説明

案内装置、案内方法、案内プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体

【課題】最適な移動方式による案内情報を出力し、安全かつ適切な移動を図ること。
【解決手段】取得部101は、移動体の起動時に、移動体が停止していた停止時間を取得する。算出部102は、移動体の起動時における現在地点を算出する。そして、生成部103は、取得部101によって取得された停止時間と、算出部102によって算出された現在地点とに応じて、移動体の利用者の移動に関する案内情報を生成し、出力部104は、生成部103によって生成された案内情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体の利用者を案内する案内装置、案内方法、案内プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は、上述した案内装置、案内方法、案内プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体には限られない。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両などの移動体を操作する利用者が、飲酒状態や居眠り状態などの操作に不適切な状態である場合、利用者による移動体の危険な操作を防止するための仕組みが開発されている。
【0003】
近年では、飲酒状態や居眠り状態のような危険な状態のまま利用者が車両の運転を継続することをできるだけ防止するために、アルコール濃度検出器やハンドル角検出器からの情報を用いて危険な運転状態を判定する。そして、ナビゲーション装置によって、利用者が危険な運転状態であった場合に、安全に停車できる場所までの経路案内をおこなう提案がされている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−24507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、ナビゲーション装置にくわえて、利用者の状態を判定するためにアルコール検出器やハンドル角検出器などの検出器を設置して、検出器からの出力値の解析処理などの必要がある。したがって、機器設置の高コスト化および処理負荷の増大を招いてしまうという問題が一例として挙げられる。
【0006】
また、上述した従来技術では、利用者が危険な運転状態であると判定すると、停車地点までの経路案内をおこなう構成であるため、利用者が目的地点に到達するには、利用者は、車両を停車させてから危険な運転状態を脱するまで待機しなければならない。
【0007】
すなわち、利用者は、自身の予定通りに目的地点に到達することが困難になってしまうという問題が一例として挙げられる。さらに、利用者は、目的地点に予定通り到達するために、停車地点までの経路案内にしたがわない場合は、危険な運転状態を継続することとなってしまう。
【0008】
また、上述した従来技術では、アルコールや蛇行運転を検出した場合に、停車地点まで経路案内をおこなう構成であるため、利用者は、アルコールや蛇行運転の検出時から停車地点までは危険な運転状態を継続するという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる案内装置は、移動体の起動時に、当該移動体が停止していた停止時間を取得する取得手段と、前記移動体の起動時における現在地点を算出する算出手段と、前記取得手段によって取得された停止時間と、前記算出手段によって算出された現在地点とに応じて、前記移動体の利用者の移動に関する案内情報を生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された案内情報を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項7の発明にかかる案内方法は、移動体の起動時に、当該移動体が停止していた停止時間を取得する取得工程と、前記移動体の起動時における現在地点を算出する算出工程と、前記取得工程によって取得された停止時間と、前記算出工程によって算出された現在地点とに応じて、前記移動体の利用者の移動に関する案内情報を生成する生成工程と、前記生成工程によって生成された案内情報を出力する出力工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項8の発明にかかる案内プログラムは、請求項7に記載の案内方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項9の発明にかかるコンピュータに読み取り可能な記録媒体は、請求項8に記載の案内プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる案内装置、案内方法、案内プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態)
(案内装置の機能的構成)
図1を用いて、本実施の形態にかかる案内装置の機能的構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる案内装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
