説明

樹脂封止装置及び樹脂封止方法

【課題】搬送の際に仮成形された樹脂の割れや欠損を低減すると共に、ランニングコストの低減が可能となる樹脂封止装置及びその方法を提供する。
【解決手段】粉粒体状樹脂102を仮成形し、仮成形樹脂を用いて金型160で被成形品を圧縮成形して樹脂封止をする樹脂封止装置100であって、粉粒体状樹脂102を載置する第1フィルム122を連続して金型160内に搬送する第1フィルム搬送装置114と、粉粒体状樹脂102を第1フィルム122上で加熱して所定の形状に仮成形する仮成形機112とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被成形品を樹脂封止する樹脂封止装置及びその樹脂封止方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
被成形品である半導体チップ等を配置した基板を金型に配置して圧縮成形して樹脂封止をする樹脂封止装置において、樹脂封止の材料として、粉状若しくは粒状の樹脂(以降、粉粒体状樹脂と称する)を金型のキャビティ形状に合わせて平板形状に仮成形したものを用いる場合がある。そのような場合には、仮成形することで熱の伝達が均一化して、圧縮成形工程において全体として素早く樹脂を溶融させることが可能となる。例えば特許文献1に示す仮成形機により、粉粒体状樹脂は離型フィルム上に載置されて、その上で平板形状の樹脂(仮成形樹脂と称する)に仮成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−142674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で示されるような仮成形機を用いる場合には、被成形品を圧縮成形する金型が備えられた装置(圧縮成形機と称する)とは、互いに離れて配置されて樹脂封止装置が構成される。このため、仮成形機で仮成形された仮成形樹脂を圧縮成形機に運ぶ樹脂搬送用ローダが必要であり、樹脂封止装置としてはコストアップの要因となっていた。
【0005】
又、樹脂搬送用ローダで仮成形樹脂を運ぶ際には、仮成形樹脂を離型フィルムから剥離して樹脂搬送用ローダで保持する工程が必要であり、その際に仮成形樹脂の割れや欠損が発生しやすくなっていた。
【0006】
更に、特許文献1に示される離型フィルムと圧縮成形機の金型で使用される離型フィルムとは、機能的には同様であっても、仮成形機と圧縮成形機とにおいて別々に必要とされていた。このため、高価な離型フィルムを多量に使用することとなりランニングコストの増加の要因となっていた。
【0007】
本発明は、前記問題点を解決すべくなされたもので、搬送の際に仮成形された樹脂の割れや欠損を低減すると共に、部品点数が少なく且つランニングコストの低減が可能な樹脂封止装置及びその樹脂封止方法を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、粉粒体状樹脂を仮成形して、該仮成形された樹脂を用いて金型で被成形品を圧縮成形して樹脂封止をする樹脂封止装置であって、前記粉粒体状樹脂を載置する第1フィルムを連続して前記金型内に搬送する第1フィルム搬送装置と、該粉粒体状樹脂を該第1フィルム上で加熱して所定の形状に仮成形する仮成形手段と、を備えることで、上記課題を解決するものである。
【0009】
本発明は、離型フィルムである第1フィルムに載置された粉粒体状樹脂を第1フィルム上で仮成形手段により仮成形する。第1フィルムは連続して金型内に搬送されることから、当該第1フィルムをそのまま使用して仮成形された樹脂(仮成形樹脂)を金型内に供給することができる。即ち、第1フィルムを仮成形の際と圧縮成形の際に兼用とするので、仮成形樹脂を搬送するための手段を別に有する必要はなく、仮成形のための装置(仮成形機)と圧縮成形のための装置(圧縮成形機)とを接近させて配置することができる。このため、樹脂封止装置がコンパクトになり、その搬送にかかる時間を短縮することができる。同時に、使用された第1フィルムの回収も容易となる。
【0010】
又、仮成形の際と圧縮成形の際の第1フィルムが兼用なので、高価な第1フィルムの消費量を低減することができる。即ち、仮成形の際と圧縮成形の際に第1フィルムを別々に使用する場合に比べて、使用装置と工数を少なくできてシンプルな構成で圧縮成形作業を高速化できると共に、ランニングコストの低減をすることができる。又、金型への投入前に第1フィルムから仮成形樹脂を剥離する必要もないので、従来の仮成形樹脂(特許文献1)の(剥離から)保持・搬送において生じていた仮成形樹脂の割れや欠損を防止することができる。即ち、樹脂搬送において歩留りを改善することができる。同時に、割れや欠損がないことから、圧縮成形の際に必要とされる樹脂の量と実際に金型に供給される樹脂の量との差を最小限にすることが可能である。又、仮成形樹脂を剥がすことが不要なので、薄い仮成形樹脂が必要とされる樹脂封止厚みの薄い成形品に対しても容易に対応することができる。又、第1フィルムを切断することもないので切断に伴う粉塵の発生を防止することができる。
【0011】
そして、仮成形された樹脂(仮成形樹脂)は、樹脂粒子同士を結合・収縮させているので、粉粒体状樹脂よりも樹脂粒子間の断熱層となる空孔数や空孔サイズが少なく、熱伝導性が向上している。このため、圧縮成形工程における成形温度に達するまでの昇温時間を短縮できるので、成形品の生産性を向上させることができる。
