説明

振動片、振動子、発振器及び電子機器

【課題】 振動片の発振周波数の合わせ込みが容易で、振動片の目標周波数調整への分解能が向上する振動片、これを有する振動子、この振動子を備える発振器及び電子機器を提供すること。
【解決手段】 基部110と、前記基部から突出して形成されている振動腕部121,122と、前記振動腕部の表面部101及び/又は裏面部102に形成される溝部123,124と、前記振動腕部に形成される微調用電極部128a、129aと、を備える振動片であって、前記微調用電極部は、前記振動腕部の右側面部及び左側面部、並びに表面部又は裏面部に配置され、前記表面部では前記微調用電極部が一定の間隔を設けて複数配置されていると共に、前記裏面部では、前記表面部で前記微調用電極部が形成されている部分に対応する部分を回避して前記微調用電極部が複数配置されていることで振動片を構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば水晶等からなる振動片、この振動片を有する振動子、この振動子を備える発振器や電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、振動片である音叉型水晶振動片は、例えば図14に示すように構成されている。すなわち、音叉型水晶振動片10は、基部11と、この基部11から突出して形成されている2本の振動腕部12,13を有している。そして、この2本の振動腕部12,13には、図14に示すように、溝12a,13aが表面及び裏面に形成されている。また、このように溝12a,13aが設けられている振動腕部12,13の先端部には粗調用電極14,15と微調用電極16,17が、それぞれ配置されている。
【0003】このような粗調用電極14,15と微調用電極16,17は、例えば図15及び図16に示すように形成されている。図15は、図14のA−A’線拡大概略断面図であり、図16は、図14のB−B’線拡大概略断面図である。図15に示すように、振動腕部12の表面にCr(クロム)膜とAu(金)膜が形成され、振動腕部12の表面(図において上部)にAuの重りが配置されることにより、粗調用電極14,15が構成されている。一方、図16に示すように、振動腕部12の表面にCr膜とAu膜を配置することで、微調用電極16,17は構成されている。このように構成される粗調用電極14,15と微調用電極16,17は、音叉型水晶振動片10の周波数を例えば32.768kHzに調整するための電極である。
【0004】具体的には、先ず、粗調用電極14,15と微調用電極16,17を配置した状態で、音叉型水晶振動片10を共振回路で発振させ、周波数を測定する。そして、この測定された周波数と目標周波数である32.768KHzとの差を出す。このとき、音叉型水晶振動片10の周波数は目標周波数より、低くなるように粗調用電極14,15等が配置されている。次に、この測定された周波数と目標周波数との差に基づき、粗調用電極14,15にYAGレーザを照射し、粗調用電極14,15のAu重り(図15参照)側の部分を除去する。ここで、Au重り等にYAGレーザを照射するとAu重り等の付加質量が減じ、振動片全体の周波数が高くなるようになっている。
【0005】また、粗調用電極14,15には、質量のあるAu重りがついているため、ワンスポット当りのYAGレーザ照射による電極除去量(質量減少量)が大きくなるため、速やかに、周波数を上げることができ、具体的には周波数を32.768KHz近傍まで上げることができる。このように、32.768KHz近傍まで、周波数を近づけた後、次に、周波数のねらい値まで、周波数を合わせ込む。このとき、微調用電極16,17に対してYAGレーザを照射するが、ワンスポット当りの電極除去量(質量減少量)が小さいため、より精密に周波数を調整することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このように溝12a,13aを有する32.768kHzの周波数となる音叉型水晶振動片10は、小型で高性能な振動片である。したがって、音叉型水晶振動片10の振動腕部12,13も小型に形成されている。そして、この振動腕部12,13に配置する微調用電極16,17も小さく形成されている。また、このような振動腕部12、13の表面側(図16において上側)の微調用電極16,17の表面側(図16において上側)に対してスポット径を例えば20μmでYAGレーザを照射して周波数を調整しようとすると、レーザは水晶等からなる振動腕部12,13を通って裏面側に達し、裏面側(図16において下側)の微調用電極16,17も除去してしまうことになる。
【0007】このように裏面側の微調用電極16,17も同時に除去してしまうと、電極を除去しすぎて微調整が困難となり、正確に音叉型水晶振動片10の発振周波数を32.768kHzまで合わせ込むことが困難となっていた。これは、音叉型水晶振動片10の目標周波数調整への分解能が著しく低下することを意味し、製造工程において音叉型水晶振動片10の不良が多く発生してしまうという問題があった。
【0008】そこで、本発明は上記問題に鑑み、振動片の発振周波数の合わせ込みが容易で、振動片の目標周波数調整への分解能が向上する振動片、これを有する振動子、この振動子を備える発振器及び電子機器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的は、請求項1の発明によれば、基部と、前記基部から突出して形成されている振動腕部と、前記振動腕部の表面部及び/又は裏面部に形成される溝部と、前記振動腕部に形成される微調用電極部と、を備える振動片であって、 前記微調用電極部は、前記振動腕部の表面部又は裏面部に配置され、前記表面部では前記調整用電極部が一定の間隔を設けて複数配置されていると共に、前記裏面部では、前記表面部で前記調整用電極部が形成されている部分に対応する部分を回避して前記調整用電極部が複数配置されていることを特徴とする振動片により達成される。
