説明

慣性センサを取り付けるシステムおよび方法

【課題】板上に慣性センサを取り付けるシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】センサパッケージは基板層32、34、センサ層24、およびセンサ層24と基板層32、34との間に配置される絶縁層26、28を有し、基板層32、34の1つにV溝が非等方性エッチングにより形成される。基板層32、34は100結晶面方位にある。センサパッケージは、その後、ウェハから分離され、エッチングにより形成された基板層32または34の表面は、板に取り付けられる。一例において、検出軸が互いに垂直になるように3つのセンサパッケージが板に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慣性センサを取り付けるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]慣性誘導システムにおいて、測定すべき6の自由度がある。x、y、z方向の加速度、およびx軸、y軸、z軸の周りの回転の全てが測定されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
センサ(加速度計およびジャイロ)は、典型的には、1つの軸において、または1つの軸を中心において感度がある。これは、センサが誘導システム内の垂直および水平の両方の表面に取り付けなければならないことを意味し(いくつかは90°で取り付けられる)、または、いくつかは1つの面における慣性に感度があり、いくつかは平面から90°である混合センサを使用しなければならないことを意味する。垂直にセンサを取り付けることは高価であり、センサのタイプを混合することは、性能の強さおよび弱さを不都合に混合することがある。
【0004】
[0002]センサを互いに直交するように取り付ける他の手段は、「スキュー(skew)」マウントである。この方法において、全てのセンサは、仮想的な立方体の3つの面に配置されているかのように、所定角度で取り付けられ、立方体の角部においてこれらはすべて「直上」または「直下」の方向を共有する。しかし、センサを「スキュー」マウント方式で取り付ける手段は、高価であり、時間がかかり、また、多数の製造ステップを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0003]本発明は、センサをスキューマウント式に取り付けることを可能にし、結晶シリコンの本来の特性を用いて、適切な「取り付け」角度を形成する。これは高価でなく、また小さい。また、これはシリコンウェハ上に形成されたMEMSセンサ内に直接的に形成することができ、部品、コスト、および空間を削減することができる。
【0006】
[0004]エレクトロニクスおよびMEMS業界で標準的なウェハに形成されたシリコン結晶は、結晶面に沿って優先的に(preferentially)エッチングされる。シリコン結晶は、立方体構造に中心決めされた面を備える。シリコンのウェハは、「バルク」エッチング(BOEのような溶液のタンク内におけるエッチング)が自然に適切な角度を備える構造を形成するように向き決めされた立方体構造により順序付けられ、ここに慣性「立方体の角部」の解法のためのセンサを取り付ける。
【0007】
[0005]結晶面に沿うバルクエッチングの組み合わせ、反応性イオンエッチング(結晶の方向に感度を持たずにエッチングする方法)、および、ダイシング、レーザー切断、超音波加工、および粒子アブレーションのような機械的プロセスは、MEMSダイに直接的に傾斜した取り付け表面を形成するのに用いられる。
【0008】
[0006]本発明の好ましい実施形態および代替実施形態が、添付図面を参照しながら以下に詳細に説明される。添付図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】改良されるパッケージの構成において使用される多層ウェハの断面図である。
【図2】図1に示されるパッケージ上で実行されるエッチングプロセスの部分断面図である。
【図3】図2のエッチングステップの後に実行される金属被覆ステップを示す図である。
【図4−1】本発明の一実施形態により形成される単一運動センサパッケージの斜視図である。
【図4−2】回路板または同等の層値に取り付けられた後の、図4−1のセンサパッケージの側面図である。
【図4−3】回路板に直交構成で取り付けられた図4−1の3つのセンサパッケージの斜視図である。
【図5−1】本発明の他の実施形態により形成されたセンサパッケージの端部の図である。
