説明

搬送装置

【課題】基板を搬送する搬送工程において、高さの異なる基板処理装置と搬送装置の間の移載を容易に行うことができると共に、移載後の基板が次の工程に適合する姿勢に整合することができる搬送装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る搬送装置1は、複数のローラと、このローラを備え所定の間隔をあけて並設された複数本のレール部とを有し、矩形の基板Nを水平に搬送するローラコンベア部10と、ローラコンベア部10を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構部3と、基板Nの対向する端部側に配置され、ローラコンベア部10上において、基板Nの端部を押動することで基板Nの姿勢を整合する一対の整合部30と、を備え、鉛直移動機構部3は、ローラコンベア部10の一端側に配置され、ローラコンベア部10の他端側は、自由端であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子回路基板や液晶基板等の基板を一方から他方に搬送するための搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶基板の製造工程においては、基板に回路や識別記号を形成するために紫外線を曝露する紫外線照射工程等がある。この際、露光工程を行う露光装置や、紫外線照射工程を行う照射装置等の各基板処理装置の間は、ベルトコンベア等の搬送装置によって連結され、基板が水平を保った状態で搬送される。即ち、液晶基板の製造工程は、基板処理装置から搬送装置へ又は搬送装置から基板処理装置へ基板を移載する移載工程や、搬送装置によって基板を搬送する搬送工程を繰り返し行われる。
【0003】
このような製造工程に用いられる搬送装置として、例えば、特許文献1に係る発明が知られている(従来発明1)。従来発明1は、ローラ軸を複数本併設したローラコンベアであって、ローラ軸に接続された駆動軸を回転させるサーボモータと、サーボモータに内蔵された回転検出器と、ローラ軸の回転を検出する外部検出器を有することを特徴とする。このような構成により、回転検出器のフィードバック信号と共に、外部検出器の検出信号でサーボ制御器に与えられる指令値を補正することにより、ローラ軸の正確な回転と、ローラコンベアで搬送される基板の正確な停止位置とを制御することができる。
【0004】
また、例えば、各基板処理装置に係る挿入口や排出口の高さが異なる場合には、例えば、特許文献2に係るトランスファロボット(従来発明2)を用いて基板の移載を行っていた。当該トランスファロボットは、ベースに回転可能に設置された第一アームと、第一アームに回転可能に設置された第二アームと、第二アームの先端側に取り付けられ、基板を載置するハンド部と、を有する。第一アーム及び第二アームが上下方向に回転してハンド部を鉛直方向に動かすことができるため、基板の鉛直方向の移動を行うことができる。
【特許文献1】特開2004−131233号公報(図1) 特開2003−275980号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来発明2に係るトランスファロボットによって基板を移載した後に、従来発明1に係るローラコンベアで搬送すると、移載及び搬送の際に基板の姿勢が傾き、そのまま搬送されるという問題があった。即ち、基板を次の工程の基板処理装置へ挿入する際に適正な姿勢で挿入することができないため、位置合せ作業に悪影響を与えたり、作業効率が悪くなったりするという問題があった。
このような観点から本発明は、基板を搬送する搬送工程において、高さの異なる基板処理装置と搬送装置の間の移載を容易に行うことができると共に、基板を次の工程における適切な姿勢で搬送することができる搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明は、複数のローラと、このローラを備え所定の間
隔をあけて並設された複数本のレール部を有して、矩形の基板を水平に搬送するローラコ
ンベア部と、前記ローラコンベア部を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構部と、前記基板
の対向する端部側に配置され、前記ローラコンベア部上において、前記基板の端部を押動
することで前記基板の姿勢を整合する一対の整合部と、を備え、前記鉛直移動機構部は、
