説明

新規化合物

本発明は、その全ての互変異性体及びその立体異性体を含む、一般式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、多形体又はその溶媒和物を提供し、式中、K、W、X;Y及びZは、本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって記載されている。本発明の化合物は、プロリルエンドペプチターゼ(PEP、EC 3.4.21.26)及び/又はIL-6の阻害剤として有用である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、プロリルエンドペプチターゼ(PEP、EC 3.4.21.26)及び/若しくはIL-6の阻害剤並びに/又はAβのエフェクターとしてのヘテロアリール-カルボニル化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
プロリルエンドペプチターゼ(PEP、EC 3.4.21.26、プロリルオリゴペプチダーゼともいう)は、オリゴペプチダーゼ活性によって特徴づけられるセリンペプチダーゼである。これは、SC族におけるファミリーS9Aの酵素、プロリルオリゴペプチダーゼに付けられた名前である(1)。SC族に属する酵素は、構造によって、及び一次配列における触媒の三連構造残基の順序によって、トリプシン-又はサブチリシン-型セリンペプチダーゼとは異なっている(2;3)。PEPの三次元構造は、2つのドメイン組成を明らかにした(4)。触媒ドメインは、触媒三連構造(Ser554、His680、Asp641)がいわゆるβ-プロペラドメインによってカバーされているα/β加水分解酵素折り畳みを示す。おそらく、該プロペラドメインは、酵素の活性部位に対する潜在的基質のアクセスを制御し、30を超えるアミノ酸を有するペプチドを排除する。
【0003】
PEPの酵素的及び構造的特性についての深い知識とは対照的に、この酵素の生物学的機能は、完全に理解されるにはほど遠い(5;6)。PEPは、哺乳類において高度に保存され、遍在的に分布し、脳で生じる高濃度を伴う(7)。最近、本酵素は、特異的PEP阻害剤を用いた治療により誘導される認知の増強が報告されたため、医薬としての関心が増した。スコポラミンで誘導される健忘症を示すラットにおいて、PEP阻害は、前頭部皮質及び海馬において、アセチルコリン放出を生じさせた(8)。更にまた、中大脳動脈閉塞であるラットにおけるPEP阻害剤の投与により、Morris水迷路課題における受動的回避潜時を延長し、かつ延長された逃避潜時を減少させた(9)。抗認知症薬としてのPEP阻害剤の可能性は、神経保護効果の報告によって、更に確認された。小脳顆粒細胞に神経変性を誘導すると、ニューロンの生存の増加を引き起こし、PEP阻害剤の存在下における神経突起成長を増強させた(10)。更に、m3-ムスカリン性アセチルコリン受容体mRNAのレベルは、PEP阻害の後に増加することが見いだされた。これにより、ホスホイノシチド代謝回転の刺激が生じた。
【0004】
これらの効果は、PEPによる神経ペプチド生理活性の調整によるものであると仮定された (11)。インビトロにおいて、PEPは、サブスタンスP及びアルギニン-バソプレシン(AVP)を含むいくつかの神経ペプチドを、タンパク質限定加水分解により迅速に不活性化できる(12;13)。サブスタンスP又はAVPなどの神経ペプチドは、学習及び記憶に影響することが公知である(14;15)。サブスタンスPの投与は、学習及び記憶のための十分に確立されたパラメーターである長期増強(LTP)を誘導できる(16)。ニューロキニン1受容体に対するサブスタンスPの結合は、Gタンパク質を媒介したIP3濃度の増大及び小胞体(ER)内の細胞内貯臓からのCa2+の放出を刺激する(17;18)。これらの貯臓からのCa2+放出は、LTPの誘導に関係すること、及び学習及び記憶に関係することが十分に確立されているが、サブスタンスPに関しては試験されていない(19)。シナプス後細胞では、IP3受容体の阻害によってLTPが防げられ、この学習及び記憶モデルにおけるIP3形成及びCa2+放出の重要な役割が証明されている(20)。しかし、PEPは、主にサイトゾルに位置するが(21)、神経ペプチドとこれらの受容体との間の相互作用は、細胞表面上で起こることに留意すべきである。最近、Hasebeらは、細胞質プロリルエンドペプチダーゼが、骨髄性細胞におけるp40-phoxスプライスバリアントタンパク質の分解に関与することを見いだした(22)。
【0005】
EP 0 172 458は、抗健忘薬として有用なN-フェニルアルカノイルピロリジン誘導体を開示する。
【0006】
EP 0 359 547は、プロリルエンドペプチダーゼ活性を阻害し、かつ健忘症の治療に有用なピリジン化合物を開示する。
【0007】
US 5,340,832は、健忘症を治療するためのプロリルエンドペプチダーゼの阻害剤として有用なN-置換されたカルバモイル-アルカノイル-プロリナル誘導体を開示する。
【0008】
US 5,763,576は、セリン及びシステインプロテアーゼの選択的かつ全体的阻害剤としてテトラペプチドα-ケトアミドを開示する。これらの化合物は、水疱形成などの組織損傷及び種々の炎症性状態の治療に、並びに虚血、脳卒中及びアルツハイマー病などの神経変性疾患の治療に有用である。また、本化合物は、血液凝固酵素用の阻害剤であり、血栓症の治療の有用な血液凝固阻止剤である。
【0009】
WO 91/18891は、プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤としての芳香族ピロリジン及びチアゾリジンアミドを開示し、これらは、例えばアルツハイマー病、健忘症、認知症、不安、虚血、及び脳卒中により生じた障害などの疾患に関連した、様々な記憶又は学習機能障害などのCNS障害の治療に有用である。
【0010】
WO 94/12474は、カルボニル基により連結された2つの窒素含有複素環を含むプロリルエンドペプチダーゼ阻害剤としての環状ケトン化合物を開示する。これらの化合物は、TRH、サブスタンスP、ニューロテンシン及びバソプレシンの分解並びに不活性化を阻害する。これらは、健忘症の、及びアルツハイマー病を含む認知症の治療並びに予防のために有用である。
【0011】
WO 95/03277は、記憶喪失、例えばアルツハイマー病、及び自己免疫疾患を治療するために有用なプロテアーゼ(特にPEP)阻害剤としてのN-置換型ピロリジニル-オキソ-アセトアミド化合物を開示する。
【0012】
WO 95/15310は、プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤としてのプロリルペプチド誘導体を開示する。これらの化合物は、精神的能力、認知イベントを思い出す能力、及び運動活動性の学習を改善するための記憶増強薬として使用できる。従って、WO 95/15310の化合物を、失語症、失行症、失認、又は任意の型の健忘症、良性健忘及びコルサコフ症候群に罹患している患者に使用してもよい。また、本化合物は、記憶欠損を予防するため、又は遅らせるために使用してもよい。
【0013】
WO 97/07116は、急性イベント(虚血及び低酸素など)、並びにアルツハイマー病、AIDS認知症及びハンチントン舞踏病を含む進行性神経変性障害の治療における使用のためのPEP阻害剤を開示する。
【0014】
WO 98/35960は、年齢に関連した認知減退の治療に有用な記憶増強効果及び抗健忘症効果を有する向知性薬として有用なPEP阻害剤、並びに急性イベント(虚血/低酸素)及びアルツハイマー病、AIDS関連された認知症及びハンチントン舞踏病などの進行性神経変性障害の治療のために有用な神経保護剤を開示する。
【0015】
WO 00/09542は、セリンプロテアーゼの酵素活性を阻害するα-ケト複素環を開示する。該化合物は、微生物増殖の阻害、術中の失血の減少、移植組織若しくは臓器の保存、癌細胞増殖若しくは腫瘍進行又は腫瘍転移若しくは浸潤の阻害、肺血管疾患, 再狭窄又は肺高血圧症心筋炎, 気管支肺異形成症, 心筋壊死又は心臓移植後冠動脈疾患, アテローム性動脈硬化症, 再潅流損傷, アルツハイマー病, 低酸素症, 虚血, 及び血液凝固障害の治療に使用され得る。
【0016】
US 5,547,978は、ピロリジン-2-イルカルボニル複素環化合物に基づくPEP阻害剤を開示し、これらは、医薬作用のために哺乳類の脳内においてPEPを阻害するように使用され得る。
【0017】
US2005/0171112は、下記式のPEP阻害剤ZW215を開示する。
【化1】