【0010】請求項1に構成によれば、前記表面部では前記調整用電極部が一定の間隔を設けて複数配置されていると共に、前記裏面部では、前記表面部で前記調整用電極部が形成されている部分に対応する部分を回避して前記調整用電極部が複数配置されている。したがって、例えば前記表面部の前記調整用電極部に対してレーザ等を照射して調整用電極部を除去しても、前記裏面側には調整用電極部が配置されていないので、必要以上に調整用電極部を除去することがない。また、前記裏面部に配置されている前記調整用電極部に対してレーザ等を照射して調整用電極部を除去しても、前記表面側に調整用電極部が配置されないので、必要以上に調整用電極部を除去することがない。このため、振動片の発振周波数を所定の範囲内に正確に合わせ込むことが容易となり、振動片の目標周波数調整への分解能が向上し、製造工程において振動片の不良が発生を未然に防止することができる。また、前記振動腕部の前記表面部及び前記裏面部の双方に前記調整用電極部がされ、いずれか一方側に偏って前記調整用電極部が形成されていないので、振動片の温度特性、ドライブ特性が安定し、振動片間のCI値(クリスタルインピーダンス又は等価直列抵抗)のバラツキを小さくすることができる。
【0011】好ましくは、請求項2の発明によれば、請求項1の構成において、前記振動腕部の前記微調用電極部の近傍に粗調用電極部が形成されていることを特徴とする振動片である。請求項2の構成によれば、前記振動腕部の前記微調用電極部の近傍に粗調用電極部が形成されているので、微調用電極を用いた周波数微調整の前に、前記粗調用電極部で大きく周波数を変化させて周波数調整をすることができる。したがって、微調用電極部のみで周波数調整を行うより、より効率よく発振周波数調整を行うことができる。
【0012】好ましくは、請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2の構成において、前記粗調用電極部及び前記微調用電極部は、前記溝部が形成されている前記振動腕部の部分より先端部寄りに配置されていることを特徴とする振動片である。請求項3の構成によれば、前記粗調用電極部及び前記微調用電極部は、前記溝部が形成されている前記振動腕部の部分より先端部寄りに配置されているので、例えばレーザ等で溝部等に配置されている電極を破壊することなく発振周波数調整を円滑に行うことができる。また、前記粗調用電極部と前記微調用電極部の位置が相違するので、例えばレーザ等を誤って違う電極部に照射することを容易に防ぐことができる。
【0013】好ましくは、請求項4の発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれかの構成において、前記微調用電極部は、前記粗調用電極部以外の電極と略同一の膜厚であることを特徴とする振動片である。
【0014】好ましくは、請求項5の発明によれば、請求項2乃至請求項4の構成において、前記粗調用電極部がAu(金)重りを有すると共に、前記微調用電極部がCr(クロム)膜及びAu(金)膜のみにより形成されていることを特徴とする振動片である。請求項5の構成によれば、前記粗調用電極部がAu(金)重りを有すると共に、前記微調用電極部がCr(クロム)膜及びAu(金)膜のみにより形成されているので、大きく周波数を変化する場合は、前記Au重り等を例えばレーザトリミングし、発振周波数調整のねらい周波数(目標周波数)までの微小周波数調整では、前記Au膜及びCr膜をレーザトリミングすることで、効率よく周波数調整を行うことができる。
【0015】好ましくは、請求項6の発明によれば、請求項1乃至請求項5の構成によれば、前記基部には、前記振動片を固定させるための固定領域が形成され、この固定領域と前記振動腕部との間の基部に切り込み部が設けられていることを特徴とする振動片である。請求項6の構成によれば、前記切り込み部は、前記固定領域と前記振動腕部との間の基部に設けられている。したがって、この切り込み部は、前記振動腕部の振動の妨げにならない位置に配置されていると共に、振動漏れが前記固定領域へ伝わり、エネルギーの逃げが生じるのを有効に防止している。このため、振動片、素子間のCI値(クリスタルインピーダンス又は等価直列抵抗)のバラツキを小さくすることができる。
【0016】好ましくは、請求項7の発明によれば、請求項1乃至請求項6のいずれかの構成において、前記振動片が略30KHz乃至略40KHzで発振する水晶で形成されている音叉型振動片であることを特徴とする振動片である。請求項7の構成によれば、前記振動片が略30KHz乃至略40KHzで発振する水晶で形成されている小型の音叉型振動片においても請求項1乃至請求項6の作用等を奏させることができる。
【0017】前記目的は、請求項8の発明によれば、基部と、前記基部から突出して形成されている振動腕部と、前記振動腕部の表面部及び/又は裏面部に形成される溝部と、前記振動腕部に形成される微調用電極部と、を備える振動片がパッケージ内に収容されている振動子であって、前記振動片の前記微調用電極部は、前記振動腕部の表面部又は裏面部に配置され、前記表面部では前記調整用電極部が一定の間隔を設けて複数配置されていると共に、前記裏面部では、前記表面部で前記調整用電極部が形成されている部分に対応する部分を回避して前記調整用電極部が複数配置されていることを特徴とする振動子により達成される。
【0018】請求項8の構成によれば、前記振動片の前記表面部では前記調整用電極部が一定の間隔を設けて複数配置されていると共に、前記裏面部では、前記表面部で前記調整用電極部が形成されている部分に対応する部分を回避して前記調整用電極部が複数配置されている。したがって、例えば前記表面部の前記調整用電極部に対してレーザ等を照射して調整用電極部を除去しても、前記裏面側には調整用電極部が配置されていないので、必要以上に調整用電極部を除去することがない。また、前記裏面部に配置されている前記調整用電極部に対してレーザ等を照射して調整用電極部を除去しても、前記表面側に調整用電極部が配置されないので、必要以上に調整用電極部を除去することがない。このため、振動片の発振周波数を所定の範囲内に正確に合わせ込むことが容易となり、振動片の目標周波数調整への分解能が向上し、製造工程において振動片の不良が発生を未然に防止することができる振動子となる。また、前記振動腕部の前記表面部及び前記裏面部の双方に前記調整用電極部がされ、いずれか一方側に偏って前記調整用電極部が形成されていないので、振動片の温度特性、ドライブ特性が安定し、振動片間のCI値(クリスタルインピーダンス又は等価直列抵抗)のバラツキを小さくすることができる振動子となる。
