説明

有機半導体装置およびその製造方法

【課題】Ion/Ioffを減少させることなく、有機半導体層とソース・ドレイン電極との接触抵抗を低減することを可能にする。
【解決手段】表面が絶縁性を有する基板11の表面上に形成されたゲート電極12と、前記基板11上に形成されていて前記ゲート電極12を被覆する有機絶縁膜からなるゲート絶縁膜13と、前記ゲート絶縁膜13上に離間して形成されていて少なくとも表面が触媒金属からなるソース・ドレイン電極14、15と、前記ソース・ドレイン電極14、15の表面に形成された炭素薄膜16、17と、前記ゲート絶縁膜13上に形成されていて前記炭素薄膜16、17が形成された前記ソース・ドレイン電極14、15を被覆する有機半導体層18を有する有機半導体装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、有機TFT(Thin Film Transistor)はさまざまな電子機器への応用に向けて研究開発が盛んに行われている。特に、フレキシブルディスプレイのバックプレーンの応用技術に関心が高く、高精細な有機TFTを製造することが望まれている。
【0003】
有機TFTでは、ボトムコンタクト構造を用いることにより比較的チャネル長の短いTFTを作製することができ、高精細なバックプレーンを実現することができる。
【0004】
本来TFTは、チャネル長に反比例して、駆動能力が向上するが、ボトムコンタクト構造の有機TFTでは有機半導体と電極界面で形成される接触抵抗が比較的高いため、チャネル長に反比例した、駆動能力の向上が得られなくなることがある。
特に、優れた特性を示す有機半導体を用いた場合にこの現象が顕著に起こるため、有機半導体と電極間の接触抵抗の低減は有機TFTにおいて大きな課題となっている。
【0005】
このような有機半導体と電極間の接触抵抗の低減方法に、カーボンナノチューブ(CNT)を用いる方法がある(例えば、非特許文献1参照。)。
すなわち、カーボンナノチューブを基板上に散布し、有機半導体と電極との間にカーボンナノチューブを介在させることで、接触抵抗の低減を行うものである。
しかしながら、上記手法では、接触抵抗を低減する効果を高めるために高濃度のカーボンナノチューブを散布すると、チャネル領域にも影響がおよび、その結果、オン電流値/オフ電流値(Ion/Ioff)が減少するという問題がある。
【0006】
【非特許文献1】S.Liu et al,Appl. Phys. Lett. 92, 053306 (2008年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、接触抵抗を低減する効果を高めるために高濃度のカーボンナノチューブを散布すると、チャネル領域にも影響がおよび、その結果、オン電流値/オフ電流値(Ion/Ioff)が減少する点である。
【0008】
本発明は、Ion/Ioffを低減させることなく、有機半導体層とソース・ドレイン電極との接触抵抗を低減することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の有機半導体装置(第1有機半装置)は、表面が絶縁性を有する基板の表面上に形成されたゲート電極と、前記基板上に形成されていて前記ゲート電極を被覆する有機絶縁膜からなるゲート絶縁膜と、前記ゲート電極の両側上方の前記ゲート絶縁膜上に離間して形成されていて少なくとも表面が触媒金属からなるソース・ドレイン電極と、前記ソース・ドレイン電極の表面に形成された炭素薄膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されていて前記炭素薄膜が形成された前記ソース・ドレイン電極を被覆する有機半導体層を有するものである。
【0010】
本発明の第1有機半導体装置では、ソース・ドレイン電極の表面に炭素薄膜が形成されていることから、ソース・ドレイン電極の表面に炭素が密に存在するので、炭素薄膜を介してソース・ドレイン電極と有機半導体層との接触抵抗が低減される。また、ソース・ドレイン電極はその表面が少なくとも触媒金属からなることから、炭素薄膜はソース・ドレイン電極に選択的に形成されている。したがって、炭素薄膜は、ソース・ドレイン電極の表面に形成されていて、チャネルが形成されるゲート絶縁膜上には形成されていないので、オン電流値/オフ電流値(Ion/Ioff)が減少することがない。
【0011】
本発明の有機半導体装置(第2有機半装置)は、表面が絶縁性を有する基板の表面上に離間して形成されていて少なくとも表面が触媒金属からなるソース・ドレイン電極と、前記ソース・ドレイン電極の表面に形成された炭素薄膜と、前記基板上に形成されていて前記炭素薄膜が形成された前記ソース・ドレイン電極を被覆する有機半導体層と、前記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ソース・ドレイン電極間上方の前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極を有するものである。
【0012】
本発明の第2有機半導体装置では、ソース・ドレイン電極の表面に炭素薄膜が形成されていることから、ソース・ドレイン電極の表面に炭素が密に存在するので、炭素薄膜を介してソース・ドレイン電極と有機半導体層との接触抵抗が低減される。また、ソース・ドレイン電極はその表面が少なくとも触媒金属からなることから、炭素薄膜はソース・ドレイン電極に選択的に形成されている。したがって、炭素薄膜は、ソース・ドレイン電極の表面に形成されていて、チャネルが形成される基板上には形成されていないので、オン電流値/オフ電流値(Ion/Ioff)が減少することがない。
【0013】
本発明の有機半導体装置の製造方法(第1製造方法)は、表面が絶縁性を有する基板の表面上にゲート電極を形成する工程と、前記基板上に前記ゲート電極を被覆する有機絶縁膜からなるゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート電極の両側上方の前記ゲート絶縁膜上に少なくとも表面が触媒金属で形成されたソース・ドレイン電極を離間して形成する工程と、前記ソース・ドレイン電極の表面に前記炭素薄膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に前記炭素薄膜が形成された前記ソース・ドレイン電極を被覆する有機半導体層を形成する工程を有する。
【0014】
本発明の有機半導体装置の第1製造方法では、ソース・ドレイン電極の表面に炭素薄膜を形成することから、ソース・ドレイン電極の表面に炭素が密に存在するので、炭素薄膜を介してソース・ドレイン電極と有機半導体層との接触抵抗が低減される。また、ソース・ドレイン電極はその表面が少なくとも触媒金属で形成されることから、炭素薄膜はソース・ドレイン電極に選択的に形成される。したがって、ゲート絶縁膜上のチャネルが形成される領域上に炭素薄膜が形成されることがないので、オン電流値/オフ電流値(Ion/Ioff)が減少することがない。
【0015】
本発明の有機半導体装置の製造方法(第2製造方法)は、表面が絶縁性を有する基板の表面上に少なくとも表面が触媒金属で形成されたソース・ドレイン電極を離間して形成する工程と、前記ソース・ドレイン電極の表面に炭素薄膜を形成する工程と、前記基板上に前記炭素薄膜が形成された前記ソース・ドレイン電極を被覆する有機半導体層を形成する工程と、前記有機半導体層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ソース・ドレイン電極間上方の前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程を有する。
【0016】
