説明

樹脂封止装置及び樹脂封止方法

【課題】 樹脂封止されるために成形型に配置される封止前基板を、適切に予熱する。
【解決手段】 封止前基板5に装着されたチップを樹脂封止する樹脂封止装置1に、成形モジュール3A〜3Dと、各成形モジュール3A〜3Dに各々設けられた下型10と、下型10に相対向して各々設けられた上型と、各下型10に設けられ流動性樹脂によって満たされるキャビティ11と、各成形モジュール3A〜3Dまで封止前基板5を搬送する搬送機構9と、搬送機構9に設けられた第1のヒータと、搬送機構9から受け取った封止前基板5をキャビティ11の上方まで移送して上型の型面に引き渡す移送機構13と、移送機構13に設けられた第2のヒータとを備える。第1のヒータは封止前基板5を各成形モジュール3A〜3Dまで搬送する過程において、第2のヒータは受け取った封止前基板5を上型の型面に引き渡すまでの過程において、各々封止前基板5を面的に加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路(Integrated Circuit:IC)のチップや、LED(Light Emitting Diode)のチップ等からなるチップ状の電子部品(以下「チップ」という。)を樹脂封止する樹脂封止装置及び樹脂封止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リードフレーム、プリント基板等の回路基板(以下適宜「基板」という。)に装着された1個又は複数個のチップを、樹脂成形技術によって成形型を使用して樹脂封止することが行われている。この場合に使用される成形型(樹脂封止型)は、180℃程度に加熱されている。樹脂封止工程では、まず、成形型の型面に基板を配置し、成形型を使用してその基板を予熱する。次に、成形型に設けられた空間からなるキャビティに、基板に装着されたチップを収容する。次に、キャビティに流動性樹脂を充填して、その流動性樹脂を硬化させて硬化樹脂を形成する。このことにより、基板に装着されたチップを硬化樹脂によって樹脂封止することができる。
【0003】
ところで、成形型の型面に配置された基板を成形型によって予熱する場合においては、成形型において基板が充分に予熱されるまでに時間を必要とする。したがって、全体的な封止時間(成形時間)が長くなるという問題がある(例えば、特許文献1の段落[0004]参照)。
【0004】
この問題を解消するために、基板が成形型の型面に配置される前に基板を予熱する、次の技術が提案されている。第1に、「(略)リードフレームを所定方向へ整列させるための整列部等に専用の予備加熱機構を備えて、該予備加熱機構にてリードフレームを予め所定温度にまで加熱すると共に、予備加熱した該リードフレームをその搬送機構を介して両型のキャビティ部に搬送供給する、所謂、金型外予備加熱方法」が提案されている。(例えば、特許文献1の段落[0005]、特許文献2の段落[0012]、[0015]、図10参照)。
【0005】
第2に、樹脂封止装置に複数個のモールディングユニットを設けて、各モールディングユニットに設けられた可動下型(成形型)において、独立した適宜な予備加熱手段を金型キャビティ部の近傍に設けるという構成が提案されている。予備加熱手段は、樹脂封止前リードフレーム(基板)を、所要の温度にまで予備加熱する(例えば、特許文献1の段落[0024]、図1、図5(図中の予備加熱手段33)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−321137号公報
【特許文献2】特開2004−273773号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】東芝セミコンダクター社、「半導体デバイスの信頼性、半導体の信頼性に影響を与える因子、信頼性に影響を与える製造プロセス要因」、「表1 信頼性に影響を与える製造プロセス要因」における「組立工程 封止(樹脂封止)」の項、[online]、2010年1月、[平成22年7月12日検索]、インターネット<http://www.semicon.toshiba.co.jp/product/reliability/device/concept/1186198_7633.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の技術のうち、第1に、「金型外予備加熱方法」を使用した場合には、次の問題が発生する。まず、予備加熱したリードフレーム(基板)を搬送機構によって成形型のキャビティ部に搬送するまでに、基板が冷却される。このことによって、成形型において基板を再度予熱する必要がある。したがって、チップを樹脂封止する際の全体的な封止時間を短縮することが困難である。
【0009】
更に、樹脂封止装置に複数個のモールディングユニットを設けた場合には、基板が搬送される距離によって基板の温度にそれぞれ差異が生じる。これにより、成形型において基板を再度予熱する時間に差異を設ける必要がある。したがって、樹脂封止工程がいたずらに面倒なものとなる(例えば、特許文献1の段落[0005]参照)。
【0010】
加えて、リードフレーム(基板)の温度に差が生じることに起因して、硬化樹脂と基板との密着性に差が生じるおそれがある。硬化樹脂と基板との密着性が低下した場合には、樹脂封止工程を経て製造された製品である半導体パッケージ、LEDパッケージ等(以下「パッケージ」という。)において、密着不良による品質の低下という深刻な問題が発生するおそれがある。硬化樹脂と基板との密着性が低下した場合に品質の低下が発生するおそれがあることは、周知である(例えば、非特許文献1参照)。
【0011】