【0019】好ましくは、請求項9の発明によれば、請求項8の構成において、前記振動片の前記振動腕部の前記微調用電極部の近傍に粗調用電極部が形成されていることを特徴とする振動子である。請求項9の構成によれば、前記振動片の前記振動腕部の前記微調用電極部の近傍に粗調用電極部が形成されているので、微調用電極を用いた周波数微調整の前に、前記粗調用電極部で大きく周波数を変化させて周波数調整をすることができる。したがって、微調用電極部のみで周波数調整を行うより、より効率よく周波数調整を行うことができる振動子となる。
【0020】好ましくは、請求項10の発明によれば、請求項8又は請求項9の構成において、前記振動片の前記粗調用電極部及び前記微調用電極部は、前記溝部が形成されている前記振動腕部の部分より先端部寄りに配置されていることを特徴とする振動子である。請求項10の構成によれば、前記振動片の前記粗調用電極部及び前記微調用電極部は、前記溝部が形成されている前記振動腕部の部分より先端部寄りに配置されているので、例えばレーザトリミングで溝部等に配置されている電極を破壊することなく周波数調整を円滑に行うことができる。また、前記粗調用電極部と前記微調用電極部の位置が相違するので、例えばレーザ等を誤って違う電極部に照射することを容易に防ぐことができる振動子となる。
【0021】好ましくは、請求項11の発明によれば、請求項9又は請求項10の構成において、前記振動片の前記粗調用電極部がAu(金)重りを有すると共に、前記微調用電極部がCr(クロム)膜及びAu(金)膜のみにより形成されていることを特徴とする振動子である。請求項11の構成によれば、前記振動片の前記粗調用電極部がAu(金)重りを有すると共に、前記微調用電極部がCr(クロム)膜及びAu(金)膜のみにより形成されているので、大きく周波数を変化する場合は、前記Au重り等を例えばレーザトリミングし、周波数調整のねらい周波数(目標周波数)までの微小周波数調整では、前記Au膜及びCr膜をレーザトリミングすることで、効率よく周波数調整を行うことができる振動子である。
【0022】好ましくは、請求項12の発明によれば、請求項8乃至請求項11のいずれかの構成において、前記振動片の前記基部には、前記振動片を固定させるための固定領域が形成され、この固定領域と前記振動腕部との間の基部に切り込み部が設けられていることを特徴とする振動子である。請求項12の構成によれば、前記切り込み部は、前記固定領域と前記振動腕部との間の基部に設けられている。したがって、この切り込み部は、前記振動腕部の振動の妨げにならない位置に配置されていると共に、振動漏れが前記固定領域へ伝わり、エネルギーの逃げが生じるのを有効に防止している。このため、振動片、素子間のCI値バラツキを小さくすることができる振動子となる。
【0023】好ましくは、請求項13の発明によれば、請求項8乃至請求項12のいずれかの構成において、前記振動片が略30KHz乃至略40KHzで発振する水晶で形成されている音叉型振動片であることを特徴とする振動子である。請求項13の構成によれば、前記振動片が略30KHz乃至略40KHzで発振する水晶で形成されている小型の音叉型振動片においても請求項8乃至請求項12の作用等を奏させることができる。
【0024】好ましくは、請求項14の発明によれば、請求項8乃至請求項13の構成において、前記パッケージが箱状に形成されていることを特徴とする振動子である。
【0025】好ましくは、請求項15の発明によれば、請求項8乃至請求項13のいずれかの構成において、前記パッケージが所謂シリンダータイプに形成されていることを特徴とする振動子である。
【0026】請求項14又は請求項15の構成によれば、前記パッケージが箱状に形成されている振動子又は前記パッケージが所謂シリンダータイプに形成されている振動子においても、請求項8乃至請求項13の作用等を奏させることができる。
【0027】前記目的は、請求項16の発明によれば、基部と、前記基部から突出して形成されている振動腕部と、前記振動腕部の表面部及び/又は裏面部に形成される溝部と、前記振動腕部に形成される微調用電極部と、を備える振動片と集積回路がパッケージ内に収容されている発振器であって、前記振動片の前記微調用電極部は、前記振動腕部の表面部又は裏面部に配置され、前記表面部では前記調整用電極部が一定の間隔を設けて複数配置されていると共に、前記裏面部では、前記表面部で前記調整用電極部が形成されている部分に対応する部分を回避して前記調整用電極部が複数配置されていることを特徴とする発振器により達成される。
【0028】前記目的は、請求項17の発明によれば、基部と、前記基部から突出して形成されている振動腕部と、前記振動腕部の表面部及び/又は裏面部に形成される溝部と、前記振動腕部に形成される微調用電極部と、を備える振動片がパッケージ内に収容されている振動子であり、この振動子を制御部に接続して用いている電子機器であって、前記振動片の前記微調用電極部は、前記振動腕部の表面部又は裏面部に配置され、前記表面部では前記調整用電極部が一定の間隔を設けて複数配置されていると共に、前記裏面部では、前記表面部で前記調整用電極部が形成されている部分に対応する部分を回避して前記調整用電極部が複数配置されていることを特徴とする電子機器により達成される。
