説明

改良された慣性要素を利用する微小電子機械の磁界センサ

微小電子機械システム(MEMS)が開示される。このMEMSは、基板と、基板から上方へ延在する第1の枢動軸と、基板上に延在する第1の前後軸を有し、第1の枢動軸線のまわりを枢動するように第1の枢動軸に対して枢動可能に取り付けられた第1のレバーアームと、基板上の、第1のレバーアームの第1のキャパシタ部分の下の位置に形成された第1のキャパシタ層と、基板上の、第1のレバーアームの第2のキャパシタ部分の下の位置に形成された第2のキャパシタ層であって、第1の枢動軸が、第1のレバーアームを、第1のキャパシタ部分と第2のキャパシタ部分の間の位置で第1の前後軸に沿って支持する第2のキャパシタ層と、第1の前後軸にわたって延在し、第1の枢動軸線から離隔された第1の導体部材とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に磁界の強さおよび方向を測定するのに使用されるデバイスに関し、より具体的には、面内磁界を感知するように改良された慣性感知素子に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]慣性感知および磁界感知は、様々な異なる用途で有用である。さらに、微小電子機械システム(MEMS)を使用する慣性感知素子を含むものには、例えばビデオゲーム用の付属装置および付属装置の方向転換を決定するためのナビゲーションシステムといった新規の用途が頻繁に見つかっている。MEMSは、これらの用途に対する廉価な解決策を小さなパッケージで提供する。したがって、多くのMEMSベースの慣性感知素子が、動いている物体の指向的加速度を求めるための感度を高めるのに使用され得る。
【0003】
[0003]従来技術では、固定電極に対して反対側に配置された可動電極を含むサイズミックマスを使用すると、キャパシタを形成し得ることが示されている。加速度ベクトルに起因する慣性力による可動電極の運動が、静電容量の変化をもたらすことができる。静電容量の変化が測定され、加速度に相関づけられ得る。
【0004】
[0004]同様に、垂直磁界を、磁界の大きさを求めるために測定され得る電気的特性の変化に相関づけることができる様々なセンサが知られている。しかし、従来技術で提供される解決策は、センサの表面と平行な磁界を効果的に測定するのに必要な感度が不足する、またはセンサの表面に対して垂直な加速度ベクトルを測定するのに必要な感度が不足する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]センサの接線に沿って働く磁界を効果的に感知し、かつセンサに対して垂直な加速度ベクトルを感知するためのMEMSベースのセンサを提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]一実施形態によれば、微小電子機械システム(MEMS)が開示される。このMEMSは、基板と、基板から上方へ延在する第1の枢動軸と、基板上に延在する第1の前後軸を有し、第1の枢動軸線のまわりを枢動するように第1の枢動軸に対して枢動可能に取り付けられた第1のレバーアームと、基板上の、第1のレバーアームの第1のキャパシタ部分の下の位置に形成された第1のキャパシタ層と、基板上の、第1のレバーアームの第2のキャパシタ部分の下の位置に形成された第2のキャパシタ層であって、第1の枢動軸が、第1のレバーアームを、第1のキャパシタ部分と第2のキャパシタ部分の間の位置で第1の前後軸に沿って支持する、第2のキャパシタ層と、第1の前後軸にわたって延在し、第1の枢動軸線から離隔された第1の導体部材とを含む。
【0007】
[0007]別の実施形態では、微小電子機械システム(MEMS)を形成する方法が開示される。この方法は、基板を設けるステップと、基板から上方へ延在する第1の枢動軸を形成するステップと、基板上に延在する第1の前後軸を有し、第1の枢動軸線のまわりを枢動するように第1の枢動軸に対して枢動可能に取り付けられる第1のレバーアームを形成するステップと、基板上の、第1のレバーアームの第1のキャパシタ部分の下に選択された位置において、第1のキャパシタ層を形成するステップと、基板上の、第1のレバーアームの第2のキャパシタ部分の下に選択された位置であって、第1の枢動軸が、第1のレバーアームを、第1のキャパシタ部分と第2のキャパシタ部分の間で第1の前後軸に沿って支持するように選択された位置において、第2のキャパシタ層を形成するステップと、第1の前後軸にわたってある位置で延在し、第1の枢動軸線から離隔されるように第1の導体部材を形成するステップとを含む。
【0008】
[0008]当業者には、以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより、前述の特徴および利点ならびに他の特徴および利点が、より容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】[0009]微小電子機械センサを含む微小電子機械システム(MEMS)のブロック図である。
【図2】[0010]一実施形態によるMEMSセンサの斜視図である。
【図3】[0011]図2に示されたMEMSセンサの側面図である。
【図4】[0012]一実施形態によるMEMSセンサの斜視図である。
【図5】[0013]一実施形態による、MEMSセンサを製作するための製作ステップを示す図である。
【図6】一実施形態による、MEMSセンサを製作するための製作ステップを示す図である。
【図7】一実施形態による、MEMSセンサを製作するための製作ステップを示す図である。
【図8】一実施形態による、MEMSセンサを製作するための製作ステップを示す図である。
【図9】一実施形態による、MEMSセンサを製作するための製作ステップを示す図である。
【図10】一実施形態による、MEMSセンサを製作するための製作ステップを示す図である。
【図11】一実施形態による、MEMSセンサを製作するための製作ステップを示す図である。
【図12】一実施形態による、MEMSセンサを製作するための製作ステップを示す図である。
【図13】一実施形態による、MEMSセンサを製作するための製作ステップを示す図である。
【図14】一実施形態による、MEMSセンサを製作するための製作ステップを示す図である。
【図15】[0014]1つのMEMSセンサに関連したΔVを測定するための概略を示す図である。