図1において、案内装置100は、取得部101と、算出部102と、生成部103と、出力部104と、から構成されている。
【0016】
取得部101は、移動体の起動時に、移動体が停止していた停止時間を取得する。具体的には、たとえば、停止時間の取得は、移動体が停止した時点で起動する不図示のタイマーによって、移動体の起動時までの時間を計測する構成でもよい。ここで、移動体の起動は、たとえば、移動体の駆動部の起動や移動体の移動開始などを検知する構成でもよい。
【0017】
また、取得部101は、移動体が起動した起動時刻を取得することとしてもよい。起動時刻を用いた場合、停止時間は、たとえば、移動体が停止した停止時刻と起動時刻との差分から取得することもできる。
【0018】
算出部102は、移動体の起動時における現在地点を算出する。具体的には、たとえば、現在地点の算出は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信することで現在地点を示す情報を出力する不図示のGPS受信機や、移動体の挙動を示す情報を出力する不図示の自律センサなどの出力値を用いて算出する。
【0019】
生成部103は、取得部101によって取得された停止時間と、算出部102によって算出された現在地点とに応じて、移動体の利用者の移動に関する案内情報を生成する。案内情報は、たとえば、利用者の移動先となる地点や移動する方式などについて案内する情報である。また、生成部103は、停止時間および起動時刻と、現在地点とに応じて、案内情報を生成する構成でもよい。
【0020】
具体的には、たとえば、生成部103は、移動体が停止している間に、利用者が利用したと推定される施設に応じて、案内情報を生成する。より具体的には、たとえば、生成部103は、利用者が利用したと推定される施設が、利用者が飲酒可能な施設であった場合、利用者が選択可能な移動方式の候補の中から設定される移動方式に応じて、案内情報を生成する。
【0021】
具体的には、たとえば、移動方式の設定は、図示しない表示部などによって移動方式の候補を表示することによって、利用者の選択を受け付けることとしてもよい。このようにすることで、利用者の意志を尊重して移動方式を設定することができる。
【0022】
また、生成部103は、たとえば、利用者が利用したと推定される施設が、利用者が酒類を購入可能な施設であった場合、利用者が選択可能な移動方式の候補の中から設定される移動方式に応じて、案内情報を生成することとしてもよい。
【0023】
ここで、移動方式は、たとえば、利用者の移動体とは異なる移動体や徒歩などの移動方式であり、利用者が選択可能な移動方式の候補は、利用者が移動体を操作しないで移動する方式を含むこととしてもよい。
【0024】
出力部104は、生成部103によって生成された案内情報を出力する。具体的には、たとえば、出力部104は、表示出力や音声出力などによって案内情報を出力する構成でもよい。
【0025】
(案内装置の処理の内容)
つぎに、図2を用いて、本実施の形態にかかる案内装置100の処理の内容について説明する。図2は、本実施の形態にかかる案内装置の処理の内容を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、まず、案内装置100は、移動体が起動したか否かを判断する(ステップS201)。移動体の起動は、たとえば、移動体の駆動部の起動や移動体の移動開始などを検知する構成でもよい。
【0026】
ステップS201において、移動体が起動するのを待って、起動した場合(ステップS201:Yes)は、取得部101によって、ステップS201において起動された移動体が停止していた停止時間を取得する(ステップS202)。
【0027】
つぎに、算出部102によって、ステップS201における移動体の起動時における現在地点を算出する(ステップS203)。なお、図2のフローチャートでは、ステップS202において停止時間を取得し、ステップS203において現在地点を算出することとして説明するが、現在地点を算出してから停止時間を取得することとしてもよい。
【0028】
つぎに、生成部103によって、ステップS202において取得された停止時間と、ステップS203において算出された現在地点とに応じて、案内情報を生成する(ステップS204)。
【0029】
そして、出力部104によって、ステップS204において生成された案内情報を出力して(ステップS205)、一連の処理を終了する。
【0030】
なお、本発明の案内装置、案内方法、案内プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体は、図1に示した案内装置100によって、その機能を実現することとしたが、案内装置100に限ることはなく、図1に示す機能部を備える構成とすれば、複数の装置であってもよい。各機能部を異なる装置として接続する場合、装置間の接続は、たとえば、有線、無線を問わず、Bluetooth(登録商標)などによって通信をおこなって接続することとしてもよい。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態にかかる案内装置、案内方法、案内プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体によれば、移動体の停止状況に応じて最適な移動方式による案内情報を出力できるため、利用者は、安全かつ適切な移動を図ることができる。
