説明

成形品検査装置及び成形品検査方法

【課題】金型成型された成形品を、より低コストで、より多数箇所撮像して検査でき、かつ、成形品の残存の有無を検査する。
【解決手段】成形品1が中金型26から脱型される前の状態で、第1撮像ユニット40の単一の第1撮像カメラ42を昇降させて、中金型26の上方面側からキャビティ孔26hにおける成形品1を撮像すると共に、中金型26の下方面側からキャビティ孔26hにおける脱型前の成形品1を撮像する。脱型された成形品1は成形品受部52に移載され、この成形品受部52が排出位置に移動する途中で、第2撮像ユニット70により、成形品受部52上の成形品1が撮像される。これらで撮像された画像データに基づいて、形状良否検査、成形品の個数カウントがなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金型を用いて成型される成形品を検査するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、成形品の外観形状の良否を検査する技術として、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0003】
この検査技術では、成形品が中金型にある状態で、中金型下面側から、成形品を撮像している。また、成形品を中金型から脱型して所定の受け皿ユニットに移し替えた状態で、該成形品を上方から撮像している。
【0004】
そして、中金型下面側からの撮像画像に対して所定の画像処理を施して、成形品の下部側部分の形状良否検査を行っている。また、受け皿ユニット上方からの撮像画像に対して所定の画像処理を施して、成形品の上部側部分の形状良否検査を行うと共に、その受け皿ユニットにおける成形品の個数をカウントして、中金型内に脱型されずに残存した成形品が無いかどうかを検査するようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−247948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、成形品の形状等によっては、形状不良を生じ易い箇所が複数生じ得る。このような場合には、成形品をより多数箇所で撮像して検査する必要がある。
【0007】
そこで、この発明は、金型成型された成形品を、より低コストで、より多数箇所撮像して検査でき、かつ、金型内における成形品の残存の有無を検査できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の態様は、上金型と下金型との間に挟込まれる中金型を用いて成型される成形品の検査装置であって、成型用のキャビティ孔を有し、前記キャビティ孔内に成形品を有する状態で検査位置に配設される中金型と、前記検査位置における前記中金型の一方面側位置と他方面側位置との間で移動自在に配設され、前記一方面側位置で前記中金型の一方面側から前記キャビティ孔における脱型前の成形品を撮像すると共に、前記他方面側位置で前記中金型の他方面側から前記キャビティ孔における脱型前の成形品を撮像する第1撮像手段を有する第1撮像ユニットと、前記中金型より脱型される成形品を一定姿勢で受ける成形品受部と、前記成形品受部を、前記中金型から成形品を受ける受位置からその成形品を外部に排出する排出位置へ移動させる受部移動手段とを有する成形品受ユニットと、前記成形品受部が前記受位置から前記排出位置に移動する途中で、前記成形品受部で保持された成形品を撮像する第2撮像手段を有する第2撮像ユニットと、前記第1撮像ユニット及び前記第2撮像ユニットを通じて得られた画像データに基づいて、前記成形品の形状良否を検査すると共に、前記第2撮像ユニットを通じて得られた画像データに基づいて、前記中金型における前記成形品の残存の有無を検査する、判定手段と、を備えたものである。
【0009】
この場合に、前記第1撮像ユニットは、前記第1撮像手段が前記中金型の外周囲で前記一方面側位置と前記他方面側位置とで移動自在に配設されると共に、前記中金型の一方面側からの光を前記一方面側位置に配設された前記第1撮像手段に導く一方面側導光手段と、前記中金型の他方面側からの光を前記他方面側位置に配設された前記第1撮像手段に導く他方面側導光手段とをさらに有する構成とされていてもよい。
【0010】
さらに、前記第1撮像ユニットは、前記第1撮像手段が前記一方面側位置に配設された状態で、前記中金型の一方面上に焦点を合わせて撮像を行い、前記第1撮像手段が前記他方面側位置に配設された状態で、前記中金型の他方面上に焦点を合わせて撮像を行うとよい。
【0011】
また、前記第2撮像ユニットは、前記成形品のうち前記キャビティ孔内に入り込んでいた部分に焦点を合わせて撮像を行ってもよい。
【0012】
また、前記成形品は、環状成形品であり、前記成形品受部は、前記環状成形品をその内側から支持して一定姿勢で受ける受ピン部を有していてもよい。
【0013】
また、この発明の第2の態様は、上金型と下金型との間に挟込まれる中金型を用いて成型される成形品の検査方法であって、第1撮像手段を、中金型の一方面側位置に移動させて、前記中金型の一方面側から脱型前の前記成形品を撮像する撮像工程と、前記第1撮像手段を、中金型の他方面側位置に移動させて、前記中金型の他方面側から脱型前の成形品を撮像する撮像工程と、前記中金型から脱型された成形品を、一定姿勢で受けるように成形品受部に移し替える工程と、前記成形品受部で保持された成形品を撮像する工程と、前記中金型の一方面側からの撮像画像データ、前記中金型の他方面側からの撮像画像データ、前記製品受部上での成形品の撮像画像データに基づいて、前記成形品の形状良否を検査する工程と、前記製品受部上での成形品の撮像画像データに基づいて、前記中金型における前記成形品の残存の有無を検査する工程と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように構成された成形品検査装置によると、成形品が中金型から脱型される前の状態で、第1撮像ユニットにより、中金型の一方面側からキャビティ孔における脱型前の成形品が撮像されると共に、中金型の他方面側からキャビティ孔における脱型前の成形品が撮像される。さらに、成形品受部が前記受位置から前記排出位置に移動する途中で、第2撮像ユニットにより、成形品受部上の成形品が撮像される。従って、成形品を、より低コストで、より多数箇所撮像して検査することができる。また、第2撮像ユニットにより撮像された画像データに基づいて、金型内における成形品の残存の有無も検査できる。
