説明

携帯端末および異常通知方法

【課題】 携帯端末に設けられた撮像部や音声入力部を利用して、住宅や会社等の防犯を図ることを目的とする。
【解決手段】本発明の携帯端末としての携帯電話200は、所定の領域を撮像する撮像部202と、撮像部202によって撮像された画像を記憶する端末記憶部206と、1または複数の人感センサ214と、人感センサ214の検知信号から異常発生の有無を判断する異常判断部230と、異常判断部230が異常と判断した場合、外部に通知する通知部250と、を備え、異常判断部230が異常と判断した場合、端末記憶部206によって記憶された画像を維持することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末および異常通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、住宅や会社等では、窓や扉に鍵をかけ、部外者の侵入を防いでいる。しかし、鍵だけの単純な防犯では、窓を割り鍵を開けて侵入される可能性もあり、完全な防犯とは言えない。
【0003】
近年、より確実な安全確保のために、住宅や会社等にカメラや赤外線センサ等の人感センサを設置し、夜間や留守中等に異常が発生した場合、警報を発したり、警備会社や家主に通知したりする監視装置が広く普及している(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−277639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記監視装置を採用するには、専用のカメラや人感センサを設置しなければならない。監視装置専用のカメラや人感センサは、監視装置以外の目的ではほとんど利用されないため単価が高くなり、監視装置を設置しようと試みても費用の問題で採用が難しい場合があった。
【0005】
一方、近年のめざましい技術の発展により、PHS(Personal Handy phone System)や携帯電話といった携帯端末は、高機能化し、大画面、高画質を有する表示機能はもちろんのこと、画像を撮影する撮像部を備えているものも極めて多くなった。かかる撮像に関してはCCD(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCMOS(Charge Coupled Device)などの撮像素子の高速・低消費電力化、MPUの高速化、内蔵メモリの大容量化が相俟って、動画撮影機能も当たり前のように搭載されるようになってきた。そこで、本願の発明者は、入手が容易な携帯端末を防犯目的に利用できないものか検討した。
【0006】
本発明は従来の監視装置に関する上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、携帯端末に設けられた撮像部や音声入力部を利用する容易かつ安価な構成で、住宅や会社等の防犯を図ることが可能な携帯端末および異常通知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、所定の領域を撮像する撮像部と、撮像部によって撮像された画像を記憶する端末記憶部と、1または複数の人感センサと、人感センサの検知信号から異常発生の有無を判断する異常判断部と、異常判断部が異常と判断した場合、外部に通知する通知部と、を備え、異常判断部が異常と判断した場合、端末記憶部によって記憶された画像を維持することを特徴とする携帯端末が提供される。
【0008】
かかる構成により、防犯専用のカメラを別途設置することなく、携帯端末に予め設けられている撮像部を用いて、連続的に所定の領域を撮像することができる。また、端末記憶部を備えることにより、撮像部が撮像した画像を記憶することが可能となる。さらに人感センサおよび異常判断部を備えるため、異常発生を検知することができ、異常発生を検知したときに通知部が当該携帯端末の近傍や遠隔地である外部に通知することが可能となる。また、異常が発生したときに、端末記憶部に記憶された画像を上書きすることなく維持するため、当該画像を後から参照することもできる。
【0009】
また、音声を入力する音声入力部をさらに備え、端末記憶部は、音声入力部によって入力された音声を記憶し、異常判断部が異常と判断した場合、当該端末記憶部によって記憶された音声を維持してもよい。
【0010】
これにより、異常が発生したときに、端末記憶部に記憶された音声を維持するため、異常発生に関連する音声を維持することができ、後に再生することが可能となる。
【0011】
また、撮像部は、人感センサの少なくとも1つを兼ね、異常判断部による判断は、撮像部によって撮像された画像と直前の画像を比較し変化が生じたか否かで為されてもよい。