【実施例】
【0032】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、たとえば、車両(四輪車、二輪車を含む)などの移動体に搭載されるナビゲーション装置によって、本発明の案内装置を実施した場合の一例について説明する。
【0033】
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
つぎに、図3を用いて、本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
図3において、ナビゲーション装置300は、車両などの移動体に搭載されており、CPU301と、ROM302と、RAM303と、磁気ディスクドライブ304と、磁気ディスク305と、光ディスクドライブ306と、光ディスク307と、音声I/F(インターフェース)308と、スピーカ309と、入力デバイス310と、映像I/F311と、ディスプレイ312と、通信I/F313と、GPSユニット314と、各種センサ315と、を備えている。また、各構成部301〜315はバス320によってそれぞれ接続されている。
【0035】
まず、CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、現在地点算出プログラム、経路探索プログラム、経路誘導プログラム、音声生成プログラム、表示制御プログラムなどの各種プログラムを記録している。また、RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。
【0036】
現在地点算出プログラムは、たとえば、後述するGPSユニット314および各種センサ315の出力情報に基づいて、車両の現在地点(ナビゲーション装置300の現在地点)を算出させる。
【0037】
経路探索プログラムは、後述する磁気ディスク305に記録されている地図情報や走行履歴情報などを利用して、出発地点から目的地点までの最適な経路を探索させる。ここで、最適な経路とは、目的地点までの最短(あるいは最速)経路や利用者が指定した条件に最も合致する経路などである。
【0038】
また、経路探索プログラムは、たとえば、車両の停車状況や現在地点から最適な経路を探索させることとしてもよい。詳細は図4〜図6を用いて説明するが、最適な経路は、たとえば、利用者が利用したと推定される施設に応じて探索させる構成でもよい。
【0039】
より具体的には、たとえば、最適な経路は、利用者が飲食店や酒類を販売する店舗を利用したことによって飲酒があったと推定される場合、付近の公共交通機関までの経路や、徒歩で到達可能な休憩施設(宿泊施設)までの経路などでもよい。休憩施設(宿泊施設)までの経路は、たとえば、休憩施設(宿泊施設)の連絡先もあわせて検索することで、利用者に提供する構成でもよい。
【0040】
また、経路探索プログラムは、たとえば、利用者による飲酒があったと推定される場合、経路を探索させる代わりに、タクシーや代行運転などの連絡先を検索させる構成としてもよい。このように、利用者による飲酒があったと推定される場合、利用者自身の車両以外の交通手段による移動を促すことで、利用者による不適切な運転を予防することができる。
【0041】
ここで、飲食店を利用したことによって飲酒があると推定されるのは、たとえば、停車地点や停車時間などによって、下記(1)〜(5)の条件を満たす場合でもよい。
【0042】
(1)車両の起動時刻が夜間(たとえば、19時〜翌4時)
(2)車両の停車時間が30分以上
(3)車両の停車地点の近距離(たとえば、100m以内)に飲酒可能な飲食店がある
(4)飲酒可能な飲食店として、ファミリーレストランやメニューに酒類のある飲食店なども考慮する
(5)飲食店の営業時間内の停車
【0043】
また、酒類を販売する店舗を利用したことによって飲酒があると推定されるのは、たとえば、停車地点や停車時間などによって、下記(1)〜(5)の条件を満たす場合でもよい。
【0044】
(1)車両の起動時刻が夜間(たとえば、19時〜翌4時)
(2)車両の停車時間が5分以上
(3)車両の停車地点の近距離(たとえば、100m以内)に酒類が購入可能な店舗がある
(4)酒類が購入可能な店舗として、酒店、スーパー、ディスカウントストア、酒類を販売しているコンビニエンスストアなども考慮する
(5)酒類が購入可能な店舗の営業時間内の停車
【0045】
このように、利用者が飲酒する可能性の高い時間帯に一定時間以上停車して、車両が起動した際に利用者による飲酒があると推定された場合、代替の交通手段を提供する構成である。また、タクシーや代行運転や休憩施設(宿泊施設)などの連絡先を検索させることで、代替の交通手段の手配が速やかにおこなえることとなる。
【0046】
また、詳細は図4および図5を用いて説明するが、後述するディスプレイ312によって表示される飲酒確認画面や交通手段選択画面など用いて、利用者に飲酒の有無を確認したり、利用者から代替の交通手段の設定を受け付けたりしてもよい。このように、飲酒確認画面によって、適切に飲酒の有無を判断することができ、交通手段選択画面によって、利用者は、飲酒をした場合の最適な代替手段を選択することができる。すなわち、利用者が飲酒していない場合は、そのまま自身の車両を運転することとしてもよい。