【0015】
この場合に、前記第1撮像ユニットは、前記第1撮像手段が前記中金型の外周囲で前記一方面側位置と前記他方面側位置とで移動自在に配設されると共に、前記中金型の一方面側からの光を前記一方面側位置に配設された前記第1撮像手段に導く一方面側導光手段と、前記中金型の他方面側からの光を前記他方面側位置に配設された前記第1撮像手段に導く他方面側導光手段とをさらに有する構成とされていると、第1撮像手段を、円滑かつコンパクトな構成で、中金型の外周囲で一方面側位置と他方面側位置との間で移動させることができる。
【0016】
さらに、前記第1撮像手段が前記一方面側位置に配設された状態で、前記中金型の一方面上に焦点を合わせて撮像を行い、前記第1撮像手段が前記他方面側位置に配設された状態で、前記中金型の他方面上に焦点を合わせて撮像を行うことで、バリ等の形状不良が発生し易い箇所について、精度よく成形品の形状良否検査を行うことができる。
【0017】
ところで、第1撮像ユニットは、脱型前の成形品を撮像するため、成形品のうちキャビティ孔内に入り込んでいた部分については撮像できない。そこで、成形品のうち前記キャビティ孔内に入り込んでいた部分については、脱型後の成形品受部上で、第2撮像ユニットで撮像するのが適している。
【0018】
さらに、成形品受部が、環状成形品をその内側から支持して一定姿勢で受ける受ピン部を有していると、位置ずれ無く環状成形品の外周面の形状認識を精度よく行うことができる。
【0019】
また、この発明の成形品検査方法によると、単一の第1撮像手段を、移動させることで、中金型の一方面側から脱型前の前記成形品を撮像すると共に、中金型の他方面側から脱型前の成形品を撮像している。さらに、成形品受部で保持された成形品を撮像している。従って、成形品を、より低コストで、より多数箇所撮像して検査することができる。また、記製品受部上での成形品の撮像画像データに基づいて、前記中金型における前記成形品の残存の有無を検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態に係る成形品検査装置について説明する。
【0021】
まず、検査対象となる成形品の一例について説明しておく。図1は成形品を示す斜視図であり、図2は同成形品を金型成型する途中工程を示す断面図である。
【0022】
この成形品1は、ゴムや樹脂等により成型される環状の成形品である。ここでは、成形品1は、ゴムにより略長方形状の環状に成型されている。そして、成形品1の内周面には、その周方向に沿って2つの環状溝2が形成されると共に、成形品1の外周面には、その周方向に沿って突出する膨出突起部3が形成されている。この成形品1は、例えば、コネクタ嵌合部の内周部或は外周部に配設されて、コネクタ嵌合部への水の侵入等を防止する部品、即ち、防水コネクタ用のゴム栓として用いられる。
【0023】
上記成形品1は、上金型22と下金型24との間に挟込まれる中金型26を用いて成型される。
【0024】
すなわち、略板状の中金型26に、上記成形品1の外周側面に対応する内周面形状を有するキャビティ孔26hが形成されている。また、上金型22及び下金型24は、キャビティ孔26hの上方開口及び下方開口をそれぞれ閉塞する部材である。これら上金型22及び下金型24のうちの一方側(ここでは下金型24)に、成形品1の内周側面に対応する外周面形状を有する中子25が一体形成されている。
【0025】
そして、上記中子25をキャビティ孔26h内に配設するようにして、キャビティ孔26hの上下開口を上金型22及び下金型24で閉塞した状態で、図示省略のランナー、ゲートを通じてキャビティ孔26h内に、溶融ゴムを充填する。そして、冷却、固化後、上金型22及び下金型24を除去すると、キャビティ孔26h内に成形品1が残る。これを中金型26のキャビティ孔26hから離型することで、成形品1が製造されることとなる。
【0026】
本実施形態では、上記のような成形品1の検査装置が、下記の成型検査装置に一体的に組込まれた形態で説明する。
【0027】
図3は成型検査装置の全体側面概略構成を示す説明図であり、図4は成型検査装置の全体平面概略構成を示す説明図である。
【0028】
まず、この成型検査装置が、成形品1を成型して排出するための基本的構成及び動作について説明する。この成型検査装置は、成形品1を金型成型するための成形機10と、金型成型された成形品1を脱型するための脱型機30と、脱型された成形品1を受取って排出するための成形品受排出機50とを備えている。
【0029】
成形機10は、上金型22と、下金型24と、これらの間に挟込まれる中金型26とを備えている。
【0030】
図5は、中金型26を示す平面図である。この中金型26は、所定厚みを有する略方形板状に金属部材とされている。この中金型26の中央部の略円形領域内に、上述した形状のキャビティ孔26h(図2参照)が、複数適宜配列にて形成されている。
【0031】
図3及び図4に戻って、この中金型26は、下金型24と共に、金型水平駆動機構12によって、上金型22下方の成型位置(図3で右側に移動した位置)と、脱型機30側の受渡し位置(図3で左側に移動した位置)との間で、移動自在とされている。
【0032】
また、上金型22は、図示省略の金型昇降駆動機構によって昇降自在とされている。
【0033】
そして、下金型24及び中金型26が、成型位置に位置する状態で、上金型22が下降することで、中金型26の各キャビティ孔26hの上下開口が上金型22及び下金型24で閉じられる。この状態で、各キャビティ孔26h内に溶融ゴムが充填される。
【0034】