【図16】[0015]共通の基板上に配置された、様々な方向の磁界および加速度ベクトルを測定するためのMEMSセンサの配列を示す図である。
【図17】共通の基板上に配置された、様々な方向の磁界および加速度ベクトルを測定するためのMEMSセンサの配列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0016]次に、本発明の原理の理解を助長するために、図面に示されて以下の明細書で説明される実施形態が参照されることになる。本発明の範囲に対する限定がそれによって意図されていないことが理解される。本発明が、示された実施形態に対するあらゆる改変形態および変更形態も含み、本発明が関係する技術の当業者なら普通に考えつくはずの本発明の原理のさらなる用途を含むことが、さらに理解される。
【0011】
[0017]図1を参照すると、面内磁界および/または面外加速度の感知センサ(MEMSセンサ)用の回路が、全体的に10で指定して表されている。回路10は、I/Oデバイス12、処理回路14およびメモリ16を含む。I/Oデバイス12は、ユーザインターフェースと、グラフィカルユーザインターフェースと、キーボードと、ポインティングデバイスと、遠隔通信リンクおよび/または局所的通信リンクと、ディスプレイと、外部で生成された情報が回路10に供給されることを可能し、回路10の内部情報が外部と通信されることを可能にする他のデバイスとを含むことができる。
【0012】
[0018]処理回路14は、適切には、マイクロプロセッサおよびその関連する回路などの汎用コンピュータ処理回路でよい。処理回路14は、本明細書に帰する動作を実行するように動作可能である。
【0013】
[0019]メモリ16の内部には、様々なプログラム命令18がある。プログラム命令18は、必要に応じて、処理回路14および/またはその他の構成要素によって実行することができる。
【0014】
[0020]回路10は、処理回路14に接続されたセンサの励振/応答の回路20をさらに含む。センサの励振/応答の回路20は、MEMSセンサ100に対する励振を供給して励振の効果を測定する。励振は処理回路14によって制御され得、測定値は処理回路14に通信される。
【0015】
[0021]図2を参照すると、MEMSセンサ100の斜視図が示されている。基板102が設けられる。基板102用の適切な基板材料の例には、シリコン、ガラス、炭素、ゲルマニウム、炭化シリコン、およびシリコンゲルマニウムがある。基板102は、絶縁層104で電気的に絶縁される。絶縁層104用の適切な絶縁材料の例には、二酸化シリコン、およびシリコン基板とともに用いる窒化シリコンがある。半導体層106が、絶縁層104の上に、枢動部材108によって懸垂されるように設けられる。半導体層106の材料の一例には、非ドープのポリシリコンがある。枢動部材108は、半導体層106が枢動部材108のまわりを枢動することができるように、基板102/絶縁層104と半導体層106の間に枢動する機能を与える。枢動部材108は、AAで示された点線より下にあり、半導体層106を2つのレバーアーム110と112に分割する。各レバーアーム110と112の長手方向は、例えばX軸といった前後軸に沿って延びる。一実施形態では、2つのレバーアーム110と112のそれぞれが同一の長さを有する。しかし、図2に示された実施形態では、レバーアーム110はレバーアーム112より短い。レバーアーム110に構造用窓114が設けられ、レバーアーム112に構造用窓116が設けられて、2つのレバーアームのねじり曲げをさらに助長する。窓114と半導体層106の縁端部の間の部分が、ばねアーム111を画定する。同様に、窓116と半導体層106の縁端部の間の部分が、ばねアーム113を画定する。レバーアーム110および112が力を受けたとき、ばねアーム111および113と以下で説明されるレバーアーム110および112の枢動動作の組合せが、レバーアームのねじり曲げをもたらす。ばねアーム111および113の寸法(長さ、幅、および厚さ)は、所与の力に対して起こり得るレバーアーム110および112のねじり曲げ量を決定する要因の1つである。具体的には、同一の付与力に対して、より長い/より薄いばねアーム111および113は、より大きく曲げり、より短い/より厚いばねアーム111および113は、より曲がりにくい。したがって、所望の感度を実現するために使用され得るばねアーム111/113の設計によって可撓性がもたらされる。別の要因に、レバーアーム110/112の長さがある。レバーアーム110/112がより長ければ、レバーアームの縁端部が所与の力を受けたときのねじり曲げが、より大きくなる。
【0016】
[0022]枢動部材108は、垂直の支持区間118を有する。枢動部材108は、半導体層106の底部面と一体化して形成され、ばねアーム111および113とともに枢動する機能をもたらす。枢動部材108は、半導体層106の下に頂部の水平の支持区間(図示せず)も含むことができ、「T」字形の枢動部材を形成する。頂部の水平の支持区間の長さは、半導体層106の底部面の小部分に及ぶ長さから、半導体層106のほぼ全体の幅に及ぶ長さまであり得る。頂部の水平の支持区間の長さは、半導体層106が、枢動部材108のまわりでねじれるか、または枢動部材108のまわりを枢動するか、といったことに影響を与えることができる。一実施形態では、底部の水平の支持区間(図示せず)を形成するために、追加の材料も一体化して設けることができ、基板102/絶縁層104が「I」字形の枢動部材を形成する。垂直の支持区間118の高さが、1対のキャパシタの静電容量を決定する。枢動部材108の材料の一例には、非ドープのポリシリコンがある。
【0017】
[0023]2つの感知電極122および128が、絶縁層104の上で半導体層106の下に設けられる。感知電極122および128は、「Y」字方向に、実質的に半導体層106の全幅に延在する。感知電極122および128は、例えば接合パッドおよび接合電線といった当技術分野で既知のやり方で、励振/応答の回路20に電気的接続(図示せず)をもたらす。2つのバイアス用電極124および126は、導体部材130への電気的接続をもたらす。図2に示された実施形態では、バイアス用電極124および126は、絶縁層104の両側に配置される。しかし、別の実施形態では、バイアス用電極124および126は、どちらも同じ側に配置され得る。図2に示された実施形態では、半導体層106の頂面上に導体部材130が設けられる。他の実施形態では、導体部材130は、半導体層106の中に埋め込まれる、または半導体部材106の底面に設けられ得る。これらの実施形態のうちどれでも、導体部材130の終端132および134は、それぞれバイアス用電極124および126に電気的に結合される。
