説明

樹脂成形用のゴム型、樹脂成形装置及び樹脂成形方法

【課題】交換用のゴム型の製造に用いるゴム材料の使用量を低減させることができ、ゴム型の型開きを簡単な構造によって防止して、熱可塑性樹脂からなる安定した寸法精度の成形品を得ることができる樹脂成形用のゴム型等を提供すること。
【解決手段】樹脂成形用のゴム型2は、溶融状態の熱可塑性樹脂を加圧して充填するためのキャビティ213を形成してなる。ゴム型2は、ゴム材料からなると共にキャビティ213を形成してなる中子型21と、ゴム材料からなると共に中子型21を内部に配置する形状を有するベースモールド型22とからなる。中子型21は、キャビティ213を開放するための分割面212において一対の分割型部211を組み合わせてなる。ベースモールド型22は、下面部221と、一対の分割型部211が組み合わさる方向の両側に形成した一対の第1側面部222とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂の成形品を得るための樹脂成形用のゴム型、樹脂成形装置及び樹脂成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂を用いて所定形状の樹脂成形品を得る方法としては、一般的には、射出成形、ブロー成形、押出成形、プレス成形等の種々の成形方法がある。
これに対し、例えば、特許文献1においては、シリコーンゴム等のゴム製の成形型(ゴム型)を用いて、熱可塑性樹脂からなる樹脂成形品を真空注型法により成形する際に、成形型に対して熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる樹脂成形方法が開示されている。この樹脂成形方法においては、成形型のキャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する際に、0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波を、成形型を介して熱可塑性樹脂に照射し、成形型を構成するゴムと熱可塑性樹脂との物性の違いにより、ゴム製の成形型に比べて、熱可塑性樹脂を積極的に加熱することができる。
また、例えば、特許文献2においては、波長が2μmを超える電磁波の透過量を減少させるフィルターを水から構成し、水の循環をさせることによりフィルターの温度上昇を防ぐことができる樹脂成形装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−216447号公報
【特許文献2】特開2008−44271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シリコーンゴム等のゴム製の成形型は、ゴム製であるが故に熱可塑性樹脂の成形に用いた後の熱劣化が激しく、例えば数十回のショット(成形)に用いると交換が必要になる。そのため、成形型の製造に用いるゴム材料の使用量が多くなってしまう。
また、成形品の寸法精度を向上させるためには、成形型のキャビティ内に熱可塑性樹脂を充填した後、所定時間、成形型の保圧を行っている。そのため、成形型の型開きを簡単な構造によって防止するためには更なる工夫が必要とされる。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、交換用のゴム型の製造に用いるゴム材料の使用量を低減させることができ、ゴム型の型開きを簡単な構造によって防止して、熱可塑性樹脂からなる安定した寸法精度の成形品を得ることができる樹脂成形用のゴム型、樹脂成形装置及び樹脂成形方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、溶融状態の熱可塑性樹脂を加圧して充填するためのキャビティを形成してなるゴム型であって、
該ゴム型は、ゴム材料からなると共に上記キャビティを形成してなる中子型と、ゴム材料からなると共に上記中子型を内部に配置する形状を有するベースモールド型とからなり、
上記中子型は、上記キャビティを開放するための分割面において複数の分割型部を組み合わせてなり、
上記ベースモールド型は、下面部と該下面部の互いに対向する両側辺から立設した一対の第1側面部とを少なくとも有すると共に、該一対の第1側面部を、上記複数の分割型部が組み合わさる方向の両側に形成してなることを特徴とする樹脂成形用のゴム型にある(請求項1)。
【0007】
本発明の樹脂成形用のゴム型は、中子型と中子型を内部に配置する形状を有するベースモールド型とからなる。
そして、溶融状態の熱可塑性樹脂は、中子型に形成したキャビティ内に充填することができる。これにより、熱可塑性樹脂の充填による熱の劣化の対象を中子型のみとすることができ、ベースモールド型は中子型よりも多くのショット(成形)回数使用することができる。そのため、中子型に比べてベースモールド型を長期間使用することが可能になり、劣化したゴム型を交換する際に、新たに交換用のゴム型の製造に用いるゴム材料の使用量を低減させることができる。
【0008】
また、多品種の成形品の成形を行う際には、各成形品の形状に合わせたキャビティを有する中子型を準備し、ベースモールド型は共通して用いる一方、中子型のみ各品種に応じて交換することができる。これによっても、劣化したゴム型を交換する際に、新たにゴム型の製造に用いるゴム材料の使用量を低減させることができる。
【0009】
また、本発明のゴム型の中子型においては、成形品のサンプル(マスターモデル)の形状を転写することによって容易にキャビティを形成することができる。そのため、中子型にキャビティを形成することが容易である。