さらに、ゴムの冷却、固化後、上金型22が上方に移動し、この後、下金型24及び中金型26が受渡し位置に移動して、中金型26が脱型機30側に受渡される。
【0035】
脱型機30は、上記中金型26を受取って略水平姿勢に保持する金型受台32と、この金型受台32を昇降移動させるための金型受台昇降機構34と、中金型26の各キャビティ孔26hから成形品1を脱型させるための脱型機構36とを有している。
【0036】
金型受台32は、中金型26の両側部を挟持可能な一対の挟持部32aを有している。また、金型受台昇降機構34は、エアシリンダ等のアクチュエータの駆動により、金型受台32を、金型受位置と、金型検査位置と、脱型位置との間で昇降駆動させるように構成されている。
【0037】
すなわち、金型受台32を最下方位置の金型受位置に配設した状態で、中金型26が下金型24と共に、受渡し位置に移動する。すると、金型受台32の一対の挟持部32aが中金型26の両側部を挟持して該中金型26を受取る。そして、中金型26を上昇させることで、中金型26と下金型24とが分離する。
【0038】
この後、金型受台32を、上下方向中位置の金型検査位置に上昇移動させて一定時間停止させる。この状態で、後述するようにして、中金型26の各キャビティ孔26hにおける各成形品1の撮像が行われる。
【0039】
さらに、金型受台32を、最上方位置の脱型位置に上昇移動させる。そして、この位置で、中金型26の各キャビティ孔26hから成形品1が脱型される。
【0040】
脱型機構36は、エアを噴出するエアノズル37と、このエアノズル37を水平移動させるノズル水平移動機構38とを備えている。
【0041】
エアノズル37は、図示省略のエア供給源からのエアを、キャビティ孔26hから成形品1を離型させることができる程度の圧力で噴出する。ノズル水平移動機構38は、XYロボット等によって構成されており、脱型位置における中金型26の各キャビティ孔26hの上方を順次通過するように、エアノズル37を水平移動させる。
【0042】
そして、エアノズル37が各キャビティ孔26hの上方を通過する際、各キャビティ孔26h内にその上方から離型用のエアが吹付けられ、各キャビティ孔26h内から成形品1が離型される構成となっている。
【0043】
成形品受排出機50は、成形品受部52と、成形品受部52を移動させる受部移動手段としての受部移動機構60とを備えている。
【0044】
成形品受部52は、上記中金型26より脱型される成形品1を一定姿勢で受取り可能に構成されている。この成形品受部52についてのより具体的な構成については、後述する。
【0045】
受部移動機構60は、成形品受部52を、上記中金型26から成形品1を受取る受位置(図3で右側の位置)と、不良な成形品1を排出する不良品排出位置(図3で真ん中の位置)、良好な成形品1を排出する良品排出位置(図3で左側の位置)との間で、水平移動させる。
【0046】
すなわち、受部移動機構60は、底板部61の両側部に一対の側板部62が立設された可動フレーム部63を有している(図6及び図7参照)。この可動フレーム部63は、レール64を介して、装置筐体18上に水平移動自在に支持されると共に、モータ64a、ねじ軸64b及びナット部64cを有するボールねじ機構によって水平駆動されるようになっている。すなわち、装置筐体18側にモータ64aが固設されると共に、このモータ64aの回転軸にねじ軸64bが連結されている。また、ナット部64cがねじ軸64bに螺合された状態で、可動フレーム部63の底面に固設されている。そして、モータ64aの正転方向或は逆転方向の回転によって、ナット部64cがねじ軸64bに沿って螺合しつつ移動し、これにより、可動フレーム部63が水平移動するようになっている。
【0047】
また、本成形品受排出機50は、不良品排出機構82を備えている。不良品排出機構82は、例えば、各成形品1を一つだけ把持可能な把持部と、該把持部を移動させるロボット等の組合わせにより構成されている。この不良品排出機構82は、上記不良品排出位置に配設された受部52上の各成形品1のうち、判定部78により不良品と判定されたものを、一つずつ把持して、不良品回収部82aに排出する。
【0048】
さらに、成形品受排出機50は、良品排出機構84を有している。良品排出機構84は、例えば、成形品受部52上の各成形品1を寄せ集めて排出する略U字枠状の排出フレーム84aと、成形品受部52上で該排出フレーム84aを移動させる移動手段等との組合わせにより構成される。そして、良品排出機構84は、良品排出位置に配設された成形品受部52上に残る良品の成形品1を、押出すようにして外部の良品回収部85aに排出可能に構成されている。また、多数個排出時の製品のかさばりをなくす為に、上記排出フレーム84a以外にエアーによる吹飛ばし機構を付加している。
【0049】
本成型検査装置の全体構成は上記のようになっており、以下では、成形品1を検査するための要部構成についてより詳細に説明する。
【0050】
すなわち、この検査装置は、上述したような中金型26を用いて成型される成形品1の検査装置であり、中金型26と、第1撮像ユニット40と、成形品受ユニットとしての成形品受排出機50と、第2撮像ユニット70と、判定部78(図14参照)とを構成要素として備えている。
【0051】
第1撮像ユニット40は、上記成形品受排出機50に一体的に組付けられた形態とされている。図6は、第1撮像ユニット40が組付けられた成形品受排出機50を示す一部断面側面図であり、図7は同成形品受排出機50を示す平面図である。
【0052】
この第1撮像ユニット40は、第1撮像手段としての第1撮像カメラ42を備えている。この第1撮像カメラ42は、中金型26の上方撮像位置(他方面側位置、図6では実線で示す上側の位置)と、中金型26の下方撮像位置(下方面側位置、図6では2点鎖線で示す下側の位置)との間で、移動自在に配設されている。そして、第1撮像カメラ42は、上方撮像位置で、第1上反射部43aによる光反射を利用して、中金型26の上面側からキャビティ孔26h内における脱型前の成形品1を撮像すると共に、下方撮像位置で、第1下反射部43bによる光反射を利用して、中金型26の下面側からキャビティ孔26h内における脱型前の成形品1を撮像する構成となっている。