【0012】
又、前記仮成形手段が、前記粉粒体状樹脂を加熱すると共に該粉粒体状樹脂を圧縮する加熱・圧縮機構を有する場合には、仮成形樹脂が単に加熱されて樹脂粒子同士が結合・収縮されている場合よりも圧縮されることで、仮成形樹脂に対して更に樹脂粒子間の断熱層となる空孔数や空孔サイズを少なくでき、より熱伝導性を向上させることができる。又、圧縮することで必要とされる形状、例えば金型に設けられたキャビティの形状に、より正確に仮成形することができる。このため、圧縮成形時間を短縮することができると共に、圧縮成形の際の樹脂流動を最小限とすることができる。又、仮成形樹脂を均一な厚みとすることも可能で、加熱により均一な溶融状態とできることから高い封止品質を得ることができる。
【0013】
又、更に、前記仮成形手段が、前記加熱・圧縮された前記粉粒体状樹脂を冷却可能な冷却機構を有する場合には、仮成形樹脂全体を一旦冷却できるので、仮成形樹脂の圧縮成形に使用するまでの待ち時間を調整できる。このため、圧縮成形の際の金型の型締めなどのタイミングに最適な状態で仮成形樹脂を供給できる。このため、圧縮成形の際の樹脂流れを良好に保って、歩留り良く高品質な樹脂封止を行うことも可能となる。
【0014】
又、更に、前記仮成形手段が、前記金型内に入る前の前記第1フィルムに対峙して前記粉粒体状樹脂を該第1フィルムと挟み込む第2フィルムを連続して搬送する第2フィルム搬送装置を有する場合には、離型フィルムである当該第2フィルムを介して粉粒体状樹脂が仮成形されることとなる。このため、第2フィルムの使用という信頼性の高い技術を用いることで、第2フィルムの内側に倣う所定の形状への仮成形が容易で、且つ安定して仮成形を迅速に行うことができる。同時に、冷却機構による仮成形樹脂の冷却により、第2フィルムをスムースに仮成形樹脂から剥離することができる。なお、第2フィルムを使用しない場合には、加熱・圧縮機構及び冷却機構の(第2フィルムの代わりに)粉粒体状樹脂と当接する面に樹脂に対する剥離性のよい表面を備えることで、粉粒体状樹脂の相応の仮成形が可能となると共に第2フィルムを使用しない分、ランニングコストを低減することができる。
【0015】
又、更に、前記第2フィルム搬送装置が、前記第2フィルムの搬送方向で前記冷却機構内を移動可能とされると共に、該移動に伴って前記第1フィルムに対する該第2フィルムまでの距離を変更させる可変ローラ機構を備える場合には、可変ローラ機構の冷却機構内の移動により、仮成形樹脂を冷却機構で冷却後に、第1フィルムに対する第2フィルムまでの距離を変更させる、即ち、仮成形樹脂に貼り付く第2フィルムを冷却機構の位置で剥離することが可能となる。
【0016】
又、更に、前記第2フィルム搬送装置が、前記第2フィルムの前記金型への搬送方向とは逆方向に該第2フィルムを搬送可能である場合には、第2フィルムが仮成形樹脂から剥離された後に第2フィルムを金型への搬送方向とは逆方向に搬送される、即ち巻き戻される。このため、今回の仮成形樹脂の次に加熱・圧縮される次回の粉粒体状樹脂に対して、今回剥離された部分と同一の第2フィルムの部分を用いることができる。そして、上述した可変ローラ機構を第2フィルム搬送機構が備える場合には、第2フィルムの巻き戻し量が、冷却機構の位置から加熱・圧縮機構の位置までなので、迅速に巻き戻すことが可能である。このため、第2フィルムの再利用を迅速に促進でき、第2フィルムを効率的に使用することができる。
【0017】
又、更に、前記冷却機構が、前記仮成形された樹脂に圧縮空気を吹き付ける機構を有する場合には、仮成形樹脂を冷却するのに直接当接する部分を必要としないので、冷却機構の配置が自由となり、仮成形手段をコンパクトにすることもできる。
【0018】
又、更に、前記加熱・圧縮機構の位置に、前記第1フィルムに前記粉粒体状樹脂を載置する原料供給手段若しくは前記冷却機構を移動させる移動機構を有する場合には、第1フィルムの搬送方向で更に仮成形手段をコンパクトにすることができる。
【0019】
又、前記仮成形手段が複数並列配置されて、前記第1フィルムに前記粉粒体状樹脂を載置する原料供給手段が該複数の仮成形手段において兼用に用いられている場合には、部品点数を低減して更に低コスト化を促進することができる。
【0020】
なお、本発明は、粉粒体状樹脂を仮成形し、該仮成形された樹脂を用いて金型で被成形品を圧縮成形して樹脂封止をする樹脂封止方法であって、前記粉粒体状樹脂を第1フィルムに載置する工程と、該第1フィルム上の前記粉粒体状樹脂を加熱して所定の形状に仮成形する工程と、該仮成形された樹脂を載置したまま、前記第1フィルムを連続して前記金型内に搬送する工程と、を含むことを特徴とする樹脂封止方法とも捉えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明を適用することにより、搬送の際に仮成形された樹脂の割れや欠損を低減すると共に、ランニングコストの低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる樹脂封止装置の一例を示す模式図
【図2】同じく仮成形樹脂の仮成形手順を示す図
【図3】本発明の第2実施形態に係わる樹脂封止装置の仮成形機の一例を示す模式図
【図4】同じく仮成形樹脂の仮成形手順を示す図
【図5】同じく仮成形樹脂の別の仮成形手順を示す図
【図6】本発明の第3実施形態に係わる樹脂封止装置の一例を示す模式図
