説明

施設検索装置、施設検索方法及び施設検索用プログラム

【課題】検索される施設名を種類によって色で区別して表示することにより、目的地の設定等の手間がかからず、設定間違いを防止可能な施設検索技術を提供する。
【解決手段】施設名とその施設のジャンルに応じた色を対応づけて記憶するHDD制御部5及びメモリ等の記憶手段と、所望の施設名を検索するための情報を入力するリモコンユニット8、マイク9等の入力手段と、入力手段から入力された情報に基づいて、記憶手段から該当する施設名を検索する施設検索部46と、施設検索部46により検索された施設名を、その施設に対応する色と関連付けて表示するディスプレイ6とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ナビゲーション装置において、所望の施設を検索するための施設検索技術に係り、特に、検索された施設に関する情報の表示に改良を施した施設検索装置、検索方法及び検索用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などに代表される移動体の現在位置や目的地への経路を自動的に案内する電子機器として、ナビゲーション装置が普及している。このナビゲーション装置は、人工衛星からの電波をGPS受信機で受けたり、ジャイロセンサーなどを使って、装置が搭載されている移動体の現在位置や現在の日時を計算し、予め用意された道路地図データに基づいて、現在位置及びその周辺地図を表示しながら、次にどこをどちらに曲がるといった道案内を画面表示や合成音声などで行うものである。
【0003】
このようなナビゲーション装置における目的地の指定方法としては、例えば、施設の名称をリモコン、タッチパネル、マイク等の入力手段から入力し、装置内に記録されている施設のデータベースから、入力された名称に対応する施設を検索し、検索されて表示されたリストの中から、所望の施設を選択する方法がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−114134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような施設名を入力して検索した場合、同じ名称の施設が複数あると、それらが全てリスト表示される。例えば、“なごやじょう”と入力して検索した場合には、図5に示すように、名所旧跡である名古屋城の他に、「名古屋城」という名前を付した店舗等の施設名が複数表示される。
【0005】
このように、文字をキーにして目的地を探す時に、同じ名称の施設が複数あった場合、ユーザは、いずれの施設が所望の施設かを見た目で区別することができなかった。従って、それぞれの名称を選択して住所表示等させたり、ジャンル名を表示させて、これを読取って確認しなければならず、自分の本当に目的としている施設を探すまでの手間がかかっていた。また、間違った施設を目的地にしてしまう可能性もあった。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するもので、その目的は、検索される施設名を種類によって色で区別して表示することにより、目的地の設定等の手間がかからず、設定間違いを防止可能な施設検索装置、施設検索方法及び施設検索用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明の施設検索装置は、施設とその施設の種別に応じた色を対応づけて記憶する施設情報記憶手段と、所望の施設を検索するための情報を入力する入力手段と、前記入力手段から入力された情報に基づいて、前記施設情報記憶手段から該当する施設を検索する施設検索手段と、前記施設検索手段により検索された施設名を、その施設に対応する色と関連付けて表示する表示手段と、を有することを特徴とする。なお、本発明は、上記の各手段の機能を実現する方法及び各手段の処理をコンピュータに実行させるプログラムとしても捉えることができる。
【0008】
以上のような発明では、ユーザは、表示された施設名とその色から、施設の種別を即座に判断できるので、目的とする施設を探す手間がかからず、誤って別の施設を選択してしまう可能性を低減できる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の施設検索装置において、、複数の同一又は類似の施設名を同時に表示することを特徴とする。なお、本発明は、この機能を実現する方法及び各手段の処理をコンピュータに実行させるプログラムとしても捉えることができる。
【0010】
以上のような発明では、同じ若しくは類似する名称の施設が複数検索され、同時に表示されたような紛らわしい場合であっても、その種別によって色分け表示されているので、各施設が何であるかを確認する作業が省略でき、誤選択を防止できる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の施設検索装置において、前記施設情報記憶手段には、記憶されている施設に対応した住所が、その施設に対応づけて記憶されており、前記施設検索手段により検索された施設を選択する施設選択手段と、前記施設選択手段により選択された施設に対応する住所を表示する、住所表示手段と、を有することを特徴とする。なお、本発明は、上記の各手段の機能を実現する方法及び各手段の処理をコンピュータに実行させるプログラムとしても捉えることができる。