【0012】
撮像部により撮像された画像と当該画像の直前の画像を比較し解析することにより、人の侵入等の異常を検知することが可能となる。
【0013】
また、撮像部は、人感センサの少なくとも1つを兼ね、レンズを移動させ、焦点距離を調節するオートフォーカス機構をさらに備え、異常判断部による判断は、レンズが動いたか否かで為されてもよい。
【0014】
これにより、レンズが動いたか否かを判断するだけで、人の侵入等の異常を検知することが可能となる。
【0015】
また、人感センサの少なくとも1つは照度センサであり、異常判断部による判断は、照度センサが検知した照度の変化量が、所定の値を超えたか否かによって為されてもよい。
【0016】
また、人感センサの少なくとも1つは音声入力部であり、異常判断部による判断は、音声入力部が入力した音声の音量の変化量が、所定の値を超えたか否かによって為されてもよい。
【0017】
上記人感センサの少なくとも1つが照度センサもしくは音声入力部である構成により、間接的に、人の侵入等の異常を検知することができる。
【0018】
また、人感センサの少なくとも1つは、赤外線送信部と、赤外線送信部によって送信された赤外線の反射光を受信する赤外線受信部と、の組合せで構成され、異常判断部による判断は、受信した赤外線の反射光に変化が生じたか否かで為されてもよい。
【0019】
これにより、赤外線受信部が受信する赤外線の反射光の光量の変化により、人の侵入等の異常を検知することが可能となる。また、赤外線を解析して反射時間を測定することで、赤外線が遮断されたかどうかを判断でき、人の侵入を確実に検知することができる。
【0020】
また、人感センサは、撮像部、照度センサ、音声入力部、赤外線送信部および赤外線受信部の組合せ、の群のうち、複数からなってもよい。このように複数の人感センサで互いに補完し合うことで、人感センサが単独の場合よりも、異常検知の確実性が向上する。
【0021】
また、通知部は、当該携帯端末近傍に通知する警報部および/または遠隔地に通知する無線通信部で構成されてもよい。
【0022】
通知部が警報部で構成されることにより、異常発生原因に通知させることができ、異常発生原因が人である場合に犯罪抑止力となりうる。また、通知部が無線通信部で構成されることにより、遠隔地に異常発生を通知することができる。
【0023】
また、警報部は、音声を出力する音声出力部、振動を出力する振動出力部、光を照射する光照射部、の群のうち、1または複数を含んでもよい。
【0024】
音声出力部を含む場合は、音声を通して聴覚的に異常を通知することができる。振動出力部を含む場合は、振動を通して触覚的およびこれに伴って発生する音で異常を通知することができる。光照射部を含む場合は、光を通して視覚的に異常を通知することができる。
【0025】
また、無線通信部による送信は、予め設定しておいた、所定の番号への発呼および/または所定の電子機器への電子メール送信、を含んでもよい。
【0026】
予め設定しておいた所定の番号への発呼を含む場合、異常が発生したときに遠隔地に電話またはFAXで異常が発生したことを通知することができる。また予め設定しておいた所定の番号へのメールを含む場合には、異常が発生したときに遠隔地にメールで異常が発生したことを通知することができる。
【0027】
また、異常判断部が異常と判断した場合、端末記憶部によって維持された画像をメールに添付して送信してもよい。
【0028】
これにより、異常が発生したときおよびその直前直後の画像を遠隔地に送信することができる。したがって、遠隔地においても、どのような異常が発生したかを知ることが可能となる。
【0029】
また、GPS(Global Positioning System)通信部をさらに備え、GPS通信部が取得した位置情報に基づいて、無線通信部による送信先を設定してもよい。
【0030】
これにより、携帯端末が設置されている位置に対応した送信先に通知を行うことが可能となる。
【0031】
また、端末記憶部にて記憶した画像を、情報記憶部を備えた充電器に移動させてもよい。
【0032】
これにより、無線通信を行うことのできない場合や当該携帯端末が紛失した場合等であっても、端末記憶部にて記憶した画像を、情報記憶部に保存させておくことができる。
【0033】
また、端末記憶部から情報記憶部への画像の移動は、充電器と当該携帯端末とを接続する電力供給ラインを通して為されてもよい。
【0034】
かかる構成により携帯端末や充電器の外観を変更することなく、内部の変更のみで本発明を適用することができる。また侵入者が、撮像された画像を充電器に転送していると気付かない可能性が高いので、情報記憶部に画像を残すことができ、防犯に役立てることができる。
