説明

抗スティクション材料を有するマイクロデバイス

【課題】マイクロ構造を製造する方法を提供すること。
【解決手段】マイクロ構造を製造する方法であって、基板上に第1の構造部分を形成することと、該第1の構造部分上に犠牲材料を配置することと、該犠牲材料および該基板上に第1の構造材料の層を堆積させることと、該犠牲材料の少なくとも一部を除去して、第2の構造部分を該第1の構造材料の層に形成することであって、該第2の構造部分は、該基板に接続され、該第2の構造部分が該第1の構造部分から分離される第1の位置と、該第2の構造部分が該第1の構造部分と接触する第2の位置との間で移動可能である、ことと、該第2の構造部分の表面および該第1の構造部分の表面のうちの少なくとも1つにカーボン層を形成することによって、該第2の構造部分と該第1の構造部分との間のスティクションを減少させることとを包含する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロ構造およびマイクロデバイスの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロデバイスは、しばしば、動作の間に互いに接触し得るコンポーネントを含む。例えば、基板上に構築されたマイクロミラーは、静電気力によってチルトされ得るチルト可能なミラープレートを含み得る。ミラープレートは、マイクロミラープレートが、入射光をディスプレイデバイスに方向付ける「オン」位置までチルトし得、マイクロミラープレートが入射光をディスプレイデバイスから離れるように方向付ける「オフ」位置までチルトし得る。ミラープレートは、「オン」または「オフ」位置の機械的ストップによって停止されることにより、ミラープレートの配向が、これら2つの位置において正確に規定され得る。マイクロミラーが適切に機能するために、ミラープレートは、いかなる遅延なしに、「オン」または「オフ」位置の間で、敏速に変化することが可能でなければならない。例えば、「オン」位置において機械的ストップと接触するミラープレートは、ミラープレートを「オフ」位置に向けチルトするために適切な静電気力がミラープレートに印加された際に、瞬時に機械的ストップから分離することが可能でなければならない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの全体的な局面において、本発明は、マイクロ構造を製造する方法に関する。該方法は、基板上に第1の構造部分を形成することと;該第1の構造部分の上に犠牲材料を配置することと;該犠牲材料および該基板上に第1の構造材料の層を堆積させることと;該犠牲材料の少なくとも一部を除去し、該第1の構造材料の層に第2の構造部分を形成することであって、該第2の構造部分は、該基板に接続され、かつ該第2の構造部分が、該第1の構造部分から分離される第1の位置と、該第2の構造部分が、該第1の構造部分と接触する第2の位置との間を移動可能である、ことと;該第2の構造部分の表面および該第1の構造部分の表面のうちの少なくとも1つの上にカーボン層を形成し、該第2の構造部分と該第1の構造部分との間のスティクションを防ぐこととを含む。
【0004】
別の全体的な局面において、本発明は、チルト可能なマイクロミラープレートを製造する方法に関する。該方法は、基板上にポストを形成することと;該基板上に突起を形成することと;該基板上に犠牲材料を配置することと;該犠牲材料上に構造材料の1つ以上の層を堆積させることと;該犠牲材料の少なくとも一部を除去し、該ポストと接続するチルト可能なマイクロミラープレートを形成することであって、該チルト可能なマイクロミラープレートは、該チルト可能なマイクロミラープレートが第1の構造部分から分離される第1の位置と、該チルト可能なマイクロミラープレートが該基板上の突起に接触する第2の位置との間を移動可能である、ことと;該マイクロミラープレートの表面および該突起の表面のうちの少なくとも1つの上にカーボン層を形成し、該マイクロミラープレートと該基板上の該突起との間のスティクションを防ぐこととを含む。
【0005】
別の全体的な局面において、本発明は、基板上のランディングストップと;該基板上のポストと;該ポストと接続するミラープレートであって、該ミラープレートは、該ミラープレートが該ランディングストップから分離される第1の位置と、該ミラープレートが該ランディングストップと接触する第2の位置との間を移動可能である、ミラープレートと;該基板上の該マイクロミラープレートと該ランディングストップとの間のスティクションを防ぐための該ミラープレートの表面上または該ランディングストップの表面上のカーボン層とを含むマイクロ構造に関する。
【0006】
別の全体的な局面において、本発明は、第1の表面を有する第1の静止したコンポーネントと;第2の表面を有する第2の移動可能なコンポーネントであって、該第2のコンポーネントは移動することによって、該第2の表面を該第1の表面に接触させるように構成されている、第2のコンポーネントと;該第1のコンポーネントと該第2のコンポーネントとの間のスティクションを防ぐための該第1の表面および該第2の表面のうちの少なくとも1つの上にカーボン層とを含むマイクロデバイスに関する。
【0007】
システムのインプリメンテーションは、以下のうちの1つ以上を含み得る。カーボン層を形成するステップは、CVDによって該第2の構造部分の表面または該第1の構造部分の表面上にカーボンを堆積させることを含み得る。カーボン層は、0.3ナノメートルよりも厚くあり得る。カーボン層は、1.0ナノメートルよりも厚くあり得る。犠牲材料は、アモルファスカーボンを含み得る。カーボン層は、該犠牲材料の一部を除去するステップにおいて除去されないアモルファスカーボンを含み得る。犠牲材料を配置するステップは、該第1の構造部分上に、CVDまたはPECVDによって、カーボンを堆積させることを含み得る。方法は、該犠牲材料上に該第1の構造材料の層を堆積させる前に、該犠牲材料を平坦化することをさらに含み得る。方法は、該第1の構造材料の層上にマスクを形成することと;マスクによって覆われない該第1の構造材料を選択的に除去し、該第1の構造材料の層に開口部を形成することと;該開口部を介してエッチング液を適用し、犠牲材料を除去することとをさらに含み得る。該第2の構造部分の少なくとも一部は導電性であり得る。第2の構造部分は、基板上の電極または第2の構造部分の該導電性部分に印加された1つ以上の電圧信号に応答して、第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成され得る。第2の構造部分の下部表面は、第1の構造部分の上部表面に第2の位置において接触するように構成され得、該カーボン層は該第2の構造部分の下部表面上または該第1の構造部分の上部表面上に形成される。第1の構造部分および第2の構造部分のうちの少なくとも1つは、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、合金、アルミニウム、アルミニウムシリコン合金、シリコン、アモルファスシリコン、ポリシリコン、シリサイド化合物およびこれらの組み合わせからなるグループから選択される材料を含み得る。第2の構造部分は、チルト可能なミラープレートと該チルト可能なミラープレートをサポートするポストとを含み得る。
【0008】
インプリメンテーションは以下の利点のうちの1つ以上を含み得る。本開示された方法およびシステムは、マイクロデバイス内に隠された接触エリア上の抗スティクション材料を提供するために有用であり得る。例えば、チルト可能なミラープレートと基板上のランディングストップとの間の接触表面は、ミラープレートの下に隠され得る。接触表面は、しばしばデバイス製造の最終的な段階で形成される。本開示される方法およびシステムは、抗スティクション材料が、製造プロセスの一部として接触表面に適用されることを可能にする。本開示された方法およびシステムは、抗スティクション材料が、ミラープレートの下に隠された接触表面上に等方的に堆積することを可能にする。
【0009】
本明細書は、アモルファスカーボンが、標準的な半導体プロセスによって、犠牲材料として、堆積し得、かつ除去され得ることを開示する。アモルファスカーボンは、化学蒸着(CVD)またはプラズマ化学蒸着(PECVD)によって堆積し得る。アモルファスカーボンは、ドライプロセス(例えば、等方性プラズマエッチング、マイクロ波または活性ガス蒸気)によって除去され得る。除去することは、一般的な半導体コンポーネント(例えば、シリコンおよび二酸化ケイ素)に関しては非常に選択的である。アモルファスカーボンの除去はまた、アモルファスカーボンの層がマイクロデバイス内の移動可能なコンポーネントの接触表面上に維持され得、移動可能なコンポーネント間のスティクションを防ぐように制御され得る。
【0010】
本開示されるシステムおよび方法の別の利点の可能性は、抗スティクション材料が、マイクロデバイスが製造された後に複数のマイクロデバイスに適用され得ることである。カーボンベースの抗スティクション材料は、CVDによって、マイクロ構造の下に隠された接触表面上に等方的に堆積し得る。例えば、カーボンはCVDによって、ミラープレートの下部表面上およびランディングストップの上部表面上に、複数のマイクロミラーが半導体ウェーハ上に製造された後で、等方的に堆積し得る。
【0011】
本発明は、複数の実施形態を参照して特に示され、記載されているが、当業者によって、形式および詳細において様々な変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、本発明においてなされることが理解される。
【0012】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0013】
(項目1)
マイクロ構造を製造する方法であって、
基板上に第1の構造部分を形成することと、
該第1の構造部分上に犠牲材料を配置することと、
該犠牲材料および該基板上に第1の構造材料の層を堆積させることと、
該犠牲材料の少なくとも一部を除去して、第2の構造部分を該第1の構造材料の層に形成することであって、該第2の構造部分は、該基板に接続され、該第2の構造部分が該第1の構造部分から分離される第1の位置と、該第2の構造部分が該第1の構造部分と接触する第2の位置との間で移動可能である、ことと、
該第2の構造部分の表面および該第1の構造部分の表面のうちの少なくとも1つにカーボン層を形成することによって、該第2の構造部分と該第1の構造部分との間のスティクションを減少させることと
を包含する、方法。
【0014】
(項目2)
上記カーボン層を形成するステップは、CVDによって、上記第2の構造部分の上記表面上または上記第1の構造部分の上記表面上にカーボンを堆積させることを包含する、項目1に記載の方法。
【0015】
(項目3)
上記カーボン層は、0.3ナノメートルよりも厚い、項目1に記載の方法。
【0016】
(項目4)
上記カーボン層は、1.0ナノメートルよりも厚い、項目3に記載の方法。
【0017】
(項目5)
上記犠牲材料は、アモルファスカーボンを備えている、項目1に記載の方法。
【0018】
(項目6)
上記カーボン層は、上記犠牲材料の一部を除去する上記ステップにおいて除去されないアモルファスカーボンを備えている、項目5に記載の方法。
【0019】
(項目7)
上記犠牲材料を配置する上記ステップは、CVDまたはPECVDによって、上記第1の構造部分上にカーボンを堆積させることを包含する、項目5に記載の方法。
【0020】
(項目8)
上記犠牲材料の一部分を除去する上記ステップは、該犠牲材料の本質的に全てを除去することを包含する、項目1に記載の方法。
【0021】
(項目9)
カーボン層を形成する上記ステップは、上記除去するステップの後に、上記第2の構造部分の上記表面または上記第1の構造部分の上記表面のうちの少なくとも1つに、カーボンを堆積させることを包含する、項目8に記載の方法。
【0022】
(項目10)
上記犠牲層は、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテルおよびハイドロジェンシルセスキオキサンからなるグループから選択された材料を備えている、項目8に記載の方法。
【0023】
(項目11)
上記カーボン層は、アモルファス構造を備えているか、または多結晶相である、項目1に記載の方法。
【0024】
(項目12)
上記犠牲材料上に上記第1の構造材料の上記層を堆積させる前に、該犠牲材料を平坦化することをさらに包含する、項目1に記載の方法。