【0012】
以上のような発明では、検索された施設のうち、いずれかを選択すると、その施設の住所が表示されるので、ユーザは、誤った施設でないことを確認することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のような本発明によれば、検索される施設名を種類によって色で区別して表示することにより、目的地の設定等の手間がかからず、設定間違いを防止可能な施設検索装置、施設検索方法及び施設検索用プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することで実現できるが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能である。また、本発明は、上記のようなプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記憶媒体としても把握できる。したがって、以下の説明では、本発明及び本実施形態の各機能を実現する仮想的回路ブロックを用いる。
【0015】
[構成]
まず、本実施形態は、図1に示すように、目的地若しくは経由地の設定や、所望の地点の地図表示のために、施設を検索する施設検索機能を、ナビゲーション装置Nに構成したものである。まず、ナビゲーション装置Nは、以下のように、一般的な経路探索と誘導案内の機能を発揮するため、絶対位置・方位検出部1、相対方位検出部2、車速検出部3、HDD制御部5等を備えている。
【0016】
HDD制御部5は、ハードディスク(大容量記憶装置)に記録されたナビゲーションデータなど各種データをデータベースから読み出す手段であり、道路又は道路の区間のネットワーク構造をあらかじめ表した道路地図データ、施設検索のための施設名、種別、住所等の施設情報等が格納されている。この施設情報は、例えば、図3に示すように、施設名が、これに対応するジャンル等の種別と関連付けられたテーブルとして構成されている。なお、同様の情報をCDやDVDに記録したものも使用できるように、CD/DVD−ROM制御部(図示せず)も設けられている。
【0017】
また、メインCPU及びその周辺回路4は、ナビゲーション装置Nの全体を制御する制御回路の役割を果たす部分である。なお、ナビゲーション装置Nの動作に必要な各種の記憶手段として、各種ROM、RAM等のメモリ群を備えているが、常識的であるため、図示を省略する。このようなメモリには、例えば、図3に示すように、ジャンル等の種別に対応する表示色が関連付けられたテーブルが記憶されている。本実施形態では、上記のHDD、メモリ等によって、請求項の施設情報記憶手段が構成されているが、いずれのデータについてどのような記憶媒体を用いるかを限定するものではない。
【0018】
ディスプレイ6は、地図や操作メニューなど各種の情報を、画面に表示する手段である。特に、本実施形態においては、検索文字列の入力画面、検索された施設名のリスト表示画面が表示される。スピーカ7は音声出力により音声案内を行う手段である。リモコンユニット8は、ユーザが各種操作入力を行う入力手段である。マイク9は、ユーザが音声を入力する入力手段である。音声認識部10は、マイク9から入力された音声を、ナビゲーション装置Nにおいて処理可能な情報形式に変換し、メインCPU及びその周辺回路4に入力する入力手段である。なお、ディスプレイ6は、タッチパネルとしての機能も有している。リモコンユニット8、マイク9、ディスプレイ(タッチパネル)6及びフロントパネルに設けられたスイッチ(図示せず)等は、請求項に記載の入力手段として機能し、命令、文字列等の入力、メニュー、項目、名称等の選択や決定等を入力することができる。
【0019】
さらに、メインCPU及びその周辺回路4は、上記のようなプログラムの作用によって、図1に示す下記の各部分としての役割を実現するように構成されている。すなわち、現在位置検出部40は、自車位置を逐次計算するための手段である。目的地設定部41は、前記道路地図データを記録したデータベースからの施設検索や地図上でのカーソル指定などにより目的地の設定を行う手段である。
【0020】
本ナビゲーション装置Nでは、後述するように、検索した施設名のいずれかを選択し、これを目的地として決定することにより、目的地を設定できる。経路設定部42は、現在位置検出部40により検出される現在位置から、目的地設定部41により設定された目的地に到達するまでの経路を、前記道路地図データに基いて計算し、結果として得られた経路を設定する手段である。
【0021】
また、表示制御部44は、算出された前記自車位置及び前記道路地図データに基づいて、周辺の地図上における自車位置と、前記経路の少なくとも一部とをディスプレイ6に三次元表示又は他の態様で表示させる手段である。案内制御部43は、ナビゲーションを実行するための種々の情報を処理するものである。
【0022】
