説明

搬送ガイド清掃機構、及び画像形成装置

【課題】 転写前ガイドの汚れを効果的に除去し、繰り返し利用しても汚れの除去能力が低下しない、安価な転写前ガイドの清掃機構、及び該清掃機構を有する画像形成装置を提供する。
【解決手段】 転写前ガイド15を中間転写ベルト2から離隔させた後、所定方向に回動させて、転写前ガイド15の転写材接触面15aを回転する2次転写ローラ14に当接させた状態で摺擦させることによって、転写前ガイド15の転写材接触面15aに付着した汚れの除去を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置において、転写材を搬送するための搬送ローラに転写材を導くための搬送ガイドに付着した汚れを清掃する搬送ガイド清掃機構、及び該搬送ガイド清掃機構を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の電子写真技術を利用した画像形成装置の転写方式の一つとして、例えば中間転写方式がある。中間転写方式では、感光体に形成したトナー像を、像担持体である中間転写ベルトに転写し、該転写後の像を更に紙などの転写材に転写する方法をとるのが一般的である。
【0003】
前記中間転写方式における中間転写ベルトに形成したトナー像を転写材に転写するプロセスは、2次転写と呼ばれている。2次転写においては、中間転写ベルトと転写材とを2本のローラにより挟み込み、該ローラ間に電位差を生じさせることによって、中間転写ベルト上に形成されたトナー像を転写材に転写する方法をとるのが一般的である。前記2本のローラ間に電位差を生じさせることで発生した電界は、前記2本のローラのニップ部(以下、2次転写ニップ部という)だけでなく、2次転写ニップ部の周辺にまで及ぶ。よって、転写材が2次転写ニップ部に搬送される手前において、中間転写ベルトと転写材との間に大きな隙間があると、中間転写ベルトと転写材との間で放電が発生し、転写の効率が低下して画像不良が発生する。そこで、転写材が2次転写ニップ部に搬送される手前で、転写材を中間転写ベルトに沿って搬送させるためのガイド(以下、転写前ガイドという)を設置する方法が取られている。
【0004】
転写前ガイドは中間転写ベルトの近くに設置されるため、印刷が繰り返されると、中間転写ベルトから飛散したトナーが転写前ガイドの表面に徐々に蓄積する。転写材は転写前ガイドに接触しながら、2次転写ニップ部へ搬送されるため、転写前ガイドに蓄積したトナーが転写材に付着し、印刷出力が汚れる原因となるという問題点があった。また、転写前ガイドに蓄積したトナーが相当量以上に達すると、転写前ガイドの付近に位置する転写材の搬送路に該トナーが落下し、該トナーが搬送路に沿って搬送される転写材に付着して印刷出力が汚れる原因となるという問題点があった。
【0005】
また、電子写真方式の画像形成装置では、通常、転写材の周縁部にマージン(印刷しない領域)をとって、画像出力をしている。しかし、近年、転写材の少なくとも一つの端部まで画像を形成する、いわゆる縁なし印刷と呼ばれる印刷方法が普及しつつある。
【0006】
縁なし印刷においては、用紙の搬送ズレによる位置ズレや用紙の大きさのばらつきを考慮して、像担持体である中間転写ベルト上に転写材よりも大きなサイズのトナー像を形成し、転写材の搬送ズレが生じた場合においても、欠けのない良好な画像が形成できるようにする方法がとられている。よって、中間転写ベルト上に形成されたトナー像のうち、転写材の外にはみ出した部分については、2次転写部においてトナー像と転写前ガイドとの間に遮蔽物がないため、縁なし印刷では、通常の印刷よりも転写前ガイドが汚れやすくなる。
【0007】
しかし、転写前ガイドの清掃は、印刷と同時に行うことができないため、頻繁に清掃を行うと、印刷の生産性を低下させるという問題点があった。
【0008】
そこで、前記の問題点を解決する技術が提案されている。特許文献1に記載された技術によると、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を転写前ガイドに印加する。これにより、転写前ガイドからトナーが剥離され、該剥離されたトナーが感光体へ飛翔されるから、転写前ガイドに付着したトナーを除去することができる。
【0009】
特許文献2に記載された技術によると、転写前ガイドを清掃するために、導電性の清掃機構を設置する。この導電性の清掃機構により、転写前ガイドの表面を除電し、且つ摺擦することによって、転写前ガイドに付着したトナーを除去することができる。
【特許文献1】特開平7−306600号公報
【特許文献2】特開2002−365929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に記載された技術によると、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を転写前ガイドに印加するための新たな電源や部品が必要となり、コストが高くなってしまうという問題点があった。また、転写前ガイドに付着したトナーを物理的に擦り取っていないため、転写前ガイドに付着したトナーを完全に除去しきれないという問題があった。
【0011】
また、特許文献2に記載された技術によると、転写前ガイドを清掃するための専用ブラシなどの新たな清掃機構が必要となり、コストが高くなってしまうという問題点があった。また、繰り返しの清掃動作によって前記清掃機構に汚れが溜まると、転写前ガイドを清掃する能力が低下する問題点があり、該問題点を解決するためには前記清掃機構を清掃するための新たな清掃機構を別途設置する必要があり、更にコストが高くなってしまうという問題点があった。
【0012】
また、特許文献1及び2に記載された技術は、転写前ガイドの清掃による生産性の低下については考慮していない。
【0013】
これらは転写前ガイドに付着したトナーを除去する場合に限った問題点ではなく、搬送ローラの回転面へ転写材を導くための一般的な搬送ガイドに付着した汚れを除去する場合にも共通する問題点であった。
【0014】
本発明の目的は、搬送ガイドの汚れを効果的に除去し、繰り返し利用しても汚れの除去能力が低下しない、安価な搬送ガイド清掃機構、及び該搬送ガイド清掃機構を有する画像形成装置を提供することにある。また、転写前ガイドの清掃を適時に行うことにより、転写前ガイドの清掃による印刷の生産性の低下を抑える画像形成装置を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)転写材の搬送経路に設置され、回転することによって転写材を搬送する搬送ローラの回転面へ転写材を導くための搬送ガイドを清掃するための搬送ガイド清掃機構であって、前記搬送ガイドの転写材が接触する面である転写材接触面が前記搬送ローラに当接するように、前記搬送ガイドを移動させる搬送ガイド移動機構を有し、前記搬送ガイドの転写材接触面が前記搬送ローラに当接した状態で前記搬送ローラを回転させることにより、前記搬送ガイドの転写材接触面を清掃する搬送ガイド清掃機構。