第2に、各モールディングユニットに設けられた成形型において、独立した適宜な予備加熱手段をキャビティの近傍に設けるという構成によれば、次の問題が発生する。まず、モールディングユニットの数に等しい独立した予備加熱手段を設ける必要があるので、装置コストが増大する。また、成形型のメンテナンスを行う際に、予備加熱手段によって作業者が火傷を負うおそれがある。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、チップを樹脂封止する際の全体的な封止時間を短縮することが困難であること、製品の品質の低下を招くおそれがあること、装置コストが増大すること、及び、成形型のメンテナンスにおいて安全性に問題があることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下の説明における( )内の数字は、図面における符号を示している。これらの数字は、説明における用語と図面に示された構成要素とを対比しやすくする目的で記載されたものである。また、これらの数字は、「説明における用語を、図面に示された構成要素に限定して解釈すること」を意味するものではない。
【0014】
上述の課題を解決するために、本発明に係る樹脂封止装置は、チップ状の電子部品からなるチップ(17)が基板(14)に装着された状態においてチップ(17)を樹脂封止する樹脂封止装置(1)であって、第1の成形型(28)と、第1の成形型(28)に相対向して設けられた第2の成形型(10)と、第1の成形型(28)と第2の成形型(10)との少なくともいずれかに設けられ流動性樹脂(30)によって満たされるべきキャビティ(11)と、チップ(17)が装着された基板(14)からなる封止前基板(5)をキャビティ(11)の少なくとも近傍まで搬送する搬送機構(9)と、搬送機構(9)に設けられた第1のヒータ(20)とを備えるとともに、第1のヒータ(20)の形状はシート状であり、第1のヒータ(20)は、封止前基板(5)を少なくともキャビティ(11)の近傍まで搬送する過程において封止前基板(5)を面的に加熱し、キャビティ(11)に満たされた流動性樹脂(30)にチップ(17)が浸漬された状態において流動性樹脂(30)が硬化することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る樹脂封止装置は、上述した樹脂封止装置(1)において、第1の成形型(28)と第2の成形型(10)とはそれぞれ複数個設けられているとともに、複数個の第2の成形型(10)がそれぞれ有するキャビティ(11)の少なくとも近傍まで封止前基板(5)を搬送する距離が相異なることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る樹脂封止装置は、上述した樹脂封止装置(1)において、第1のヒータ(20)は封止前基板(5)を直接加熱することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る樹脂封止装置は、上述した樹脂封止装置(1)において、搬送機構(9)は、第1の成形型(28)と第2の成形型(10)とのいずれかにおいてキャビティ(11)に平面視して重なる位置における型面まで封止前基板(5)を更に搬送して封止前基板(5)をその型面を含む型面に引き渡し、第1のヒータ(20)は、封止前基板(5)を型面に引き渡すまでの過程において封止前基板(5)を面的に加熱することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る樹脂封止装置は、上述した樹脂封止装置(1)において、搬送機構(9)から封止前基板(5)を受け取り、かつ、型面まで封止前基板(5)を移送する移送機構(13)と、移送機構(13)に設けられた第2のヒータ(24)とを備えるとともに、第2のヒータ(24)は、封止前基板(5)を型面に引き渡すまでの過程において封止前基板(5)を面的に加熱することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る樹脂封止装置は、上述した樹脂封止装置(1)において、第2のヒータ(24)の形状はシート状であり、第2のヒータ(24)は、チップ(17)に対して非接触である状態において封止前基板(5)を面的に加熱することを特徴とする。
【0020】
上述の課題を解決するために、本発明に係る樹脂封止方法は、チップ状の電子部品からなるチップ(17)が基板(14)に装着された状態においてチップ(17)を樹脂封止することを目的として、第1の成形型(28)と該第1の成形型(28)に相対向して設けられた第2の成形型(10)とを準備する工程と、チップ(17)が装着された基板(14)からなる封止前基板(5)を搬送機構(9)に配置する工程と、第1の成形型(28)と第2の成形型(10)との少なくともいずれかに設けられ流動性樹脂(30)によって満たされるべきキャビティ(11)の少なくとも近傍まで搬送機構(9)を使用して封止前基板(5)を搬送する工程と、第1の成形型(28)と第2の成形型(10)とのいずれかにおいてキャビティ(11)に平面視して重なる位置における型面を含む型面に封止前基板(5)を固定する工程と、第1の成形型(28)と第2の成形型(10)とを型締めする工程と、キャビティ(11)に満たされた流動性樹脂(30)にチップ(17)が浸漬された状態において流動性樹脂(30)を硬化させることによって硬化樹脂(31)を形成する工程と、第1の成形型(28)と第2の成形型(10)とを型開きする工程と、基板(14)とチップ(17)と硬化樹脂(31)とを有する封止済基板(32)を取り出す工程とを備える樹脂封止方法であって、搬送する工程においては、搬送機構(9)に設けられシート状の形状を有する第1のヒータ(20)を使用して封止前基板(5)を面的に加熱することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る樹脂封止方法は、上述した樹脂封止方法において、第1の成形型(28)と第2の成形型(10)とはそれぞれ複数個設けられているとともに、複数個の第2の成形型(10)がそれぞれ有するキャビティ(11)の少なくとも近傍まで封止前基板(5)を搬送する距離が相異なることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る樹脂封止方法は、上述した樹脂封止方法において、搬送する工程においては、第1のヒータ(20)は封止前基板(5)を直接加熱することを特徴とする。