さらに、ベースモールド型における一対の第1側面部を、複数の分割型部が組み合わさる方向の両側に形成していることにより、熱可塑性樹脂の成形時には、一対の第1側面部によって複数の分割型部が型開きしないように保持することができる。これにより、ゴム型の型開きを簡単な構造によって防止して、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却して得た成形品の寸法精度を向上させることができる。
【0010】
それ故、本発明の樹脂成形用のゴム型によれば、交換用のゴム型の製造に用いるゴム材料の使用量を低減させることができ、ゴム型の型開きを簡単な構造によって防止して、熱可塑性樹脂からなる安定した寸法精度の成形品を得ることができる。
【0011】
第2の発明は、上記樹脂成形用のゴム型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発生させる光発生手段とを有する樹脂成形装置であって、
上記光発生手段によって上記ベースモールド型の表面から上記光を照射して、上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂を加熱するよう構成してあることを特徴とする樹脂成形装置にある(請求項5)。
【0012】
本発明の樹脂成形装置は、ゴム型の中子型におけるキャビティ内に熱可塑性樹脂を充填する際には、0.78〜2μmの波長領域を含む光をベースモールド型の表面から照射する。このとき、中子型及びベースモールド型を構成するゴム材料と熱可塑性樹脂との物性の違いにより、中子型及びベースモールド型に比べて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる(ゴム型に比べて熱可塑性樹脂の加熱量を多くすることができる)。これにより、中子型及びベースモールド型の温度上昇を抑制して、熱可塑性樹脂を効果的に加熱することができる。そのため、熱可塑性樹脂の成形品を成形する際に、中子型及びベースモールド型の熱劣化をより効果的に防止することができる。
【0013】
また、ゴム型を構成する中子型及びベースモールド型はいずれもゴム材料から構成されている。そのため、中子型に吸収される波長の光の多くをベースモールド型に吸収させることができ、中子型が加熱され難くすることができる。特に、中子型とベースモールド型とを同じゴム材料から構成した場合には、中子型に吸収される波長の光のほぼすべてをベースモールド型に吸収させることができると考える。
【0014】
それ故、本発明の樹脂成形装置によれば、ゴム型の型開きを簡単な構造によって防止すると共に、ゴム型の熱劣化を効果的に防止して、熱可塑性樹脂からなる安定した寸法精度の成形品を得ることができる。
【0015】
第3の発明は、上記樹脂成形用のゴム型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発生させる光発生手段と、上記型空間内の真空引きを行う真空手段と、上記型空間内に上記冷却水を注入するための給水手段とを有する樹脂成形装置であって、
上記キャビティ内に上記熱可塑性樹脂の充填を行う際には、上記真空手段によって上記型空間内の真空引きを行って、上記複数の分割型部の型締めを行うと共に、上記光発生手段によって上記ベースモールド型の表面から上記光を照射して、上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂を加熱し、
上記熱可塑性樹脂の充填を行った後には、上記給水手段によって上記型空間内に上記冷却水を注入して、上記中子型を冷却するよう構成してあることを特徴とする樹脂成形装置にある(請求項6)。
【0016】
本発明の樹脂成形装置は、ゴム型の中子型におけるキャビティ内に熱可塑性樹脂を充填する際には、真空手段によって中子型における外側面とベースモールド型における内側面との間に形成した型空間内の真空引きを行って、複数の分割型部の型締めを行う。これにより、熱可塑性樹脂を充填する際の圧力が複数の分割型部に加わるときでも、この複数の分割型部が型開きをしてしまうことを防止することができる。
また、0.78〜2μmの波長領域を含む光をベースモールド型の表面から照射することにより、中子型及びベースモールド型に比べて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる。これにより、中子型及びベースモールド型の温度上昇を抑制して、熱可塑性樹脂を効果的に加熱することができる。
【0017】
そして、キャビティ内への熱可塑性樹脂の充填を行った後には、給水手段によって型空間内に冷却水を注入する。これにより、中子型を冷却することができ、特に、中子型を介して加熱溶融した熱可塑性樹脂を冷却することができる。そのため、冷却後の熱可塑性樹脂の成形品を取り出すまでの時間を短縮することができ、成形品の成形サイクルを短縮することができる。
【0018】
それ故、本発明の樹脂成形装置によれば、中子型を構成する複数の分割型部の型開きをより効果的に防止することができ、熱可塑性樹脂の成形品の成形サイクルを短縮することができる。また、本発明においても、上記第2の発明と同様に、ゴム型の型開きを簡単な構造によって防止すると共に、ゴム型の熱劣化を効果的に防止して、熱可塑性樹脂からなる安定した寸法精度の成形品を得ることができる。また、本発明においても、その他は上記第2の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0019】
第4の発明は、上記樹脂成形用のゴム型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発生させる光発生手段とを有する樹脂成形装置を用い、
上記光発生手段によって上記ベースモールド型の表面から上記光を照射して、上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂を加熱する加熱工程を行うことを特徴とする樹脂成形方法にある(請求項8)。
【0020】
