説明

抵抗回路を有する半導体装置

【課題】高抵抗・高精度の抵抗素子からなる抵抗回路を提供する。
【解決手段】500Å以下に薄膜化した薄膜材料からなる抵抗素子の上にシリコン窒化膜などの絶縁膜を形成する。この窒化膜により抵抗素子に対するコンタクトホールの突き抜けを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗回路を同一半導体基板上に有する半導体集積回路からなる半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路において用いられる抵抗には、単結晶シリコン半導体基板に半導体基板と逆導電型の不純物を注入した拡散抵抗や、不純物を注入した多結晶シリコンからなる多結晶シリコン抵抗などが用いられる。
【0003】
図2は、従来の抵抗回路に用いられている抵抗素子と、絶縁ゲート電界効果型トランジスタ(以下MISFETと略す)とを組み合わせた断面図である。
【0004】
MISFET102は、薄いゲート酸化膜3、ソース/ドレイン領域4、ゲート電極5からなり、周囲を厚い分離用酸化膜2で囲まれている。それらの上には中間絶縁膜8を形成し、コンタクトホール9を介して金属配線10により電気的な接続が行われる。
【0005】
また抵抗素子101は、平坦な厚い分離用酸化膜2の上に堆積した多結晶シリコン膜により構成されている。
【0006】
抵抗素子を構成する多結晶シリコン膜には、両端の高濃度不純物領域6およびそれらに挟まれた低濃度不純物領域7を形成する。抵抗素子の抵抗値は、高抵抗となる低濃度不純物領域7の不純物濃度で決まる抵抗率及びその領域の長さと幅により決定され、高濃度不純物領域6は金属配線とのオーミック接続を取るために用いる。
【0007】
抵抗素子101上には中間絶縁膜8を形成し、コンタクトホール9を介して金属配線10により電気的な接続が行われる。そして半導体集積回路に用いる抵抗回路は、金属配線を介して図2の抵抗素子を直列または並列に複数接続して同一基板表面に形成される。
【0008】
MISFET102と抵抗素子101上に形成する中間絶縁膜8は、ボロンまたはリンを含み、850℃以上の熱処理を経ることで平坦化され、半導体集積回路内の膜パターンによる高低段差を軽減させる。さらに、金属配線を形成した後には、その上に保護膜としてシリコン窒化膜パッシベーション11が設けられる。
【0009】
上記のように平坦化された中間絶縁膜8に設けられたコンタクトホールはその下地の構造により深さが異なる。先の例では、半導体基板上に設けられたソース/ドレイン上の中間絶縁膜が最も厚く、抵抗素子上の中間絶縁膜が最も薄くなる。従って、それぞれにコンタクトホールを形成した場合、ソース/ドレイン上のコンタクトホールが最も深く、抵抗素子上のコンタクトホールが最も浅くなる。
【0010】
この両者のコンタクトホールを同時に形成する場合、中間絶縁膜が薄い抵抗素子上のコンタクトホールが先に開口するので、ソース/ドレイン上のコンタクトホールが完全に開口するまでには、抵抗素子上のコンタクトホールは過剰なオーバーエッチングにさらされることになる。そのため、このオーバーエッチング時にコンタクトホールが抵抗素子を突き抜けてしまわないだけの余裕のある多結晶シリコン膜の膜厚設定、もしくはエッチングに対する耐性が必要となる。
【0011】
これを解決する手段としては例えば図3、図4のような方法が案出されている。
図3では、オーバーエッチング耐性を向上させるため、金属配線と接続するコンタクトホールを厚い多結晶シリコン上に形成している。一方、抵抗素子本体は薄い多結晶シリコンで構成した上で、厚い多結晶シリコンとこの薄い多結晶シリコンを、金属配線と接続するコンタクトホールとは別に設けたビアホール13を介して接続している。
【0012】
また図4では、図3における厚い多結晶シリコンに相当する部分を半導体基板上に形成した不純物拡散領域に替えている。そして同じく抵抗素子本体は薄い多結晶シリコンで構成した上で、不純物拡散領域とこの薄い多結晶シリコンを、金属配線と接続するコンタクトホールとは別に設けたビアホール13を介して接続している。
【0013】