【0018】
(定義)
用語「PEP-阻害剤」又は「プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤」は、一般に当業者に公知であり、かつプロリルエンドペプチダーゼ(PEP, プロリルオリゴペプチダーゼ, POP)の触媒活性を阻害する、酵素阻害剤を意味する。
【0019】
「PEP活性」は、ペプチド又はタンパク質のプロリン後結合を加水分解できるエンドプロテアーゼの触媒活性として定義され、該プロリンは、ペプチド又はタンパク質基質のN末端から数えてアミノ酸位置3以上の位置に存在する。「PEP様酵素」は、酵素的に活性なタンパク質又はペプチドであり、PEP活性を有し、従って、PEP阻害剤により阻害される。
【0020】
「IL-6阻害剤」という用語は、当業者に一般に公知で、未治療のコントロールサンプルに相関する規定された細胞系におけるIL-6レベルの減少を意味する。
【0021】
「Aβのためのエフェクター」という用語は、未治療のコントロールサンプルに相関する規定された細胞系におけるAβレベルの強化を意味する。
【0022】
本明細書で使用する用語「医薬として許容し得る」は、ヒトでの使用及び獣医学的使用の両方を包含しており:例えば、用語「医薬として許容し得る」は、獣医学的に許容し得る化合物。又はヒト医薬品及び健康管理において許容し得る化合物を包含している。
【0023】
本説明及び「特許請求の範囲」を通じて、表現「アルキル」は、特に限定しない限り、C1-12アルキル基、好適にはC1-6アルキル基、例えばC1-4アルキル基を意味する。アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であってよい。適切なアルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル(例えばn-プロピル及びイソプロピル)、ブチル(例えばn-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチル)、ペンチル(例えばn-ペンチル)、ヘキシル(例えばn-ヘキシル)、ヘプチル(例えばn-ヘプチル)及びオクチル(例えばn-オクチル)を含む。例えば、「アルコキシ」、「ハロアルキル」及び「チオアルキル」の表現において、表現「アルキ(alk)」は、「アルキル」の定義に従い解釈されるべきである。例示的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えばn-プロポキシ)、ブトキシ(例えばn-ブトキシ)、ペントキシ(例えばn-ペントキシ)、ヘキソキシ(例えばn-ヘキソキシ)、ヘプトキシ(例えばn-ヘプトキシ)及びオクトキシ(例えばn-オクトキシ)を含む。例示的なチオアルキル基には、メチルチオ-を含む。例示的なハロアルキル基には、フルオロアルキル、例えばCF3を含む。
【0024】
表現「アルケニル」は、特に限定しない限り、C2-12アルケニル基、好適にはC2-6アルケニル基、例えばC2-4アルケニル基を意味し、これらは、任意の所望の位置に少なくとも1個の二重結合を含み、かつ三重結合は含まない。アルケニル基は、直鎖又は分岐鎖であってよい。1つの二重結合を含む例示的なアルケニル基には、プロペニル及びブテニルを含む。2つの二重結合を含む例示的なアルケニル基には、ペンタジエニル、例えば、(1E,3E)-ペンタジエニルを含む。
【0025】
表現「アルキニル」は、特に限定しない限り、C2-12アルキニル基、好適にはC2-6アルキニル基、例えばC2-4アルキニル基を意味し、これらは、任意の所望の位置に少なくとも1個の三重結合を含み、かつまた1個以上の二重結合を含んでも含まなくともよい。アルキニル基は、直鎖又は分岐鎖であってよい。例示的なアルキニル基には、プロピニル及びブチニルを含む。
【0026】
表現「アルキレン」は、nが整数(例えば、特に制限されない限り1〜6)である式-(
CH2)n-の鎖を意味する。
【0027】
表現「シクロアルキル」は、特に限定しない限り、C3-10シクロアルキル基(すなわち、3〜10個の環炭素原子)、より好適にはC3-8シクロアルキル基、例えばC3-6シクロアルキル基を意味する。例示的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを含む。環炭素原子の最も好適な数は、3〜6個である。
【0028】
表現「シクロアルケニル」は、特に限定しない限り、C5-10シクロアルケニル基(すなわち5〜10個の環炭素原子)、より好適にはC5-8シクロアルケニル基、例えばC5-6シクロアルケニル基を意味する。例示的なシクロアルケニル基には、シクロプロペニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル及びシクロオクテニルを含む。環炭素原子の最も好適な数は、5〜6個である。
【0029】
表現「カルボシクリル」は、特に限定しない限り、すべての環原子が炭素であり、かつ、3〜12の環員、好適には3〜10の環員及びより好適には3〜8の環員を含む、任意の環系を意味する。カルボシクリル基は、飽和又は部分不飽和であってよいが、芳香環は含まない。カルボシクリル基の例には、単環式、二環式、及び三環式の環系を含み、特に単環式及び二環式の環系である。他のカルボシクリル基には、架橋された環系(例えばビシクロ[2,2,1]ヘプテニル)を含む。カルボシクリル基の具体例は、シクロアルキル基である。カルボシクリル基の更なる例は、シクロアルケニル基である。
【0030】
表現「ヘテロシクリル」は、特に限定しない限り、1個以上(例えば1、2又は3個)の環原子が、N、S及びOから選択されるヘテロ原子により置き換えられているカルボシクリル基をいう。ヘテロシクリル基の具体例は、1個以上(例えば1、2又は3個、特に1又は2個、特に1個)の環原子がN 、S又はOから選択されるヘテロ原子と置き換えられているシクロアルキル基(例えばシクロペンチル又はより具体的にはシクロヘキシル)である。1個のヘテロ原子を含む例示的なヘテロシクリル基には、ピロリジン、テトラヒドロフラン及びピペリジンを含み、2個のヘテロ原子を含む例示的なヘテロシクリル基には、モルホリン及びピペラジンを含む。ヘテロシクリル基の更なる具体例は、1個以上(例えば1、2又は3個、特に1又は2個、特別には1個)の環原子が、N、S及びOから選択されるヘテロ原子により置き換えられているシクロアルケニル基(例えばシクロヘキセニル基)である。このような基の例は、ジヒドロピラニル(例えば3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-2-イル-)である。
【0031】
表現「アリール」は、特に限定しない限り、C6-12アリール基、好適にはC6-10アリール基、より好適にはC6-8アリール基を意味する。アリール基は、少なくとも1つの芳香環(例えば1、2又は3つの環)を含む。1つの芳香環を伴う典型的アリール基の例は、フェニルである。2つの芳香環を有する典型的アリール基の例は、ナフチルである。
【0032】
表現「ヘテロアリール」は、特に限定しない限り、1個以上(例えば、1、2、3又は4個、好適には1、2又は3個)の環原子が、N、S及びOから選択されるヘテロ原子により置き換えられているか、さもなければ5員の芳香環が、N、S及びOから選択されるヘテロ原子により置き換えられている1個以上(例えば、1、2、3又は4個、好適には1、2又は3個)の環原子を含む、アリール残基を意味する。1個のヘテロ原子を有する例示的な単環式ヘテロアリール基には、以下を含む:5員環(例えばピロール、フラン、チオフェン);及び、6員環(例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル及びピリジン-4-イルなどのピリジン)。2個のヘテロ原子を有する例示的な単環式ヘテロアリール基には、以下を含む:5員環(例えばピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、例えばイミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イル);6員環(例えばピリダジン、ピリミジン、ピラジン)。3個のヘテロ原子を有する例示的な単環式ヘテロアリール基には、以下を含む:1,2,3-トリアゾール及び1,2,4-トリアゾール。4個のヘテロ原子を有する例示的な単環式ヘテロアリール基にはテトラゾールが含まれる。例示的な二環式ヘテロアリール基には、以下を含む:インドール(例えばインドール-6-イル)、ベンゾフラン、ベンズチオフェン、キノリン、イソキノリン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンズチアゾール、キナゾリン及びプリン。
【0033】
表現「-アルキルアリール」は、特に限定しない限り、アルキレン部分、例えばC1-4アルキレン部分を介して結合されているアリール残基を意味する。
【0034】
表現「-アルキルヘテロアリール」は、特に限定しない限り、アルキレン部分、例えばC1-4アルキレン部分を介して結合されているヘテロアリール残基を意味する。
【0035】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素(F)、塩素(Cl)臭素(Br)及びヨウ素(I)を含む。
【0036】
用語「アミノ」は、基-NH2をいう。
【0037】
用語「アミノ酸側鎖」又は「アミノ酸の側鎖」は、アミノ酸RCH(NH2)COOHの特徴的な側部分Rをいう。例えば、フェニルアラニン(Phe)の側鎖は、-CH2Phである。
【0038】
(立体異性体)
特許請求の範囲に記載された化合物の全ての可能性のある立体異性体が、本発明に含まれる。本発明の化合物が少なくとも1個のキラル中心を有する場合、それらは適宜エナンチオマーとして存在し得る。本化合物が2個以上のキラル中心を有する場合、それらは加えてジアステレオマーとして存在し得る。全てのそのような異性体及びそれらの混合物は、本発明の範囲内に包含されることは理解されるべきである。
【0039】
(医薬として許容し得る塩)
遊離化合物とそれらの塩形態の化合物との間の密接な関係にかんがみて、ある化合物をこの文脈において言及する場合、当該塩がその状況下で可能性がある又は適切であることを条件として、対応する塩も意味する。医薬として許容し得る塩は、塩基性側鎖が無機酸又は有機酸でプロトン化された形態をとっていてもよい。代表的な有機酸又は無機酸には、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、パモ酸、2-ナフタレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、サリチル酸、サッカリン酸、又はトリフルオロ酢酸を含む。あるいは、それは、酸性側鎖が、金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオンなど)又はアンモニウムなど他の陽イオンと塩を形成する形態をとってよい。本発明の化合物の医薬として許容し得る酸付加塩形態の全ては、本発明の範囲により包含されることが意図されている。
【0040】
(多形体結晶形、及び溶媒和物)
さらに、前記化合物のいくつかの結晶形は、2種以上の多形相で存在してもよく、そのようなものとして、全ての形態が、本発明に含まれることが意図される。加えて、一部の本化合物は、水(すなわち水和物)と又は一般的有機溶媒と溶媒和物を形成することができ、そのような溶媒和物も、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。それらの塩を含む本化合物はまた、それらの水和物の形態で得られるか、又はそれらの結晶化に使用された他の溶媒を含むこともできる。
【0041】
(プロドラッグ)
本発明は更に、その範囲内に、本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般的にそのようなプロドラッグは、インビボにおいて所望の治療的活性化合物へ容易に転換可能である化合物の官能基誘導体(functional derivative)であろう。従って、これらの場合、本発明の治療方法で、用語「投与する」は、被験者への投与後にインビボにおいて先に特定した化合物に転換する、特許請求の範囲に記載された1以上の化合物のプロドラッグ型で説明された様々な障害の治療を包含する。適切なプロドラッグ誘導体を選択及び調製のための従来の手順は、例えば、「プロドラッグのデザイン(Design of Prodrugs)」H.Bundgaard編,Elsevier,1985、並びに特許出願DE19828113、DE19828114、国際公開第99/67228号及び国際公開第99/67279号に記載され、これらは引用によりその全てが本明細書に組み込まれる。
【0042】
本明細書で使用する「組成物」という用語は、治療的有効量の特許請求の範囲に記載の化合物(群)、並びに特許請求の範囲に記載の化合物の組み合わせから直接又は間接的に生じる任意の生成物を含む生成物を包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】異なるPEP阻害剤で処理したヒトグリアU-343細胞における基礎培地IL-6の定量。
【図2】異なるPEP阻害剤で処理したヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞における基礎Aβ1-42値の定量。
【発明の概要】
【0044】
本発明に従う、全ての互変異性体及び立体異性体を含む、式(I)の化合物、
【化2】

又はその医薬として許容し得る塩、多形体若しくは溶媒和物が提供される:
(式中、
Kは、O、S又はNHを表し;
Wは、-C1-6アルキル-アリール、-C2-6アルケニルアリール、-C1-6アルキルへテロアリール又は-C2-6アルケニルへテロアリールを表し;
Xは、H又はメチルを表し;
Yは、Gly;Ala;Val;Leu;Ile;Met;Phe;Ser;Thr;Trp;Asn;Glnから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分が、ハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
水酸基がC1-6アルキルにより置換されるSer又はThrの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;及び、
チオール基がC1-6アルキルにより置換されるCysの類似体の側鎖;及び、
カルボン酸基がC1-6アルキルエステルに変換されているAsp又はGluの類似体の側鎖;及び、
アミドの-NH2が-NH(C1-4アルキル)又は-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)基に変換されているAsn又はGlnの類似体の側鎖;及び、
アミンの-NH2が-NHC(O)C1-4アルキル基又は-N(C1-4アルキル)C(O)C1-4アルキル基に変換されているLys又はArgの類似体の側鎖;を表すか、
又は、
【化3】


【化4】

を表すように、X及びYが結合し;
Zは、ヘテロアリールを表し;
かつ、
YがPhe;Trpから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分がハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;を表す場合、
Zは、アリールを表すこともでき;
式中、上述したカルボシクリル及びヘテロシクリルのいずれかは、オキソ及びメチルから選択される1つ以上の基によって任意に置換でき、かつ、
式中、上述したアリール及びヘテロアリールのいずれかは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2及び-C(O)NH(C1-4アルキル)から選択される1つ以上の基により任意に置換でき;
式中、*は、立体中心を表し;
かつ、式中、以下の化合物(a) 〜(k)は、式(I)の定義からの特許請求の範囲から除外する:
【化5】