【0029】請求項16又は請求項17の構成によれば、前記振動片の前記表面部では前記調整用電極部が一定の間隔を設けて複数配置されていると共に、前記裏面部では、前記表面部で前記調整用電極部が形成されている部分に対応する部分を回避して前記調整用電極部が複数配置されている。したがって、例えば前記表面部の前記調整用電極部に対してレーザ等を照射して調整用電極部を除去しても、前記裏面側には調整用電極部が配置されていないので、必要以上に調整用電極部を除去することがない。また、前記裏面部に配置されている前記調整用電極部に対してレーザ等を照射して調整用電極部を除去しても、前記表面側に調整用電極部が配置されないので、必要以上に調整用電極部を除去することがない。このため、振動片の発振周波数を所定の範囲内に正確に合わせ込むことが容易となり、振動片の目標周波数調整への分解能が向上し、製造工程において振動片の不良が発生を未然に防止することができる発振器又は電子機器となる。また、前記振動腕部の前記表面部及び前記裏面部の双方に前記調整用電極部がされ、いずれか一方側に偏って前記調整用電極部が形成されていないので、振動片の温度特性、ドライブ特性が安定し、振動片間のCI値(クリスタルインピーダンス又は等価直列抵抗)のバラツキを小さくすることができる発振器又は電子機器となる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0031】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第1の実施の形態に係る振動片である音叉型水晶振動片100の表面部101を示す概略図である。図2は図1の音叉型水晶振動片100の裏面部102を示す概略図である。音叉型水晶振動片100は、例えば所謂水晶Z板となるように水晶の単結晶を切り出して形成されている。また、図1に示す音叉型水晶振動片100は例えば32.768KHzで信号を発信する振動片であるため、極めて小型の振動片となっている。このような音叉型水晶振動片100は、図1に示すように、基部110を有している。そして、この基部110から図において上方向に突出するように振動腕部である音叉腕121,122が2本配置されている。この音叉腕121,122のそれぞれの幅は、図1に示すように、例えば100μm程度に形成されている。
【0032】また、この音叉腕121,122の表面部101と裏面部102には、溝部123,124が図1及び図2に示すように形成されているので、音叉腕121,122の断面は、略H型に形成されている。ところで、図1及び図2に示す音叉腕121、122に形成されている溝部123,124には、図1の斜線で示すように、溝部電極123a,124aがそれぞれ形成されている。また、図1の音叉腕121,122の側面には、側面電極が配置されている。また、音叉型水晶振動片100の基部110には、給電等を行う基部電極111も配置され、前記溝部電極123a、124a及び側面電極に電流を供給する構成となっている。
【0033】このように溝部123,124に溝電極123a、124aに配置され、音叉腕121,122の側面にも側面電極が配置されているため、溝部電極123a,124a及び側面電極に電圧を印加すると、音叉腕123,124内に効率良く電界が生じ、音叉腕123,124の振動損失が低くCI値も低い状態で振動が生じることになる。特に、上述にように図1に示す音叉型水晶振動片100は、周波数が32.768KHzの小型の振動片であるが、このような振動片でも、振動損失が低く、CI値も低い高性能な振動片となっている。
【0034】ところで、このような音叉型水晶振動片100の周波数は上述のとおり32.768kHzであるが、このような周波数に合わせ込むための電極が、図1の音叉型水晶振動片100の音叉腕121,122には設けられている。具体的には、図1に示すように音叉腕121,122の溝123,124が形成されていない領域、すなわち音叉腕121,122の先端側に、粗調用電極部126,127と微調用電極領域128,129とが形成されている。
【0035】この粗調用電極部126,127は、図1に示すように音叉腕121,122の先端部から例えば400μmの長さで形成され、続いて微調用電極領域128,129が例えば200μmの長さで配置されている。
【0036】図3は、図1のC−C’線概略拡大断面図である。すなわち、音叉腕122の粗調用電極部126の形成領域の概略拡大断面図である。音叉腕121については、音叉腕122と同様なので、その説明を省略し、音叉腕122についてのみ、以下、説明する。図3に示すように、音叉腕122は、その断面が四角形を成し、例えばその表面部101、右側面部、左側面部、そして裏面部102を覆うようにCr膜が300Å乃至1000Åの厚みで形成されている。また、このCr膜の上には例えば500Å乃至1000Åの厚みでAu膜が形成されている。また、音叉腕122の表面部101側には、Cr膜及びAu膜を介してAu重りが配置され、このAu重りは、例えば3000Å乃至10000Åの厚みで形成されている。このように粗調用電極部125は、Cr膜、Au膜及びAu重りによって形成されている。
【0037】一方、音叉腕121の表面部101側の微調用電極領域128には、図1に示すように微調用電極部128aが複数、例えば5個一定の間隔を設けてそれぞれが離間して形成されている。音叉腕122も同様のため、説明を省略する。また、図2に示すように、音叉腕121の裏面部102側の微調用電極領域128にも、微調用電極部128aが複数、例えば5個、一定の間隔を設けて配置されている。図4は、図1及び図2の微調用電極領域128を示す概略拡大図である。図4に示すように表面部101側の微調用電極部128aに対応する部分を回避して裏面部102側には、微調用電極部128aが形成されている。すなわち、表面部101側の微調用電極部128aが形成されていない部分に対応する裏面部102側には微調用電極部128aが形成される構成となっている。このように、音叉腕121の微調用電極部128aは表面部101及び裏面部102で縞状に配置されている。
【0038】図5は、図4のD−D’線概略断面図である。図5に示すように、音叉腕121の表面部101、右側面部、左側面部には、微調用電極部128aが配置されている。具体的には、音叉腕121には、先ずCr膜が例えば300Å乃至1000Åの厚みで形成され、その上にAu膜が例えば500Å乃至1000Åの厚みで形成されている。しかし、音叉腕121の裏面部102には、Cr膜やAu膜が形成されていない。