前記ローラコンベア部の一端側に配置され、前記ローラコンベア部の他端側は、自由端で
あることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、鉛直移動機構部により、ローラコンベア部を鉛直方向に移動させ、次工程における各基板処理装置の挿入口や排出口の高さ位置が異なっても、基板を移載する。また、整合部によって、ローラコンベア部上で基板の姿勢を整え、基板を適切な姿勢で基板処理装置に搬送する。また、ローラコンベア部の他端側は、自由端となっているため、ローラコンベア部の他端側の下部及び上部の空間や、隣り合うレール部の間隙を利用して、次工程の基板処理装置の受取りステージ等を挿入し、移載工程を行う。
【0008】
また、本発明にかかる整合部は、前記基板に当接される複数の整合ローラと、この整合ローラを直線上に備える保持部と、この保持部を水平面内で回転させる回転軸部と、この回転軸部を駆動させる駆動手段と、前記回転軸部の回転角度を検知する角度検知手段と、この角度検知手段の検知した角度に基づいて前記駆動手段を制御する駆動制御手段と、前記回転軸部を支持する支持台と、この支持台を前記ローラコンベア部の幅方向において移動させるスライド機構部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、対向する一対の整合部に形成された整合ローラで基板を挟持すると共に、角度検知手段及び駆動手段により、検知した角度に基づいて基板を所望の姿勢(角度)に整合する。これにより、基板を適切な姿勢で各基板処理装置に搬送することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る搬送装置によれば、基板を搬送する搬送工程において、高さの異なる基板処理装置と搬送装置の間の移載工程を容易に行うことができると共に、基板を次の工程における適切な姿勢で搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る搬送装置の最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る搬送装置を示した斜視図である。図2は、本実施形態に係る搬送装置を示した側面図である。図3は、本実施形態に係る搬送装置を示した平面図である。図4は、本実施形態に係るローラコンベア部を示した拡大斜視図である。図5は、本実施形態に係る搬送装置の正面図である。図6は、本実施形態に係る整合部を示した拡大斜視図である。図7は、本実施形態に係る制御装置を示したブロック図である。
なお、説明における上下左右前後は、図1の矢印に従う。
【0012】
本実施形態に係る搬送装置1は、図1に示すように、搬送装置1の下部に配設された脚部2と、脚部2の上方に配設されたローラコンベア部10と、脚部2とローラコンベア部10との間に介設された鉛直移動機構部3と、基板Nの傾きを整合する一対の整合部30と、ローラコンベア部10及び整合部30の作動を制御する制御装置50(図2参照)と、を有する。
【0013】
本実施形態に係る搬送装置1は、図1の前側から後側に向けて基板Nを搬送する装置である。以下図2の外部コンベアG側を上流、紫外線処理装置E側を下流として説明する
搬送装置1の搬送方向上流側には、例えば、露光装置(図示省略)が並設されており、搬送方向下流側には、例えば、紫外線照射装置Eが並設されている。即ち、図1の搬送方向上流側に示す外部コンベアGは、公知のコンベアであって、露光装置から排出された基板Nを水平に保持した状態で、搬送装置1に向かって搬送する装置である。一方、図1の搬送方向下流側に示す導入部Kは、基板Nを紫外線照射装置Eへ移載する装置である。また、紫外線照射装置Eの基板Nを挿入する挿入口(図示省略)の高さ位置は、外部コンベアGの上面の高さ位置よりも高く設置されているものとする。
即ち、搬送装置1は、露光装置から外部コンベアGを介して搬送された基板Nを低い位置から受け取り、高さ調節を行うと共に、基板Nの位置及び傾きの整合を行ったうえで、紫外線照射装置Eに向けて基板Nを搬送する装置である。なお、基板Nは、例えば、平面視長方形を呈するものとする。
【0014】
<脚部2>
脚部2は、図1及び図2に示すように、搬送装置1の設置面に載置され搬送装置1の土台となる部分である。脚部2は、本実施形態においては、上部板及び下部板の間に角材を介設して外観視略直方体を呈するように形成されている。上部板の上面には、鉛直移動機構部3が設置されており、脚部2の内部には、制御装置50が設置されている。