【化6】

【化7】

)。
【0045】
化合物(a)、(b)及び(c)は、WO 2006/006644 AにおいてKYOWA HAKKO KOGYOにより開示されている。
【0046】
化合物(d)は、Ali, A.らの文献WO 2006/014413(2006)、及びConrad, K.らの文献Tetrah.Lett. 46, 8587-8589(2005)によって開示され;
化合物(e)及び(f)は、Ali, A.らの文献WO 2006/014413(2006)により開示されている。
【0047】
化合物(g)、(h)、(i)及び(j)は、JP2001131137(2001)においてSANKYO CO LTDにより開示されている。
【0048】
化合物(k)は、Dixon, Dらの文献((2004) Org.Lett. 6, 4423-4426)、Tokuyama, H.らの文献((1998) J. Braz.Chem. Soc. 9, 381-387)、及びTokuyama, H.らの文献((1998) Tetrah.Lett. 39, 3189-3192)により開示されている。
【0049】
化合物(a) 〜(k)は、言及されている医薬活性のない化学中間体として、上述した文書において開示されている。
【0050】
出願人らはまた、上記の式(I)の外にある実施例11〜26を提供する。
【0051】
上述した化合物、すなわち式(I)(条件付の化合物を含む)及び実施例11〜26の化合物は、以下、「本発明の化合物」といい、これらは治療法に役立つ。
【発明を実施するための形態】
【0052】
(発明の詳細な説明)
カルボシクリル及びヘテロシクリルが置換される場合、それらは典型的には、1つの又は2つの置換基(例えば1つの置換基)によって置換される。典型的には、置換基は、メチルである。より典型的には、カルボシクリル及びヘテロシクリル基は、無置換である。
【0053】
アリール及びヘテロアリールが置換される場合、それらは典型的には、1つの、2つの又は3つの(例えば1又は2つの)置換基によって置換される。アリール及びヘテロアリールのための置換基は、以下から選択される:C1-6アルキル(例えばメチル)、C2-6アルケニル(例えばブテン-3-イル)、C2-6アルキニル(例えばブチン-3-イル)、C1-6ハロアルキル(例えばフルオロメチル、トリフルオロメチル)、-C1-6チオアルキル(例えば-S-メチル)、-SO2C1-4アルキル(例えば-SO2メチル)、C1-6アルコキシ-(例えばメトキシ、エトキシ)、-O-C3-8シクロアルキル(例えば-O-シクロペンチル)、C3-8シクロアルキル(例えばシクロプロピル、シクロヘキシル)、-SO2C3-8シクロアルキル(例えば-SO2シクロヘキシル)、C3-6アルケニルオキシ-(例えば-O-ブテン-2-イル)、C3-6アルキニルオキシ-(例えば-O-ブテン-2-イル)、-C(O)C1-6アルキル(例えば-C(O)エチル)、-C(O)OC1-6アルキル(例えば-C(O)O-メチル)、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-(例えばメトキシ-エチル-)、ニトロ、ハロゲン(例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル(例えば-NHメチル)、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)(例えば-N(メチル)2)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)(例えば-C(O)N(メチル)2)、-C(O)NH2及び-C(O)NH(C1-4アルキル)(例えば-C(O)NHメチル)。より典型的には、置換基は、C1-6アルキル(例えばメチル)、C1-6ハロアルキル(例えばC1-6フルオロアルキル、例えばCF3)、C1-6アルコキシ(例えばOMe)、ハロゲン及びヒドロキシルから選択される。
【0054】
Wが、アリールが任意に置換される-C1-6アルキル-アリール表す場合、実施例には、-C1-6アルキル-フェニル及び-C1-6アルキル-ナフチル(特に-C1-6アルキル-フェニル)、例えば-アリールが任意に置換される、-メチル-フェニル-、-エチル-フェニル、-プロピル-フェニル、-ブチル-フェニル、-メチル-ナフチル、及びエチル-ナフチルを含む。
【0055】
Wが、アリールが任意に置換される-C2-6アルケニルアリール表す場合、実施例には、-(E)CH=CHPh及び-(E)CH2CH=CHPhを含む。
【0056】
Wが、ヘテロアリールが任意に置換される-C1-6アルキルへテロアリールを表す場合、実施例には、-C1-4アルキルへテロアリール、例えば-メチル-ピリジン、-メチル-フラン、-メチル-チオフェン、-メチル-ピロール、-メチル(イミダゾール)、-メチル(メチルフラン)を含む。
【0057】
Wが、ヘテロアリールが任意に置換される-C2-6アルケニルへテロアリールを表す場合、実施例には、-(E)CH=CH-(ピロリル)、-(E)CH2CH=CH(ピロリル)、-(E)CH=CH-(フラニル)、-(E)CH2CH=CH(フラニル)、-(E)CH=CH-(チオフェニル)、及び-(E)CH2CH=CH(チオフェニル)を含む。
【0058】
Yが、置換されるアミノ酸の類似体の側部分を表す場合、実施例には、芳香族部分が以下から選択されるもう1つの基によって置換されるPheの類似体の側鎖を含む:ハロゲン(例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)、ヒドロキシル、ニトロ、C1-4アルキル(例えばメチル又はエチル、特にメチル)、C1-4ハロアルキル(フルオロメチル(fluromethyl)又はトリフルオロメチル)、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ(例えばメトキシ又はエトキシ、特にメトキシ)、及びC1-4ハロアルコキシ(例えばトリフルオロメトキシ)、例えば、該芳香族部分は、2-フルオロフェニル-、4-フルオロフェニル、2-クロロフェニル-、4-クロロフェニル-、2-ブロモフェニル-、4-ブロモフェニル-、2-ヨードフェニル-、4-ヨードフェニル-、4-ヒドロキシフェニル-(すなわちTyrの側鎖)、4-ニトロフェニル-、2-メチルフェニル-、3-メチルフェニル-、4-メチルフェニル-、2,4-ジメチルフェニル-、3,5-ジメチルフェニル-、4-トリフルオロメチルフェニル-、4-メトキシフェニル-(すなわち、水酸基がメチルによって置換されたTyrの側鎖)、4-エトキシフェニル-(すなわち、水酸基がエチルによって置換されたTyrの側鎖)、2,4-ジメトキシフェニル-又は4-トリフルオロメトキシフェニル-により表され;又は、
水酸基がメチル、エチル又はプロピル(例えばメチル)により置換されるSer又はThrの類似体の側鎖、又は、
複素環式芳香族部分が、1つ以上のメチル基、例えば(1-メチル)インドール-3-イル-、(2-メチル)インドール-3-イル-、(4-メチル)インドール-3-イル-、(5-メチル)インドール-3-イル-、(6-メチル)インドール-3-イル-、(7-メチル)インドール-3-イル-、(5,7-ジメチル)インドール-3-イル-により置換されるTrpの類似体の側鎖;又は、
チオール基が、メチル、エチル又はプロピル(例えばメチル)により置換されるCysの類似体の側鎖;又は、
カルボン酸基が、メチル、エチル又はプロピルエステル(例えばメチルエステル)に変換されているAsp又はGluの類似体の側鎖;又は、
アミドの-NH2が、-NH(メチル)、-NH(エチル)、-N(メチル)(メチル)-N(メチル)(エチル)又は-N(エチル)(エチル)基に変換されているAsn又はGlnの類似体の側鎖;又は、
アミンの-NH2が、-NHC(O)メチル、-NHC(O)エチル基、-N(メチル)C(O)メチル、-N(メチル)C(O)エチル又は-N(エチル)C(O)メチル基に変換されているLys 又はArgの類似体の側鎖。
【0059】
Zが任意に置換されたヘテロアリールを表す場合、実施例には、フラン-2-イル、フラン-3-イル、ピロール-2-イル、ピロール-3-イル、チオフェン-2-イル、チオフェン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、ベンゾフラン-2-イル、ベンゾチオフェン-2-イル、ベンゾチアゾール-2-イル、インドール-2-イル、チアゾール-2-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-2-イルを含む。
【0060】
Zが任意に置換されたアリールを表す場合、実施例には、任意に置換されたフェニル及び任意に置換されたナフチルを含む。
【0061】
Zが任意に置換されたフェニルを表す場合、実施例には、任意に置換されたフェニル及び任意に置換されたナフチル、(特に任意に置換されたフェニル)、例えば無置換フェニル、4-メチルフェニル-、2,4-ジメチルフェニル-、3,4,5-トリメチルフェニル-、2,4,6-トリメチルフェニル-、2-メトキシフェニル-、3-メトキシフェニル-、4-メトキシフェニル-、2,4-ジメトキシフェニル-、3,5-ジメトキシフェニル-、2-トリメトキシフェニル-、3-トリメトキシフェニル-、4-トリメトキシフェニル-、2,4-ビス(トリメトキシ)フェニル-、3,5-ビス(トリメトキシ)フェニル-、4-エトキシフェニル-、2-ブロモ-5-クロロフェニル-、2-フルオロフェニル-、2-クロロフェニル-、2-ブロモフェニル-、3-フルオロフェニル-、3-クロロフェニル-、3-ブロモフェニル-、4-フルオロフェニル-、4-クロロフェニル-及び4-ブロモフェニル-を含む。Zが任意に置換されたナフチルを表す場合、実施例には、ナフチル、3-メチル-ナフチル-及び6-メチル-ナフチル-を含む。
【0062】
Wが、アリールが任意に置換される-C1-6アルキル-アリールを表す場合、Wは、好適には、フェニル環が任意に置換されるベンジルを表す。最も好適には、Wは、無置換ベンジルを表す。
【0063】
Wが、アリールが任意に置換されるC2-6アルケニル-アリールを表す場合、Wは、好適には-(E)CH=CH-Phを表す。
【0064】
X及びYが結合されない場合、Xは好適にはHを表す。
【0065】
Zが任意に置換されたヘテロアリールを表す場合、Zは、好適には、ベンゾチオフェン-2-イル、ベンゾチアゾール-2-イル、フラン-2-イル、ピリジン-2-イル、チアゾール-2-イル又はチオフェン-2-イルを表す。
【0066】
Zが任意に置換されたフェニルを表す場合、Zは好適には無置換フェニルを表す。
【0067】
好適には、Kは、Oを表す。
【0068】
好適には、Wは、(例えば、アリールが任意に置換されたフェニルを表す)-C1-4アルキル-アリールを表す。最も好適には、Wは、ベンジルを表す。
【0069】
好適には、XはHを表し、Yは、Ala、Leu、Trp若しくはPheの側鎖、又は芳香族部分が置換されるPheの類似体の側鎖を表し;又は、
【化8】


【化9】

を表すようにX及びYが結合される。
【0070】
最も好適には、XはHを表し、Yは、Ala、Leu、Trp若しくはPheの側鎖、又は芳香族部分が4-ヨードフェニル又は4-ニトロフェニルにより表されるPheの類似体の側部分を表し、特にPheの側鎖を表す。
【0071】
あるいは、好適には、
【化10】