【0023】
本発明に係る樹脂封止方法は、上述した樹脂封止方法において、搬送する工程においては、型面まで封止前基板(5)を更に搬送して封止前基板(5)を型面に引き渡すことを特徴とする。
【0024】
本発明に係る樹脂封止方法は、上述した樹脂封止方法において、搬送する工程においては、移送機構(13)が搬送機構(9)から封止前基板(5)を受け取る工程と、移送機構(13)を使用して封止前基板(5)を型面まで移送する工程と、封止前基板(5)を型面に引き渡す工程とを更に備えるとともに、移送する工程においては、移送機構(13)に設けられた第2のヒータ(24)を使用して、チップ(17)に対して非接触である状態において封止前基板(5)を面的に加熱することを特徴とする。
【0025】
本発明に係る樹脂封止方法は、上述した樹脂封止方法において、第2のヒータ(24)の形状はシート状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、少なくともキャビティ(11)の近傍まで封止前基板(5)を搬送する搬送機構(9)に、第1のヒータ(20)が設けられる。第1のヒータ(20)は、シート状の形状を有しており、封止前基板(5)を搬送する過程において封止前基板(5)を面的に加熱する。これにより、本発明は次の効果を奏する。第1に、少なくともキャビティ(11)の近傍まで封止前基板(5)を搬送する過程において封止前基板(5)を加熱するので、成形型において封止前基板(5)を加熱する時間が短縮され、又は不要になる。したがって、全体的な封止時間、言い換えれば成形型におけるサイクルタイムを短縮することができる。
【0027】
第2に、複数個の成形型に対して封止前基板(5)を搬送する距離が相異なる場合において、加熱された封止前基板(5)の温度に差が生じないようにすることができる。このことにより、複数個の成形型の間で硬化樹脂(31)と基板(14)との密着性に差が生じにくくなる。したがって、パッケージの品質の低下を効果的に防止することができる。また、成形型において封止前基板(5)を再度予熱する時間に差異を設ける必要がなくなる。
【0028】
第3に、複数個の成形型が設けられている場合において、成形型の数に等しい独立した予備加熱手段を設ける必要がない。したがって、装置コストを抑制することができる。
【0029】
第4に、成形型において、キャビティ(11)の近傍に独立した予備加熱手段を設ける必要がない。加えて、成形型のメンテナンスを行う場合には、第1のヒータ(20)が設けられた搬送機構(9)をその成形型から退避させることができる。したがって、成形型のメンテナンスにおける安全性が向上する。
【0030】
第5に、搬送機構(9)から封止前基板(5)を受け取り、かつ、型面まで封止前基板(5)を移送する移送機構(13)に設けられた第2のヒータ(24)が、封止前基板(5)を型面に引き渡すまでの過程において封止前基板(5)を面的に加熱する。このことによって、封止前基板(5)を型面に引き渡す直前まで封止前基板(5)を加熱することができる。したがって、全体的な封止時間を大幅に短縮することができる。また、複数個の成形型に対して封止前基板(5)を搬送する距離が相異なる場合においても、加熱された封止前基板(5)の温度に差がいっそう生じにくくなる。したがって、製品の品質の低下をいっそう効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明に係る樹脂封止装置の概略平面図である。
【図2】図2(1)〜(3)は、搬送機構が封止前基板を搬送する工程から、移送機構が封止前基板を搬送する工程までを示す、部分断面図である。
【図3】図3(1)〜(4)は、移送機構が封止前基板を型面に引き渡す工程から、封止済基板が形成される工程までを示す、部分断面図である。
【実施例1】
【0032】
本発明に係る樹脂封止装置の実施例1を、図1〜図3を参照して説明する。本出願に係るいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。
【0033】
図1に示されているように、本発明に係る樹脂封止装置1は、受入及び払出モジュール2と、4個の成形モジュール3A、3B、3C、3Dとを有する。受入及び払出モジュール2には、樹脂封止用の樹脂材料を成形型に供給する機構、樹脂封止された封止済基板を次工程に払い出す機構、樹脂封止装置1全体を制御する制御部等が設けられている。これらの構成要素については、図示を省略した。
【0034】
受入及び払出モジュール2には、基板供給部4が設けられている。基板供給部4は、前工程から封止前基板5を受け取って樹脂封止装置1の内部に供給する。また、受入及び払出モジュール2には、回転機構6と中継機構7と受け渡し台8とが設けられている。
【0035】
図1の全体において、各構成要素における封止前基板5が配置される位置を、細い二点鎖線の長方形及び細い破線の長方形によって仮想的に示す。細い二点鎖線は、各構成要素の上面に封止前基板5が配置されることを示す。細い破線は、各構成要素の下面に封止前基板5が保持されることを示す。
【0036】
4個の成形モジュール3A、3B、3C、3Dのそれぞれにおいて、図のX方向(+、−の符号を付さない場合には、+X方向と−X方向との双方を示す。以下同じ。)に移動する搬送機構9が設けられている。各成形モジュール3A、3B、3C、3Dには、それぞれ下型10が設けられている。各下型10の型面には、流動性樹脂(後述)によって満たされるべき凹部からなるキャビティ11がそれぞれ形成されている。樹脂封止工程において封止前基板5が配置される位置(平面視した位置)を、基板位置12として仮想的に示す。また、各成形モジュール3A、3B、3C、3Dには、それぞれ移送機構13が設けられている。また、下型10に相対向して上型(後述)が設けられている。下型10と上型とは、併せて成形型を構成する。