【0016】
(2)転写材の搬送経路に設置され、回転することによって転写材を搬送する搬送ローラの回転面へ転写材を導くための搬送ガイドを清掃するための搬送ガイド清掃機構であって、前記搬送ローラの回転面に当接するように設置され、回転することによって前記搬送ローラを清掃する搬送ローラ清掃機構と、前記搬送ガイドの転写材が接触する面である転写材接触面が前記搬送ローラ清掃機構に当接するように前記搬送ガイドを移動させる搬送ガイド移動機構とを有し、前記搬送ガイドの転写材接触面が前記搬送ローラ清掃機構に当接した状態で前記搬送ローラ清掃機構を回転させることにより、前記搬送ガイドの転写材接触面を清掃する搬送ガイド清掃機構。
【0017】
(3)前記搬送ガイド移動機構は、前記搬送ガイドを回動させる搬送ガイド回動機構を有する(1)または(2)に記載の搬送ガイド清掃機構。
【0018】
(4)前記搬送ローラは、前記転写材にトナー像を転写させる転写ローラであり、前記搬送ガイドは、トナー像を像担持体の表面から転写材に転写するために、前記像担持体と前記転写ローラとが当接する転写ニップ部に転写材を導くための転写前ガイドである(1)または(2)に記載の搬送ガイド清掃機構。
【0019】
(5)前記搬送ガイド移動機構は、前記転写前ガイドを前記像担持体から離隔させる転写前ガイド離隔機構と、前記転写前ガイドを回動させる転写前ガイド回動機構とを更に有し、前記転写前ガイド離隔機構によって前記転写前ガイドを前記像担持体から離隔させた後に、前記転写前ガイド回動機構によって前記転写前ガイドを回動させる(4)に記載の搬送ガイド清掃機構。
【0020】
(6)前記転写前ガイド離隔機構は、前記転写ローラを前記像担持体から離隔させる転写ローラ離隔機構と、前記転写前ガイドと前記転写ローラとを支持する支持体とによって構成され、前記転写ローラ離隔機構によって、前記転写ローラとともに前記転写前ガイドを前記像担持体から離隔させる(5)に記載の搬送ガイド清掃機構。
【0021】
(7)(1)乃至(6)の少なくとも一に記載の搬送ガイドの清掃機構を有する画像形成装置。
【0022】
(8)前記転写材の少なくとも一つの端部まで画像を形成する縁なし印刷の枚数をカウントするカウント手段と、先に行われた前記搬送ガイドの清掃が終了してから所定枚数以上の縁なし印刷が行われた場合に、次の前記搬送ガイドの清掃を行うように前記搬送ガイドの清掃機構を制御する制御部とを更に有する(7)に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0023】
前記(1)に記載の発明によると、搬送ローラという既存の機構を利用して搬送ガイドの転写材接触面に付着した汚れの除去を行うから、安価な搬送ガイド清掃機構を提供することができる。さらに、搬送ガイドの転写材接触面を、回転する搬送ローラに当接させて汚れを物理的に擦り取るから、汚れの除去性能の高い搬送ガイド清掃機構を提供することができる。
【0024】
前記(2)に記載の発明によると、搬送ローラ清掃機構という既存の機構を利用して搬送ガイドの転写材接触面に付着した汚れの除去を行うから、安価な搬送ガイド清掃機構を提供することができる。さらに、搬送ガイドの転写材接触面を、回転する搬送ローラ清掃機構に当接させて汚れを物理的に擦り取るから、汚れの除去性能の高い搬送ガイド清掃機構を提供することができる。
【0025】
前記(3)に記載の発明によると、搬送ガイドの転写材接触面を単純な機構によって搬送ローラまたは搬送ローラ清掃機構に当接させることができる。これにより、安価且つサイズの小さい搬送ガイド清掃機構を提供することができる。
【0026】
前記(4)に記載の発明によると、転写ローラ又は搬送(転写)ローラ清掃機構という既存の機構を利用して転写前ガイドの転写材接触面に付着した汚れの除去を行うから、安価な転写前ガイド清掃機構を提供することができる。さらに、転写前ガイドの転写材接触面を回転する転写ローラに当接させて汚れを物理的に擦り取るから、汚れの除去性能の高い転写前ガイド清掃機構を提供することができる。
【0027】
前記(5)に記載の発明によると、転写前ガイドを前記像担持体から離隔させた後に回動させるから、転写前ガイドを像担持体に接触させることなく、転写ローラまたは搬送(転写)ローラ清掃機構に当接させることができる。
【0028】
前記(6)に記載の発明によると、転写ローラ離隔機構という既存の機構を利用して、転写前ガイドを像担持体から離隔させるから、安価な転写前ガイド清掃機構を提供することができる。
【0029】
前記(7)に記載の発明によると、前記(1)〜(6)に記載の搬送ガイド清掃機構を搭載した画像形成装置を提供することができる。
【0030】
前記(8)に記載した発明によると、縁なし印刷が行われた枚数に応じて、搬送ガイドの清掃を行うから、搬送ガイドに付着した汚れを適時に除去することができるとともに、過度に清掃を行うことによって印刷の生産性が低下することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の画像形成装置の実施形態の1つであるタンデム型のフルカラープリンタ1の構成を示す模式的断面図である。
【0032】
本フルカラープリンタの中央部には、イエロー用画像形成部7(Y)、マゼンタ用画像形成部7(M)、シアン用画像形成部7(C)、ブラック用画像形成部7(K)(以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックをそれぞれ、Y、M、C、Kと表す)が設置されている。
【0033】
各画像形成部7(Y)、7(C)、7(M)、7(K)(以下、これらを総称して画像形成部7と呼ぶ場合がある)は、それぞれドラム型の感光体9を備えており、該感光体の周囲に帯電装置12、画像露光装置11、現像装置10、クリーナ13が設置されている。
【0034】
画像形成部7の上方には、各画像形成部7の感光体9と当接するようにして、中間転写ベルト2が設置されている。中間転写ベルト2は、ローラ3、4、5に巻き掛けられて図中反時計回り方向(図中矢印方向)に回転駆動される。
【0035】