【図7】本発明の第4実施形態に係わる樹脂封止装置の圧縮成形機の一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
【0024】
最初に、本発明の第1実施形態に係わる樹脂封止装置の構成について図1を用いて以下に説明する。
【0025】
樹脂封止装置100は、原料となる粉粒体状樹脂102を平板形状の仮成形樹脂104に仮成形する仮成形機(仮成形手段)112と、仮成形樹脂104を用いて金型160で被成形品を圧縮成形する圧縮成形機150と、を有する。即ち、樹脂封止装置100は、粉粒体状樹脂102を仮成形して、仮成形樹脂104を用いて金型160で被成形品を圧縮成形して樹脂封止をする。そして、樹脂封止装置100は、粉粒体状樹脂102を載置する第1フィルム122を連続して金型160内に搬送する第1フィルム搬送装置114と、粉粒体状樹脂102を第1フィルム122上で加熱して所定の形状に仮成形する仮成形機112と、を備える。仮成形機112と圧縮成形機150とは、第1フィルム122を兼用している。
【0026】
第1フィルム122は、第1フィルム搬送装置114により連続したフィルムとして、粉粒体状樹脂102の載置位置から金型160の位置まで搬送される。第1フィルム搬送装置114は、第1供給ロール116と第1収納ロール118と複数のローラ120とを有する。第1供給ロール116と第1収納ロール118とは、図示せぬモータに取り付けられている。第1供給ロール116には第1フィルム122が切れ目なく連続して巻きつけられている。第1供給ロール116は仮成形機112に取り付けられて、同じく仮成形機112に取り付けられたローラ120で、第1フィルム122が搬送される。仮成形機112を通過した第1フィルム122は圧縮成形機150に取り付けられたローラ120で更に搬送され、第1収納ロール118で第1フィルム122は連続した状態で巻きとられる。なお、第1フィルム122は、樹脂に対して剥離性のよい離型フィルムが用いられている。
【0027】
仮成形機112は仮成形手段であり、ベース134に、第2フィルム搬送装置124と、原料供給手段である樹脂供給機136と、加熱・圧縮機構138と、冷却機構140と、が設けられている。
【0028】
第2フィルム搬送装置124は第2供給ロール126と第2収納ロール128とローラ130A、130Bとを有する。第2供給ロール126と第2収納ロール128とは、図示せぬモータに取り付けられている。第2供給ロール126には第2フィルム132が切れ目なく連続して巻きつけられている。仮成形機112に取り付けられたローラ130A、130Bで第2フィルム132は金型160内に入る前の第1フィルム122に対峙するように搬送され、第2収納ロール128で第2フィルム132は連続した状態で巻きとられる。なお、搬送方向は第1フィルム122と同じく、仮成形機112から圧縮成形機150への方向である。
【0029】
樹脂供給機136は、原料供給手段として粉粒体状樹脂102を供給する。即ち、樹脂供給機136は、必要とされる量の粉粒体状樹脂102を図示せぬフィーダで計量して、第1フィルム122上の所定の面積に粉粒体状樹脂102を投下(載置)する。
【0030】
加熱・圧縮機構138は、樹脂供給機136の隣であって、圧縮成形機側に配置されている。加熱・圧縮機構138は、上型138Aと下型138Bとに分離されており、それぞれに図示せぬヒータが取り付けてある。上型138A及び下型138Bは、上下方向に接近・離間自在であり、第1フィルム122に載置された粉粒体状樹脂102を、第1フィルム122と第2フィルム132とを介して上下方向両側から挟み込むことができる(即ち、粉粒体状樹脂102を第1フィルム122と第2フィルム132とで挟み込む態様となる)。挟み込んだ際に、粉粒体状樹脂102が加熱により軟化・融着して、金型160のキャビティに適合する所定の形状・大きさ・均一な厚さに仮成形される。
【0031】
冷却機構140は、加熱・圧縮機構138の隣であって、圧縮成形機側に配置されている。冷却機構140は、上側伝熱部材140Aと下側伝熱部材140Bとに分離されている。上側伝熱部材140A及び下側伝熱部材140Bは、上下方向に接近・離間自在であり、第1フィルム122に載置されて加熱・圧縮された粉粒体状樹脂102を、第1フィルム122と第2フィルム132とを介して上下方向両側から挟み込むことができる。挟み込んだ際には、上側伝熱部材140Aと下側伝熱部材140Bの温度が直接的に伝わり、仮成形樹脂104が迅速に且つ効果的に冷却される。
【0032】
圧縮成形機150は、本体152と、本体152に立設される複数の支柱であるタイバ154に支えられる固定プラテン156と、を有する。固定プラテン156の下面には上型162が取り付けられている。本体152は、固定プラテン156に対して、接近・離間できるように移動可能な可動プラテン158を備えている。可動プラテン158の上面には下型164が取り付けられている。下型164には、図示せぬ吸着機構が設けられており、第1フィルム122を吸着・固定することができる。下型164は、可動プラテン158の移動に伴い、固定プラテン156に取り付けられた上型162に対して接近・離間する。即ち、可動プラテン158の移動により、上型162と下型164とで構成される金型160の型締め・型開きを行うことができる。
【0033】
金型160にはキャビティが形成されており、仮成形樹脂104が載置された第1フィルム122を下型164に吸着・固定することで、仮成形樹脂104の金型160への供給を完了する。