さらに、メインCPU及びその周辺回路4は、テキスト処理部45、施設検索部46、種別判定部47、色判定部48、表示情報決定部49、施設選択部50、住所検索部51等を有している。テキスト処理部45は、入力手段から入力された情報を検索に必要なデータに変換する手段である。施設検索部46は、入力された施設名に対応する施設の情報を検索する手段である。種別判定部47は、検索された施設の種別を判定する手段である。色判定部48は、検索された施設の種別に対応する色を判定する手段である。
【0023】
表示情報決定部49は、検索結果として表示すべき施設名、色、住所等を決定する手段である。施設選択部50は、リスト表示された施設名のうち、入力手段から指定された施設を選択する手段である。住所検索部51は、施設選択部50によって選択された施設の住所を検索する手段である。
【0024】
[作用]
以上のような本実施形態による検索処理の一例を、図2のフローチャートを参照して説明する。まず、ディスプレイ6に表示された検索文字列の入力画面から、ユーザが、リモコンユニット8やタッチパネル、マイク9等の入力手段を用いて、文字列を入力する(ステップ201)。入力された文字列は、テキスト処理部45において処理され、これに対応する施設名を施設検索部46が検索する(ステップ202)。
【0025】
種別判定部47は、図3に示すテーブルから、検索された施設名称に対応する施設の種別(例えば、ジャンル)を判定する(ステップ203)。また、色判定部48は、図3に示すテーブルから、ジャンルに対応する色を判定する(ステップ204)。そして、表示情報決定部49は、ディスプレイ6に表示する施設名(テキスト)、色(カラーコード)等を決定し、これに従って、表示制御部44が、ディスプレイ6に施設名を色分け表示する(ステップ205)。
【0026】
例えば、“なごやじょう”と入力した場合に、図4に示すように、名所旧跡である名古屋城の他に、同じ名称の店舗等の施設名が複数存在する場合に、これらを表示する複数の項目が複数色分け表示される。なお、図4では、便宜上、ハッチングで区別しているが、例えば、名所・旧跡の「名古屋城」は「観光ポイント」としてピンク、飲食店の「名古屋城」は「食べる」として水色、「博物館」としての「名古屋城」は黄色で表示されているものとする。
【0027】
以上のように表示された名称のうち、ユーザが、入力手段を用いて、いずれかの名称にカーソルを合せることにより選択すると(ステップ206)、住所検索部51により、選択された施設名に対応する住所が検索される(ステップ207)。検索された住所は、ディスプレイ6に表示される(ステップ208)。例えば、図4に示すように、画面上部に設定された欄に、住所が表示される。ここで、ユーザが入力手段を用いて、当該施設名の決定を入力すると(ステップ209)、目的地設定部41が、選択されている施設を目的地として設定する(ステップ210)。そして、設定された目的地までの経路誘導が行われる。
【0028】
[効果]
以上のような本実施形態によれば、同じ名称の施設が複数検索された場合、いずれの施設が所望の施設かを、色分け表示によって見た目で直感的に区別することができるので、目的とする施設を探す手間がかからず、間違った施設を目的地としてしまうことを防止できる。また、色を基準にしてカーソルを合せると、即座に住所表示等させることもできるので、より確実に目的地を決定できる。
【0029】
[他の実施形態]
本発明は、上記のような実施形態に限定されるものではない。例えば、検索対象となる施設名は、地図上の地点として指定できるあらゆるものを含むので、人工の施設に限らず、自然物であってもよい。また、同一の施設名ばかりでなく、同一の文字列を含むような類似する施設名について、複数表示される場合にも、本発明は有効である。また、上記の実施形態では、色と施設名とを別テーブルで関連付けたが、各施設名に対して色を直接設定したテーブルを用いてもよい。さらに、住所の検索は、施設の検索と同時に行ってもよい。
【0030】
また、施設の種別への色の設定については、例えば、大ジャンル、中ジャンル、小ジャンルといったように、概念の広いものが階層的に存在する場合に、同じレベルの階層に含まれるジャンルを互いに区別する色として設定することが考えられる。この場合に、全ての階層に設定してもよいし、必要な階層のみに設定してもよい。
【0031】
また、同じ又は類似する施設名が複数検索された場合にのみ、色分け表示するように設定してもよい。施設名の検索数、表示数、住所表示等を含めた表示のレイアウト設定、色の種類とその割り当て等は、自由に設定可能であり、上記の実施形態で例示したものには限定されない。
【0032】
また、本発明は、車内にナビゲーション用のデータを置くいわゆるオンボード型ではなく、無線通信ネットワークを介して、最新のデータの提供を受けることができるいわゆるオフボード型のナビゲーションシステムにも適用可能である。この場合、通信ネットワークを介して接続される車外のサーバ等が、上記の処理の全部若しくは一部を行うことができ、処理結果を車内のコンピュータが取得することにより、車内における処理負担を軽減させることができる。
【0033】