【0035】
上記課題を解決するために、本発明の他の観点によれば、音声を入力する音声入力部と、音声入力部によって入力された音声を記憶する端末記憶部と、1または複数の人感センサと、人感センサの検知信号から異常発生の有無を判断する異常判断部と、異常判断部が異常と判断した場合、外部に通知する通知部と、を備え、異常判断部が異常と判断した場合、端末記憶部によって記憶された音声を維持することを特徴とする携帯端末が提供される。
【0036】
かかる構成により、携帯端末に既存である音声入力部を用いて、連続的に所定の領域で生じる音声を入力することができる。また、端末記憶部を備えることにより、音声入力部が入力した音声を記憶することが可能となる。また、異常が発生したときに、端末記憶部に記憶された音声を維持するため、異常発生に関連する音声を保存することができ、後に再生することが可能となる。
【0037】
上記課題を解決するために、本発明のさらに他の観点によれば、所定の領域を連続的に撮像する撮像部と、当該撮像部によって撮像された画像を記憶する端末記憶部と、人感センサと、を備える携帯端末を用いて異常を通知する異常通知方法であって、撮像部が所定の領域の画像を記憶する記憶ステップと、人感センサの検知信号から異常発生の有無を判断する異常判断ステップと、異常判断ステップにおいて異常と判断された場合、端末記憶部によって記憶された画像を維持し、その旨外部に通知する通知ステップと、を含むことを特徴とする異常通知方法が提供される。
【0038】
上述した携帯端末の技術的思想に基づく構成要素やその説明は、当該異常通知方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように本発明の携帯端末によれば、既存である撮像部や音声入力部を利用して住宅や会社等の防犯に役立てることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0041】
(実施形態)
一般に住宅や会社等の防犯のために、監視装置の設置が広く普及している。しかし監視装置以外の目的ではほとんど利用のない専用のカメラや人感センサを設置する必要があるため、費用の問題で採用が難しい場合があった。
【0042】
本実施形態では、わが国で契約数1億件とも言われる携帯電話等の携帯端末に設けられた撮像部や音声入力部を利用して、住宅や会社等の防犯を図ることが可能な携帯端末および異常通知方法を説明する。以下の実施形態では、理解を容易にするため、まず携帯端末を用いた防犯システム全体の構成を説明し、その後で携帯端末の構成を詳述する。ここでは、理解を容易にするため携帯端末として携帯電話を用いているが、これに限定されず、撮像部または音声入力部を有すれば足り、PHS(Personal Handy phone System)やPDA等様々な携帯端末で構成することができる。
【0043】
(防犯システム100)
図1は、防犯システム100を説明するための、システムブロック図である。かかる防犯システム100は、携帯電話200と、充電器120と、基地局130と、を含んで構成される。
【0044】
上記防犯システム100において、携帯電話200は、充電器120に載置され、充電器120に接続された商用電源から電力が供給される。
【0045】
充電器120に載置された携帯電話200が異常を検知した場合、基地局130を介して、異常が発生したことを遠隔地に通知する。
【0046】
また充電器120は、情報を記憶可能な情報記憶部(図示せず)を備えている。情報記憶部は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成される。本実施形態において、携帯電話200に設けられた端末記憶部にて記憶された情報は、充電器120の情報記憶部に電力供給ラインを通して移動する。これにより、無線通信を行うことのできない場合や携帯電話200を紛失した場合等であっても、端末記憶部にて記憶した情報を、情報記憶部に保存させておくことができる。また電力供給ラインを通して情報を情報記憶部に移動することから、携帯端末や充電器の外観を変更することなく、内部の変更のみで本実施形態の構成を適用することができる。また侵入者が、取得した情報を充電器に転送していると気付かない可能性が高いので、情報記憶部に情報を残すことができ、防犯に役立てることができる。
【0047】
(携帯電話200)
以下、防犯システム100における携帯電話200の構成を説明する。ここでは、携帯電話として折り畳み式の携帯電話を挙げる。
【0048】