【0034】
次に、樹脂封止装置100の動作(仮成形機112における仮成形樹脂104の仮成形工程と圧縮成形機150における圧縮成形工程、圧縮成形作業とも称する)について図1、図2を用いて説明する。
【0035】
まず、樹脂供給機136から粉粒体状樹脂102を第1フィルム122上に投下・載置させる(図2(A))。
【0036】
次に、第1フィルム搬送装置114を駆動して、第1フィルム122を搬送方向で隣接する圧縮成形機側の加熱・圧縮機構138の位置に移動させる。そして、第1フィルム122を停止させて、上型138Aと下型138Bとを接近させて、第1フィルム122と第2フィルム132とを介して粉粒体状樹脂102を挟み込んで加熱・圧縮する。そして、粉粒体状樹脂102を仮成形樹脂104に仮成形する(図2(B))。
【0037】
次に、上型138Aと下型138Bとを離間させる。そして、第1フィルム搬送装置114と第2フィルム搬送装置124とを同期駆動して、第1フィルム122と第2フィルム132とに貼り付いたままの仮成形樹脂104を圧縮成形機側の冷却機構140の位置に移動させる。そして、上側伝熱部材140A及び下側伝熱部材140Bで、第1フィルム122と第2フィルム132とに貼り付いたままの仮成形樹脂104を所定の時間挟み込むことで、仮成形樹脂104の冷却を行う(図2(C))。
【0038】
次に、上側伝熱部材140Aと下側伝熱部材140Bとを離間させる。そして、第1フィルム搬送装置114と第2フィルム搬送装置124とを駆動して、第1フィルム122と第2フィルム132とに貼り付いたままの仮成形樹脂104を圧縮成形機側に移動させていく。すると、仮成形樹脂104がローラ130Bの下方を通過する際に、第2フィルム132に仮成形樹脂104の接線方向からかかっていた力が、仮成形樹脂104の法線方向からの力に変わる。このため、仮成形樹脂104の上面に貼り付いていた第2フィルム132は仮成形樹脂104から分離して、第2収納ロール128により回収される。一方、第1フィルム122は、仮成形樹脂104に貼り付いた状態のままで、圧縮成形機150に搬送される(図2(D))。
【0039】
次に、金型160の下型164の吸着機構で、仮成形樹脂104の貼り付いた第1フィルム122を、そのままの状態で吸着・固定する。そして、仮成形樹脂104を圧縮成形に適した成形温度まで加熱する。
【0040】
そして、被成形品を取り付けた上型162に対して下型164を接近させる。又、キャビティ内の減圧動作も開始させる。そして、所定のタイミングで型締めして、被成形品を圧縮成形して樹脂封止を行う。
【0041】
本実施形態は、第1フィルム122に載置された粉粒体状樹脂102を第1フィルム122上で仮成形機112により仮成形する。第1フィルム122は連続して金型160内に搬送されることから、第1フィルム122をそのまま使用して仮成形された樹脂である仮成形樹脂104を金型160内に供給することができる。即ち、第1フィルム122を仮成形の際と圧縮成形の際に兼用とするので、仮成形樹脂104を搬送するための手段を別に有する必要はなく、仮成形機112と圧縮成形機150とを接近させて配置することができる。このため、樹脂封止装置100がコンパクトになり、その搬送にかかる時間を短縮することができる。同時に、使用された第1フィルム122の回収も容易となる。
【0042】
又、仮成形の際と圧縮成形の際の第1フィルム122が兼用なので、高価な第1フィルム122の消費量を低減することができる。即ち、仮成形の際と圧縮成形の際に第1フィルムを別々に使用する場合に比べて、使用装置と工数を少なくできてシンプルな構成で圧縮成形作業を高速化できると共に、ランニングコストの低減をすることができる。又、金型160への投入前に第1フィルム122から仮成形樹脂104を剥離する必要もないので、従来の仮成形樹脂(特許文献1)の(剥離から)保持・搬送において生じていた仮成形樹脂104の割れや欠損を防止することができる。即ち、樹脂搬送において歩留りを改善することができる。同時に、割れや欠損のないことから、圧縮成形の際に必要とされる樹脂の量と実際に金型160に供給される樹脂の量との差を最小限にすることが可能である。又、仮成形樹脂104を剥がすことが不要なので、薄い仮成形樹脂104が必要とされる樹脂封止厚みの薄い成形品に対しても容易に対応することができる。又、第1フィルム122を切断することもないので切断に伴う粉塵の発生を防止することができる。
【0043】
そして、仮成形樹脂104は、樹脂粒子同士を結合・収縮させているので、粉粒体状樹脂102よりも樹脂粒子間の断熱層となる空孔数や空孔サイズが少なく、熱伝導性が向上している。このため、圧縮成形工程における成形温度に達するまでの昇温時間を短縮できるので、成形品の生産性を向上させることができる。
【0044】
このとき、仮成形機112が、粉粒体状樹脂102を加熱すると共に粉粒体状樹脂102を圧縮する加熱・圧縮機構138を有するので、仮成形樹脂104が単に加熱されて樹脂粒子同士が結合・収縮されている場合よりも圧縮されることで、仮成形樹脂104に対して更に樹脂粒子間の断熱層となる空孔数や空孔サイズを少なくでき、より熱伝導性を向上させることができる。又、圧縮することで必要とされる形状である、金型160に設けられたキャビティの形状に、より正確に仮成形することができる。このため、圧縮成形時間を短縮することができると共に、圧縮成形の際の樹脂流動を最小限とすることができる。又、仮成形樹脂104を均一な厚みとすることも可能で、加熱により均一な溶融状態とできることから高い封止品質を得ることができる。