【0037】
なお、実際の樹脂封止装置においては、下型10は、チェイスホルダと呼ばれる外側の部分と、チェイスと呼ばれる内側の部分と、キャビティブロックと呼ばれるキャビティが設けられた部分とによって構成される場合が多い。図1においては、これらの構成要素及び上型については図示を省略した。
【0038】
以下、図1を参照して、封止前基板5が基板供給部4から基板位置12まで搬送される経路を説明する。まず、前工程から搬送されてきた封止前基板5を、基板供給部4の上面に置く。次に、適当な移送機構(図示なし)を使用して、基板供給部4から回転機構6の上面に封止前基板5を移送する。次に、回転機構6が、その上面に封止前基板5を置いた状態で90°回転する。次に、中継機構7が、回転機構6の上面に置かれていた封止前基板5を、吸着、クランプ等の方法によって中継機構7の下面に固定する。次に、中継機構7は、受け渡し台8の上方まで−Y方向に移動して、その後に封止前基板5に対する吸着等を解除する。これにより、受け渡し台8の上面に封止前基板5を置くことができる。
【0039】
次に、搬送機構9が、受け渡し台8の上面に置かれていた封止前基板5を、吸着によって搬送機構9の下面に固定する。その後に、搬送機構9は、下面に封止前基板5を固定した状態でレール(図示なし)に沿って+X方向に移動する。搬送機構9は、封止前基板5を樹脂封止する際に使用される下型10を有する成形モジュール(図1の例では成形モジュール3C)まで、封止前基板5を搬送する。
【0040】
次に、成形モジュール3Cに設けられた移送機構13が、搬送機構9の下方まで−Y方向に移動する。搬送機構9は、封止前基板5に対する吸着を解除する。これにより、移送機構13の上面に封止前基板5を置くことができる。
【0041】
次に、移送機構13は、上面に封止前基板5を置いた状態で+Y方向に移動する。移送機構13は、封止前基板5が基板位置12に到達すると停止して、+Z方向に移動した後に上型(図示なし)の型面に封止前基板5を引き渡す。上型は、吸着、クランプ等の方法によって封止前基板5を上型の型面(下面)に固定する。
【0042】
本実施例の特徴は、成形モジュール3A、3B、3C、3Dのいずれかにおけるキャビティ11の近傍まで封止前基板5を搬送する過程と、キャビティ11の近傍から基板位置12まで封止前基板5を移送する過程とにおいて、封止前基板5を予熱することである。以下、これらの2つの過程において封止前基板5を予熱することについて、図1〜図3を参照して説明する。
【0043】
図2(1)に示されているように、封止前基板5は、リードフレーム、プリント基板等からなる基板14を有する。基板14は、仮想的な境界線15によって格子状の領域16に区分けされている。各領域16には、1個又は複数個のチップ17が装着されている。基板14の端子とチップ17の端子とは、ワイヤボンディングによって導線18を使用して電気的に接続されている。
【0044】
本実施例においては、図1に示された基板供給部4の上面において、封止前基板5におけるチップ17が装着された面を下向き(−Z方向)にして封止前基板5が置かれる。このことから、基板供給部4の上面には、チップ17と導線18とを収容するための凹部である収容部(図示なし)が設けられている。樹脂封止装置1の他の構成要素のうち、回転機構6と受け渡し台8と移送機構13とにおいても、基板供給部4と同様に収容部が設けられている(移送機構13に設けられた収容部については後述)。
【0045】
搬送機構9は、本体19とヒータ20と表層部21と吸引路22とを有する。ヒータ20は、封止前基板5を予熱するために設けられた第1のヒータであって、本体19に設けられた凹部にはめ込まれたシート状(薄板状)の発熱部材である。ヒータ20は、通電されることによって発熱する。これにより、ヒータ20は表層部21を介して封止前基板5を面的に加熱する。表層部21は、ヒータ20を保護する目的で本体19の表面に設けられている。吸引路22は、配管によって減圧タンク(いずれも図示なし)に接続されている。吸引路22を介して封止前基板5を吸引することによって、搬送機構9の下面に封止前基板5が吸着される。
【0046】
図2(2)、図2(3)に示されているように、移送機構13は、本体23とヒータ24と枠状部25と吸引路26と収容部27とを有する。ヒータ24は、封止前基板5を予熱するために設けられた第2のヒータであって、本体23に設けられた凹部にはめ込まれたシート状(薄板状)の発熱部材である。ヒータ24は、通電されることによって発熱する。これによって、ヒータ24は封止前基板5を面的に加熱する。枠状部25は、ヒータ24の外周に重なるようにして、本体23に対して固定されている枠状の部材である。収容部27は、本体23と枠状部25とによって形成された空間である。移送機構13に封止前基板5が置かれた状態において、チップ17と導線18とが収容部27に収容される(図2(3)参照)。
【0047】
以下、封止前基板5が搬送機構9の下面に吸着されてから、封止前基板5に装着されたチップ17が樹脂封止されるまでの工程について、図1〜図3を参照して説明する。本実施例では、圧縮成形の方式を使用して、封止前基板5に装着されたチップ17を樹脂封止することによって、封止済基板(後述)を完成させる。
【0048】
まず、図1と図2(1)とに示されているように、受け渡し台8の上方において搬送機構9の下面に封止前基板5を吸着する。その後に、搬送機構9を+X方向に移動させる。この過程において、ヒータ20が表層部21を介して封止前基板5を面的に加熱する。したがって、図1において、搬送機構9が受け渡し台8から成形モジュール3Cまで封止前基板5を搬送している間において、封止前基板5を面的に加熱することができる。このことは、搬送機構9が、受け渡し台8から成形モジュール3Cにおけるキャビティ11の近傍まで封止前基板5を面的に予熱することを意味する。
【0049】