【0015】
脚部2は、図2に示すように、ローラコンベア部10の中央部よりも、搬送方向上流側を片持支持するように形成されている。即ち、ローラコンベア部10の搬送方向下流側は、自由端となるように形成されている。
【0016】
<鉛直移動機構部3>
鉛直移動機構部3は、ローラコンベア部10の上面を水平に保った状態で、ローラコンベア部10の鉛直方向に移動させる駆動装置である。鉛直移動機構部3は、図1及び図2に示すように、脚部2の上部板の4隅において、脚部2とローラコンベア部10の間に介設されている。鉛直移動機構部3は、制御装置50と電気的に接続されており、制御装置50から送信される信号に基づいて上下に移動するように形成されている。
鉛直移動機構部3は、本実施形態においては、公知の油圧シリンダを用いている。鉛直移動機構部3は、最も下降させた場合に、外部コンベアGの上面と、ローラコンベア部10の上面とが略同等の高さ位置となるように形成されている。また、鉛直移動機構部3は、最も上昇させた場合に、ローラコンベア部10の上面と、紫外線照射装置Eの挿入口とが略同等もしくは鉛直移動機構部3の上面が高い位置となるように形成されている。鉛直移動機構部3は、油圧シリンダに限らず、エアシリンダ等他の移動機構であってもよい。
【0017】
<ローラコンベア部10>
ローラコンベア部10は、上面に基板Nを載置して、基板Nを水平に保った状態で搬送する部分である。ローラコンベア部10は、図1に示すように、平板部11と、搬送方向に延設されたレール部12と、ローラコンベア部10の側部に設置された第一センサ14、第二センサ15及び第三センサ16を有する。
【0018】
平板部11の下面は、鉛直移動機構部3に当接されており、鉛直移動機構部3の作動を受けて、ローラコンベア部10が水平を保持した状態で上下に移動するように形成されている。平板部11は、図2に示すように、搬送装置1の搬送方向上流側にのみ配設されている。平板部11の上面には、レール部12が載置されている。
【0019】
レール部12は、図3に示すように、搬送装置1の搬送方向に亘って延在し、搬送方向に対して平行となるように、例えば6体並設されている。隣り合うレール部12,12の間は、後記する導入部Kが挿入される間隙部U,U・・・が形成されている。
6体のレール部12のうち、幅方向における両端は、駆動部17(図4参照)と接続されている主動レール部12a,12aであり、中央側4本のレール部12は、駆動部17を有しないガイドレール部12b,12b・・・である。主動レール部12a,12a間の幅Wは、基板Nの幅Wよりも小さくなるように形成されている。レール部12の搬送方向の長さは、後記する整合・位置修整工程と、紫外線照射装置E側への移載工程とが同時に行えるスペースが確保されていることが好ましい。
【0020】
ガイドレール部12bは、図4に示すように、平板部11の上面に垂設された板材19と、板材19に貫通されたローラ軸20と、ローラ軸20の一端側に取り付けられたローラ21とを有する。
ローラ軸20は、板材19に穿設された孔を貫通して形成されており、一端側にローラ21が取り付けられている。ローラ21は、例えば樹脂製の円板であって、ローラ軸20を中心に回転可能に形成されている。
【0021】
また、主動レール部12aは、図4に示すように、ガイドレール部12bの構成に加えて駆動部17及びベルト22,23を備えており、駆動部17の駆動に伴ってローラ21が回転駆動するように形成されている。即ち、駆動部17の駆動軸17aに形成されたプーリ17bと、ローラ軸20に形成されたプーリ20aとはベルト22を介して連結されている。また、駆動軸17aと、主動レール12aにおいて最も搬送方向下流側に配置されたローラ軸(図示省略)とが、ベルト23によって環状に架け渡されている。さらに、ベルト23の内側に、複数のローラ軸20がそれぞれ接触されている。これにより、駆動部17の回転駆動がローラ21に伝達される。
【0022】
なお、主動レール部12a及びガイドレール部12bの構造は、上記した形態に限定されるものではない。主動レール部12aは、ローラ21が回転駆動するように適宜形成すればよく、例えば、ベルト22,23に変えて磁気で駆動するように形成してもよく、ローラ21に駆動部17を直列に構成してもよい。また、主動レール部12aは、本実施形態においては、ローラコンベア部10の幅方向の両端に設置したが中央部側にも設置してもよい。なお、レール部12は、本実施形態においては、6体用いたが本数を限定するものではない。