【0053】
より具体的には、成形品受排出機50の可動フレーム部63の前端部(脱型機30側の端部)は、上下二股状に分れる突出支持部63a,63bを有しており、その突出支持部63a,63b間に中金型26を略水平姿勢で挿通配置可能な程度の空間が形成されている。
【0054】
また、上側の突出支持部63aの先端部内に、第1上反射部43a及び第1上照明部44aが設けられると共に、下側の突出支持部63bの先端部内に、第1下反射部43b及び第1下照明部44bが設けられている。
【0055】
上記第1上照明部44aは、発光ダイオード等の発光源を有しており、両突出支持部63a,63b間に配設される中金型26の上面を照し出すように構成されている。また、第1上反射部43aは、プリズムや一般的な反射鏡等により構成されており、両突出支持部63a,63b間に配設される中金型26上面側からの光を反射して、上方撮像位置における第1撮像カメラ42に向けて導く導光手段として機能する。
【0056】
また、第1下照明部44bは、上記第1上照明部44aと同様構成により、両突出支持部63a,63b間における中金型26の上面を照し出すように構成されている。また、第1下反射部43bは、上記第1上反射部43aと同様構成により、両突出支持部63a,63b間における中金型26の下面からの光を反射して、下方撮像位置における第1撮像カメラ42に向けて導く導光手段として機能する。
【0057】
第1撮像カメラ42は、可動フレーム部63の後端部(脱型機30から遠い方の端部)内で、昇降ガイドレール62aを介して昇降自在に支持されている。そして、エアシリンダ等のカメラ昇降駆動部62bにより、上方撮像位置と下方撮像位置との間で昇降駆動されるように構成されている。
【0058】
この第1撮像カメラ42としては、撮像画像を映像信号として出力するCCDカメラ等が用いられる。本実施形態では、第1撮像カメラとして、一次元の画像を映像信号として出力するラインセンサ(リニアセンサともいう)を用いている。勿論、2次元撮像カメラを用いてもよい。
【0059】
本実施形態では、第1撮像ユニット40による成形品1の撮像は、次のようにして行われる。
【0060】
すなわち、図8(a)に示すように、中金型26が金型受台32によって金型検査位置に保持され、かつ、第1撮像カメラ42が上方撮像位置に配設された状態で、可動フレーム部63を脱型機30側に移動させる。
【0061】
そして、図8(b)に示すように、中金型26が突出支持部63a,63b間に配設されて、第1上反射部43a及び第1上照明部44aが中金型26の上方を通過することで、次のようにして、中金型26の上面側の2次元画像が得られる。
【0062】
すなわち、図8(b)に示す状態で、第1上照明部44aからの照明光が中金型26の上面側を照らし出すと共に、中金型26の上面側からの光が、第1上反射部43aで反射されて、第1撮像カメラ42に導かれる。これにより、中金型26の上面側の一次元的な画像が得られる。そして、可動フレーム部63の移動により、第1上反射部43aが中金型26の上方を走査することによって、中金型26の上面側の連続的な一次元的な画像が得られ、これに基づいて、中金型26の上面側の2次元画像、即ち、中金型26のキャビティ孔26h内における脱型前の各成形品1の上方からの画像が得られる。
【0063】
次に、図8(c)に示すように、第1上反射部43aが中金型26の上方全体を通過するまで、可動フレーム部63を移動させた状態で、一転停止させる。そして、第1撮像カメラ42を下方撮像位置に下降させる。
【0064】
この後、図8(d)に示すように、可動フレーム部63を、脱型機30から遠ざかる方向に移動させる。すると、第1下照明部44b及び第1下反射部43bが中金型26の下方を通る段階で、第1下照明部44bからの照明光が中金型26の下面側を照らし出すと共に、中金型26の下面側からの光が、第1下反射部43bで反射されて、第1撮像カメラ42に導かれる。これにより、上記と同様にして、中金型26の下面側の2次元画像、即ち、中金型26のキャビティ孔26h内における脱型前の各成形品1の下方からの画像が得られる。
【0065】
最後に、図8(e)に示すように、可動フレーム部63が元の位置に戻るまで移動することで、中金型26の上下面側の撮像が終了する。この撮像画像に基づいて、判定部78において、各成形品1の良否検査が行われる。
【0066】
成形品受排出機50は、中金型26より脱型される成形品1を一定姿勢で受ける成形品受部52を有している。
【0067】
図9は成形品受部52を示す平面図であり、図10は同成形品受部52を示す一部断面側面図である。なお、図10において、左半部は受ピン部54aが上方に突出した状態、右半部は受ピン部54aが下方に退避した状態を示している。
【0068】
成形品受部52は、下側から順番に、基本プレート部53と、ピン支持プレート部54と、受プレート部56とが積層状に配設されてなる。
【0069】
基本プレート部53は、可動フレーム部63の一端側上部に固設されている。この基本プレート部53の中央部には、後述するピン支持プレート部54や受プレート部56の昇降支持・駆動機構と干渉しない程度の孔部が形成されている。
【0070】
受プレート部56は、円形受プレート部57と、外周プレート部58とを備えている。外周プレート部58は、ガイドピン58aを介して、基本プレート部53上で昇降自在に支持されており、エアシリンダ等のプレート昇降駆動部58bによって昇降駆動されるように構成されている。
【0071】
また、この外周プレート部58には、略円形状の孔部58hが形成されており、この孔部58hを上方から塞ぐようにして、上方へ移動自在に円形受プレート部57が配設されている。
【0072】
この円形受プレート部57のうち、中金型26における各キャビティ孔26hに対応するそれぞれの位置に、後に詳述する孔部57ha,57hbが形成されている(図10,図11参照)。