本発明の樹脂成形方法によれば、上記第2の発明と同様の構成によって、ゴム型の型開きを簡単な構造によって防止すると共に、ゴム型の熱劣化を効果的に防止して、熱可塑性樹脂からなる安定した寸法精度の成形品を得ることができる。
【0021】
第5の発明は、上記樹脂成形用のゴム型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発生させる光発生手段と、上記型空間内の真空引きを行う真空手段と、上記型空間内に上記冷却水を注入するための給水手段とを有する樹脂成形装置を用い、
上記キャビティ内に上記熱可塑性樹脂の充填を行う際には、上記真空手段によって上記型空間内の真空引きを行って、上記複数の分割型部の型締めを行うと共に、上記光発生手段によって上記ベースモールド型の表面から上記光を照射して、上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂を加熱する加熱工程と、
次いで、上記熱可塑性樹脂の充填を行った後には、上記給水手段によって上記型空間内に上記冷却水を注入して、上記中子型を冷却する冷却工程とを行うことを特徴とする樹脂成形方法にある(請求項9)。
【0022】
本発明の樹脂成形方法によれば、上記第3の発明と同様の構成により、中子型を構成する複数の分割型部の型開きをより効果的に防止することができ、熱可塑性樹脂の成形品の成形サイクルを短縮することができる。また、本発明においても、上記第3の発明と同様に、ゴム型の型開きを簡単な構造によって防止すると共に、ゴム型の熱劣化を効果的に防止して、熱可塑性樹脂からなる安定した寸法精度の成形品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
上述した第1〜第5の発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1の発明において、上記ゴム型を介して上記熱可塑性樹脂に照射する光(電磁波)としては、波長が0.78〜2μmの領域の光だけでなく、これ以外の領域の光も含まれていてもよい。この場合において、ゴム型を介して熱可塑性樹脂に照射する光は、波長が0.78〜2μmの領域の光を、これ以外の領域の光よりも多く含むことが好ましい。
【0024】
また、上記複数の分割型部は、一対の分割型部とすることができ、3つ以上の分割型部とすることもできる。また、分割型部は、対称形状に分割する必要はなく、種々の分割面(波状、凹凸状、のこぎり状等の分割面)によって分割することができる。
また、上記ベースモールド型における上記一対の第1側面部は、上記中子型における上記複数の分割型部が組み合わさる方向の外側面の全体を必ずしも覆っている必要はなく、上記外側面の一部を覆っていてもよい。
【0025】
また、第2〜第5の発明において、上記光発生手段は、1組として用いるだけでなく、複数組をセットにして用いることができる。すなわち、成形品(あるいはキャビティ)の形状によっては、両側又は上下左右から光を照射した方が好ましい場合がある。
【0026】
また、上記熱可塑性樹脂は、非晶性熱可塑性樹脂であることが好ましい。
ところで、熱可塑性樹脂の冷却速度は、成形型がゴム製であるため、金型の場合に比べて遅くなる。そのため、冷却中に熱可塑性樹脂の結晶性が高くなることがあり、これによって、樹脂成形品の寸法精度が低下したり、樹脂成形品の耐衝撃性が低下したりすることがある。これに対し、熱可塑性樹脂を非晶性熱可塑性樹脂にしたことにより、上記樹脂成形品の寸法精度の低下及び耐衝撃性の低下等を防止することができる。
【0027】
非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のスチレン系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエン・スチレン樹脂)、ASA樹脂(アクリレート・スチレン・アクリロニトリル樹脂)等のゴム変性熱可塑性樹脂、又はポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート樹脂(PC)、PC/ゴム変性熱可塑性樹脂アロイ等を用いることができる。その中でも、特にゴム変性熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0028】
ゴム変性熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ゴム質重合体の存在下にビニル系単量体をグラフト重合させた重合体を1種又は2種以上含むものが好ましい。
上記ゴム質重合体としては、特に限定されないが、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ブテン−1・非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられ、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
また、上記ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、アクリルゴムを用いることが好ましく、上記ゴム変性熱可塑性樹脂としては、例えば、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂等を用いることができる。その中でも、特にABS樹脂を用いることがさらに好ましい。
【0030】
また、上記ゴム型は、シリコーンゴムからなることが好ましい。
この場合には、ゴム型の作製が容易であると共に、上記0.78〜2μmの波長領域を含む光により、ゴム型をほとんど加熱することなく熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる。
また、シリコーンゴムの硬度は、JIS−A規格測定において25〜80であることが好ましい。