【0023】
図7に示すように、駆動部17は、制御装置50と接続されており、第一センサ14、第二センサ15及び第三センサ16から制御装置50に送信される信号に基づいて停止、作動するように形成されている。また、駆動部17は、鉛直移動機構部3が上昇し、最上位に位置したときに、制御装置50から信号が送信されて作動するように形成されている。また、駆動部17は、後記する離間工程が終了し整合部30が最大離隔位置に到達した後に、制御装置50から信号が送信されて作動するように形成されている。
【0024】
第一センサ14は、外部コンベアGからローラコンベア部10に移載された基板Nを検知して、鉛直移動機構部3を作動させるためのセンサである。第一センサ14は、図2に示すように、平板部11の搬送方向上流側に設置されている。第一センサ14は、基板Nが搬送装置1の搬送方向上流側に載置されたことを検知すると、制御装置50に信号を送信するように形成されている。第一センサ14は、本実施形態においては、公知の赤外線センサを用いる。
【0025】
第二センサ15は、ローラコンベア部10に搬送された基板Nを検知して、ローラコンベア部10の駆動部17を停止させるためのセンサである。第二センサ15は、図2に示すように、ローラコンベア部10の側部において、第二整合部30bの搬送方向下流側に設置されている。第二センサ15は、基板Nの先端を検知すると、制御装置50に信号を送信するように形成されている。第二センサ15は、本実施形態においては、例えば公知の赤外線センサを用いる。
第二センサ15の設置位置は、図3に示すように、基板Nの搬送方向の長さLによって適宜変更するのが好ましい。ここで、第二整合部30b(回転軸部34)の中心から第二センサ15(検出位置)までの長さをRとすると、R≒1/2Lとなる位置に第二センサ15を設置することが好ましい。
【0026】
第三センサ16は、搬送装置1の搬送方向下流側において、ローラコンベア部10に搬送された基板Nを検知して、ローラコンベア部10の駆動部17を停止させるためのセンサである。第三センサ16は、図3に示すように、レール部12の搬送方向下流側に設置されている。第三センサ16は、基板Nの先端を検知すると、制御装置50に信号を送信するように形成されている。第三センサ16は、本実施形態においては、公知の赤外線センサを用いる。
なお、第一センサ14、第二センサ15及び第三センサ16は、赤外線センサに限定されず、他の公知のセンサを用いてもよい。
【0027】
<整合部30>
整合部30は、搬送されてくる基板Nを適切な姿勢(角度)に整合すると共に、適切な位置に配置させる装置である。整合部30は、図1及び図2に示すように、ローラコンベア部10の幅方向において、対向して設置された一対の第一整合部30a及び第二整合部30bを有する。整合部30は、それぞれ制御装置50に接続されている。第一整合部30a及び第二整合部30bの構造は、略同等であるため、第一整合部30aを例にして詳細に説明する。
【0028】
第一整合部30aは、図6に示すように、複数の整合ローラ32a〜32hからなる整合ローラ部32と、整合ローラ部32が設置された保持部33と、保持部33を水平面内に回転可能に支持する回転軸部34と、回転軸部34を回転させる駆動手段35と、回転軸部34の回転角度を検知する角度検知手段36と、回転軸部34と駆動手段35の連結を係合又は解除させる断続部Dと、角度検知手段36の検知した角度に基づいて駆動手段35を制御する駆動制御手段37(図7参照)と、回転軸部34を支持する支持台38と、支持台38をスライドさせるスライド機構部39と、を有する。
【0029】
整合ローラ部32は、図6に示すように、基板Nの整合を行う際に、基板Nの端部に当接される部分である。整合ローラ部32は、本実施形態においては、直線状に一定の間隔をあけて配設された例えば8つの整合ローラ32a〜32hからなる。
整合ローラ32a〜32hは、円柱形状を呈し、円筒面が基板Nと垂直になるように設置され、円の中心に配設された基軸(図示省略)に対して回転可能に形成されている。整合ローラ32a〜32hは、略同形状からなり、それぞれの円筒面の表面が一直線上になるように設置されている。即ち、整合ローラ部32は、直線を有する基板Nの端面に平行な状態で整合ローラ部32に接触した場合に、全ての整合ローラ32a〜32hの円筒面が基板Nに接触するように形成されている。
【0030】