【0018】
[0024]導体130は、横方向部分142および軸方向部分144を含む。導体部材130の横方向部分142は、2つのばねアーム111および113のうちの一方だけ(図2に示されるようにばねアーム113)に関連して、枢動部材108から距離136だけ離れて、例えば「X」軸といった前後軸を横切る。距離136は、以下でより詳細に論じられる「Z」軸に平行なベクトルを有する生成されたローレンツ力の結果としてばねアームが受けることになる回転量を決定する。
【0019】
[0025]感知電極122および128は、それぞれレバーアーム112および110の(図3に示されている)キャパシタ部分204および202の下のキャパシタ層をもたらす。感知電極122とキャパシタ部分204の組合せが、想像線で示されているキャパシタ140を形成する。同様に、感知電極128とキャパシタ部分202の組合せがキャパシタ138を形成する。各キャパシタの静電容量は次式で定義され、
C=ε(A/d) (1)
εは誘電体の誘電率であり、
Aは、感知電極122/128の面積ならびにキャパシタ部分204および202の面積によって定義される、すなわち電荷が集まるところの実効面積であり、
dは、感知電極122/128とキャパシタ部分202/204の間の距離である。一実施形態では、誘電体は空気である。静電容量は、感知電極122/128とキャパシタ部分202/204の間の距離に反比例するので、キャパシタ部分が感知電極122/128の方へ曲がると静電容量が増加する。反対に、キャパシタ部分が感知電極122/128から離れるように曲がると、静電容量が減少する。
【0020】
[0026]半導体層106の、枢動部材108のまわりの枢動運動により、レバーアーム110/112のうち1つに対して力が作用すると、そのレバーアームが、下方へそれぞれの感知電極の方へ撓み、次いで他方のレバーアームが、反対方向に、すなわち、そのそれぞれの感知電極から離れる方向に移動する。レバーアーム110/112の撓みにおけるこのような関係は、シーソー機構に似ている。例えば、レバーアーム112に対して働く下方への力により、レバーアーム112が、下方へ、感知電極122の方に撓む場合、レバーアーム110は、感知電極128から離れて上方へ撓み、その逆もまた同様である。例えばレバーアームのうちの1つに対して与えられる力の和がシーソー機構をもたらすように、不均衡な力が必要とされる。したがって、両方のレバーアームが同一の力密度を経験する慣性/加速度の感知については、シーソー機構をもたらすのに必要とされる不均衡な力を生成するために、例えばレバーアーム110/112の長さといった幾何学的設計パラメータが利用され得る。例として、一方のレバーアーム、例えば112が、他方のレバーアーム、例えば110より長い。2つのレバーアーム110/112向けに別々の長さを実現することにより、別々の運動が生成され得る。
【0021】
[0027]2つのレバーアーム110と112の間の撓みの変化量が、キャパシタ138と140の静電容量の変化量に変換され得る。次いで、これらの変化量が、以下でより詳細に論じられることになる電気回路を使用して感知され得る。
【0022】
[0028]図3を参照すると、MEMSセンサ100の側面図が与えられている。キャパシタ部分202および204は、レバーアーム110および112の一部分として示されている。上記で論じられたように、感知電極122および128は、それぞれレバーアーム110および112のキャパシタ部分202および204の下にキャパシタ層208および206をもたらす。キャパシタ層206とキャパシタ部分202の組合せが、キャパシタ138を形成する。同様に、キャパシタ層208とキャパシタ部分204がキャパシタ140を形成する。
【0023】
[0029]図3に示されるように、導体部材130の終端132および134は、バイア210および212によってバイアス用電極124および126に電気的に接続される。バイアス用電極124および126は、水平部分および垂直部分を含む。垂直部分はバイア210および212に接続される。導体部材130が半導体層106の底部側にある実施形態では、バイア210および212は回避され得る。
【0024】
[0030]動作においては、導体部材130には、バイアス用電極124および126により、バイア210および212を介して電流が与えられる。MEMSセンサ100が、半導体層106の表面に対して接線に沿った磁界ベクトルを有する磁界の中に配置されたとき、ローレンツの法則による垂直の力が生成される。ローレンツの法則は、電荷を搬送している粒子が磁界内にあるとき、粒子に与えられるローレンツ力が次式で表されると示しており、
F=q[E+(v×B)] (2)
この式で、Fはニュートンで表したローレンツ力であり、
qはクーロンで表した電荷搬送粒子の電荷であり、
vはm/sで表した瞬間速度であり、
Eはv/mで表した電界であり、
Bはテスラで表した磁界である。「×」はvとBの間のベクトルの外積である。電流を搬送している導線には、次式で表されるローレンツ力が加わり、
F=L(i×B) (2a)
この式で、Fはニュートンで表したローレンツ力であり、
Lは、磁界を受ける電流搬送線のメートルで表した長さであり、
iは、磁界を受ける電線を通る、アンペアで表した電流であり、
Bはテスラで表した磁界である。磁界を受けている導体を通る電流が、レバーアーム110および112を含む自立した構造体の共振周波数に近い周波数を有する場合、その構造体に与えられる力の量が増幅されることになる。反対に、共振周波数から離れた周波数がもたらす力は最小限になるはずである。したがって、ローレンツの法則を活用し、また、導体に影響を及ぼす磁界を選択的に試験するために、構造体の共振周波数の近くの周波数を有するAC信号が用いられ得る。
【0025】