図2は、携帯電話200の概略的な機能を示した機能ブロック図であり、図3は、携帯電話200を説明するための説明図である。特に、図3(a)は、携帯電話200を折り畳んだときに外側になる面を、図3(b)は、携帯電話200を折り畳んだときに内側になる面を、図3(c)は、本実施形態の防犯システム100における携帯電話200の使用形態図を示す。かかる携帯電話200は、撮像部202と、音声入力部204と、端末記憶部206と、人感センサ214としての照度センサ208と、人感センサ214としての赤外線送信部210および赤外線受信部212と、端末制御部220と、通知部250と、表示部270と、操作部272と、GPS通信部274と、を含んで構成される。
【0049】
上記撮像部202は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の映像素子で構成されており、ユーザは、かかる撮像部202を介して静止画や動画を撮影することができる。本実施形態において、撮像部202は、外部からの侵入を受けやすいと考えられる窓や扉等の近傍の所定の領域を所定の間隔たとえば100msecで、または連続する動画として撮像し、撮像した画像は後述する端末記憶部206にて記憶される。したがって、防犯専用のカメラを別途設置することなく、携帯電話200に予め設けられている撮像部202を用いて、連続的に所定の領域を撮像することができる。すなわち、防犯専用のカメラをわざわざ別途設置せずとも、広く普及している携帯電話200の撮像部202をもちいて防犯を図ることが可能となる。
【0050】
また撮像部202が、オートフォーカス機構をさらに備えている場合、そのオートフォーカス機構を人感センサ214として機能させることができる。本実施形態のオートフォーカス機構は、コントラスト検出方式で構成される。コントラスト検出方式とは、撮像部202のレンズを移動させながら、取得した画像と当該画像の直前の画像を比較することで、最もコントラストの高い場所を探し焦点距離を調節する方式を言う。本実施形態において、オートフォーカス機構は、常に作動しており、撮像部202によって取得された画像は後述する画像解析部222によって解析される。
【0051】
本実施形態において、オートフォーカス機構は、コントラスト検出方式を用いているが、これに限定されず、他のパッシブ方式やアクティブ方式のいずれの方式であっても好適に利用することができる。
【0052】
上記音声入力部204は、マイク等で構成され、外部からの侵入を受けやすいと考えられる窓や扉等の近傍の所定の領域の音声を所定の間隔もしくは連続的に入力する。入力した音声は、後述する端末記憶部206にて記憶される。したがって、防犯専用のマイク等を別途設置することなく、携帯電話200に予め設けられている音声入力部204を用いて、連続的に所定の領域の音声を入力することができる。
【0053】
また音声入力部204は、人感センサ214としても働き、音声入力部204によって取得された音声は後述する音量測定部224によって、直前に取得された音声と音量を比較される。
【0054】
また音声入力部204は、通話時に入力されたユーザの音声を携帯電話200内で処理可能な電気信号に変換する。
【0055】
上記端末記憶部206は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、後述する端末制御部220で処理されるプログラムや電話帳情報等も記憶する。さらに、本実施形態においては、撮像部202によって撮像された画像や音声入力部204によって入力された音声を記憶する。
【0056】
携帯電話200等の携帯端末に設けられた端末記憶部は、一般的に容量が少なく、さらにユーザに割り当てられた領域は限定的となっている。したがって画像等容量の大きいデータを連続して記憶する場合には、端末記憶部が足りなくなる場合が多い。そこで、端末記憶部に記憶されているデータは通常古いものから削除されるすなわち上書きされることとなる。
【0057】
端末記憶部206は、後述する異常判断部230が異常と判断した場合、記憶している画像および音声を上書きせずに維持する。これにより、維持した画像および音声を後から参照し再生することが可能となる。
【0058】
上記照度センサ208は、フォトダイオード型照度センサで構成され、撮像部202近傍に設置される。そして、撮像部202による撮像が可能かどうか、また、そのときにストロボが必要かどうかを判断する。また、本実施形態の照度センサ208は、所定の間隔で携帯電話200近傍の照度を取得する。取得した照度は、後述する照度測定部226にて解析される。ここでは、照度センサ208として、フォトダイオード型を用いているが、フォトトランジスタ型やフォトIC型等の照度センサも好適に用いることができる。