このような多結晶シリコン抵抗を提供する方法は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平09−051072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の抵抗素子の作成については以下のような課題がある。
例えば多結晶シリコン抵抗を採用する場合、抵抗値の高精度化あるいは高抵抗化を目指すために多結晶シリコン膜の薄膜化を目指す場合がある。特に近年は装置の高度化とともに堆積膜厚の制御性が向上してきているため薄膜の実現が容易になってはきている。ただし、前述のような薄膜に対するオーバーエッチング耐性の問題が存在するために500Å以下の薄膜からなる抵抗素子を半導体集積回路に利用する事は難しかった。
【0016】
図3、図4の方法の他に薄膜の抵抗素子を実現するためには、それぞれのコンタクトエッチングマスク及びエッチング工程を別々にわけて形成する方法がある。しかし、この方法はマスク工程の増加によるコスト上昇を招くという課題が存在する。また、一方のコンタクトホールを形成した後に他方のコンタクトホールを形成する際、最初に形成したコンタクトホールを開口したままフォト工程を処理する必要があり、汚染や異物の付着など品質の低下を招く可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記課題を解決するために、以下のようにした。すなわち、
第1の薄膜で構成される抵抗素子と、
前記抵抗素子上に形成した第2の薄膜と、
前記第2の薄膜上に形成した中間絶縁膜と、
前記第2の薄膜を貫通し、前記第1の薄膜に達する深さの前記中間絶縁膜に設けられた前記抵抗素子上のコンタクトホールと、
前記コンタクトホール上に形成した金属配線と、
を有する事を特徴とする抵抗回路を有する半導体装置とした。
【0018】
または、前記第2の薄膜が前記第1の薄膜上であって、前記第1の薄膜で構成される抵抗素子と平面的に同一形状であることを特徴とする抵抗回路とした。
または、前記第2の薄膜が、前記第1の薄膜上であって、前記コンタクトホールを含む離間した領域に形成していることを特徴とする抵抗回路を有する半導体装置とした。
または、前記第2の薄膜が、前記第1の薄膜上であって、前記第1の薄膜で構成される抵抗素子を含み抵抗素子より広い領域に形成することを特徴とする抵抗回路を有する半導体装置とした。
【0019】
さらに、前記第1の薄膜の厚さが500Å以下であることを特徴とする抵抗回路を有する半導体装置とした。
さらに、前記第1の薄膜が第1の多結晶シリコン膜であり、不純物濃度が1×1015から5×1019atoms/cm3の範囲の第1の導電型の不純物を含むことを特徴とする抵抗回路を有する半導体装置とした。
【0020】
または、前記第1の薄膜がCrSiまたはCrSiNまたはCrSiOまたはNiCrまたはTiN膜であることを特徴とする抵抗回路を有する半導体装置とした。
または、前記第2の薄膜が第1の多結晶シリコンとは逆の導電型の不純物を含む第2の多結晶シリコン膜であることを特徴とする抵抗回路を有する半導体装置とした。
【0021】
または、前記第2の薄膜が不純物を含まない第2の多結晶シリコン膜であることを特徴とする抵抗回路を有する半導体装置とした。
または、前記第2の薄膜がシリコン窒化膜であることを特徴とする抵抗回路とした。
さらに、前記第2の薄膜が150Åから350Åの膜厚であることを特徴とする抵抗回路を有する半導体装置とした。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、500Å以下の抵抗素子の薄膜形成が容易になり、高精度あるいは高抵抗の抵抗素子を内蔵した半導体集積回路からなる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施例の抵抗素子及びMISFETを含む模式断面図である。
【図2】従来の抵抗素子及びMISFETを含む模式断面図である。
【図3】従来の抵抗素子の模式断面図である。
