説明

接点の製作方法とその接点を持つ電子部品

この発明は、ケイ化物(5)などの第一の層とそれに隣接する層との間に、不活性化した境界面(6a,6b)を製作する方法に関する。この方法の間には、S、Se、Teなどの不活性化元素を、この層構造の中に組み入れるとともに、温度処理の間に、少なくとも第一の層の隣接層との境界面において濃縮させる。こうすることによって、ショットキー障壁を低下させるとともに、遷移域の仕事関数を調節すことに成功した。例えば、ソース接点とドレイン接点の両方又は一方のショットキー障壁が低い又はそれどころか負であるショットキー障壁MOSFETとスピントランジスターの素子を開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、接点の製作方法とそのような接点を備えた電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスにおいて、小さい接触抵抗を持つ金属−半導体オーム接点は、高濃度にドープしたシリコン上における、例えば、TiSi2 、CoSi2 、NiSiなどの金属・シリコン化合物、所謂ケイ化物を用いて実現されている。この高濃度にドープした領域を半導体基板において構成するためには、シリコン内へのドーピングの深さを、少なくとも50〜100ナノメートル又はそれ以上とする必要がある。イオン注入の際に用いられるドーピング元素、例えば、ヒ素やホウ素は、一定の幅で半導体内に分散される。その次の熱処理は、ドーピング元素を活性化させるとともに、これらのドーピング元素を半導体内に拡散させることとなる。
【0003】
そのことによって、不利には、不純物プロファイルが、少なくとも50ナノメートル、実際には最大で数百ナノメートルにまで広がってしまう。
【0004】
この結果、空間的に比較的大きな接点が出来上がって、それに対応した素子は、更に小さくすることができないこととなる。
【0005】
しかし、シリコン・ナノエレクトロニクスに関する、所謂ロードマップは、この不純物領域を更に低減又は縮小して、極めて平坦な金属−半導体遷移域を形成することを求めている。
【0006】
従って、ナノエレクトロニクス分野に関して、シリコンなどの半導体層上においてオーム性挙動を示す、階段形の、理想的には原子レベルで急峻な金属−半導体接点を製作するのが有利である。それは、特性が線形的であるI族−V族特性曲線を有し、その接触抵抗が出来る限り小さい接点を意味する。
【0007】
多くの用途に対して、ダイオードの挙動を持つ金属−半導体接点、所謂ショットキー接点が、大きな興味を持たれている。この接点は、ショットキー障壁に依存する非線形的なダイオード特性曲線を示す。このようなショットキー接点を製作する場合、ほぼ完全な、或いはそれどころか完全なオーム性挙動を持つ接点が出来上がるように、この障壁を低くすることが望ましい。
【0008】
オーム接点及びショットキー接点は、接点境界面上の未結合の結合手の密度を低減して、それにより電気的な特性を、又は光学的な特性をも改善するために、水素又は重水素雰囲気内での温度処理によって不活性化される。しかし、この種の不活性化は、不利には、ショットキー障壁ではなく、他の層に対する金属の仕事関数を変化させてしまう。更に、例えば、200〜300°Cの比較的低い温度で、水素が再び漏れ出して、そのために不活性化効果が再び高まるのが、不利である。
【0009】
従来技術では、金属に対する第一の結果が周知であり、その場合、周期表でVI族の元素(カルコゲン)を用いて、所定の純粋な金属と半導体との間の境界面を不活性化することによって、そのような遷移域がオーム性挙動を示すようになっている。
【0010】
そこで、非特許文献1により、シリコン表面の不活性化のための吸着質として、カルコゲンである硫黄、セレンを用いることが知られている。この場合、シリコン表面の空いた結合手(タングリングボンド)は、これらの吸着質によって結合されることとなる。
【0011】
非特許文献2により、セレンから成る不活性化層を用いて、マグネシウムとのオーム接点を製作することが知られている。そのために、超高真空条件(UHV)下において、分子線エピタキシー設備内で、セレンとマグネシウムをシリコン基板上に析出させている。この場合、セレン層は、単分子膜の厚さを持ち、この上に、UHV条件下で、金属を析出させている。
【0012】
従来技術により生成された接点は、その不活性化効果が、約300°C以内でのみ現れるということが欠点である。しかし、そのために、工業的な、即ち、大量生産に合ったシリコン素子の処理可能性を実現することは不可能である。
【0013】
更に、従来技術により周知の不活性化効果が、UHV析出によってのみ、そして僅かに数種の純粋な金属を用いてのみ現れるということが不利である。同様に、これらの方法は、工業化に向いておらず、従って金属−半導体接点の大量生産による製作には適していない。
【非特許文献1】Kaziras, Phys. Rev. B43, 6824(1991)
【非特許文献2】Tao et al., Appl. Phys. Lett. 82, 1559(2003)
【非特許文献3】Rashba E. I., Fiz. Tverd. Tela (Leningrad) (1960), Sov. Phys. Solid State 2, 1109ff
【非特許文献4】Guo, J. und Lundstrom, M.S. (2002). IEEE Trans. Electron Devices 49, 1897ff
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上のことから、この発明の課題は、第一の層とこの第一の層に隣接する層との間に、障壁の高さを調節することが可能であるオーム接点及びショットキー接点を製作する方法を提供することである。