【0059】
上記赤外線送信部210は、赤外LED(Light Emitting Diode)等で構成されており、赤外線を送信する。通常、赤外線送信部210は、後述する赤外線受信部212と共に他の携帯電話との赤外線通信に用いられる。本実施形態においては、当該赤外線送信部210から出力された赤外線の反射光を利用する。
【0060】
上記赤外線受信部212は、フォトダイオードやフォトトランジスタ等で構成され、赤外線送信部210から送信された赤外線の反射光を受信し、後述する赤外線解析部228に赤外線の反射光の情報を伝送する。
【0061】
本実施形態において、赤外線送信部210および赤外線受信部212は撮像部202と同じ方向に設置されている。
【0062】
人感センサ214として、撮像部202、音声入力部204、照度センサ208、赤外線送信部210および赤外線受信部212を備え、互いに検知できない事象を補完し合うことで、人感センサ214が単独の場合よりも、異常検知の確実性が向上する。
【0063】
上記端末制御部220は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により携帯電話200全体を管理および制御する。端末制御部220は、端末記憶部206のプログラムを用いて、携帯電話200を利用した通話機能やメール配信機能を遂行する。また、端末制御部220は、異常判断部230としての、後述する画像解析部222、音量測定部224、照度測定部226、赤外線解析部228としても機能する。
【0064】
上記画像解析部222は、撮像部202が取得した画像と当該画像の直前の画像を比較し、変化があれば、レンズが動き、異常が発生したと判断する。
【0065】
本実施形態の撮像部202に設けられたオートフォーカス機構は、コントラスト方式を用いているため、撮像部202が取得した画像と当該画像の直前の画像に変化があればレンズを動かし、焦点距離をあわせている。したがって、オートフォーカス機構においてレンズが動けば、撮像部202が取得した画像と当該画像の直前の画像に変化があったということとなり、異常が発生したと判断する。したがって、画像解析部222は、レンズが動いたか否かで異常が発生したか否かを判断することができる。
【0066】
本実施形態において、画像解析部222は、レンズが動いたか否かで異常が発生したか否かを判断しているが、これに限定されず、所定の領域内で撮像部202が撮像した画像と当該画像の直前の画像を比較し差分を検出できれば足り、他の画像解析技術も好適に利用することができる。
【0067】
上記音量測定部224は、音声入力部204が入力した所定の領域の音声の音量と、当該入力された音声の直前の音声の音量とを比較し、差分を検出し、検知した差分が、所定の閾値を超えた場合、異常が発生したと判断する。例えば、不審者が侵入しようと試みて、窓ガラスを割ったり、不審者の足音等がしたりしたときに、音量は急激に上昇するため、異常を判断することができる。
【0068】
上記照度測定部226は、照度センサ208が照度と当該照度の直前の照度を比較し、差分を検出し、検知した差分が、所定の閾値を越えた場合、異常が発生したと判断する。例えば、不審者が侵入しようと試みて、懐中電灯を照らした場合、照度が急激に増加するため、異常を判断できる。また、不審者が侵入し、不審者の影が照度センサ208の検知領域を通った場合、照度が急激に減少するため、異常を判断することができる。
【0069】
上記赤外線解析部228は、赤外線受信部212が受信する赤外線送信部210が送信した赤外線の反射光を解析する。本実施形態では、赤外線解析部228は、赤外線受信部212が受信する反射光の光量の変化を検出する。赤外線送信部210は、同じ光量の赤外線を連続して送信しているため、赤外線受信部212が受信する赤外線の反射光の光量も同じである。たとえば、赤外線送信部210と赤外線受信部212の間に障害物が発生すれば、赤外線送信部210から送信された赤外線が障害物で反射するため反射距離が短くなったり長くなったりして、赤外線受信部212が受信する反射光の量が変化することとなる。したがって、赤外線解析部228が検知した反射光の量の変化量で、異常を判断することができる。
【0070】
また、上述したように、異常判断部230が異常と判断した場合、端末記憶部206にて記憶された画像および音声は上書きすることなく維持される。したがって、異常が発生したときの画像および音声を後から参照、再生することができ、証拠とすることができる。
【0071】
上記通知部250は、警報部252と、無線通信部260で構成され、異常判断部230が異常と判断した場合、外部に通知する。