本発明の有機半導体装置の第2製造方法では、ソース・ドレイン電極の表面に炭素薄膜を形成することから、ソース・ドレイン電極の表面に炭素が密に存在するので、炭素薄膜を介してソース・ドレイン電極と有機半導体層との接触抵抗が低減される。また、ソース・ドレイン電極はその表面が少なくとも触媒金属で形成されることから、炭素薄膜はソース・ドレイン電極に選択的に形成される。したがって、基板上のチャネルが形成される領域上に炭素薄膜が形成されることがないので、オン電流値/オフ電流値(Ion/Ioff)が減少することがない。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1有機半導体装置は、Ion/Ioffを減少させることなく、有機半導体層とソース・ドレイン電極との接触抵抗を低減できることから、高性能な有機半導体装置となる。
【0018】
本発明の第2有機半導体装置は、Ion/Ioffを減少させることなく、有機半導体層とソース・ドレイン電極との接触抵抗を低減できることから、高性能な有機半導体装置となる。
【0019】
本発明の有機半導体装置の第1製造方法は、Ion/Ioffを減少させることなく、有機半導体層とソース・ドレイン電極との接触抵抗を低減できることから、高性能な有機半導体装置を製造することができる。
【0020】
本発明の有機半導体装置の第2製造方法は、Ion/Ioffを減少させることなく、有機半導体層とソース・ドレイン電極との接触抵抗を低減できることから、高性能な有機半導体装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<1.第1の実施の形態>
[有機半導体装置の構成の第1例]
本発明の第1実施の形態に係る有機半導体装置の構成の第1例を、図1の概略構成断面図によって説明する。
【0022】
図1に示すように、表面が絶縁性を有する基板11上にゲート電極12が形成されている。
上記基板11には、例えばガラス基板やプラスチック基板等を用いる。または、表面に酸化シリコン、窒化シリコン、有機絶縁膜等の絶縁膜で形成されている基板であってもよい。
上記ゲート電極12には、例えば金(Au)で形成されている。金を用いる場合には、密着層にクロム(Cr)を用いることが好ましい。
また、上記ゲート電極12を形成する金属膜には、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)など一般的な電極材料を使用することができる。
【0023】
上記基板11上には上記ゲート電極12を被覆するゲート絶縁膜13が形成されている。
上記ゲート絶縁膜13は、例えば有機絶縁膜で形成されている。有機絶縁膜材料には、例えばポリビニルフェノール(PVP)を用いる。または、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。
または、上記ゲート絶縁膜13は、例えば無機絶縁膜で形成されていてもよい。無機絶縁膜材料には、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム(Al23)、酸化タンタル(Ta25)などの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0024】
上記ゲート電極12の両側上方の上記ゲート絶縁膜13上にはソース・ドレイン電極14、15が離間して形成されている。上記ソース・ドレイン電極14、15は、少なくとも表面が触媒金属で形成されている。
【0025】
例えば、上記ソース・ドレイン電極14、15は、全体が触媒金属であるニッケル、コバルト、鉄、もしくはそれらのうちの2種以上からなる合金で形成されている。
【0026】
または、上記ソース・ドレイン電極14、15は、一般的な電極材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等で形成されている。もちろん、銅、銅合金、金、白金、タングステン等の電極材料で形成することも可能である。
このソース・ドレイン電極14、15の表面には触媒金属膜(図示せず)が形成されている。この触媒金属膜は、少なくとも数原子層の厚さに形成されていればよい。
上記触媒金属膜は、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、鉄(Fe)、銅(Cu)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、金(Au)、インジウム(In)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)およびタリウム(Tl)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属、もしくは、これらの元素を含む金属化合物または合金を挙げることができる。
好ましくは、上記触媒金属膜は、ニッケル、コバルト、鉄、もしくはそれらのうちの2種以上からなる合金で形成されている。
【0027】
なお、上記ソース・ドレイン電極14、15は、上記ニッケル、コバルト、鉄、もしくはそれらのうちの2種以上からなる合金の他に、上記触媒金属膜の金属材料で上記ソース・ドレイン電極14、15を形成することもできる。
【0028】
上記少なくとも表面が触媒金属からなる上記ソース・ドレイン電極14、15のそれぞれの表面には、炭素薄膜16、17が形成されている。
上記炭素薄膜16、17は、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーもしくはカーボンナノウォールで形成されている。
ここでの炭素薄膜16、17は、結晶性を有していても、結晶性を有していなくてもよい。
具体的には、上記炭素薄膜16、17は、1層のカーボングラファイトシートが巻かれた構造を有する単層カーボンナノチューブ、もしくは、2層以上のカーボングラファイトシートが巻かれた構造を有するいわゆるカーボンナノチューブである。または、カーボングラファイトシートが重なったカーボンナノファイバーである。または、カーボンナノチューブもしくはカーボンナノファイバーの周囲にアモルファスカーボンが堆積(付着)したものである。または、多層グラフェンシートが基板から垂直に成長したカーボンナノウォールである。
【0029】
上記ゲート絶縁膜13上には、上記炭素薄膜16、17が形成された上記ソース・ドレイン電極14、15を被覆する有機半導体層18が形成されている。
上記有機半導体層18には、例えば、ペンタセンを用いる。または、ポリ(3ヘキシルチオフェン)[P3HT:poly(3-hexylthiophene)]を用いる。
また、上記有機半導体層18には、ペンタセン、ポルフィリン等の低分子材料、トリイソプロピルシリルペンタセン[TIPS(triisopropylsilyl)ペンタセン]、ポリアリルアミン等の高分子材料を用いることができる。
このように、有機半導体装置1が構成されている。
【0030】
上記有機半導体装置1では、ソース・ドレイン電極14、15のそれぞれの表面に炭素薄膜16、17が形成されていることから、ソース・ドレイン電極14、15の表面に炭素が密に存在している。このため、炭素薄膜16、17を介してソース・ドレイン電極14、15と有機半導体層18との接触抵抗が低減される。また、ソース・ドレイン電極14、15はその表面が少なくとも触媒金属からなることから、炭素薄膜16、17はソース・ドレイン電極14、15に選択的に形成されている。したがって、チャネルが形成されるゲート絶縁膜13上には形成されていないので、オン電流値/オフ電流値(Ion/Ioff)が減少することがない。
よって、Ion/Ioffを低減させることなく、有機半導体層18とソース・ドレイン電極14、15との接触抵抗を低減できることから、高性能化な有機半導体装置1となる。
【0031】
<2.第2の実施の形態>
[有機半導体装置の構成の第2例]