【0073】
また、ピン支持プレート部54は、上記円形受プレート部57に対応する広がりを持つ板状部材に形成されており、その上面に上記孔部57haに挿入可能な受ピン部54aが突出形成されている。
【0074】
このピン支持プレート部54は、ガイドピン54bを介して、上記受プレート部56に対して相対的に昇降自在に支持されている。また、エアシリンダ等のピン昇降駆動部59の本体部59aがピン支持プレート部54側に固設されると共に、その本体部59aより出退駆動するロッド部59bが外周プレート部58に連結固定されている。
【0075】
そして、ロッド部59bが進出した状態では、受ピン部54aが外周プレート部58の下方へ所定距離離れたピン退避位置に配設される。この状態では、受ピン部54aは上記孔部57haの奥方へ退避した状態となっている。
【0076】
この状態から、ロッド部59bが退避すると、まず、ピン支持プレート部54が昇降移動する。そして、その途中で、円形受プレート部57の下面に形成された突起部57cがピン支持プレート部54の上面に当接する。この後、ピン支持プレート部54が継続して昇降移動することで、円形受プレート部57も若干上方へ持上げられることになる。この状態では、受ピン部54aは、上記孔部57haの上方へ突出するようになる。
【0077】
成形品受部52において脱型された各成形品1が受取られる要部構成について説明する。図11は中金型26から脱型された成形品1が受ピン部54aに受取られる途中状態を示す図であり、図12は成形品1が円形受プレート部57上に載置された状態を示す図である。
【0078】
すなわち、ピン支持プレート部54のうち、中金型26における各キャビティ孔26hに対応するそれぞれの位置に、一対の受ピン部54aが突出形成されている。一対の受ピン部54aは、先端部が順次細くなる円棒状に形成されており、環状の成形品1をその内周側から少なくとも2カ所で支持して該成形品1を一定姿勢で受取ることができる構成となっている。ここでは、一対の受ピン部54aの外側幅寸法を、成形品1の長手方向における内径寸法と略同一に設定してある。そして、成形品1の長手方向両端側の内周部を、一対の受ピン部54aで挿通支持することで、該成形品1を一定姿勢で受取ることができるようにしてある。
【0079】
なお、このピン支持プレート部54における各一対の受ピン部54a間の位置には、エア抜き孔54hが形成されている。
【0080】
また、円形受プレート部57のうち、中金型26における各キャビティ孔26hに対応するそれぞれの位置に、上記各一対の受ピン部54aを挿通可能な一対の孔部57haが形成されると共に、その各一対の孔部57ha間に、エア抜き用の孔部57hbが形成されている。
【0081】
上述した構成により、中金型26から脱型された成形品1が受ピン部54aに受取られる動作を説明すると、次のようになる。
【0082】
まず、キャビティ孔26h内に成形品1を有する中金型26が、金型受台32に保持されて、金型受台昇降機構34により脱型位置に上昇した状態で(図3で最も上方位置)、成形品受部52が中金型26の下方位置に移動する。そして、この状態で、プレート昇降駆動部58bの駆動により外周プレート部58が上昇すると共に、ピン昇降駆動部59の駆動によりピン支持プレート部54も上昇する。
【0083】
これにより、図11に示すように、円形受プレート部57が中金型26の下方に、成形品1を載置可能な程度の間隔をあけて配設される。また、各一対の受ピン部54aが、各一対の孔部57ha内に挿通されると共に、各一対の受ピン部54aの先端部が各キャビティ孔26h内に入り込んだ状態となる。
【0084】
この状態で、脱型機構36のエアノズル37が、ノズル水平移動機構38の駆動により、中金型26の各キャビティ孔26hの上方を順次通過するように移動する。そして、エアノズル37から噴出されるエアが、所定のキャビティ孔26h内の成形品1に吹付けられると、そのエア圧力を受けて成形品1がキャビティ孔26hから離型する。
【0085】
すると、一対の受ピン部54aが成形品1内に挿入されつつ、成形品1が円形受プレート部57上に移動する。このようにして、成形品1が一定姿勢で受ピン部54aに受取られる。
【0086】
なお、脱型用のエアは、円形受プレート部57と中金型26間の空間と、孔部57haからエア抜き孔54hとを通って、外部に流れていく。
【0087】
この後、プレート昇降駆動部58bの駆動により外周プレート部58が下降すると共に、ピン昇降駆動部59の駆動によりピン支持プレート部54を下降させる。すると、図12に示すように、各一対の受ピン部54aが各孔部57haの下側に退避移動する。これにより、各成形品1が、一対の受ピン部54aにより受取られた一定姿勢のままで、かつ、整列された状態で、円形受プレート部57上に載置されることになる。
【0088】
なお、中金型26より脱型される成形品1を一定姿勢で受ける成形品受部52としては、上述した構成の他、所定厚みを有する板状部材の上面であって各キャビティ孔26hに対応する位置に、成形品1の外形状に対応する有底穴を形成したような受け皿を用いた構成を採用することもできる。
【0089】
もっとも、本実施形態のように、受ピン部54aが環状の成形品1をその内側から支持して一定姿勢で受けた場合には、成形品1の外周部の形状認識を精度よく行うことができるという利点がある。
【0090】
第2撮像ユニット70は、図3及び図13に示すように、上記成形品受部52が成形品1を受取る受位置から成形品1を排出する位置(ここでは不良な成形品1を排出する不良品排出位置)に移動する途中で、上記成形品受部52で保持された各成形品1を撮像する第2撮像手段としての第2撮像カメラ72を有している。
【0091】
より具体的には、この第2撮像ユニット70は、第2撮像カメラ72と第2反射部74と第2照明部75とを有している。
【0092】