【0015】
更に、この発明の課題は、そのような接点を有する素子を提供するとともに、従来技術の素子と比べて、その特別な有用性と有利な特性を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この課題は、主請求項にもとづく方法及び副請求項にもとづく電子素子によって解決される。有利な実施形態は、それらを引用している各請求項により明らかにされている。
【0017】
この接点の製作方法は、先ずは不活性化元素を、第一の層又は隣接層の中に組み入れるか、或いは層の上に堆積させるものと規定する。
【0018】
不活性化元素を、第一の層の形成前に、その出発成分の中に組み入れるか、或いは堆積させることも可能である。
【0019】
隣接層としては、第一の層の選定に応じて、半導体層か、さもなければ絶縁体を選定することができる。
【0020】
第一の層としては、ケイ化物、ゲルマニウム化物、純粋な金属の中の一つを選定することができる。
【0021】
即ち、第一の層自体としてのケイ化物、ゲルマニウム化物、金属の中か、さもなければケイ化物の形成又はゲルマニウム化物の形成の前に、その金属の出発成分の中か、或いはシリコン又はゲルマニウムを含有する出発成分の中に、不活性化元素を組み入れることも可能である。
【0022】
それに続いて、温度処理によって、少なくとも第一の層の隣接層との境界面において、不活性化元素の濃縮を行う。
【0023】
ケイ化物又はゲルマニウム化物の金属成分とシリコン又はゲルマニウムを含有する成分の両方又は一方に不活性化元素を組み入れることが可能である場合、温度処理は、第一の層としてのケイ化物を形成させる、或いはゲルマニウム化物を形成させることとなると同時に、隣接層との境界面において、不活性物質を自己調整する形で濃縮させるのに利用することができる。
【0024】
第一の層と隣接層との間の境界面は、不活性化元素の濃縮によって不活性化されて、第一の層と隣接層との間における接点を製作するために用いられる。
【0025】
即ち、ここでは、境界面の不活性化とは、シリコン表面における空いた結合手の単純な飽和だけではないものと解釈する。むしろ、ここでは、金属ケイ化物−半導体接点又は金属ゲルマニウム化物−半導体接点の場合に、ショットキー障壁を低下させるか、それどころか完全に解消することを可能とする広い技術思想を想定している。この接点の温度安定性が得られる。
【0026】
金属ケイ化物又は金属ゲルマニウム化物−絶縁体接点の場合、境界面での仕事関数が変化又は低下される。
【0027】
不活性化の間に、不活性化元素が、空いた結合手の端に付いて、第一の層と隣接層の境界面において、その構造を作り上げる。
【0028】
隣接層としては、例えば、シリコンの半導体層か、さもなければ誘電体を選定する。隣接層は、基板、即ち、第一の層に対する支持機能を持つことができる。
【0029】
ケイ化物としては、金属ケイ化物又は半導体ケイ化物を選定する。
【0030】
この発明の範囲においては、このような接点を製作するために、少なくとも第一の層の隣接層との境界面の不活性化は、それに関して、従来技術とは逆に、純粋な金属以外に、ケイ化物とゲルマニウム化物も用いられるので、その他の非常に多様な処理の可能性を許容するものであることが分かっている。
【0031】
ケイ化物/ゲルマニウム化物は、純粋な金属を接点として持つ不活性化された金属−半導体接点と比較して、有利には、温度安定性が遥かに高いことと、そのためその後における処理可能性が改善されることとを特徴としている。従って、特に有利には、従来技術による方法では実現できなかった、温度に強い接点を製作することが可能となる。
【0032】
従来技術で周知の不活性化元素及び金属を順次析出させる方法は、この発明による方法と比較できるものではない。むしろ、この発明による方法は、境界面における不活性化元素の自己調整による、即ち、局所的に限定された濃縮を提供するものである。このことは、これまで従来技術では達成されなかった、シリコンから成る半導体や誘電体などの隣接層上における原子レベルで急峻なオーム接点を持つ電子素子に対する前提条件である。
【0033】
そのために、不活性化元素を析出させるか、或いは注入して、それに続く温度処理によって、ケイ化物の隣接層との境界面において濃縮させる。
【0034】
そのために、不活性化元素を、第一の層と隣接層との間の層として析出させるか、或いは基板としての隣接層内における表面の直ぐ近くに組み入れることが可能である。
【0035】
しかし、不活性化元素を、既に出来上がったケイ化物又はゲルマニウム化物の中に組み入れることも可能である。
【0036】
また、不活性化元素を、形成しようとしているケイ化物又はゲルマニウム化物の金属成分とシリコン又はゲルマニウムを含有する成分の一方又は両方の中に組み入れるか、或いは堆積させて、ケイ化物の形成又はゲルマニウム化物の形成と同時に、その隣接層との境界面に濃縮させるために、熱処理を用いることが可能である。
【0037】
隣接層の選定に応じて、これらの方法を組み合せることも可能である。そのことは、不活性化元素を、隣接層にも、金属成分とシリコンを含有する成分、ゲルマニウム化物を形成する場合にはゲルマニウムを含有する成分の両方又は一方に組み入れる、或いは堆積させることが可能であり、それに続いて濃縮と場合によってはケイ化物又はゲルマニウム化物の形成のために、温度処理を行うことを意味する。
【0038】
常に、不活性化元素の注入又は析出後に、温度処理によって、第一の層の隣接層との一つ又は複数の境界面において不活性化元素の活発な濃縮を行うことが重要である。
【0039】
この温度処理に関しては、層構造を、アニールするか、或いは不活性雰囲気内において、相応の温度の下で酸化させることができる。
