翻訳されることになる。また、情報翻訳部114及び翻訳データベース122は、携帯端末10及び/又は車載情報端末20と通信可能な外部のサーバー(例えばセンターサーバー)に設定されてもよい。
【0050】
また、上述の実施例では、目的地情報は、目的地そのものを表す情報であったが、例えば目的地に到達するまでの案内ルートを表す情報のような、目的地情報を間接的に表す情報であってもよい。
【0051】
また、上述の実施例において、例えばタクシーの乗車料金の決済等が同様の人体通信技術を利用して実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例による情報転送システム1の主要構成を示す図である。
【図2】携帯端末10の一実施例の主要構成を示す図である。
【図3】人体通信部111の構成例を示す図である。
【図4】一般的な車両に搭載されるのが好適な車載情報端末20の一実施例の主要構成を示す図である。
【図5】図4に示した車載情報端末20と図2に示した携帯端末10との間で実現される人体通信の一例の主要処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】タクシーに搭載されるのが好適な車載情報端末20の一実施例の主要構成を示す図である。
【図7】図6に示した車載情報端末20と図2に示した携帯端末10との間で実現される人体通信の一例の主要処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】商業用のバスや電車に搭載されるのが好適な車載情報端末20の一実施例の主要構成を示す図である。
【図9】図8に示した車載情報端末20と図2に示した携帯端末10との間で実現される人体通信の一例の主要処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 情報転送システム
10 携帯端末
20(20A,20B,20C) 車載情報端末
110 通信データ処理部
111 人体通信部
112 目的地情報処理部
113 降車地点通知部
114 情報翻訳部
120 データベース
121 目的地情報データベース
122 翻訳データベース
210 通信データ処理部
211 人体通信部
213 目的地設定部
220 データベース
221 目的地データベース
310 通信データ処理部
311 人体通信部
312 目的地情報処理部
313 目的地情報通知部
314 目的地設定部
320 データベース
321 目的地データベース
410 通信データ処理部
411 人体通信部
412 中継地情報処理部
413 中継地情報通知部
420 データベース
421 中継地点データベース
903 送受信電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路案内に必要な情報を携帯端末から車載情報端末へ該情報を転送する情報転送システムであって、
前記情報の転送は、前記車載情報端末の受信部に、前記携帯端末を携帯するユーザの体の一部が触れたときに、該ユーザの人体を介する電界通信を介して実現されることを特徴とする、情報転送システム。
【請求項2】
前記情報を現地語に対応する言語で表される情報に翻訳する翻訳手段を備える、請求項1に記載の情報転送システム。
【請求項3】
前記翻訳手段は前記携帯端末に設けられ、
前記情報の転送は、前記翻訳手段により翻訳された後、前記受信部に前記ユーザの体の一部が触れたときに、前記人体を介する電界通信を介して実現される、請求項2に記載の情報転送システム。
【請求項4】
前記受信部は、車両のステアリングホイール、シート、キー、フロア、ドアハンドル及び操作スイッチのうちの少なくともいずれか1つに設けられる電極を含む、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の情報転送システム。
【請求項5】
経路案内に必要な情報を車載情報端末に転送する機能を備える携帯端末であって、
前記情報を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された前記情報を、車載情報端末の受信部に、当該携帯端末を携帯するユーザの体の一部が触れたときに、人体通信により前記受信部に送信する送信手段とを備えることを特徴とする、携帯端末。
【請求項6】
前記情報を現地語に対応する言語で表される情報に翻訳する翻訳手段を更に備え、
前記情報の転送は、前記翻訳手段により翻訳された後、前記受信部に前記ユーザの体の一部が触れたときに、前記人体を介する電界通信を介して実現される、請求項5に記載の携帯端末。
【請求項7】
経路案内に必要な情報を携帯端末から該情報の転送を受ける車載情報端末であって、
前記情報の転送は、当該車載情報端末の受信部に、前記携帯端末を携帯するユーザの体の一部が触れたときに、該ユーザの人体を介する電界通信を介して実現されることを特徴とする、車載情報端末。
【請求項8】
前記情報を現地語に対応する言語で表される情報に翻訳する翻訳手段を備える、請求項7に記載の車載情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−28394(P2010−28394A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186458(P2008−186458)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】