上記第2照明部75は、発光ダイオード等の発光源を有しており、成形品受部52が受位置から不良品排出位置に移動する経路の途中上に配設されている。そして、当該経路の移動途中で、成形品受部52上の各成形品を照し出す構成となっている。
【0093】
また、第2反射部は、プリズムや一般的な反射鏡等により構成されており、前記第2照明部75の上方位置に配設されている。そして、成形品受部52が前記経路を移動する途中で、その上に載置された各成形品1からの光を反射して、第2撮像カメラ72に導くように構成されている。
【0094】
第2撮像カメラ72は、装置筐体18の上方位置に図示省略のブラケットを介して固設されている。この第2撮像カメラ72としては、上記第1撮像カメラ42と同様に、CCDカメラ等、特に本実施形態では、ラインセンサを用いている。勿論、2次元撮像カメラを用いてもよい。
【0095】
そして、本実施形態では、第2撮像ユニット70による成形品1の撮像は次のようにして行われる。
【0096】
すなわち、各成形品1が中金型26から脱型されて成形品受部52に載置された状態で、可動フレーム部63の移動により、成形品受部52を受位置から不良品排出位置に移動させる。
【0097】
そして、図13に示すように、成形品受部52が第2反射部74及び第2照明部75の下方位置を通ると、第2照明部75からの照明光が成形品受部52上の各成形品1を照らし出すと共に、その各成形品1からの光が第2反射部74で反射されて、第2撮像カメラ72に導かれる。これにより、中金型26の上面側の一次元的な画像が得られる。そして、成形品受部52の移動に伴い、第2反射部74が成形品受部52の上方を走査することによって、成形品受部52上の連続的な一次元的な画像が得られ、これに基づいて、成形品受部52の上面側の2次元画像、即ち、脱型後の各成形品1の上方からの画像が得られる。そして、この撮像画像に基づいて、判定部78において各成形品1の良否検査や個数検査が行われる。
【0098】
図14は、本成型検査装置の全体ブロック図である。同図に示すように、この成型検査装置は、制御部76を備えており、この制御部76により、金型成型、脱型、成形品の収集等の全体動作制御がなされる。
【0099】
また、この成型検査装置は、第1撮像ユニット40及び第2撮像ユニット70からの撮像画像データに基づいて、成形品1の個数検査、良否検査を行う判定部78を備えている。
【0100】
この判定部78は、CPU、ROM及びRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、図示省略の画像キャプチャーボード等のインターフェースボードを介して上記各第1撮像ユニット40,第2撮像ユニット70に接続されている。そして、判定部78は、予め格納されたソフトウェアプログラムによって成形品1の個数検査、良否検査を行う。
【0101】
例えば、判定部78は、第2撮像ユニット70で撮像された画像データに対して、二値化処理等の画像認識処理を行い、第2撮像ユニット70で撮像された画像中における成形品1の個数をカウントする。そして、このカウント個数を、予め設定された成形品個数(中金型26に形成されたキャビティ孔26hの個数)と比較する。そして、カウント個数と成形品個数とが同数である場合に、規定された成形品が脱型されたと判断し、カウント個数が成形品個数よりも少ない場合に、中金型26のキャビティ孔26h内に成形品1が残留しており、脱型残りがあると判定する。
【0102】
また、判定部78は、第1撮像ユニット40及び第2撮像ユニット70で撮像された画像データに対して、所定の2値化処理や近似処理、エッジ検出処理等の画像処理を施して、成形品1の外形状の良否検査を行う。例えば、撮像画像において、各成形品1の面積や所定のエッジ間距離を、所定の基準値と比較した有り、撮像画像中に設定された所定の検査ラインにおいて成形品1の形状認識がなされるか否かを検査したり等する。これにより、成形品1の周りに生じたバリやショートショット、欠け、気泡等の不具合、即ち、成形品1の外観形状の良否検査が行われる。
【0103】
図15は、本成型検査装置の動作のうち、成形品1の検査に係る動作を中心に説明するためのフローチャートである。
【0104】
まず、成形機10によって成形品1が金型成型された後、中金型26が、成形機10から取出され、脱型機30の金型受台32に保持され、金型検査位置に配設される。
【0105】
この状態で、ステップS1に示すように、可動フレーム部63の脱型機30側への移動により、第1撮像ユニット40が前進移動しつつ、中金型26の上面側から、当該中金型26の各キャビティ孔26h内の成形品1が撮像される。
【0106】
この後、ステップS2において、第1撮像カメラ42が下降する。
【0107】
そして、ステップS3において、可動フレーム部63の脱型機30側から遠ざかる方向への移動により、第1撮像ユニット40が後退移動しつつ、中金型26の下面側から、当該中金型26の各キャビティ孔26h内の成形品1が撮像される。
【0108】
この後、ステップS4において、中金型26が脱型位置まで上昇する。そして、ステップS5において、可動フレーム部63の前進移動により、成形品受部52が前進して、中金型26の下方位置へ移動する。
【0109】
この後、ステップS6において、各成形品1の脱型、成形品受部52への移載がなされる。
【0110】
次に、ステップS7において、可動フレーム部63の前進移動により、成形品受部52が後退すると共に、その後退途中で、第2撮像ユニット70により、成形品受部52上における各成形品1がその上側から撮像される。
【0111】
そして、ステップS8では、第2撮像ユニット70で撮像された画像データに基づいて、成形品受部52上での成形品1の個数カウントを行い、そのカウント個数が、規定の成形品個数であるか否かを判定する(脱型確認)。そして、カウント個数が規定数よりも少ない場合には、ステップS12に進んで、本成型検査装置を停止させる。この後、作業者が、中金型26の各キャビティ孔26h内等を目視で確認し、各キャビティ孔26h内に成形品1が残留している場合には、これを除去する。これにより、成形品1のキャビティ孔26h内残留によって引き起される不具合を未然に防止できる。