【0040】
不活性化元素の濃縮は、隣接層との境界面において、半導体層からの熱誘導による偏析又は第一の層から不活性化元素の拡散によって行われる。
【0041】
これに関する前提条件は、その層内における不活性化元素の可溶性が十分に小さいことである。予め析出させた、或いは注入した不活性化元素の濃縮は、前述した通り、第一の層を熱誘導により形成している間、即ち、ケイ化物又はゲルマニウム化物を形成している間に引き起こすこともできる。これに関する前提条件は、第一の層内における不活性化元素の可溶性が十分に小さいことである。そして、雪かき効果によって、不活性化元素を、ケイ化物又はゲルマニウム化物の前線から隣接層に、即ち、例えばシリコンから成る半導体層又は誘電体に移動させるものである。
【0042】
この発明の特に有利な実施形態では、その次に、境界面の不活性化の他に、同時に第一の層を形成するために、温度処理を用いる。
【0043】
不活性化元素としては、特にセレン、硫黄、テルルなどのカルコゲンを選定する。硫黄、セレンなどのカルコゲンは、シリコン及びケイ化物/ゲルマニウム化物において、特に強い偏析効果を示し、その結果第一の層と隣接層との間の境界面において、熱により硫黄、セレン、テルルの中の一つが濃縮されることとなる。
【0044】
特にカルコゲンを用いた不活性化のためには、有利には層構造の相応の部分への添加量を1012〜1016cm-2として、ケイ化物又はゲルマニウム化物か、その形成前の成分か、当該の第一の層としての金属と場合によっては隣接層にも、不活性化元素を堆積又は組み入れる。第一の層の隣接層との境界面の完全な不活性化のために、当業者は、不活性化元素のほぼ単分子膜における濃縮に対応する添加量を見積もるであろう。より低い濃縮の場合にも、ケイ化物又はショットキー障壁の仕事関数の低下を実現することができる。
【0045】
境界面の不活性化は、水素又は重水素を用いて、或いは一般的に周期表でI群のイオンにより実施することもできる。そのために、不活性化に必要な不活性化元素の組み入れは、前述した通り、ケイ化物又はゲルマニウム化物の生成の前又は後に行うことができる。有利には、このことは、当業者が、一連の措置を、これらの材料系統に適合させることが可能となるという効果を奏するものである。
【0046】
隣接層として、シリコンから成る単純な半導体層だけは考えられない。むしろ、これらの層は、将来益々重要となってくるので、歪シリコン又は金属を用いてゲルマニウム化物に転化されたゲルマニウム、或いはSi−Ge、Si−C、Si−Ge−Cから成る合金を使用することもできる。
【0047】
隣接層として、純粋なシリコン基板ではなく、基板としてのSOI基板の特に薄く、ほぼ大量生産可能なシリコン・カバー層か、或いは又カバー層として歪シリコン、Si−Ge、Si−Ge−C、ゲルマニウムの中の一つを備えたSOI基板を選定することも可能である。
【0048】
金属ケイ化物又は金属ゲルマニウム化物の形成は、従来技術にもとづき、シリコン又はゲルマニウム基板上での金属の析出とそれに続くアニール、或いは接点領域での金属蒸着前に、更なる選択的な析出、大抵はシリコン(又はSi−Ge)の選択的なエピタクシーとそれに続く温度処理によって行う。
【0049】
温度処理によって、隣接層としてのゲルマニウム層から、ゲルマニウム化物が生じ、Si−Ge合金から、M−Si−Ge(M=金属)の三元ケイ化物が形成される。
【0050】
第一の層として、金属ケイ化物の代わりに、半導体ケイ化物を選定する、或いは析出又は形成することも可能である。半導体ケイ化物として、例えば、Ru2 Si3 又はβ−FeSi2 が考えられる。ケイ化物と、例えば、隣接層としてのシリコン基板との間の境界面の不活性化によって、バンドの不連続性を変えることができる。半導体ケイ化物に、例えば、マンガン、コバルト、鉄などの好適な材料をドーピングすることによって、磁気特性を持たせるとともに、シリコン基板に対する境界面を、この発明にもとづき不活性化させるという前提条件の下で、磁性を持つソース及びドレイン接点とゲートを備えた、所謂スピントランジスターを実現することができる。偏極電子は、磁性を持つソース接点(磁性半導体ケイ化物)からシリコンから成るチャネル領域に注入されて、電界効果、所謂ラシュバ効果(非特許文献3)によって、スピン方向を回転される。このスピン回転は、偏極電子が磁性を持つドレイン領域に進入した際に、抵抗の変化を生じさせ、この変化は、トランジスター信号として読み出すことができる。
【0051】
この発明の別の有利な実施形態では、隣接層として、半導体層ではなく、誘電体を選定し、そのケイ化物又はゲルマニウム化物に対する、或いは第一の層としての金属に対する境界面を不活性化するものである。そうすることによって、有利には、金属ケイ化物/金属ゲルマニウム化物−絶縁体接点及び遷移域の仕事関数を、その接点又は遷移域の境界面における不活性化元素の濃縮により調整することができるとの効果を奏するものである。ショットキー接点の場合と同様に、金属と絶縁体によって、仕事関数が決定される。
【0052】
金属ケイ化物−絶縁体遷移域は、特に有利には、今後のMOSFETにおけるゲート接点として用いられる。ゲート誘電体上における今日のシリコン技術で一般的な(二層の)ケイ化物に形成されたポリシリコン−ゲート接点は、ゲート容量を一層低減させるために、例えば、金属ケイ化物から成る金属接点によって置き換えられる。
【0053】
隣接層としての誘電体に関しては、特にSiO2 又はSiOx y 、或いはより大きな誘電率を持つ酸化物、所謂高K酸化物、例えば、HfOx 、ZrOx 、LaAlOx などを選定することができる。
【0054】
金属ケイ化物又はゲルマニウム化物の金属成分は、有利には、コバルト、ニッケル、チタン、白金、タングステン、モリブデンのグループの中から選定される。