[0031]ローレンツ力の方向は、当技術分野で知られている右手の法則に基づくものである。磁界の方向次第で、導体部材130の様々な部分にローレンツ力を与えることができる。例えば、磁界がX軸と平行な場合、例えば導体部材130の横方向部分142といったY軸と平行な導体部材の部分にのみ、ローレンツ力が加わる。しかし、磁界が別の角度で半導体層106に向かう場合、導体部材130の別々の部分にローレンツ力が加わる可能性がある。導体部材の横方向部分142にローレンツ力が加わると、レバーアーム112は、感知電極122の方に下方へ撓む。ばねアーム113が下方へ撓むことにより、レバーアーム110も、感知電極128から離れて上方へ撓む。
【0026】
[0032]導体要素に電流が加わると、半導体層106の両端に自由電荷が集まることが可能になる。半導体層106の両端に自由電荷が集まるのは、半導体の性質によるものである。これらの電荷は、キャパシタ部分202および204の形成をもたらす。キャパシタ部分202および204は、キャパシタ層206および208と協働してキャパシタ138および140を形成する。レバーアーム112が、キャパシタ層208の方へ、すなわちセンサ電極122の方へ撓むと、キャパシタ140の静電容量が増加する。レバーアーム110が、キャパシタ層206から離れて、すなわち感知電極128から離れて撓むとキャパシタ138の静電容量が減少する。静電容量の変化を検出するのに、以下でより詳細に論じられる検出回路が使用され得る。
【0027】
[0033]ローレンツ力は、レバーアーム110と112を反対方向内に撓ませることができるが、垂直方向すなわち「Z」方向の加速度ベクトルは、レバーアーム110および112の両方を同一方向に撓ませる力を生成することができる。生成される慣性力は、ニュートンの運動の第2法則、すなわち
F=Ma (3)
によって支配され、この式で、Mはレバーアームのサイズミックマスであり、
aは加速度ベクトルであり、
Fはレバーアームに作用する力ベクトルである。力の方向は、加速度ベクトルと同一である。したがって、MEMSセンサ100が垂直の加速度ベクトルを下方へ受けるとき、シーソー運動が存在して、レバーアーム112は下方へ撓み、レバーアーム110は上方へ撓む。反対に、MEMSセンサ100が垂直の加速度ベクトルを上方へ受けるとき、レバーアーム112は上方へ撓み、レバーアーム110は下方へ撓む。レバーアーム110および112ならびにばねアーム111および113が同じように構成されているとき、ここで説明されたレバーアーム110/112のシーソー運動は実質的に存在しない。例えば、レバーアーム110と112が同じ長さを有し、ばねアーム111と113が同じ厚さを有する場合、どちらのレバーアームも、加速度ベクトルの方向次第で下方または上方へ撓む。前述の構造変数の差が、上記で説明されたシーソー運動をもたらす可能性がある。
【0028】
[0034]導体部材130に電流を与えると、キャパシタ138および140を形成するレバーアーム110および112上のキャパシタ部分202および204によって生成された静電容量の測定が容易になる。キャパシタ部分202および204がキャパシタ層206および208の方へ撓むと、キャパシタ138および140の静電容量が増加する。一方のレバーアーム、例えばレバーアーム112がより長い実施形態では、例えばキャパシタ140といったそれぞれのキャパシタの静電容量が増加し、例えばキャパシタ138といった他方のキャパシタの静電容量が減少する。静電容量の変化の差が、加速度の大きさを求めるのに用いられ得る。
【0029】
[0035]導体部材130に交流(AC)タイプの信号を通すと、キャパシタ138および140を介してAC信号の容量結合をもたらす。AC信号と、半導体層106に平行な、具体的には図2に示されたX軸に平行な磁界との相互作用が、ローレンツの法則に従ってレバーアーム112の撓みをもたらす可能性がある。AC信号の周波数が、MEMSセンサ100の自立した構造体の共振周波数に近い場合、レバーアーム110および112の撓みが最大化され得る。感知電極128および122における電圧を測定し、これらの電圧を差動増幅器に通すことにより、導体部材130に対して作用する磁界ΔΒならびに両方のレバーアーム110および112に対して作用する加速度ベクトルΔaに関連するΔV量が生成され得る。ΔV量は次式で表され、
ΔV=SΔa+SΔB (4)
ΔVは、ボルト(V)で測定された出力電圧の変化であり、
Δaは、m/sで測定された加速度の変化であり、
ΔΒは、導体部材130に対して作用する、テスラ(T)で測定された磁界の変化であり、
は、V/(m/s)で測定された加速度に対する感度であり、
は、(V/T)で測定された磁界に対する感度である。
【0030】
[0036]一実施形態によれば、1対の同一のMEMSセンサ100および100が同一の慣性/磁気の環境に配置され得て、2つのセンサに対してΔVおよびΔVが同時に測定される。MEMSセンサ100および100のばねアーム111および113の自立した構造体の共振周波数に近い周波数を有する第1のAC信号が、第1のMEMSセンサ100のバイアス用電極124および126に与えられ、第2の電流が、第2のMEMSセンサ100のバイアス用電極124および126に与えられる。第1の電流と第2の電流は、反対方向の、すなわち位相が180°シフトされた信号である。各MEMSセンサ100および100に関してΔV値が測定される。ΔV測定値は、AC接地に対する感知電極128と122の差電圧の読取りを表す。したがって、ΔVは第1のMEMSセンサ100に関するΔVであり、ΔVは第2のMEMSセンサ100に関するΔVである。この実施形態では、ΔΒおよびΔaは以下の比例関係によって与えられる。
ΔB∝(ΔV−ΔV)/2 (5a)
Δa∝(ΔV+ΔV)/2 (5b)
[0037]MEMSセンサ100と100の電流が反対方向であるとき、磁界(SΔB)によって寄与された出力電圧信号は反対符号を有する。一方、加速度ベクトル(SΔa)によって寄与された出力電圧信号は、同一であって交番しない。したがって、ΔΒは、測定信号から差動の項を得ることにより、比例関係5aによって計算され得る。反対に、Δaは、測定された信号から共通項を得ることにより、比例関係5bによって計算され得る。この測定方式を用いることにより、MEMSセンサ対に与えられた磁界と加速度ベクトルが、分離して同時に取得され得る。
【0031】