トナー清掃装置6はローラ5と、2次転写ローラ14はローラ3(以下、2次転写対向ローラ3という)と対向する位置で、中間転写ベルト2の外面に当接して設置されている。Y、M、C、K用1次転写ローラ8は、各色用の画像形成部とそれぞれ対向する位置で、中間転写ベルト2の内面に当接して設置されている。また、2次転写ローラ清掃機構25は、2次転写ローラ14の回転面に当接して設置されている。
【0036】
画像形成部7の下方には、転写材の供給カセット17と、転写材を供給カセットから引き出すための給紙ローラ18が設置され、給紙ローラ18の上方には、転写材の搬送路を形成する搬送路形成部材16、及び転写材の搬送タイミングを制御するタイミングローラ19、20が設置されており、2次転写対向ローラ3と2次転写ローラ14とのニップ部Nip(以下、2次転写ニップ部)の手前に、転写前ガイド15が設置されている。
【0037】
2次転写ローラ14の上方には、定着装置21、排紙ローラ22、23、及び排紙トレイ24が設置されている。
【0038】
図1に記載したフルカラープリンタ1において、どのように画像が形成されるかを、フルカラー画像を形成する場合を例にとって説明する。まず、Y用画像形成部7(Y)においてY色トナーによる像が形成され、該Y色トナー像が像担持体としての中間転写ベルト2に1次転写される。すなわち、Y用画像形成部7(Y)において、感光体9が図中時計回り方向に回転駆動され、帯電装置12によって感光体9の表面が一様に所定電圧に帯電され、該帯電領域に画像露光装置11からY色画像の画像露光が施され、感光体9上にY色画像の静電潜像が形成される。該静電潜像は、Y色トナーを有する現像装置10の、現像バイアスが印加された現像ローラによって現像されて可視Y色トナー像となり、該トナー像が1次転写電圧を印加された1次転写ローラ8によって中間転写ベルト2に転写される。
【0039】
同様にして、M用画像形成部7(M)においてM色トナー像が形成されて中間転写ベルト2に転写され、C用画像形成部7(C)においてC色トナー像が形成されて中間転写ベルト2に転写され、K用画像形成部7(K)においてK色トナー像が形成されて中間転写ベルト2に転写される。
【0040】
前記Y色、M色、C色、K色のトナー像は、中間転写ベルト2上で重なるように、図示省略の印刷制御部によってタイミング制御され転写される。このようにして、中間転写ベルト2上に形成されたY色、M色、C色、K色トナーによる多重トナー像は、中間転写ベルト2の回動に伴い、2次転写ニップ部Nipへ向けて移動する。
【0041】
一方、転写材が給紙カセット17から給紙ローラ18によって引き出され、搬送路形成部材16によって形成された搬送路に沿って搬送され、タイミングローラ19、20によって一旦停止された後、中間転写ベルト2上の前記多重トナー像と同期するタイミングで、2次転写ニップ部Nipに供給される。この際、転写前ガイド15の転写材接触面15aによって、前記転写材は中間転写ベルト2に沿って搬送され、2次転写ニップ部Nipに導かれる。前記多重トナー像は、2次転写ローラ14に印加された2次転写電圧によって、中間転写ベルト2から転写材上に2次転写される。その後、転写材は定着装置21へと搬送され、定着装置21によって加熱、加圧されることにより前記多重トナー像が転写材に定着されて、所定のフルカラー画像が転写材上に形成される。その後、転写材は排紙ローラ22、23によって排紙トレイ24上に排出される。
【0042】
各画像形成部7において、1次転写後に感光体9上に残留する1次転写残トナー等は、クリーナ13により除去される。また、2次転写後に中間転写ベルト2上に残留する2次転写トナー等は、トナー清掃装置6により除去される。
【0043】
図2は、図1の図中右側中央の2次転写部を拡大表示した図であり、本発明の第1の実施形態での転写前ガイド15の清掃動作を示す。本実施形態では、転写前ガイド15と2次転写ローラ14とを中間転写ベルト2から離隔した後、転写前ガイド15を回動させ、転写前ガイド15の転写材接触面15aを2次転写ローラ14に当接させた状態で2次転写ローラ14を回転させることによって、転写材接触面15aに付着した汚れの除去を行う。
【0044】
転写前ガイド15の清掃動作を以下に説明する。転写ガイド15と2次転写ローラ14と2次転写ローラ清掃機構25とは、図示省略の2次転写ローラ支持ユニット(以下、支持ユニットという)に支持され、支持ユニットの移動により、互いの相対位置を変えずに一体として移動可能とされている。
【0045】
まず、図2(a)において、支持ユニットを矢印アの方向に移動させ、転写前ガイド15、2次転写ローラ14、2次転写ローラ清掃機構25を一体として中間転写ベルト2から離隔させる。実線部は支持ユニットを中間転写ベルト2に近接させた状態を、破線部は離隔させた状態を表している。転写前ガイド15を回動させる前に、中間転写ベルト2から離隔させる理由は、転写前ガイド15を中間転写ベルト2に近接させた状態(図2(a)の実線部)で回動させようとしても、中間転写ベルト2、2次転写対向ローラ3、及び搬送路形成部材16と干渉し、転写前ガイド15を回動させることができないからである。
【0046】
電子写真方式の画像形成装置では、像担持体としての中間転写ベルト2の表面にトナーによるパッチ画像を形成し、該パッチ画像をセンサーで読み取って、印刷濃度や印刷位置の調整を行う画像安定化処理と呼ばれる処理を行っている。中間転写ベルト2の表面に形成されたパッチ画像のトナーが2次転写ローラ14に付着することを防止するために、2次転写ローラ14を中間転写ベルト2から離隔させた状態で画像安定化処理を行うのが一般的である。このため、電子写真方式の画像形成装置には、2次転写ローラ14を中間転写ベルト2から離隔させる機構を有しているものが多い。よって、該機構を、転写前ガイド15を中間転写ベルト2から離隔させる機構として利用することによって、部品数の増加を抑えることができる。
【0047】
本実施形態では、上述のように転写前ガイド15、2次転写ローラ14、2次転写ローラ清掃機構25を支持ユニットに載置しているので、前記の2次転写ローラ14の離隔機構により、支持ユニットを中間転写ベルト2から離隔させるようにすればよい。
【0048】