【0025】
(項目13)
上記第1の構造材料の上記層にマスクを形成することと、
該マスクによって覆われない上記第1の構造材料を選択的に除去して、該第1の構造材料の上記層に開口部を形成することと、
該開口部を介して、エッチング液を適用し、上記犠牲材料を除去することと
をさらに包含する、項目1に記載の方法。
【0026】
(項目14)
上記第2の構造部分の少なくとも一部は導電性である、項目1に記載の方法。
【0027】
(項目15)
上記第2の構造部分の下部表面は、上記第1の構造部分の上部表面に、上記第2の位置において接触するように構成され、上記カーボン層は、該第2の構造部分の該下部表面または該第1の構造部分の該上部表面上に形成される、項目1に記載の方法。
【0028】
(項目16)
上記第1の構造部分および上記第2の構造部分のうちの少なくとも1つが、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、アルミニウム、アルミニウムシリコン合金、シリコン、アモルファスシリコン、ポリシリコン、シリサイド化合物およびこれらの組み合わせからなるグループから選択された材料を備えている、項目1に記載の方法。
【0029】
(項目17)
上記第2の構造部分は、チルト可能なミラープレートおよび該チルト可能なミラープレートをサポートするポストを備えている、項目1に記載の方法。
【0030】
(項目18)
上記形成するステップは、上記第2の構造部分の表面上にカーボン層を形成することを包含する、項目1に記載の方法。
【0031】
(項目19)
上記形成するステップは、上記第1の構造部分の表面上にカーボン層を形成することを包含する、項目1に記載の方法。
【0032】
(項目20)
上記基板はその上にポストを有し、
第1の構造部分を形成することは、該基板上に突起を形成し、
上記犠牲材料の少なくとも1つを除去することは、該ポストと接続するチルト可能なマイクロミラープレートを形成し、該チルト可能なマイクロミラープレートは、該チルト可能なマイクロミラープレートが該突起から分離される第1の位置と、該チルト可能なマイクロミラープレートが該基板上の該突起と接触する第2の位置との間で移動可能である、
項目1に記載の方法。
【0033】
(項目21)
上記カーボン層は、0.3ナノメートルよりも厚い、項目20に記載の方法。
【0034】
(項目22)
上記カーボン層は、1.0ナノメートルよりも厚い、項目21に記載の方法。
【0035】
(項目23)
上記犠牲材料は、アモルファスカーボンを備えている、項目20に記載の方法。
【0036】
(項目24)
上記基板上の上記突起は、上記第2の位置において、上記チルト可能なマイクロミラープレートの上記下部表面に接触するように構成されているチップを含む、項目20に記載の方法。
【0037】
(項目25)
上記犠牲材料上の構造材料の上記1つ以上の層を堆積させることは、
導電性材料を堆積させ、上記チルト可能なマイクロミラープレートの下部層を形成するステップと、
該下部層上に構造材料を堆積させ、該チルト可能なマイクロミラープレートに対する中間層を形成するステップと、
該中間層上に反射性材料を堆積させ、該チルト可能なマイクロミラープレートの上部層を形成するステップと
を包含する、項目20に記載の方法。
【0038】
(項目26)
基板上の静止した第1のコンポーネントであって、該第1のコンポーネントは、第1の表面を有する、第1のコンポーネントと、
第2の表面を有する移動可能な第2のコンポーネントであって、該第2のコンポーネントは、該第1の表面と接触するように移動するように構成されている、第2のコンポーネントと、
該第1のコンポーネントと該第2のコンポーネントとの間のスティクションを減少させるための該第1の表面および該第2の表面のうちの少なくとも1つの上のカーボン層と
を備えている、マイクロデバイス。
【0039】
(項目27)
上記第2のコンポーネントは、電圧信号に応答して移動するように構成されている、項目26に記載のマイクロデバイス。
【0040】
(項目28)
上記カーボン層は、0.3ナノメートルよりも厚い、項目26に記載のマイクロデバイス。
【0041】
(項目29)
上記カーボン層は、1.0ナノメートルよりも厚い、項目28に記載のマイクロデバイス。
【0042】
(項目30)
上記第2のコンポーネントは、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、アルミニウム、アルミニウムシリコン合金、シリコン、アモルファスシリコン、ポリシリコン、シリサイド化合物およびこれらの組み合わせからなるグループから選択される、項目26に記載のマイクロデバイス。
【0043】
(項目31)
上記第1のコンポーネントはランディングストップであり、
ポストは上記基板上にあり、
偏向可能な部材は、該ポストと接続し、
上記第2のコンポーネントは、該偏向可能な部材と接続し、該第2のコンポーネントは、該コンポーネントが該ランディングストップから分離される第1の位置と該コンポーネントが該ランディングストップと接触する第2の位置との間で移動可能であり、
上記カーボン層は、該第2のコンポーネントの表面または該ランディングストップの表面のうちの少なくとも1つの上にあり、該基板上の該コンポーネントと該ランディングストップとの間のスティクションを減少させる、
項目26に記載のマイクロデバイス。
【0044】
(項目32)
上記第2のコンポーネントは、反射表面を備えている、項目31に記載のマイクロデバイス。
【0045】
(項目33)
上記第2のコンポーネントは、上記ランディングストップに接触するように構成された偏向可能なチップを備えており、上記カーボン層は、該偏向可能なチップの表面上に形成される、項目31に記載のマイクロデバイス。
【0046】
(項目34)
上記基板上に電極をさらに備え、上記コンポーネントの少なくとも一部は導電性である、項目31に記載のマイクロデバイス。
【0047】
(項目35)
上記コンポーネントは、上記電極または上記コンポーネントの上記導電性部分のうちの少なくとも1つに印加された1つ以上の電圧信号に応答して、上記第1の位置と上記第2の位置との間を移動するように構成されている、項目34に記載のマイクロデバイス。
【0048】
(項目36)
上記コンポーネントの下部表面は、上記第2の位置において上記ランディングストップの上部表面と接触するように構成され、上記カーボン層は、該コンポーネントの該下部表面または該ランディングストップの該上部表面上に形成される、項目31に記載のマイクロデバイス。
【0049】
(摘要)
マイクロ構造を製造するための方法であって、第1の構造部分を基板上に形成することと、犠牲材料を該第1の構造部分の上に配置することと、第1の構造材料の層を該犠牲材料および該基板の上に堆積させることと、該犠牲材料の少なくとも一部を除去し、該第1の構造材料の該層に第2の構造部分を形成することと、カーボン層を該第2の構造部分の表面上または該第1の構造部分の表面上に形成し、該第2の構造部分と該第1の構造部分との間のスティクションを防ぐこととを含む。該第2の構造部分は該基板に接続され、該第2の構造部分が該第1の構造部分から分離される第1の位置と該第2の構造部分が該第1の構造部分に接触する第2の位置との間で移動可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
一実施例において、本開示される材料および方法が、マイクロミラーアレイに基づく空間光変調器(SLM)の製造によって図示される。マイクロミラーアレイは、典型的にセルのアレイを含み、これらの各々は軸のまわりでチルトされ得るマイクロミラープレートを含み、さらにマイクロミラープレートをチルトする静電気力を生成するための回路網を含む。動作のデジタルモードにおいて、マイクロミラープレートが、チルトされ得、2つの位置のうちの1つに留まる。「オン」位置において、マイクロミラープレートは、入射光をディスプレイ画像内の1つの指定された画素を形成するように方向付ける。「オフ」位置において、マイクロミラープレートは、入射光をディスプレイ画像から離れるように方向付ける。
【0051】
セルは、「オン」位置および「オフ」位置において、マイクロミラープレートを機械的に停止するための構造を含み得る。これらの構造は、本明細書において機械的ストップと呼ぶ。SLMは、選択された組み合わせのマイクロミラーをチルトすることによって動作し、ディスプレイ画像に適切な画像画素を形成するように光を投影する。ビデオアプリケーションは、典型的に高周波数のリフレッシュ速度を要求する。SLMにおいて、画像フレームのリフレッシングの各例は、全てのマイクロミラーまたは多くのマイクロミラーを新しい配向にチルトすることを含み得る。素早いミラーのチルト動作を提供することは、結果として、多くのSLMベースのディスプレイデバイスに対して非常に重大である。
【0052】
図1aは、マイクロミラープレートが「オン」位置にある場合の空間光変調器400の一部の断面図を示す。照明源401からの入射光411は、入射角θiで向けられ、角度θoで反射光412として反射され、投影瞳孔403を介して画面(図示されない)に向かう。図1bは、マイクロミラープレートがヒンジ106のもう一方のサイドの下の別の電極に向けて回転する場合の空間光変調器の同一部分の断面図を示す。同一の入射光411が、図1aよりもかなり大きい角度θiおよびθoで反射光412を形成するように反射される。偏向された光412の偏向角は、ミラープレート102の寸法、ならびにミラープレート102の下部表面と、バネのようなランディングストップ222aおよび222bとの間の間隔によって、予め決定される。偏向された光412は、光吸収器402に向かって出て行く。
【0053】
図1aおよび図1bを参照して、SLM400は、3つの主要な部分を含む。該部分とは、制御回路網を含むボトム部分と、複数のステップ電極、ランディングストップおよびヒンジサポートポストを含む中間部分と、隠されたねじれたヒンジおよび空洞を有する複数のミラープレートを含む上部層とである。
【0054】
ボトム部分は、アドレッシング回路網を有する制御基板300を、SLM400内のミラープレートの動作を選択的に制御するために含む。アドレッシング回路網は、メモリセルのアレイを含み、信号を通信するためのワードライン/ビットライン相互接続を含む。シリコンウェーハ基板上の電気的アドレッシング回路網は、標準のCMOS技術を用いて製造され得、低密度のメモリアレイに似ている。
【0055】
高いコントラストのSLM400の中間部分は、ステップ電極221aおよび221bと、ランディングストップ222aおよび222bと、ヒンジサポートポスト105と、ヒンジサポートフレーム202とを含む。マルチレベルのステップ電極221aおよび221bは、角度のクロスオーバートランジションまたは回転の間に静電トルクの静電結合効率を向上させるように設計されている。ヒンジ106のエリア近くのステップ電極221aおよび221bの表面を上昇させることによって、ミラープレート102と電極221aおよび221bとの間のギャップまたは間隔が、効率良く狭められる。静電引力は、ミラープレートと電極との間の距離の二乗に反比例するので、この効果は、ミラープレートがそのランディング位置にまでチルトされた場合に明らかになる。アナログモードにおける動作の場合には、非常に効率良い静電結合が、空間光変調器における個別のマイクロミラープレートのチルト角度のより正確でかつ安定した制御を可能にする。デジタルモードにおいては、SLMは、動作するために、アドレッシング回路網におけるかなり低い駆動電圧電位を要する。ステップ電極221aおよび221bの第1のレベルと第2のレベルとの間の高さの差は、第1のレベルの電極とミラープレートとの間のギャップの相対的な高さに依存して、0.2マイクロメートルから3マイクロメートルまで変化し得る。
【0056】