本発明の第2実施の形態に係る有機半導体装置の構成の第2例を、図2の概略構成断面図によって説明する。
【0032】
図2に示すように、表面が絶縁性を有する基板11上に金属からなるソース・ドレイン電極14、15が離間して形成されている。
上記基板11には、例えばガラス基板やプラスチック基板等を用いる。または、表面に酸化シリコン、窒化シリコン、有機絶縁膜等の絶縁膜で形成されている基板であってもよい。
【0033】
上記基板11上にはソース・ドレイン電極14、15が離間して形成されている。上記ソース・ドレイン電極14、15は、少なくとも表面が触媒金属で形成されている。
【0034】
例えば、上記ソース・ドレイン電極14、15は、全体が触媒金属であるニッケル、コバルト、鉄、もしくはそれらのうちの2種以上からなる合金で形成されている。
【0035】
または、上記ソース・ドレイン電極14、15は、一般的な電極材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等で形成されている。もちろん、銅、銅合金、金、白金、タングステン等の電極材料で形成することも可能である。
このソース・ドレイン電極14、15の表面には触媒金属膜(図示せず)が形成されている。この触媒金属膜は、少なくとも数原子層の厚さに形成されていればよい。
上記触媒金属膜は、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、鉄(Fe)、銅(Cu)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、金(Au)、インジウム(In)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)およびタリウム(Tl)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属、もしくは、これらの元素を含む金属化合物または合金を挙げることができる。
好ましくは、上記触媒金属膜は、ニッケル、コバルト、鉄、もしくはそれらのうちの2種以上からなる合金で形成されている。
【0036】
なお、上記ソース・ドレイン電極14、15は、上記ニッケル、コバルト、鉄、もしくはそれらのうちの2種以上からなる合金の他に、上記触媒金属膜の金属材料で上記ソース・ドレイン電極14、15を形成することもできる。
【0037】
上記少なくとも表面が触媒金属からなる上記ソース・ドレイン電極14、15のそれぞれの表面には、炭素薄膜16、17が形成されている。
上記炭素薄膜16、17は、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーもしくはカーボンナノウォールで形成されている。
ここでの炭素薄膜16、17は、結晶性を有していても、結晶性を有していなくてもよい。
具体的には、上記炭素薄膜16、17は、1層のカーボングラファイトシートが巻かれた構造を有する単層カーボンナノチューブ、もしくは、2層以上のカーボングラファイトシートが巻かれた構造を有するいわゆるカーボンナノチューブである。または、カーボングラファイトシートが重なったカーボンナノファイバーである。または、カーボンナノチューブもしくはカーボンナノファイバーの周囲にアモルファスカーボンが堆積(付着)したものである。または、多層グラフェンシートが基板から垂直に成長したカーボンナノウォールである。
【0038】
上記基板11上には上記炭素薄膜16、17が形成された上記ソース・ドレイン電極14、15被覆する有機半導体層18が形成されている。
上記有機半導体層18には、例えば、ポリ(3ヘキシルチオフェン)[P3HT:poly(3-hexylthiophene)]を用いる。または、ペンタセン、ポルフィリン等の低分子材料、トリイソプロピルシリルペンタセン[TIPS(triisopropylsilyl)ペンタセン]、ポリアリルアミン等の高分子材料を用いることができる。
【0039】
上記有機半導体層18上には、ゲート絶縁膜13が形成されている。
上記ゲート絶縁膜13は、例えば有機絶縁膜で形成されている。この有機絶縁膜材料には、例えばポリパラキシリレンのようなレジスト溶剤に対して耐性を有する樹脂を用いることができる。
または、上記ゲート絶縁膜13は、例えば無機絶縁膜で形成されていてもよい。この無機絶縁膜材料には、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム(Al23)、酸化タンタル(Ta25)などの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0040】
上記ソース・ドレイン電極14、15間上方の上記ゲート絶縁膜13上には、ゲート電極12が形成されている。
上記ゲート電極12には、例えば、金(Au)を用いる。金を用いる場合には、密着層にクロム(Cr)を用いることが好ましい。
また、上記ゲート電極12を形成する金属膜には、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)など一般的な電極材料を使用することができる。
このように、有機半導体装置2が構成されている。
【0041】
上記有機半導体装置2では、ソース・ドレイン電極14、15のそれぞれの表面に炭素薄膜16、17が形成されていることから、ソース・ドレイン電極14、15の表面に炭素が密に存在している。このため、炭素薄膜16、17を介してソース・ドレイン電極14、15と有機半導体層18との接触抵抗が低減される。また、ソース・ドレイン電極14、15はその表面が少なくとも触媒金属からなることから、炭素薄膜16、17はソース・ドレイン電極14、15に選択的に形成されている。したがって、炭素薄膜16、17はソース・ドレイン電極14、15の表面に形成されていて、チャネルが形成される基板11上には形成されていないので、オン電流値/オフ電流値(Ion/Ioff)が減少することがない。
よって、Ion/Ioffを低減させることなく、有機半導体層18とソース・ドレイン電極14、15との接触抵抗を低減できることから、高性能化な有機半導体装置2となる。
【0042】
<3.第3の実施の形態>
[有機半導体装置の製造方法の第1例]
本発明の第3実施の形態に係る有機半導体装置の製造方法の構成の第1例を、図3の製造工程断面図によって説明する。
【0043】
[ゲート電極の形成]
図3(1)に示すように、表面が絶縁性を有する基板11上にゲート電極12を形成する。
上記基板11には、例えばガラス基板やプラスチック基板等を用いる。または、表面に酸化シリコン、窒化シリコン、有機絶縁膜等の絶縁膜で形成されている基板であってもよい。
上記ゲート電極12を形成するには、例えば、上記基板11上に金属膜(図示せず)を形成した後、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術によって金属膜をパターニングすることで形成する。
上記金属膜には、例えば金(Au)を用いる。金を用いる場合には、密着層にクロム(Cr)を用いることが好ましい。
また、上記ゲート電極12を形成する金属膜には、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)など一般的な電極材料を使用することができる。
また、上記ゲート電極12の形成方法には、リフトオフ法、版印刷法、インクジェット方式の印刷法等を用いてもよい。
【0044】
[ゲート絶縁膜の形成]
次に、図3(2)に示すように、上記基板11上に上記ゲート電極12を被覆する有機絶縁膜からなるゲート絶縁膜13を形成する。
上記ゲート絶縁膜13は、例えば有機絶縁膜で形成される。有機絶縁膜材料には、例えばポリビニルフェノール(PVP)を用いる。その形成方法は、例えばスピンコートを用いる。塗布後、150℃〜180℃で1時間のベーキングを行う。このとき、PVPに添加されている架橋剤により、PVPが架橋されるので、以後のフォトリソグラフィ工程が行えるようになる。