整合ローラ部32のうち、両端に係る第一整合ローラ32a及び第二整合ローラ32hの内部には、それぞれ第一圧力センサ41、第二圧力センサ42が設置されている。
第一圧力センサ41及び第二圧力センサ42は、図7に示すように、制御装置50に接続されており、基板Nの傾き角度を検知する際に用いられる。即ち、第一圧力センサ41又は第二圧力センサ42のうち、一方が基板Nに当接されると、角度測定を開始する信号が制御装置50を介して角度検知手段36に送信されるように形成されている。また、第一圧力センサ41又は第二圧力センサ42のうち、第一整合部30aが回転して、まだ接触していない他方が基板Nに当接されると、角度測定を終了する信号が制御装置50を介して角度検知手段36に送信されるように形成されている。
【0031】
なお、整合ローラ32a〜32hは、本実施形態においては8つ用いたが、基板Nの大きさに応じて適宜個数、間隔を設定すればよい。また、整合ローラ32a〜32hは、本実施形態においては樹脂製のものを用いたが、他の公知の材料を用いてもよい。また、本実施形態における第一圧力センサ41及び第二圧力センサ42は、微細の圧力にも反応する公知の圧力スイッチもしくは整合ローラの位置もしくは取り付け位置の微細な位置の変化を測定する変位計等を用いる。また、第一圧力センサ41及び第二圧力センサ42は、第一整合部30a及び第二整合部30bの両方に形成してもよいが、本実施形態においては第一整合部30aのみに形成するものとする。
【0032】
保持部33は、図6に示すように、中央部に回転軸部34を備えると共に、端部に整合ローラ部32を備え、回転軸部34を中心にして水平面内で回転する部材である。保持部33は、回転軸部34を備える本体部33aと、本体部33aの端部から張り出して形成された張出し部33bとを有する。本体部33aは、中央部に回転軸部34が貫通して形成されており、回転軸部34を軸にして水平に回転するように形成されている。張出し部33bは、搬送方向と平行に延設されており、整合ローラ32a〜32hが設置されている。
【0033】
回転軸部34は、保持部33の本体部33aを貫通して形成された軸であって、下端に駆動手段35が直接接続されている。駆動手段35は、図6に示すように、駆動制御手段37から送信される信号に基づいて、回転軸部34を回転させる部材である。駆動手段35は、本実施形態においては、公知のモータを用いる。
駆動手段35は、図7に示すように、駆動制御手段37に接続されており、駆動制御手段37によって送信された信号に基づいて、回転軸部34を所定の角度に回転するように形成されている。
【0034】
角度検知手段36は、図6及び図7に示すように、回転軸部34の回転角度を検知する装置である。角度検知手段36は、回転軸部34を貫通して形成されており、第一圧力センサ41及び第二圧力センサ42から制御装置50を介して送信された信号に基づいて、回転軸部34の回転角度が検知できるように形成されている。角度検知手段36は、本実施形態においては、公知のエンコーダを用いている。
【0035】
即ち、角度検知手段36は、第一整合ローラ32a又は第二整合ローラ32hのうち一方が基板Nに当接されると、当該整合ローラに内装された圧力センサから角度検知手段36に信号が送信され、角度測定が開始される。
そして、第一圧力センサ41と第二圧力センサ42のうち最初に基板Nに接触しなかった圧力センサが、基板Nに接触する方向に回転軸部34が回転し、基板Nに当接されると、当該圧力センサから制御装置50を介して角度検知手段36に信号が送信され、角度測定および基板Nの整合動作準備が終了する。
そして、角度検知手段36によって測定された角度(以下、検知回転角度とする)は、駆動制御手段37に送信される。
【0036】
角度検知手段36についてより具体的に説明すると、図3に示すように、基板Nの端部の延長線を延長線J、搬送方向と平行となる基準線をHとする。また、基準線H=0°、基準線Hと延長線Jの開き角度をθ、基準線Hから時計回りの方向を正、反時計回りを負とする。即ち、図3に示す基板Nの場合、角度検知手段36によって測定される検知回転角度は、−θとなる。
【0037】
駆動制御手段37は、角度検知手段36によって測定された検知回転角度に基づいて演算を行い、駆動手段35に信号を送信するものである。
ここで、本実施形態においては、基板Nの所望の搬送角度(姿勢)を、基板Nの端部の延長線Jと基準線Hとが平行となるように搬送するものとする。即ち、本実施形態においては、基板Nの所望の搬送角度が0°となるように設定する。