支持ユニットを中間転写ベルト2から離隔させる機構は以下のようになっている。支持ユニットは弾性体によってフルカラープリンタ1の筐体に支持されている。また、支持ユニットの中間転写ベルト2に対向する面の裏面に当接してカムが設置されている。前記カムを回転させ、カムの長手方向の面を支持ユニットに当接させることによって、支持ユニットを中間転写ベルト2に近接させることができ、カムの短手方向の面を支持ユニットに当接させることによって、支持ユニットを中間転写ベルト2から離隔させることができる。尚、上述の支持ユニットを中間転写ベルトから離隔させる機構は、単なる例示であって、これに限定されない。
【0049】
次に、図2(b)に移り、転写前ガイド15を、回転軸Ax15を軸として、矢印イで表される反時計回りの方向に回動させ、転写前ガイド15の転写材接触面15aを2次転写ローラ14に当接させる。そして、転写前ガイド15の転写材接触面15aを2次転写ローラ14に当接させた状態で、2次転写ローラ14を矢印ウで表される時計回りの方向に所定数回転させる。この結果、転写前ガイド15の転写材接触面15aに付着した汚れが、2次転写ローラ14に転移される。
【0050】
転写前ガイド15は、図示省略の弾性体によって回転軸Ax15上で回動方向に弾力が働くように保持されているから、転写前ガイド15を適切な圧力で2次転写ローラ14に当接させることができる。従って、前記清掃動作によって2次転写ローラ14が磨耗することを防ぐことができるとともに、転写前ガイド15に付着した汚れを効果的に2次転写ローラ14に転移させることができる。なお、転写前ガイド15と2次転写ローラ14との当接圧は、約10(N/m)であることが好ましい。
転写前ガイド15から2次転写ローラ14に転移した汚れは、2次転写ローラ清掃機構25により清掃されるから、転写前ガイド15の清掃が繰り返し行われた場合であっても、清掃能力が低下することを防止できる。前記2次転写ローラ清掃機構25としては、例えば、ウレタンゴムのブレードなどを例示できるが、これに限定されない。
【0051】
2次転写ローラ14を所定数回転させ、転写前ガイド15に付着した汚れを2次転写ローラ14に転移させた後は、転写前ガイド15を図2(b)矢印イとは逆の時計回りの方向に回動させ、続いて、支持ユニットを図2(a)矢印アとは逆の中間転写ベルト2に近接させる方向に移動させ、図2(a)に実線で表した初期状態に戻す。
【0052】
図3は、転写前ガイド15を回動させるための機構を示す図である。上述の通り、転写前ガイド15、2次転写ローラ14、及び2次転写ローラ清掃機構25は、支持ユニットに支持され、支持ユニットの移動により、一体として中間転写ベルト2から離隔、近接可能とされている。
【0053】
転写前ガイド15は、回転軸Ax15を軸として回動可能に支持ユニットに支持されている。また、回転軸Ax15上には、転写前ガイド15と一体となって回転するギアGr1が設置されている。ギアGr3は回転可能に支持ユニットに支持され、ギアGr1とギアGr3とが噛合っている。また、ギアGr3と一体となって回転する小径のギアGr2が設置され、ギアGr2とギアGr3とで2段ギアが構成されている。ラックギアGr4は、支持ユニットの移動により転写前ガイド15が2次転写ベルト2から所定距離離隔した後に、ギアGr2と噛合い始める位置に、搬送路形成部材16に固定されて設置されている。また、搬送路形成部材16の上面(図中斜線部)は、転写前ガイド15の回動が妨げられないようにくぼんだ形状とされている。
【0054】
図3に記載した機構を有することにより、転写前ガイド15は以下のように回動される。支持ユニットの移動により転写前ガイド15が中間転写ベルト2から所定距離以上離隔されると、ギアGr2とラックギアGr4とが噛合って、ギアGr2とギアGr3から構成される2段ギアが、時計回り方向に回転する。該2段ギアの回転により、ギアGr3と噛合うギアGr1が、反時計回り方向に回転し、転写前ガイド15が反時計回り方向に回動する。
【0055】
転写前ガイド15が図中実線の位置にある状態で回動し始めると、転写前ガイド15が中間転写ベルト2、2次転写対向ローラ3、及び搬送路形成部材16と干渉する。よって、転写前ガイド15が中間転写ベルト2から所定距離離隔した後に、ギアGr2とラックギアGr4とが噛合い始めるようにラックギアGr4を配置することで、中間転写ベルト2と干渉することなく、転写前ガイド15を回動させることができる。
図3に記載したギアを利用して転写前ガイド15を回動させる機構であれば、新たな動力源を必要としないから、コストを上げることなく、転写前ガイドを清掃することができる。
【0056】
一方、新たな動力源を利用して、転写前ガイドを回動させることもできる。図4は、新たな動力源を利用して転写前ガイドを回動させる機構を説明する図である。図3と同様に、転写前ガイド15、2次転写ローラ14、及び2次転写ローラ清掃機構25は支持ユニットに支持され、支持ユニットの移動により一体として中間転写ベルト2から離隔、近接可能とされている。
【0057】
転写前ガイド15は、回転軸Ax15を軸として回動可能に支持ユニットに支持されている。また、回転軸Ax15上には、転写前ガイド15と一体となって回転するギアGr1が設置されている。また、搬送路形成部材16に固定された回転軸を持つギアGr5と、ギアGr5を駆動するためのモータMtr1が設置され、ギアGr5は支持ユニットの移動により転写前ガイド15が中間転写ベルト2から所定距離離隔された状態で、ギアGr1と噛合う位置に設置されている。また、搬送路形成部材16の上面(図中斜線部)は、転写前ガイド15の回動が妨げられないようにくぼんだ形状とされている。
【0058】
図4に記載した機構を有することにより、転写前ガイド15は以下のように回動される。支持ユニットの移動により転写前ガイド15が中間転写ベルト2から所定距離離隔されると、ギアGr1とギアGr5とが噛合う。その状態で、モータMtr1を回転させると、ギアGr5が時計回り方向に回転し、ギアGr5に噛合うギアGr1が反時計回り方向に回転し、転写前ガイド15が反時計回り方向に回動する。転写前ガイド15が所定の位置まで回動した後、モータMtr1を停止する。
【0059】
図4に記載した新たな動力源を利用する機構であれば、前記図3の機構に比べ、ギア等の部品数を抑えることができ、単純な機構により転写前ガイド15を清掃することができる。
【0060】
(第2の実施形態)
本実施形態の全体構成は上述の第1の実施形態の図1と同様であり、詳しい説明は省略する。なお、図1に含まれる部材と同一の部材には、同一の符号を付するものとする。
【0061】