【0031】
第2〜第5の発明において、上記0.78〜2μmの波長領域を含む光により、ゴム型に比べて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができる理由としては、以下のように考える。
すなわち、ゴム型の表面に照射された0.78〜2μmの波長領域を含む光は、ゴム型に吸収される割合に比べて、ゴム型を透過して熱可塑性樹脂に吸収される割合が多いと考える。そのため、0.78〜2μmの波長領域を含む光による光のエネルギーが熱可塑性樹脂に優先的に吸収されて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱することができると考える。
【0032】
また、第1の発明において、上記ベースモールド型は、上記下面部の残りの互いに対向する両側辺から立設した残りの一対の第2側面部によって、上記一対の第1側面部と共に上記下面部を囲む四角枠形状に形成することが好ましい(請求項2)。
この場合には、ベースモールド型を箱形状に形成することができ、中子型における複数の分割型部の型開きを一層効果的に防止することができる。
【0033】
また、上記中子型における上記複数の分割型部が組み合わさる方向の外側面と、上記ベースモールド型における上記一対の第1側面部の内側面との間には、上記複数の分割型部の型開きを防止するための真空引きと、上記複数の分割型部を冷却するための冷却水の注入との少なくとも一方を行うための型空間を形成し、該型空間は、上記中子型における上記外側面と上記一対の第1側面部の内側面との接触状態を保つ接触部を残して形成することが好ましい(請求項3)。
この場合には、ゴム型の中子型におけるキャビティ内に熱可塑性樹脂を充填する際には、型空間内の真空引きを行う。そして、型空間内が真空状態である一方、ベースモールド型の周辺の圧力を大気圧以上の状態にすることにより、ベースモールド型に中子型を押圧する力を作用させることができる。これにより、複数の分割型部の型締めを行うことができる。そのため、熱可塑性樹脂を充填する際の圧力が複数の分割型部に加わるときでも、この複数の分割型部が型開きをしてしまうことを防止することができる。
また、上記型締めを行うときには、上記接触部によって中子型における外側面と一対の第1側面部の内側面との接触状態を保つことができる。
【0034】
また、この場合には、キャビティ内への熱可塑性樹脂の充填を行った後には、型空間内に冷却水を注入する。これにより、中子型を冷却することができ、特に、中子型を介して加熱溶融した熱可塑性樹脂を冷却することができる。そのため、冷却後の熱可塑性樹脂の成形品を取り出すまでの時間を短縮することができ、成形品の成形サイクルを短縮することができる。
【0035】
また、上記型空間は、冷却水を注入する空間として用いる場合には、当該冷却水を循環させるようにすることができる。また、型空間の上方を開放しておき、型空間の下方から注入した冷却水を上方から溢れさせるようにすることもできる。
また、上記ベースモールド型の内部には、上記中子型に隣接してゴム製のスペーサを配置することもできる。この場合には、中子型のサイズが異なるときでも、スペーサの厚みを変更することによって、ベースモールド型内に隙間が形成されないようにすることができる。
【0036】
また、上記複数の分割型部における上記分割面の上部位置には、上記熱可塑性樹脂を上記キャビティ内に注入するための注入口を形成することが好ましい(請求項4)。
この場合には、注入口からキャビティ内に熱可塑性樹脂を注入し、注入口に成形された成形物は、キャビティ内に成形した熱可塑性樹脂の成形品と一体的に取り出すことができる。
【0037】
また、第2、第3の発明において、上記樹脂成形装置は、上記ベースモールド型における上記一対の第1側面部の外側面を挟持する挟持手段と、上記熱可塑性樹脂を上記キャビティ内に注入するための注入ノズルとを有していることが好ましい(請求項7)。
この場合には、挟持手段によって、ベースモールド型を介して複数の分割型部が型開きをしてしまうことをより一層効果的に防止することができる。また、注入ノズルによって、キャビティ内へ所定の圧力で熱可塑性樹脂を注入することができる。
【0038】
また、第4、第5の発明において、上記加熱工程においては、粒子状態の熱可塑性樹脂を上記キャビティ内に投入し、次いで、上記光発生手段によって上記ベースモールド型の表面から上記光を照射して、上記キャビティ内における上記粒子状態の熱可塑性樹脂を加熱して溶融させ、次いで、上記キャビティにおいて残された空間に、溶融状態の熱可塑性樹脂を充填することが好ましい(請求項10)。
この場合には、熱可塑性樹脂の成形品を成形するに当たり、粒子状態の熱可塑性樹脂と溶融状態の熱可塑性樹脂とを用いる。粒子状態の熱可塑性樹脂をキャビティ内に投入して加熱溶融させておき、キャビティにおいて残された空間に、溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する。これにより、熱可塑性樹脂の充填が行い難いキャビティの先端部分、細部等に、粒子状態の熱可塑性樹脂を配置して加熱溶融させることができる。そして、溶融状態の熱可塑性樹脂の充填圧力を低くして、キャビティの全体に熱可塑性樹脂を充填することができる。そのため、複数の分割型部の型開きをより効果的に防止することができ、寸法精度の優れた熱可塑性樹脂の成形品を成形することができる。
【実施例】
【0039】