従って、例えば、図3に示すように、角度検知手段36によって検知回転角度=−θと検知された場合、駆動手段35を+θ回転させれば、基準線Hと延長線Jが整合する。従ってこの場合、駆動制御手段37は、回転軸部34を+θ回転させるように駆動手段35に信号を送信する。
【0038】
断続部Dは、図6に示すように、制御装置50(図示省略)の信号に基づいて、回転軸部34と駆動手段35を係合させたり、係合を解除させたりする機構である。断続部Dは、通常は非係合状態になっており、回転軸部34が自由に回転するように形成されている。そして、角度測定が終了した際に、回転軸部34と駆動手段35を係合させて、駆動手段35の駆動に基づいて回転軸部34が回転するように形成されている。即ち、基板Nと当接される第一圧力センサ41又は第二圧力センサ42のうち、後の圧力センサが当接した時に、回転軸部34と駆動手段35が係合するように形成されている。また、駆動手段35により後記する整合・位置修整工程が終了した際に、回転軸部34と駆動手段35の係合が解除されるように形成されている。
【0039】
支持台38は、回転軸部34を支持する部材である。支持台38は、図5に示すように、回転軸部34の下端において、回転軸部34と垂直になるように形成されている。
【0040】
スライド機構部39は、支持台38をローラコンベア部10の幅方向に移動させる装置である。スライド機構部39は、スライドレール部39aと、スライドレール部39a上を摺動する直動型アクチュエータ39bとを有する。支持台38は、支持台38に内装された直動型アクチュエータ39bにより、スライドレール部39a上を摺動するように形成されている。
【0041】
制御装置50は、図7に示すように、各センサから送信された信号を受信して、駆動手段35等を作動させる信号を送信するものである。また、制御装置50は、記憶部51を備えており、記憶部51が保有するテーブルを参照して信号を送信するように形成されている。
【0042】
なお、導入部Kは、図2乃至図3に示すように、基板Nを下側から受け取る受取りステージであって、略梯子状に枠組みされたフレーム部Kaと、フレーム部Kaにおいて鉛直方向に一定の間隔をあけて立設された突起部Kbとを有する。導入部Kは、紫外線照射装置E(基板処理装置)の制御装置及び駆動部(図示省略)に接続されて、フレーム部Kaが上下方向及び前後方向に移動するように形成されている。即ち、導入部Kは、搬送装置1の搬送方向下流側に搬送された基板Nを紫外線照射装置E側に移載可能に形成されている。また、導入部Kは、図示しないセンサから送信された信号に基づいて作動するように形成されている。
【0043】
次に、搬送装置1の動作に付いて説明する。
図8は、本実施形態に係る搬送装置1の動作を示した概略平面図であって、(a)は、移載工程、(b)は、第一停止工程、(c)は、当接工程、(d)は、角度検知工程、(e)は、整合・位置修整工程、(f)は、離間工程、(g)は、第二停止工程を示す。なお、説明において、搬送装置1の各装置においては、適宜該当する各図面を参照する。
【0044】
まず、準備段階として、搬送装置1の鉛直移動機構部3は最下端に位置させておき、第一整合部30a及び第二整合部30bは、最大離隔位置に配置させているものとする。
【0045】
(移載工程)
移載工程は、図8の(a)に示すように、外部コンベアGによって搬送された基板Nを外部コンベアGから搬送装置1の搬送方向上流側に移載する工程である。そして、基板Nが搬送装置1に載置されると、第一センサ14が検知して、第一センサ14から制御装置50を介して信号が送信され、鉛直移動機構部3が上昇する。そして、鉛直移動機構部3が最上端もしくは移裁する先方の高さに相当する高さに位置すると、ローラコンベア部10の駆動部17が作動し、ローラ21が作動する。これにより、基板Nが搬送方向に向かって搬送される。
【0046】
(第一停止工程)
次に、図8の(b)に示すように、基板Nがローラ21上を搬送され、基板Nの先端が第二センサ15に検知されると、制御装置50を介して信号が送信され、ローラコンベア部10の駆動部17が停止する。これにより、基板Nは、第一整合部30a及び第二整合部30bの間で停止する。
【0047】
(当接工程)