【化11】

を表すようにX及びYが結合される。
【0072】
本発明の一実施態様において、Zは、任意に置換できるヘテロアリールを表す。本発明の別の実施態様において、Zは、任意に置換できるアリールを表す。
【0073】
Zがヘテロアリールを表す場合、好適には、Zは、ピリジニル、又は上述したピリジニル、ヘテロアリール又はフェニルのいずれかが任意に置換されることができる(例えばメチルによって)フェニル環に任意に縮合した1若しくは2個のヘテロ原子を含む5員のヘテロアリール基を表す。より好適には、Zは、フェニル環に任意に縮合される1若しくは2個のヘテロ原子を含む5員のヘテロアリール基を表す。最も好適には、Zは、無置換である。最も好適には、Zは、ベンゾチオフェン-2-イル、ベンズチアゾール-2-イル、フラン-2-イル、ピリジン-2-イル、チアゾール-2-イル又はチオフェン-2-イルを表す。
【0074】
Zがアリールを表す場合、好適には、Zはフェニルを表し、これは任意に置換できる(例えばメチルによって)。最も好適には、Zは、無置換である。
【0075】
好適には、*での立体化学は、天然存在型のL-アミノ酸又はその類似体のものと同じである。
【0076】
本発明のPEP阻害剤は、ヒトグリア細胞におけるインターロイキン-6(IL-6)の基底レベルを調整するのに効果的であることを示す。これらの化合物は、IL-6分泌の有意な抑制を示す。
【0077】
多面的なサイトカインであるIL-6は、特に炎症、癌、感染及び自己免疫疾患における多数の神経病理学的及び病態生理学的過程に寄与する。IL-6の過剰発現は、多発性骨髄腫、固形腫瘍、前立腺癌、膀胱癌、神経癌、キャッスルマン病、炎症、心筋梗塞、パジェット病、虚血、喘息、リウマチ様関節炎、乾癬、アルツハイマー病、多発性硬化症、髄膜炎、脳卒中、骨粗鬆症、インスリン耐性、肥満症、耐糖能異常、2型糖尿病、癌関連食欲不振及び悪液質の病態、並びに多剤耐性に関係していた。従って、本明細書に記述した化合物による病理学的IL-6濃度の減少は、IL-6関連疾患、例えば前述のものの治療に有用であり得る。
【0078】
さらにまた、本発明のPEP阻害剤は、βアミロイドペプチド、特に異なるヒト細胞株(例えば神経細胞)におけるAβ1-40及びAβ1-42の基底レベルを調整することに驚くほど効果的なことを示す。本発明の化合物は、βアミロイドペプチドの分泌の顕著な増加を示す。
【0079】
βアミロイドペプチドは、MCI(軽度認知障害)アルツハイマー病(AD)に直面する患者における、及びMCIから ADへの進行のための神経変性及び神経細胞死の原因であると考えられる。最近、MCI及びADの発症に関与するβ-アミロイド種が細胞内に形成されることが示された。さらに、全長ペプチドAβ1-40及びAβ1-42ではないがN末端切断され及びN末端修飾された形態のβアミロイドペプチド、例えばAβ3-40、Aβ3-42、pGlu-Aβ3-40、pGlu-Aβ3-42、Aβ11-42及びpGlu-Aβ1-42は、毒性形態として論じられる(36)。
【0080】
本発明の化合物は、従って、N末端切断及び修飾の前の全長Aβ1-40及びAβ1-42の分泌の強化による神経毒性β-アミロイドペプチド、例えばAβ3-40、Aβ3-42、pGlu-Aβ3-40、pGlu-Aβ3-42、Aβ11-42及びpGlu-Aβ11-42の形成を防止するために有用であるべきである。
【0081】
さらにまた、ペプチドヒューマニンがPEPのための基質であることが最近実証された。具体的には、プロリルエンドペプチターゼが、3位のプロリン残基の後、及び8位のシステイン残基の後で、ペプチド配列の2位でペプチドヒューマニンを切断することが可能であることが実証された。この切断パターンは、特異的PEP阻害剤の使用により、完全に阻害できる。
【0082】
ヒューマニンは、それぞれ、FAD(家族性アルツハイマー病)及びAβ誘導性神経細胞死を抑制する遺伝子の不偏の機能的スクリーニングによりはじめに発見された(30;32)。該ペプチドは、ミトコンドリア16SリボソームRNAの異常な75bpの遺伝子産物である(27;30)。この遺伝子産物の細胞発現の証拠は、ペプチド-抗体を使用するウエスタンブロットによって与えられた(33)。生理的活性の詳細な解析は、ヒューマニンコアドメイン[残基3〜19]の存在を明らかにした(34;35)。特に、Pro[3]、Cys[8]、Leu[9]、Leu[12]、Thr[13]、Ser[14]及びPro[19]のような7残基の保存が必須であることがわかった(34;35)。アラニンによるこれらの残基の置換、又は該コア配列の省略は、ヒューマニンのアポトーシス救出能の損失を生じる。
【0083】
ヒューマニンは、Bcl2関連Xタンパク質(Bax)と相互作用することによってアポトーシスを抑制するその能力が最近強調された(27)。インスリン様成長因子結合タンパク質-3(IGFBP-3)との付加的な相互作用は、それゆえグリオブラストーマ細胞におけるIGFBP-3誘導性細胞死を妨げ、ヒューマニンの細胞生存促進能を支持する(28)。その24個のアミノ酸ペプチドは、プリオン-ペプチド-又はアミロイド-β誘導性傷害から皮質ニューロンを保存し(29)、障害性の代謝活性を改善し、血清欠乏ヒトリンパ球の生存を延長させることができる(31)。
【0084】
従って、PEP阻害剤は、システイン後切断により分解され得るペプチド基質、例えばペプチドヒューマニンの分解の防止に有用である。さらに、本発明は、システイン後切断により分解され得るペプチド基質、例えばペプチドヒューマニンの分解の防止方法を提供する。本発明の化合物は、特にこの方法の使用に適している。
【0085】
本発明の化合物は、いくつかの固有かつ意外な特性を有し、神経変性疾患、例えばMCI、AD、ダウン症候群、パーキンソン病、及びハンチントン舞踏病の治療に有用であることが予想される。
【0086】
本発明は、薬剤として本発明の化合物を提供する。本発明の化合物は、PEP及びPEP様酵素の阻害剤である。
【0087】
さらにまた、本発明は、アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節の障害、自律機能障害、ホルモンバランスの障害、制御障害、体液、高血圧症、熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連障害、癲癇、麻薬の禁断症状及びアルコール中毒を含む発作、認知機能障害、認知症、失語症、失行症、失認又は任意の型の健忘症、軽度認知障害(MCI)、良性健忘及びコルサコフ症候群を含む神経変性障害、肺血管疾患、再狭窄又は肺高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈動脈症、アテローム性動脈硬化症、再潅流損傷、低酸素症、虚血及び血液凝固障害からなる群から選択される疾患の治療のための薬剤の製造のための本発明のPEP及びPEP様酵素の阻害剤の使用を提供する。
【0088】
また、本発明は、アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節の障害、自律機能障害、ホルモンバランスの障害、制御障害、体液、高血圧症、熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連障害、癲癇、麻薬の禁断症状及びアルコール中毒を含む発作、認知機能障害、認知症、失語症、失行症、失認又は任意の型の健忘症、軽度認知障害(MCI)、良性健忘及びコルサコフ症候群を含む神経変性障害、肺血管疾患、再狭窄又は肺高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈動脈症、アテローム性動脈硬化症、再潅流損傷、低酸素症、虚血及び血液凝固障害からなる群から選択される疾患の治療における使用のための本発明のPEP及びPEP様酵素の阻害剤を提供する。
【0089】
また、本発明は、アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節の障害、自律機能障害、ホルモンバランスの障害、制御障害、体液、高血圧症、熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連障害、癲癇、麻薬の禁断症状及びアルコール中毒を含む発作、認知機能障害、認知症、失語症、失行症、失認又は任意の型の健忘症、軽度認知障害(MCI)、良性健忘及びコルサコフ症候群を含む神経変性障害、肺血管疾患、再狭窄又は肺高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈動脈症、アテローム性動脈硬化症、再潅流損傷、低酸素症、虚血及び血液凝固障害からなる群から選択される疾患の治療方法であって、少なくとも1の本発明の化合物の治療的活性量を哺乳動物に、好ましくはヒトに投与することを含む、前記治療方法を提供する。
【0090】
最も好ましくは、本発明は、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病からなる群から選択される疾患の治療方法及び対応する使用であって、少なくとも1の本発明の化合物の治療的活性量の、哺乳動物への、好ましくはヒトへの投与を含む、前記治療方法及び対応する使用を提供する。
【0091】
さらなる実施態様において、本発明の化合物は、微生物増殖を阻害し、術中失血を減らし、移植組織又は器官を保存し、癌細胞増殖若しくは腫瘍進行又は腫瘍転移若しくは浸潤を阻害するのに有用である。
【0092】
(組み合わせ)
さらなる実施態様において、本発明は、少なくとも1の本発明の化合物を、グルタミニルシクラーゼ(QC)の阻害剤、LiCl、ジペプチジルアミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはDP IV又はDP IV様酵素の阻害剤、NPY-受容体リガンド、NPYアゴニスト、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、タンパク質イソアスパラギン酸塩カルボキシメチルトランスフェラーゼ(PIMT)エンハンサ、βセクレターゼの阻害剤、γセクレターゼの阻害剤、中性エンドペプチターゼの阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)の阻害剤、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、TNFα阻害剤、アミロイドタンパク質又はアミロイドペプチド堆積阻害剤、シグマ-1受容体阻害剤及びヒスタミンH3アンタゴニストからなる群から選択される少なくとも1の化合物と任意に組み合わせて含む組成物、好ましくは医薬組成物を提供する。
【0093】
これらの組合せは、行動状態に特に有益な影響を提供し、従ってこの種の組合せは、アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節の障害、自律機能障害、ホルモンバランスの障害、制御障害、体液、高血圧症、熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連障害、癲癇、麻薬の禁断症状及びアルコール中毒を含む発作、認知機能障害、認知症、失語症、失行症、失認又は任意の型の健忘症、軽度認知障害(MCI)、良性健忘及びコルサコフ症候群を含む神経変性障害、肺血管疾患、再狭窄又は肺高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈動脈症、アテローム性動脈硬化症、再潅流損傷、低酸素症、虚血及び血液凝固障害からなる群から選択される疾患の治療に効果的でありかつ有用であることが示される。
【0094】
本発明の組合せは、さらに、微生物増殖の阻害、術中失血の減少、移植組織若しくは臓器の保存、癌細胞増殖若しくは腫瘍進行又は腫瘍転移若しくは浸潤の阻害に有用である。
【0095】
(医薬組成物)
本発明は、本発明の少なくとも1つの化合物を、1以上の治療的に許容し得る希釈剤又は担体と共に、上記の組合せのために言及される少なくとも1の作用物質と任意に組み合わせて含む医薬組成物を提供する。活性成分(群)を従来の製薬的配合技術に従って製薬的希釈剤又は担体と均質に混合し、該希釈剤又は担体は、投与、例えば経口投与又は筋肉内投与などの非経口投与のために望まれる製剤の形態に応じて、多種多様な形態をとってよい。経口剤形での組成物の調製において、任意の一般的医薬媒体を使用してよい。従って、例えば懸濁剤、エリキシル剤及び液剤などの液体経口調製物について、好適な担体及び添加剤には、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存料、着色剤などを含み;例えば散剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤及び錠剤などの固形経口調製物について、好適な担体及び添加剤には、例えばデンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などを含む。投与の容易さのために、錠剤及びカプセル剤が最も好都合な経口単位剤形であり、この場合、固形医薬担体が明らかに使用される。所望であれば、錠剤は、標準の技術により、糖衣されるか、又は腸溶性被覆されてよい。非経口投与について、担体は通常、滅菌水を含むが、例えば溶解度を補助することなどの目的で、又は保存のために、その他の成分含んでいてもよい。
【0096】
ターゲティング可能な薬物担体としての可溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミド-フェノール、又はパルミトイル残基により置換されたポリエチレンオキシドポリリジンを含むことができる。更に本発明の化合物は、薬物の制御放出の達成に有用である生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸(polyactic acid)、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋した又は両親媒性ブロックコポリマーと共役することができる。
【0097】
好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、ブドウ糖又はβ乳糖などの天然の糖、トウモロコシ甘味料、アカシアゴム、トラガカントゴムなどの天然及び合成ゴム、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含むが、これらに限定されない。
【0098】
崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに限定されない。
【0099】
注射用懸濁剤も調製でき、この場合、適当な液体担体、懸濁化剤などが使用されてよい。本明細書の医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射剤、茶さじ量などの単位用量あたり、先に説明したような有効量を送達するのに必要な活性成分の量を含有する。本明細書の医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、注射剤、坐剤、茶さじ量などの単位用量あたり、約0.03mg〜100mg/kg(好ましくは0.1〜30mg/kg)を含有し、かつ各活性成分又はそれらの組み合わせが約0.1〜300mg/kg/日(好ましくは1〜50mg/kg/日)の用量で与え得る。しかしこれらの用量は、患者の必要要件、治療される状態の重症度及び使用される化合物に応じて変動してよい。毎日の投与又は定期後的(post-periodic)投薬のいずれかの使用を利用できる。
【0100】
好ましくは、これらの組成物は、経口非経口投与、鼻腔内投与、舌下投与、直腸投与のための、又は吸入若しくは吹送法による投与のための、錠剤、丸剤、カプセル、粉、顆粒、無菌の非経口溶液又は懸濁液、計量エアゾール又は液体スプレー、ドロップ、アンプル、自動注射器装置又は坐薬などからの単位用量形態である。あるいは、本組成物は、毎週1回又は毎月1回の投与に適した形態で提供されてよく、例えば、デカン酸塩などの活性化合物の不溶性塩は、筋肉内注射のためのデポー製剤を提供するために適合化できる。錠剤などの固形組成物を調製するために、主要な活性成分は、医薬担体、例えばトウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はガムなど従来の錠剤化成分、並びに他の医薬希釈剤、例えば水と混合し、本発明の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩の均質な混合物を含む、固形の予備製剤組成物を形成する。これらの予備製剤組成物に関して均質という場合、これは、活性成分が組成物全体に均等に分散され、その結果該組成物が、錠剤、丸剤及びカプセル剤などの同等に有効な剤形に容易に分割できることを意味する。この固形予備製剤組成物は次に、本発明の各活性成分又はそれらの組合せを0.1〜約500mg含有する、先に説明された種類の単位剤形に再分割される。
【0101】
本発明の組成物の錠剤又は丸剤は被覆でき、又はそうでなければ延長された作用という利点をもたらす剤形を提供するように配合できる。例えばこの錠剤又は丸剤は、内側用量構成要素及び外側用量構成要素を含むことができ、外側用量構成要素は内側用量構成要素を包む形態である。これら2つの構成要素は、胃内での崩壊に抵抗に働き、かつ内側の構成要素が無傷のまま十二指腸へ通過することを可能にして放出を遅延させる腸溶性の層により分離できる。そのような腸溶性の層又はコーティングのために様々な材料を使用することができ、そのような材料には、セラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料を伴う多くの高分子酸を含む。
【0102】
本発明の組成物が経口投与のために又は注射により組み込むことのできるこの液体剤形には、水性溶液、好適には香味シロップ剤、水性若しくは油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナツ油若しくはピーナッツ油などの食用油による香味乳剤、並びにエリキシル剤及び同様の医薬溶媒を含む。水性懸濁剤のための好適な分散剤又は懸濁剤には、トラガカントゴム、アカシアゴム、アルギナート、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はゼラチンなどの合成及び天然のゴムを含む。
【0103】
本発明の化合物の製造プロセスが立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーなどの従来技術により分離できる。該化合物はラセミ体の形状で調製されてよく、又は個別のエナンチオマーが、エナンチオ特異的合成によるか若しくは分割によるかのいずれかによって調製されてよい。該化合物は、例えば、(-)-ジ-p-トルオイル-d-酒石酸及び/又は(+)-ジ-p-トルオイル-l-酒石酸などの光学活性のある酸との塩形成によるジアステレオマー対の形成、それに続く分別結晶及び遊離塩基の再生などの標準技術により、それらの成分エナンチオマーに分割できる。また、該化合物は、ジアステレオマーのエステル又はアミドの形成、続いてクロマトグラフィーの分離、及び該キラル補助基の除去により、分割できる。あるいは該化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割できる。
【0104】
有利なことに、本発明の化合物は、1日1回投与量で投与でき、又は総1日量を1日2、3若しくは4回の分割量にわけて投与できる。更に本発明の化合物は、適切な鼻腔内溶媒の局所的使用による鼻腔内形態で、又は当業者に周知の経皮的皮膚貼付剤により、投与できる。経皮送達システムの形態で投与するために、該用量投与は当然、その投薬計画を通じて断続的であるよりもむしろ連続的であろう。
【0105】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態での経口投与について、活性薬物構成要素は、エタノール、グリセロール、水などの経口用の無毒の医薬として許容し得る不活性担体と組み合わせることができる。更に、望ましい又は必要な場合は、好適な結合剤、滑剤、崩壊剤及び着色剤も、この混合物に組み込むことができる。好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、ブドウ糖又はβ乳糖などの天然の糖、トウモロコシ甘味料、アカシアゴム、トラガカントゴムなどの天然及び合成ゴム、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含むが、これらに限定されない。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに限定されない。
【0106】
液体は、好適な香味懸濁剤又は分散剤、例えばトラガカントゴム、アカシアゴムなどの天然及び合成ゴム、メチル-セルロースなどにおいて形成する。非経口的投与について、無菌の懸濁剤及び液剤が望ましい。静脈内投与が望ましい場合、一般に好適な保存料を含有する等張調製物が利用される。
【0107】
本発明の化合物又は組合せは、例えば小型単層小胞、大型単層小胞、及び多層小胞などのリポソーム送達システムの形態でも投与できる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンなどの、様々なリン脂質から形成できる。
【0108】
本発明の化合物又は組合せは、該化合物分子が共役されている個々の担体としてのモノクローナル抗体の使用により送達されてもよい。本発明の化合物は、ターゲティング可能な薬物担体としての可溶性ポリマーと共役してもよい。そのようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミド-フェノール、又はパルミトイル残基により置換されたポリエチレンオキシドポリリジンを含むことができる。更に本発明の化合物は、薬物の制御放出の達成に有用である生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸(polyactic acid)、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋した又は両親媒性ブロックコポリマーと共役させることができる。
【0109】
本発明の化合物又は組合せは、扱われる疾患の治療に必要があれば、前述の組成物のいずれかで、及び当該技術分野において確立された投薬計画に従い、投与できる。
【0110】
本製品の1日量は、哺乳動物1体につき1日に0.01〜1.000mgの広範囲にわたり変動してよい。経口投与について、本組成物は、好ましくは、治療される患者への症状による用量調節のために、各活性成分又はそれらの組み合わせを0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250及び500mg含有する錠剤の形態で提供される。この薬物の有効量は、通常、約0.1mg/kg〜約300mg/kg体重/日の用量レベルで供給される。好ましくは、この範囲は、約1〜約50mg/kg体重/日である。本化合物又は組合せは、1日1〜4回の投薬計画で投与されてよい。
【0111】
投与されるべき適量は、当業者により容易に決定されることができ、かつ使用される特定の化合物、その投与様式、調製物の強度、その投与様式、及び病態の進行度により変動するであろう。加えて、患者の年齢、体重、食事及び投与回数を含む、治療される特定の患者に関連した要素は、用量調節の必要性を生じさせるであろう。
【0112】
適切には、本発明に従った組み合わせの場合、本発明の治療により提供される特に有益な効果は、単独かつ本発明の組み合わせと等しい有効性をもたらす用量にて使用したときの組み合わせのうちの1つの化合物についての治療比と比較して、本発明の組み合わせについて治療比が改善される。
【0113】
好ましい態様において、本発明の治療により提供される特に有益な効果は、個々の活性薬剤の効果から予想されるコントロールと比較して相乗効果があることが示される。
【0114】
本発明の更なる態様において、好ましくは、本発明の少なくとも1の化合物の用量を本明細書中に組合せのために定められる少なくとも1の作用物質と組み合わせることは、いずれかの作用物質について単独で該組合せにおける該作用物質に使用される用量の2倍で達成できるよりも大きい有益な効果をもたらすであろう。
【0115】
好ましい態様において、本発明の治療に従って使用する場合、該活性薬剤の各々の投与レベルは、該ニューロン状態において純粋に添加効果から要求されているであろうものよりも低いであろう。
【0116】
理論により制限されることなく、本発明の処置が、個々の薬品と関連して、pGlu-アミロイド-β-ペプチドの細胞内堆積を減少させ、このことにより劇的に哺乳動物の脳、好ましくはヒトの脳における斑形成を遅延させることに改良をもたらし得ることも考慮される。
【0117】
更なる態様において、本発明は、本明細書において組合せのために定められる少なくとも1の作用物質及び医薬として許容し得る担体と任意に組み合わせて本発明の少なくとも1の化合物を含む医薬組成物の製造方法も提供し、従って、該方法は、本発明の化合物及び前記任意の作用物質並びに医薬として許容し得る希釈剤又は担体を混合することを含む。
本組成物は、好ましくは、関連する1日用量に適した量の単位剤形である。
【0118】
本発明の化合物、すなわちQC阻害剤、LiCl、ジペプチジルアミノペプチダーゼの阻害剤、好ましくはDP IV又はDP IV様酵素の阻害剤、NPY-受容体リガンド、NPYアゴニスト、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、PIMTエンハンサ、βセクレターゼの阻害剤、γセクレターゼの阻害剤、中性エンドペプチターゼの阻害剤、ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)の阻害剤、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、TNFα阻害剤、アミロイドタンパク質又はアミロイドペプチド堆積阻害剤、シグマ-1受容体阻害剤及びヒスタミンH3アンタゴニストの適用量(特に、単位投与量を含む)には、英国及び米国薬局方、レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)(Mack Publishing Co.)、Martindaleの薬局方号外(The Extra Pharmacopoeia)(London, The Pharmaceutical Press)(例えば、第31版、341ページ及びそこに引用されているページを参照されたい)、又は先に言及した刊行物などの引用文献に記載され若しくは参照されているこれらの化合物についての単位用量を含む既知の投与量を含む。
【0119】
本発明の好適な化合物は、1×10-6未満、特に1×10-7未満、及びとりわけ1×10-8M未満のIC50値又はKi値を有する化合物、及び好ましくはIC50値及びKi値を有する化合物である。
【0120】
本発明の好適な化合物は、2000 Da未満、とりわけ1000Da未満、特に600Da未満、例えば500 Da未満の分子量を有する。
【0121】
本発明の化合物及び組合せは、従来技術に属する他の化合物に比べて、例えば、より強力であり、より選択的であり、副作用がより少なく、より良好な製剤及び安定特性を有し、より良好な薬物動態特性を有し、生物学的により利用可能であり、血液脳関門を通過することが可能であり、動物の脳中でより効果的であり、他の薬物との組合せにおいてより適合性があるか又は効果的であり、或いは容易に合成されるという利点を有し得る。
【0122】
本発明は、好ましい及びより好ましい群の組合せ並びに先に列挙した群の実施態様の全てを包含する。
【実施例】
【0123】
(生物学的評価、PEP阻害剤のIC50-及びKi-値の測定)
測定に組換えヒトプロリルオリゴペプチダーゼを使用した。組換え発現は、技術水準において他に記載されている標準的条件下において、大腸菌(E. coli)で実施した。
【0124】
活性測定のために、50 mM HEPES、200 mM NaCl、1 mM EDTA、1 mM DTT、0.006 % Brij35を含むHEPES緩衝液pH 7.6中の色素産生基質Cbz-Gly-L-Pro-pNAを使用した。測定は、30℃にて行った。pNAの放出は、405nmにて連続的にモニターした。
【0125】
IC50値は、1つの基質濃度(0.15mM)及び0.1mMで開始する阻害剤の11〜15段階希釈を使用して決定した。IC50値は、4パラメーター方程式に対する非線形回帰を使用して算出した(Prism 4.0, GraphPad)。
【0126】
Ki決定のために、4つの基質濃度(0.15mM、0.08mM 0.04mM、0.02mM)及び適切な範囲で7つの阻害剤濃度を使用した。算出は、GraFit 5.0ソフトウエア(Erithacus Software)を使用して競合阻害についての方程式に対する複数の非線形回帰解析により行った。
【0127】
(IL-6 ELISA)
IL-6の基礎分泌を解析するために、ヒトグリアU-343細胞を6ウェルプレート(1.5×106細胞/ウェル、Greiner社)で培養し、示したとおりの特異的PEP阻害剤(それぞれ20μM)で、無血清D-MEM培地(invitrogen社)において24時間処理した。40μlの条件培地の一定分量を使用して、製造業者の説明書に従ったヒト特異的IL-6 ELISA(Biosource社)により、分泌されたIL-6の量を定量化した。すべてのデータは、4回得た。PEP阻害剤処理後の細胞培養培地中のIL-6濃度の算出のために、無処理の細胞試料の細胞培養培地の基礎IL-6濃度を100%にセットした。PEP阻害剤処理した細胞でのIL-6濃度の測定の結果は、無処理の細胞試料の%として示してある。
【0128】
(細胞培養)
ヒトグリオーマ細胞株であるU-343、及びヒトニューロブラストーマ細胞株であるSH-SY5Yは、10%胎児ウシ血清(Gibco BRL, Karlsruhe, Germany)含有ダルベッコ改質イーグル培地(DMEM)で維持し、5%CO2雰囲気下37℃でインキュベートした。培養培地は、一般的な60μg/mlゲンタマイシンに含ませた(Gibco BRL, Karlsruhe, Germany)。
【0129】
(β-アミロイドELISA)
β-アミロイドペプチド1-40及び1-42の細胞内及び細胞外濃度を定量するために、U-343及びSH-SY5Y細胞を6ウェルプレート(1.5×106細胞/ウェル)で培養し、特異的PEP阻害剤(各々20μM)で24時間処理した。分泌されたβアミロイドペプチドの定量のために、条件培地を回収し、凍結乾燥により濃縮した。さらに、細胞数/ウェル(casy cell counter I, Scharfe System, Reutlingen, Germany)の決定後、細胞を製造業者のプロトコルに従い細胞抽出緩衝液(Biosource社, Solingen, Germany)で溶解した。タンパク質濃度を、Bradford(1976)法により決定した。100μlの一定分量を使用し、製造業者の使用説明書に従いELISA(IBL, Hamburg, Germany)によって、βアミロイドペプチド1-40及び1-42を4回定量した。全ての得られた細胞内及び細胞外濃度を、細胞数及びタンパク質濃度に対してそれぞれ標準化した。
【0130】
PEP阻害剤処理後の細胞培養培地におけるβアミロイドペプチド1-40及び1-42の濃度の算出のために、無処理細胞試料の細胞培養培地におけるβアミロイドペプチド1-40及び1-42の基礎濃度は、100%にセットした。PEP阻害剤処理した細胞でのβアミロイドペプチド1-40及び1-42の濃度の測定値の結果は、無処理細胞試料の%として提示する。
【0131】
24時間にわたりPEP阻害剤で処理したヒトグリアU343細胞の条件培地は、無処理コントロール試料において定量されたIL-6量の18%〜60%のみを含んだ(図1)。値は、4組のウェルの平均±SDとして提示し、かつ統計学的有意性について不対t検定(***p<0.001)により解析した。
【0132】
24時間にわたりPEP阻害剤で処理したヒトグリアU343細胞の条件培地は、無処理コントロール試料において測定したAβ1-42量の87.5%〜546%を含んだ(図2)。値は、4組のウェルの平均±SDとして提示し、かつ統計学的有意性について不対t検定(***p<0.001)により解析した。
【0133】
従って、本発明のPEP阻害剤は、IL-6濃度の顕著な減少、及びβアミロイド分泌、特にβアミロイドペプチド1-42の増加を示す。
【0134】
【表1】