以下に、本発明の樹脂成形用のゴム型、樹脂成形装置及び樹脂成形方法にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例の樹脂成形用のゴム型2は、図1〜図4に示すごとく、溶融状態の熱可塑性樹脂5を加圧して充填するためのキャビティ213を形成してなる。ゴム型2は、ゴム材料からなると共にキャビティ213を形成してなる中子型21と、ゴム材料からなると共に中子型21を内部220に配置する形状を有するベースモールド型22とからなる。中子型21は、キャビティ213を開放するための分割面212において複数の分割型部211(本例では一対の分割型部211)を組み合わせてなる。ベースモールド型22は、下面部221と下面部221の互いに対向する両側辺から立設した一対の第1側面部222とを少なくとも有すると共に、一対の第1側面部222を、一対の分割型部211が組み合わさる方向の両側に形成してなる。
【0040】
本例の樹脂成形装置1は、図5に示すごとく、樹脂成形用のゴム型2と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発生させる光発生手段3とを有して構成してある。そして、樹脂成形装置1は、光発生手段3によってベースモールド型22の表面から0.78〜2μmの波長領域を含む光を照射して、キャビティ213内に充填する熱可塑性樹脂5を加熱するよう構成してある。また、樹脂成形方法は、樹脂成形装置1と同様の構成によって、熱可塑性樹脂5の成形品を成形する。
【0041】
以下に、本例の樹脂成形用のゴム型2、樹脂成形装置1及び樹脂成形方法につき、図1〜図7を参照して詳説する。
本例の樹脂成形用のゴム型2は、ゴム材料としてのシリコーンゴムからなる。このゴム型2は、成形する成形品のマスターモデル(手作りの現物等)を液状のシリコーンゴム内に配置し、このシリコーンゴムを硬化させ、硬化後のシリコーンゴムからマスターモデルを取り出すことによって作製することができる。また、ゴム型2は、ゴム製であるため、成形後の成形品を取り出す際の型開きを行うための分割面(パーティング面)212を簡単にかつ任意に形成することができる。
本例においては、熱可塑性樹脂5として、非晶性熱可塑性樹脂であると共にゴム変性熱可塑性樹脂であるABS樹脂を用いる。
【0042】
図3に示すごとく、本例のベースモールド型22は、下面部221の残りの互いに対向する両側辺から立設した残りの一対の第2側面部223によって、一対の第1側面部222と共に下面部221を囲む四角枠形状に形成してある。本例のベースモールド型22は、下面部221、第1側面部222及び第2側面部223が、中子型21の下面及び4つの外側面に密着する大きさに形成してある。
なお、ベースモールド型22の内部220には、中子型21に隣接して、ゴム材料としてのシリコーンゴムからなるスペーサを配置して、ベースモールド型22と中子型21とを密着させることもできる。
【0043】
図1〜図3に示すごとく、本例のゴム型2においては、中子型21における一対の分割型部211が組み合わさる方向の外側面と、ベースモールド型22における一対の第1側面部222の内側面との間に、一対の分割型部211の型開きを防止するための真空引きと、一対の分割型部211を冷却するための冷却水Wの注入とを行うための型空間23が形成してある。この型空間23は、中子型21における外側面と一対の第1側面部222の内側面との接触状態を保つ接触部231を残して形成してある。
【0044】
本例の型空間23は、上下方向とこれに直交する横方向とに形成した格子状溝によって構成してある。そして、接触部231は、格子状溝を構成する溝の間に残された残部として形成されている。本例の型空間23は、ベースモールド型22の一対の第1側面部222における内側面に形成してある。また、本例の型空間23は、ベースモールド型22の内部220に中子型21を配置したときに、中子型21とベースモールド型22との上部隙間を塞ぐ閉塞空間として形成されている。
【0045】
型空間23は、格子状溝以外にも、第1側面部222における内側面の一部が中子型21の外側面に当接するようにした溝等から構成することができる。また、一対の第1側面部222に形成した互いに対向する型空間(格子状溝)23同士は、ベースモールド型22の下面部221に形成した下部溝232によって連通されている。
また、ベースモールド型22には、その外部と型空間23とを連通する連通穴24が形成されている。
【0046】
なお、上記のごとく、本例のベースモールド型22は、一対の第1側面部222及び一対の第2側面部223によって四角枠形状に形成してある。そのため、ベースモールド型22からの中子型21の取出を容易にするため、例えば、ベースモールド型22の底面部には、取出用穴を形成することができる(図示略)。
【0047】
図1、図4に示すごとく、一対の分割型部211における分割面212の上部位置には、熱可塑性樹脂5をキャビティ213内に注入するための注入口214が形成してある。この注入口214は、一対の分割型部211の両方に跨って形成してある。そして、注入口214からキャビティ213内に熱可塑性樹脂5を注入し、注入口214に成形された成形物は、キャビティ213内に成形した熱可塑性樹脂5の成形品と一体的に取り出すことができる。
【0048】
図5に示すごとく、本例の樹脂成形装置1は、上記樹脂成形用のゴム型2と、上記光発生手段3と、型空間23内の真空引きを行う真空手段41と、型空間23内に冷却水Wを注入するための給水手段42と、ベースモールド型22における一対の第1側面部222の外側面を挟持する挟持手段43と、熱可塑性樹脂5をキャビティ213内に注入するための注入ノズル44とを有している。
本例の光発生手段3は、0.78〜2μmの波長領域(ほぼ近赤外線の波長領域に相当する。)を含む光を発するハロゲンランプ31を用いて構成してある。このハロゲンランプ31は、0.78〜2μmの波長領域内に(本例では約0.9μmに)光強度のピークを有するものを用いた。図5においては、光の配光方向を矢印Xによって示す。
【0049】