次に、図8の(c)に示すように、基板Nが停止すると、制御装置50からスライド機構部39に信号が送られ、第一整合部30a及び第二整合部30bが搬送装置1の中央方向に向かって、各整合ローラ部32が搬送方向と平行を保持した状態で、前進移動する。そして、基板Nは基準線Hに対して傾いているため、第一整合部30aの第一整合ローラ32a及び第二整合部30bの第二整合ローラ32h’は、それぞれ基板Nの端部に当接される。すると、第一整合ローラ32aに内装された第一圧力センサ41から制御装置50を介して信号が送信され、角度検知手段36の角度測定が開始される。
【0048】
(角度検知工程)
次に、図8の(d)に示すように、第一整合部30a及び第二整合部30bがさらに前進移動をして第一整合部30a及び第二整合部30bの間が縮まると、回転軸部34を中心に保持部33が回転し、第一整合部30aの第二整合ローラ32h及び第二整合部30bの第一整合ローラ32a’が基板Nの端部に当接される。すると、第二整合ローラ32hに内装された第二圧力センサ42から制御装置50に信号が送信され、角度検知手段36の角度測定が終了する。例えば、本実施形態においては、検知回転角度θ=−15°とする。また、この際、制御装置50から、断続部Dに信号が送信されて、駆動手段35と回転軸部34が係合される。これにより、基板Nの整合動作準備が完了する。
【0049】
(整合・位置修整工程)
次に、図8の(e)に示すように、検知回転角度θ=−15°であるため、駆動制御手段37によって回転軸部34を+15°回転させるように信号を送信する。これにより、基板Nの端部の延長線Jが搬送方向と平行になるため、基板Nを適切な姿勢で搬送することができる。
また、角度の整合と共に、スライド機構部39により、ローラコンベア部10の幅方向の中心線CWと基板Nの幅方向の中心線CWとが重なるように幅方向の位置修整を行うことで、適切な位置で基板Nを搬送することができる。
【0050】
(離間工程)
次に、図8の(f)に示すように、整合・位置修整工程が終了すると、制御装置50からスライド機構部39に信号が送信されて、第一整合部30a及び第二整合部30bを基板Nから離間する位置に後退移動する。そして、制御装置50からローラコンベア部10の駆動部17に信号が送信され、ローラ21が再び回転し、基板Nが搬送装置1の搬送方向下流側に向かって搬送される。
【0051】
(第二停止工程)
次に、図8の(g)に示すように、基板Nが搬送装置1の搬送方向下流側に搬送され、基板Nの先端が第三センサ16に検知されると、制御装置50に信号が送信され、ローラコンベア部10の駆動部17が停止する。これにより、基板Nは、搬送装置1の搬送方向下流側で停止する。そして、紫外線照射装置Eの図示しないセンサにより導入部Kが作動しローラコンベア部10の下方に挿入される。そして、導入部Kを上昇させて、基板Nを保持し、紫外線照射装置E側に移載することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る搬送装置1によれば、鉛直移動機構部3により、ローラコンベア部10を鉛直方向の所定の高さに移動させることができるため、各基板処理装置の高さ位置が異なっても、容易に基板Nを移載することができる。
【0053】
また、搬送装置1によれば、対向する第一整合部30a及び第二整合部30bで基板Nを挟持すると共に、角度検知手段36により検知した角度に基づいて基板Nの姿勢を整合することができる。これにより、基板Nを適切な姿勢で搬送することができる。
【0054】
また、レール部12の下方から間隙部Uを通して基板処理装置に係る導入部Kを挿入することができるため、搬送装置1から基板処理装置への移載工程を容易に行うことができる。また、ローラコンベア部10の搬送方向下流側は、自由端となっているため、ローラコンベア部10の搬送方向下流側の下部及び上部の空間や、間隙部Uを利用して、次工程の基板処理装置の導入部Kを挿入することができる。これにより、移載工程を容易に行うことができる。
【0055】
また、スライド機構部39により、ローラコンベア部10の中心線CWと、基板Nの中心線CWとが重なるように搬送でき、基板Nを適切な位置で搬送することができる。
【0056】
以上、本発明の最良の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨に反しない範囲において、適宜変更が可能である。
【0057】