図5は、図1の図中右側中央の2次転写部を拡大表示した図であり、本発明の第2の実施形態での転写前ガイド15の清掃動作を示す。本実施形態では、2次転写ローラ14の位置は変更せずに、転写前ガイド15のみを中間転写ベルト2から離隔した後、転写前ガイド15を回動させ、転写前ガイド15の転写材接触面15aを2次転写ローラ14に当接させた状態で2次転写ローラ14を回転させることによって、転写材接触面15aに付着した汚れの除去を行う。中間転写方式を採用する画像形成装置の中には、第1の実施形態のように2次転写ローラ14を中間転写ベルト2から離隔、近接する機構を有していないものもあり、そのような画像形成装置においても、転写前ガイド15の清掃を可能にするための形態である。
【0062】
本実施形態における転写前ガイド15の清掃動作を以下に説明する。図5(a)において、まず転写前ガイド15を矢印アの方向に移動させ、転写前ガイド15を中間転写ベルト2から離隔させる。図5(a)において、実線部は転写前ガイド15を近接させた状態を、破線部は離隔させた状態を表している。転写前ガイド15を回動させる前に、中間転写ベルト2から離隔させる理由は、転写前ガイド15を中間転写ベルト2に近接させた状態(図5(a)実線部)で回動させようとしても、中間転写ベルト2、2次転写対向ローラ3、及び搬送路形成部材16と干渉し、転写前ガイド15を回動させることができないからである。
【0063】
次に、図5(b)に移り、転写前ガイド15を、中間転写ベルト2から離隔させた状態で、回転軸Ax15を軸として、矢印イで表した反時計回りの方向に回動させ、転写前ガイド15の転写材接触面15aを2次転写ローラ14に当接させる。そして、転写前ガイド15の転写材接触面15aを2次転写ローラ14に当接させた状態で、2次転写ローラ14を矢印ウで表した時計回りの方向に所定数回転させる。この結果、転写前ガイド15の転写材接触面15aに付着した汚れが、2次転写ローラ14に転移される。
【0064】
第1の実施形態と同様に、転写前ガイド15は、図示省略の弾性体によって回転軸Ax15上で回動方向に弾力が働くように保持されているから、転写前ガイド15を適切な圧力で2次転写ローラ14に当接させることができる。従って、前記清掃動作によって2次転写ローラ14が磨耗することを防ぐことができるとともに、転写前ガイド15に付着した汚れを効果的に2次転写ローラ14に転移させることができる。なお、転写前ガイド15と2次転写ローラ14との当接圧は、約10(N/m)であることが好ましい。
転写前ガイド15から2次転写ローラ14に転移した汚れは、2次転写ローラ清掃機構25により清掃されるから、転写前ガイド15の清掃が繰り返し行われた場合であっても、清掃能力が低下することを防止できる。前記2次転写ローラ清掃機構25としては、例えば、ウレタンゴムのブレードなどを例示できるが、これに限定されない。
【0065】
2次転写ローラ14を所定数回転させ、転写前ガイド15に付着した汚れを2次転写ローラ14に転移させた後は、転写前ガイド15を図5(b)矢印イとは逆の時計回りの方向に回動させ、続いて、転写前ガイド15を、図5(a)矢印アとは逆の中間転写ベルト2に近接させる方向に移動させ、図5(a)に実線で表した初期状態に戻す。
【0066】
図5では、転写前ガイド15から2次転写ローラ14に転移した汚れを、2次転写ローラ清掃機構25を使って除去させる例を記載したが、2次転写ローラ清掃機構25がない場合であっても、2次転写ローラの汚れを除去させることができる。例えば、転写前ガイド15を2次転写ローラ14に摺擦させている間、2次転写ローラ14と2次転写対向ローラ3との間に電圧を印加し、2次転写ローラに付着した汚れを中間転写ベルト2へ転移させる。そして、中間転写ベルト2に転移した汚れは、中間転写ベルト2を清掃するためのトナー清掃装置6によって除去させる。
【0067】
図6は、転写前ガイド15を回動させるための機構を示す図である。転写前ガイド15を中間転写ベルト2から離隔、近接させるためのアームArm1(以下、可動アームArm1という)が設置されている。可動アームArm1の一端は、2次転写ローラ14の回転軸Ax14上で回動可能な状態で保持され、回転軸Ax14上に可動アームArm1と一体で回転するギアGr7が設置されている。また、可動アームArm1を回動させるための駆動源であるモータMtr2、及びモータMtr2によって回転するギアGr6が設置され、ギアGr6とギアGr7とが噛合っている。
【0068】
可動アームArm1の中央付近には、転写前ガイド15が回転軸Ax15上で回動可能な状態で保持され、回転軸Ax15上に転写前ガイド15と一体で回転するギアGr1が設置されている。また、可動アームArm1の他端にはギアGr3が設置され、ギアGr1とギアGr3とが噛合っている。また、Gr3と一体となって回転する小径のギアGr2が設置され、ギアGr2とギアGr3とで2段ギアが構成されている。ラックギアGr4は、転写前ガイド15が2次転写ベルト2から所定距離離隔された後に、ギアGr2と噛合い始める位置に、搬送路形成部材16に固定されて設置されている。なお、ラックギアGr4は、アームArm1の回動中心である回転軸Ax14を中心とした円弧を形成するように設置されている。
【0069】
図6に記載した機構を有することにより、転写前ガイド15は以下のように回動される。モータMtr2を回転させると、ギアGr6が時計回り方向に回転し、ギアGr6と噛合うギアGr7が反時計回り方向に回転する。そして、可動アームArm1が回転軸Ax14を軸として、図中矢印アの方向に回動する。転写前ガイド15が中間転写ベルト2から所定距離離隔されると、ギアGr2とラックギアGr4とが噛合いはじめ、ギアGr2とギアGr3とから構成される2段ギアが時計回り方向に回転する。該2段ギアの回転により、ギアGr3と噛合うギアGr1が反時計回り方向に回転し、転写前ガイド15が回転軸Ax15を軸として反時計回り方向に回動する。
【0070】
図6に記載した機構では、新たな動力源として可動アームArm1を回動するためのモータMtr2を利用しているが、モータMtr2以外はギアやアームを利用した機構となっている。よって、新たな動力源の追加を最小限に抑え、転写前ガイド15を清掃することができる。
また、2次転写ローラ14の回転軸Ax14には、2次転写ローラ14を回転させるための既存の動力源があるから、該動力源の回転を利用して、可動アームArm1を回動させるようにギアを構成することで、新たな動力源を利用することなく、転写前ガイドを清掃することもできる。
【0071】
図7は、第2の実施形態における、転写前ガイド15を回動させるための別の機構を示す図である。図6に記載した機構との相違点は、新たな動力源を利用して転写前ガイド15を回転軸Ax15上で回動させる点である。