【図5−2】回路板に取り付けられた図5−1のセンサパッケージの側面図である。
【図5−3】回路板に直交するように取り付けられた図5−1の3つのセンサパッケージの斜視図である。
【図6】回路板に緊密に取り付けられた3つのセンサパッケージの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0017]図1−3は、センサ装置を覆う基板の外側壁の正確な角度形成エッチングを実行するプロセスの段階の間におけるセンサパッケージ20を示している。図1に示されるように、センサパッケージ20は、単一の軸の運動またはその周りの運動を検出するための1つ以上のMEMS加速度計またはジャイロを含む装置層24を含む。装置層24の両側に取り付けられているのは絶縁層26、28である。絶縁層26、28の外側に取り付けられているのは、シリコン基板層32、34であり、これは100結晶面構造を備える。一実施形態において、シリコン基板層32、34の一方のみが100結晶面構造を備える。全ての補充の面構造も機能する。010結晶面構造および001結晶面構造は、111面に対して54.7°の傾斜表面を形成する。
【0011】
[0018]図2は、非等方性エッチングを示し、これはシリコン基板層32、34内で実行される。このエッチングは、基板の表面に対して54.7°の傾斜表面を生成する。この実施形態において、非等方性エッチングは、絶縁層26、28までは実行されず、V溝38を生成する。シリコン基板層32、34の一部は残る。図2、3において、絶縁層26、28および装置層24は明瞭さのために図示していない。100結晶方位を備えるシリコン基板層32、34において、正確な角度形成エッチングが生じる。エッチング時間の長さは、どれくらい表面を露出させたいかに依存する。エッチングの後に残るシリコン基板層32、34における面は、結晶構造の111面である。様々な非等方性エッチング剤を使用することができ、たとえば、KOH、NaOH、LiOH、CsOH、NH4OHのようなアルカリ水溶液、または4基からなるアンモニウム水酸化物、などであり、アルコールを添加してもよい。他のアルカリ有機剤を使用することもできる。
【0012】
[0019]図3に示されるように、公知のプロセスを使用して金属層40がエッチングされたV溝38の少なくとも一部に付与される。エッチングされた表面に付与する材料の例は
、Ti、Pt、Au;Cr、Au;W、Pt、Auなどである。他の金属を使用することもできる。金属層40は、装置層24内のセンサと外部部品(たとえば回路板)との間に形成される電気的接続部に応じてパターン形成される。装置層24の内部部品に電気的に取り付けるためにビアが用いられるならば、金属層40が付与される前に、エッチング形成されたV溝38の一部に絶縁体が付与される(図5−1、5−2参照)。V溝の金属化が実行された後、複数のMEMSセンサを収容するウェハは、図4−1および図5−1に示されるような個別のユニットに分離される。この分離を実行するために、ダイシング、レーザー切断、超音波加工、または粒子アブレーションが用いられる。
【0013】
[0020]図4−1に示されるように、単一のセンサパッケージ50は、従来のダイシング技術を用いて切断され、上述のステップの後に隣接するパッケージから分離させる。基板層32の1つは、さらに切断またはエッチングされて、絶縁層28の一部を露出させ、これは、1つ以上の電離リードを含み、これは装置層24内に配置されるセンサに取り付けられる。
【0014】
[0021]次に図4−2および図4−3を参照すると、センサパッケージ50は、回路板またはいくつかの他のシステム部品56に搭載される。センサパッケージ50は、下基板34の傾斜した側部の1つに取り付けられる。その後、露出された電気リード52は、ワイヤ付きリード58を介して回路板またはシステム部品56の表面上のコネクタに取り付けられる。回路板またはシステム部品56は、少なくとも部分的にPTFE、アルミナ(AlO)、SiN、AlN、Siまたはガラスから形成することができる。
【0015】
[0022]センサパッケージ50は、各センサの検出方向が互いに直交するように回路板またはシステム部品56上に搭載される。たとえば、センサパッケージ50内に配置される各センサが、センサパッケージの中心点から出るベクトルにより示されるような平面内センサであるなら、ベクトルは立方体の角部を形成する(すなわち、ベクトルは互いに直交する)。平面外センサをセンサパッケージ50内に統合することもできる。
【0016】