本実施形態においては、第一整合部30a及び第二整合部30bは、最大離隔位置から搬送方向と平行になるように前進・後退移動するように形成したが、これに限定されるものではない。例えば、第一整合部30a及び第二整合部30bのどちらか一方を主動作側とし、他方を主動作側の回転に追従して作動する従動作側となるようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態においては、基板Nの搬送角度を0°として、搬送するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、記憶部51に任意の搬送角度を記憶させておき、検知回転角度θに基づいて、制御装置50で演算し、駆動制御手段37に信号を送信することで、例えば、搬送角度が10°の状態で搬送させてもよい。
【0059】
また、本実施形態においては、搬送方向上流側から、搬送方向下流側に向けて基板Nが搬送するように形成したが、駆動部17を逆回転させて、基板Nを逆方向に搬送するように形成してもよい。
【0060】
また、スライド機構部39が前進移動をする際に、第一圧力センサ41又は第二圧力センサ42のどちらか一方が当接されたことにより、スライド機構部39が減速するように、形成してもよい。これにより、角度を検知する際に、第一整合部30a又は第二整合部30bの押動により基板Nが折れ曲がることなく、安定して挟持することができる。
また、保持部33又は支持台38が上下に昇降できるように昇降手段を形成してもよい。即ち、ローラコンベア部10(鉛直移動機構部3)の上下の動きに応じて、保持部33又は支持台38が追従して作動するように形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態に係る搬送装置を示した斜視図である。
【図2】本実施形態に係る搬送装置を示した側面図である。
【図3】本実施形態に係る搬送装置を示した平面図である。
【図4】本実施形態に係る搬送装置のローラコンベア部を示した拡大斜視図である。
【図5】本実施形態に係る搬送装置を示した正面図である。
【図6】本実施形態に係る搬送装置の整合部を示した斜視図である。
【図7】本実施形態に係る搬送装置の制御装置を示したブロック図である。
【図8】本実施形態に係る搬送装置の動作状況を示した概略平面図であって、(a)は、移載工程、(b)は、第一停止工程、(c)は、当接工程、(d)は、角度検知工程、(e)は、整合・幅修整工程、(f)は、離間工程、(g)は、第二停止工程を示す。
【符号の説明】
【0062】
1 搬送装置
2 脚部
3 鉛直移動機構部
10 ローラコンベア部
12 レール部
17 駆動部
30 整合部
30a 第一整合部
30b 第二整合部
32 整合ローラ
33 保持部
34 回転軸部
35 駆動手段
36 角度検知手段
37 駆動制御手段
39 スライド機構部
50 制御装置
K 導入部
N 基板
U 間隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラと、
このローラを備え所定の間隔をあけて並設された複数本のレール部を有して、矩形の基板を水平に搬送するローラコンベア部と、
前記ローラコンベア部を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構部と、
前記基板の対向する端部側に配置され、前記ローラコンベア部上において、前記基板の
端部を押動することで前記基板の姿勢を整合する一対の整合部と、を備え、
前記鉛直移動機構部は、前記ローラコンベア部の一端側に配置され、前記ローラコンベア部の他端側は、自由端であることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記整合部は、
前記基板に当接される複数の整合ローラと、
この整合ローラを直線上に備える保持部と、
この保持部を水平面内で回転させる回転軸部と、
この回転軸部を駆動させる駆動手段と、
前記回転軸部の回転角度を検知する角度検知手段と、
この角度検知手段の検知した角度に基づいて前記駆動手段を制御する駆動制御手段と、
前記回転軸部を支持する支持台と、
この支持台を前記ローラコンベア部の幅方向において移動させるスライド機構部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−214000(P2008−214000A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52307(P2007−52307)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000128496)株式会社オーク製作所 (175)
【Fターム(参考)】