すなわち、架橋剤を用いた架橋反応により、ポリビニルフェノール(PVP)中のヒドロキシル基を架橋させることで、その後に用いる有機溶剤耐性を高めることができる。
上記有機絶縁膜材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等を使用することができる。
また、上記ゲート絶縁膜13には、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム(Al23)、酸化タンタル(Ta25)などの無機絶縁膜を用いることもできる。
上記有機絶縁膜はスピンコート、上記無機絶縁膜は、蒸着、スパッタ、CVD法等の成膜方法を用いて形成することができる。
【0045】
[ソース・ドレイン電極の形成]
次に、図3(3)に示すように、上記ゲート絶縁膜13上に少なくとも表面が触媒金属で形成されたソース・ドレイン電極14、15を離間して形成する。例えば、上記ゲート電極12上方の両側に、上記ソース・ドレイン電極14、15は形成される。
【0046】
上記ソース・ドレイン電極14、15を形成するには、まず、レジスト塗布およびフォトリソグラフィ技術によって、上記ゲート絶縁膜13上に、ソース・ドレイン電極を形成する領域に開口部を設けたレジストパターン(図示せず)を形成する。
その後、蒸着法、例えば抵抗加熱蒸着法により、上記ゲート絶縁膜13上に、例えば触媒金属膜を、例えば50nmの厚さに堆積して形成する。このとき、上記レジストパターン上にも触媒金属膜が堆積して形成される。
次に、上記レジストパターン上に堆積された触媒金属膜とともに上記レジストパターンを除去することで、ゲート絶縁膜13上に触媒金属膜からなるソース・ドレイン電極14、15が離間して形成される。
上記ソース・ドレイン電極14、15の形成方法は、例えば、上記ゲート絶縁膜13上に触媒金属膜(図示せず)を形成した後、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術によって触媒金属膜をパターニングすることで形成してもよい。また、通常の版印刷技術、インクジェット方式による印刷技術等の方法を用いて作製してもよい。
【0047】
上記触媒金属膜は、例えば、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、鉄(Fe)、銅(Cu)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、金(Au)、インジウム(In)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)およびタリウム(Tl)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属、もしくは、これらの元素を含む金属化合物または合金で形成することができる。
好ましくは、上記触媒金属膜は、ニッケル、コバルト、鉄、もしくはそれらのうちの2種以上からなる合金で形成される。
【0048】
[ソース・ドレイン電極表面への触媒金属膜の形成]
または、前記図3(3)に示した、上記ソース・ドレイン電極14、15の形成工程において、上記ソース・ドレイン電極14、15を、例えば、一般的な電極材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等で形成してもよい。もちろん、銅、銅合金、金、白金、タングステン等の電極材料で形成することも可能である。
この場合、図4に示すように、上記ソース・ドレイン電極14、15の表面に触媒金属膜19、20を形成する。この触媒金属膜19、20は、少なくとも数原子層の厚さに形成されていればよい。
この触媒金属膜19、20は、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、鉄(Fe)、銅(Cu)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、金(Au)、インジウム(In)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)およびタリウム(Tl)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属、もしくは、これらの元素を含む金属化合物または合金で形成することができる。
好ましくは、上記触媒金属膜19、20は、ニッケル、コバルト、鉄、もしくはそれらのうちの2種以上からなる合金で形成される。
【0049】
要するに、上記ソース・ドレイン電極14、15を形成する工程では、次の工程で形成される炭素薄膜の成長を促す触媒作用のある金属材料が、ソース・ドレイン電極14、15の最表面に形成されていることが重要である。
【0050】
ここで、上記触媒金属膜19、20の具体的な製造方法について、図5、図6および図7によって説明する。
【0051】
図5に示すように、ゲート絶縁膜13上にソース・ドレイン電極14、15を形成した後、新たにソース・ドレイン電極14、15の周囲に隙間を設けてレジストマスク31を形成する。すなわち、レジストマスク31には、開口部32、33内に上記ソース・ドレイン電極14、15が位置するように、開口部32、33が形成されている。その開口部32、33のレジストマスク31側の側壁とソース・ドレイン電極14、15の側壁との間には隙間が設けられている。
その後、例えば蒸着法によって、上記ソース・ドレイン電極14、15の表面に上記触媒金属膜19、20を形成する。よって、上記隙間が狭い場合、例えば形成しようとする触媒金属膜19、20の膜厚程度の隙間の場合には、図示したように、その隙間は上記触媒金属膜19、20によって埋め込まれる。上記隙間が広い場合には、図示していないが、上記触媒金属膜19、20とレジストマスク31との間に上記隙間の一部が残される。
【0052】
または、図6に示すように、レジストマスク34を用いたリフトオフ法によって、ゲート絶縁膜13上にソース・ドレイン電極14、15を形成する。
次いで、上記レジストマスク34をそのままマスクに用いて、例えば斜め蒸着法によって、上記ソース・ドレイン電極14、15の表面に上記触媒金属膜19、20を形成する。
その後、上記レジストマスク34を、上記レジストマスク34上に形成された上記ソース・ドレイン電極14、15形成時の金属膜および上記触媒金属膜19、20の形成時の金属膜とともに除去する。なお、図面は上記レジストマスク34を除去する直前の状態を示した。
上記レジストマスク34は、ソース・ドレイン電極14、15が形成される開口部35、36の側壁が逆テーパ形状に形成されることが好ましい。上記開口部35、36の側壁が逆テーパ形状に形成されることによって、上記ソース・ドレイン電極14、15が形成されるとき、上記レジストマスク34とソース・ドレイン電極14、15との間に隙間が生じる。この隙間を利用して、斜め蒸着法によって、上記ソース・ドレイン電極14、15の上面とともに側面にも上記触媒金属膜19、20が形成されることになる。
【0053】
または、図7に示す製造方法によっても、上記触媒金属膜19、20を形成することができる。以下、その方法について説明する。
【0054】
図7(1)に示すように、前記図3(1)、(2)によて説明したのと同様な製造方法によって、基板11上にゲート電極12を形成し、上記基板11上にそのゲート電極12を被覆するゲート絶縁膜13を形成する。
【0055】
次に、図7(2)に示すように、上記ゲート絶縁膜13上にソース・ドレイン電極となる金属膜31を形成する。次いで上記金属膜31のソース・ドレイン電極を形成する領域上、すなわち、上記ゲート電極12の両側上方の上記金属膜31上にエッチングマスク32、33を形成する。このエッチングマスク32、33は、例えば、レジスト塗布およびリソグラフィ技術によって、レジストで形成される。