制御基板のトップ表面において、1組の静止したランディングストップ222aおよび222bが、製造を単純化するためにステップ電極221aおよび221bの第2のレベルの高さと同一の高さを有するように設計される。他の高さも選択され得る。ランディングストップ222aおよび222bは、各回転において着地するために、ミラープレートに穏やかな機械的な接地を提供する。さらに、ランディングストップ222aおよび222bは、予め決定された角度で正確にミラーを停止する。制御基板の表面上に静止したランディングストップ222aおよび222bを追加することは、動作のロボティクスを強化し、デバイスの信頼性を引き延ばす。さらに、ランディングストップ222aおよび222bは、ミラープレート102とそのランディングストップ222aおよび222bとの間の間隔を緩める。一部の実施形態において、ミラーの回転を開始するために、鋭い両極性パルス電圧Vbが、バイアス電極303に印加され、バイアス電極303は、典型的に、ミラープレートのヒンジ106およびヒンジサポートポスト105を介して各ミラープレート102に接続される。両極性バイアスVbによって確立された電圧電位が、ヒンジ106の両側の静電気力を強化する。この強化は、ランディングストップ222aおよび222bとヒンジ106のいずれかの側にあるミラープレート102との間の間隔における大きな差に起因して、ランディング位置において2つの側で等しくない。ミラープレート102のボトム層103c上のバイアス電圧Vbの増加は、どちらの方向にミラープレート102が回転するかにほとんど影響は与えないが、ミラープレート102全体の静電気力Fの鋭い増加は、電気機械的運動エネルギーを、変形されたヒンジ106および変形されたランディングストップ222aおよび222bに格納される弾性歪みエネルギーに変換することによって、動的励起を提供する。両極性パルスが共通のバイアスVbから解放された後で、変形されたランディングストップ222aまたは222bの弾性歪みエネルギーは、それがランディングストップ222aまたは222bを弾いて跳ね返す際にミラープレートの運動エネルギーに変換される。静止した状態に向かうこのミラープレートの摂動は、かなり小さなアドレッシング電圧電位Vaが、ミラープレート102を、一方の位置から他方の位置まで回転させることを可能にする。
【0057】
制御基板300の表面上のヒンジサポートフレーム202は、複数の組のヒンジサポートポスト105の機械的安定性を強化し、局地的に静電ポテンシャルを保持するように設計される。単純化の目的で、ヒンジサポートフレーム202の高さは、ステップ電極221aおよび221bの第1のレベルと同一の高さであるように設計される。ミラープレート102の固定されたサイズを用いて、1組のヒンジサポートポスト105の高さが、各マイクロミラーの最大の偏向角θを部分的に決定する。
【0058】
SLM400の上部は、マイクロミラーのアレイを含み、それぞれが、上部表面上に平坦な光学的に反射する層103aを有し、ミラープレート102の下部の空洞の下に1組のヒンジ106を有して含む。ミラープレート102の1組のヒンジ106は、ミラープレート102の一部であるように製造され、反射性表面の下の最小距離が保たれることにより、予め決定された角度回転に対するギャップのみが可能である。1組のヒンジ106によって規定された回転軸から上部の反射性表面103aまでの距離を最小にすることによって、空間光変調器は、回転の間に各ミラープレートの水平方向の変位を効率的に大いに低減させる。一部のインプリメンテーションにおいて、SLMのアレイにおける隣接するミラープレート間のギャップは、0.2マイクロメートル未満まで減少され、高い活性反射エリアのフィルレシオ(fill−ratio)を達成する。
【0059】
SLMに対して使用される構造材料は、適切な硬さ、弾性および応力を有して、導電性かつ安定である。理想的に1つの材料は、ミラープレート102に対する剛性およびヒンジ106に対する可塑性の両方を提供し得、フラクチャリングなしに撓ませるために十分な強度を有する。本明細書において、このような構造材料は、電気機械的材料と呼ばれる。さらに、マイクロミラーアレイの構築において使用される全ての材料は、500℃までの温度(典型的な温度範囲)で、制御基板の予め製造された回路網を損傷することなく、処理され得る。
【0060】
図1aおよび図1bに示されるインプリメンテーションにおいて、ミラープレート102は3つの層を含む。反射性トップ層103aは、反射性材料(例えば、アルミニウム)からなり、典型的には約600オングストロームの厚さである。中間層103bは、シリコンベースの材料(例えば、アモルファスシリコン)からなり得、典型的には約2000〜5000オングストロームの間の厚さであり得る。ボトム層103cは、チタンからなり、典型的には約600オングストロームの厚さである。図1aおよび図1bに見られ得るように、ヒンジ106はボトム層103cの一部としてインプリメントされ得る。ミラープレート102は、以下に記載されるように製造され得る。
【0061】
代替的な実施形態に従って、ミラープレート102、ヒンジ106およびヒンジサポートポスト105の材料は、アルミニウム、シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコンおよびアルミニウムシリコン合金を含み得る。ミラープレート102の1つ以上の層の堆積が、物理蒸着法(PVD)によって(例えば、500℃未満の温度で制御されたチャンバ内でアルミニウムおよびシリコンのどちらかまたは両方を含む1つの目標にマグネトロンスパッタリングを行うことによって)達成され得る。構造層はまた、PECVDによって形成され得る。
【0062】
別の代替的な実施形態に従って、ミラープレート102、ヒンジ106およびヒンジサポートポスト105の材料は、シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデンか、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステンまたはモリブデンあるいはこれらの組み合わせのシリサイド化合物または合金であり得る。耐熱性金属およびそれらのシリサイド化合物は、CMOS半導体プロセッシングと互換性があり、相対的に良好な機械特性を有する。これらの材料は、PVDによって、CVDによって、またはPECVDによって堆積され得る。光学的な反射性は、アプリケーションに依存して金属製の薄膜(例えば、アルミニウム、金またはそれらの合金)の層をミラープレート102の表面上にさらに堆積させることによって強化され得る。
【0063】
マイクロミラーによって形成された画像の高いコントラスト比を達成するために、マイクロミラーアレイからの任意の散乱光は、低減されるかまたは除かれるべきである。もっとも一般的な干渉は、個別のミラープレートの前縁および後縁からの照明の散乱によって、生成された回折パターンから由来する。回折の問題に対する解決策は、回折パターンの強度を減少させることと、各画素の不活性エリアからの散乱光を投影瞳孔から離れるように方向付けることである。1つの方法は、入射光411を正方形形状のミラープレート102の辺縁に対して45°に向けることを含み、これは時折対角ヒンジまたは対角照明構成と呼ばれる。図2は、対角照明システムを用いた正方形形状を有する各ミラープレート102を有するミラーアレイの一部のトップを示す斜視図である。アレイにおけるミラープレートのヒンジ106は、ミラープレートの2つの対向するコーナーに沿う対角方向で、かつ入射光411に垂直に製造される。対角のヒンジ軸を有する正方形形状のミラープレートの利点は、前縁および後縁からの散乱光を、投影瞳孔403から45°で離れるように偏向する該ミラープレートの能力である。不利点は、該ミラープレートが、SLMの辺縁までチルトされる投影プリズムアセンブリシステムを必要とすることである。対角照明は、従来の長方形の全内面反射プリズムシステムが、ミラープレート102によって反射された光線を分離するために使用される。ねじれた集束スポットは、全活性画素アレイを覆うために長方形のマイクロミラーアレイ表面のサイズよりも長い照明を必要とする。より長い長方形の全内面反射プリズムは、投影ディスプレイのコスト、サイズおよび重量を増加させる。
【0064】
図3は、対角照明構成を有する投影システムに対する制御回路網基板の一部のトップの斜視図を示す。1対のステップ電極221aおよび221bは、ミラープレート102に対する静電結合の静電気の効率を向上させるために適宜対角に配列される。2つのランディングステップ211aおよび211bは、ミラープレート102の機械的ランディングに対するランディングストップとして作用し、チルトされる角度θの精度を保証し、接触スティクションを克服する。高いバネ定数の材料からなるので、これらのランディングストップ222aおよび222bは、ランディングバネとして作用し、ミラープレートがスナップダウンされる場合に、接触エリアを減少させる。
【0065】
2つのレベルのステップ電極221aおよび221bの辺縁におけるこれらのランディングストップ222の第2の機能は、ストップをミラープレート102から分離するためのそれらのバネ効果である。鋭い両極性パルス電圧電位Vbが、ミラーアレイの共通のバイアス電極303を介してミラープレート102上に印加される場合には、ミラープレート102全体の静電気力Fの鋭い増加は、電気機械的運動エネルギーを、変形されたヒンジ106に格納される弾性歪みエネルギーに変換することによって、動的励起を提供する。弾性歪みエネルギーは、それがランディングストップ222aまたは222bを弾いて跳ね返す際に、ミラープレート102の運動エネルギーに変換し直される。
【0066】
周期的なアレイにおけるミラープレートのコーナーの直線の辺縁は、固定された角度で入射光411を散乱することによって、投影された画像のコントラストを減少させる傾向にある回折パターンを生成し得る。一部の実施形態においては、アレイのミラープレートの曲線の前縁および後縁が、ミラープレートの辺縁上の入射光411の散乱角度の変化に起因して、回折を減少させ得る。他の実施形態において、投影瞳孔403に入る回折強度の減少は、直交照明光学システムを維持する間に、長方形形状のミラープレートの直線の辺縁または固定された角度のコーナー形状を、対向する凹みおよび伸長を有する少なくとも1つのまたは一連の曲線の前縁および後縁と置き換えることにより達成される。入射光411に垂直な曲線の前縁および後縁は、投影システムに向けられる回折された光を減少させ得る。
【0067】
直交する照明は、より高い光学システムの結合効率を有し、費用のかからない、より小さいサイズおよび軽量の全内面反射プリズムを必要とする。しかしながら、ミラープレートの前縁および後縁の両方からの散乱光は投影瞳孔403にまっすぐ散乱されるので、該散乱光は回折パターンを生成し、SLMのコントラスト比を減少させる。図4は、直交する照明構成を有する投影システムに対する長方形ミラーを有するミラーアレイの一部のトップの斜視図を示す。ヒンジ106は、ミラープレートの前縁および後縁に平行であり、入射光411に垂直であり、SLMにおけるミラー画素は直交するように照明される。図4において、アレイにおける各ミラープレートは、前縁の伸長部および後縁の凹み部において一連の曲線を有する。その原理は、曲線の辺縁は、散乱光の回折強度を弱め、それは種々の角度で、光学的投影瞳孔403から離れるように散乱光の大部分をさらに回折することである。各ミラープレートの前縁および後縁の曲率半径rは選択された曲線の数に依存して変更し得る。曲率半径rが小さくなると、回折の減少効果は、さらに卓越する。回折による減少を最大にするために、一部の実施形態に従って、一連の小さい曲率半径rは、アレイにおける各ミラープレートの前縁および後縁を形成するように設計される。曲線の数は、ミラー画素のサイズに依存して変更し得、10マイクロメートルのサイズの正方形ミラー画素で、各前縁および後縁上の2〜4の曲線は、低い回折を提供し、現在の製造能力の範囲内である。
【0068】
図5は、直交する照明構成を有する投影システムに対する制御基板300の一部のトップを示す斜視図である。従来の平坦な電極とは異なり、ヒンジ軸近くの制御基板300の表面の上まで上昇された2つのレベルのステップ電極221aおよび221bは、平坦なミラープレート102とステップ電極221aおよび221bの下部ステップとの間の効果的なギャップまたは間隔を狭め、これはミラープレート102の静電結合の静電効率を大いに強化する。ステップ電極221aおよび221bに対するレベルの数は、例えば1〜10のように変更し得る。しかしながら、ステップ電極221aおよび221bに対するレベルの数が大きくなれば、デバイスを製造することがより複雑かつ高価になる。より実践的な数は2から3までであり得る。図5はまた、制御基板300の表面に垂直に配向された機械的なランディングストップ222aおよび222bを示す。この低電圧駆動で高効率のマイクロミラーアレイ設計は、マイクロミラーのより大きな全偏向角(|θ|>15°)の動作がSLMの明るさおよびコントラスト比を強化することを可能にする。