【図4】従来の抵抗素子の模式断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例の抵抗素子及びMISFETを作成するための工程フロー断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例の抵抗素子及びMISFETを作成するための図5に続く工程フロー断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例の抵抗素子及びMISFETを含む模式断面図である。
【図8】本発明の第3の実施例の抵抗素子及びMISFETを含む模式断面図である。
【図9】本発明の第4の実施例の抵抗素子及びMISFETを含む模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下にこの発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の抵抗素子を内蔵した半導体集積回路の第1の実施例の模式断面図である。抵抗回路に用いられている本発明の抵抗素子101と、絶縁ゲート電界効果型トランジスタであるMISFET102とを組み合わせている。
【0025】
MISFET102は、薄いゲート酸化膜3、ソース/ドレイン領域4、ゲート電極5からなり、周囲を厚い分離用酸化膜2で囲まれている。それらの上には中間絶縁膜8を形成し、コンタクトホール9を介して金属配線10により電気的な接続が行われる事については従来と同様である。
【0026】
一方、抵抗素子101は、半導体基板1上の平坦な厚い分離用酸化膜2の上に堆積した多結晶シリコン膜で形成しているが、その上にさらにシリコン窒化膜12などの絶縁物を堆積している。
【0027】
抵抗素子を構成する多結晶シリコンは、低濃度不純物領域7及びその両端の高濃度不純物領域6を有しており、抵抗素子の抵抗値を高抵抗となる低濃度不純物領域7の不純物濃度及びその領域のサイズで決定し、高濃度不純物領域6は金属配線10とのオーミック接続を取るために用いる事は従来と同様である。その上のシリコン窒化膜12は絶縁膜なので、抵抗素子の抵抗値は基本的に低濃度不純物領域の不純物濃度で決まる。
【0028】
抵抗素子101上には中間絶縁膜8を形成し、コンタクトホール9を介して金属配線10により電気的な接続が行われる。このときこのコンタクトホール9は、中間絶縁膜8及び抵抗素子上のシリコン窒化膜12両方を貫通し、抵抗素子を構成する多結晶シリコンの高濃度不純物領域6に達し、電気的接続を得ている。
【0029】
熱処理などにより平坦化された中間絶縁膜8に設けられたコンタクトホールはその下地の構造により深さが異なり、抵抗素子上のコンタクトホールが最も浅くなる。そのため全てのコンタクトホールを同一マスク工程で形成する場合、従来であれば中間絶縁膜が薄い抵抗素子上のコンタクトホールが先に開口するので、全てのコンタクトホールが開口するまで抵抗素子上のコンタクトホールは過剰なオーバーエッチングにさらされ、抵抗素子が薄い場合コンタクトホールが抵抗素子を突き抜けてしまう場合があった。
【0030】
しかし、本発明で新たに設けている抵抗素子上のシリコン窒化膜は、中間絶縁膜に比べエッチングレートが低くコンタクトホールが抵抗素子を貫通するのを遅らせる効果がある。そのため、500Å以下の薄い多結晶シリコンを抵抗素子として使用したとしても、コンタクトホールの突き抜けは発生せず、良好なコンタクトを得る事が可能となるのである。
【0031】
図5(a)から図6(c)を用いて、本発明による半導体集積回路の製造方法の一例を説明する。
【0032】
最初に図5(a)に示すように、半導体基板1を用意し、LOCOS酸化膜形成工程、ゲート酸化膜形成工程、ゲート電極形成工程、ソース・ドレイン領域形成工程など、従来から存在する技術によりMISFETの主要部分である、厚い酸化膜2、ゲート酸化膜3、ゲート電極5、ソース・ドレイン領域4を形成する。
【0033】
次に、図5(b)に示すように、層間絶縁膜15を全面に堆積した後に抵抗素子を構成する多結晶シリコン薄膜を堆積する。層間絶縁膜は、MISFETのゲート電極を構成する多結晶シリコンと、抵抗素子を構成する多結晶シリコンを分離するために用いる。抵抗素子を構成する多結晶シリコン薄膜は、高抵抗もしくは高精度を指向するために500Å以下の厚みとする。
