説明

放熱基板及びその製造方法

【課題】放熱特性が向上した放熱基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】銅基板330、銅基板330の一面に形成されたアルミナ層320、アルミナ層320に形成された第1回路層340からなる放熱基板を用い、アルミナ層320を貫くように開口部390を形成し、開口部390を通じてアルミナ層320から露出された銅基板330にソルダパッド610を付着した後、これに発熱素子600を実装することにより、銅基板330の露出面に発熱素子600が直接実装されるパッケージ700を具現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多様な分野に応用されるパワー素子及びパワーモジュールの放熱問題を解決するために、熱伝導特性の良い金属材料を用いてさまざまな形態の放熱基板を製作しようと努力している。最近では、陽極酸化を用いて発熱素子の熱放出を極大化するための放熱基板に対する研究が進んでいる。
【0003】
図1〜図3は、陽極酸化工法を用いた放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0004】
これを参照して、従来の放熱基板の製造方法を説明すれば次のようである。
【0005】
まず、アルミニウム基板110の一面に陽極酸化工程によって、アルミナ層120が形成された陽極酸化基板111を準備する。
【0006】
ついで、前記陽極酸化基板111の一面に電解メッキまたは無電解メッキによって回路層130を形成する。
【0007】
従来の陽極酸化を用いた放熱基板の場合、アルミニウムの熱伝逹効果が高いため、発熱素子から発生した熱が、アルミニウム基板を通じて外部に放出された。よって、放熱基板上に形成された発熱素子は、高熱を受けなかったので、発熱素子の性能が落ちるという問題点を解決することができた。
【0008】
しかし、電子部品が小型化及び薄型化するにつれて、放熱基板の局所面積に収容される発熱素子の密度が高くなり、よって、放熱基板は、発熱素子から放出する熱を、短時間内に基板の外部に放出しなければならない。
【0009】
このような問題を改善するために、熱吸収力及び熱放出力に優れた材質を使って、放熱基板を製作することもある。
【0010】
しかし、陽極酸化工法を用いた放熱基板の製造工程に使用可能なベース基板の材質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金に制限されるしかなかった。よって、アルミニウムより熱伝導度に優れた銅をベース基板として使う場合、銅基板にアルミナ層を形成することができないという問題点があった。
【0011】
図4は、従来技術による発熱素子実装型放熱基板(パッケージ)200の断面図を示している。
【0012】
アルミニウムあるいは銅で形成された基板210に、絶縁層としてエポキシ樹脂層220を形成し、アルミニウムまたは銅で回路層230を形成した。前記回路層230のパッド部240に熱拡散器250、発熱素子260の順に実装し、発熱素子260と前記回路層230の回路パターンをアルミニウムワイヤ270で連結した。
【0013】
しかし、通常絶縁層として使われるエポキシ樹脂層220の熱伝導度は、アルミナ熱伝導度より低い欠点があるため、熱放出能力に限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、アルミニウム基板にアルミナ層が形成された放熱基板に対し、前記アルミニウム基板を熱伝導度に優れた銅基板に取り替えて放熱基板の熱放出特性を改善し、その過程で陽極酸化工法を適用し、また絶縁層としてエポキシ樹脂層の代わりにアルミナ層を使うことで、高温で絶縁層が剥離される問題を解決し、さらに放熱基板にパッケージを具現するとき、銅基板に形成されたアルミナ層の一部を除去して開口部を形成し、銅基板の露出部に発熱素子を直接実装することにより放熱特性が向上した放熱基板及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明の好適な第1実施例による放熱基板は、銅基板、前記銅基板の一面に形成されたアルミナ層、及び前記アルミナ層に形成され、第1回路パターン及び第1パッド部を含む第1回路含んでなる。
【0016】
前記銅基板と前記アルミナ層の間には、シード層をさらに含むことができる。
【0017】
前記第1回路層は、銅またはアルミニウムで形成されることができる。
【0018】
前記放熱基板は、前記第1パッド部に発熱素子が実装されることができる。
【0019】
前記放熱基板は、前記アルミナ層を貫くように開口部が形成され、前記開口部を通じて露出された前記銅基板に発熱素子が実装されることができる。
【0020】
本発明の好適な第2実施例による放熱基板は、銅基板、前記銅基板の一面に形成されたアルミナ層、前記アルミナ層に形成された第1回路層(第1回路パターン及び第1パッド部を含み)及び前記第1回路層に形成された第2回路層(前記第1回路パターンに対応するように形成された第2回路パターン及び前記第2パッド部に対応するように形成された第2パッド部を含み)を含んでなる。
【0021】
前記銅基板と前記アルミナ層の間には、シード層をさらに含むことができる。
【0022】
前記第1回路層は、アルミニウムで形成され、前記第2回路層は、銅で形成されることができる。
【0023】
前記第2パッド部に、発熱素子が実装されることができる。
【0024】
前記放熱基板は、前記アルミナ層を貫くように開口部が形成され、前記開口部を通じて露出された前記銅基板に発熱素子が実装されることができる。