【0135】
a勾配A又はBは実験的な節に記載され、対応する勾配は括弧内に記載する。b無処理コントロール試料を基礎レベルとして算出し、n.d.は「決定されず」;n.i.は「抑制せず」を意味する。
【0136】
(製法)
式(I)の化合物の製造方法は、
【化12】

式(II)の化合物の反応を含む
【化13】

(式中、W、K、X及びYは先に定義したものであり、L1が式(III)の化合物
【化14】

を伴う適切な離脱基[例えば、式中-C(O)L1がワインレブアミド、すなわち-C(O)N(Me)(OMe)を表す]又はその保護された誘導体を表し、式中、Zが先に定義したものであり、かつL2が金属化(metallation)のための適切な基(例えばH又はハロゲン、例えばBr)を表す。)。
【0137】
反応は、典型的には、金属化剤として作用する有機金属試薬(例えば、Zがヘテロアリールを表す場合n-ブチルリチウム、又はZがヘテロアリール又はアリールを表す場合s-ブチルリチウム)の存在下で実行できる。
【0138】
式(II)の化合物の製造には、式(IV)の化合物の反応を含む
【化15】

(式中、L3が-OC(O)OMe又は-OC(O)OEt又は-OC(O)OCHMe2などの離脱基を、塩基存在下において式(V)の化合物を伴って表し
【化16】

例えば、式(V)の化合物は、HN(Me)(OMe)を表す。)。
式(V)の化合物は、塩の形態で使用できる。
式(IV)の化合物は、式(II)の化合物への前方向反応の前に分離される必要がない。
【0139】
式(IV)の化合物の製造は、公知技術の従来の方法に従って、適切な試薬を有する式(VI)の化合物の反応を含む
【化17】

。例えば、L3が-OC(O)OMeを表す場合、式(IV)の化合物の製造は、式(VI)の化合物と酸無水物、例えばMeOC(O)OC(O)OMe又は酸性ハロゲン化物、例えばClC(O)OC(O)OMeとの反応を含み得る。
【0140】
K = O(ウレタン)、K =S(チオウレタン)及びK = NH(尿素)を用いる式(VI)の化合物の製造には、公知技術の従来の方法に従って、式(VII)の化合物と適切な対応物との反応を含む
【化18】

。NX(式中、X=H)からNX(式中、X = Me)への変換には、従来の方法に従うアルキル化段階を含む。
【0141】
あるいは、K = Oを有する式(VI)の化合物の製造には、式(VIII)の化合物
【化19】