【0055】
そして、金属ケイ化物又は金属ゲルマニウム化物は、有利には、隣接するシリコン又はゲルマニウムを含有する層の上に好適な金属層を析出又は堆積させた後に、アニールすることによって生成される。
【0056】
従って、要約すると、以下の間において、不活性化した境界面を持つ接点又は遷移域を形成することが可能である。
・第一の層としての半導体−ケイ化物と隣接層としての半導体層との間
・第一の層としての金属−ケイ化物/金属−ゲルマニウム化物と隣接層としての半導体層又は絶縁体との間
・純粋な金属と絶縁体との間
この方法は、マスクを用いた形で実施することができる。こうすることによって、有利には、接点の製作を、横方向に対して制限するものである。
【0057】
金属ケイ化物又は金属ゲルマニウム化物を自己調整する形で形成するために、従来技術により用いられていたSiO2 マスクを、同時に不活性化元素に対する注入マスクとして使用することは、特に有利である。
【0058】
従って、この方法によって達成される利点は、障壁の高さが調整可能であるオーム接点又はショットキー接点と、仕事関数が調整可能である金属ケイ化物又は金属ゲルマニウム化物−絶縁体遷移域の製作に関するものである。この場合、マイクロエレクトロニクスで既に大量生産する形で処理されている材料を使用している。これを用いて、オーム接点及び負のショットキー障壁も調整することができる。負のショットキー障壁は、特に有利には、それによって隣接層、例えば、半導体への電子の弾道注入を実現することができるので、超高速素子に使用することができる(非特許文献4)。
【0059】
従って、この発明による電子素子は、この方法で製作された、少なくとも一つの不活性化した接点を有する。この発明による接点は、今後のMOSFETに対する、所謂金属ゲートを製作するのに特に適しており、その際、特に硫黄、セレン、テルルの中の一つを用いて、ゲート誘電体に対する仕事関数を調節するものである。
【0060】
この方法を用いて、例えば、ショットキー障壁MOSFET(SB−MOSFET;MOSFET:酸化金属半導体電界効果トランジスター)に対する、極めて平坦な金属ケイ化物−半導体接点も製作することが可能である。この極めて平坦な接点により、金属ケイ化物−半導体遷移域におけるショットキー障壁を低減するか、或いはそれどころか完全に解消することが可能となり、その結果負のショットキー障壁が形成される。そうすることによって、特に絶縁体上シリコン(SOI)基板上におけるSB−MOSFETの縮小化は、マルチゲート構造においても、10ナノメートル以内のゲート長まで可能となる。
【0061】
半導体−ケイ化物を第一の層とする場合、所謂ラシュバ効果を活用した、半導体−ケイ化物から隣接層としての半導体層へのスピン伝送を可能とするスピントランジスターを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下において、九つの実施例と添付した七つの図面にもとづき、この発明について、より詳しく記述する。
【実施例1】
【0063】
(図1):
第一の層としての金属ケイ化物5と隣接層としての半導体層1の間に、不活性化した接点を形成するために、先ずは、特に純粋なシリコンから成る、シリコンを含有する半導体基板1上に、例えばSiO2 から成る、マスク2を堆積させる(図1a))。更に、この注入マスク2を用いて、接点の製作を、横方向に対して制限している。
【0064】
その次に、カルコゲンとして、セレン、硫黄、テルルの中の一つを、半導体層1の表面近く、即ち、例えば数百ナノメートルの深さにまで注入する。このプロセスは、矢印で示されている(図1b))。温度処理によって十分な不活性化を達成することが可能なように、添加量を選定する。このために、典型的には、1013〜1015cm-2の添加量で注入する。表面におけるカルコゲンの濃縮及び注入欠陥の補修のために、任意選択として温度処理を行う。
【0065】
注入後、従って半導体層1の上又は中に注入領域6を形成した後に、金属ケイ化物−半導体接点の製作を行う。このために、先ずは、例えば、コバルト、ニッケル、チタン、プラチナ、タングステン、モリブデンのグループの中から選定した、ケイ化物の金属成分4を、例えば5〜50ナノメートルの薄い層として析出させる。この金属をコバルトとした場合、有利には、ケイ化物を形成するための二段階のアニールを実施する前に、例えば10ナノメートルの追加のチタン保護層を更に積層させる(図示していない)。約550°Cでの第一のアニール後に、転化しなかった金属層を選択エッチングする。第二のアニールを、700〜900°Cの温度範囲で、例えば30秒行う。マスク2の外の事前にカルコゲンを注入した領域において、ケイ化物の形成が行われるので、有利には、金属ケイ化物5の半導体層1との境界面6a,bにおいてカルコゲンを濃縮させ、そのようにして効率的な不活性化を達成している。注入マスクとして、それと同時にケイ化物を形成するためにSiO2 マスクを利用することによって、ケイ化物の形成と不活性化が同じ領域上のマスクによって制限されることとなるので、不活性化した境界面の形成も、自己調整する形で行われる。
【0066】
結果として、境界面6a,bにおける不活性化元素の高い濃縮による特に効率的な不活性化にもとづき、オーム接点、或いは低い、それどころか負のショットキー障壁を持つショットキー接点が生成されるものである。
【実施例2】
【0067】
(図2):
第一の層としての金属ケイ化物25と隣接層としての半導体層21の間に不活性化した接点を形成するために、又もや、先ずは特に半導体としてのシリコンから成る半導体基板21上に、例えばSiO2 から成るマスク22を堆積させる(図2a))。更に、例えばSiO2 から成る注入マスク22を用いて、接点の製作を、横方向に対して制限している。