【0069】
この反射性空間光変調器の別の利点は、該変調器が、ヒンジ106をミラープレート102の下部の空洞に配置することによって、高い活性反射エリアのフィルレシオを生成することであり、これはほぼ完全に、角度のクロスオーバートランジションの間のミラープレート102の水平方向の変位を除去する。図6は、直交する照明構成を有する投影システムに対する前縁および後縁上の4つの曲線を用いて回折強度を減少させるように設計されるミラーアレイの一部の拡大された背面図を示す。さらに、複数の組のヒンジ106は、2つの空洞の下にボトム層103cの一部として配置され、ヒンジサポートフレーム202のトップ上の1組のヒンジサポートポスト105によってサポートされる。1組のヒンジサポートポスト105は、断面において、ヒンジ106の幅よりかなり大きい幅Wを有する。1組のヒンジ106とミラープレートの反射性表面との間の軸間の距離が最小に保たれるので、高い活性反射エリアのフィルレシオが、水平方向の変位に心配することなしに、密接してパックされた個別のミラー画素によって達成される。一実施形態において、ミラー画素サイズ(a×b)は、約10マイクロメートル×10マイクロメートルである一方で、曲率半径rは約2.5マイクロメートルである。
【0070】
図7は、ミラープレート102の下部における空洞の下のヒンジ106およびヒンジサポートポスト105を示す、ミラープレートの一部の拡大された背面図を示す。最適な性能を達成するために、ヒンジ106が形成される空洞内で最小のギャップGを維持することが重要である。ヒンジ106の寸法は、ミラープレート102のサイズに依存して変更する。1つのインプリメンテーションにおいて、各ヒンジ106の寸法は、0.1×0.2×3.5マイクロメートルである一方で、ヒンジサポートポスト105は約1.0マイクロメートルの幅の各側Wを有する正方形の断面を有する。ヒンジサポートポスト105のトップ表面はまた、ミラープレート102の下部としての空洞の下にあるので、空洞内のギャップGは、ミラーが予め決定された角度θにある場合に、より大きいヒンジサポートポスト105に触れることなしに、ミラープレート102の角度回転を適合させるために十分に高い必要がある。ヒンジサポートポスト105に触れることなしに、ミラープレートに対して予め決定された角度θまで回転させるために、ヒンジ106が配置される空洞のギャップは、G=0.5×W×SIN(θ)よりも大きくなければならず、ここでWは、ヒンジサポートポスト105の断面の幅である。
【0071】
図8は、一方向に15°回転させた場合のミラープレート102のヒンジ106の周囲の最小のエアーギャップ間隔Gを図示する。計算は、空洞内のヒンジ106のギャップ空間Gは、G=0.13Wよりも大きくなければならないことを示す。正方形形状のヒンジサポートポスト105の各側Wの幅が1.0マイクロメートルである場合には、空洞内のギャップ間隔Gは、0.13マイクロメートルよりも大きくあるべきである。トランジション回転の間の水平方向の変位なしに、マイクロミラーアレイにおける個別のミラープレート間の水平方向のギャップは、0.2マイクロメートル未満まで減少し得、このことは本明細書に記載されるSLMの96%という活性反射エリアのフィルレシオを生じる。
【0072】
1つのインプリメンテーションにおいて、高いコントラストの空間光変調器の製造は、標準のCMOS技術を用いる4つの連続するプロセスとしてインプリメントされる。第1のプロセスは、基板表面上にサポートフレームと第1のレベルの電極のアレイとを有する制御シリコンウェーハ基板を形成する。第1のレベルの電極は、ウェーハ内のアドレッシング回路網におけるメモリセルに接続される。第2のプロセスは、複数の第2のレベルの電極、ランディングストップおよびヒンジサポートポストを制御基板の表面上に形成する。第3のプロセスは、隠されたヒンジを有する複数のミラープレートを各組のサポートポスト上に形成する。第4のプロセスにおいて、製造されたウェーハは、残りの犠牲材料を除去する前に、個別の空間光変調器デバイスダイに分離される。
【0073】
図9は、高いコントラストの空間光変調器を構成するためのプロセスを図示するフロー図である。製造プロセスは、複数のメモリセルおよび信号を通信するためのワードライン/ビットライン相互接続構造を有するCMOS回路網ウェーハを、一般的な半導体技術を用いて制御基板として製造することによって開始する(ステップ810)。
【0074】
複数の第1のレベルの電極およびサポートフレームは、回路網の不動態層を介して複数のビアをパターニングし、制御基板にアドレッシングノードを開くことによって形成される(ステップ820)。引き続く電気機械的な層に対する接着を強化するために、ビアおよび接触開口部は、250℃の温度で全圧が2torrのO、CFおよびHOの40:1:5の比の混合ガスを用いて2000ワットのRFまたはマイクロ波プラズマに5分未満の間さらされる。電気機械的な層は、ビアを満たし、制御基板の表面上に電極層を形成する、選択された材料に依存して、物理蒸着(PVD)またはプラズマ化学蒸着(PECVD)によって堆積される(ステップ821)。電気機械的な層の堆積および引き続くビアの形成は、図10および図11に図示され、図10および図11に関連して以下で議論される。
【0075】
次いで、電気機械的な層はパターニングされ、非等方性エッチングされ、複数の電極およびサポートフレームを形成する(ステップ822)。部分的に製造されたウェーハは、進行する前に、電気的機能性を確実にするためにテストされる(ステップ823)。電極およびサポートフレームの形成が、図12および図13に図示され、関連する議論において以下に詳細に記載される。
【0076】
一部の実施形態に従って、ステップ821およびステップ822において堆積され、パターニングされた電気機械的な層は、金属(例えば、純アルミニウム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデンフィルム、アルミニウムポリシリコン化合物、アルミニウム銅合金またはアルミニウムシリコン合金)を含む。これらの金属の各々はわずかに異なるエッチング特性を有するが、これらの金属は全てアルミニウムのプラズマエッチングに類似する化学においてエッチングされ得る。2つのステップのプロセスが実行され、アルミニウム金属被覆された層を非等方性エッチングする。第1に、ウェーハは、それぞれ100sccm、20sccmおよび20sccmのフロー速度で、BCl、ClおよびArの混合物を用いて流れる間に誘導結合プラズマにおいてエッチングされ得る。動作圧力は、10〜50mTorrの範囲であり、誘導結合プラズマバイアス電力は、300ワットであり、電源電力は1000ワットである。エッチングプロセスの間に、ウェーハは、1Torrの圧力で20sccmの背面のヘリウムガスのフローを用いて冷却される。アルミニウムパターンはエッチングチャンバから周辺大気に単純に除去され得ないので、第2の酸素プラズマ処理ステップは、アルミニウム表面を洗浄し、不動態化するように行われなければならない。不動態化プロセスの間に、部分的に製造されたウェーハの表面は、2torrの圧力の3000sccmのHO蒸気を用いて2000ワットのRFまたはマイクロ波プラズマに約250℃温度で3分未満の間さらされる。
【0077】
別の実施形態に従って、電気機械的な層はシリコン金属化され、これはポリシリコン、ポリサイドまたはシリサイド化合物の形態を取り得る。これらの電気機械的な層の各々は、わずかに異なるエッチング特性を有するが、これら全てはポリシリコンのプラズマエッチングに類似する化学においてエッチングされ得る。ポリシリコンの非等方性エッチングは、ほとんどの塩素またはフッ素ベースの供給原料(例えば、Cl、BCl、CF、NF、SF、HBrおよびそれらとAr、N、OおよびHの混合物)を用いて達成され得る。ポリシリコンまたはシリサイド化合物層(WSiまたはTiSiまたはTaSi)は、Cl、BCl、HBrおよびHeOガスが、それぞれフロー速度100sccm、50sccm、20sccmおよび10sccmで流れている間に誘導結合プラズマにおいて非等方性エッチングされる。別の実施形態において、ポリサイド層は、Cl、SF、HBrおよびHeOガスがそれぞれフロー速度50sccm、40sccm、40sccmおよび10sccmで流れる反応性イオンエッチングチャンバにおいて、等方性エッチングされる。両方の場合において、動作圧力は、10〜30mTorrの範囲であり、誘導結合プラズマバイアス電力は100ワットで、電源電力は1200ワットである。エッチングプロセスの間に、ウェーハは、背面の1Torrの圧力で20sccmのヘリウムガスのフローを用いて冷却される。典型的なエッチング速度は1分間に9000オングストロームに達する。
【0078】
複数の第2のレベルの電極は、制御基板の表面上に形成され、ミラープレートと基板上の電極との間の距離を減少させ得、このことは静電効率を向上させる。ランディングストップも基板上に製造され、ミラープレートと基板との間のスティクションを減少させる。
【0079】
犠牲材料の層は、部分的に製造されたウェーハの表面上に、予め決定された厚さで堆積される(ステップ830)。本明細書に従って、犠牲材料は、アモルファスカーボン、ポリウレタン、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル(これはSILKと呼ばれ得る)、ハイドロジェンシルセスキオキサン(HSQ)を含み得る。アモルファスカーボンは、CVDまたはPECVDによって堆積され得る。ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテルおよびハイドロジェンシルセスキオキサンは、表面上にスピンコートされ得る。犠牲層は、引き続く構築の前に、まず硬化され、堆積されたアモルファスカーボンは、CVDまたはPECVDによる堆積の後で、熱アニーリングによって硬化され得る。SILKまたはHSQは、UV照射によって、オプションとして熱およびプラズマ処理によって硬化され得る。
【0080】
犠牲層は、次いで複数の第2のレベルの電極、ランディングストップおよびサポートポストに対するビアおよび接触開口部を形成するようにパターニングされる(ステップ831)。第2の電気機械的な層は、次いで、選択された材料に依存して、PVDまたはPECVDによって堆積し、複数の第2のレベルの電極、ランディングストップおよびサポートポストを形成する(ステップ832)。第2の電気機械的な層は、CMPによって、予め決定された厚さに平坦化される(ステップ833)。第2のレベルの電極およびランディングストップの高さは、1マイクロメートル未満であり得る。ステップ830〜ステップ833は、ステップ電極221aおよび221bに多くのステップを構築するために繰り返され得る。繰り返されたステップ830〜833の数は、ステップ電極221aおよび221bにおけるステップの数によって決定される。ステップ830〜833は、平坦な電極が制御基板上に製造された場合に、バイパスされ得る(すなわちステップ823から直接ステップ840へ)。
【0081】
一旦電極およびランディングストップが、CMOS制御回路網基板上に形成されると、各組のサポートポストの隠されたヒンジを有する複数のミラープレートが製造される。犠牲材料は、部分的に製造されたウェーハの表面上に、予め決定された厚さで堆積され、犠牲層を形成する(ステップ840)。次いで、犠牲層は、複数のヒンジサポートポストに対するビアを形成するようにパターニングされる(ステップ841)。犠牲層は、ビアを満たすように選択された材料に依存するPVDまたはPEVCDによる電気機械的な材料の堆積の前に硬化され、ねじれたヒンジに対するミラープレートの薄層を形成する(ステップ842)。電気機械的な層は、CMPによって、予め決定された厚さまで平坦化される(ステップ843)。電気機械的な層は、複数の開口部を用いてパターニングされ、複数のねじれたヒンジを形成する(ステップ850)。ミラープレートの下部に複数の空洞を形成し、空洞の下に配置されるねじれたヒンジを形成するために、犠牲材料は、再びねじれたヒンジの周囲の開口部ギャップを満たすように、かつヒンジのトップに、予め決定された厚さの薄層を形成するように堆積される(ステップ851)。厚さはG=0.5×W×SIN(θ)よりもわずかに大きくなり得、ここでWは、ヒンジサポートポスト105の断面の幅である。犠牲層は、複数のスペーサを各ねじれたヒンジのトップに形成するようにパターニングされる(ステップ852)。さらなる電気機械的な材料は、部分的に製造されたウェーハを覆うように堆積される(ステップ853)。