【0056】
次に、図7(3)に示すように、上記エッチングマスク32、33を用いたエッチングによって、上記金属膜31をパターニングし、ソース・ドレイン電極14、15を形成する。
【0057】
次に、図7(4)に示すように、上記エッチングマスク32、33(前記図7(3)参照)を除去する。この結果、上記ゲート電極12の両側上方の上記ゲート絶縁膜13上にソース・ドレイン電極14、15が形成される。
【0058】
次に、図7(5)に示すように、上記ゲート絶縁膜13上に上記ソース・ドレイン電極14、15を被覆する触媒金属膜34を形成する。次いで、上記触媒金属膜34上に上記ソース・ドレイン電極14、15を被覆した状態に上記触媒金属膜34が残せるように、エッチングマスク35、36を形成する。すなわち、平面視した状態で、上記エッチングマスク35、36は上記ソース・ドレイン電極14、15より四方均等に大きく形成される。
【0059】
次に、図7(6)に示すように、上記エッチングマスク35、36を用いたエッチング、例えば異方性ドライエッチングである反応性イオンエッチングによって、上記触媒金属膜34をエッチングする。その結果、上記ソース・ドレイン電極14、15を被覆する触媒金属膜19、20が形成される。この触媒金属膜19、20は、上記ソース・ドレイン電極14、15の表面に対して均等な厚さに形成されていることが好ましい。
【0060】
その後、図7(7)に示すように、上記エッチングマスク35、36(前記図7(6)参照)を除去する。この結果、上記ソース・ドレイン電極14、15の表面に触媒金属膜19、20が形成される。
【0061】
上記のようにして、ソース・ドレイン電極14、15の表面に触媒金属膜19、20を形成する。
【0062】
[炭素薄膜の形成]
次に、図3(4)に示すように、少なくとも表面が触媒金属からなる上記ソース・ドレイン電極14、15のそれぞれの表面(触媒金属膜表面)に炭素薄膜16、17を選択的に形成する。この炭素薄膜16、17は、結晶性を有していても、結晶性を有していなくてもよい。上記炭素薄膜16、17は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーもしくはカーボンナノウォールで形成される。
具体的には、上記炭素薄膜16、17は、1層のカーボングラファイトシートが巻かれた構造を有する単層カーボンナノチューブ、もしくは、2層以上のカーボングラファイトシートが巻かれた構造を有するいわゆるカーボンナノチューブで形成される。または、カーボングラファイトシートが重なったカーボンナノファイバーで形成される。または、カーボンナノチューブもしくはカーボンナノファイバーの周囲にアモルファスカーボンが堆積(付着)したもので形成される。または、多層グラフェンシートが基板から垂直に成長したカーボンナノウォールで形成される。
【0063】
例えば、カーボンナノチューブからなる上記炭素薄膜16、17の成膜には、例えば、高密度プラズマを生成できるヘリコン波CVD(以下、PECVDという。)装置を用いる。また、基板にバイアスを印加することで、炭素薄膜16、17の成長を促進することもできる。
上記PECVD装置の成膜条件の一例として、プロセスガスにメタン(CH4)と水素(H2)を用い、CH4のガス流量を50cm3/min、H2のガス流量を50cm3/minとした。また、電源パワーを1500W、基板印加電圧を100V、プラズマ密度を3×1012/cm3、反応雰囲気の圧力を0.1Pa、基板支持部の温度を180℃とした。さらに、電子温度を6.5eV、イオン電流密度を25mA/cm2とした。
上記成膜条件により、180℃という低温で、カーボンナノチューブの炭素薄膜16、17の成膜が可能になった。
【0064】
炭素薄膜16、17を形成するプラズマCVD法として、マイクロ波プラズマCVD法、トランス結合型プラズマCVD法、誘導結合型プラズマCVD法、電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD法、ヘリコン波プラズマCVD法、容量結合型プラズマCVD法、DCプラズマCVD法等を挙げることができる。
または、ホットフィラメントCVD法を採用してもよい。このホットフィラメントプラズマCVD法を用い例えば場合、例えば、アセチレン(C22)と窒素(N2)との混合ガスをプロセスガスに用いることで、200℃以下の温度で、触媒金属(例えばニッケル)上にのみに、カーボンナノチューブを成長させることができる。
低温による炭素薄膜16、17の成長を促進する場合には、高いプラズマ密度を有し、エネルギーを加え基板に活性種を引き込むことのできる、プラズマCVD法が望ましい。特に低温で成長を促進するためには、上記説明したヘリコン波プラズマCVD法を用いることが望ましい。
上記各CVD時には、基板にバイアスを印加することで、炭素薄膜16、17の成長が促進され、200℃以下の低温でも、炭素薄膜16、17の成長を行うことができる。特に基板11がプラスチックの場合は、バイアスを印加した条件下でCVDを行い、低温で炭素薄膜16、17を成長させることができる。
また、熱CVDを用いた場合でも、ソース・ドレイン電極14、15上に選択的に炭素薄膜16、17の成長を行うことができる。
【0065】
なお、上記成膜条件は一例であって、プロセス温度が200℃以下となる温度で成膜条件を適宜変更することができる。また、成膜条件を適宜変更することによって、カーボンナノファイバー、カーボンナノウォールを形成することができる。
【0066】
また、上記炭素薄膜16、17を形成する前に、上記触媒金属表面を還元処理することが好ましい。例えば、アンモニア(NH3)プラズマ処理や水素(H2)プラズマ処理による前処理を行うことで、触媒金属表面の触媒効果を高めることができる。特に、触媒金属がニッケルのときに大きな効果が得られる。
【0067】
[有機半導体層の形成]
次に、図3(5)に示すように、上記ゲート絶縁膜13上に上記炭素薄膜16、17が形成された上記ソース・ドレイン電極14、15を被覆する有機半導体層18を形成する。
上記有機半導体層18は、例えば、抵抗加熱蒸着法によりペンタセンを蒸着して形成する。例えば、成膜速度を0.05nm/s(0.5Å/s)、成膜雰囲気の温度を60℃、成膜雰囲気の圧力を10-5Paに設定して、例えば50nmの厚さに形成する。この結果、C軸方向に配向したペンタセン多結晶薄膜を形成することできる。
または、上記有機半導体層18の成膜には、例えばインクジェット方式による印刷技術を用いる。成膜材料には、例えば、ポリ(3ヘキシルチオフェン)[P3HT:poly(3-hexylthiophene)]を用いる。また、成膜技術には、スピンコート、版印刷などを用いてもよい。また、上記有機半導体層18には、ペンタセン、ポルフィリン等の低分子材料、トリイソプロピルシリルエチニルペンタセン[TIPS−ペンタセン(triisopropylsilylethynyl pentacene)]、ポリアリルアミン等の高分子材料を用いることができる。
【0068】
上記有機半導体装置の第1製造方法では、ソース・ドレイン電極14、15の表面に炭素薄膜16、17を形成することから、ソース・ドレイン電極14、15の表面に炭素が密に存在する。このため、炭素薄膜16、17を介してソース・ドレイン電極14、15と有機半導体層18との接触抵抗が低減される。また、ソース・ドレイン電極14、15はその表面が少なくとも触媒金属で形成されることから、炭素薄膜16、17はソース・ドレイン電極14、15に選択的に形成される。したがって、ゲート絶縁膜13上のチャネルが形成される領域上に炭素薄膜16、17が形成されることがないので、オン電流値/オフ電流値(Ion/Ioff)が減少することがない。