【0068】
第一の実施例とは反対に、矢印で示したカルコゲンの注入の前に、先ずは半導体層21の上に、金属ケイ化物25を生成する。このために、金属を、図2a)の構造上に堆積させて、従来技術にもとづき、自己調整する形で、マスク22で覆われていない領域において、温度処理によってケイ化物25に転化させる。この金属ケイ化物−半導体接点は、例えばTiSi2 、CoSi2 、NiSi、NiSi2 、PtSi、WSi2 から、或いは別の半導体層21に対する別の金属ケイ化物25から構成される。金属ケイ化物25は、第一の実施例から周知の通り、シリコン半導体層21に対して平行及び垂直に延びる境界面26a,26bを有する。従って、金属ケイ化物25は、シリコン層21の中又は上にも配置されることとなる。
【0069】
ケイ化物25の製作後に初めて、カルコゲン、例えば硫黄、セレン、テルルの中の一つを、金属ケイ化物25に直に、或いはシリコン−半導体層21の境界面近くに注入する(図2b))。アニール後に十分な不活性化が達成されるように、添加量を選定する。例えば、7x1014Se+ cm-2をシリコン21に、或いは境界面の近くに注入して、それに続いて、例えば700〜1000°Cの温度でアニールする。この場合、境界面26aと26bでは、不活性化元素が濃縮される。こうすることによって、ケイ化物25のショットキー障壁は、基板21との境界面26aと26bにおいて低減されて、不活性化が進むとともに低下し、その結果オーム接点(障壁=0)又は負のショットキー接点が出来上がる。この濃縮は、注入添加量と基板における不活性化元素の偏析挙動によって決まる。
【実施例3】
【0070】
(図3):
第一の層としての金属ケイ化物35と隣接層としての半導体層31の間に不活性化した接点を形成するために、又もや、先ずは特に半導体としてのシリコンから成る半導体基板31上に、例えばSiO2 から成るマスク32を堆積させる(図3a))。更に、例えばSiO2 から成る注入マスク32を用いて、接点の製作を、横方向に対して制限している。
【0071】
図3b)において矢印で示された注入の前に、例えばコバルト、ニッケル、チタン、プラチナ、タングステン、モリブデンのグループから選定した金属34を、例えば5〜50ナノメートルの薄い金属層34として析出させる(図3a))。
【0072】
それに続いて、又もや矢印で示した注入を、金属層34に直接、又は金属層34の隣接層31との境界面の近くに、或いはこの両方の場所に行う(図3b))。温度による活性化で金属ケイ化物35を形成している間に、隣接層31からの偏析と金属ケイ化物35からの拡散の両方又は一方によって、不活性化元素を、境界面36a,36bにおいて濃縮させ、そのようにして所望の接点を生成する(図3c))。転化しなかった金属層を除去するために、選択エッチングを使用することができる。
【実施例4】
【0073】
(図4):
第一の層としての金属ケイ化物45と隣接層としての半導体層41の間に不活性化したた接点を形成するために、又もや、先ずは特に半導体としてのシリコンから成る半導体基板41上に、例えばSiO2 から成るマスク42を堆積させる(図4a))。更に、例えばSiO2 から成る注入マスク42を用いて、接点の製作を、横方向に対して制限している。
【0074】
これらの層構造42,41上に、先ずは不活性化層46、例えばカルコゲンの単分子膜を析出させる(図4b))
それに続いて、この層46の上に、金属44を析出させる(図4c))。このために、例えばコバルト、ニッケル、チタン、プラチナ、タングステン、モリブデンのグループから選定した金属を、例えば5〜50ナノメートルの薄い層44として、不活性化層46の上に析出させる。
【0075】
アニールによって、シリコン半導体層41の事前にカルコゲンを析出させた領域において、半導体層41に対する金属ケイ化物45と金属44から成る接点を形成する。この場合、カルコゲンは、金属ケイ化物の半導体層41との境界面46a,46bに濃縮され、そのようにして効率的な不活性化が達成される。生成した層構造を熱により処理して、ケイ化物を形成させることによって、不活性化したケイ化物接点が出来上がる(図4d))。このことは、温度処理が、ケイ化物化のためとそれにより金属ケイ化物−半導体接点を製作するためにも、境界面46a,46bの不活性化のためにも用いられていることを意味する。
【0076】
従って、実施例1〜4では、それぞれ基板の機能を持つ半導体層が、隣接層として挙げられている。
【実施例5】
【0077】
(図5):
この発明による方法では、この方法により金属ゲートの仕事関数を調節することも可能である。第一の層としての金属又は金属ケイ化物は、ゲート接点として用いられており、その仕事関数は、隣接層としての誘電体57との境界面におけるカルコゲンを用いて調節することができる。
【0078】
実施例2と同様に、カルコゲンを事前に生成するケイ化物又は金属接点に注入して、アニールによって、金属ケイ化物55と誘電体57間の境界面に濃縮させることができ、そのことは、仕事関数を変化させることとなる(図5)。
【0079】
ここで、接点は、第一の層としての金属ケイ化物55又は金属と隣接層としての誘電体57との間の(図示していない)不活性化した境界面で構成される。この層構造は、支持層59上に配置されている。
【実施例6】
【0080】
(図6):
半導体基板69上において、第一の層としての金属ケイ化物65と隣接層としての絶縁体67との間に不活性化した接点を形成するために、先ずは誘電体67を、次にアモルファスシリコン又はポリシリコン、或いはこれらに代わってポリSi−Ge層68を、その次にその上に金属64を順番に析出させる(図6a))。ポリゲート材料68に対して、不活性化元素を析出させるか、或いはこの材料内に注入することもできる(図示していない)。層68と64は、形成しようとしているケイ化物65のシリコン成分及び金属成分を有する。