本例の光発生手段3は、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発するハロゲンランプ(光源)31と、ハロゲンランプ31から発した光を配光して反射するリフレクタ32と、リフレクタ32から反射された光をさらに反射させてゴム型2へ導くための中継反射鏡33とを有している。中継反射鏡33は、回動可能に構成してあり、その反射面が、中継反射鏡33を回動させるための回動中心軸線C1に対して傾斜する方向C2を向いている。
そして、光発生手段3は、リフレクタ32から配光して反射された光が中継反射鏡33に導かれ、中継反射鏡33を回動中心軸線C1の回りに回動させることによって、中継反射鏡33によって反射した光を、円を描くようにゴム型2に照射するよう構成してある。
【0050】
図1に示すごとく、本例の真空手段41は、真空ポンプによって構成してあり、真空ポンプは、ベースモールド型22における連通穴24に接続される。
図6に示すごとく、本例の給水手段42は、給水ポンプによって構成してあり、真空ポンプと切り替えて、ベースモールド型22における連通穴24に接続される。給水手段42によって型空間23内に注入した冷却水Wは、連通穴24から流出させることができ、また、連通穴24とは別に形成した他の連通穴から流出させることもできる。
【0051】
図1に示すごとく、本例の挟持手段43は、一対の第1側面部222の外側面の上側部分を挟持するよう構成してある。本例の注入ノズル44は、中子型21における注入口214に配置し、所定の圧力(例えば、0.2〜10MPaの圧力)で溶融状態の熱可塑性樹脂5をキャビティ213内に注入するよう構成してある。また、本例においては、中子型21における注入口214には、粒子状態の熱可塑性樹脂5をキャビティ213内に投入するための投入ノズルも配置することができる(図示略)。
【0052】
本例の樹脂成形装置1は、キャビティ213内に熱可塑性樹脂5の充填を行う際には、図1に示すごとく、真空手段41によって型空間23内の真空引きを行って、一対の分割型部211の型締めを行うと共に、図5に示すごとく、光発生手段3によってベースモールド型22の表面から0.78〜2μmの波長領域を含む光を照射して、キャビティ213内に充填する熱可塑性樹脂5を加熱し、かつ、熱可塑性樹脂5の充填を行った後には、図6に示すごとく、給水手段42によって型空間23内に冷却水Wを注入して、中子型21を冷却するよう構成してある。
【0053】
また、図示は省略するが、光発生手段3とゴム型2との間には、波長が2μmを超える光の透過量を減少させるフィルターを配置することができる。このフィルターは、石英ガラス等から構成することができる。この場合には、フィルターによって、ゴム型2に吸収されやすい波長が2μmを超える光がゴム型2に照射され難くすることができ、ゴム型2の温度上昇をより効果的に防止することができる。
【0054】
また、図示は省略するが、分割型部211は、成形する熱可塑性樹脂5の成形品の形状によっては、3つ以上に分割することができる。例えば、一対の分割型部211の一方をさらに分割することができる。また、一対の第1側面部222及び一対の第2側面部223を形成しているときには、第1側面部222同士が対向する方向に分割面212を形成して分割するだけでなく、第2側面部223同士が対向する方向にも分割面212を形成して分割することもできる。
【0055】
次に、上記樹脂成形用のゴム型2を用いた樹脂成形方法、及び本例による作用効果について説明する。
まず、加熱工程として、図4に示すごとく、中子型21をベースモールド型22の内部220に配置し、図1に示すごとく、ベースモールド型22の連通穴24には真空手段41を接続して、型空間23の真空引きを行う。そして、型空間23内が真空状態になったときには、ベースモールド型22の周辺の圧力を大気圧状態にすることにより、ベースモールド型22には中子型21を押圧する力を作用させることができる。これにより、一対の分割型部211の型締めを行うことができる。そして、熱可塑性樹脂5を充填する際の圧力が一対の分割型部211に加わるときでも、この一対の分割型部211が型開きをしてしまうことを防止することができる。
また、中子型21をベースモールド型22の内部220に配置したときには、挟持手段43によって、ベースモールド型22における一対の第1側面部222を挟持する。そのため、一対の分割型部211が型開きをすることを効果的に防止することができる。
【0056】
次いで、図示は省略するが、中子型21の注入口214に投入ノズルを配置し、投入ノズルからキャビティ213内に粒子状態の熱可塑性樹脂5を投入する。次いで、図5に示すごとく、光発生手段3によってベースモールド型22の表面から0.78〜2μmの波長領域を含む光を照射して、キャビティ213内における粒子状態の熱可塑性樹脂5を加熱して溶融させる。
次いで、キャビティ213において残された空間に、溶融状態の熱可塑性樹脂5を充填する。これにより、新たに充填する溶融状態の熱可塑性樹脂5の充填量を少なくすることができ、溶融状態の熱可塑性樹脂5の充填圧力を低くすることができる。そのため、一対の分割型部211の型開きをより効果的に防止することができ、寸法精度の優れた熱可塑性樹脂5の成形品を成形することができる。
【0057】
また、上記0.78〜2μmの波長領域を含む光をベースモールド型22の表面から照射したときには、中子型21及びベースモールド型22を構成するゴム材料と熱可塑性樹脂5との物性の違いにより、中子型21及びベースモールド型22に比べて、熱可塑性樹脂5を選択的に加熱することができる(ゴム型2に比べて熱可塑性樹脂5の加熱量を多くすることができる)。これにより、中子型21及びベースモールド型22の温度上昇を抑制して、熱可塑性樹脂5を効果的に加熱することができる。そのため、熱可塑性樹脂5の成形品を成形する際に、中子型21及びベースモールド型22の熱劣化を効果的に防止することができる。
【0058】