【0045】
又、更に、仮成形機112が、加熱・圧縮された粉粒体状樹脂102を冷却可能な冷却機構140を有するので、仮成形樹脂104全体を一旦冷却できるので、仮成形樹脂104の圧縮成形に使用するまでの待ち時間を調整できる。このため、圧縮成形の際の金型160の型締めなどのタイミングに最適な状態で仮成形樹脂104を供給できる。このため、圧縮成形の際の樹脂流れを良好に保って、歩留り良く高品質な樹脂封止を行うことも可能となる。
【0046】
又、更に、仮成形機112が、金型160内に入る前の第1フィルム122に対峙して粉粒体状樹脂102を第1フィルム122と挟み込む第2フィルム132を連続して搬送する第2フィルム搬送装置124を有するので、第2フィルム132を介して粉粒体状樹脂102が仮成形される。このため、第2フィルム132の使用という信頼性の高い技術を用いることで、第2フィルム132の内側に倣う所定の形状への仮成形が容易で、且つ安定して仮成形を迅速に行うことができる。同時に、冷却機構140による仮成形樹脂104の冷却により、第2フィルム132をスムースに仮成形樹脂104から剥離することができる。
【0047】
即ち、本実施形態によれば、搬送の際に仮成形樹脂104の割れや欠損を低減すると共に、ランニングコストの低減が可能となる。
【0048】
本実施形態では、仮成形機112に、加熱・圧縮機構138と冷却機構140とを有していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ホットプレートや、マイクロ波、熱風などで第1フィルム上の粉粒体状樹脂を単に加熱することにより、若しくは加熱しながら非接触で圧力をかけたり振動させたりすることで、粉粒体状樹脂を仮成形してもよい。その場合には、相応の熱伝導性の向上がなされて、構成をより簡素化でき、且つ第2フィルムの剥離なども不要で、更に、圧縮成形機への樹脂供給をより早くできるので、樹脂封止装置の低コスト化と高価な第2フィルムの削減(ランニングコストの低減)と生産性の向上を図ることが可能となる。
【0049】
又、本実施形態では、冷却機構140が上側伝熱部材140Aと下側伝熱部材140Bとを備えて、それらが第2フィルム132と第1フィルム122のそれぞれに当接して、仮成形樹脂104を冷却していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、冷却機構が、仮成形樹脂に圧縮空気を吹き付ける機構を有する場合には、仮成形樹脂を冷却するのに直接当接する部分を必要としないので、冷却機構の配置が自由となり、仮成形機112をコンパクトにすることもできる。
【0050】
又、本実施形態では、図2に示す如く、樹脂供給機136と加熱・圧縮機構138と冷却機構140とが搬送方向に並んでいるが、本発明はこれに限定されない。例えば、加熱・圧縮機構の位置に、原料供給機若しくは冷却機構を移動させる移動機構を有する場合には、第1フィルムの搬送方向で更に仮成形機をコンパクトにすることができる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態について、図3〜図5を用いて説明する。
【0052】
本実施形態は、第1実施形態とは、第2フィルム搬送装置224にローラ230C、230Dからなる可変ローラ機構を備えることで異なり、それ以外は同一であるので、符号下2桁を同一として、説明を省略する。
【0053】
本実施形態では、第2フィルム搬送装置224は、第2供給ロール226と第2収納ロール228と複数のローラ230A〜230Dとを有する。ローラ230A、230Bは第1実施形態と同じく固定されているが、可変ローラ機構となるローラ230C、230Dは、第2フィルム232の搬送方向で冷却機構240内を移動可能とされると共に、当該移動に伴って第1フィルム222に対する第2フィルム232までの距離を変更させることができる(図3でL1からL2)。ここで、第2フィルム搬送装置224は、第2フィルム232の金型への搬送方向とは逆方向に第2フィルム232を搬送可能とされており、一旦搬送方向に搬送された第2フィルム232を第2供給ロール226に巻き戻すことが可能である。なお、ローラ230Cはローラ230Aとほぼ同じ高さで、ローラ230Dの上端はローラ230Bの下端とほぼ同じ高さで配置されて、第2フィルム232は、ローラ230Cの下端を通り、ローラ230Dの上端を通るようにされている。
【0054】
次に、仮成形機212における仮成形樹脂204の仮成形工程について図4を用いて説明する。
【0055】
最初に、樹脂供給機236から粉粒体状樹脂202を第1フィルム222上に載置させる(図4(A))。このとき、ローラ230C、230Dは共に冷却機構240の左端(上側伝熱部材240Aと下側伝熱部材240Bとの接近・離間が制限されない位置)に配置される。
【0056】
次に、第1フィルム搬送装置214を駆動して、第1フィルム222を搬送方向の圧縮成形機側の加熱・圧縮機構238の位置に移動させる。そして、第1フィルム222を停止させて、上型238Aと下型238Bとを接近させて、第1フィルム222と第2フィルム232とを介して粉粒体状樹脂202を挟み込んで加熱・圧縮する。そして、粉粒体状樹脂202を仮成形樹脂204に仮成形する(図4(B))。