【0025】
本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法は、(A)アルミニウム基板の全面にアルミナ層が形成された陽極酸化基板を準備する段階、(B)前記陽極酸化基板の一面に銅基板を形成する段階、(C)前記陽極酸化基板の他面から前記銅基板に接した前記アルミナ層の前まで前記陽極酸化基板を除去する段階、(D)前記銅基板に接したアルミナ層の露出面に第1回路パターン及び第1パッド部を含む第1回路層を形成する段階を含んでなる。
【0026】
前記方法は、前記(A)段階と前記(B)段階の間に、(A’)陽極酸化基板の一面にシード層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0027】
前記方法は、前記(D)段階の後に、(E)前記アルミナ層を貫く開口部を形成する段階、及び(F)前記開口部を通じて露出された前記銅基板に発熱素子を実装する段階をさらに含むことができる。
【0028】
前記方法は、前記(D)段階の後に、(G)前記第1パッドに発熱素子を実装する段階を含むことができる。
【0029】
前記第1回路層は、銅で形成されることができる。
【0030】
本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法は、(A)アルミニウム基板の全面にアルミナ層が形成された陽極酸化基板を準備する段階、(B)前記陽極酸化基板の一面に銅基板を形成する段階、(C)前記陽極酸化基板の他面から前記アルミニウム基板の前まで前記アルミナ層を除去し、前記アルミニウム基板を選択的に除去することで、第1回路パターン及び第1パッド部を含む第1回路層を形成する段階、(D)前記第1回路層の第1回路パターンに対応する第2回路パターン及び前記第1回路層の第1パッド部に対応する第2パッド部を形成する段階を含んでなる。
【0031】
前記方法は、前記(A)段階と前記(B)段階の間に、(A’)陽極酸化基板の一面にシード層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0032】
前記方法は、前記(D)段階の後に、(E)前記アルミナ層を貫く開口部を形成する段階、及び(F)前記開口部を通じて露出された前記銅基板に発熱素子を実装する段階をさらに含むことができる。
【0033】
前記方法は、前記(D)段階の後に、(G)前記第2パッドに発熱素子を実装することができる。
【0034】
前記第2回路層は、銅で形成されることができる。
【0035】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以降の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0036】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は、通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者がその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって、本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、アルミニウム基板を基本部材として使用して陽極酸化工法で形成された放熱基板に対し、アルミニウム基板の代わりに熱伝導率が一層高い銅基板を基本部材として使うことにより、放熱基板の熱放出特性を一層改善させる効果がある。
【0038】
また、絶縁層として通常使われるエポキシ樹脂層の代わりに、陽極酸化工法によって形成されたアルミナ層を使うことにより、高温で絶縁層が剥離される問題点を改善する。さらに、陽極酸化工法によって形成されたアルミナ層は、高純度の絶縁層なので、放熱特性を一層向上させる効果がある。
【0039】
また、アルミナ層は、エポキシ樹脂層より除去しやすいので、アルミナ層の一部を除去した後、露出された銅基板上に発熱素子を直接実装することができ、よって放熱基板の熱放出特性を最大化することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来技術による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(1)である。
【図2】従来技術による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(2)である。
【図3】従来技術による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(3)である。
【図4】従来技術による発熱素子実装型放熱基板の断面図である。
【図5】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の断面図である。
【図6】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の断面図である。
【図7】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(1)である。
【図8】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(2)である。
【図9】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(3)である。
【図10】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(4)である。