【0039】一方、図6は、図4のE−E’線概略断面図である。図6に示すように、音叉腕121の裏面部102、右側面部、左側面部には、微調用電極部128aが配置されている。具体的には、音叉腕121には、先ずCr膜が例えば300Å乃至1000Åの厚みで形成され、その上にAu膜が例えば500Å乃至1000Åの厚みで形成されている。しかし、音叉腕121の表面部101には、Cr膜やAu膜が形成されていない。
【0040】このように音叉腕121に表面部101及び裏面部102に微調用電極部128aを縞状に形成すると、例えば音叉腕121の表面部101の微調用電極部128aに、後述するYAGレーザを照射して周波数の微調整をする際に、裏面側102の微調用電極部128aが除去されないため、発振周波数の微調整がし易く音叉型水晶振動片100の発振周波数のバラツキが小さくなる。また、このように形成される微調用電極部128aの厚みは、粗調用電極部125以外の音叉型水晶振動片100の電極である溝部電極123a、124a、側面電極や基部電極111等と略同一の膜厚となっている。
【0041】ところで、上記音叉型水晶振動片100の基部110は、図1に示すように、その全体が略板状に形成されている。そして、この基部110には、図1に示すように基部110の両側に切り込み部112が2箇所設けられている。この切り込み部112,112の位置は、図1に示すように音叉腕121,122の溝123,124の下端部より下方に配置されるので、この切り込み部112の存在が、音叉腕部121、122の振動を阻害等することがない。
【0042】また、音叉型水晶振動片100をパッケージにおいて固定する際に実際に固定される領域が図1の固定領域113である。図1に示すように、切り込み部112の下端部は、固定領域113より図1の上方に配置されるので、切り込み部112が固定領域113に影響を及ぼすことがなく、音叉型水晶振動片100のパッケージに対する固定状態に悪影響を与えることがないように構成されている。
【0043】このように、基部110に設けられた切り込み部112は、音叉型水晶振動片100の音叉腕121,122の振動に悪影響を与えることがない位置に設けられている。そして、更に、切り込み部112は、音叉型水晶振動片100のパッケージに対する固定状態に悪影響を与えることがない位置にも設けられている。このような位置に設けられている切り込み部112は、音叉腕121,122の溝123,124の位置より下方の基部110側に設けられている。このため、音叉腕121,122の振動により、溝123,124から漏れてきた漏れ振動は、切り込み部112により、基部110の固定領域113に伝わり難くなる。したがって、漏れ振動が固定領域113に伝わり難くなり、これによりエネルギー逃げが生じ難くなる。そして、従来のCI値の振動片素子間のばらつきは、標準偏差で10KΩ以上発生していたが、本実施の形態では、標準偏差は1KΩに激減した。
【0044】本実施の形態の音叉型水晶振動片100の目標周波数である例えば32.768KHzに合わせ込む周波数調整工程について以下、説明する。図1に示すような音叉型水晶振動片100を振動子のパッケージ等に封止する前に発振周波数の調整を行う。具体的には、先ず、音叉型水晶振動片100を共振回路で共振させ、周波数を測定する。このときの周波数は、音叉型水晶振動片100に付加質量となる粗調用電極部126、127や微調用電極128,129を配置しているため、目標周波数である32.768KHzに比べ大きく下回る周波数となる。
【0045】この状態で、周波数調整を行い、目標周波数である32.768KHzに合わせ込むことになる。具体的には、YAGレーザ等の低出力のレーザを粗調用電極部126,127や微調用電極部128,129に照射し、電極を除去し、付加質量を減じることで、周波数が上昇することを利用して行う。周波数調整工程は、具体的には、粗調整工程と微調整工程とに分かれる。
【0046】(粗調整工程)粗調整工程は、レーザを図1R>1の粗調用電極部126,127のAu重り(3000Å乃至10000Å厚で形成)に対して照射する。音叉型水晶振動片100の音叉腕121,122の先端部は、レーザワンスポット当りの除去量(質量減少量)が大きく、例えば20μm径のレーザで、ワンスポット当り20ppmの周波数変化がある。このような粗調用電極126,127に対して、図7に示すようにレーザを照射し、トリミングを行い、目標周波数の32.768KHz近傍まで周波数を合わせ込む。
【0047】(微調整工程)レーザは、図7に示すように例えば、音叉腕121,122の微調用電極領域128、129の表面部101側の微調用電極128a、129aに照射される。そして、音叉型水晶振動片100の目標周波数である32.768KHzに精度良く合わせ込むことになる。このように目標周波数に合わせ込みを行うのであるが、音叉型水晶振動片100の音叉腕121,122に配置されている微調用電極部128a、129aには、スポット毎のスポット径が微妙に相違することになる。
【0048】すなわち、図8に示すように、レーザ光に対する音叉腕121,122の姿勢がばらつくためレーザの照射距離(発光源からの距離)が変化する。具体的には、レーザ光を絞りスポット径の小さなものを使うと焦点深度が浅くなり、音叉腕121,122の姿勢の違いによって焦点の合っているもの、焦点ズレぎみのものなどでレーザスポット径が変化する。スポット径がばらつくことにより、トリミング量がばらつくことになり、ワンスポット当りの周波数変化にばらつきが生じる。
【0049】このため、ワンスポット当りの周波数のばらつきを小さくするためには、ワンスポット当りのトリミング量(=周波数変化量)を小さくする必要がある。従来は、図16で示すように振動腕部12,13の両面にCr膜、Au膜が形成されていたが、本実施の形態では、図4に示すように音叉腕121,122の表面部101又は裏面部102のみにCr膜、Au膜が形成されている。そして、Cr膜、Au膜が形成されている場合、それに対応する反対側の面(表面部101又は裏面部102)には、Cr膜、Au膜が形成されていない。したがって、両面にCr膜、Au膜がある場合、レーザ照射によって両面同時にトリミングされることになるが、本実施の形態では片面のみしかCr膜、Au膜がないためレーザワンスポット当りのトリミング量を半分にすることができる。