【0072】
上記警報部252は、音声出力部254と、振動出力部256と、光照射部258と、で構成され、携帯電話200近傍に異常を通知する。
【0073】
上記音声出力部254は、スピーカ等で構成され、携帯電話200で受信した通話相手の音声信号を音声に変えて出力したり、着信音や、操作部272の操作音、アラーム音等も出力したりすることもできる。また本実施形態において、音声出力部254は、異常判断部230が異常と判断した場合、音を出力して異常判断原因に警告する。例えば、異常判断原因が人である場合、当該人が驚く程度の大きい音や、警告音声例えば「異常発生」等の音声を出力し、当該人に警告を行うことができる。
【0074】
上記振動出力部256は、例えば、モータの軸に重心を偏らせた錘を取り付け、回転させることで振動を発生させ、携帯電話200において着信を通知したり、アラームとして機能したりする。また本実施形態において、振動出力部256は、異常判断部230が異常と判断した場合、振動を出力して異常判断原因に警告することが可能となる。
【0075】
上記光照射部258は、LED等で構成され、撮像部202近傍に設けられ、撮像する際の照明やストロボとなったりする。また本実施形態において光照射部258は、異常判断部230が異常と判断した場合、光を照射して異常判断原因に警告することが可能となる。例えば、異常判断原因が人である場合、当該人が驚く程度の強い光や、点滅光を出力し、当該人に警告を行うことができる。
【0076】
上記無線通信部260は、携帯電話200網における基地局130と無線通信を行う。かかる無線通信としては、基地局内でフレームを時分割した複数のタイムスロットをそれぞれ携帯電話のチャネルに割り当てて通信を行う時分割多重方式等がある。
【0077】
通知部250が無線通信部260で構成されることにより、異常判断部230が異常と判断した場合、遠隔地に異常発生を通知することができる。また、本実施形態において、無線通信部260による送信は、予め設定しておいた、所定の番号への発呼および/または所定の電子機器への電子メール送信をする。これにより、異常が発生したときに遠隔地に電話またはFAXで異常が発生したことを通知することができる。また予め設定しておいた所定の番号へのメールを含む場合には、異常が発生したときに遠隔地にメールで異常が発生したことを通知することができる。
【0078】
また、本実施形態において異常判断部230が異常と判断した場合、無線通信部260は、端末記憶部206によって維持された画像および音声をメールに添付して送信する。これにより、少なくとも異常が発生したときおよびその直前直後の画像および音声を遠隔地に送信することができる。したがって、遠隔地においても、どのような異常が発生したかを知ることが可能となる。
【0079】
上記表示部270は、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)、PDP(Plasma Display Panel)等で構成され、端末記憶部206に記憶された、または通信網を介してアプリケーションサーバ(図示せず)から提供される、WebブラウザやアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。
【0080】
上記操作部272は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等のスイッチから構成されユーザの操作入力を受けつける。
【0081】
上記GPS通信部274は、GPS衛星400からの信号を受信する。これにより、GPS通信部274が取得した位置情報に基づいて、無線通信部260による送信先を設定することができる。例えば、携帯電話200を保持して、自宅とは異なる場所へ旅行や出張等に出かけた際に、旅行先や出張先の位置情報に基づいて、その位置から近い警察等通知することが有効である送信先を設定することができる。したがって、携帯電話200が設置されている位置に対応した場所に異常を通知することが可能となる。
【0082】
(異常通知方法)
続いて、上述した携帯電話200を用いた異常通知方法を説明する。図4は、携帯電話200を用いた異常通知方法の流れを示したフローチャートである。
【0083】
まず、携帯電話200の撮像部202が所定の領域を撮像し、音声入力部204が音声を入力し、得られた画像および音声の情報を端末記憶部206に記憶する(S300:記憶ステップ)。記憶ステップS300と並行して、撮像部202、音声入力部204、照度センサ208、赤外線送信部210および赤外線受信部212の人感センサ214も作動し、人の出入に関連する情報を検知する(S302:人感センサ作動ステップ)。