【図11】本発明の好適な第1実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(5)である。
【図12】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(1)である。
【図13】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(2)である。
【図14】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(3)である。
【図15】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(4)である。
【図16】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(5)である。
【図17】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(6)である。
【図18】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(7)である。
【図19】本発明の好適な第2実施例による放熱基板の製造方法を工程順に示す断面図(8)である。
【図20】本発明の実施例による発熱素子実装型放熱基板の断面図(1)である。
【図21】本発明の実施例による発熱素子実装型放熱基板の断面図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の目的、特定の利点及び新規の特徴は、添付図面を参照する以下の詳細な説明及び好適な実施例から一層明らかに理解可能であろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるにあたり、同じ構成要素がたとえ他の図面に図示されていても、できるだけ同じ符号を付けることにする。また、本発明の説明において、関連の公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不要にあいまいにすることができると判断されればその詳細な説明は省略する。
【0042】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0043】
(放熱基板の構造)
図5は、本発明の好適な第1実施例による放熱基板の断面図である。
【0044】
図5に示すように、本実施例による放熱基板300は、銅基板330、銅基板330の一面に形成されたアルミナ層320及びアルミナ層320に形成された第1回路層340でなる。ここで、前記第1回路層340は、第1回路パターン340a及び第1パッド部340bを含んでなる。また、前記銅基板330と前記アルミナ層320の間にシード層380をさらに含むことができる。
【0045】
銅基板330は、放熱基板の基礎部材で、発熱素子から発生する熱を空気中に放出する部材である。前記銅基板330は、一般的な樹脂層でなった基板に比べ、強度が高いので、放熱基板300の外部から作用する応力に対する抵抗力が高いという利点がある。また、熱伝導度の面で見れば、アルミニウムの熱伝導度は、238W/mKであるが、銅の熱伝導度は、397W/mKである。よって、放熱基板300の基礎部材としてアルミニウム基板310(図7〜図10参照)の代わりに、銅基板330を用いることにより、放熱効果を極大化することができる。
【0046】
アルミナ層320は、アルミニウム基板310(図7及び図8参照)を陽極酸化して形成されたものである。ここで、アルミナ層320は、銅基板330の一面に形成された絶縁層で、第1回路層340と銅基板330が電気的に短絡しないように絶縁させる役目をする。また、陽極酸化工法で形成されるため、高純度絶縁層の具現が可能である。
【0047】
一方、通常絶縁層に使われるエポキシ樹脂の熱伝導度は、2〜4W/mKであるが、陽極酸化法で形成されたアルミナ層320の熱伝導は、20〜25W/mKであるので、熱伝導度が高いアルミナ層320を絶縁層として使うことにより、放熱基板300の熱放出特性を一層改善させる効果がある。
【0048】
一方、銅基板330にアルミナ層320を形成する工程については、放熱基板の製造方法についての詳細な説明で述べることにする。
【0049】
第1回路層340は、第1回路パターン340a及び第1パッド部340bを含んでなり、アルミナ層320に形成される。また、第1回路層340は、アルミニウムまたは銅で形成されることができる。
【0050】
シード層380は、無電解メッキまたはスパッタリング工程によって、アルミナ層320に形成された金属薄層で、後にアルミナ層320に銅基板330を形成するとき、引込線の役目をする。ただ、銅基板330の形成方法によって、前記シード層380は、省略することができる。
【0051】
図6は、本発明の好適な第2実施例による放熱基板の断面図である。
【0052】
図6に示すように、本実施例による放熱基板400は、銅基板330、銅基板330の一面に形成されたアルミナ層320、アルミナ層320に形成された第1回路層340及び第1回路層340に形成された第2回路層350でなる。ここで、前記第1回路層340は、第1回路パターン340a及び第1パッド部340bを含み、前記第2回路層350は、前記第1回路パターン340aに対応するように形成された第2回路パターン350a及び前記第1パッド部340bに対応するように形成された第2パッド部350bを含む。また、前記銅基板330と前記アルミナ層320の間に、シード層380をさらに含むことができる。
【0053】