【0082】
ステップ840〜ステップ851における犠牲材料はまた、アモルファスカーボンを含む上記の材料から選択され得る。電気機械的な層は、複数の開口部がパターニングされる前に、CMPによって、予め決定された厚さに平坦化される(ステップ854)。ミラー表面の反射性は、反射性層のPVD堆積によって強化され得る(ステップ860)。反射性層に対する材料は、アルミニウム、金およびこれらの組み合わせ、または他の適切な材料であり得る。反射性層の厚さは400オングストローム以下であり得る。
【0083】
アモルファスカーボンベースの犠牲材料は開口部を介して除去され、複数のエアーギャップを形成する(ステップ870、オプション1)。本明細書で開示される犠牲材料は、ドライプロセス(例えば、等方性プラズマエッチング、マイクロ波プラズマまたは活性ガス蒸気)を用いて除去され得る。犠牲材料は、以下の材料の他の層から除去され得る。除去はまた、一般的な半導体コンポーネントに関して非常に選択的であり得る。例えば、アモルファスカーボンは、シリコンに対しては8:1、酸化ケイ素に関しては15:1の選択比で除去され得る。従って、本開示される犠牲材料は、意図されるマイクロ構造に対して最小の磨耗で除去され得る。
【0084】
アモルファスカーボンベースの犠牲材料の除去は、カーボン材料の薄層が、ミラープレートとランディングストップとの間の接触表面上に保持され得るように制御され得る。例えば、ウェーハは、1つまたは複数の製造されたチルト可能なマイクロミラープレートを含み得る。各ミラープレートは、ヒンジサポートポストによってサポートされ、ミラープレートの下の1つ以上のランディングストップに関連する。アモルファスカーボンの除去は、ウェーハを、250℃でO、CFおよびHOガスの混合内で2000ワットの無線波またはマイクロ波プラズマにさらすことによって達成され得る。ガス圧は、全圧約2torrに制御される。混合ガスにおけるO、CFおよびHOガスに対する比は、40:1:5である。
【0085】
除去ステップにおけるプロセッシングパラメータは最適化されることにより、接触表面上のカーボン層の厚さは、マイクロミラーの動作の間の接触表面間のスティクションを防ぐために十分な厚さである。例えば、除去ステップは、約5分よりも短くなるように制御され、カーボン層(図26の699aおよび699b)が、ミラープレートとそれらの関連するランディングストップとの間の1つ以上の接触表面に残されることを確実にする。カーボン犠牲層の異なる厚さ、および除去の間にカーボンに達するようにプラズマに対してサイズを合わせられたギャップは、カーボンをプラズマにさらすために必要な時間の量に影響し得る。接触表面上のカーボン層(699aおよび699b)の厚さが0.3ナノメートルよりも厚くなるように制御され得る。接触表面上のカーボン層の厚さはまた、1.0ナノメートルよりも厚くなるように制御され得る。カーボン層は1つ以上の炭素原子の層を含み得る。
【0086】
犠牲材料としてのカーボンの利点は、カーボンがドライプロセスにおいて等方性エッチングによって除去され得ることである。ドライ除去プロセスは、従来の犠牲材料の洗浄におけるウェットプロセスよりも簡単である。等方性エッチングは、上部構造層(例えば、ミラープレート)の下に配置された、開示された犠牲材料の便利な除去を可能にし、これはドライ非等方性エッチングプロセスによっては容易には達成され得ない。アモルファスカーボンに基づく犠牲材料の別の利点は、それが従来のCMOSプロセスによって堆積しかつ除去され得ることである。さらにアモルファスカーボンを犠牲材料として用いることの別の利点は、それが高いカーボンの純度を維持し得、カーボンが通常はほとんどのマイクロデバイスを汚染しないことである。
【0087】
一部の実施形態において、犠牲材料は、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル、HSQまたはアモルファスカーボン以外の犠牲材料である。ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテルおよびHSQは、表面上でスピンコートされ得る。犠牲層は、引き続く構築の前にまず硬化され、堆積したアモルファスカーボンは、CVDまたはPECVDプロセスによる堆積の後に、熱アニーリングによって硬化し得る。SILKまたはHSQは、UV照射によって、およびオプションとして熱およびプラズマ処理によって硬化され得る。ミラープレートが形成された後、これらの犠牲材料は、ミラープレートの下でのドライプロセス(例えば、プラズマエッチング、マイクロ波プラズマまたは活性ガス蒸気)において、引き続き完全に除去され得る(ステップ870、オプション2)。
【0088】
これらの実施形態(オプション2)におけるステップ870は、非カーボンベースの犠牲材料の除去後の、隣接するミラー間のギャップを介するカーボン材料の追加の等方性堆積を含む。堆積されたカーボンは、非晶状態、ダイアモンド、黒鉛または多結晶状態に存在し得る。カーボンの堆積は、CVDによって達成され得る。カーボン材料の層は、ミラープレートの下部表面、ランディングストップの上部表面ならびにマイクロミラーの他の表面上の外側のほとんどの層として形成され得る。堆積されたカーボン材料の量が制御されることにより、ミラープレートとランディングストップとの間の接触エリアにおけるカーボン層が、ミラープレートとそれらの関連するランディングストップとの間のスティクションを防ぎ得る。カーボン層は、1つ以上の炭素原子の層を含み得る。例えば、接触表面におけるカーボン層は、0.3ナノメートルより厚く、0.5ナノメートルより厚くまたは1.0ナノメートルより厚くなるように制御され得る。たいていのアプリケーションにおいて、カーボン層は、ボトム層103c(これは例えば、約60ナノメートルの厚さであり得る)よりも厚い必要がない。
【0089】
製造されたウェーハを個別のSLMデバイスダイに分離するために、犠牲材料の厚い層は、保護のために製造されたウェーハ表面を覆うように堆積される(ステップ880)。次いで、スクライビングおよびブレーキングによって個別のダイに分離する(ステップ882)前に、製造されたウェーハは、部分的に切断される(ステップ881)。空間光変調器デバイスダイは、残りの犠牲材料のRFまたはマイクロ波プラズマストリッピング(ステップ884)の前に、ワイヤ結合および相互接続を有するチップベースに取り付けられる(ステップ883)。SLMデバイスダイは、電気光学機能テスト(ステップ886)の前に、ミラープレートと電極およびランディングストップの表面との間のインタフェースに滑剤のPECVDコーティングにSLMデバイスダイをさらすことによって、滑らかにされる(ステップ885)。最後に、SLMデバイスは、ガラスウィンドウリップを用いてハーメチックシールされ(ステップ887)、信頼性およびロバストな質の制御のためにバーンインプロセスに送られる(ステップ888)。
【0090】
高いコントラストの空間光変調器を製造するための各プロセスのより詳細な記載は、一連の断面図に図示される。図10〜図13は、複数のサポートフレームおよびアドレッシング回路網内のメモリセルに接続された第1のレベルの電極を製造するための一方法を図示するSLMの一部の断面の側面図である。図14〜図17は、複数のサポートポスト、第2のレベルの電極およびランディングストップを制御基板の表面上に製造するための一方法を図示するSLMの一部の断面の側面図である。図18〜図20は、複数のねじれたヒンジおよびサポートをサポートフレーム上に製造するための一方法を図示するSLMの一部の断面の側面図である。図21〜図23は、複数の隠されたヒンジを有するミラープレートを製造するための一方法を図示するSLMの一部の断面の側面図である。図23〜図26は、反射性ミラーを形成し、マイクロミラーアレイの個別のミラープレートを解放するための一方法を図示するSLMの一部の断面の側面図である。
【0091】
図10は、標準のCMOS製造技術を用いた後の制御シリコンウェーハ基板600を図示する断面図である。一実施形態において、制御基板の制御回路網はメモリセルのアレイを含み、通信信号に対するワードライン/ビットライン相互接続を含む。アドレッシング機能を行う電気回路網を作成するための多くの異なる方法がある。周知のDRAM、SRAMおよびラッチデバイスは、全てアドレッシング機能を行い得る。ミラープレート102エリアは、半導体スケールにおいて相対的に大きい(例えば、ミラープレート102は、100平方マイクロメートルよりも大きいエリアを有し得る)ので、複雑な回路網は、マイクロミラー102の下で製造され得る。可能性のある回路網は、時間逐次式画素情報を格納するためのストレージバッファ、パルス幅変調変換を行うための回路網を含むがこれらに限定はされない。
【0092】
典型的なCMOS製造プロセスにおいて、制御シリコンウェーハ基板は、不動態層601(例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコン)を用いて覆われる。不動態化された制御基板600は、非等方性にパターニングされ、エッチングされ、図11に示されるアドレッシング回路網におけるワードライン/ビットライン相互接続に接続されるビア621を形成する。別の実施形態に従って、誘電材料(例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコン)の非等方性エッチングは、CおよびCHFベースの供給原料と、それらのHeおよびOとの混合物を用いて達成される。例示された高い選択性誘電エッチングプロセスは、100mTorrの全圧で10:10:5:2という混合の比率におけるC、CHF、HeおよびOガスのフローを、誘導電源電力の1200ワットおよびバイアス電力600ワットで含む。ウェーハは、次いで、2torrの圧力で20sccmの背面のヘリウムガスフローを用いて冷却される。典型的な酸化ケイ素のエッチング速度は、1分間に8000オングストロームに達し得る。
【0093】
次に、図12は、電気機械的な層602が、選択された電気機械的な材料に依存してPVDまたはPECVDによって、堆積されることを示す。この電気機械的な層602は、図13に示されるように、ヒンジサポートフレーム622および各マイクロミラープレート102に対応するステップ電極623の第1のステップが配置される領域を既定するようにパターニングされる。電気機械的な層602のパターニングは、以下のステップを用いて行われ得る。まず、犠牲材料の層は、スピンコートされ、基板表面を覆う。次いで、犠牲層は、標準のフォトリソグラフィーにさらされ、予め決定されたパターンを形成するように発展される。電気機械的な層は、非等方性にエッチングされ、複数のビアおよび開口部を形成する。一旦ビアおよび開口部が形成されると、部分的に製造されたウェーハは、表面および開口部の内部から残留物を除去することによって、洗浄される。このことはパターニングされたウェーハを、2000ワットのRFまたはマイクロ波プラズマに2torrの全圧で40:1:5という比率のO、CFおよびHOガスの混合物と共に約250℃の温度で5分未満の間さらすことによって達成され得る。最後に、電気機械的な層の表面は、2000ワットのRFまたはマイクロ波プラズマに2torrの圧力で3000sccmのHO蒸気に約250℃の温度で3分未満の間さらすことによって不動態化される。
【0094】
複数の第2のステップのステップ電極221aおよび221b、ランディングストップ222aおよび222b、ならびにヒンジサポートポスト105は、部分的に製造されたウェーハ上に形成され、次のステップに進む。1マイクロメートルの厚さの犠牲材料は、基板表面上に堆積されるかまたはスピンコートされ、図14に示される犠牲層604を形成する。アモルファスカーボンによって構築された犠牲層604は、CVDまたはPECVDの後に熱アニーリングすることによって硬化され得る。HSQまたはSILKに基づく犠牲層604は、UV照射によって、オプションとして熱およびプラズマ処理によって硬化され得る。
【0095】