【0050】このようにすることによって、たとえレーザスポット径にばらつきが生じても、レーザワンスポット当りの周波数変化量を小さくすることができるため、最終周波数の精度を向上できる。また、本実施の形態の音叉型水晶振動片100では、微調用電極128a、129aが図4に示すように音叉腕121,122の表面部101及び裏面部102の双方に配置され、いずれか一方のみに配置されているものではない。したがって、音叉腕121,122の表面部101又は裏面部102のいずれか一方のみに偏って微調用電極部128a、129aが形成されるより、音叉型水晶振動片100の温度特性、ドライブ特性が安定し、音叉型水晶振動片間のCI値(クリスタルインピーダンス又は等価直列抵抗)のバラツキを小さくすることができる。
【0051】図9(a)は、本実施の形態に係る微調用電極部128a、129aを有する音叉型水晶振動片100で発振周波数の調整を行った場合のドライブ特性を示すグラフである。図9(b)は、従来の微調用電極部を有する音叉型水晶振動片で発振周波数の調整を行った場合のドライブ特性を示すグラフである。図9のグラフに示すように、最終周波数への合わせ込みが正確にでき、ドライブ特性が安定していることがわかる。したがって、調整された音叉型水晶振動片100間のCI値のバラツキも小さい優れた音叉型水晶振動片100となる。また、音叉型水晶振動片100の発振周波数の合わせ込みが容易なため、目標周波数への分解能も向上することになる。
【0052】(第2の実施の形態)図10は、本発明の第2の実施の形態に係る振動子であるセラミックパッケージ音叉型振動子200を示す図である。このセラミックパッケージ音叉型振動子200は、上述の第1の実施の形態の音叉型水晶振動片100を用いている。したがって、音叉型水晶振動片100の構成、作用等については、同一符号を用いて、その説明を省略する。図10は、セラミックパッケージ音叉型振動子200の構成を示す概略断面図である。図10に示すようにセラミックパッケージ音叉型振動子200は、その内側に空間を有する箱状のパッケージ210を有している。このパッケージ210には、その底部にベース部211を備えている。このベース部211は、例えばアルミナ等のセラミックス等で形成されている。
【0053】ベース部211上には、封止部212が設けられており、この封止部212は、ベース部211と同様の材料から形成されている。また、この封止部212の上端部には、蓋体213が載置され、これらベース部211、封止部212及び蓋体213で、中空の箱体を形成することになる。このように形成されているパッケージ210のベース部211上にはパッケージ側電極214が設けられている。このパッケージ側電極214の上には導電性接着剤等を介して音叉型水晶振動片100の基部110の固定領域113が固定されている。この音叉型水晶振動片100は、図1に示すように構成されているため、周波数調整の分解能を上げることができ、振動片間のCI値のバラツキを抑えることができ、そして、目標周波数である32.768KHzに精度良く合わせ込むことができる振動片である。したがって、この振動片を搭載したセラミックパッケージ音叉型振動子200も小型で振動片の最終周波数のバラツキが小さい高性能な振動子となる。
【0054】(第3の実施の形態)図11は、本発明の第3の実施の形態に係る電子機器であるデジタル携帯電話300を示す概略図である。このデジタル携帯電話300は、上述の第2の実施の形態のセラミックパッケージ音叉型振動子200と音叉型水晶振動片100とを使用している。したがって、セラミックパッケージ音叉型振動子200と音叉型水晶振動片100の構成、作用等については、同一符号を用いる等して、その説明を省略する。図11はデジタル携帯電話300の回路ブロックを示しているが、図11に示すように、デジタル携帯電話300で送信する場合は、使用者が、自己の声をマイクロフォンに入力すると、信号はパルス幅変調・符号化のブロックと変調器/復調器のブロックを経てトランスミッター、アンテナスイッチを開始アンテナから送信されることになる。
【0055】一方、他人の電話から送信された信号は、アンテナで受信され、アンテナスイッチ、受信フィルターを経て、レシーバーから変調器/復調器ブロックに入力される。そして、変調又は復調された信号がパルス幅変調・符号化のブロックを経てスピーカーに声として出力されるようになっている。このうち、アンテナスイッチや変調器/復調器ブロック等を制御するためのコントローラが設けられている。このコントローラは、上述の他に表示部であるLCDや数字等の入力部であるキー、更にはRAMやROM等も制御するため、高精度であることが求められる。また、デジタル携帯電話300の小型化の要請もある。このような要請に合致するものとして上述のセラミックパッケージ音叉振動子200が用いられている。
【0056】このセラミックパッケージ音叉型振動子200は、図1に示す音叉型水晶振動片100を有するため、周波数調整の分解能を上げることができ、振動片間のCI値のバラツキを抑えることができ、そして、目標周波数である32.768KHzに精度良く合わせ込むことができる振動子である。したがって、このセラミックパッケージ音叉型振動子200を搭載したデジタル携帯電話300も小型で振動片の最終周波数のバラツキが小さい高性能なデジタル携帯電話となる。
【0057】(第4の実施の形態)図12は、本発明の第4の実施の形態に係る発振器である音叉水晶発振器400を示す図である。このデジタル音叉水晶発振器400は、上述の第2の実施の形態のセラミックパケージ音叉型振動子200と多くの部分で構成が共通している。したがって、セラミックパケージ音叉型振動子200と音叉型水晶振動片100の構成作用等については、同一符号を用いて、その説明を省略する。