【0112】
一方、ステップS8において、カウント個数が規定数を満たしていると判断された場合には、ステップS9に進んで、第1撮像ユニット40及び第2撮像ユニット70で撮像された画像データに基づいて、各成形品1の外観形状検査を行う。
【0113】
そして、所定の成形品1が形状不良であると判定された場合には、ステップS11に進んで、不良品排出機構82により、当該不良品と判定された成形品1を外部に排出する。
【0114】
一方、ステップS9において、所定の成形品1に対する形状不良が検出されなかったとき、また、ステップS11において不良品排出後、ステップS10に進む。ステップS10では、良品排出機構84により、成形品受部52上の各成形品1を、良品回収部85aに排出する。これにより、各成形品1が良品と不良品とに区別して排出される。
【0115】
以上のように構成された成形品検査装置及び成型検査装置によると、成形品1が中金型26から脱型される前の状態で、単一の第1撮像ユニット40により、中金型26の上方面側からキャビティ孔26hにおける脱型前の成形品1が撮像されると共に、中金型26の下方面側からキャビティ孔26hにおける脱型前の成形品1が撮像される。さらに、成形品受部52が受位置から排出位置に移動する途中で、第2撮像ユニット70により、成形品受部52上の成形品1が撮像される。従って、成形品1を、より低コストで、より多数箇所撮像して検査することができる。しかも、中金型26から脱型後、成形品受部52上の成形品1が撮像されるため、例えば、その画像データに基づいて成形品1の個数をカウントすることで、中金型26内における成形品1の残存の有無も検査できる。
【0116】
また、第1撮像ユニット40は、中金型26の上面側からの光を上方撮像位置の第1撮像カメラ42に導く第1上反射部43aと、中金型26の下面側からの光を下方撮像位置の第1撮像カメラ42に導く第1下反射部43bとを有し、第1撮像カメラ42を上方撮像位置と下方撮像位置との間で昇降させる構成としているため、第1撮像カメラ42を中金型26の外周囲で直線的に昇降させることができる。従って、第1撮像カメラ42の昇降移動用の構成をコンパクトかつ簡易なものとすることができる。
【0117】
また、各キャビティ孔26h内における成形品1を撮像し、又は、成形品受部52上で整列された状態で各成形品1を撮像して、その形状良否を判定するので、どの位置のキャビティ孔26hで形状不良が生じ易いが特定し易く、かかる不具合に対する対処が容易であるという利点もある。
【0118】
しかも、成形品1を成型した直後に、形状良否検査を行っているため、成形機10の不具合をすぐに知ることができる。よって、そのような不具合にも素早く対処できるという利点もある。また、成形品1に油分等のゴミが付着する前の段階で形状良品検査を行っているため、この点からしても精度のよい検査を行うことができる。
【0119】
ところで、本装置では、第1撮像ユニット40により、中金型26の各キャビティ孔26hにおける脱型前の成形品1をその上方又は下方から撮像している。
【0120】
そこで、図16に示すように、第1撮像カメラ42が上方撮像位置に配設された状態で、中金型26の上面に焦点を合わせて、成形品1の上端部を撮像し(V1参照)、第1撮像カメラ42が下方撮像位置に配設された状態で、中金型の下面に焦点を合わせて、成形品1の下端部を撮像するとよい(V2参照)。
【0121】
これにより、バリ等の形状不具合が発生し易い中金型26の上下面に対応する部分を対象として、成形品1の形状良否判定を行うことができ、成形品1の外観形状検査を的確に行うことができる。
【0122】
しかも、中金型26は、一般的に金属等で形成されており金属色を呈している。従って、中金型26の上面又は下面を背景として、色付ゴム等で成型される成形品1を撮像することで、画像処理による成形品1の形状認識を精度よく行うことができる。従って、外観形状検査を精度よく行うことができる。
【0123】
また、成形品1のうちキャビティ孔26h内に入り込んでいた部分、即ち、成形品1の側部中間部については、第2撮像ユニット70により、焦点を合わせて撮像を行って、当該部分についての形状検査を行うとよい(V3参照)。これにより、キャビティ孔26h内に入り込んでいた部分についても、形状検査を行うことができる。
【0124】
この場合に、受ピン部54aは、成形品1の内周側で退避移動しているため、成形品1の外周部には、均一な態様で円形受プレート部57が広がっている。従って、成形品1の外周面の形状認識を精度よく行うことができ、外観形状良否検査を精度よく行える。
【0125】
なお、図17に示す成形品101のように、該成形品101が中金型126のキャビティ孔126hから突出する態様にて成型される場合には、第2撮像ユニット70により成形品101の当該突出部分に焦点をあわせて撮像するようにしてもよい。
【0126】
すなわち、上記成形品101の上下方向中間部には、環状突起部101aが形成されている。そして、その環状突起部101aの上面に合わせて中金型26の上面が配設されており、それより下方部分がキャビティ孔126hによって形づくられ、それよりも上方部分は上金型側の金型面(図示省略)によって形づくられるようになっている。
【0127】
このような成形品101については、第1撮像ユニット40によって、中金型126の上面又は下面に焦点を合わせて成形品101の撮像を行い(W1,W2参照)、第2撮像ユニット70によって成形品101の上端部に焦点を合わせて撮像を行ってもよい(W3参照)。
【0128】
要するに、第2撮像ユニット70では、成形品1,101のうち、形状不良が生じ易い部分等、適宜考慮した部分に焦点を合わせて撮像を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】成型対象となる成形品の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の成形品を金型成型する途中工程を示す断面図である。