次に、図1と図2(2)とに示されているように、成形モジュール3Cに設けられた移送機構13が、搬送機構9の下方まで−Y方向に移動する。その後に、移送機構13は+Z方向に移動し、搬送機構9は封止前基板5に対する吸着を解除する。このことにより、図2(3)に示されているように、移送機構13の上面に封止前基板5を置くことができる。
【0050】
次に、図2(3)に示されているように、吸引路26を使用して、移送機構13の上面に置かれた封止前基板5の外周部を吸着する。吸着された封止前基板5は、枠状部25に接触している部分においてヒータ24からの熱の伝導によって加熱される。加えて、吸着された封止前基板5は、枠状部25に接触していない部分において、言い換えれば平面視して収容部27に重なる部分において、ヒータ24からの熱の輻射によって加熱される。これらのことにより、封止前基板5はヒータ24によって面的に加熱される。
【0051】
次に、図1に示されているように、移送機構13は、平面視して封止前基板5が基板位置12に重なるまで、+Y方向に封止前基板5を移送する。その後に、図3(1)に示されているように、移送機構13は+Z方向に移動して、封止前基板5に対する吸着を解除する。下型10に相対向して設けられた上型28は、吸引路29を使用して上型28の型面(下面)において封止前基板5を吸着する。したがって、移送機構13の上面に封止前基板5が置かれてから、上型28の下面に封止前基板5が吸着されるまでの間において、ヒータ24によって封止前基板5を面的に予熱することができる。
【0052】
ここまでの工程と並行して、図3(2)に示されているように、下型10に設けられたキャビティ11に、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂からなる流動性樹脂30を供給する。
【0053】
移送機構13による封止前基板5の移送をまとめると、次のようになる。まず、移送機構13は、下型10に設けられたキャビティ11に平面視して重なる位置における上型28の型面の下方まで、封止前基板5を移送する。次に、移送機構13は+Z方向に移動する。次に、移送機構13は、下型10に設けられたキャビティ11に平面視して重なる位置における上型28の型面に、封止前基板5を引き渡す。最終的に、上型28において、下型10に設けられたキャビティ11に平面視して重なる位置における型面を含む型面に封止前基板5が吸着される。その後に、移送機構13が−Z方向と−Y方向とに順次移動して基板位置12から退避する(図1参照)。
【0054】
次に、図3(3)に示されているように、下型10と上型28とを型締めする。これにより、封止前基板5におけるチップ17と導線18とが流動性樹脂30に浸漬した(漬かった)状態になる。引き続き、下型10に設けられたヒータ(図示なし)によって流動性樹脂30を加熱する。これにより、流動性樹脂30を硬化させて硬化樹脂31を形成する(図3(4)参照)。
【0055】
次に、図3(3)、図3(4)に示されているように、下型10と上型28とを型開きする。ここまでの工程により、封止前基板5におけるチップ17と導線18とが硬化樹脂31によって樹脂封止された封止済基板32が完成する。
【0056】
次に、上型28における吸着を解除して、上型28から封止済基板32を取り出す。その後に、ダイサー等を使用して、必要に応じて封止済基板32を境界線15において分離する。これにより、封止済基板32から、1個又は複数個の領域16に相当するパッケージを製造することができる。
【0057】
本実施例によれば、次の効果が得られる。まず、少なくともキャビティ11の近傍まで封止前基板5を搬送する過程において、搬送機構9に設けられたヒータ20が封止前基板5を加熱する。このことにより、下型10と上型28とからなる成形型において封止前基板5を加熱する時間が短縮され、又は不要になる。したがって、全体的な封止時間、言い換えれば成形型におけるサイクルタイムを短縮することができる。
【0058】
また、複数個の成形型に対して封止前基板5を搬送する距離が相異なる場合において、加熱された封止前基板5の温度に差が生じないようにすることができる。このことによって、複数個の成形型の間で硬化樹脂31と基板14との密着性に差が生じにくくなる。したがって、パッケージの品質の低下を効果的に防止することができる。また、成形型において封止前基板5を再度予熱する時間に差異を設ける必要がなくなる。
【0059】
また、複数個の成形型が設けられている場合において、成形型の数に等しい独立した予備加熱手段を設ける必要がない。したがって、装置コストを抑制することができる。
【0060】
また、成形型において、キャビティ11の近傍に独立した予備加熱手段を設ける必要がない。加えて、成形型のメンテナンスを行う場合において、ヒータ20が設けられた搬送機構9とヒータ24が設けられた移送機構13とを、その成形型から退避させることができる。したがって、成形型のメンテナンスにおける安全性が向上する。
【0061】
また、移送機構13に設けられたヒータ24が、移送機構13が搬送機構9から封止前基板5を受け取って上型28の型面に引き渡すまでの過程において、封止前基板5を面的に加熱する。このことによって、封止前基板5を上型28の型面に引き渡す直前まで封止前基板5を加熱することができる。したがって、全体的な封止時間を大幅に短縮することができる。また、複数個の成形型に対して封止前基板5を搬送する距離が相異なる場合においても、加熱された封止前基板5の温度に差がいっそう生じにくくなる。したがって、製品の品質の低下をいっそう効果的に防止することができる。
【0062】
また、それぞれシート状の形状を有するヒータ20とヒータ24とが封止前基板5を面的に加熱する。これにより、封止前基板5が大型である場合であってもその封止前基板5を均一に加熱することができる。
【実施例2】
【0063】
本発明の実施例2として、図2、図3に示された移送機構13においてヒータ24を設けない構成が可能である。この構成を採用することができるか否かは、次の要素を検討したうえで決定される。