[0038]別の実施形態では、2つの同一のMEMSセンサ100および100が同一の慣性/磁気の環境に配置され得て、2つのセンサに関してΔVおよびΔVが同時に測定される。レバーアーム110および112の共振周波数から離れた周波数を有する第1のAC信号が第1のMEMSセンサ100に与えられ、第2のMEMSセンサ100の自立した構造体の共振周波数に近い、または等しい周波数を有する第2のAC信号が第2のMEMSセンサ100に与えられる。第1のAC信号の周波数は、レバーアーム110および112のローレンツ力によるいかなる感知できるほどの撓みももたらさない。両方のMEMSセンサ100および100に関して、ΔVおよびΔVが測定される。ΔVは第1のMEMSセンサ100に関するΔVであり、ΔVは第2のMEMSセンサ100に関するΔVである。この実施形態では、ΔΒおよびΔaは以下の比例関係によって与えられる。
ΔB∝(ΔV−ΔV) (6a)
Δa∝ΔV (6b)
[0039]対のMEMSセンサ100および100が磁界に晒されるとき、対のMEMSセンサ100および100のレバーアーム110および112は、別々に動く。第1のMEMSセンサ100に与えられる第1のAC信号は、磁界に晒されている自立した構造体を撓ませないが、垂直の加速度ベクトルに晒すと、自立した構造体が撓む。したがって、加速度ベクトルΔaに晒すことは、比例関係6bによって計算され得る。反対に、第2のMEMSセンサ100の出力電圧信号は、AC電流入力の周波数選択のために、磁界および加速度ベクトルの両方に従う。したがって、MEMSセンサ100からの出力電圧信号を基準として用いて、ΔΒは比例関係6aによって計算され得る。
【0032】
[0040]別の実施形態によれば、1つのMEMSセンサ100が慣性/磁気の環境に配置され得て、このセンサに関するΔVおよびΔVが、別々瞬間、すなわち時間t=tおよびt=tにおいて測定される。第1の瞬間に、レバーアーム110および112の共振周波数から離れた周波数を有する第1のAC信号がMEMSセンサ100に与えられる。第2の瞬間に、MEMS100の自立した構造体の共振周波数に近い、または等しい周波数を有する第2のAC信号がMEMSセンサ100に与えられる。第1のAC信号の周波数は、ローレンツ力によるレバーアームのいかなる感知できるほどの撓みももたらさない。ΔVおよびΔVは、両方の瞬間で測定される。したがって、ΔVは第1の瞬間におけるMEMSセンサ100に関するΔVであり、ΔVは第2の瞬間におけるMEMSセンサ100に関するΔVである。この実施形態では、ΔΒおよびΔaは以下の比例関係によって与えられる。
ΔB∝(ΔV−ΔV) (7a)
Δa∝ΔV (7b)
[0041]MEMSセンサ100が磁界に晒されるとき、MEMSセンサ100のレバーアーム110と112は、前述の2つの瞬間において異なった動きをする。第1の瞬間に与えられる第1のAC信号は、磁界に晒されている自立した構造体を撓ませないが、レバーアーム110および112を垂直の加速度ベクトルに晒すと、自立した構造体は、例えば下方へ撓む。したがって、Δaは、比例関係7bによって計算され得る。反対に、MEMSセンサ100の出力電圧信号は、AC電流入力の周波数選択のために、磁界および加速度ベクトルの両方を受ける。MEMSセンサ100が加速度ベクトルに晒されるかどうかということ次第で、レバーアーム110は上方へ撓む可能性がある。したがって、ΔΒは、MEMSセンサ100からの出力電圧信号を基準として用いて、比例関係7aによって計算され得る。
【0033】
[0042]別の実施形態によれば、1つのMEMSセンサ100が慣性/磁気の環境に配置され得て、このセンサに関するΔVおよびΔVが、別々瞬間、すなわち時間t=tおよびt=tにおいて測定される。第1の瞬間に、MEMSセンサ100の自立した構造体の共振周波数に近い、または等しい周波数を有する第1のAC信号が、MEMSセンサ100に与えられる。第2の瞬間に、MEMSセンサ100の自立した構造体の共振周波数に近い、または等しい周波数を有する第2のAC信号が、MEMSセンサ100に与えられる。第1の電流と第2の電流は、反対方向の、すなわち位相が180°シフトされた信号である。MEMSセンサ100に関するΔVが、各瞬間について測定される。ΔVは第1の瞬間におけるMEMSセンサ100に関するΔVであり、ΔVは第2の瞬間におけるMEMSセンサ100に関するΔVである。この実施形態では、ΔΒおよびΔaは以下の比例関係によって与えられる。
ΔB∝(ΔV−ΔV)/2 (8a)
Δa∝(ΔV+ΔV)/2 (8b)
[0043]別々の瞬間tおよびtにおけるMEMSセンサ100の電流が反対方向であるとき、磁界(SΔB)によって寄与された出力電圧信号は反対符号を有する。一方、加速度ベクトル(SΔa)によって寄与された出力電圧信号は、同一であって交番しない。したがって、ΔΒは、測定された信号から差動の項を得ることにより、比例関係8aによって計算され得る。反対に、Δaは、測定された信号から共通の項を得ることにより、比例関係8bによって計算され得る。この測定方式を用いることにより、MEMSセンサ対に与えられた磁界と加速度ベクトルが、分離して同時に取得され得る。
【0034】
[0044]図4を参照すると、MEMSセンサ250向けの実施形態に関する斜視図が示されている。この実施形態では、導体部材130は、タブ262および264の上に外へ延在する終端132および134を有する。接合パッド256および258は、終端132および134上に配置されたパッド(図示せず)への接合線252および254により、励振/応答の回路20と導体部材130の間の電気的接続をもたらす。この実施形態では、バイアス用電極124および126ならびにバイア210および212は除去され得る。
【0035】
[0045]図5〜図14を参照すると、MEMSセンサ100を製作するための一実施形態に含まれるステップが示されている。これらの図に示されたステップは、当技術分野で既知の集積回路製作プロセスによって遂行され得る。図5は、基板102および絶縁層104を示す。基板102は、多くのMEMSセンサ100を含むウェーハに関する出発点であり得る。個々のMEMSセンサ100は、後にウェーハからダイシングして個別化され得る。上記で論じられたように、基板102用の適切な基板材料の例には、シリコン、ガラス、炭素、ゲルマニウム、炭化シリコン、およびシリコンゲルマニウムがある。
【0036】
[0046]基板102を他の構造体から電気的に絶縁するために、基板102上に絶縁層104が堆積される。絶縁層104用の適切な絶縁材料の例には、シリコン基板用のシリコン酸化物および窒化シリコンがある。堆積の方法の例には、熱成長(シリコン酸化物用)、化学的気相成長法、および物理的気相成長法がある。形成プロセス中に、絶縁層104が、基板102の全体の範囲にわたって形成され、裏面上にも形成されてよい。