【0072】
図6と同様に転写前ガイド15を中間転写ベルト2から離隔、近接させるための可動アームArm1が設置されている。可動アームArm1の一端は、2次転写ローラ14の回転軸Ax14上で回動可能な状態で保持され、回転軸Ax14上に可動アームArm1と一体で回転するギアGr7が設置されている。また、可動アームArm1を回動させるための駆動源であるモータMtr2が設置され、モータMtr2によって回転されるギアGr6が設置され、ギアGr6とギアGr7とが噛み合っている。
【0073】
可動アームArm1の他端には、転写前ガイド15が回転軸Ax15上で回動可能な状態で保持され、回転軸Ax15上に転写前ガイド15と一体で回転するギアGr1が設置されている。さらに、転写前ガイド15が中間転写ベルト2から所定距離以上離隔された状態で、ギアGr1と噛合う位置にギアGr5が設置され、ギアGr5を回転駆動するためのモータMtr1が設置されている。また、搬送路形成部材16の上面(図中斜線部)は、転写前ガイド15の回動が妨げられないようにくぼんだ形状とされている。
【0074】
図7に記載した機構を有することにより、転写前ガイド15は以下のように回動される。モータMtr2を回転させると、ギアGr6が時計回り方向に回転し、ギアGr6と噛合うギアGr7が反時計回り方向に回転する。そして、可動アームArm1が回転軸Ax14を軸として、図中矢印アの方向に回動する。ギアGr1とギアGr5とが噛合う位置にまで可動アームArm1が回動した後、モータMtr2を停止する。その後、モータMtr1を回転させると、ギアGr5が時計回りに回転し、ギアGr5と噛合うギアGr1が反時計回り方向に回転し、転写前ガイド15が回転軸Ax15を軸として反時計回り方向に回動する。転写前ガイド15が所定の位置まで回動した後、モータMtr1を停止する。
【0075】
図7に記載した新たな動力源を利用する機構であれば、前記図6の機構に比べ、ギア等の部品数を抑えることができ、より単純な機構で転写前ガイドを清掃することができる。また、2次転写ローラの回転軸Ax14には、2次転写ローラを回転させるための既存の動力源があるから、該動力源の回転を利用して可動アームArm1を回動可能なようにギアを構成することで、可動アームArm1を回動するための動力源であるモータMtr2を利用しない機構とすることもできる。
【0076】
(第3の実施形態)
本実施形態の全体構成は上述の第1の実施形態の図1と同様であり、詳しい説明は省略する。なお、図1に含まれる部材と同一の部材には、同一の符号を付するものとする。
【0077】
図8は、図1の図中右側中央の2次転写部を拡大表示した図であり、本発明の第3の実施形態での転写前ガイド15の清掃動作を示す。第1、2の実施形態における2次転写ローラ清掃機構25の替わりに、回転駆動されることにより2次転写ローラ14の回転面を清掃する2次転写ローラクリーニングブラシBrs1(以下、クリーニングブラシBrs1という)が設置され、さらにクリーニングブラシに付着した汚れを除去するための、クリーニングローラRl1が設置されている。
【0078】
本実施形態では、転写前ガイド15、2次転写ローラ14、クリーニングブラシBrs1、及びクリーニングローラRl1を中間転写ベルト2から離隔した後、転写前ガイド15を回動させ、転写前ガイド15の転写材接触面15aをクリーニングブラシBrs1に当接させた状態でクリーニングブラシBrs1を回転させることによって、転写材接触面15aに付着した汚れの除去を行う。
【0079】
転写前ガイド15の清掃動作を以下に説明する。転写前ガイド15、2次転写ローラ14、クリーニングブラシBrs1、及びクリーニングローラRl1は図示省略の支持ユニットに支持され、支持ユニットの移動により、互いの相対位置を変えずに一体として移動可能とされている。
【0080】
まず、図8(a)において、支持ユニットを矢印アの方向に移動させ、転写前ガイド15、2次転写ローラ14、クリーニングブラシBrs1、及びクリーニングローラRl1を一体として中間転写ベルト2から離隔させる。実線部は支持ユニットを中間転写ベルト2に近接させた状態を、破線部は離隔させた状態を表している。転写前ガイド15を回動させる前に、中間転写ベルト2から離隔させる理由は、転写前ガイド15を中間転写ベルト2に近接させた状態(図8(a)の実線部)で回動させようとしても、中間転写ベルト2、2次転写対向ローラ3、及び搬送路形成部材16と干渉し、転写前ガイド15を回動させることができないからである。
【0081】
第1の実施形態の説明で記載したように、中間転写方式を採用した画像形成装置には、画像安定化処理によって2次転写ローラ14が汚れることを防止するために、2次転写ローラ14を中間ベルト2から離隔する機構が搭載されているものが多いため、該機構を転写前ガイド15を中間転写ベルトから離隔させる機構として利用することによって、部品数の増加を抑えることができる。
【0082】
続いて、図8(b)に移り、転写前ガイド15を、回転軸Ax15を軸として、矢印イで表した反時計回りの方向に回動させ、転写前ガイド15の転写材接触面15aを、クリーニングブラシBrs1に当接させる。そして、転写前ガイド15の転写材接触面15aをクリーニングブラシBrs1に当接させた状態で、クリーニングブラシBrs1を矢印ウで表した反時計回りの方向に所定数回転させる。この結果、転写前ガイド15の転写材接触面15aに付着した汚れが、クリーニングブラシBrs1に転移される。
【0083】
転写前ガイド15からクリーニングブラシBrs1に転移した汚れは、クリーニングローラRl1によってクリーニングブラシから除去される。よって、転写前ガイド15の清掃が繰り返し行われた場合であっても、清掃能力が低下することを防止できる。
【0084】
クリーニングブラシBrs1を所定数回転させ、転写前ガイド15の転写材接触面15aに付着した汚れをクリーニングブラシBrs1に転移させた後は、転写前ガイド15を図8(b)矢印イとは逆の時計回りの方向に回動させ、続いて、支持ユニットを、図8(a)矢印アとは逆の中間転写ベルト2に近接させる方向に移動させ、図8(a)に実線で表した初期状態に戻す。
【0085】
本実施形態と前記第1の実施形態との違いは、転写前ガイド15の転写材接触面15aを当接させる対象が、2次転写ローラ14であるか、クリーニングブラシBrs1であるかの違いであり、本実施形態における転写前ガイド15を回動させる機構は、図3及び図4に記載した機構と略同一の機構を利用することができる。よって、転写前ガイド15を回動させる機構の説明は省略する。