また、本発明は、車載用には限定されず、他の移動手段や携帯用のナビゲーション装置にも適用可能である。さらに、本発明が適用される装置は、ナビゲーション装置には限定されず、コンピュータにより地図上の所望の施設を検索する施設検索技術として、広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の実施形態におけるナビゲーション装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図1の実施形態における検索テーブルの一例を示す説明図である。
【図4】図1の実施形態における検索結果の画面表示例を示す説明図である。
【図5】従来の施設検索による検索結果の画面表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1…絶対位置・方位検出部
2…相対方位検出部
3…車速検出部
4…メインCPU及びその周辺回路
5…HDD制御部
6…ディスプレイ
7…スピーカ
8…リモコンユニット
9…マイク
10…音声認識部
40…現在位置検出部
41…目的地設定部
42…経路設定部
43…案内制御部
44…表示制御部
45…テキスト処理部
46…施設検索部
47…種別判定部
48…色判定部
49…表示情報決定部
50…施設選択部
51…住所検索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設名とその施設の種別に応じた色を対応づけて記憶する施設情報記憶手段と、
所望の施設名を検索するための情報を入力する入力手段と、
前記入力手段から入力された情報に基づいて、前記施設情報記憶手段から該当する施設名を検索する施設検索手段と、
前記施設検索手段により検索された施設名を、その施設に対応する色と関連付けて表示する表示手段と、
を有することを特徴とする施設検索装置。
【請求項2】
前記表示手段は、複数の同一又は類似の施設名を同時に表示することを特徴とする請求項1記載の施設検索装置。
【請求項3】
前記施設情報記憶手段には、記憶されている施設に対応した住所が、その施設に対応づけて記憶されており、
前記施設検索手段により検索された施設を選択する施設選択手段と、
前記施設選択手段により選択された施設に対応する住所を表示する、住所表示手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の施設検索装置。
【請求項4】
施設情報記憶手段、入力手段、施設検索手段及び表示手段を有するコンピュータにより、施設検索を行う施設検索方法において、
前記施設情報記憶手段が、施設名とその施設の種別に応じた色を対応づけて記憶し、
前記入力手段が、所望の施設名を検索するための情報を入力し、
前記施設検索手段が、前記入力手段から入力された情報に基づいて、前記施設情報記憶手段から該当する施設名を検索し、
前記表示手段が、前記施設検索手段により検索された施設名を、その施設に対応する色と関連付けて表示することを特徴とする施設検索方法。
【請求項5】
前記表示手段が、複数の同一又は類似の施設名を同時に表示することを特徴とする請求項4記載の施設検索方法。
【請求項6】
前記コンピュータは、施設選択手段及び住所表示手段を有し、
前記施設情報記憶手段に、記憶されている施設に対応した住所を、その施設に対応づけて記憶し、
前記施設選択手段が、前記施設検索手段により検索された施設を選択し、
前記住所表示手段が、前記施設選択手段により選択された施設に対応する住所を表示することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の施設検索方法。
【請求項7】
コンピュータにより、施設検索を行わせる施設検索用プログラムにおいて、
前記コンピュータに、
施設名とその施設の種別に応じた色を対応づけて記憶させ、
所望の施設名を検索するための情報を入力させ、
入力された情報に基づいて、該当する施設名を検索させ、
検索された施設名を、その施設に対応する色と関連付けて表示させることを特徴とする施設検索用プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、
複数の同一又は類似の施設名を同時に表示させることを特徴とする請求項7記載の施設検索用プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、
記憶されている施設に対応した住所を、その施設に対応づけて記憶させ、
検索された施設を選択させ、
選択された施設に対応する住所を表示させることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の施設検索用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−257208(P2007−257208A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79596(P2006−79596)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】