【0081】
次に、両方の層68と64を転化させて、金属ケイ化物65を形成するとともに、誘電体67との境界面66aを不活性化させることとなる熱処理が続く(図6b))。
【0082】
ケイ化物であるCoSi2 、TiSi2 、NiSiが特に適している。ポリSi−Geを層68用の材料とする場合、三元ケイ化物であるTiSix Gey とNiSix Gey が特に適している。例えば、セレンをポリシリコン68内に注入し、熱処理によって、第一の層としての金属ケイ化物65と隣接層としての誘電体67との間の境界面66aにおいて、セレンの濃縮を達成し、そのようにして金属ケイ化物65の誘電体67に対する仕事関数を調節することができる。
【0083】
ポリシリコン68と金属64の層厚は、ポリシリコンが完全に、或いはほぼ完全にケイ化物となるように選定する。層69は、支持層であり、例えば、シリコンから構成される。
【実施例7】
【0084】
(図7):
図7は、不活性化によりソース及びドレイン接点のショットキー障壁を負としたショットキー障壁MOSFETの製作を図示している。
【0085】
SiO2 層79上における5〜50ナノメートルの薄いシリコン表面層71を持つSOI基板の上に、又はSi−Ge層79上におけるシリコンから成る表面層71の上に、ゲート構造80,81a,81b(図7a))を製作した後、実施例1〜4で記載した方法にもとづくケイ化物化及び不活性化によって、ソース及びドレイン接点75a,bを製作する(図7b))。
【0086】
この図7a)の素子構造は、第一の層としてのシリコン71から成る半導体層上に配置された、隣接層としての誘電体77で構成されている。ゲート接点80、絶縁体スペーサー81aと81b、誘電体77は、前述した通り、絶縁体上シリコンの上、又はSiGe基板71,79の上に配置されている(図7a))。完成した素子構造は、ショットキーソース及びドレインの機能を持つ第一の層としての金属ケイ化物75a,bを有する。ソース及びドレイン76a,bの隣接層としてのMOSFETチャネル71との境界面において、温度処理によって、不活性化元素を濃縮させている。
【0087】
不活性化は、例えば、不活性化元素を、シリコン層71のその後にソース及びドレインとなる領域に、並びに任意選択としてゲート材料80、例えば、ポリシリコンにも注入することによって行うことができる。それに続いて、金属を析出させて(図示していない)、温度処理によって、ソース及びドレインとしての金属ケイ化物75a,bと、任意選択としてポリシリコン上のゲートケイ化物も、自己調整する形で形成される。スペーサー81aと81b上の転化しなかった金属を、(ゲート80上における実現状況にも応じて)湿式化学的に除去する。不活性化元素は、熱処理の間に境界面76a,bにおいて濃縮されて、ケイ化物75a,bのショットキー障壁を低下させる。その濃縮度合いに応じて、低い又は負の障壁を持つ接点が出来上がる。障壁を完全に解消した場合、即ち、障壁の高さ=0の場合に、オーム接点を製作することが可能である。これに代わって、ゲート80は、前述した方法の中の一つにもとづき、金属又は金属ケイ化物−ゲート接点としても製作することができる(図5と6を参照)。
【0088】
出発層構造として、約30ナノメートル以内の厚さを持つSOI基板のシリコン層71を、完全空乏型MOSFETを形成することが可能な程に小さく選定することは、特に有利である。このゲート長を極端に小さく、即ち、約30ナノメートルより小さく選定することが可能であるとともに、CoSi2 又はNiSiソース/ドレイン接点75a,75bを、例えばセレンで、チャネル方向76a,76bを向いた接点のソース及びドレイン側において不活性化することが、ショットキー障壁を負にすることとなる場合、有利には、ルンドストローム氏のシミュレーション計算により示される通り、荷電粒子の弾道輸送が可能となる。
【実施例8】
【0089】
(図7)歪シリコンを持つ、或いはSi−Ge層又はSi−Ge−C層71を持つショットキー障壁MOSFET:
特に有利には、ショットキー障壁を製作するために、SOIの標準的なシリコン層の代わりに、SiO2 79上における歪シリコン又はSi−Ge、Si−Ge−C71を用いることができる。
【0090】
ケイ化物化と不活性化は、実施例6又は前述の例での通り行う。
【0091】
誘電体としてのSiO2 上におけるケイ化物化されたポリシリコン80から成る従来のゲート構造に代わって、実施例5と6にもとづく金属ゲートを用いて、誘電体77に対する仕事関数を調節ことができる。誘電体77として、SiO2 又は任意の高K酸化物を使用することができる。
【実施例9】
【0092】
第一の層としての半導体ケイ化物と隣接層としての半導体層の間に接点を形成するために、当該の金属ケイ化物に代わって、隣接層の上に半導体ケイ化物(例えば、Ru2 Si3 、β−FeSi2 )を堆積させて、前述した方法にもとづく不活性化により、ケイ化物/シリコン接点のバンドエッジの不連続性を変えることができる。そうすることによって、ケイ化物からシリコンへの電気伝導に、有利な影響を与えることができる。
【0093】
磁性を持つ半導体ケイ化物と半導体層としてのシリコンとの間の境界面を不活性化することは、特に有利である。例えば、Ru2 Si3 、β−FeSi2 などの半導体ケイ化物は、Mn、Co、Feを用いたドーピングにより、磁性を持つようになる。
【0094】
図7bに図示した素子は、磁性を持つ半導体ケイ化物75a,bから成るソース及びドレイン接点を形成した場合、スピントランジスターとなる。境界面における不活性化は、スピン伝送を促進する。ゲート電位を印加した場合、ラシュバ効果によりスピンの方向を回転させることが可能であり、その結果スピントランジスターが実現される。