【0064】
第1の要素は、封止前基板5の特性、特に、熱容量及び熱伝導性である。封止前基板5の熱容量が大きい場合及び封止前基板5の熱伝導性が小さい場合には、搬送機構9によって予熱された封止前基板5を移送機構13が移送する間において封止前基板5の温度が低下しにくい。したがって、これらの場合には、本実施例を採用できる可能性がある。
【0065】
第2の要素は、搬送機構9のヒータ20によって封止前基板5が予熱される際の設定温度である。この設定温度が、移送機構13が封止前基板5を移送する間に封止前基板5の温度が低下する分を見込んで、封止前基板5が樹脂封止される際に要求される封止前基板5の温度を上回る適当な温度に設定されていることが好ましい。
【0066】
第3の要素は、移送機構13が封止前基板5を受け取ってから上型28の下面に封止前基板5が吸着されるまでの時間である。この時間が短い場合には、移送機構13が封止前基板5を移送する間に封止前基板5の温度が低下しにくい。したがって、この場合には、本実施例を採用できる可能性がある。
【0067】
本実施例によれば、移送機構13においてヒータ24を設けない。したがって、実施例1に比較して移送機構13の構成が単純になるので、装置コストをいっそう抑制することができる。
【0068】
なお、ここまでの説明においては、成形の方式として圧縮成形について説明した。これに限らず、成形の方式としてトランスファ成形及び射出成形を使用することができる。加えて、圧縮成形以外の成形の方式においては、成形型としては、下型10と上型28とに限定されない。成形型としては、相対向する2つの成形型を含んでいればよい。
【0069】
また、図1に示されている基板供給部4の上面において、封止前基板5におけるチップ17が装着された面を下向き(−Z方向)にして封止前基板5を置く場合について説明した。これに限らず、基板供給部4の上面において、封止前基板5におけるチップ17が装着された面を上向き(+Z方向)にして封止前基板5を置いてもよい。この場合には、図1に示された中継機構7と搬送機構9との下面に、チップ17と導線18とを収容するための凹部である収容部(図示なし)が設けられる。移送機構13は、チップ17が装着された面を上向き(+Z方向)にした封止前基板5を上面に置いた状態で+Y方向に移動する。移送機構13は、封止前基板5が基板位置12に到達すると停止して、上型(図示なし)の型面(下面)に封止前基板5を引き渡す。上型に設けられたキャビティに、チップ17と導線18とが収容される。この場合には、成形の方式としてトランスファ成形及び射出成形を使用することができる。
【0070】
また、図1において適当な移送機構(図示なし)を使用して、受け渡し台8の上面から搬送機構9の上面に封止前基板5を移送してもよい。この場合には、封止前基板5におけるチップ17が装着された面を上向き(+Z方向)にして吸着等した封止前基板5を、搬送機構9の上面に移送する。搬送機構9から封止前基板5を受け取った移送機構13は、封止前基板5を下面に保持した状態で+Y方向に移動する。移送機構13は、上型に設けられたキャビティにチップ17と導線18とが平面視して重なるように封止前基板5と上型とを位置合わせして停止する。移送機構13は、−Z方向に移動して、下型10の型面(上面)に、チップ17が装着された面を上向きにした封止前基板5を引き渡す。下型10と上型(図示なし)とが型締めすることによって、上型に設けられたキャビティにチップ17と導線18とが収容される。この場合には、成形の方式としてトランスファ成形及び射出成形を使用することができる。
【0071】
また、次の変形例を採用することができる。その変形例は、図1において、チップ17が装着された面を上向き(+Z方向)にした封止前基板5を、受け渡し台8の上面から搬送機構9の上面に押し出して移送するという構成を採用する。この場合には、搬送機構9から封止前基板5を受け取った移送機構13は、封止前基板5を下面に保持した状態で+Y方向に移動する。移送機構13は、上型に設けられたキャビティにチップ17と導線18とが平面視して重なるように封止前基板5と上型とを位置合わせして停止する。移送機構13は、−Z方向に移動して、下型10の上面に、チップ17が装着された面を上向きにした封止前基板5を引き渡す。この場合には、成形の方式としてトランスファ成形及び射出成形を使用することができる。
【0072】
また、別の変形例を採用することもできる。その変形例は、図1に示された樹脂封止装置1において、受け渡し台8の位置から各基板位置12までの経路を対象にして搬送機構9と移送機構13とが次のように移動することができるという構成を採用する。第1に、搬送機構9と移送機構13とを重ね合わせて、搬送機構9と移送機構13とが一体的に移動する。第2に、搬送機構9と移送機構13とが分離して個別に移動する。
【0073】
この変形例によれば、まず、チップ17が装着された面を下向き(−Z方向)にした封止前基板5を受け渡し台8の上面から受け取った搬送機構9が、封止前基板5を下面に保持する。次に、搬送機構9が移送機構13の真上まで移動して(又は移送機構13が搬送機構9の真下まで移動して)、搬送機構9と移送機構13とが重なり合った状態になる。次に、搬送機構9と移送機構13とが一体的に+X方向と+Y方向とに順次移動して、基板位置12に到達する。この場合には、図2(2)において搬送機構9と移送機構13とが更に接近した状態になっている。次に、搬送機構9の下面から移送機構13の上面に封止前基板5を引き渡す。次に、搬送機構9が−Y方向に移動して基板位置12から退避する。次に、移送機構13が+Z方向に移動して、上型28の型面(下面)に封止前基板5を引き渡す(図3(1)参照)。次に、移送機構13が−Z方向と−Y方向とに順次移動して基板位置12から退避する(図1参照)。
【0074】