【0084】
人感センサ作動ステップS302にて、人の出入に関連する情報を検知し、その情報に異常が発生したか否かを判断する(S304:異常判断ステップ)。異常判断ステップS304にて異常が検知されなかった場合、記億ステップS300における画像および音声の記憶を継続する。従って、端末記憶部206の記憶内容は順次更新(上書き)される。
【0085】
異常判断ステップS304にて異常が発生したと判断された場合、記億ステップS300にて取得した情報を端末記憶部206に上書きすることなく維持され(S306:取得情報維持ステップ)、通知部250および警報部252が、携帯電話200近傍および遠隔地に異常を通知する(S308:通知ステップ)。かかる端末記憶部206の画像および音声の維持は、上書きを止めることで為されるが、画像および音声の記憶を継続したまま、維持すべき記憶内容を別の記憶領域または別の記憶部に転送することでも可能である。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の携帯電話200によれば、防犯専用のカメラを別途設置することなく、携帯電話200に予め設けられている撮像部202および音声入力部204を用いて、連続的に所定の領域を撮像および録音することができる。また、端末記憶部206を備えることにより、撮像部202が撮像した画像および音声入力部204が取得した音声を記憶することが可能となる。さらに人感センサ214および異常判断部230を備えるため、異常発生を検知することができ、異常発生を検知したときに通知部250が外部に通知することが可能となる。また、異常が発生したときに、端末記憶部206に記憶された画像および音声を上書きすることなく維持するため、画像および音声を後から参照、再生することもできる。
【0087】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0088】
例えば、本実施形態において、人感センサとして撮像部、音声入力部、照度センサ、赤外線送信部および赤外線受信部を用いているが、これに限定されず、異常を検知できれば足り、超音波等も好適に利用することができる。
【0089】
なお、本明細書の異常通知方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、携帯端末および異常通知方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】防犯システムを説明するための、システムブロック図である。
【図2】携帯電話の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図3】携帯電話を説明するための説明図である。
【図4】携帯電話を用いた異常通知方法の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
100 …防犯システム
120 …充電器
130 …基地局
200 …携帯電話
202 …撮像部
204 …音声入力部
206 …端末記憶部
208 …照度センサ
210 …赤外線送信部
212 …赤外線受信部
214 …人感センサ
220 …端末制御部
222 …画像解析部
224 …音量測定部
226 …照度測定部
228 …赤外線解析部
230 …異常判断部
250 …通知部
252 …警報部
254 …音声出力部
256 …振動出力部
258 …光照射部
260 …無線通信部
270 …表示部
272 …操作部
274 …GPS通信部
400 …GPS衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像を記憶する端末記憶部と、
1または複数の人感センサと、
前記人感センサの検知信号から異常発生の有無を判断する異常判断部と、
前記異常判断部が異常と判断した場合、外部に通知する通知部と、
を備え、
前記異常判断部が異常と判断した場合、前記端末記憶部によって記憶された画像を維持することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
音声を入力する音声入力部をさらに備え、
前記端末記憶部は、前記音声入力部によって入力された音声を記憶し、前記異常判断部が異常と判断した場合、該端末記憶部によって記憶された音声を維持することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記撮像部は、前記人感センサの少なくとも1つを兼ね、