【0086】
(第4の実施形態)
本実施形態の全体構成は上述の第1の実施形態の図1と同様であり、詳しい説明は省略する。なお、図1に含まれる部材と同一の部材には、同一の符号を付するものとする。
【0087】
図9は、図1の図中右側中央の2次転写部を拡大表示した図であり、本発明の第4の実施形態での転写前ガイド15の清掃動作を示す。本実施形態では、2次転写ローラ14の位置は変更せずに、転写前ガイド15のみを中間転写ベルト2から離隔した後、転写前ガイド15を回動させ、転写前ガイド15の転写材接触面15aをクリーニングブラシBrs1に当接させた状態でクリーニングブラシBrs1を回転させることによって、転写材接触面15aに付着した汚れの除去を行う。
【0088】
転写前ガイド15の清掃動作を以下に説明する。まず、図9(a)において、転写前ガイド15を矢印アの方向に移動させ、転写前ガイド15を中間転写ベルト2から離隔させる。実線部は転写前ガイド15を近接させた状態を、破線部は離隔させた状態を表している。
【0089】
転写前ガイド15を回動させる前に、中間転写ベルト2から離隔させる理由は、転写前ガイド15を中間転写ベルト2に近接させた状態(図9(a)の実線部)で回動させようとしても、中間転写ベルト2、2次転写対向ローラ3、及び搬送路形成部材16と干渉し、転写前ガイド15を回動させることができないからである。
【0090】
次に、図9(b)に移り、転写前ガイド15を、回転軸Ax15を軸として、矢印イで表した反時計回りの方向に回動させ、転写前ガイド15の転写材接触面15aをクリーニングブラシBrs1に当接させる。そして、転写前ガイド15の転写材接触面15aをクリーニングブラシBrs1に当接させた状態で、クリーニングブラシBrs1を矢印ウで表した反時計回りの方向に所定数回転させる。この結果、転写前ガイド15の転写材接触面15aに付着した汚れをクリーニングブラシBrs1転移させることができる。転写前ガイド15からクリーニングブラシBrs1に転移した汚れは、クリーニングローラRl1によってクリーニングブラシBrs1から除去される。よって、転写前ガイド15の清掃が繰り返し行われた場合であっても、清掃能力が低下することを防止できる。
【0091】
2次転写ローラ14を所定数回転させ、転写前ガイド15に付着した汚れをクリーニングブラシBrs1に転移させた後は、転写前ガイド15を図9(b)矢印イとは逆の時計回りの方向に回動させ、続いて、転写前ガイド15を、図9(a)矢印アとは逆の中間転写ベルト2に近接させる方向に移動させ、図9(a)に実線で表した初期状態に戻す。
【0092】
本実施形態と前記第2の実施形態との違いは、転写前ガイド15の転写材接触面15aを当接させる対象が、2次転写ローラ14であるか、クリーニングブラシBrs1であるかの違いであり、本実施形態における転写前ガイド15を回動させる機構は、図6及び図7に記載した機構と略同一の機構を利用することができる。よって、転写前ガイド15を回動させる機構の説明は省略する。
【0093】
(第5の実施形態)
本実施形態では、先に行われた転写前ガイド15の清掃が終了してから印刷された縁なし印刷の枚数をカウントし、該カウントが所定カウント以上となった場合に転写前ガイド15の清掃を行うように制御する。
【0094】
本実施形態の画像形成装置の全体構成は上述の第1の実施形態の図1と同様であり、詳しい説明は省略する。また、転写前ガイド15の清掃機構及び動作は、第1〜第4の実施形態(図2〜図9)のいずれかを採用することができる。なお、これらの図に含まれる部材と同一の部材には、同一の符号を付するものとする。
【0095】
図10は本実施形態の画像形成装置の制御部を示すブロック図である。全体制御部101は、パーソナルコンピュータなどの外部装置から受信したプリントデータをラスタ形式の画像データに変換し、印刷制御部102に対して、変換後の画像データ及び印刷指示コマンドを送信する。印刷指示コマンドを受信した印刷制御部102は、モータ105、カム106、電源107、画像露光装置11を制御し、印刷処理を行う。印刷制御部102はCPUであり、ROM103から動作プログラムを読み込み、RAM104を作業領域として利用して、前記動作プログラムに従って処理を行う。
【0096】
図11は本実施形態の処理内容を示すフローチャートである。ROM103には、図11に記載された処理を行うプログラムが記憶されており、印刷制御部102は該ブログラムを読み込み、処理を行う。図11に示される処理では、縁なし印刷の枚数をカウントし、該カウントが所定以上となった場合に、転写前ガイド15の清掃処理を行っている。なお、縁なし印刷とは、転写材の少なくとも一つの端部まで画像を形成する印刷方法のことである。
【0097】
以下に、フローチャートを参照しながら、処理を説明する。印刷制御部102が印刷指示コマンドを受信すると、ステップS101(以下、ステップは省略し、単にS101のように記載する)において、1ページ目の画像の印刷を行う。次にS101で行った印刷が縁なし印刷であったか否かが判断される(S102)。S102において、縁なし印刷であると判断された場合(S102でYES)には、S103において縁なし印刷カウントCntがカウントアップされる。S102において、縁なし印刷ではないと判断された場合(S102でNO)には、S103の処理はされずにS104に進む。
【0098】
続いて、S104において、縁なし印刷カウントCntがしきい値カウントThよりも大きいか否かが判断される。なお、しきい値カウントThの値は、あらかじめROM103に記憶されている。縁なし印刷カウントCntがしきい値カウントThよりも大きいと判断された場合(S104でYes)には、S105において転写前ガイドの清掃処理を行い、S106において縁なし印刷カウントCntを0にリセットする。一方、S104において、縁なし印刷カウントCntがしきい値カウントTh以下と判断された場合(S104でNO)には、S105及びS106処理はされずにS107に進む。
【0099】
続いて、S107において、S101で印刷したページが最終ページか否かが判断される。最終ページと判断された場合(S107でYES)には、処理を終了する。一方、最終ページではないと判断された場合(S107でNO)には、S101に戻り、次のページの印刷を行う。
【0100】