次いで、犠牲層604は、図15に示されるように、第2のレベルの電極632、ランディングスポット633およびサポートポスト631のための複数のビアおよび接触開口部を形成するようにパターニングされる(サポートポスト631のための開口部の位置はファントムで示される)。続く電気機械的な層に対する接着を強化するために、ビアおよび接触開口部は、全圧2torrで40:1:5という比率のO、CFおよびHOガスの混合物を用いて2000ワットのRFまたはマイクロ波プラズマに、約250℃の温度で5分未満の間さらされる。電気機械的な材料603は、次いでビアおよび接触開口部を満たすように堆積される。満たすことは、選択された材料に依存して、PECVDまたはPVDのいずれかによってなされる。アルミニウム、チタン、タングステン、モリブデンおよびそれらの合金からなるグループから選択された材料に対して、PVDは、半導体業界における一般的な堆積方法である。シリコン、ポリシリコン、シリサイド化合物、ポリサイド、タングステン、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択された材料に対しては、PECVDが堆積の方法として選択される。部分的に製造されたウェーハは、CMPによって、図16に示される1マイクロメートルよりわずかに小さい予め決定された厚さまでさらに平坦化される。
【0096】
CMP平坦化の後で、図17は、予め決定された厚さまで、犠牲材料の別の層が堆積されるか(アモルファスカーボンの場合)またはスピンコートされ(HSQまたはSILKの場合)、ねじれたヒンジの下のギャップを形成することを示している。犠牲層604は、図18に示されるように、ヒンジサポートポストのためのビア641または接触開口部(ファントムで示される)を形成するようにパターニングされる。図19において、電気機械的な材料はビア641を満たすように堆積され、表面上にサポートポスト642(ファントムで示される)を形成し、ねじれたヒンジ層605を形成する。このヒンジ層605は、次いでCMPによって、予め決定された厚さまで平坦化される。ここで形成されるヒンジ層605の厚さは、ねじれたヒンジバーの厚さおよび後のミラープレートの機械的な性能を規定する。
【0097】
ヒンジ層605は約400〜1200オングストロームの範囲の厚さを有し得る。CMP平坦化は薄いヒンジ層605上に有意な機械的な歪みを及ぼし得る。フォトレジストに基づいた従来の犠牲材料の欠点は、それがサポートヒンジ層605に機械的な強度を提供可能ではあり得ないことである。反対に、本明細書で開示される犠牲材料(アモルファスカーボン、HSQまたはSILK)は、硬化されたフォトレジストと比較して硬化した後に、より高い機械的な強度を有する。本開示された犠牲材料は、ヒンジ層605の平坦化の間にヒンジ層605をより良くサポートし得、これはヒンジ層605が、物理的に完全であることを維持し、製造欠損率を減少させる。
【0098】
部分的に製造されたウェーハのヒンジ層605は、図20に示されるように、開口部643を用いてパターニングされ、非等方性にエッチングされ、複数のヒンジ106を電気機械的な層605に形成する。さらなる犠牲材料は、図21に示されるように、各ヒンジを囲む開口部643を満たすように堆積され、予め決定された厚さの薄い犠牲層620を表面上に形成するように堆積される。犠牲層620の厚さは、各ヒンジ106のトップ上のスペーサの高さを規定する。犠牲層620は、次いで、図22に示されるように各ヒンジ106のトップ上に複数のスペーサ622を形成するようにパターニングされる。サポートポスト642のトップ表面はまた、ミラープレート102の下部として空洞の下にあるので、空洞内のギャップGは、ミラープレート102が予め決定された角度θにある場合に、より大きいヒンジサポートポスト105と接触することなしに、ミラープレート102の角度回転を適合させるために十分に高い必要がある。
【0099】
ミラープレートを形成するために、ミラープレート102の下部における各空洞の下のヒンジ106を用いて、図23に示されるように、さらなる電気機械的な材料623が、複数の犠牲スペーサを覆うように堆積される。一部の場合において、CMP平坦化ステップは、電気機械的な層605の平坦な反射性表面が個別のミラーを形成するためのエッチングの前に達成されることを確実にするために追加される。電気機械的な層605、623の全厚は、最終的には、結果として生成されるミラープレート102の近似の厚さである。部分的に製造されたウェーハの表面は、CMPによって、ミラープレート102の予め決定された厚さまで平坦化され得る。ミラープレート102の厚さは、0.3マイクロメートルから0.5マイクロメートルまでであり得る。電気機械的な材料がアルミニウムまたはその金属製合金である場合には、ミラーの反射性は、ほとんどのディスプレイアプリケーションに対して十分に高い。他の電気機械的な材料または他のアプリケーションに対して、ミラー表面の反射性は、図24に示されるように、アルミニウム、金、それらの合金およびそれらの組み合わせからなるグループから選択された、400オングストローム以下の厚さの反射性層606の堆積によって強化され得る。電気機械的な層の反射性表面606は、図25に示されるように、次いでパターニングされ、非等方性にエッチングされ、複数の個別のミラープレートの境界を規定する凹み部628を形成する。
【0100】
図26は、マイクロミラーアレイの各個別のミラープレートの間の複数のギャップを介して犠牲材料604、620が除去され、残余物が洗浄された後のデバイスを示す。隣接するミラープレートは、ギャップ629によって分離される。犠牲材料604がアモルファスカーボンである場合には、アモルファスカーボンベースの犠牲材料604は、部分的に除去され、カーボン層699aおよび699bがそれぞれ電気機械的な層605の下部表面上およびランディングストップ603の上部表面上に形成される(ステップ電極およびヒンジサポートポストの表面上に形成されるカーボン層、または見やすくするために図26には示されない)。先に議論されたように、カーボン層699aおよび699bの厚さは、ミラープレート102とランディングストップ603(または222aおよび222b)との間のスティクションを防ぐ(ステップ870)。
【0101】
犠牲材料604がカーボンベースではない場合、犠牲材料604は完全に除去され得る。カーボン材料は、ギャップ629を介して接触表面上に等方的に堆積され得る。堆積はCVDによって行われ得る。カーボン層699aおよび699bは、それぞれ、電気機械的な層605の下部表面上およびランディングストップ603の上部表面上に形成され得る。
【0102】
実際の製造環境において、機能的な空間光変調器をビデオディスプレイアプリケーションに引き渡す前にさらなるプロセスが必要とされる。電気機械的な層605上の反射性表面606がパターニングされ、非等方性にエッチングされ、複数の個別のミラープレートを形成する後で、さらなる犠牲材料が、製造されたウェーハの表面を覆うように堆積される。その表面が犠牲材料の層によって保護され、製造されたウェーハは、従来の半導体プロセッシング方法を用いて処理され、個別のデバイスダイを形成する。パッケージングプロセスにおいて、製造されたウェーハは、スクライビングおよびブレーキングによって個別のダイに分離される(ステップ882)前に、部分的に切断される(ステップ881)。空間光変調器デバイスダイは、構造内の残りの犠牲材料および残余物をストリッピングする(ステップ884)前に、ワイヤ結合および相互接続を有するチップベースに取り付けられる(ステップ883)。洗浄することは、パターニングされたウェーハを、全圧が2torrで40:1:5という比率のO、CFおよびHOガスの混合物を用いて2000ワットのRFまたはマイクロ波プラズマに、約250℃の温度で5分未満の間さらすことによって達成され得る。最後に、電気機械的で金属化された表面は、2torrの圧力で3000sccmのHO蒸気を用いて2000ワットのRFまたはマイクロ波プラズマに約250℃の温度で、3分未満の間さらすことによって不動態化される。
【0103】
一部のインプリメンテーションにおいて、SLMデバイスダイは、プラズマ洗浄および電気光学機能テスト(ステップ886)の前に、フルオロカーボンのPECVDに約200℃の温度で5分未満の間さらす(ステップ885)ことによって、開口部構造の内部を抗スティクション層でさらに覆われる。最後に、SLMデバイスは、グラスウィンドウリップを用いてハーメチックシールされ(ステップ887)、信頼性およびロバストな質の制御のためにバーンインプロセスに送られる(ステップ888)。
【0104】
スティクションによって潜在的に影響されるデバイスの別の例において、図27A〜図27Iは、抗スティクション材料の被覆を有するカンチレバー2766を製造するための製造プロセスを図示する。図27Aに示されるように、機械的ストップ2710と、電極2720と、下部ポスト部分2730とが、1つ以上の導体材料を用いて基板2700上に構築される。導体材料は、金属製材料、ドープシリコンなどを含み得る。基板2700は、形成されるカンチレバー2766の動きを制御するための電気信号を送信するための回路網を備えるシリコンまたは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)から構成され得る。
【0105】
犠牲材料の層2740は、次いで基板2700、機械的ストップ2710、電極2720および下部ポスト部分2730上に導入される。犠牲材料2740は、アモルファスカーボン、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル(これはSILKと呼ばれる)、ハイドロジェンシルセスキオキサン(HSQ)を含み得る。
【0106】
犠牲材料2740の層は、図27Cに示されるように、次いで凹み部2750を形成するようにエッチングされ、下部ポスト部分2730の上部表面をさらす。犠牲材料は、硬化される。
【0107】
カンチレバー層2760は、図27Dに示されるように、次いで犠牲材料2740上、および下部ポスト部分2730上の凹み部2750に堆積される。カンチレバー層2760は、導体材料(例えば、金属、ドープシリコンなど)から構成され得る。オプションとして、カンチレバー層は、平坦化される。カンチレバー層2760は、図27Eに示されるように、次いでエリア2770においてエッチングされ、犠牲材料2740の上部表面をさらす。
【0108】
犠牲材料2745の第2の層が、図27Fに示されるように、次いでカンチレバー層2760および先に導入された犠牲材料2740上に導入される。犠牲材料2745は硬化される。犠牲材料2745は、カンチレバー層2760の中間部分および下部ポスト部分2730上の上部表面のエリアをさらすようにエッチングされる。導体材料は、図27Hに示されるように、次いで、上部ポスト部分2735および上部カンチレバー部分2765を形成するように、エッチングされたエリアの上に堆積される。上部ポスト部分2735および上部カンチレバー部分2765は平坦化され得る。
【0109】
犠牲材料2740および2745が引き続き除去され、図27Iに示されるように、カンチレバー層2760および上部カンチレバー部分2765を含むカンチレバー2766を形成する。カンチレバー層2760は、カンチレバーヒンジ部分2761とカンチレバー先端部分2762とを含む。カンチレバーヒンジ部分2761は、図28に示されるように、カンチレバー2766を上部ポスト部分2735と接続し、カンチレバー2766が容易に基板2700の方に偏向することを可能にする。カンチレバー先端部分2762は、機械的ストップ2710と接触し、カンチレバー2766の偏向を停止し得る。
【0110】
犠牲材料2740および2745の除去は、ドライプロセス(例えば、等方性プラズマエッチング、マイクロ波プラズマまたは活性ガス蒸気)を用いて行われ得る。犠牲材料2740がアモルファスカーボンである場合には、アモルファスカーボンの除去が制御されることにより、カーボン層2715aおよび2715bが保持され得、機械的ストップ2710の上部表面上およびカンチレバー層2760の下部表面上に形成され得る。除去ステップに対するプロセッシングパラメータは、接触表面上のカーボン層の厚さが、カンチレバーの動作の間に、カンチレバー層2760と機械的ストップ2710との間のスティクションを防ぐために十分であるように最適化され得る(図28に示される)。
【0111】