ここで、図7は、透明のシリコーンゴムと半透明のシリコーンゴムについて、横軸に波長(nm)をとり、縦軸に光の透過率(%)をとって、各シリコーンゴムにおける光の透過率を示すグラフである。同図において、各シリコーンゴムは、200〜2200(nm)の間の波長の光を透過させることがわかる。そのため、この波長の領域である近赤外線をシリコーンゴム製のゴム型2の表面に照射すると、当該近赤外線の多くを、ゴム型2を透過させて熱可塑性樹脂5に吸収させることができる。
【0059】
次いで、図6に示すごとく、熱可塑性樹脂5の充填を行った後には、光発生手段3による加熱を中止し、冷却工程として、ベースモールド型22の連通穴24に対して真空手段41に替えて給水手段42を接続し、給水手段42によって型空間23内に冷却水Wを注入して中子型21を冷却する。これにより、特に、中子型21を介して加熱溶融した熱可塑性樹脂5を冷却することができる。そのため、冷却後の熱可塑性樹脂5の成形品を取り出すまでの時間を短縮することができ、成形品の成形サイクルを短縮することができる。
なお、キャビティ213内における成形品は、中子型21をベースモールド型22から取り出し、中子型21を構成する一対の分割型部211を開けることによって取り出すことができる。
【0060】
上記のごとく、本例の樹脂成形用のゴム型2は、中子型21と中子型21を内部220に配置する形状を有するベースモールド型22とからなる。
そして、溶融状態の熱可塑性樹脂5は、中子型21に形成したキャビティ213内に充填することができる。これにより、熱可塑性樹脂5の充填による熱の劣化の対象を中子型21のみとすることができ、ベースモールド型22は中子型21よりも多くのショット(成形)回数使用することができる。そのため、中子型21に比べてベースモールド型22を長期間使用することが可能になり、劣化したゴム型2を交換する際に、新たに交換用のゴム型2の製造に用いるゴム材料の使用量を低減させることができる。
【0061】
また、多品種の成形品の成形を行う際には、各成形品の形状に合わせたキャビティ213を有する中子型21を準備し、ベースモールド型22は共通して用いる一方、中子型21のみ各品種に応じて交換することができる。これによっても、劣化したゴム型2を交換する際に、新たにゴム型2の製造に用いるゴム材料の使用量を低減させることができる。
【0062】
また、本例のゴム型2の中子型21においては、成形品のサンプル(マスターモデル)の形状を転写することによって容易にキャビティ213を形成することができる。そのため、中子型21にキャビティ213を形成することが容易である。
さらに、ベースモールド型22における一対の第1側面部222を、一対の分割型部211が組み合わさる方向の両側に形成していることにより、熱可塑性樹脂5の成形時には、一対の第1側面部222によって一対の分割型部211が型開きしないように保持することができる。これにより、ゴム型2の型開きを簡単な構造によって防止して、キャビティ213内の熱可塑性樹脂5を冷却して得た成形品の寸法精度を向上させることができる。
【0063】
また、本例のゴム型2は、中子型21及びベースモールド型22を、いずれも同じゴム材料であるシリコーンゴムから構成している。そのため、ベースモールド型22がフィルターの役割を果たし、中子型21に吸収される波長の光のほぼすべてをベースモールド型22に吸収させることができると考える。これにより、中子型21がより加熱され難くすることができる。
【0064】
それ故、本例の樹脂成形用のゴム型2、並びにこれを用いた樹脂成形装置1及び樹脂成形方法によれば、交換用のゴム型2の製造に用いるゴム材料の使用量を低減させることができ、ゴム型2の型開きを簡単な構造によって防止すると共に、ゴム型2の熱劣化を効果的に防止して、熱可塑性樹脂5からなる安定した寸法精度の成形品を得ることができる。また、熱可塑性樹脂5の成形品の成形サイクルを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施例における、真空手段を接続した状態の樹脂成形用のゴム型を、第2側面部の方向から見た状態で示す断面説明図。
【図2】実施例における、樹脂成形用のゴム型における型空間の形成状態を、第1側面部の方向から見た状態で示す断面説明図。
【図3】実施例における、樹脂成形用のゴム型を、上方から見た状態で示す断面説明図。
【図4】実施例における、ベースモールド型から中子型を取り外した状態の樹脂成形用のゴム型を、第2側面部の方向から見た状態で示す説明図。
【図5】実施例における、樹脂成形用のゴム型を備えた樹脂成形装置を、第2側面部の方向から見た状態で示す断面説明図。
【図6】実施例における、給水手段を接続した状態の樹脂成形用のゴム型を、第2側面部の方向から見た状態で示す断面説明図。
【図7】実施例における、シリコーンゴムにおける光の透過率を示すグラフ。
【符号の説明】
【0066】
1 樹脂成形装置
2 樹脂成形用のゴム型
21 中子型
211 分割型部
212 分割面
213 キャビティ
214 注入口
22 ベースモールド型
221 下面部
222 第1側面部
223 第2側面部
23 型空間
3 光発生手段
41 真空手段
42 給水手段
43 挟持手段
44 注入ノズル
5 熱可塑性樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融状態の熱可塑性樹脂を加圧して充填するためのキャビティを形成してなるゴム型であって、
該ゴム型は、ゴム材料からなると共に上記キャビティを形成してなる中子型と、ゴム材料からなると共に上記中子型を内部に配置する形状を有するベースモールド型とからなり、
上記中子型は、上記キャビティを開放するための分割面において複数の分割型部を組み合わせてなり、
上記ベースモールド型は、下面部と該下面部の互いに対向する両側辺から立設した一対の第1側面部とを少なくとも有すると共に、該一対の第1側面部を、上記複数の分割型部が組み合わさる方向の両側に形成してなることを特徴とする樹脂成形用のゴム型。