又は公知技術の従来の方法に従い、塩素が、適切なアミン(IX)を伴って別のハロゲン又は同様の離脱基により置換されている類似体
【化20】

の反応を含み得る。
式(III)、(VII)、(VIII)及び(IX)の化合物は、いずれも公知であるか、又はそれ自体が公知の従来の方法により製造することもできる。
【0142】
(解析方法)
ESI-MS:質量スペクトルは、Ionspray(商標)インターフェイスを備えたMDS Sciex API 365質量分析計(MDS Sciex; Thorn Hill, ON, Canada)で得た。機器設定、データ収集及び加工は、Windows NT(商標)用のApplied Biosystems(Foster City, CA, USA)Analyst(商標)ソフトウエアによって制御した。ピークを蓄積するために、50〜100回のスキャンを陽イオン化Q1走査方式で実施した。試料溶液を50%メタノール0.5%ギ酸溶液で希釈し、約10μg/mlの濃度とした。各試料溶液は、マイクロシリンジ(1ml)によって注入ポンプ(Havard Apperatus 22; Havard Instruments; Holliston, MA, USA)及び溶融シリカ毛管を介し20μl/分の速度で直接導入した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Macherey Nagel Polygram(登録商標)SIL G/UV245を使用して行った。視覚化は254 nm のUV光の手段で達成し、その後過マンガン酸カリウム、又はモリブデン酸セレン(Cer-Molybdate-)溶液で染色した。溶媒は、使用の前に蒸留した。すべての市販の試薬は、更に精製することなく使用した。アミノ酸誘導体は、Bachemから購入した。後処理手順で使用するpH7の緩衝溶液は、二水素リン酸カリウム(85.0 g)及び水酸化ナトリウム(14.5 g)を水(1L)に溶解することにより調製した。分析HPLCは、Merck-Hitachi装置を使用して行い:アセトニトリル-水(流速:1ml分-1)、カラム:LiChrosphere 5μm RP18e、125×4.0mm(Merck社)、ポンプ:L-7100 Merck- Hitachiを使用した。勾配Aを、実施例の精製化合物の検出に使用した。勾配Aの特徴づけ:t =0分でのアセトニトリル-水(20/80)から30分以内でのアセトニトリル-水(95/5)までを開始する。勾配Bの特徴づけ:t =0分でのアセトニトリル-水(5/95)から20分以内でのアセトニトリル-水(60/40)まで、さらなる10分後にアセトニトリル-水(95/5)までを開始する。
【0143】
(出発物質の製造のための一般的合成方法及び実施例)
実施例は、上記「製法」の節において説明したように製造した。
出発物質:被保護アミノ酸誘導体(式(VI)の化合物)はBachemから購入した。次なるN-メトキシ-N-メチル誘導体(25)(式(II) の化合物、中間体I〜XII)は、方法A(下記参照)を介して製造した。実施例:中間体I〜XII(ワインレブアミド)は、n-BuLi(実施例1〜14、16、17、19、21、25)又はsec-BuLi(実施例15、18、20、22〜24、26)、並びに方法B及び方法Cを介してそれぞれ複素環式芳香族化合物又は芳香族化合物の溶液での処理により、実施例1〜26に変換された(下記参照)(26)。複素環式芳香族化合物はFLUKA又はALDRICHから購入し、ブロモベンゼンはCLARIANTから購入した。
【0144】
(出発物質及び特定化合物の具体的合成及び解析情報)
(一般的方法)
(方法A(化合物(VI)の化合物(II)への変換)):
N保護化アミノ酸誘導体(化合物(VI)、1.0当量)を乾燥THFに溶解し、0℃に冷却した。この混合物に、HCl・HN(CH3)OCH3(1.05当量)、NEt3(1.07当量)、HOBt(1.1当量)及びジイソプロピルカルボジイミド(1.1当量)を添加し、全混合物を終夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた天然化合物をEEに溶解し、5%クエン酸水溶液、水、NaHCO3水溶液、水及び鹹水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗化合物は、中間体I〜XIIを生成するフラッシュクロマトグラフィにより精製した。
【0145】
(方法B(化合物(I)を形成する化合物(II)の化合物(III)との反応)):
乾燥THF中のヘテロアリール化合物(III)(3.0当量)の撹拌溶液を-78℃に冷却した。n-BuLi(3.0当量)を滴加した。10分後、乾燥THF中の適切な中間体(化合物(II)、1.0当量)の溶液を滴加した。該混合物を2時間-50℃で撹拌した後、該混合物をpH7の緩衝液で希釈した。生成物をEEで抽出した。溶媒をNa2SO4で乾燥し、濾過し、かつ減圧下で蒸発させた。粗化合物は、実施例1、2、4、5、6、10、11、13、14、16、17、19、20、21、23、24、25、26を生成するフラッシュクロマトグラフィにより精製した。
【0146】
(方法C(化合物(I)を形成する化合物(II)の化合物(III)との反応)):
乾燥THF中のヘテロアリール又はアリール化合物の撹拌溶液(化合物(III)(1.0当量)を-78℃に冷却した。sec-BuLi(3.0当量)を滴加した。10分後、乾燥THF中の適切な中間体(化合物(II)、3.0当量)の溶液を滴加した。該混合物を30分間撹拌した後、該混合物をpH7の緩衝液で希釈した。生成物をEEで抽出した。溶媒をNa2SO4で乾燥し、濾過し、かつ減圧下で蒸発させた。粗化合物は、実施例3、7、8、9、12、15、18、22を生成するフラッシュクロマトグラフィにより精製した。
【0147】
(中間体(式(II)の例示的な化合物))
中間体I:Cbz-L-Pro-N(CH3)OCH3
中間体Iは、Cbz-L-Pro-OHから始まる方法Aに従って製造し、該粗化合物をフラッシュクロマトグラフィで精製し、該精製化合物の収率は76%であった。
中間体II:Cbz-L-Phe-N(CH3)OCH3
中間体IIは、Cbz-L-Phe-OHから始まる方法Aに従って製造し、該粗化合物をフラッシュクロマトグラフィで精製し、該精製化合物の収率は75%であった。
中間体III:Boc-L-Pro-N(CH3)OCH3
中間体IIIは、Boc-L-Pro-OHから始まる方法Aに従って製造し、該粗化合物をフラッシュクロマトグラフィで精製し、該精製化合物の収率は62%であった。
中間体IV:Cbz-L-Ala-N(CH3)OCH3
中間体IVは、Cbz-L-Ala-OHから始まる方法Aに従って製造し、該粗化合物をフラッシュクロマトグラフィで精製し、該精製化合物の収率は89%であった。
中間体V:Boc-L-Leu-N(CH3)OCH3
中間体Vは、Boc-L-Leu-OHから始まる方法Aに従って製造し、該粗化合物をフラッシュクロマトグラフィで精製し、該精製化合物の収率は64%であった。
中間体VI:Boc-L-Phe-N(CH3)OCH3
中間体VIは、Boc-L-Phe-OHから始まる方法Aに従って製造し、該粗化合物をフラッシュクロマトグラフィで精製し、該精製化合物の収率は98%であった。
中間体VII:Boc-L-(p-NO2)Phe-N(CH3)OCH3
中間体VIIは、Boc-L-(p-NO2)Phe-OHから始まる方法Aに従って製造し、該粗化合物をフラッシュクロマトグラフィで精製し、該精製化合物の収率は97%であった。
中間体VIII:Aloc-L-Phe-N(CH3)OCH3
中間体VIIIはAloc-L-Phe-OHから始まる方法Aに従って製造し、該粗化合物をフラッシュクロマトグラフィで精製し、該精製化合物の収率は81%であった。
中間体IX:Boc-L-Trp-N(CH3)OCH3
中間体IXは、Boc-L-Trp-OHから始まる方法Aに従って製造し、該粗化合物をフラッシュクロマトグラフィで精製し、該精製化合物の収率は96%であった。
中間体X:シンナモイル-L-Phe-N(CH3)OCH3
中間体Xは、シンナモイル-L-Phe-OHから始まる方法Aに従って製造し、該粗化合物をフラッシュクロマトグラフィで精製し、該精製化合物の収率は97%であった。
中間体XI:Cbz-D-Phe-N(CH3)OCH3
中間体XIは、Cbz-D-Phe-OHから始まる方法Aに従って製造し、該粗化合物をフラッシュクロマトグラフィで精製し、該精製化合物の収率は99%であった。
中間体XII:Boc-L-(p-ヨード)Phe-N(CH3)OCH3
中間体XIIは、Boc-L-(p-ヨード)Phe-OHから始まる方法Aに従って製造し、該粗化合物をフラッシュクロマトグラフィで精製し、該精製化合物の収率は95%であった。
【0148】
(実施例(式(I)及び類似化合物の例示的な化合物))
実施例1:2-[Cbz-L-Pro]ベンゾチアゾール
実施例1は、中間体I及び方法Bを経て製造した(化合物(III):ベンゾチアゾール、該精製化合物の収率:11%)。
実施例2:2-[Cbz-L-Phe]ベンゾチアゾール
実施例2は、中間体II及び方法Bを経て製造した(化合物(III):ベンゾチアゾール、該精製化合物の収率:22%)。
実施例3:2-[Cbz-L-Phe]チオフェン
実施例3は、中間体II及び方法Cを経て製造した(化合物(III):チオフェン、該精製化合物の収率:63%)。
実施例4:2-[Cbz-D-Phe]チアゾール
実施例4は、中間体XI及び方法Bを経て製造した(化合物(III):チアゾール、該精製化合物の収率:76%)。
実施例5:2-[Cbz-L-Phe]チアゾール
実施例5は、中間体II及び方法Bを経て製造した(化合物(III):チアゾール、該精製化合物の収率:20%)。
実施例6:
2-[Cbz-L-Ala]ベンゾチアゾール
実施例6は、中間体IV及び方法Bを経て製造した(化合物(III):ベンゾチアゾール、該精製化合物の収率:44%)。
実施例7:2-[Cbz-L-Phe]ピリジン
実施例7は、中間体II及び方法Cを経て製造した(化合物(III):2-ブロモピリジン、精製された化合物の収率:34%)。
実施例8:2-[Cbz-L-Phe]ベンゾ[b]チオフェン
実施例8は、中間体II及び方法Cを経て製造した(化合物(III):ベンゾ[b]チオフェン、該精製化合物の収率:6%)。
実施例9:Cbz-L-Phe-ベンゼン
実施例9は、中間体II及び方法Cを経て製造した(化合物(III):ブロモベンゼン、該精製化合物の収率:35%)。
実施例10:2-[Cbz-L-Ala]チアゾール
実施例10は、中間体IV及び方法Bを経て製造した(化合物(III):チアゾール、該精製化合物の収率:79%)。
実施例11:2-[Boc-L-(p-NO2)Phe]チアゾール
実施例11は、中間体VII及び方法Bを経て製造した(化合物(III):チアゾール、該精製化合物の収率:42%)。
実施例12:2-[Boc-L-(p-NO2)Phe]フラン
実施例12は、中間体VII及び方法Cを経て製造した(化合物(III):フラン、該精製化合物の収率:8%)。
実施例13:2-[Aloc-L-Phe]ベンゾチアゾール
実施例13は、中間体VIII及び方法Bを経て製造した(化合物(III):ベンゾチアゾール、該精製化合物の収率:37%)。
【0149】
実施例14:2-[Aloc-L-Phe]チアゾール
実施例14は、中間体VIII及び方法Bを経て製造した(化合物(III):チアゾール、該精製化合物の収率:45%)。
実施例15:2-[Aloc-L-Phe]フラン
実施例15は、中間体VIII及び方法Cを経て製造した(化合物(III):フラン、該精製化合物の収率:76%)。
実施例16:2-[Boc-L-Trp]ベンゾチアゾール
実施例16は、中間体IX及び方法Bを経て製造した(化合物(III):ベンゾチアゾール、該精製化合物の収率:10%)。
実施例17:2-[Boc-L-Trp]チアゾール
実施例17は、中間体IX及び方法Bを経て製造した(化合物(III):チアゾール、該精製化合物の収率:49%)。
実施例18:2-[Boc-L-Trp]フラン
実施例18は、中間体IX及び方法Cを経て製造した(化合物(III):フラン、該精製化合物の収率:27%)。
実施例19:2-[シンナモイル-L-Phe]チアゾール
実施例19は、中間体X及び方法Bを経て製造した(化合物(III):チアゾール、該精製化合物の収率:50%)。
実施例20:2-[Boc-L-Leu]ベンゾチアゾール
実施例20は、中間体V及び方法Bを経て製造した(化合物(III):ベンゾチアゾール、該精製化合物の収率:41%)。
実施例21:2-[Boc-L-(p-NO2)Phe]ベンゾチアゾール
実施例21は、中間体VII及び方法Bを経て製造した(化合物(III):ベンゾチアゾール、該精製化合物の収率:29%)。
実施例22:2-[Boc-L-(p-ヨード)Phe]フラン
実施例22は、中間体XII及び方法Cを経て製造した(化合物(III):フラン、該精製化合物の収率:59%)。
実施例23:2-[Boc-L-(p-ヨード)Phe]チアゾール
実施例23は、中間体XII及び方法Bを経て製造した(化合物(III):チアゾール、該精製化合物の収率:34%)。
実施例24:2-[Boc-L-Pro]ベンゾチアゾール
実施例24は、中間体III及び方法Bを経て製造した(化合物(III):ベンゾチアゾール、該精製化合物の収率:49%)。
実施例25:2-[Boc-L-Pro]チアゾール
実施例25は、中間体III及び方法Bを経て製造した(化合物(III):チアゾール、該精製化合物の収率:74%)。
実施例26:2-[Boc-L-Phe]チアゾール
実施例26は、中間体VI及び方法Bを経て製造した(化合物(III):チアゾール、該精製化合物の収率:68%)。
【0150】
【表2】