よって、Ion/Ioffを低減させることなく、有機半導体層18とソース・ドレイン電極14、15との接触抵抗を低減できることから、高性能な有機半導体装置1を製造することができる。
【0069】
また、ソース・ドレイン電極14、15の表面は少なくとも触媒金属で形成されていることから、ソース・ドレイン電極14、15の表面のみに炭素薄膜16、17を選択的に形成することができる。よって、炭素薄膜16、17を形成する工程で、マスク工程が不要になっているため、製造コスト、製造負荷が軽減されている。
さらに、ソース・ドレイン電極14、15がフォトリソグラフィを用いて形成されるので、ソース・ドレイン電極14、15の形成に高精細プロセスを適用することが可能である。
さらに、成膜技術にCVD法を用いることが可能になるので、大面積の基板に対応したプロセスになっている。すなわち、上記基板11に大面積の基板を用いることができる。
【0070】
<4.第4の実施の形態>
[有機半導体装置の製造方法の第2例]
本発明の第4実施の形態に係る有機半導体装置の製造方法の第2例を、図8の製造工程断面図によって説明する。
【0071】
[ソース・ドレイン電極の形成]
図8(1)に示すように、表面が絶縁性を有する基板11上に少なくとも表面が触媒金属で形成されたソース・ドレイン電極14、15を離間して形成する。
上記基板11には、例えばガラス基板やプラスチック基板等を用いる。または、表面に酸化シリコン、窒化シリコン、有機絶縁膜等の絶縁膜で形成されている基板であってもよい。
【0072】
上記ソース・ドレイン電極14、15を形成するには、まず、レジスト塗布およびフォトリソグラフィ技術によって、上記ゲート絶縁膜13上に、ソース・ドレイン電極を形成する領域に開口部を設けたレジストパターン(図示せず)を形成する。
その後、蒸着法、例えば抵抗加熱蒸着法により、上記ゲート絶縁膜13上に、例えば触媒金属膜を、例えば50nmの厚さに堆積して形成する。このとき、上記レジストパターン上にも触媒金属膜が堆積して形成される。
次に、上記レジストパターン上に堆積された触媒金属膜とともに上記レジストパターンを除去することで、ゲート絶縁膜13上に触媒金属膜からなるソース・ドレイン電極14、15が離間して形成される。
上記ソース・ドレイン電極14、15の形成方法は、例えば、上記ゲート絶縁膜13上に触媒金属膜(図示せず)を形成した後、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術によって触媒金属膜をパターニングすることで形成してもよい。また、通常の版印刷技術、インクジェット方式による印刷技術等の方法を用いて作製してもよい。
【0073】
上記触媒金属膜は、例えば、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、鉄(Fe)、銅(Cu)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、金(Au)、インジウム(In)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)およびタリウム(Tl)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属、もしくは、これらの元素を含む金属化合物または合金で形成することができる。
好ましくは、上記触媒金属膜は、ニッケル、コバルト、鉄、もしくはそれらのうちの2種以上からなる合金で形成される。
【0074】
[ソース・ドレイン電極表面への触媒金属膜の形成]
または、前記図8(1)に示した、上記ソース・ドレイン電極14、15の形成工程において、上記ソース・ドレイン電極14、15を、例えば、一般的な電極材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等で形成してもよい。もちろん、銅、銅合金、金、白金、タングステン等の電極材料で形成することも可能である。
この場合、前記図4によって説明したように、上記ソース・ドレイン電極14、15の表面に触媒金属膜19、20を形成する。この触媒金属膜19、20は、少なくとも数原子層の厚さに形成されていればよい。
【0075】
要するに、上記ソース・ドレイン電極14、15を形成する工程では、次の工程で形成される炭素薄膜の成長を促す触媒作用のある金属材料が、ソース・ドレイン電極14、15の最表面に形成されていることが重要である。
【0076】
上記触媒金属膜19、20の具体的な製造方法について、前記図5、図6および図7によって説明したのと同様である。
【0077】
[炭素薄膜の形成]
次に、図8(2)に示すように、上記ソース・ドレイン電極14、15のそれぞれの表面(触媒金属膜表面)に炭素薄膜16、17を選択的に形成する。この炭素薄膜16、17は、結晶性を有していても、結晶性を有していなくてもよい。上記炭素薄膜16、17は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーもしくはカーボンナノウォールで形成される。
具体的には、上記炭素薄膜16、17は、1層のカーボングラファイトシートが巻かれた構造を有する単層カーボンナノチューブ、もしくは、2層以上のカーボングラファイトシートが巻かれた構造を有するいわゆるカーボンナノチューブで形成される。または、カーボングラファイトシートが重なったカーボンナノファイバーで形成される。または、カーボンナノチューブもしくはカーボンナノファイバーの周囲にアモルファスカーボンが堆積(付着)したもので形成される。または、多層グラフェンシートが基板から垂直に成長したカーボンナノウォールで形成される。
【0078】
例えば、カーボンナノチューブからなる上記炭素薄膜16、17の成膜には、例えば、高密度プラズマを生成できるヘリコン波CVD(以下、PECVDという。)装置を用いる。また、基板にバイアスを印加することで、炭素薄膜16、17の成長を促進することもできる。
上記PECVD装置の成膜条件の一例として、プロセスガスにメタン(CH4)と水素(H2)を用い、CH4のガス流量を50cm3/min、H2のガス流量を50cm3/minとした。また、電源パワーを1500W、基板印加電圧を100V、プラズマ密度を3×1012/cm3、反応雰囲気の圧力を0.1Pa、基板支持部の温度を180℃とした。さらに、電子温度を6.5eV、イオン電流密度を25mA/cm2とした。
上記成膜条件により、180℃という低温で、カーボンナノチューブの炭素薄膜16、17の成膜が可能になった。
【0079】
炭素薄膜16、17を形成するプラズマCVD法として、マイクロ波プラズマCVD法、トランス結合型プラズマCVD法、誘導結合型プラズマCVD法、電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD法、ヘリコン波プラズマCVD法、容量結合型プラズマCVD法、DCプラズマCVD法等を挙げることができる。
または、ホットフィラメントCVD法を採用してもよい。このホットフィラメントプラズマCVD法を用い例えば場合、例えば、アセチレン(C22)と窒素(N2)との混合ガスをプロセスガスに用いることで、200℃以下の温度で、触媒金属(例えばニッケル)上にのみに、カーボンナノチューブを成長させることができる。
低温による炭素薄膜16、17の成長を促進する場合には、高いプラズマ密度を有し、エネルギーを加え基板に活性種を引き込むことのできる、プラズマCVD法が望ましい。特に低温で成長を促進するためには、上記説明したヘリコン波プラズマCVD法を用いることが望ましい。
上記各CVD時には、基板にバイアスを印加することで、炭素薄膜16、17の成長が促進され、200℃以下の低温でも、炭素薄膜16、17の成長を行うことができる。特に基板11がプラスチックの場合は、バイアスを印加した条件下でCVDを行い、低温で炭素薄膜16、17を成長させることができる。