【0034】
次に抵抗率を設定するための不純物注入を半導体基板上の多結晶シリコン膜内に全面に行い、多結晶シリコン低濃度不純物領域7を形成する。抵抗素子の抵抗率はこの不純物注入量により調整される。不純物はN型であるリンやヒ素、P型であるボロンやBF2などを用い、その不純物注入量は所望の抵抗率によるが1×1015から5×1019atoms/cm3に設定する。
【0035】
次に、本発明特有のシリコン窒化膜12を、LPCVDやスパッタなど、任意の方法で半導体基板全面に堆積する。
【0036】
次に、図5(c)に示すように、フォトマスク工程及びエッチング工程を経て、堆積した多結晶シリコン膜とシリコン窒化膜12を抵抗素子の形に加工する。このとき、同一レジストで多結晶シリコン膜とシリコン窒化膜の両方をエッチングするので、本発明特有のシリコン窒化膜の堆積工程が増えるもののフォトマスク工程の増加はなく、コスト上昇はほとんどない。そして、別のフォトマスク工程を経て多結晶シリコン内に高濃度不純物領域6を形成する。
【0037】
この高濃度不純物注入工程は、MISFETのソース・ドレイン形成のための高濃度不純物注入工程と兼用しても構わない。すなわち、抵抗素子がN型の場合は高濃度不純物としてN型ソース・ドレイン不純物を使用することが出来、抵抗素子がP型の場合は、高濃度不純物としてP型ソース・ドレイン不純物を使用することができる。これによりさらにフォトマスク工程の削減とコスト低減効果が得られる。
【0038】
次に、図6(a)に示すように、半導体基板上に中間絶縁膜8を形成する。形成方法は、リンまたはボロンを含む酸化膜を堆積した後、850℃以上の熱処理で平坦化するリフロー法を始め、エッチバック法やCMP法などを用いて堆積した絶縁膜を平坦化する。
【0039】
次に、図6(b)に示すように、フォトマスク工程を経てコンタクトホール9を、ソース・ドレイン領域、ゲート電極、抵抗素子など、必要な部分に中間絶縁膜ドライエッチングにて一括で形成する。このとき、抵抗素子上のコンタクトホール9は、多結晶シリコン膜上のシリコン窒化膜を突き抜けて、多結晶シリコン膜に達するが、シリコン窒化膜が適切な厚さを有するので、多結晶シリコン膜が薄くても、突き抜けを起こすことはない。
【0040】
次に、図6(c)に示すように、金属膜の堆積及び金属配線10のパターン形成及び最終保護膜であるパッシベーション膜11の堆積及びパターン形成により、本実施例の抵抗素子を含む半導体集積回路が完成する。
【0041】
この中で図6(b)のコンタクトホール形成工程においては、中間絶縁膜下の形状・構造により、コンタクトホール深さに部分的に差ができる。例えば、最も深い部分はソース/ドレイン領域のコンタクトホールであり、最も浅い部分は抵抗素子のコンタクトホールであり、その差は3000Åから7000Åまで広がる場合がある。従来の製造方法では、抵抗素子のコンタクトホールが開口したあと、他のコンタクトホールが全て開口するまでにこの抵抗素子のコンタクトホールには、少なくとも中間絶縁膜3000Åから7000Å相当分の過剰なエッチングがかかるので、500Å以下の多結晶シリコン膜を抵抗素子に用いる場合、コンタクトホールの突き抜けを防止することが困難だった。
【0042】
本発明では先の多結晶シリコン膜上のシリコン窒化膜の膜厚を適切に調整することにより、上記の突き抜けを防止できる。この膜厚は先の中間絶縁膜の膜厚差やエッチング条件、シリコン窒化膜の膜質などにより必然的に決まる。
【0043】
例えば、コンタクトエッチングにおける中間絶縁膜とシリコン窒化膜の選択比が20:1の場合で、ソース/ドレイン領域と抵抗素子の中間絶縁膜厚差が5000Åである場合、抵抗素子を構成する多結晶シリコン上のシリコン窒化膜の膜厚は、中間絶縁膜厚差5000Åの1/20である250Åに設定するとよい。一般には前述のような範囲の中間絶縁膜厚差が生じた場合を考えると、シリコン窒化膜厚は150Åから350Åの間の範囲の中から選ぶ事が妥当である。このようにする事で、従来では実現が困難だった500Å以下の多結晶シリコンからなる抵抗素子の安定的な製作が可能となる。