【0057】
次に、上型238Aと下型238Bとを離間させる。そして、第1フィルム搬送装置214と第2フィルム搬送装置224とを同期駆動して、第1フィルム222と第2フィルム232とに貼り付いたままの仮成形樹脂204を圧縮成形機側の冷却機構240の位置に移動させる。そして、上側伝熱部材240A及び下側伝熱部材240Bで、第1フィルム222と第2フィルム232とに貼り付いたままの仮成形樹脂204を所定の時間挟み込むことで、仮成形樹脂204の冷却を行う(図4(C))。
【0058】
次に、上側伝熱部材240Aと下側伝熱部材240Bとを離間させる。そしてローラ230C、230Dを第2フィルム232の搬送方向で冷却機構240内を移動させて、加熱・圧縮機構238の右端に配置させる。このとき、ローラ230C、230Dの移動により、第2フィルム232を移動に伴って第1フィルム222に対する第2フィルム232までの距離を変更(L2からL1)させる。そのため、ローラ230Cが仮成形樹脂204の上方を通過する際に、第2フィルム232に仮成形樹脂204の法線方向からの力が加わる。このため、仮成形樹脂204の上面に貼り付いていた第2フィルム232は仮成形樹脂204から分離する(図4(D))。
【0059】
次に、第1フィルム搬送装置214を駆動して、第1フィルム222が、仮成形樹脂204に貼り付けた状態のままで、圧縮成形機250に搬送される。そして、ローラ230C、230Dは共に冷却機構240の左端(上側伝熱部材240Aと下側伝熱部材240Bとの接近・離間が制限されない位置)に移動される(第1フィルム222に対する第2フィルム232までの距離がL1からL2に戻る)と共に、今回仮成形樹脂204が貼り付いていた第2フィルム232の部分を冷却機構240の位置から加熱・圧縮機構238まで、金型への搬送方向とは逆方向に搬送する。その際に、巻き戻された第2フィルム232は第2供給ロール226に回収される(図4(E))。
【0060】
本実施形態では、第2フィルム搬送装置224が、第2フィルム232の搬送方向で冷却機構240内を移動可能とされると共に、当該移動に伴って第1フィルム222に対する第2フィルム232までの距離(L1からL2、L2からL1)を変更させる可変ローラ機構を備えている。可変ローラ機構の冷却機構240内の移動により、仮成形樹脂204を冷却機構240で冷却後に、第1フィルム222に対する第2フィルム232までの距離を(L2からL1へ)変更させる、即ち、仮成形樹脂204に貼り付く第2フィルム232を冷却機構240の位置で剥離することが可能となる。更に、第2フィルム搬送装置224が、第2フィルム232の金型への搬送方向とは逆方向に第2フィルム232を搬送可能であるので、第2フィルム232が仮成形樹脂204から剥離された後に第2フィルム232を金型への搬送方向とは逆方向に搬送される、即ち巻き戻される。このとき、第2フィルム232の巻き戻し量が、冷却機構240の位置から加熱・圧縮機構238の位置までなので、迅速に巻き戻すことが可能である。このため、第2フィルム232の再利用を迅速に促進でき、第2フィルム232を効率的に使用することができる。
【0061】
なお、図4に示した一例では、加熱・圧縮される粉粒体状樹脂202の供給間隔がある程度空いている場合であったので、その供給間隔が加熱・圧縮機構238と冷却機構240の間隔であった場合の別の仮成形工程について図5を用いて説明する。
【0062】
最初に、樹脂供給機236から粉粒体状樹脂202を第1フィルム222上に載置させる(図5(A))。このとき、ローラ230C、230Dは共に冷却機構240の左端(上側伝熱部材240Aと下側伝熱部材240Bとの接近・離間が制限されない位置)に配置される。
【0063】
次に、第1フィルム搬送装置214を駆動して、第1フィルム222を搬送方向の圧縮成形機側の加熱・圧縮機構238の位置に移動させる。そして、第1フィルム222を停止させて、上型238Aと下型238Bとを接近させて、第1フィルム222と第2フィルム232とを介して粉粒体状樹脂202を挟み込んで加熱・圧縮する。そして、粉粒体状樹脂202を仮成形樹脂204に仮成形する(図5(B))。
【0064】
次に、上型238Aと下型238Bとを離間させる。そして、第1フィルム搬送装置214と第2フィルム搬送装置224とを同期駆動して、第1フィルム222と第2フィルム232とに貼り付いたままの仮成形樹脂204を圧縮成形機側の冷却機構240の位置に移動させる(なお、次回の粉粒体状樹脂202が、同時に加熱・圧縮機構238の位置に移動される)。そして、上側伝熱部材240A及び下側伝熱部材240Bで、第1フィルム222と第2フィルム232とに貼り付いたままの仮成形樹脂204を所定の時間挟み込むことで、仮成形樹脂204の冷却を行う(図5(C))。
【0065】
次に、上側伝熱部材240Aと下側伝熱部材240Bとを離間させる。そしてローラ230C、230Dを第2フィルム232の搬送方向で冷却機構240内を移動させて、加熱・圧縮機構238の右端に配置させる。このとき、ローラ230C、230Dの移動により、第2フィルム232を移動に伴って第1フィルム222に対する第2フィルム232までの距離を変更(L2からL1)させる。そのため、ローラ230Cが仮成形樹脂204の上方を通過する際に、第2フィルム232に仮成形樹脂204の法線方向からの力が加わる。このため、仮成形樹脂204の上面に貼り付いていた第2フィルム232は仮成形樹脂204から分離する。当該分離後、今回の仮成形樹脂204が貼り付いていた第2フィルム232の部分を、冷却機構240の位置から次回の粉粒体状樹脂202の配置された加熱・圧縮機構238の位置まで、金型への搬送方向とは逆方向に搬送する。第2フィルム232の巻き戻された部分は第2供給ロール226に回収される(図5(D))。