犠牲材料2740のアモルファスカーボンの除去は、ウェーハを、O、CFおよびHOガスの混合物における2000ワットの無線波またはマイクロ波プラズマに、約250℃でさらすことによって、達成され得る。ガス圧は、全圧で約2torrに制御される。除去ステップは、約5分より短くなるように制御され、カンチレバー層2760の下部表面上および機械的ストップ2710の上部表面に保持されることを確実にし得る。カーボン層2715aおよび2715bの厚さは、0.3ナノメートルよりも厚くなるように、または1.0ナノメートルよりも厚くなるように制御され得る。カーボン層2715aおよび2715bは、1つ以上の炭素原子の層を含み得る。
【0112】
一部の実施形態において、犠牲材料2740および2745は、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル(これはSILKと呼ばれ得る)、ハイドロジェンシルセスキオキサン(HSQ)およびアモルファスカーボン以外の材料を含み得る。ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテルおよびハイドロジェンシルセスキオキサンは、表面上にスピンコートされ得る。犠牲材料2740および2745は、引き続く構築の前に効果され得る。SILKまたはHSQは、UV照射によって、およびオプションとして熱およびプラズマ処理によって硬化され得る。カンチレバー層2766が形成された後で、犠牲材料2740および2745は、カンチレバー層2760の下で、ドライプロセス(例えば、等方性プラズマエッチング、マイクロ波プラズマまたは活性ガス蒸気)において除去され得る。
【0113】
非カーボンベースの犠牲材料の除去後に、カーボン材料が等方性に堆積され得る。カーボン材料は、CVDによって堆積され得、カーボン層2715aおよび2715bを、それぞれ機械的ストップ2710の上部表面上およびカンチレバー層2760の下部表面上に形成する。堆積されたカーボンは、非晶状態または多結晶状態に存在し得る。堆積したカーボン材料の量は、カーボン層2715aおよび2715bが、カンチレバー層2760と機械的ストップ2710との間のスティクションを防ぐために十分厚い。カーボン層2715aおよび2715bは、各々1つ以上の炭素原子の単層を含み得る。例えば、カーボン層2715aおよび2715bは、0.3ナノメートル以上の厚さまたは0.5ナノメートル以上の厚さであるように制御され得る。
【0114】
開示された犠牲材料の利点は、それらがドライプロセスにおける等方性エッチングによって、除去され得ることである。ドライ除去プロセスは、従来の犠牲材料を洗浄する際にウェットプロセスよりも簡単である。等方性エッチングは、上部構造層(例えば、カンチレバー)の下に配置される開示された犠牲材料の便利な除去を可能にし、このことはドライ非等方性エッチングプロセスによっては容易に達成され得ない。アモルファスカーボンに基づく犠牲材料の別の利点は、それが従来のCMOSプロセスによって堆積され、除去され得ることである。さらに、アモルファスカーボンを犠牲材料として用いる別の利点は、アモルファスカーボンが高い炭素純度を維持し、カーボンが通常はほとんどのマイクロデバイスを汚染しないことである。
【0115】
図28は、作動された状態におけるカンチレバー2766を示す。基板2700内の電極2810は、カンチレバー層2760の電位を、上部ポスト部分2735および下部ポスト部分2730内の導電性材料を介して制御し得る。上部ポスト部分2735および下部ポスト部分2730は、カンチレバー2760をサポートするだけでなく、カンチレバー2760と機械的ストップ2710との間に適切なスペースも提供し、適切な偏向角を規定する。
【0116】
機械的ストップ2710はまた、同一の電位において制御される。例えば、正の10Vパルスは、カンチレバー層2760および機械的ストップ2710に印加され得る。−10V電圧パルスは電極2820を介して電極2720に印加され得る。カンチレバー層2760と機械的ストップ2710との間の静電電位差は、引力を生成し、カンチレバー2766を下側に曲げて偏向する。カンチレバー2766は、より薄いカンチレバーヒンジ部分2761において曲げられ得るが、上部カンチレバー部分2765、上部カンチレバー部分2765の下のカンチレバーの部分2760において、実質的に正常なままである。
【0117】
カンチレバー先端部分2762の下部表面および機械的ストップ2710の上部表面が互いに接触するような場合には、すなわち、カーボン層2715aおよび2715bが互いに接触する場合には、カンチレバーの移動は、機械的なストップ2710によって停止され得る。カンチレバー先端部分2762は、機械的なストップ2710によって及ぼされる上向きの力の下で機械的な歪みに供され得る。歪みは、弾性エネルギーを格納し得、該弾性エネルギーは、解放され得、かつカンチレバー2766上の静電引力が除去される場合に、カンチレバー2766に弾き返させ得る。カーボン層2715aおよび2715bの存在は、インタフェースにおける接着を減少させ得、このことはカンチレバー層2760と機械的ストップ2710との間のスティクションを防ぎ、カンチレバー2766がその正常な位置に復元されることを保証する。
【0118】
複数の実施形態が示され、記載されたが、範囲および精神から逸脱することなしに、形式および詳細における様々な変化が、この中でなされ得ることが当業者によって理解される。本開示された犠牲材料は、上記の実施例に加えて多くの他のタイプのマイクロデバイスに適用され得る。例えば、本開示された犠牲材料および本方法は、マイクロ機械デバイス、マイクロ電気機械デバイス(MEMS)、マイクロ流体デバイス、マイクロセンサ、マイクロアクチュエータ、マイクロディスプレイデバイス、プリントデバイスおよび光学導波管を形成するために使用され得る。本開示される犠牲材料および本方法は、一般的に、空洞、凹み部、マイクロブリッジ、マイクロトンネルまたはオーバーハンギングマイクロ構造(例えば、カンチレバー)を含むマイクロデバイスの製造に適している。開示される犠牲材料および方法は、電子回路を含む基板上にこのようなマイクロデバイスを製造するために有利に適用され得る。さらに、開示される犠牲材料および方法は、高いプロセッシングが必要とされる電子回路を含む基板上のマイクロデバイスを製造するために特に適切である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1a】図1aは、ミラープレートが「オン」位置にある場合のマイクロミラーの断面図を図示する。
【図1b】図1bは、ミラープレートが「オフ」位置にある場合のマイクロミラーの断面図を図示する。
【図2】図2は、長方形形状のミラープレートのアレイの斜視図である。
【図3】図3は、図2のミラープレートに対する制御回路網基板の一部のトップを示す斜視図である。
【図4】図4は、曲線の辺縁を有するミラープレートのアレイを示す斜視図である。
【図5】図5は、図4におけるミラープレートに対する制御回路網基板の一部のトップを示す斜視図である。
【図6】図6は、曲線の前縁および後縁を有するミラープレートの拡大した背面図である。
【図7】図7は、ミラープレートの下部の空洞の下でねじれたヒンジとそれらのサポートポストを示す斜視底面図である。
【図8】図8は、一方向に15°回転させた際のミラープレートのねじれたヒンジの周囲の最小の空間を図示する。
【図9】図9は、開示された抗スティクション材料を有するマイクロミラーベースの空間光変調器に対する製造プロセスフロー図である。
【図10】図10〜図13は、複数のサポートフレームおよびアドレッシング回路網内のメモリセルに接続された第1のレベルの電極を製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図11】図10〜図13は、複数のサポートフレームおよびアドレッシング回路網内のメモリセルに接続された第1のレベルの電極を製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図12】図10〜図13は、複数のサポートフレームおよびアドレッシング回路網内のメモリセルに接続された第1のレベルの電極を製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図13】図10〜図13は、複数のサポートフレームおよびアドレッシング回路網内のメモリセルに接続された第1のレベルの電極を製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図14】図14〜図17は、制御基板の表面上に複数のサポートポスト、第2のレベルの電極およびランディングストップを製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図15】図14〜図17は、制御基板の表面上に複数のサポートポスト、第2のレベルの電極およびランディングストップを製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図16】図14〜図17は、制御基板の表面上に複数のサポートポスト、第2のレベルの電極およびランディングストップを製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図17】図14〜図17は、制御基板の表面上に複数のサポートポスト、第2のレベルの電極およびランディングストップを製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図18】図18〜図20は、複数のねじれたヒンジおよびサポートフレーム上のサポートを製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図19】図18〜図20は、複数のねじれたヒンジおよびサポートフレーム上のサポートを製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図20】図18〜図20は、複数のねじれたヒンジおよびサポートフレーム上のサポートを製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図21】図21〜図23は、複数の隠されたヒンジを有するミラープレートを製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図22】図21〜図23は、複数の隠されたヒンジを有するミラープレートを製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図23】図21〜図23は、複数の隠されたヒンジを有するミラープレートを製造するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図24】図24〜図26は、反射ミラーを形成し、マイクロミラーアレイの個別のミラープレートを解放するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図25】図24〜図26は、反射ミラーを形成し、マイクロミラーアレイの個別のミラープレートを解放するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図26】図24〜図26は、反射ミラーを形成し、マイクロミラーアレイの個別のミラープレートを解放するための一方法を図示する空間光変調器の一部の断面の側面図である。
【図27A】図27Aは、抗スティクション材料を有するカンチレバーを形成するための断面図である。
【図27B】図27Bは、抗スティクション材料を有するカンチレバーを形成するための断面図である。
【図27C】図27Cは、抗スティクション材料を有するカンチレバーを形成するための断面図である。
【図27D】図27Dは、抗スティクション材料を有するカンチレバーを形成するための断面図である。
【図27E】図27Eは、抗スティクション材料を有するカンチレバーを形成するための断面図である。
【図27F】図27Fは、抗スティクション材料を有するカンチレバーを形成するための断面図である。
【図27G】図27Gは、抗スティクション材料を有するカンチレバーを形成するための断面図である。
【図27H】図27Hは、抗スティクション材料を有するカンチレバーを形成するための断面図である。
【図27I】図27Iは、抗スティクション材料を有するカンチレバーを形成するための断面図である。
【図28】図28は、作動位置におけるカンチレバーを示す。
【符号の説明】
【0120】
102 ミラープレート
103a トップ層
103b 中間層
103c ボトム層
105 ヒンジサポートポスト
106 ヒンジ
202 ヒンジサポートフレーム
221a、221b ステップ電極