【0047】
経路誘導プログラムは、経路探索プログラムを実行することによって探索された誘導経路情報、現在地点算出プログラムを実行することによって算出された車両の現在地点情報、後述する磁気ディスク305から読み出された地図情報に基づいて、経路誘導情報の生成をおこなわせる。経路誘導プログラムを実行することによって生成された経路誘導情報は、CPU301を介して音声I/F308や映像I/F311へ出力される。
【0048】
音声生成プログラムは、パターンに対応したトーンと音声の情報を生成させる。すなわち、経路誘導プログラムを実行することによって生成された経路誘導情報に基づいて、案内ポイントに対応した仮想音源の設定と音声ガイダンス情報の生成をおこなわせる。生成された音声ガイダンス情報は、CPU301を介して音声I/F308へ出力される。
【0049】
表示制御プログラムは、映像I/F311によってディスプレイ312に表示する地図情報やコンテンツの表示形式を決定させ、決定された表示形式によって地図情報やコンテンツをディスプレイ312に表示させる。
【0050】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0051】
磁気ディスク305に記録される情報の一例として、経路探索・経路誘導などに用いる地図情報が挙げられる。地図情報は、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データと、道路の形状をあらわす道路形状データとを有しており、ディスプレイ312の表示画面において2次元または3次元に描画される。
【0052】
また、地図情報は、たとえば、地図上の公共交通機関や各種施設に関する情報を含んでいる。具体的には、たとえば、公共交通機関に関する情報は、電車やバスに対する、駅やバス停の位置情報や運賃や発着時刻などの情報である。また、各種施設に関する情報は、たとえば、店舗の位置情報や営業時間や連絡先などの情報である。
【0053】
なお、本実施例では地図情報を磁気ディスク305に記録するようにしたが、後述する光ディスク307に記録するようにしてもよい。また、地図情報は、ナビゲーション装置300のハードウェアと一体に設けられているものに限って記録されているものではなく、ナビゲーション装置300外部に設けられていてもよい。その場合、ナビゲーション装置300は、たとえば、通信I/F313を通じて、ネットワークを介して地図情報を取得する。取得された地図情報はRAM303などに記憶される。
【0054】
光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータの読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱自在な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0055】
音声I/F308は、音声出力用のスピーカ309に接続され、スピーカ309からは音声が出力される。
【0056】
入力デバイス310は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。
【0057】
映像I/F311は、ディスプレイ312と接続される。映像I/F311は、具体的には、たとえば、ディスプレイ312全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ312を表示制御する制御ICなどによって構成される。
【0058】
ディスプレイ312には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ312は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【0059】
通信I/F313は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300とCPU301とのインターフェースとして機能する。通信I/F313は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU301とのインターフェースとしても機能する。
【0060】
通信網には、LAN、WAN、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信I/F313は、たとえば、地上波デジタル放送やアナログテレビ放送やFMラジオなどを受信可能なチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバ、無線ナビゲーション装置、およびその他のナビゲーション装置によって構成され、VICSセンターから配信される渋滞や交通規制などの道路交通情報を取得する。なお、VICSは登録商標である。
【0061】
GPSユニット314は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在地点を示す情報を出力する。GPSユニット314の出力情報は、後述する各種センサ315の出力値とともに、CPU301による車両の現在地点の算出に際して利用される。現在地点を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図情報上の1点を特定する情報である。