また、熱CVDを用いた場合でも、ソース・ドレイン電極14、15上に選択的に炭素薄膜16、17の成長を行うことができる。
【0080】
なお、上記成膜条件は一例であって、プロセス温度が200℃以下となる温度で成膜条件を適宜変更することができる。また、成膜条件を適宜変更することによって、カーボンナノファイバー、カーボンナノウォールを形成することができる。
【0081】
また、上記炭素薄膜16、17を形成する前に、上記触媒金属表面を還元処理することが好ましい。例えば、アンモニア(NH3)プラズマ処理や水素(H2)プラズマ処理による前処理を行うことで、触媒金属表面の触媒効果を高めることができる。特に、触媒金属がニッケルのときに大きな効果が得られる。
【0082】
[有機半導体層の形成]
次に、図8(3)に示すように、上記基板11上に、上記炭素薄膜16、17が形成された上記ソース・ドレイン電極14、15を被覆する有機半導体層18を形成する。
上記有機半導体層18は、例えば、抵抗加熱蒸着法によりペンタセンを蒸着して形成する。例えば、成膜速度を0.05nm/s(0.5Å/s)、成膜雰囲気の温度を60℃、成膜雰囲気の圧力を10-5Paに設定して、例えば50nmの厚さに形成する。この結果、C軸方向に配向したペンタセン多結晶薄膜を形成することできる。
または、上記有機半導体層18の成膜には、例えばインクジェット方式による印刷技術を用いる。成膜材料には、例えば、ポリ(3ヘキシルチオフェン)[P3HT:poly(3-hexylthiophene)]を用いる。また、成膜技術には、スピンコート、版印刷などを用いてもよい。また、上記有機半導体層18には、ペンタセン、ポルフィリン等の低分子材料、トリイソプロピルシリルエチニルペンタセン[TIPS−ペンタセン(triisopropylsilylethynyl pentacene)]、ポリアリルアミン等の高分子材料を用いることができる。
【0083】
[ゲート絶縁膜の形成]
次に、図8(4)に示すように、上記有機半導体層18上にゲート絶縁膜13を形成する。
上記ゲート絶縁膜13は、例えば有機絶縁膜で形成される。有機絶縁膜材料には、例えばポリパラキシリレン(Poly-para-Xylylene)を用いる。このポリパラキシリレンは、例えば熱CVD法によって成膜することができる。また、上記ポリパラキシリレンからなるゲート絶縁膜13は、ペンタセン、ポルフィリン等の低分子材料で形成された上記有機半導体層18上に形成することができる。またトリイソプロピルシリルエチニルペンタセン[TIPS−ペンタセン]、ポリアリルアミン等の高分子材料で形成された上記有機半導体層18上にも形成することができる。さらにポリ(3ヘキシルチオフェン)[P3HT:poly(3-hexylthiophene)]で形成された上記有機半導体層18上にも形成することができる。
【0084】
また、上記有機半導体層18がポリ(3ヘキシルチオフェン)で形成されている場合には、上記ゲート絶縁膜13にポリビニルフェノール(PVP)を用いることもできる。その形成方法は、例えばスピンコートを用いる。塗布後、150℃〜180℃で1時間のベーキングを行う。このとき、PVPに添加されている架橋剤により、PVPが架橋されるので、以後のフォトリソグラフィ工程が行えるようになる。
すなわち、架橋剤を用いた架橋反応により、ポリビニルフェノール(PVP)中のヒドロキシル基を架橋させることで、その後に用いる有機溶剤耐性を高めることができる。
【0085】
また上記有機半導体層18がポリ(3ヘキシルチオフェン)で形成されている場合には、上記ポリビニルフェノールの代わりにポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いることもできる。上記ポリメチルメタクリレートもスピンコートにより成膜することができる。
【0086】
また、上記有機半導体層18がトリイソプロピルシリルペンタセンで形成されている場合には、上記ゲート絶縁膜13にアモルファスフッソ樹脂(例えば、旭化成株式会社製のサイトップ(商品名))、フッ素系ポリマーを用いることができる。上記アモルファスフッソ樹脂、フッ素系ポリマーは、例えばスピンコートによって成膜することができる。
【0087】
上記有機絶縁膜材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等を使用することができる。これらの有機絶縁膜はスピンコートを用いて形成することができる。
【0088】
また、上記ゲート絶縁膜13には、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム(Al23)、酸化タンタル(Ta25)などの無機絶縁膜を用いることもできる。
上記無機絶縁膜は、蒸着、スパッタ、CVD法等の成膜方法を用いて形成することができる。
【0089】
[ゲート電極の形成]
次に、図8(5)に示すように、上記ゲート絶縁膜13上にゲート電極12を形成する。上記ゲート電極12は、例えば、上記ソース・ドレイン電極14、15間上のゲート絶縁膜13上に形成される。
上記ゲート電極12を形成するには、例えば、上記ゲート絶縁膜13上に金属膜(図示せず)を形成した後、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術によって金属膜をパターニングすることで形成する。
上記金属膜には、例えば金(Au)を用いる。金を用いる場合には、密着層にクロム(Cr)を用いることが好ましい。
また、上記ゲート電極12を形成する金属膜には、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)など一般的な電極材料を使用することができる。
また、形成方法には、リフトオフ法、版印刷法、インクジェット方式の印刷法等を用いてもよい。
【0090】
上記有機半導体装置の第2製造方法では、ソース・ドレイン電極14、15の表面に炭素薄膜16、17を形成することから、ソース・ドレイン電極14、15の表面に炭素が密に存在する。このため、炭素薄膜16、17を介してソース・ドレイン電極14、15と有機半導体層18との接触抵抗が低減される。また、ソース・ドレイン電極14、15はその表面が少なくとも触媒金属で形成されることから、炭素薄膜16、17はソース・ドレイン電極14、15に選択的に形成される。したがって、ソース・ドレイン電極14、15間の基板11上のチャネルが形成される領域上に炭素薄膜16、17が形成されることがないので、オン電流値/オフ電流値(Ion/Ioff)が減少することがない。
よって、Ion/Ioffを低減させることなく、有機半導体層18とソース・ドレイン電極14、15との接触抵抗を低減できることから、高性能な有機半導体装置2を製造することができる。
【0091】
また、ソース・ドレイン電極14、15の表面は少なくとも触媒金属で形成されていることから、ソース・ドレイン電極14、15の表面のみに炭素薄膜16、17を選択的に形成することができる。よって、炭素薄膜16、17を形成する工程で、マスク工程が不要になっているため、製造コスト、製造負荷が軽減されている。
さらに、ソース・ドレイン電極14、15がフォトリソグラフィを用いて形成することが可能なので、ソース・ドレイン電極14、15の形成に高精細プロセスを適用することが可能である。
さらに、成膜技術にCVD法を用いることが可能になるので、大面積の基板に対応したプロセスになっている。すなわち、上記基板11に大面積の基板を用いることができる。
【0092】