また、上述した変形例に関連した別の変形例として、チップ17が装着された面を上向き(+Z方向)にした封止前基板5を、受け渡し台8の上面から搬送機構9の上面に移送するという構成を採用してもよい。この別の変形例によれば、搬送機構9と移送機構13とが一体的に+X方向と+Y方向とに順次移動して、基板位置12に到達する。そして、最終的に、移送機構13が−Z方向に移動して、下型(図示なし)の型面(上面)に封止前基板5を引き渡すことができる。
【0075】
また、別の変形例を採用することもできる。その変形例は、図1において、移送機構13を設けることなく、X方向に加えてY方向にも移動可能に設けられた搬送機構9を使用して、封止前基板5を下型10の上面に配置するという構成を採用する。この場合には、搬送機構9は、チップ17が装着された面を上向き(+Z方向)にした封止前基板5を下面に保持した状態で+Y方向に移動する。搬送機構9は、上型に設けられたキャビティにチップ17と導線18とが収容されるように封止前基板5と上型とを位置合わせして、下型10の上面に封止前基板5を配置する。この場合には、成形の方式としてトランスファ成形及び射出成形を使用することができる。
【0076】
また、ここまでの説明においては、下型10にキャビティ11が設けられた場合(図3(2)参照)と上型にキャビティが設けられた場合とについて説明した。これに限らず、下型と上型との双方にキャビティが設けられた成形型を使用する場合においても、本発明を適用することができる。
【0077】
また、ここまでの説明においては、第1のヒータとしてシート状のヒータ20を使用して、搬送機構9の表層部21を介して封止前基板5を面的に加熱することとした。これに限らず、ヒータ20を使用して、表層部21を介することなく封止前基板5を面的にかつ直接加熱してもよい。この場合には、ヒータ20として、表面にガラスクロス、プラスチックフィルム等が形成されたシート状のヒータを使用することが好ましい。
【0078】
また、第2のヒータであるヒータ24として、近赤外線又は遠赤外線を少なくとも含む赤外線を輻射することによって封止前基板5を加熱する、面状の赤外線ヒータを使用してもよい。
【0079】
また、図2(3)に示すように、移送機構13において、封止前基板5の外周部を吸着することとした。そして、封止前基板5における吸着された部分の近傍であって枠状部25に接触している部分において、ヒータ24からの熱の伝導によって封止前基板5を加熱し、枠状部25に接触していない部分において、ヒータ24からの熱の輻射によって封止前基板5を加熱することとした。これに限らず、封止前基板5におけるチップ17同士の間の部分において、移送機構13に設けられた押さえ部を使用して封止前基板5を押さえることにより、熱の伝導によって封止前基板5を加熱してもよい。このことによって、ヒータ24を使用していっそう効率よく封止前基板5を加熱することができる。押さえ部としては、平坦な端面を有する突起状の押さえ部を、平面視して飛び飛びに設けることができる。また、押さえ部としては、平坦な端面を有する壁状の押さえ部を、平面視して格子状に設けることもできる。
【0080】
また、封止前基板5を吸着することによって、搬送機構9及び移送機構13に封止前基板5を保持した。これに代えて、所定の角度だけ回転する複数個の爪を使用して、封止前基板5の外周部を引っ掛けることにより、搬送機構9及び移送機構13に封止前基板5を保持してもよい。
【0081】
また、各実施例においては、チップ17と基板14との電気的な接続を実現する目的でワイヤボンディングを使用した。これに限らず、フリップチップボンディング等の別の方式を使用してもよい。
【0082】
また、流動性樹脂30は、常温で液状である液状樹脂であってもよい。また、流動性樹脂30は、常温で固体状(粉状、粒状、シート状、タブレット状等)の樹脂材料を溶融して形成した溶融樹脂であってもよい。
【0083】
また、図1においては、受入及び払出モジュール2と成形モジュール3Aとが機械的に固定され、その成形モジュール3Aに3個の成形モジュール3B、3C、3Dが順次固定されるという構成が採用されている。この構成に代えて、受入及び払出モジュール2と成形モジュール3Aとが樹脂封止機能を有する1個の親モジュールとして形成され、その親モジュールに3個の成形モジュール3B、3C、3Dが順次固定されるという構成を採用してもよい。いずれの構成においても、1個の成形モジュール3Aを有する樹脂封止装置から複数個の成形モジュール(図1の例では、4個の成形モジュール3A、3B、3C、3D)を有する樹脂封止装置1まで、希望する数の成形モジュール3A、3B、3C、3D、・・・を有する樹脂封止装置を実現することができる。また、成形モジュールの数を事後的に増減することもできる。
【0084】
また、本発明は、上述の各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【符号の説明】
【0085】
1 樹脂封止装置
2 受入及び払出モジュール
3A、3B、3C、3D 成形モジュール
4 基板供給部
5 封止前基板
6 回転機構
7 中継機構
8 受け渡し台
9 搬送機構
10 下型(第2の成形型)
11 キャビティ
12 基板位置
13 移送機構
14 基板
15 境界線
16 領域
17 チップ
18 導線
19、23 本体
20 ヒータ(第1のヒータ)
21 表層部
22、26、29 吸引路
24 ヒータ(第2のヒータ)
25 枠状部
27 収容部
28 上型(第1の成形型)
30 流動性樹脂
31 硬化樹脂
32 封止済基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ状の電子部品からなるチップが基板に装着された状態において前記チップを樹脂封止する樹脂封止装置であって、
第1の成形型と、
前記第1の成形型に相対向して設けられた第2の成形型と、
前記第1の成形型と前記第2の成形型との少なくともいずれかに設けられ流動性樹脂によって満たされるべきキャビティと、
前記チップが装着された前記基板からなる封止前基板を前記キャビティの少なくとも近傍まで搬送する搬送機構と、