【0062】
各種センサ315は、車速センサや加速度センサ、角速度センサなどを含み、車両の位置や挙動を判断することが可能な情報を出力する。各種センサ315の出力値は、CPU301による車両の現在地点の算出や、速度や方位の変化量の測定などに用いられる。
【0063】
なお、本実施例では、車両に搭載されたナビゲーション装置300による例について説明するが、利用者の携帯端末や、PC(パーソナル・コンピュータ)によって本発明の案内装置を実施するようにしてもよい。
【0064】
なお、図1に示した案内装置100が備える取得部101、算出部102、生成部103、出力部104は図3に示したナビゲーション装置300におけるROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置300における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0065】
すなわち、本実施例のナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300における記録媒体としてのROM302に記録されているプログラムを実行することにより、図1に示した案内装置100が備える機能を、図2に示した手順で実行することができる。
【0066】
(ナビゲーション装置300の処理の内容)
つぎに、図4を用いて、本実施例にかかるナビゲーション装置300の処理の内容について説明する。図4は、本実施例にかかるナビゲーション装置の処理の内容を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、まず、CPU301によって、車両が起動したか否かを判断する(ステップS401)。
【0067】
車両の起動は、たとえば、エンジンの起動や移動開始などを検知する構成でもよい。また、ステップS401では、車両の起動を判断する構成であるが、車両の代わりにナビゲーション装置300が起動したか否かを判断してもよい。
【0068】
ステップS401において、車両が起動するのを待って、起動した場合(ステップS401:Yes)は、CPU301によって、現在時刻が夜間か否かを判断する(ステップS402)。現在時刻は、たとえば、図示しない計時部によって計時することとしてもよい。
【0069】
ステップS402において、現在時刻が夜間でない場合(ステップS402:No)は、CPU301によって、通常のナビゲーション処理を実行して(ステップS411)、一連の処理を終了する。すなわち、夜間でない場合は、利用者は飲酒していないと推定して、通常のナビゲーション処理をおこなう構成である。通常のナビゲーション処理は、たとえば、地図表示や検索条件の入力や経路誘導などである。
【0070】
また、ステップS402において、現在時刻が夜間である場合(ステップS402:Yes)は、CPU301によって、周辺に酒類が購入可能な店舗があるか否かを判断する
(ステップS403)。
【0071】
具体的には、たとえば、CPU301によって、車両の現在地点(停車地点)から所定の範囲(たとえば、半径100m)に酒店、スーパー、ディスカウントストア、酒類を販売しているコンビニエンスストアなどがあるか否かを判断する。また、酒店、スーパー、ディスカウントストア、酒類を販売しているコンビニエンスストアの駐車場であるか否かを判断してもよい。
【0072】
ステップS403において、周辺に酒類が購入可能な店舗がある場合(ステップS403:Yes)は、CPU301によって、車両の停車が5分以上の停車だったか否かを判断する(ステップS404)。
【0073】
ステップS404において、5分未満の停車だった場合(ステップS404:No)は、ステップS411へ移行して、CPU301によって、通常のナビゲーション処理を実行して(ステップS411)、一連の処理を終了する。
【0074】
また、ステップS404において、5分以上の停車だった場合(ステップS404:Yes)は、ディスプレイ312によって、飲酒確認画面を表示する(ステップS405)。詳細は図5を用いて説明するが、飲酒確認画面は、たとえば、利用者に飲酒に対する注意を促すとともに、利用者が飲酒したか否かを確認する画面であり、利用者は、飲酒確認画面によって飲酒の有無に関する設定をおこなうことができる。
【0075】
また、ステップS403において、周辺に酒類が購入可能な店舗がない場合(ステップS403:No)は、CPU301によって、周辺に飲酒可能な飲食店があるか否かを判断する(ステップS409)。
【0076】
具体的には、たとえば、CPU301によって、車両の現在地点(停車地点)から所定の範囲(たとえば、半径100m)にファミリーレストランやメニューに酒類のある飲食店などがあるか否かを判断する。また、ファミリーレストランやメニューに酒類のある飲食店の駐車場であるか否かを判断してもよい。
【0077】
ステップS409において、周辺に飲酒可能な飲食店がない場合(ステップS409:No)は、ステップS411へ移行して、CPU301によって、通常のナビゲーション処理を実行して(ステップS411)、一連の処理を終了する。
【0078】