【0151】
【表3】

【0152】
明細書及び添付する特許請求の範囲の全てを通して、文脈が別途要求しない限り、用語「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などの変形体は、述べられた整数、工程、整数の群又は工程の群を包含するだけではなく、任意のその他の整数、工程、整数の群又は工程の群を除外しないことを意味することが理解されるであろう。
【0153】
先に言及した全ての特許及び特許出願は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0154】
(参考文献)
1. 「タンパク質分解酵素のハンドブック(Handbook of Proteolytic Enzymes)」 (1998)。Barrett, A. J., Rawlings, N. D.及びWoessner, J. F.の文献 London, Academic Press.
2. Goossens, F., De, M., I, Vanhoof, G., Hendriks, D., Vriend, G.及びScharpe, S.の文献 (1995) Eur.J.Biochem. 233, 432-441.
3. Barrett, A.J. and Rawlings, N.D.の文献 (1992) Biol.Chem.Hoppe Seyler 373, 353-360.
4. Fulop, V., Bocskei, Z.及びPolgar, L.の文献 (1998) Cell 94, 161-170.
5. Wetzel, W., Wagner, T., Vogel, D., Demuth, H.U.及びBalschun, D.の文献 (1997) Neuropeptides 31, 41-45.
6. Demuth, H.U., Neumann, U.及びBarth, A.の文献 (1989) J.Enzyme Inhib. 2, 239-248.
7. Goossens, F., De, M., I, Vanhoof, G.及びScharpe, S.の文献 (1996) Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem. 34, 17-22.
8. Toide, K., Iwamoto, Y., Fujiwara, T.及びAbe, H.の文献 (1995) J.Pharmacol.Exp.Ther. 274, 1370-1378.
9. Shinoda, M., Matsuo, A.及びToide, K.の文献 (1996) Eur.J.Pharmacol. 305, 31-38.
10. Katsube, N., Sunaga, K., Aishita, H., Chuang, D.M.及びIshitani, R.の文献 (1999) J.Pharmacol.Exp.Ther. 288, 6-13.
11. Shishido, Y., Furushiro, M., Tanabe, S., Shibata, S., Hashimoto, S.及びYokokura, T.の文献 (1999) Eur.J.Pharmacol. 372, 135-142.
12. Mentlein, R.の文献 (1988) FEBS Lett. 234, 251-256.
13. Wilk, S.の文献 (1983) Life Sci. 33, 2149-2157.
14. Bennett, G.W., Ballard, T.M., Watson, C.D.及びFone, K.C. (1997) Exp.Gerontol. 32, 451-469.
15. Huston, J.P.及びHasenohrl, R.U.の文献 (1995) Behav.Brain Res. 66, 117-127.
16. Liu, X.G.及びSandkuhler, J.の文献 (1998) Neuroscience 86, 1209-1216.
17. Abdel-Latif, A.A.の文献 (1989) Life Sci. 45, 757-786.
18. Defea, K., Schmidlin, F., Dery, O., Grady, E.F.及びBunnett, N.W.の文献 (2000) Biochem.Soc.Trans. 28, 419-426.
19. Voronin, L., Byzov, A., Kleschevnikov, A., Kozhemyakin, M., Kuhnt, U.及びVolgushev, M.の文献 (1995) Behav.Brain Res. 66, 45-52.
20. Komatsu, Y.の文献 (1996) J.Neurosci.16, 6342-6352.
【0155】
21. Kimura, A., Yoshida, I., Takagi, N.及びTakahashi, T.の文献 (1999) J.Biol.Chem.274, 24047-24053.
22. Hasebe, T., Hua, J., Someya, A., Morain, P., Checler, F.及びNagaoka, I.の文献 (2001) J. Leu.Biol. 69, 963-968.
23. Bodanszky, M.及びBodanszky, A.の文献 (1994) The practice of peptide synthesis, 第2版; Springer-Verlag:Berlin Heidelberg.
24. Tietze, L. F.及びEicher, Th.の文献 (1981) 「有機化学の基本的方法における反応及び合成(Reaktionen und Synthesen im organisch-chemisches Grundpraktikum)」; Georg Thieme Verlag Stuttgart.
25. Yasuma, T.;Oi, S.;Choh, N.;Nomura, T.;Furuyama, N.;Nishimura, A.;Fujisawa, Y.;及びSohda, T.の文献 (1998) J. Med.Chem. 41, 4301-4308.
26. Joyeau, R., Maoulida, C., Guillet, C., Frappier, F., Teixeira, A. R., Schrevel, J., Santana, J.及びGrellier, P.の文献 (2000) Eur.J.Med.Chem.35, 7343-7347.
27. Guo, B., Zhai, D., Cabezas, E., Welsh, K., Nouraini, S., Satterthwait, A.C.及びReed, J.C.の文献 (2003) Nature 423, 456-461.
28. Ikonen, M., Liu, B., Hashimoto, Y., Ma, L., Lee, K.W., Niikura, T., Nishimoto, I.及びCohen, P.の文献 (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 100, 13042-13047.
29. Sponne, I., Fifre, A., Koziel, V., Kriem, B., Oster, T.及びPillot, T.の文献 (2004) Mol.Cell Neurosci.25, 95-102.
30. Hashimoto, Y., Niikura, T., Tajima, H., Yasukawa, T., Sudo, H., Ito, Y., Kita, Y., Kawasumi, M., Kouyama, K., Doyu, M., Sobue, G., Koide, T., Tsuji, S., Lang, J., Kurokawa, K.及びNishimoto, I.の文献 (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 98, 6336-6341.
31. Kariya, S., Takahashi, N., Hirano, M.及びUeno, S.の文献 (2003) Mol.Cell Biochem. 254, 83-89.
32. Hashimoto,Y., Ito,Y., Niikura,T., Shao,Z., Hata,M., Oyama,F.及びNishimoto,I.の文献 (2001) Biochem. Biophys.Res.Commun.283, 460-468.
33. Tajima, H., Niikura, T., Hashimoto, Y., Ito, Y., Kita, Y., Terashita, K., Yamazaki, K., Koto, A., Aiso, S.及びNishimoto, I.の文献 (2002) Neurosci.Lett.324, 227-231.
34. Hashimoto, Y., Niikura, T., Ito, Y., Sudo, H., Hata, M., Arakawa, E., Abe, Y., Kita, Y.及びNishimoto, I.の文献 (2001) J. Neurosci.21, 9235-9245.
35. Yamagishi, Y., Hashimoto, Y., Niikura, T.及びNishimoto, I.の文献 (2003) Peptides 24, 585-595.
36. Piccini, A., Russo, C., Gliozzi, A., Relini, A., Vitali, A., Borghi, R., Giliberto, L., Armirotti, A., D'Arrigo, C., Bachi.A., Cattaneo A., Canale, C., Torrassa, S., Saido, T.C., Markesbery, W., Gambetti, P., Tabaton, M.の文献 (2005) J. Biol. Chem. 280, 34186-34192.
37. (2004) Bioorg.Med.Chem.Lett.14, 5579-5583.
38. (2000) Eur.J. of Med.Chem.35, 257-266.
39. (1996) Bioorg.Med.Chem.Lett.6, 3009-3012.
40. (2005) Tetrah.Lett.46, 8587-8589.
41. (2004) Org.Lett.6, 4423-4426.
42. (1998) J. Braz.Chem.Soc. 9, 381-387.
43. (1998) Tetrah.Lett.39, 3189-3192.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全ての互変異性体及び立体異性体を含む、式(I)の化合物、
【化1】

又はその医薬として許容し得る塩、多形体若しくは溶媒和物
(式中、
Kは、O、S又はNHを表し;
Wは、-C1-6アルキル-アリール、-C2-6アルケニルアリール;-C1-6アルキルへテロアリール又は-C2-6アルケニルへテロアリールを表し;
Xは、H又はメチルを表し;
Yは、Gly;Ala;Val;Leu;Ile;Met;Phe;Ser;Thr;Trp;Asn;Glnから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分が、ハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
水酸基がC1-6アルキルにより置換されるSer又はThrの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;及び、
チオール基がC1-6アルキルにより置換されるCysの類似体の側鎖;及び、
カルボン酸基がC1-6アルキルエステルに変換されているAsp又はGluの類似体の側鎖;及び、
アミドの-NH2が-NH(C1-4アルキル)又は-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)基に変換されているAsn又はGlnの類似体の側鎖;及び、
アミンの-NH2が-NHC(O)C1-4アルキル基又は-N(C1-4アルキル)C(O)C1-4アルキル基に変換されているLys又はArgの類似体の側鎖;を表すか、
又は、
【化2】


【化3】

を表すように、X及びYが結合し;
Zは、ヘテロアリールを表し;
かつ、
YがPhe;Trpから選択されるアミノ酸の側鎖;又は、
芳香族部分がハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;又は、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;を表す場合、
Zは、アリールを表すこともでき;
式中、上述したカルボシクリル及びヘテロシクリルのいずれかは、オキソ及びメチルから選択される1つ以上の基によって任意に置換でき;かつ、
式中、上述したアリール及びヘテロアリールのいずれかは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2及び-C(O)NH(C1-4アルキル)から選択される1つ以上の基により任意に置換でき;
式中、*は、立体中心を表し;
かつ、式中、以下の化合物(a) 〜(k)は、式(I)の定義からの特許請求の範囲から除外する:
【化4】

【化5】

【化6】

。)。
【請求項2】
Zが、任意に置換できるヘテロアリールを表す、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Zが、任意に置換できるアリールを表す、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Zが、ピリジニル、又は任意にフェニル環に縮合した1又は2個のヘテロ原子を含む5員のヘテロアリール基を表し、上述したピリジニル、ヘテロアリール又はフェニルのいずれかが置換されることができる、請求項2記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
Zが、チアゾール-2-イルを表す、請求項4記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
Zが、ベンズチアゾール-2-イルを表す、請求項4記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
Zが、任意に置換されたフェニルを表す、請求項3記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
KがOを表す、請求項1〜7のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
Wは、アリールが任意に置換されてよい-C1-6アルキル-アリールを表す、請求項1〜8のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
Wがベンジルを表す、請求項9記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
XがHを表し、かつYがAla、Leu、Trp若しくはPheの側部分又は該芳香族部分が置換されているPheの類似体の側部分を表す、請求項1〜10のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
X及びYは、
【化7】


【化8】

を表すように結合している、請求項1〜10のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
*の立体化学が、天然存在型のL-アミノ酸又はその類似体のものと同じである、請求項1〜12のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項14】
全てのその互変異性体及び立体異性体を含む、実施例1〜8のうちの1つにより定義される請求項1記載の式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、多形体若しくは溶媒和物。
【請求項15】
全てのその互変異性体及び立体異性体を含む、実施例11〜23の1つにより定義される化合物、又はそのいずれか1つの医薬として許容し得る塩、多形体若しくは溶媒和物。
【請求項16】
医薬としての使用のための、全てのその互変異性体及びその立体異性体を含む、式(I)の化合物、又は、実施例11〜26のいずれか1つ、又は、下記のいずれか1つの医薬として許容し得る塩、多形体若しくは溶媒和物
【化9】