【0095】
これらの実施例において、当該の金属ケイ化物の代わりに、第一の層として金属ゲルマニウム化物を選定することも、基本的には可能である。特に、この発明により製作したコバルト二ケイ化物半導体接点は、温度に対して安定している。
【0096】
前述したシングルゲートMOSFETの代わりに、そのような接点を持つマルチゲートMOSFET(FinFET、オメガゲート)を製作することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】半導体層1の表面への不活性化元素の注入とそれに続く金属層4の析出により、第一の層としての金属ケイ化物と隣接層としての半導体層の間に不活性化した接点を形成する図。この金属ケイ化物−半導体接点は、半導体層1に対するケイ化物5のアニールにより出来た不活性化した境界面6a,6bによって形成される。
【図2】半導体層21上での(図示していない)金属層の析出と金属ケイ化物25を形成するための第一のアニールにより、第一の層としての金属ケイ化物と隣接層としての半導体層の間に不活性化した接点を形成する図。それに続いて金属ケイ化物層と半導体層の両方又は一方に不活性化元素を注入する。新たにアニールを行い、金属ケイ化物25の半導体層21との境界面26a,26bにおいて不活性化元素を濃縮する。
【図3】半導体層31上での金属層34の析出により、第一の層としての金属ケイ化物と隣接層としての半導体層の間に不活性化した接点を形成する図。それに続いて金属層34と半導体層31の両方又は一方に不活性化元素を注入する。その次に、一回だけ温度処理を行い、金属ケイ化物35を形成すると同時に金属ケイ化物35の半導体層31との境界面36a,36bにおいて不活性化元素を濃縮する。
【図4】半導体層41の表面上での層46としての不活性化元素の析出とそれに続く金属層44の析出により、第一の層としての金属ケイ化物と隣接層としての半導体層の間に不活性化した接点を形成する図。一回だけ温度処理を行い、金属ケイ化物45を形成すると同時に金属ケイ化物45の半導体層41との境界面46a,46bにおいて不活性化元素を濃縮する。ケイ化物層45は、先ずは不活性化元素の析出により形成され、雪かき効果によりケイ化物を形成している間に濃縮が行われる。不活性化元素は、ケイ化物内には取り込まれない。
【図5】隣接層としての誘電体57上に第一の層としての金属ケイ化物55を配置して、ゲート−誘電体を構成する図。金属ケイ化物層55に不活性化元素(矢印)を注入する。それに続いて、境界面において不活性化元素を濃縮するために、温度処理を行って、ゲート接点の仕事関数を変化させる。層59は、支持層であり、例えば、シリコン又はSOI構造の基板から構成される。
【図6】第一の層としての金属ケイ化物65と隣接層としての誘電体67を形成及び配置する図。先ずは、金属ケイ化物の構成要素の析出を行う、即ち、構成要素としてのポリシリコン68上に、金属64を堆積させる。有利には、不活性化元素をポリシリコンに注入するか、或いは析出中に組み入れる。温度処理によって、ケイ化物65の形成と誘電体67との境界面66aにおける不活性化元素の濃縮を行う(図6b))。
【図7】不活性化によりショットキー障壁を変化させたショットキー障壁(SB−)MOSFETの製作図。境界面76aと76bの不活性化は、第一の層としてのシリコン層71のソース及びドレイン領域、並びに又任意選択としてゲート材料80(例えば、ポリシリコン)への不活性化元素の注入により行う(図7a))。
【符号の説明】
【0098】
1,21,31,41,71 隣接層としての半導体層、特にシリコンから成る半導体層
2,22,32,42 例えば、SiO2 、Si3 4 等から成るマスク
4,34,44,64 金属ケイ化物を形成するための金属
5,25,35,45,55,65,75a,75b 第一の層としての金属ケイ化物
6 不活性化元素を備えた領域
6a,6b,26a,26b,36a,36b,46a,46b,66a,76a,76b 金属ケイ化物と半導体層との間の不活性化した境界面
46 不活性化層
57,67,77 隣接層としてのゲート誘電体(SiO2 、Si3 4 、高K材料)
68 (ポリ、アモルファス)シリコン又はSi−Ge
59,69,79 支持層、例えば、シリコン基板
71 隣接層としてのシリコン又は歪シリコン又はゲルマニウム半導体層、Si−Ge又はSi−Ge−C又はSi−C層
75a,75b ソース及びドレインとしての金属ケイ化物
76a,76b 金属ケイ化物と半導体との間の不活性化した境界面、ここではソース75a又はドレイン75bとチャネル領域71との間の各境界面
79 SiO2 又はSiGe
80 ゲート接点(ポリSi、ポリSiGe、金属、ケイ化物)
81a,81b スペーサー(SiO2 、Si3 4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の層(5;25;35;45;55;65;75a,75b)とそれに隣接する層(1,21,31,41,71;57,67,77)との間に接点を製作する方法において、
不活性化元素を、第一の層(25;55)と隣接層(1;21;31;41)の両方又は一方の中又は上に、或いはこれらの層(34,54,64;68,71)の出発成分の中に、イオン注入によって組み入れるか、或いは析出によって堆積させることと、
この不活性化元素を、温度処理によって、少なくとも第一の層の隣接層との境界面(6a,6b;26a,26b;36a,36b;46a,46b;66a;76a,76b)において濃縮させることとを特徴とする方法。
【請求項2】