【0066】
次に、加熱・圧縮機構238の上型238Aと下型238Bとを接近させて、第1フィルム222と第2フィルム232とを介して次回の粉粒体状樹脂202を挟み込んで加熱・圧縮する。そして、次回の粉粒体状樹脂202を仮成形樹脂204に仮成形する(図5(E))。
【0067】
次に、上型238Aと下型238Bとを離間させる。そして、第1フィルム搬送装置214と第2フィルム搬送装置224とを同期駆動して、第1フィルム222と第2フィルム232とに貼り付いたままの次回の仮成形樹脂204を圧縮成形機側の冷却機構240の位置に移動させる(なお、更に次次回の粉粒体状樹脂202が、同時に加熱・圧縮機構238の位置に移動される)。このとき、今回の仮成形樹脂204が、第1フィルム222に貼り付いた状態のままで、圧縮成形機250に搬送される。同時に、ローラ230C、230Dは共に冷却機構240の左端(上側伝熱部材240Aと下側伝熱部材240Bとの接近・離間が制限されない位置)に移動される(第1フィルム222に対する第2フィルム232までの距離がL1からL2に戻る)(図5(F))。
【0068】
このような一例で示すように、本実施形態は加熱圧縮される粉粒体状樹脂202の供給間隔が加熱・圧縮機構238と冷却機構240の間隔となるような狭い場合であっても、第2フィルム232の再利用を促進でき、第2フィルム232を効率的に使用することができる。
【0069】
なお、第1実施形態の如く、可変ローラ機構を備えない場合であっても、第2フィルム搬送機構が第2フィルムの金型への搬送方向とは逆方向に第2フィルムを搬送可能である場合には、第2フィルムが仮成形樹脂から剥離された後に第2フィルムを金型への搬送方向とは逆方向に搬送、即ち巻き戻すことが可能となる。このため、今回の仮成形樹脂の次に加熱・圧縮される次回の粉粒体状樹脂に対して、今回剥離された部分と同一の第2フィルムの部分を用いることができ、第2フィルムの再利用を促進することができる。なお、第2実施形態において、第2フィルム搬送機構が第2フィルムの金型への搬送方向とは逆方向に第2フィルムを搬送可能でなくても、仮成形樹脂の冷却機構以降への搬送の際に、第2フィルムの搬送は必要ない。このため、第2フィルムの搬送量を少なくでき、第2フィルムの利用効率を向上させることができる。
【0070】
次に、本発明の第3実施形態について、図6を用いて説明する。
【0071】
本実施形態は、第1実施形態とは、仮成形機312に第2フィルム搬送装置を用いずに、加熱・圧縮機構338、冷却機構340の粉粒体状樹脂302と当接するそれぞれの表面338AA、340AAに、表面338AA、340AAを支持する上型338A、上側伝熱部材340Aよりも樹脂に対する剥離性がよい膜が設けられることで異なり、それ以外は同一であるので、符号下2桁を同一として、説明を省略する。
【0072】
表面338AA、340AAを支持する上型338A、上側伝熱部材340Aよりも樹脂に対する剥離性がよい膜としては、例えばフッ素化合物系樹脂やセラミックスなどを使用することができる。表面338AA、340AAにより、仮成形の際に、粉粒体状樹脂302に直接的に上型338A、上側伝熱部材340Aが当接しても、樹脂の吸着を少なくすることができる。このため、粉粒体状樹脂302の相応の仮成形が可能となると共に、第2フィルムを使用しないので、ランニングコストを更に低減することができる。
【0073】
次に、本発明の第4実施形態について、図7を用いて説明する。
【0074】
本実施形態は、上記実施形態とは樹脂封止装置として、仮成形機412が2つ並列配置されて、第1フィルム422A、422Bに粉粒体状樹脂を載置する樹脂供給機436が2つの仮成形機412において兼用に用いられていることで異なり、それ以外は同一であるので、符号下2桁を同一として、説明を省略する。
【0075】
樹脂供給機436は、貯留部436Aとフィーダ部436BA、436BBと枠部436CA、436CBとを有する。貯留部436Aでは、原料となる粉粒体状樹脂が受け入れられて、供給口436AA、436ABからフィーダ部436BA、436BBそれぞれに粉粒体状樹脂が振り分けられる。フィーダ部436BA、436BBに振り分けられた粉粒体状樹脂は、所定の重量が計量され、計量された分だけ枠部436CA、436CBそれぞれの内側に投下される。枠部436CA、436CBの内側に投下された粉粒体状樹脂は、枠部436CA、436CBで定められた所定の面積で、第1フィルム422A、422Bそれぞれに載置される。粉粒体状樹脂は、第1フィルム422A、422Bにより加熱・圧縮機構438の位置に移動する。なお、第1フィルム422A、422Bは互いに同期して搬送されてもよいし、非同期(異なるタイミング)で搬送されてもよい。
【0076】
本実施形態では、仮成形機412が2つ並列配置されて、第1フィルム422A、422Bに粉粒体状樹脂を載置する樹脂供給機436が2つの仮成形機412において兼用に用いられているので、部品点数を低減して更に低コスト化を促進することができる。なお、本実施形態では、仮成形機を2つ備えていたが、3つ以上であっても、本実施形態の如く、並列配置させることで、樹脂供給機を兼用とすることができる。