(式中、
Kは、O、S又はNHを表し;
Wは、-C1-6アルキル-アリール、-C2-6アルケニルアリール、-C1-6アルキルへテロアリール又は-C2-6アルケニルへテロアリールを表し;
Xは、H又はメチルを表し;
Yは、Gly;Ala;Val;Leu;Ile;Met;Phe;Ser;Thr;Trp;Asn;Glnから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分が、ハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
水酸基がC1-6アルキルにより置換されるSer又はThrの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;及び、
チオール基がC1-6アルキルにより置換されるCysの類似体の側鎖;及び、
カルボン酸基がC1-6アルキルエステルに変換されているAsp又はGluの類似体の側鎖;及び、
アミドの-NH2が-NH(C1-4アルキル)又は-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)基に変換されているAsn又はGlnの類似体の側鎖;及び、
アミンの-NH2が-NHC(O)C1-4アルキル基又は-N(C1-4アルキル)C(O)C1-4アルキル基に変換されているLys又はArgの類似体の側鎖;を表すか、
又は、
【化10】


【化11】

を表すように、X及びYが結合し;
Zは、ヘテロアリールを表し;
及び、
YがPhe;Trpから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分がハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;を表す場合
Zは、アリールを表すこともでき;
式中、上述したカルボシクリル及びヘテロシクリルのいずれかは、オキソ及びメチルから選択される1つ以上の基によって任意に置換でき、かつ、
式中、上述したアリール及びヘテロアリールのいずれかは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2及び-C(O)NH(C1-4アルキル)から選択される1つ以上の基により任意に置換でき;
式中、*は、立体中心を表す。)。
【請求項17】
1以上の医薬として許容し得る希釈剤又は担体を伴う、全てのその互変異性体及びその立体異性体を含む、式(I)の化合物を含む医薬組成物、又は実施例11〜26のいずれか1つ、又は、上記のいずれか1つの医薬として許容し得る塩、多形体若しくは溶媒和物
【化12】

(式中、
Kは、O、S又はNHを表し;
Wは、-C1-6アルキル-アリール、-C2-6アルケニルアリール、-C1-6アルキルへテロアリール又は-C2-6アルケニルへテロアリールを表し;
Xは、H又はメチルを表し;
Yは、Gly;Ala;Val;Leu;Ile;Met;Phe;Ser;Thr;Trp;Asn;Glnから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分が、ハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
水酸基がC1-6アルキルにより置換されるSer又はThrの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;及び、
チオール基がC1-6アルキルにより置換されるCysの類似体の側鎖;及び、
カルボン酸基がC1-6アルキルエステルに変換されているAsp又はGluの類似体の側鎖;及び、
アミドの-NH2が-NH(C1-4アルキル)又は-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)基に変換されているAsn又はGlnの類似体の側鎖;及び、
アミンの-NH2が-NHC(O)C1-4アルキル基又は-N(C1-4アルキル)C(O)C1-4アルキル基に変換されているLys又はArgの類似体の側鎖;を表すか、
又は、
【化13】


【化14】

を表すように、X及びYが結合し;
Zは、ヘテロアリールを表し;
かつ、
YがPhe;Trpから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分がハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;を表す場合、
Zは、アリールを表すこともでき;
式中、上述したカルボシクリル及びヘテロシクリルのいずれかは、オキソ及びメチルから選択される1つ以上の基によって任意に置換でき、かつ、
式中、上述したアリール及びヘテロアリールのいずれかは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2及び-C(O)NH(C1-4アルキル)から選択される1つ以上の基により任意に置換でき;
式中、*は、立体中心を表す。)。
【請求項18】
アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節の障害、自律機能障害、ホルモンバランスの障害、制御障害、体液、高血圧症、熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連障害、癲癇、麻薬の禁断症状及びアルコール中毒を含む発作、認知機能障害、認知症、失語症、失行症、失認又は任意の型の健忘症、軽度認知障害(MCI)、良性健忘及びコルサコフ症候群を含む神経変性障害、肺血管疾患、再狭窄又は肺高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈動脈症、アテローム性動脈硬化症、再潅流損傷、低酸素症、虚血及び血液凝固障害からなる群から選択される疾患の治療又は予防における使用のための、全てのその互変異性体及びその立体異性体を含む、式(I) の化合物、又は実施例11〜26のいずれか1つ、又は、下記のいずれか1つの医薬として許容し得る塩、多形体若しくは溶媒和物
【化15】

(式中、
Kは、O、S又はNHを表し;
Wは、-C1-6アルキル-アリール、-C2-6アルケニルアリール、-C1-6アルキルへテロアリール又は-C2-6アルケニルへテロアリールを表し;
Xは、H又はメチルを表し;
Yは、Gly;Ala;Val;Leu;Ile;Met;Phe;Ser;Thr;Trp;Asn;Glnから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分が、ハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
水酸基がC1-6アルキルにより置換されるSer又はThrの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;及び、
チオール基がC1-6アルキルにより置換されるCysの類似体の側鎖;及び、
カルボン酸基がC1-6アルキルエステルに変換されているAsp又はGluの類似体の側鎖;及び、
アミドの-NH2が-NH(C1-4アルキル)又は-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)基に変換されているAsn又はGlnの類似体の側鎖;及び、
アミンの-NH2が-NHC(O)C1-4アルキル基又は-N(C1-4アルキル)C(O)C1-4アルキル基に変換されているLys又はArgの類似体の側鎖;を表すか、
又は、
【化16】


【化17】

を表すように、X及びYが結合し;
Zは、ヘテロアリールを表し;
かつ、
YがPhe;Trpから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分がハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;を表す場合、
Zは、アリールを表すこともでき;
式中、上述したカルボシクリル及びヘテロシクリルのいずれかは、オキソ及びメチルから選択される1つ以上の基によって任意に置換でき、かつ、
式中、上述したアリール及びヘテロアリールのいずれかは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2及び-C(O)NH(C1-4アルキル)から選択される1つ以上の基により任意に置換でき;
式中、*は、立体中心を表す。)。
【請求項19】
アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節の障害、自律機能障害、ホルモンバランスの障害、制御障害、体液、高血圧症、熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連障害、癲癇、麻薬の禁断症状及びアルコール中毒を含む発作、認知機能障害、認知症、失語症、失行症、失認又は任意の型の健忘症、軽度認知障害(MCI)、良性健忘及びコルサコフ症候群を含む神経変性障害、肺血管疾患、再狭窄又は肺高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈動脈症、アテローム性動脈硬化症、再潅流損傷、低酸素症、虚血及び血液凝固障害からなる群から選択される疾患の治療方法又は予防方法であって、全てのその互変異性体及びその立体異性体を含む、式(I)の化合物、又は実施例11〜26のいずれか1つ、又は下記のいずれか1つの医薬として許容し得る塩、多形体若しくは溶媒和物の有効量を対象に投与することを含む、前記方法
【化18】

(式中、
Kは、O、S又はNHを表し;
Wは、-C1-6アルキル-アリール、-C2-6アルケニルアリール、-C1-6アルキルへテロアリール又は-C2-6アルケニルへテロアリールを表し;
Xは、H又はメチルを表し;
Yは、Gly;Ala;Val;Leu;Ile;Met;Phe;Ser;Thr;Trp;Asn;Glnから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分が、ハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
水酸基がC1-6アルキルにより置換されるSer又はThrの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;及び、
チオール基がC1-6アルキルにより置換されるCysの類似体の側鎖;及び、
カルボン酸基がC1-6アルキルエステルに変換されているAsp又はGluの類似体の側鎖;及び、
アミドの-NH2が-NH(C1-4アルキル)又は-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)基に変換されているAsn又はGlnの類似体の側鎖;及び、
アミンの-NH2が-NHC(O)C1-4アルキル基又は-N(C1-4アルキル)C(O)C1-4アルキル基に変換されているLys又はArgの類似体の側鎖;を表すか、
又は、
【化19】


【化20】

を表すように、X及びYが結合し;
Zは、ヘテロアリールを表し;
かつ、
YがPhe;Trpから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分がハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;を表す場合、
Zは、アリールを表すこともでき;
式中、上述したカルボシクリル及びヘテロシクリルのいずれかは、オキソ及びメチルから選択される1つ以上の基によって任意に置換でき、かつ、
式中、上述したアリール及びヘテロアリールのいずれかは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2及び-C(O)NH(C1-4アルキル)から選択される1つ以上の基により任意に置換でき;
式中、*は、立体中心を表す。)。
【請求項20】
アルツハイマー病、ダウン症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、病原性精神病状態、統合失調症、摂食障害、睡眠覚醒、エネルギー代謝の恒常性調節の障害、自律機能障害、ホルモンバランスの障害、制御障害、体液、高血圧症、熱、睡眠調節不全、食欲不振、うつ病を含む不安関連障害、癲癇、麻薬の禁断症状及びアルコール中毒を含む発作、認知機能障害、認知症、失語症、失行症、失認又は任意の型の健忘症、軽度認知障害(MCI)、良性健忘及びコルサコフ症候群を含む神経変性障害、肺血管疾患、再狭窄又は肺高血圧心筋炎、気管支肺異形成症、心筋壊死又は心臓移植後冠状動脈動脈症、アテローム性動脈硬化症、再潅流損傷、低酸素症、虚血及び血液凝固障害からなる群から選択される疾患の治療のための医薬の製造における、全てのその互変異性体及びその立体異性体を含む、式(I)の化合物、又は実施例11〜26のいずれか1つ、又は下記のいずれか1つの医薬として許容し得る塩、多形体若しくは溶媒和物の使用:
【化21】

(式中、
Kは、O、S又はNHを表し;
Wは、-C1-6アルキル-アリール、-C2-6アルケニルアリール、-C1-6アルキルへテロアリール又は-C2-6アルケニルへテロアリールを表し;
Xは、H又はメチルを表し;
Yは、Gly;Ala;Val;Leu;Ile;Met;Phe;Ser;Thr;Trp;Asn;Glnから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分が、ハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
水酸基がC1-6アルキルにより置換されるSer又はThrの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;及び、
チオール基がC1-6アルキルにより置換されるCysの類似体の側鎖;及び、
カルボン酸基がC1-6アルキルエステルに変換されているAsp又はGluの類似体の側鎖;及び、
アミドの-NH2が-NH(C1-4アルキル)又は-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)基に変換されているAsn又はGlnの類似体の側鎖;及び、
アミンの-NH2が-NHC(O)C1-4アルキル基又は-N(C1-4アルキル)C(O)C1-4アルキル基に変換されているLys又はArgの類似体の側鎖;を表すか、
又は、
【化22】


【化23】

を表すように、X及びYが結合し;
Zは、ヘテロアリールを表し;
かつ、
YがPhe;Trpから選択されるアミノ酸の側鎖;及び、
芳香族部分がハロゲン、ニトロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ及びC1-4ハロアルコキシから選択されるもう1つの基により置換されるPheの類似体の側鎖;及び、
複素環式芳香族部分が1つ以上のC1-4アルキル基により置換されるTrpの類似体の側鎖;を表す場合、
Zは、アリールを表すこともでき;
式中、上述したカルボシクリル及びヘテロシクリルのいずれかは、オキソ及びメチルから選択される1つ以上の基によって任意に置換でき、かつ、
式中、上述したアリール及びヘテロアリールのいずれかは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、-C1-6チオアルキル、-SO2C1-4アルキル、C1-6アルコキシ-、-O-C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル、-SO2C3-8シクロアルキル、C3-6アルケニルオキシ-、C3-6アルキニルオキシ-、-C(O)C1-6アルキル、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル-、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、-C(O)OH、-NH2、-NHC1-4アルキル、-N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)N(C1-4アルキル)(C1-4アルキル)、-C(O)NH2及び-C(O)NH(C1-4アルキル)から選択される1つ以上の基により任意に置換でき;
式中、*は、立体中心を表す。)。
【請求項21】
式(II)の化合物の反応を含む、請求項1〜14のいずれか1項記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
【化24】

式中、W、K、X及びYが上記のように定義され、かつ及びL1が式(III)の化合物又はその保護誘導体を有する基を表し、
【化25】

式中、Zが、上記のように定義され、かつL2が金属化のための適切な基を表す、前記製造方法。
【請求項22】
前記化合物が、その全ての互変異性体及びその立体異性体を含む、実施例1〜26のいずれか1つ又はその医薬として許容し得る塩、多形体又は溶媒和物である、請求項16〜21のいずれか1項記載の化合物、使用、医薬組成物、方法又は製法。
【請求項23】
前記化合物が、その全ての互変異性体及びその立体異性体を含む、実施例1又はその医薬として許容し得る塩、多形体又は溶媒和物である、請求項1又は16〜21のいずれか1項記載の化合物、使用、医薬組成物、方法又は製法。
【請求項24】
前記化合物が、その全ての互変異性体及びその立体異性体を含む、実施例5又はその医薬として許容し得る塩、多形体又は溶媒和物である、請求項16〜21のいずれか1項記載の化合物、使用、医薬組成物、方法又は製法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−533144(P2010−533144A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515509(P2010−515509)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058977
【国際公開番号】WO2009/007415
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(505403119)プロビオドルグ エージー (39)
【Fターム(参考)】