【0058】図12に示す音叉型水晶発振器400は、図10に示すセラミックパッケージ音叉振動子200の音叉型水晶振動片100の下方で、ベース部211の上に、図12に示すように集積回路410を配置したものである。すなわち、音叉水晶発振器400では、その内部に配置された音叉型水晶振動片100が振動すると、その振動は、集積回路410に入力され、その後、所定の周波数信号を取り出すことで、発振器として機能することになる。また、音叉水晶発振器400に収容されている音叉型水晶振動片100は、図1に示すように構成されているため、周波数調整の分解能を上げることができ、振動片間のCI値のバラツキを抑えることができ、そして、目標周波数である32.768KHzに精度良く合わせ込むことができる振動片である。したがって、この振動片を搭載したデジタル音叉水晶発振器400も小型で振動片の最終周波数のバラツキが小さい高性能な発振器となる。
【0059】(第5の実施の形態)図13は、本発明に第5の実施の形態に係る振動子であるシリンダータイプ音叉振動子500を示す図である。このシリンダータイプ音叉振動子500は、上述の第1の実施の形態の音叉型水晶振動片100を使用している。したがって、音叉型水晶振動片100の構成作用等については、同一符号を用いる等して、その説明を省略する。図13は、シリンダータイプ音叉振動子500の構成を示す概略図である。図12に示すようにシリンダータイプ音叉振動子500は、その内部に音叉型水晶振動片100を収容するための金属製のキャップ530を有している。このキャップ530は、ステム520に対して圧入され、その内部が真空状態に保持されるようになっている。
【0060】また、キャップ530に収容された音叉型水晶振動片100を保持するためのリード510が2本配置されている。このようなシリンダータイプ音叉振動子500に外部より電流等を印加すると音叉型水晶振動片100の音叉腕121,122が振動し、振動子として機能することになる。このとき、音叉型水晶振動片100は、図1に示すように構成されているため、周波数調整の分解能を上げることができ、振動片間のCI値のバラツキを抑えることができ、そして、目標周波数である32.768KHzに精度良く合わせ込むことができる振動片である。したがって、この振動片を搭載したシリンダータイプ音叉振動子500も小型で振動片の最終周波数のバラツキが小さい高性能な振動子となる。
【0061】また、上述の各実施の形態では、32.768kHの音叉型水晶振動子を例に説明したが、15kH乃至155kHの音叉型水晶振動子に適用できることは明らかである。なお、上述の実施の形態に係る音叉型水晶振動片100は、上述の例のみならず、他の電子機器、携帯情報端末、さらに、テレビジョン、ビデオ機器、所謂ラジカセ、パーソナルコンピュータ等の時計内蔵機器及び時計にも用いられることは明らかである。さらに、本発明は、上記実施の形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。そして、上記実施の形態の構成は、その一部を省略したり、上述していない他の任意の組み合わせに変更することができる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、振動片の発振周波数の合わせ込みが容易で、振動片の目標周波数調整への分解能が向上する振動片、これを有する振動子、この振動子を備える発振器及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る振動片である音叉型水晶振動片の表面部を示す概略図である。
【図2】 図1の音叉型水晶振動片の裏面部を示す概略図である。
【図3】 図1のC−C’線概略拡大断面図である。
【図4】 図1及び図2の微調用電極領域を示す概略拡大図である。
【図5】 図4のD−D’線概略断面図である。
【図6】 図4のE−E’線概略断面図である。
【図7】 粗調用電極や微調用電極に対して、レーザを照射し、トリミングする状態を示す概略説明図である。
【図8】 レーザ光に対する音叉腕の姿勢がばらつくためレーザの照射距離が変化する状態を示す概略説明図である。
【図9】 (a)は、本実施の形態に係る微調用電極部を有する音叉型水晶振動片で発振周波数の調整を行った場合のドライブ特性を示すグラフである。(b)は、従来の微調用電極部を有する音叉型水晶振動片で発振周波数の調整を行った場合のドライブ特性を示すグラフである。
【図10】 本発明の第2の実施の形態に係るセラミックパッケージ音叉型振動子の構成を示す概略断面図である。
【図11】 本発明の第3の実施の形態に係るデジタル携帯電話の回路ブロックを示す概略図である。
【図12】 本発明の第4の実施の形態に係る音叉水晶発振器の構成を示す概略断面図である。
【図13】 本発明の第5の実施の形態に係るシリンダータイプ音叉振動子の構成を示す概略断面図である。
【図14】 従来の音叉型水晶振動片を示す概略図である。
【図15】 図14のA−A’線概略断面図である。
【図16】 図14のB−B’線概略断面図である。
【符号の説明】
100・・・音叉型水晶振動片、101・・・表面部、102・・・裏面部、110・・・基部、111・・・基部電極、112・・・切込み部、113・・・固定領域、121、122・・・音叉腕、123、124・・・溝部、123a、123b・・・溝部電極、126,127・・・粗調用電極部、128,129・・・微調用電極領域、128a、129a・・・微調用電極部、200・・・セラミックパッケージ音叉振動子、210・・・パッケージ、211・・・ベース部、212・・・封止部、213・・・蓋体、214・・・パッケージ側電極、300・・・デジタル携帯電話、400・・・音叉水晶発振器、410・・・集積回路、500・・・シリンダータイプ音叉振動子、510・・・リード、520・・・ステム、530・・・キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基部と、前記基部から突出して形成されている振動腕部と、前記振動腕部の表面部及び/又は裏面部に形成される溝部と、前記振動腕部に形成される微調用電極部と、を備える振動片であって、前記微調用電極部は、前記振動腕部の表面部又は裏面部に配置され、前記表面部では前記微調用電極部が一定の間隔を設けて複数配置されていると共に、前記裏面部では、前記表面部で前記微調用電極部が形成されている部分に対応する部分を回避して前記微調用電極部が複数配置されていることを特徴とする振動片。