前記銅基板330、前記アルミナ層320及び前記シード層380は、前記本発明の好適な第1実施例による放熱基板で説明したものと同様であるので、本実施例ではその説明を省略する。
【0054】
第1回路層340は、第1回路パターン340a及び第1パッド部340bを含んでなり、前記アルミナ層320に形成される。ここで、前記第1回路層340は、放熱基板400の製造工程において、陽極酸化工法でアルミナ層320を形成した後に、陽極酸化の基礎部材になったアルミニウム基板310が選択的に除去されてパターニングされることにより、前記アルミナ層320に残って形成されたものである。
【0055】
第2回路層350は、第2回路パターン350a及び第2パッド部350bを含んでなり、前記第1回路層340に形成される。具体的に、第2回路パターン350aは、前記第1回路パターン340aに対応するように形成され、第2パッド部350bは、前記第1パッド部340bに対応するように形成される。ここで、第2回路層350は、銅で形成されることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0056】
(放熱基板の製造方法)
図7〜図11は、本発明の好適な第1実施例による放熱基板を製造する方法を説明するための工程断面図である。以下、同図に基づいて、本実施例による放熱基板の製造方法について説明する。
【0057】
まず、図7に示すように、アルミニウム基板310を準備する。この際、前記アルミニウム基板310は、陽極酸化工法でアルミナ層320を形成するための部材で、後に前記アルミナ層320に銅基板330が形成された後の工程で、全体的にあるいは選択的に除去されるものである。
【0058】
ついで、図8に示すように、アルミニウム基板310を陽極酸化することで、アルミナ層320が形成された陽極酸化基板311を形成する。ここで、アルミナ層320は、絶縁層で、前記第1回路層340と銅基板330(後続の工程で形成されるものである)が電気的に短絡しないように絶縁させる役目をする。
【0059】
アルミナ層320を形成する工程を具体的に説明すれば、アルミニウム基板310を直流電源の陽極に接続して酸性溶液(電解質溶液)に浸漬することで、アルミニウム基板310の表面にアルミナ層320でなった絶縁層を形成することができる。アルミニウム基板310の表面が電解質溶液と反応することにより、境界面にアルミニウムイオン(Al3+)が形成され、アルミニウム基板310に印加される電圧によって、アルミニウム基板310の表面に電流密度が集中して局所的に熱が発生し、この熱によって、さらに多いアルミニウムイオンが形成される。その結果、アルミニウム基板310の表面に複数の穴が形成され、酸素イオン(O2−)が電場力によって、前記穴に移動して電解質アルミニウムイオンと反応することにより、アルミナ層320を形成することができる。
【0060】
ここで、アルミナ層320は、他の絶縁部材に比べて熱伝導率が高いので、アルミナ層320がアルミニウム基板310の全面に形成されても、アルミニウム基板310の熱放出がなだらかになされる。
【0061】
ついで、図9に示すように、前記陽極酸化基板311の一面に、銅基板330を形成する。銅基板330は、スパッタリング工法によって蒸着されるかあるいはメッキによって形成される。
【0062】
ここで、スパッタリング工程とは、金属粒子を対象面に噴射して金属となった薄膜を蒸着する方式であり、金、銀、銅などの薄膜を形成することができる。
【0063】
一方、図8において、アルミナ層320を形成した後、電解メッキで銅基板を形成するために、シード層380を先に形成することができる。この際、シード層380は、無電解メッキまたはスパッタリング工法によって、アルミナ層320に形成された金属薄層で、電解メッキに適した厚さを持つように形成され、電解メッキによって、銅基板330を形成するための引込線の役目をする。
【0064】
ついで、図10に示すように、前記陽極酸化基板311の他面から前記銅基板330に接した前記アルミナ層320の前まで、陽極酸化基板311を除去する。また、この段階をより具体的に説明すれば、銅基板330が形成された陽極酸化基板311をエッチング溶液に浸漬し、エッチング溶液の組成、エッチング時間を調節することで、陽極酸化基板311の他面から銅基板330に接したアルミナ層320の前まで不要なアルミナ層320及びアルミニウム基板310を除去する。結局、アルミナ層320を形成するのに用いたアルミニウム基板310が全部除去され、銅基板330の一面にアルミナ層320が備えられる。
【0065】
ついで、図11に示すように、前記銅基板330に接したアルミナ層320の露出面に第1回路層340を形成する。第1回路層340は、第1回路パターン340a及び第1パッド部340bを含む。
【0066】
具体的に、前記アルミナ層320にドライフィルムを塗布し、マスクでブロッキングした状態で、紫外線を照射する。その後、ドライフィルムを現像液で作用させれば、紫外線の照射によって硬化した部分はそのまま残るが、硬化しなかった部分は除去されることにより、メッキレジストパターンが形成される。メッキ工法によって、前記メッキレジストパターンから露出されたアルミナ層320に第1回路層340を形成し、メッキパターンを除去する。
【0067】
図12〜図19は、本発明の好適な第2実施例による放熱基板を製造する方法を説明するための工程断面図である。以下、同図に基づいて、本実施例による放熱基板の製造方法について説明する。
【0068】
まず、図12〜図14に示す製造工程は、前記本発明の好適な第1実施例による放熱基板の図7〜図9に示す製造工程と同様である。