前記搬送機構に設けられた第1のヒータとを備えるとともに、
前記第1のヒータの形状はシート状であり、
前記第1のヒータは、前記封止前基板を少なくとも前記キャビティの近傍まで搬送する過程において前記封止前基板を面的に加熱し、
前記キャビティに満たされた前記流動性樹脂に前記チップが浸漬された状態において前記流動性樹脂が硬化することを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項2】
請求項1に記載された樹脂封止装置において、
前記第1の成形型と前記第2の成形型とはそれぞれ複数個設けられているとともに、
複数個の前記第2の成形型がそれぞれ有する前記キャビティの少なくとも近傍まで前記封止前基板を搬送する距離が相異なることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された樹脂封止装置において、
前記第1のヒータは前記封止前基板を直接加熱することを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された樹脂封止装置において、
前記搬送機構は、前記第1の成形型と前記第2の成形型とのいずれかにおいて前記キャビティに平面視して重なる位置における型面まで前記封止前基板を更に搬送して前記封止前基板を前記型面を含む型面に引き渡し、
前記第1のヒータは、前記封止前基板を前記型面に引き渡すまでの過程において前記封止前基板を面的に加熱することを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された樹脂封止装置において、
前記搬送機構から前記封止前基板を受け取り、かつ、前記型面まで前記封止前基板を移送する移送機構と、
前記移送機構に設けられた第2のヒータとを備えるとともに、
前記第2のヒータは、前記封止前基板を前記型面に引き渡すまでの過程において前記封止前基板を面的に加熱することを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項6】
請求項5に記載された樹脂封止装置において、
前記第2のヒータの形状はシート状であり、
前記第2のヒータは、前記チップに対して非接触である状態において前記封止前基板を面的に加熱することを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項7】
チップ状の電子部品からなるチップが基板に装着された状態において前記チップを樹脂封止することを目的として、第1の成形型と該第1の成形型に相対向して設けられた第2の成形型とを準備する工程と、前記チップが装着された前記基板からなる封止前基板を搬送機構に配置する工程と、前記第1の成形型と前記第2の成形型との少なくともいずれかに設けられ流動性樹脂によって満たされるべきキャビティの少なくとも近傍まで前記搬送機構を使用して前記封止前基板を搬送する工程と、前記第1の成形型と前記第2の成形型とのいずれかにおいて前記キャビティに平面視して重なる位置における型面を含む型面に前記封止前基板を固定する工程と、前記第1の成形型と前記第2の成形型とを型締めする工程と、前記キャビティに満たされた前記流動性樹脂に前記チップが浸漬された状態において前記流動性樹脂を硬化させることによって硬化樹脂を形成する工程と、前記第1の成形型と前記第2の成形型とを型開きする工程と、前記基板と前記チップと前記硬化樹脂とを有する封止済基板を取り出す工程とを備える樹脂封止方法であって、
前記搬送する工程においては、前記搬送機構に設けられシート状の形状を有する第1のヒータを使用して前記封止前基板を面的に加熱することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項8】
請求項7に記載された樹脂封止方法において、
前記第1の成形型と前記第2の成形型とはそれぞれ複数個設けられているとともに、
複数個の前記第2の成形型がそれぞれ有する前記キャビティの少なくとも近傍まで前記封止前基板を搬送する距離が相異なることを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載された樹脂封止方法において、
前記搬送する工程においては、前記第1のヒータは前記封止前基板を直接加熱することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項10】
請求項7又は8に記載された樹脂封止方法において、
前記搬送する工程においては、前記型面まで前記封止前基板を更に搬送して前記封止前基板を前記型面に引き渡すことを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項11】
請求項7又は8に記載された樹脂封止方法において、
前記搬送する工程においては、移送機構が前記搬送機構から前記封止前基板を受け取る工程と、前記移送機構を使用して前記封止前基板を前記型面まで移送する工程と、前記封止前基板を前記型面に引き渡す工程とを更に備えるとともに、
前記移送する工程においては、前記移送機構に設けられた第2のヒータを使用して、前記チップに対して非接触である状態において前記封止前基板を面的に加熱することを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項12】
請求項11に記載された樹脂封止方法において、
前記第2のヒータの形状はシート状であることを特徴とする樹脂封止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−33584(P2012−33584A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170011(P2010−170011)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【Fターム(参考)】