【0044】
ところで抵抗素子に用いる多結晶シリコン膜を薄膜化すると、抵抗値の高抵抗化や高精度化が実現できるが、それは以下の理由による。
【0045】
抵抗素子を構成する多結晶シリコン膜内の不純物濃度が同じ場合、多結晶シリコン膜が薄いほど抵抗体の断面積が小さくなるため高抵抗化できる事はいうまでもない。
【0046】
一方、同じ抵抗値の場合は多結晶シリコン膜が薄いほど不純物濃度を濃く設定することになるので抵抗値ばらつきが少なくなり、高精度化を実現できる。何故なら多結晶シリコンで形成する抵抗値のほとんどが、多結晶シリコンのグレイン間に存在する界面準位に捕獲されるキャリアに依存するので、キャリアの濃度ばらつきが抵抗値ばらつきに影響する割合が大きいためである。このキャリア濃度ばらつきは、注入不純物濃度によって決まり、不純物濃度が濃いとばらつきが緩和される。このため多結晶シリコン膜の薄膜化は抵抗素子の抵抗値の高精度化に効果がある。
【0047】
図7は、本発明の抵抗素子を内蔵した半導体集積回路の第2の実施例の模式断面図である。この例では抵抗素子の高濃度不純物領域6上にシリコン窒化膜12を形成しているが、抵抗素子の低濃度不純物7上にはシリコン窒化膜を形成していない。この構造を実現するために抵抗素子のパターニング形成とシリコン窒化膜12のパターニング形成を別々にしており、図1の構造に比べ1フォトマスク工程の追加が必要となる。但しシリコン窒化膜のパターニング精度に影響されずに抵抗素子のパターニング形成ができるので、抵抗素子のエッチング時の抵抗幅の精度を向上させる事ができ、高精度の抵抗値をもつ抵抗素子を得ることが可能となる。さらに、抵抗素子と上層金属配線との寄生容量低減にも効果がある。
【0048】
図8は、本発明の抵抗素子を内蔵した半導体集積回路の第3の実施例の模式断面図である。この例では抵抗素子の上に形成するシリコン窒化膜12を、抵抗素子に十分オーバーラップするように広く形成している。そのため第2の実施例と同様に抵抗素子のパターニング形成時とシリコン窒化膜のパターニング形成を別々にしている。そして第2の実施例と同じく、シリコン窒化膜のパターニング精度に影響されずに抵抗素子のパターニング形成ができるので、抵抗素子のエッチング時の抵抗幅の精度を向上させる事ができ、高精度の抵抗値をもつ抵抗素子を得ることが可能となる。
【0049】
図9は、本発明の抵抗素子を内蔵した半導体集積回路の第4の実施例の模式断面図である。この例では図1において抵抗素子の上に形成する膜をシリコン窒化膜としていたものを、不純物を含まない多結晶シリコン膜14としている。この多結晶シリコン膜は不純物を注入していないため非常に高抵抗率であり、積層しても下地の抵抗素子の抵抗値を変動させるものではない。また、抵抗素子のパターニング形成時には、抵抗素子の多結晶シリコン膜とその上の多結晶シリコン膜を同時に同じエッチング条件でエッチングすることができるため第1の実施例に比べエッチング処理工程数を減らす事が出来、工程削減による低コスト化に効果的であると同時に、抵抗幅の加工精度も高く高精度の抵抗値をもつ抵抗素子を得る事ができる。
【0050】
また第5の実施例として、第4の実施例では抵抗素子上に形成していた膜は不純物を含まない多結晶シリコン膜としていたものを、抵抗素子とは逆導電型の不純物を有する多結晶シリコン膜とすることが可能である。抵抗素子を構成する多結晶シリコン膜と、その上に被覆する多結晶シリコン膜はお互いが逆導電型の不純物をもつので電気的絶縁性が保たれ、下地の抵抗素子の抵抗値がその上の多結晶シリコン膜の被覆により変動することはない。
【0051】
またさらに抵抗素子上の膜については、中間絶縁膜に対しエッチング選択比が高く、下地の抵抗素子に対し絶縁性が十分に保たれればよく、シリコン窒化膜や多結晶シリコン膜に限定されるものではない。すなわち様々な金属酸化物や金属窒化物、炭素化合物なども選択することができる。
【0052】