また、ステップS409において、周辺に飲酒可能な飲食店がある場合(ステップS409:Yes)は、CPU301によって、車両の停車が30分以上の停車だったか否かを判断する(ステップS410)。
【0079】
ステップS410において、30分未満の停車だった場合(ステップS410:No)は、ステップS411へ移行して、CPU301によって、通常のナビゲーション処理を実行して(ステップS411)、一連の処理を終了する。
【0080】
また、ステップS410において、30分以上の停車だった場合(ステップS810:Yes)は、ステップS405へ移行して、ディスプレイ312によって、飲酒確認画面を表示する(ステップS405)。
【0081】
つぎに、入力デバイス310によって、ステップS405において飲酒確認画面が表示された結果、利用者から運転の継続が選択されたか否かを判断する(ステップS406)。運転の継続の選択は、たとえば、利用者が飲酒確認画面を確認して、飲酒していない場合に、入力デバイス310によって車両の運転をおこなうことを選択する構成である。一方、自身が飲酒していた場合は代替交通手段や休憩することを選択する構成でもよい。
【0082】
ステップS406において、運転の継続が選択された場合(ステップS406:Yes)は、CPU301によって、通常のナビゲーション処理を実行して(ステップS411)、一連の処理を終了する。
【0083】
また、ステップS406において、運転の継続が選択されなかった場合(ステップS406:No)は、CPU301によって、案内情報を生成する(ステップS407)。すなわち、ステップS406において、代替交通手段や休憩することの選択を受け付けた場合に、代替の交通手段や、休憩施設までの案内情報を生成することとしてもよい。代替の交通手段は、たとえば、ディスプレイ312によって、後述する交通手段選択画面を表示することによって、利用者の選択を受け付けることとしてもよい。
【0084】
そして、スピーカ309やディスプレイ312によって、ステップS407において生成された案内情報を出力して(ステップS408)、一連の処理を終了する。
【0085】
(飲酒確認画面の概要)
ここで、図5を用いて、本実施例にかかるナビゲーション装置300における飲酒確認画面の概要について説明する。図5は、本実施例にかかるナビゲーション装置における飲酒確認画面の概要を示す説明図である。
【0086】
図5において、飲酒確認画面501は、ディスプレイ312に表示されている。飲酒確認画面501には、利用者に飲酒に関して注意を促すとともに利用者の飲酒を確認するための表記と、「他の交通手段を探す」選択肢511と、「休憩する」選択肢512と、「運転する」選択肢513と、が示されている。
【0087】
利用者は、飲酒確認画面501を確認することで、自身の飲酒の有無を認識して、飲酒していなければ、「運転する」選択肢513を選択することで、通常のナビゲーション処理によって車両を運転することができる。
【0088】
また、利用者は、飲酒している場合は、「他の交通手段を探す」選択肢511あるいは「休憩する」選択肢512を選択することで、飲酒状態によって車両を運転することを防止することができる。具体的には、たとえば、「休憩する」選択肢512を選択した場合は、ナビゲーション装置300は、徒歩圏内で到達可能な宿泊施設を検索して案内する構成でもよい。宿泊施設の案内は、たとえば、経路情報の提供とともに宿泊施設の連絡先を提供することとしてもよい。
【0089】
また、「他の交通手段を探す」選択肢511を選択した場合は、たとえば、ディスプレイ312によって、後述する交通手段選択画面を表示することによって、代替の交通手段によっての移動を促すこととなる。すなわち、車両の運転をおこなわなくても利用者は移動することができる。
【0090】
(交通手段選択画面の概要)
つぎに、図6を用いて、本実施例にかかるナビゲーション装置300における交通手段選択画面の概要について説明する。図6は、本実施例にかかるナビゲーション装置における交通手段選択画面の概要を示す説明図である。
【0091】
図5において、交通手段選択画面601は、ディスプレイ312に表示されている。交通手段選択画面601には、利用者が飲酒していた場合に自身の車両の代わりとなる代替の交通手段の選択を受け付けるための表記と、「公共交通機関を探す」選択肢611と、「代行運転」選択肢612と、「タクシー」選択肢613と、が示されている。
【0092】
利用者は、交通手段選択画面601を確認することで、自身が飲酒していた場合に車両の代替交通手段を選択することができる。具体的には、たとえば、ナビゲーション装置300は、利用者によって「公共交通機関を探す」選択肢611が選択された場合、徒歩圏内の公共交通機関を検索することとしてもよい。公共交通機関は、たとえば、電車の駅やバスの停留所などでもよく、ナビゲーション装置300は、案内情報として、経路情報とともに発着時刻などをあわせて出力してもよい。
【0093】
また、「代行運転」選択肢612が選択された場合、ナビゲーション装置300は、たとえば、周辺の代行運転業者を検索して、連絡先などを案内情報として出力する。また、「タクシー」選択肢613が選択された場合、ナビゲーション装置300は、たとえば、周辺のタクシー業者を検索して、連絡先などを案内情報として出力することとしてもよい。
【0094】