図11のフローチャートでは、縁なし印刷カウントCntがしきい値カウントThより大きくなった場合に、転写前ガイドを清掃する制御を説明したが、電源投入時の初期動作時や画像調整動作時にも、転写前ガイドを清掃するように制御してもよい。そのように制御した場合には、転写前ガイド15の清掃処理後に、S106と同様に縁なし印刷カウントCntを0にリセットする処理を行う。
【0101】
第1〜第4の実施形態の転写前ガイド清掃機構を有する画像形成装置において、本実施形態の転写前ガイドの清掃機構の制御を行うことによって、縁なし印刷が所定枚数以上行われた場合に転写前ガイド15の清掃が行われるから、転写前ガイド15に付着した汚れを適時に除去することができるとともに、過度に清掃を行うことによる印刷の生産性が低下することを防止できる。
【0102】
前記各実施形態では、画像形成装置として、中間転写方式のフルカラープリンタを例示している。しかし、本発明は、感光体9上に現像されたトナー像を転写材に直接転写する直接転写方式の画像形成装置や、モノクロの画像形成装置など、電子写真方式を利用している画像形成装置全般に適用することができる。
【0103】
また、前記各実施形態では、本発明の清掃機構として、転写前ガイドの清掃機構を例示している。しかし、本発明は、搬送ローラへ転写材を導くための搬送ガイドの清掃機構全般に適用することができる。
【0104】
また、開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施形態の1つである、タンデム型のフルカラープリンタの構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態における、転写前ガイドの清掃動作を説明する図である。
【図3】第1の実施形態における、転写前ガイドを回動させる第1の機構を説明する図である。
【図4】第1の実施形態における、転写前ガイドを回動させる第2の機構を説明する図である。
【図5】第2の実施形態における、転写前ガイドの清掃動作を説明する図である。
【図6】第2の実施形態における、転写前ガイドを回動させる第1の機構を説明する図である。
【図7】第2の実施形態における、転写前ガイドを回動させる第2の機構を説明する図である。
【図8】第3の実施形態における、転写前ガイドの清掃動作を説明する図である。
【図9】第4の実施形態における、転写前ガイドの清掃動作を説明する図である。
【図10】第5の実施形態における、制御部を説明するブロック図である。
【図11】第5の実施形態における、転写前ガイドの清掃の制御処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0106】
1 タンデム型のフルカラープリンタ
2 中間転写ベルト
3 ローラ(2次転写対向ローラ)
4 ローラ
5 ローラ
6 トナー清掃装置
7 画像形成部
8 1次転写ローラ
9 感光体
10 現像装置
11 画像露光装置
12 帯電装置
13 クリーナ
14 2次転写ローラ
15 転写前ガイド
15a 転写材接触面
16 搬送路形成部材
17 供給カセット
18 給紙ローラ
19 タイミングローラ
20 タイミングローラ
21 定着装置
22 排紙ローラ
23 排紙ローラ
24 排紙トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写材の搬送経路に設置され、回転することによって転写材を搬送する搬送ローラの回転面へ転写材を導くための搬送ガイドを清掃するための搬送ガイド清掃機構であって、
前記搬送ガイドの転写材が接触する面である転写材接触面が前記搬送ローラに当接するように前記搬送ガイドを移動させる搬送ガイド移動機構を有し、
前記搬送ガイドの転写材接触面が前記搬送ローラに当接した状態で前記搬送ローラを回転させることにより、前記搬送ガイドの転写材接触面を清掃する搬送ガイド清掃機構。
【請求項2】
転写材の搬送経路に設置され、回転することによって転写材を搬送する搬送ローラの回転面へ転写材を導くための搬送ガイドを清掃するための搬送ガイド清掃機構であって、
前記搬送ローラの回転面に当接するように設置され、回転することによって前記搬送ローラを清掃する搬送ローラ清掃機構と、
前記搬送ガイドの転写材が接触する面である転写材接触面が前記搬送ローラ清掃機構に当接するように前記搬送ガイドを移動させる搬送ガイド移動機構とを有し、
前記搬送ガイドの転写材接触面が前記搬送ローラ清掃機構に当接した状態で前記搬送ローラ清掃機構を回転させることにより、前記搬送ガイドの転写材接触面を清掃する搬送ガイド清掃機構。
【請求項3】
前記搬送ガイド移動機構は、前記搬送ガイドを回動させる搬送ガイド回動機構を有する請求項1または2に記載の搬送ガイド清掃機構。
【請求項4】
前記搬送ローラは、前記転写材にトナー像を転写させる転写ローラであり、
前記搬送ガイドは、トナー像を像担持体の表面から転写材に転写するために前記像担持体と前記転写ローラとが当接する転写ニップ部に転写材を導くための転写前ガイドである請求項1または2に記載の搬送ガイド清掃機構。
【請求項5】
前記搬送ガイド移動機構は、
前記転写前ガイドを前記像担持体から離隔させる転写前ガイド離隔機構と、
前記転写前ガイドを回動させる転写前ガイド回動機構とを更に有し、
前記転写前ガイド離隔機構によって前記転写前ガイドを前記像担持体から離隔させた後に、前記転写前ガイド回動機構によって前記転写前ガイドを回動させる請求項4に記載の搬送ガイド清掃機構。
【請求項6】
前記転写前ガイド離隔機構は、
前記転写ローラを前記像担持体から離隔させる転写ローラ離隔機構と、
前記転写前ガイドと前記転写ローラとを支持する支持体とによって構成され、
前記転写ローラ離隔機構によって、前記転写ローラとともに前記転写前ガイドを前記像担持体から離隔させる請求項5に記載の搬送ガイド清掃機構。
【請求項7】
請求項1乃至6の少なくとも一に記載の搬送ガイドの清掃機構を有する画像形成装置。
【請求項8】
前記転写材の少なくとも一つの端部まで画像を形成する縁なし印刷の枚数をカウントするカウント手段と、
先に行われた前記搬送ガイドの清掃が終了してから所定枚数以上の縁なし印刷が行われた場合に、次の前記搬送ガイドの清掃を行うように前記搬送ガイドの清掃機構を制御する制御部とを更に有する請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−199026(P2009−199026A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43455(P2008−43455)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】