また本発明における抵抗素子を構成する膜については多結晶シリコン膜に限定されるものではなく、CrSiやCrSiN、CrSiOさらにはNiCr、TiNなどの金属薄膜など、およそ500Å以下のような非常に薄く、そのまま多結晶シリコン膜からなる抵抗素子を置き換えると、コンタクトホールがエッチング処理時に突き抜けてしまうような抵抗用の薄膜にも同様に応用できる事はいうまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1 半導体基板
2 分離用酸化膜
3 ゲート絶縁膜
4 ソース・ドレイン領域
5 ゲート電極
6 多結晶シリコン高濃度不純物領域
7 多結晶シリコン低濃度不純物領域
8 中間絶縁膜
9 コンタクトホール
10 金属配線
11 パッシベーション膜
12 シリコン窒化膜
13 ビアホール
14 多結晶シリコン薄膜
15 層間絶縁膜
101 抵抗素子
102 MISFET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗回路と絶縁ゲート電界効果型トランジスタとを有する半導体装置であって、
前記抵抗回路は、
半導体基板の表面に設けられた分離用酸化膜の上に配置された第1の薄膜で構成される抵抗素子と、
前記抵抗素子上に形成した第2の薄膜と、
前記第2の薄膜上に形成した中間絶縁膜と、
前記第2の薄膜を貫通し、前記第1の薄膜に達する深さの前記中間絶縁膜に設けられた前記抵抗素子上のコンタクトホールと、
前記コンタクトホール上に形成した金属配線と、
からなり、
前記絶縁ゲート電界効果型トランジスタは、前記分離用酸化膜によって周囲を囲まれた前記半導体基板の領域に設けられている、
ことを特徴とする抵抗回路を有する半導体装置。
【請求項2】
前記第2の薄膜が前記第1の薄膜上であって、前記第1の薄膜で構成される抵抗素子と平面的に同一形状であることを特徴とする請求項1記載の抵抗回路を有する半導体装置。
【請求項3】
前記第2の薄膜が、前記第1の薄膜上であって、前記コンタクトホールを含む離間した領域に形成されていることを特徴とする請求項1記載の抵抗回路を有する半導体装置。
【請求項4】
前記第2の薄膜が、前記第1の薄膜上であって、前記第1の薄膜で構成される抵抗素子を含み抵抗素子より広い領域に形成されていることを特徴とする請求項1記載の抵抗回路を有する半導体装置。
【請求項5】
前記第1の薄膜の厚さが500Å以下であることを特徴とする請求項1から4記載の抵抗回路を有する半導体装置。
【請求項6】
前記第1の薄膜が第1の多結晶シリコン膜であり、不純物濃度が1×1015から5×1019atoms/cm3の範囲の第1の導電型の不純物を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の抵抗回路を有する半導体装置。
【請求項7】
前記第1の薄膜がCrSiまたはCrSiNまたはCrSiOまたはNiCrまたはTiNの薄膜であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の抵抗回路を有する半導体装置。
【請求項8】
前記第2の薄膜が前記第1の多結晶シリコンとは逆の導電型の不純物を含む第2の多結晶シリコン膜であることを特徴とする請求項6記載の抵抗回路を有する半導体装置。
【請求項9】
前記第2の薄膜が不純物を含まない第2の多結晶シリコン膜であることを特徴とする請求項6記載の抵抗回路を有する半導体装置。
【請求項10】
前記第2の薄膜がシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の抵抗回路を有する半導体装置。
【請求項11】
前記第2の薄膜が150Åから350Åの膜厚であることを特徴とする請求項10記載の抵抗回路を有する半導体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−191091(P2012−191091A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54902(P2011−54902)
【出願日】平成23年3月13日(2011.3.13)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】