【請求項2】
請求項1において、上記ベースモールド型は、上記下面部の残りの互いに対向する両側辺から立設した残りの一対の第2側面部によって、上記一対の第1側面部と共に上記下面部を囲む四角枠形状に形成してあることを特徴とする樹脂成形用のゴム型。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記中子型における上記複数の分割型部が組み合わさる方向の外側面と、上記ベースモールド型における上記一対の第1側面部の内側面との間には、上記複数の分割型部の型開きを防止するための真空引きと、上記複数の分割型部を冷却するための冷却水の注入との少なくとも一方を行うための型空間が形成してあり、
該型空間は、上記中子型における上記外側面と上記一対の第1側面部の内側面との接触状態を保つ接触部を残して形成してあることを特徴とする樹脂成形用のゴム型。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記複数の分割型部における上記分割面の上部位置には、上記熱可塑性樹脂を上記キャビティ内に注入するための注入口が形成してあることを特徴とする樹脂成形用のゴム型。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂成形用のゴム型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発生させる光発生手段とを有する樹脂成形装置であって、
上記光発生手段によって上記ベースモールド型の表面から上記光を照射して、上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂を加熱するよう構成してあることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項6】
請求項3に記載の樹脂成形用のゴム型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発生させる光発生手段と、上記型空間内の真空引きを行う真空手段と、上記型空間内に上記冷却水を注入するための給水手段とを有する樹脂成形装置であって、
上記キャビティ内に上記熱可塑性樹脂の充填を行う際には、上記真空手段によって上記型空間内の真空引きを行って、上記複数の分割型部の型締めを行うと共に、上記光発生手段によって上記ベースモールド型の表面から上記光を照射して、上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂を加熱し、
上記熱可塑性樹脂の充填を行った後には、上記給水手段によって上記型空間内に上記冷却水を注入して、上記中子型を冷却するよう構成してあることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項7】
請求項5又は6において、上記樹脂成形装置は、上記ベースモールド型における上記一対の第1側面部の外側面を挟持する挟持手段と、上記熱可塑性樹脂を上記キャビティ内に注入するための注入ノズルとを有していることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂成形用のゴム型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発生させる光発生手段とを有する樹脂成形装置を用い、
上記光発生手段によって上記ベースモールド型の表面から上記光を照射して、上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂を加熱する加熱工程を行うことを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項9】
請求項3に記載の樹脂成形用のゴム型と、0.78〜2μmの波長領域を含む光を発生させる光発生手段と、上記型空間内の真空引きを行う真空手段と、上記型空間内に上記冷却水を注入するための給水手段とを有する樹脂成形装置を用い、
上記キャビティ内に上記熱可塑性樹脂の充填を行う際には、上記真空手段によって上記型空間内の真空引きを行って、上記複数の分割型部の型締めを行うと共に、上記光発生手段によって上記ベースモールド型の表面から上記光を照射して、上記キャビティ内に充填する上記熱可塑性樹脂を加熱する加熱工程と、
次いで、上記熱可塑性樹脂の充填を行った後には、上記給水手段によって上記型空間内に上記冷却水を注入して、上記中子型を冷却する冷却工程とを行うことを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項10】
請求項8又は9において、上記加熱工程においては、粒子状態の熱可塑性樹脂を上記キャビティ内に投入し、次いで、上記光発生手段によって上記ベースモールド型の表面から上記光を照射して、上記キャビティ内における上記粒子状態の熱可塑性樹脂を加熱して溶融させ、次いで、上記キャビティにおいて残された空間に、溶融状態の熱可塑性樹脂を充填することを特徴とする樹脂成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−99861(P2010−99861A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271246(P2008−271246)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(396021575)テクノポリマー株式会社 (278)
【出願人】(594014638)日本レックス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】