[0023]図5−1はセンサパッケージ60を示し、これは、個別のユニットに分離されたときに、図4−1に示されるように装置層24内のリードを露出させないことが必要である。非等方性エッチングの前または後で、シリコン基板層32、34の一方において等方性エッチングが実行され、1つまたはそれ以上のビアを生成し、これは最終的に絶縁される電導性材料が充填され電導ビア70を形成する。ビア70は、シリコン基板層32、または34、および対応する絶縁層26、または28の両方を通る。ビア70内の金属化された材料は、装置層24上に配置されるリードに取り付けられる。絶縁材料は金属化の前にビア70の壁に付与されることに注意されたい。金属化のステップは、図3において説明した金属化と同時に行ってもよい。
【0017】
[0024]図5−2に示されるように、センサパッケージ60は、金属化ビア70を含むセンサパッケージ60の傾斜エッジに沿って回路板(またはシステム部品)64に搭載される。伝導ビード76は、センサパッケージ60と回路板64との間の取り付け手段を提供する。回路板64は伝導ビード76に取り付けるトレースを含む。図5−3は、3つのセンサパッケージが回路板64に取り付けられていることを除いて、図4−3に類似している。
【0018】
[0025]図6は、システム100を示し、3つのセンサパッケージ102が取り付け表面104上で互いに緊密にフィットするように切断され、パッケージのサイズを最小化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEMSセンサパッケージシステムであって、
少なくとも1つのセンサパッケージ(60)を有し、
前記センサパッケージ(60)は、少なくとも1つの基板層(32、34)と、
MEMSセンサを有するセンサ層(24)と、
少なくとも1つの絶縁層(26、28)と、を有し、
前記MEMSセンサパッケージシステムはさらに板(64)を有し、
少なくとも1つの前記絶縁層は、前記センサ層に接着され、前記少なくとも1つの基板層は、前記少なくとも1つの絶縁層に取り付けられ、前記層は第1表面を有し、前記第1表面が互いにほぼ平行であり、前記少なくとも1つの基板層は、前記第1表面の法線ベクトルから54°から55.5°間で異なる法線ベクトルを備える第1側部表面を有し、前記側部表面は前記板に取り付けられ、
前記センサパッケージは、1つ以上の伝導ビアを有し、前記伝導ビアは、前記センサ層上の電気的トレースに電気的に接続され、前記1つ以上の伝導ビアは、前記第1側部表面で前記基板層を通り、また、前記少なくとも1つの絶縁層の1つを通る、MEMSセンサパッケージシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、さらに、前記板および前記センサパッケージに取り付けられる少なくとも1つの伝導ビードを有し、前記少なくとも1つの伝導ビードは、前記1つ以上の伝導ビアおよび前記板上の電気トレースに電気的に連結される、システム。
【請求項3】
方法であって、前記方法は、
ウェハ上に1つ以上のセンサパッケージを形成するステップを有し、前記センサパッケージは、
少なくとも1つの基板層(66)と、
MEMSセンサを有するセンサ層(24)と、
前記センサ層と前記少なくとも1つの基板層との間に配置される少なくとも1つの絶縁層(26、28)と、を有し、
前記MEMSセンサの周囲の位置において、前記少なくとも1つの基板層の1つにマスキングし、V溝を非等方性エッチング形成するステップを有し、前記少なくとも1つの基板層は、100結晶面方位であり、
前記方法はさらに、前記ウェハから前記少なくとも1つのセンサパッケージを分離するステップと、
エッチングにより形成された前記基板層の表面を板に取り付けるステップと、
エッチングの前に、前記少なくとも1つの基板層(34)および前記少なくとも1つの絶縁層に1つ以上の伝導ビア(70)を形成するステップと、
前記1つ以上の伝導ビアは、前記センサ層上の少なくとも1つの電気トレースに電気的に接続され、
前記取り付けるステップはさらに、前記板および前記センサパッケージに少なくとも1つの伝導ビードを付与するステップを有し、前記少なくとも1つの伝導ビードは、前記1つ以上の伝導ビアおよび前記板上の電気トレースに電気的に接続される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−53035(P2012−53035A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−165518(P2011−165518)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】