【0037】
[0047]図6を参照すると、感知電極122および128を形成するための堆積プロセスが示されている。絶縁層104の頂部に、感知電極122および128を形成するための材料302の層が堆積される。堆積方法の例には、化学的気相成長法および物理的気相成長法がある。この層は、代わりにエピタキシアル成長プロセスによって成長させることもできる。層302の材料の例には、ドープされたポリシリコン、金、銀、銅、チタン、プラチナ、タングステン、アルミニウム、イリジウム、ルテニウム、および窒化チタンがある。絶縁層104の全体の範囲にわたって層302が形成される。感知電極122および128を形成するために、層302の上にマスク層304の2つの細長片が配置される。これらの層は、当技術分野で既知のフォトリソグラフィプロセスによって生産され得る。一旦マスク層304が形成されると、層302がエッチング除去され、頂部にマスク層304を有する層302の細長片が残る。マスク層304は、エッチャントがマスク層304の下の細長片をエッチング除去するのを防止する。次いで、平坦化プロセスまたは化学的除去プロセスによってマスク層304が除去され、感知電極122および128を構成する層302の2つの細長片が残る。
【0038】
[0048]図7を参照すると、MEMSセンサ100の残りを形成するための基礎として、感知電極122/128の上に、犠牲層306が堆積/成長され、かつパターニングされている。枢動部材108の位置に対応する犠牲層306のボリューム307が、マスキングおよび化学的除去プロセスによって除去される。図8を参照すると、絶縁層104、感知電極122/128、およびボリューム307の上面図が与えられている。図8には、犠牲層306も示されている。図9を参照すると、枢動部材108および半導体層106の形成が示されている。層310が、層306の上に、およびボリューム307を通って堆積/成長される。層310の材料の例にはポリシリコンがある。それに続くプロセスの後に、層310が半導体層106を構成することが理解されよう。また、次に、枢動部材108が絶縁層104と一体化して形成される。犠牲層306は、(1)機械−電気変換のために十分に大きな信号を誘起し、(2)犠牲層306にわたって適切なステップの被覆をもたらし、(3)当技術分野で既知の下地へのスティクションなどの問題を回避するために、犠牲層306の除去後の解放を容易にするように十分に厚いものでよい。
【0039】
[0049]図10を参照すると、図2および図4に示されるような所望の形状を有する導体部材130を形成するために、半導体層106上に導体層312が堆積されてパターニングされる。堆積方法の例には、化学的気相成長法および物理的気相成長法がある。層312の材料の例には、金、銀、銅、チタン、プラチナ、タングステン、アルミニウム、イリジウム、ルテニウム、および窒化チタンなどがある。パターン転写のために、導体層312の構築を容易にするためのエッチングマスクを実現するのに、標準的湿式エッチングまたはリフトオフプロセスとともに、当技術分野で既知のフォトリソグラフィプロセスが用いられる。
【0040】
[0050]図11を参照すると、レバーアーム110/112およびばねアーム111/113を形成するために半導体層106が構成される。半導体層106を構成するステップは、当技術分野で既知のフォトリソグラフィプロセスによって生成されたエッチングマスクを使用する標準的な湿式または乾式のエッチングプロセスを組み込む。湿気または乾式のエッチングを通じて、層310の、エッチングマスクによって覆われていない部分がエッチング除去される。エッチングマスクは、レバーアーム111およびばねアーム113の頂部に配置された導体部材130も覆い、したがって半導体層310のエッチングプロセスを通じて導体部材130を保護する。図12および図13を参照すると、半導体層106、枢動部材108、感知電極122/128、および導体部材130の上面図が、図2および図4によるパターンで示されている。図13に示された、図4に対応する設計代案は、半導体層310を構成するのに用いられる別のパターンのエッチングマスクを転写することにより実現され得る。図13を参照して、図4に示された実施形態に見られるタブ262および264は、半導体層310を構成するとき、標準的な湿式または乾式のエッチングプロセスを用いて、レバーアーム110/112およびばねアーム111/113と同時に形成され得る。
【0041】
[0051]図14を参照すると、平坦化プロセスまたは化学的除去プロセスによってエッチングマスクをすべて除去した後の完成したMEMSセンサ100が示されている。さらに、犠牲層306が化学的エッチングプロセスによって除去される。犠牲層306を効率的に除去するために、層310は、除去化学物質が層306へ垂直方向に到達することができるように穴を空けられてよい。また、穴を空けられた側は、犠牲層306の効果的な除去のために、除去化学物質がこの層に到達するのをさらに支援する。犠牲層306の最終的除去プロセスまたは初期の除去プロセスにおいて、例えば感知電極122/128の下にアンダーカット(図示せず)が起こる可能性がある。しかし、幅と厚さの適切な比を与えると、このアンダーカットが、MEMSセンサ100の不利な性能問題をもたらすことはない。
【0042】
[0052]図15を参照すると、電気信号の影響を受けるMEMSセンサ100に関連したΔVを測定する、したがって静電容量の変化を測定するのに使用され得る簡易化した回路図400の一例が与えられている。搬送波の一部分であるソース402のAC成分が、負荷408および410を通って、それぞれキャパシタ404および406に結合されている。各キャパシタはAC接地に結合されている。各キャパシタ404および406の高電位側が、AC増幅器412および414に接続される。各AC増幅器の出力は、差動増幅器416に結合される。ソース402は、DC成分を除去するためにハイパスフィルタ418に通される。残りのAC成分は、搬送波検出回路420に供給されて、ソース402のAC成分のキャリア信号を構成する。このキャリア信号は、復調ブロック422により、差動増幅器416の出力を復調するのに用いられる。次いで、復調ブロックの出力が、低域通過フィルタ424に供給されて、出力ΔVを生成する。