222a、222b ランディングストップ
300 制御基板
303 バイアス電極
400 空間光変調器
401 照明源
402 光吸収器
403 投影瞳孔
411 入射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ構造を製造する方法であって、
基板上に第1の構造部分を形成することと、
該第1の構造部分上に犠牲材料を配置することと、
該犠牲材料および該基板上に第1の構造材料の層を堆積させることと、
該犠牲材料の少なくとも一部を除去して、第2の構造部分を該第1の構造材料の層に形成することであって、該第2の構造部分は、該基板に接続され、該第2の構造部分が該第1の構造部分から分離される第1の位置と、該第2の構造部分が該第1の構造部分と接触する第2の位置との間で移動可能である、ことと、
該第2の構造部分の表面および該第1の構造部分の表面のうちの少なくとも1つにカーボン層を形成することによって、該第2の構造部分と該第1の構造部分との間のスティクションを減少させることと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記カーボン層を形成するステップは、CVDによって、前記第2の構造部分の前記表面上または前記第1の構造部分の前記表面上にカーボンを堆積させることを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カーボン層は、0.3ナノメートルよりも厚い、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記カーボン層は、1.0ナノメートルよりも厚い、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記犠牲材料は、アモルファスカーボンを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記カーボン層は、前記犠牲材料の一部を除去する前記ステップにおいて除去されないアモルファスカーボンを備えている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記犠牲材料を配置する前記ステップは、CVDまたはPECVDによって、前記第1の構造部分上にカーボンを堆積させることを包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記犠牲材料の一部分を除去する前記ステップは、該犠牲材料の本質的に全てを除去することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
カーボン層を形成する前記ステップは、前記除去するステップの後に、前記第2の構造部分の前記表面または前記第1の構造部分の前記表面のうちの少なくとも1つに、カーボンを堆積させることを包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記犠牲層は、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテルおよびハイドロジェンシルセスキオキサンからなるグループから選択された材料を備えている、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記カーボン層は、アモルファス構造を備えているか、または多結晶相である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記犠牲材料上に前記第1の構造材料の前記層を堆積させる前に、該犠牲材料を平坦化することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の構造材料の前記層にマスクを形成することと、
該マスクによって覆われない前記第1の構造材料を選択的に除去して、該第1の構造材料の前記層に開口部を形成することと、
該開口部を介して、エッチング液を適用し、前記犠牲材料を除去することと
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の構造部分の少なくとも一部は導電性である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の構造部分の下部表面は、前記第1の構造部分の上部表面に、前記第2の位置において接触するように構成され、前記カーボン層は、該第2の構造部分の該下部表面または該第1の構造部分の該上部表面上に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の構造部分および前記第2の構造部分のうちの少なくとも1つが、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、アルミニウム、アルミニウムシリコン合金、シリコン、アモルファスシリコン、ポリシリコン、シリサイド化合物およびこれらの組み合わせからなるグループから選択された材料を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の構造部分は、チルト可能なミラープレートおよび該チルト可能なミラープレートをサポートするポストを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記形成するステップは、前記第2の構造部分の表面上にカーボン層を形成することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記形成するステップは、前記第1の構造部分の表面上にカーボン層を形成することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記基板はその上にポストを有し、
第1の構造部分を形成することは、該基板上に突起を形成し、
前記犠牲材料の少なくとも1つを除去することは、該ポストと接続するチルト可能なマイクロミラープレートを形成し、該チルト可能なマイクロミラープレートは、該チルト可能なマイクロミラープレートが該突起から分離される第1の位置と、該チルト可能なマイクロミラープレートが該基板上の該突起と接触する第2の位置との間で移動可能である、
請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記カーボン層は、0.3ナノメートルよりも厚い、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記カーボン層は、1.0ナノメートルよりも厚い、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記犠牲材料は、アモルファスカーボンを備えている、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記基板上の前記突起は、前記第2の位置において、前記チルト可能なマイクロミラープレートの前記下部表面に接触するように構成されているチップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記犠牲材料上の構造材料の前記1つ以上の層を堆積させることは、
導電性材料を堆積させ、前記チルト可能なマイクロミラープレートの下部層を形成するステップと、
該下部層上に構造材料を堆積させ、該チルト可能なマイクロミラープレートに対する中間層を形成するステップと、
該中間層上に反射性材料を堆積させ、該チルト可能なマイクロミラープレートの上部層を形成するステップと
を包含する、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
基板上の静止した第1のコンポーネントであって、該第1のコンポーネントは、第1の表面を有する、第1のコンポーネントと、
第2の表面を有する移動可能な第2のコンポーネントであって、該第2のコンポーネントは、該第1の表面と接触するように移動するように構成されている、第2のコンポーネントと、
該第1のコンポーネントと該第2のコンポーネントとの間のスティクションを減少させるための該第1の表面および該第2の表面のうちの少なくとも1つの上のカーボン層と
を備えている、マイクロデバイス。
【請求項27】
前記第2のコンポーネントは、電圧信号に応答して移動するように構成されている、請求項26に記載のマイクロデバイス。
【請求項28】
前記カーボン層は、0.3ナノメートルよりも厚い、請求項26に記載のマイクロデバイス。
【請求項29】
前記カーボン層は、1.0ナノメートルよりも厚い、請求項28に記載のマイクロデバイス。
【請求項30】
前記第2のコンポーネントは、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、アルミニウム、アルミニウムシリコン合金、シリコン、アモルファスシリコン、ポリシリコン、シリサイド化合物およびこれらの組み合わせからなるグループから選択される、請求項26に記載のマイクロデバイス。
【請求項31】
前記第1のコンポーネントはランディングストップであり、
ポストは前記基板上にあり、
偏向可能な部材は、該ポストと接続し、
前記第2のコンポーネントは、該偏向可能な部材と接続し、該第2のコンポーネントは、該コンポーネントが該ランディングストップから分離される第1の位置と該コンポーネントが該ランディングストップと接触する第2の位置との間で移動可能であり、
前記カーボン層は、該第2のコンポーネントの表面または該ランディングストップの表面のうちの少なくとも1つの上にあり、該基板上の該コンポーネントと該ランディングストップとの間のスティクションを減少させる、
請求項26に記載のマイクロデバイス。
【請求項32】
前記第2のコンポーネントは、反射表面を備えている、請求項31に記載のマイクロデバイス。
【請求項33】
前記第2のコンポーネントは、前記ランディングストップに接触するように構成された偏向可能なチップを備えており、前記カーボン層は、該偏向可能なチップの表面上に形成される、請求項31に記載のマイクロデバイス。
【請求項34】
前記基板上に電極をさらに備え、前記コンポーネントの少なくとも一部は導電性である、請求項31に記載のマイクロデバイス。
【請求項35】
前記コンポーネントは、前記電極または前記コンポーネントの前記導電性部分のうちの少なくとも1つに印加された1つ以上の電圧信号に応答して、前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動するように構成されている、請求項34に記載のマイクロデバイス。
【請求項36】
前記コンポーネントの下部表面は、前記第2の位置において前記ランディングストップの上部表面と接触するように構成され、前記カーボン層は、該コンポーネントの該下部表面または該ランディングストップの該上部表面上に形成される、請求項31に記載のマイクロデバイス。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図27D】
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【図27E】
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【図27F】
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【図27G】
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【図27H】
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【図27I】
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【図28】
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【公開番号】特開2008−58965(P2008−58965A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218966(P2007−218966)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(506141557)スペイシャル フォトニックス, インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】