以上説明したように、本実施例にかかるナビゲーション装置によれば、車両の停車状況と現在地点に応じて利用者の飲酒に関する判断をおこない、利用者に的確に注意を促すことができる。また、利用者に注意を促した結果、飲酒を自覚している場合には、代替の交通手段や休憩施設などを案内することができるため、利用者は、飲酒時であっても飲酒運転をせずに適切な対応をとることができる。
【0095】
特に、代替の交通手段を案内する場合、利用者は、移動するために無理して運転をしなくてもよいため、安全かつ適切に移動することができる。また、代行運転やタクシー業者などの連絡先を出力することで、利用者は、迅速かつ適切な手配をおこなうことができる。
【0096】
また、本実施例ではナビゲーション装置によって本発明の案内装置を実施した場合について説明したが、利用者の携帯端末や、PC(パーソナル・コンピュータ)によって実施することとしてもよく、汎用性の向上を図ることができる。
【0097】
なお、本実施の形態で説明した案内方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本実施の形態にかかる案内装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態にかかる案内装置の処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本実施例にかかるナビゲーション装置の処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】本実施例にかかるナビゲーション装置における飲酒確認画面の概要を示す説明図である。
【図6】本実施例にかかるナビゲーション装置における交通手段選択画面の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
【0099】
100 案内装置
101 取得部
102 算出部
103 生成部
104 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の起動時に、当該移動体が停止していた停止時間を取得する取得手段と、
前記移動体の起動時における現在地点を算出する算出手段と、
前記取得手段によって取得された停止時間と、前記算出手段によって算出された現在地点とに応じて、前記移動体の利用者の移動に関する案内情報を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された案内情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする案内装置。
【請求項2】
前記取得手段は、
前記移動体が起動した起動時刻を取得し、
前記生成手段は、
前記停止時間および前記起動時刻と、前記現在地点とに応じて、前記案内情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
前記移動体が停止している間に、前記利用者が利用したと推定される施設に応じて、前記案内情報を生成することを特徴とする請求項1または2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記生成手段は、
前記利用者が利用したと推定される前記施設が、前記利用者が飲酒可能な施設であった場合、当該利用者が選択可能な移動方式の候補の中から設定される移動方式に応じて、前記案内情報を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の案内装置。
【請求項5】
前記生成手段は、
前記利用者が利用したと推定される前記施設が、前記利用者が酒類を購入可能な施設であった場合、当該利用者が選択可能な移動方式の候補の中から設定される移動方式に応じて、前記案内情報を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の案内装置。
【請求項6】
前記利用者が選択可能な移動方式の候補は、当該利用者が前記移動体を操作しないで移動する方式を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の案内装置。
【請求項7】
移動体の起動時に、当該移動体が停止していた停止時間を取得する取得工程と、
前記移動体の起動時における現在地点を算出する算出工程と、
前記取得工程によって取得された停止時間と、前記算出工程によって算出された現在地点とに応じて、前記移動体の利用者の移動に関する案内情報を生成する生成工程と、
前記生成工程によって生成された案内情報を出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする案内方法。
【請求項8】
請求項7に記載の案内方法をコンピュータに実行させることを特徴とする案内プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の案内プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−216071(P2008−216071A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54449(P2007−54449)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】