ケイ化物(5;25;35;45;55;65;75a,75b)とこのケイ化物に隣接する層(1,21,31,41,71;57,67,77)との間に接点を製作する方法において、
イオン注入による隣接層(1;21;31;41)の中への不活性化元素の組み入れ、析出による隣接層(1;21;31;41)の上への不活性化元素の堆積、ケイ化物(25;55)又はその金属成分(34;54;64)とシリコンを含有する成分(68,71)の両方又は一方の中への不活性化元素の組み入れの中の一つ以上を行うことと、
この不活性化元素を、温度処理によって、少なくともケイ化物の隣接層との境界面(6a,6b;26a,26b;36a,36b;46a,46b;66a;76a,76b)において濃縮させることとを特徴とする方法。
【請求項3】
第一の層として、金属ケイ化物、半導体ケイ化物、金属ゲルマニウム化物、金属の中の一つを選定することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
隣接層として、半導体層又は誘電体を選定することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
隣接層用の材料として、シリコンを選定することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
不活性化元素を、ケイ化物又はゲルマニウム化物の生成の前又は後に注入する、或いは析出させることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
ケイ化物又はゲルマニウム化物を形成するために、少なくとも一回の温度処理を行うことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
温度処理によって、第一の層を形成するとともに、隣接層との境界面の不活性化を行うことを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
ケイ化物化の間に、第一の層と隣接層との間の境界面において、不活性化元素の濃縮を行うことを特徴とする請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
不活性化元素として、カルコゲンを選定することを特徴とする請求項1から9までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
カルコゲンとして、セレン、硫黄、テルルの中の一つを選定することを特徴とする請求項1から10までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
不活性化元素を、1012〜1016cm-2、特に1014〜1015cm-2の添加量で注入することを特徴とする請求項1から11までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
金属ケイ化物又は金属ゲルマニウム化物の金属成分を、コバルト、ニッケル、チタン、白金、タングステン、モリブデンのグループの中から選定することを特徴とする請求項1から12までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
第一の層としてのケイ化物のシリコン成分を、ポリシリコン又はアモルファスシリコンで構成することを特徴とする請求項1から13までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
半導体ケイ化物として、β−FeSi2 、Ru2 Si3 、MnSix 、CrSi2 の中から選定することを特徴とする請求項1から14までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
隣接層の上にマスクを配置することを特徴とする請求項1から15までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか一つに記載の方法にもとづき製作された少なくとも一つの不活性化した金属−半導体又は金属−絶縁体接点を有する素子。
【請求項18】
請求項17に記載の素子としての、ソース接点とドレイン接点の両方又は一方のショットキー障壁が調節可能である、特に負であるショットキー障壁MOSFET。
【請求項19】
シリコン厚が30ナノメートル以内である極めて薄いSOI基板上に、当該の接点が配置されていることを特徴とする請求項18に記載のショットキー障壁MOSFET。
【請求項20】
請求項17から19までのいずれか一つに記載の素子としての、不活性化によって調節可能なゲート接点を持つMOSFET。
【請求項21】
磁性を持つソース及びドレイン接点を形成するために、Mnか、Feか、Coをドーピングした半導体ケイ化物を第一の層として選定することを特徴とする請求項17に記載の素子としてのスピントランジスター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−534136(P2007−534136A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520656(P2006−520656)
【出願日】平成16年6月19日(2004.6.19)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001294
【国際公開番号】WO2005/015629
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(390035448)フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (100)
【Fターム(参考)】