【0077】
本発明について上記実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでも無い。
【0078】
上記実施形態においては、粉粒体状樹脂として特に説明をしなかったが、当該樹脂は粉状や、粒状であってもよいし、小径のタブレットでもよい。若しくはそれらの混合物であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
100…樹脂封止装置
102、202、302…粉粒体状樹脂
104、204、304…仮成形樹脂
112、212、312、412…仮成形機
114、214…第1フィルム搬送装置
116、216、316、416…第1供給ロール
118、318…第1収納ロール
120、130A、130B、220、230A、230B、230C、230D、320、420…ローラ
122、222、322、422A、422B…第1フィルム
124、224…第2フィルム搬送装置
126、226…第2供給ロール
128、228…第2収納ロール
132、232…第2フィルム
136、236、336、436…樹脂供給機
138、238、338、438…加熱・圧縮機構
138A、162、238A、338A、362…上型
138B、164、238B、338B、364…下型
140、240、340、440…冷却機構
150、350…圧縮成形機
160…金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体状樹脂を仮成形し、該仮成形された樹脂を用いて金型で被成形品を圧縮成形して樹脂封止をする樹脂封止装置であって、
前記粉粒体状樹脂を載置する第1フィルムを連続して前記金型内に搬送する第1フィルム搬送装置と、
該粉粒体状樹脂を該第1フィルム上で加熱して所定の形状に仮成形する仮成形手段と、
を備えることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記仮成形手段は、前記粉粒体状樹脂を加熱すると共に該粉粒体状樹脂を圧縮する加熱・圧縮機構を有する
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項3】
請求項2において、更に、
前記仮成形手段は、前記加熱・圧縮された前記粉粒体状樹脂を冷却可能な冷却機構を有する
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項4】
請求項3において、更に、
前記仮成形手段は、前記金型内に入る前の前記第1フィルムに対峙して前記粉粒体状樹脂を該第1フィルムと挟み込む第2フィルムを連続して搬送する第2フィルム供給装置を有する
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項5】
請求項4において、更に、
前記第2フィルム搬送装置は、前記第2フィルムの搬送方向で前記冷却機構内を移動可能とされると共に、該移動に伴って前記第1フィルムに対する該第2フィルムまでの距離を変更させる可変ローラ機構を備える
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項6】
請求項4又は5において、更に、
前記第2フィルム搬送装置は、前記第2フィルムの前記金型への搬送方向とは逆方向に該第2フィルムを搬送可能である
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれかにおいて、更に、
前記冷却機構は、前記仮成形された樹脂に圧縮空気を吹き付ける機構を有する
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれかにおいて、更に、
前記加熱機構の位置に、前記第1フィルムに前記粉粒体状樹脂を載置する原料供給手段若しくは前記冷却機構を移動させる移動機構を有する
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項9】
請求項2乃至8のいずれかにおいて、
前記仮成形手段が複数並列配置されて、前記第1フィルムに前記粉粒体状樹脂を載置する原料供給手段が該複数の仮成形手段において兼用に用いられている
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項10】
粉粒体状樹脂を仮成形し、該仮成形された樹脂を用いて金型で被成形品を圧縮成形して樹脂封止をする樹脂封止方法であって、
前記粉粒体状樹脂を第1フィルムに載置する工程と、
該第1フィルム上の前記粉粒体状樹脂を加熱して所定の形状に仮成形する工程と、
該仮成形された樹脂を載置したまま、前記第1フィルムを連続して前記金型内に搬送する工程と、
を含むことを特徴とする樹脂封止方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−104893(P2011−104893A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263043(P2009−263043)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】