【0043】
[0053]図16および図17を参照すると、様々なMEMSセンサのマトリックス500および550の上面図が示されている。マトリックス500は、第1の前後軸(X軸)に沿って働く磁界成分を測定するための1対のMEMSセンサ502および504と、第2の前後軸(Y軸)に沿って働く磁界成分を測定するための1対のMEMSセンサ506および508と、(紙面に対して垂直な)Z軸に沿って働く磁界成分を測定するための当技術分野で既知のセンサ510とを含む。第1の前後軸と第2の前後軸は互いに垂直である。図16に示された構成は、上記で議論された、ΔVを同時に測定する2つのMEMSセンサを含んでいる測定方式に適する。センサ510のさらなる例には、ホールセンサ、磁気抵抗センサ、および当技術分野で既知の他のセンサがある。
【0044】
[0054]マトリックス550は、第1の前後軸(X軸)に沿って働く磁界成分を測定するための1つのMEMSセンサ552と、第2の前後軸(Y軸)に沿って働く磁界成分を測定するための1つのMEMSセンサ554と、(紙面に対して垂直な)Z軸に沿って働く磁界成分を測定するための当技術分野で既知のセンサ556とを含む。センサ510のさらなる例には、ホールセンサ、磁気抵抗センサ、および当技術分野で既知の他のセンサがある。図17に示された構成は、上記で論じられた、2つの瞬間においてΔVを測定する1つのMEMSセンサを含んでいる測定方式に適する。図16および図17に示されたMEMSセンサは、(紙面に対して垂直な)Z軸に沿って働く加速度ベクトル成分を測定することもできる。図16および図17には示されていないが、X軸およびY軸に沿って働く加速度成分を測定するための既知の加速度計センサも、それぞれの加速度成分を測定するために、マトリックス500および550に含まれ得る。
【0045】
[0055]動作においては、磁界が、X軸またはY軸と正確に整列しない可能性がある。しかし、これらの軸に沿って働く磁界成分は、それぞれのMEMSセンサによって感知される。磁界および加速度ベクトルのX軸成分、Y軸成分、およびZ軸成分を測定することにより、既知のベクトル解析に基づいて、磁界および加速度ベクトルの正確な方向および大きさが計算され得る。
【0046】
[0056]本発明が、図面および前述の説明に示されて詳細に説明されてきたが、これらの特質は、例証をなすものであり、限定するものではないと考えられたい。示されているのは好ましい実施形態のみであり、また、本発明の趣旨の範囲内のすべての変更形態、変形形態およびさらなる用途が保護されるように望まれていることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板から上方へ延在する第1の枢動軸と、
前記基板の上に延在する第1の前後軸を有し、第1の枢動軸線のまわりを枢動するように前記第1の枢動軸に対して枢動可能に取り付けられた第1のレバーアームと、
前記基板上の、前記第1のレバーアームの第1のキャパシタ部分の下の位置に形成された第1のキャパシタ層と、
前記基板上の、前記第1のレバーアームの第2のキャパシタ部分の下の位置に形成された第2のキャパシタ層であって、前記第1の枢動軸が、前記第1のレバーアームを、前記第1のキャパシタ部分と前記第2のキャパシタ部分の間の位置で前記第1の前後軸に沿って支持する、第2のキャパシタ層と、
前記第1の前後軸にわたって延在し、前記第1の枢動軸線から離隔された第1の導体部材と
を備える微小電子機械システム(MEMS)。
【請求項2】
請求項1に記載のMEMSにおいて、
前記第1のキャパシタ部分が、前記第1の枢動軸線から第1の距離だけ離隔され、
前記第2のキャパシタ部分が、前記第1の枢動軸線から第2の距離だけ離隔され、
前記第1の距離が前記第2の距離より大きい、
MEMS。
【請求項3】
請求項1に記載のMEMSにおいて、
前記第1の導体部材が、前記第1のレバーアームの上部面上に配置される、
MEMS。
【請求項4】
請求項3に記載のMEMSにおいて、
第1の電気的バイアス接続、
第2の電気的バイアス接続、
前記第1の電気的バイアス接続と前記第1の導体部材とを電気的に結合するように、前記第1の電気的バイアス接続と前記第1の導体部材の第1の端部との間に延在する第1のバイア、および
前記第2の電気的バイアス接続と前記第1の導体部材とを電気的に結合するように、前記第2の電気的バイアス接続と前記第1の導体部材の第2の端部との間に延在する第2のバイアを
さらに備えるMEMS。
【請求項5】
請求項1に記載のMEMSにおいて、
命令指示が記憶されているメモリと、
前記命令指示を実行して、
前記第1のキャパシタ層と前記第1のキャパシタ部分の間の第1の電圧差を取得し、
前記第2のキャパシタ層と前記第2のキャパシタ部分の間の第2の電圧差を取得し、
前記第1の電圧差と前記第2の電圧差の間の差に基づいて、前記第1の前後軸に沿って広がる第1の磁界の強度に関連した出力をもたらすように構成されたプロセッサと
をさらに備えるMEMS。
【請求項6】
請求項5に記載のMEMSにおいて、
前記プロセッサが、前記命令指示を実行して、
前記第1の電圧差と前記第2の電圧差の和に基づいて、前記第1のレバーアームの前記基板に向かう加速度に関連した出力をもたらすようにさらに構成されている、
MEMS。
【請求項7】
請求項1に記載のMEMSにおいて、
前記第1のレバーアームが、
前記第1の枢動軸に枢動可能に取り付けられたベース部分と、
前記ベース部分と前記第1のキャパシタ部分の間に延在する第1のばねアーム部分と、
前記ベース部分と前記第2のキャパシタ部分の間に延在する第2のばねアーム部分と
をさらに備える、
MEMS。
【請求項8】
請求項1に記載のMEMSにおいて、
前記基板から上方へ延在する第2の枢動軸と、
前記基板上に延在する第2の前後軸を有し、第2の枢動軸線のまわりを枢動するように前記第2の枢動軸に対して枢動可能に取り付けられた第2のレバーアームと、
前記基板上の、前記第2のレバーアームの第3のキャパシタ部分の下の位置に形成された第3のキャパシタ層と、
前記基板上の、前記第2のレバーアームの第4のキャパシタ部分の下の位置に形成された第4のキャパシタ層であって、前記第2の枢動軸が、前記第2のレバーアームを、前記第3のキャパシタ部分と前記第4のキャパシタ部分の間の位置で前記第2の前後軸に沿って支持する、第4のキャパシタ層と、