【図3】実施形態に係る成型検査装置の全体側面概略構成を示す説明図である。
【図4】同上の成型検査装置の全体平面概略構成を示す説明図である。
【図5】中金型を示す平面図である。
【図6】第1撮像ユニットが組付けられた成形品受排出ユニットを示す一部断面側面図である。
【図7】同上の同成形品受排出ユニットを示す平面図である。
【図8】第1撮像ユニットによる撮像工程を示す説明図である。
【図9】成形品受部を示す平面図である。
【図10】同上の同成形品受部を示す一部断面側面図である。
【図11】中金型から脱型された成形品が受ピン部に受取られる途中状態を示す図である。
【図12】成形品が円形受プレート部上に載置された状態を示す図である。
【図13】第2撮像ユニットによる撮像工程を示す説明図である。
【図14】成型検査装置の全体ブロック図である。
【図15】成形品の検査動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】各撮像ユニットによる撮像箇所を示す説明図である。
【図17】変形例に係る成形品について、各撮像ユニットによる撮像箇所を示す説明図である。
【符号の説明】
【0130】
1 成形品
10 成形機
22 上金型
24 下金型
26 中金型
26h キャビティ孔
32 金型受台
36 脱型機構
40 第1撮像ユニット
42 第1撮像カメラ
43a 第1上反射部
43b 第1下反射部
50 成形品受排出機
52 成形品受部
54a 受ピン部
56 受プレート部
57 円形受プレート部
57ha,57hb 孔部
63 可動フレーム部
70 第2撮像ユニット
72 第2撮像カメラ
74 第2反射部
76 制御部
78 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上金型と下金型との間に挟込まれる中金型を用いて成型される成形品の検査装置であって、
成型用のキャビティ孔を有し、前記キャビティ孔内に成形品を有する状態で検査位置に配設される中金型と、
前記検査位置における前記中金型の一方面側位置と他方面側位置との間で移動自在に配設され、前記一方面側位置で前記中金型の一方面側から前記キャビティ孔における脱型前の成形品を撮像すると共に、前記他方面側位置で前記中金型の他方面側から前記キャビティ孔における脱型前の成形品を撮像する第1撮像手段を有する第1撮像ユニットと、
前記中金型より脱型される成形品を一定姿勢で受ける成形品受部と、前記成形品受部を、前記中金型から成形品を受ける受位置からその成形品を外部に排出する排出位置へ移動させる受部移動手段とを有する成形品受ユニットと、
前記成形品受部が前記受位置から前記排出位置に移動する途中で、前記成形品受部で保持された成形品を撮像する第2撮像手段を有する第2撮像ユニットと、
前記第1撮像ユニット及び前記第2撮像ユニットを通じて得られた画像データに基づいて、前記成形品の形状良否を検査すると共に、前記第2撮像ユニットを通じて得られた画像データに基づいて、前記中金型における前記成形品の残存の有無を検査する、判定手段と、
を備えた成形品検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の成形品検査装置であって、
前記第1撮像ユニットは、
前記第1撮像手段が前記中金型の外周囲で前記一方面側位置と前記他方面側位置とで移動自在に配設されると共に、前記中金型の一方面側からの光を前記一方面側位置に配設された前記第1撮像手段に導く一方面側導光手段と、前記中金型の他方面側からの光を前記他方面側位置に配設された前記第1撮像手段に導く他方面側導光手段とをさらに有する構成とされた、成形品検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の成形品検査装置であって、
前記第1撮像ユニットは、
前記第1撮像手段が前記一方面側位置に配設された状態で、前記中金型の一方面上に焦点を合わせて撮像を行い、前記第1撮像手段が前記他方面側位置に配設された状態で、前記中金型の他方面上に焦点を合わせて撮像を行う、成形品検査装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の成形品検査装置であって、
前記第2撮像ユニットは、
前記成形品のうち前記キャビティ孔内に入り込んでいた部分に焦点を合わせて撮像を行う、成形品検査装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の成形品検査装置であって、
前記成形品は、環状成形品であり、
前記成形品受部は、前記環状成形品をその内側から支持して一定姿勢で受ける受ピン部を有している、成形品検査装置。
【請求項6】
上金型と下金型との間に挟込まれる中金型を用いて成型される成形品の検査方法であって、
第1撮像手段を、中金型の一方面側位置に移動させて、前記中金型の一方面側から脱型前の前記成形品を撮像する撮像工程と、
前記第1撮像手段を、中金型の他方面側位置に移動させて、前記中金型の他方面側から脱型前の成形品を撮像する撮像工程と、
前記中金型から脱型された成形品を、一定姿勢で受けるように成形品受部に移し替える工程と、
前記成形品受部で保持された成形品を撮像する工程と、
前記中金型の一方面側からの撮像画像データ、前記中金型の他方面側からの撮像画像データ、前記製品受部上での成形品の撮像画像データに基づいて、前記成形品の形状良否を検査する工程と、
前記製品受部上での成形品の撮像画像データに基づいて、前記中金型における前記成形品の残存の有無を検査する工程と、
を備えた成形品検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−15620(P2006−15620A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196286(P2004−196286)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】