【請求項2】 前記振動腕部の前記微調用電極部の近傍に粗調用電極部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の振動片。
【請求項3】 前記粗調用電極部及び前記微調用電極部は、前記溝部が形成されている前記振動腕部の部分より先端部寄りに配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の振動片。
【請求項4】 前記微調用電極部は、前記粗調用電極部以外の電極と略同一の膜厚であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の振動片。
【請求項5】 前記粗調用電極部がAu(金)重りを有すると共に、前記微調用電極部がCr(クロム)膜及びAu(金)膜のみにより形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4に記載の振動片。
【請求項6】 前記基部には、前記振動片を固定させるための固定領域が形成され、この固定領域と前記振動腕部との間の基部に切り込み部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の振動片。
【請求項7】 前記振動片が略30KHz乃至略40KHzで発振する水晶で形成されている音叉型振動片であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の振動片。
【請求項8】 基部と、前記基部から突出して形成されている振動腕部と、前記振動腕部の表面部及び/又は裏面部に形成される溝部と、前記振動腕部に形成される微調用電極部と、を備える振動片がパッケージ内に収容されている振動子であって、前記振動片の前記微調用電極部は、前記振動腕部の表面部又は裏面部に配置され、前記表面部では前記微調用電極部が一定の間隔を設けて複数配置されていると共に、前記裏面部では、前記表面部で前記微調用電極部が形成されている部分に対応する部分を回避して前記微調用電極部が複数配置されていることを特徴とする振動子。
【請求項9】 前記振動片の前記振動腕部の前記微調用電極部の近傍に粗調用電極部が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の振動子。
【請求項10】 前記振動片の前記粗調用電極部及び前記微調用電極部は、前記溝部が形成されている前記振動腕部の部分より先端部寄りに配置されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の振動子。
【請求項11】 前記振動片の前記粗調用電極部がAu(金)重りを有すると共に、前記微調用電極部がCr(クロム)膜及びAu(金)膜のみにより形成されていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の振動子。
【請求項12】 前記振動片の前記基部には、前記振動片を固定させるための固定領域が形成され、この固定領域と前記振動腕部との間の基部に切り込み部が設けられていることを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれかに記載の振動子。
【請求項13】 前記振動片が略30KHz乃至略40KHzで発振する水晶で形成されている音叉型振動片であることを特徴とする請求項8乃至請求項12のいずれかに記載の振動子。
【請求項14】 前記パッケージが箱状に形成されていることを特徴とする請求項8乃至請求項13のいずれかに記載に振動子。
【請求項15】 前記パッケージが所謂シリンダータイプに形成されていることを特徴とする請求項8乃至請求項13のいずれかに記載の振動子。
【請求項16】 基部と、前記基部から突出して形成されている振動腕部と、前記振動腕部の表面部及び/又は裏面部に形成される溝部と、前記振動腕部に形成される微調整用電極部と、を備える振動片と集積回路がパッケージ内に収容されている発振器であって、前記振動片の前記微調用電極部は、前記振動腕部の表面部又は裏面部に配置され、前記表面部では前記微調用電極部が一定の間隔を設けて複数配置されていると共に、前記裏面部では、前記表面部で前記微調用電極部が形成されている部分に対応する部分を回避して前記微調用電極部が複数配置されていることを特徴とする発振器。
【請求項17】 基部と、前記基部から突出して形成されている振動腕部と、前記振動腕部の表面部及び/又は裏面部に形成される溝部と、前記振動腕部に形成される微調用電極部と、を備える振動片がパッケージ内に収容されている振動子であり、この振動子を制御部に接続して用いている電子機器であって、前記振動片の前記微調用電極部は、前記振動腕部の表面部又は裏面部に配置され、前記表面部では前記微調用電極部が一定の間隔を設けて複数配置されていると共に、前記裏面部では、前記表面部で前記微調用電極部が形成されている部分に対応する部分を回避して前記微調用電極部が複数配置されていることを特徴とする電子機器。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図16】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2003−133885(P2003−133885A)
【公開日】平成15年5月9日(2003.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−323985(P2001−323985)
【出願日】平成13年10月22日(2001.10.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】