前記第2の前後軸にわたって延在し、前記第2の枢動軸線から離隔された第2の導体部材と
をさらに備えるMEMS。
【請求項9】
請求項8に記載のMEMSにおいて、
前記第2の前後軸が、前記第1の前後軸に対して垂直である、
MEMS。
【請求項10】
請求項8に記載のMEMSにおいて、
前記第2の前後軸が、前記第1の前後軸に対して平行である、
MEMS。
【請求項11】
基板を設けるステップと、
前記基板から上方へ延在する第1の枢動軸を形成するステップと、
第1の枢動軸線のまわりを枢動するために、前記第1の枢動軸に対して枢動可能に取り付けられるように前記基板上に延在する第1の前後軸を有する第1のレバーアームを形成するステップと、
前記基板上の、前記第1のレバーアームの第1のキャパシタ部分の下であるように選択された位置において第1のキャパシタ層を形成するステップと、
前記基板上の、前記第1のレバーアームの第2のキャパシタ部分の下となるように選択された位置であって、前記第1の枢動軸が、前記第1のレバーアームを、前記第1のキャパシタ部分と前記第2のキャパシタ部分の間で前記第1の前後軸に沿って支持するように選択された位置において第2のキャパシタ層を形成するステップと、
前記第1の前後軸にわたってある位置で延在し、前記第1の枢動軸線から離隔されるように第1の導体部材を形成するステップと
を含む、微小電子機械システム(MEMS)を形成する方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記第1のキャパシタ部分が、前記第1の枢動軸線から第1の距離だけ離隔されるように形成され、
前記第2のキャパシタ部分が、前記第1の枢動軸線から第2の距離だけ離隔されるように形成され、
前記第1の距離が前記第2の距離より大きい、
方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、
前記第1の導体部材が前記第1のレバーアームの上部表面上に形成される、
方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
第1の電気的バイアス接続を形成するステップと、
第2の電気的バイアス接続を形成するステップと、
前記第1の電気的バイアス接続と前記第1の導体部材とを電気的に結合するために、第1のバイアを、前記第1の電気的バイアス接続と前記第1の導体部材の第1の端部との間に延在するように形成するステップと、
前記第2の電気的バイアス接続と前記第1の導体部材とを電気的に結合するために、第2のバイアを、前記第2の電気的バイアス接続と前記第1の導体部材の第2の端部との間に延在するように形成するステップと
をさらに含む方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法において、
命令指示をメモリの中に記憶するステップと、
プロセッサを、前記命令指示を実行して、
前記第1のキャパシタ層と前記第1のキャパシタ部分の間の第1の電圧差を取得し、
前記第2のキャパシタ層と前記第2のキャパシタ部分の間の第2の電圧差を取得し、
前記第1の電圧差と前記第2の電圧差の間の差に基づいて、前記第1の前後軸に沿って広がる第1の磁界の強度に関連した出力をもたらすように構成するステップと
をさらに含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記プロセッサを構成するステップが、前記プロセッサを、前記命令指示を実行して、
前記第1の電圧差と前記第2の電圧差の和に基づいて、前記第1のレバーアームの前記基板に向かう加速度に関連した出力をもたらすように構成するステップをさらに含む方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法において、
前記第1のレバーアームを形成するステップが、
前記第1の枢動軸に対して枢動可能に取り付けられるベース部分を形成するステップと、
前記ベース部分と前記第1のキャパシタ部分の間に延在する第1のばねアーム部分を形成するステップと、
前記ベース部分と前記第2のキャパシタ部分の間に延在する第2のばねアーム部分を形成するステップと
をさらに含む方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法において、
第2の枢動軸を、前記基板から上方へ延在するように形成するステップと、
第2の枢動軸線のまわりを枢動するために、前記第2の枢動軸に対して枢動可能に取り付けられるように前記基板上に延在する第2の前後軸を有する第2のレバーアームを形成するステップと、
前記基板上の、前記第2のレバーアームの第3のキャパシタ部分の下となるように選択された位置において第3のキャパシタ層を形成するステップと、
前記基板上の、前記第2のレバーアームの第4のキャパシタ部分の下となるように選択された位置であって、前記第2の枢動軸が、前記第2のレバーアームを、前記第3のキャパシタ部分と前記第4のキャパシタ部分の間で前記第2の前後軸に沿って支持するように選択された位置において第4のキャパシタ層を形成するステップと、
第2の導体部材を、前記第2の前後軸にわたって延在し、前記第2の枢動軸線から離隔されるように形成するステップと
をさらに含む方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記第2の前後軸が、前記第1の前後軸に対して垂直である、
方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法において、
前記第2の前後軸が、前記第1の前後軸に対して平行である、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16−17】
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【公表番号】特表2013−519880(P2013−519880A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552915(P2012−552915)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/023927
【国際公開番号】WO2011/100199
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】