前記異常判断部による判断は、前記撮像部によって撮像された画像と直前の画像を比較し変化が生じたか否かで為されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記撮像部は、前記人感センサの少なくとも1つを兼ね、
レンズを移動させ、焦点距離を調節するオートフォーカス機構をさらに備え、
前記異常判断部による判断は、前記レンズが動いたか否かで為されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記人感センサの少なくとも1つは照度センサであり、
前記異常判断部による判断は、前記照度センサが検知した照度の変化量が、所定の値を超えたか否かによって為されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記人感センサの少なくとも1つは音声入力部であり、
前記異常判断部による判断は、前記音声入力部が入力した音声の音量の変化量が、所定の値を超えたか否かによって為されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記人感センサの少なくとも1つは、赤外線送信部と、前記赤外線送信部によって送信された赤外線の反射光を受信する赤外線受信部と、の組合せで構成され、
前記異常判断部による判断は、前記受信した赤外線の反射光に変化が生じたか否かで為されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記人感センサは、前記撮像部、前記照度センサ、前記音声入力部、前記赤外線送信部および前記赤外線受信部の組合せ、の群のうち、複数からなることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項9】
前記通知部は、
当該携帯端末近傍に通知する警報部および/または遠隔地に通知する無線通信部で構成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項10】
前記警報部は、
音声を出力する音声出力部、振動を出力する振動出力部、光を照射する光照射部、の群のうち、1または複数を含むことを特徴とする請求項9に記載の携帯端末。
【請求項11】
前記無線通信部による送信は、
予め設定しておいた、所定の番号への発呼および/または所定の電子機器への電子メール送信、を含むことを特徴とする請求項9に記載の携帯端末。
【請求項12】
前記異常判断部が異常と判断した場合、前記端末記憶部によって維持された画像を前記メールに添付して送信することを特徴とする請求項11に記載の携帯端末。
【請求項13】
GPS通信部をさらに備え、
前記GPS通信部が取得した位置情報に基づいて、前記無線通信部による送信先を設定することを特徴とする請求項11に記載の携帯端末。
【請求項14】
前記端末記憶部にて記憶した画像を、情報記憶部を備えた充電器に移動させることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項15】
前記端末記憶部から前記情報記憶部への画像の移動は、前記充電器と当該携帯端末とを接続する電力供給ラインを通して為されることを特徴とする請求項14に記載の携帯端末。
【請求項16】
音声を入力する音声入力部と、
前記音声入力部によって入力された音声を記憶する端末記憶部と、
1または複数の人感センサと、
前記人感センサの検知信号から異常発生の有無を判断する異常判断部と、
前記異常判断部が異常と判断した場合、外部に通知する通知部と、
を備え、
前記異常判断部が異常と判断した場合、前記端末記憶部によって記憶された音声を維持することを特徴とする携帯端末。
【請求項17】
所定の領域を連続的に撮像する撮像部と、該撮像部によって撮像された画像を記憶する端末記憶部と、人感センサと、を備える携帯端末を用いて異常を通知する異常通知方法であって、
前記撮像部が所定の領域の画像を記憶する記憶ステップと、
前記人感センサの検知信号から異常発生の有無を判断する異常判断ステップと、
前記異常判断ステップにおいて異常と判断された場合、前記端末記憶部によって記憶された画像を維持し、その旨外部に通知する通知ステップと、
を含むことを特徴とする異常通知方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−75983(P2009−75983A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246290(P2007−246290)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】