【0069】
ついで、図15に示すように、前記陽極酸化基板311の他面から前記アルミニウム基板310の前まで前記アルミナ層320を除去した後、前記アルミニウム基板310を一定厚さだけ残して選択的に除去する。ここで、一定厚さとは、後述する工程で残るアルミニウム基板310で形成される第1回路層340の厚さを意味する。
【0070】
銅基板330が形成された陽極酸化基板311をエッチング溶液に浸漬し、エッチング溶液の組成、エッチング時間を調節して所望領域まで部分エッチングが可能である。
【0071】
ついで、図16に示すように、前記残ったアルミニウム基板310上に、ドライフィルムを塗布し、これをパターニングしてエッチングレジストパターン325を形成する。形成方法は、以上に説明したものと同様である。
【0072】
ついで、図17及び図18に示すように、エッチングレジストパターン325から露出されたアルミニウム基板310の露出部を、エッチングして選択的に除去し(図17参照)、前記エッチングレジストパターン325を剥離することで、第1回路層340を形成する(図18参照)。ここで、第1回路層340は、第1回路パターン340a及び第1パッド部340bを含む。
【0073】
ついで、図19に示すように、前記第1回路層340に第2回路層350を形成する。ここで、第2回路層350は、第2回路パターン350a及び第2パッド部350bを含み、前記第2回路パターン350aは、前記第1回路パターン340aに対応し、前記第2パッド部350bは、前記第1パッド部340bに対応するように形成される。
【0074】
この際、前記第2回路層350は、銅で形成されることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。一方、第2回路層350を形成する工程は、前記本発明の好適な第1実施例による放熱基板300の製造方法において、メッキレジストで第1回路層340を形成する工程と同様である。
【0075】
さらに、本発明の好適な第1実施例または第2実施例による放熱基板は、発熱素子から発生する熱を空気中に放出する。以下、発熱素子が放熱基板に実装された構造について説明する。
【0076】
図20は、本発明の第2実施例による放熱基板に発熱素子が実装された構造の断面図である。
【0077】
本発明の好適な第2実施例による放熱基板400において、発熱素子600は、第2回路層350に含まれた第2パッド部350bに実装できる。第1パッド部340bは、アルミニウムで形成され、第2パッド部350bは、銅で形成される場合、高い熱伝導度を持つ銅の物理的特性上、発熱素子600から発生する熱を効果的に放出することができる。また、第1パッド部340bがアルミニウムで形成されるとき、第1パッド部340bは、発熱素子600との接着性が良くないので、これを改善するために、前記第2パッド部350bは、接着層でなることができる。
【0078】
一方、本発明の好適な第1実施例による放熱基板300において、発熱素子600は、第1回路層340に含まれた第1パッド部340bに実装できる。すなわち、図20に示す第2回路層350は、選択的に省略することができる。第1パッド部340bが銅で形成された場合、高い熱伝導度を持つ銅の物理的特性上、発熱素子600から発生する熱を効果的に放出することができる。
【0079】
図21は、本発明の第1または第2実施例による放熱基板において、銅基板330に発熱素子600が直接実装された構造の断面図である。
【0080】
具体的に、前記第1実施例による放熱基板300または第2実施例による放熱基板400において、アルミナ層320を貫くように開口部390を形成し、前記開口部390を通じてアルミナ層320から露出された銅基板330にソルダパッド610を付着した後、これに発熱素子600を実装することができる。熱伝導率が銅より相対的に低いアルミナ層320が除去され、発熱素子600が銅基板330に直接連結されるので、熱放出効果を一層向上させることができる。また、既存にエポキシ樹脂を絶縁層として使用したパッケージ構造(図4を参照)においては、エポキシ樹脂を基板から除去することが容易でなくて基板に発熱素子600を直接実装することができなかったが、本発明の第1または第2実施例による放熱基板は、このような問題点を解決してパッケージ700の放熱効果を極大化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、アルミニウム基板にアルミナ層が形成された放熱基板に対し、前記アルミニウム基板を高熱伝導度の銅基板に取り替えて放熱基板の熱放出特性を改善し、その過程で陽極酸化工法を適用し、また絶縁層としてエポキシ樹脂層の代わりにアルミナ層を使うことで、高温で絶縁層が剥離される問題を解決し、さらに放熱基板にパッケージを具現するとき、銅基板に形成されたアルミナ層の一部を除去して開口部を形成し、銅基板の露出部に発熱素子を直接実装することにより、放熱特性が向上した放熱基板及びその製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
111 陽極酸化基板
110 アルミニウム基板
120 アルミナ層
130 回路層
140 発熱素子
210 ベース基板
220 エポキシ樹脂層
230 回路層
240 パッド部
250 熱拡散器
260 発熱素子
270 アルミニウムワイヤ
300、400 放熱基板
310 アルミニウム基板
320 アルミナ層
325 エッチングレジストパターン
311 陽極酸化基板
330 銅基板
340 第1回路層
200、500、700 パッケージ(発熱素子実装型放熱基板)
340a 第1回路パターン