上記第1実施の形態の有機半導体装置1、上記第2実施の形態の有機半導体装置2、および上記第3実施の形態、第4実施の形態で作製された有機半導体装置は、各種電子機器に搭載されるトランジスタに用いることができる。例えば、ディスプレイのバックプレーン、RF−IDタグ、センサー、メモリー装置等の回路の一部を構成するトランジスタに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る有機半導体装置の構成の第1例を示した概略構成断面図である。
【図2】本発明の第2実施の形態に係る有機半導体装置の構成の第2例を示した概略構成断面図である。
【図3】本発明の第3実施の形態に係る有機半導体装置の製造方法の第1例を示した製造工程断面図である。
【図4】触媒金属膜を形成する製造方法の一例を示した製造工程断面図である。
【図5】触媒金属膜の製造方法の一例を示した製造工程断面図である。
【図6】触媒金属膜の製造方法の一例を示した製造工程断面図である。
【図7】触媒金属膜の製造方法の一例を示した製造工程断面図である。
【図8】本発明の第4実施の形態に係る有機半導体装置の製造方法の第2例を示した製造工程断面図である。製造工程断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1…有機半導体装置、11…基板、12…ゲート電極、13…ゲート絶縁膜、14,15…ソース・ドレイン電極、16,17…炭素薄膜、18…有機半導体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が絶縁性を有する基板の表面上に形成されたゲート電極と、
前記基板上に形成されていて前記ゲート電極を被覆する有機絶縁膜からなるゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に離間して形成されていて少なくとも表面が触媒金属からなるソース・ドレイン電極と、
前記ソース・ドレイン電極の表面に形成された炭素薄膜と、
前記ゲート電極の両側上方の前記ゲート絶縁膜上に形成されていて前記炭素薄膜が形成された前記ソース・ドレイン電極を被覆する有機半導体層を有する
有機半導体装置。
【請求項2】
前記ソース・ドレイン電極は触媒金属で形成されている
請求項1記載の有機半導体装置。
【請求項3】
前記ソース・ドレイン電極は金属で形成され、
前記触媒金属は前記ソース・ドレイン電極の表面を被覆する触媒金属膜で形成されている
請求項1記載の有機半導体装置。
【請求項4】
前記触媒金属膜は、ニッケル、コバルト、鉄、もしくはそれらのうちの2種以上からなる合金で形成されている
請求項2または請求項3記載の有機半導体装置。
【請求項5】
前記炭素薄膜は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、もしくはカーボンナノウォールで形成されている
請求項1、請求項2または請求項3記載の有機半導体装置。
【請求項6】
表面が絶縁性を有する基板の表面上に離間して形成されていて少なくとも表面が触媒金属からなるソース・ドレイン電極と、
前記ソース・ドレイン電極の表面に形成された炭素薄膜と、
前記基板上に形成されていて前記炭素薄膜が形成された前記ソース・ドレイン電極を被覆する有機半導体層と、
前記有機半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ソース・ドレイン電極間上方の前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極を有する
有機半導体装置。
【請求項7】
前記ソース・ドレイン電極は触媒金属で形成されている
請求項6記載の有機半導体装置。
【請求項8】
前記ソース・ドレイン電極は金属で形成され、
前記触媒金属は前記ソース・ドレイン電極を被覆する触媒金属膜で形成されている
請求項6記載の有機半導体装置。
【請求項9】
前記触媒金属膜は、ニッケル、コバルト、鉄、もしくはそれらのうちの2種以上からなる合金で形成されている
請求項7または請求項8記載の有機半導体装置。
【請求項10】
前記炭素薄膜は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、もしくはカーボンナノウォールで形成されている
請求項6、請求項7または請求項8記載の有機半導体装置。
【請求項11】
表面が絶縁性を有する基板の表面上にゲート電極を形成する工程と、
前記基板上に前記ゲート電極を被覆する有機絶縁膜からなるゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート電極の両側上方の前記ゲート絶縁膜上に少なくとも表面が触媒金属で形成されたソース・ドレイン電極を離間して形成する工程と、
前記ソース・ドレイン電極の表面に炭素薄膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に前記炭素薄膜が形成された前記ソース・ドレイン電極を被覆する有機半導体層を形成する工程を有する
有機半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記ソース・ドレイン電極は触媒金属膜で形成される
請求項11記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記少なくとも表面が触媒金属で形成されたソース・ドレイン電極を離間して形成する工程は、
前記ゲート絶縁膜上にソース・ドレイン電極を離間して形成する工程と、
前記ソース・ドレイン電極の表面に触媒金属膜を形成する工程を有する
請求項11記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記触媒金属膜にニッケルを用いて前記ソース・ドレイン電極を形成した後で、前記炭素薄膜を形成する前に、
前記触媒金属膜の表面を還元処理する工程を有する
請求項12または請求項13記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項15】
表面が絶縁性を有する基板の表面上に少なくとも表面が触媒金属で形成されたソース・ドレイン電極を離間して形成する工程と、
前記ソース・ドレイン電極の表面に前記炭素薄膜を形成する工程と、
前記基板上に前記炭素薄膜が形成された前記ソース・ドレイン電極を被覆する有機半導体層を形成する工程と、
前記有機半導体層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ソース・ドレイン電極間上方の前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程を有する
有機半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記ソース・ドレイン電極は触媒金属膜で形成される
請求項15記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記少なくとも表面が触媒金属で形成されたソース・ドレイン電極を離間して形成する工程は、
前記基板上にソース・ドレイン電極を離間して形成する工程と、
前記ソース・ドレイン電極の表面に触媒金属膜を形成する工程を有する
請求項15記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記触媒金属にニッケルを用いて前記ソース・ドレイン電極で形成した後で、前記炭素薄膜を形成する前に、
前記触媒金属膜の表面を還元処理する工程を有する
請求項16または請求項17記載の有機半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−141161(P2010−141161A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316550(P2008−316550)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】