340b 第1パッド部
350 第2回路層
350a 第2回路パターン
350b 第2パッド部
360 モールディング部
370 ワイヤ
380 シード層
390 開口部
600 発熱素子
610 ソルダパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅基板;
前記銅基板の一面に形成されたアルミナ層;及び
前記アルミナ層に形成され、第1回路パターン及び第1パッド部を含む第1回路層;
を含むことを特徴とする、放熱基板。
【請求項2】
前記第1回路パターンに対応するように形成された第2回路パターン;及び
前記第1パッド部に対応するように形成された第2パッド部;
を含む第2回路層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の放熱基板。
【請求項3】
前記第1パッド部に発熱素子が実装されたことを特徴とする、請求項1に記載の放熱基板。
【請求項4】
前記第2パッド部に発熱素子が実装されたことを特徴とする、請求項2に記載の放熱基板。
【請求項5】
前記アルミナ層を貫くように形成された開口部をさらに含み、
前記開口部を通じて露出された前記銅基板にソルダパッドを介して発熱素子が実装されたことを特徴とする、請求項1に記載の放熱基板。
【請求項6】
前記アルミナ層を貫くように形成された開口部をさらに含み、
前記開口部を通じて露出された前記銅基板にソルダパッドを介して発熱素子が実装されたことを特徴とする、請求項2に記載の放熱基板。
【請求項7】
前記第1回路層は銅またはアルミニウムで形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の放熱基板。
【請求項8】
前記第1回路層はアルミニウムで形成され、前記第2回路層は銅で形成されたことを特徴とする、請求項2に記載の放熱基板。
【請求項9】
前記銅基板と前記アルミナ層の間にシード層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の放熱基板。
【請求項10】
(A)アルミニウム基板の全面にアルミナ層が形成された陽極酸化基板を準備する段階;
(B)前記陽極酸化基板の一面に銅基板を形成する段階;
(C)前記陽極酸化基板の他面から前記銅基板に接した前記アルミナ層の前まで前記陽極酸化基板を除去する段階;
(D)前記銅基板に接したアルミナ層の露出面に第1回路パターン及び第1パッド部を含む第1回路層を形成する段階;
を含むことを特徴とする、放熱基板の製造方法。
【請求項11】
前記(D)段階の後に、
(E)前記アルミナ層を貫く開口部を形成する段階;及び
(F)前記開口部を通じて露出された前記銅基板にソルダパッドを介して発熱素子を実装する段階;をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項12】
前記(D)段階の後に、
(G)前記第1パッドに発熱素子を実装することを特徴とする、請求項10に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項13】
前記第1回路層は銅で形成されることを特徴とする、請求項10に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項14】
前記(A)段階と前記(B)段階の間に、
(A’)陽極酸化基板の一面にシード層を形成する段階;
をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項15】
(A)アルミニウム基板の全面にアルミナ層が形成された陽極酸化基板を準備する段階;
(B)前記陽極酸化基板の一面に銅基板を形成する段階;
(C)前記陽極酸化基板の他面から前記アルミニウム基板の前まで前記アルミナ層を除去し、前記アルミニウム基板を選択的に除去することで、第1回路パターン及び第1パッド部を含む第1回路層を形成する段階;及び
(D)前記第1回路層の第1回路パターンに対応する第2回路パターン及び前記第1回路層の第1パッド部に対応する第2パッド部を形成する段階;
を含むことを特徴とする、放熱基板の製造方法。
【請求項16】
前記(D)段階の後に、
(E)前記アルミナ層を貫く開口部を形成する段階;
(F)前記開口部を通じて露出された前記銅基板にソルダパッドを介して発熱素子を実装する段階;をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項17】
前記(D)段階の後に、
(G)前記第2パッドに発熱素子を実装することを特徴とする、請求項15に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項18】
前記第2回路層は銅で形成されたことを特徴とする、請求項15に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項19】
前記(A)段階と前記(B)段階の間に、
(A’)陽極酸化基板の一面にシード層を形成する段階;
をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の放熱基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−64914(P2012−64914A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270766(P2010−270766)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】